説明

疾患治療のためのマンノース結合レクチンの融合タンパク質

一定の細胞型および/または病原体に結合する炭水化物、脂質、および/またはタンパク質などの特異的部分を標的にする配列を有する融合タンパク質;およびエフェクター機能を誘導する配列を提供する。本開示はまた、融合タンパク質をコードする核酸、ならびに本明細書に記載された融合タンパク質を含む、感染性疾患、癌、免疫関連障害および他の病気などの病態または疾患を治療する医薬組成物、使用方法、および治療方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2007年11月9日に出願された米国仮特許出願第60/996,288号明細書の利益を主張する。これは参照として本明細書に援用されている。
【0002】
本発明は、種々の疾患および感染の治療に関する。より具体的には、本発明は、マンノース結合レクチンポリペプチド配列などの融合タンパク質に関する。これらの融合タンパク質は、感染性疾患、癌、免疫関連疾患および他の疾患を治療するための医薬組成物において使用することができる。
【背景技術】
【0003】
マンノース結合タンパク質(MBP)とも称されるマンノース結合レクチン(MBL)は、広範囲の病原体(ウイルス、細菌、真菌、原生動物)の表面上の炭水化物に結合することにより先天性免疫応答において役割を果たすカルシウム依存血清タンパク質であり、これはそこでの補体系を活性化することができる。MBLはまた、直接オプソニンとして働き、病原体の表面をタグ化することにより、病原体の結合と取り込みを媒介して、食細胞による認識および消化を促進する。
【0004】
マンノース結合レクチンは、肝臓で作られるタンパク質のコレクチンファミリーのメンバーである。コレクチンは、コラーゲン様領域とレクチン領域を有するため名称を持っている。レクチンは通常、細菌の表面上の炭水化物に結合するタンパク質である。コラーゲンドメインは、先天性免疫系のエフェクター部分と相互作用する。ヒト染色体10上のMBL2遺伝子は、N末端のシステインに富んだ領域、コラーゲン様領域、ネック領域、および炭水化物認識ドメイン(CRD)を含む3つの同一のポリペプチド鎖から構成される248のアミノ酸のタンパク質サブユニットのオリゴマーであるMBLを生じさせる。3つのMBLポリペプチド鎖は、インビボで見られる生物活性三量体へと組み立てられる。
【0005】
血清のMBLが微生物の表面上の炭水化物と相互作用すると、補体活性化のレクチン経路の病原体認識要素を形成する。MBLは、反復マンノースまたはN−アセチルグルコサミン残基を含有する表面配列に結合する。それは、複合体が適切な表面に結合した時に自動活性化する1つまたは複数のMBP結合セリンプロテアーゼ(MASP)との複合体として循環する。
【0006】
MBPの表面認識機能は、αラセン体の多重コイルにより保持された3つのC型炭水化物認識ドメイン(CRD)の集団によって媒介される。N末端部のコラーゲン様ドメインは、そのドメインの湾曲部を形成する単一の割り込み部分を有するGly−X−Y三重体からなる。短いN末端ドメインは、鎖間ジスルフィド結合を形成するいくつかのシステイン残基を含有する。血清MBLsは、齧歯類では2〜4個の三量体サブユニット、ヒトでは6個と多いサブユニットを含有するより大型の形態へと組み立てられる。MBP−Aと称されるラットの血清MBPの3つのオリゴマー形態は全て補体を固定することができるが、オリゴマーが大型になるほど、より高い特異性を有する。多くの種は、MBPの第二の形態を発現する。ラットでは、第二の形態、MBP−Cは肝臓に見られる。MBP−Cは、3つのポリペプチドを含有する単純なサブユニットを越えたより高いオリゴマーを形成することはない。ラットのMBP−AとMBP−Cの間のキメラの分析により、コラーゲン様ドメインが、MASP結合ドメインを含有することが示唆される。
【0007】
MBLは数年間、治療薬として研究されている。例えばMBPは、食細胞の機能障害をもたらす腫瘍壊死因子(TNF)阻害剤により処置された個体の感染の治療として考慮されている(国際公開第02/05833号パンフレットを参照)。MBLは、感染性薬剤に対するMBL CRD領域の結合、および引き続くクリアランスを介して感染のクリアランスを可能にすることにより、TNF阻害剤によって処置された患者のサブセットにおける食細胞機能の不足を補償するためにその天然形態において用いられる。MBLはまた、ワクチンアジュバントとして使用するために、TNFスーパーファミリーリガンドとの融合タンパク質においても考慮されている(米国特許第7,300,744号明細書を参照)。MBLなどの集合の先に記載された使用により、樹状細胞およびT細胞が免疫応答を開始するのを活性化するCD40Lなどの分子の三量体TNFベースファミリーを産生することが可能になる。上記の適用において記載されたより高い多量体化が、アジュバントの特性にとって望ましい。したがってこれらの方法により、先天性および適応性の免疫機能を活性化し、抗体応答を提供できる分子が提供される。しかしながら、これらの方法は、補体活性化を開始するために設計されてはいない。実際、補体活性化は、MBL融合タンパク質が結合した所望の免疫細胞の死滅をもたらすため、ワクチンの効果にとって有害と考えられる。この適用において、MBPは補体活性化を媒介するのに使用されるが、細胞免疫応答を誘導し抗体産生はきわめて望ましくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって本発明者は、当業界において、補体を活性化する感染、癌、および他の障害を治療する方法を提供することが求められていることを確認した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様において、本発明は、エフェクター機能を有するマンノース結合レクチン(MBL)ポリペプチドを含む第一のポリペプチドと、細胞表面またはウイルスに結合する標的配列を含む第二のポリペプチドとを含む融合タンパク質を提供し、この第一のポリペプチドは活性MBL C型レクチン様ドメイン(CLTD)を含まない。第二のポリペプチドの標的配列は、腫瘍細胞、免疫細胞、細菌細胞、原生動物、真菌およびウイルスに感染した細胞からなる群から選択的される細胞の表面上の標的部分に結合することができる。標的部分は、特定の細胞に結合している炭水化物、脂質、またはアミノ酸配列のいずれか1つまたはそれらの組合せを含むことができる。標的配列は、C型レクチンドメイン(CTLD)などのレクチンを含むことができる。第一のポリペプチド結合は、哺乳類の補体系などのエフェクター機能を可能にする配列を含む。
【0010】
一態様において、本発明は、エフェクター機能を有するマンノース結合レクチン(MBL)ポリペプチドと、細胞表面またはウイルスに結合する標的配列を含む第二のポリペプチドとを含む融合タンパク質を哺乳類に投与することを含む哺乳類の補体系を活性化する方法を提供し、この第一のポリペプチドは、活性MBL C型レクチン様ドメイン(CLTD)を含まない。
【0011】
一態様において、本発明は、本発明の融合タンパク質および薬学的に許容された賦形剤を含む医薬組成物を提供する。本発明の医薬組成物は、化学療法剤などの少なくとも1つの追加治療薬および/または抗体、キナーゼ阻害剤、または癌ワクチンなどの標的化治療薬をさらに含むことができる。
【0012】
別の態様において、本発明は、病原体性疾患に罹っている患者に、本発明の融合タンパク質またはその医薬組成物の有効量を投与することを含む、病原体性疾患を治療する方法を提供し、標的配列が病原体の細胞表面マーカーまたはウイルスに感染している細胞上のマーカーに結合する。
【0013】
別の態様において、本発明は、腫瘍細胞と関連する増殖性疾患の治療を必要としている患者に、本発明の融合タンパク質またはその医薬組成物の有効量を投与することを含む、腫瘍細胞と関連する増殖性疾患を治療する方法を提供し、標的配列が、癌細胞の表面上など、腫瘍細胞の表面上のマーカーに結合する。
【0014】
他の態様において、本発明は、本発明の融合タンパク質をコードする配列を含む単離核酸、この核酸を含む発現ベクター、この発現ベクターを含む宿主細胞、ならびにこれらの核酸、ベクター、および宿主細胞を含む本発明の融合タンパク質を調製する方法に関する。
【0015】
本発明の他の態様は、以下の本発明の詳細な説明から当業者に明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】完全長ヒトMBP(配列番号38)のポリペプチド配列および一般的な構造領域(シグナルペプチド領域、多量体化領域、コラーゲン様領域、多重コイル領域、およびC型レクチンドメイン)を示す図である。イタリック体および下線を引いたアミノ酸は、MBP結合セリンプロテアーゼ類(MASP)に対する結合領域を含むと考えられる。
【図2】ヒト(配列番号39)、ラット(MBP−Aは配列番号40、MBP−Cは配列番号41)、マウス(MBP−Aは配列番号42、MBP−Cは配列番号43)、およびサル(配列番号43)からの種々のMBP配列のアラインメントを示す図である。残基「O」はヒドロキシプロリン;星印()はMBPおよびフィコリン類にわたって保存されているアミノ酸残基を表す。太活字および下線を引いたアミノ酸残基は、MBP結合セリンプロテアーゼ(MASP)とのMBP相互作用において重要であることが確認されている[Wallis,et al.,J.Biol.Chem.,279(14):14065−073(2004)参照]。ヒトMBPのMASP結合領域の機能的変異体の一実施形態は配列番号45に規定される。
【図3A】固定化されたLeHSAに結合しているタグ化MBP/DC−SIGNCTLD融合タンパク質のELISA結合分析を示す図である。トランスフェクション4日後における種々のMBP/DC−SIGN構築体の結合活性。ACsCは、最も強い結合活性を示す。
【図3B】固定化されたLeHSAに結合しているタグ化MBP/DC−SIGNCTLD融合タンパク質のELISA結合分析を示す図である。各々が種々の競合物質の存在下または非存在下でのDC−SIGN/FcおよびMBP/DC−SIGN(ACsC)の結合比較。
【図3C】固定化されたLeHSAに結合しているタグ化MBP/DC−SIGNCTLD融合タンパク質のELISA結合分析を示す図である。トランスフェクション4日後における種々のMBP/DC−SIGNのさらなる結合活性アッセイ。
【図4A】懸濁相ELISAを用いたSKBR−3細胞に結合しているMBP/DC−SIGN CTLD融合タンパク質の結合を示す図である。構築体AbsおよびABsCは、陽性対照DC−SIGN/Fcよりも高い結合活性を示す。
【図4B】懸濁相ELISAを用いたSKBR−3細胞に結合しているMBP/DC−SIGN CTLD融合タンパク質の結合を示す図である。種々の競合物質およびカルシウムの存在下、Leに対するMBP/DC−SIGN ABs構築体の結合特異性。
【図4C】懸濁相ELISAを用いたSKBR−3細胞に結合しているMBP/DC−SIGN CTLD融合タンパク質の結合を示す図である。陽性対照および陰性対照に比較して、MCF−7に対するMBP/DC−SIGN構築体であるAbsおよびABsCのELISA。
【図5】25mLのマンナン−アガロースカラム(Sigma)上のMBP/DC−Sign CTLD ABsおよびMBP/DC−Sign CTLD ABsCの溶出プロファイルを示す図である。
【図6】単離されたMBP/DC−Sign CTLD−ABS誘導体(A)およびMBP/DC−Sign CTLD−AbsC誘導体(B)のSDS−PAGE分析を示す図である。
【図7】マンナン−セファロースアフィニティー精製により単離されたMBP/DC−SIGN CTLD ABsのオリゴマー化プロファイルのウェスタンブロット分析(非還元)を示す図である。ブロットは、大多数の精製ABs構築体が高次のオリゴマーとして存在していることを示す。
【図8】固定化ルイスY−HSAに結合しているMBP/DC−SIGN CTLD ABs(■)およびDC−SIGN−Fc(◆)に関するELISA結合結果を示す図である。MBPの多量体化ドメインは、DC−SIGN−Fc分子に比して、親和性の増大達成を提供する。
【図9】C4のMASP依存性開裂を有するMBP/DC−SIGN CTLD ABs−によるC4補体活性化の誘導を示す図である。
【図10】SKBR−3細胞上のC4のMBP/DC−SIGN CTLD ABs(−◆−)−MASP依存性変換を示す図である。
【図11】MBP/DC−SIGN CTLD誘導体ABsCおよびMBP/DC−SIGN CTLD誘導体ABsC0、またはハーセプチンによるSKBR−3(A)およびMCF−7(B)の細胞増殖阻害の分析を示す図である。グラフ記号:菱形(−◆−)MBP/DC−SIGN;四角形(−■−)MBP−DC−SIGN−ABsC0+5μg/mLのハーセプチン;三角形(−▲−)ハーセプチン;「X」(−x−)TBSC緩衝液;*(−*−)媒体のみ。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、補体固定を誘導することのできるマンノース結合レクチン(MBL)ポリペプチドを含む第一のポリペプチドと、特定の細胞型および病原体に結合している部分を標的にする配列を含む第二のポリペプチドとを含む一連の融合タンパク質を構築することによるMBPの補体固定活性を利用する。一態様において、本発明は、マンノース結合レクチンポリペプチドを含み、エフェクター機能を有する第一のポリペプチドと;標的部分に結合する配列を含む第二のポリペプチドとを含む融合タンパク質を提供する。
【0018】
別の態様において、本発明は、MBLのエフェクター官能基および対象となっている細胞または他の病原体に融合タンパク質を方向づける標的化配列を含む融合タンパク質を、必要としている被検体に提供することによる疾患の治療に関する。MBLのエフェクター官能基は細胞または病原体に結合すると、宿主の補体系を活性化し、それによって細胞または病原体のオプソニン化、最終的には食作用を開始させる。本発明の融合タンパク質は、MBL融合タンパク質が、エフェクター機能を保持しながら、本来なら細胞表面上のマンノースまたは他のオリゴ糖に結合すると考えられるMBL配列を有することのないように、MBL炭水化物認識ドメインまたは活性MBP C型レクチン様ドメインを欠いている。
【0019】
定義
本発明をより詳細に明らかにする前に、多数の用語を定義する。用語に関して、本明細書に特に定義が示されない限り、本開示を通して用いられる用語および語句は、当業界で一般に理解されている意味を有すると解釈するべきである。また、本明細書および添付の特許請求の範囲で用いられる際、文脈によって明らかに別様に表されない限り、単数形の「a」、「an」、および「the」は複数の指示物を含む。
【0020】
本明細書に用いられる用語「エフェクター機能」とは、抗体に結合していない哺乳動物における免疫応答またはT細胞応答を誘導する能力を意味する。例えば、マンノース結合タンパク質(MBP)のエフェクター機能は、細胞外病原体を攻撃するために共に働く一組の血漿タンパク質である補体系を活性化する。補体系の最も重要な役割は、オプソニン化(食細胞によって認識される受容体によって外来生物を被覆すること)であるが、補体系はまた、炎症細胞を動員し、膜攻撃複合体によって直接病原体を殺す。哺乳動物において、補体の活性化または「固定」とは一般に、MBPが集合的に「補体」と称される血清タンパク質、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、およびC9に結合し、そのことによって、タンパク質に対するマクロファージの結合を刺激し、これらのマクロファージによる引き続く消化を促進することを意味する。
【0021】
「テトラネクチン三量体形成ドメイン」とは、参照としてその全体が援用されている米国特許出願公開第2007/0154901号(‘901出願)明細書に記載されているテトラネクチン由来の三量体形成ドメインのことである。成熟ヒトテトラネクチン一本鎖ポリペプチド配列は、本明細書において、配列番号46として示されている。テトラネクチン三量体形成ドメインの例としては、ヒトテトラネクチン遺伝子のエキソン2によってコードされたアミノ酸を表す、配列番号46のアミノ酸17から49、17から50、17から51および17から52、ならびに任意に、この遺伝子のエキソン3によってコードされた初めの1つ、2つまたは3つのアミノ酸が挙げられる。他の例としては、アミノ酸1から49、1から50、1から51およびエキソン1およびエキソン2の全てを表す1から52、ならびに任意に、この遺伝子のエキソン3によってコードされた初めの1つ、2つまたは3つのアミノ酸が挙げられる。あるいは、エキソン1によってコードされたアミノ酸配列の一部のみが三量体形成ドメインに含まれる。特に、三量体化ドメインのN末端は、配列番号46の残基、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16および17のいずれかにおいて始まり得る。特定の実施形態において、N末端はI10またはV17であり、C末端は、Q47、T48、V49、C(S)50、L51またはK52である(配列番号46によるナンバリング)。
【0022】
