説明

異種ネットワークにおけるシームレスハンドオーバ

モバイル装置(120)と現在のネットワーク(110)との間の通信リンクを新しいネットワーク(130)へ移すシームレスハンドオーバのための方法および装置が提供される。前記方法は、前記新しいネットワークを発見するステップと、前記現在のネットワークと、前記新しいネットワークと、前記通信リンク(160、161)を介して前記モバイル装置にサービスを提供するサービスプロバイダ(140)との間の信頼関係(152)を構築するステップと、コンテクストパラメータを前記現在のネットワークから前記新しいネットワークに転送するステップと、前記現在のネットワークから前記新しいネットワークへの前記通信リンクのハンドオーバを実行するステップとを含む。前記現在のネットワークと前記新しいネットワークと前記サービスプロバイダとの間の信頼関係を構築することによって、前記ハンドオーバは適切に準備されて、短時間で完了することが可能である。さらに、コンテクストパラメータを転送することによって、前記新しいネットワークは、前記通信に対処するのに必要な通信環境をセットアップすることが可能になり、通信サービスの中断や終了を回避することができる。実際のハンドオーバはわずかな動作のみですむため、短期間で、かつサービス提供を継続しつつシームレスなネットワーク間ハンドオーバが可能になる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現在のネットワークと通信装置との間の通信リンクを新しいネットワークへ移すシームレスハンドオーバ方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信ネットワークは、ますます一般的になっており、従来の固定有線通信ネットワークと共存、あるいはこれに取って代わっている。無線通信ネットワークによってユーザは、電話端末間の通話中、あるいは計算装置間のデータ通信中などに、別のユーザや装置に情報を無線で送信できる。携帯電話は、音声および/またはデータ通信において広く使用されている1タイプの無線通信装置である。同様に、モバイルコンピュータは1タイプの無線通信装置であり、データ送信用および/または他の通信や計算装置との音声通信を支援するための無線通信ネットワークに接続可能である。
【0003】
無線通信ネットワーク用の多数の異なる通信基準および技術が存在して、様々なタイプのサービスを提供しており、また、同じまたは異なる基準に従って動作するネットワークが、同じ地理的エリアに共に配置されてもよく、あるいは部分的に相互に重複してもよい。個々のネットワークはまた、モバイル装置が所望するアクセス技術に応じて異なる通信基準に従って動作してもよい。同様に、モバイル装置は、無線ネットワークによって提供されたアクセス技術に応じて異なる基準に従って動作する能力を有してもよい。
【0004】
無線通信ネットワークはセルラーネットワーク構造を有してもよく、例としてGSM(Global System for Mobile Communications)やUMTS(Universal Mobile Telecommunications System)などのモバイル通信ネットワークがある。セルラーネットワークは一般的に、モバイル装置間の無線送信用に利用可能な周波数スペクトルをより効率的に使用するために、個々のセルに再分割される。ネットワークの2つのセルが、相互に隣接したり、または少なくとも部分的に相互に重複したりすることがある所与の地理的エリアをカバーしている。
【0005】
音声またはデータ通信中のモバイル装置が通信ネットワークのあるセルから通信ネットワークの別のセルに移動すると、これらのセル間のハンドオーバが実行されて、進行中の通信をセル間でハンドオーバする。通信ネットワークの個々のセルはより大きな地理的領域をカバーしているため、モバイル装置は、進行中の音声またはデータ通信の中断を経験せずにネットワークのカバレージエリア内を自由に移動することができる。
【0006】
例えば、モバイル装置のユーザが相手と音声またはデータ通信中である場合、自分のモバイル装置はサービング通信ネットワークのセルの最初の1つを介して接続されてもよく、通信はこの第1のセルによって取り扱われることになる。通信の相手はネットワークに直接接続されてもよく、あるいは別のネットワーク、例えば別のモバイル通信ネットワークや従来の固定有線通信ネットワークの加入者であってもよい。モバイル装置がサービングネットワークの第2のセルのカバレージエリアに引き続き移動すると、通信はネットワークの第2のセルにハンドオーバされる。ハンドオーバの後、モバイル装置と相手との通信はネットワークの第2のセルを経由することになる。
【0007】
別の例によると、モバイル装置は、eメールサービスプロバイダによって提供されるeメールサービスなどの、サービスプロバイダによって提供されているサービスを使用してもよい。また、前例と同様に、サービスプロバイダとモバイル装置との間で送受信される通信データは、モバイル装置からサービングネットワークのセルに、次いでサービスプロバイダへと送信され、あるいはこの逆の順をたどる。さらに、モバイル装置が次にサービングモバイル通信ネットワークの別のセルのカバレージエリアに移動すると、サービスプロバイダからのサービスに関する全通信が他のセルにハンドオーバされる。
【0008】
通常、いずれの場合も、モバイル装置のユーザはハンドオーバに気付かない、つまり、音声通信は中断されないままであり、使用されたeメールサービスは中断なしに継続される。
【0009】
しかしながら、モバイル装置がサービングネットワークや現在のネットワークのカバレージエリアを越えて移動すると、通信はもはやこのネットワークで対処されず、第2のネットワークや新しいネットワークへのハンドオーバが必要になる。例えば、現在のネットワークから新しいネットワークに通信を移動させるために、モバイル装置はモバイル装置と現在のネットワーク間の通信経路を終了させ、その後新しいネットワークを介する通信経路を再確立するために新しいネットワークに接続してもよい。
【0010】
しかしながら、ネットワークは異なるオペレータを有することがあり、ハンドオーバは注意深くネゴシエーションされなければならないことがある。さらに、上記のとおり、多数の異なる通信基準が共存しているために、異なる性能を有する異なるタイプのネットワーク間の通信のハンドオーバが所望または必要とされることがある。従って、1つの同じサービングネットワーク内のハンドオーバがかなりの時間を要することがなくても、モバイル装置は既にサービングネットワークによって登録されており、例えばネットワークのあるセルから同じネットワークの別のセルに移動するために、2つの異なる通信ネットワーク間のネットワーク間ハンドオーバがかなりの時間を必要とすることがある。例えば、現在のネットワークからの通信を継承するために選択された新しいネットワークは、音声通信やサービス提供など、進行中の通信の現在のネットワーク特徴とのネゴシエーションを要することがあり、ネットワークは加入者および認証情報を交換しなければならず、また新しいネットワークは通信に対処するための適切なリソースを用意しなければならないことがある。
【0011】
さらに、2つの異なるネットワーク間の単純な音声通信のハンドオーバには容易に対処できるのに対して、新しいネットワークには必要な情報が欠けていることがあり、シームレスにサービス提供を継続する立場でないこともあるために、例えば現在のネットワークを介して提供されたサービスに関するより複雑な通信のハンドオーバがハンドオーバ中のサービスの終了をもたらすことがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、本発明の目的は、短時間でかつサービス提供を継続しつつシームレスネットワーク間ハンドオーバを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のこの課題は、モバイル装置と現在のネットワークとの間の通信リンクを新しいネットワークへ移すシームレスハンドオーバ方法によって解決され、前記新しいネットワークを発見するステップと、前記現在のネットワークと前記新しいネットワークと前記通信リンクを介して前記モバイル装置にサービスを提供するサービスプロバイダ間の信頼関係を構築するステップと、通信環境を特徴付けるコンテクストパラメータを前記現在のネットワークから前記新しいネットワークに転送するステップと、前記現在のネットワークから前記新しいネットワークへの前記通信リンクのハンドオーバを実行するステップとを含む。前記現在のネットワークと前記新しいネットワークと前記サービスプロバイダとの間の信頼関係を構築することによって、前記ハンドオーバは適切に準備されて、短時間で完了することができ、通信動作のシームレスハンドオーバにつながる。さらに、コンテクストパラメータを転送することによって、前記新しいネットワークは、通信に対処するために必要な通信環境をセットアップすることが可能になり、通信サービスの中断や終了を回避することができる。
【0014】
好都合なことに、現在のネットワークは、ハンドオーバを行う新しいネットワークを発見する動作を実行してもよい。選択は、利用可能なネットワークから、例えば、最も適切な新しいネットワークの多数から新しいネットワークを選択するステップを含んでもよい。
【0015】
さらにまた、前記発見ステップは、前記モバイル装置に前記新しいネットワークに関する情報、例えばIDおよびネットワーク特徴などを提供するために、前記新しいネットワークについての情報を前記現在のネットワークから前記モバイル装置に送信するステップを含んでもよい。
【0016】
あるいはまた、モバイル装置が2つ以上のアクティブRF接続を維持している場合、前記発見ステップは前記モバイル装置で前記新しいネットワークを発見するステップを含んでもよい。
【0017】
有益なことに、欠落している信頼関係を識別し、信頼関係の迅速な構築を可能にするために、前記サービスプロバイダと前記現在のネットワークと前記新しいネットワークとの間の既存の信頼関係が判断される。
【0018】
前記判断ステップが、前記サービスプロバイダと前記現在のネットワークとの間、および前記現在のネットワークと前記新しいネットワークとの間のみの既存の信頼関係を示す場合、前記現在のネットワークは、前記新しいネットワークと前記サービスプロバイダとの間の信頼関係を構築してもよい。このステップにおいて、前記現在のネットワークは、好都合なことに、前記新しいネットワークおよび前記サービスプロバイダに関する既存の信頼情報を使用してもよく、少ない通信および計算要件で前記新しいネットワークと前記サービスプロバイダとの間の信頼構築につながる。
【0019】
さらに、前記判断ステップが、前記サービスプロバイダと前記現在のネットワークとの間、および前記サービスプロバイダと前記新しいネットワークとの間のみの既存の信頼関係を示す場合、前記サービスプロバイダは、前記新しいネットワークと前記現在のネットワークとの間の信頼関係を構築してもよい。
【0020】
代替的または追加的に、前記新しいネットワークは、信頼構築をさらに容易にするために、信頼関連情報について前記サービスプロバイダとコンタクトをとってもよい。
【0021】
別の実施形態によると、前記サービスプロバイダは、コンテクスト情報を前記現在のネットワークから前記新しいネットワークに送信してもよい。これによって前記新しいネットワークはハンドオーバ中に通信経路を確立するステップを改善することができる。
【0022】
さらにまた、本発明の前記方法は、前記モバイル装置および前記新しいネットワークの通信パラメータの少なくとも1つを測定するステップを含んでもよい。前記パラメータは、前記モバイル装置の位置、速度、移動方向、信号品質およびネットワーク遅延時間の少なくとも1つを含んでもよい。さらに、前記パラメータは、前記モバイル装置の性能、前記新しいネットワークのリソース、前記サービスプロバイダによって提供されたサービスのタイプおよび前記新しいネットワークの性能の少なくとも1つを含んでもよい。好都合なことに、ハンドオーバを実行するか否かについての判断は測定パラメータに基づいてもよい。
【0023】
さらにまた、前記現在のネットワークは、前記判断動作を実行してもよく、また前記現在のネットワークは、前記測定パラメータについての情報を前記モバイル装置に送信して、前記モバイル装置が前記判断動作を実行できるようにしてもよい。
【0024】
また、前記モバイル装置は、前記測定パラメータに関する情報を受信していない場合、前記モバイル装置は、前記現在のネットワークに前記判断動作の実行をリクエストしてもよい。さらにまた、前記モバイル装置が2つ以上のアクティブRF接続を維持している場合、前記判断動作を実行してもよい。別の代替例によると、前記モバイル装置は前記現在のネットワークに、前記判断動作を実行して、前記測定パラメータに関する情報を前記現在のネットワークに送信することをリクエストしてもよい。
【0025】
別の実施形態によると、前記コンテクストパラメータは、ハンドオーバに必要な時間を短縮するために、および例えばサービスの重大な中断を回避するために、ハンドオーバを実行する前に転送されてもよい。
【0026】
前記現在のネットワークは、さらに前記新しいネットワークおよび前記サービスプロバイダにハンドオーバについて通知してもよい。
【0027】
さらにまた、前記新しいネットワークと前記モバイル装置との間の相互認証が実行されてもよく、ハンドオーバ中に前記モバイル装置から前記新しいネットワークに初期アクセスするためのセキュリティパラメータを作成するステップを含んでいる。
【0028】
前記セキュリティパラメータは、前記新しいネットワークで生成されてもよく、また前記新しいネットワークから前記現在のネットワークへと、そして前記現在のネットワークから前記モバイル装置にへと送信されてもよい。
【0029】
別の代替例によると、前記現在のネットワークは、前記新しいネットワークおよび前記モバイル装置に送信する追加セキュリティパラメータを生成してもよい。
【0030】
さらに別の代替例によると、前記現在のネットワークは、前記モバイル装置にハンドオーバの実行を命令してもよい。
【0031】
第1のステークホルダが前記現在のネットワークを操作してもよく、第2のステークホルダが前記新しいネットワークを操作してもよい。
【0032】
別の実施形態によると、プログラムは、上記動作のいずれかを実行するための命令を有してもよい。さらに、プログラムが具現化されたコンピュータ読み取り可能媒体が提供され、ここで前記プログラムは、データ処理装置に上記動作のいずれかを実行させる。コンピュータプログラム製品は前記コンピュータ読み取り可能媒体を含んでよい。
【0033】
本発明の課題はさらに、現在のネットワークとモバイル装置との間の通信リンクを新しいネットワークへ移すシームレスハンドオーバのための制御手段によって解決され、前記新しいネットワークを発見する手段と、前記現在のネットワークと前記新しいネットワークと及び前記通信リンクを介して前記モバイル装置にサービスを提供するサービスプロバイダとの信頼関係を構築する手段と、通信環境を特徴付けるコンテクストパラメータを前記現在のネットワークから前記新しいネットワークに転送する手段と、前記現在のネットワークから前記新しいネットワークへの前記通信リンクのハンドオーバを実行する手段とを含んでいる。
【0034】
本発明のさらなる有益な実施形態はさらなる従属請求項において開示されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の第1の実施形態について図1を参照して説明する。
【0036】
図1は、モバイル装置と現在のネットワークとの間に確立された通信経路を新しいネットワークへ移すシームレスハンドオーバのための通信環境の要素を示している。
【0037】
一般的に、モバイル装置のユーザが、相手と音声またはデータ通信中である一方で、自分のモバイル装置が、現在のネットワーク、つまりサービング通信ネットワークに接続されてもよい。同様に、モバイル装置のユーザは、eメールサービスプロバイダによって提供されたeメールサービスなどの、サービスプロバイダによって提供されたサービスを使用してもよく、サービスプロバイダとモバイル装置との間で送受信される通信データは現在のネットワークを経由する。
【0038】
モバイル装置が、現在のネットワークのカバレージエリア内を移動すると、通信は一般的に、例えば現在のネットワークの異なるカバレージエリアやセル間の通信をハンドオーバすることによって現在のネットワークを介して維持されることが可能である。
【0039】
しかしながら、モバイル装置が、現在のネットワークのカバレージエリアを越えて移動すると、通信はもはや現在のネットワークにおいては対処されず、新しいネットワークへのハンドオーバが必要となる。現在のネットワークおよび新しいネットワークは、一般的に異なる所有者やステークホルダによって操作されることになり、同じまたは異なるアクセス技術を使用してもよい。にもかかわらず、同じステークホルダが、現在のネットワークおよび新しいネットワークを操作したり、あるいはより大きなネットワークエンティティの別の部分を形成することさえも可能である。
【0040】
別のモバイル装置や、サービスプロバイダなどの相手と通信中であるモバイル装置のいわゆるネットワーク間ハンドオーバが、隣接する地理的カバレージエリアを有するネットワーク間で生じることがある。この場合、モバイル装置が現在のネットワークのカバレージエリアの境界に近づくと、モバイル装置と現在のネットワークとの間の通信は新しいネットワークにハンドオーバされる。
【0041】
