説明

異常判定システム、及び異常判定方法

【課題】突発的な呼量の変動要因の影響を受けずに、無線基地局の異常を正確に判定する異常判定システムを提供することを目的とする。
【解決手段】無線通信装置と、前記移動端末と通信し、前記無線通信装置との呼処理履歴を記憶する基地局と、基地局から呼処理履歴を収集し、収集した呼処理履歴に基づいて基地局に異常があるか否かを判定する保守監視装置と、を備える異常判定システムにおいて、現在呼量の過去呼量からの減少量が第1所定条件を満たすように減少している場合、基地局に異常の可能性があると判定する一次判定部と、基地局に異常の可能性があると判定された場合、基地局で現在呼量が減少する減少要因が発生しているか否かを判定する減少要因判定部と、基地局で減少要因が発生していると判定された場合、現在呼量が第2所定条件を満たすように減少している場合に基地局に異常が発生していると判定する二次判定部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局の異常を判定する異常判定システムに関し、特に、無線通信装置と基地局との呼量に基づいて基地局の異常を判定する異常判定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
移動体通信システムは、移動端末(無線通信装置)は無線基地局(基地局)を経由して接続先と通信する。無線基地局は、自身の状態を監視しており、自身に異常が発生すると、自身に異常が発生したことを保守監視装置に通知する。保守監視装置は、無線基地局から異常発生が通知された場合、無線基地局の異常をアラーム表示する。これによって、保守者は、無線基地局で異常が発生していることを知ることができる。
【0003】
しかしながら、無線基地局は、移動端末と呼接続できない状態であるにもかかわらず、当該異常を検出できない場合がある。
【0004】
このような異常を検出するための方法として、保守監視装置が各無線基地局から収集した呼処理履歴を解析し、呼処理の正常完了率の低下を検出することによって、自動的に障害を検出する手法が知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0005】
また、呼処理履歴を解析する手法として、無線基地局が設置されている場所、時間、及び曜日による呼量の変化を異常として誤検出しないように、現在の呼処理履歴と比較する過去の呼処理履歴に、現在の呼処理履歴と同じ時間帯及び曜日の呼処理履歴を用いる手法も知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004―274595号公報
【特許文献2】特開2005―086454号公報
【特許文献3】特開2009―71428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献3に開示された呼処理履歴の解析手法によって、無線基地局が設置されている場所、時間帯、及び曜日のような定常的な事象による呼量の変化を異常として検出の誤検出する可能性を低下させることができる。
【0008】
しかし、呼量が変化する要因としては、上述した予め予測可能な定常的な事象の他に予測できない突発的な事象(例えば、気象条件、及び交通障害等)も考えられる。従来の呼処理履歴の解析手法では、この突発的な事象による呼量の変化を異常として誤検出してしまう。
【0009】
例えば、屋外のレジャー施設の周辺の無線基地局では、雨又は雪の日の呼量はそれ以外の通常の日の呼量よりも減少する傾向がある。
【0010】
このため、雨又は雪の日の呼量をそれ以外の通常の日の呼量と同じ条件で判定すると、天候の違いによる呼量の変化を、無線基地局の異常であると誤判定してしまう可能性がある。
【0011】
また、鉄道等の交通障害が発生した場合、交通傷害が発生している駅周辺では通話が集中し、このエリアの無線基地局では一次的に呼量が増加する。この一次的な呼量の増加を呼処理履歴としてしまうと、過去の呼量が増加してしまい、次回の判定時に通常の呼量であるにもかからず過去の呼量よりも少ないために、無線基地局の異常と誤判定してしまう場合がある。
【0012】
本発明では、突発的な呼量の変動要因の影響を受けずに、無線基地局の異常を正確に判定する異常判定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の代表的な一例を示せば、無線通信装置と、前記移動端末と通信し、前記無線通信装置との呼処理履歴を記憶する基地局と、前記基地局にネットワークを介して接続され、前記基地局から前記呼処理履歴を収集し、前記収集した呼処理履歴に基づいて前記基地局に異常があるか否かを判定する監視装置と、を備える異常判定システムにおいて、前記基地局は、前記呼処理履歴を所定のタイミングで前記監視装置に送信し、前記監視装置は、前記基地局から送信された前記呼処理履歴を受信することによって、前記呼処理履歴を収集する呼処理履歴収集部と、前記呼処理履歴に基づいて現在の時間帯の呼処理の数である現在呼量を算出する現在呼量算出部と、前記呼処理履歴に基づいて、前記現在の時間帯よりも過去の呼処理の数である過去呼量を算出する過去呼量算出部と、前記基地局において異常の可能性があるか否かを判定する一次判定部と、前記基地局において前記現在呼量が減少する減少要因が発生しているか否かを判定する減少要因判定部と、前記減少要因判定部によって前記基地局において前記減少要因が発生していると判定された場合、前記一次判定部と異なる条件で前記基地局において異常が発生しているか否かを判定する二次判定部と、を備え、前記一次判定部は、前記現在呼量と前記過去呼量とを比較した結果、前記現在呼量が第1所定条件を満たすように減少している場合、前記基地局において異常の可能性があると判定し、前記減少要因判定部は、前記一次判定部によって異常の可能性があると判定された場合、前記基地局に対応するエリアに関する第1情報を外部から取得し、前記第1情報が予め設定された条件を満たす場合、前記基地局において前記減少要因が発生していると判定し、前記二次判定部は、前記現在呼量と前記過去呼量とを比較した結果、前記現在呼量が、前記第1所定条件より呼量が少ない状態を示す第2所定条件を満たすように減少している場合、前記基地局において異常が発生していると判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、突発的な呼量の変動要因の影響を受けずに、無線基地局の異常を正確に判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態の異常判定システムの構成の説明図である。
【図2】本発明の保守監視装置による処理の概略を説明するための図である。
【図3】本発明の実施形態の保守監視装置のブロック図である。
【図4】本発明の実施形態の呼処理履歴ファイルの説明図である。
【図5】本発明の実施形態の一次判定閾値テーブルの説明図である。