本発明の一態様において、三量体形成ドメインは、より詳細に米国特許出願公開第2007/00154901号明細書に記載されているテトラネクチンファミリー三量体形成構造要素の共通塩基配列である配列番号47のアミノ酸配列を有するテトラネクチン三量体形成構造要素(「TTSE」)である。TTSEは、タンパク質のテトラネクチンファミリーの天然メンバーの変異体、特にアルファらせん多重コイル三量体を形成するTTSEの能力に大きな悪影響を与えることなくアミノ酸配列に修飾を受けた変異体を包含する。本発明の種々の態様において、本発明による三量体ポリペプチドは、配列番号47のコンセンサス配列に少なくとも66%のアミノ酸配列同一性;例えば配列番号47のコンセンサス配列に少なくとも73%、少なくとも80%、少なくとも86%または少なくとも92%の配列同一性(規定された(Xではない)残基のみをカウントして)を有する三量体形成ドメインとして、TTSEを含む。言い換えると、配列番号47の規定されたアミノ酸のうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、または少なくとも5つを置換できる。
【0023】
特定の一実施形態において、配列番号46の50位におけるシステイン(C50)を、望ましくない多量体化に至り得る望ましくない鎖間ジスルフィド架橋の形成を避けるために、セリン、スレオニン、メチオニンまたは任意の他のアミノ酸残基に有利に変異させることができる。他の公知の変異体は、アミノ酸残基6、21、22、24、25、27、28、31、32、35、39、41、および42(配列番号46によるナンバリング)から選択される少なくとも1つのアミノ酸残基を含み、これらは任意の非らせん破壊アミノ酸残基によって置換できる。これらの残基は、天然のテトラネクチンモノマーの3つのTTSE間のトリマー複合体を安定化する分子間相互作用に直接関与しないことが示されている。一態様において、TTSEは式a−b−c−d−e−f−g(NからC)を有する反復ヘプタッドを有し、式中、残基aおよびd(すなわち26位、33位、37位、40位、44位、47位、および51位)は任意の疎水性アミノ酸であり得る(配列番号46によるナンバリング)。
【0024】
さらなる実施形態において、TTSE三量体形成ドメインは、ポリヒスチジン配列および/またはプロテアーゼ開裂部位、例えば、血液凝集因子XaまたはグランザイムB(本明細書に参照として援用されている米国特許出願公開第2005/0199251号明細書を参照)を組み込むこと、およびC末端KGまたはKGS配列を含めることによって修飾できる。また、精製を助けるために、2位のプロリンをグリシンによって置換することができる。
【0025】
用語「C型レクチン様タンパク質」および「C型レクチン」は、したがって、任意の真核生物種のゲノムに存在するか、またはゲノムにコード化されている任意のタンパク質を指すために用いられ、このタンパク質は、1つまたは複数のCTLDまたはCTLDの亜群に属する1つまたは複数のドメイン、炭水化物リガンドに結合する炭水化物認識ドメイン(CRD)を含有する。この定義は具体的に、膜結合C型レクチン様タンパク質およびC型レクチン、「可溶性」C型レクチン様タンパク質および機能的膜貫通ドメインを欠くC型レクチンおよび変異C型レクチン様タンパク質および1つまたは複数のアミノ酸残基がインビボでグリコシル化によって変化したC型レクチンまたは他の任意の合成後修飾、ならびにC型レクチン様タンパク質およびC型レクチンの化学的修飾によって得られる任意の生成物を含む。
【0026】
CTLDは、およそ120のアミノ酸残基からなり、特徴として2つまたは3つの鎖内ジスルフィド架橋を含有する。CTLDと種々のタンパク質との間のアミノ酸配列レベルにおける類似性は相対的に低いが、多数のCTLDの3D構造は、5つまでのループによってしばしば規定されるいわゆるループ領域に本質的に限定された構造可変性を有して保存性が高いことが分かっている。いくつかのCTLDは、カルシウムに対する1つまたは2つの結合部位を含有し、カルシウムと相互作用する側鎖の多くはループ領域に位置している。
【0027】
3D構造情報が入手できるCTLDに基づき、カノニカルCTLDの構造的特徴は、β1、α1、α2、β2、β3、β4、およびβ5の順で連続的に現れる7つの主要な二次構造要素(すなわち、5つのβ鎖と2つのαらせん体)であると推定されている。図2は、10のC型レクチンの公知の3次元構造のCTLDのアラインメントを示している。3D構造が決定した全てのCTLDにおいて、β鎖は、1つはβ1とβ5からなり他方はβ2、β3およびβ4からなる2つの逆平行のβシートで配置している。さらなるβ鎖であるβ0は、配列の中でしばしばβ1に先行しており、存在する場合は、β1シート、β5シートと合体して追加の鎖を形成する。さらに、1つはα1とβ5をつないでおり(C−CIV)、1つはβ3と、β4とβ5をつないでいるポリペプチドセグメントとをつないでいる(CII−CIII)2つのジスルフィド架橋が、現在までに特性化された全てのCTLDに常に見られる。
【0028】
CTLDの3D構造において、これらの保存された二次構造要素は、この文脈では集合的に、コアから突き出している「ループ領域」と称される多数のループにとってのコンパクトなスカフォードを形成する。CTLDの一次構造において、これらのループは、2つのセグメント、すなわちループセグメントA、LSAとループセグメントB、LSBに構成される。LSAは、定型的な二次構造をしばしば欠き、4つまでのループを含有する、β2とβ3とをつないでいる長いポリペプチドセグメントを表す。LSBは、β鎖のβ3とβ4とをつないでいるポリペプチドセグメントを表す。LSAの残基は、β4の単一残基と共に、テトラネクチンのCTLDなどのいくつかのCTLDのCa2+とリガンドとの結合部位を規定することが示された。例えば、1つまたは少数の残基の置換を含む変異の研究で、結合特異性、Ca2+感受性および/または親和性における変化は、CTLDドメインによって調整できることが示された。以下の非限定的な例を含む多数のCTLDが知られている:テトラネクチン、リトスタチン、マウスマクロファージガラクトースレクチン、クッパー細胞受容体、ニワトリノイロカン、ペルルシン、アシアロ糖タンパク質受容体、軟骨プロテオグリカンコアタンパク質、IgE Fc受容体、膵炎関連タンパク質、マウスマクロファージ受容体、ナチュラルキラー群、幹細胞成長因子、因子IX/X結合タンパク質、マンノース結合タンパク質、ウシコングルチニン、ウシCL43、コレクチンリバー1、サーファクタントタンパク質A、サーファクタントタンパク質D、e−セレクチン、被嚢類c型レクチン、CD94NK受容体ドメイン、LY49ANK受容体ドメイン、ニワトリ肝レクチン、マスc型レクチン、HIVgp120−結合c型レクチン、および樹状細胞免疫受容体参照として本明細書にその全体が援用されている米国特許出願公開第2007/0275393号明細書を参照されたい。
【0029】
語句「有効量」とは、同時投与でも連続的投与でも、問題の疾患または病態を予防、寛解または治療するために有効な本発明の融合タンパク質および治療薬の一方または双方の量のことである。特定の実施形態において、有効量は、細胞がアポトーシスを受ける、腫瘍容積を減少させる、または癌または他の疾患を有する哺乳動物の生存を延長させる傾向を増強させるか、または増加させる上で十分な融合タンパク質および併用する治療薬の量である。
【0030】
用語「癌」、「癌性」および「悪性」とは、典型的に非制御細胞増殖を特徴とする哺乳動物における生理学的状態のことを言うか、または述べる。癌の例としては、限定はしないが、腺癌、リンパ腫、芽腫、黒色腫、肉芽腫、および白血病などの癌が挙げられる。このような癌のより具体的な例としては、扁平上皮細胞癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、胃腸癌、ホジキンおよび非ホジキンリンパ腫、膵癌、グリア芽腫、膠腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝性癌および肝腫などの肝癌、膀胱癌、乳癌、大腸癌、結腸直腸癌、子宮体癌、骨髄腫(多発性骨髄腫など)、唾液腺癌、腎細胞癌およびウィルムス腫瘍などの腎癌、基底細胞癌、黒色腫、前立腺癌、外陰部癌、甲状腺癌、精巣癌、食道癌、および種々のタイプの頭頚部癌が挙げられる。
【0031】
本文脈において、用語「抗体」とは、天然のものであっても、また部分的に、もしくは全体的に合成で作製されたものであっても免疫グロブリンのことを言う。抗体は多くの方法で修飾できるため、用語「抗体」は、結合ドメイン特異性を有する任意の特異的結合メンバーまたは特異的結合物質を含むものと解釈すべきである。したがって、この用語は、天然であろうと、全体的にもしくは部分的に合成されたものであろうと、免疫グロブリン結合ドメインを含む任意のポリペプチドを含めて、抗体断片、誘導体、抗体の機能的等価物および相同体を含む。したがって、免疫グロブリン結合ドメインを含むキメラ分子、または別のポリペプチドに融合した等価物が含まれる。この用語はまた、抗体結合ドメインであるか、または抗体結合ドメインに相同性の結合ドメインを有する任意のポリペプチドまたはタンパク質、例えば抗体模倣物を含む。これらは、天然源由来であってもよいし、部分的または全体的に作製されたものであってもよい。抗体の例としては、免疫グロブリンイソ型およびそれらのイソ型サブクラスのもの;Fab、Fab‘、F(ab’)、scFv、Fv、dAb、Fdなどの抗原結合ドメインを含む断片;およびダイアボディー(diabodies)がある。
【0032】
「化学療法剤」は、癌の治療に有用な化学化合物である。化学療法剤の例としては、チオテパおよびCYTOXAN(登録商標)シクロホスファミドなどのアルキル化剤;ブスルファン、イムプロスルファンおよびピポスルファンなどのアルキルスルホネート類;ベンゾドーパ、カルボクオン、メツレドーパ、およびウレドーパなどのアジリジン類;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミドおよびトリメチロロメラミンなどのエチレンイミン類およびメチラメラミン類;アセトゲニン類(特にブラタシンおよびブラタシノン);カンプトテシン(合成類縁体トポテカンなど);ブリオスタチン;カリスタチン;CC−1065(その合成類縁体アドゼレシン、カルゼレシンおよびビゼレシンなど);クリプトフィシン(特にクリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルミシン(合成類縁体、KW−2189およびCB1−TM1など);エロイテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチイン;スポンジスタチン;クロラムブシル、クロルナファジン、コロホスファミド、エストラムスチン、イフォスファミド、メクロレタミンオキシド、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベムビシン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタードなどのナイトロジェンマスタード類;カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、およびラニムスチンなどのニトロソ尿素類;エンジイン抗生物質などの抗生物質(例えば、カリケアマイシン、特にカリケアマイシンガンマIIおよびカリケアマイシンオメガII(例えば、Agnew, Chem Intl. Ed. Engl., 33: 183-186 (1994)を参照));ダイネマイシンAなどのダイネマイシン;クロドロネートなどのビスホスネート類;エスペラマイシン;ならびにネオカルジノスタチン発色団および関連色素タンパク質エンジイン抗生物質発色団、アクラシノマイシン類、アクチノマイシン、アウスラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ADRIAMYCIN(登録商標)、ドキソルビシン(モルホリノ−ドキソルビシン、シアノモルホリノ−ドキソルビシン、2−ピロリノ−ドキソルビシンおよびデオキシドキソルビシンなど)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシンCなどのマイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、プロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメックス、ジノスタチン、ゾルビシン;メトトレキサートおよび5−フルオロウラシル(5−FU)などの抗代謝物;デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサートなどの葉酸類縁体;フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなどのプリン類縁体;アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフル、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジンなどのピリミジン類縁体;カルステロン、ドロモスタノロンプロピオン酸塩、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなどのアンドロゲン類;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなどの抗アドレナール;フロリン酸などの葉酸補充液;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビスアントレン;エダトラキサート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジコン;エルフォルニチン;エリプチニウム酢酸塩;エポチロン;エトグルシド;ガリウム硝酸塩;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダイニン;メイタンシンおよびアンサマイトシンなどのメイタンシノイド類;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモル;ニトラエリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖類複合体(JHS Natural Products, Eugene, Oreg.);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’、22”−トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン類(特にT−2トキシン、ベラクリンA、ロリジンAおよびアングイジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara−C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド類、例えば、TAXOL(登録商標)パクリタキセル(Bristol-Myers Squibb Oncology, Princeton、N.J.)、ABRAXANE(商標)Cremophor-free、パクリタキセルのアルブミン操作ナノ粒子製剤(American Pharmaceutical Partners, Schaumberg, Illinois)、および TAXOTERE(登録商標)ドキセタキセル(Rhone-Poulenc Rorer、Antony、仏国);クロランブシル;GEMZAR(登録商標)ゲムシタビン;6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;シスプラチンおよびカルボプラチンなどの白金類縁体;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP−16);イフォスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;NAVELBINE(登録商標)ビノレルビン;ノバントロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;キセローダ;イバンドロネート;CPT−11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸などのレチノイド類;カペシタビン;および薬学的に許容できる塩類、酸または上記の任意の誘導体が挙げられる。またこの定義には、ボルテズミブ(Velcade)などのプロテアソーム阻害剤、BCL−2阻害剤、IAPアンタゴニスト(Smac合成物)、HDAC阻害剤(HDACI)およびキナーゼ阻害剤(Sorafenib)が含まれる。
【0033】
またこの定義には、例えば、タモキシフェン(NOLVADEX(登録商標)タモキシフェンなど)ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、およびFARESTON-トレミフェンなどの抗エストロゲンおよび選択的エストロゲン受容体調節剤;例えば、4(5)―イミダゾール、アミノグルテチミド、MEGASE(登録商標)メゲストロールアセテート、AROMASIN(登録商標)エキセメスタン、フォルメスタニー、ファドロゾール、RIVISOR(登録商標)ボロゾール、FEMARA(登録商標)レトロゾール、およびARIMIDEX(登録商標)アナストロゾールなどの副腎におけるエストロゲン産生を調節する酵素、アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害剤;およびフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、おびゴセレリンなどの抗アンドロゲン;ならびにトロキサシタビン(1,3−ジオキソランヌクレオシドシトシン類縁体);アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に、例えば、PKC―アルファ、RalfおよびH―Rasなどの異常な細胞増殖に関係しているシグナル伝達経路における遺伝子の発現を阻害するもの;VEGF発現阻害剤(例えば、ANGIOZYME(登録商標)リボザイム)およびHER2発現阻害剤などのリボザイム;遺伝子療法ワクチンなどのワクチン、例えば、ALLOVECTIN(登録商標)ワクチン、LEUVECTIN(登録商標)ワクチン、およびVAXID(登録商標)ワクチン;PROLEUKIN(登録商標)rIL−2;LURTOTECAN(登録商標)トポイソメラーゼ1阻害剤;ABARELIX(登録商標)rmRH;および上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸または誘導体などの腫瘍に対するホルモン作用を調節または阻害するように作用する抗ホルモン剤が含まれる。
