説明

異物検出装置

【課題】ピロー包装で被包装品の前後にシールが施される横シール部に介在する異物を精度良く検出することができる異物検出装置を提供する。
【解決手段】ピロー包装工程において被包装品の前後でフィルムFの送り方向に直交する方向にヒートシールカットする一対のシールカット手段1,2を備えた横シーラー3に設けられる異物検出装置であって、何れか一方のシールカット手段1には、独立に変位自在であり、かつ、他方のシールカット手段2に向けて付勢される接触式の異物検出板6,6を設けると共に、異物検出板6,6の変位を検出するための変位検出センサーを設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピロー包装工程で横シーラーによって被包装品の前後でフィルムの送り方向に直交する方向にヒートシールカットされる際に、その横シール部に介在する異物を検出するための異物検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ピロー包装で被包装品を包装する場合、原反から繰り出されたフィルムが被包装品を包むようにフォーミングされて縦シールが施された後、横シーラーによって被包装品の前後をヒートシールカットする際に、その横シール部に異物が介在することがある。例えば、ラーメンやはるさめ等の即席食品を包装する場合、その僅かな切れ端(異物)が横シール部に噛み込まれたままでヒートシールカットされてしまうことがあり、このような場合には、包装不良品として除外されなければならない。
【0003】
そこで、従来では、互いに同期して回転駆動される一対のシールカット手段の相対的な対応位置状態の変化を検出することで、このような異物の介在を検出するような方法が採られていた。即ち、何れか一方のシールカット手段を弾発手段によって他方のシールカット手段に向けて付勢支持させている場合、その付勢支持されている側のシールカット手段の変位をセンサーで検出するようにしていた。なお、横シール用ヒータ(及び縦シール用ヒータ)に変位センサーを一体的に設けた構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−34303号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のように、シールカット手段の変位を検出することで異物の介在を検出する方法では、高い検出精度を得ることができなかった。例えば、ラーメンやはるさめ等の僅かな切れ端等の異物が横シール部に介在すると、かなりの重量がありしかも互いに付勢されて回転している一対のシールカット手段間でほぼ偏平な状態に押しつぶされてしまうので、これを変位センサーで精度よく検出するのは容易でなかった。その理由は、 変位センサーによる検出精度を向上させるには、両シールカット手段間に作用する弾発手段の付勢力(フィルムを挟み付ける力)を低下させればよいが、付勢力を低下させるとシール強度が低下してしまうという問題が発生するからである。
【0005】
本発明は、このような実情に鑑みてなされ、ピロー包装工程で横シーラーによって被包装品の前後に施される横シール部に介在する異物をシール強度を低下させることなく精度良く検出することができる異物検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る異物検出装置は、ピロー包装工程において被包装品の前後でフィルムの送り方向に直交する方向にヒートシールカットする一対のシールカット手段を備えた横シーラーに設けられる異物検出装置であって、
何れか一方の前記シールカット手段には、独立に変位自在であり、かつ、他方の前記シールカット手段に向けて付勢される接触式の異物検出板を設けると共に、前記異物検出板の変位を検出するための変位検出センサーを設けたことを特徴とする。
【0007】
このような構成によれば、異物検出板が独立に変位自在であるから、横シール部に異物が介在していると、シールカット手段同士が噛み合う時に異物に当接した異物検出板が独立に変位するため、その変位を変位検出センサーで検出することで、異物の介在を精度よく検出することができる。その場合、異物検出板はシールカット手段に関係なく独立に変位するため、充分なシール強度が得られるだけの付勢力を両シールカット手段間に作用させた状態下でも、微小な異物に応答性よく異物検出板が変位し高い検出精度が得られる。つまり、シール強度を低下させることなく高い検出精度を得ることができる。
【0008】
(2)前記一対のシールカット手段は、送り移動されるフィルムを挟むように対向して配設され互いに同期してフィルムの送り方向に回転駆動される2つの回転体にそれぞれ取り付けられ、前記一方のシールカット手段には加熱可能なシーラ本体と切刃が設けられ、前記他方のシールカット手段には加熱可能なシーラ本体と受刃が設けられ、前記切刃又は受刃の両側に前記異物検出板を一対配設してもよい。
【0009】
このようにすれば、フィルムの送り方向における溶断部分の前後において異物の介在を精度よく検出することができる。例えば、ラーメンやはるさめ等の僅かな切れ端がシールカット手段によって押しつぶされても、その溶断部分の前後において切れ端に当接した異物検出板が応答性よく変位するため確実に検出することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る異物検出装置は、何れか一方のシールカット手段に、独立に変位自在で、他方のシールカット手段に向けて付勢される接触式の異物検出板を設け、その異物検出板の変位を変位検出センサーで検出するので、シール強度を低下させることなく、ヒートシール部に介在する異物を高い精度で検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態に係る異物検出装置について図面を参照しつつ詳細に説明する。