さらに、例えば、第1のネットワークがオーバーロード状態となった場合、現在のネットワークとの通信接続が不良または中断される場合、サービス要件が満たされない場合など、ネットワーク間ハンドオーバは、重複するか、あるいは同じ地理的領域をもカバーするネットワーク間に生じることもある。また、モバイルユーザが、サービスプロバイダからサービスを得て、通信に対処する現在のネットワークが、帯域幅およびサービス特徴などのリクエストされたサービス特徴をもはや提供できない場合に、通信のハンドオーバが必要とされることがある。
【0042】
図1に示された本発明の実施形態の通信環境によって、2つのネットワーク間の上記ハンドオーバが可能になる。より正確には、図1に示された通信環境は、ハンドオーバの準備段階を実行することによって、現在のネットワークから新しいネットワークへの通信サービスのシームレスハンドオーバを可能にする。シームレスハンドオーバとは、通信リンクおよび提供されている通信サービスの重大な劣化を伴わないハンドオーバのことである。理想的には、モバイル装置のユーザはシームレスハンドオーバを気付くことさえない。ハンドオーバの準備段階によって、新しいネットワークは実際のハンドオーバ中に通信をより迅速に継承することができ、さらに新しいネットワークは進行中の通信、例えば別のモバイル装置やサービスプロバイダによって提供されたサービスとの通信を容易に継続できる。
【0043】
ハンドオーバの準備段階は、現在のネットワークと新しいネットワークとサービスプロバイダとの間の信頼関係を構築するステップと、実際のハンドオーバを実行する前に現在のネットワークから新しいネットワークにコンテクスト情報を転送するステップとを含む。従って、現在のネットワークと新しいネットワークとサービスプロバイダとの間の信頼できる環境がハンドオーバに備えて確立されると、ハンドオーバ中の信頼のネゴシエーションに費やす時間を回避することができる。さらに、新しいネットワークは既に、例えば現在のネットワークからハンドオーバされるモバイル装置への通信リンクを特徴付ける情報を保持しているため、通信リンクのセットアップに備えることができ、実際のハンドオーバは短い時間遅延で実行可能である。通信リンクは、データや音声などの情報を送受信するためのモバイル装置およびネットワーク間の接続である。さらに、新しいネットワークが、ハンドオーバされる通信サービスについてのコンテクスト情報を取得すると、通信サービスのセットアップに備えることができ、サービスの中断が回避可能である。
【0044】
次に図1を詳細に参照すると、通信環境は現在のネットワーク110と、モバイル装置120と、新しいネットワーク130とサービスプロバイダ140とを含む。さらに、図1は、通信をハンドオーバするために実行される動作を制御するための制御手段100を示す。図示されるように、制御手段100は現在のネットワーク110と、モバイル装置120と、新しいネットワーク130とサービスプロバイダ140とに少なくとも部分的に一体化されてもよく、あるいは別個のエンティティを形成してもよい。
【0045】
さらに、モバイル装置120は、現在のネットワーク110へのアクティブ通信リンク160を有するとみなされる。通信リンク160は、サービスプロバイダ140からモバイル装置120に通信サービスを提供するために使用される。例えばサービスは、eメールサービス、あらゆる種類のデータサービスおよび音声サービスなどであってもよい。あるいはまた、サービスプロバイダは、モバイル装置120と音声またはデータ通信中の別のモバイル装置であってもよい。
【0046】
図1において、モバイル装置120と現在のネットワーク110との間の通信リンク160が、新しいネットワーク130に、例えばモバイル装置120の新しいネットワーク130のカバレージエリアへの移動などの上記概説した理由によってハンドオーバされると仮定する。154で示された、新しいネットワークへの通信リンクのハンドオーバの後、サービスプロバイダ140からの通信サービスは、161で示されるように、新しいネットワーク130と、モバイル装置120にハンドオーバされた通信リンクとを介して提供される。
【0047】
しかしながら、新しいネットワークおよび現在のネットワークは異なる所有者やステークホルダによって操作されることがあり、新しいネットワークは、モバイル装置120の特徴、サービスプロバイダ140によって提供される通信サービスのタイプおよび確立される通信リンクの追加要素や要件を認識しないことがある。さらにまた、現在のネットワークおよび新しいネットワークおよびサービスプロバイダは、相互信頼関係のない別個の環境、つまり通信リンクおよび/または通信サービスの、相互のネットワーク間ハンドオーバを実行するための基本的合意のない別個の環境であってもよい。
【0048】
従って、通信リンク160を新しいネットワーク130に実際にハンドオーバする前に、152で示されるように現在のネットワークと新しいネットワークとサービスプロバイダとの間の信頼関係があることが保証されなければならない。さらに、サービスプロバイダによって提供される通信サービスの円滑な転送を提供するために、コンテクスト情報が、153で示されるように現在のネットワークから新しいネットワークに転送されるべきである。
【0049】
従って、第1の動作シーケンスにおいて、相互信頼関係の存在が判断され、および/または現在のネットワークと新しいネットワークとサービスプロバイダとの間の欠落している相互信頼関係が構築される。さらに、コンテクスト情報が新しいネットワークに転送されることによって、ハンドオーバが適切に準備され、短時間でかつ提供されている通信サービスを著しく中断することなく実行されることが可能である。
【0050】
現在のネットワークと新しいネットワークとサービスプロバイダとの間の相互信頼関係の判断および/または構築の前に、およびコンテクストが転送される前に、新しいネットワークのIDを選択および/または判断するための発見動作が実行される必要がある。
【0051】
発見動作は図1に151で示されており、多数の利用可能なネットワーク候補から新しいネットワークを選択する選択動作を含んでもよい。図1は、新しいネットワーク130と2つのさらなるネットワーク131および132とを含む3つの例示的ネットワーク候補を示す。現在の状況において、新しいネットワーク130が、以下に概説するように、ハンドオーバの適切な候補として選択されると仮定する。
【0052】
上記のとおり、制御手段100は、発見動作と、信頼構築動作とハンドオーバ前のコンテクスト転送動作とを制御するために提供される。好ましくは、制御手段100は、新しいネットワーク130を発見する手段と、現在のネットワークと新しいネットワークとサービスプロバイダとの間の信頼関係を構築する手段と、コンテクストパラメータを現在のネットワークから新しいネットワークに転送する手段と、現在のネットワークから新しいネットワークへの通信リンクのハンドオーバを実行する手段とを含む。
【0053】
一例によると、制御手段は少なくとも部分的に現在のネットワーク110に一体化されており、この場合現在のネットワークは、新しいネットワークを発見する動作と、現在のネットワークと新しいネットワークとサービスプロバイダとの間の相互信頼関係を構築する動作と、コンテクストパラメータを現在のネットワークから新しいネットワークに転送する動作と、新しいネットワークへの通信リンクのハンドオーバを実行または命令する動作とを実行してもよい。
【0054】
代替例によると、制御手段100の要素はサービスプロバイダ140に一体化されてもよい。一例によると、サービスプロバイダは、サービスプロバイダと現在のネットワークと新しいネットワークとの間の相互信頼関係を構築する動作を実行し、サービスプロバイダ140は、コンテクストパラメータを現在のネットワークから新しいネットワークに転送または中継する動作を実行する。
【0055】
さらにまた、別の実施形態によると、制御手段100の少なくとも一部がモバイル装置120に一体化されてもよい。例えば、モバイル装置120は、新しいネットワーク130を発見する動作を実行してもよい、つまりモバイル装置は、ネットワーク130、131および132などの多数の利用可能なネットワークから適切な新しいネットワークを選択する動作を実行してもよい。さらに、モバイル装置120はハンドオーバを開始して、現在のネットワークおよび/またはサービスプロバイダと新しいネットワークに相互信頼関係を構築し、コンテクストを現在のネットワークから新しいネットワークに転送することを命令してもよい。
【0056】
この実施形態によって、ハンドオーバ中に重大なサービスの劣化を起こさずに現在のネットワークから新しいネットワークへの通信の高速ハンドオーバが可能になる。さらに、ハンドオーバは、例えば異なるステークホルダによって操作される異なるネットワーク間で可能になり、既存のネットワークの再使用を可能にして、異なるネットワーク間の通信トラフィックを交換する。さらに、ハンドオーバを実行するための標準的な解決策を提供することによって、既存の通信プロトコルは、現在のネットワークとモバイル装置とサービスプロバイダと新しいネットワークとの間で必要なメッセージを送受信するために使用可能である。さらにまた、ハンドオーバに関して、相互信頼関係が確立されて、セキュリティレベルが維持されることが可能である、つまり通信は信頼できない環境にはハンドオーバされない。例えば、相互信頼関係を判断および/または構築するために必要なメッセージおよびコンテクスト情報を新しいネットワークに転送するために必要なメッセージは、既存のメッセージおよび/またはデータメッセージに追加可能であり、これによって、GSM、UMTS、D−AMPS、IEEE802.11基準、3G(Third Generation)または3G以降のネットワークなどの通信基準で動作する無線システムへの最小限の適合のみですむ。
【0057】
以下、図1に示される通信環境についてさらに詳細に概説する。以下は例示のみを構成し、本発明を制限するものとして解釈されるべきではないことに留意すべきである。
【0058】
図1に示されたモバイル装置120は、携帯電話として示されているが、そうではなく任意の種類のモバイル通信装置であってもよい。例えば、モバイル装置は、ラップトップコンピュータおよびPDA(Personal Digital Assistance)などを含むモバイル計算装置などであってもよい。モバイル装置100は、サービスプロバイダ140や、別のモバイルまたは固定有線通信装置を含む通信システムの他の要素と一方向または双方向通信している。
【0059】
モバイル装置、はGSM、UMTSおよびD−AMPSなどの任意の基準に従って動作してもよく、また無線LAN基準や、1999年に標準化されたIEEE802.11の「Wireless LAN and medium access control(MAC)and physical layer(PHY)specification」を含む分散型媒体アクセスコントロールによる無線通信ネットワーク用の基準に従って動作してもよい。異種またはアドホックネットワークは、集中管理なしに、または通信相手への通信チャネルの割当てなどの通信リソースの集中的管理なしに形成された無線ネットワークである。
【0060】
モバイル装置は、複数の基準やアクセス技術を実現可能であるために、異なる基準に従って動作する無線通信ネットワークに接続可能である。
【0061】
モバイル装置はさらに、1つ以上のRF接続を操作して異なる基準をサポートすることができる。さらに、これによってモバイル装置は、他の通信ネットワークからの信号を同時に監視しつつ現在のネットワークとのアクティブ通信を維持することができる。ここで、RF接続とは、ネットワークが使用するアクセス技術に応じて、特定の周波数、タイムスロットおよび特定のコードなどで送信された情報を受信および分析するモバイル装置の機能のことである。例えば、モバイル装置はまた、GSM、UMTS、D−AMPS、3G(Third Generation)または3G以降のネットワーク、無線LAN基準などの、モバイル装置がサポートする各アクセス技術に従って少なくとも1つのRF接続を維持することができる。
【0062】
モバイル装置100によって実行される通信、またはモバイル装置100を使用する通信は、例えばサービスプロバイダとモバイル装置との間の通常の電話コールやデータ通信における音声通信および/またはデータ通信を伴ってもよい。アプローチの組み合わせも可能である。
【0063】
モバイル装置は、ニュース提供に関するデータサービス、eメールサービス、ローカルイベント情報、交通情報、予約サービスおよびバンキング取引サービスなどの、サービスプロバイダ140からのあらゆる種類の通信サービスを取得することができる。また、通信サービスは、外部からのアクセスを制限するためのファイアウォールを具備する全社的な通信ネットワークを含む、会社の通信ネットワークへのアクセスを含んでもよい。
【0064】
モバイル装置120は、好ましくは、プロセッサを含んでおり、さらに新しいネットワーク130を発見して、現在のネットワークにハンドオーバを実行し、および新しいネットワークに関する情報をモバイル装置に提供するように命令するための制御手段100の機能を含む、モバイル装置の通信機能性を実現するための符号化命令を記憶するためのメモリを含んでいる。
【0065】
モバイル装置はまた、現在のネットワークから新しいネットワークへのネットワーク間ハンドオーバの必要性を判断する手段を含んでもよく、現在のネットワークおよび/または新しいネットワークから受信された情報に基づいてハンドオーバについて判断してもよい。例えば、現在のネットワークは、現在のネットワークでの通信負荷が過剰な場合、あるいは通信サービスのリソース要件が変化して現在のネットワークによってはもはや満たされない場合に、ハンドオーバを提案してもよい。さらに、通信要件が変化し、および/または現在のネットワークが通信の十分または適切なリソースを割り当てることができない場合に、モバイル装置がネットワーク間ハンドオーバの実行を決定することができる。例えば、より多くのデータがサービスアプリケーションで送信される必要がある場合、あるいはリアルタイム要件などの通信要件が一定の基準を満たす必要がある場合に、通信中の送信帯域幅要件が変化することがある。
【0066】
現在のネットワーク110は、GSM、UMTS、D−AMPS、無線LAN基準、3G(Third Generation)または3G以降のネットワークなどの任意の通信基準やこれらの組み合わせに従って動作するあらゆる種類の無線通信ネットワークを構成することができる。さらにまた、現在のネットワークは、アドホック通信ネットワークなどの異種通信ネットワークの少なくとも一部を形成してもよい。現在のネットワークが、制御手段100の少なくとも一部を一体化して、少なくとも1つの処理ユニットと、ロード時に制御手段の上記概説された機能性および/または現在のネットワークの他の機能性を、プロセッサに実行させる符号化命令を記憶するための少なくとも1つのメモリとを含むことが可能である。
【0067】
現在のネットワークと同様に新しいネットワーク130は任意の種類の無線通信ネットワークによって構成されてもよい。現在のネットワークおよび新しいネットワークは異なるステークホルダ、つまり異なる動作エンティティによって操作されてもよいが、現在のネットワークおよび新しいネットワークが同じステークホルダによって操作される異なるネットワークを構成することもまた可能であり、単一の通信ネットワークの異なる別個の部分を構成してもよい。
【0068】
現在のネットワークおよび新しいネットワークは同じ通信基準に従って動作することが可能であるのに対して、現在のネットワークおよび新しいネットワークが異なる通信スキームに従って動作することも可能である。例えば、現在のネットワークはGSM基準に従って動作するのに対して、新しいネットワークはIEEE802.11基準に従って動作する異種通信ネットワークを構成する。
【0069】
同様に、図1に示されるさらなるネットワーク131および132は、現在のネットワークおよび/または新しいネットワークと同じまたは異なる任意の通信基準に従って動作するあらゆる種類の通信ネットワークを構成することができる。この場合、新しいネットワーク130が、ハンドオーバのために選択されるのに対して、別の通信ネットワーク、つまりネットワーク131やネットワーク132が、ハンドオーバのために選択可能な場合もある。
【0070】
サービスプロバイダ140は、現在のネットワーク110および新しいネットワーク130などの無線ネットワークを介して加入者、例えばモバイル装置にあらゆる種類の通信サービスを提供するあらゆる種類のエンティティによって構成されてもよい。上記のとおり、通信サービスはあらゆる種類のデータまたは音声サービス、例えばモバイル装置120のユーザが加入しているサービスに関連してもよい。サービスプロバイダは、ネットワークの1つ、例えば現在のネットワークまたは新しいネットワークの一部を形成してもよく、あるいは有線または無線通信リンクへ現在のネットワークおよび新しいネットワークと通信する別個のエンティティを形成してもよい。サービスプロバイダが多数のサービス加入者にサービス提供する大きな組織であってもよいのに対して、通信装置はモバイル装置120にサービスを提供するサービスプロバイダを構成することも可能である。例えば、サービスプロバイダはホームコンピュータ、PDA、ラップトップコンピュータ、あるいは、モバイル装置120とデータを送受信する他のモバイル装置であってもよい。
【0071】