【0034】
本発明の特定の態様
ここで本発明をより詳細にのべると、完全長ヒトマンノース結合タンパク質(MBP)が、配列番号38に開示されている(図1)。MBPの種々の機能的領域もまた図1に記載されている。本明細書に用いられる「マンノース結合レクチン(MBL)ポリペプチド」は、配列番号38のアミノ酸21〜133(配列番号48としても表される)、ならびに表面に記載された機能的変異体およびそれらの断片を意味することとする。融合タンパク質のMBLポリペプチドは、マンノース結合タンパク質(MBP)に結合したセリンプロテアーゼ(MASP)に結合することができ、補体固定を介した免疫応答などのエフェクター機能を開始することができる。
【0035】
一定の実施形態において、MBLポリペプチドは配列番号48を含む。他の実施形態において、MBLポリペプチドは、配列番号38のアミノ酸42〜133を含む。いくつかの実施形態において、MBLポリペプチドは、配列番号38のアミノ酸48〜99を含む。さらに他の実施形態において、MBLポリペプチドは、配列番号38のアミノ酸65〜80(配列番号49としても表される)を含む。さらなる実施形態において、MBLポリペプチドは、以下の一般的配列:
GXYGXYGXOGKYGPYG(配列番号45)
(式中、XおよびYは任意のアミノ酸であり得、Oはヒドロキシプロリン(HyP)である)
を有する配列番号3の変異体を含む。一定の実施形態において、Xは、Leu、Pro、Phe、Ser、His、およびGluから選択される。一定の実施形態において、Yは、Arg、Ser、Hyp、Gln、Leu、Val、Met、Ala、Thr、Lys、グリコシル化Lys(g−Lys)、およびヒドロキシル化Lys(h−Lys)から選択される。
【0036】
さらなる実施形態において、MBLポリペプチド変異体は、配列番号45における上記のもの以外に、配列番号48の領域にアミノ酸置換を含むことができる。本発明のMBLポリペプチド変異体は、MASPに対する結合部位に必要な構造を保持し;したがって、本発明の変異体は、MBLポリペプチドのコラーゲン様ドメインの構造を破壊しない。例えば、参照として本明細書に援用されているWallisら、J.Biol.Chem.、279(14):14065-14073頁(2004年)を参照されたい。したがってMBL変異体は、多くの種にわたる種々のコラーゲン様領域、多量体化領域、および多重コイル領域のコンセンサス配列から誘導することができる。さらに、保存的アミノ酸置換は、種々のMBLポリペプチドの二次構造および三次構造に基づいて行うことができ、ヒドロパシー、電荷、および水素結合の相互作用は全て考慮に入れることができ、MASP結合活性を保持する適切な置換を行うことができる。MBLポリペプチドのMASP結合領域の外側の領域における欠失変異体、挿入変異体、または置換変異体などの変異体を含む実施形態において、50%と低い同一性パーセントであり得る。MASP結合領域内にこのような変異を含む他の実施形態において、変異体は、配列番号38または配列番号48に対して、少なくとも80%同一性であり得る。一定の実施形態において、このような変異体は、配列番号38または配列番号48に対して、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一性である。本発明の融合タンパク質の種々の例において、標的配列を、MBLのK123、K124、W125、およびT127(配列番号38に対するナンバリング)において、MBLにC末端融合させる。
【0037】
本発明の上記の態様の一定の実施形態において、第二のポリペプチドの配列は、特定の細胞型および/または病原体に結合した炭水化物、脂質、および/またはアミノ酸配列などの部分を標的にするように選択することができる。例えば、標的化配列は、例えば、樹状細胞、B細胞、T細胞、および/または腫瘍細胞、またはそれらの組合せなどの細胞に結合した炭水化物、脂質、および/またはタンパク質(例えば、細胞表面受容体または膜貫通輸送タンパク質)を標的にするように選択することができる。同様に、標的化配列は、例えば、ウイルス、真菌、細菌、原生動物、または他の寄生生物、またはそれらの組合せなどの病原体に結合した炭水化物、脂質、および/またはタンパク質(例えば、細胞表面受容体または膜貫通輸送タンパク質)を標的にするように選択することができる。
【0038】
一実施形態において、標的化配列は、腫瘍細胞と結合した炭水化物、脂質、および/またはタンパク質を標的にするように選択することができる。特定の一実施形態において、標的化配列は、非限定的な例であるCA125、CA19−9、CA15−3、D97、gp100、ルイスY、CD20、CD21、TAG−72、EGF受容体、上皮細胞接着分子(Ep−CAM)、癌胎児性抗原(CEA)、前立腺特異的抗原(PSA)、PMSA、CDCP1、CD26、Hepsin、HGF(肝細胞成長因子)、Met、CAIX(G250)、EphhB4(エフリンタイプ−B受容体4)、EGFR1、EGFR2、PDGF、VEGFR、DPP6、syndecan1、IGFBP2(ヒトインスリン様成長因子結合タンパク質2)、CD3、CD28、CTL4、VEGF、Her2/Neu受容体、チロシナーゼ、MAGE1、MAGE3、MART、BAGE、TRP−1、CA50、CA72−4、MUC1、NSE(ニューロン特異的エノラーゼ)、α−フェトタンパク質(AFP)、SSC(扁平上皮細胞癌抗原)、BRCA−1、BRCA−2、グリピカン−3(GPC3)、コロン抗原−1(COA−1)、前立腺1の6つの膜内外上皮抗原(STEAP1)、NY−ESO−1、ポドプラニン、黒色腫過剰発現抗原(meloe),CD200およびhCGなどの腫瘍細胞に結合した少なくとも1つのタンパク質に標的化される。
【0039】
一実施形態において、標的化配列は、樹状細胞に結合した炭水化物、脂質、および/またはタンパク質を標的にするように選択される。本明細書に用いられる「樹状細胞」には、例えば、骨髄またはプラズマ細胞の樹状細胞などの任意の公知の樹状細胞サブタイプが含まれる。特定の一実施形態において、標的化細胞は、非限定的な例であるCD83、CD205、CD197、CCR7およびCD209/DC−SIGNなどの樹状細胞に結合した少なくとも1つのタンパク質に標的化される。
【0040】
一実施形態において、標的化配列は、B細胞に結合した炭水化物、脂質、および/またはタンパク質を標的にするように選択される。一実施形態において、標的化細胞は、非限定的な例であるCD19、CD20、CD21、CD22、CD32、CD79α、CD79β、CD83、CD138、CD139、CD179α、CD179β、およびCD180、TACI、BCMA、およびBR−3などの樹状細胞に結合した少なくとも1つのタンパク質に標的化される。
【0041】
一実施形態において、標的化配列は、T細胞に結合した炭水化物、脂質、および/またはタンパク質を標的にするように選択される。本明細書に用いられる「T細胞」には、例えば、活性化T細胞;調節T細胞(TREG);細胞障害性T細胞(T、CTL);ヘルパーT細胞(エフェクターT細胞またはT;例えば、T1、T2、T3、T17、TF);メモリーT細胞;(TCM、TEM):ナチュラルキラーT細胞(NKT);ガンマデルタT細胞(γδT細胞)などの任意のタイプのT細胞サブタイプが含まれる。特定の一実施形態において、標的化配列は、非限定的な例であるCD3、CD4、CD8、CCR7、CD153、CD154、CD137、CD134、CD25、CD28、CD129、CD200、CD217、α−TCR、およびβ−TCRなどのT細胞に結合した少なくとも1つのタンパク質に標的化される。
【0042】
一実施形態において、標的化配列は、少なくとも1つの病原体(細菌、原生動物、寄生生物、ウイルスなど)に結合した炭水化物、脂質、および/またはタンパク質を標的にするように選択される。特定の一実施形態において、標的化配列は、非限定的な例である呼吸器合胞体ウイルス(RSV)タンパク質(例えば、RSV F糖タンパク質、RSV G 糖タンパク質など);ヒトパラインフルエンザウイルス1〜4;ヒトメタニューモウイルス、ヘンドラウイルス、ならびにニッパウイルス、およびインフルエンザ群A、BまたはCウイルスタンパク質などのオルソミクソウイルス科、例えば、インフルエンザウイルスニューラミミダーゼおよびインフルエンザウイルスヘマッグルチニン;単純ヘルペスウイルスタンパク質などのヘルペスウイルス科、例えば、gB、gC、gD、またはgEタンパク質、またはgB、gC、gD、およびgEの相同体を含む単純ヘルペスウイルス1または2の糖タンパク質、またはサイトメガロウイルス、エプスタイン・バーウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、およびヒトヘルペスウイルス6、7または8、またはサルBウイルス(オナガザルヘルペスウイルス1)からの他のタンパク質のなどの病原体に結合した少なくとも1つのタンパク質に標的化されている。またタンパク質には、限定はしないが、ヒト免疫不全ウイルス1型および2型(HIV1およびHIV2)などのレトロウイルスからのタンパク質およびヒトTリンパ球増殖性ウイルス1〜4(HTLV−1〜4)外膜および他のタンパク質、ならびにベータレトロウイルスおよびスプマウイルスからのタンパク質が含まれる。タンパク質はまた、風疹からのカプシドタンパク質などのタンパク質またはアルファウイルス、例えば、ベネズエラウマ脳脊髄炎ウイルス、東部ウマ脳脊髄炎ウイルス、および西部ウマ脳脊髄炎ウイルスおよびセムリキ森林ウイルス複合体などのトガウイルスからのものであり得る。タンパク質にはまた、限定はしないが、アデノウイルス(例えばヒトアデノウイルスA〜F、および他の多肢にわたるヒトアデノウイルス)、ポックスウイルス、例えば天然痘(痘瘡)、ワクシニア、牛痘、サル痘、伝染性軟属腫、タナ痘、ヤバ痘、ヤバサル腫瘍ウイルス、オルフウイルス、偽牛痘、およびウシ丘疹口内炎ウイルスからのタンパク質が含まれる。タンパク質にはまた、限定はしないが、B19ウイルス、アデノ関連ウイルス、およびヒトボカウイルスなどのパルボウイルスからのタンパク質が含まれる。タンパク質にはまた、限定はしないが、多数の種々のヒトパピロマウイルスからのタンパク質などのパピロマウイルスからのタンパク質が含まれる。タンパク質にはまた、限定はしないが、JCウイルス、BKウイルス、KIウイルス、WUウイルスおよびメルケル細胞ポリオーマウイルスなどのポリオーマウイルスからのタンパク質が含まれる。このようなタンパク質にはまた、限定はしないが、ロタウイルス、オルトレオウイルス、およびコルチウイルスなどのレオウイルス科;ヘパドナウイルス科(例えば、B型肝炎ウイルス);エンテロウイルス、エコウイルス、パレコウイルス、コクサッキーA群およびB群ウイルス、ポリオウイルス、A型肝炎ウイルス、カルジオウイルス、およびリノウイルスなどのピコルナウイルス科、C型肝炎ウイルスおよびテング熱ウイルス、黄熱病ウイルス、日本脳炎ウイルス、キャサヌール森林病ウイルス、マリーバレー脳炎ウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、およびダニ媒介脳炎ウイルスなどのフラビウイルス科、ヒトコロナウイルス、ヒトトロウイルス、およびSARSコロナウイルスタンパク質などのコロナウイルス科、ならびに限定はしないが、コロナウイルス科からのSおよびMタンパク質、クリミア-コンゴ出血熱ウイルス、カリフォルニア脳炎ウイルス、ラクロスウイルス、リフトバレー熱ウイルス、および多数のヒト伝染性ハンタウイルスなどのバンヤウイルス科、ボルナ病ウイルスなどのボルナウイルス科、狂犬病ウイルスなどのラブドーウイルス科、エボラウイルスおよびマルブルグウイルスなどのフィロウイルス科、ノロウイルス(例えば、ノーウォークウイルス)、サポウイルス(例えば、サッポロウイルス)、および他のカリチウイルスなどのカリチウイルス科、ヒトアストロウイルスなどのアストロウイルス科、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、ラッサ熱ウイルス、アルボウイルス、マチュポウイルス、グアナリトウイルス、サビアウイルス、タカリベウイルス、フレキサルウイルス、および白水アロヨウイルスなどのアレナウイルス科、E型肝炎ウイルスなどのヘペウイルス科、およびデルタ型肝炎ウイルスなどのデルタ型ウイルスのゲノム由来の表面タンパク質からのタンパク質が含まれる。
【0043】
細菌の表面タンパク質としてはまた、限定はしないが、アナプラスマ(Anaplasma)属(アナプラスマ・ファゴサイトフィラム(Anaplasma phagocytophilum)など)、エーリキア(Ehrlichia) 属 (イー・チャッフィンシス(E. chaffeensis)およびイー・エルウィンギ(E. erwingii)など)、リケッチア(Rickettsia)属 (アール・プロワゼキ(R. prowazekii)、アール・チフィ(R. typhi)、およびアール・リケッチ (R. rickettsii)など)、 バルトネラ(Bartonella)属 (ビー・ヘンセラ(B. henselae)など)、およびブルセラ属(Brucella)のものなど、種々の種のアルファプロテオバクテリア、バークホールデリア(Burkholderia)属 (ビー・セパシア(B. cepacia)およびビー・プソイドマレイ(B. pseudomallei)など)、ボーデテラ(Bordetella)属 (ビー・ペルツシス(B. pertussis)など)、およびネイセリア(Neisseria)属(エヌ・ゴノローエア(N. gonorrhoeae)およびエヌ・メニンギチデス(N. meningitides)など)のものなどのベータプロテオバクテリア、フランシセラ(Francisella)属(エフ・ツラレンシス(F. tularensis)など)、レギオネラ(Legionella)属(エル・ニューモフィラ(L. pneumophila)など)、コクシェラ(Coxiella)属(シー・ブルネチ(C. burnetii)など)、アシネトバクター(Acinetobacter)属(エイ・バウマンニ(A. baumannii)など)、モラキセラ(Moraxella)属(エム・ラクナタ(M. lacunata)など)、シュードモナス(Pseudomonas)属(ピー・アエルギノーサ(P. aeruginosa)およびピー・オリジハビタンス(P. oryzihabitans)など)、プロビデンシア(Providencia)属(ピー・スツアルチ(P. stuartii)など)、ビブリオ(Vibrio)属(ヴィー・コレラエ(V. cholerae)、ヴィー・バルニフィカス(V. vulnificus)、およびヴィー・パラハエモリチカス(V. parahaemolyticus)など)、シトロバクター(Citrobacter)属、エンテロバクター(Enterobacter)属(イー・クロアカエ(E. cloacae)およびイー・アエロゲネス(E. aerogenes)など)、エシェリキア(Escherichia)属(大腸菌(E. coli) O157:H7など)、クレブシエラ(Klebsiella)属(ケイ・ニューモニア(K. pneumoniae)など)、プロテウス(Proteus)属(ピー・バルガリス(P. vulgaris)、ピー・ミラビリス(P. mirabilis)、およびピー・ペンネリ(P. penneri)など)、サルモネラ(Salmonella)属(エス・エンテリカセロバリス・チフィムリウム(S. enterica serovars Typhimurium)、エンテリチチジス(Enterititidis)、およびチフィ(Typhi)など)、セラチア(Serratia)属(エス・マルセセンス(S. marcescens)など)、シゲラ(Shigella)属(エス・フレクスネリ(S. flexneri)、エス・ジセンテリア(S. dysenteriae)、およびエス・ソンネイ(S. sonnei)など)、エルシニア(Yersinia)属(ワイ・ペスチス(Y. pestis)など)、ヘモフィリス(Haemophilus)属(エイチ・インフルエンザ(H. influenzae)およびエイチ・デュクレイ(H. ducreyi)など)、およびパステウレラ(Pasteurella)属(ピー・マルトシダ(P. multocida)など)のものなどのガンマプロテオバクテリア、カンピロバクター(Campylobacter) 属 (シー・ジェジュニ(C. jejuni)、シー・コリ(C. coli)、およびシー・フェタス(C. fetus)など) およびヘリコバクター(Helicobacter)属 (エイチ・ピロリ(H. pylori) など)のものなどのイプシロンプロテオバクテリア、クロストリジウム(Clostridium)属(シー・ジフィシル(C. difficile)、シー・ペルフリンゲンス(C. perfringens)、シー・ボツリナム(C. botulinum)、シー・ソルデリ(C. sordellii)、およびシー・テタニ(C. tetani)など)、マイコプラズマ(Mycoplasma)属(エム・ニューモニア(M. pneumoniae)など)、バシラス(Bacillus)属(ビー・アントラシス(B. anthracis)およびビー・セレウス(B. cereus)など)、リステリア(Listeria)属(エル・モノサイトゲネス(L. monocytogenes)など)、スタフィロコッカス(Staphylococcus)属(エス・オウレウス(S. aureus)、エス・サプロフィチカス(S. saprophyticus)、およびエス・エピデルミス(S. epidermis)など)、エンテロコッカス(Enterococcus)属(イー・フェイカリス(E. faecalis)およびイー・フェイシウム(E. faecium)など)、およびストレプトコッカス(Streptococcus)属(エス・ピオゲネス(S. pyogenes)、エス・ニューモニア(S. pneumoniae)、エス・アガラクチアエ(S. agalactiae)、エス・ミュータンス(S. mutans)、エス・ビリダンス(S. viridans)、およびエス・ジスガラクチアエ(S. dysgalactiae)など) のものなどのフィルミクテス、アクチノミセス(Actinomyces)属(エイ・イスラエリ(A. israelii)など)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属(シー・ジフテリア(C. diphtheriae)、シー・アミコラタム(C. amycolatum)、およびシー・パルバム(C. parvum)など)、ガルドネレラ(Gardnerella)属(ジー・バギナリス(G. vaginalis)など)、マイコバクテリウム(Mycobacterium)属(エム・ツベルクローシス(M. tuberculosis)、エム・レプラエ(M. leprae)、エム・アブセサス(M. abscessus)、およびエム・アビウム(M. avium)複合体など)、およびノカルジア(Nocardia)属(エヌ・アステロイデス(N. asteroides)など) のものなどのアクチノバクテリア、 クラミジア(Chlamydia)属(シー・トラコマチス(C. trachomatis)など) およびクラミドフィラ(Chlamydophila)属(シー・プシッタシ(C. psittaci)およびシー・ニューモニア(C. pneumoniae)など) のものなどのクラミジア、ボレリア(Borrelia)属(ビー・ブルグドルフェリ(B. burgdorferi)など)、レプトスピラ(Leptospira)属 (エル・インテロガンス(L. interrogans)など)、およびトレポネマ(Treponema)属(ティー・パリダム(T. pallidum)など) のものなどのスピロカエテス、バクテリロイデス(Bacteroides)属およびプレボテラ(Prevotella)属のものなどのバクテロイデス、およびフソバクテリウム(Fusobacterium)属のものなどのフソバクテリア、 に見られるものが挙げられる。
【0044】
寄生虫の表面タンパク質としては、限定はしないが、アスペルギルスフミガーツス (Aspergillus fumigatus)、エイ・フラブス(A. flavus)、エイ・テレウス(A. terreus)、エイ・ニヅランス(A. nidulans)、エイ・ニガー(A. niger)、ブラストミセス・デルマチジス(Blastomyces dermatidis)、カンジダ(Candida spp.)、コッキジオイデス(Coccidioides spp.)、 クリプトコッカスネオホルマンス(Cryptococcus neoformans)、シー・ガッチ(C. gatti)、ブラキオラアルゲラエ(Brachiola algerae)、ビー・コンノリ(B. connori)、ビー・ベシクラルム(B. vesicularum)、エンセファリトズーン・クニクリ(Encephalitozoon cuniculi)、イー・ヘレム(E. hellem)、イー・インテスチナリス(E. intestinalis)、エンテロシトズーン・ビエネウシ(Enterocytozoon bieneusi)、ミクロスポリジウム・セイロネンシス(Microsporidium ceylonensis)、エム・アフリカナム(M. africanum)、ノセマ・オクラルム(Nosema ocularum)、プレイストフォーラ(Pleistophora spp.)、トラキプレイストフォーラ・ホミニス(Trachipleistophora hominis)、ティー・アントロポフテラ(T. anthropophthera)、ビッタフォルマ・コルネア(Vittaforma corneae)、およびミューモシスチス・ジロベシ(Pneumocystis jirovecii) (ピー・カリニ(P. carinii)として公式に分類された) などの真菌種の種々のライフステージ(スポア、菌糸、発芽、酵母)、およびバベシア・ミクロチ (Babesia microti)、ビー・ジベルゲンス(B. divergens)、クリプトスポリヂウム・パルブム(Cryptosporidium parvum)、シー・ホミニス(C. hominis)、シー・フェリス(C. felis)、シー・カニス(C. canis)、シー・ムリス(C. muris)、シー・メレアグリジス(C. meleagridis)、シクロスポーラ・ケイエタネンシス(Cyclospora cayetanensis)、イソスポーラ・ベリ(Isospora belli)、プラスモジウム・ファルシパルム(Plasmodium falciparum)、ピー・マラリア(P. malariae)、ピー・オバレ(P. ovale)、ピー・ビバックス(P. vivax)、およびトキソプラズマ・ゴンジ(Toxoplasma gondii)、ならびにバランチジウム・コリ (Balantidium coli)などのシリオフォラン原生動物種などのアピコンプレキサン原生動物種の種々のライフステージ、
およびレイシュマニア・チャガシ (Leishmania chagasi)、エル・ドノバニ(L. donovani)、エル・インファンツム(L. infantum)、エル・メキシカーナ(L. mexicana)、エル・アマゾネンシス(L. amazonensis)、エル・ヴェネズエレンシス(L. venezuelensis)、エル・トロピカ(L. tropica)、エル・メジャー(L. major)、エル・アエチピカ(L. aethiopica)、エル・スブゲヌス・ビアンニア・ブラジリエンシス(L. (subgenus Viannia) braziliensis)、エル・(ヴィ)グヤネンシス(L. (V.) guyanensis)、エル・(ヴィ) パナメンシス(L. (V.) panamensis)およびエル・(ヴィ) ペルビアーナ(L. (V.) peruviana)、トリパノソーマ・クルジ(Trypanosoma cruzi)、ティー・ブルセリローデシエンス(T. brucei rhodesiense)およびティー・ブルセイガンビエンス(T. brucei gambiense)などのオイグレノゾーンス、ならびにアカントメーバ(Acanthamoeba spp.)、バラムチア・マンドリラリス(Balamuthia mandrillaris)、およびエンタモエバ・ヒストリチカ(Entamoeba histolytica) などのアモエボゾーンス種、およびランブル鞭毛虫(Giardia lamblia)などのディプロモナド(diplomonads)の種、二核アメーバ(Dientamoeba fragilis)および膣トリコモナス(Trichomonas vaginalis)などのトリコモナドの種、ネグレリア・フォウレリ(Naegleria fowleri)などの原生生物、ブラストシスティス・ホモニス(Blastocystis hominis)などのストラメノピレス(stramenopiles)の種、広東住血線虫(Angiostrongylus cantonensis)、エイ・コスタリセンシス(A. costaricensis )、アニサキス・シンプレックス(Anisakis simplex)、プソイドテラノバ・デシピエンス(Pseudoterranova decipiens)、アスカリス・ルンブリコイデス( Ascaris lumbricoides )、アスカリス・エスピーピー(Ascaris spp.)、バイリスアスカリス・プロコニス(Baylisascaris proconyis)、フィリピン毛頭虫(Capillaria phillipinensis)、肝毛頭虫(C. hepatica )、シー・エーロフィラ(C. aerophila)、メジナ虫(Dracunculus medicinensis)、マレー糸状虫(Brugia malayi)、ビー・チモリ(B. timori)、イヌ糸状虫・エスピーピー(Dirofilaria spp)、ロア糸状虫(Loa loa)、マンソネラ・オザルディ(Mansonella ozzardi)、エム・ペルスタンス(M. perstans)、エム・ストレプトセルカ(M. streptocerca)、ブケリア・バンクロフティ(Wucheria bancrofti)、エンテロビウス・ウェルミキュラリス(Enterobius vermicularis)、イー・グレゴリー(E. gregorii)、有棘顎口虫(Gnathostoma spinigerum)、ジー・ヒピデュム(G. hipidum)、アンシクロストーマ・デュオデナレ(Ancylostoma duodenale)、セイロン鉤虫(A. ceylanicum)、ブラジル鉤虫(A braziliense)、イヌ鉤虫(A. caninum)、ウンシナリア・ステノセファラ(Uncinaria stenocephala)、アメリカ鉤虫(Necator americanus)、回旋糸状虫(Onchocerca volvulus)、糞線虫(Strongyloides stercoralis)、エス・フエレボルニ(S. fuelleborni)、トキソカラ・カニス(Toxocara canis)、ティー・カティ(T. cati)、旋毛虫(Trichinella spiralis)、ティー・プソイドスピラリス(T. pseudospiralis)、ティー・ナティバ(T. nativa)、ティー・ネルソニ(T. nelsoni)、ティー・ブリトヴィ(T. britovi)、およびトリクリス・トリキウラ(Trichuris trichiura)などの線虫種の種々のライフステージ、肝ジストマ(Clonorchis sinensis)、広節裂頭条虫(Diphyllobothrium latum)、ディー・パシフィクム(D. pacificum)、ディー・クロダトュム(D. crodatum)、ディー・ウルシ(D. ursi)、ディー・デンドリティクム(D. dendriticum)、ディー・ランセオラトゥム(D. lanceolatum)、ディー・ダリエ(D. dalliae)、ヨナゴエンシス(D. yonagoensis)、ウリザネ条虫(Dipylidium caninum)、多包条虫(Echinococcus multilocularis)、肝蛭(Fasciola hepatica)、エフ・ギガントゥス(F. gigantus)、ファシオロプシス・ブスキ(Faciolopsis buski)、異形吸虫(Heterophyes heterophyes)、ヒメノレプシス・ナナ(Hymenolepis nana)、横川吸虫(Metagonimus yokogawai)、ネコ肝吸虫(Opisthorchis viverrini)、ネコ肝吸虫(O. felineus)、ヴェステルマン肺吸虫(Paragonimus westermani)、エスピーピー・肺吸虫(Paragonimus spp)、マンソン住血吸虫(Schistosoma mansoni)、 エジプト住血吸虫(S. haematobium)、日本住血吸虫(S. japonicum)、エス・メコンギ(S. mekongi)、ビルハルツ住血吸虫(S. intercalatum)、ならびに有鉤条虫(Taenia solium)およびエスピーピー・テニア(Taenia spp)などの扁形動物の種の種々のライフステージに見られるものが挙げられる。
【0045】
標的化配列は、標的部分の上記の非限定的例のいずれかに対して結合親和性を有する任意の配列を含むことができる。標的化配列のいくつかの非限定的例としては、レクチンドメイン(例えば、C型レクチンドメイン(CTLD))、抗体配列およびそれらの抗原結合断片(例えば、scFv、Fab’、Fab’など)、または特定の炭水化物、脂質、および/またはタンパク質に対して結合親和性を示す他の代替スカフォード構造が挙げられる。
【0046】
一定の実施形態において、本発明の融合タンパク質は、C型レクチンドメイン(CTLD)の結合特性およびMBLの補体固定特性を利用する。カルシウム依存性レクチン(C型レクチン)は、マクロファージ、Bリンパ球ならびにTリンパ球、肥満細胞、およびナチュラルキラー(NK)細胞などの多数の細胞型に発現する。マクロファージレクチンタンパク質は、外来細胞および病原体の認識および破壊に種々の機能を果たす。グラム陽性菌およびグラム陰性菌は、C型レクチンと相互作用することが示されている[Athamnaら、Infect Immun.59:1673(1991);Shimaokaら、J.Immunol.166(8):5108頁(2001年)]。ヒトマクロファージC型レクチンは、よく知られたヒト癌関連エピトープであるTn Agを認識することが分かっている[Suzkiら、J.Immunol 156:128頁(1996年)]。さらに、マウスマクロファージC型レクチンの組換え細胞基質炭水化物結合ドメインもまた、細胞障害活性の阻害剤として働き、レクチンはマクロファージ殺腫瘍性応答の直接的な伝達物質であることを示している[Imaiら、J Immunol Methods 171:23頁(1994年)]。ユニークなマクロファージレクチンは、一定の異常細胞または疾患細胞によって発現された表面抗原と特異的に相互作用し得る。レクチンはマクロファージを異常細胞または疾患細胞に対して方向付けることができる。C型レクチンはそれらの炭水化物認識ドメイン(CRD)におけるアミノ酸配列類似性を示し、カルシウム依存性様式で選択された炭水化物に結合する糖タンパク質である。C型レクチンは4つの一般的なカテゴリーに分類できる[Vastaら、Ann N Y Acad Sci.、712:55-73頁(1994年);Spiess、Biochemistry、29:10009-10018頁(1990年)]。第1のカテゴリーは、アシアロ糖タンパク質受容体、マクロファージガラクトースおよびN−アセチルグルコサミン(GlcNac)特異的レクチン、およびCD23(Fc−εRII)などのII型膜組込みタンパク質を含む。この群の多くのメンバーがガラクトース/フコース残基、ガラクトサミン/GalNac残基またはGlcNac残基に対して特異性を示す。第2のカテゴリーは、軟骨および線維芽プロテオグリカンコアタンパク質を含む。第3のカテゴリーは、MBPなどのコレクチン類、肺表面活性タンパク質SP−A、およびコングルチニンを含む。第4の群は、LEC−CAMs(例えば、Mel−14、GMP−140、およびELAM−1)として知られている一定の接着分子を含む。
【0047】
C型レクチンは、アグルチニン、オプソニン、補体アクチベーター、および細胞結合認識分子として機能することが知られている[Vastaら、Ann N Y Acad Sci.、712:55-73頁、1994年;Spiess、Biochemistry、29:10009-10018頁、1990年;Kery、Int J Biochem.、23(7-8):631-40頁、1991年]。例えば、マクロファージマンノース受容体は、スカベンジャー機能を果たす(Shepherdら、Am J Respir Cell Mol Biol.、2(4):335-40頁、1990年)と共に、ニューモシスティスカリニ(Pneumocystis carinii)[Ezekowitzら、Nature、351(6322):155-8頁、1991年]およびカンジダアルビカンス(Candida albicans)(Ezekowitzら、J Exp Med.、172(6):1785-94頁、(1990年)などの病原体生物の取込みを媒介する。したがって、C型レクチンは、生物学的に重要な多様な機能を示し、特定の細胞型および病原体などの特定の標的部分に対して望ましい結合特性を有する。
【0048】
任意のタイプの機能的CTLDを本発明の融合タンパク質における第2のポリペプチドとして使用することができる。一実施形態において、標的化配列は、例えばルイス抗原などの腫瘍細胞の表面上の部分を標的にする配列を含む。さらなる実施形態において、標的化配列は、ルイス抗原に結合するDC−Sign(樹状細胞特異的ICAM−3グラビング非インテグリン)、またはその機能的断片または変異体を含む。
【0049】
一態様において、本発明は、MBLの融合タンパク質、標的化配列およびテトラネクチン三量体化ドメインに関する。本発明により、標的化配列は、テトラネクチン三量体化ドメインのN末端またはC末端のアミノ酸残基に結合することができる。種々の実施形態において、標的化配列がN末端またはC末端に結合し、エフェクター機能を有するMBLポリペプチドが他方の末端に結合する。
【0050】
