説明

疼痛を治療するための局所用組成物

本明細書では「親油性基剤」または「LV」と呼ぶ、脂質、脂肪酸エステル、天然ワックス、ステロールまたはこれらの組み合わせを有効成分として有する局所用組成物ならびに、使用方法が、疼痛または疼痛後遺症の寛解または予防のために開発されている。この組成物は、軟膏、クリーム、ゲル、ローション、スプレー、フォーム、ペースト、パッチ、懸濁液または分散液の形であってもよい。好ましい実施形態では、製剤がゲルである。LVは浸透促進剤を含有してもよく、最も好ましくは膜破壊特性を有するものを含有してもよい。この製剤は、ガーゼ、ラップ材、絆創膏、綿棒、ガーゼ付き絆創膏テープまたは他のサポートラップまたは医療用絆創膏または創傷被覆材に塗布または含浸させたものであってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2007年9月6日に出願された米国特許出願第11/851,241号ならびに2007年6月12日に出願された米国仮特許出願第60/943,552号の優先権の利益を主張するものである(各々、その全体を本明細書に援用する)。
【0002】
本発明は、体性痛、内臓痛または神経因性疼痛である急性疼痛および慢性疼痛ならびに、関節硬直および筋硬直の局所治療に関する。この治療は、ある程度、疲労や注意力散漫、体重増加、運動耐容能低下、呼吸困難を含む場合がある疼痛(通常は慢性)の精神的後遺症、自律神経(vegetative)および薬剤後遺症にも向けられている。
【背景技術】
【0003】
疼痛とは、複雑な一連の機序で構成される感覚および知覚である。その最も単純な構成では、疼痛は、末梢にて侵害受容器や触覚受容器、圧覚受容器が興奮して生じた信号が、脊髄に伝わり、最終的に脳の下位中枢および高位中枢に伝わったものである。しかしながら、この信号は、疼痛経路の各段階において数多くの方法で変化する可能性がある。これについての掘り下げた考察に関しては、非特許文献1などを参照のこと。
【0004】
疼痛には主に、体性痛、内臓痛、神経因性疼痛の3つのタイプが存在し、それぞれ急性の場合と慢性の場合がある。体性痛は、皮膚組織または筋骨格組織のいずれかで痛覚受容器が活性化されることで生じる。通常は鋭い痛みと表現され、灼熱痛または刺すような痛みの特性を伴うこともある表在痛とは対照的に、通常は疼くような鈍い感覚でありながら局所的な感覚を特徴とするのが深部痛である。体性痛には、椎骨の骨折、関節痛(深部痛)、術創からの術後痛(表面痛)が含まれることもある。炎症性疼痛の症状が炎症の発生を誘発し得ることから、炎症性疼痛には体性痛、内臓痛、神経因性疼痛と同じような要素がある。炎症性疼痛は、多くの自己免疫疾患、過度の伸張刺激、感染、血管収縮、癌で見られるような刺傷、熱傷、超低温、骨折、炎症性関節症の形で起こり得る組織損傷に関連している。
【0005】
内臓痛は、体腔内に収まっている体内部分で痛覚受容器が活性化されることで生じる。通常は局在が不明瞭で、締め付けられるような深部痛として表現される内臓痛の一例に、膵炎がある。
【0006】
神経損傷によって生じる神経因性疼痛は通常、灼熱痛、ぴりぴりする痛み、電撃痛または刺痛と表現されるが、圧迫損傷、浸潤、化学損傷、代謝性障害の結果または原因不明のいずれかの感覚消失として現れる場合もある。神経因性疼痛には生体外に原因があるものもあり、薬剤誘発神経障害および手根管症候群などの神経圧迫症候群、椎間板ヘルニア形成による神経根障害、断端痛および幻肢痛などの切断後症候群、糖尿病性神経障害などの代謝疾患、帯状疱疹およびヒト免疫不全ウイルス(HIV)疾患由来の向神経性ウイルス疾患、神経組織の刺激または圧迫につながる腫瘍浸潤、癌の放射線療法後などの放射性神経炎、複合性局所疼痛症候群(CRPS)由来の自律神経障害などがあげられる。
【0007】
急性疼痛は、痛覚と称され、侵害刺激に応答して痛みの感覚が即発することである。急性疼痛のおかげで生物体は自らを傷付けずにすむため、急性疼痛は適応性であるとみなされる。たとえば、痛みを感じたらすぐに高温のストーブから手を離すことで、ひどい熱傷を防止できるのである。2つ目のタイプの疼痛は持続痛である。急性疼痛とは異なり、持続痛は遅発性なのが普通であるが、数時間から数日間持続する場合もある。怪我の後で持続痛が生じると、組織をさらに傷付けずにすむため、持続痛は主に適応性であるとみなされる。たとえば、足関節捻挫に関連する疼痛によって、患者は足を使わなくなり、結果として、さらに外傷が生じるのを防ぐとともに治癒を助けることになる。3つ目のカテゴリの疼痛は慢性疼痛である。慢性疼痛は遅発性であり、数ヵ月から数年持続する場合もある。急性疼痛および持続痛とは対照的に、慢性疼痛は不適応であるとみなされ、関節炎、神経損傷、AIDSおよび糖尿病などの症状と関連している。さらに別のタイプの疼痛については、突出痛と呼ぶことが可能である。これは、先行因子または誘発因子の有無を問わず、患者が規則的鎮痛剤を飲んでいる間にすら生じ得る、数分間から数時間の激しい一過性疼痛が突発的に生じるものである。多くの患者は毎日何度も突出痛のエピソードを経験する。
【0008】
多くのタイプの疼痛管理が事実上、全身性である。また、これらの疼痛管理には、いくつかの非ステロイド抗炎症薬(「NSAIDS」)の場合の胃潰瘍、アセトアミノフェンによる肝毒性、便秘、CNS作用、呼吸抑制、薬剤耐性、依存症、オピオイド麻薬の中毒、抗鬱薬による性交不能および性欲減退などの全身性副作用がある。慢性疼痛の場合、これらの全身投薬による副作用を制御するには、オピオイドによる傾眠の症候を抑えるための覚醒剤であるリタリンなどの全身投薬を追加する以外にない場合があるが、こうした薬剤にもその副作用がある。また、慢性疼痛の心理的要素は、抗鬱薬および刺激薬などでの補助的療法がさらに必要になることの多い、疲労、体重増加、食欲亢進、集中力低下および認識低下、活力減退、精神運動発達遅滞を引き起こしかねない。COPD、喘息および高血圧症などの関連する併存症状が呼吸困難や運動耐容能低下につながることで、禁断症状や鬱が増悪される場合があるが、これは慢性疼痛症候群を特徴とし、さらに補助的療法を必要とすることが多いものである。さらに、疼痛を管理するためのほとんどの局所治療は、リドカインスプレーおよびリドカインパッチ、ベンゾカイン軟膏のように有効性に限りがあるか、あるいは数分間しか持続しない。
【0009】
疼痛はどのようなタイプであっても心身の両方を衰弱させかねず、金銭面、生産性の低下、生活の質という点で多大なる犠牲を強いるものである。したがって、全身投薬の機能を高め、その使用量を附随する副作用とともに減らすために、効果的かつ安全で、患者管理のレベルを高めることができ、疼痛の症候と治療の重要な精神的後遺症、自律神経、薬剤後遺症にある程度影響する、疼痛を予防または軽減するための製剤が必要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Millan,M.J.(1999)The Induction of Pain:An Integrative Review,Progress in Neurobiology,57,1−164(Pergamon Press)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の目的は、患者や疼痛のタイプ、痛みを伴う病変または症候群に応じて、数分から数時間ないし数日間持続するさまざまな期間にわたって疼痛を緩和する局所用製剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本明細書では「親油性基剤」または「LV」と呼ぶ、脂質、脂肪酸エステル、天然ワックス、ステロールまたはこれらの組み合わせのうちの1つまたは複数を有効成分として含む局所用組成物ならびに、使用方法が、疼痛または疼痛後遺症の寛解または予防のために開発されている。この組成物は、軟膏、クリーム、ゲル、ローション、スプレー、フォーム、ペースト、パッチ、懸濁液または分散液の形であってもよい。好ましい実施形態では、製剤がゲルである。LVは浸透促進剤を含有してもよく、最も好ましくは膜破壊特性を有するものを含有してもよい。
【0013】
この製剤は、ガーゼ、ラップ材、絆創膏、綿棒、ガーゼ付き絆創膏テープまたは他のサポートラップまたは医療用絆創膏または創傷被覆材に塗布または含浸させたものであってもよい。たとえば、塗布を容易にする目的で、痔用清浄綿、スポンジ、マウスガード、歯科用トレー;注射針またはカテーテル;成人用おむつ;手袋、靴下またはリストバンドなどの使い捨て製品の表面または内部に上記の組成物を取り入れるようにしてもよい。
【0014】
この組成物は、痛みのある領域にある部位またはこれに隣接する部位に局所塗布される。この組成物は必要に応じて再度塗布される。疼痛緩和は一般に数分以内になされ、数分から数時間、場合によっては数日にもなる範囲のさまざまな期間にわたって持続する。この化合物は、薬用量が、痛みのある部分またはすぐ隣接する部分で疼痛を寛解または除去するのに有効な用量を得るのに十分になるように塗布される。この組成物は、急性および慢性の両方の内臓痛、体性痛および神経因性疼痛ならびに、筋肉痛と筋肉の凝り、関節痛と関節の凝りを治療するのに可変的に有効である。関節痛、筋肉痛および腱痛、関節、筋肉および腱の不動、炎症性疼痛、神経障害、筋痙縮、変形性関節炎、喘鳴などの呼吸障害、空腹時痛、いくつかのタイプの頭痛、嚥下障害、線維筋痛症、自己免疫障害、月経困難症、術後痛、裂肛、慢性および膵炎が原因の内臓痛をはじめとする、多数の症状に対する患者での疼痛緩和を示す例がある。
【発明を実施するための形態】
【0015】
I.定義
「水溶性」とは、本明細書で使用する場合、水100mlに対する溶解性が5g以上である物質を示す。
【0016】
「脂溶性」とは、本明細書で使用する場合、ヒマシ油などの疎水性の液体100mlに対する溶解性が5g以上である物質を示す。
【0017】
「親水性」とは、本明細書で使用する場合、水と容易に相互作用する極性の強い基を有する物質を示す。
【0018】
「親油性」とは、脂質に対する親和性を有する化合物を示す。
【0019】
「両親媒性」とは、親水特性と親油特性(疎水性)とを兼ね備えた分子を示す。
【0020】
「疎水性」とは、本明細書で使用する場合、撥水しやすく、水を吸収しにくく、なおかつ水に溶解または水と混合されにくい、水に対する親和性を欠いた物質を示す。
【0021】
「油」は、少なくとも95wt%の親油性物質を含有する組成物である。親油性物質の例としては、天然由来の油および合成油、脂肪、脂肪酸、レシチン、トリグリセリド、これらの組み合わせがあげられるが、これに限定されるものではない。
【0022】
「エマルション」は、均質にブレンドされた非混和成分の混合物を含有する組成物である。特定の実施形態では、非混和成分は、親油性成分および水性成分を含む。エマルションは、液体の調製物を小球の形で第2の液体の中に分散させたものである。分散液体が不連続相であり、分散媒は連続相である。油が分散液体で水溶液が連続相である場合、これは水中油滴型エマルションとして周知なのに対し、水または水溶液が分散相で油または油性物質が連続相である場合、これは油中水滴型エマルションとして周知である。油相および水性相の一方または両方が、1種以上の界面活性剤、乳化剤、乳化安定剤、バター、他の賦形剤を含むものであってもよい。好ましい賦形剤としては、界面活性剤、特に非イオン性界面活性剤;乳化剤(emulsifying agent)、特に乳化ワックス;不揮発性の液体物質非水性材料、特にプロピレングリコールなどのグリコールがあげられる。油相は、薬学的に承認された他の油性賦形剤を含むものであってもよい。たとえば、ヒドロキシル化ヒマシ油またはゴマ油などの材料を界面活性剤または乳化剤として油相に用いてもよい。
【0023】
「皮膚軟化剤」は、皮膚を軟化させるまたは滑らかにする外用薬であり、一般に従来技術において周知であり、“Handbook of Pharmaceutical Excipients”,4th Ed.,Pharmaceutical Press,2003などの一覧に列挙されている。一例として、アーモンド油、ヒマシ油、イナゴマメエキス、セトステアロイルアルコール、セチルアルコール、セチルエステルワックス、コレステロール、綿実油、シクロメチコン、パルミトステアリン酸エチレングリコール、グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸グリセリル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ラノリン、レシチン、軽油、中鎖トリグリセリド、鉱油/ラノリンアルコール、ワセリン、ワセリン/ラノリンアルコール、ダイズ油、スターチ、ステアリルアルコール、ヒマワリ油、キシリトールおよびこれらの組み合わせがあげられるが、これに限定されるものではない。一実施形態では、皮膚軟化剤がステアリン酸エチルヘキシルおよびパルミチン酸エチルヘキシルである。
【0024】
「界面活性剤」は、表面張力を下げることで、製品の乳化性、発泡性、分散性、拡散性、濡れ特性を高める表面活性薬である。好適な非イオン性界面活性剤としては、乳化ワックス、モノオレイン酸グリセリル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリソルベート、ソルビタンエステル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、サイクロデキストリン、モノステアリン酸グリセリン、ポロクサマー、ポビドンおよびこれらの組み合わせがあげられる。一実施形態では、非イオン性界面活性剤がステアリルアルコールである。
【0025】
