説明

痴呆関連疾患、アルツハイマー病およびグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3関連症状の治療におけるオキシインドール誘導体の使用

【課題】新規化合物、その製造方法およびその製造に用いられる新規中間体、治療的に活性な前記化合物を含む医薬組成物、並びに治療における、特に痴呆関連疾患、アルツハイマー病およびグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3関連症状の予防および/または治療における、前記活性化合物の使用法の提供。
【解決手段】遊離塩基またはその塩である、式Iの化合物。


上記式中、R1は水素であり;R2はカルボキシ、C2-6アルコキシカルボニルまたは基R41であり、R3はR102であり、mは、1、2、3または4であり、nは1、2、3または4である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式Iの新規化合物の遊離塩基またはその塩、該化合物を含む医薬組成物、および治療における該化合物の使用に関する。更に、本発明は式Iの化合物の製造方法、およびその製造に使用される新規中間体に関する。
【背景技術】
【0002】
グリコーゲンシンターゼキナーゼ3(GSK3)は、2種の異性体(αおよびβ)から成るセリン/スレオニンプロテインキナーゼであり、該異性体は異なる遺伝子によりコードされているが、触媒ドメインにおいて高度に相同である。GSK3は中枢および末梢神経系において高度に発現される。GSK3は、タウ、β−カテニン、グリコーゲンシンターゼ、ピルビン酸デヒドロゲナーゼおよび伸長開始因子2b(eIF2b)を含む幾つかの基質をリン酸化する。インシュリンおよび成長因子は、GSK3をセリン9残基上でリン酸化してこれを不活性化するプロテインキナーゼBを活性化する。
【0003】
アルツハイマー病(AD)痴呆、およびタウパシー(taupathie)
ADは、認知衰退、コリン作動性の機能障害およびニューロン死、神経原線維変化、およびアミロイド−βの沈着から成る老人斑により特徴付けられる。ADにおけるこれらの事象の順序は不明確であるが、関連があると考えられている。グリコーゲンシンターゼキナーゼ3β(GSK3β)またはタウ(τ)リン酸化キナーゼは、AD脳において高リン酸化される部位で、ニューロン中の微小管結合タンパク質τを選択的にリン酸化する。高リン酸化されたタンパク質τは微小管に対する親和性が低く、対になったらせん状フィラメントとして蓄積し、これはAD脳における神経原線維変化およびニューロピルスレッドを構成する主な要素である。このことは微小管の解重合を招き、これにより軸索の枯死および神経症性ジストロフィーが引き起こされる。神経原線維変化は、AD、筋萎縮性側索硬化症、Guamパーキンソン痴呆複合、大脳皮質基底核変性症、ボクサー痴呆および脳損傷、ダウン症候群、脳萎縮後パーキンソン症(postencephalatic parkinsonism)、進
行性核上麻痺、ニーマン−ピック病およびピック病のような疾患において一貫して見られる。1次海馬培養株にアミロイド−βを加えると、τの高リン酸化およびGSK3β活性の誘導による対になったらせん状フィラメント様状態が、続けて軸索輸送の阻害およびニューロン死が起こる(Imahori and Uchida., J. Biochem 121: 179−188, 1997)。GSK3βは、神経原線維変化を優先的にラベルし、AD脳の変化前(pre−tangle)のニューロンにおいて活性であることが示されている。また、GSK3タンパク質レベルは、AD患者の脳組織において50%増加している。更に、GSK3βは、解糖経路の主要な酵素であるピルビン酸デヒドロゲナーゼをリン酸化し、ピルベートのアセチル−Co−Aへの変換を抑制する(Hoshi ら、PNAS 93: 2719−2723, 1996)。アセチル−Co−Aは、認知機能に関する神経伝達物質であるアセチルコリンの合成に重要である。従ってGSK3βの阻害は、アルツハイマー病および他の上記関連疾患に関する進行および認知欠損に有益な効果を有し得る。
【0004】
慢性および急性の神経変性疾患