【図6】本発明の実施形態の一次判定部による一次被疑判定処理のフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態の機器情報テーブルの説明図である。
【図8】本発明の実施形態の気象地域テーブルの説明図である。
【図9】本発明の実施形態の駅情報テーブルの説明図である。
【図10】本発明の実施形態の外部情報取得方法テーブルの説明図である。
【図11】本発明の実施形態の外部から取得可能な降水量情報の説明図である。
【図12】本発明の実施形態の外部から取得可能な降雪量情報の説明図である。
【図13】本発明の実施形態の外部から取得可能な鉄道の運行情報の説明図である。
【図14】本発明の実施形態の降水量用の二次判定閾値テーブルの説明図である。
【図15】本発明の実施形態の降雪量用の二次判定閾値テーブルの説明図である。
【図16】本発明の実施形態の外部要因判定部による気象要因判定処理のフローチャートである。
【図17】本発明の外部要因判定部による鉄道情報判定処理のフローチャートである。
【図18】本発明の実施形態の二次判定部による二次判定処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態を図1〜図18を用いて説明する。
【0017】
本実施形態では、呼量変動要因は、呼量が増加する要因である呼量増加要因、及び呼量が減少する要因である呼量減少要因を含む。呼量増加要因は降水量又は積雪量が所定値を超えた場合を想定し、呼量減少要因は鉄道の運行状況を想定するが、呼量減少要因及び呼量増加要因はこれらに限定されない。
【0018】
図1は、本発明の実施形態の異常判定システムの構成の説明図である。
【0019】
異常判定システムは、移動端末(無線通信装置)11、移動端末11と無線通信を行う無線基地局12、及び、無線基地局12とネットワークを介して接続される保守監視装置13を備える。
【0020】
移動端末11は、自身が無線通信可能な範囲にある無線基地局12を経由して通信先と通信を行う。無線基地局12は、移動端末11との通信が行われるたびに呼処理履歴(通信履歴)を記憶する。無線基地局12は、呼処理履歴を所定のタイミングで保守監視装置13に送信する。例えば、無線基地局12は、5分間隔で5分間に記憶された呼処理履歴を保守監視装置13に送信する。
【0021】
保守監視装置13は、無線基地局12から呼処理履歴を収集し、収集した呼処理履歴に基づいて、無線基地局12に異常が発生しているか否かを判定する。保守監視装置13は、無線基地局12に異常が発生していると判定した場合、ネットワークで接続された保守員端末14にアラーム画面を表示させる。これによって、保守者15は、無線基地局12で異常が発生したことを知ることができる。
【0022】
なお、保守監視装置13が表示装置を備え、保守者15が保守監視装置13の表示装置を確認可能である場合、保守員端末14はなくもよい。
【0023】
図2は、本発明の保守監視装置13による処理の概略を説明するための図である。
【0024】
保守監視装置13は、呼処理履歴収集部131、一次判定部132、外部要因判定部133、二次判定部134、及びアラーム通知部136を備える。
【0025】
呼処理履歴収集部131は、無線基地局12から呼処理履歴を収集する。呼処理履歴は、無線基地局12と移動端末11との間の通信履歴であり、詳細は図3及び図4で詳細を説明する。
【0026】
呼処理履歴収集部131は、収集した呼処理履歴を一次判定部132に出力する(211)。
【0027】
一次判定部132は、現在の時刻から過去30分間の呼処理履歴数を現在呼量とし、現在呼量と同じ時間帯の過去の呼処理履歴数の平均値を過去呼量とし、現在呼量の過去呼量からの減少量が第1所定値以上であるか否かを判定し、無線基地局12に異常の可能性があるか否かを判定する一次被疑判定処理を実行する。一次被疑判定処理は、図6で詳細を説明する。
【0028】
一次判定部132は、無線基地局12に異常の可能性があると判定された場合(212)、外部要因判定部133に無線基地局12に異常の可能性がある旨を通知する(213)。
【0029】
外部要因判定部133は、異常の可能性がある無線基地局12に関する情報(外部情報)を外部から取得し(214)、取得した外部情報に基づいて当該無線基地局12において呼量が減少する要因(呼量減少要因)が発生しているか否かを判定する(215)。
【0030】
ステップ215の処理で、無線基地局12において呼量減少要因が発生していないと判定された場合、無線基地局12に異常が発生していると判定し、アラーム通知要求をアラーム通知部136に通知する(216)。
【0031】
一方、ステップ215の処理で、無線基地局12において呼量減少要因が発生していると判定された場合、この旨を二次判定部134に通知する(217)。
【0032】
二次判定部134は、無線基地局12において呼量減少要因が発生している旨が通知された場合、現在呼量の過去呼量からの減少が、第1所定値よりも大きな第2所定値以上であるか否かを判定し、無線基地局12に異常があるか否かを判定する(218)。二次判定部134の第2所定値は、一次被疑判定処理で用いる第1所定値よりもさらに現在呼量が過去呼量から減少したことを示す値に設定されている。
【0033】
ステップ218の処理で、無線基地局12に異常があると判定された場合、二次判定部134は、アラーム通知要求をアラーム通知部136に通知する(219)。
【0034】
ステップ218の処理で、無線基地局12に異常がないと判定された場合、二次判定部134は、アラーム通知要求をアラーム通知部136に通知しない。
【0035】
以上によって、突発的に呼量減少要因が発生しても、呼量減少要因を考慮した異常判定を行うことができるので、無線基地局12の異常を正確に判定できる。
【0036】
図3は、本発明の実施形態の保守監視装置13のブロック図である。
【0037】
保守監視装置13は、呼処理履歴収集部131、一次判定部132、外部要因判定部133、二次判定部134、呼処理履歴更新部135、アラーム通知部136、呼処理履歴ファイル201、一次判定閾値テーブル202、外部情報取得方法テーブル203、機器情報テーブル204、気象地域テーブル205、駅情報テーブル206、及び、二次判定閾値テーブル207を備える。
【0038】
保守監視装置13は、図示しないプロセッサ、及びプロセッサに接続された記憶装置を備える。
【0039】
呼処理履歴収集部131、一次判定部132、外部要因判定部133、二次判定部134、呼処理履歴更新部135、及びアラーム通知部136は、保守監視装置13の図示しない記憶装置に記憶された各種プログラムがプロセッサによって実行されることによって実現される。
【0040】
また、呼処理履歴ファイル201、一次判定閾値テーブル202、外部情報取得方法テーブル203、機器情報テーブル204、気象地域テーブル205、駅情報テーブル206、及び、二次判定閾値テーブル207は、保守監視装置13の図示しない記憶装置に記憶される。
【0041】
呼処理履歴収集部131について説明する。
【0042】