ペプチド結合を介して末端に結合する他に、非相同的標的化配列は、他の技法によりMBL複合体に結合する。例えば、側鎖に対するペプチド結合を介して、またはシステイン残基に対する結合を介してである。しかしながら、ポリペプチド鎖に対する非相同的材料を共有結合させる任意の方法が有用である。当業者は、例えば、これに関して、参照として本明細書に援用してある国際公開第95/31540号パンフレットの教示を参考にすることにより、このような可能性を知るであろう。
【0051】
別の態様において、本発明は、マンノース結合レクチン(MBL)ポリペプチドを含み、エフェクター機能を有する第一のポリペプチド、ならびに標的部分に結合する配列を含む第二のポリペプチドを含む融合タンパク質を、哺乳動物に投与することを含む哺乳動物の補体系を活性化する方法を提供する。
【0052】
一態様において、本発明は、マンノース結合レクチン(MBL)ポリペプチドを含み、エフェクター機能を有する第一のポリペプチド、ならびに標的部分に結合する配列を含む第二のポリペプチドを含む融合タンパク質および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0053】
一態様において、本発明は、マンノース結合レクチン(MBL)ポリペプチドを含み、エフェクター機能を有する第一のポリペプチド、ならびに病原体の細胞表面受容体である標的部分に結合する配列を含む第二のポリペプチドを含む融合タンパク質またはその医薬組成物を、病原性疾患に罹っている患者に投与することを含む、病原性疾患を治療する方法を提供する。
【0054】
一態様において、本発明は、マンノース結合レクチン(MBL)ポリペプチドを含み、エフェクター機能を有する第一のポリペプチド、ならびに腫瘍細胞の表面上の受容体である標的部分に結合する配列を含む第二のポリペプチドを含む融合タンパク質またはその医薬組成物を、腫瘍細胞を含む増殖性疾患の治療を必要とする患者に投与することを含む、腫瘍細胞を含む増殖性疾患を治療する方法を提供する。一実施形態において、腫瘍細胞の表面上の受容体はルイス抗原を含む。さらなる実施形態において、第二のポリペプチドは、ルイス抗原に結合するDC−Sign(樹状細胞特異的ICAM−3グラビング非インテグリン)、またはその機能的断片または変異体を含む。
【0055】
コンセプトの実証として、本発明の非限定的な実施形態を実施例において詳細に記載してあるが、ここで標的化配列は、C型レクチンファミリーに属するII型膜貫通タンパク質であるDC−Signを含む。このタンパク質は、末梢の樹状細胞(DC)の表面上に発現し、T細胞上のICAM−3を介して、抗原提示細胞とリンパ系における静止T細胞との間の一次的接触に関与する。DC−Signはまた、リンパ組織へのDCの移動の間、上皮細胞上のICAM−2と相互作用する。DC−Signはまた、HIVのエンベロープタンパク質gp120に強く結合し、CD4+T細胞のトランスでのウイルス感染を促進する。DC−Signタンパク質は、短いアミノ末端細胞質尾部、膜貫通ドメイン、7反復までの幹状部、引き続きC末端C型炭水化物認識ドメイン(CRD)からなる。幹状部は四量体(多重コイル)の形成を促進する。
【0056】
血液型関連ルイス腫瘍抗原(例えば、LeおよびLe)は、上皮起源のヒト癌の大多数に発現する。ルイス抗原は、複合オリゴ糖であり、双方とも細胞膜に埋め込まれ、細胞表面タンパク質(例えば、HER1、HER2およびCEA)に結合した糖脂質として見られ、正常な組織上での発現は限られている。ルイス抗原は、樹状細胞接着および腫瘍細胞浸潤を媒介することが示されている。ルイスYは、樹状細胞上のDC−SIGN受容体と相互作用し、免疫抑制の促進により免疫監視を免れる。したがって、ルイス抗原は、本発明の融合タンパク質を含む第二のポリペプチドに関する標的部分の非限定的例を提供する。ペプチドならびにヒトMBLのペプチドをコードする対応するC−DNA配列はそれぞれ、図1および配列リストに示されている。
【0057】
一定の実施形態において、本発明は、一定のルイス抗原に結合するDC−SIGNの能力と補体系を活性化するMBPの能力とをユニークに組み合わせる融合タンパク質として、MBLポリペプチドとDC−SIGNとの組合せを提供する。さらに、MBPネック領域とDC−SIGN四量体化ドメイン(双方ともらせん状コイル−コイル構造)との慎重な比較により、同様な構造を有する領域であることが確認された。らせん周期を保存することにより、多数の異なる非限定的MBP/DC−SIGN融合タンパク質が設計され、下記の実施例に記載されている。
【0058】
本発明のMBP/DC−SIGN融合タンパク質は、結合活性獲得を劇的に高める高次の多量体化(すなわち、多数の受容体を発現している細胞に対する結合強度を高める)を有し、これによって、癌細胞を特異的に標的にしている治療的分子の効果が高まり、副作用の危険性が減少する。一実施形態において、この融合タンパク質はまた、癌細胞と樹状細胞との間の相互作用(この相互作用により免疫監視から免れることになる)をブロックでき、ルイス抗原媒介接着および腫瘍細胞浸潤をブロックできる。さらなる一実施形態において、本発明の融合タンパク質は、補体活性化および/または単球と好中球による取込みにより標的細胞の死滅を媒介する利点を有し得る。
【0059】
本発明はまた、MBP/DC−Sign CTLD−ABs(配列番号2)、MBP/DC−Sign CTLD−ACs(配列番号4)、MBP/DC−Sign CTLD−ADs(配列番号6)、MBP/DC−Sign CTLD−ABsC(配列番号8)、MBP/DC−Sign CTLD−ACsC(配列番号10)、MBP/DC−Sign CTLD−ADsC(配列番号12)、MBP/DC−Sign CTLD−FE(配列番号14)、MBP/DC−Sign CTLD−GE(配列番号16)およびMBP/DC−Sign CTLD−HE(配列番号18)、MBP/DC−Sign CTLD−ACsCSG(配列番号20)、MBP/DC−Sign CTLD−ACsCSGGS(配列番号22)、およびMBP/DC−Sign CTLD−ACsCSGGGS(配列番号24)、MBP/DC−Sign CTLD−ABs0(配列番号26)およびMBP/DC−Sign CTLD−ABsC0(配列番号28)から選択される融合タンパク質など、MBP/DC−SIGN融合タンパク質を提供する。
【0060】
一定の実施形態において、本発明の融合タンパク質はさらに、第三のポリペプチド、すなわち、第三の融合パートナーに結合させることができる。このような第三の融合パートナーを、本発明のMBP/DC−SIGN融合タンパク質に加えることによって、高収率のMBP/DC−SIGN融合タンパク質を得ることができると考えられる。本発明による第三の融合パートナーは、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド、ペンタペプチドおよびヘキサペプチドなど、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質であるという条件で任意の好適な種類であり得る。一定の実施形態において、第三の融合パートナーは、単一のアミノ酸であり得る。また、この融合タンパク質を、タンパク質分解による劣化に対してより抵抗性にし、融合タンパク質の発現および分泌の増強を促進し、溶解性を改善し、および/または引き続く融合タンパク質のアフィニティー精製を可能にするように第三の融合パートナーを選択することができる。
【0061】
一定の実施形態において、本発明の融合タンパク質とユビキチンなどの第三の融合パートナーとの間の接合領域は、ヒトグランザイムB(E.C.3.4.21.79)などのグランザイムBプロテアーゼ開裂を含む。融合タンパク質の開裂剤としてのグランザイムBの使用に関するより詳細な情報は、各々が参照として本明細書に援用されている米国特許出願公開第2006/0199251号明細書または国際公開第2004/094478号パンフレットに見ることができる。
【0062】
さらなる実施形態において、第三の融合パートナーを、アフィニティータグに結合させることができるか、またはそれ自体がアフィニティータグとなり得る。このようなアフィニティータグは、アフィニティー樹脂上で融合タンパク質の精製を可能にするアフィニティードメインを含むことができる。アフィニティータグは、ヘキサヒス−タグを含むポリヒスチジン−タグ、ポリアルギニン−タグ、FLAG−タグ、Strep−タグ、c−myc−タグ、S−タグ、カルモジュリン結合ペプチド、セルロース結合ペプチド、キチン結合ドメイン、グルタチオンS−トランスフェラーゼ−タグ、もしくはマルトース結合タンパク質、または当業者に知られている任意の他のアフィニティータグであり得る。
【0063】
さらなる実施形態において、第三の融合パートナーは、融合タンパク質の半減期を増加させる(延長させる)ことによって融合タンパク質を安定にする分子を含むことができる。タンパク質などの生体分子の半減期を延長し得る分子は、当業者により知られており、例えば、BSA結合ペプチド、種々のポリオール類(例えばPEG類)、IgG結合ペプチドまたはFcRnもしくはFc抗体断片に結合するペプチドが挙げられる。
【0064】
一定の実施形態において、本発明の方法は、例えば、上記のアフィニティータグシステムの使用により固定化された融合タンパク質の酵素的開裂によって形成される本発明のMBP/DC−SIGN融合タンパク質を単離するための単離ステップを含むことができる。この単離ステップは、イオン交換およびサイズによる分画の使用など、タンパク質単離のため当業界に知られている任意の好適な手段により実施することができ、その選択は融合タンパク質の性質に依る。一実施形態において、第三の融合パートナーと、MBLポリペプチドならびにDC−SIGNポリペプチドを含む領域との間の領域を、ヒトセリンプロテアーゼグランザイムBと接触させてグランザイムBプロテアーゼ開裂部位において融合タンパク質を開裂し、本発明の融合タンパク質を得る。
【0065】
さらに本発明は、本発明のMBP/DC−SIGN融合タンパク質をコードする単離核酸を提供する。核酸にはDNAおよびRNAが含まれる。より具体的には、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25および配列番号27からなる群から選択されるヌクレオチド配列など、本発明によるMBP/DC−SIGN融合タンパク質をコードする単離核酸が提供される。
【0066】
本発明はまた、プラスミド、ベクター、上記の少なくとも1種の核酸を含む転写カセットまたは発現カセットの形態で核酸構築体を提供する。プロモーター配列、ターミネーター配列、ポリアデニル化配列、エンハンサー配列、マーカー遺伝子および他の適切な配列など、適切な制御配列を含有する好適なベクターを選択できるか、または構築することができる。ベクターは、適宜プラスミド、ウイルス例えばファージ、またはファージミドであり得る。さらなる詳細に関しては、例えば、Molecular Cloning: a Laboratory Manual: 第二版、Sambrookら、1989年、Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照されたい。
【0067】
本発明はまた、上記の1つまたは複数の構築体を含む組換え宿主細胞を提供する。好適な宿主細胞としては、細菌系、哺乳動物細胞系、酵母系およびバキュロウイルス系が挙げられる。異種ポリペプチドの発現に関して当業界に利用できる哺乳動物の細胞系としては、チャイニーズハムスターの卵巣細胞、HeLa細胞、ベビーハムスターの腎細胞、NSOマウスの黒色腫細胞、および他の多くのものが挙げられる。一実施形態において、宿主細胞はHEK293細胞である。
【0068】
本発明のポリペプチド類の治療適用は、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、胃癌、肺癌、肝臓癌、骨髄癌および上皮癌などの癌疾患の治療のためのMBP/DC−SIGN融合タンパク質の使用を含む。
【0069】
HER2(Erb B2)に選択的に結合するHERCEPTIN(登録商標)(トラスツズマブ)は、癌細胞上のルイス抗原によりグリコシル化されたHER2を過剰発現する腫瘍のうち、乳癌の治療に承認されている。HER2上のルイス抗原の標的化は、HERCEPTIN(登録商標)の結合を妨害しないため、本発明の融合タンパク質とHERCEPTIN(登録商標)との組合せは、相乗的治療効果を有することが期待される。他の治療剤としては、リツキシマブなどのモノクローナル抗体、VEGFまたはEGFR標的化剤、キナーゼ阻害剤、免疫刺激薬、および癌ワクチンが挙げられる。
【0070】
化学療法薬は通常、5−フルオロウラシル、マイトマイシン−C、オキサリプラチンおよびラルチトレキセドなど、大腸癌の治療に用いられる。このような化合物は、ルイスY発現を増強すると報告されていることは、本発明の融合タンパク質によるルイス抗原の標的化が、一連の化学療法剤と相乗的に作用し得ることを示している。
【0071】
したがって、MBP/DC−SIGN融合タンパク質の投与は、HERCEPTIN(登録商標)、ならびにラルチトレキセド、ドキソルビシン、タキソール、5−フルオロウラシル、イリノテカンならびにシスプラチン、マイトマイシン−Cおよびオキサリプラチンのなどの化学療法剤など、少なくとも1つのさらなる治療剤の投与を含むことができる。
【0072】
治療方法
本発明の別の態様は、免疫細胞、病原細胞、腫瘍細胞またはウイルス感染細胞に関連した疾患を治療する方法に関する。この方法は、細胞と本発明の融合タンパク質とを接触させることを含む。
【0073】
本発明の別の態様は、併用療法に関する。融合タンパク質と治療剤とを含む製剤もまた、本発明によって提供される。このような製剤は、貯蔵ならびに治療的投与に関して特に好適であると考えられる。これらの製剤は、既知の技法により調製することができる。例えば、これらの製剤は、ゲルろ過カラム上で緩衝液の交換により調製することができる。
【0074】
融合タンパク質および治療剤は、ボーラスとしての静脈内投与、またはある期間に亘る連続注入、筋内、腹腔内、脳脊髄内、動脈内、関節滑液嚢内、くも膜下腔内、経口、局所、または吸入経路によるなど、既知の方法に従って投与することができる。場合によっては、種々の市販の装置を用いてミニポンプを介して投与を実施することができる。
【0075】
融合タンパク質を投与するための有効投与量およびスケジュールは、経験的に決定することができ、このような決定は当業界の技術の範囲内である。単回投与または複数回投与を使用することができる。現在、単独で使用される融合タンパク質の有効投与または有効量は、1日当り約1μg/kg体重から約100μg/kg体重またはそれ以上の範囲であり得ると考えられている。種間の投与基準化は、例えば、Mordentiら、Pharmaceut. Res.、8:1351(1991)に開示されているように、当業界に知られた様式で実施することができる。
【0076】
融合タンパク質のインビボ投与を使用する場合、通常の投与量は、投与経路に依って1日当り約10μg/kg体重から約100μg/kg体重またはそれ以上、好ましくは、約1μg/kg/日から10mg/kg/日と変わり得る。具体的な投与量および送達方法に関するガイダンスは、文献[例えば、米国特許第4,657,760号明細書;米国特許第5,206,344号明細書;または米国特許第5,225,212号明細書を参照]に提供されている。種々の製剤が、種々の治療用化合物および種々の障害にとって有効であること、1つの臓器または組織を標的とする投与は、例えば、別の臓器または組織とは異なる様式での送達が必要であり得ることを当業者は認識されるであろう。投与の必要がある融合タンパク質の投与量が、例えば、融合タンパク質のアゴニストを受ける哺乳動物、投与経路、および哺乳動物に投与される他の薬物または療法に依って変わり得ることを当業者は理解するであろう。
【0077】
これらの方法の中で、さらに追加の療法を使用し得ることが考えられる。1つまたは複数の他の療法としては、限定はしないが、放射線療法、サイトカイン、増殖阻害剤、化学療法剤、細胞毒性剤、チロシンキナーゼ阻害剤、rasファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、血管新生阻害剤、およびシクリン依存キナーゼ阻害剤または融合タンパク質による治療に対する癌細胞の感受性を増強する任意の他の薬剤の投与を挙げることができる。
【0078】
化学療法剤に関する調製および投与スケジュールは、製造元の取扱説明書に従って、または当業者によって経験的に判定されて使用することができる。このような化学療法に関する調製および投与スケジュールは、Chemotherapy Service Ed.、M. C. Perry、Williams & Wilkins、Baltimore、Md.(1992)にも記載されている。化学療法剤は、Apo2L変異体の投与前、もしくは投与後、またはそれと同時に投与することができる。
【0079】
融合タンパク質と治療剤(および1つまたは複数の他の療法)とは、並行して(同時に)または連続的に投与することができる。具体的実施形態において、融合タンパク質と治療剤とを並行して投与する。別の実施形態において、融合タンパク質またはトリマー複合体を、治療剤の投与前に投与する。別の実施形態において、治療剤を、融合タンパク質またはトリマー複合体の投与前に投与する。投与後、インビトロ処置細胞を分析することができる。インビボ処置された場合、処置哺乳動物を、当業者によく知られた種々の方法でモニターすることができる。例えば、腫瘍組織を病理学的に調べて細胞死を評価することができるか、または免疫系応答に関して血清を分析することができる。
【0080】
医薬組成物
