説明

異物検出センサ

【課題】センサ電極を用いて検出される静電容量の検出精度を向上させることができる異物検出センサを提供する。
【解決手段】異物検出センサ41は、センサ本体42が所定量だけ変形すると電圧検出信号を出力する圧力検出部44を備える。発振回路81は、外側電極52と外側電極52に近接する異物X1との間の静電容量C1に応じて定まる発振周波数で発振し、この発振周波数の発振信号を出力する。静電容量検出部43は、2万周期分の発振信号が出力されるのに要する時間を、ドアパネルが最大速度で作動された場合にセンサ本体42に異物X1が当接してから接触検出信号が出力されるまでにかかる反応時間よりも短い計測時間内で計測し、計測時間が経過する毎に計測結果を出力する。判定部45は、計測結果に基づきドアパネルと乗降口との間の異物X1の有無を判定するとともに、接触検出信号に基づき同異物X1が存在すると判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ電極に近接する異物の有無を判定する異物検出センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の側方に設けられたドアパネル(移動体)をモータ等の駆動力により車両の前後方向に沿ってスライド移動させる電動スライドドア装置には、閉作動中のドアパネルの前端部と車体の乗降口(開口部)の周縁部との間に存在する異物を検出するために、例えば特許文献1に記載されているような異物検出センサが備えられている。
【0003】
特許文献1に記載されている異物検出センサは、センサ電極(アンテナ)、発振器、検出部及び判定部を有している。センサ電極は、ドアパネルの前端部に沿って配置されるとともに、このセンサ電極を用いて、センサ電極と該センサ電極に近接する物体(車体の乗降口の周縁部、異物等)との間の静電容量が検出される。そして、発振回路は、センサ電極を用いて検出される静電容量に応じて定まる発振周波数で発振するとともに、この発振周波数が検出部にて検出される。判定部は、検出部にて検出された発振周波数に基づいて、センサ電極に近接する異物、即ちドアパネルの前端部と車体の乗降口の周縁部との間に存在する異物の有無の判定を行う。詳しくは、判定部は、検出部にて検出された発振周波数の変化量(若しく変化の傾き)が、予め設定された基準値を超えた場合に、センサ電極に近接する異物が存在すると判定する。
【0004】
この異物検出センサでは、発振周波数の変化量(若しく変化の傾き)は、所定時間が経過する毎、若しくはドアパネルが所定距離だけ移動する毎に検出される。そして、所定時間が経過する毎に発振周波数の変化量を検出する場合には、所定時間内に出力される発振回路の発振波形の前縁又は後縁を計測し、その計測結果に基づいて発振周波数の変化量が検出される。一方、ドアパネルが所定距離だけ移動する毎に発振周波数の変化量を検出する場合には、一般的に、所定距離だけドアパネルが移動したときに、発振回路の発振波形の一波長分の周期を測定し、その測定結果に基づいて発振周波数の変化量が検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−162374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、所定時間内に出力される発振回路の発振波形の前縁又は後縁を計測し、その測定結果に基づいて発振周波数の変化量を検出する場合、所定時間内に出力される発振波形の数は変化するため、所定時間毎に発振波形の前縁又は後縁を計測した結果に基づいて検出された発振周波数の変化量の精度にばらつきが生じてしまう。また、センサ電極を用いて検出される静電容量が変化することにより発振回路における発振周波数は変化するため、所定時間内に出力された発振回路の発振波形の数は、自然数にならない場合がある。この場合には、所定時間毎に発振波形の前縁又は後縁を計測した結果に基づいて検出される発振周波数の変化量は、精度が低いものとなってしまう。
【0007】
一方、ドアパネルが所定距離だけ移動する毎に発振周波数の変化量を検出する場合、ドアパネルが所定距離だけ移動する毎に発振回路の発振波形の一波長分の周期を測定する方法では、精度の低い測定方法であった場合に計測結果と実際の値との間にずれが生じる虞がある。
【0008】
このように、特許文献1に記載の異物検出センサにおいては、発振回路の発振波形に基づいて検出される発振周波数の変化量等の精度が低くなる虞がある。即ち、センサ電極を用いて検出される静電容量の検出精度が低下され、センサ電極に近接する異物の検出精度が低下される虞がある。
【0009】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、センサ電極を用いて検出される静電容量の検出精度を向上させることができる異物検出センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、固定体に形成された開口部を開閉すべく移動される移動体の、閉作動時における移動方向前方側の閉側端部に配置されるセンサ電極と、前記センサ電極と該センサ電極に近接する導電性の異物との間の静電容量に応じて定まる発振周波数で発振し、前記発振周波数の発振信号を出力する発振手段と、前記発振信号に基づいて前記発振周波数の変化を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づいて、前記開口部において前記閉側端部と対向する対向部と前記閉側端部との間の異物の有無を判定する判定手段と、前記閉側端部に配置され異物に接触されて弾性変形する感圧部を有し、前記感圧部が所定量だけ弾性変形したことを示す接触検出信号を出力する接触検出手段と、前記移動体の位置に応じた位置検出信号を出力する位置検出手段とを備えた異物検出センサであって、前記検出手段は、2以上の所定数周期分の前記発振信号が出力されるのに要する時間を、前記移動体が所定の最大移動速度で閉作動された場合に前記感圧部に前記異物が当接してから前記接触検出手段が前記接触検出信号を出力するまでにかかる反応時間よりも短く設定された計測時間内で計測して、前記計測時間が経過する毎にその計測結果を出力し、前記判定手段は、前記位置検出信号に基づいて前記移動体が所定距離だけ移動したことを繰り返し検出し、前記移動体が所定距離だけ移動したことを検出した後に前記検出手段が最初に出力した前記計測結果と、前記閉側端部と前記対向部との間の異物の有無を判定するための閾値とを比較し、その比較結果に基づいて前記閉側端部と前記対向部との間の異物の有無を判定するとともに、前記接触検出信号が入力された場合には該接触検出信号が入力されたことに基づいて前記閉側端部と前記対向部との間に異物が存在すると判定するよう構成され、前記閉側端部と前記対向部との間の異物の有無を判定するための閾値は、前記移動体の位置に応じて複数設定され、該移動体の位置が全閉位置に近づくに連れて大きくなるよう設定されたことをその要旨としている。
【0011】
上記課題を解決するため、請求項2に記載の発明は、固定体に形成された開口部を開閉すべく移動される移動体の、閉作動時における移動方向前方側の閉側端部に配置されるセンサ電極と、前記センサ電極と該センサ電極に近接する導電性の異物との間の静電容量に応じて定まる発振周波数で発振し、前記発振周波数の発振信号を出力する発振手段と、前記発振信号に基づいて前記発振周波数の変化を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づいて、前記開口部において前記閉側端部と対向する対向部と前記閉側端部との間の異物の有無を判定する判定手段と、前記閉側端部に配置され異物に接触されて弾性変形する感圧部を有し、前記感圧部が所定量だけ弾性変形したことを示す接触検出信号を出力する接触検出手段と、前記移動体の位置に応じた位置検出信号を出力する位置検出手段とを備えた異物検出センサであって、前記検出手段は、2以上の所定数周期分の前記発振信号が出力されるのに要する時間を、前記移動体が所定の最大移動速度で閉作動された場合に前記感圧部に前記異物が当接してから前記接触検出手段が前記接触検出信号を出力するまでにかかる反応時間よりも短く設定された計測時間内で計測して、前記計測時間が経過する毎にその計測結果を出力し、前記判定手段は、前記位置検出信号に基づいて前記移動体が所定距離だけ移動したことを繰り返し検出し、前記移動体が所定距離だけ移動する間に前記検出手段が前記計測結果を複数出力した場合には、前記移動体が所定距離だけ移動する間に前記検出手段が出力した複数の前記計測結果の平均値と、前記閉側端部と前記対向部との間の異物の有無を判定するための閾値とを比較し、その比較結果に基づいて前記閉側端部と前記対向部との間の異物の有無を判定するとともに、前記接触検出信号が入力された場合には該接触検出信号が入力されたことに基づいて前記閉側端部と前記対向部との間に異物が存在すると判定するよう構成され、前記閉側端部と前記対向部との間の異物の有無を判定するための閾値は、前記移動体の位置に応じて複数設定され、該移動体の位置が全閉位置に近づくに連れて大きくなるよう設定されたことをその要旨としている。