154で示されたハンドオーバの前に、サービスプロバイダによって提供された通信サービスに関するデータは、サービスプロバイダ140から現在のネットワーク100に、そして通信リンク160を介してモバイル装置120に転送され、あるいはこの逆の順をたどる。ハンドオーバ後、通信サービスに関するデータは、サービスプロバイダ140から新しいネットワーク130および通信リンク161を介してモバイル装置120に転送される。
【0072】
上記のとおり、ハンドオーバを実行する必要性または要求を検出した後に、第1の動作シーケンスにおいて、矢印151で示されるように、適切な新しいネットワークが多数の候補から選択される。この発見動作は、現在のネットワークおよび/またはモバイル装置で実行されてもよい。例えば、現在のネットワークおよび/またはモバイル装置は、各ネットワークによって配信されたビーコン信号に基づいて新しいネットワークを発見してもよい。近接するネットワーク候補からビーコン信号を受信すると、現在のネットワークおよび/またはモバイル装置は、ビーコン信号を分析して、近くのネットワーク候補のIDを発見する。
【0073】
多数のネットワーク候補を発見した後に、ネットワークの適切な1つが新しいネットワークとして選択される。選択は発見されたネットワークの性能、例えばハンドオーバ後の通信に対処する能力、およびリソースの利用可能性などに基づいてもよい。さらに、選択は、モバイル装置の位置、モバイル装置の速度、移動方向、信号品質およびネットワーク遅延時間などの測定パラメータに基づいてもよい。さらにまた、選択はモバイル装置の性能、例えばネットワーク候補との通信能力、新しいネットワークのリソース、サービスプロバイダによって提供されたサービスのタイプなどに基づいてもよい。
【0074】
現在のネットワークが、測定パラメータおよび性能に基づいて判断動作を実行してもよいのに対して、現在のネットワークは、測定パラメータおよび性能についての情報を、例えばモバイル装置からのリクエストに応答してモバイル装置に送信して、モバイル装置が判断動作を実行できるようにすることも可能である。特にモバイル装置が2つ以上のアクティブRF接続を維持している場合には、モバイル装置自身が判断動作を実行してもよい。
【0075】
さらにまた、モバイル装置が、測定パラメータについての情報を受信していない場合、モバイル装置は、現在のネットワークに判断動作の実行をリクエストしてもよく、あるいはさらに別の代替例によると、モバイル装置は、現在のネットワークに判断動作を実行して、測定パラメータについての情報を現在のネットワークに転送するようにリクエストしてもよい。
【0076】
図1の実施形態は、ハンドオーバに必要な時間を短縮し、かつ通信サービスの中断や終了を回避するために、現在のネットワークから新しいネットワークへの通信のハンドオーバに適切に準備する動作を示す。
【0077】
以下、本発明のさらなる実施形態について図2を参照して説明する。
【0078】
図2は、モバイル装置と現在のネットワークとの間の通信リンクを新しいネットワークへ移すシームレスハンドオーバを実行するための方法の動作を示し、通信リンクはサービスプロバイダからの通信サービスを搬送する。図2の動作は、図1に示されたような通信環境を使用して実行可能であるが、図2はこれに制限されない。
【0079】
第1の動作201において、新しいネットワークが発見される。発見動作は通信リンクがハンドオーバされる新しいネットワークのIDを判断するステップを含み、好ましくはアクセス技術および性能などの新しいネットワークの特定の特徴を判断するステップを含む。
【0080】
上記のとおり、発見ステップは図1に示された現在のネットワーク110などの現在のネットワークによって実行されてもよい。例えば、現在のネットワークは多数の隣接または重複する通信ネットワークを新しいネットワークの可能な候補として判断してもよく、上記判断パラメータに基づいて判断動作を実行してもよい。あるいはまた、モバイル装置120などのモバイル装置は発見動作を実行してもよく、つまり潜在的な新しいネットワークに関する情報を収集してもよく、また選択ステップを実行してもよい。
【0081】
現在のネットワークおよび/またはモバイル装置は、各ネットワークによって送信されたビーコン信号を監視することによって、あるいは新しいネットワーク候補によって送信されたさらなる情報やメッセージを分析することによって、新しいネットワーク候補に関する情報を収集することができる。モバイル装置が、2つ以上のRF接続を維持可能な場合、モバイル装置は、図1に示されたサービスプロバイダ140などのサービスプロバイダによって配信された通信サービスにアクティブに加わっていてもよく、同時にさらなるネットワーク、例えば上記のような同じまたは異なるアクセス技術を使用するネットワークによって送信された情報を監視してもよい。同様に、現在のネットワークが、発見ステップを実行する場合、現在のネットワークは、異なるアクセス技術を使用して新しいネットワーク候補を検出する。
【0082】
新しいネットワークを特徴付ける情報、例えばID情報、使用されるアクセス技術などが現在のネットワークとモバイル装置との間で交換されて、ハンドオーバ手順を容易にすることができる。
【0083】
動作202において、さらに実際のハンドオーバの準備をすると、信頼関係は現在のネットワークと新しいネットワークとサービスプロバイダとの間で確立される。2つのエンティティ間の信頼関係は、認証のためにIDを相互に検証するステップと、セキュリティデータ転送のためにセキュリティパラメータを交換するステップと、それぞれの相手のエンティティにアクセスするために各エンティティの認証を判断するステップとを含んでもよい。
【0084】
一例によると、point−to−point(PTP)の拡張認証プロトコル(EAP)が、信頼構築のために2つのエンティティを認証するのに使用されてもよい。EAPは、point−to−pointリンク上のピア間の通信のための認証プロトコルを定義する。基本的に、エンティティの一方は相手のエンティティからのIDの証明をリクエストし、この証明は、例えば、単にワンタイムパスワードかチャレンジレスポンス型認証、あるいはセッションキーの配信ならびにネゴシエーションを実行するEAP TLS(Transport Layer Security)プロトコルのような複合プロトコルであってもよい。認証のリクエストは、2つのエンティティの一方から相手に送られ、これに対してレスポンスを受信し、これは認証者によって証明される。さらにまた、間接認証スキームを構成するRADIUSプロトコルなどの、2つのエンティティ間の信頼を構築するための他の認証スキームが使用可能であり、ここでは認証は、既知の通信エンティティごとのそれぞれのIDデータを記憶する集中サーバに対して実行される。さらにまた、暗号化および復号化に使用可能なRSAアルゴリズムなどの公開/鍵暗号化が相互信頼によってシステムを構築するために使用可能である。公開/鍵暗号化は1対の鍵、公開鍵および秘密鍵を使用する。各鍵は暗号化およびそれぞれの復号化に使用可能である。まず、鍵の対が生成され、秘密鍵はそれぞれのエンティティで記憶され、公開鍵は、それぞれの相手のエンティティを含む第三者に知らされる。秘密および公開鍵を使用して、2つのエンティティ間の安全な通信が可能になる。
【0085】
現在のネットワークと新しいネットワークとサービスプロバイダとの間の信頼関係は、データを転送しながら並行して処理され、つまりハンドオーバの準備段階で構築されてもよく、あるいは、事前に、例えば現在のネットワークと新しいネットワークおよび/またはサービスプロバイダのステークホルダとの間のフレーム一致に至った後のネットワーク展開時、または他の時点で構築されてもよい。
【0086】
従って、一部の相互信頼関係は既に存在している可能性もあり、この場合、動作202は上記のとおり、現在のネットワークと新しいネットワークとサービスプロバイダとの間の信頼関係の存在を判断するステップと、欠落している信頼関係の構築するステップとを含む。
【0087】
動作203において、次いでコンテクストパラメータが現在のネットワークから新しいネットワークに送信され、コンテクストパラメータは通信環境を特徴付ける。一般的に、コンテクスト情報は、新しいネットワークにハンドオーバされる通信リンクと関連してコンピュータによって観察可能なものを含んでいてもよい。コンテクスト情報は、モバイル装置への通信リンクを確立するときに新しいネットワークをサポートし、さらにサービスプロバイダによってモバイル装置のユーザに提供されるサービスを維持する際に、新しいネットワークをサポートすることもある。コンテクスト情報の例は、ユーザID、ユーザ認証、ユーザの好みおよびユーザの行動などを含むユーザプロファイルなどのユーザ関連情報を含む。さらに、例として、新しいネットワークとモバイル装置間に確立される通信リンクに関する情報があり、またモバイル装置に必要なアクセス技術やモバイル装置の性能などがある。さらにまた、例として、サービスプロバイダによって提供されたサービスに関する情報があり、またサービスタイプ、サービスレベル同意、および、サービスおよびユーザ加入情報などを取得するためのユーザ設定および好みなどのサービス特徴がある。
【0088】
コンテクストパラメータは、現在のネットワークで収集されてから、新しいネットワークに送信されることが可能である。代替的またはこれに加えて、モバイル装置は、少なくとも一部のコンテクストパラメータを収集してもよく、さらにモバイル装置は、現在のネットワークに、コンテクストパラメータを新しいネットワークに転送するように命令してもよい。
【0089】
現在のネットワークから新しいネットワークへのコンテクストの転送は直接、例えば現在のネットワークと新しいネットワークとの間で確立された通信リンクを介して実行されてもよく、あるいは、例えば現在のネットワークとサービスプロバイダとの間およびサービスプロバイダと新しいネットワークとの間の通信リンクを介してサービスプロバイダ上で新しいネットワークに送信されてもよい。コンテクストパラメータの一部、例えば新しいネットワークとモバイル装置との間に確立される通信リンクに関するコンテクストパラメータが、現在のネットワークから新しいネットワークに直接送信されることもまた可能であり、コンテクストパラメータの別の部分、例えば提供されているサービスに関するコンテクストパラメータが、サービスプロバイダを介して現在のネットワークから新しいネットワークに送信されることも可能である。
【0090】
コンテクストパラメータに基づいて、新しいネットワークは必要なリソースを判断および割り当て、サービスプロバイダとコンタクトをとることにより通信サービスのセットアップを準備し、特定のアクセス技術および/またはアクセス特徴に基づいてモバイル装置への通信リンクの確立を準備することなどが可能である。
【0091】
従ってコンテクストパラメータによって、新しいネットワークはハンドオーバの前に全準備ステップを行うことができ、実際のハンドオーバは短時間に、かつモバイル装置のユーザに提供されたサービスの中断なく実行可能である。
【0092】
信頼構築およびコンテクスト転送の後、実際のハンドオーバが動作204で実行される。現在のネットワークおよび/またはモバイル装置がハンドオーバを開始してもよい。例えば、現在のネットワークが、モバイル装置にハンドオーバを実行して、モバイル装置に関連データを送信するように命令することが可能であり、また反対にモバイル装置が、現在のネットワークにハンドオーバの実行を命令することも可能である。
【0093】
ハンドオーバは、新しいネットワークでのセキュリティパラメータの作成と、モバイル装置とのセキュリティパラメータの交換とを含んでもよい。一例において、実際のハンドオーバ前にセキュリティパラメータを交換する現在のネットワークを介して、セキュリティパラメータはハンドオーバの前に新しいネットワークとモバイル装置との間で交換され、ハンドオーバ後の認証動作は複雑でなくなり、ハンドオーバ手順をさらに加速させることが可能である。
【0094】
現在のネットワークが、例えば認証と、ハンドオーバの前に現在のネットワークとモバイル装置との間の通信リンクと関連して生成および記憶される認証データとに基づいて、新しいネットワークおよびモバイル装置に送信するセキュリティパラメータを生成することも可能である。
【0095】
図2の動作は、実際のハンドオーバに必要な時間を短縮し、かつサービスの中断や終了を回避するために、現在のネットワークと新しいネットワークとサービスプロバイダとの間の相互信頼関係の構築と、現在のネットワークと新しいネットワークとの間のコンテクスト情報の交換とを含む準備段階を有しているネットワーク間ハンドオーバの改良プロセスを示している。
【0096】
上記動作は制御手段100によって実行されてもよく、これは現在のネットワーク110と、モバイル装置120と、新しいネットワーク130とサービスプロバイダ140とに少なくとも部分的に一体化されてもよく、あるいは別個のエンティティを形成してもよい。
【0097】
以下、本発明のさらなる実施形態について図3を参照して説明する。
【0098】
図3はシームレスハンドオーバの通信環境の要素を示し、特に信頼の判断および構築とコンテクスト転送とを含んでいるハンドオーバの準備段階のさらなる詳細について概説する。
【0099】
図1と同様に、図3は現在のネットワーク110と、新しいネットワーク130と、モバイル装置120と、制御手段100とサービスプロバイダ140とを示す。また、図1と同様に、現在のネットワークとモバイル装置間の通信リンク160の新しいネットワークへのハンドオーバが生じ、上記のとおりモバイル装置と新しいネットワークとの間の通信リンク161の形成につながると仮定する。従って図3を参照した上記要素の詳細な説明は繰り返さない。
【0100】
さらに、154で示されたハンドオーバの準備段階において、新しいネットワークが、151で示されたように、かつ図1を参照して概説されたように発見される。
【0101】
さらに、準備段階において、現在のネットワーク110と新しいネットワーク130との間の信頼関係の存在は301で示されたように判断される。この判断動作は、前の時点で現在のネットワークと新しいネットワークとの間に信頼関係が構築されていたか否かを判断するために、例えば登録情報を閲覧する現在のネットワークによって実行されてもよい。例えば、信頼関係は早い時点で、例えば前のハンドオーバ手順中に、またはネットワーク展開時に確立されていてもよい。現在のネットワークと新しいネットワーク間に信頼関係が存在するか否かを判断する判断動作は参照番号301で示される。
【0102】
判断動作301は、既存の信頼関係を判断するために、および/または既存の信頼関係を検証するために、現在のネットワークと新しいネットワークとの間のメッセージの送受信を含んでもよい。これは検証のためのセキュリティパラメータの交換を伴ってもよい。
【0103】
同様に、動作302において、現在のネットワーク110とサービスプロバイダ140との間に信頼関係が存在するか否かが判断される。この場合、現在のネットワークおよび/またはサービスプロバイダは存在を判断し、および/または相互信頼関係を検証してもよい。
【0104】
さらにまた、動作303において、同様の動作が、存在を判断し、および/またはサービスプロバイダ140と新しいネットワーク130との間の信頼関係を検証するために実行される。
【0105】
現在のネットワークとサービスプロバイダと新しいネットワークとの間の相互信頼関係の存在を判断する上記動作と、相互信頼関係の検証は、制御手段100によって取り扱われてもよく、図1に関連して記されたように、これは別個のエンティティを形成し、および/または現在のネットワークおよび/または新しいネットワークおよび/またはサービスプロバイダの一体的部分として少なくとも部分的に実現されてもよい
【0106】
判断動作が、信頼関係の一部のみが存在すると示す場合、欠落している信頼関係は動作152で構築される。
【0107】
第1の例において、現在のネットワーク110とサービスプロバイダ140との間に相互信頼関係が存在し、現在のネットワーク110と新しいネットワーク130との間に相互信頼関係が存在する。しかしながら、サービスプロバイダ140と新しいネットワーク130との間には相互信頼関係を検出できなかった。この場合、サービスプロバイダおよび新しいネットワークとの相互信頼関係を有する現在のネットワーク110は、サービスプロバイダと新しいネットワークとの間の信頼関係を構築するためにサービスプロバイダと新しいネットワークとの間を仲介する。この仲介動作は、セキュリティパラメータを含む信頼関連情報およびパラメータを、サービスプロバイダおよび新しいネットワークと交換することを含む。サービスプロバイダと新しいネットワークとの間の信頼関係の構築は、サービスプロバイダと新しいネットワークとの間の情報の直接送信を伴ってもよいが、代替例においては、サービスプロバイダと新しいネットワークとの間の信頼関係は、一方では現在のネットワークとサービスプロバイダとの間の、他方では現在のネットワークと新しいネットワークとの間の信頼関連情報の交換に基づいてのみ構築されることも可能である。
【0108】
別の例において、現在のネットワーク110とサービスプロバイダ140との間、およびサービスプロバイダ140と新しいネットワーク130との間に相互信頼関係が存在する。しかしながら、現在のネットワークと新しいネットワークとの間の相互信頼関係はまだ存在していない。このシナリオにおいて、上記例と同様に、サービスプロバイダは、現在のネットワークと新しいネットワークとの間の信頼関係を構築するために仲介する。
【0109】
現在のネットワークと新しいネットワークとサービスプロバイダとの間の1つ以上の相互信頼関係が欠落している場合、欠落している信頼関係の構築に対して仲介するための、相互信頼関係を有するネットワーク環境の別のエンティティを判断するために、判断動作が実行可能である。このさらなるエンティティは例えば、別のネットワークや別のサービスプロバイダであってもよい。