「乳化剤」は、ある液体が別の液体中に懸濁するのを促進し、油と水との安定した混合物すなわちエマルションの形成を促進する表面活性物質である。一般的な乳化剤は、金属石鹸、特定の動物油および植物油、さまざまな極性化合物である。好適な乳化剤としては、アカシア、アニオン性乳化ワックス、ステアリン酸カルシウム、カルボマー、セトステアリルアルコール、セチルアルコール、コレステロール、ジエタノールアミン、パルミトステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸グリセリル、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、加水ラノリン、ラノリンアルコール、レシチン、中鎖トリグリセリド、メチルセルロース、鉱油/ラノリンアルコール、リン酸二水素ナトリウム、モノエタノールアミン、非イオン性乳化ワックス、オレイン酸、1つまたは複数のポロクサマー、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ステアリン酸ポリオキシエチレン、アルギン酸プロピレングリコール、自己乳化モノステアリン酸グリセリル、脱水クエン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ソルビタンエステル、ステアリン酸、ヒマワリ油、トラガカント、トリエタノールアミン、キサンタンガムおよびこれらの組み合わせがあげられる。一実施形態では、乳化剤がステアリン酸グリセロールである。
【0026】
「ローション」は、粘度が100〜1000センチストークのエマルションである。
【0027】
「クリーム」は、粘度が1000センチストークを超え、一般に20,000〜50,000センチストークの範囲にあるエマルションである。
【0028】
「ペースト」は、一般にローションクリームまたはゲルに固体材料が均質に懸濁された液体またはエマルションである。
【0029】
「ゲル」は、液体中に溶解または懸濁された増粘剤またはポリマー材料を含有する組成物である。液体は、親油性成分、水性成分またはその両方を含むものであってもよい。エマルションによってはゲルであってもよいし、そうでなければゲル成分を含むものであってもよい。しかしながら、不混和性成分の均質なブレンドを含有しないゲルもあることから、エマルションではないゲルも存在する。
【0030】
「浸透促進剤」は、皮膚を介し、特に角質層を介しての薬剤の経皮送達を促進するのに用いられる。浸透促進剤には、化学的な浸透促進剤または超音波などの物理的な浸透促進剤を用いることが可能である。
【0031】
局所投与用に配合した組成物に皮膚保護剤を含ませることも可能である。このような作用剤は、感染部位を落ち着かせるだけでなく、皮膚の完全性を保ってさらに損傷するのを防ぐのにも役立ち得る。好適な皮膚保護剤としては、アラントイン;カカオバター;ジメチコン;カオリン;サメ肝油;ワセリン;ラノリン;植物油;エトキシル化油および脂質;ポリアルキレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリレート、酢酸エチルビニル、ポリアルキレングリコールなどのポリマー;ヒアルロン酸、セルロースエーテル、セルロースエステル、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、クロスカルメロース、スターチなどの多糖および修飾多糖;アルギン酸塩、カラギーナン、寒天、ペクチン、グルコマンナン(グアー、ローカストビーンなど)、ガラクトマンナン(コンニャクなど)、アラビアゴム、トラガントゴム、キサンタン、シュレログルカン、セラックなど、ゲル化または非ゲル化タイプのどちらであってもよい天然ガムおよび樹脂;酸化亜鉛および他の不溶性亜鉛塩、タルカムパウダーおよび他の微粉化天然ミネラルなどのコロイド状不溶物;コロイダルシリカ、アルミナおよび他の金属酸化物があげられる。
【0032】
緩衝液を使用して、組成物のpHを制御する。好ましくは、緩衝液は、pH約4からpH約7.5に、一層好ましくはpH約4からpH約7に、最も好ましくはpH約5からpH約7に組成物を緩衝する。好ましい実施形態では、緩衝液がトリエタノールアミンである。
【0033】
保存料を使用して、真菌および微生物の成長を防止することが可能である。好適な抗真菌薬および抗微生物薬としては、安息香酸、ブチルパラベン、エチルパラベン、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、塩化セチルピリジニウム、クロロブタノール、フェノール、フェニルエチルアルコール、チメロサールがあげられるが、これに限定されるものではない。
II.組成物
実施例によって実証されるように、特定の親油性基剤を局所塗布することで、多種多様な原因による疼痛を軽減または予防することができることが見いだされた。この基剤は薬剤送達用としても使用できるが、有効性を得るのに薬剤は必要ない。
A.親油性基剤
本明細書で「親油性基剤」(「LV」)と呼ぶ、脂質(糖脂質、リン脂質など)、脂肪酸エステル、天然ワックス、ステロールおよびこれらの組み合わせを有効成分として含有する局所用組成物を開発し、多岐にわたるタイプの疼痛の軽減について試験した。この製剤は一般に、両親媒性、疎水性、親油性および/または表面活性の賦形剤を含む。これらの賦形剤は、皮膚または粘膜表面への局所塗布用の軟膏、クリーム、ゲル、ローション、スプレー、フォーム、ペースト、パッチ、懸濁液または分散液を形成するのに用いられる。好ましい実施形態では、製剤がゲルである。ゲルは、好ましくはオルガノゲルである。
【0034】
有効成分は、例えば、脂質、脂肪酸エステルまたはステロールまたはこれらの組み合わせと併用した親水性ポリマー(PLOなど)または親水性ポリマーのモノエステルまたはジエステル(ステアリン酸ポリオキシル40など)であってもよい。好適なLVとしては、レシチンおよびミリスチン酸イソプロピルを含有するPluronic(登録商標)F−127ゲル;Van Pen(登録商標);PCCA化粧用HRTクリーム;ACAI Berry BlendとAquaphorの50:50混合物;ポリエチレングリコール(「PEG」)、グリセリン、ミリスチン酸イソプロピルの混合物;レシチンとミリスチン酸イソプロピルの混合物;pluronicゲル;ゴマ油;綿実油;蜜ろうおよびラノリンを含有する軟膏ベース;Dawn(登録商標)などの洗剤があげられる。Pluronic(登録商標)F−127は、ポリエチレンオキシド(PEO)含有率70%のABAタイプのブロックコポリマーであるポロクサマー界面活性剤である。分子量は12,500ダルトンである。冷却時、Pluronic(登録商標)F−127は液体になるが、温度が高くなると固体または半固体である。DMSOおよびレシチン/パルミチン酸イソプロピルをPluronic(登録商標)F−127に添加して、皮膚からの吸収を高めることも可能である。
【0035】
疼痛緩和が得られた別のLVとしては、20%pluronicゲル+レシチン/ミリスチン酸イソプロピル+PEG+グリセリン+製薬グレードのゴマ油;オレイン酸+AQUAPHOR(商標)、VersaBaseクリームPCCA(「Professional Compounding Centers of America」)およびPCCA Emollient Creamがあげられる。
レシチン
レシチンは、糖脂質、トリグリセリド、リン脂質(ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトールなど)の混合物である。また、レシチンは、純粋なホスファチジルコリンすなわち、卵白または大豆から単離できるホスファチド画分の主成分であるリン脂質(そこからヘキサンを用いて機械的または化学的に抽出される)と同義に用いられる。
【0036】
レシチンは、耐容性が良好で無毒の界面活性剤であるとみなされている。また、United States Food and Drug Administrationから「Generally Recognized As Safe」(GRAS)の状態で食用として認可されている。レシチンは細胞膜の構成要素であり、身体が完全に代謝可能なものである。レシチンは、製薬から保護カバーに至るまで天然の乳化剤および/または潤滑剤が必要な物質において業務利用されている。
ミリスチン酸イソプロピル
ミリスチン酸イソプロピルは、イソプロパノールとミリスチン酸のエステルである。これは、炭素数12の単純な脂肪酸エステルである。ミリスチン酸イソプロピルは、皮膚からの良好な吸収が望ましい化粧品や医療用の局所用調製物で使用される。
Van Pen(登録商標)
Van Pen(登録商標)は、大豆レシチン、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸、モノステアリン酸グリセロール、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸ポリオキシル40を含み得る市販の製剤ベースである。大豆レシチンおよびミリスチン酸イソプロピルは上述したものである。
【0037】
パルミチン酸イソプロピルは、イソプロパノールとパルミチン酸のエステルである。パルミチン酸は、動物および植物に見られる最も一般的な飽和脂肪酸の1つである。その名前から分かるように、ヤシの木から得られる油(パーム油およびパーム核油)の主成分である。パルミチン酸は、脂質生成(脂肪酸合成)時に生成される第一脂肪酸であり、そこから鎖長の長い脂肪酸を生成することが可能である。パルミチン酸塩は鎖長が伸びているアシル鎖でアセチルACPからマロニルACPへの変換を担うアセチルCoAカルボキシラーゼ(ACC)に負のフィードバックをかけ、パルミチン酸塩がそれ以上生成されるのを防止している。
【0038】
グリセロール脂肪酸エステルは、食品、スピン仕上げおよび織物用の乳化剤またはオイリング剤;プラスチック用の消泡剤および帯電防止剤;潤滑剤、水処理、金属加工用流体、分散助剤として用いられる。最終用途としては、化粧品、食品、介護用品、医薬品、殺虫剤、製紙、プラスチック、塗料があげられる。
【0039】
ステアリン酸ポリオキシル40は、縮合重合体のモノステアリン酸エステルとジステアリン酸エステルの混合物すなわち、H(OCH2CH2)n−OCOC1632CH(nは約40)である。これは、親水性軟膏および他のエマルションで乳化剤(emulsifying agent)として用いられる非イオン性表面活性薬である。
PCCA化粧用HRTクリーム
HRTクリームは、化粧品の配合に用いられるベースである。HRTクリームは、カプリル酸トリグリセリド;マカデミア油;グレープシードオイル;パルミチン酸ビタミンAを含有する。
【0040】
カプリル酸/カプリル酸トリグリセリド(CCT)は、カプリル酸とカプリン酸のトリエステルの混合物であり、保管寿命がほぼ無限の優れた酸化安定性を有する高純度中鎖トリグリセリド(MCT)油である。CCTは、皮膚への浸透性が高い所望の皮膚軟化剤である。CCTは無色無臭かつ無味である。
【0041】
マカデミア油(またはマカデミアナッツ油)は、マカデミア(Macadamia integrifolia)の樹の実から圧搾抽出される不揮発性油である。マカデミア油は、揚げ油またはサラダ油として食品に用いられることもあれば、皮膚軟化剤または香りの固定液として化粧製剤に用いられることもある。マカデミア油は、オレイン酸約60%と、パルミトレイン酸19%と、リノール酸2.8%と、リノレン酸1%とを含有する。また、オメガ6を3%、オメガ3を3%含有する。マカデミアは世界中のさまざまな地域で栽培されているが、この油の脂肪酸特性は環境要因にそれほど大きく影響されない。この油は、トリグリセリド植物油に典型的な化学特性を呈する。
【0042】
グレープシードオイル(グレープ種油またはグレープオイルとも呼ばれる)は、多岐にわたるヴィニフェラ(Vitis vinifera)種のブドウの種子から圧搾される植物油であり、ワインの製造で豊富に得られる副生物である。グレープシードオイルは、サラダ用ドレッシング、マリネード、油で揚げる料理、香り付けされた油、パン焼き、マッサージオイル、日焼け後のリペアローション、ヘア製品、身体の衛生用のクリーム、リップバーム、ハンドクリームに用いられる。
【0043】
グレープシードオイルは、損傷した組織やストレスを受けた組織にとっての好ましい化粧用成分であり、皮膚の湿潤を一層よく制御できるようにする再生および再構成特性(qualities)を有する。グレープシードオイルは、支持用の細胞膜によって皮膚が上皮細胞および神経細胞の正常な構造を保持するのを助ける役目を果たし得る。特に眼の周りでの皮膚修復に有効である点に注意されたい。皮膚用のオールオーバー保湿剤として用いられ、グレープシードオイルは、妊娠線を目立ちにくくすることが知られている。軽くて薄い油であるグレープシードオイルは、アロマセラピーでのエッセンシャルオイル用のキャリア油として使用した場合に、皮膚の上に艶のある膜を残す。
【0044】
グレープシードオイルは、オメガ6(リノール酸)69〜78%とオメガ9(オレイン酸)15〜20%と、パルミチン酸5〜11%と、ステアリン酸3〜6%と、オメガ3(リノレン酸)0.1〜3%と、パルミトレイン酸0.5〜0.7%とを含有する。グレープシードオイルは、他の多くのキャリア油よりもリノール酸の含有量が高い。
【0045】
パルミチン酸レチニルまたはパルミチン酸ビタミンAは、式C3660で示される一般的なビタミンサプリメントである。これは、商品名Aquasol A(登録商標)およびPalmitate A(登録商標)でビタミンA欠乏症の治療用に経口向けと注射向けの両方の形態で入手可能である。
50:50ACAI BERRY BLEND+AQUAPHOR
このブレンドは、上述したオメガ6とオメガ9を含有する。また、このブレンドは、植物栄養素、植物ステロール、ポリフェノール樹脂およびアントシアニン、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、酸化防止剤、抗炎症薬、ベリー抽出物由来の抗変異原剤および抗細菌剤も含有する。Aquaphorは、ワセリンを95%含有する製剤である。
ゴマ油
ゴマ油(ゴマ(gingelly)油およびゴマ(til)油としても知られる)は、ゴマ由来の有機油である。ゴマ油は、以下の脂肪酸で構成される。
【0046】
【化1】