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の異物検出センサにおいて、複数の前記閾値は、前記閉側端部と前記対向部との間に異物が存在しない状態で前記移動体を閉作動させた場合に該移動体が全閉位置に近づくに連れて大きくなる前記センサ電極と前記対向部との間の静電容量に基づき、前記移動体の位置が全閉位置に近づくに連れて大きくなるよう設定されたことをその要旨としている。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の異物検出センサにおいて、前記判定手段は、前記比較結果において前記閾値のほうが大きい場合には前記閉側端部と前記対向部との間に異物が存在しないと判定するとともに、前記比較結果において前記閾値のほうが小さい場合には前記閉側端部と前記対向部との間に異物が存在すると判定することをその要旨としている。
【0014】
各請求項に記載の発明によれば、発振手段から出力される発振信号は、センサ電極と該センサ電極に近接する導電性の異物との間の静電容量に応じて定まる発振周波数の信号であるとともに、検出手段は、2以上の所定数周期分の発振信号が出力されるのに要する時間を、所定の計測時間内で計測し、計測時間が経過する毎にその計測結果を出力する。従って、検出手段からは、常に所定数周期分の発振信号が出力されるのに要する時間が計測結果として出力されるため、出力された計測結果同士の精度が等しくなる。また、検出手段は、複数周期分の発振信号が出力されるのに要する時間を計測して出力しているため、1周期分の発振信号が出力されるのに要する時間を計測する場合に比べて、計測結果には、センサ電極と該センサ電極に近接する導電性の異物との間の実際の静電容量が精度良く反映される。そして、計測時間内で計測することが可能な範囲内で、計測する発振信号の周期の数を多く設定するほど、センサ電極と該センサ電極に近接する導電性の異物との間の静電容量を精度良く検出することができる。これらのことから、センサ電極を用いて検出される静電容量の検出精度を向上させることができる。
【0015】
また、異物検出センサは、接触検出手段を備えているため、導電性を有しない異物が閉側端部と対向部との間に存在した場合であっても、当該異物を検出することができる。そして、判定手段は、接触検出信号が入力されたことに基づいて閉側端部と対向部との間に異物が存在すると判定するとともに、前記計測時間は、移動体が最大移動速度で移動された場合に感圧部に異物が当接してから接触検出手段が接触検出信号を出力するまでにかかる反応時間よりも短く設定されている。従って、異物が感圧部に当接するのと同時に、検出手段にて所定数周期分の発振信号が出力されるのに要する時間が計測され始めた場合であっても、接触検出手段が接触検出信号を出力するよりも前に計測結果が出力されるため、その計測結果に基づいて判定手段が閉側端部と対向部との間の異物の有無を判定することができる。その結果、接触検出信号に基づいて閉側端部と対向部との間の異物が検出されるよりも前に、計測結果に基づいて当該異物の存在を検出することが可能となり、当該異物に対して移動体から大きな荷重が加えられることを抑制することができる。
【0016】
また、請求項1に記載の発明によれば、判定手段は、移動体が所定距離だけ移動したことを検出した後に検出手段が最初に出力した計測結果と、閉側端部と対向部との間の異物の有無を判定するための閾値とを比較して、閉側端部と対向部との間の異物の有無を判定する。従って、例えば複数の計測結果の平均値と閾値とを比較して閉側端部と対向部との間の異物の有無を判定する場合よりも、判定に要する時間を短縮することができる。よって、閉側端部と対向部との間に異物が存在した場合、その異物をより早く検出することができる。
【0017】
また、請求項2に記載の発明によれば、移動体が所定距離だけ移動する間に検出手段が計測結果を複数出力した場合、その全ての計測結果に基づいて、閉側端部と対向部との間の異物の有無の判定が行われる。従って、1つの計測結果に基づいて異物の有無の判定を行う場合に比べて、閉側端部と対向部との間の異物の検出精度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、センサ電極を用いて検出される静電容量の検出精度が向上させることが可能な異物検出センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】電動スライドドア装置を備えた車両の斜視図。
【図2】電動スライドドア装置を備えた車両の側面図。
【図3】電動スライドドア装置の電気的構成を示すブロック図。
【図4】(a)はドアパネルの前端部付近の断面図、(b)及び(c)はセンサ本体の断面図。
【図5】所定数周期分の発振信号が出力される時間の測定の仕方を説明するための説明図。
【図6】計測時間及び位置検出信号のパルス番号を説明するための説明図。
【図7】位置検出信号のパルス番号と外側電極を用いて検出される静電容量との関係を説明するための説明図。
【図8】ドアパネルの位置と外側電極を用いて検出される静電容量との関係を示すグラフ。
【図9】ドアパネルの位置と閉作動時のドアパネルの速度との関係を示すグラフ。
【図10】異物検出センサを備えたバックドア装置を搭載した車両の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施形態の電動スライドドア装置(開閉装置)1を搭載した車両2を示す斜視図である。図1に示すように、車両2は、導電性金属材料よりなる固定体としての車体3を備えるとともに、該車体3の左側側面には、四角形状をなす開口部としての乗降口4が形成されている。この乗降口4は、導電性金属材料により形成され該乗降口4に応じた四角形状をなす移動体としてのドアパネル5によって開閉される。また、図2に示すように、乗降口4の前方には、導電性を有する助手席側ドアパネル6が設けられるとともに、乗降口4を閉鎖した状態のドアパネル5と前記助手席側ドアパネル6との間には、導電性を有するセンターピラー7が車両2の上下方向に延びるように設けられている。
【0021】
図1に示すように、前記ドアパネル5は、乗降口4を開閉するために作動機構11を介して車体3に対して略前後方向に移動可能に取り付けられるとともに、該ドアパネル5にはラッチ等のロック機構(図示略)が設けられている。このロック機構は、ドアパネル5が乗降口4を閉鎖した状態(即ちドアパネル5が全閉位置に配置された状態)にある場合に、ドアパネル5を車体3に対して移動不能とすべく固定するためのものである。そして、ロック機構には、ハーフラッチ検出手段(図示略)が設けられており、該ハーフラッチ検出手段は、当該ロック機構がハーフラッチ状態になると、ハーフラッチ検出信号を電動スライドドア装置1の制御回路装置101(図3参照)に出力する。
【0022】
前記作動機構11は、車体3に設けられたアッパレール12、ロアレール13、センターレール14、及びドアパネル5側に設けられたアッパアーム15、ロアアーム16、センターアーム17から構成されている。
【0023】
アッパレール12及びロアレール13は、車両2において乗降口4の上部及び下部にそれぞれ設けられ、車両2の略前後方向に沿って延びている。センターレール14は、車両2において乗降口4よりも後方となる部位の略中央部に設けられ、車両2の略前後方向に沿って延びている。これら各レール12〜14は、その後端から前端側に向かって車両2の前後方向に沿うように形成されるとともに、途中からその前端側が車室内側に向くように湾曲している。
【0024】