【0110】
別の例によると、新しいネットワークは、信頼構築をさらに容易にするために、信頼関連情報についてサービスプロバイダとコンタクトをとる。例えば、新しいネットワークは、サービスプロバイダと現在のネットワークとの間の信頼関係の信頼情報に関してサービスプロバイダとコンタクトをとってもよい。
【0111】
現在のネットワークと新しいネットワークとサービスプロバイダとの間の相互信頼関係を判断および/または形成するための上記概説した判断動作の後に、例えば概説されたように、現在のネットワークと新しいネットワークとの間でコンテクスト転送が生じる。
【0112】
その後、ハンドオーバの準備段階は完了し、現在のネットワークおよび/またはモバイル装置は、矢印154で示されたように、実際のハンドオーバの実行に進む。ハンドオーバを実行して、モバイル装置120と新しいネットワーク130との間の通信リンク161を確立した後、サービスプロバイダ140は新しいネットワークを介してサービスを提供できる。
【0113】
以下、本発明のさらなる実施形態について図4を参照して説明する。
【0114】
図4はシームレスハンドオーバ方法の動作を示し、特に相互信頼関係を判断かつ構築する動作を概説する。
【0115】
図4に示されている動作は図1または3に示された通信環境を使用して実行可能であるが、図4はこれに制限されない。
【0116】
第1の動作401において、新しいネットワークは、例えば、現在のネットワークおよび/またはモバイル装置の近傍の多数の利用可能な新しいネットワーク候補から発見される。発見動作は先行実施形態を参照して概説されたとおりであってもよい。
【0117】
動作402において、現在のネットワークと新しいネットワークとサービスプロバイダとの間の既存の信頼関係が判断される。判断動作402は、先行実施形態を参照して概説されたように実行されてもよい、つまり既存の信頼関係を判断するために登録が閲覧されてもよく、また信頼関係が検証されてもよい。
【0118】
動作403において、現在のネットワークと新しいネットワークとの間の信頼関係が存在するか否かが判断される。動作403の判断が「はい」であれば、つまり現在のネットワークと新しいネットワークとの間に信頼が存在すれば、動作404において、新しいネットワークとサービスプロバイダとの間に信頼関係が存在するか否かが判断される。
【0119】
動作404において判断が「いいえ」であれば、つまり新しいネットワークとサービスプロバイダとの間の信頼関係が存在しなければ、動作405において現在のネットワークは、新しいネットワークとサービスプロバイダとの間の信頼関係を構築または仲介する。上記概説されたように、これは、現在のネットワークと新しいネットワークとの間、および現在のネットワークとサービスプロバイダとの間でのセキュリティパラメータ、ステークホルダのIDおよびネットワークなどの交換を含んでもよい。
【0120】
その後、動作406において、コンテクストパラメータが新しいネットワークに転送される。例えば、コンテクストパラメータは詳述されたように、現在のネットワークおよび/またはモバイル装置によって収集されて、直接またはサービスプロバイダを介して新しいネットワークに転送されてもよい。
【0121】
その後、動作407において、ハンドオーバの準備段階が完了した後、実際のハンドオーバが、先行実施形態を参照して詳述されたように実行可能である。
【0122】
動作404において、判断が「はい」であれば、これは新しいネットワークとサービスプロバイダとの間の信頼関係が存在することを示し、従って、全要素間、つまり新しいネットワークと現在のネットワークとサービスプロバイダとの間に相互信頼関係が存在することになれば、コンテクストパラメータを転送する動作406にフローは直接進む。
【0123】
動作403において、判断が「いいえ」であれば、これは現在のネットワークと新しいネットワークとの間の信頼関係が存在しないことを示し、動作408で、新しいネットワークとサービスプロバイダとの間に信頼関係が存在するか否かが判断される。
【0124】
動作408において、判断が「はい」であれば、これは新しいネットワークとサービスプロバイダとの間に信頼関係が存在することを示し、動作409において、サービスプロバイダは、動作405と同様に、かつ先行実施形態を参照して詳述されたように現在のネットワークと新しいネットワークとの間の信頼関係を仲介または構築する。
【0125】
動作408において、判断が「いいえ」であれば、これは新しいネットワークとサービスプロバイダとの間の信頼関係が存在しないことを示し、動作410において、対応する信頼関係が新しいネットワークとサービスプロバイダとの間でネゴシエーションされること、つまりハンドオーバの準備段階中に並行して処理することが可能であり、あるいはもしこれが不可能ならば、ハンドオーバ不能メッセージが作成されて、モバイル装置のユーザに通知されることが可能である。
【0126】
動作410において、新しいネットワークとサービスプロバイダとの間で信頼関係がネゴシエーションできずハンドオーバが不可能な場合、動作のフローは動作401に戻り、ハンドオーバする別の新しいネットワークを発見する。
【0127】
動作410に続いて、新しいネットワークとサービスプロバイダとの間の信頼関係が構築できたならば、動作409に続いて、フローはコンテクストパラメータを転送する動作406に進む。
【0128】
上記動作は、現在のネットワークとサービスプロバイダと新しいネットワークに配置された制御手段100によって実行されてもよい。
【0129】
図4は、現在のネットワークと新しいネットワークとサービスプロバイダとの間の異なる既存の相互信頼関係を有する異なるシナリオと、ハンドオーバを適切に準備するために続いて実行されるさらなる信頼関係の仲介および構築とを示す。すべての必要な信頼関係の構築とコンテクストパラメータの転送の後、実際のハンドオーバは短期間に発生可能であり、サービスの中断は回避できる。
【0130】
以下、本発明のさらなる実施形態について図5を参照して説明する。
【0131】
図5は、モバイル装置と現在のネットワークとの間の通信リンクを新しいネットワークへ移すハンドオーバの動作シーケンスを記述する動作シーケンス図、特に新しいネットワークの発見、信頼関係の構築、ハンドオーバを実行することの判断および信頼関係ゆえのハンドオーバの開始に伴う動作を示し、ここで現在のネットワークおよび新しいネットワーク、ならびに現在のネットワークおよびサービスプロバイダは既に既存の相互信頼関係を有する。さらに、ネットワークとサービスプロバイダとモバイル装置との間の信頼関係が存在することも可能である。
【0132】
図5に示されている動作は図1または3に示された通信環境を使用して実行可能であるが、図5はこれに制限されない。さらに、図5は一例に過ぎず、類似の動作を伴う他の可能なシーケンスもまた考えられる。
【0133】
発見段階において、動作501で、現在のネットワーク110は、IDやネットワーク遅延時間などのパラメータを含む新しいネットワーク130に関する情報をモバイル装置120に送り、あるいは新しいネットワークが近くにあることをモバイル装置に通知するビーコン信号を送信する。このようなビーコン信号は、定期的または必要な時のみ、例えば異なるネットワークがモバイル装置の近くに来たり、現在の通信リンクの信号品質が劣化している場合に送信されるRF信号であってもよい。
【0134】
他方で、動作502でRF信号などによって新しいネットワーク自身を検出可能であるため、例えばモバイル装置が2つ以上のアクティブRF接続を維持可能なために、モバイル装置が近くにある新しいネットワークについて既に知っている場合、動作501は必要でないことがある。
【0135】
判断段階において、モバイル装置は、動作503で新しいネットワークを発見した後にハンドオーバについて判断できる。
【0136】
以下の動作504において、モバイル装置は、先行実施形態で詳細に説明され、およびモバイル装置がハンドオーバを判断またはサポートするのを認証された場合にのみ送られる測定パラメータを含んでいる判断情報と共に、ハンドオーバリクエストを現在のネットワークに送る。
【0137】
しかしながら、現在のネットワークがハンドオーバについて判断すれば、現在のネットワークは動作505において新しいネットワークとの信頼関係について判断して、動作506でハンドオーバについて判断する。
【0138】
動作507において、現在のネットワークは、新しいネットワークとサービスプロバイダとの間の既存の信頼関係を判断して、サービスプロバイダにハンドオーバの開始を通知する。この信頼関係の問い合わせは、現在のネットワークと新しいネットワークとサービスプロバイダが、既に相互信頼関係について知っている場合には必要ない。あるいはまた、ハンドオーバについての情報は動作シーケンスの後の段階で送られてもよいが、必須ではない。
【0139】
この信頼関係構成において、サービスプロバイダは動作508で、新しいネットワークとの信頼関係を有することについて否定応答(NACK)する。
【0140】
従って、動作509において、現在のネットワークは新しいネットワークとサービスプロバイダ間の信頼を構築し、ここで新しいネットワークとサービスプロバイダとの間の信頼構築は1回限りの使用であっても複数の使用であってもよく、複数の使用は将来のハンドオーバにとって有益である。
【0141】
この信頼構築がうまくいかなかった場合、失敗の理由を添えたNACKメッセージが動作510でモバイル装置に送られ、動作シーケンスが最初から反復される。
【0142】
そうでなければ、現在のネットワークは、ハンドオーバリクエストを動作511で新しいネットワークに送り、新しいネットワークは、動作512で現在のネットワークと、動作513でサービスプロバイダとの信頼関係を有するか否かを判断し、動作514で、利用可能な容量などに基づいてハンドオーバを許可することを決定する。そして、新しいネットワークは、相互認証パラメータを含むセキュリティパラメータを作成し、これは新しいネットワークに初期アクセスするためにモバイル装置が必要とする情報であり、ここで認証パラメータは、ネットワークのエンティティを識別してその優先度を判断したり、秘密・公開キー経路を介する安全なコンテンツ交換を可能にしたりするためのパラメータを含む。
【0143】
その結果、動作515で、新しいネットワークは、現在のネットワークへのハンドオーバについて肯定応答し、作成したセキュリティパラメータを現在のネットワークに送り、あるいはハンドオーバが失敗した場合には、失敗の理由を添えたNACKメッセージを現在のネットワークに送り、これは動作516でモバイル装置に引き続き転送される。
【0144】
開始段階において、第1の動作517で、現在のネットワークは、必要ならばセキュリティパラメータを作成し、これは相互認証および初期アクセスのためにモバイル装置および新しいネットワークに送られなければならない。参照番号517で示されたこの動作はまた動作519の後にも可能であるが、動作520の前でなければならない。さらに、動作515で新しいネットワークから受け取った情報は十分であり、動作517が必要ないということも考えられる。
【0145】
動作518において、コンテクストパラメータは、現在のネットワークがセキュリティパラメータを作成する場合にはセキュリティパラメータと共に現在のネットワークによって新しいネットワークに送られ、コンテクストパラメータは上記別の実施形態で説明されたものである。
【0146】
動作519において、新しいネットワークはコンテクストパラメータの受信について肯定応答して、動作520において現在のネットワークはハンドオーバについて肯定応答して、セキュリティパラメータと共に新しいネットワークについての必要情報をモバイル装置に送る。
【0147】
モバイル装置がハンドオーバを事前にリクエストしていなかった場合、肯定応答ではなく、現在のネットワークはモバイル装置にハンドオーバをリクエストして、必要情報およびセキュリティパラメータを送る。
【0148】
肯定応答動作519および520の後、モバイル装置と新しいネットワークとの間の相互認証が動作521で生じる。
【0149】
最後に、新しいネットワークは、動作522でサービスプロバイダにハンドオーバについて通知し、サービスプロバイダは動作523でハンドオーバに肯定応答する。
【0150】
これらの動作の後に、ハンドオーバは実行され、モバイル装置と新しいネットワークとの間の正常な通信が再開する。
【0151】
図5は、ハンドオーバの準備およびハンドオーバ後のハンドオーバ自身に関する動作のタイムシーケンスを示す。必要な動作の多くが準備段階で事前に実行されるので、実際のハンドオーバはわずかな動作のみですむことがわかり、このことは高速かつ効率的なシームレスハンドオーバを可能にする。
【0152】
さらにまた、現在のネットワークが仲介として作用し、セキュリティパラメータ、コンテクストパラメータおよび他の情報を新しいネットワークからサービスプロバイダに、またはこの逆に転送するならば、サービスプロバイダと新しいネットワークとの間の信頼関係が上記のようにハンドオーバ前に構築される必要のない別の実施形態が考えられる。後の時点で、サービスプロバイダと新しいネットワークとの間の直接の信頼関係は確立されて、現在のネットワークを仲介者として使用することによって通信のオーバーロードを回避することができる。
【0153】
図5に説明されている動作は、制御手段100によって実行されてもよく、この動作は、現在のネットワーク110と、モバイル装置120と、新しいネットワーク130と、サービスプロバイダ140とに少なくとも部分的に一体化されてもよく、あるいは別個のエンティティを形成してもよい。
【0154】
以下、本発明のさらなる実施形態について図6を参照して説明する。
【0155】
図6は、別の実施形態に従った、モバイル装置と現在のネットワークとの間の通信リンクを新しいネットワークへ移すハンドオーバの動作シーケンスを示し、ここで現在のネットワークおよびサービスプロバイダ、ならびに新しいネットワークおよびサービスプロバイダは既存の相互信頼関係を既に有する。さらにまた、モバイル装置がネットワークおよびサービスプロバイダとの信頼関係を有することが考えられる。
【0156】
図6に示されている動作は図1または3に示された通信環境を使用して実行可能であるが、図6はこれに制限されない。
【0157】
現在のネットワークと新しいネットワークとの間の信頼関係を確立し、モバイル装置と現在のネットワークとの間の通信リンクを新しいネットワークへ移すハンドオーバを実行する際の動作シーケンスは図5に示されたシーケンスに類似しているため、詳しくは繰り返さない。基本的に同じ動作501〜507がこの信頼関係構成に必要である。
【0158】
しかしながら、次の動作508および動作509が、動作601に取って代わり、ここでサービスプロバイダは、現在のネットワークと新しいネットワークとの間の信頼関係を構築する。これは1回限りの使用または複数の使用についても実行可能である。
【0159】
この動作に続いて、信頼構築がうまくできなかった場合には、モバイル装置に送られたNACKメッセージによって信頼構築は否定応答されることが可能であり、このことは既に図5の動作510で論じられている。
【0160】
さらにまた、図6の正常な通信を再開するのに必要な動作は図5で論じたのと同じ動作511〜523である。しかしながら、新しいネットワークは、サービスプロバイダとの既存の信頼関係を有するために、動作512、513および514で説明された信頼関連情報を取得することについてサービスプロバイダとコンタクトをとることができる。
【0161】
図5との類似性ゆえに、図5で論じたのと同じ利点がまた図6のシーケンスに適用され、高速かつ効率的なシームレスハンドオーバを可能にする。
【0162】
さらにまた、先行の動作シーケンスに対する代替実施形態も可能であり、ここでは現在のネットワークと新しいネットワークとの間の信頼関係は築かれる必要がなく、効率的なハンドオーバをもたらす。この動作は、図6の動作507の後にサービスプロバイダが、新しいネットワークと現在のネットワークとの間の仲介者の役割をする場合、つまりACKおよびNACKメッセージならびにセキュリティおよびコンテクストパラメータが、サービスプロバイダによって新しいネットワークから現在のネットワークに、あるいはこの反対に転送される場合に実行可能である。本実施形態は、新しいネットワークおよび現在のネットワークの両方がサービスプロバイダとの既存の相互信頼関係を有するために可能である。
【0163】
図6で説明されている動作は、制御手段100によって実行可能であり、この動作は、現在のネットワーク110と、モバイル装置120と、新しいネットワーク130と、サービスプロバイダ140とに少なくとも部分的に一体化されてもよく、あるいは別個のエンティティを形成してもよい。
【0164】
以下、本発明のさらなる実施形態について図7を参照して説明する。
【0165】
図7は、現在のネットワークとモバイル装置との間の、モバイル装置のユーザにサービスを提供するための通信リンクを新しいネットワークへ移すシームレスハンドオーバの動作を示し、特に通信パラメータを測定してハンドオーバについて判断する動作について概説する。図7に示されている動作は図1および3に示された通信環境を使用して実行可能であるが、図7はこれに制限されない。
【0166】
