説明

異方形状シリカゾルの製造方法

【課題】 研磨材として好適な異方形状シリカゾルおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】 水溶性珪酸塩の水溶液に対して珪酸液を添加して、SiO2/M2O[Mはアルカリ金属、第3級アンモニウム、第4級アンモニウムまたはグアニジンから選ばれる](モル比)が30〜65の範囲の混合液を調製し、該混合液に60〜200℃の温度で、再度珪酸液を断続的または連続的に添加することによりシリカゾルを調製し、該シリカゾルをpH7〜9の範囲にて、60〜98℃で加熱する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に研磨材として好適な異方形状シリカゾルの効率的な製造方法およびその製造方法により得られる異方形状シリカゾルに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体の集積回路付基板の製造においては、シリコンウェーハ上に銅などの金属で回路を形成する際に凹凸あるいは段差が生じるので、これを研磨して表面の段差がなくなるように回路の金属部分を優先的に除去することが行われている。また、シリコンウェーハ上にアルミ配線を形成し、この上に絶縁膜としてシリカ等の酸化膜を設けると配線による凹凸が生じるので、この酸化膜を研磨して平坦化することが行われている。このような基板の研磨においては、研磨後の表面は段差や凹凸がなく平坦で、さらにミクロな傷等もなく平滑であることが求められており、また研磨速度が速いことも必要である。
【0003】
さらに、半導体材料は電気・電子製品の小型化や高性能化に伴い高集積化が進展しているが、例えばトランジスタ分離層にNaやK等の不純物等が残存した場合、性能が発揮されなかったり、不具合の原因となることがある。特に研磨した半導体基板や酸化膜表面にNaが付着すると、Naは拡散性が高く、酸化膜中の欠陥などに捕獲され、半導体基板に回路を形成しても絶縁不良を起こしたり、回路が短絡することがあり、また誘電率が低下することがあった。このため使用条件によって、或いは使用が長期にわたった場合に前記不具合を生じることがあるので、NaやKなどの不純物を殆ど含まない研磨用粒子が求められている。
研磨用粒子としては、従来、シリカゾルやヒュームドシリカ、ヒュームドアルミナなどが用いられている。
【0004】
CMPで使用される研磨材は、通常、シリカ、アルミナ等の金属酸化物からなる平均粒子径が200nm程度の球状の研磨用粒子と、配線・回路用金属の研磨速度を早めるための酸化剤、有機酸等の添加剤及び純水などの溶媒から構成されているが、被研磨材の表面には下地の絶縁膜に形成した配線用の溝パターンに起因した段差(凹凸)が存在するので、主に凸部を研磨除去しながら共面まで研磨し、平坦な研磨面とすることが求められている。しかしながら、従来の球状の研磨用粒子では共面より上の部分を研磨した際に、凹部の下部にあった配線溝内の回路用金属が共面以下まで研磨される問題(ディッシングと呼ばれている。)があった。このようなディッシング(過研磨)が起きると配線の厚みが減少して配線抵抗が増加したり、また、この上に形成される絶縁膜の平坦性が低下するなどの問題が生じるので、ディッシングを抑制することが求められている。
【0005】
異形粒子群を含む研磨剤は、この様な凹凸を有する基材の研磨において、凸部の上端面が凹部の底面と同レベルになるまで凹部の研磨が抑制され、凸部の上端面が凹部の底面と同レベルまで研磨された後は凸部、凹部ともに同じ研磨速度で研磨できるので、ディッシング(過研磨)が起きることがなく、研磨後の表面は凹凸が無く平坦性に優れることが知られている。例えば、半導体集積回路の形成などにおける研磨においてディッシングが起きることがないので、得られる集積回路の回路抵抗を増加させることもなく、研磨後の表面は平坦性に優れているので効率的に積層集積回路を形成することができる。
【0006】
また、この様な異形粒子群を含む研磨剤の用途としては、アルミニウムディスク(アルミニウムまたはその基材上のメッキ層)や半導体多層配線基板のアルミニウム配線、光ディスクや磁気ディスク用ガラス基板、液晶ディスプレイ用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板、ガラス質材料の鏡面加工などへの適用が期待されている。
【0007】
異形粒子を含むシリカゾルの製造方法としては、特開平1−317115号公報(特許文献1)に、動的光散乱法による測定粒子径(D1)と窒素ガス吸着法による測定粒子径(D2 )の比D1/D2が5以上であり、D1は40〜500ミリミクロン、そして電子顕微鏡観察による5〜40ミリミクロンの範囲内の一様な太さで一平面内のみの伸長を有する細長い形状の非晶質コロイダルシリカ粒子が液状媒体中に分散されてなるシリカゾルの製造方法として、(a)所定の活性珪酸のコロイド水溶液に、水溶性のカルシウム塩またはマグネシウム塩などを含有する水溶液を、所定量添加し、混合する工程、(b) 更に、アルカリ金属酸化物、水溶性有機塩基又はそれらの水溶性珪酸塩をSiO2/M2O(但し、Mは上記アルカリ金属原子又は有機塩基の分子を表わす。)モル比として20〜200となるように加えて混合する工程、(c)前工程によって得られた混合物を60〜150℃で0.5〜40時間加熱する工程からなる製造方法が開示されている。