前記各アーム15〜17は、ドアパネル5の車室内側の面における上部、下部及び中央部の所定位置にそれぞれ固定されている。そして、アッパアーム15は前記アッパレール12に対して、ロアアーム16は前記ロアレール13に対して、センターアーム17は前記センターレール14に対してそれぞれ連結されるとともに、各アーム15〜17は、各レール12〜14に案内されて車両2の前後方向に移動可能となっている。
【0025】
また、前記ロアアーム16は、駆動機構21の駆動により前後方向に駆動される。詳述すると、前記ロアレール13よりも車室内側となる位置には、車両2の上下方向の軸回りに回転する、駆動機構21の駆動プーリ22及び複数の従動プーリ23が設けられている。そして、これら駆動プーリ22及び従動プーリ23には、無端ベルト24が掛け渡されるとともに、該無端ベルト24には、前記ロアアーム16の先端部が固定されている。
【0026】
また、図1及び図3に示すように、駆動プーリ22には、駆動機構21を構成するスライドアクチュエータ25が接続されている。スライドアクチュエータ25は、車室内側に配置されるとともに、スライドモータ26と、該スライドモータ26の回転を減速して前記駆動プーリ22に伝達する減速機構(図示略)とを備えている。そして、スライドモータ26が駆動されて駆動プーリ22が回転すると、無端ベルト24が従動回転して前記ロアアーム16が前後方向に移動し、前記ドアパネル5が前後方向にスライド移動される。
【0027】
前記スライドアクチュエータ25内には、スライドモータ26の回転を検出する位置検出装置27が備えられている。位置検出装置27は、スライドモータ26の回転に対応した位置検出信号を前記制御回路装置101に出力する。この位置検出装置27は、例えば、スライドモータ26の回転軸(図示略)若しくは前記減速機構を構成する減速ギヤ(図示略)と一体回転する永久磁石(図示略)と、該永久磁石に対向配置されるホールIC(図示略)とから構成され、位置検出信号として、永久磁石の回転による該永久磁石の磁界の変化に応じたパルス信号を出力する。そして、ドアパネル5はスライドモータ26の駆動力によって作動されるため、位置検出信号は、ドアパネル5の位置に応じた信号となるとともに、ドアパネル5が所定距離移動する毎に、H(高電位)レベルからL(低電位)レベルへ、若しくはLレベルからHレベルへその電位レベルが切り替わる。
【0028】
また、前記ドアパネル5の内部には、駆動機構21を構成するクローザアクチュエータ28が配置されるとともに、該クローザアクチュエータ28は、クローザモータ29と、該クローザモータ29の回転を減速する減速機構(図示略)とを備えている。そして、クローザモータ29が駆動されると、前記ロック機構によるロックが可能な位置までドアパネル5が移動される。
【0029】
また、電動スライドドア装置1は、制御回路装置101に電気的に接続された操作スイッチ31を備えている。この操作スイッチ31は、車両2の搭乗者によって、乗降口4を開放するように該操作スイッチ31が操作されると、乗降口4を開放するようにドアパネル5をスライド移動させる旨の開信号を制御回路装置101に出力する。一方、操作スイッチ31は、搭乗者によって、乗降口4を閉鎖するように該操作スイッチ31が操作されると、乗降口4を閉鎖するようにドアパネル5をスライド移動させる旨の閉信号を制御回路装置101に出力する。この操作スイッチ31は、車室内の所定箇所(ダッシュボード等)やドアパネル5の車室内側の側面、イグニッションキーと共に携行される携帯品(図示略)等に設けられている。
【0030】
また、図3に示すように、電動スライドドア装置1は、ドアパネル5と乗降口4との間に存在する導電性を有する異物X1及び導電性を有さない異物X2(図2参照)を検出するための異物検出センサ41を備えるとともに、該異物検出センサ41は、センサ本体42と、静電容量検出部43と、圧力検出部44と、判定部45とを備えている。
【0031】
図1及び図4(a)に示すように、ケーブル状のセンサ本体42は、その長さが、ドアパネル5の前端部5aの上下方向の長さと略等しく形成されている。そして、図4(b)に示すように、センサ本体42を構成する外皮51は、絶縁性を有する材料により形成され、弾性変形可能であるとともに、長尺状の円筒状をなしている。この外皮51の内側には、略円筒状をなす外側電極52が設けられるとともに、該外側電極52の内側には、絶縁層53が設けられている。外側電極52は、複数の導線を絶縁層53の外周に螺旋状に巻きつけて形成されるとともに、前記静電容量検出部43(図3参照)に電気的に接続されている。
【0032】
絶縁層53は、軟質の合成樹脂材料やゴム等の絶縁性及び弾性を有する材料により形成されるとともに、前記外皮51と略等しい長さをなしている。また、絶縁層53の外形は円筒状をなすとともに、その径方向の中央部には、該絶縁層53の長手方向に沿って延びる離間孔53aが形成されている。離間孔53aは、絶縁層53の径方向に沿った断面において周方向に等角度間隔となる4箇所に径方向外側に向かって凹設された離間凹部53b〜53eを絶縁層53の径方向中央部で連結した形状をなすことにより、絶縁層53の長手方向と直交する方向の断面形状が十字形状をなしている。そして、離間孔53aは、4つの離間凹部53b〜53eがそれぞれ螺旋状となるように絶縁層53の長手方向に沿って延びている。
【0033】
また、絶縁層53の内側には、該絶縁層53にて保持される電極線54a〜54dが配置されている。各電極線54a〜54dは、導電性細線を寄り合わせて形成され可撓性を有する中心電極55と、該中心電極55の外周を被覆する円筒状の導電被覆層56とから構成されている。導電被覆層56は、導電性及び弾性を有するとともに円筒状に形成されている。そして、各電極線54a〜54dは、絶縁層53の4つの離間凹部53b〜53e間に、それぞれ離間凹部53b〜53eに沿った螺旋状をなすように配置されている。また、各電極線54a〜54dは、離間凹部53b〜53e間で、その周方向の半分強が絶縁層53内に埋設されている。
【0034】
図3に示すように、電極線54a及び電極線54cは、長手方向の一端(図3において右側の端部)で導通するとともに、電極線54b及び電極線54dも、長手方向の一端(図3において右側の端部)で導通している。そして、電極線54cと電極線54dとは、長手方向の他端(図3において左側の端部)で抵抗57を介して導通している。更に、電極線54bの長手方向の他端(図3において左側の端部)は、グランドGNDに接続されるとともに、電極線54aの長手方向の他端(図3において左側の端部)は、圧力検出部44に電気的に接続されている。そして、電極線54aには、制御回路装置101及び圧力検出部44を介して電源が供給される。
【0035】
図4(a)に示すように、上記のように構成されたセンサ本体42は、プロテクタ61によって保持されるとともに、該プロテクタ61を介してドアパネル5の前端部5aに固定されている。このプロテクタ61は、センサ本体42を保持する保持部62と、該プロテクタ61をドアパネル5の前端部5aに固定するための取付け部63とが一体に形成されてなる。
【0036】
取付け部63は、U字状をなす導電性の骨部材64aが車両2の上下方向に沿って多数連結されてなる補強部材64を、絶縁性樹脂材料(エラストマ、ゴムを含む)にて被覆してなるものであり、取付け部63において骨部材64aの内側となる部位には、取付け部63の長手方向に沿って延びる取付け溝63aが形成されている。そして、取付け部63の長手方向の長さは、センサ本体42の軸方向の長さと略等しく形成されている。また、円筒状の保持部62は、前記取付け部63に対し、軸方向から見て前記取付け溝63aの開口部と逆側となる位置に一体に形成されている。この保持部62の軸方向の長さは、センサ本体42の軸方向の長さと略等しく形成されるとともに、該保持部62の内周面により形成された挿入孔62aの内径は、センサ本体42の外径よりも若干大きく形成されている。そして、このようなプロテクタ61は、挿入孔62aにセンサ本体42が挿入された状態で、ドアパネル5の前端部5aに固定される。
【0037】
ここで、ドアパネル5を構成する内板71は、その前端部(車両2の前方側の端部)に、車幅方向と略平行に形成された固定部72を有するとともに、該固定部72の車室外側の端部から車両2の前方側に向かって延設された延設部73を有する。また、延設部73の先端は、ドアパネル5を構成する外板74によって覆われている。そして、前記固定部72における車両2の前方側の面には、車両2の前方側に向かって延設されたブラケット本体75aを有するブラケット75が固定されている。このブラケット75は、車両2の上下方向に沿って延びている。そして、前記取付け溝63aにブラケット本体75aが圧入されることにより、プロテクタ61は、ブラケット本体75aに、即ちドアパネル5の前端部5aに固定される。
