説明

疎油性および/または疎水性を繊維材料に付与するシリコーン/フッ素化有機化合物の混合組成物

疎水性および/または疎油性のシリコーンエラストマーコーテイングを形成するために架橋し得る架橋性液体組成物であって、M、D、TおよびQ型の単位から選ばれる少なくとも2つの異なるシロキシル単位との結合であって、そのうちの1つがT単位またはQ単位である結合、並びにOHおよび/またはOR1型であってR1が直鎖状または分岐鎖状のC1〜C6、好ましくはC1〜C3のアルキル基である加水分解/脱水縮合基との少なくとも3つの別の結合を1分子中に有するポリオルガノシロキサン(POS)樹脂A、結合を促進する系B、およびポリフルオロアクリレートFを含む組成物。繊維材料を構成しているヤーン、繊維および/またはフィラメントの周囲でシリコーンエラストマー被覆を形成し、持続的な疎油性および/または疎水性を与える前記組成物の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野は、持続的な疎油性および/または疎水性を繊維材料に与えることを可能にするコーティングの形成に用いられる架橋性液体組成物に関する。また、本発明はそれらの繊維材料の処理におけるその組成物の使用および処理された繊維材料に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維は液体が容易に浸透できる多孔質物質である。この浸透性はある特定の応用分野(染色、吸収剤)で必要とされているが、いくつかの面において不利であると判明している。その1つは、特定の液体と接触することで染まってしまう繊維の能力である。
【0003】
液体が主に水である場合は、繊維に疎水性を与えるとその着色を抑えることができるが、脂肪性物質による汚染は、撥水性で常に抑えることはできない。脂肪性物質との接触で繊維が汚染するのを防ぐためには、脂肪質が多孔構造に浸透して繊維を濡らすのを防ぐ必要がある。
【0004】
疎油性を繊維に与えることで耐汚染性を繊維に付与することができる。この耐汚染性は、例えば、衣服ならびに家具および自動車室内のインテリア用の布地等に利用するために特に求められている。
【0005】
ほとんど油分と相互作用しないで、また脂肪性物質で濡れることが観察されない程度に十分に低い表面エネルギーを有する少数の化合物が存在する。これらの化合物は、多くの場合ペルフルオロ基を有する。
【0006】
実際には、疎油性を繊維に与えるために使用される製品は、特に、デュポン・ド・ヌムール社から販売されたポリフルオロアクリレートである。
【0007】
ポリフルオロアクリレートの主な欠点は、その費用と処理の持続性である。これらの処理の有効性が経時により低減するのは、表面におけるペルフルオロ基の再構成の現象および洗浄操作中の脱離現象の結果と考えられる。持続性の不足を克服する試みにおいてペルフルオロ基の量が増加するのに応じて結果として生じる健康と環境に関する問題が、ますます重大になる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
すなわち、本発明の一つの目的は、持続的な疎水性または疎油性を多くの繊維材料に与えることを可能にする配合物と処理を提供することである。
【0009】
本発明のもう一つの目的は、持続的な疎水性および持続的な疎油性を繊維材料に与えることを可能にする配合物と処理を提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、これらの特性が、洗浄およびより一般的には使用応力に対するある程度の耐性を示すようにすることである。
【0011】
本発明のさらに別の目的は、価格に優位性があり、また特にポリフルオロアクリレートを用いた従来の処理ほど高価ではない処理を提供することである。
【0012】
本明細書中では、「繊維材料」という表現が意味するものは:第一に、繊維製品の製造で用いられる合成の、人工の、および/または天然の材料で作られたヤーン、繊維および/またはフィラメントであり;第二に、前記ヤーン、繊維および/またはフィラメントから作製された繊維製品であって、少なくとも1つの繊維表面を含み、例えば、織られた、不織の、および/または編まれた物から成り、前記作製された繊維製品は、例えばジャケットやズボンまたは産業織物等の布帛および衣服の両方を含むものである。広い範囲で、「繊維材料」という表現は、特に紙および革等の繊維状構造を有する基本生地を持つ材料を意味する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
従って、本発明の主要な内容は、疎水性および/または疎油性、望ましくは疎水性および疎油性のシリコーンエラストマーコーティングを与えるために架橋することができ、またシリコーンエラストマーコーティングおよびそのコーティングを形成するために繊維材料(並びに/または構成するヤーン、繊維および/もしくはフィラメント)と接触して架橋することができる架橋性液体組成物であって、以下を含む:
A−1分子中に、M、D、TおよびQ型から選ばれる少なくとも2つの異なるシロキシル単位であってそのうちの1つがT単位またはQ単位である単位、並びにOHおよび/またはOR1型であってR1が直鎖状または分岐鎖状のC1〜C6、好ましくはC1〜C3のアルキル基である少なくとも3つの被加水分解性/脱水縮合性基を有する少なくとも1種のポリオルガノシロキサン(POS)樹脂;
B−好ましくは以下のものを含むか、以下のものから構成される、繊維材料の表面へのネットワークの付着を促進するための少なくとも1つの系:
・一般式(I)で表される少なくとも1種の金属アルコキシドB−1:
M[(OCH2CH2aOR2n (I)
ただし式中:
− Mは、Ti,Zr,Ge,Si,MnおよびAlから成るグループから選ばれる金属;
− n=Mの原子価;
− R2置換基は、同一または相違し、各々が直鎖状または分岐鎖状のC1〜C12アルキル基;
− aはゼロ、1または2;
− 記号aがゼロのときにはアルキル基R2が2〜12の炭素原子を有し、記号aが1または2のときにはアルキル基R2が1〜4の炭素原子を有する;
− 任意で、例えば、特にβ−ジケトン,β−ケトエステルおよびマロン酸エステル(例えば、アセチルアセトン)またはトリエタノールアミンを使用することで得られる1つ以上の配位子に、金属Mは結合する;
・または、記号aがゼロであり、記号R2が前記意味を有する前記式(I)の単量体アルコキシドの部分加水分解から生じる少なくとも1つの金属ポリアルコキシドB−2;
・または、B−1とB−2の組み合わせ;
・または任意でアルコキシル化された少なくとも1つの有機シランB−3であり、1分子中に、少なくとも1つのC2-C6アルケニル基(B3/1)を含み、並びに/または少なくとも1つのエポキシ、アミノ、ウレイド、イソシアナトおよび/もしくはイソシアヌレート基を含む少なくとも1つの有機ケイ素化合物(B3/2)を含む有機シラン;
・または、B−1とB3/1および/またはB3/2の組み合わせ、B−2とB3/1および/またはB3/2の組み合わせ、またはB−1およびB−2とB3/1および/またはB3/2の組み合わせであるB−4;
C−以下を含む少なくとも1種の任意の官能性添加剤:
・少なくとも1種のシラン、および/または少なくとも1種の本質的に直鎖のPOS、および/または少なくとも1のPOS樹脂であって、これらの有機ケイ素化合物の各々は、1分子中に、Aおよび/またはBと反応できる、またはその位置にAおよび/またはBと反応可能な官能基を生成できる結合性官能基(AF)を備え、また疎水性官能基(HF)を備えたC−1;
・または、少なくとも1種の炭化水素性化合物であって、少なくとも1種の飽和または不飽和の、直鎖状または分岐鎖状の炭化水素性基を含み、またSi以外のヘテロ原子(例えば、酸素、フッ素または窒素原子等)を任意で1種以上含み、さらに単量体、オリゴマー(直鎖状、環状または分岐鎖状)またはポリマー(直鎖状、環状または分岐鎖状)の構造の形で存在し、前記炭化水素性化合物は、1分子中に、Aおよび/またはBと反応できる、またはその位置にAおよび/またはBと反応可能な官能基を作り出すことができる結合性官能基(AF)を備え、また疎水性官能基(HF)を備えるC−2;
・またはC−1とC−2の組み合わせ;
D−(i)少なくとも1種の有機溶剤もしくは希釈剤および/または1種の非反応性有機ケイ素化合物;(ii)および/または水;を含む任意の少なくとも1種の非反応性添加剤系:
E−本発明により処理された繊維材料への適用に特に適し、必要時に選択される任意の、少なくとも1種の当業者に公知のD以外の助剤;並びに、