【0008】
特開平4−65314号公報(特許文献2)には、動的光散乱法による測定粒子径(D1ミリミクロン)と窒素ガス吸着法による測定粒子径(D2ミリミクロン)の比D1/D2が3以上5未満であって、このD1は40〜500ミリミクロンであり、そして電子顕微鏡観察による5ミリミクロンより大きいが100ミリミクロン以下の範囲内の一様な太さで一平面内のみの伸長を有する細長い形状の非晶質コロイダルシリカ粒子が液状媒体中に分散されてなるSiO2濃度50重量%以下の安定なシリカゾルの製造方法として、細長い形状のシリカゾルに活性珪酸の水溶液の添加を始めると、原料ゾルのコロイダルシリカ粒子の崩壊が起らずに、元の細長い形状の粒子表面上に、加えられた活性珪酸がシロキサン結合を介して沈積することによって太さの増大した細長い形状のコロイダルシリカが得られることについて開示されている。
【0009】
特開平4−187512号公報(特許文献3)には、SiO2として0.05〜5.0wt%のアルカリ金属珪酸塩水溶液に、珪酸液を添加して混合液のSiO2/M2O(モル比、Mはアルカリ金属又は第4級アンモニウム)を30〜60とした後に、Ca,Mg,Al,In,Ti,Zr,Sn,Si,Sb,Fe,Cuおよび希土類金属からなる群から選ばれた1種または2種以上の金属の化合物を添加し(添加時期は、前記珪酸液添加の前または添加中でも良い)、 この混合液を60℃以上の任意の温度で一定時間維持し、更に珪酸液を添加して反応液中のSiO2/M2O(モル比)を60〜100としてなる実質的に鎖状形状のシリカ微粒子が分散したゾルの製造方法が開示されている。
【0010】
特許第3441142号公報(特許文献4)には、電子顕微鏡写真の画像解析により求められる7〜1000 nm の長径と 0.3〜0.8 の短径/長径比を有するコロイダルシリカ粒子の数が全粒子中50%以上を占めるシリカの安定なゾルからなる半導体ウェーハーの研磨剤が提案されている。
【0011】
特開平7−118008号公報(特許文献5)には、活性珪酸のコロイド水溶液に、水溶性のカルシウム塩、マグネシウム塩又はこれらの混合物の水溶液を添加し、得られた水溶液にアルカリ性物質を加え、得られた混合物の一部を60℃以上に加熱してヒール液とし、残部をフィード液として、当該ヒール液に当該フィード液を添加し、当該添加の間に、水を蒸発させる事によりSiO2濃度6〜30重量%まで濃縮することよりなる細長い形状のシリカゾルの製造法が開示されている。
【0012】
特開平8−279480号公報(特許文献6)には、(1)珪酸アルカリ水溶液を鉱酸で中和しアルカリ性物質を添加して加熱熟成する方法、(2)珪酸アルカリ水溶液を陽イオン交換処理して得られる活性珪酸にアルカリ性物質を添加して加熱熟成する方法、(3)エチルシリケート等のアルコキシシランを加水分解して得られる活性珪酸を加熱熟成する方法、または、(4)シリカ微粉末を水性媒体中で直接に分散する方法等によって製造されるコロイダルシリカ水溶液は、通常、4〜1,000nm(ナノメートル)、好ましくは7〜500nmの粒子径を有するコロイド状シリカ粒子が水性媒体に分散したものであり、SiO2 として0.5〜50重量%、好ましくは0.5〜30重量%の濃度を有する。上記シリカ粒子の粒子形状は、球状、いびつ状、偏平状、板状、細長い形状、繊維状等が挙げられることが記載されている。
【0013】
特開平11−214338号公報(特許文献7)には、コロイダルシリカ粒子を主材とした研磨材を用いるシリコンウェハーの研磨方法であって、蒸留により精製した珪酸メチルを、メタノール溶媒中でアンモニア又はアンモニアとアンモニウム塩を触媒として水と反応させることにより得られるコロイダルシリカ粒子を用い、且つ該コロイダルシリカ粒子の長径/短径比が、1.4以上であることを特徴とするシリコンウェハーの研磨方法が提案されている。
【0014】
国際公開番号WO00/15552(特許文献8)には、平均粒子径10〜80nmの球状コロイダルシリカ粒子とこの球状コロイダルシリカ粒子を接合する金属酸化物含有シリカからなり、動的光散乱法による測定粒子径(D1)と球状コロイダルシリカ粒子の平均粒子径(窒素吸着法による測定粒子径/D2)の比D1/D2が3以上であって、このD1は50〜500nmであり、球状コロイダルシリカ粒子が一平面内のみにつながった数珠状コロイダルシリカ粒子が分散されてなるシリカゾルが記載されている。
また、その製造方法として、(a)所定の活性珪酸のコロイド水溶液又は酸性シリカゾルに、水溶性金属塩の水溶液を、前記コロイド水溶液又は酸性シリカゾルのSiO2に対して、金属酸化物として1〜10重量%となる量を加えて混合液1を調製する工程、(b)前記混合液1に、平均粒子径10〜80nm、pH2〜6の酸性球状シリカゾルを、この酸性球状シリカゾルに由来するシリカ含量(A)とこの混合液1に由来するシリカ含量(B)の比A/B(重量比)が5〜100、かつ、この酸性球状シリカゾルとこの混合液1との混合により得られる混合液2の全シリカ含量(A+B)が混合液2においてSiO2濃度5〜40重量%となる量加えて混合する工程、および、(c)得られた混合液2にアルカリ金属水酸化物、水溶性有機塩基又は水溶性珪酸塩をpHが7〜11となるように加えて混合し、加熱する工程からなる前記シリカゾルの製造方法が記載されている。
【0015】