呼処理履歴収集部131は、無線基地局12から呼処理履歴を所定周期で収集し、収集した呼処理履歴ファイル201として図示しない記憶装置に記憶する。なお、呼処理履歴ファイル201は、収集後所定期間が経過すると削除される。
【0043】
呼処理履歴は、無線基地局12が移動端末11と通信するたびに記憶される情報であり、呼切断の際に1レコード追加される。
【0044】
各無線基地局12は、例えば5分周期で呼処理履歴を送信し、保守監視装置13の呼処理履歴収集部131は、各無線基地局12によって生成された呼処理履歴を5分周期で収集する。また、呼処理履歴収集部131は、例えば過去30日分の呼処理履歴ファイル201を記憶する。
【0045】
なお、呼処理履歴ファイル201については図4で詳細を説明する。
【0046】
次に、一次判定部132について説明する。
【0047】
一次判定部132は、呼処理履歴収集部131によって収集された呼処理履歴に基づいて、現在の時間帯の呼量である現在呼量を特定する。また、一次判定部132は、呼処理履歴ファイル201のうち有効な呼処理履歴から現在の曜日と同一曜日であって、現在の時間帯と同一時間帯であっての呼量の平均値を過去呼量平均値(過去呼量)として算出する。
【0048】
そして、一次判定部132は、現在呼量と過去呼量とを比較し、現在呼量が過去呼量から急激に減少していれば、無線基地局12で異常が発生している可能性がある旨の被疑判定を行う。
【0049】
一方、一次判定部132は、現在呼量が過去呼量から急激に増加していれば、無線基地局12の周辺地域で呼量増大要因が発生している可能性があると判定する。
【0050】
また、一次判定部132は、現在の時間帯の呼処理履歴において正常に呼切断がされた割合である現在正常呼切断率を算出する。また、一次判定部132は、呼処理履歴ファイル201のうち有効な呼処理履歴から、現在の曜日と同一曜日であって、現在の時間帯と同一時間帯の呼処理履歴において正常に呼切断がされた割合である過去正常呼切断率を算出する。
【0051】
一次判定部132は、現在正常呼切断率が過去正常呼切断率から急減に減少している場合にも被疑判定を行う。
【0052】
一次判定部132の処理の詳細は、図6で詳細を説明する。
【0053】
一次判定部132が判定に用いる閾値は図5に示す一次判定閾値テーブル202に登録される。
【0054】
次に、外部要因判定部133について説明する。
【0055】
外部要因判定部133は、一次判定部132による判定結果が無線基地局12で異常が発生している可能性がある場合、気象情報(降水量及び降雪量)を外部から取得し、取得した気象情報のうち当該無線基地局12に対応するエリアの気象情報に基づいて呼量減少要因が発生しているか否かを判定する。この気象要因判定処理については、図16で詳細を説明する。
【0056】
なお、外部要因判定部133は、図10に示す外部情報取得方法テーブル203を参照し、気象情報を外部から取得する。外部から取得する気象情報(降水量及び降雪量)については図11及び図12で詳細を説明する。
【0057】
外部要因判定部133は、無線基地局12に対応するエリアを特定するために、図7に示す機器情報テーブル204を参照し、当該無線基地局12の緯度及び経度を特定し、そして、図8に示す気象地域テーブル205を参照し、特定した緯度及び経度の地名を特定する。
【0058】
また、外部要因判定部133は、一次判定部132による判定結果が現在呼量の急激な増加である場合、鉄道の運行情報を外部から取得し、取得した鉄道の運行情報が呼量増大要因と一致するか否かを判定する。この鉄道情報判定処理の詳細は、図17で詳細を説明する。
【0059】
外部要因判定部133は、図7に示す機器情報テーブル204を参照し、現在呼量が急激に増加した無線基地局12の緯度及び経度を特定し、図9に示す駅情報テーブル206を参照し、特定した緯度及び経度に対応する駅を特定する。そして、外部要因判定部133は、取得した鉄道の運行情報が当該駅に影響するか否かを判定することによって、呼量増大要因が発生しているかを判定する。
【0060】
外部から取得可能な鉄道の運行情報については、図13で詳細を説明する。
【0061】
外部情報取得方法テーブル203には、外部から取得する外部情報の取得先が登録され、図10で詳細を説明する。
【0062】
機器情報テーブル204は、各無線基地局12の緯度情報及び経度情報を管理するものであり、図7で詳細を説明する。
【0063】
気象地域テーブル205は、地域の緯度情報及び経度情報を管理するものであり、図8で詳細を説明する。
【0064】
駅情報テーブル206は、各駅の緯度情報及び経度情報と隣接駅の情報とを管理するものであり、図9で詳細を説明する。
【0065】
次に、二次判定部134について説明する。
【0066】
二次判定部134は、外部要因判定部133によって呼量減少要因が発生していると判定された場合、現在呼量及び現在正常呼切断率と、呼量減少要因を考慮した閾値と、を比較することによって、一次判定部132によって異常が発生している可能性があると判定された無線基地局12に異常が発生しているか否かを、呼量減少要因を考慮して判定する。
【0067】
ここで、二次判定部134が用いる呼量減少要因を考慮した閾値は、図14及び図15に示す二次判定閾値テーブル207に保持される。なお、二次判定閾値テーブル207は、図14に示す降水量用の二次判定閾値テーブル207A及び図15に示す降雪量用の二次判定閾値テーブル207Bの総称である。
【0068】
二次判定閾値テーブル207に保持される閾値は、図14及び図15に示すように、呼量減少特別閾値及び正常呼切断率減少特別閾値である。呼量減少特別閾値は、図5に示す一次判定閾値テーブル202に登録される呼量減少閾値よりも呼量が少ない状態を示すように、呼量減少閾値よりも小さい値に設定され、正常呼切断減少特別閾値は、図5に示す一次判定閾値テーブル202に登録される正常呼切断減少閾値よりも正常呼切断率が少ない状態を示すように、正常呼切断減少閾値よりも小さい値に設定される。
【0069】
これは、二次判定部134は、現在呼量及び現在正常呼切断率が、一次判定部132で異常の可能性ありと判定される現在呼量及び現在正常呼切断の減少量よりもさらに減少している場合に、無線基地局12に異常があると判定するためである。
【0070】
二次判定部134によって無線基地局12に異常があると判定された場合、アラーム通知部136により保守員端末14にアラームが通知され、二次判定部134によって無線基地局12に異常がないと判定された場合、アラームは通知されない。
【0071】
二次判定部134による二次判定処理の詳細は、図18で説明する。
【0072】
次に、呼処理履歴更新部135について説明する。
【0073】
外部要因判定部133において呼量増大要因が発生している判定された時間帯の呼処理履歴は特異なデータであるので、この時間帯の呼処理履歴を、一次被疑判定処理及び二次判定処理に用いないようにする必要がある。
【0074】