成長因子が関与するPI3K/Akt経路の活性化は、ニューロンの生存において主要な役割を果たすことが示されている。この経路の活性化によりGSK3βの阻害が起きる。最近の研究(Bhat ら、PNAS 97: 11074−11079 (2000))により、GSK3β活性は、脳虚血または成長因子欠乏後のような神経変性の細胞モデルおよび動物モデルにおいて増加することが示されている。例えば、活性部位リン酸化は、一般に、慢性および急性の神経変性疾患、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側策硬化症、ハンチ
ントン病およびHIV痴呆、虚血性卒中および脳損傷において生じると考えられている細胞死のタイプであるアポトーシスを受けやすいニューロンにおいて増加した。リチウムは、アポトーシスの阻害において、細胞内および脳内で、GSK3βの阻害を引き起こす用量で、神経を保護した。従って、GSK3β阻害剤は、神経変性疾患の進行を減衰させるのに有用であり得る。
【0005】
双極性障害(BD)
双極性障害(BD)は、躁状態および鬱状態により特徴付けられる。リチウムは、その気分安定効果に基づいて、BDの治療に用いられてきた。リチウムの不利点は、狭い治療ウィンドウおよびリチウム中毒を引き起こし得る過剰摂取の危険性である。リチウムがGSK3を治療的濃度で阻害するという最近の発見が、この酵素が脳におけるリチウムの作用の主要な標的である可能性を提起している(Stambolic ら, Curr. Biol. 6: 1664−1668, 1996 ; Klein and Melton; PNAS 93: 8455−8459, 1996)。従って、GSK3βの阻害は、BDの処置において、および情動障害を有するAD患者において、治療的に関連があり得る。
【0006】
統合失調症
GSK3は、多様な細胞過程の、特に神経系の発達に際したシグナル変換カスケードに関与する。Kozlovskyら(Am J Psychiatry 2000 May; 157 (5): 831−3)は、統合失調症患者のGSK3βレベルが対照被験者に比べて41%低いことを見出した。この研究により、統合失調症は神経発達上の病理に関与し、異常なGSK3調節が統合失調症に影響を及ぼし得ることが示された。更に、β−カテニンレベルの減少が統合失調症を示す患者において報告されている(Cotterら, Neuroreport 9: 1379−1383 (1998))。
【0007】
糖尿病
インシュリンは、骨格筋においてグリコーゲンシンターゼの脱リン酸化、および従ってその活性化によりグリコーゲン合成を刺激する。静止状態下で、GSK3は脱リン酸化によりグリコーゲンシンターゼをリン酸化し、不活性化する。GSK3はまた、II型糖尿病患者の筋内で過剰発現される(Nikoulina ら, Diabetes 2000 Feb; 49 (2): 263−71)。GSK3の阻害は、グリコーゲンシンターゼの活性を増大させ、その結果、グルコースのグリコーゲンへの変換によってグルコースレベルが減少する。従ってGSK3阻害は、I型およびII型糖尿病並びに糖尿病性神経障害の処置において、治療的に関連があり得る。
【0008】
脱毛症
GSK3はβ−カテニンをリン酸化し、分解する。β−カテニンはケラトニン合成経路のエフェクターである。β−カテニンの安定化は、毛髪発達の増加を引き起こすことができる。GSK3によりリン酸化される部位の変異により安定化したβ−カテニンを発現するマウスは、デノボ毛髪形態形成に類似する過程を経過する(Gat ら, Cell 1998 Nov 25; 95 (5): 605−14)。新規毛包形成脂腺および皮膚乳頭は、通常胚形成においてのみ確認される。従って、GSK3阻害は禿頭症の処置を提供し得る。
【0009】
経口避妊薬
Vijajaraghavanらは、不動性の精子に比べて、可動性の精子ではGSK3が高値であることを報告した(Biol Reprod 2000 Jun;62(6):1647-54)。免疫細胞化学により、GSK3が鞭毛および精子頭部の前方部分に存在することが明らかになった。これらのデータは、GSK3が精巣上体の運動性の開始および成熟精子機能調節の基礎をなす重要な要素であり得ることを示唆している。GSK3の阻害剤は、男性の避妊薬として有用であり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、GSK3に対する選択的な阻害効果および良好な生物学的利用能を有する化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