特開2001−11433号公報(特許文献9)には、SiO2として0.5〜10重量%を含有し、かつ、pHが2〜6である、活性珪酸のコロイド水溶液に、水溶性のII価又はIII価の金属の塩を単独又は混合して含有する水溶液を、同活性珪酸のコロイド水溶液のSiO2に対して、金属酸化物(II価の金属の塩の場合はMOとし、III価の金属の塩の場合はM23とする。但し、MはII価又はIII価の金属原子を表し、Oは酸素原子を表す。)として1〜10重量%となる量を加えて混合し、得られた混合液(1)に、平均粒子径10〜120nm、pH2〜6の酸性球状シリカゾルを、この酸性球状シリカゾルに由来するシリカ含量(A)とこの混合液(1)に由来するシリカ含量(B)の比A/B(重量比)が5〜100、かつ、この酸性球状シリカゾルとこの混合液(1)との混合により得られる混合液(2)の全シリカ含量(A+B)が混合液(2)においてSiO2濃度5〜40重量%となるように加えて混合し混合液(2)にアルカリ金属水酸化物等をpHが7〜11となるように加えて混合し、得られた混合液(3)を100〜200℃で0.5〜50時間加熱する数珠状のシリカゾルの製造方法が記載されている。
【0016】
特開2001−48520号公報(特許文献10)には、シリカ濃度1〜8モル/リットル、酸濃度0.0018〜0.18モル/リットルで水濃度2〜30モル/リットルの範囲の組成で、溶剤を使用しないでアルキルシリケートを酸触媒で加水分解した後、シリカ濃度が0.2〜1.5モル/リットルの範囲となるように水で希釈し、次いでpHが7以上となるようにアルカリ触媒を加え加熱して珪酸の重合を進行させて、電子顕微鏡観察による太さ方向の平均直径が5〜100nmであり、長さがその1.5〜50倍の長さの細長い形状の非晶質シリカ粒子が液状分散体中に分散されているシリカゾルの製造方法が記載されている。
【0017】
特開2001−150334号公報(特許文献11)には、水ガラスなどのアルカリ金属珪酸塩の水溶液を脱陽イオン処理することにより得られるSiO2濃度2〜6重量%程度の活性珪酸の酸性水溶液に、アルカリ土類金属、例えば、Ca、Mg、Baなどの塩をその酸化物換算で上記活性珪酸のSiO2に対し 100〜1500 ppmの重量比で添加し、更にこの液中SiO2/M2O (M は、アルカリ金属原子、NH4 又は第4級アンモニウム基を表す。) モル比が20〜150 となる量の同アルカリ物質を添加することにより得られる液を当初ヒール液とし、同様にして得られる2〜6重量%のSiO2濃度と20〜150 のSiO2/M2O (M は、上記に同じ。) モル比を有する活性珪酸水溶液をチャージ液として、60〜150 ℃で前記当初ヒール液に前記チャージ液を、1時間当たり、チャージ液SiO2/当初ヒール液SiO2の重量比として0.05〜1.0 の速度で、液から水を蒸発除去しながら(又はせずに)、添加してなる歪な形状を有するシリカゾルの製造方法が記載されている。
【0018】
特開2003−133267号公報(特許文献12)には、ディッシング(過研磨)を抑制し、基板表面を平坦に研磨することができる研磨用粒子として、平均粒子径が5〜300nmの範囲にある1次粒子が2個以上結合した異形粒子群を含むことを特徴とする研磨用粒子、特には研磨用粒子中の全1次粒子の粒子数に占める、前記異形粒子群を構成する1次粒子の粒子数が5〜100%の範囲にある研磨用粒子が有効でることについて記載がある。
【0019】
特開2004−288732号公報(特許文献13)には、非真球状コロイダルシリカ、酸化剤および有機酸を含有し、残部が水であることを特徴とする半導体研磨用スラリーについて開示されており、その中で、非真球状コロイダルシリカの(長径/短径)が1.2〜5.0のものが提案されており、特開2004−311652号公報(特許文献14)にも同様な非真球状コロイダルシリカが開示されている。
【0020】
【特許文献1】特開平1−317115号公報
【特許文献2】特開平4−65314号公報
【特許文献3】特開平4−187512号公報
【特許文献4】特許第3441142号公報
【特許文献5】特開平7−118008号公報
【特許文献6】特開平8−279480号公報
【特許文献7】特開平11−214338号公報
【特許文献8】国際公開WO00/15552公報
【特許文献9】特開2001−11433号公報
【特許文献10】特開2001−48520号公報
【特許文献11】特開2001−150334号公報
【特許文献12】特開2003−133267号公報
【特許文献13】特開2004−288732号公報
【特許文献14】特開2004−311652号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明は、特に研磨材として好適な異方形状シリカゾルおよびその製造方法を提供するものであり、所定のシリカゾルを原料として、異方形状のシリカゾルを調製することを可能とする製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の異方形状シリカゾルの製造方法は、水溶性珪酸塩の水溶液に対して珪酸液を添加して、SiO2/M2O[Mはアルカリ金属、第3級アンモニウム、第4級アンモニウムまたはグアニジンから選ばれる](モル比)が30〜65の範囲の混合液を調製し、該混合液に60〜200℃の温度で、再度珪酸液を断続的または連続的に添加することによりシリカゾルを調製し、該シリカゾルをpH7〜9の範囲にて、60〜98℃で加熱することを特徴とするものである。