このため、呼処理履歴更新部135は、外部要因判定部133において呼量増大要因が発生していると判定された時間帯の呼処理履歴の有効/無効フラグ404(図4参照)に無効を示す情報を登録する。
【0075】
なお、外部要因判定部133において呼量減少要因が発生していると判定された時間帯の呼処理履歴も特異なデータであるため、呼処理履歴更新部135は、外部要因判定部133において呼量減少要因が発生していると判定された時間帯の呼処理履歴の有効/無効フラグ404(図4参照)に無効を示す情報を登録してもよい。
【0076】
次に、アラーム通知部136について説明する。
【0077】
アラーム通知部136は、保守監視用のネットワークを介して保守員端末14に、無線基地局12で異常が発生したことを示すアラームを通知する。アラーム通知部136が通知するアラームには、異常が発生している無線基地局12のID、及び、当該無線基地局12に外部要因が発生している場合には取得した外部情報が含まれる。
【0078】
アラームに外部情報が含まれることによって、保守員端末14によってアラームが報知される保守者15は、より詳細な情報を知ることができる。
【0079】
図4は、本発明の実施形態の呼処理履歴ファイル201の説明図である。
【0080】
呼処理履歴ファイル201は、基地局ID401、日時402、呼切断要因403、及び有効/無効フラグ404を含む。
【0081】
基地局ID401には、呼処理履歴を収集した無線基地局12の一意な識別子が登録される。日時402は、日付402A、曜日402B、及び時刻402Cを含む。日付402Aには無線基地局12が呼処理履歴を記憶した日付が登録され、曜日402Bには無線基地局12が呼処理履歴を記憶した曜日が登録され、時刻402Cには無線基地局12が呼処理履歴を記憶した時刻が登録される。
【0082】
呼切断要因403には、正常に呼切断となったか否かが登録される。呼切断要因403に正常と登録されていれば、正常に呼切断となったと判断され、呼切断要因403に異常と登録されていれば、何らかの異常によって呼切断となったと判断される。
【0083】
有効/無効フラグ404には、呼処理履歴更新部135によって登録され、このレコードの呼処理履歴が有効であるか否かが登録される。
【0084】
図5は、本発明の実施形態の一次判定閾値テーブル202の説明図である。
【0085】
一次判定閾値テーブル202は、呼量減少閾値501、正常呼切断率減少閾値502、及び呼量増加閾値503を含む。
【0086】
呼量減少閾値501は、現在呼量が急激に減少したか否かを判定するための閾値である。正常呼切断率減少閾値502は、現在正常呼切断率が急激に減少したか否か判定するための閾値である。呼量増加閾値503は、現在呼量が急激に増加したか否かを判定する閾値である。
【0087】
図6は、本発明の実施形態の一次判定部132による一次被疑判定処理のフローチャートである。
【0088】
まず、一次判定部132は、一次判定閾値テーブル202を参照し、呼量減少閾値(T0)を特定する(9001)。そして、一次判定部132は、一次判定閾値テーブル202を参照し、正常呼切断率減少閾値(T1)を特定する(9002)。次に、一次判定部132は、一次判定閾値テーブル202を参照し、呼量増加閾値(T2)を特定する(9003)。
【0089】
次に、一次判定部132は、現在呼量(C0)を算出する(9004)。
【0090】
具体的には、一次判定部132は、無線基地局12から5分周期で収集した呼処理履歴ファイル201から、現在の時刻から過去30分間の呼処理履歴を各無線基地局12単位に集計し、集計された呼処理履歴のレコード数を現在呼量(C0)として算出する。
【0091】
そして、一次判定部132は、過去呼量(C1)を算出する(9005)。
【0092】
具体的には、一次判定部132は、現在呼量(C0)を算出した無線基地局12の過去30日分の呼処理履歴のうち、現在呼量(C0)を算出した曜日と同じ曜日であって、現在呼量(C0)を算出した時間帯と同じ時間帯であって、かつ、有効/無効フラグ404に有効を示す情報が登録されている呼処理履歴を抽出し、抽出した呼処理履歴のレコード数の平均を過去呼量(C1)として算出する。
【0093】
次に、一次判定部132は、現在正常呼切断率(R0)を算出する(9006)。
【0094】
具体的には、一次判定部132は、現在の時刻から過去30分間の呼処理履歴を取得する。そして、一次判定部132は、取得した呼処理履歴のうち呼切断要因403に正常を示す情報が登録されている呼処理履歴のレコード数(正常レコード数)を計数する。そして、一次判定部132は、計数した正常レコード数を過去30分間の呼処理履歴の全レコード数で除算し、現在正常呼切断率(R0)を算出する。現在正常呼切断率(R0)の算出は次式を用いる。
【0095】
「現在正常呼切断率(R0)」=「正常レコード数」/「過去30分全レコード数」
次に、一次判定部132は、過去正常呼切断率(R1)を算出する(9007)。
【0096】
具体的には、一次判定部132は、現在正常呼切断率(R0)を算出した無線基地局12の過去30日分の呼処理履歴のうち、現在正常呼切断率(R0)を算出した曜日と同じ曜日であって、かつ現在正常呼切断率(R0)を算出した時間帯と同じ時間帯であって、さらに、有効/無効フラグ404に有効を示す情報が登録されている呼処理履歴を抽出する。そして、一次判定部132は、抽出した呼処理履歴のうち、呼切断要因403に正常が登録されている呼処理履歴のレコード数(正常レコード数)を計数する。そして、一次判定部132は、正常レコード数を抽出した過去の呼処理履歴の全レコード数で除算し、過去正常呼切断率(R1)を算出する。
【0097】
次に、一次判定部132は、現在呼量(C0)と過去呼量(C1)との比(C0/C1)が呼量減少閾値T0よりも小さいか否かを判定する(9008)。
【0098】
ステップ9008の処理で、現在呼量(C0)と過去呼量(C1)との比(C0/C1)が呼量減少閾値T0よりも小さいと判定された場合、一次判定部132は、現在呼量(C0)が過去呼量(C1)から所定値以上減少したと判定し、現在呼量(C0)を算出した無線基地局12に異常が発生している可能性があると判定し(9011)、処理を終了する。
【0099】
一方、ステップ9008の処理で、現在呼量(C0)と過去呼量(C1)との比(C0/C1)が呼量減少閾値T0以上であると判定された場合、一次判定部132は、現在呼量(C0)が過去呼量(C1)から所定値以上減少していないと判定し、現在正常呼切断率(R0)と過去正常呼切断率(R1)との比(R0/R1)が正常呼切断率減少閾値(T1)よりも小さいか否かを判定する(9009)。
【0100】
ステップ9009の処理で、現在正常呼切断率(R0)と過去正常呼切断率(R1)との比(R0/R1)が正常呼切断率減少閾値(T1)よりも小さいと判定された場合、一次判定部132は、現在正常呼切断率(R0)が過去正常呼切断率(R1)から所定値以上減少したと判定し、ステップ9011の処理に進み、現在正常呼切断率(R0)を算出した無線基地局12に異常が発生している可能性があると判定し、処理を終了する。