ゴマ油は、皮膚に容易に浸透して最も深部の組織層にすらも栄養を与えて解毒できることで知られている。ゴマ油は、オメガ6脂肪酸の濃度が最も高いという点で独特である。最も一般的なオメガ6脂肪酸は、リノール酸、γ−リノレン酸、エイコサジエン酸、ジホモ−γ−リノレン酸、アラキドン酸、ドコサジエン酸、アドレン酸、ドコサペンタン酸である。同時に、この油は天然に生じる2種類の保存料であるセサモールとセサミンを含有する。このため、ゴマ油は、室温でも保存できるポリ不飽和油脂を高い比率で含む唯一の油である。
綿実油
綿実油は、ワタのリントを取り除いた後のワタの木の種子から抽出される植物油である。綿実油については、ワタの木を昆虫による被害から守る天然毒素であるゴシポールを精製によって除去しなければならない。したがって、未精製の綿実油は殺虫剤として使われることがある。この自然のままの水和していない状態で、綿実油には、他のすべての植物油と同様にコレステロールが含まれない。また、トランス脂肪酸も含まれない。しかしながら、50%を超えるオメガ6脂肪酸と微量のオメガ3脂肪酸を含有するのである。綿実油は、パルミチン酸(22〜26%)、オレイン酸(15〜20%)、リノール酸(49〜58%)の含有量が豊富で、なおかつアラキジン酸、ベヘニン酸、リグノセリン酸の10%混合物も豊富に含む。
蜜ろうおよびラノリン軟膏ベース
蜜ろうは、ハチの巣、特にどのような種でもよいミツバチ(ミツバチ(Apis)属)の巣から得られる。蜜ろうの主成分は、長鎖(炭素数30〜32)脂肪族アルコールのパルミチン酸エステル、パルミトレイン酸エステル、ヒドロキシパルミチン酸エステル、オレイン酸エステルであり、2つの主成分であるトリアコンタニルパルミチン酸塩CH(CH29O−CO−(CH14CHとセロチン酸CH(CH24COOHとの比率が6:1である。
【0047】
Adeps Lanae、ウールワックス、羊毛脂またはウールグリースとしても知られるラノリンは、羊毛のある動物から得られる脂っぽい黄色の物質である。ラノリンは、皮膚軟膏、防水ワックス、(靴磨き用クリームなどの)原材料として有用である。
【0048】
ラノリンは、主にコレステロールと、いくつかの脂肪酸のエステルとの混合物である。粗(非医療用)グレードのラノリンもウールアルコールを含有し、ヒトによってはこれがアレルゲンになることがある。最近の研究で、ラノリン中には抗生物質も存在することが分かっている。抽出物は水に不溶であるが、エマルションを形成する。一時期、ラノリンという名称は、羊脂と水からなる調製物に対する総称として商標登録されていた。
【0049】
医療用グレードのラノリンは、皮膚を落ち着かせるためのクリームとして用いられる。これは、純粋かつ低刺激性で、静菌性でもある。このグレードのラノリンは、唇のひび割れ、おむつかぶれ、乾燥肌、皮膚の痒み、足のざらつき、小さな切り傷、軽い熱傷、擦過傷の治療にも使用可能である。このようなラノリンは軟膏ベースとして容易に皮膚に吸収され、そのベースに保持された医薬品を吸収されやすくするものである。
【0050】
ラノリンは、化学的には、33の高分子量アルコール(主にステロール)と36の脂肪酸の天然に生じるエステルとポリエステルの複雑な混合物を含むワックスに分類される。これは最低98%がエステルであり、このうち脂肪アルコールと脂肪酸が約50/50の比で含まれる。
【0051】
ラノリンの一般的な組成物を以下にあげておく。
【0052】
ステロールとトリテルペンアルコールのエステル 35.4%
脂肪族アルコールのエステル 23.7%
ステロールとトリテルペンのモノヒドロキシエステルおよび脂肪族アルコール 20.0%
ジヒドロキシエステルおよびポリヒドロキシエステルならびに遊離ジオール 7.9%
遊離脂肪族アルコール 5.6%
遊離ステロール 4.1%
遊離炭化水素 0.6%
遊離脂肪酸 0.5%
未知物質 2.2%
好ましい実施形態では、LVは皮膚に浸透する。LVは浸透促進剤を含有してもよく、最も好ましくは膜破壊特性を有するものを含有してもよい。経皮的な薬剤送達を改善するための長期間にわたる1つの手法では、皮膚に浸透してバリア抵抗を可逆的に低下させる浸透促進剤(吸収促進剤または促進剤(accelerant)とも呼ばれる)を使用する。スルホキシド(ジメチルスルホキシド(「DMSO」など)およびデシルメチルスルホキシド(C10MSO))、Azone(ラウロカプラムなど)、ピロリドン(2−ピロリドンすなわち2Pなど)、アルコールおよびアルカノール(エタノールまたはデカノール)、グリコール(局所的に適用される剤形での一般的な賦形剤であるプロピレングリコールすなわちPGなど)、界面活性剤(同じく、この剤形では一般的)、テルペンをはじめとする多数の化合物の浸透促進活性が評価されている。促進剤(accelerant)がパッキングモチーフを破壊できる細胞間脂質マトリクス、細胞内ケラチンドメインあるいは、膜内で浸透性に対する溶媒として作用することで組織への薬剤分配を増すなど、皮膚浸透促進剤に多くの潜在的な部位および作用モードが同定されている。たとえば角質細胞間のデスモソーム接着に作用あるいは皮膚内の代謝活性を変化させる、あるいは基剤中で薬剤の熱力学活性/溶解性に影響を与えるエンハンサーによる別の潜在的な作用機序も可能である。
【0053】
好ましい浸透促進剤としては、スルホキシドデシルメチルスルホキシド(C10MSO);ジエチレングリコールモノエチルエーテル、デカオキシエチレン−オレイルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル;界面活性剤、C8〜C22および他の脂肪酸などの脂肪酸、C8〜C22脂肪アルコール、ポリオールがあげられる。他の好適な浸透促進剤としては、尿素、(カルボニルジアミド)、イミド尿素、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリジン、1−ドデカル−アザシクロヘプタン−2−オン、カルシウムチオグリケート、2−ピロリジン、N,N−ジエチル−m−トルアミド、オレイン酸およびそのエステル誘導体(メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ビニルおよびグリセリルモノオレイン酸塩など)、ソルビタンエステル(モノラウリン酸ソルビタンおよびモノオレイン酸塩ソルビタンなど)、他の脂肪酸エステル(ラウリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、モノラウリン酸プロピレングリコール、モノオレイン酸プロピレングリコールなど)、Brij(登録商標)76(ステアリルポリ(10オキシエチレンエーテル)、Brij(登録商標)78(ステアリルポリ(20)オキシエチレンエーテル)、Brij(登録商標)96(オレイルポリ(10)オキシエチレンエーテル)、Brij(登録商標)721(ステアリルポリ(21)オキシエチレンエーテル)(ICI Americas Inc.Corp.)などの非イオン性洗剤があげられるが、これに限定されるものではない。エタノールまたはプロピレングリコールなどの溶媒に溶解させたものであってもよいリノール酸、カプリン酸、ラウリン酸、ネオデカン酸などの脂肪酸を脂質二重層破壊剤として用いることが可能である。DMSOは、臭いが強い上、人間での使用がFood and Drug Administrationに承認されていないため、特に好ましい浸透促進剤ではない。
【0054】
Dawn(登録商標)洗剤などの洗剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、ナトリウムパレス−23を含有する。ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)としても知られるドデシル硫酸ナトリウム(またはスルフェート)(SDSまたはNaDS)(C1225NaOS)は、その増粘作用と泡立ちの良さがゆえに、歯磨き、シャンプー、シェービングフォーム、バブルバスなどの家庭用製品に用いられるイオン性界面活性剤である。この分子には、硫酸基に結合して洗剤に必要な両親媒性を分子に与える12個の炭素原子からなる尾がある。
C.薬剤
浸透促進剤を含有するLVを単独あるいは、血管拡張薬および降圧薬、抗痙攣薬、膜安定剤および/または向精神薬(抗鬱剤など)のうちの1種以上などの他の浸透促進剤または製剤との組み合わせで投与することが可能である。他のクラスの生物活性物質としては、癌の治療のための化学療法剤があげられる。皮膚への塗布時にLVを抗生物質と組み合わせて使用し、創傷への抗生物質の送達を促進すると同時に疼痛を緩和することが可能である。皮膚への塗布時にLVを化学療法剤と組み合わせて使用し、化学療法剤の送達を促進するとともに疼痛を緩和することが可能である。骨粗鬆症または骨折の治療での皮膚への塗布時にLVをカルシウムやリンなどのミネラルと組み合わせて使用し、拡散性を高めるとともに疼痛を緩和することが可能である。他の薬剤または物質を局所的な空間に保つために、皮膚への塗布時にLVをアドレナリンまたはノルアドレナリンと組み合わせて使用し、疼痛を軽減するとともに局所的な血管収縮を引き起こすことが可能である。LVをフェンテルミンなどの他の食欲抑制薬および肥満用の医薬品と組み合わせて使用し、LVの食欲抑制作用を高めることが可能である。あるいは、LVを、Megace、コルチコステロイドおよびマリノールなどの他の食欲増進用の医薬品と組み合わせて使用し、LVの食欲抑制作用を抑えることが可能である。LVを気管支拡張薬や粘液溶解薬、去痰薬と組み合わせて使用し、LVの気管支拡張作用を高めることが可能である。LVを他の鬱血除去薬および抗ヒスタミン薬(経鼻用と全身用の両方)と組み合わせて使用し、LVの鬱血除去作用を高めることが可能である。また、LVの覚醒促進作用を高めるために、LVをProvigil(登録商標)、カフェインおよびRitalin(登録商標)、Adderal(登録商標)lおよびConcerta(登録商標)などの他の刺激のある医薬品と組み合わせて使用することが可能である。また、LVを他の催眠または鎮静用医薬品と組み合わせて使用し、LVの覚醒促進作用を抑えることが可能である。LVをDetrolなどの膀胱頸部括約筋の硬さを増す他の医薬品と組み合わせて使用し、LVの抗失禁作用を高めることが可能である。あるいは、LVをα2ブロッカーなどの他の医薬品と組み合わせて使用し、LVによって誘発される尿閉を抑えることが可能である。自己免疫疾患および炎症性関節症における関節上の皮膚への直接塗布時に、LVを免疫抑制剤との組み合わせで投与し、これらの作用剤を1つまたは複数の関節に直接拡散させるとともに、疼痛を緩和することが可能である。狭心痛での皮膚への塗布時にLVを血管拡張薬と組み合わせて投与し、これらの作用剤の拡散性を高めるとともに疼痛緩和を強めることが可能である。LVをBoToxおよび他の治療用毒素および抗毒素と組み合わせて投与し、局所的な疼痛緩和を得るとともに、浸透性高めることが可能である。最後に、関節、神経および皮膚病変(乾癬、湿疹、強皮症、蕁麻疹など)上の皮膚への塗布時にLVをコルチコステロイドおよび抗ヒスタミン薬と組み合わせて投与し、浸透性を高めるとともに疼痛を緩和することが可能である。一実施形態では、LVを染料および他のマーカーと組み合わせて提供し、疼痛緩和と同時に染料やマーカーの浸透性を高めることが可能である。
【0055】
LVをAlbuterolのようなβ2アゴニストまたはイプラトロピウム臭化物などの抗コリン薬の前、後または同時に、局所的に直接塗布し、LVの効果を高めるようにしてもよい。
【0056】
有効量とは通常、ニトログリセリンなどの硝酸塩の10重量%またはそれ未満の範囲、一層好ましくは5重量%またはそれ未満、最も好ましくは2重量%に等しい範囲である。
D.製剤
LVは、直接投与が可能であり、組成物、装置または製剤との併用も可能なものである。たとえば、LVをBand−Aids(登録商標)などの絆創膏または粘着テープの表面または内部に含浸させることが可能である。このようにすれば、疼痛が軽減され、創傷への密着が防止され、吸収剤が液体を吸収して傷を保護することができる。
【0057】
LVは、ガーゼ、スポンジ、綿棒(片側(端)または両側(端))、ラップ材、パッチ、包帯、薬剤パッド、組織、疼痛緩和用ゲルパック、リップバーム、湿布、硬膏剤または圧定布として投与可能なものである。
【0058】
LVは、手袋、靴下、リストバンドなどの道具内、道具の表面または道具の中に適用可能なものである。痔核または裂肛による疼痛を軽減するのに用いられる清浄綿に、LVを含浸させることが可能である。手袋、靴下またはリストバンドは、内側にコーティングとしての製剤を適用してもよいし、製剤を繊維に含浸させる、あるいは適用時に投与するための別のアプリケータとして提供してもよい。あるいは、ビルトイン式または取り付け式の使い捨てパッドとして、マットレスや頸部枕などの枕に適用してもよい。LVをクッション付きのインソールならびにコーンパッドおよびバニオンパッドに塗布して、足の疼痛を軽減しやすくしてもよい。TED hoseまたはJobstストッキングなどの圧縮ストッキングにLVを塗布し、静脈瘤および表在性血栓性静脈炎の疼痛を軽減してもよい。
【0059】
顔の組織にLVを使用して、アレルギーまたは上気道感染での鼻の下または周囲のひりひりする皮膚またはひび割れた皮膚を落ち着かせたり予防したりしてもよい。
【0060】
また、これを用いて医療機器をコーティングし、カテーテルを使用する場合などに挿入時の疼痛を和らげると同時に潤滑してもよい。
【0061】
これを用いて、金属アレルギー、特にニッケル感受性の個人向けの宝飾品、フック、ジッパー、ペン、スナップ、道具などの金属を含有する品をコーティングしてもよい。
【0062】
また、これを機械的なブレース、スリーブ、コルセットおよびガードル、スプリント、ギプス、プロテーゼなどに塗布し、鎮痛と同時に整形器具による機能的および位置的な支持が得られるようにしてもよい。
【0063】
これを電気加熱パッドやゴム製の湯たんぽ、温かい流体によるヒートパック、化学的なホットパックなどの表面加熱装置ならびに、アイスパックなどの治療用寒冷治療モダリティのビルトイン式または取り付け式の使い捨てパッドとして適用してもよく、あるいは冷却スプレーに加えてもよい。また、イオントフォレーシス、TENS、筋肉刺激およびジアテルミーなどの電気療法のモダリティに合わせて使用してもよく、これらの装置の電極に塗布してもよい。赤外線、紫外線、コールドレーザなどの放射線療法に合わせて使用してもよい。
【0064】
使い捨て品の例としては、パッチ、痔用清浄綿、薬剤パッド、包帯、ガーゼ、スポンジ、絆創膏、組織、ラップ材、疼痛緩和用ゲルパックおよびベッド、スワブスティックおよびQ−tip綿棒、湿布、硬膏剤および圧定布;矯正器具、ブレース、TED hoseおよび他のサポートストッキング、松葉杖、ギプス、スプリント、プロテーゼ、ガードルおよびコルセット、湯たんぽ、インサート、インソールおよびアーチサポート、パッド(コーンおよびバニオンなど)運動設備、冷却装置または加熱装置、マットレス、枕、チャックおよびベッドライナーおよびマウスガードなどの傷の保護、可動性増大、機能的および位置的な支持および補正のための装置および設備;医療用、歯科用および外科用インプラントならびに、歯科用トレーや歯の矯正治具、義歯、クラウン、フロス、ピック、注射針、ランセット、ロッド、ステント、ブレード、プローブ、探り針、管、ハサミ、クレンメ、開創器、鉗子、内視鏡、マンモグラフィの圧縮板、カニューレまたはカテーテルなどの設備および消耗品;靴、靴紐、靴下、手袋、帽子、スカーフ、レオタード、ヘッドバンド、リストバンド、手袋および成人用おむつ、パッド、ガードおよびライナーをはじめとする布製の物品および履物があげられる。別の材料として、閉塞性睡眠時無呼吸を減らすために首の周りで使用するパッチ、絆創膏または包帯があげられる。
【0065】
LVをビルトイン式または取り付け式の使い捨てパッドとしてマットレスや頸部枕などの枕に適用してもよい。LVをベッドのアンダーパッドとチャックに塗布し、床ずれの疼痛を軽減するとともに、コンチネンスを促進してもよい。LVをクッション付きインソールならびにコーンパッドおよびバニオンパッドに塗布して、足の疼痛を軽減しやすくしてもよい。LVをTED hoseまたはJobstストッキングなどの圧縮ストッキングにLVを塗布し、静脈瘤および表在性血栓性静脈炎の疼痛を軽減してもよい。
【0066】
両側を使えるスワブスティックの片側にLVを塗布してもよい。スワブスティックのもう片方の端には、アルコールまたはヨウ素などの消毒剤または抗ヒスタミン薬または抗炎症薬ならびに、抗生物質、化学療法剤、ミネラルおよびビタミン、フェンテルミン(phenteramine)などの食欲抑制薬および肥満用の医薬品またはMegaceなどの食欲増進用の医薬品、免疫抑制剤、硝酸塩などの血管拡張薬、BoToxおよび他の治療用毒素および抗毒素、染料および他のマーカーを含み得る。LVを両面パッチの片側に塗布してもよい。反対側には、抗生物質、化学療法剤、ミネラルおよびビタミン、フェンテルミン(phenteramine)などの食欲抑制薬および肥満用の医薬品またはMegaceなどの食欲増進用の医薬品、コルチコステロイド、免疫抑制剤、硝酸塩のような血管拡張薬、BoToxおよび他の治療用毒素および抗毒素、コルチコステロイド、抗ヒスタミン薬、染料および他のマーカーを含み得る。
【0067】
マウスガード、歯の漂白または印象を取るためのトレーなどの装置のコーティングに使用してもよい。一般に、これらはペースト、ゲルまたはフィルムとして使用時に装置に塗布される。