〔実施の形態1〕
図1〜図5は回転式横シーラーに設けられる異物検出装置を示し、図1〜図3は異物噛み込み状態の要部拡大説明図、図4は回転式横シーラーの正面図、図5はその側面図である。これらの図に示すように、この異物検出装置は、ピロー包装工程において原反から繰り出されたフィルムFが被包装品を包むようにフォーミングされて縦シールが施された後、一対のシールカット手段1,2を備えた横シーラー3によって被包装品の前後でフィルムFの送り方向に直交する方向にヒートシールカットする際に、その横シール部4に介在する異物5を検出する装置であり、一方のシールカット手段1には、独立に変位自在であり、かつ、他方の前記シールカット手段2に向けて付勢される接触式の異物検出板6,6を設けると共に、その異物検出板6,6の変位を検出するための変位検出センサー7を設けている。
【0012】
より詳しくは、シールカット手段1,2は、フィルムFの送り方向に同期して回転駆動される2つの回転体8,9にそれぞれ取り付けられ、送り移動されるフィルムFを挟むように対向して互いに付勢され、それぞれ、加熱可能なシーラ本体(シーラベース)10,11とフィルム切断用の切刃12と受刃13を備えている。その回転体8,9の支軸8a,9aは、図示は省略するが、それぞれ軸受を介して本体フレームに回転自在に軸支され、その一端側が歯車伝動機構を介して駆動源に伝動連結され、かつ、その一方の支軸8aを軸支する2つの軸受がスプリングによって下方に付勢され、その付勢力を調整することで適切なシール強度を確保できるように構成されている。
【0013】
切刃12と受刃13は、それぞれシーラ本体10,11に形成された凹部に貫挿一体化されて互いに対向し合い、シーラ本体10,11の対向し合う端面(溶着端面)は円弧状に形成されている。そして、一方のシーラ本体10の切刃12の両側に切刃12と並行に、ワイヤーカット等によりスリット孔(例えば、130mm×1mm)を穿設形成し、該スリット孔に一対の異物検出板(例えば、長さ120mm×厚さ0.6mm)6,6を変位自在に貫挿している。異物検出板6,6の長さをこの程度に設定すれば、横シール部4の全幅を捉えることができる。異物検出板6,6の上部は、図4に示すように、回転体8の軸方向に沿って揺動自在に設けられたレバー14の先端部にボルト締結等によって固定される。
【0014】
そのレバー14はピン軸16を介して回転体8に揺動自在に枢支され、その基部には、ボルト締結等によって変位検出ピース17が取り付けられており、この変位検出ピース17と回転体8の間に介装されるスプリング18によって、異物検出板6,6が、シーラ本体10とは関係なく、他方のシーラ本体11に向けて独立に変位自在となるように付勢されている。そして、その変位検出ピース17の揺動端側には変位検出センサー7が設けられ、その変位検出信号が、予め設定記憶された変位検出プログラムにより作動する変位検出装置(図示省略)に入力されるようになっている。即ち、異物検出板6,6の変位がレバー14によって増幅されて変位検出装置で検出される。
【0015】
このような構成によれば、図1に示す状態にて、送り移動される2枚のフィルムF(前の被包装品をピロー包装している)を、シーラ本体10,11の両溶着端面間に挟み付けて溶着する際に、横シール部4に異物5が介在していると異物検出板6,6が上方に変位するため、その変位が変位検出センサー7で検出され、その検出信号が変位検出装置に入力されることで異物5の介在を検出することができる。次いで、図2に示す状態にて切刃12と受刃13によってフィルムFが切断された後、図3に示す状態にて、(後の被包装品をピロー包装している)2枚のフィルムFを挟み付けて溶着する際に、横シール部4に異物5が介在していると同様に検出されることとなる。
【0016】
このように、異物検出板6,6をシーラ本体10のスリット孔に独立に変位自在に設けらているため、充分なシール強度を得られるだけの付勢力をシーラ本体10,11間に作用させた状態下においても、横シール部4に異物5が介在していると、溶着時に異物検出板6,6が応答性よく変位するため、シール強度を低下させることなく、高い精度で異物を検出することができる。また、図1及び図3に示すように、切断箇所の両側でそれぞれ異物5を検出することができるため、例えば、ラーメンやはるさめ等の僅かな切れ端が、前後の包装体の横シール部4,4に噛み込まれている場合にも、これらを確実に検出することができる。つまり、溶断部分の前後で異物を確実に検出することができる。なお、図6に示すように、異物検出板6,6を、切刃12の両側とシーラ本体10の間に形成したスリット孔に変位自在に貫挿させてもよい。このようにしても、横シール部4,4に噛み込まれている異物5を検出することができる。
【0017】
〔実施の形態2〕
図7〜図9はハーメチックシーラー(横シーラー)に設けられる異物検出装置を示し、図7は異物噛み込み状態の要部拡大説明図、図8はハーメチックシーラーの正面図、図9(a)(b)はその側面図である。この異物検出装置は、フィルムFの送り方向に同期して回転駆動される2つの回転体8,9にそれぞれ取り付けられたシールカット手段1,2が所定時間閉じ合わされた後は互いに離間し、両シールカット手段1,2が閉じ合わされている間にフィルムFを挟持して送り移動する間にフィルムFの送り移動方向に直交する方向にヒートシールカットする際に、その横シール部4に介在する異物5を検出する装置であり、一方のシールカット手段1には、独立に変位自在であり、かつ、他方の前記シールカット手段2に向けて付勢される接触式の異物検出板6,6を設けると共に、その異物検出板6,6の変位を検出するための変位検出センサー7を設けている。なお、前実施の形態と同一又は同等部材については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0018】