【0101】
一方、ステップ9009の処理で、現在正常呼切断率(R0)と過去正常呼切断率(R1)との比(R0/R1)が正常呼切断率減少閾値(T1)以上であると判定された場合、一次判定部132は、現在正常呼切断率(R0)は過去正常呼切断率(R1)から所定値以上減少していないと判定し、現在呼量(C0)と過去呼量(C1)との比(C0/C1)が呼量増加閾値(T2)よりも大きいか否かを判定する(9010)。
【0102】
ステップ9010の処理で、現在呼量(C0)と過去呼量(C1)との比(C0/C1)が呼量増加閾値(T2)よりも大きいと判定された場合、一次判定部132は、現在呼量(C0)は過去呼量(C1)から所定値以上増加したと判定し、呼量が増大中であると判定し(9012)、処理を終了する。
【0103】
ステップ9010の処理で、現在呼量(C0)と過去呼量(C1)との比(C0/C1)が呼量増加閾値(T2)以下であると判定された場合、一次判定部132は、現在呼量(C0)は過去呼量(C1)から所定値以上増加していないと判定し、処理を終了する。
【0104】
図7は、本発明の実施形態の機器情報テーブル204の説明図である。
【0105】
機器情報テーブル204は、基地局ID701、緯度702、及び経度703を含む。基地局ID701には、無線基地局12の一意な識別子が登録される。緯度702には各無線基地局12の緯度が登録され、経度703には各無線基地局12の経度が登録される。
【0106】
図8は、本発明の実施形態の気象地域テーブル205の説明図である。
【0107】
気象地域テーブル205は、地名801、緯度802、及び経度803を含む。
【0108】
地名801には地域の名称が登録され、緯度802には地域の緯度が登録され、経度803には地域の経度が登録される。
【0109】
図9は、本発明の実施形態の駅情報テーブル206の説明図である。
【0110】
駅情報テーブル206は、駅番号901、駅名902、緯度903、経度904、及び隣接駅905を含む。
【0111】
駅番号901には、各駅の一意な識別子として番号が登録される。駅名902には、各駅の名称が登録される。緯度903には各駅の緯度が登録され、経度904には各駅の経度が登録される。また、隣接駅905には、各駅に隣接する駅の番号が登録される。
【0112】
保守監視装置13は、隣接駅905に登録された駅の番号を辿ることによって路線図を生成することができる。
【0113】
図10は、本発明の実施形態の外部情報取得方法テーブル203の説明図である。
【0114】
外部情報取得方法テーブル203は、外部情報名1001、URL1002、及び外部要因判定用閾値1003を含む。
【0115】
外部情報名1001には、取得する外部情報の種類が登録され、本実施形態では、降水量、降雪量、及び鉄道の運行情報が登録される。URL1002には、各外部情報の取得先であるURLが登録される。
【0116】
外部要因判定用閾値1003には、無線基地局12で外部要因が発生していると判定するために、外部情報と比較するための閾値が登録される。具体的には、呼量増加要因に対応する外部情報(降水量及び降雪量)の閾値が登録され、外部から取得した降水量又は降雪量が外部要因判定用閾値1003に登録された閾値(例えば、200mm/h)以上となれば、呼量増加要因が発生している判定される。
【0117】
図11は、本発明の実施形態の外部から取得可能な降水量情報の説明図である。
【0118】
図11に示す降水量情報は、図10に示す外部情報取得方法テーブル203のURL1002のうち、降水量のURLにある図示しないWebサーバから取得可能な情報である。
【0119】
降水量情報は、地名1101及び現在の降水量1102を含む。地名1101には地域の名称が登録され、現在の降水量1102には各地域の現在の降水量が登録される。
【0120】
図12は、本発明の実施形態の外部から取得可能な降雪量情報の説明図である。
【0121】
図12に示す降雪量情報は、図10に示す外部情報取得方法テーブル203のURL1002のうち、降雪量のURLにある図示しないWebサーバから取得可能な情報である。
【0122】
降雪量情報は、地名1201及び現在の降雪量1202を含む。地名1201には地域の名称が登録され、現在の降雪量1202には各地域の現在の降雪量が登録される。
【0123】
図13は、本発明の実施形態の外部から取得可能な鉄道の運行情報の説明図である。
【0124】
図13に示す鉄道の運行情報は、図10に示す外部情報取得方法テーブル203のURL1002のうち、鉄道の運行情報のURLにある図示しないWebサーバから取得可能な情報である。
【0125】
鉄道の運行情報は、例えば、遅延が発生している区間、及び、運転を見合わせている駅の区間を示す情報であり、駅A1301、駅B1302、及び運行情報1303を含む。
【0126】
駅A1301及び駅B1302には、遅延が発生している区間又は運転を見合わせている区間を示す駅名が登録される。
【0127】
運行情報1303には、遅延が発生していることを示す情報又は運転を見合わせていることを示す情報が登録される。
【0128】
図14は、本発明の実施形態の降水量用の二次判定閾値テーブル207Aの説明図である。
【0129】
降水量用の二次判定閾値テーブル207Aは、外部要因判定部133によって降水量による呼量減少要因が発生していると判定された場合に二次判定部134が用いる閾値を保持する。
【0130】
降水量用の二次判定閾値テーブル207Aは、降水量1401、呼量減少特別閾値1402、及び正常呼切断率減少特別閾値1403を含む。
【0131】
降水量1401には、降水量が登録される。呼量減少特別閾値1402には、呼量の減少の判定に用いる閾値が各降水量に対応して登録される。正常呼切断率減少特別閾値1403には、正常呼切断率の減少の判定に用いる閾値が各降水量に対応して登録される。
【0132】
例えば、呼量減少特別閾値1402及び正常呼切断率減少特別閾値1403に登録される閾値は、降水量が多くなればなるほど、小さい値が登録される。これは、降水量が多いほど、外に出る人の数も減少し、呼量も減少するため、二次判定部134が異常と判定する現在呼量の過去呼量からの減少量も大きくしなければならないためである。
【0133】
図15は、本発明の実施形態の降雪量用の二次判定閾値テーブル207Bの説明図である。
【0134】
降雪量用の二次判定閾値テーブル207Bは、外部要因判定部133によって降雪量による呼量減少要因が発生していると判定された場合に二次判定部134が用いる閾値を保持する。
【0135】
降雪量用の二次判定閾値テーブル207Bは、降雪量1501、呼量減少特別閾値1502、及び正常呼切断率減少特別閾値1503を含む。
【0136】
降雪量1501には、降雪量が登録される。呼量減少特別閾値1502には、呼量の減少の判定に用いる閾値が各降雪量に対応して登録される。正常呼切断率減少特別閾値1503には、正常呼切断率の減少の判定に用いる閾値が各降雪量に対応して登録される。