【0068】
LVを化粧品またはメークアップに取り入れ、炎症または疼痛のある部位を覆うと同時に炎症を低減または疼痛を軽減することが可能である。
【0069】
注射針またはカテーテルまたはポートのあるキットの表面または内側にLVを取り入れることも可能である。これは、刺青針またはピアス穴を開ける宝飾品で特に好都合なことがある。これは、注射針の適用時またはその直前に皮膚に適用される清浄綿またはスポンジの形であってもよいし、刺青用のインクに加えたり、コーティングとして注射針に塗布したりしてもよい。
II.治療方法または予防方法
A.投与方法
局所的な効果と全身的な効果の両方が得られるよう、この組成物を痛みのある領域またはこれに隣接する部位に局所的に塗布する。必要に応じて組成物を再塗布する。疼痛緩和は一般に数分以内で得られ、患者や疼痛症候のタイプによってさまざまな時間持続する。この化合物については、痛みのある部分またはすぐ隣接する部分で有効用量が得られ、なおかつ疼痛を引き起こす1種以上の症候または疼痛の寛解または除去に十分な薬用量となるように塗布する。LVを、皮膚(アプリケータを用いて刷り込んでおいてもよい)、必要に応じて疼痛部位に塗布する。超音波または熱を適用し、経皮的な浸透を高めるとともに局所的な血管拡張を増してもよい。
【0070】
本明細書で使用する場合、局所用には、皮下注射や点滴などの投与部位での注射または点滴を含み、粘膜表面への投与ならびに経直腸、腹腔内、子宮内および関節内投与を含み得る。
【0071】
Albuterolなどの吸入交感神経刺激薬または臭化イプラトロピウムなどの吸入副交感神経刺激様との同時投与によって、局所塗布の効果が高まる傾向にある。
B.治療指標
この組成物は、急性および慢性の両方の内臓痛、体性痛および神経因性疼痛ならびに、筋肉痛と筋肉の凝り、関節痛と関節の凝りの治療に概して有効である。例として、関節痛、筋肉痛、腱痛、関節、筋肉および腱の不動、炎症性疼痛、神経障害、筋痙縮、変形性関節炎、喘鳴などの呼吸障害、空腹時痛、いくつかのタイプの頭痛、嚥下障害、線維筋痛症、自己免疫障害、膵炎があげられる。
【0072】
また、何名かの患者で、有効成分を含有せずにLVを皮膚の異なる部分に単独塗布したところ、食欲減少、注意力が高まった感じ、鬱血除去、活力増大および疲労減少、気管支拡張、尿閉および呼吸仕事量が減少した感覚などの有益な全身作用を生じ得たことから、この組成物はいくつかの精神的および自律神経の疼痛症候(特に慢性疼痛)にも効果がある。この組成物は、多岐にわたる症状について患者で疼痛緩和が得られることが実証されている。
【0073】
本製剤を使用できる適応としては、関節リウマチ、狼瘡およびライター症候群を含む炎症性関節症、血圧、医薬品、糖尿病に起因するものを含む神経障害、滑液包炎、腱障害、捻挫および筋肉の歪み、関節痛(joint pain)および関節痛(arthralgia)、筋肉の凝りおよび過用症候群、膵炎、呼吸困難、喘息によって生じる喘鳴および胸部絞扼感、無気肺、高血圧、肥満および慢性閉塞性肺疾患(COPD)、筋収縮性頭痛、裂肛による疼痛、空腹時痛、腰椎の骨折または圧縮、線維筋痛症、慢性尾骨痛、反射性交感神経性ジストロフィー、多発ニューロパチー、TMJ機能障害、変形性関節炎/変性関節疾患、脊椎症があげられるが、これに限定されるものではない。
【0074】
以下の非限定的な実施例を参照することで、本発明についてさらに理解できよう。引用した実施例では、ほとんどの場合、偽薬での治療を受けた被検者よりも局所的に適用される化合物による治療を受けた被検者のほうが、報告された神経因性疼痛、関節痛および関節の凝り、筋肉痛および筋肉の凝りの有意な減少が認められ、可動性および運動範囲の増大につながった。また、偽薬での治療を受けた被検者よりも局所的に適用される化合物での治療を受けた被検者で、場合によっては中程度から顕著の範囲にわたる皮膚への発赤剤作用も頻繁に観察された。第1の実施例群は、羅患した痛みのある部位と、これとは異なる何の症状もない皮膚部分の両方にLVを投与した後に全身作用が観察されたことを強調して、LVを通常は活性薬剤と併用して患者を治療した例を示す。第2の実施例群は、LV単独で患者を治療した例を示すものである。
【実施例】
【0075】
実施例1:健常対照患者に対する活性薬剤含有/非含有LVの投与
方法および材料
a)750mgラクトースを含有するPluronic 20%(Weise compounding pharmacy)
b)Vanpen(Weise compounding pharmacy)
c)PLOゲル(Weise compounding pharmacy)−405パウダーから生成した20%pluronicゲルに溶解させた大豆レシチン(PCCA)の組み合わせ(レシチン25%対pluronicゲル75%の比)
d)ミリスチン酸イソプロピルに溶解させたレシチン大豆(Weise compounding pharmacy)
e)PLO(Advanced Rx compounding pharmacy)−ラクトース(750mg)とプロピレングリコール、大豆レシチンパルミチン酸イソプロピル9mLおよび20%pluronicゲル(30mg)の組み合わせ
アテノロール(Advanced Rx compounding pharmacy)
クロニジン(Advanced Rx compounding pharmacy)
ニトロビッド
Surgilube(対照として塗布)
製剤を舌圧子で皮膚に塗布した。
治療および観察
皮膚に(a)を塗布すると、リドカインによって生じるものに似たしびれが生じた。
【0076】
皮膚に(b)を塗布すると、若干のしびれにつながった。
【0077】
皮膚に(c)を塗布すると、リドカインに近い明らかなしびれが生じた。
【0078】
皮膚に(d)を塗布しても何ら影響はなかった。
【0079】
皮膚に(e)を塗布すると、強いしびれ作用が認められたが、数分間経過後だけであった。
実施例2:首に疼痛のある患者に対する活性薬剤含有/非含有LVの投与
材料および方法
製剤は実施例1のようにした。
【0080】
この患者には、首を右に70度以上回転できない首の凝りと回旋腱板障害が認められた。痛みのレベル−4/10。肩を70度以上動かすことのできない凝り。
治療および観察
(e)を加えると、極めてわずかに肩に対する効果があった。
【0081】
(c)を加えると、疼痛が3/10まで軽減され、肩の可動性が高まった。(d)を加えても何ら効果はないように見えた。
【0082】
アテノロール25mgを、ラクトース、プロピレングリコール、大豆レシチン/パルミチン酸イソプロピル、20%pluronicゲルに溶解させたものと一緒に(e)を加えると、疼痛を0.5/10まで減らし、肩の可動性をさらに高める強い効果があった。
【0083】
クロニジン0.8mgを、ラクトース、プロピレングリコール、大豆レシチン/パルミチン酸イソプロピル、20%pluronicゲルに溶解させたものと2%ニトロビッドとの混合物に(e)に加えると、疼痛が完全に消え、完全な可動性が回復した。また、肩の皮膚が赤く、患者は自分の肩が紅潮して温まり、「良好」な感じがすると述べた。患者の首については、(e)を加えた後に可動性が高まり、首を85度まで動かすことができた。その後、(c)を塗布しても可動性の点では何ら効果はなかったが、皮膚に「しびれ」感があった。クロニジン0.6mg+ニトロビッドを加えると、90度の完全な可動性が回復した。この患者の疼痛がなく可動性の高まりは1.5週間にわたって続いた。
実施例3:腱障害から肩と首に疼痛のある患者に対する活性薬剤含有/非含有LVの投与
材料および方法
製剤は実施例1と同様にした。
【0084】
この患者は、回旋腱板の腱障害による肩/首の疼痛の痛みのレベル=9/10を示し、肩を水平以上に動かすことができなかった。痛みのレベル=7/10膝蓋大腿症候群による左膝痛;左仙腸関節の歪みによる痛みのレベル=9/10。
治療および観察
肩:アテノロール25mgを(e)に溶解させて塗布したところ、疼痛が5/10まで減り、患者は自分の皮膚が温かく感じられ、可動性が改善されたと述べた。
【0085】
クロニジン+ニトロビッドの組み合わせを加えたところ、変化はなかった。
【0086】
次に、VanPenゲルを加えたところ、疼痛が消えて完全な可動性が残っていた。
【0087】
膝:(e)を加えたところ、疼痛が2/10まで減り、可動性には変化がなかった。クロニジン0.6mg+ニトロビッド(2%硝酸塩)を塗布したところ、疼痛または可動性に変化はなかった。
【0088】
背中(仙腸関節の歪み):(e)を塗布したところ、疼痛が5/10まで減った。クロニジン+ニトロビッドを加えると、疼痛が4/10まで減った。VanPenを加えると、疼痛が3/10まで減った。
実施例4:槌趾および外反母趾および強剛母趾による疼痛のある患者に対する活性薬剤含有LVの投与
材料および方法
実施例1と同一の製剤を用いた。
【0089】
この患者では、槌趾および外反母趾および強剛母趾の痛みのレベルが7/10であった。強剛母趾(足の親指の硬直)が原因で、患者の足の親指の動きは実質的に見られなかった。
治療および観察:
化合物(e)を投与した後、患者の疼痛が5/10まで減り、患者は以前にできなかったところまで足の親指を動かすことができた。アテノロールを加えても、患者からは何の効果も報告されなかった。次に、VanPenを加えたところ、疼痛が3/10まで減った。さらに、ニトロビッドおよびクロニジン0.6mgを加えたところ、疼痛が消えた。患者は、数年ぶりに杖なしで歩くことができたと述べた。
実施例5:転子滑液包炎、膝変形性関節炎による疼痛のある患者に対する活性薬剤含有LVの投与
材料および方法
実施例1と同一の製剤を用いた。
【0090】
この患者では、転子滑液包炎による痛みのレベルが8/10、膝変形性関節炎による痛みのレベルが8/10であった。
治療および観察
股関節にアテノロールを用いたところ、痛みのレベルが6/10まで軽減された。クロニジン0.8mg+ニトロビッドを塗布した後、患者は痛みのレベルに何ら変化はないと述べたが、患者の感覚では股関節がなお「一層滑らか」になった。アテノロールを膝に塗布すると、痛みのレベルが5/10まで低下した。覆っている皮膚が紅潮し、患者は全面的に「ここ数年」で「よりよく」「すばらしい」と述べた。
実施例6:足根管症候群による疼痛のある患者に対する活性薬剤非含有LVの投与
材料および方法
実施例1と同一の製剤を用いた。
【0091】
この37歳の男性患者では、足根管症候群に一致する症候による痛みのレベルが5/10であった。
治療および観察
レシチン大豆をパルミチン酸イソプロピルに溶解させたものを患者の足に塗布したところ、患者からの報告では、足が「落ちる」かのような感じになるまでしびれ、疼痛が0/10まで軽減された。3時間後に患者から電話があり、足がしびれたままであると言った。
実施例7:線維筋痛症による疼痛のある患者に対する活性薬剤含有/非含有LVの投与
材料および方法
実施例1と同一の製剤を用いた。
【0092】
重いメランコリー型鬱病のある、この45歳の女性患者には、痛みのある点が対称に複数存在し、痛みのレベル=7/10線維筋痛症が認められた。
治療および観察
異なるクリームの組み合わせを異なる点に塗布したところ、全般として患者は痛みのレベルが5.75/10まで下がったと述べた。各クリームは、単独または組み合わせで、効いた部分もあれば効かない部分もあり、効果にばらつきがあるように見えた。
実施例8:転子滑液包炎による疼痛のある患者に対する活性薬剤含有LVの投与
材料および方法
実施例1と同一の製剤を用いた。
【0093】
この71歳の女性患者には、転子滑液包炎による痛みのレベル=8/10;異常感覚性大腿痛または外側大腿皮神経障害による痛みのレベル=10/10;右仙腸関節の歪みによる痛みのレベル=10/10;可動域がほとんどない左回旋腱板腱炎による痛みのレベル=5/10が認められた。
治療および観察
1(股関節)にアテノロールを加えても変化はなかった。次にVanPenを加えたところ、数分後に消えた。
【0094】
2(外側大腿皮神経障害)にプルロニック酸50%を加えた。初期には変化がなかった。クロニジン0.6mg+ニトロビッドを加えたところ、疼痛が5/10まで減少した。
【0095】
3(背中)にクロニジン0.6mgを加えたところ、疼痛が5〜6/10まで減少した。VanPenを加えて数分後、疼痛が消えた。
【0096】
4(肩)にクロニジン0.6mg+ニトロビッドを加えたところ、疼痛が4/10まで減った。VanPenを加えたところ、疼痛が3/10まで減った。また、患者は自分がそれまでできなかったところで肩を完全に動かすことができた。
【0097】
いずれの場合も化合物の塗布後に皮膚が紅潮し、見た目に斑点が認められた。
実施例9:右仙腸関節の歪みによる疼痛のある患者に対する活性薬剤含有LVの投与
材料および方法
実施例1と同一の製剤を用いた。
【0098】
この30歳の女性患者には、右仙腸関節の歪みと臀部および右下肢から腓腹にかけて放射状に痛みのレベル=6/10が認められた。
治療および観察
クロニジン0.6mg+ニトロビッドを加えた後、疼痛が3/10まで減少し、下肢にひりひりする痛みはなかった。患者は「奥のほうまでしびれている感じ」だと述べた。VanPenを加えた後、患者は疼痛がなく完全にしびれていると述べた。「踊っている感じ」であるとも述べた。
実施例10:胸郭痛による疼痛のある患者に対する活性薬剤含有LVの投与
材料および方法
実施例1と同一の製剤を用いた。
【0099】
この45歳の女性患者では、側腹部で周方向後ろ向きに左右対称の痛みの点を伴う胸郭痛対肋軟骨炎による痛みのレベルが両側で5/10であった。
治療および観察
まず、左側にVanPenを投与した。患者は疼痛が3/10まで減ったと述べた。右側にアテノロールを投与したところ、疼痛が2/10まで減った。次に、左側にアテノロールを投与し、右側にはVanPenを投与したところ、どちらの側からも疼痛が完全に消え、背中への放射状の疼痛も消えた。
実施例11:右仙腸関節の歪みによる疼痛のある患者に対する活性薬剤含有/非含有LVの投与
材料および方法
実施例1と同一の製剤を用いた。
【0100】
このアフリカ系アメリカ人の51歳の女性患者は、右腕が切断され、幻肢での右腕の神経腫で痛みのレベルが4/10であった。
治療および観察
VanPenの塗布後、患者はしびれと2/10までの疼痛の「鈍り」を訴えた。クロニジン0.8mgを加えた後、疼痛は完全に消えた。
実施例12:変形性関節炎による疼痛のある患者に対する活性薬剤含有LVの投与
材料および方法
クロニジンペーストを1部位あたり約0.3mgの用量で塗布し、ニトロビッドペーストを1部位あたり約0.5インチから1インチ塗布し、粘稠性のあるリドカイン2%および局所用カプサイシン(数名の患者以外はそれほど効果がなかった)については量を気にせず塗布した。
治療および観察
この70歳の女性には、痛みのレベルが10/10の右膝変形性関節炎が認められた。ニトロビッドペーストを膝に塗布した。約5分以内に痛みのレベルが0まで下がった。患者は約1週間ほど疼痛のない状態のままであった。
実施例13:頸部の歪みによる疼痛のある患者に対する活性薬剤含有LVの投与
材料および方法
製剤は実施例1で説明したようなものであった。
【0101】
この47歳の女性には、痛みのレベルが9/10の頸部の歪みが認められた。ニトロビッドペーストを首に塗布した。
治療および観察
10分以内に疼痛が0まで減少し、1か月以上を経過しても元に戻らなかった。
実施例14:変形性関節炎による疼痛のある患者に対する活性薬剤含有LVの投与
材料および方法
製剤は実施例1で説明したようなものであった。
【0102】
この45歳の女性には、痛みのレベルが10/10の両側膝変形性関節炎が認められた。ニトロビッドペーストを膝に塗布した。
治療および観察
10分以内に疼痛が0まで減少した。疼痛緩和が12時間持続した。
実施例15:転子滑液包炎による疼痛のある患者に対する活性薬剤含有LVの投与
材料および方法
製剤は実施例1で説明したようなものであった。
【0103】
この50歳の男性患者には、痛みのレベルが7/10の右転子滑液包炎(股関節)と、痛みのレベルが8/10の外側上顆炎(肘)が認められた。ニトロビッドペーストを外側上顆と大転子に塗布した。
治療および観察
股関節と肘で10分以内に疼痛が0まで減少した。患者は、自分の股関節がかなりよくなって「踊り」たい感じがすると述べた。患者は約6時間疼痛のない状態のままであった。
実施例16:斜頚による疼痛のある患者に対する活性薬剤含有LVの投与
材料および方法
製剤は実施例12で説明したようなものであった。
【0104】
この42歳の男性患者には斜頚が認められた。ひどい凝りがあり、頭をどちら側にも20度以上回せない状態で痛みのレベルは9/10であった。ニトロビッドクリームを首に塗布した。
治療および観察
疼痛が9/10から6/10まで減少した。患者の首も一層柔軟になり、可動範囲がどちら側でも約20度だったのが70度を超えるようになった。現時点での追跡調査結果はない。
実施例17:滑液包炎による疼痛のある患者に対する活性薬剤含有LVの投与
材料および方法
製剤は実施例12で説明したようなものであった。
【0105】
36歳の男性に、痛みのレベルが5/10の左回旋腱板の衝突と滑液包炎が認められた。
治療および観察
クロニジン0.8mgを用いたところ疼痛が消えた。
【0106】
表1に、ニトロビッドペーストおよびクロニジンペーストを順次塗布した例を示す。
【0107】
【表1】