F−フッ素基、好ましくは、ペルフルオロ基を含む、少なくとも1種のポリアクリレート(好ましくは、少なくとも1種のフルオロアクリレートポリマー)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
ポリアクリレートの割合は、広い幅の中で変化させることができる。しかしながら、成分A、BおよびCの乾燥重量の合計に対するポリアクリレートの割合を1〜99重量%、特に5〜80重量%、好ましくは10〜60重量%で変動できると定める場合がある。約50、40、および20重量%で良い結果が得られた。
【0015】
ひとつの実施態様では、組成物は少なくとも成分A、B、DおよびFを含む。
【0016】
別の実施態様では、組成物は少なくとも成分A、B、C、DおよびFを含む。
【0017】
別の実施態様では、組成物は少なくとも成分A、B、CおよびFを含む。
【0018】
様々な可能な組み合わせの各々において、用いられる構成成分A〜Eの量は、以下の通りとすることができる(部は重量部を示す):
− 構成成分Aの100部に対し、構成成分Bは0.5〜200部、好ましくは0.5〜100部、さらに好ましくは1〜70部、
− 構成成分Aの100部に対し、構成成分Cは0〜1000部、好ましくは1〜1000部、さらに好ましくは1〜300部、
− 構成成分Aの100部に対し、構成成分Dは0〜10000部、好ましくは1〜10000部、さらに好ましくは1〜5000部、および/または、
− 構成成分Aの100部に対し、構成成分Eは0〜100部。
【0019】
ポリフルオロアクリレートはホモポリマーでもコポリマーでもよく、十分に当業者に知られた化合物である。本明細書中では、疎油性の分野で通常用いられる様々なポリフルオロアクリレートを用いることができる。例えば、WO−A−01/18140,WO−A−01/44339,WO−A−01/36526,WO−A−99/65959,US−A−5 344 903,EP−A−234 724,US−A−4 366 299およびUS−A−6 074 436で開示された化合物を使用することができる。
【0020】
好ましくは、ポリフルオロアクリレートは、フルオロアルキル、好ましくはペルフルオロアルキル;(メタ)アクリレートモノマー;から得られる少なくとも1種のポリマー鎖単位を含む;したがって、好ましくは、ポリマーは少なくとも1つのZ単位:
−C=O−O−(CH2n−(CF2m−CF3を含み、式中、nは0〜15、好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜4、最も好ましくは2であり、またmは、0〜20、好ましくは1〜20、さらに好ましくは2〜20、最も好ましくは3〜12である。通常、ポリアクリレートは、上記の範囲でnが様々な値を示すZ基を含むことができる。好ましい形態では、ポリアクリレートは、nの値が3〜12であるZ基を含む(明細書において、範囲の境界は含まれるものとする)。
【0021】
さらに、ポリアクリレートは、アルキル(メタ)アクリレートモノマーから得られる少なくとも1種のポリマー鎖単位をも含むことができる;
したがって、さらにポリマーは、少なくとも1の単位がY:−C(=O)−O−(アルキル)であって、式中のアルキルが1〜25のC、好ましくは1〜9のCを有する直鎖状、分岐鎖状または環状である単位を含み、
好ましくは少なくとも1つの単位がY’:−C(=O)−O−(CH2p−CH3であって、式中のpは0〜24、好ましくは1〜15、さらに好ましくは1〜8である。
【0022】
公知のように、ポリアクリレートは、1以上の極性基Xを有する(メタ)アクリレートモノマーから得られる1以上のポリマー鎖単位を含み得る。したがって、ポリマーは他の1種以上の単位、例えば、アミン、第4級アミン、アルコールまたはカルボキシレート(例えばアルキルカルボキシレート)基、またはアンモニウム、アルキルアンモニウムもしくは特にNaやKタイプのアルカリ金属の対イオンを有するアニオン基(例えばカルボキシレートアニオン基、アルコキシドアニオン基)等の極性基Xを1以上含み得る。
【0023】
本発明のひとつの態様では、以下の式で示された繰り返し単位(F)を任意の順序で含む少なくとも1種のポリフルオロアクリレートを用いることができる:
−(CH2−CRZ)a−(CH2−CRY)b−(CH2−CRX)c
ただし式中、Z、YおよびXは上記の定義どおり、RはHまたはCH3、またa、bおよびcは整数であって、aは1以上、cとbは、相互に無関係に各々0以上である。
【0024】
通常見られるように、これらのフッ素ポリマーの分子量は広い割合の中で変動し得る。しかしながら、分子量は50〜1000000の間と定めることができる。
【0025】
フッ素ポリマーは様々な態様で、また特に(i)適切な溶媒中で、または(ii)水相中のエマルジョンもしくは分散体として、のいずれかで提供できる。すなわち、選択された態様により,本発明の組成物は、添加剤Dとして(i)少なくとも1種の有機溶剤または希釈剤および/または1種の非反応性有機フッ素化合物;または(ii)水、少なくとも1種の有機溶剤または希釈剤および/または1種の非反応性有機フッ素化合物、および任意の少なくとも1種の非イオン性、イオン性または両性の界面活性剤を含むことができる。
【0026】
希釈剤として作用することのできる従来からの有機溶剤は:
+ トリクロロエチレン、トリクロロエタン、パークロロエチレン、パークロロエタンまたはジクロロメタン等の塩素系溶剤;
+ エタノール、イソプロパノール、ブタノールまたはオクタノール等のアルカノール;
+ アセトン、メチルエチルケトンまたはメチルブチルケトン等の脂肪族ケトンおよびシクロペンタノンまたはシクロヘキサノン等の脂環式ケトン;
+ 酢酸エチル、酢酸ブチルまたは酢酸ペンチル等の非脂肪族カルボン酸とアルカノールとのエステル;
+ ミリステート(C14)、ラウレート(C12)および混合物等である、C10〜C16、好ましくはC12〜C14の飽和脂肪酸とアルカノールとから得られるエステル;
+ ジブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルまたはジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル
である。
【0027】
一例としてポリアクリレートは、テトラフルオロエチレン、平均して少なくとも8つの炭素原子と17のフッ素原子を含むペルフルオロ鎖Cn2n+1から得ることを可能とするところのアトフィナ社の短鎖重合による合成過程に従って製造することができる。続いてこれらのペルフルオロ鎖のひとつの末端をアルコール基で官能基化し、次に単純エステル化反応によってアクリルモノマー構造にグラフトする。上記の他の官能基もまたアクリルモノマーにグラフトし、後者の重合によって非常に多様なフッ素アクリル樹脂構造を得ることが可能となる。
【0028】
本発明による架橋性液体組成物によって以下のことが可能となる:
− 繊維材料の構成ヤーン、繊維および/またはフィラメントを架橋処理することによって、繊維材料の広い保護範囲を提供すること。その保護は、固定箇所(anchoring points)をほとんど、若しくは全く必要としないので、前記繊維材料の性質にそれほど依存していない;
− 化学的に架橋したシリコーン被覆を形成することによって、使用中に生じる攻撃に対する優れた耐性を繊維材料に与えることで、繊維材料の持続的な保護を提供すること:「持続的な保護」という表現は、一方では繊維の工程で課された条件、特にヒート・セット熱処理または染め処理等に対する保護を定義し、他方ではその繊維生地の寿命(たとえば衣類品等)の間に起こる攻撃、特に着衣時、合成洗剤水中での洗濯時もしくは溶剤中でのドライクリーニング時の摩耗に対する保護を表すものである;
− 疎油性および疎水性を有するコーティングを形成すること;および
− 繊維生地を作製、および/または再生、および/または保存する過程でのいくつかのポイントにおいて、配合成分の固有の性質により液体配合物を付着させ、それを架橋させる操作を行うこと。
【0029】
すなわち、この組成物を用いる効果によって官能性シロキサンネットワークが繊維表面に持続的に結合し、その結果、行われた当該処理により、前記の様々な有利な特性をうまく得ることができる。疎水性は、シリコーンコーティングによって与えられ、疎油性は、ポリフルオロアクリレートによって与えられる。しかしながら、シリコーン配合物とポリフルオロアクリレートの併用は、持続的な疎油性および疎水性のコーティングを与え、また規定の疎油性レベルを与えるために使用されるポリアクリレートの量は、ポリアクリレートが単独で使用されるときに必要な量よりもはるかに少ない場合があると認められた。ポリアクリレートによってもたらされるフッ素化基の割合の変化によって疎油性レベルを調整することができる。
【0030】