【0137】
例えば、呼量減少特別閾値1502及び正常呼切断率減少特別閾値1503に登録される閾値は、降雪量が多くなればなるほど、小さい値が登録される。これは、降雪量が多いほど、外に出る人の数も減少し、呼量も減少するため、二次判定部134が異常と判定する現在呼量の過去呼量からの減少量も大きくしなければならないためである。
【0138】
図16は、本発明の実施形態の外部要因判定部133による気象要因判定処理のフローチャートである。
【0139】
気象要因判定処理は、一次判定部132によって無線基地局12に異常が発生している可能性があると判定された場合に実行される。
【0140】
まず、外部要因判定部133は、異常が発生している可能性があると判定された無線基地局12の地域を特定する(9101)。
【0141】
具体的には、外部要因判定部133は、異常が発生している可能性があると判定された無線基地局12のIDを特定する。そして、外部要因判定部133は、機器情報テーブル204に登録されたレコードのうち基地局ID701に登録されたIDが特定したIDと一致するレコードの緯度702に登録された緯度及び経度703に登録された経度を取得する。
【0142】
そして、外部要因判定部133は、気象地域テーブル205に登録されたレコードのうち、緯度802及び経度803が取得した緯度及び経度と最も近いレコードの地名801に登録された地名を、異常が発生している可能性のある無線基地局12の地名として取得する。
【0143】
次に、外部要因判定部133は、外部情報取得方法テーブル203を参照し、降水量の外部要因判定用閾値1003に登録された閾値(降水量閾値)、及び、降雪量の外部要因判定用閾値1003に登録された閾値(降雪量閾値)を特定する(9102)。
【0144】
次に、外部要因判定部133は、外部情報取得方法テーブル203を参照し、降水量のURL1002に登録されたURLにアクセスし、ステップ9101の処理で特定した地域の降水量を取得し、降雪量のURL1002に登録されたURLにアクセスし、ステップ9101の処理で特定した地域の降雪量を取得する(9103)。
【0145】
次に、外部要因判定部133は、ステップ9103の処理で取得した降水量がステップ9102の処理で特定した降水量閾値より大きいか否かを判定し、ステップ9103の処理で取得した降雪量がステップ9102の処理で特定した降雪量閾値より大きいか否かを判定する(9104)。
【0146】
ステップ9104の処理で、降水量及び降雪量の少なくとも一方が閾値よりも大きいと判定された場合、気象要因ありと判定し(9105)、つまり、呼量減少要因が発生していると判定し、処理を終了する。
【0147】
一方、ステップ9104の処理で、降水量及び降雪量が閾値以下であると判定された場合、気象要因なしと判定し(9106)、つまり、呼量減少要因が発生していないため、当該無線基地局12で異常が発生していると判定し、処理を終了する。
【0148】
図17は、本発明の外部要因判定部133による鉄道情報判定処理のフローチャートである。
【0149】
鉄道情報判定処理は、一次判定部132によって無線基地局12で呼量が増加していると判定された場合に実行され、当該無線基地局12から所定の距離内にある駅で遅延又は運転見合わせ(運行休止)が発生している場合、呼量増大要因が発生していると判定する処理である。
【0150】
まず、外部要因判定部133は、呼量が増大していると判定された無線基地局12から所定の距離内にある駅の一覧を作成する(9201)。
【0151】
具体的には、外部要因判定部133は、機器情報テーブル204を参照し、呼量が増大していると判定された無線基地局12の緯度及び経度を特定する。そして、外部要因判定部133は、駅情報テーブル206を参照し、特定された無線基地局12の緯度及び経度から所定の距離内に位置する緯度及び経度の駅番号901及び駅名902を取得することによって、駅の一覧を作成する。
【0152】
次に、外部要因判定部133は、外部情報取得方法テーブル203を参照し、鉄道の運行情報のURL1002に登録されたURLにアクセスし、図13に示す鉄道の運行情報を取得する(9202)。
【0153】
次に、外部要因判定部133は、ステップ9202の処理で取得した鉄道の運行情報に基づいて、遅延又は運転見合わせが発生している区間の駅の一覧(障害駅一覧)を作成する(9203)。
【0154】
具体的には、外部要因判定部133は、駅情報テーブル206を参照しステップ9202の処理で取得した鉄道の運行情報に含まれる駅A1301の隣接駅905に登録された駅番号を取得する。そして、外部要因判定部133は、取得した隣接駅の隣接駅905に登録された駅番号を取得する。外部要因判定部133は、取得した駅番号に駅B1302が出現するまでこの処理を繰り返すことによって、障害駅一覧を作成する。
【0155】
次に、外部要因判定部133は、ステップ9203の処理で作成された障害駅一覧にステップ9201の処理で作成した駅の一覧に登録された駅が含まれるか否かを判定する(9204)。
【0156】
ステップ9203の処理で作成された障害駅一覧にステップ9201の処理で作成した駅の一覧に登録された駅が含まれると、ステップ9204の処理で判定された場合、外部要因判定部133は、鉄道要因ありと判定し(9205)、つまり、呼量増加要因が発生していると判定し、処理を終了する。
【0157】
一方、ステップ9203の処理で作成された障害駅一覧にステップ9201の処理で作成した駅の一覧に登録された駅が含まれないと、ステップ9204の処理で判定された場合、外部要因判定部133は、鉄道要因なしと判定し(9206)、つまり、呼量増加要因が発生していないと判定し、処理を終了する。
【0158】
図18は、本発明の実施形態の二次判定部134による二次判定処理のフローチャートである。
【0159】
まず、二次判定部134は、二次判定閾値テーブル207を参照し、呼量減少特別閾値(T0’)及び正常呼切断減少特別閾値(T1’)を特定する(9301)。
【0160】
具体的には、二次判定部134は、外部要因判定部133において呼量減少要因となった気象要因は降水量及び降雪量のいずれであるかを特定する。二次判定部134は、特定した気象要因が降水量であれば、降水量用の二次判定閾値テーブル207Aを参照し、外部要因判定部133が外部から取得した降水量に対応する呼量減少特別閾値(T0’)及び正常呼切断減少特別閾値(T1’)を特定する。
【0161】
一方、二次判定部134は、特定した気象要因が降雪量であれば、降雪量用の二次判定閾値テーブル207Bを参照し、外部要因判定部133が外部から取得した降雪量に対応する呼量減少特別閾値(T0’)及び正常呼切断減少特別閾値(T1’)を特定する。
【0162】
次に、二次判定部134は、図6に示す一次被疑判定処理のステップ9008の処理と同様に、現在呼量(C0)と過去呼量(C1)との比(C0/C1)が呼量減少特別閾値(T0’)よりも小さいか否かを判定する(9302)。
【0163】