実施例18:ACL断裂および半月板断裂による疼痛のある患者に対する活性薬剤含有LVの投与
材料および方法
製剤は実施例12で説明したようなものであった。
【0108】
この45歳の女性には、右膝に右ACL断裂および半月板断裂、右足首に前足根管症候群(圧迫神経障害)が認められた。カプサイシンおよびリドカインを膝と足首に塗布した。
治療および観察
膝では疼痛が8/10から7.5/10に減少し、足首の痛みのレベルには変化がなかった。ニトロビッドペーストを加えた後、膝の疼痛が5/10まで減少し、足首の疼痛と異常知覚が0/10まで消えた。
実施例19:回旋腱板断裂による疼痛のある患者に対する活性薬剤含有LVの投与
材料および方法
製剤は実施例1で説明したようなものであった。
【0109】
この51歳の男性には、膝の両側での変形性関節炎、右回旋腱板断裂および凍結肩が認められた。痛みのレベルは、左膝が10/10、右膝が7/10、右肩が5/10であった。右肩の外転が約50度に低下、外旋が約60度に低下していた。
治療および観察
局所用カプサイシンと2%粘稠性リドカインの混合物を加えた後、患者の疼痛が左膝で7/10、右膝で3/10、右肩で3/10まで減少した。ニトロビッドペーストを加えると、疼痛がさらに左膝で5/10、右膝と右肩で0/10まで減少した。さらに、患者の肩の可動性が高まり、可動範囲も外転で約70度、外旋で約80度まで大きくなった。
実施例20:関節痛による疼痛のある患者に対する活性薬剤含有LVの投与
材料および方法
製剤は実施例1で説明したようなものであった。
【0110】
55歳の女性に、痛みのレベルが8/10の膝蓋大腿症候群および変形性関節炎による右膝置換、痛みのレベルが9/10の左膝膝蓋大腿症候群および推定離断性骨軟骨炎(遊離体)、痛みのレベルが9/10である、手の最初の2本の指に疼痛および異常知覚を訴える右手首の手根管症候群、痛みのレベルが9/10の坐骨部の滑液包炎、痛みのレベルが9/10の転子滑液包炎が認められた。ニトロペーストを左膝と右手首に加えた。
治療および観察
左膝の疼痛が約10分後に9/10から4/10になった。右手首(手根管)の疼痛は約20分後に4/10になった。約30分の時点で、クロニジンペーストを右手首と左膝に加えたところ、疼痛が手首で3/10まで、左膝で0/10まで減少した。右膝の変形性関節炎、左転子滑液包炎および坐骨部の滑液包炎については、最初にクロニジンを右膝と左大転子および坐骨結節に加えたところ、いずれも10分以内に、右膝で9/10から8/10に、坐骨結節で9/10から5/10に、大転子では9/10から5/10に疼痛が減少した。次にニトロペーストを塗布したところ、坐骨部の滑液包炎による疼痛が1/10に減少し、転子滑液包炎による疼痛が1/10まで減少し、右膝変形性関節炎による疼痛が6/10まで減少した。化合物を塗布したところの覆っている皮膚が赤くなり、斑点が生じた。
実施例21:両側仙骨関節の歪みによる疼痛のある患者に対する活性薬剤含有LVの投与
材料および方法
製剤は実施例12で説明したようなものであった。
【0111】
この70歳の女性には、両側仙骨関節の歪みが認められた。痛みのレベルは9/10であり、患者は腰仙部に対する凝りがあり、ショーバーテストの結果が陽性であった。
治療および観察
ニトロビッドペーストを仙腸関節の関節両側に塗布したところ、10分以内に痛みのレベルが6/10まで下がった。次にクロニジンペーストを塗布したところ、痛みのレベルが5/10まで下がった。また、患者の可動性と運動範囲も改善され、つま先に手が届きそうな程度まで前屈できた。
実施例22:両側回旋腱板断裂による疼痛のある患者に対する活性薬剤含有LVの投与
材料および方法
製剤は実施例12で説明したようなものであった。
【0112】
65歳の男性に、痛みのレベルが8.5/10の両側回旋腱板断裂が認められた。
治療および観察
クロニジンを単独で右肩に塗布し、これとは別にニトロビッドを左肩に塗布したところ、何ら効果はなかった。クロニジンとニトロビッドを単一の製剤で組み合わせ、両肩に塗布したところ、患者の報告では両肩とも痛みのレベルが7/10に減少した。
実施例23:胸郭痛による疼痛のある患者に対する活性薬剤含有LVの投与(有効性なし)
材料および方法
製剤は実施例12で説明したようなものであった。
【0113】
51歳の患者に痛みのレベルが8/10の胸郭痛が認められた。
治療および観察
報告によれば、クロニジンまたはニトロビッドあるいは、カプサイシンとリドカイン、あるいはこれらの3種類の組み合わせのいずれを塗布しても何ら効果はなかった。
実施例24:膝蓋大腿症候群による疼痛のある患者に対する活性薬剤含有LVの投与
材料および方法
製剤は実施例12で説明したようなものであった。
【0114】
左膝蓋大腿症候群のある46歳の男性において、痛みのレベルが7/10であった。
治療および観察
ニトロビッドを塗布したところ疼痛が5/10まで減少し、続いてクロニジン0.8mgを塗布すると疼痛がさらに3/10まで減少した。1日後、患者の報告によれば膝の疼痛が減少したままであった。
実施例25:転子滑液包炎による疼痛のある患者に対する活性薬剤含有LVの投与
材料および方法
製剤は実施例12で説明したようなものであった。
【0115】
64歳の男性に、痛みのレベルが7/10の左転子滑液包炎、痛みのレベルが7/10の腰椎圧迫骨折に続発する腰部疼痛、痛みのレベルが2/10の右手親指変形性関節炎が認められた。
治療および観察
クロニジン0.8mgを塗布、5分後に手の親指の疼痛は同じままであったが、ニトロビッド2%を塗布すると、この痛みが消えた。ニトロビッドとクロニジンを併用すると、背中の疼痛も消えた。転子滑液包炎はクロニジンの塗布直後に消えた。
実施例26:椎骨圧迫骨折による疼痛のある患者に対する活性薬剤含有LVの投与
材料および方法
製剤は実施例12で説明したようなものであった。
【0116】
49歳の女性に、痛みのレベルが6/10の椎骨L3の圧迫骨折が認められた。
治療および観察
クロニジン1.6mgを下背に塗布したところ、痛みのレベルが4/10まで下がった。ニトロペーストを塗布しても何ら変化は観察されなかった。改善された状態は6時間持続し、患者の報告によれば、数ヵ月ぶりに長時間座ることができた。
実施例27:首の凝りによる疼痛のある患者に対する活性薬剤含有LVの投与
材料および方法
製剤は実施例12で説明したようなものであった。
【0117】
41歳の男性に、神経根障害に続発する疼痛と首の凝りが認められた。痛みのレベルは約6/10であった。
治療および観察
クロニジン0.8mgの塗布後、疼痛は消えたが、患者は頭部を左に70度、右に75度回転できるだけであった。ニトロペーストの塗布後、患者は頭部を右に85度、左に80度回転することができた。
実施例28:変形性関節炎による疼痛のある患者に対する活性薬剤含有LVの投与
材料および方法
製剤は実施例12で説明したようなものであった。
【0118】
50歳の女性に、膝の両側変形性関節炎および膝蓋大腿症候群(両膝とも痛みのレベルが6/10)ならびに疼痛が原因で膝を曲げることができない状態が認められた。
治療および観察
右膝にクロニジンを塗布したところ、疼痛が3/10まで減った。左膝には、ニトロビッドを加えたところ、痛みのレベルはほぼ同じままであった。右膝にニトロビッドを加えた後に疼痛が消え、膝の曲げやすさがかなり改善された。左膝にクロニジンを加えた後、疼痛も消え、患者の柔軟性が改善された。2日後に患者は疼痛のない状態のままであった。
実施例29:狼瘡および椎間板膨隆による疼痛のある患者に対する活性薬剤含有LVの投与
材料および方法
製剤は実施例12で説明したようなものであった。
【0119】
40歳の女性に、提示時の痛みのレベルが6/10の全身性狼瘡と複数のレベルでの椎間板膨隆が認められた。
治療および観察
クロニジン0.8mgと2%ニトロビッドペーストを背中に塗布すると、疼痛が5/10まで軽減され、患者の報告によれば柔軟性が若干改善された。
実施例30:神経障害による疼痛のある患者に対する活性薬剤含有LVの投与
材料および方法
製剤は実施例12で説明したようなものであった。
【0120】
下肢神経障害と重篤な血管狭窄のある51歳の糖尿病患者において、痛みのレベルが7/10であった。
治療および観察
クロニジン0.8mgを脚に塗布したところ、5分以内に痛みのレベルが5/10まで下がった。次に、硝酸塩を加えると疼痛が消えた。
実施例31:群発性頭痛による疼痛のある患者に対する活性薬剤とLVとの併用投与
材料および方法
製剤は実施例12で説明したようなものであった。
【0121】
色の濃いサングラスをかけた50歳の男性に、痛みのレベルが10/10の難治性頭痛を伴う群発性頭痛が認められた。
治療および観察
クロニジン1.6mgを2%ニトログリセリン2インチと組み合わせて塗布したところ、頭痛が完全に消えた。
実施例32:頭痛による疼痛のある患者に対する活性薬剤含有LVの投与
材料および方法
製剤は実施例12で説明したようなものであった。
【0122】
94歳の女性に、羞明、音声恐怖、悪心、嘔吐を特徴とする、痛みのレベルが10/10の片側性片頭痛が認められた。彼女は疼痛が首から始まると述べた。
治療および観察
クロニジン0.1mgを2%ニトロビッド0.5インチと組み合わせて首の後ろに塗布したところ、頭痛による疼痛が3/10まで軽減された。
実施例33:TMJによる疼痛のある患者に対する活性薬剤含有LVの投与
材料および方法
製剤は実施例12で説明したようなものであった。
【0123】
41歳の男性に、三叉神経痛、顎関節症、持続性片側頭痛が認められた。痛みのレベルは8/10であった。
治療および観察
予混合したクリームを塗布したところ、10分以内に患者の痛みのレベルが2/10まで下がった。
実施例34:患者に対する活性薬剤含有LVの投与
I.PLOに入れたアテノロールの投与
(a)回旋腱板障害による疼痛のある患者に対する投与
男性患者に、回旋腱板障害および息切れが認められた。痛みのレベルは8/10であった。
【0124】
PLOに入れたアテノロールを肩と背中に塗布したところ、痛みのレベルが0/10まで下がった。また、患者は呼吸が改善されたと述べた。
(b)喘鳴のある患者への投与
アフリカ系アメリカ人の女性患者に、目に見える呼吸促迫、可聴の喘鳴が存在し、数分ごとにAlbuterol吸入器を使用している。
【0125】
PLOゲルに入れたアテノロールを背中と胸部に塗布した。数分以内に、喘鳴がおさまり、患者が診察室にいた少なくとも20分間、患者は吸入器を使用する必要がなかった。
II.クロニジン0.6mg+ニトロビッドの投与
(a)二頭筋付着部炎による疼痛のある患者に対する投与
アフリカ系アメリカ人の男性患者に、二頭筋付着部炎が認められた。痛みのレベルは6/10であった。
【0126】
クロニジン0.6mg+ニトロビッドを予混合し、二頭筋の腱に塗布した。痛みのレベルが1/10まで下がり、患者は腕をかなり動かしやすくなったと述べた。
(b)両側仙骨関節の歪みのある患者に対する投与
男性患者に、痛みのレベルが6/10の腰部の疼痛が認められた。
【0127】
ニトロビッドと予混合したクロニジン0.6mgを仙腸関節に塗布した。わずか2〜3時間後に患者の疼痛は6/10から2/10に軽減されたが、疼痛が軽減されている時間は24時間しか続かなかった。
(c)左回旋腱板障害のある患者に対する患者に対する投与
男性患者に痛みのレベルが6/10の肩疼痛があった。
【0128】
ニトロビッドと予混合したクロニジン0.6mgを塗布した後、VanPenクリームを塗布し、さらにレシチン大豆/ミリスチン酸イソプロピルを含有するPluronicゲル20%を塗布したところ、患者の疼痛には何ら効果がなかった。
III.Pluronicゲル+ニトロビッドの投与
(a)背中と脚に疼痛のある患者に対する投与
男性患者に、背中と両足のひどい疼痛が認められた。痛みのレベルは10/10であった。
【0129】
レシチン大豆を含有するPluronicゲル20%とニトロビッドとを予混合し、患者の両脚に塗布した。患者は痛みのレベルに何の変化もないと述べた。
(b)関節痛のある患者に対する投与
女性患者に、倦怠感、脱力感、筋痛、腱障害、極端な瀰漫性関節痛(痛みのレベルは10/10)が認められた。
【0130】
ニトロビッドと予混合したレシチン大豆/ミリスチン酸イソプロピルを含有するPluronicゲル20%を、肩、首、股関節、手首、手、膝および足首に塗布した。患者の報告では、疼痛が0/10まで低減され、元に戻るまで4時間持続した。また、この4時間のあいだは、注意力と覚醒状態が増した感じがして、呼吸が楽になり、あまり空腹ではなかったとも述べていた。
【0131】
重い関節リウマチのある男性患者に、痛みのレベルが10/10の瀰漫性関節痛が認められた。
【0132】
ニトロビッドと予混合したレシチン大豆/ミリスチン酸イソプロピルを含有するPluronicゲル20%を、肩、手、手首、肘に塗布した。患者の報告では、これらの関節での疼痛が0/10まで低減され、元に戻るまで約7.5時間持続した。また、注意力と覚醒状態が増した感じがしたとも述べた。
(c)胸郭痛のある患者に対する投与
胸部に疼痛のある男性患者。痛みのレベルは6/10であった。
【0133】
ニトロビッドと予混合したレシチン大豆/ミリスチン酸イソプロピルを含有するPluronicゲル20%を中背/上背に塗布した。患者の報告では、背中の疼痛が消えた。
IV.Orajelの投与
(a)歯痛および糖尿病性神経障害のある患者に対する投与
女性患者に、痛みのレベルが10/10の口痛と痛みのレベルが7/10の痛みのある糖尿病性神経障害が認められた。
【0134】
Orajel(PEG+ベンゾカイン)の投与後、患者は口痛が減少しただけでなく、下肢の疼痛が7/10から2/10に顕著に減少したと述べた。下肢での緩和は、元に戻るまで約30分間持続した。
(b)手首および首の疼痛のある患者に対する投与
男性患者に、痛みのレベルが7/10の手首の疼痛と痛みのレベルが5/10の首の疼痛が認められた。
【0135】
歯肉にOrajelを塗布したところ、首の疼痛が2/10(PEGを投与してこのレベルまで落とした)から1/10に減少した。
V.PLOゲルの投与後、Albuterolおよび/または臭化イプラトロピウム(Atrovent)の投与
(a)糖尿病性腎症のある患者に対する投与
糖尿病性腎症のある患者が、両側下肢に刺痛、電撃痛、乱刺痛(踵で激しさが増す)を訴えた。痛みのレベルは8/10であった。
【0136】
PLOゲルを右踵に塗布したところ、痛みのレベルが5/10まで降下したが、左踵には変化がなかった。5分後、患者にAlbuterol吸入器を与えたところ、30秒以内で右踵の疼痛が4/10まで降下し、左踵の疼痛も6/10まで降下した。5分後、Atrovent吸入器を与えたところ、30秒以内で右踵の疼痛が3/10まで降下し、左踵の疼痛も5/10まで降下した。再度Albuterol吸入器を与えたところ、右踵の疼痛が2/10まで降下し、左踵の疼痛が3/10まで降下した。吸入器ではそれ以上の変化は起こらなかったが、患者は、深く疼く痛みが残ったままではあるが、灼熱感が完全になくなったと述べた。
(b)ポルフィリン症のある患者に対する投与
患者には、ポルフィリン症による下肢神経障害が認められた。
【0137】
PLOゲルを両脚に塗布した。痛みのレベルは8/10であった。10分後、疼痛に7.5/10までわずかな変化があった。atroventとAlbuterolを交互に何度か吸入させたところ、痛みのレベルが4/10まで降下した。患者は、深い疼痛が残ったままではあるが、刺すような表面の疼痛が消えたと述べた。
(c)首の痛みと凝りのある患者に対する投与
患者には、痛みのレベルが5/10の首の痛みと凝り、痛みのレベルが8/10の尾骨上の腰部の疼痛が認められた。
【0138】
Atroventを与えたところ、首の痛みが3/10まで減少するにつれて、首が一層滑らかになったと述べた。背中の疼痛に変化はなかった。背中にPLOクリームを塗布しても変化はなかった。背中では患部にPLOクリームと超音波を併用したが、患者は痛みのレベルが変化したとは言わなかった。Albuterol吸入器を与えたところ、背中の疼痛には変化がなかったが、首の痛みが2/10まで減った。次に、Atroventを与えたところ、首の痛みが1/10まで減った。また、患者は首の可動性がかなり改善されたとも述べた。
(d)多発性硬化症および仙腸関節の歪みのある患者に対する投与
患者には、脚への放射線による多発性硬化症および仙腸関節の歪みが認められた。痛みのレベルは5/10であった。
【0139】
PLOクリームを背中に塗布したところ、疼痛が2/10まで減った。Atrovent吸入器を与えると、疼痛が完全に消えた。
(e)仙腸関節の歪みのある患者に対する投与
患者には、痛みのレベルが8.5/10の仙腸関節の歪みが認められた。
【0140】
患者にPLOクリームを与えたところ、痛みのレベルが5/10まで下がり、5分を超えて安定していた。患者にAlbuterol吸入器を与えたところ、痛みのレベルが4/10まで下がった。続いてAtrovent吸入器を与えると、痛みのレベルが3/10まで下がった。
(f)仙腸関節の歪みのある患者に対する投与
患者には、痛みのレベルが7/10の中背の疼痛が認められた。
【0141】
PLOクリームを背中に投与したところ、痛みのレベルに何ら変化はなかった。Albuterol吸入器とAtrovent吸入器を与えても変化はなかった。
(g)両側足底筋膜炎のある患者に対する投与
両足の痛みのレベルが5/10の両側足底筋膜炎と診断された患者。
【0142】
PLOクリームを右足に塗布したところ、痛みのレベルが右足で0/10まで下がるが、左足の疼痛は5/10のままであった。患者にAtroventを与えたところ、左の疼痛が0/10まで下がった。
(h)圧迫骨折による疼痛のある患者に対する投与
患者には、T11およびT12圧迫骨折による6/10の疼痛が認められた。
【0143】
PLOクリームを背中に塗布したところ、痛みのレベルが0/10まで降下した。吸入器は使用しなかった。
【0144】
患者に下部腰椎圧迫骨折の可能性のある5/10が認められた。
【0145】
PLOクリームを背中に塗布したところ、痛みのレベルには何ら変化がなかった。Albuterol吸入器を与えると痛みのレベルが6/10まで降下した。
【0146】
以下の実施例ならびに表2、3、4、5は、親油性基剤以外の活性薬剤を使用しない治療を示す。
【0147】
【表2】