さらにある場合には、シリコーン配合物で行われた処理は、繊維材料のその後の染色を何らかの方法で妨げないだけではなく、洗濯操作に対する染色堅牢度を改良する効果を生じることができると認められた。
【0031】
本発明の第2の主要な内容は、繊維材料を処理して、その上に持続的な疎油性および/または疎水性の特性を与える本発明の組成物の使用である。好ましい態様では、当該処理は、持続的な疎油性および疎水性を繊維材料に与える。
【0032】
処理された材料の洗濯前後の耐油性の特性を比較することによって疎油性の寿命を評価することができ、またデビーディング(debeading)の特性を比較することによって疎水性の寿命を評価することができる。以下に示す実施例は、洗濯機中で合成洗剤を用いた洗濯のプロセス、噴霧試験AATCC試験法22−1996によるビーズ効果の測定、およびAATCC試験法118−1997による耐油性の測定を示す。合成洗剤の存在下または非存在下での他の洗濯試験が容易に開発されるのは明白である。
【0033】
本発明によれば、好ましくは、得られたビーズ効果は4のグレードに相当し、5のグレードに相当すればさらに良い。「この効果の寿命」という用語は、好ましくは洗濯処理後のグレードが3以上に留まることを意味すると理解される。
【0034】
本発明によれば、好ましくは、耐油性は3〜8のグレードに相当する。「この耐性の寿命」という用語は、好ましくは洗濯処理後のグレードが3〜8の間に留まることを意味すると理解される。
【0035】
シリコーン配合物自体に関しては、単独で、または混合物として使用できる構成成分Aが、有利には従来のフィルム形成樹脂であり、その中で挙げることができるのは:
A―1:一般式(R33SiCl、(R32Si(Cl)2、R3Si(Cl)3およびSi(Cl)4のもので構成された群から選ばれたクロロシランの共加水分解および共縮合で作製された少なくとも1種の有機シリコーン樹脂。これらの樹脂は、周知の、商業的に利用可能な、分岐したオルガノポリシロキサンオリゴマーまたはポリマーである。一般式(R33SiO0.5(M単位)、(R32SiO(D単位)、R3SiO1.5(T単位)およびSiO2(Q単位)のものから選ばれ、少なくともこれらの単位の1つがTまたはQ単位である少なくとも2種の異なるシロキシル単位が、それらの構造中に示される。R3基は、樹脂がケイ素1原子あたり約0.8〜1.8のR3基を含むように配分されている。さらに、これらの樹脂は完全には縮合されておらず、それらは依然としてケイ素1原子あたり約0.001〜1.5のOHおよび/またはOR1のアルコキシル基を有する。
【0036】
これらのR3基は、同一であるかまたは相違し、直鎖または分岐鎖のC1〜C6のアルキル基、C2〜C4のアルケニル基、フェニル基または3,3,3−トリフルオロプロピル基から選ばれる。例えば、メチル、エチル、イソプロピル、tert−ブチル基およびn−ヘキシル基をR3アルキル基として列挙することができる。
【0037】
分岐したオルガノポリシロキサンオリゴマーまたはポリマーの例として、MQ樹脂、MDQ樹脂、TD樹脂およびMDT樹脂を列挙することができる。OHおよび/またはOR1基は、M、Dおよび/またはT単位によって運ばれることができる。OHおよび/またはOR1基の重量含有量は、0.2〜10重量%である。
【0038】
A−2:上記有機シリコーン樹脂A−1と、以下に示す従来の有機樹脂との共縮合によって作製される少なくとも1種の混合樹脂:
オレイン酸、リノール酸もしくはリシノール酸等の脂肪酸、または脂肪酸と脂肪族ポリオールとのエステルであるヒマシ油もしくは獣脂等によって変性された、または変性されていないポリエステルおよびアルキド樹脂;脂肪酸によって変性された、または変性されていないエポキシ樹脂;フェノール樹脂、アクリル樹脂またはメラミン−ホルムアルデヒド樹脂;ポリアミド;ポリイミド;ポリアミドイミド;ポリ尿素;ポリウレタン;ポリエーテル;ポリカーボネート;または、ポリフェノール等。
【0039】
構成成分Aの好ましい具体的例として、以下の混合物A−3を挙げることができる:
− 一般式(R33SiO0.5(M単位)、(R32SiO(D単位)およびR3SiO1.5(T単位)から選ばれ、少なくともこれらの単位の1つがT単位である少なくとも2つの異なるシロキシル単位を構造中に有し、OHおよび/またはOR1基はM、Dおよび/またはT単位に含まれてもよく、OHおよび/またはOR1基の重量含有量が0.2〜10重量%である少なくとも1種のA−1タイプの樹脂;並びに
− 一般式(R33SiO0.5(M単位)、(R32SiO(D単位)、R3SiO1.5(T単位)およびSiO2(Q単位)から選ばれ、少なくともこれらの単位の1つがQ単位である少なくとも2つの異なるシロキシル単位を構造中に有し、OHおよび/またはOR1基はM、Dおよび/またはT単位に含まれてもよく、OHおよび/またはOR1基の重量含有量が0.2〜10重量%である少なくとも1種の別のA−1タイプの樹脂;
【0040】
構成成分Aの非常に好適な具体例として、以下の混合物A−3を挙げることができる:
− OH基の重量含有量が0.2〜10重量%である少なくとも1種の水酸化MDT樹脂、および
− OH基の重量含有量が0.2〜10重量%である少なくとも1種の水酸化MQ樹脂。
【0041】
混合物A−3では,構成成分のそれぞれの割合は重要でなく、広い割合の値の中で変動できる。これらの混合物は、A−1/1樹脂を60〜90重量%、A−1/2樹脂を40〜10重量%含む。
【0042】
構成成分B−1に関しては、一般式(I)の金属Mの有機誘導体のR2の例として、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、オクチル、デシルおよびドデシル基が列挙できる。
【0043】
構成成分B−1の好ましい具体的例として、挙げることができるのは:
エチルチタネート、プロピルチタネート、イソプロピルチタネート、ブチルチタネート、2−エチルヘキシルチタネート、オクチルチタネート、デシルチタネート、ドデシルチタネート、β−メトキシエチルチタネート、β−エトキシエチルチタネート、β−プロポキシエチルチタネートまたは一般式Ti[(OCH2CH2)2OCH34のチタネート等のアルキルチタネート;プロピルジルコネートまたはブチルジルコネート等のアルキルジルコネート;メチルシリケート、エチルシリケート、イソプロピルシリケートまたはn−プロピルシリケート等のアルキルシリケート;およびこれらの生成物の混合物である。
【0044】
チタネート、ジルコネートおよびシリケートのモノマーの部分加水分解由来のポリアルコキシドB−2の好ましい具体的例として、挙げることができるのは:
イソプロピルチタネート、ブチルチタネートまたは2−エチルヘキシルチタネートの部分加水分解由来のポリチタネートB−2;プロピルジルコネートおよびブチルジルコネートの部分加水分解由来のポリジルコネートB−2;エチルシリケートおよびイソプロピルシリケートの部分加水分解由来のポリシリケートB−2;およびこれらの生成物の混合物である。
【0045】
構成成分B−3/1の好ましい具体的例として挙げることができるのは、次の一般式の生成物から任意に選ばれたアルコキシル化オルガノシランである:
【化1】

ただし式中:
− R4、R5およびR6は、相互に同一、または異なる水素基もしくは炭化水素性基、好ましくは水素基、直鎖もしくは分岐鎖のC1−C4アルキル基、または少なくとも1のC1−C3アルキルで任意に置換されたフェニル基、
− Uは、直鎖もしくは分岐鎖のC1−C4アルキレンまたは一般式−CO−O−アルキレン−の二価の基で、当該アルキレン残基は上記の定義を有し、右側の自由な価電子(太字体)はWを介してSiに結合する、
− Wは原子価結合(valency bond)、
−R7およびR8は、相互に同一、または異なる直鎖または分岐鎖のC1−C4アルキル基、
− X’=0または1、
− X=0〜2、好ましくは0または1、さらに好ましくは0である。
【0046】
下記に限定されるものではないが、ビニルトリメトキシシランまたはγ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは特に適切な化合物B−3/1とすることができる。
【0047】
構成成分B−3/2の好ましい具体的例として挙げることができるのは、
アルキル基が1〜4の炭素原子を含むトリス[(トリアルコキシリル)アルキル]イソシアヌレートであり、有機ケイ素化合物は以下から選ばれる:
− 以下の一般式に相当する生成物B−3/2−a:
【化2】

ただし式中:
+ R9は直鎖または分岐鎖のC1−C4アルキル基、
+ R10は直鎖または分岐鎖のアルキル基、
+ yは、0、1、2または3、好ましくは、0または1、さらに好ましくは0、