【0038】
プロテクタ61を介してセンサ本体42がドアパネル5に固定された状態では、センサ本体42は、ドアパネル5の前端部5aに沿うとともに、前記延設部73の先端(延設部73を被覆する外板74を含む)よりも車両2の前方側に突出している。そして、図4(c)に示すように、例えば矢印α方向からセンサ本体42に押圧力が加えられると、保持部62(図4(a)参照)、外皮51、外側電極52及び絶縁層53が弾性変形する。この時、離間孔53aが潰れる程に押圧力が加えられて絶縁層53が弾性変形すると、電極線54a及び電極線54cの何れか一方と、電極線54b及び電極線54dの何れか一方とが接触して互いに導通する。そして、押圧力が取り除かれると、保持部62(図4(a)参照)、外皮51、外側電極52及び絶縁層53が復元し、電極線54a〜54dも復元して非導通状態となる。
【0039】
図3に示すように、前記圧力検出部44は、絶縁層53、電極線54a〜54d及び抵抗57と共に、乗降口4の周縁においてドアパネル5の前端部5aに対向する対向部4aと、ドアパネル5の前端部5aとの間に存在する異物X1若しくは異物X2に接触して該異物X1を検出する接触式のセンサを構成している(図2参照)。この圧力検出部44は、グランドGNDに接続されている。
【0040】
ここで、センサ本体42に押圧力が加えられていない通常の状態(図4(b)に示す状態)では、電極線54aに供給される電流は、電極線54aから電極線54c,54dを介して電極線54bへ流れる際、抵抗57を介して流れる。しかし、センサ本体42に押圧力が加えられる(例えば図4(c)に示す状態)と、保持部62(図4(a)参照)、外皮51、外側電極52及び絶縁層53が弾性変形して、電極線54a及び電極線54cの何れか一方と、電極線54b及び電極線54dの何れか一方とが接触して互いに導通して短絡される。すると、電極線54aから電極線54c,54dを介して電極線54bへ流れる電流は、抵抗57を介さずに流れることになり、通常の状態における電極線54aとグランドGNDとの間の電圧値に対して、電極線54aとグランドGNDとの間の電圧値が変化する。圧力検出部44は、この時の電極線54aとグランドGNDとの間の電圧値の変化を検出し、電極線54a及び電極線54cの何れか一方と、電極線54b及び電極線54dの何れか一方とが接触して互いに短絡されたことに基づいて電圧値が変化したことを示す電圧検出信号(接触検出信号)を判定部45に出力する。例えば、圧力検出部44は、通常の状態における電極線54aとグランドGNDとの間の電圧値に基づいて設定された閾値を持っており、検出した電極線54aとグランドGNDとの間の電圧値が閾値を越えた場合に電圧検出信号を出力する。
【0041】
尚、図4(c)に示すように、センサ本体42は、該センサ本体42に押圧力が加えられて径方向に所定の変形量D1だけ変形すると、電極線54a及び電極線54cの何れか一方と、電極線54b及び電極線54dの何れか一方とが接触して互いに導通し、圧力検出部44(図3参照)から電圧検出信号が出力されるように構成されている。そして、本実施形態では、この変形量D1は2mmに設定されている。
【0042】
図3に示すように、前記静電容量検出部43は、ドアパネル5(図1参照)の内部に配置されるとともに、グランドGNDに接続されている。この静電容量検出部43は、発振回路81と、第1カウンタ82と、基準クロック生成回路83と、第2カウンタ84とを備えている。
【0043】
発振回路81は、例えばコルピッツ発振回路が用いられ、外側電極52を用いて検出される静電容量C1に応じた発振周波数で発振するとともに、その発振周波数の発振信号を出力する。ここで、外側電極52を用いて検出される静電容量C1は、センサ本体42に近接する導電性の異物X1(若しくは大地)と外側電極52とにより形成されるコンデンサ91の静電容量C2と、外側電極52と電極線54aとにより形成されるコンデンサ92の静電容量C3との合成値となる。従って、センサ本体42に異物X1が近接すると、外側電極52と異物X1との間の静電容量C2が増大するため、静電容量検出部43にて検出される静電容量C1は増大される。尚、発振回路81から出力される発振信号は、デジタル化されたパルス信号である。そして、前記第1カウンタ82は、発振回路81が出力する発振信号の立上がりの数を計測する。
【0044】
また、前記基準クロック生成回路83は、所定のクロック周波数のクロック信号を出力するとともに、前記第2カウンタ84は、このクロック信号の立上がりの数を計測する。本実施形態では、クロック周波数は25MHzに設定されている。
【0045】
静電容量検出部43は、発振回路81、第1カウンタ82、基準クロック生成回路83及び第2カウンタ84により、所定数周期分の発振信号が出力されるのに要する時間を所定の計測時間T1内で計測し、図6に示すように、計測時間T1が経過するごとにその計測結果を出力する。尚、図6においては、計測結果が出力される時間に黒丸を付している。本実施形態では、静電容量検出部43において、20,000周期分の発振信号が出力されるのに要する時間を、6.5msに設定された計測時間T1内で計測する。詳述すると、図3に示すように、静電容量検出部43では、第1カウンタ82が発振信号の立上がりの数を20,000個計測するとともに、第2カウンタ84にて、20,000周期分の発振信号が出力される間に基準クロック生成回路83から出力されるクロック信号の立上がりの数を計測することにより、20,000周期分の発振信号が出力されるのにかかる時間を計測している(図5参照)。そして、静電容量検出部43は、第2カウンタ84にて計測された、20,000周期分の発振信号に対応するクロック信号の立上がりの数を、計測結果として所定の計測時間T1毎に判定部45に出力する。また、静電容量検出部43では、測定結果を出力するたびに、20,000周期分の発振信号に対応するクロック信号の立上がりの数を新たに計測する。
【0046】
前記計測時間T1は、ドアパネル5が最大移動速度で移動している場合に位置検出装置27から出力される位置検出信号のパルスが立上がってから立ち下がるまでの時間(若しくは立下がってから立上がるまでの時間)よりも短い時間に設定されている。また、計測時間T1は、ドアパネル5が最大移動速度で閉作動されている場合に、異物X1(若しくは異物X2)がセンサ本体42を保持する保持部62(図4(a)参照)に当接してから(当接した時点ではセンサ本体42は変形していない)、圧力検出部44が電圧検出信号を出力するまでにかかる反応時間T2よりも短い時間に設定されている。本実施形態の電動スライドドア装置1においては、ドアパネル5の最大移動速度は250mm/sに設定されている。そして、センサ本体42が2mmの前記変形量D1分だけ変形すると、圧力検出部44が電圧検出信号を出力することから、反応時間T2は、250mm/sの最大移動速度で閉作動しているドアパネル5が2mm移動するのに要する時間となる。従って、本実施形態における反応時間T2は8msである。そこで、本実施形態では、計測時間T1を、8msよりも短い6.5msに設定している。
【0047】
また、実験により、ドアパネル5の前端部5aと乗降口4との間に異物X1が存在しない場合には、発振回路81は、外側電極52を用いて検出される静電容量C1が250pFとなる発振周波数で安定して発振していることがわかった。そして、本実施形態の発振回路81においては、静電容量C1が250pFの時の共振周波数が3.2MHzであった。従って、ドアパネル5の前端部5aと乗降口4との間に異物X1が存在しない場合、6.5msに設定された計測時間T1の間には、発振回路81は、20,800周期分の発振信号を出力する。ところで、より精度良く静電容量C1を検出するためには、より多数の周期分の発振信号が出力される時間を連続して計測することが望ましい。そこで、計測時間T1内でより多数の周期分の発振信号が出力されるのに要する時間を計測すべく、本実施形態では、時間を計測する発振信号の周期数を20,000に設定している。
【0048】