【0023】
前記シリカゾルにpH調整剤を添加したり、イオン交換樹脂による脱イオンにより、pH7〜9の範囲にすることが好ましい。
前記混合液に対する前記珪酸液の添加量が、SiO2/M2O[Mはアルカリ金属第3級アンモニウム、第4級アンモニウムまたはグアニジンから選ばれる](モル比)が30〜150の範囲となる量であることが好ましい。
前記水溶性珪酸塩が、アルカリ金属珪酸塩、第3級アンモニウム珪酸塩、第4級アンモニウム珪酸塩またはグアニジン珪酸塩から選ばれるものであることが好ましい。
前記珪酸液が、アルカリ金属珪酸塩、第3級アンモニウム珪酸塩、第4級アンモニウム珪酸塩またはグアニジン珪酸塩から選ばれる水溶性珪酸塩を脱アルカリすることにより調製されたものであることが好ましい。
【0024】
本発明の異方形状シリカゾルは、前記いずれかの方法によって得られる平均粒子径が4〜20nmの範囲にあり、短径/長径比が0.05〜0.5の範囲にある異方形状シリカゾルである。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る異方形状シリカゾルの製造方法によれば、基本的に既存の球状シリカゾルの製造プロセスをそのまま利用して、異方形状シリカゾルを製造することができ、異方形状シリカゾルを極めて容易に製造することができるものである。
本発明に係る異方形状シリカゾルは、研磨剤として優れた研磨特性を有する。特に実用上問題となるレベルのスクラッチを抑制できるものである。即ち、当該異方形状シリカゾルは研磨時において研磨面で粒子配列が起こり、スクラッチの少ない各種の基板研磨面を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
[異方形状シリカゾルの製造方法]
珪酸液
本発明製造方法において使用される珪酸液とは、水溶性珪酸塩を脱アルカリすることにより調製されるものであり、通常は珪酸塩の水溶液を陽イオン交換樹脂で処理するなどの方法で脱アルカリして得られる珪酸の低重合物の水溶液である。この種の珪酸液は、通常、pHは2〜4、SiO2/Na2O(モル比)が100〜5,000、SiO2濃度10重量%以下、好ましくは2〜7重量%のものが、常温でのゲル化が生じ難く、比較的安定であり、実用的に原料として使用される。
【0027】
水溶性珪酸塩
前記水溶性珪酸塩としては、アルカリ金属と珪酸とからなるアルカリ金属珪酸塩、第3級アンモニウムと珪酸からなる第3級アンモニウム珪酸塩、第4級アンモニウムと珪酸からなる第4級アンモニウム珪酸塩およびグアニジンと珪酸とからなるグアニジン珪酸塩などが挙げられる。
【0028】
アルカリ金属珪酸塩としては、珪酸ナトリウム(水硝子)、珪酸カリウム、珪酸リチウムなどがあり、第3級アンモニウム珪酸塩としては珪酸トリエタノールアミン、第4級アンモニウム珪酸塩としては、珪酸テトラメタノールアンモニウム、珪酸テトラエタノールアンモニウムなどが挙げられる。
水溶性珪酸塩を原料として、珪酸液を調製する場合は、水溶性珪酸塩を水溶液にして、前記の通り脱陽イオン処理などが行なわれる。このような水溶性珪酸塩の水溶性については、通常はSiO2/M2O(モル比、Mはアルカリ金属、第3級アンモニウム、第4級アンモニウムまたはグアニジンから選ばれる)が約1〜4.5のものが好適に用いられる。また、このような水溶性珪酸塩の濃度については、格別に制限はないが、実用上は15〜35重量%のものが使用される。なお、珪酸液を添加するにあたり、適宜、更に水希釈して使用しても良い。
【0029】
水溶性珪酸塩の水溶液と珪酸液の混合
本発明製造方法においては、最初に前記珪酸液を水溶性珪酸塩の水溶液に添加する。これにより粒子が調製され、得られた粒子を種粒子として、後の工程で粒子成長を行なう。
水溶性珪酸塩の水溶液に対する、珪酸液の添加量は、水溶性珪酸塩の水溶液に所定の珪酸液の全量を添加して混合液とした段階で、SiO2/M2O(モル比、Mはアルカリ金属、第3級アンモニウム、第4級アンモニウムまたはグアニジンから選ばれる。)が30〜65、好ましくは33〜63の範囲となるように添加する。
前記SiO2/M2Oの値が30未満の場合は、最終的に得られるシリカゾル中のシリカ微粒子の形状が球状に近いものになる。他方、SiO2/M2Oの値が65を越える場合は、製造工程中でシリカゾルの安定性が低下し、ゲル化を起こし易くなるため好ましくない。
【0030】
珪酸液を水溶性珪酸塩の水溶液に添加する際の温度は、50℃以下、好ましくは40℃以下で行なわれる。 珪酸液を水溶性珪酸塩の水溶液に添加する際の温度が50℃を超える場合は、ゲル化が発生し易くなり好ましくない。通常は、常温以上、50℃以下の範囲で行なわれる。珪酸液の水溶性珪酸塩の水溶液への添加が終了した後は、好適には0.1〜5時間、充分に攪拌する。
【0031】
粒子成長
珪酸液と水溶性珪酸塩の水溶液からなる混合液を加熱して、60〜200℃にて、更に珪酸液を断続的にまたは連続的に添加することにより、シリカ微粒子を成長させてシリカゾルを調製する。ここで使用する珪酸液としては、前記と同様な条件の珪酸液が使用できる。即ち、pHは2〜4、SiO2/Na2O(モル比)が100〜5,000、SiO2濃度10重量%以下、好ましくは2〜7重量%のものが使用される。