+ Xの意味するところは:
【化3】

ただし式中:
+ EおよびDは、同一または異なる基であり、直鎖または分岐鎖のC1−C4アルキル基から選ばれる、
+ Zは0または1、
+ R11、R12およびR13は、同一、または異なる基であり、水素または直鎖もしくは分岐鎖のC1−C4アルキルを示し、水素が特に好ましい、
+ もう1つの方法として、R11およびR12またはR13が共に、エポキシ基を有する2個の炭素を用いて、5〜7員環の環状アルキルを形成することもできる、
− またはエポキシ官能性ポリジオルガノシロキサン生成物B−3/2−bであって、以下を含むもの:
(i)少なくとも1種の以下の一般式のシロキシル単位:
【数1】

ただし式中:
+ Xは、上記で定義された一般式(B−3/2−a)の基、
+ Gは、触媒の活性に好ましくない影響を与えない1価の炭化水素性基であって、好ましくは任意に少なくとも1種のハロゲン原子と置換された有利にはメチル基、エチル基、プロピル基および3,3,3−トリフルオロ基から選ばれる1〜8の炭素原子を含むアルキル基、並びにアリル基、有利にはキシリル、トリルおよびフェニル基から選ばれる、
+ p=1または2、
+ q=0、1または2、
+ p+q=1、2または3、
および(ii)任意の、少なくとも1種の少なくとも1種の以下の一般式のシロキシル単位:
【数2】

ただし式中、Gは上記と同じ意味を有し、rの値は0〜3、例えば1および3である。
【0048】
化合物B−3/2は、好ましくは、トリス−[3−(トリメトキシシリル)プロピルイソシアヌレートおよびエポキシアルコキシモノシランB−3/2−aである。
【0049】
その化合物B−3/2−aの例として挙げることができるのは:
+ 3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GLYMO)
+ 3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン。
【0050】
本発明の実施においては、化合物Bとして、以下のチタネート、ジルコネートおよびシリケートB−1を単独で、または他との混合物として使用をすることが好ましい:エチルチタネート、プロピルチタネート、イソプロピルチタネート、ブチル(n−ブチル)チタネート、プロピルジルコネート、ブチルジルコネート、エチルシリケート、プロピルシリケートおよびイソプロピルシリケート。
【0051】
B−1+B−3/1またはB−1+B−3/2を用いる場合、B−1+B−3/1またはB−3/2の合計に対するB−1の重量含有量は、特に5〜100%、好ましくは8〜80%である。
【0052】
B−1+B−3/1+B−3/2を用いる場合、量的に、B−1、B−3/1およびB−3/2の間の重量含有量は規定され、3者の合計に対する重量パーセントによって示すと、以下の通りとなる:
B−1 ≧1,好ましくは5〜25
B−3/1 ≧10,好ましくは15〜70
B−3/2 ≦90,好ましくは70〜15
B−1、B−3/1およびB−3/2のこれらの割合の合計は100%であると理解される。
【0053】
構成成分Cは、シリコーン被覆への結合を可能とする官能基および処理された繊維材料に疎水性を与えるHF官能基を含む。
【0054】
単独または混合物として使用できる構成成分C−1は、シラン、基本的に直鎖のPOS、および分子中のケイ素原子に結合した2種の官能性AFとHFを有するPOS樹脂である。
【0055】
さらに詳細に述べると、AF官能基は、縮合型/被加水分解型官能基であり、OHおよび/またはOR1に相当する。または、その部位にOHおよび/またはOR1基を作り出すことができる官能基である。
【0056】
FH官能基は、あらゆる公知の疎水性基または公知の疎水性基を含むことができる。好ましくは、これらの基は以下の型から選ばれる:アルキル基、シリコーン基、フッ素基およびこれらの様々な組み合わせ。これらの基はさらに柔軟性の特性を発現させる。
【0057】
好ましい態様によれば、これらの基はM、Dおよび/またはT単位を含むシロキサンの配列であり、好ましくは、これらは構成成分A−1に関して上記で定義されたものである。
【0058】
別の態様によれば、これらの基はC1〜C50、特にC1〜C30の直鎖または分岐鎖のアルキル配列である。
【0059】
さらに別の態様によれば、これらの基は以下の一般式のフッ素基である:
−Z−(−RFK
ただし式中:
+ Zは炭化水素含有の二価または三価の架橋単位であって、直鎖もしくは分岐鎖で、飽和もしくは不飽和の脂肪族、芳香族、脂肪族/芳香族の混合物、環状もしくは非環状の残基の場合があり、1〜30の炭素原子を含む酸化ヘテロ原子を1以上含むことができる、
+ Kは1または2、
+ RFは−CS2S−CF3基であって、sは0であるか0ではない。またはCS2SH基を示し、sは1以上である。
【0060】
構成成分C−1の好ましい具体的例として、以下に列挙する有機ケイ素化合物を挙げることができる:
(i)各々の鎖の末端に水酸基を含む本質的に直鎖の一般式(III)で表されるジオルガノポリシロキサン:
【化4】

ただし式中:
+ R18置換基は、同一または異なっており、各々が飽和または不飽和、置換された又はされていない、脂肪族、飽和脂環または芳香族の1価のC1〜C13の炭化水素性基を示す;
+ jは、一般式(III)のジオルガノポリシロキサンにおいて、25℃での動粘性係数が50〜10000000mPa・sとなるのに十分な値である;
+ 本明細書中においては、一般式(III)の水酸化POSとして、動粘性係数の値および/またはケイ素原子に結合した置換基の性質において相互に異なるいくつかの水酸化ポリマーで構成された混合物を使用することが可能であると理解されるべきであり;さらに、一般式(III)のPOSは、任意に一般式R18SiO3/2のT単位および/またはSiO2を最大限で1%の割合(このパーセンテージは、100のケイ素原子あたりのTおよび/またはQ単位の数を表している)で含むことができると理解されるべきである;
(ii)その構造中に、Tおよび任意にMおよび/または任意の樹脂A−1において上記で定義されたDのシロキシル単位を含む水酸化POS樹脂;
(iii)特に以下の工程で得られることのできる水酸化POS樹脂;
→ HFにより置換されたアルコキシシランSの加水分解;例えば、T(OH)樹脂と称されるT単位を含む水酸化POS樹脂が得られるHF置換トリアルコキシシラン;
→ 加水分解されたシランSのホモ重縮合;
→ および、HFの加水分解物の除去(蒸気を用いたエントレインメント);
(iv)上記有機ケイ素化合物の少なくとも2種の混合物。
【0061】
構成成分C−1の非常に適切な具体的例として挙げることができるのは、OH基の重量含有量が0.2〜10重量%である水酸化MDT樹脂であり、単独または一般式(III)の水酸化シリコーン油と混合して用いられる。
【0062】
用いられる構成成分C−1の割合に関しては、上記の説明の通り構成成分Aの100重量部に対し、所望のHFに応じて構成成分C−1は1〜1000重量部の範囲内となる。例えばHFが疎水性を与える場合には、構成成分C−1は、通常2〜30重量部用いられる。
【0063】
上記の定義から明らかとなるのは、構成成分Aが、Tおよび任意のMおよび/もしくは任意のD単位を有するPOS樹脂である場合には、その樹脂は、はっ水性機能の添加剤C−1として働くことができると理解されるべきであり、A+C−1の併用に対応する割合の合計と等しい十分な割合で用いられるということである。
【0064】
単独で、または混合物として用いることができる構成成分C−2は、炭化水素含有化合物であり、その分子中に炭素原子に結合した2個のAFとHFの官能基を有している。
【0065】
さらに詳細に述べると、AF官能基は、縮合型/加水分解型官能基であり、OHおよび/またはOR1に相当する。または、その部位にOHおよび/またはOR1基を作り出すことができる官能基である。
【0066】
構成成分C−2の好ましい具体的例として、一般式(IV)で表されるフッ化アルコール類、好ましくはペルフルオロアルコールを挙げることができる:
19−OH (IV)
ただし式中、R19は、2〜20の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖に脂肪族の官能基、前記炭素原子は少なくとも1個のフッ素原子、また任意に少なくとも1つの水素原子で置換されている。
【0067】
構成成分C−2の非常に適切な具体的例として挙げることができるのは、一般式RF−(CH2m−OHのペルフルオロアルコールであり、式中RFは上記の定義通り、mは0〜10の範囲の数である。
【0068】