発疹のある患者にHRTを塗布したところ、12時間にわたって痒みがまったくなくなった。首の凝りと痒みのある患者にHRTを投与しても効果は認められなかった。
【0148】
上記の表に示した材料は通常、両染性(すなわち、分子内に極性部分と非極性部分を含む)化合物を含有する。たとえば、脂肪酸、脂肪酸エステル、レシチンは、疎水性の部分(非極性の尾など)と親水性部分(カルボン酸基、エステル基、ホスフェート基など)を含有する化合物である。ラノリンは、ステロール、トリテルペンアルコール、脂肪族アルコールのエステルの複雑な混合物である。活性を有するように見える油には、オメガ6および/またはオメガ脂肪酸が豊富に含まれる。
【0149】
評価対象となる他の分子には、他の脂肪酸、コレステロール誘導体ならびに、オメガ6およびオメガ9脂肪酸が豊富な材料が含まれる。
実施例35:レシチン大豆/ミリスチン酸イソプロピルを含有するPluronicゲル20%での別の処置
(a)心臓喘息および空腹時痛のある患者に対する投与
男性の高血圧患者に、努力性呼吸が認められた。患者は「終日何も食べていないので、とても空腹だ」と述べた。
【0150】
レシチン大豆/ミリスチン酸イソプロピルを含有するPluronicゲル20%を胃と腹壁に適用した。患者は空腹時痛または渇望のないまま2時間を過ごした。また、呼吸が顕著に良くなった。患者の最大呼気流量計での測定値はクリームの塗布前に500L/分であったのに対し、その塗布後は600L/分であった。また、その日の残りの時間(約12時間)ずっと、注意力と覚醒状態が増した感じがして、呼吸は楽なままであったと述べた。
(b)息切れのある患者に対する投与
材料および方法
息切れおよび空腹時痛のある女性患者。
【0151】
レシチン大豆/ミリスチン酸イソプロピルを含有するPluronicゲル20%を腹部に塗布する前に、患者の最大呼気流量は240L/分であった。クリームを腹部と胸郭に塗布した後、患者の最大呼気流量は370L/分まで増えた。また、患者はそれまでよりも深く簡単に呼吸ができると述べた。さらに、覚醒状態が高まった感じがするとともに、温かく汗ばむようで、食欲が完全に失われたとも述べた。
(c)空腹時痛のある患者に対する投与
女性患者に空腹時痛が認められた。
治療および観察
レシチン大豆/ミリスチン酸イソプロピルを含有するPluronicゲル20%を胃と腹壁に適用した。患者は、覚醒状態が高まった感じがするとともに空腹ではなくなったと述べた。
(d)息切れのある患者に対する投与
女性の喘息患者に可聴の喘鳴と息切れが認められた。
【0152】
レシチン大豆/ミリスチン酸イソプロピルを含有するPluronicゲル20%を胸郭に塗布する前に、患者の最大呼気流量は180L/分であった。クリームを胸郭に塗布した後、患者の最大呼気流量は240L/分まで増えた。患者は、呼吸が楽になり、喘鳴もないと述べた。また、覚醒状態が高まった感じがするとともに、温かく汗ばむようで、食欲が完全に失われたとも述べた。
(e)空腹時痛のある患者に対する投与
女性患者に空腹時痛が認められた。
【0153】
レシチン大豆/ミリスチン酸イソプロピルを含有するPluronicゲル20%を腹壁に適用した後、患者は食欲が完全に失われたと述べた。
(f)指先穿刺後の投与
(i)pluronicゲルを使用せずに患者の右人差し指に指先穿刺したところ、痛みがあり(血糖:123mg/dl)、pluronicゲル15%を使用して左人差し指の指先穿刺をすると穿刺の痛みが少なかった(実測血糖値132mg/dl)。
【0154】
(ii)15%pluronicを患者の右人差し指に塗布し、左人差し指には何も使用しなかった。両方の指で指先穿刺をした。患者は右人差し指への注射針の穿刺を辛うじて感じる程度であったが、左人差し指には鋭い痛みと不快感があり、それが指先穿刺後も残った。この指に15%pluronicゲルを塗布すると、不快感が完全に取り除かれた。左指で測定した血糖は128、右では114であった。他の指でゲルを使わずに血液を再測定すると、左で109、右は102であった。
【0155】
iii)20名の患者でTheraSense装置の血糖測定器を用いて指先穿刺を実施した。この装置では最小限の血液滴しか必要とせず、不快感も最小限に抑えられるが、それでも明らかに痛みが生じてそれが約10〜20分間続く。指先穿刺を実施するには、指をアルコール清浄綿で拭いて乾燥させ、穿刺を実施してグルコース濃度を測定した。同じ指でPluronicゲル15%を使用し、乾燥させ、穿刺を実施した。痛みがかなり軽減されて辛うじて分かる程度になり、測定器の読取値は最初の穿刺の10%以内であった。これらの測定器の仕様では装置に20%のばらつきの余地がある。
実施例36:PLOクリームおよびHRTベースでの別の処置
(a)患者に乾癬が認められた。手の甲とすねにある乾癬プラークにPLOクリームを塗布したところ、1か月を超えてその大きさが小さかった。
【0156】
(b)患者にひどい掻痒症を訴えるアトピー性皮膚炎が認められた。HRTクリームベースを発疹のある部分に塗布したところ、約4〜5時間痒みがまったくなくなった。このオイルでの治療を以下の表3にあげておく。
【0157】
【表3】