珪酸液の添加量については、格別に制限されるものではないが、通常は所定の珪酸液の全量を添加した段階で、SiO2/M2Oの値(モル比)が30〜150の範囲となるように添加される。特にSiO2/M2Oの値(モル比)が60〜150の範囲にある場合は、シリカ粒子は安定であり好ましい。
【0032】
主として混合液を安定させることを目的として、珪酸液の添加前に60〜98℃にて30分から3時間程度、静置させることにより、熟成してから、珪酸液の添加を開始しても良い。
水溶性珪酸塩の水溶液への珪酸液の添加に当たっては、珪酸液を断続的にまたは連続的に添加する方法がとられる。通常は5分から72時間かけて、混合液のゲル化を招かないように添加が行なわれる。珪酸液の添加終了後は、直ちに次の工程を行なっても良いが、1〜3時間保持し、徐冷してから次の工程に進んでもよく、また、数時間かけて放冷することにより、常温にしてから次の工程に進んでも良い。
【0033】
加熱工程
次に得られたシリカゾルをpH7〜9の範囲にて、60〜98℃にて加熱することにより、非球状のシリカ微粒子が分散した異方形状シリカゾルを調製する。
加熱前のシリカゾルのpHが7〜9の範囲にない場合は、限外濾過による脱イオン、イオン交換樹脂(陽イオン交換樹脂または陰イオン交換樹脂)による脱イオン若しくはpH調整剤を添加して、pHを7〜9の範囲に調整する。なお、pH調製剤としては、酸性側に調整する場合は、通常、硫酸、塩酸、硝酸などの水溶液が使用できる。アルカリ性側に調整する場合は、通常、水酸化ナトリウム水溶液、アンモニア水溶液などが使用できる。pHが7未満の場合は、シリカゾルがゲル化し易くなる。他方、pHが9を越える場合は、最終的に得られるシリカゾルのシリカ微粒子が球状になり易くなる。加熱前のpHの調整範囲としては、好適にはpH7.8〜8.8の範囲が推奨される。
【0034】
加熱時間については、格別に制限されるものではないが、通常は1時間〜25時間程度、60〜98℃で加熱を行なう。加熱温度が60℃未満の場合は、成長が遅く、不安定であり、他方、98℃以上の場合は、pH変動が大きくなり易く、制御し難いので好ましくない。
本発明に係る異方形状シリカゾルの製造方法により、効率的に異方形状シリカゾルを調製できることについては、シリカ粒子が連結することと、シリカがpH7〜9で過飽和状態となり、シリカ粒子同士の連結部分に析出することによるものと推察される。
【0035】
[異方形状シリカゾル]
本発明の異方形状シリカゾルは、前記した製造方法によって得られる非球状のシリカ微粒子が分散したゾルであり、シリカ微粒子の平均粒子径が4〜20nmであり、短径/長径比が0.05〜0.5の範囲にある。
平均粒子径が4nm未満の場合は、シリカゾルの性状が不安定である。他方、20nmを越える場合は、調製段階において成長速度が遅くなり、また、シリカ粒子間の連結部分にシリカを析出させて安定した異方形状シリカゾルを得ることが容易ではなくなる。
【0036】
また、短径/長径比が0.05未満の場合は、異方性に基づく特性が発揮され難い。他方、0.5を越える場合は、粘度が高くなるため、濃度を高くすることができなくなり、実用上問題が生じやすくなる。
本発明の異方形状シリカゾルについては、好適には平均粒子径が4〜15nmの範囲にあるものが推奨される。また、短径/長径比については0.05〜0.45の範囲のものが推奨される。
【0037】
前記平均粒子径については、BET法により測定したものである。また、短径/長径比については、走査型電子顕微鏡により撮影された写真をもとに、後記するように所定数のシリカ微粒子について、短径/長径の長さを測定し、そこから短径/長径比の値を算出し、更にその平均値をとったものである。
【0038】
本発明の異方形状シリカゾルの比表面積は、150〜700m2/gの範囲にある。
本発明の異方形状シリカゾルのSiO2濃度は、通常、1〜50重量%の範囲にあるものが好適に使用される。
本発明の異方形状シリカゾルは、このまま目的の用途に供されることもあり、また、用途によっては限外過または蒸発等の手段によって濃縮される。また、溶媒置換等の方法によって、有機溶媒と置換し、オルガノゾルとすることもできる。
【0039】
このような有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチレングリコール、ヘキシレングリコールなどのアルコール類;酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステルなどのエステル類;ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、アセト酢酸エステルなどのケトン類、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド等のアミド類などが挙げられる。これらは単独で使用しても良く、また2種以上混合して使用しても良い。
【0040】
また、本発明の異方形状シリカゾルは、シランカップリング剤で表面処理して疎水性を付与して用いることもでき、必要に応じてシリカゾル中のアルカリをイオン交換樹脂等によって除去して用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明に係る製造方法により得られる異方形状シリカゾルは、微細で異方形状なシリカゾルであり、研磨剤用途を始め、インク用吸収性微粒子、塗料等の展着性補助剤、材料表面の親水性コーティング材、バインダー等に適用可能である。