用いられる構成成分C−2の割合に関しては上記の説明通り、構成成分Aの100重量部に対し、所望のHFに応じて構成成分C−2は1〜1000重量部の範囲内にある。
【0069】
構成成分Dは、シリコーン配合物およびポリアクリレートの使用により、および/または、繊維への使用を可能とするため組成物を適切に希釈するために、必要となる化合物を含む。例えば、組成物は成分D、特にシリコーン配合物自体およびポリアクリレートまたはポリアクルレート配合物間の混合を促進する溶媒を含むことができる。任意の構成成分Dの好ましい具体的例として、水の他に、以下の化合物を挙げることができる:
− 従来からの有機溶剤であって、そのいくつかは希釈剤として機能でき、以下から成る群から選ばれる:
+ ヘキサン、ヘプタン、揮発油、オクタンまたはドデカン等の5〜20の炭素原子を有する脂肪族溶剤、およびシクロヘキサン、メチルシクロヘキサンまたはデカリン等の脂環式溶剤;
+ トリクロロエチレン、トリクロロエタン、パークロロエチレン、パークロロエタンまたはジクロロメタン等の塩素系溶剤;
+ トルエンまたはキシレン等の芳香族溶剤;
+ エタノール、イソプロパノール、ブタノールまたはオクタノール等のアルカノール;
+ アセトン、メチルエチルケトンまたはメチルブチルケトン等の脂肪族ケトン、およびシクロペンタノンまたはシクロヘキサノン等の脂環式ケトン;
+ 酢酸エチル、酢酸ブチルまたは酢酸ペンチル等の非脂肪族カルボン酸およびアルカノールのエステル;
+ ミリステート(C14)、ラウレート(C12)および混合物等である、C10〜C16、好ましくはC12〜C14の飽和脂肪酸およびアルカノールから得られるエステル;
+ ジブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルまたはジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル;
− 一般式(VI)で表される非反応性の直鎖ジオルガノポリシロキサン:
【化5】

ただし式中:
+ R21要素は、同一または異なっており、上記一般式(III)のジオルガノポリシロキサンと同じ意味を有する;
+ j’は、一般式(VI)のポリマーにおいて、25℃での動粘性係数が10〜200000mPa・sの範囲とすることができる十分な値である;
−POS樹脂は、上記構成成分Aに与えられた意味を有するが、ここではOHおよび/またはOR1型の官能基を有さない。使用できる樹脂の具体例として、MQ,MDQ,TDおよびMDT樹脂を挙げることができる。
【0070】
任意の助剤である構成成分Eの好ましい具体例として挙げることができるのは:
− 一般的に、スズ、チタニウムおよびジルコニウムから選ばれる金属の化合物である重縮合触媒;
従って、EP−A−0 367 696に記載されている2−エチルヘキサン酸錫、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、6配位錫(IV)キレート類など等の錫モノカルボン酸塩および錫ジカルボン酸塩を使用することができる;
− 適切なフィラー、その中で特に挙げられるのは:
+ 亜鉛粉末、アルミニウム粉またはマグネシウム粉等の金属粉;
+ 酸化シリカ、石英粉末(ground quartz)、酸化アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化セリウム、酸化ランタン、酸化プラセオジムまたは酸化ネオジウム等の酸化物;
+ マイカ、タルク、バーミキュライト、カオリン、フェルドスパーまたはゼオライト等のケイ酸塩;
+ 炭酸カルシウム、メタホウ酸バリウム、ピロリン酸鉄、ピロリン酸亜鉛、ピロリン酸カルシウム、リン酸亜鉛またはカーボンブラック;
+ フタロシアニン、酸化クロム、硫化カドミウムまたは硫セレン化カドミウム等の顔料;
+ 架橋または無架橋の有機または高分子の粒子;
− 当業者に公知の防かび剤または殺菌剤;
− 当業者に公知の揺変剤;
− および、架橋性液体シリコーン配合物を水分散体またはエマルジョンとして使用する場合において、非イオン性、イオン性または両性界面活性剤。
【0071】
本明細書では、繊維コーティングベースとして使用される液体シリコーン配合物は、構成成分A、B、C、(任意の)Dおよび(任意の)Eを任意の順序で加え、室温で簡単に混合することで得られる。その含有量は、上記の規定通りである。
【0072】
構成成分は任意の順序で加えることができるが、しかしながら、固形物の沈殿またはゲルの形成のリスクも避けるために、溶媒/希釈剤成分Dの溶液の形態または成分Dが水を含む場合は水性エマルジョンもしくは分散体の形態で成分Aを加えることが好ましい。
【0073】
任意のフィラーEを使用する場合、その添加ならびに構成成分A、B、CおよびDとの緊密な混合は、繊維製造メーカーで用いられる従来の工程を使用して行われる。例えばペブル・ミルまたはターボミキサーが混合に使用できる。
【0074】
非常に多くの場合、ポリアクリレート部分は、上記の溶剤のひとつに溶けたポリフルオロアクリレート溶液の形態で、またはその同じポリフルオロアクリレートのエマルジョンの形態で見られる。
【0075】
シリコーン配合物自体およびポリフルオロアクリレート組成物の簡単な混和で最終的な組成物が作られる。混合を容易にするために第3の溶剤を用いることができる。
【0076】
本発明の組成物は、数十分から数時間、または必要であれば数十時間の間で変動し得る時間の間での空気による簡単な乾燥で硬化可能という利点を示す。50℃から180℃の範囲にある温度で熱することで、該時間を加速できる。
【0077】
本発明の組成物は優れた保存安定性を有し、また、硬化後の非常に優れた物性を有する持続的なコーティングを必要とする全ての繊維利用品に用いることができる。
【0078】
ひとつの有利な特性によれば、本発明の組成物は高濃度で作製することができ(例えば、100重量部の構成成分Aに対し0〜100重量部のDを用いる)、次に、有機希釈剤、有機溶剤または水を用いて、配合物1〜30重量部に対し、溶剤、希釈剤または水を100重量部の割合として使用時に希釈することができる。
【0079】
好ましくは、繊維製品を被覆する本発明の組成物の量は、処理された繊維製品の乾燥重量の0.1〜20重量%の量に相当する。
【0080】
繊維材料を(布地用に)作製する、および/または再生する、および/または(衣類用に)保存する過程のいずれかの時点で本発明による使用は実施され、最初の一般的な処理の形によると、ヤーン、繊維および/またはフィラメントから製造され、少なくともひとつの繊維表面を有し、例えば、織った、不織の、および/または編んだ製品を構成する繊維製品に対し、前記使用は直接実施され得る。
【0081】
「繊維表面」という用語は、例えば、接着、フェルト化、製織、編組、フロック加工または編み等の任意の工程によりヤーン、繊維および/またはフィラメントを集合させることによって得られる表面を意味すると理解される。
【0082】
これらの繊維製品の製造に使用されるヤーン、繊維および/またはフィラメントは、以下から成る群から選ばれる少なくとも1つの熱可塑性ポリマーで構成された合成熱可塑性母材の化成により作られる;
ポリアミド、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル、ポリウレタン、アクリロニトリル、(メタ)アクリレート/ブタジエン/スチレン共重合体、これらの共重合体およびこれらの混合物。
熱可塑性母材は顔料、つや消し剤、マット剤、触媒、熱および/もしくは光安定化剤または殺菌、防かびおよび/もしく殺ダニ剤等の添加物を含むことができる。例えば、マット剤は、酸化チタン粒子および/または硫化亜鉛粒子から選ぶことができる。
【0083】
ヤーン、繊維および/またはフィラメントは、当業者に公知の加工工程によって、特に綿、麻または羊毛等の天然材料から作ることもできる。当然、合成材料および天然材料の混合物も使用できる。
【0084】
本発明による使用においては、製品の処理のための前記組成物の施工に、繊維工業の従来のテクニック、特にパディングと呼ばれる含浸技術の手段を用いることで使用が行われる。また、リックロール(lick-roll)塗布器という名称で知られる技術または非常に簡単なスプレー等の代替技術を用いることができる。
【0085】
有機希釈剤または溶剤を含む配合物を用いて繊維製品が処理される場合には、続いて希釈剤または溶媒を除去することが望ましく、例えば、蒸気の形で希釈剤または溶剤を追い出すために当該製品に熱処理を与えることが望ましい。
【0086】
また、2番目の通常の処理の形によれば、繊維材料を作製する工程のいずれかの時点において、ヤーン、繊維および/またはフィラメントを本発明の組成物と接触させることができる。
【0087】