実施例37:オイルとLVの組み合わせを用いての治療
(a)神経腫および転子滑液包炎による疼痛のある患者に対してVanPenとPLOとを投与
女性患者に、目に見える急迫症状における切断した断端における神経腫と、転子滑液包炎による疼痛が認められた。神経腫による痛みのレベルは10+++/10、転子滑液包炎による痛みのレベルは4/10であった。
【0158】
VanPenとPLOとの混合物を断端に塗布した。痛みのレベルが5/10まで下がった。ゴマ油を断端に塗布すると、疼痛が0まで減少した。患者は「この油が一番良く効いた」と述べた。同様に、ゴマ油を股関節に塗布すると、疼痛が消えた。
(b)鼠径部リンパ節腫脹による疼痛のある患者に対する塗布
右鼠径部リンパ節腫脹が原因で患者の鼠径部では痛みのレベルが8/10であった。
【0159】
PLOゲルを鼠径部に塗布すると、疼痛が完全になくなった。2回にわたって指先穿刺を実施し、患者の血糖も得た。右手の指1本にpluronicゲル15%を塗布し、左手の指には何も塗布しなかった。pluronicゲルを塗布した指では、患者は指先穿刺の痛みを感じず、他方の指では、患者は注射針の穿刺による痛みを強く感じた。pluronicゲルをこの指に塗布すると、疼痛と注射針の穿刺による感覚がなくなった。患者の血糖を測定すると右が116mg/dl、左が111mg/dlであった。別の治療の組み合わせを表4にあげておく。
実施例38:オイル単独または他のLVとの併用での投与
表5に、オイルを単独または他のLVとの併用で患者に塗布した場合の観察結果を示す。
【0160】
【表4】