【実施例1】
【0042】
還流器および攪拌機付セパラブルフラスコに、SiO2濃度が24重量%でNa2O濃度が8.16重量%の珪酸ナトリウム水溶液(SiO2/Na2Oモル比3)18.7g入れ、さらに水895gを添加して、珪酸ナトリウム水溶液914gを調製した。
次に、この珪酸ナトリウム水溶液に、SiO2濃度4.82重量%の珪酸ナトリウム(SiO2/Na2Oモル比3)を陽イオン交換樹脂塔に通すことにより得られたSiO2濃度4.82重量%の珪酸液(pH2.3、SiO2/Na2Oモル比=1,200)を、35℃の温度条件下、1,900g添加することにより、珪酸液と珪酸ナトリウム水溶液からなる混合液(SiO2/Na2Oモル比60)を得た。
【0043】
得られた混合液を加温し、80℃の温度で30分間熟成した。80℃に保持した状態で、この液に前記珪酸液と同じ組成の珪酸液329gを2時間かけて添加して、pH8.7のシリカゾルを得た。このシリカゾルのSiO2/Na2Oモル比を表1に示す。
このシリカゾルを70℃にて12時間加熱した後、エバポレーターにてSiO2濃度20重量%まで濃縮した。
【0044】
このシリカゾルについてのBET法により測定される比表面積から算定される平均粒子径については、シリカゾルを凍結乾燥機で乾燥させた後、110℃で20時間乾燥した試料について比表面積を測定した後、比表面積測定装置(湯浅アイオニクス製、マルチソーブ12)を用いて窒素吸着法(BET法)により測定する。そして、BET法による窒素吸着量から比表面積(SA)を求め、「粒子径(Dp)=6000/SA×〔粒子の密度〕 (本発明においては、シリカ粒子であり、密度は2.2となる。)」の式から平均粒子径を求めたところ、6nmとなった。
【0045】
また、シリカゾルの短径/長径比については、透過型電子顕微鏡(型番H−800、日立製作所製)を使用して、倍率250,000倍の写真を撮影し、任意の10個のシリカ微粒子について、長径(最大の長さ)と短径(最大の太さ)を測定し、それぞれ短径/長径比の値を算出し、平均値は0.15となった
以上の調製条件、シリカゾルの平均粒子径および短径/長径比について、表1に示した。これ以降の実施例と比較例についても同様に表1に記載した。
【実施例2】
【0046】
還流器および攪拌機付セパラブルフラスコに、SiO2濃度24重量%の珪酸ナトリウム水溶液(SiO2/Na2Oモル比3)18.7g入れ、さらに水913gを添加して、珪酸ナトリウム水溶液931gを調製した。
次に、この珪酸ナトリウム水溶液に、SiO2濃度4.82重量%の珪酸ナトリウム(SiO2/Na2Oモル比3)を陽イオン交換樹脂塔に通すことにより得られたSiO2濃度4.82重量%の珪酸液(pH2.3、SiO2/Na2Oモル比=1,200)を1,235g添加することにより珪酸液と珪酸ナトリウム水溶液からなる混合液(SiO2/Na2Oモル比40)を得た。
【0047】
得られた液を加温し、80℃の温度で30分間熟成した。その後、さら80℃に保持した状態で、この液に前記珪酸液と同じ組成の珪酸液995gを3時間かけて添加して、pH8.5のシリカゾルを得た。このシリカゾルのSiO2/Na2Oモル比を表1に示す。
このシリカゾルを80℃にて13時間加熱した後、エバポレーターにてSiO2濃度20重量%まで濃縮してシリカゾルを調製した。
このシリカゾルについてのBET法により測定される比表面積から算定される平均粒子径は、6nmとなった。また、このシリカゾルの短径/長径比は、0.17となった。
【実施例3】
【0048】
還流器および攪拌機付セパラブルフラスコにSiO2濃度24重量%の珪酸ナトリウム水溶液(SiO2/Na2Oモル比3)18.7g入れ、さらに水837gを添加して、珪酸ナトリウム水溶液855gを調製した。
次に、この珪酸ナトリウム水溶液に、SiO2濃度4.82重量%の珪酸ナトリウム(SiO2/Na2Oモル比3)を陽イオン交換樹脂塔に通すことにより得られたSiO2濃度4.82重量%の珪酸液(pH2.3、SiO2/Na2Oモル比=1200)を1,067g添加することにより珪酸液と珪酸ナトリウム水溶液からなる混合液(SiO2/Na2Oモル比35)を得た。
【0049】
得られた液を加温し、98℃の温度で30分間熟成した。その後、さら98℃に保持した状態で、この液に前記珪酸液と同じ組成の珪酸液1,162gを4時間かけて添加して、pH8.9のシリカゾルを得た。このシリカゾルのSiO2/Na2Oモル比を表1に示す。
このシリカゾルのpHが8.5になるように2.5%硫酸水溶液を加え、90℃にて8時間加熱した後、エバポレーターにてSiO2濃度20重量%まで濃縮してシリカゾルを調製した。
このシリカゾルについてのBET法により測定される比表面積から算定される平均粒子径は、12nmだった。また、このシリカゾルの短径/長径比は、0.40となった。
【実施例4】
【0050】
還流器および攪拌機付セパラブルフラスコにSiO2濃度24重量%の珪酸ナトリウム水溶液(SiO2/Na2Oモル比3)18.7g入れ、さらに水896gを添加して、珪酸ナトリウム水溶液914gを調製した。