「ヤーン」という用語は、例えば、連続マルチフィラメント、いくつかの糸を集めることで得られる連続糸、または単一繊維もしくは混合繊維から得られる連続繊維の紡績糸を意味すると理解される。「繊維」という用語は、例えば、短または長繊維、紡績もしくは不織布製品の製造に用いるための繊維、または短い繊維の形成のために切断されるトウ(tow)を意味すると理解される。
【0088】
ヤーン、繊維および/または、フィラメントの製造のための工程は、一般に、金型に熱可塑性母材を通すことで始まり、繊維表面製造段階前に終了する。
【0089】
ヤーン、繊維および/またはフィラメントの製造工程は、特に紡績段階を含む。「紡績」という用語は、ヤーン、繊維および/またはフィラメントの製造から成る特定の操作を意味すると理解される。紡績段階は、1以上の金型を通る熱可塑性母材の通過中に始まり、得られたヤーン、繊維、および/またはフィラメントの(ヤーンまたはフィラメントのための)ボビンまたは(繊維のための)ポットの中への巻き取りとも呼ばれる移動で終了する。また、紡績段階は金型を通過する段階と巻き取り工程段階の間に行われる段階を含むことができる。例えば、これらの段階はサイズ処理、(1以上のピックアップポイントまたは収束ガイドを経由した)フィラメントの再結合、ドローイング、フィラメントの再加熱、リラクシングおよびヒート・セットの段階であってもよい。
【0090】
したがって、例えば、ヤーン、繊維および/もしくはフィラメントの集合後、並びに/または、ヤーン、繊維および/もしくはフィラメントのドローイング段階の間に、ヤーン、繊維および/またはフィラメント上への本発明の組成物の被覆を行うことができる。また、これらの2つの段階の間に前記被覆を行うことができる。好ましくは、前記組成物はサイズ処理の間に、ヤーン、繊維および/またはフィラメントを被覆する。
【0091】
本発明の別の好ましい内容によれば、本発明の少なくとも1種の組成物を含むサイズ処理剤が、ヤーン、繊維および/またはフィラメントを被覆する。
【0092】
また、ヤーン、繊維および/またはフィラメントを巻き取る間の処理段階の間に、本発明の組成物は、ヤーン、繊維、および/またはフィラメントを被覆することができる。「処理段階」という用語は、ヤーン、繊維および/またはフィラメントを巻き取った後の処理段階を意味すると理解される。例えば、テクスチャリング、ドローイング、ドローイング・テクスチャリング、サイズ処理、リラクシング、ヒート・セット、撚糸、セッティング、クリンピング、洗浄および/または染色段階等である。特に、以下から成る群から選ばれる操作の間、本発明の組成物を、ヤーン、繊維および/またはフィラメントに被覆できる;ヤーン、繊維および/またはフィラメントのリラクシング、撚糸、セッティング、クリンピング、ドローイング、および/またはテクスチャリング。
【0093】
また特に、ヤーン、繊維、および/またはフィラメントを巻き取る間の処理段階の間に、本発明の少なくとも1種の組成物を含むサイズ処理剤でヤーン、繊維および/またはフィラメントを被覆することが可能である。
【0094】
また、本発明の少なくとも1種の組成物を含む洗浄液および/または染色液の中にヤーン、繊維および/または、フィラメントを入れることもできる。
【0095】
3番目の通常の処理の態様によれば、以下の2段階で本発明による使用の実施をすることができる:
− 第1段階において:繊維材料を作製する工程のいずれかの時点において、ヤーン、繊維および/またはフィラメントを当該組成物と接触させ;そして
− 第2段階において:処理されたヤーン、繊維および/またはフィラメントで作製された繊維製品を当該組成物と接触させる。その接触操作は、繊維材料を(布地用に)作製する、および/または再生する、および/または(衣類用に)保存する過程のいずれかの時点において行われる。
【0096】
当該組成物を用いた前記処理は、一部、あるいは完全に施工することができ、一方では、ヤーン、繊維および/またはフィラメントに施工でき、さらに他方では、処理されたヤーン、繊維および/またはフィラメントから作製された繊維製品に施工できる。
【0097】
特に「一部」という表現は、当該組成物の構成成分の一部を用いてのヤーン、繊維および/またはフィラメントの処理と、処理されたヤーン、繊維および/またはフィラメントから作製された繊維製品の処理中の残りの成分の添加とを含む施工を定義することを目的とする。例えば、結合を促進する系(構成成分B)は、ヤーン、繊維および/またはフィラメントの処理中に添加することができるのに対して、ネットワークを作る系(構成成分A)および官能性添加剤(構成成分C)は繊維製品の処理中に添加される。
【0098】
「完全に」という表現は、一方では、ヤーン、繊維および/またはフィラメントを、さらに他方では、それらのヤーン、繊維および/またはフィラメントから作製された繊維製品を、それぞれ構成成分の全てを含む組成物を用いて処理する施工を定義し、後者の場合は、ヤーン、繊維および/またはフィラメントの処理の間、次の製品処理の間に必ずしも同じ割合で存在しなくてもよい。
【0099】
また、ヤーン、繊維および/もしくはフィラメント並びに/または繊維製品に組成物(全てまたは一部を有する)を1以上被覆することが可能であることを明示する。
【0100】
本発明のさらなる内容は、本発明の組成物の架橋によりシリコーン・エラストマーで被覆された繊維製品、繊維材料、並びに繊維材料用のヤーン、繊維および/もしくはフィラメントである。
【実施例】
【0101】
実施例を用いて、さらに詳細に本発明を説明する。ただし、実施例は発明を限定するものではない。
【0102】
1)フッ素化化合物(Pf):
ポリフルオロアクリレートは、デュポン・ド・ネモア社のFORAPERLE(登録商標)、F225として市販されている。このポリフルオロアクリレートは、乾燥分で約30%のポリアクリレートを含む溶剤(n−ブチルアセテート)の溶液の形態で存在する。
【0103】
2)本発明による架橋性液体シリコーン配合物(F1):
以下の組成を有する(部は、重量部である):
− A:以下の混合物
・0.5重量%のOHを有し、62重量%のCH3SiO3/2単位、24重量%の(CH32SiO2/2単位および14重量%の(CH33SiO1/2単位で構成される水酸化MDT樹脂:57部、および、
・2重量%のOHを有し、45重量%のSiO4/2単位、55重量%の(CH33SiO1/2単位で構成される水酸化MQ樹脂:7部;
− B:以下の混合物
・一般式Ti(OBu)4のn−ブチル(Bu)チタネート:2部;および、
・一般式Si(OEt)4のエチル(Et)シリケート:4部;
− D:揮発油;30部
施工前に、A+Bが15重量%濃度となる比率で揮発油にて再希釈する。
【0104】
3)本発明による架橋性液体シリコーン配合物(F2):
80部のF1および、約0.01重量%のOHを有し、100重量%の(CH32SiO2/2単位で構成される水酸化樹脂Cを20部の混合物であって、粘度が4000000mPa・sのもの。
施工前に、A+B+Cが15重量%濃度となる比率で前記混合物を揮発油にて再希釈する。
【0105】
4)疎油性試験
・使用した処理布は、ポリアミド−6,6およびエラスタン(商標、80/20)で製造された織布である。これは、44デシテックス(39.6デニール)の伸縮性のあるエラスタンの縦糸および横糸から成り、44デシテックス/34ストランドのPA−6,6で覆われている。これらの布帛の表面は高い双方向の弾性(両方向への100%伸張)および130g/m2の単位重量を示す。
・該布帛は、溶剤を用いてパディングにより処理される。それは、数分間、室温で乾燥にかけられ、さらに2分間、180℃で熱処理される。
・ビーズ効果は、霧吹き試験AATCC試験法22−1996で測定される。該試験は、繊維製品のサンプルに規定の水量を噴霧するものである。次に、サンプルの外観は、目視により標準と比較して評価される。保持した水量により、0〜5までの評価が与えられる。サンプルが完全に濡れているものは0、サンプルが完全に乾いているものは5である。
・疎油性は、「撥油性:炭化水素耐性試験」という名称で知られる標準検査(AATCC試験法118−1997)により測定される。「油耐性試験」は、油滴が界面張力の減少に伴って布帛上をカバーすること、および油的の広がりが観察された時から、液体LH(liquid LH)を測定することである。得られた前記LHにより、0〜8までの評価が与えられ、流動ワセリンが広がる場合(流動パラフィン、わずかな疎油性)は0、n−テトラデカンが広がる場合(著しい疎油性)は3、n−ヘプタンが広がらなくなった場合(非常に著しい疎油性)は8である。