より詳しくは、シールカット手段1,2は、フィルムFの送り方向に同期して回転駆動される2つの回転体8,9にそれぞれ取り付けられ、送り移動されるフィルムFを挟むように対向して互いに付勢される加熱可能なシーラ本体10,11を備え、一方のシーラ本体10には凹部23が形成されており、その凹部23に対応する他方のシーラ本体11には切刃12が設けられている。このシーラ本体10,11は、凹部23と切刃12を挟む両側にそれぞれ互いに噛み合う凹凸状の溶着端面が形成され、送り移動されるフィルムFがシーラ本体10,11の溶着端面間に挟まれている移動する間(両シールカット手段1,2が閉じ合わされている間)に、前後の横シール部4,4が加熱溶着され、その横シール部4,4の中間部が切刃12によって切断される。
【0019】
そのシーラ本体10,11が閉じ合わされたときに前後の横シール部4,4に介在する異物5を検出するための異物検出板6,6は、一方のシーラ本体10に形成された凹部23の両側に穿設形成したスリット孔にそれぞれ変位自在に貫挿されており、両異物検出板6,6の上部は、図7に示すように、回転体8の軸方向に沿って揺動自在に設けられたレバー14の先端部にボルト締結等によって固定される。そのレバー14の一端はピン軸16を介して回転体8に揺動自在に枢支され、その他端と回転体8の間に介装されるスプリング(板ばね)18によって両異物検出板6,6が、他方のシーラ本体11に向けて付勢されており、かつ、レバー14の他端側(揺動端側)には、変位検出センサー7が設けられ、その変位検出信号が、予め設定記憶された変位検出プログラムにより作動する変位検出装置(図示省略)に入力されるようになっている。即ち、異物検出板6,6の変位がレバー14によって増幅されて変位検出装置で検出される。
【0020】
このような構成によれば、図7に示す状態にて、送り移動される2枚のフィルムF(前の被包装品がピロー包装されている)をシーラ本体10,11の両溶着端面間に挟み付けて溶着する際に、横シール部4に異物5が介在していると異物検出板6,6が上方に変位するため、その変位が変位検出センサー7で検出され、その検出信号が変位検出装置に入力されることで異物5の介在を検出することができる。その異物検出板6,6は、シーラ本体10のスリット孔に独立に変位自在に設けられているため、充分なシール強度を得られるだけの付勢力をシーラ本体10,11間に作用させた状態下においても、横シール部4に異物5が介在していると、溶着時に異物検出板6,6が応答性よく変位するため、シール強度を低下させることなく、溶断部分の前後で高い精度で異物5を検出することができる。
【0021】
なお、本発明は、実施の形態に限定されることなく、発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、適宜、必要に応じて、設計変更や改良等を行うのは自由であり、例えば、横シーラー3は回転式やハーメチック式に限られることなくボックスモーション式であってもよい。また、異物検出板6は単一であってもよい。さらに、2つの異物検出板6,6を、各独立に変位させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態1に係る異物検出装置の要部拡大説明図である。
【図2】同異なる状態の要部拡大説明図である。
【図3】同別の状態の要部拡大説明図である。
【図4】同横シーラーの正面図である。
【図5】同横シーラーの側面図である。
【図6】同別の要部拡大説明図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係る異物検出装置の要部拡大説明図である。
【図8】同横シーラーの正面図である。
【図9】同図8のA−A線矢視相当断面図である。
【符号の説明】
【0023】
1,2…シールカット手段、3…横シーラー、4…横シール部、5…異物、6…異物検出板、7…変位検出センサー、10,11…シーラ本体、12…切刃,13…受刃、F…フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピロー包装工程において被包装品の前後でフィルムの送り方向に直交する方向にヒートシールカットする一対のシールカット手段を備えた横シーラーに設けられる異物検出装置であって、
何れか一方の前記シールカット手段には、独立に変位自在であり、かつ、他方の前記シールカット手段に向けて付勢される接触式の異物検出板を設けると共に、前記異物検出板の変位を検出するための変位検出センサーを設けたことを特徴とする異物検出装置。
【請求項2】
前記一対のシールカット手段は、送り移動されるフィルムを挟むように対向して配設され互いに同期してフィルムの送り方向に回転駆動される2つの回転体にそれぞれ取り付けられ、前記一方のシールカット手段には加熱可能なシーラ本体と切刃が設けられ、前記他方のシールカット手段には加熱可能なシーラ本体と受刃が設けられ、前記切刃又は受刃の両側に前記異物検出板を一対配設したことを特徴とする請求項1に記載の異物検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−230576(P2007−230576A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−51798(P2006−51798)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(000110125)トキワ工業株式会社 (16)
【Fターム(参考)】