医薬組成物を調製するために、当業界によく知られた任意の好適な方法により本発明による融合タンパク質を使用することができる。それ故、この組成物は、融合タンパク質と共に、1つまたは複数の許容できる担体、場合によっては他の治療剤および/または化学療法剤の成分を含むことができる。したがって、本発明は、薬学的に許容できる担体または賦形剤と共に本発明の融合タンパク質の治療的有効量を含む医薬組成物に関する。本明細書に用いられる「薬学的に許容できる担体」または「薬学的に許容できる賦形剤」としては、生理学的に適合性の任意のおよび全ての溶媒、分散媒体、コーティング剤、抗菌剤ならびに抗真菌剤、等張剤ならびに吸収遅延剤などが挙げられる。薬学的に許容できる担体または賦形剤としては、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなどの1種または複数種、ならびにそれらの組合せが挙げられる。多くの場合、組成物中に等張剤、糖類、例えば、マンニトール、ソルビトールなどのポリアルコール類または塩化ナトリウムを含むことが好ましい。湿潤剤などの薬学的に許容できる物質、または有効期間または抗体もしくは抗体部分の有効性を増強させる湿潤剤または乳化剤、保存剤または緩衝液などの少量の補助物質もまた含むことができる。場合によっては、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸またはその塩としてアルギン酸ナトリウムなどの崩壊剤を含むことができる。賦形剤に加えて、医薬組成物は、血清アルブミンなどの担体タンパク質、緩衝液、結合剤、甘味剤および他の香味剤;着色剤およびポリエチレングリコールのうちの1種または複数種を含むことができる。
【0081】
これらの組成物は、例えば、液体溶液(例えば、注射液および輸液)、分散剤または懸濁剤、錠剤、丸剤、散剤、リポソームおよび座剤などの液体、半固体および固体の投与形態など、種々の形態であり得る。好ましい形態は、意図された投与経路および療法適用に依存する。一実施形態において、この組成物は、抗体によりヒトの受動免疫化に用いられたものと同様の組成物など、注射液または輸液の形態である。一実施形態において、投与様式は、非経口(例えば、静脈内、皮下、腹腔内、筋内)である。一実施形態において、融合タンパク質(またはトリマー複合体)を、静脈内注入または静脈内注射により投与する。別の実施形態において、融合タンパク質またはトリマー複合体を、筋内注射または皮下注射により投与する。
【0082】
この医薬組成物用の他の好適な投与経路としては、限定はしないが、直腸投与、経皮投与、膣投与、経粘膜投与または腸管投与が挙げられる。
【0083】
治療組成物は、一般に無菌であり、製造および貯蔵の条件下で安定である。この組成物は、液剤、ミクロ乳剤、分散剤、リポソーム、または薬物高濃度に好適な他の秩序構造として製剤化できる。無菌注射液は、必要ならば上記に挙げた成分の1つまたは組合せと共に適切な溶媒中、必要な量の活性化合物(すなわち、融合タンパク質またはトリマー複合体)を組み込み、次いでろ過滅菌により調製する。一般に、分散剤は、ベースの分散媒体および上記に掲げたものからの必要な他の成分を含有する滅菌媒体中に活性化合物を組み込むことにより調製する。滅菌注射液調製用の滅菌散剤の場合、好ましい調製法は、活性成分プラス予め滅菌ろ過した溶液から所望の任意の追加成分の粉末を生じる減圧乾燥および凍結乾燥である。溶液の適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング剤の使用、分散剤の場合は、求められる粒径の維持、および界面活性剤の使用により維持することができる。注射用組成物の吸収持続性は、組成物中に吸収を遅延させる試剤、例えば、モノステアリン酸塩類およびゼラチンを含ませることによってもたらすことができる。
【0084】
本明細書に記載された障害の治療に有用な融合タンパク質および治療剤を含有するキットなどの製造品は、少なくとも容器およびラベルを含む。好適な容器としては、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、および管が挙げられる。容器は、ガラスまたはプラスチックなど種々の材料から形成することができる。容器上のまたは容器と合体したラベルは、その製剤が選択された病態を治療するために使用されることを示している。製造品はさらに、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液、およびデキストロース液などの薬学的に許容できる緩衝液を含む容器を含むことができる。製造品はさらに、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、および使用説明を添えた添付文書など、商品および使用者の観点から望ましい他の材料を含むことができる。製造品はまた、上記の別の活性剤を有する容器を含むことができる。
【0085】
一般に、製剤中に薬学的に許容できる適量の塩を用いて製剤を等張にする。薬学的に許容できる担体の例としては、生理食塩水、リンゲル液およびデキストロース液が挙げられる。製剤のpHは、約6から約9が好ましく、約7から約7.5であることがより好ましい。一定の担体が、例えば、投与経路および融合タンパク質および治療剤の濃度に依ってより好ましくなり得ることが当業者にとって明らかとなろう。
【0086】
治療組成物は、凍結乾燥製剤、水溶液または水性懸濁液の形態で、任意の薬学的に許容できる担体、賦形剤、または安定化剤[Remington's Pharmaceutical Sciences、第16版、Osol, A.編集(1980)]と適切な純度を有する所望の分子とを混合することにより調製することができる。許容できる担体、賦形剤、または安定化剤は、使用される投与量および濃度においてレシピエントに対して無毒性であることが好ましく、Tris、HEPES、PIPES、リン酸、クエン酸、および他の有機酸などの緩衝液;アスコルビン酸およびメチオニンなどの抗酸化剤;保存剤(塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;メチルまたはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;およびm−クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、またはリシンなどのアミノ酸;グルコース、マンノース、またはデキストリンなどの単糖類、二糖類、および他の炭水化物;ショ糖、マンニトール、トレハロースまたはソルビトールなどの糖類;ナトリウムなどの塩形成対イオン類;および/またはTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)またはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0087】
このような担体のさらなる例としては、イオン交換剤、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分的グリセリド混合物、水、塩類などの緩衝液物質、またはプロタミン硫酸流塩、燐酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、コロイド状シリカ、トリ珪酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、およびセルロースベース物質などの電解質が挙げられる。局所形態またはゲルベース形態用の担体としては、カルボキシメチルセルロースまたはメチルセルロースなどの多糖類、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート類、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー類、ポリエチレングリコール、および木材ワックスアルコール類が挙げられる。全ての投与で、従来のデポー形態が好適に使用される。このような形態としては、例えば、マイクロカプセル、ナノカプセル、リポソーム、プラスター、吸入形態、鼻用スプレー、舌下錠、および徐放性製剤が挙げられる。
【0088】
インビボ投与のために用いられる製剤は、無菌である必要がある。これは、凍結乾燥および再構成の前か、後に無菌ろ過膜を通すろ過により容易に達成される。この製剤は、全身に投与される場合、凍結乾燥形態または溶液で貯蔵することができる。凍結乾燥形態である場合、一般に、使用時に適切な希釈剤による再構成のために他の成分と組み合わせて製剤化される。液体製剤の例は、皮下注射のために単回投与用バイアルに充填される滅菌の無色透明の生鮮溶液である。
【0089】
治療用製剤は一般に、無菌アクセスポート、例えば、皮下注射用針により貫通可能なストッパーを有する静脈液用バッグまたはバイアルを有する容器内に入れる。反復静脈内(i.v.)、皮下(s.c.)、筋内(i.m.)の注射もしくは注入として、または鼻腔内もしくは肺内送達(肺内送達に関して、例えば、欧州特許第257,956号明細書を参照)に好適なエーロゾル製剤として製剤を投与することが好ましい。
【0090】
本明細書に開示された分子は、徐放性製剤の形態でも投与できる。徐放性製剤の好適な例としては、マトリックスが造形品、例えば、フィルム、またはマイクロカプセルの形態である、タンパク質を含有する固体疎水性ポリマー類の半透過性マトリックスが挙げられる。徐放性マトリックスの例としては、ポリエステル類、ヒドロゲル類(例えば、Langerら、J. Biomed. Mater. Res.、15: 167-277 (1981)およびLanger、Chem. Tech., 12: 98-105(1982)により記載されたポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)またはポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド類(米国特許第3,773,919号明細書、欧州特許第58,481号明細書)、L−グルタミン酸とガンマエチル−L−グルタメートとのコポリマー類(Sidmanら、Biopolymers、22: 547-556(1983))、 非分解性エチレン−ビニルアセテート(Langerら、上記)、Lupron Depot(乳酸−グリコール酸コポリマーおよびロイプロリドアセテートからなる注射用ミクロスフェア)などの分解性乳酸−グリコール酸コポリマー類、およびポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸(欧州特許第133,988号明細書)が挙げられる。
【0091】
融合タンパク質の製造
融合タンパク質を発現するような条件下、融合タンパク質をコードするベクターによって形質転換した宿主を培養することにより、任意の好適な標準タンパク質発現系において本発明の融合タンパク質を発現させることができる。この発現系は、所望のタンパク質が容易に単離でき、インビトロでリフォールディングできる系であることが好ましい。一般的には、原核生物の発現系が高収率のタンパク質を得ることができ、効率的な精製およびリフォールディングの方式を利用できることから好ましい。したがって、適切な発現系(ベクターや細胞型など)の選択は、当業者の知識の範囲内にある。同様に、本発明の融合タンパク質に関する一次アミノ酸配列が選択されたら、当業者は、選択された宿主におけるコドンバイアス、宿主における分泌シグナル配列の必要性、シグナル配列内のプロテイナーゼ開裂部位の導入などの因子を考慮して、所望のアミノ酸配列をコードする適切な組換えDNA構築体を容易に設計することができる。
【0092】
本発明のMBP/DC−SIGN融合タンパク質の発現は、適切な条件下、核酸を含有する組換え宿主細胞を培養することにより簡便に達成できる。したがって、適切または最適の発現系を選択することは、過度の実験をすることなく十分に当業者の能力および裁量の範囲内にある。同様に、本発明のポリペプチドに関する一次アミノ酸配列が選択されたら、当業者は、選択された宿主におけるコドンバイアス、宿主における分泌シグナル配列の必要性、シグナル配列内のプロテイナーゼ開裂部位の導入などの因子を考慮して、所望のタンパク質をコードする組換えDNA構築体などの適切なポリヌクレオチドを容易に設計することができる。これらの組換えDNA構築体を、選択された宿主に適切な多数の発現ベクターのうちのいずれかにフレーム内挿入をすることができる。適切または最適の発現ベクターの選択もまた、十分に当業者の能力および裁量の範囲内にある事項である。一定の実施形態において、発現ベクターは、組換え構築体の発現を駆動する強力なプロモーターを含む。
【0093】
一実施形態において、本発明のMBP/DC−SIGN融合タンパク質は、当業界によく知られた好適な標準的手法を用いて単離することができ、場合によっては、例えば、凍結乾燥などのさらなる処理に供することができる。
【0094】
一実施形態において、単離ポリヌクレオチドは、融合タンパク質を含むポリペプチドをコードする。一実施形態において、単離ポリヌクレオチドは、エフェクター機能を有するMBLポリペプチドおよび標的化配列を含む第二のポリペプチドをコードする。一定の実施形態において、ポリペプチドは単一の隣接ポリヌクレオチド配列(遺伝子融合)にコードされる。他の実施形態において、ポリペプチドは、非隣接ポリヌクレオチド配列によりコードされる。したがって、幾つかの実施形態において、ポリペプチドを発現させ、単離し、別個のポリペプチドとして精製し、共に融合させて本発明の融合タンパク質を形成する。
【0095】
これらの組換えDNA構築体を、選択された宿主に適切な多数の発現ベクターのうちのいずれかにフレーム内挿入をすることができる。一定の実施形態において、発現ベクターは、組換え融合タンパク質構築体の発現を調節する強力なプロモーターを含む。組換え発現方式を用いて本発明の融合タンパク質を生成する場合、得られた融合タンパク質を、当業界によく知られた好適な標準的手法を用いて単離および精製することができ、場合によっては、例えば、凍結乾燥などのさらなる処理に供することができる。
【0096】
組換えDNA分子、タンパク質、および融合タンパク質の製造、ならびに組織培養および細胞の形質変換には標準的技法を使用することができる。例えば、Sambrookら、(下記)またはCurrent Protocols in Molecular Biology[Ausubelら、編集者、Green Publishers Inc. and Wiley and Sons 1994年]を参照されたい。精製技法は一般に、製造元の仕様書に従うか、または、Sambrookら[Molecular Cloning: A Laboratory Manual. Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor,NY(1989)]に記載されたものなどの従来の手法を用いて当業界で一般に達成されたとおりに、または本明細書に記載されたとおりに実施する。特定の定義が与えられない限り、本明細書に記載された実験室の手法と関連して利用される命名法、分子生物学、生化学、分析化学、および医薬化学/製剤化学に関連する技法は、当業界によく知られ、一般に使用されるものである。生化学的合成、生化学的分析、医薬製剤、製剤、および送達、ならびに患者の治療には標準的技法を使用することができる。
【0097】
融合タンパク質の第一のポリペプチドと第二のポリペプチドとの間に、可撓性分子リンカーを任意に挿入し、共有結合できることは認識されるであろう。一定の実施形態において、このリンカーは、約1〜20個のアミノ酸残基のポリペプチド配列を含む。このリンカーは、10未満のアミノ酸であり得、最も好ましくは、5つ、4つ、3つ、2つ、または1つであり得る。一定の場合において、9つ、8つ、7つまたは6つのアミノ酸が好適であると考えられる。幾つかの実施形態において、このリンカーは、本質的に非免疫原性であり、タンパク質分解開裂の傾向がなく、他の残基(例えば、システイン残基)と相互作用することが知られているアミノ酸残基を含まない。
【0098】
下記の説明はまた、1つまたは複数の化学基に共有結合(以後「共役」)している融合タンパク質およびトリマー複合体を作製する方法に関する。このような共役体における使用に好適な化学基は、有意に毒性でないか、または免疫原性でないことが好ましい。貯蔵に好適な条件下で貯蔵し、使用できる共役体を作製するために、化学基は任意に選択される。ポリペプチドに共役することができる種々の代表的な化学基は当業界に知られており、例えば、炭水化物、糖タンパク質、ポリグルタメート、ポリオール類などの非タンパク質ポリマー上で天然に生じる炭水化物などが含まれる(例えば、米国特許第6,245,901号明細書を参照)。
【0099】
例えば、国際公開第93/00109号パンフレットに開示されているように、ポリオールを、リシン残基など1つまたは複数のアミノ酸残基において本発明の融合タンパク質に共役させることができる。使用されるポリオールは、任意の水溶性ポリ(アルキレンオキシド)ポリマーであり得、直鎖または分枝鎖を有することができる。好適なポリオール類としては、1つまたは複数のヒドロキシル位置で、1個と4個の間の炭素を有するアルキル基などの化学基により置換されたものが挙げられる。一般に、ポリオールは、ポリ(エチレングリコール)(PEG)などのポリ(アルキレングリコール)であり、したがって、説明を簡便にするため、残りの検討部分は、その中で使用されるポリオールはPEG(ペグ)であり、ポリペプチドにポリオールを結合させる工程は「ペグ化(pegylation)」と称される代表的な実施形態に関するものである。しかしながら、例えば、ポリ(プロピレングリコール)およびポリエチレンポリプロピレングリコールコポリマーなどの他のポリオール類が、PEGに関して本明細書に記載された結合技法を用いて使用できることを当業者は認識している。