第1の動作701において、ハンドオーバが必要であると判断される。この判断は、例えば現在のネットワークから受け取った通信信号の品質低下を検出するモバイル装置によって実行可能であり、あるいは、例えばサービスプロバイダによって提供された通信サービスのサービスパラメータが変更される場合に、修正された通信要件に基づいてもよい。これらのパラメータは、データレート、サービス要件の品質、リアルタイム要件などの必要な特徴を含んでもよい。さらに、コストの検討はハンドオーバを実行することについての判断をトリガすることがある。
【0167】
ハンドオーバを実行する必要性について判断した後に、動作702において、新しいネットワークの可能な候補が判断される。そして判断動作は、モバイル装置によって実行されてもよく、あるいは現在のネットワークによって実行されてもよい。概説されたように、ネットワークは、各ネットワークを特徴付けるビーコン信号を監視することによって判断可能であり、あるいは通信環境で送信されたメッセージを分析することによって判断されてもよい。新しいネットワークの候補の選択は新しいネットワークの性能およびアクセス技術などに基づいてもよい。
【0168】
その後、動作703において、モバイル装置および/または新しいネットワーク候補の通信パラメータが測定される。このステップにおいて、モバイル装置と各新しいネットワーク候補との間で送受信された通信信号の信号品質、ネットワーク遅延時間および予定のハンドオーバ前に送信可能なデータ量などを含んでいる新しいネットワーク候補の各々に関する通信パラメータが判断されてもよい。
【0169】
さらに、モバイル装置の速度、モバイル装置の移動方向および位置が判断されて、モバイル装置の将来の位置および/または移動の予測を可能にすることができる。
【0170】
さらにまた、モバイル装置の性能、通信を継承するための新しいネットワーク候補のリソース、サービスプロバイダによって提供されたサービスのタイプおよび新しいネットワーク候補の性能が判断されてもよい。
【0171】
通信パラメータは通信環境の要素、例えば現在のネットワーク、モバイル装置、サービスプロバイダ、新しいネットワークおよび/またはこれらの組み合わせによって判断されてもよい。
【0172】
判断された通信パラメータに基づいて、動作704において、新しいネットワーク候補のいずれをハンドオーバする対象の新しいネットワークとして選択すべきかを判断することができる。従ってこの判断は、モバイル装置の位置、モバイル装置の速度、モバイル装置の移動方向、それぞれの候補の信号品質およびネットワーク遅延時間、それぞれの候補のリソースの性能、モバイル装置の性能、およびサービスプロバイダによって提供されたサービスのタイプを含む上記概説されたパラメータのいずれかについて考慮してもよい。
【0173】
現在のネットワークは、判断動作を実行してもよく、あるいは現在のネットワークは、測定パラメータについての情報をモバイル装置に送信して、モバイル装置が判断動作を実行できるようにしてもよい。
【0174】
さらにまた、モバイル装置は、測定パラメータについての情報を受信していない場合、または十分な情報を収集できない場合には、モバイル装置は現在のネットワークに判断動作の実行をリクエストしてもよい。
【0175】
さらにまた、特にモバイル装置が2つ以上のアクティブRF接続を維持できる場合には、モバイル装置は判断動作を実行してもよい。
【0176】
最後に、モバイル装置または現在のネットワークが、判断動作を実行してもよく、モバイル装置は、測定パラメータについての情報を現在のネットワークに送信してもよい。
【0177】
その後、動作705で、相互信頼時間計が判断され、および/または欠落している相互信頼関係が構築される。動作705が、現在のネットワークと新しいネットワークとの間および/またはサービスプロバイダと新しいネットワークとの間の相互信頼関係が構築できないことを示す場合、フローは動作704に戻り、別の候補が新しいネットワークとして選択されてもよい。
【0178】
適切な新しいネットワークを選択して、相互信頼関係を構築した後に、詳述されたように、動作706においてコンテクストパラメータは上記概説されたように新しいネットワークに転送される。
【0179】
その後、ハンドオーバの準備段階が完了し、動作707において新しいネットワークへの通信リンクのハンドオーバが実行される。
【0180】
図7は、新しいネットワークへのハンドオーバを適切に準備するために、新しいネットワークを適切に選択し、信頼を構築し、かつコンテクストパラメータを転送する動作について示す。従って、実際のハンドオーバはより迅速に実行可能であり、サービスの中断は回避可能である。
【0181】
図7に説明されている動作は、制御手段100によって実行可能であるが、この動作は、現在のネットワーク110と、モバイル装置120と、新しいネットワーク130と、サービスプロバイダ140とに少なくとも部分的に一体化されてもよく、あるいは別個のエンティティを形成してもよい。
【0182】
以下、本発明のさらなる実施形態について図8を参照して説明する。
【0183】
図8は、現在のネットワークとモバイル装置との間の通信リンクを新しいネットワークへ移すシームレスハンドオーバ方法の動作を示す。図8は特に、先行実施形態を参照して詳述されたように準備段階後にハンドオーバを実行する動作を示す。図8に示されている動作は図1または3に示された通信環境を使用して実行可能であるが、図8はこれに制限されない。
【0184】
第1の動作801において、新しいネットワークは、先行実施形態、特に図7を参照して詳述されたように発見される。
【0185】
その後、動作802において、相互信頼関係が判断され、および/または欠落している信頼関係が構築される。
【0186】
その後、動作803において、コンテクストパラメータが、先行実施形態を参照して概説されたように新しいネットワークに送信される。
【0187】
ハンドオーバのこの準備段階の完了後、動作804において、新しいネットワークとモバイル装置との間の相互認証が実行される。相互認証は、実際のハンドオーバ中にモバイル装置から新しいネットワークに初期アクセスするためのセキュリティパラメータを作成するステップを含んでもよい。セキュリティパラメータは、新しいネットワークで生成されてもよく、新しいネットワークから現在のネットワークへと、また現在のネットワークからモバイル装置にへと送信されてもよく、この時点で、モバイル装置と新しいネットワークとの間のダイレクト接続は完全に動作不能であることがある。
【0188】
このプロセスにおいて、現在のネットワークはまた、モバイル装置および/または新しいネットワークに送信するセキュリティパラメータ、例えば現在のネットワークでのモバイル装置の前の認証に基づいた、かつ現在のネットワークと新しいネットワークとの間の信頼関係に基づいたセキュリティパラメータを生成してもよい。これによって、事前に作成された認証パラメータが再使用可能であるために、モバイル装置と新しいネットワークとの間の相互認証の処理ステップがさらに削減される。
【0189】
準備認証動作の後、ハンドオーバは動作805で開始される、例えば現在のネットワークおよび/またはモバイル装置によって開始される。新しいネットワークおよびサービスプロバイダはこの時点で、好ましくは現在のネットワークによって次のハンドオーバについて通知される。
【0190】
その後、ハンドオーバが実行され、モバイル装置と新しいネットワークとの間の新たな通信リンクが確立される。
【0191】
以下、動作806において、新しいネットワークとモバイル装置との間の補足認証が、例えば新しいネットワークとモバイル装置との間で確立された通信リンクを介して直接実行される。動作804でモバイル装置は既に認証されているために、補足認証は短時間で実行可能である。
【0192】
その後、動作807において、通信サービスは、新しいネットワークを介してサービスプロバイダとモバイル装置との間で継続または再開される。
【0193】
図8は、実際のハンドオーバ前に現在のネットワークを介して新しいネットワークとモバイル装置との間の相互認証を実行することによって、新しいネットワークへの通信動作のハンドオーバに必要な時間をさらに短縮する動作を示す。従って、直接モバイル装置と新しいネットワークとの間で補足認証に必要な時間は短縮可能である。
【0194】
図8に説明されている動作は、制御手段100によって実行可能であり、この動作は、現在のネットワーク110と、モバイル装置120と、新しいネットワーク130と、サービスプロバイダ140とに少なくとも部分的に一体化されてもよく、あるいは別個のエンティティを形成してもよい。
【0195】
以下、本発明のさらなる実施形態について図9を参照して説明する。
【0196】
図9は、モバイル装置と現在のネットワークとの間の通信リンクを新しいネットワークにハンドオーバする動作を示す。より正確には、図9は、コンテクストパラメータを収集し、かつ収集されたコンテクストパラメータの少なくとも一部を新しいネットワークに送信することによって、プレハンドオーバ段階でハンドオーバを適切に準備して、ハンドオーバ中またはこの後に新しいネットワークが通信リンクのセットアップを準備できるようにする動作を示す。図9に示されている動作は図1または3に示された通信環境を使用して実行可能であるが、図9はこれに制限されない。
【0197】
第1の動作901において、現在のネットワークは通信リンクおよび通信サービスを特徴付けるコンテクストパラメータを収集する。図1の制御手段100のコンテクストハンドラーがコンテクストパラメータの収集を実行可能であるが、コンテクストパラメータが通信環境の他の場所やエンティティで収集されて現在のネットワークに転送されることも可能である。例えば、モバイル装置は、モバイル装置および/または通信サービスに関するコンテクストパラメータを含む通信リンクに関するコンテクストパラメータを収集することを、例えば現在のネットワークによって命令されることがある。上記のとおり、収集されたコンテクストパラメータは通信リンクおよび通信サービスに関する情報を含んでもよい。コンテクストパラメータは、ハンドオーバを実行する必要性や要求を検出すると選択されてもよく、あるいは、初期の時点、例えばモバイル装置と現在のネットワークとの間の通信リンクを介する通信中に徐々に収集されてもよい。
【0198】
コンテクストパラメータは現在のネットワークのメモリユニットや外部の場所に記憶されてもよい。例えば、現在のネットワークは、モバイル装置120との通信などの各進行中の通信と関連して1セットのコンテクストパラメータを記憶してもよい。
【0199】
明らかに、モバイル通信およびネットワーク間動作性の複雑な環境において、進行中の通信と関連して利用可能なコンテクスト量は非常に多く、コンテクストパラメータのすべてを新しいネットワークに転送することはハンドオーバの遅延を引き起こし、これは不当に長く、モバイル装置120に提供された通信サービスの劣化や終了につながることがある。
【0200】
従って、ハンドオーバ後のモバイル装置120と新しいネットワーク130との間の通信リンクおよび通信サービスの確立に関するコンテクストと、モバイル装置と現在のネットワークとの間で確立された通信に主に関するコンテクスト情報とを区別する必要がある。
【0201】
現在のネットワークでコンテクストパラメータを収集した後、動作902において、コンテクストパラメータの少なくとも一部が現在のネットワークから新しいネットワークに送信される。新しいネットワークに送信するコンテクストパラメータの一部は、利用可能な時間によって単に判断されてもよい、つまり、実際のハンドオーバのタイミングがよければ、1セットの収集されたコンテクストパラメータ全体が転送可能である。しかしながら、時間が制限されると、コンテクストパラメータの一部だけしか送信されないことがある。さらに、上記のとおり、新しいネットワーク130とモバイル装置120との間に確立される通信リンクおよび通信サービスに適用可能なコンテクストパラメータが送信されてもよいのに対して、通信リンクおよび通信サービスに適用不可能なコンテクストパラメータの送信は、さらなる実施形態で詳述されるように省略されることがある。
【0202】
コンテクストパラメータは、コンテクストメッセージや1シーケンスのコンテクストメッセージで収集されてもよく、これはあらゆる種類の送信媒体を介して新しいネットワークに送信されることが可能である。例えば、コンテクストパラメータや、コンテクストパラメータを含むメッセージは、現在のネットワークと新しいネットワークとの間の無線リンクを介して、または現在のネットワークと新しいネットワークとの間の固定有線接続を介して、あるいはこれらの組み合わせによって送信されてもよい。好ましくは、可能な限り多くのコンテクストパラメータを新しいネットワークに送信するために、あらゆる利用可能な送信容量が使用されてもよい。さらに、当分野において既知であるように、送信するデータ量を削減するために圧縮技術が使用されてもよい。さらにまた、可能ならば、ハンドオーバは、多量のコンテクストパラメータを送信するために、可能な限り長く遅延されてもよい。
【0203】
現在のネットワークからコンテクストパラメータを受信する新しいネットワーク130は次に、新しいネットワークとモバイル装置との間で確立される通信リンクおよび/または通信サービスのセットアップの準備に進むことが可能である。コンテクストパラメータは理想的には、モバイル装置との間に確立される通信の設定および要件を事前に特定しており、新しいネットワークが、適切な通信リソースを事前に判断して、ハンドオーバ中またはこの後に使用するためにこれらを割り当てることができるようにする。新しいネットワークの通信マネージャは上記動作を実行してもよい、つまり通信リンクおよび通信サービスのセットアップを準備してもよい。セットアップは、適切な通信リソースを予約するステップと、認証や認証チェックを実行するステップと、レジストリを更新するステップなどを含んでもよい。さらに、セットアップは、サービスプロバイダとコンタクトをとるステップと、新しいネットワークとサービスプロバイダとの間の通信リンクを事前に準備するステップとを含んでもよいため、シームレス通信サービス、つまりサービス劣化のない円滑な移行が可能になる。
【0204】
コンテクストパラメータを送信して、新しいネットワークで通信リンクおよび通信サービスのセットアップを準備した後、実際のハンドオーバが発生してもよい。従って、動作903において、通信リンクおよび通信サービスは現在のネットワークから新しいネットワークにハンドオーバされて、新しいネットワークは、通信リンク161などのモバイル装置と新しいネットワークとの間の通信リンクを使用して通信サービスを継続する。
【0205】
上記動作は、現在のネットワークから新しいネットワークへコンテクストパラメータを送信することによってハンドオーバを準備する際の本発明の利点を示す。現在のネットワークから新しいネットワークへの通信の円滑な転送が可能になる。
【0206】
以下、本発明のさらなる実施形態について図10を参照して説明する。
【0207】
図10は、モバイル装置と現在のネットワークとの間の通信リンクを新しいネットワークへ移すハンドオーバ方法の動作を示し、特に新しいネットワークに転送するコンテクストパラメータを識別する動作を示す。図10に示されている動作は図1または3に示された通信環境を使用して実行可能であるが、図10はこれに制限されない。
【0208】
図10の実施形態において、また、現在のネットワーク110などの現在のネットワークとモバイル装置120などのモバイル装置との間の通信リンクが、図1の新しいネットワーク130などの新しいネットワークにハンドオーバされると仮定する。さらに、モバイル装置は、サービスプロバイダや別のモバイル装置からサービスを取得すると仮定する。
【0209】
先行実施形態を参照して説明されたようにハンドオーバが必要または望ましいという判断に達する、例えば、ハンドオーバをするという判断は、現在のネットワークおよび/またはモバイル装置によって測定されたような信号品質やサービス品質の低下によってトリガされることがある。ハンドオーバはまた、別のネットワークが低コストで同じサービスを提供していると判断されると、コストの検討によってトリガされることがある。
【0210】
さらに、適切な新しいネットワークが、他の実施形態によって詳述されたように、多数の利用可能な新しいネットワークから選択されてもよい。
【0211】
この基本シナリオから開始して、新しいネットワークへの通信リンクのハンドオーバを実行する必要性や意図を検出または判断した後、かつ軸方向のハンドオーバが生じる前に、ハンドオーバの準備段階が、図10に示された第1の動作1001での収集によって実行され、現在のネットワークとモバイル装置との間の通信リンクを特徴付け、かつモバイル装置によって取得された通信サービスを特徴付けるコンテクストパラメータが収集される。コンテクストパラメータの収集は、図9に示されている動作901などの先行実施形態を参照して説明されたように実行されてもよい。
【0212】
上記のとおり、ハンドオーバの準備段階は、ハンドオーバを実行する必要性や要求の検出と実際のハンドオーバの実行との間の一般的に短い時間、つまりモバイル装置と現在のネットワークとの間の通信の新しいネットワークへの切り替え中にのみ実行可能である。この時間は一般的に全コンテクストパラメータを送信するには不十分であるため、コンテクストパラメータが独立コンテクストパラメータであるか従属コンテクストパラメータであるのかについての判断動作は、動作1001で収集されたコンテクストパラメータの各々について実行される必要がある。
【0213】
