説明

異国語の学習補助システム

【課題】英語の単語を用いた文章に容易にアクセスできることで、英語の複数の和訳を理解しやすくする。
【解決手段】
英語の複数の単語群から選ばれた一つの単語の発音を発する英語発声部と、その英単語に対応した日本語の単語の発音を発する日本語の発声部とを備えると共に、その英単語が使われる単語を発声した後に、その複数の英単語の中から対応した英単語を用いた文章を発声するように構成した。また、得意な場合はその英単語に対応した和訳を早送り再生またはスキップするようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第一国の単語において使われる単語を、第二国において使われる翻訳語を関連づけて記憶する異国単語の学習補助システムに関する。本発明で定義する「第一国」は、世界のどこでも良いが、例えば英語やドイツ語やフランス語や中国語や韓国語などで用いられている単語を示す。本発明で定義する「第二国」は第一国とは異なる国の言語であり、例えば、日本語で用いる単語を示す。
ただ、概念の煩雑さを避けるために、以降の説明においては、「第一国」は「イギリス(英語)」で「第二国」は「日本(和訳)」として説明するが、これは権利範囲を限定する意図ではない。
【背景技術】
【0002】
英単語学習手段としては、基本的に教科書や受験参考書などの書籍の媒体で提供される。あるい英単語の発音を収録したCDを収録したものがCD-ROM,DVD-ROM,ブルーレイディスク、USBメモリなどに収録され提供されている。あるいはインターネットを介してWeb配信される。
また音声CDによる学習法の改善策として、パーソナルコンピューターやゲーム専用機でコーディングすることにより、ランダムな出題を工夫する試みがなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許2788405号公報
【特許文献2】特開2009-63819号公報
【特許文献3】特許3312999号公報 特許文献1には、「複数の単語又は複数の文からなる1つのグループのデータが予め記憶手段に記憶され、上記1つのグループの中から音声合成手段により発声し………聴き取りの難易度と、正解率に応じて難易度の高いものと低いものを混ぜる技術」が開示されている。 特許文献2には、「携帯端末を用いて、英単語学習の成果を正確に認識しながら学習効率を向上させるべく、ユーザーからの目標要求に応じて学習対象英単語の分野・傾向を割り出し、単語データベースからユーザーが学習すべき英単語を絞り込む」ように構成する技術思想が開示されている。 特許文献3には、「自己テスト学習機及び自己テスト学習システム」が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
(1)しかしながら、英語の和訳もケースに応じてもっとも適切な訳語を使う必要がある。つまり英単語のひとつに対して複数の和訳が存在する。本発明が解決しようとする問題点は、例えば英語の「touch」という単語ひとつにしても、ケースに応じてさまざまな和訳が必要なのにも関わらず、ひとつの和訳しか学べないことである。またその和訳が使われた適切な例文に触れることができない。
(2)更に英単語の発音は難しく、単に音声を聴くだけでマスターするのは困難である。かと言って、発音記号は読みにくい難点がある。
(3)更に習熟度に応じて出題する英単語を選択するのは一見、合理的なように思えるが、実はそうではない。なぜなら、例えば多肢選択式の和訳の中から選ぶ方式にすると、正解でない和訳が記憶に混ざってしまい、かえって混乱するからである。それは日常の英会話についても言える。
(4)数多くの英単語を憶えることは有益だが、既に知っているものまで対象にすると上達速度が上がらない問題や習得に時間がかかる難点が発生する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)英語の複数の単語群から選ばれた一つの単語の発音を発する英語語発声部と、その単語に対応した日本語の単語の発音を発する日本語語の発声部とを備えると共に、その英語語が使われる単語を発声した後に、その複数の日本語単語の中から対応した英語語を用いた文章を発声するように構成したことを特徴とする英語学習装置としたものである。
(2)英語の複数の単語群から選ばれた一つの単語の発音を発する英語発声部と、英語語に対応した日本語の単語の発音を発する日本語語発声部とを備えると共に、その英語語が発声される際に口の動きを示す動画を再生するように構成したことを特徴とする英語学習装置としたものである。
(3)英語の複数の単語群から選ばれた一つの単語の発音を発すると共に、その英語語が発声される際に口の動きを示す動画を再生するように構成し、その単語に対応した日本語語の発音を発する日本語語の発声部とを備えると共に、その英語語が使われる単語を発声した後に、その複数の日本語語の中から対応した英語語を用いた文章を発声するように構成したことを特徴とする英語学習装置としたものである。
(4)英語の複数の単語群から選ばれた一つの単語の発音を発する英語語発声部と、日本語語の意味を学習者が分かると思うか否かの得意度の選択部と、自信がある場合は以降のステップをスキップし、自信がない場合には、その単語に対応した日本語の単語の発音を発する日本語語の発声部を備えるよう構成したことを特徴とする英語学習装置としたものである。