また、ドアパネル5の前端部5aと乗降口4の対向部4aとの間に存在する導電性の異物X1の有無の判定をより精度良く行うため、外側電極52を用いて検出される静電容量C1の0.01pFの変化を検出することが望まれている。そして、前記基準クロック生成回路83のクロック周波数を25MHzとした場合、静電容量検出部43においては、外側電極52を用いて検出される静電容量C1が0.01pF変化すると、20,000周期分の発振信号に対応するクロック信号の立上がりの数は34クロック変化した。従って、基準クロック生成回路83におけるクロック周波数を25MHzに設定すると、クロック信号の1クロック当たり約0.003pFの精度を出せることになる。このように、クロック周波数を25MHzに設定すれば、外側電極52を用いて検出される静電容量C1の0.01pFの変化を十分検出可能である。
【0049】
前記判定部45は、記憶部45aを備えるとともに、静電容量検出部43が計測時間T1毎に出力する計測結果(即ち、20,000周期分の発振信号に対応するクロック信号の立上がりの数)を記憶部45aに記憶する。図7に示すように、記憶部45aは、静電容量検出部43が出力するクロック信号の立上がりの数と、位置検出信号のパルス番号とを関連付けて記憶する。尚、図7では、縦軸は、計測結果に基づいて算出された静電容量C1の値を表している。本実施形態では、図6に示すように、パルス番号は、位置検出信号の立上がり及び立下り毎に加算若しくは減算される。詳述すると、位置検出信号のパルス番号は、ドアパネル5が全閉位置Pcから全開位置Poへ移動される場合には加算され、ドアパネル5が全開位置Poから全閉位置Pcへ移動される場合には減算される(図2参照)。本実施形態では、ドアパネル5が全閉位置Pcから開作動され始めた直後の位置検出信号の立上がりでパルス番号が「0」から「1」に切り替わるように設定されている。そして、例えば、ドアパネル5の閉作動時において、位置検出信号のパルス番号が「1」のときに静電容量検出部43から入力された計測結果は、パルス番号「1」と対応させて記憶部45aに記憶される。尚、位置検出信号は、ドアパネル5が所定距離移動する毎に電位レベルが切り替わるため、ドアパネル5の速度が遅くなるほど、1つのパルス番号に関連付けられた計測結果の数が多くなる。そして、判定部45は、位置検出信号のパルス番号の切り替わりを検出することにより、ドアパネル5が所定距離だけ移動したことを検出している。
【0050】
また、判定部45は、センサ本体42に近接する導電性の異物X1の有無を判定するための閾値を持っている。この閾値は、ドアパネル5の前端部5aと乗降口4の対向部4aとの間に異物X1が存在しない状態でドアパネル5を閉作動させた場合に、静電容量検出部43にて実際に計測される20,000周期分の発振信号に対応するクロック信号の立上がりの数に応じて設定されている。ここで、図8に示すように、ドアパネル5の閉作動時に外側電極52を用いて検出される静電容量C1は、ドアパネル5が全閉位置Pc付近の所定位置に配置されると、それ以後、ドアパネル5が全閉位置Pcに近づくに連れて徐々に大きくなっていく。これは、ドアパネル5の前端部5aが乗降口4の対向部4aに近接することにより、乗降口4の対向部4aと外側電極52との間の静電容量が増大することによるものである。そのため、閾値は、ドアパネル5の位置に応じて複数設定されている。
【0051】
そして、判定部45は、位置検出信号のパルス番号が切り替わって最初に静電容量検出部43から入力された計測結果と閾値とを比較して、当該計測結果が閾値以下である場合には、ドアパネル5の前端部5aと乗降口4の対向部4aとの間に異物が存在しないと判定する。一方、当該計測結果が閾値よりも大きい場合には、ドアパネル5の前端部5aと乗降口4の対向部4aとの間に異物X1が存在すると判定し、前端部5aと乗降口4との間に異物が存在すること示す異物検出信号を制御回路装置101に出力する。
【0052】
また、判定部45は、圧力検出部44から電圧検出信号が入力されると、該電圧検出信号が入力されたことに基づいて、ドアパネル5の前端部5aと乗降口4の対向部4aとの間に異物X1(若しくは異物X2)が存在すると判定し、前端部5aと乗降口4との間に異物が存在すること示す異物検出信号を制御回路装置101に出力する。
【0053】
前記制御回路装置101は、ドアパネル5の内部に配置されるとともに、車両2のバッテリ102から電源が供給される。この制御回路装置101は、前記ハーフラッチ検出手段、位置検出装置27、操作スイッチ31、及び異物検出センサ41から入力される各種信号に応じてスライドアクチュエータ25やクローザアクチュエータ28を制御する。
【0054】
即ち、制御回路装置101は、操作スイッチ31から開信号が入力されるとドアパネル5を全開位置Poまで開作動させ、操作スイッチ31から閉信号が入力されるとドアパネル5を全閉位置Pcまで閉作動させるべくスライドモータ26を制御する(図2参照)。また、制御回路装置101は、前記ハーフラッチ検出手段からハーフラッチ検出信号が入力されると、ドアパネル5をロック機構によるロックが可能な位置まで移動させるべくクローザモータ29を制御する。更に、制御回路装置101は、位置検出装置27から入力される位置検出信号に基づいてドアパネル5の位置を検出するとともに、ドアパネル5の位置に応じて該ドアパネル5の速度を制御する。更に、制御回路装置101は、ドアパネル5の閉作動中に、異物検出センサ41の判定部45から異物検出信号が入力されると、スライドモータ26にドアパネル5を全開位置Poまで移動させる旨の駆動信号を出力する。
【0055】
次に、電動スライドドア装置1の動作について総括的に説明する。
制御回路装置101は、操作スイッチ31から開信号が入力されると、ドアパネル5を開作動させる方向(開方向)にスライドモータ26を駆動する。そして、ドアパネル5が全開位置Poに配置されると、制御回路装置101は、スライドモータ26を停止させる。
【0056】
一方、制御回路装置101は、操作スイッチ31から閉信号が入力されると、ドアパネル5を閉作動させる方向(閉方向)にスライドモータ26を駆動する。この時、制御回路装置101は、図9に示すように、全開位置Poから、全開位置Poと全閉位置Pcとの間に設定された第1のドア位置P1にドアパネル5までの範囲をドアパネル5が移動している場合には、最大移動速度(本実施形態では250mm/s)でドアパネル5が移動するようにスライドモータ26を制御する。そして、位置検出信号に基づいてドアパネル5が第1のドア位置P1に配置されたことを検出すると、制御回路装置101は、ドアパネル5の移動速度が徐々に小さくなるようにスライドモータ26を制御する。そして、ドアパネル5が全閉位置Pc直前となる位置に配置されてハーフラッチ検出手段からハーフラッチ検出信号が入力されると、制御回路装置101は、クローザモータ29を駆動し、該クローザモータ29によるドアパネル5のロックを行ってドアパネル5を全閉位置Pcに配置する。そして、ドアパネル5が全閉位置Pcに配置されると、制御回路装置101は、クローザモータ29を停止させる。
【0057】
また、図3に示すように、制御回路装置101は、操作スイッチ31から閉信号が入力されると、異物検出センサ41を駆動する。そして、判定部45は、計測時間T1毎に静電容量検出部43から入力される計測結果(即ち20,000周期分の発振信号に対応するクロック信号の立上がりの数)を、位置検出信号のパルス番号に関連付けて記憶する(図6及び図7参照)。
【0058】
また、判定部45は、位置検出信号のパルス番号が切り替わった後、最初に静電容量検出部43から入力された計測結果と、センサ本体42に近接する異物X1の有無を判定するための閾値とを比較する。そして、計測結果が閾値よりも大きい場合には、判定部45は、ドアパネル5の前端部5aと乗降口4の対向部4aとの間に異物X1が存在すると判定し、制御回路装置101に異物検出信号を出力する。更に、判定部45は、圧力検出部44から電圧検出信号が入力されると、ドアパネル5の前端部5aと乗降口4との間に異物X1(若しくは異物X2)が存在すると判定し、制御回路装置101に異物検出信号を出力する。
【0059】
そして、制御回路装置101は、ドアパネル5の位置に関わらず、ドアパネル5の前端部5aと乗降口4との間に異物X1(若しくは異物X2)が存在することを示す異物検出信号が入力されると、ドアパネル5を全開位置Poまで移動させるべくスライドモータ26を制御する。