次に、この珪酸ナトリウム水溶液に、SiO2濃度4.82重量%の珪酸ナトリウム(SiO2/Na2Oモル比3)を陽イオン交換樹脂塔に通すことにより得られたSiO2濃度4.82重量%の珪酸液(pH2.3、SiO2/Na2Oモル比=1200)を1,900g添加することにより珪酸液と珪酸ナトリウム水溶液からなる混合液(SiO2/Na2Oモル比60)を得た。
【0051】
得られた液を加温し、80℃の温度で30分間熟成した。その後、さら80℃に保持した状態で、この液に前記珪酸液と同じ組成の珪酸液329gを5時間かけて添加して、pH8.6のシリカゾルを得た。このシリカゾルのSiO2/Na2Oモル比を表1に示す。
このシリカゾルを80℃にて14時間加熱した後、エバポレーターにてSiO2濃度20重量%まで濃縮してシリカゾルを調製した。
このシリカゾルについてのBET法により測定される比表面積から算定される平均粒子径は、6nmだった。また、このシリカゾルの短径/長径比は、0.22となった。
【実施例5】
【0052】
還流器および攪拌機付セパラブルフラスコにSiO2濃度24重量%の珪酸ナトリウム水溶液(SiO2/Na2Oモル比3)18.7g入れ、さらに水896gを添加して、実施例1と同様な珪酸ナトリウム水溶液914gを調製し、珪酸ナトリウム水溶液に、SiO2濃度4.82重量%の珪酸ナトリウム(SiO2/Na2Oモル比3)を陽イオン交換樹脂塔に通すことにより得られたSiO2濃度4.82重量%の珪酸液(pH2.3、SiO2/Na2Oモル比=1200)を1900g添加することにより珪酸液と珪酸ナトリウム水溶液からなる混合液(SiO2/Na2Oモル比60)を得た。
【0053】
得られた液を加温し、70℃の温度で30分間熟成した。その後、さら70℃に保持した状態で、この液に前記珪酸液と同じ組成の珪酸液329gを2時間かけて添加して、pH7.8のシリカゾルを得た。このシリカゾルのSiO2/Na2Oモル比を表1に示す。
このシリカゾルのpHが8.3になるように5%水酸化ナトリウム水溶液を加え、70℃にて12時間加熱した後、エバポレーターにてSiO2濃度20重量%まで濃縮してシリカゾルを調製した。
このシリカゾルについてのBET法により測定される比表面積から算定される平均粒子径は、5nmだった。また、このシリカゾルの短径/長径比は、0.30となった。
【実施例6】
【0054】
還流器および攪拌機付セパラブルフラスコにSiO2濃度24重量%の珪酸ナトリウム水溶液(SiO2/Na2Oモル比3)18.7g入れ、さらに水896gを添加して、珪酸ナトリウム水溶液914gを調製した。
次いで、この珪酸ナトリウム水溶液に、SiO2濃度4.82重量%の珪酸ナトリウム(SiO2/Na2Oモル比3)を陽イオン交換樹脂塔に通すことにより得られたSiO2濃度4.82重量%の珪酸液(pH2.3、SiO2/Na2Oモル比=1200)を1900g添加することにより、珪酸液と珪酸ナトリウム水溶液からなる混合液(SiO2/Na2Oモル比60)を得た。
【0055】
得られた液を加温し、65℃の温度で30分間熟成した。その後、さら65℃に保持した状態で、この液に前記珪酸液と同じ組成の珪酸液329gを2時間かけて添加して、pH7.5のシリカゾルを得た。このシリカゾルのSiO2/Na2Oモル比を表1に示す。
このシリカゾルのpHが8.2になるように5%水酸化ナトリウムを加え、65℃にて18時間加熱した後、エバポレーターにてSiO2濃度20重量%まで濃縮してシリカゾルを調製した。
このシリカゾルについてのBET法により測定される比表面積から算定される平均粒子径は、5nmだった。また、このシリカゾルの短径/長径比は、0.31となった。
【比較例1】
【0056】
実施例1と同様に珪酸ナトリウム水溶液914gを調製し、この珪酸ナトリウム水溶液に、SiO2濃度4.82重量%の珪酸ナトリウム(SiO2/Na2Oモル比3)を陽イオン交換樹脂塔に通すことにより得られたSiO2濃度4.82重量%の珪酸液(pH2.3、SiO2/Na2Oモル比=1200)を1900g添加することにより、珪酸液と珪酸ナトリウム水溶液からなる混合液(SiO2/Na2Oモル比60)を得た。
得られた液を加温し、50℃の温度で30分間熟成した。その後、さら50℃に保持した状態で、この液に前記珪酸液と同じ組成の珪酸液329gを2時間かけて添加して、pH9.2のシリカゾルを得た。このシリカゾルのSiO2/Na2Oモル比を表1に示す。
【0057】
このシリカゾルのpHが8.5になるように2.5%硫酸水溶液を加え、80℃にて12時間加熱した後、エバポレーターにてSiO2濃度20重量%まで濃縮してシリカゾルを調製した。
このシリカゾルについてのBET法により測定される比表面積から算定される平均粒子径は、4nmだった。また、このシリカゾルの短径/長径比は、0.03となった。
【比較例2】
【0058】
還流器および攪拌機付セパラブルフラスコにSiO2濃度24重量%の珪酸ナトリウム水溶液(SiO2/Na2Oモル比3)18.7g入れ、さらに水924gを添加して、実施例1と同様に珪酸ナトリウム水溶液942gを調製した。この珪酸ナトリウム水溶液に、SiO2濃度4.82重量%の珪酸ナトリウム(SiO2/Na2Oモル比3)を陽イオン交換樹脂塔に通すことにより得られたSiO2濃度4.82重量%の珪酸液(pH2.3、SiO2/Na2Oモル比=1200)を565g添加することにより、珪酸液と珪酸ナトリウム水溶液からなる混合液(SiO2/Na2Oモル比20)を得た。