(5)英語の複数の単語群から選ばれた一つの単語の発音を発する英語語発声部と、日本語語の意味を学習者が分かると思うか否かの得意度の選択部と、得意でない場合には、その単語に対応した日本語の単語の発音を発する日本語語の発声部を備えるよう構成し、得意な場合はその単語に対応した日本語の単語の発音を早送り再生またはスキップすることを特徴とする英語学習装置としたものである。
【発明の効果】
【0006】
(1)本発明のひとつの効果は、文章と関連付けることで速くて正確な理解を得られるようにする点にある。
(2)本発明のひとつの効果は、英語に対応する音声による発音と口の動きの動画を準備するものである。
(3)本発明のひとつの効果は、英語に対応する複数の和訳を正確に使い分けられるように補助する工夫に関するものであり、そのため複数の例文を用意することである。それにより正確で深い理解を得ることができる。
(4)本発明のひとつの効果は、既に覚えている英単語を省くことができるように、マスターした自信があるものについてはスキップするように構成したものである。
(5)本発明のひとつの効果は、既に覚えている英単語の場合は早送り再生による再確認と同時に時間の節約ができる点にある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図面の簡単な説明
【図1】は全体のシステムの全体構成を示す。
【図2】は発音する動画をカットしたものを示す。
【図3】はユーザーインターフェイスを示す。
【図4】はシステムのフローチャートを示す。
【図5】もシステムの別フローチャートを示す。
【図6】はシステムの応用例のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
上述したとおり、本発明は、第一国の単語において使われる単語を、第二国において使われる翻訳語を関連づけて記憶する異国単語の学習補助システムに関する。本発明で定義する「第一国」は、世界のどこでも良いが、例えば英語やドイツ語やフランス語や中国語や韓国語などで用いられている単語を示す。本発明で定義する「第二国」は第一国とは異なる国の言語であり、例えば、日本語で用いる単語を示す。
ただ、概念の煩雑さを避けるために、以降の説明においては、「第一国」は「イギリス(英語)」で「第二国」は「日本(和訳)」として説明するが、これは権利範囲を狭くする意図ではない。
第1図に基づいて本発明の概要を説明する。まず本発明においては、単語記憶支援制御部(9)に各データベースが接続されている。英単語のデータベース(1)と英単語発音のデータベース(2)と英単語を用いた文章のデータベース(3)が接続されている。また更に和訳発音データベース(4)と和訳発音のデータベースが接続されている。
前記英単語のデータベース(1)や前記英単語発音のデータベース(2)には、英単語の発音のデータベースが接続されている。また英単語を用いた文章のデータベースには表示英文の選択表示部(7)が接続されている。主題英単語記憶支援部(9)が全てを司る存在である。これには画面表示部(11)と音声発声部(12)が出力部として接続されている。
また得意度のデータベース(10)とスキップ判定部(13)が接続される。
図2に前述した英単語の動画データベースを示す。例えば「touch」という単語があった場合、どのように発音するのかを口の動きと連動させて発音する。(6a)で「タ」、(6b)で「ッ」、(6c)で「チ」が発音されている。白黒表示にする関係で見づらい図になっている点はご容赦いただきたい。図示が困難なため、連続したデータは図示しなかったが、これらが連続的に再生されるものである。また口の断面図を示す方が効果的な場合もあるので、それらも含むものとする。
図3に英単語学習のインターフェイスである画面表示部を示す。この図3においては、最終的な内容まですべて図示しているので実際の表示は段階を踏んで表示されていくことをお断りしておく。まず、(100)の単語表示部においては、「about」「touch」「student」「ask」と言った単語が表示されている。このときには口述する和訳や発音表示(120)や文例(130)は表示されていない。
「touch」をクリックした時点で、「touch」の和訳(110)候補が表示されると共に、発音表示(120)が再生される。「touch」の和訳候補としては、例えば、「触れる」「接触させる」「隣接する」「軽く押す」「達する」」といったものが示される。ここで「隣接する」をクリックすると「隣接する」の表示英文の選択表示部(7)により、前記の文例(130)が表示され発音される。
※参考文献 「新英和中辞典」 研究社より
【実施例1】
【0009】
本発明の第1実施例「聞くだけ」モードについて第3図のフローチャートに基づいて、説明する。
例えば「一日あたり10個の英単語を記憶する」という目標値を立てた場合を想定する。
そのためにシンプル制御(S10)のサブルーチンにおいては、10,000個の出題単語のデータベースより選択された10個の単語が自動的に抽出される(ステップS11)。
(1)例えば、「touch」の発音である「タッチ」が(ネイティブな発音で)再生される。フローチャートでは発声という用語を用いた。(ステップS12)
この時の「touch」の唇の動画が再生される。これは例えば第2図に示したように音声データを含む動画でも良いし、音声データと共に再生されるアニメーションでも良い。
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英単語 和訳 例文
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touch 1.触れる Don't touch the exhibits.