【0060】
上記したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)発振回路81から出力される発振信号は、外側電極52を用いて検出される静電容量C1に応じて定まる発振周波数の信号であるとともに、静電容量検出部43は、20,000周期分の発振信号が出力されるのに要する時間を、所定の計測時間T1内で計測し、計測時間T1が経過する毎にその計測結果を出力する。従って、静電容量検出部43からは、常に20,000周期分の発振信号が出力されるのに要する時間が計測結果として出力されるため、出力された計測結果同士の精度が等しくなる。また、静電容量検出部43では、20,000周期分の発振信号が出力されるのに要する時間を計測して出力しているため、1周期分の発振信号が出力されるのに要する時間を計測する場合に比べて、計測結果には、外側電極52を用いて検出される静電容量C1の実際の値が精度良く反映される。これらのことから、外側電極52を用いて検出される静電容量C1の検出精度を向上させることができる。
【0061】
また、異物検出センサ41は、圧力検出部44、絶縁層53、電極線54a〜54d及び抵抗57を備えているため、導電性を有しない異物X2が前端部5aと対向部4aとの間に存在した場合であっても、当該異物X2を検出することができる。そして、判定部45は、電圧検出信号が入力されたことに基づいてドアパネル5の前端部5aと乗降口4の対向部4aとの間に異物X1(若しくは異物X2)が存在すると判定する。更に、計測時間T1は、ドアパネル5が最大移動速度で移動された場合にセンサ本体42を保持する保持部62(図4(a)参照)に異物X1(若しくは異物X2)が当接してから圧力検出部44が電圧検出信号を出力するまでにかかる反応時間T2よりも短く設定されている。従って、異物X1がセンサ本体42を保持する保持部62に当接するのと同時に、静電容量検出部43にて20,000周期分の発振信号が出力されるのに要する時間が計測され始めた場合であっても、圧力検出部44が異物X1の電圧検出信号を出力するよりも前に計測結果が出力される。よって、その計測結果に基づいて判定部45が前端部5aと対向部4aとの間の異物X1の有無を判定することができるため、電圧検出信号に基づいて当該異物X1が検出されるよりも前に、計測結果に基づいて当該異物X1の存在を検出することが可能となる。その結果、当該異物X1に対してドアパネル5から大きな荷重が加えられることを抑制することができる。
【0062】
(2)判定部45は、位置検出信号のパルス番号が切り替わった後、最初に静電容量検出部43から入力された計測結果と、センサ本体42に近接する異物の有無を判定するための閾値とを比較して、その比較結果に基づいてドアパネル5の前端部5aと乗降口4の対向部4aとの間の異物X1の有無を判定数する。従って、例えば複数の計測結果の平均値と閾値とを比較して前端部5aと対向部4aとの間の異物X1の有無を判定する場合よりも、判定に要する時間を短縮することができる。よって、前端部5aと対向部4aとの間に異物X1が存在した場合、その異物X1をより早く検出することができる。
【0063】
(3)静電容量検出部43では、第1カウンタ82が発振信号の立上がりの数を20,000個計測するとともに、第2カウンタ84にて、20,000周期分の発振信号が出力される間に基準クロック生成回路83から出力されるクロック信号の立上がりの数を計測することにより、20,000周期分の発振信号が出力されるのにかかる時間を計測している。そのため、1周期分の発振信号が出力されるのにかかる時間を計測する場合に比べて、基準クロック生成回路83のクロック周波数が比較的小さいものであったとしても、計測結果の精度が向上する。その結果、静電容量検出部43にかかるコストの増大を抑制することができる。
【0064】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、異物検出センサ41は、電動スライドドア装置1に備えられ、センサ本体42は、電動スライドドア装置1を構成するドアパネル5の前端部5aに沿って配置されている。しかしながら、異物検出センサ41は、電動スライドドア装置1以外の開閉装置に備えられてもよい。例えば、図10に示すように、車両111の後方に設けられた開口部112を開閉すべくバックドア113をモータ等の駆動力により開閉作動させるバックドア装置に異物検出センサ41を備えてもよい。この場合、センサ本体42は、バックドア113において、開口部112と対向する側の面の周縁部の少なくとも一部に配置される。また、車両の天井部に設けられた開口部を開閉すべくルーフ開閉体をモータ等の駆動力により開閉作動させるサンルーフ装置に異物検出センサ41を備え、センサ本体をルーフ開閉体の周縁部において開口部の周縁部と対向する部位に配置してもよい。更に、車両の後部に設けられたトランクのドアをモータ等の駆動力にて開閉作動させる開閉装置に異物検出センサ41を備えてもよい。
【0065】
・上記実施形態では、位置検出装置27は、スライドモータ26の回転軸(図示略)若しくはスライドアクチュエータ25を構成する減速機構の減速ギヤ(図示略)と一体回転する永久磁石(図示略)と、該永久磁石に対向配置されるホールIC(図示略)とから構成されている。しかしながら、位置検出装置27は、ドアパネル5の位置に応じた位置検出信号としてのパルス信号を出力するものであれば、この構成に限らない。例えば、位置検出装置27は、スライドアクチュエータ25の減速機構を構成する減速ギヤと一体回転するパルスプレートと、該パルスプレートに摺接することで減速ギヤの回転に応じたパルス信号を制御回路装置101に出力するセンサブラシとから構成されるものであってもよい。
【0066】
・上記実施形態では、計測時間T1は6.5msに設定されているが、これに限らない。計測時間T1は、反応時間T2よりも短い時間に設定されればよい。但し、計測時間T1は、少なくとも2周期分の発振信号が出力されるのに要する時間を測定可能な時間に設定される。そして、計測時間T1内で計測される発振信号の周期数をできる限り多くすることにより、静電容量検出部43が出力する計測結果に外側電極52を用いて検出される静電容量C1の値を精度良く反映させることができる。
【0067】
・上記実施形態では、第1カウンタ82は、発振信号の立上がりの数を計測することにより、発振信号の周期数を計測しているが、発振信号の立下りの数若しくは発振信号の立上がり及び立下りの両方の数を計測することにより、発振信号の周期数を計測するものであってもよい。また、第2カウンタ84は、クロック信号の立上がりの数を計測しているが、クロック信号の立下りの数若しくはクロック信号の立上がり及び立下りの数を計測するものであってもよい。
【0068】
・上記実施形態では、判定部45は、所定の閾値と、静電容量検出部43から入力された計測結果(即ち20,000周期分の発振信号に対応するクロック信号の立上がりの数)とを比較して、ドアパネル5の前端部5aと乗降口4の対向部4aとの間の異物X1の有無の判定を行う。しかしながら、判定部45は、静電容量検出部43が出力する計測結果に基づいて、ドアパネル5の前端部5aと乗降口4の対向部4aとの間の異物X1の有無の判定を行うのであれば、判定方法はこれに限らない。例えば、判定部45は、静電容量検出部43から入力された計測結果に基づいて静電容量C1の値を算出し、算出値と閾値とを比較することにより、ドアパネル5の前端部5aと乗降口4の対向部4aとの間の異物X1の有無の判定を行うように構成されてもよい。この場合、閾値は、ドアパネル5の前端部5aと乗降口4の対向部4aとの間に異物X1が存在しない状態でドアパネル5を閉作動させた場合に、外側電極52を用いて検出される静電容量C1の実変化に基づいて設定される。また、判定部45は、静電容量検出部43から入力された計測結果に基づいて、発振信号の平均周期を算出し、算出値と閾値とを比較することにより、ドアパネル5の前端部5aと乗降口4の対向部4aとの間の異物X1の有無の判定を行うように構成されてもよい。この場合、閾値は、ドアパネル5の前端部5aと乗降口4の対向部4aとの間に異物X1が存在しない状態でドアパネル5を閉作動させた場合に、発振回路81から出力される発振信号の周期の実変化に基づいて設定される。
【0069】