得られた液を加温し、80℃の温度で30分間熟成した。その後、さらに65℃に保持した状態で、この液に前記珪酸液と同じ組成の珪酸液1,664gを2時間かけて添加して、pH9.1のシリカゾルを得た。このシリカゾルのSiO2/Na2Oモル比を表1に示す。
【0059】
このシリカゾルのpHが8.4になるように2.5%硫酸水溶液を加え、70℃にて12時間加熱した後、エバポレーターにてSiO2濃度20重量%まで濃縮してシリカゾルを調製した。
このシリカゾルについてのBET法により測定される比表面積から算定される平均粒子径は、9nmだった。また、このシリカゾルの短径/長径比は、0.04となった。
【比較例3】
【0060】
還流器および攪拌機付セパラブルフラスコにSiO2濃度24重量%の珪酸ナトリウム水溶液(SiO2/Na2Oモル比3)18.7g入れ、さらに水685gを添加して、実施例1と同様に珪酸ナトリウム水溶液703gを調製した。この珪酸ナトリウム水溶液に、SiO2濃度4.82重量%の珪酸ナトリウム(SiO2/Na2Oモル比3)を陽イオン交換樹脂塔に通すことにより得られたSiO2濃度4.82重量%の珪酸液(pH2.3、SiO2/Na2Oモル比=1200)を173g添加することにより、珪酸液と珪酸ナトリウム水溶液からなる混合液(SiO2/Na2Oモル比10)を得た。
得られた液を加温し、80℃の温度で30分間熟成した。その後、さら80℃に保持した状態で、この液に前記珪酸液と同じ組成の珪酸液862gを2時間かけて添加して、pH9.0のシリカゾルを得た。このシリカゾルのSiO2/Na2Oモル比を表1に示す。
【0061】
このシリカゾルのpHが8.4になるように2.5%硫酸水溶液を加え、80℃にて12時間加熱した後、エバポレーターにてSiO2濃度20重量%まで濃縮してシリカゾルを調製した。
このシリカゾルについてのBET法により測定される比表面積から算定される平均粒子径は、12nmだった。また、このシリカゾルの短径/長径比は、0.03となった。
【比較例4】
【0062】
実施例1と同様にしてpH8.7のシリカゾルを調製し、そのpHが6.5になるように2.5%硫酸水溶液を加え、70℃にて12時間加熱を行なったところゲル化した。
【比較例5】
【0063】
実施例1と同様にしてpH8.7のシリカゾルを調製し、そのpHが10.0になるように5%水酸化ナトリウム水溶液を加え、70℃にて12時間加熱した後、エバポレーターにてSiO2濃度20重量%まで濃縮してシリカゾルを調製した。
このシリカゾルについてのBET法により測定される比表面積から算定される平均粒子径は、7nmだった。また、このシリカゾルの短径/長径比は、0.01となった。
【比較例6】
【0064】
実施例1と同様にしてpH8.7のシリカゾルを調製し、そのpHが8.5になるように2.5%硫酸水溶液を加え、40℃にて12時間加熱した後、エバポレーターにてSiO2濃度20重量%まで濃縮してシリカゾルを調製した。
このシリカゾルについてのBET法により測定される比表面積から算定される平均粒子径は、5nmだった。また、このシリカゾルの短径/長径比は、0.01となった。
【0065】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性珪酸塩の水溶液に対して珪酸液を添加して、SiO2/M2O[Mはアルカリ金属、第3級アンモニウム、第4級アンモニウムまたはグアニジンから選ばれる](モル比)が30〜65の範囲の混合液を調製し、該混合液に60〜200℃の温度で、再度珪酸液を断続的または連続的に添加することによりシリカゾルを調製し、該シリカゾルをpH7〜9の範囲にて、60〜98℃で加熱することを特徴とする異方形状シリカゾルの製造方法。
【請求項2】
前記シリカゾルにpH調整剤を添加して、pH7〜9の範囲にする請求項1の異方形状シリカゾルの製造方法。
【請求項3】
前記混合液に対する前記珪酸液の添加量が、SiO2/M2O[Mはアルカリ金属第3級アンモニウム、第4級アンモニウムまたはグアニジンから選ばれる](モル比)が30〜150の範囲となる量である請求項1または請求項2の異方形状シリカゾルの製造方法。
【請求項4】
前記水溶性珪酸塩が、アルカリ金属珪酸塩、第3級アンモニウム珪酸塩、第4級アンモニウム珪酸塩またはグアニジン珪酸塩から選ばれるものである請求項1〜3のいずれか記載の異方形状シリカゾルの製造方法。
【請求項5】
前記珪酸液が、アルカリ金属珪酸塩、第3級アンモニウム珪酸塩、第4級アンモニウム珪酸塩またはグアニジン珪酸塩から選ばれる水溶性珪酸塩を脱アルカリすることにより調製されたものである請求項1〜4のいずれか記載の異方形状シリカゾルの製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか記載の方法によって得られる平均粒子径が4〜20nmの範囲にあり、短径/長径比が0.05〜0.5の範囲にある異方形状シリカゾル。

【公開番号】特開2007−153671(P2007−153671A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−351259(P2005−351259)
【出願日】平成17年12月5日(2005.12.5)
【出願人】(000190024)触媒化成工業株式会社 (458)
【Fターム(参考)】