しかしながら、いずれのコンテクストパラメータが新しいネットワークに送信されるかという判断の前に、動作1002において、新しいネットワークについての情報が取得されて、判断プロセスを容易にする。これは好ましくは、通信リンクおよび通信サービスのセットアップに関連する、新しいネットワークについてのあらゆる種類の情報を含む。新しいネットワークについての情報は例えば、新しいネットワークのIDと、新しいネットワークが動作する通信基準と、新しいネットワークによってサポートされているアクセス技術と、サポートデータレートおよびサービス提供性能などを含む新しいネットワークの性能とを含んでもよい。さらに、新しいネットワークについての情報、例えば現在のネットワークと新しいネットワークとの間、または新しいネットワークとサービスプロバイダとの間の信頼関係についての情報は、新しいネットワークのステークホルダを特徴付けることがある。一般的に、新しいネットワークについて取得された情報は、現在のネットワークで収集されたコンテクストパラメータがハンドオーバ後の通信および/または通信サービスの確立に関連するか否かについての判断プロセスをサポートするものを含んでもよい。
【0214】
新しいネットワークについての情報は、新しいネットワークから直接のリクエストに基づいて取得されてもよく、あるいは他の任意の情報ソースから取得されてもよい。
【0215】
そして、動作1003において、コンテクストパラメータが独立コンテクストパラメータであるか従属コンテクストパラメータであるかが判断される。独立コンテクストパラメータは、ハンドオーバ後に実行されるべきであるため、モバイル装置と新しいネットワークとの間のハンドオーバ後に確立される通信リンクおよび/または通信サービスに適用可能なコンテクストパラメータである。同様に、コンテクストパラメータは、ハンドオーバ後の通信リンクおよび通信サービスに適用可能でなければ従属コンテクストパラメータである。
【0216】
動作1003で実行された判断動作は、現在のネットワークの対応する特徴や機能性と比較した場合、動作302で取得された新しいネットワークについての情報に依存する。従って、コンテクストパラメータが独立コンテクストパラメータであるか従属コンテクストパラメータであるかについての判断もまた、現在のネットワークのタイプ、現在のネットワークによって使用されるアクセス技術、現在のネットワークの性能、現在のネットワークのステークホルダなどに依存する。例えば、現在のネットワークおよび新しいネットワークが同じ通信基準で動作する場合、特定の基準でのモバイル装置への通信リンクおよび通信サービスの確立に関連する全コンテクストパラメータは、ハンドオーバ後に新しいネットワークに適用可能である、つまりこれらのコンテクストパラメータは、独立コンテクストパラメータを構成する。同様に、通信チャネルのタイプや、ハンドオーバの前後に通信チャネルに使用されるアクセス技術が同じであることが可能ならば、通信リンクのタイプおよびアクセス技術について記述する全コンテクストパラメータは、独立コンテクストパラメータと識別可能である。さらに、現在のネットワークと新しいネットワークとの間に相互信頼関係が存在すれば、モバイル装置のセキュリティパラメータ、識別情報認証および認証情報は、これらは現在のネットワークと新しいネットワークとの間に信頼が存在するという事実ゆえに新しいネットワークで再使用可能であるために、少なくとも部分的に独立コンテクストパラメータと識別されてもよい。同様に、現在のネットワークと追加エンティティとの間、および追加エンティティと新しいネットワークとの間の相互信頼関係が存在する場合にこれは供給する。さらに、同じステークホルダが、現在のネットワークおよび新しいネットワークを操作すると、ステークホルダ関連コンテクストパラメータのすべて、例えばステークホルダによって使用されている独自の特徴および設定などが、独立コンテクストパラメータと識別されることが可能である。さらにまた、現在のネットワークおよび新しいネットワークのステークホルダが異なる場合、現在のネットワークのステークホルダと新しいネットワークのステークホルダとの間の相互信頼関係によって独立コンテクストパラメータを定義することができる。さらに、現在のネットワークおよび新しいネットワークによるサービス提供、つまりモバイル装置への通信サービスの提供が相互に対応している場合、通信サービスに関する全コンテクストパラメータは独立コンテクストパラメータとして識別されることが可能である。
【0217】
同様に、独立コンテクストパラメータについての上記判断プロセスに基づいて、ハンドオーバ後の通信および通信サービスに適用可能でない全コンテクストパラメータが従属コンテクストパラメータと識別可能である、つまり現在のネットワークでの通信リンクおよびサービス提供にのみ従属することができる。
【0218】
独立コンテクストパラメータおよび従属コンテクストパラメータは、例えば現在のネットワークの記憶装置における異なるセットのコンテクストパラメータで記憶されてもよい。
【0219】
任意に、従属および独立コンテクストパラメータを判断した後、コンテクスト転送ポリシーが、独立コンテクストパラメータをさらにフィルタリングするために適用されてもよい。独立コンテクストパラメータをさらに選択する、つまり独立コンテクストパラメータの一部が保持されるべきか否かを判断するためのポリシーは、現在のネットワークのステークホルダやオペレータによって判断可能である。例えば、セキュリティ態様に関する特定の独自のコンテクスト情報や現在のネットワークの独自の機能性が保持されてもよい。さらに、規定や法律は、特定のコンテクストパラメータの第三者への送信を禁じてもよい。
【0220】
上記概説されたポリシーに基づいて保持されるべき全ての独立コンテクストパラメータは、選択されたセットの独立コンテクストパラメータから除去されることが可能である。ここではその後、動作1004において独立コンテクストパラメータのみが新しいネットワークに送信される。従って、送信するコンテクストパラメータ量は、ハンドオーバ後に適用可能なコンテクストパラメータのみに削減可能である。
【0221】
上記概説された手順は、新しいネットワークに転送するコンテクストパラメータ量を著しく削減し、これによって、ハンドオーバ決定と実際のハンドオーバとの間の利用可能な時間をコンテクストパラメータの転送に最適に使用することができる。
【0222】
コンテクストパラメータの転送後、先行実施形態を参照して概説されたように、新しいネットワークは、通信リンクと、例えば適切な通信リソースの予約および、サービスプロバイダや他のモバイル装置などとのサービス提供のネゴシエーションなどを含む通信サービスのセットアップを適切に準備する。
【0223】
その後、実際のハンドオーバが、詳述されたように動作305で実行される。
【0224】
上記実施形態は、ハンドオーバ前の利用可能な時間をより効率的に使用するために、本発明の要素を並べて転送されるコンテクストパラメータ量を削減することができる。
【0225】
図10を参照して概説されている動作は現在のネットワークの制御手段100によって実行可能である。より正確には、コンテクストハンドラーは、動作1001で説明されたようにコンテクストパラメータを収集して、動作1002で概説されたように新しいネットワークについての情報を取得して、動作1003で詳述されたように独立および従属コンテクストパラメータを識別するように適合可能であり、またコンテクストハンドラーは、動作1004で概説されたように独立コンテクストパラメータを新しいネットワークに送信するように適合されてもよい。
【0226】
以下、本発明のさらなる実施形態について図11を参照して説明する。
【0227】
図11は、現在のネットワークとモバイル装置との間の通信リンクを新しいネットワークにハンドオーバする動作を示し、特にコンテクストパラメータを転送するための時間をさらに効率的に利用する動作を示す。
【0228】
図11の動作は図1または3の通信環境を使用して実行可能であるが、図11はこれに制限されない。
【0229】
図11を参照して概説されるように、独立コンテクストパラメータを送信することによって、転送されるコンテクストパラメータ量は著しく削減可能である。しかしながら、依然として、短い利用可能時間に現在のネットワークから新しいネットワークに独立コンテクストパラメータのすべてを転送するのに利用可能な十分なリソースがないことがある。従って、図11はさらに、新しいネットワークに転送するコンテクストパラメータへの優先順位の割り当てについて説明している。
【0230】
例えば先行実施形態を参照して概説されたように、第1の動作1101においてコンテクストパラメータが収集される。
【0231】
その後、動作1102において、優先順位がコンテクストパラメータまたはコンテクストパラメータのセットに割り当てられる。優先順位は好ましくは、ハンドオーバ中またはこの後に通信リンクおよび/または通信サービスを確立するためのコンテクストパラメータの重要性を反映するために、コンテクストパラメータに割り当てられる。従って、通信リンクおよび/または通信サービスを確立するために必須のコンテクストパラメータに最も高い優先順位が割り当てられる。さらに、ハンドオーバ中またはこの後に通信リンクおよび/または通信サービスを確立するための、通信および/または計算労力を著しく削減できるコンテクストパラメータに高い優先順位が付与されてもよい。一例において、モバイル装置と新しいネットワークとの間の通信リンクを確立するのに必要なコンテクストパラメータに最も高い優先順位が付与されて、ハンドオーバの成功にはモバイル装置と新しいネットワークとの間の通信を確立することが最重要であるということを反映する。さらに、ハンドオーバ中またはこの後に通信サービスを維持するのに必要なコンテクストパラメータに第2の優先順位が付与される。これは、モバイル装置と新しいネットワークとの間で作動中の通信リンクがうまく確立されたならば、通信サービスがモバイル装置とサービスプロバイダとの間のセットアップ手順においてハンドオーバ中にネゴシエーションまたは確立されることがあるということを反映している。
【0232】
ポリシーに基づいた独立コンテクストパラメータの選択と同様に、コンテクストパラメータへの優先順位の割り当てもポリシーに基づいていてもよい。これらのポリシーは現在のネットワークのステークホルダによって定義されてもよく、ユーザの好みに基づいてもよい。
【0233】
例えば、ポリシーは、例えばバンキング取引などの特定のサービスや、機密データを取り扱う他のアプリケーションについて、セキュリティ態様に関するコンテクストパラメータに最も高い優先順位を付与してもよい。このようなポリシーはセキュリティを第一に置く、つまり特定のセキュリティレベルなしの通信リンクおよび通信サービスの確立が望まれない。
【0234】
さらに、優先順位の割り当てはサービスタイプに左右されることがある。例えば、特定のサービスは最小データレートを必要とすることがあり、あるいはリアルタイムのデータまたは音声通信などの通信サービスをきちんと確立するための特定の設定を必要とすることもある。ウェブ閲覧アプリケーションなどの他のサービスは、ハンドオーバ中のコンテクスト設定の欠如についてそれほど慎重でない場合もある。さらに、優先順位は、サービスレベル同意に左右されることがある、つまり、例えば機密データを取り扱うために高いセキュリティレベルを必要とする通信サービスはセキュリティ関連コンテクストパラメータに対して高い優先順位を必要とすることがある。さらにまた、優先順位は、新しいネットワークの特徴に左右されることがある。例えば、新しいネットワークは、特定のタイプのコンテクストパラメータなしで通信リンクや通信サービスを確立する性能を有しても有していなくてもよい。新しいネットワークは、通信リンクやサービスの特定の設定をネゴシエーションする性能を有していてもよく、従って、特定のコンテクストパラメータを必ずしも必要としないことがあり、一方で別のネットワークが上記性能を有しておらずこれらのコンテクストパラメータを必要とすることもある。
【0235】
さらにまた、優先順位は、アクセス技術の使用に左右されることがあり、例えば特定のアクセス技術は特定のコンテクストパラメータのハード要件を有することがある。さらにまた、優先順位は、新しいネットワークのステークホルダに左右されることがあり、新しいネットワークの特定のサービス提供ポリシーなどを反映することがある。
【0236】
その後、新しいネットワークに送信される、優先順位が付けられたコンテクストパラメータはその優先順位に従って配列される、つまり優先順位が最も高いコンテクストパラメータは、優先順位の低いコンテクストパラメータの前に送信される予定である。
【0237】
さらに、コンテクストパラメータはグループで配列されてもよく、優先順位はコンテクストパラメータの個々のグループに割り当てられてもよい。
【0238】
従って、セキュリティ関連コンテクストパラメータはグループで形成されてもよく、サービス関連コンテクストパラメータは別のグループで収集されてもよく、通信リンク関連コンテクストパラメータは別のグループに配列されてもよく、認証またはユーザパラメータはさらに別のコンテクストパラメータのグループに配列されてもよい。上記手順に基づいて、優先順位はコンテクストパラメータのグループに割り当てられてもよく、コンテクストパラメータのグループはその優先順位に応じて送信するために配列されてもよい。
【0239】
コンテクストパラメータまたはコンテクストパラメータのグループはその優先順位に応じて新しいネットワークに送信される。
【0240】
さらに、コンテクストパラメータの優先順位は、コンテクストパラメータに関連する処理動作を新しいネットワークで実行するのに必要な時間に左右されることがある。例えば、特定のコンテクストパラメータは、セキュリティ設定および認証手順などのハンドオーバの準備段階において新しいネットワークの拡張計算やネゴシエーションを必要とすることがあるのに対して、例えばサービス設定などのより少ない計算労力を新しいネットワークで参照するだけでよいコンテクストパラメータもある。従って、新しいネットワークで長い処理時間を必要とするコンテクストパラメータは高い優先順位と関連しているのに対して、新しいネットワークでわずかな計算ですむコンテクストパラメータは低い優先順位が割り当てられる可能性がある。
【0241】
その後、動作1104において、先行実施形態を参照して記されたようにハンドオーバが実行される。
【0242】
図11を参照して概説されている動作は現在のネットワークの制御手段100によって実行可能である。より正確には、コンテクストハンドラーは、コンテクストパラメータを収集して、動作402で優先順位を割り当て、動作1103で優先順位に基づいてコンテクストパラメータを送信するように適合されてもよい。
【0243】
図11の動作は図9の動作と組み合わされてもよい、つまり独立コンテクストパラメータまたは独立コンテクストパラメータのグループ、あるいはすべての利用可能なコンテクストパラメータに優先順位が割り当てられてもよいことに注目すべきである。
【0244】
図11の実施形態は、ハンドオーバ決定と実際のハンドオーバとの間の利用可能な時間がコンテクストパラメータの転送により効率的に使用可能である様子を示す。まず優先順位が最も高いコンテクストパラメータが送信され、従って実際のハンドオーバまでの時間が経過すると、最も関連性のあるコンテクストパラメータが転送されている。
【0245】
以下、本発明のさらなる実施形態について図12を参照して説明する。
【0246】
図12は、モバイル装置と現在のネットワークとの間の通信リンクを新しいネットワークへ移すハンドオーバの動作を示し、特にハンドオーバ前の利用可能時間におけるコンテクスト転送のスケジューリングについて概説する。
【0247】
図12の動作は図1または3に示された通信環境によって実行可能であるが、図12はこれに制限されない。
【0248】
図12の実施形態において、ある時点でハンドオーバを実行するという決定に達したと仮定する。先行実施形態を参照して概説されたように、モバイル装置または通信ネットワークはこの判断をトリガしてもよい。一般的に、ハンドオーバは自発的に実行されてもよく、あるいはサービスや通信リンクの終了を回避するために必要とされることもある。自発的なハンドオーバは、通信サービスを向上させる、コストを削減するなどの検討に基づいてもよく、従って、ハンドオーバの実行を決定してから実際のハンドオーバの予定時間までの時間は所望の値に設定されてもよい。この値は、すべての関連または必要コンテクストパラメータが送信されるように設定されてもよく、従って実際のハンドオーバの時間はコンテクストパラメータ量、コンテクストパラメータの送信容量などに基づいて設定されてもよく、送信予定の全コンテクストパラメータが実際に送信可能である。
【0249】
しかしながら、例えば信号品質やサービス品質が急速に低下すると、ハンドオーバ決定と実際のハンドオーバ間の時間が任意に設定できないという特定の状況がある。例えば、急速な移動や建造物などによる遮断ゆえに、信号および/またはサービスの品質が低下することがあり、ハンドオーバはトリガされなければならない。この場合、不十分な信号またはサービス品質ゆえに、決定と、通信リンクまたはサービスの終了との間の利用可能な時間は短いことがある。
【0250】
従って、動作1201において、ハンドオーバ決定と実際のハンドオーバ間の利用可能時間が判断される。現在のネットワークおよび/またはモバイル装置が利用可能時間を判断してもよい。
【0251】
さらに、動作1202において、先行実施形態を参照して詳述されたようにコンテクストパラメータが収集される。
【0252】
動作1201および1202は、利用可能時間をより効率的に使用するために同時に実行可能である点に注目する。
【0253】