・処理の寿命を試験するために、サンプルは、市販の洗濯機(商標:Miele,Novotronic824モデル)を用いて、50℃で、30分間の連続した洗濯サイクルで、規格化された洗剤(ECE無リン洗剤−参考の洗剤Aは、BS1006:1900:UK−TOに配合が示されている)の存在下で洗濯される。これは、強い洗濯の条件に相当する。使用される洗剤の量は96gである(洗濯機で使用される水量は12 lなので、この量は通常の8g/l濃度に相当する)。サイクルの終わりには、3回の連続したすすぎ操作が行われ、その後、2分間、500回転/分で脱水が行われる。次に、布帛を150℃で1分間、オーブンで乾燥する。
【0106】
【表1】

【0107】
結果は以下を示す:
− ポリフルオロアクリレート(Pf)を単独で使用すると、処理の寿命は短い;
− シリコーン組成物F1またはF2とポリフルオロアクリレートPfとの混合物とすると疎油性は改良される;
− シリコーン組成物を添加することで、油耐性試験の最高評価を得るために必要なポリフルオロアクリレートの量を5倍減少させることができる。これは、ポリフルオロアクリレートが高価である限り、コスト削減を構成する;
− シリコーン組成物F1またはF2およびポリフルオロアクリレートPfが結合している混合物を用いると撥油処理および撥水処理の寿命は改良される;
【0108】
添付した特許請求の範囲で定義した本発明は、上記説明で示した特定の実施例には制限されないが、本発明の趣旨又は範囲から逸脱しない代替の態様を包含すると明確に理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
疎水性および/または疎油性のシリコーンエラストマーコーテイングを形成するために架橋し得る架橋性液体組成物であって、
1分子中に、M、D、TおよびQ型から選ばれる少なくとも2つの異なるシロキシル単位であってそのうちの1つがT単位またはQ単位である単位、並びに
OHおよび/またはOR1型であってR1が直鎖状または分岐鎖状のC1〜C6、好ましくはC1〜C3のアルキル基である、少なくとも3つの被加水分解性/脱水縮合性基を有するポリオルガノシロキサン(POS)樹脂A;
結合を促進する系B;並びに
ポリフルオロアクリレートFを含む組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の組成物であって、結合を促進する以下を含む系を含む組成物:
・ 一般式(I)で表される少なくとも1つの金属アルコキシドB−1:
M[(OCH2CH2aOR2n (I)
ただし式中:
− Mは、Ti,Zr,Ge,Si,MnおよびAlから成るグループから選ばれる金属;
− n=Mの原子価;
− R2置換基は、同一または相違し、各々が直鎖状または分岐鎖状のC1〜C12アルキル基;
− aはゼロ、1または2;
− 記号aがゼロのときにはアルキル基R2が2〜12の炭素原子を有し、記号aが1または2のときにはアルキル基R2が1〜4の炭素原子を有する;
− 任意で、金属Mは配位子に結合する;
・または、少なくとも1つの金属ポリアルコキシドB−2であって、記号aがゼロであり、記号R2が前記意味を有する前記式(I)の単量体アルコキシドの部分加水分解から生じる金属ポリアルコキシド;
・または、B−1とB−2の組み合わせ;
・または任意でアルコキシル化された少なくとも1つの有機シランB−3であり、1分子中に、少なくとも1つのC2-C6アルケニル基(B3/1)を含み、並びに/または少なくとも1つのエポキシ、アミノ、ウレイド、イソシアナトおよび/もしくはイソシアヌレート基を含む少なくとも1つの有機ケイ素化合物(B3/2)を含む有機シラン;
・または、B−1とB3/1および/またはB3/2との組み合わせ、B−2とB3/1および/またはB3/2との組み合わせ、またはB−1およびB−2とB3/1および/またはB3/2との組み合わせであるB−4。
【請求項3】
請求項1または2に記載の組成物であって、以下を含む官能性添加剤Cをさらに含む組成物:
・少なくとも1種のシラン、および/または少なくとも1種の本質的に直鎖のPOS、および/または少なくとも1のPOS樹脂であって、これらの有機ケイ素化合物の各々は、1分子中に、Aおよび/またはBと反応できる、またはその位置にAおよび/またはBと反応可能な官能基を生成できる結合性官能基(AF)を備え、また適用性(applicational)官能基(UF)を備えたC−1;
・または、少なくとも1種の炭化水素性化合物であって、少なくとも1種の飽和または不飽和の、直鎖状または分岐鎖状の炭化水素性基を含み、任意でSi以外の1種以上のヘテロ原子(例えば、酸素、フッ素または窒素原子等)を含み、単量体、オリゴマー(直鎖状、環状または分岐鎖状)またはポリマー(直鎖状、環状または分岐鎖状)の構造の形で存在し、前記炭化水素性化合物は、1分子中に、Aおよび/またはBと反応できる、またはその位置にAおよび/またはBと反応可能な官能基を作り出すことができる結合性官能基(AF)を備え、また適用性官能基(UF)を備えるC−2;
・または、C−1とC−2の組み合わせ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかの項に記載の組成物であって、フルオロアルキル(メタ)アクリレートモノマーから得られる少なくとも1つのポリマー鎖単位を含むポリフルオロアクリレートを含む組成物。
【請求項5】
請求項4に記載の組成物であって、ペルフルオロアルキル(メタ)アクリレートモノマーから得られる少なくとも1つのポリマー鎖単位を含むポリフルオロアクリレートを含む組成物。
【請求項6】
前記ポリマーが、−C=O−O−(CH2n−(CF2m−CF3単位を少なくとも1つ含み、式中nは、0〜15、好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜4、最も好ましくは2であり、またmは、0〜20、好ましくは1〜20、さらに好ましくは2〜20、最も好ましくは3〜12である請求項4または5に記載の組成物。
【請求項7】
前記ポリアクリレートが、さらにアルキル(メタ)アクリレートモノマーから得られる少なくとも1つのポリマー鎖単位を含む請求項4、5または6に記載の組成物。
【請求項8】
前記ポリアクリレートが、少なくとも1の−C(=O)−O−(アルキル)単位であって、式中のアルキルが1〜25のC、好ましくは1〜9のCを有する直鎖状、分岐鎖状または環状である単位を含み、
好ましくは少なくとも1つの単位がY’:−C(=O)−O−(CH2p−CH3であって、式中のpは0〜24、好ましくは1〜15、さらに好ましくは1〜8である請求項7記載の組成物。
【請求項9】
請求項4乃至8のいずれかの項に記載の組成物であって、前記ポリアクリレートが、1以上の極性基を有する(メタ)アクリレートモノマーから得られる1以上のポリマー鎖をさらに含む組成物。
【請求項10】
請求項9に記載の組成物であって、前記ポリマーが、アミン、第4級アミン、アルキルもしくはカルボキシレート基、またはアンモニウム、アルキルアンモニウムもしくはアルカリ金属類のカウンターイオンを有する陰イオン基から選ばれる1以上の極性基を含む組成物。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかの項に記載の組成物であって、ポリフルオロアクリレートFの重量含有量が、構成成分A、Bおよび任意のCの乾燥総重量に対し、1〜99重量%、好ましくは5〜80重量%、さらに好ましくは10〜60重量%である組成物。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれかの項に記載の組成物であって、さらに有機溶剤、希釈剤および/または水である構成成分Dの少なくとも1種を含む組成物。
【請求項13】
以下を含む請求項1乃至12のいずれかの項に記載の組成物:
A−1分子中に、M、D、TおよびQ型から選ばれる少なくとも2つの異なるシロキシル単位であってそのうちの1つがT単位またはQ単位である単位、並びにOHおよび/またはOR1型であってR1が直鎖状または分岐鎖状のC1〜C6、好ましくはC1〜C3のアルキル基である少なくとも3つの被加水分解性/脱水縮合性基を有する少なくとも1種のポリオルガノシロキサン(POS)樹脂;
B−好ましくは以下のものを含む、繊維材料の表面へのネットワークの付着を促進するための少なくとも1つの系:
・一般式(I)で表される少なくとも1種の金属アルコキシドB−1:
M[(OCH2CH2aOR2n (I)
ただし式中:
− Mは、Ti,Zr,Ge,Si,MnおよびAlから成るグループから選ばれる金属;
− n=Mの原子価;
− R2置換基は、同一または相違し、各々が直鎖状または分岐鎖状のC1〜C12アルキル基;
− aはゼロ、1または2;