【0100】
ペグ化に使用されるPEGの平均分子量を変えることができ、一般に約500ダルトン(D)から約30,000ダルトンの範囲である。PEGの平均分子量は、好ましくは、約1,000Dから約25,000Dであり、より好ましくは、約1,000Dから約5,000Dである。場合によっては、PEGホモポリマーは非置換であるが、一端をアルキル基によって置換してもよい。アルキル基は、好ましくは、C1〜C4アルキル基であり、最も好ましくは、メチル基である。PEG製剤は、商品として入手でき、一般に、本発明の使用に好適なこれらのPEG製剤は、平均分子量によって販売される非均質性製剤である。例えば、一般に商品として入手できるPEG(5000)製剤は、通常分子量が±500Dと僅かに分子量に変化がある分子を含有する。本発明の融合タンパク質は、小型分子化合物(例えば、化学療法剤)に対する共役;シグナル分子(例えば、蛍光体)に対する共役;特異的結合対の分子(例えば、ビオチン/ストレプトアビジン、抗体/抗原)に対する共役;またはグリコシル化、PEG化、または安定性ドメインに対するさらなる融合(例えば、Fcドメイン)による安定化など、当業界に知られている技法を用いてさらに修飾することができる。
【0101】
タンパク質をペグ化する種々の方法が、当業界に知られている。PEGに共役したタンパク質を製造する具体的方法としては、米国特許第4,179,337号明細書、米国特許第4,935,465号明細書および米国特許第5,849,535号明細書に記載された方法が挙げられる。一般にタンパク質は、主として反応条件、ポリマーの分子量などに依って、本発明の1つまたは複数のアミノ酸残基を介してポリマー上の末端反応性基に共有結合する。反応性基を有するポリマーは、本明細書において活性化ポリマーと称される。この反応性基は、タンパク質上の遊離アミノ基または他の反応性基と選択的に反応する。PEGポリマーは、無作為または部位特異的様式でタンパク質上のアミノ基または他の反応性基に結合することができる。しかしながら、当然のことながら、最適な結果を得るために選択される反応性基のタイプと量、ならびに使用されるポリマータイプは、反応性基がタンパク質上の特に多過ぎる活性基と反応することを回避するために使用される具体的なタンパク質またはタンパク質変異体に依存する。このことは、完全に回避することは不可能と考えられるので、タンパク質の濃度に依って一般にタンパク質1分子当り約0.1モルから1000モル、好ましくは、2モルから200モルの活性化ポリマーを用いることが推奨される。タンパク質1モル当りの活性化ポリマーの最終量は、可能であるならば、最適活性を維持すると同時にタンパク質の循環半減期を最適にするための釣合いである。
【0102】
さらに、他の半減期延長分子を、血清アルブミン結合ペプチド、IgG結合ペプチドまたはFcRnに結合するペプチドなど、MBLポリペプチドのN−末端またはC−末端に結合することができる。
【0103】
本明細書における節の見出しは、構成のみを目的として使用されており、決して記述された主題を限定するものとして解釈すべきでないことに注意する必要がある。本明細書に引用された全ての参考文献は、全ての目的のために参照としてそれらの全体が本明細書に援用されている。
【0104】
以下の実施例は、本発明の一定の実施形態を単に例示するものであり、添付された請求項により規定される本発明を限定するものとしてとらえてはならない。
【実施例】
【0105】
実施例1:タグ化および非タグ化MBP−CD209CTLD融合タンパク質の発現プラスミドクローンのHEK293細胞における構築と発現
DC−SIGN(樹状細胞特異的ICAM−3グラビング非インテグリン)は、C型レクチンファミリーに属するII型膜貫通タンパク質である。このタンパク質は、末梢における樹状細胞(DC)の表面上に発現し、T細胞上のICAM−3を介してリンパ系における抗原提示細胞と静止T細胞との間の一次接触に関与する。DC−SIGNは、リンパ系組織へのDCの移動時に上皮細胞上のICAM−2とも相互作用する。DC−SIGNはまた、HIVエンベロープタンパク質gp120と強力に結合し、トランスのCD4+T細胞においてウイルス感染を促進する。DC−SIGNタンパク質は、短いアミノ末端細胞質尾部、膜貫通ドメイン、7 1/2反復までの幹状部、次いでC末端のC型炭水化物認識ドメイン(CRD)からなる。この幹状部は、四量体(多重コイル)の形成を促進する。DC−SIGNは、ルイス抗原LeおよびLeなどのマンノース含有およびフコース含有複合体の糖共役体に結合する。大部分の他のレシチン類とは対照的に、DC−SIGNは、炭水化物構造の内部に結合し、このスカフォードの可能性を増加させてより多様で特異的な炭水化物結合が得られると思われる。
【0106】
一連の融合構築体は、MBPシグナル配列、次いでシステニルに富むオリゴマー化ドメイン、コラーゲン反復領域を表し、種々の誘導体はMBPネック領域とDC−SIGN CTLDドメインの融合を表す。種々のMBP/DC−SIGN CTLD融合タンパク質(MBP/DC−SIGN CTLD−ABs(配列番号1)、MBP/DC−SIGN CTLD−ACs(配列番号3)、MBP/DC−SIGN CTLD−ADs(配列番号5)、MBP/DC−SIGN CTLD−ABsC(配列番号7)、MBP/DC−SIGN CTLD−ACsC(配列番号9)、MBP/DC−SIGN CTLD−ADsC (配列番号11)、MBP/DC−SIGN CTLD−FE(配列番号13)、MBP/DC−SIGN CTLD−GE(配列番号15)、MBP/DC−SIGN CTLD−HE(配列番号17)、MBP/DC−SIGN CTLD−ACsCSG(配列番号19)、MBP/DC−SIGN CTLD−ACsCSGGS(配列番号21)、およびMBP/DC−SIGN CTLD−ACsCSGGGS(配列番号23)MBP/DC−SIGN CTLD−ABs0(配列番号25)、およびMBP/DC−SIGN CTLD−ABsC0(配列番号27))をコードする挿入体のヌクレオチド配列は、それぞれ表1に示された一連のプラスミドおよび挿入特異的オリゴヌクレオチドプライマーを用いてクローン化した。MBP/DC−SIGN CTLD−ABs、MBP/DC−SIGN CTLD−ACs、およびMBP/DC−SIGN CTLD−ADsは、C−末端切断DC−SIGN CTLDドメインを含有し;MBP/DC−SIGN CTLD−ABsC、MBP/DC−SIGN CTLD−ACsC、およびMBP/DC−SIGN CTLD−ADsCは、完全長DC−SIGN CTLDドメインを含有し;MBP/DC−SIGN CTLD−FE、MBP/DC−SIGN CTLD−GE、およびMBP/DC−SIGN CTLD−HEは、N−およびC−末端DC−SIGN CTLDドメインを含有し;MBP/DC−SIGN CTLD−ACsCSG、MBP/DC−SIGN CTLD−ACsCSGGS、およびMBP/DC−SIGN CTLD−ACsCSGGGSは、DC−SIGN CTLDドメインのN−末端においてセリン−グリシン挿入体を含有する。次にこの構築体は、GENETIC3700アナライザーおよび配列決定BIG DYE(登録商標)バージョン3.0の配列決定法(Applied Biosystems)を用いて検証した。
【0107】
【表1】

【0108】
アミノ末端にmycタグおよびHisタグで全てタグ化された融合タンパク質MBP/DC−SIGN CTLD−ABs(配列番号2)、MBP/DC−SIGN CTLD−ACs(配列番号4)、MBP/DC−SIGN CTLD−ADs(配列番号6)、MBP/DC−SIGN CTLD−ABsC(配列番号8)、MBP/DC−SIGN CTLD−ACsC(配列番号10)、MBP/DC−SIGN CTLD−ADsC(配列番号12)、MBP/DC−SIGN CTLD−FE(配列番号14)、MBP/DC−SIGN CTLD−GE(配列番号16)およびMBP/DC−SIGN CTLD−HE(配列番号18)、MBP/DC−SIGN CTLD−ACsCSG(配列番号20)、MBP/DC−SIGN CTLD−ACsCSGGS(配列番号22)、およびMBP/DC−SIGN CTLD−ACsCSGGGS(配列番号24)の全て、および2つの非タグ化融合タンパク質誘導体MBP/DC−SIGN CTLD−ABs0(配列番号26)ならびにMBP/DC−SIGN CTLD−ABsC0(配列番号28)を発現できるクローンを、連続オリゴヌクレオチドアセンブリおよび市販品として入手できる発現プラスミドpcDNA3.1(Invitrogen)へのサブクローニング方式を用いて構築し、その結果、プラスミド:pMBP/DC−SIGN CTLD−ABs、pMBP/DC−SIGN CTLD−ACs、pMBP/DC−SIGN CTLD−ADs、pMBP/DC−SIGN CTLD−ABsC、pMBP/DC−SIGN CTLD−ACsC、pMBP/DC−SIGN CTLD−ADsC、pMBP/DC−SIGN CTLD−FE、pMBP/DC−SIGN CTLD−GE、pMBP/DC−SIGN CTLD−HE、pMBP/DC−SIGN CTLD−ACsCSG、pMBP/DC−SIGN CTLD−ACsCSGGS、pMBP/DC−SIGN CTLD−ACsCSGGGS、pMBP/DC−SIGN CTLD−ABs0、およびMBP/DC−SIGN CTLD−ABsC0を得た。プラスミドは、プラスミド増殖および挿入体のヌクレオチド配列検証のために大腸菌(E. coli)XL-1ブルー細胞(Stratagene)に形質転換された。
【0109】
ヒト胎児性腎細胞(HEK293細胞)へのトランスヘクション用プラスミドDNAを、QiagenのMAXI PREP(登録商標)マキシ調製法を用いて単離した。最初に、タグ化MBP/DC−SIGN CTLD融合タンパク質誘導体だけをトランスフェクトし、発現に関して分析した。リポフェクタミンプロトコル(Invitrogen)を用いて細胞をトランスフェクトした。全ての構築体を首尾よく一過性にトランスフェクトし、ヒト血清アルブミン(HSA)に結合した固定化ルイス腫瘍抗原y(Le)またはヒト乳癌細胞系SKBR−3を発現するLeを結合する能力に関して4日後に培養物の上澄液を分析した。
【0110】
実施例2:ヒト乳癌細胞系SKBR−3の固定化HSA−LeまたはLe発現細胞に結合する種々のタグ化MBP−CD209 CTLD融合タンパク質の分析
タグ化MBP/DC−SIGN CTLD発現プラスミド(pMBP/DC−SIGN CTLD−ABs、pMBP/DC−SIGN CTLD−ACs、pMBP/DC−SIGN CTLD−ADs、pMBP/DC−SIGN CTLD−ABsC、pMBP/DC−SIGN CTLD−ACsC、pMBP/DC−SIGN CTLD−ADsC、pMBP/DC−SIGN CTLD−FE、pMBP/DC−SIGN CTLD−GE、およびpMBP/DC−SIGN CTLD−HE)をトランスフェクトしたHEK293細胞培養物からの上澄液を、ヒト血清アルブミン(HSA)に結合した固定化Leまたはヒト乳癌細胞系SKBR−3を発現するLeを結合する能力に関して一過性発現の4日後に分析した。MBP/DC−SIGN CTLD ABsおよびMBP/DC−SIGN CTLD ABsC融合タンパク質は、MCF−7のヒト乳癌細胞、LNCapの前立腺癌細胞、およびA431の皮膚扁平上皮癌細胞に結合する能力に関しても試験した。
【0111】
最初のアッセイにおいて、PBS(10mMのリン酸ナトリウムpH 7.4、100mMのNaCl)中、1ウェル当り0.5μgのLe−HSA(IsoSep、Uppsala、スウェーデン国)を一晩インキュベートし、96ウェルのELISAトレイ内に固定化した。未結合のLe−HSAを洗浄し、ブロッキング後、100μlの各培養物の上澄液を、ELISAアッセイにおいて結合に関して分析した(図3A、3B、および3C)。商品として入手できるDC−SIGN CTLD Fc融合タンパク質(R&D systems)を陽性対照として用い、抗DC−SIGNマウスモノクローナル抗体のクローンMR−1(Abcam)を検出用に用い、次いで、HRP−共役抗マウスIgG抗体を用いた。
【0112】
融合タンパク質MBP/DC−SIGN CTLD ACs、MBP/DC−SIGN CTLD ACsC、およびMBP/DC−SIGN CTLD ADsは、最強の結合を示し、MBP/DC−SIGN CTLD ABs、MBP/DC−SIGN CTLD ABsCおよびMBP/DC−SIGN CTLD ADsCは、中間の結合を示し、残りの融合タンパク質は、結合を示さなかった(図3A、3C)。MBP/DC−SIGN CTLD ACsC融合タンパク質の結合を、商品として入手できるDC−SIGN CTLD Fc化合物の結合と比較した(図3B)。結合は、特異的であり、カルシウム依存性であることが判明した。
【0113】
さらなるアッセイにおいて、それぞれ10%のウシ胎児血清および1%のPen/Strepで補足されたMcCoyまたはDMEM培地中、37Cで5%のCO2で増殖させたLe発現SKBR−3またはMCF−7細胞の半集密性培養物を、プラスチック表面からかき取り、洗浄し、1%のBSAでブロックし、MBP−DC−SIGN CTLD融合タンパク質または精製融合タンパク質の各々を発現する培養物上澄液と共に1時間インキュベートした。慎重に洗浄後、結合した融合タンパク質の量を、懸濁相ELISAアッセイにおいて測定した(図4A〜C)。商品として入手できる融合タンパク質DC−SIGN/Fc(R&D systems)を、陽性対照として含めた。抗DC−SIGNマウスモノクローナル抗体のクローンMR−1(Abcam)を検出用に用い、次いで、HRP−共役抗マウスIgG抗体を用いた。
【0114】
LNCapおよびA431癌細胞系に関して、細胞を、10%のFBSおよび1%のPen/Strepを含有するRPMIおよびDMEMそれぞれの培地中、Nunclonの96トレー中で70%の集密性まで増殖させた。細胞の洗浄およびブロッキング後、細胞を精製MBP−DC−SIGN CTLD融合タンパク質と共に1時間インキュベートした。慎重に洗浄後、結合した融合タンパク質の量を、ELISAアッセイにおいて測定した(図4A〜C)。商品として入手できるDC−SIGN/Fc(R&D Systems)を、陽性対照として含めた。 抗DC−SIGNマウスモノクローナル抗体のクローンMR−1(Abcam)を検出用に用い、次いで、HRP−共役抗マウスIgG抗体を用いた。
【0115】
融合タンパク質MBP/DC−SIGN CTLD ABsおよびMBP/DC−SIGN CTLD ABsCは、SKBR−3細胞(図4A)に対し最強の結合を示し、結合は、Leに対して特異性であり、かつカルシウム依存性であることが立証された(図4B)。MCF−7細胞に結合する融合タンパク質MBP/DC−SIGN CTLD ABsおよびMBP/DC−SIGN CTLD ABsCの評価は、図4Cに示している。
【0116】
実施例3:マンノース−アガロースのアフィニティークロマトグラフィーを用いるMBP/DC−SIGN CTLD誘導体の精製
MBP/DC−SIGN CTLD ABs、MBP/DC−SIGN CTLD ABsC、またはMBP/DC−SIGN CTLD ABsC0融合誘導体を発現する安定なクローナル細胞系およびMBP/DC−SIGN CTLD ABs0融合誘導体を発現する安定な細胞系集団は、スーパーコロイドまたは線形化されたプラスミドDNA、および種々の濃度のプラスミドDNAによるHEK293細胞のトランスフェクションにより確立された。種々の濃度での細胞の接種、およびゼオシンを用いた選択圧の増加により、安定な細胞系が得られた。幾つかのクローンを増殖させ、培養物の上澄液を、実施例2に記載された固定化Le HSA ELISAアッセイを用いて融合タンパク質の生成に関して分析した。安定にトランスフェクトされたクローンの上澄液からのMBP/DC−SIGN CTLD誘導体を、以下の段落で説明されるマンナン−セファロースを用いてアフィニティー精製を行った。
【0117】
MBP/DC−SIGN CTLD発現上澄液(約2.5L)をろ過し、250mLの10×TBSC−緩衝液(1×TBSC:10mMのTris−HCl pH7.5、150mMのNaCl、2mMのCa2+)を供給し、25mLのマンノース−アガロースカラム(Sigma)に4℃、0.5mL/分で適用した。適用後、カラムを、2カラム容量の1×TBSCで洗浄し、1×TBS、5mM EDTAで溶出させた。塩化カルシウムの5mMを溶出タンパク質フラクションに添加し、500容量の1×TBSC−緩衝液に対して透析した。タンパク質濃度を、分光分析法により測定し(A280)、純度は、SDS−PAGE分析により検証した。
【0118】
MBP/DC−SIGN CTLD ABsおよび-ABsCの溶出プロファイルは類似していなかった(図5)。MBP/DC−SIGN CTLD ABsは、1本の鋭いピークとして溶出するが、一方、ABsCは、2本のピーク、すなわち第一のピークが最終ピークよりも小さなピークとして溶出する。双方の溶出プロファイルは、鋭いフロントと、より長いテールを有する。
【0119】
2.5Lの培養物の上澄液から、2mgの各誘導体をSDS−PAGE分析(図6A〜B)により判定された>90%の純度で単離された。各々の場合、融合タンパク質の濃度は、ピークフラクション中300〜660μg/mLであった。単離された誘導体のオリゴマー化プロフィールは、DC−SIGN特異的マウスモノクローナル抗体のクローンMR−1(Abcam)を用いて3〜8%の勾配SDS−PAGEにより分離された非還元サンプルのウェスタンブロット上で分析した(図7)。