その後、動作1203において転送するコンテクストパラメータの一部が実際のハンドオーバ前の利用可能時間に基づいて判断される。コンテクストパラメータの一部は、先行実施形態を参照して概説されたように、割り当てられた優先順位に基づいて、ポリシーに基づいて、従属および独立コンテクストパラメータの区別またはこれらの組み合わせに基づいて選択されてもよい。ハンドオーバ前に転送可能なコンテクストパラメータの一部は、利用可能時間および利用可能な送信容量に左右される。送信は、コンテクストパラメータを転送するために利用可能な通信チャネルの送信容量を検出することによって判断されてもよい。送信容量を増加させるために、複数の送信チャネル、例えば現在のネットワークと新しいネットワークとの間のダイレクト通信チャネル、および、例えばサービスプロバイダやモバイル装置を含む通信環境の追加要素を介するさらなる通信チャネルが識別されてもよい。実際のハンドオーバ前に転送可能であると判断されたコンテクストパラメータの一部は詳述されたように、例えば通信環境の既存のメッセージと関連してセットで配列され、かつ送信をスケジューリングされることが可能である。
【0254】
別の実施形態によると、ハンドオーバを実行するという基本判断に達した後、例えば概説されたように、モバイル装置が、現在のネットワークのカバレージエリアの境界に向かって高速で進む場合には、通信サービスの終了を回避するために実際のハンドオーバは、すぐに実行されなければならないことがあり、またコンテクストパラメータの転送が利用可能時間に基づいてスケジューリングされなければならない。しかしながら、実際のハンドオーバがハード要件によって判断されない場合、ハンドオーバに最適な時点が選択可能である。例えば、ハンドオーバのターゲットネットワークを判断した後、モバイル装置と現在のネットワークとの間の通信リンクの信号品質が判断および監視されてもよく、また信号品質、サービス品質あるいは他のリンクパラメータが閾値以下である場合にターゲットネットワークへのハンドオーバが実行されてもよく、コンテクストパラメータの転送の最大時間を許容することになる。同様に、信号品質、サービス品質あるいは他のリンクパラメータが上記閾値よりも大きい場合に、実際のハンドオーバの実行は、保留されることがあり、例えばコンテクストパラメータの完全な転送を可能にする。
【0255】
別の例によると、ネットワークオーバーレイ状況において、例えば別のネットワークへのアップワード・バーティカル・ハンドオーバーVHOがコンテクストの転送に対してかつサービス品質を考慮して可能な限り長く遅延されるべきであるのに対して、例えば自己のネットワークへのダウンワードVHOは必要なコンテクストの転送の後可能な限り迅速に実行されなければならない。
【0256】
ハンドオーバ前に転送可能なコンテクストパラメータの一部は、好ましくは、必要ならば準備段階のハンドオーバ前に、新しいネットワークでの通信リンクおよび/または通信サービスのセットアップを準備する時間を考慮することができる。
【0257】
その後、動作1204において、ハンドオーバは先行実施形態を参照して記されたように実行される。
【0258】
図12を参照して概説されている動作は、現在のネットワークの制御手段100によって実行可能である。より正確には、コンテクストハンドラーは、ハンドオーバ前の利用可能時間を判断する動作1201を実行し、動作1202でコンテクストを収集し、動作1203でコンテクストの転送可能部分を判断するように適合されてもよい。
【0259】
以下、本発明のさらなる実施形態について図13を参照して説明する。
【0260】
図13は、モバイル装置と現在のネットワークとの間の通信リンクをターゲットネットワークへ移すハンドオーバの判断方法の動作を示し、この通信リンクは例えばサービスプロバイダからの通信サービスを搬送する。図13の動作は図1または3に示された通信環境を使用して実行可能であるが、図13はこれに制限されない。
【0261】
図13において、上記のように例えばモバイル装置と現在のネットワークとの間の通信の信号および/またはサービス品質の低下を検出することによって通信のハンドオーバを実行するという決定に達したと仮定する。しかしながら、現在のネットワークと比較してモバイル装置120との通信の取り扱いにより適している別のネットワークを識別するために、例えば一定の制限時間の経過後に間隔をあけて図13の動作を実行することも可能である。これは、帯域幅の拡大、時間遅延の短縮およびコスト削減などのサービス特徴の改良を含んでもよい。
【0262】
結果として、第1の動作1301において、ネットワークパラメータが複数の利用可能なネットワークについて取得される。概説されたように、利用可能なネットワークは、例えば現在のネットワークの近傍のネットワークからのビーコン信号を走査することによって検出されることもあり、あるいはネットワークIDおよびカバレージエリアなどを示すネットワークレジストリから取得されることもある。ネットワークパラメータを取得するステップは、利用可能なネットワークに問い合わせること、および/または、サポートされているアクセス技術、通信基準、ネットワークのステークホルダやオペレータのIDなどのネットワーク性能を示すネットワークレジストリを閲覧することに基づいてもよい。
【0263】
さらに、ネットワークパラメータは、例えばネットワークのセルの配置、セルの容量、サポートされている通信帯域幅、通信サービスについてサポートされているデータタイプなどを示すネットワーク展開特徴を示してもよい。さらにまた、ネットワークパラメータは、音声サービスおよびデータサービスをサポートするのに利用可能なリソースなどの、利用可能なネットワークの各々の利用可能なネットワークリソースを示すことがある。
【0264】
また、ネットワークパラメータはネットワークのカバレージエリアと、このカバレージエリアの特定の領域で利用可能なリソース、例えばネットワークの個々のセルとを特定可能である。
【0265】
利用可能なネットワークのネットワークパラメータを取得した後に、動作1302において、ネットワーク候補がネットワークパラメータに基づいて選択される。選択動作は、好ましくは、両立不可能もしくは十分に両立できない、あるいはハンドオーバ中および/またはこの後にモバイル装置と現在のネットワークとの間の通信を継承できるネットワークを除外する。例えば、必要なアクセス技術を提供し、モバイル装置との通信を継承するのに必要なハンドオーバ機構をサポートし、一般的に現在のネットワークからのハンドオーバを受容または許容するステークホルダによって操作され、ハンドオーバを実行しかつハンドオーバ後の通信を継続するのに必要なリソースを提供して、通信サービスをサポートするネットワークのみがネットワーク候補として選択される。さらに、適切に配置されている、つまり適切なカバレージエリアを提供するネットワークのみがネットワーク候補として選択されることになる。
【0266】
従って動作1302は1セットのネットワーク候補をもたらし、これは一般的にモバイル装置120との通信を取り扱うのに適切および/または利用可能である。
【0267】
以下、動作1303において、動作202で選択された1セットのネットワーク候補に対してリンクパラメータが取得される。リンクパラメータは、ネットワーク候補について取得されるにすぎないので、利用可能なネットワークのセット全部とは反対に、ターゲットネットワークを選択するのに必要な通信および処理オーバーヘッドが削減可能である。
【0268】
リンクパラメータは個々のネットワーク候補ごとに取得されて、ハンドオーバ後のモバイル装置とネットワーク候補間の通信リンクを記述する。従ってリンクパラメータは、ハンドオーバ中および/またはこの後のモバイル装置とネットワーク候補間の通信リンクの特徴および/または性能を示す。リンクパラメータは、位置、速度および移動方向などのモバイル装置の特徴を記述し、また、通信リンクの信号品質および/またはサービス品質、例えばGPS位置情報などを含むモバイル装置の移動経路情報を記述してもよい。
【0269】
動作203は、例えばそれぞれのネットワーク候補と送受信される信号の信号強度、パケットエラーレートおよびビットエラーレートの少なくとも1つに基づいて、ネットワーク候補ごとの信号品質を記述するリンクパラメータを取得するステップを含んでもよい。
【0270】
さらに、動作1303は、例えば判断された信号品質に基づいてネットワーク候補ごとのサービス品質を記述するリンクパラメータを取得するステップを含んでもよい。この動作は、利用可能な信号品質に基づいた特定のサービス品質を想定することによるサービス品質の推定に基づいてもよい。ネットワーク候補ごとのサービス品質は通信サービスプロバイダに左右されることがある。例えば、音声サービスは送信エラーに対して比較的影響を受けないのに対して、データサービスはエラー耐性が低いことがあり、また低いビットまたはパケットエラーレートを必要とすることがある。
【0271】
さらに、動作1303は、ハンドオーバまでの利用可能時間を特定するリンクパラメータを判断するステップを含んでもよく、選択動作1304は、ハンドオーバ前の利用可能時間に基づいてもよい。例えば、ハンドオーバが生じる前に多くの時間を許容することによってハンドオーバのより良好な準備を可能にするネットワーク候補が好まれる。ハンドオーバ決定と実際のハンドオーバとの間の利用可能時間の長さは、ネットワーク候補のカバレージエリア、モバイル装置のデバイス位置、デバイス速度および移動方向に左右されることがある。
【0272】
さらに、動作1303は、ネットワーク候補の各々のネットワーク遅延時間を表すリンクパラメータを検出するステップを含んでもよく、このネットワーク遅延時間はハンドオーバが生じる前に転送可能なコンテクスト情報量に対応している。通常、ハンドオーバの準備段階において、セキュリティおよび認証情報を含んでいる、ハンドオーバと関連した通信リンク、通信サービスおよび追加特徴を記述するコンテクスト情報が、ハンドオーバ前に現在のネットワークとターゲットネットワーク間で交換される。コンテクストパラメータを現在のネットワークからターゲットネットワークに転送する際に生じる遅延について記述するネットワーク遅延時間は、従って重要な要因である。コンテクストパラメータがターゲットネットワークに転送可能となる前に大規模な動作が実行される必要があれば、ネットワーク遅延時間は短縮可能である、例えば、現在のネットワークおよびターゲットネットワークが異なるステークホルダによって操作される場合、ハンドオーバ前に、コンテクストパラメータの転送に先立って信頼関係が確立される必要がある場合がある。従って、現在のネットワークとの信頼関係を既に有するネットワークは短いネットワーク遅延時間を伴うことになり、多量のコンテクストパラメータがターゲットネットワークに転送されることが可能になる。従って、ネットワーク遅延時間が短いネットワークはターゲットネットワークとして好ましい。
【0273】
さらに、動作1303は、ネットワーク候補のデバイス位置、デバイス速度、デバイス移動方向およびカバレージエリアに基づいて、ネットワーク候補の各々によるサービス提供期間のリンクパラメータを判断するステップを含んでもよい。モバイル装置の一定の移動が想定される場合、サービス期間はネットワーク候補の各々について算出可能であり、ネットワーク候補となること即ちハンドオーバと、ネットワーク候補を去る時点即ち別のネットワークへのハンドオーバが生じるべき時点との時間差を反映する。ネットワーク間ハンドオーバは複雑であり、かなりの計算およびデータ交換を必要とするため、長期間のサービスを提供するネットワーク候補が好まれる。
【0274】
さらにまた、ターゲットネットワークの選択動作は装置の移動経路情報に基づいてもよい。例えば、モバイル装置が列車で移動中であると識別される場合、列車の予定経路情報がネットワーク候補および/またはターゲットネットワークを判断するために使用可能である。
【0275】
別の例によると、移動経路情報は、例えばモバイル装置を搭載する車両のナビゲーションシステムからの移動経路情報から取得可能である。そしてモバイル装置の予定経路が、ナビゲーション機器に入った目的地情報に基づいて検出可能である。そして移動経路情報は、ネットワーク候補および/またはターゲットネットワークを選択するために使用可能である。さらに、移動経路情報は、目的地情報が変更する度に更新可能であり、あるいは車両が目的地情報に基づいた予定移動経路から外れると、この場合は別の移動経路情報がこの変更から算出可能である。
【0276】
別の例によると、モバイル装置の移動経路についての情報は、移動経路の各部分に沿って1セットのネットワーク候補を選択するために使用可能である。さらに、モバイル装置の移動経路に基づいて、ターゲットネットワークが移動経路の各部分について選択可能であり、また1シーケンスのターゲットネットワークが移動経路に沿った1シーケンスの次のハンドオーバについて選択可能である。
【0277】
ネットワーク候補ごとに収集されたリンクパラメータは次いで、例えばリンクパラメータテーブルでネットワーク候補の各々について閲覧され、ネットワーク候補からのターゲットネットワークが、動作1304において個々のネットワークのリンクパラメータの比較に基づいて選択される。
【0278】
一例によると、選択動作は複数のリンクパラメータの各々の「ウイニングネットワーク(winning network)」を選択するステップを伴うことがある。そして「ウイニングネットワーク」判断がネットワーク候補の各々について追加されてもよく、最高スコアを有するネットワーク候補がターゲットネットワークとして選択されることが可能である。
【0279】
複数のネットワーク候補が同じスコアとなる場合、サブ選択動作が、同じスコアを有するネットワーク候補のサブ選択集合について実行可能である。このステップにおいて、リンクパラメータごとに、「ウイニングネットワーク」が再度、同じスコアとなったネットワーク候補の各々について判断可能である。そして再び、サブ選択集合において最高スコアを有するネットワーク候補がターゲットネットワークとして選択可能である。サブ選択動作において再び複数のネットワークが同じスコアとなった場合、上記サブ選択動作が、再度このセットのネットワークからウイニングネットワークを選択することによって反復可能である。
【0280】
別の例によると、ネットワーク候補の各々の各リンクパラメータを、2つの限界値、例えば0と100の間の特定の値と関連付けることも可能であり、この値はリンクパラメータとハンドオーバ要件との間の一致レベルを反映する。例えば、高い信号強度は大きな数字と関連付けられ、低い信号強度は小さな数字と関連付けられる。同様に、通信リンクに利用可能な大きな帯域幅は大きな数字と関連付けられ、通信リンクの小さな帯域幅は小さな数字と関連付けられる。
【0281】
また、ネットワーク候補の各々の個々のリンクパラメータの値はテーブルに入力されてから、ネットワーク候補ごとのエントリが合計されることが可能である。そして最高スコアを有するネットワーク候補はターゲットネットワークとして選択される。
【0282】
ターゲットネットワークの選択動作に対する上記戦略は、例を構成するにすぎず、本発明を制限するものとして解釈されるべきではない点に注目すべきである。リンクパラメータの比較に基づいてターゲットネットワークを判断する他の選択技術も選択動作1304で適用可能である。
【0283】
その後、動作1305において、ターゲットネットワークへのハンドオーバが実行される。
【0284】
さらなる例によると、信号品質のリンクパラメータは、信号強度、パケットアローレートおよびビットアローレートの少なくとも1つに基づいてネットワーク候補ごとに測定されてもよい。従って、ターゲットネットワークの選択はハンドオーバ後に予測された信号品質を考慮することができる。
【0285】
さらに、サービス品質のリンクパラメータが、信号品質に基づいてネットワーク候補ごとに推定されてもよい。サービス品質がサービスの特徴をユーザによって認識されたように直接記述すると、選択はさらに改良可能である。
【0286】
さらに、ハンドオーバまでの利用可能時間を特定するリンクパラメータが判断可能であり、ネットワーク候補およびターゲットネットワークの選択は利用可能時間に基づいてもよい。
【0287】
また、ネットワーク遅延時間を記述し、かつハンドオーバ前に転送可能なコンテクスト情報量に対応して、リンクパラメータが判断されてもよい。従って、コンテクストパラメータなどを転送するための選択パスはまた、ハンドオーバ前の準備段階を考慮してもよい。
【0288】
さらにまた、ネットワーク候補ごとにリンクパラメータが、ネットワーク候補によるサービス提供期間に基づいて、ネットワーク候補のデバイス位置、デバイス速度、デバイス移動方向およびカバレージエリアに応じて判断されてもよい。これによって、サービス期間が例えば特定の閾値以下である場合には、ネットワークへのハンドオーバを避けるのが望ましいものとなる。
【0289】
選択動作はデバイスの移動経路情報に基づいてもよい。これは、モバイル装置の移動経路についての情報を取得するステップと、移動経路に沿ったネットワーク候補を選択するステップと、移動経路に基づいて1シーケンスのハンドオーバに対して1シーケンスのターゲットネットワークを選択するステップとを含んでもよい。従って、ハンドオーバするネットワークは事前に予定されてもよく、例えばハンドオーバの準備段階の時間を長くすることができる。
【0290】
ネットワークのネットワークパラメータは、カバレージエリア、ネットワークリソース、ネットワーク展開およびステークホルダの少なくとも1つを含んでもよい。
【0291】