2.接触させる They touched their glassos together.
3.隣接する His garden touches mine.
4.軽く押す touch the keys of the piano.
5.達する He can almost touch the ceiling.
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※参考文献 「新英和中辞典」 研究社より
(2)その後、一定秒数(例えば0.7秒)経過するまで待機(ステップS13)した後、すぐに和訳の「答え」が表示される。この和訳の表示には、適切な和訳の言葉として複数考えられる場合でも、当初は、そのひとつの和訳のみを発音または表示させる(ステップ14)。
そして、その和訳にふさわしい英文のサンプルが再生される。例えば、「触れる」が和訳の場合には、それを最初の発声とする。更にその和訳が相応しい例文「Don't touch the exhibits.」(展示品に触るな。)が発声される。(ステップS15)。
その単語の和訳の表示が複数ある場合には、複数の和訳を順次増やしていくように表示・発声させたが、新たな和訳のみを再生するように構成しても良い。例えば、touchの場合には、「触れる」を最初の発声とする。そして、次の正答を「接触させる」という風に和訳回数に応じて複数表示または発声する(ステップS14)。さらに「その和訳が適切なケースの英文のサンプル」を発声する(ステップS15)。
そして、和訳回数のインクリメント(増加)とフラッシュメモリへの記録が行われる(ステップS16)。このフラッシュメモリの意味は、書き換え可能であり、電源を切ってもデータが消えない不揮発性のメモリのことを指す。
ステップS17においてメイン制御に戻る。これらの再生速度を自由に変える工夫を施している。
【実施例2】
【0010】
本発明の第2実施例「聞くだけ」モードについて第5図のフローチャートに基づいて、説明する。これを「自信有無」モードと称する。
例えば「一日あたり10個の英単語を新たに記憶する」という目標値を立てた場合を想定する。
そのために本システムにおいては、10,000個の出題単語のデータベースより選択された10個の単語のうち、「不得意」な英単語が自動的に選択・抽出される(ステップS21)。この「不得意」か否かの既定値(初期値)は全ての単語の初期値を「不得意」と設定しておく手法がある。あるいは学校の年度別に既に習得しているであろう英単語は「得意」とみなすよう構成しても良い。「得意」か否かを尋ねる機能を追加したので、無駄に記憶する労力を削減できる。
(1)まず「answer」の発音である「アンサー」(ネイティブな発音)が再生される(ステップS22)。
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英単語 和訳
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例 answer 1.答える
answer 2.責任を負う
answer 3.希望にそう。
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※参考文献 「新英和中辞典」 研究社より
(2)この時に英語読みの後で一定秒数までに「得意」ボタンが押されたか否かをステップS23において判定する。
一定秒数までに得意ボタンが押されない場合(No)には、「自信なし」という評価を下す(ステップ24)。
一定秒数までに得意ボタンを押せば(Yes)ならステップ24において、「得意」であるとフラッシュメモリに記録する。「自信あり」なら次の和訳表示をスキップして次の単語を出題するように構成する。また「自信あり」の場合でも念のために正答を表示(ステップS26へジャンプ)するようにしても良い。
(3)もし一定秒数までに得意ボタンを押せなかった場合(No)なら、ステップ26において、すぐに和訳の答えが表示される。この和訳の表示には、適切な和訳の言葉として複数考えられる場合でも、当初はそのひとつの和訳のみを発音または表示させる。但し、その単語の和訳の表示が複数ある場合には、複数の和訳を順次増やしていくように構成する。例えば、answerの場合には、「答える」を最初の正答とし、次の正答を「答える」「責任を負う」という風に増やして複数表示する。
和文の回答例の表示後に、その解釈(例えば「希望に沿う」)の英文サンプル「My wishes were answered.」を再生または表示するように構成すれば、より理解が深まるので好適である。
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英文 和訳
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例 My wishes were answered. 私の願いはかなえられた。
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【実施例3】
【0011】
本発明の第3実施例「聞くだけ」モードについて第6図のフローチャートに基づいて、説明する。これを「英会話」モードと称する。
上述した実施例は英単語を日本語に訳すものであったが、この実施例では、日本語の日常会話を再生し、それを課題対象として構成する。
例えば「一日あたり3個の英会話を新たに記憶する」という目標値を立てた場合を想定する。
そのために本システムにおいては、3,000個の出題会話のデータベースより選択された3つの英会話のうち、「不得意」な英会話が自動的に選択・抽出される(ステップS31)。この「不得意」か否かの既定値(初期値)は全ての単語の初期値を「不得意」と設定しておく手法がある。あるいは学校の年度別に既に習得しているであろう英単語は「得意」とみなすよう構成しても良い。TOEIC(商標)のレベルに応じて「得意」とみなすものを設定することもできる。
(1)まず「それは残念!」が日本語で発声される(ステップS32)。
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日常会話 和訳
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That's too bad. それは残念!