ステップ9302の処理で、現在呼量(C0)と過去呼量(C1)との比(C0/C1)が呼量減少特別閾値(T0’)よりも小さいと判定された場合、呼量減少要因を考慮しても現在呼量の過去呼量からの減少が大きいと判定し、無線基地局12で異常が発生していると判定し、アラーム通知部136にアラーム発生要求を出力し(9304)、処理を終了する。
【0164】
一方、ステップ9302の処理で、現在呼量(C0)と過去呼量(C1)との比(C0/C1)が呼量減少特別閾値(T0’)以上であると判定された場合、二次判定部134は、現在正常呼切断率(R0)と過去正常呼切断率(R1)との比(R0/R1)が正常呼切断率減少特別閾値(T1’)よりも小さいか否かを判定する(9303)。
【0165】
ステップ9303の処理で、現在正常呼切断率(R0)と過去正常呼切断率(R1)との比(R0/R1)が正常呼切断率減少特別閾値(T1’)よりも小さいと判定された場合、二次判定部134は、呼量減少要因を考慮しても現在正常呼切断率の過去正常呼切断率からの減少が大きいと判定し、無線基地局12に異常が発生していると判定し、ステップ9304の処理に進み、アラーム通知部136にアラーム発生要求を出力し、処理を終了する。
【0166】
一方、ステップ9303の処理で、現在正常呼切断率(R0)と過去正常呼切断率(R1)との比(R0/R1)が正常呼切断率減少特別閾値(T1’)以上であると判定された場合、二次判定部134は、呼量減少要因によって現在呼量及び現在正常呼切断率が減少したもので、無線基地局12に異常は発生していないと判定し、処理を終了する。
【0167】
なお、本実施形態の図6に示すステップ9008の処理、及び図18に示すステップ9302の処理では、現在呼量(C0)と過去呼量(C1)との比(C0/C1)が呼量減少閾値(T0)又は呼量減少特別閾値(T0’)よりも小さいか否かを判定している。
【0168】
しかし、現在呼量(C0)と過去呼量(C1)との比(C0/C1)ではなく、現在呼量(C0)の過去呼量(C1)からの減少量(C1−C0)を用いてもよい。
【0169】
この場合、図6に示すステップ9008の処理、及び図18に示すステップ9302の処理では、過去呼量(C1)から現在呼量(C0)を減算した値(C1−C0)が正となる場合であって、当該減算値(C1−C0)が呼量減少閾値(T0)又は呼量減少特別閾値(T0’)よりも大きいか否かを判定する。
【0170】
具体的には、図6に示すステップ9008の処理では、一次判定部132は、過去呼量(C1)から現在呼量(C0)を減算した値(C1−C0)が呼量減少閾値(T0)よりも大きいと判定された場合、図6に示すステップ9011の処理に進み、無線基地局12に異常が発生している可能性があると判定する。
【0171】
また、図18に示すステップ9302の処理では、二次判定部134は、過去呼量(C1)から現在呼量(C0)を減算した値(C1−C0)が呼量減少特別閾値(T0’)よりも大きいと判定された場合、図18に示すステップ9304の処理に進み、無線基地局12に異常が発生していると判定し、アラーム発生要求を出力する。
【0172】
さらに、呼量減少特別閾値(T0’)は呼量減少閾値(T0)よりも呼量が減少している状態を示す値に設定されるため、この場合の呼量減少特別閾値(T0’)は呼量減少閾値(T0)よりも大きく設定される。
【0173】
また、1から現在呼量(C0)と過去呼量(C1)との比(C0/C1)を減算し、現在呼量(C0)の過去呼量(C1)に対する減少率(1−C0/C1)を算出し、当該減少率(1−C0/C1)を用いて、図6に示すステップ9008の処理、及び図18に示すステップ9302の処理の判定処理を行ってもよい。なお、この場合の判定処理は、過去呼量(C1)から現在呼量(C0)を減算した値(C1−C0)を用いる判定処理と同じであるので説明を省略する。
【0174】
本実施形態の図6に示すステップ9009の処理、及び図18に示すステップ9303の処理も同様に、現在正常呼切断率(R0)と過去正常呼切断率(R1)との比(R0/R1)ではなく、現在正常呼切断率(R0)の過去正常呼切断率(R1)からの減少量(R1−R0)、又は、現在正常呼切断率(R0)の過去正常呼切断率(R1)に対する減少率(1−R0/R1)、を用いてもよい。この場合、正常呼切断率減少特別閾値(T1’)は正常呼切断率減少閾値(T1)よりも大きく設定される。
【0175】
以上によって、本実施形態では、保守監視装置13が、無線基地局12の現在呼量と過去呼量とを比較し、現在呼量が第1所定条件を満たすように減少している場合、当該無線基地局12に異常が発生している可能性があると判定し、当該無線基地局12に関する情報を外部から取得する。そして、保守監視装置13が、外部から取得した情報に基づいて、当該無線基地局12に呼量減少要因が発生しているか否かを判定し、当該無線基地局12に呼量減少要因が発生している場合、当該無線基地局12の現在呼量と過去呼量とを比較し、現在呼量が第1所定条件よりも呼量が減少している状態を示す第2所定条件を満たすように減少している場合、当該無線基地局12に異常が発生していると判定する。これによって、突発的な事象によって無線基地局12の呼量が減少しても異常と判定せずに、無線基地局12の異常判定を正確に行うことができる。
【0176】
また、保守監視装置13は、外部から取得した情報に基づいて無線基地局12に呼量増大要因が発生しているか否かを判定し、呼量増大要因が発生している時間帯の呼処理履歴、及び呼量減少要因が発生している時間帯の呼処理履歴を除外した呼処理履歴から過去呼量を算出する。これによって、特異なデータを除外した呼処理履歴から過去呼量を算出できるので、より正確に無線基地局12の異常判定を正確に行うことができる。
【符号の説明】
【0177】
11 移動端末(無線通信装置)
12 無線基地局
13 保守監視装置
14 保守員端末
131 呼処理履歴収集部
132 一次判定部
133 外部要因判定部
134 二次判定部
135 呼処理履歴更新部
136 アラーム通知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信装置と、前記移動端末と通信し、前記無線通信装置との呼処理履歴を記憶する基地局と、前記基地局にネットワークを介して接続され、前記基地局から前記呼処理履歴を収集し、前記収集した呼処理履歴に基づいて前記基地局に異常があるか否かを判定する監視装置と、を備える異常判定システムにおいて、
前記基地局は、前記呼処理履歴を所定のタイミングで前記監視装置に送信し、
前記監視装置は、
前記基地局から送信された前記呼処理履歴を受信することによって、前記呼処理履歴を収集する呼処理履歴収集部と、
前記呼処理履歴に基づいて現在の時間帯の呼処理の数である現在呼量を算出する現在呼量算出部と、
前記呼処理履歴に基づいて、前記現在の時間帯よりも過去の呼処理の数である過去呼量を算出する過去呼量算出部と、
前記基地局において異常の可能性があるか否かを判定する一次判定部と、