さらに、通信サービスを記述するサービスパラメータが取得されて、ネットワーク候補を選択する選択ステップがサービスパラメータにさらに基づいてもよい。サービスパラメータは、サービスタイプ、最小データレート、サービスコスト、サービスレベルの同意、サービスパラメータの加入情報および品質の少なくとも1つを含んでもよい。
【0292】
さらにまた、モバイル装置について記述するデバイスパラメータが取得され、ネットワーク候補を選択する選択ステップがさらにデバイスパラメータに基づいてもよい。デバイスパラメータは、アクセス技術性能、ディスプレイ特徴および処理性能の少なくとも1つを含んでもよい。
【0293】
さらなる実施形態によると、ターゲットネットワークのリンクパラメータは現在のネットワークのリンクパラメータと比較されてもよく、現在のネットワークからターゲットネットワークへの通信リンクのハンドオーバは、この比較が通信リンクおよび通信サービスの少なくとも一方の改良を示す場合にのみ実行されてもよい。従って、判断が、現在のネットワークによってなされたサービス提供がターゲットネットワークへのハンドオーバ後のサービス提供よりも優れていると示す場合に、ハンドオーバはキャンセルされてもよい。これらの動作は、ネットワークが同じ場所に配置されている場合、つまり現在のネットワークおよびターゲットネットワークが同じ地理的エリアにおいて同じ場所に配置されている場合に特に適用可能である。
【0294】
ハンドオーバについて判断する必要性は、信号品質、サービス品質、モバイル装置の移動経路および所定の時間間隔の経過の少なくとも1つに基づいてトリガされてもよい。さらにまた、モバイル装置と現在のネットワークとの間の通信リンクの信号品質が判断されてもよく、またターゲットネットワークへのハンドオーバは、信号品質が低い場合に早い時点で実行されてもよい。
【0295】
図13の動作は図1または3に示された制御手段100を使用して実行可能である点に注目すべきである。
【0296】
データ処理装置またはデータ処理装置のネットワークに上記実施形態の要素を実現させ、および上記動作の少なくとも1つの方法を実行するための命令を有する1つまたは複数のプログラムが提供されてもよい点にさらに注目すべきである。
【0297】
また、プログラムを具現化するコンピュータ読み取り可能媒体が提供されてもよく、ここでプログラムは、コンピュータまたはデータ処理装置のシステムに、上記例の特徴および要素の機能や動作を実行させる。コンピュータ読み取り可能媒体は、プログラムが記録される磁気または光学あるいは他の有形的媒体であってもよいが、例えばアナログまたはディジタル、電子、磁気または光学信号であってもよく、この場合プログラムは送信について具現化される。さらに、データ処理手段に上記動作を実行させるための命令を含むデータ構造やデータストリームが提供されてもよい。データストリームやデータ構造はコンピュータ読み取り可能な媒体を構成してもよい。さらにまた、コンピュータ読み取り可能媒体を備えるコンピュータプログラム製品が提供されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0298】
【図1】本発明の第1の実施形態に従った、モバイル装置と現在のネットワークとの間の通信リンクを新しいネットワークへ移すシームレスハンドオーバを可能にするための通信環境を示す。
【図2】本発明の実施形態に従ったシームレスハンドオーバ方法の動作を示す。
【図3】本発明の別の実施形態に従ったシームレスハンドオーバの通信環境の要素を示し、特にハンドオーバを実行する前の信頼の判断および形成を示す。
【図4】本発明の別の実施形態に従った通信リンクのシームレスハンドオーバ方法の動作を示し、特に信頼関係を確立する動作を示す。
【図5】本発明の別の実施形態に従った通信リンクのシームレスハンドオーバ方法の動作のタイムシーケンスを示し、特にサービスプロバイダと新しいネットワークとの間の信頼を構築する動作を概説する。
【図6】本発明の別の実施形態に従ったシームレスハンドオーバ動作のタイムシーケンスを示し、特に現在のネットワークと新しいネットワークとの間の信頼の構築を概説する。
【図7】本発明の別の実施形態に従ったシームレスハンドオーバ動作を示し、特に通信パラメータを測定してハンドオーバについて判断する動作を概説する。
【図8】本発明の別の実施形態に従ったシームレスハンドオーバ方法の動作を示し、特に現在のネットワークから新しいネットワークに通信をハンドオーバする動作を概説する。
【図9】本発明の別の実施形態に従ったシームレスハンドオーバ方法の動作を示し、特に現在のネットワークから新しいネットワークにコンテクストパラメータを転送する動作を概説する。
【図10】本発明の別の実施形態に従ったシームレスハンドオーバ方法の動作を示し、特に現在のネットワークから新しいネットワークにコンテクストパラメータを転送する動作を概説する。
【図11】本発明の別の実施形態に従ったシームレスハンドオーバ方法の動作を示し、特に現在のネットワークから新しいネットワークにコンテクストパラメータを転送する動作を概説する。
【図12】本発明の別の実施形態に従ったシームレスハンドオーバ方法の動作を示し、特に現在のネットワークから新しいネットワークにコンテクストパラメータを転送する動作を概説する。
【図13】本発明の別の実施形態に従ったシームレスハンドオーバ方法の動作を示し、特にハンドオーバのターゲットネットワークを選択する動作を概説する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
新しいネットワークを発見するステップと、
現在のネットワークと、前記新しいネットワークと、通信リンクを介してモバイル装置にサービスを提供するサービスプロバイダとの間の信頼関係を構築するステップと、
通信環境を特徴付けるコンテクストパラメータを前記現在のネットワークから前記新しいネットワークに転送するステップと、
前記現在のネットワークから前記新しいネットワークへの前記通信リンクのハンドオーバを実行するステップと
を含む、モバイル装置と現在のネットワークとの間の通信リンクを新しいネットワークへ移すシームレスハンドオーバ方法。
【請求項2】
前記現在のネットワークが、前記ハンドオーバに関わる前記新しいネットワークを発見する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記発見ステップが、前記新しいネットワークについての情報を前記現在のネットワークから前記モバイル装置に送信するステップを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記モバイル装置が、2つ以上のアクティブRF接続を維持し、前記発見ステップが前記モバイル装置で前記新しいネットワークを発見するステップを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記サービスプロバイダと前記現在のネットワークと前記新しいネットワークとの間の既存の信頼関係を判断するステップを含む請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記判断ステップが、前記サービスプロバイダと前記現在のネットワークとの間、および前記現在のネットワークと前記新しいネットワークとの間のみの既存の信頼関係を示す場合、前記現在のネットワークが、前記新しいネットワークと前記サービスプロバイダとの間の信頼関係を構築する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記判断ステップが、前記サービスプロバイダと前記現在のネットワークとの間、および前記サービスプロバイダと前記新しいネットワークとの間のみの既存の信頼関係を示す場合、前記サービスプロバイダが、前記新しいネットワークと前記現在のネットワークとの間の信頼関係を構築する、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記新しいネットワークが、信頼関係情報について前記サービスプロバイダとコンタクトをとる、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記サービスプロバイダが、コンテクスト情報を前記現在のネットワークから前記新しいネットワークに送信する、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記モバイル装置および前記新しいネットワークの通信パラメータの少なくとも1つを測定するステップを含む請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記パラメータが、
前記モバイル装置の位置と、
速度と、
移動方向と、
信号品質と、
ネットワーク遅延時間と
の少なくとも1つを含む請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記パラメータが、
前記モバイル装置の性能と、
前記新しいネットワークのリソースと、
前記サービスプロバイダによって提供された前記サービスのタイプと、
前記新しいネットワークの性能と
の少なくとも1つを含む請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記測定パラメータに基づいて前記ハンドオーバを実行するか否かを判断するステップを含む請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記現在のネットワークが、前記判断動作を実行する、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記現在のネットワークが、前記測定パラメータについての情報を前記モバイル装置に送信して、前記モバイル装置が前記判断動作を実行できるようにする、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記モバイル装置が、前記測定パラメータについての情報を受信していない場合、前記モバイル装置が、前記現在のネットワークに前記判断動作の実行をリクエストする、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記モバイル装置が、2つ以上のアクティブRF接続を維持し、前記判断動作を実行する、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記モバイル装置が、前記現在のネットワークに前記判断動作の実行をリクエストし、前記測定パラメータについての情報を前記現在のネットワークに送信する、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記コンテクストパラメータが前記ハンドオーバを実行する前に転送される請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記現在のネットワークが、前記新しいネットワークおよび前記サービスプロバイダに前記ハンドオーバについて通知する、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記新しいネットワークと前記モバイル装置との間の相互認証を実行するステップを含む請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記ハンドオーバ中に前記モバイル装置から前記新しいネットワークに初期アクセスするためのセキュリティパラメータを作成するステップを含む請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記セキュリティパラメータが、前記新しいネットワークで生成されて、前記新しいネットワークから前記現在のネットワークへと、そして前記現在のネットワークから前記モバイル装置にへと送信される、請求項1から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記現在のネットワークが、前記新しいネットワークおよび前記モバイル装置に送信する追加セキュリティパラメータを生成する、請求項1から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記現在のネットワークが、前記モバイル装置に前記ハンドオーバの実行を命令する、請求項1から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
第1のステークホルダが、前記現在のネットワークを操作し、第2のステークホルダが、前記新しいネットワークを操作する、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
請求項1から26のいずれか一項に記載の方法を実行するための命令を有するプログラム。
【請求項28】
データ処理手段に請求項1から26のいずれか一項に記載の方法を実行させるプログラムが具現化されているコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項29】
請求項28に記載のコンピュータ読み取り可能媒体を含むコンピュータプログラム製品。
【請求項30】
前記新しいネットワークを発見する手段と、
前記現在のネットワークと、前記新しいネットワークと、前記通信リンクを介して前記モバイル装置にサービスを提供するサービスプロバイダとの間の信頼関係を構築する手段と、
通信環境を特徴付けるコンテクストパラメータを前記現在のネットワークから前記新しいネットワークに転送する手段と、
前記現在のネットワークから前記新しいネットワークへの前記通信リンクのハンドオーバを実行する手段と
を含む、前記現在のネットワークとモバイル装置との間の通信リンクを新しいネットワークへ移すシームレスハンドオーバのための制御手段。
【請求項31】
前記発見ステップが、前記新しいネットワークについての情報を前記現在のネットワークから前記モバイル装置に送信するステップを含む、請求項30に記載の制御手段。
【請求項32】
前記サービスプロバイダと前記現在のネットワークと前記新しいネットワークとの間の既存の信頼関係を判断する手段を含む請求項30または31に記載の制御手段。
【請求項33】
前記判断ステップが、前記サービスプロバイダと前記現在のネットワークとの間、および前記現在のネットワークと前記新しいネットワークとの間のみの既存の信頼関係を示す場合、前記新しいネットワークと前記サービスプロバイダとの間の信頼関係を構築する手段を含む、請求項32に記載の制御手段。
【請求項34】
前記判断ステップが、前記サービスプロバイダと前記現在のネットワークとの間、および前記サービスプロバイダと前記新しいネットワークとの間のみの既存の信頼関係を示す場合、前記新しいネットワークと前記現在のネットワークとの間の信頼関係を構築する手段を含む、請求項32に記載の制御手段。
【請求項35】
コンテクスト情報を前記現在のネットワークから前記サービスプロバイダを介して前記新しいネットワークに送信する手段を含む請求項30から34のいずれか一項に記載の制御手段。
【請求項36】
前記モバイル装置および前記新しいネットワークの通信パラメータの少なくとも1つを測定する手段を含む請求項30から35のいずれか一項に記載の制御手段。
【請求項37】
前記パラメータが、
前記モバイル装置の位置と、
速度と、
移動方向と、
信号品質と、
ネットワーク遅延時間と
の少なくとも1つを含む請求項30から36のいずれか一項に記載の制御手段。
【請求項38】
前記パラメータが、
前記モバイル装置の性能と、
前記新しいネットワークのリソースと、
前記サービスプロバイダによって提供された前記サービスのタイプと、
前記新しいネットワークの性能と
の少なくとも1つを含む請求項30から37いずれか一項に記載の制御手段。
【請求項39】
前記測定パラメータに基づいて前記ハンドオーバを実行するか否かを判断する手段を含む請求項30から40のいずれか一項に記載の制御手段。
【請求項40】
前記測定パラメータについて前記現在のネットワークから前記モバイル装置に送信して、前記モバイル装置が前記判断動作を実行できるようにする手段を含む請求項30から41のいずれか一項に記載の制御手段。
【請求項41】
前記モバイル装置が、前記測定パラメータについての情報を受信していない場合に、前記現在のネットワークに前記判断動作の実行をリクエストする手段を含む、請求項30から40のいずれか一項に記載の制御手段。
【請求項42】
前記ハンドオーバを実行する前に前記コンテクストパラメータを転送する手段を含む請求項30から41のいずれか一項に記載の制御手段。
【請求項43】
前記新しいネットワークおよび前記サービスプロバイダに前記ハンドオーバについて通知する手段を含む請求項30から42のいずれか一項に記載の制御手段。
【請求項44】
前記ハンドオーバ中に前記モバイル装置から前記新しいネットワークに初期アクセスするためのセキュリティパラメータを作成する手段を含む請求項30から43のいずれか一項に記載の制御手段。
【請求項45】
前記モバイル装置に前記ハンドオーバの実行を命令する手段を含む請求項30から44のいずれか一項に記載の制御手段。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2007−515827(P2007−515827A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−508864(P2005−508864)
【出願日】平成15年9月12日(2003.9.12)
【国際出願番号】PCT/EP2003/010184
【国際公開番号】WO2005/027557
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】