− 記号aがゼロのときにはアルキル基R2が2〜12の炭素原子を有し、記号aが1または2のときにはアルキル基R2が1〜4の炭素原子を有する;
− 任意で、例えば、特にβ−ジケトン,β−ケトエステルおよびマロン酸エステル(例えば、アセチルアセトン)またはトリエタノールアミンを使用することで得られる1つ以上の配位子に、金属Mは結合する;
・または、記号aがゼロであり、記号R2が前記意味を有する前記式(I)の単量体アルコキシドの部分加水分解から生じる少なくとも1つの金属ポリアルコキシドB−2;
・または、B−1とB−2の組み合わせ;
・または任意でアルコキシル化された少なくとも1つの有機シランB−3であり、1分子中に、少なくとも1つのC2-C6アルケニル基(B3/1)を含み、並びに/または少なくとも1つのエポキシ、アミノ、ウレイド、イソシアナトおよび/もしくはイソシアヌレート基を含む少なくとも1つの有機ケイ素化合物(B3/2)を含む有機シラン;
・または、B−1とB3/1および/またはB3/2の組み合わせ、B−2とB3/1および/またはB3/2の組み合わせ、またはB−1およびB−2とB3/1および/またはB3/2の組み合わせであるB−4;
C−以下を含む少なくとも1種の任意の官能性添加剤:
・少なくとも1種のシラン、および/または少なくとも1種の本質的に直鎖のPOS、および/または少なくとも1のPOS樹脂であって、これらの有機ケイ素化合物の各々は、1分子中に、Aおよび/またはBと反応できる、またはその位置にAおよび/またはBと反応可能な官能基を生成できる結合性官能基(AF)を備え、また疎水性官能基(HF)を備えたC−1;
・または、少なくとも1種の炭化水素性化合物であって、少なくとも1種の飽和または不飽和の、直鎖状または分岐鎖状の炭化水素性基を含み、またSi以外のヘテロ原子(例えば、酸素、フッ素または窒素原子等)を任意で1種以上含み、さらに単量体、オリゴマー(直鎖状、環状または分岐鎖状)またはポリマー(直鎖状、環状または分岐鎖状)の構造の形で存在し、前記炭化水素性化合物は、1分子中に、Aおよび/またはBと反応できる、またはその位置にAおよび/またはBと反応可能な官能基を作り出すことができる結合性官能基(AF)を備え、また疎水性官能基(HF)を備えるC−2;
・またはC−1とC−2の組み合わせ;
D−(i)少なくとも1種の有機溶剤もしくは希釈剤および/または1種の非反応性有機ケイ素化合物;(ii)および/または水;を含む少なくとも1種の非反応性添加剤系:
ただし、構成成分Aの100重量部に対し、
− 構成成分Bは0.5〜200重量部、好ましくは0.5〜100重量部、さらに好ましくは1〜70重量部、
− 構成成分Cは0〜1000重量部、好ましくは1〜1000重量部、さらに好ましくは1〜300重量部、
− 構成成分Dは1〜10000重量部、好ましくは1〜5000重量部、
である。
【請求項14】
以下の混合物A−3を含む請求項1乃至13のいずれかの項に記載の組成物:
− 一般式(R33SiO0.5(M単位)、(R32SiO(D単位)およびR3SiO1.5(T単位)から選ばれ、少なくともこれらの単位の1つがT単位である少なくとも2つの異なるシロキシル単位を構造中に有し、OHおよび/またはOR1基はM、Dおよび/またはT単位に含まれてもよく、OHおよび/またはOR1基の重量含有量が0.2〜10重量%である少なくとも1種の樹脂;並びに
− 一般式(R33SiO0.5(M単位)、(R32SiO(D単位)、R3SiO1.5(T単位)およびSiO2(Q単位)から選ばれ、少なくともこれらの単位の1つがQ単位である少なくとも2つの異なるシロキシル単位を構造中に有し、OHおよび/またはOR1基はM、Dおよび/またはT単位に含まれてもよく、OHおよび/またはOR1基の重量含有量が0.2〜10重量%である少なくとも1種の別の樹脂;
但し、前記樹脂中に存在するR3基は同一であるかまたは相違し、直鎖または分岐鎖のC1〜C6のアルキル基、C2〜C4のアルケニル基、フェニル基または3,3,3−トリフルオロプロピル基から選ばれる。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれかの項に記載の組成物であって、
前記構成成分B−1が、アルキルチタネート、アルキルジルコネート、アルキルシリケートまたはこれらの少なくとも2種の混合物を含み、および/または前記構成成分B−2が、イソプロピルチタネート、ブチルチタネートまたは2−エチルヘキシルチタネートの部分加水分解由来のポリチタネートB−2、プロピルジルコネートおよびブチルジルコネートの部分加水分解由来のポリジルコネートB−2、エチルシリケートおよびイソプロピルシリケートの部分加水分解由来のポリシリケートB−2またはこれらの少なくとも2種の混合物を含む組成物。
【請求項16】
請求項15に記載の組成物であって、
前記構成成分B−1が、エチルチタネート、プロピルチタネート、イソプロピルチタネート、ブチルチタネート、2−エチルヘキシルチタネート、オクチルチタネート、デシルチタネート、ドデシルチタネート、β−メトキシエチルチタネート、β−エトキシエチルチタネート、β−プロポキシエチルチタネート、一般式Ti[(OCH2CH2)2OCH34のチタネート、プロピルジルコネート、ブチルジルコネート、メチルシリケート、エチルシリケート、イソプロピルシリケート、n−プロピルシリケートおよびこれらの少なくとも2種の混合物から選ばれる化合物を含む組成物。
【請求項17】
前記構成成分C−1が以下を含む請求項1乃至16のいずれかの項に記載の組成物:
(i)各々の鎖の末端に水酸基を含む本質的に直鎖の一般式(III)で表されるジオルガノポリシロキサン:
【化1】

ただし式中:
+ R18置換基は、同一または異なっており、各々が飽和または不飽和、置換された又はされていない、脂肪族、飽和脂環または芳香族の1価のC1〜C13の炭化水素性基を示す;
+ jは、一般式(III)のジオルガノポリシロキサンにおいて、25℃での動粘性係数が50〜10000000mPa・sとなる値である;
(ii)その構造中に、Tおよび任意にMおよび/または任意にDのシロキシル単位を含む水酸化POS樹脂;
(iii)以下の工程で得られることのできる水酸化POS樹脂;
→ HFにより置換されたアルコキシシランSの加水分解;
→ 加水分解されたシランSのホモ重縮合;
→ および、HFの加水分解物の蒸気を用いたエントレインメント;
(iv)前記化合物(i)、(ii)および(iii)の少なくとも2種の混合物。
【請求項18】
OH基の重量含有量が0.2〜10重量%である水酸化MDT樹脂を含む請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
さらに重縮合触媒を含む請求項1乃至18のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項20】
さらにフィラーを含む請求項1乃至19のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項21】
繊維材料を処理し、長期的疎水性および/または疎油性を繊維材料に与える請求項1乃至20のいずれかの項に記載の組成物の使用であり、前記組成物は、繊維材料のヤーン、繊維および/またはフィラメントの周囲で架橋される使用。
【請求項22】
前記繊維材料の構成物であるヤーン、繊維および/またはフィラメントは直接処理される請求項21記載の使用。
【請求項23】
前記繊維材料が処理される請求項21記載の使用。
【請求項24】
前記繊維材料の構成物であるヤーン、繊維および/またはフィラメントが直接処理され、さらに前記繊維材料自体が直接処理される請求項21記載の使用。
【請求項25】
前記繊維材料の構成物であるヤーン、繊維および/またはフィラメントの周囲にシリコーンエラストマーの被覆が形成される請求項21乃至請求項24のいずれかの項に記載の使用。
【請求項26】
請求項1乃至20のいずれかの項に記載の組成物の架橋により得られるシリコーンエラストマーでコートされた繊維材料のための繊維製品、繊維材料またはヤーン、繊維および/またはフィラメント。

【公表番号】特表2007−530761(P2007−530761A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−505594(P2007−505594)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【国際出願番号】PCT/FR2005/000767
【国際公開番号】WO2005/095519
【国際公開日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(390023135)ロディア・シミ (146)
【Fターム(参考)】