前記基地局において前記現在呼量が減少する減少要因が発生しているか否かを判定する減少要因判定部と、
前記減少要因判定部によって前記基地局において前記減少要因が発生していると判定された場合、前記一次判定部と異なる条件で前記基地局において異常が発生しているか否かを判定する二次判定部と、を備え、
前記一次判定部は、前記現在呼量と前記過去呼量とを比較した結果、前記現在呼量が第1所定条件を満たすように減少している場合、前記基地局において異常の可能性があると判定し、
前記減少要因判定部は、
前記一次判定部によって異常の可能性があると判定された場合、前記基地局に対応するエリアに関する第1情報を外部から取得し、
前記第1情報が予め設定された条件を満たす場合、前記基地局において前記減少要因が発生していると判定し、
前記二次判定部は、前記現在呼量と前記過去呼量とを比較した結果、前記現在呼量が、前記第1所定条件より呼量が少ない状態を示す第2所定条件を満たすように減少している場合、前記基地局において異常が発生していると判定することを特徴とする異常判定システム。
【請求項2】
前記基地局において前記現在呼量が増加する増加要因が発生しているか否かを判定する増加要因判定部を備え、
前記一次判定部は、前記現在呼量と前記過去呼量とを比較した結果、前記現在呼量が第3所定条件を満たすように増加している場合、前記基地局の呼処理の数が増加していると判定し、
前記増加要因判定部は、
前記一次判定部によって前記基地局の呼処理の数が増加していると判定された場合、前記基地局に対応するエリアに関する第2情報を外部から取得し、
前記第2情報が予め設定された条件を満たすか否かを判定することによって、前記基地局において前記増加要因が発生しているか否かを判定し、
前記過去呼量算出部は、前記増加要因判定部によって前記基地局において前記増加要因が発生していると判定された時間帯の呼処理履歴を除外した呼処理履歴から前記過去呼量を算出することを特徴とする請求項1に記載の異常判定システム。
【請求項3】
前記過去呼量算出部は、前記減少要因判定部によって前記基地局において前記減少要因が発生していると判定された時間帯の呼処理履歴を除外した呼処理履歴から前記過去呼量を算出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の異常判定システム。
【請求項4】
前記第1情報は、前記基地局に対応するエリアの降水量又は降雪量を示す情報であり、
前記減少要因判定部は、前記取得した降水量又は降雪量が所定値以上である場合に、前記基地局において前記減少要因が発生していると判定し、
前記第2情報は、鉄道の遅延又は鉄道の運行休止を含む運行情報に関する情報であり、
前記増加要因判定部は、前記基地局に対応するエリアで前記鉄道の遅延又は鉄道の運行休止が発生している場合に、前記基地局において前記増加要因が発生していると判定することを特徴とする請求項2に記載の異常判定システム。
【請求項5】
無線通信装置と、前記移動端末と通信し、前記無線通信装置との呼処理履歴を記憶する基地局と、前記基地局にネットワークを介して接続され、前記基地局から前記呼処理履歴を収集し、前記収集した呼処理履歴に基づいて前記基地局に異常があるか否かを判定する監視装置と、を備えるシステムにおける異常判定方法において、
前記方法は、
前記基地局が、前記呼処理履歴を所定のタイミングで前記監視装置に送信するステップと、
前記監視装置が前記基地局から送信された前記呼処理履歴を受信することによって、前記呼処理履歴を収集する呼処理履歴収集ステップと、
前記監視装置が、前記呼処理履歴に基づいて現在の時間帯の呼処理の数である現在呼量を算出する現在呼量算出ステップと、
前記監視装置が、前記呼処理履歴に基づいて、前記現在の時間帯よりも過去の呼処理の数である過去呼量を算出する過去呼量算出ステップと、
前記監視装置が、前記現在呼量と前記過去呼量とを比較した結果、前記現在呼量が第1所定条件を満たすように減少している場合、前記基地局において異常の可能性があると判定する一次判定ステップと、
前記監視装置が、前記一次判定ステップによって前記基地局において異常の可能性があると判定された場合、前記基地局に対応するエリアに関する第1情報を外部から取得し、前記取得した第1情報が予め設定された条件を満たすか否かを判定することによって、前記基地局において前記現在呼量が減少する減少要因が発生しているか否かを判定する減少要因判定ステップと、
前記監視装置が、前記減少要因判定ステップによって前記基地局において前記減少要因が発生していると判定された場合、前記現在呼量と前記過去呼量とを比較した結果、前記第1所定条件よりも呼量が少ない状態を示す第2所定条件を満たせば、前記基地局において異常が発生していると判定する二次判定ステップと、を含むことを特徴とする異常判定方法。
【請求項6】
前記一次判定ステップでは、前記現在呼量と前記過去呼量とを比較した結果、前記現在呼量が第3所定条件を満たすように増加している場合、前記基地局の呼処理の数が増加していると判定し、
前記方法は、
前記一次判定ステップによって前記基地局の呼処理の数が増加していると判定された場合、前記監視装置が、前記基地局に対応するエリアに関する第2情報を外部から取得し、前記取得した第2情報が予め設定された条件を満たすか否かを判定することによって、前記基地局において前記現在呼量が増加する増加要因が発生しているか否かを判定する増加要因判定ステップを含み、
前記過去呼量算出ステップでは、前記増加要因判定ステップによって前記基地局において前記増加要因が発生していると判定された時間帯の呼処理履歴を除外した呼処理履歴から前記過去呼量を算出することを特徴とする請求項5に記載の異常判定方法。
【請求項7】
前記過去呼量算出ステップでは、前記減少要因判定ステップによって前記基地局において前記減少要因が発生していると判定された時間帯の呼処理履歴を除外した呼処理履歴から前記過去呼量を算出することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の異常判定方法。
【請求項8】
前記第1情報は、前記基地局に対応するエリアの降水量又は降雪量を示す情報であり、
前記減少要因判定ステップでは、前記取得した降水量又は降雪量が所定値以上である場合に、前記基地局において前記減少要因が発生していると判定し、
前記第2情報は、鉄道の遅延又は鉄道の運行休止を含む運行情報に関する情報であり、
前記増加要因判定ステップでは、前記基地局に対応するエリアで前記鉄道の遅延又は鉄道の運行休止が発生している場合に、前記基地局において前記増加要因が発生していると判定することを特徴とする請求項6に記載の異常判定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−134924(P2012−134924A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287484(P2010−287484)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】