・上記実施形態では、ドアパネル5の閉作動中において、判定部45は、位置検出信号のパルス番号が切り替わった後、最初に静電容量検出部43から入力された計測結果と、センサ本体42に近接する異物の有無を判定するための閾値とを比較して、ドアパネル5の前端部5aと乗降口4の対向部4aとの間の異物X1の有無の判定を行う。しかしながら、判定部45は、位置検出信号のパルス番号が切り替わるごとに、該パルス番号が切り替わる直前に静電容量検出部43が出力した計測結果と閾値とを比較して、ドアパネル5の前端部5aと乗降口4の対向部4aとの間の異物X1の有無の判定を行うように構成されてもよい。また、判定部45は、1つの計測結果と閾値とを比較してドアパネル5の前端部5aと乗降口4の対向部4aとの間の異物X1の有無の判定を行っている。しかしながら、判定部45は、パルス番号が切り替わってから次にパルス番号が切り替わるまでの間に複数の計測結果が入力された場合には、これらの計測結果の平均値と、閾値とを比較して、前端部5aと対向部4aとの間の異物X1の有無の判定を行ってもよい。このようにすると、1つの計測結果に基づいて異物X1の有無の判定を行う場合に比べて、前端部5aと対向部4aとの間の異物X1の検出精度を向上させることができる。
【0070】
・センサ本体42の構成は、上記実施形態の構成に限らない。例えば、外側電極52は、絶縁層53の外周に導電性の編み線を被せて構成されるものであってもよい。また、センサ本体42は、外皮51の内側に設けられた円筒状の外側電極52の内側に、押圧力が加えられると弾性変形して抵抗値が小さくなる性質を有する円筒状の感圧ゴムを設け、更に、感圧ゴムの径方向の中心部に導電性の芯電極を配置した構成としてもよい。この場合、外側電極52には、静電容量検出部43を介して電流が供給されるとともに、芯電極は、圧力検出部44に替えて設けられる電流検出素子に電気的に接続される。そして、センサ本体42に押圧力が加えられて弾性変形すると、感圧ゴムが弾性変形することから該感圧ゴムの抵抗値が小さくなり、感圧ゴムを介して外側電極52から芯電極に電流が流れるようになる。前記電流検出素子は、感圧ゴムを介して外側電極52と芯電極との間を電流が流れたことを示す電流検出信号(接触検出信号)を判定部45に出力する。判定部45は、電流検出信号が入力されると、該電流検出信号が入力されたことに基づいてドアパネル5の前端部5aと乗降口4の対向部4aとの間に異物X1(若しくは異物X2)が存在すると判定し、制御回路装置101に異物検出信号を出力する。
【0071】
・上記実施形態では、センサ本体42を保持するプロテクタ61は、ブラケット75を介してドアパネル5の前端部5aに固定されているが、直接ドアパネル5の前端部5aに固定されてもよい。例えば、プロテクタ61は、外板74にて覆われた延設部73の先端部に固定されることにより、ドアパネル5の前端部5aに沿って配置されてもよい。
【0072】
(イ)固定体に形成された開口部を開閉すべく移動される移動体の、閉作動時における移動方向前方側の閉側端部に配置されるセンサ電極と、
前記センサ電極と該センサ電極に近接する導電性の異物との間の静電容量に応じて定まる発振周波数で発振し、前記発振周波数の発振信号を出力する発振手段と、
前記発振信号に基づいて前記発振周波数の変化を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果に基づいて、前記開口部において前記閉側端部と対向する対向部と前記閉側端部との間の異物の有無を判定する判定手段と
を備えた異物検出センサであって、
前記閉側端部に配置され異物に接触されて弾性変形する感圧部を有し、前記感圧部が所定量だけ弾性変形したことを示す接触検出信号を出力する接触検出手段を備え、
前記検出手段は、2以上の所定数周期分の前記発振信号が出力されるのに要する時間を、前記移動体が所定の最大移動速度で閉作動された場合に前記感圧部に前記異物が当接してから前記接触検出手段が前記接触検出信号を出力するまでにかかる反応時間よりも短く設定された計測時間内で計測して、前記計測時間が経過する毎にその計測結果を出力し、
前記判定手段は、前記計測結果に基づいて前記閉側端部と前記対向部との間の異物の有無を判定するとともに、前記接触検出信号が入力された場合には該接触検出信号が入力されたことに基づいて前記閉側端部と前記対向部との間に異物が存在すると判定することを特徴とする異物検出センサ。
【0073】
同構成によれば、発振手段から出力される発振信号は、センサ電極と該センサ電極に近接する導電性の異物との間の静電容量に応じて定まる発振周波数の信号であるとともに、検出手段は、2以上の所定数周期分の発振信号が出力されるのに要する時間を、所定の計測時間内で計測し、計測時間が経過する毎にその計測結果を出力する。従って、検出手段からは、常に所定数周期分の発振信号が出力されるのに要する時間が計測結果として出力されるため、出力された計測結果同士の精度が等しくなる。また、検出手段は、複数周期分の発振信号が出力されるのに要する時間を計測して出力しているため、1周期分の発振信号が出力されるのに要する時間を計測する場合に比べて、計測結果には、センサ電極と該センサ電極に近接する導電性の異物との間の実際の静電容量が精度良く反映される。そして、計測時間内で計測することが可能な範囲内で、計測する発振信号の周期の数を多く設定するほど、センサ電極と該センサ電極に近接する導電性の異物との間の静電容量を精度良く検出することができる。これらのことから、センサ電極を用いて検出される静電容量の検出精度を向上させることができる。
【0074】
また、異物検出センサは、接触検出手段を備えているため、導電性を有しない異物が閉側端部と対向部との間に存在した場合であっても、当該異物を検出することができる。そして、判定手段は、接触検出信号が入力されたことに基づいて閉側端部と対向部との間に異物が存在すると判定するとともに、前記計測時間は、移動体が最大移動速度で移動された場合に感圧部に異物が当接してから接触検出手段が接触検出信号を出力するまでにかかる反応時間よりも短く設定されている。従って、異物が感圧部に当接するのと同時に、検出手段にて所定数周期分の発振信号が出力されるのに要する時間が計測され始めた場合であっても、接触検出手段が接触検出信号を出力するよりも前に計測結果が出力されるため、その計測結果に基づいて判定手段が閉側端部と対向部との間の異物の有無を判定することができる。その結果、接触検出信号に基づいて閉側端部と対向部との間の異物が検出されるよりも前に、計測結果に基づいて当該異物の存在を検出することが可能となり、当該異物に対して移動体から大きな荷重が加えられることを抑制することができる。
【0075】
(ロ)前記移動体の位置に応じた位置検出信号を出力する位置検出手段を備え、
前記判定手段は、前記位置検出信号に基づいて前記移動体が所定距離だけ移動したことを繰り返し検出し、前記移動体が所定距離だけ移動したことを検出した後に前記検出手段が最初に出力した前記計測結果と、前記閉側端部と前記対向部との間の異物の有無を判定するための閾値とを比較し、その比較結果に基づいて前記閉側端部と前記対向部との間の異物の有無を判定することを特徴とする。
【0076】
同構成によれば、判定手段は、移動体が所定距離だけ移動したことを検出した後に検出手段が最初に出力した計測結果と、閉側端部と対向部との間の異物の有無を判定するための閾値とを比較して、閉側端部と対向部との間の異物の有無を判定する。従って、例えば複数の計測結果の平均値と閾値とを比較して閉側端部と対向部との間の異物の有無を判定する場合よりも、判定に要する時間を短縮することができる。よって、閉側端部と対向部との間に異物が存在した場合、その異物をより早く検出することができる。
【0077】
(ハ)前記移動体の位置に応じた位置検出信号を出力する位置検出手段を備え、
前記判定手段は、前記位置検出信号に基づいて前記移動体が所定距離だけ移動したことを繰り返し検出し、前記移動体が所定距離だけ移動する間に前記検出手段が前記計測結果を複数出力した場合には、前記移動体が所定距離だけ移動する間に前記検出手段が出力した複数の前記計測結果の平均値と、前記閉側端部と前記対向部との間の異物の有無を判定するための閾値とを比較し、その比較結果に基づいて前記閉側端部と前記対向部との間の異物の有無を判定することを特徴とする。
【0078】