Today is my day. 今日はラッキー!
I'm off. 行ってきます。
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(2)この時に日本語での読み上げの後で一定秒数までに「得意」ボタンが押されたか否かをステップS33において判定する。
一定秒数までに得意ボタンが押されない場合(No)には、「不得意で、自信なし」という評価を下す(ステップ34)。
一定秒数までに得意ボタンを押せば(Yes)ならステップ35において、「得意で、自信あり」であるとフラッシュメモリに記録する。「自信あり」なら次の和訳表示をスキップして、次の単語を出題するように構成するためである。また「得意」の場合でも念のために正答を表示するようにしても良い。
(3)もし一定秒数までに得意ボタンを押さなかった場合(No)なら、ステップ36において、すぐに英会話の答え(この場合は、「That's too bad.」が表示されるか、または発声される。
この実施例においては、上述した実施例とは異なり、日本会話が出題されて、それに対応する英会話を覚える形にしたが、逆でも良い。すなわち、英会話が出題されて、それに対応する日本語訳を答える順番にしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0012】
覚えたい単語が他の外国語である場合はもちろん、現代日本語と日本における古文の場合にも適用できる。
【符号の説明】
【0013】
1 英単語のデータベース
2 英単語発音のデータベース
3 英単語を用いた文章のデータベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一国の複数の単語群から選ばれた一つの単語の発音を発する第一国語発声部と、その単語に対応した第二国の単語の発音を発する第二国語の発声部とを備えると共に、その第一国語が使われる単語を発声した後に、その複数の第二国単語の中から対応した第一国語を用いた文章を発声するように構成したことを特徴とする異国語学習装置。
【請求項2】
第一国の複数の単語群から選ばれた一つの単語の発音を発する英語発声部と、第一国語に対応した第二国の単語の発音を発する第二国語発声部とを備えると共に、その第一国語が発声される際に口の動きを示す動画を再生するように構成したことを特徴とする異国語学習装置。
【請求項3】
第一国の複数の単語群から選ばれた一つの単語の発音を発すると共に、その第一国語が発声される際に口の動きを示す動画を再生するように構成し、その単語に対応した第二国語の発音を発する第二国語の発声部とを備えると共に、その第一国語が使われる単語を発声した後に、その複数の第二国語の中から対応した第一国語を用いた文章を発声するように構成したことを特徴とする異国語学習装置。
【請求項4】
第一国の複数の単語群から選ばれた一つの単語の発音を発する第一国語発声部と、第二国語の意味を学習者が分かると思うか否かの得意度の選択部と、自信がある場合は以降のステップをスキップし、自信がない場合には、その単語に対応した第二国の単語の発音を発する第二国語の発声部を備えるよう構成したことを特徴とする異国語学習装置。
【請求項5】
第一国の複数の単語群から選ばれた一つの単語の発音を発する第一国語発声部と、第二国語の意味を学習者が分かると思うか否かの得意度の選択部と、得意でない場合には、その単語に対応した第二国の単語の発音を発する第二国語の発声部を備えるよう構成し、得意な場合はその単語に対応した第二国の単語の発音を早送り再生またはスキップすることを特徴とする異国語学習装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−221414(P2011−221414A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−92656(P2010−92656)
【出願日】平成22年4月13日(2010.4.13)
【出願人】(398012993)
【Fターム(参考)】