【0120】
実施例4:商品として入手できる(DC−SIGN)−Fc誘導体の結合と比較して、固定化Le−HSAに結合するMBP/DC−SIGN CTLD ABsおよび-ABsC誘導体の分析
R&D systemsからの二価のDC−SIGN Fc誘導体と比較して、マイクロタイタープレート(Nunc)内のウェルに固定化されたLe−結合HSAを用いるELISAアッセイを開発して、MBP/DC−SIGN CTLD ABsおよび-ABsC誘導体の結合強度を分析した。
【0121】
96ウェルのELISAトレーの各ウェルに、PBS(10mMのリン酸ナトリウムpH7.4、100mMのNaCl)中0.5mgのLe−HSA(IsoSep)を加え、一晩インキュベートし、固定化した。未結合Le−HSAを洗浄して除き、ブロッキング後、100マイクロリットルの1×TBSC中MBP/DC−SIGN CTLD ABs、−ABcC、または(DC−SIGN)−Fcの連続希釈液を、各ウェルに添加し、ELISAアッセイでの結合を分析した。抗DC−SIGNマウスモノクローナル抗体のクローンMR−1(Abcam)を、検出用に用い、次いでHRP−共役抗マウスIgG抗体を用いた。Fc/DC−SIGN融合(ダイヤモンド)に比してMBP/DC−SIGN CTLD融合(スクエア)の結合増加を示している比較分析からの典型的な結果を図8に示してある。
【0122】
実施例5:D−マンノース−セファロースアフィニティークロマトグラフィーを用いるMBP/DC−SIGN CTLD誘導体の精製
D−マンノース−セファロースマトリックス上のアフィニティー精製、次いでソース15Qカラム上のイオン交換クロマトグラフィーによるさらなる精製(「ポリッシングステップ」)を介して安定にトランスフェクトされたクローンの上澄液から、MBP/DC−SIGN−CTLD誘導体を単離した。
【0123】
MBP/DC−SIGN CTLDを発現する上澄液に、10×TBSC−緩衝液から最終1×TBSC(10mMのTris−HCl pH7.5、150mMのNaCl、2mMのCa2+)を供給し、4℃でD−マンノース−セファロースカラム上で操作した。標準的なプロトコルに従って、D−マンノースを、ジビニルスルホンにより活性化されたセファロース6−BClに結合させることによりD−マンノース−セファロースマトリックスを調製した。適用後、カラムを2カラム容量の1×TBSCで洗浄し、1×TBS、5mMのEDTAで溶出した。溶出したタンパク質フラクションに、5mMのCaClを加えて、5〜10容量の1xTBSC−緩衝液に対して透析した。溶出後、存在する可能性のあるウイルスの不活化は、1%w/vのTween80および0.3%w/vのトリ(n−ブチル)ホスフェートを添加し、室温で6時間溶出された物質を放置することにより達成した。遠心分離による清澄化後、1×TBSC中、物質をSource15Qカラム上に装填した。装填したら、カラムに5カラム容量の15mMのNaHPO pH8.0、25mMのNaClを流した。カラムを、15mMのNaHPO pH8.0、25mMのNaClによる勾配で溶出した。溶出したタンパク質を、10mMのNaPO pH7.5、100mMのNaCl中にダイアフィルトレーションした。次にタンパク質の純度を、SDS−PAGEにより分析し、濃度は分光分析法により測定した(A280)。
【0124】
実施例6:C4開裂によりモニターされた固定化Le−HSA上の補体溶解開始分析
実施例3および5で作製された精製MBP/DC−SIGN CTLD ABsおよび-ABsC誘導体を、補体活性化アッセイにおいてアッセイした。このアッセイは、HSA−LeYに結合した際に、C4開裂を開始させるMBL/DC−SIGN CTLD/MASP複合体能力の定量的測定である。次に沈殿したC4−断片を、抗C4抗体により定量した。
【0125】
マイクロタイタープレートを、PBS中、5μg/mLのHSA−LeYにより一晩コーティングした。過剰の抗原を洗浄後、プレートを、TBS(10mMのTris−HCl;140mMのNaCl;pH7,4)中0.1%のBSAでブロックした。MBP/DC−SIGN CTLDを、MBL結合用緩衝液(20mMのTris−HCl;10mMのCaCl;1MのNaCl、0.05%のTritonX−100;0.1%のBSA;pH7,4)中、2%のMBL欠損ヒト血清(State Serum Institute、Copenhagen、デンマーク国)と複合化し、4℃で一晩結合させた。これらのプレートを温めて洗浄した。5μg/mLのヒトC4タンパク質(Quidel)を、1.5時間インキュベートしたウェルに加える。ウェルを洗浄し、開裂C4断片をポリクローナル抗C4抗体(DAKO)で検出し、次いでELISAアッセイにおいてHRP−共役抗ウサギIg抗体(DAKO)で検出した(図9)。
【0126】
実施例7:C4開裂によりモニターされた上皮癌細胞の補体溶解開始分析
実施例3または5に記載され、作製された精製MBP/DC−SIGN CTLD ABsおよび-ABsC誘導体を、標準的補体活性化アッセイにおいてアッセイした。このアッセイは、上皮癌細胞上のLeY腫瘍抗原に結合した際に、C4開裂を開始させるMBL/DC−SIGN CTLD/MASP複合体能力の定量的測定である。次に沈殿したC4−断片を、抗C4抗体により定量した。
【0127】
細胞(例えば、SKBR−3、MCF−7およびその他)を、70%の集密性まで増殖させ、プラスチックからかき取った。洗浄し、0.5%のBSA/TBSC−緩衝液中で予めブロッキング後、0.5%のBSA/1xTBSC緩衝液中で2%のMBL欠損ヒト血清(State Serum Institute、Copenhagen、デンマーク国)と複合化させたMBP/DC−SIGN CTLDを含有する緩衝液中に細胞を再懸濁し、室温で2時間結合させた。細胞を0.5%BSA/TBSC−緩衝液で洗浄し、ヒトC4(0.5%BSA/TBSC中5μg/mL)中に再懸濁し、室温で1時間インキュベートした。細胞を再度洗浄し、開裂C4断片をポリクローナル抗C4抗体(DAKO)で検出し、次いで懸濁液ELISAアッセイにおいてHRP−共役抗ウサギIg抗体(DAKO)により検出した(図10)。
【0128】
実施例8:MBP/DC−SIGN CTLD誘導体またはモノクローナル抗体による上皮癌細胞増殖の阻害分析
乳癌細胞系SKBR−3およびMCF−7は、10%のFBSおよび1%のPen/Strepを含有するそれぞれMcCoyおよびDMEM培地中、Nunclon96−トレーに5000個の細胞/ウェルで、37℃かつ5%COで一晩接種した。MBP/DC−SIGN−ABs、MBP/DC−SIGN−ABsC0、MBP/DC−SIGN−ABsC0(+5μg/mLのHerceptin)の希釈液、Herceptinおよび対照緩衝液を、細胞に加え、細胞を、37℃かつ5%のCOで2日または5日間増殖させた。実施例5に記載されたプロトコルを用いてMBP/DC−SIGN誘導体を単離した。以後、製造元の取扱説明書(Promega)に従って比色アッセイ(細胞タイター96水性非放射性細胞増殖アッセイ(CellTiter 96 AQueous Non-Radioactive Cell Proliferation Assay))を用いて測生存細胞数を定した。5日後のアッセイ結果を図11に示してある。
【0129】
上記に示された実施例は、単に例示であり、本発明の全ての可能な実施形態、適用または修飾の徹底したリストであることを意味していない。したがって、本発明の範囲と意図から逸脱することなく、本発明の記載された方法およびシステムの種々の修飾および変型は、当業者にとって明らかとなろう。本発明を、具体的な実施形態と関連させて記載したが、当然のことながら、請求された本発明は、このような具体的な実施形態に過度に限定されてはならない。実際、分子生物学、免疫学、化学、生化学または関連分野で当業者にとって明らかである本発明を実施するために、記載された様式の種々の改変は、添付された請求項の範囲内にあることが意図されている。
【0130】
当然のことながら、本発明は、本明細書に記載された具体的な方法論、プロトコル、および試薬などに限定されるものではなく、これらは、当業者が認識されるであろうが変わり得る。また、当然のことながら、本発明に用いられる用語は、具体的な実施形態の説明目的のみに使用され、本発明の範囲を限定する意図はない。
【0131】
本発明の実施形態ならびに種々の特徴およびそれらの有利な詳細は、非限定的実施形態を参照してより十分に説明され、および/または添付の図面で例示され、以下の説明で詳述される。図面で例示された特徴は、必ずしも一定の縮尺で描かれていないが、たとえ本明細書において明白に述べられていなくても、当業者が認識し得るように、一実施形態の特徴は、他の実施形態でも使用できることに注意する必要がある。
【0132】
本明細書に挙げられたいずれの数値も、任意の低値と任意の高値との間で少なくとも2つの単位で分離されているという条件で、1単位の増分で低値から高値への全ての値を含んでいる。一例として、例えば、成分濃度、または例えば、サイズ、角度の大きさ、圧力、時間などの処理変数の値が、例えば、1から90、具体的には、20から80、より具体的には、30から70であることが述べられている場合、本明細書においては15から85、22から68、43から51、30から32などの値が明確に挙げられることが意図されている。1未満の値に関して、1単位は、適宜0.0001、0.001、0.01または0.1であることが考慮されている。これらは具体的に意図されたものの例にすぎず、挙げられた低値から高値の間の数値の可能な全ての組合せは、同様な様式で本明細書において明確に述べられると考えるべきである。
【0133】
具体的な方法、装置、および材料を記載しているが、本明細書に記載されたものと類似した、または等しい任意の方法および材料を、本発明の実施または試験に使用することができる。本明細書に引用された全ての参照文献および刊行物の開示は、各々個々に参照として援用されるのと同程度に、参照としてそれらの全体が本明細書に明確に援用されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エフェクター機能を有するマンノース結合レクチン(MBL)ポリペプチドを含む第一のポリペプチドと、細胞表面またはウイルスに結合する標的化配列を含む第二のポリペプチドとを含む融合タンパク質であって、前記第一のポリペプチドが、活性なMBLのC型レクチン様ドメイン(CLTD)を含まない融合タンパク質。
【請求項2】
前記標的化配列が、腫瘍細胞、免疫細胞、細菌細胞、原生動物、真菌およびウイルスに感染した細胞からなる群から選択される細胞表面上の受容体に結合する請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項3】
前記免疫細胞が、炎症性免疫細胞および抑制性免疫細胞から選択される請求項2に記載の融合タンパク質。
【請求項4】
前記標的化分子がレクチンである請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項5】
前記レクチンが、樹状細胞特異的ICAM−3グラビング非インテグリン(DC−SIGN)である請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項6】
前記第一のポリペプチドが、配列番号49を含む請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項7】
前記第一のポリペプチドが、MBP関連セリンプロテアーゼ(MASP)に結合する請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項8】
前記タンパク質が哺乳動物の補体系を活性化する請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項9】
前記第二のポリペプチドが、前記標的化配列を含むループ領域を有するCTLDを含み、前記CTLDが、MBP CTLDではない請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項10】
MBP/DC−SIGN CTLD−ABs(配列番号2)、MBP/DC−SIGN CTLD−ACs(配列番号4)、MBP/DC−SIGN CTLD−ADs(配列番号6)、MBP/DC−SIGN CTLD−ABsC(配列番号8)、MBP/DC−SIGN CTLD−ACsC(配列番号10)、MBP/DC−SIGN CTLD−ADsC(配列番号12)、MBP/DC−SIGN CTLD−FE(配列番号14)、MBP/DC−SIGN CTLD−GE(配列番号16)およびMBP/DC−SIGN CTLD−HE(配列番号18)、MBP/DC−SIGN CTLD−ACsCSG(配列番号20)、MBP/DC−SIGN CTLD−ACsCSGGS(配列番号22)、およびMBP/DC−SIGN CTLD−ACsCSGGGS(配列番号24)、MBP/DC−SIGN CTLD−ABs0(配列番号26)およびMBP/DC−SIGN CTLD−ABsC0(配列番号28)からなる群から選択される請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項11】
請求項1に記載の融合タンパク質を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物の補体系を活性化する方法。
【請求項12】
請求項1に記載の融合タンパク質および薬学的に許容できる賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項13】
化学療法剤および治療剤のうちの少なくとも1つをさらに含む請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記少なくとも1つの治療剤が、抗体、キナーゼ阻害剤、または癌ワクチンのうちの少なくとも1つを含む請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記化学療法剤が、ラルチトレキセド、ドキソルビシン、タキソール、5−フルオロウラシル、イリノテカンおよびシスプラチン、マイトマイシン−C、およびオキサリプラチンから選択され、前記治療剤が、トラスツズマブである請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項16】
請求項11に記載の医薬組成物の有効量を、病原性疾患を患っている患者に投与することを含む前記疾患を治療する方法であって、前記標的化配列が、病原体の細胞表面マーカーまたはウイルスに感染した細胞上のマーカーに結合する方法。
【請求項17】
請求項11に記載の医薬組成物の有効量を、腫瘍細胞を含む増殖性疾患の治療を必要とする患者に投与することを含む、腫瘍細胞を含む増殖性疾患を治療する方法であって、前記標的配列が腫瘍細胞の表面上のマーカーに結合する方法。
【請求項18】
前記患者に癌ワクチンを投与することをさらに含む請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記受容体が、ルイス抗原を含む請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記標的化配列が、ルイス抗原に結合するDC−SIGNポリペプチド配列を含む請求項17に記載の方法。
【請求項21】
被検体の癌を治療する方法であって、請求項11に記載の医薬組成物の有効量を前記被検体に投与することを含む方法。
【請求項22】
前記癌が、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、胃癌、肺癌、肝臓癌、骨髄性癌および上皮癌から選択される請求項19に記載の方法。
【請求項23】
テトラネクチン三量体形成ドメインをさらに含む請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項24】
請求項1に記載の融合タンパク質をコードする配列を含む単離核酸。
【請求項25】
配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25および配列番号27からなる群から選択される請求項22に記載の単離核酸。
【請求項26】
請求項22に記載の単離核酸を含む発現ベクター。
【請求項27】
請求項24に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
【請求項28】
請求項1に記載の融合タンパク質の調製のための方法であって、(i)前記融合タンパク質が発現するような条件下で請求項22に記載の単離核酸を発現するステップと、(ii)前記融合タンパク質を回収するステップと、を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2011−502520(P2011−502520A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−533330(P2010−533330)
【出願日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【国際出願番号】PCT/US2008/083062
【国際公開番号】WO2009/062195
【国際公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(508253627)アナフォア インコーポレイテッド (7)
【氏名又は名称原語表記】Anaphore,Inc.
【Fターム(参考)】