同構成によれば、移動体が所定距離だけ移動する間に検出手段が計測結果を複数出力した場合、その全ての計測結果に基づいて、閉側端部と対向部との間の異物の有無の判定が行われる。従って、1つの計測結果に基づいて異物の有無の判定を行う場合に比べて、閉側端部と対向部との間の異物の検出精度を向上させることができる。
【0079】
(二)前記センサ電極及び前記感圧部は、車両の側方に設けられた開口部を開閉すべく前後方向に沿ってスライド移動されるドアパネルの閉作動時の移動方向前方側の端部に沿って配置されることを特徴とする。
【0080】
同構成によれば、ドアパネルの閉作動時の移動方向前方側の端部に沿って配置されたセンサ電極において、該センサ電極を用いて検出される静電容量の検出精度を向上させることができる。従って、ドアパネルの閉作動時の移動方向前方側の端部と開口部との間に導電性の異物が存在した場合、センサ電極と該異物との間の静電容量が精度良く検出され、検出した静電容量に基づいて行われる異物の有無の判定が精度良く行われる。
【0081】
(ホ)前記センサ電極及び前記感圧部は、車両の後方に設けられた開口部を開閉すべく作動されるバックドアの周縁部の少なくとも一部に配置されることを特徴とする。
同構成によれば、車両の後方に設けられた開口部を開閉すべく作動されるバックドアの周縁部の少なくとも一部に配置されたセンサ電極において、該センサ電極を用いて検出される静電容量の検出精度を向上させることができる。従って、バックドアと開口部との間に導電性の異物が存在した場合、センサ電極と該異物との間の静電容量が精度良く検出され、検出した静電容量に基づいて行われる当該異物の有無の判定が精度良く行われる。
【0082】
(ヘ)前記感圧部は、
筒状をなす外側電極である前記センサ電極と、
該センサ電極の内側に設けられ、絶縁性及び弾性を有する絶縁層と、
該絶縁層の内側に配置され、前記センサ電極との間でコンデンサを形成する電極線と
を備えることを特徴とする。
【符号の説明】
【0083】
2,111…車両、3…固定体としての車体、4…開口部としての乗降口、4a…対向部、5…移動体としてのドアパネル、5a…閉側端部としての前端部、27…位置検出手段としての位置検出装置、41…異物検出センサ、42…感圧部を構成するセンサ本体、43…検出手段としての静電容量検出部、44…接触検出手段を構成する圧力検出部、45…判定手段としての判定部、52…センサ電極としての外側電極、62…感圧部を構成する保持部、81…発振手段としての発振回路、112…開口部、113…移動体としてのバックドア、C1…静電容量、T1…計測時間、T2…反応時間、X1,X2…異物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定体に形成された開口部を開閉すべく移動される移動体の、閉作動時における移動方向前方側の閉側端部に配置されるセンサ電極と、
前記センサ電極と該センサ電極に近接する導電性の異物との間の静電容量に応じて定まる発振周波数で発振し、前記発振周波数の発振信号を出力する発振手段と、
前記発振信号に基づいて前記発振周波数の変化を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果に基づいて、前記開口部において前記閉側端部と対向する対向部と前記閉側端部との間の異物の有無を判定する判定手段と、
前記閉側端部に配置され異物に接触されて弾性変形する感圧部を有し、前記感圧部が所定量だけ弾性変形したことを示す接触検出信号を出力する接触検出手段と、
前記移動体の位置に応じた位置検出信号を出力する位置検出手段と
を備えた異物検出センサであって、
前記検出手段は、2以上の所定数周期分の前記発振信号が出力されるのに要する時間を、前記移動体が所定の最大移動速度で閉作動された場合に前記感圧部に前記異物が当接してから前記接触検出手段が前記接触検出信号を出力するまでにかかる反応時間よりも短く設定された計測時間内で計測して、前記計測時間が経過する毎にその計測結果を出力し、
前記判定手段は、前記位置検出信号に基づいて前記移動体が所定距離だけ移動したことを繰り返し検出し、前記移動体が所定距離だけ移動したことを検出した後に前記検出手段が最初に出力した前記計測結果と、前記閉側端部と前記対向部との間の異物の有無を判定するための閾値とを比較し、その比較結果に基づいて前記閉側端部と前記対向部との間の異物の有無を判定するとともに、前記接触検出信号が入力された場合には該接触検出信号が入力されたことに基づいて前記閉側端部と前記対向部との間に異物が存在すると判定するよう構成され、
前記閉側端部と前記対向部との間の異物の有無を判定するための閾値は、前記移動体の位置に応じて複数設定され、該移動体の位置が全閉位置に近づくに連れて大きくなるよう設定されたことを特徴とする異物検出センサ。
【請求項2】
固定体に形成された開口部を開閉すべく移動される移動体の、閉作動時における移動方向前方側の閉側端部に配置されるセンサ電極と、
前記センサ電極と該センサ電極に近接する導電性の異物との間の静電容量に応じて定まる発振周波数で発振し、前記発振周波数の発振信号を出力する発振手段と、
前記発振信号に基づいて前記発振周波数の変化を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果に基づいて、前記開口部において前記閉側端部と対向する対向部と前記閉側端部との間の異物の有無を判定する判定手段と、
前記閉側端部に配置され異物に接触されて弾性変形する感圧部を有し、前記感圧部が所定量だけ弾性変形したことを示す接触検出信号を出力する接触検出手段と、
前記移動体の位置に応じた位置検出信号を出力する位置検出手段と
を備えた異物検出センサであって、
前記検出手段は、2以上の所定数周期分の前記発振信号が出力されるのに要する時間を、前記移動体が所定の最大移動速度で閉作動された場合に前記感圧部に前記異物が当接してから前記接触検出手段が前記接触検出信号を出力するまでにかかる反応時間よりも短く設定された計測時間内で計測して、前記計測時間が経過する毎にその計測結果を出力し、
前記判定手段は、前記位置検出信号に基づいて前記移動体が所定距離だけ移動したことを繰り返し検出し、前記移動体が所定距離だけ移動する間に前記検出手段が前記計測結果を複数出力した場合には、前記移動体が所定距離だけ移動する間に前記検出手段が出力した複数の前記計測結果の平均値と、前記閉側端部と前記対向部との間の異物の有無を判定するための閾値とを比較し、その比較結果に基づいて前記閉側端部と前記対向部との間の異物の有無を判定するとともに、前記接触検出信号が入力された場合には該接触検出信号が入力されたことに基づいて前記閉側端部と前記対向部との間に異物が存在すると判定するよう構成され、
前記閉側端部と前記対向部との間の異物の有無を判定するための閾値は、前記移動体の位置に応じて複数設定され、該移動体の位置が全閉位置に近づくに連れて大きくなるよう設定されたことを特徴とする異物検出センサ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の異物検出センサにおいて、
複数の前記閾値は、前記閉側端部と前記対向部との間に異物が存在しない状態で前記移動体を閉作動させた場合に該移動体が全閉位置に近づくに連れて大きくなる前記センサ電極と前記対向部との間の静電容量に基づき、前記移動体の位置が全閉位置に近づくに連れて大きくなるよう設定されたことを特徴とする異物検出センサ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の異物検出センサにおいて、
前記判定手段は、前記比較結果において前記閾値のほうが大きい場合には前記閉側端部と前記対向部との間に異物が存在しないと判定するとともに、前記比較結果において前記閾値のほうが小さい場合には前記閉側端部と前記対向部との間に異物が存在すると判定することを特徴とする異物検出センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−151836(P2010−151836A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60971(P2010−60971)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【分割の表示】特願2007−21406(P2007−21406)の分割
【原出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【Fターム(参考)】