【0161】
【表5】

実施例39:SDS、TweenおよびDawn Dishwashing液の投与
(a)患者に、鬱血、喘鳴および空腹感が認められた。SDSおよびTween 80を塗布したところ、呼吸が改善された。Dawn Hand Dishwashing Liquidを投与すると、呼吸が大幅に改善された。患者は8時間を超えて完全に食欲を失っていた。
【0162】
(b)患者には、5〜6の筋収縮性頭痛と、横から横への運動範囲が65度の項部の凝りが認められた。Dawn Hand Dishwashing Liquidを塗布すると、患者は呼吸が容易になり、覚醒状態が増したように感じ、首と頭の痛みがなくなり、頭部の可動性が大幅に改善されて両側にほぼ90度回るようになった。
【0163】
(c)患者に、8/10のSI関節痛が認められた。患者はアテノロールを使用した。Dawn Hand Dishwashing Liquidでの治療には効果がなかった。
【0164】
(d)患者に、7/10の腰部の疼痛、月経に伴う腹部疝痛、尿道感染による側腹部痛が認められた。
【0165】
Dawn Hand Dishwashing Liquidを塗布すると、患者は呼吸が楽になり、覚醒状態となって鬱血が減り、疼痛が7/10から3/0に減少した。Dawnについては、腹部と右即腹部、腰部に塗布した。
実施例40.aquaphorクリーム50:50:混合物でのMonaVie Juiceの投与(Weise compounding pharmacy製)
MonaVie juiceとaquaphorクリームとの混合物を、症状の異なる患者に投与した。結果を表6に示す。
【0166】
【表6】

疼痛に対する治療の概要を、治療対象とした症状別に分けて以下の表7にあげておく。
【0167】
【表7−1】

【0168】
【表7−2】

【0169】
【表7−3】

【0170】
【表7−4】

【0171】
【表7−5】

【0172】
【表7−6】

【0173】
【表7−7】

上述した本発明の詳細な説明から、当業者であれば改変および変更が自明であろうし、これらも以下の特許請求の範囲に記載の範囲に包含されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
疼痛の治療が必要な部位の皮膚または粘膜表面あるいはこれに隣接する皮膚または粘膜表面に、薬学的に活性な作用物質の非存在下にて有効な、脂質、脂肪酸エステル、天然ワックス、ステロールまたはこれらの組み合わせを有効成分として含む製剤を、疼痛に関連する1種以上の症候を軽減するのに有効な量で局所投与することを含み、製剤が、皮膚または粘膜表面への局所塗布用の軟膏、クリーム、ゲル、ローション、スプレー、フォーム、ペースト、懸濁液または分散液の形である、疼痛を治療するための方法。
【請求項2】
疼痛の治療が必要な部位またはこれに隣接する部位に皮膚に有効量の製剤を局所投与することを含む、こわばったまたは硬くなった筋肉、関節または腱の可動性を改善するための請求項1に記載の方法。
【請求項3】
食欲減退が必要な人において、食欲を減退させるための請求項1に記載の方法。
【請求項4】
気管支拡張および呼吸仕事量低下の感覚を、それが必要な人において引き起こすための請求項1に記載の方法。
【請求項5】
製剤が浸透促進剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
組成物を粘膜表面に投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
組成物を局所投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
製剤を、急性または慢性疼痛、体性痛、内臓痛、炎症性疼痛、神経障害、変形性関節炎、喘鳴などの呼吸障害、空腹時痛または頭痛に起因または関連する疼痛のある部位に、その治療に有効な量で投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
疼痛が、関節、筋肉または腱の疼痛に起因または関連するものである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
脂質、脂肪酸エステル、天然ワックス、ステロールまたはこれらの組み合わせを有効成分として含む製剤を、疼痛に関連する1種以上の症候を軽減するのに有効な量で含み、製剤が、皮膚または粘膜表面への局所塗布用の軟膏、クリーム、ゲル、ローション、スプレー、フォーム、ペースト、パッチ、懸濁液または分散液の形である、疼痛の局所治療用製剤。
【請求項11】
オルガノゲルを含む、請求項10に記載の製剤。
【請求項12】
脂質、脂肪酸エステル、レシチン、ステロールまたはこれらの組み合わせと併用されるポリアルキレンオキシドポリマーまたはコポリマーからなる群から選択される基剤を含む、請求項10に記載の製剤。
【請求項13】
脂肪酸エステルまたは種油を含む、請求項10に記載の製剤。
【請求項14】
蜜ろう、ラノリンまたは他の天然ワックスまたは脂肪酸エステルを含む、請求項10に記載の製剤。
【請求項15】
絆創膏、ガーゼ、粘着テープ、清浄綿、ラップ材、スポンジ、綿棒、パッチ、手袋、靴下、リストバンド、布帛、繊維、縫合糸、薬剤パッド、下着、組織、疼痛緩和用ゲルパックまたはベッドライナー、リップバーム、湿布、硬膏剤または圧定布の表面に塗布またはこれらに含浸される、請求項10に記載の製剤。
【請求項16】
コンチネンスを促進するための成人用おむつ、パッド、ガードまたはライナーに塗布または含浸される、請求項10に記載の製剤。
【請求項17】
閉塞性睡眠時無呼吸を低減するために首に巻かれるパッチ、絆創膏または包帯に塗布または含浸される、請求項10に記載の製剤。
【請求項18】
以下を必要とする個人に装置を用いて投与するための密閉された滅菌量の製剤を含むキットに含まれる、請求項10に記載の製剤。
【請求項19】
注射針、カテーテル、チューブ、チューブまたは注射針の穴、マウスガードまたは歯科用トレーに塗布されるか、これを用いて投与される、請求項10に記載の製剤。
【請求項20】
アクセサリ用の針または刺青針に塗布されるか、これを用いて投与される、請求項10に記載の製剤。
【請求項21】
疼痛軽減のための皮膚塗布用の化粧品と一緒に配合される、請求項10に記載の製剤。
【請求項22】
1種以上の浸透促進剤をさらに含む、請求項10に記載の製剤。
【請求項23】
イオントフォレーシス、TENS、筋肉刺激、ジアテルミーあるいはこれらの装置の電極への適用、放射線療法、赤外線、紫外線、およびコールドレーザからなる群から選択される1種以上の別の療法との併用で投与される、請求項1に記載の方法。

【公表番号】特表2010−531298(P2010−531298A)
【公表日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−512189(P2010−512189)
【出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【国際出願番号】PCT/US2008/007354
【国際公開番号】WO2008/156646
【国際公開日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(509342382)エックスバシブ, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】