従って、本発明は、式I:
【化1】

[式中、
1は、水素であり;
2は、カルボキシ、C2-6アルコキシカルボニル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、または基R41であり、
【0012】
ここで、X1は、C2-4アルカノイル、CONR56、SO2NR78またはSO29
ここで、R5およびR7はそれぞれ独立して水素またはC1-2アルキルであり、R6、R8
よびR9はそれぞれ独立してC1-4アルキルまたは結合であり、ここで、R4はR6、R8
よびR9に結合している)であり;そして、
【0013】
4は、NRAB、ORA、CH(OC1-6アルキル)2、または独立してO、SおよびNから選ばれる1個または2個のヘテロ原子を有する7員の複素環式基であり、該複素環式基は飽和であっても、または不飽和であってもよく、また該複素環式基は、ヒドロキシ、オキソ、ハロゲノ、C1-3アルキル、C3-6シクロアルキル、C1-3アルコキシ、C1-3アルカノイルオキシ、C1-3アルキルOH、C1-3アルキルフェニル、カルバモイル、N−C1-4アルキルカルバモイル、N,N−ジ(C1-4アルキル)カルバモイル、アミノスルホニル、N−C1-4アルキルアミノスルホニル、N,N−ジ(C1-4アルキル)アミノスルホニル、トリフルオロメチル、シアノ、アミノ、ニトロおよびC1-4アルコキシカルボニルから
独立して選ばれる1個または2個の置換基で置換されていてよく、そして、該7員複素環式基は、場合により、C、N、OまたはSから独立して選ばれる原子を含む5員または6員の、飽和または不飽和の環と縮合していてよく、該環は、ヒドロキシ、オキソ、ハロゲノ、トリフルオロメチル、C1-3アルキル、C3-6シクロアルキル、C1-3アルコキシ、シ
アノ、アミノおよびニトロから独立して選ばれる1個または2個の置換基で置換されていてよく;または、
【0014】
4は、フェニル、または独立してO、SおよびNから選ばれる1個もしくは2個のヘ
テロ原子を有する5員もしくは6員の複素環式基であり、該複素環式基は飽和であっても、または不飽和であってもよく、該フェニルまたは複素環式基は、オキソ、C3-6シクロアルキル、C1-3アルキルOH、C1-3アルキルフェニル、カルバモイル、N−C1-4アル
キルカルバモイル、N,N−ジ(C1-4アルキル)カルバモイル、アミノスルホニル、N
−C1-4アルキルアミノスルホニルおよびN,N−ジ(C1-4アルキル)アミノスルホニル
から独立して選ばれる1個または2個の置換基で置換されていてよく;または、
【0015】
4は、フェニル、または独立してO、SおよびNから選ばれる1個または2個のヘテ
ロ原子を有する5員または6員の複素環式基であり、該複素環式基は飽和であっても、または不飽和であってもよく、該フェニルまたは複素環式基は、ヒドロキシ、オキソ、ハロゲノ、C1-3アルキル、C3-6シクロアルキル、C1-3アルコキシ、C1-3アルカノイルオキシ、C1-3アルキルOH、C1-3アルキルフェニル、カルバモイル、N−C1-4アルキルカ
ルバモイル、N,N−ジ(C1-4アルキル)カルバモイル、アミノスルホニル、N−C1-4アルキルアミノスルホニル、N,N−ジ(C1-4アルキル)アミノスルホニル、トリフル
オロメチル、シアノ、アミノ、ニトロおよびC1-4アルコキシカルボニルから独立して選
ばれる1個または2個の置換基で置換されていてよく、そして該フェニルまたは5員もしくは6員の複素環式基は、C、N、OまたはSから独立して選ばれる原子を含む、5員または6員の、飽和または不飽和の環と縮合しており、この環は、ヒドロキシ、オキソ、ハロゲノ、トリフルオロメチル、C1-3アルキル、C3-6シクロアルキル、C1-3アルコキシ
、シアノ、アミノおよびニトロから独立して選ばれる1個または2個の置換基で置換されていてよく;そして、
【0016】
AおよびRBは、水素、C1-6アルキル、フェニルおよびベンジルから独立して選ばれ

3は、ヒドロキシ、ハロゲノ、ニトロ、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフ
ルオロメチル、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、2,2,2−トリフルオロエチル、C1-3アルキル、シアノ、アミノまたはR102であり、
ここで、X2はO、CH2、S、SO、SO2、NR11CO、CONR12、SO2NR13、NR14SO2またはNR15(ここで、R11、R12、R13、R14およびR15はそれぞれ独立
して水素、C1-3アルキルまたはC1-3アルコキシC2-3アルキルである)であるか、また
はX2は直接結合であり;そして、
【0017】
10は、次の基:
1)水素、または独立してヒドロキシ、フルオロおよびアミノから選ばれる1個もしくはそれ以上の基で置換されていてよいC2-5アルキル;
2)C1-5アルキルX3COR16(ここで、X3はOまたはNR17(ここで、R17は水素、
1-3アルキルまたはC1-3アルコキシC2-3アルキルである)であり、R16はC1-3アルキル、NR1819またはOR20(ここで、R18、R19およびR20は、それぞれ独立して水素、C1-3アルキルまたはC1-3アルコキシC2-3アルキルである)である);
3)C1-5アルキルX421(ここで、X4は、O、S、SO、SO2、OCO、NR22CO、CONR23、SO2NR24、NR25SO2またはNR26(ここで、R22、R23、R24、R25およびR26は、それぞれ独立して水素、C1-3アルキルまたはC1-3アルコキシC2-3
ルキルである)であり、R21は、水素、C1-3アルキル、シクロペンチル、シクロヘキシ
ル、または独立してO、SおよびNから選ばれる1個もしくは2個のヘテロ原子を有する5員もしくは6員の飽和複素環式基であり、該C1-3アルキル基は、オキソ、ヒドロキシ
、ハロゲノおよびC1-4アルコキシから独立して選ばれる1個または2個の置換基で置換
されていてよく、該複素環式基は、オキソ、ヒドロキシ、ハロゲノ、C1-4アルキル、C1-4ヒドロキシアルキルおよびC1-4アルコキシから独立して選ばれる1個または2個の置
換基で置換されていてよい);
4)C1-5アルキルX51-5アルキルX627(ここで、X5およびX6は、それぞれ独立してO、S、SO、SO2、NR28CO、CONR29、SO2NR30、NR31SO2またはN
32(ここで、R28、R29、R30、R31およびR32は、それぞれ独立して水素、C1-3
ルキルまたはC1-3アルコキシC2-3アルキルである)であり、R27は、水素またはC1-3
アルキルである);
【0018】
5)C1-5アルキルR33(ここで、R33はO、SおよびNから独立して選ばれる1個また
は2個のヘテロ原子を有する5員または6員の飽和複素環式基であり、該C1-5アルキル
または複素環式基は、オキソ、ヒドロキシ、ハロゲノ、C1-4アルキル、C1-4ヒドロキシアルキル、C2-4アルカノイルおよびC1-4アルコキシから独立して選ばれる1個または2個の置換基で置換されていてよい);
6)C2-5アルケニルR33(ここで、R33は上記で定義されたとおりである);
7)C2-5アルキニルR33(ここで、R33は上記で定義されたとおりである);
8)R34(ここで、R34は、ピリドン基、フェニル基、または独立してO、NおよびSから選ばれる1〜3個のヘテロ原子を有する5員もしくは6員の芳香族複素環式基であり、該ピリドン、フェニルまたは複素環式基は、ヒドロキシ、ハロゲノ、アミノ、C1-4アル
キル、C1-4アルコキシ、C1-4ヒドロキシアルキル、C1-4アミノアルキル、C1-4アルキルアミノ、C1-4ヒドロキシアルコキシ、カルボキシ、シアノ、CONR3536およびN
37COR38(ここで、R35、R36、R37およびR38は、それぞれ独立して水素、C1-4
アルキルまたはC1-3アルコキシC2-3アルキルである)から独立して選ばれる最大5個までの置換基を有し得る);
9)C1-5アルキルR34(ここで、R34は上記で定義されたとおりである);
10)C2-5アルケニルR34(ここで、R34は上記で定義されたとおりである);
11)C2-5アルキニルR34(ここで、R34は上記で定義されたとおりである);
【0019】
12)C1-5アルキルX734(ここで、X7はO、S、SO、SO2、NR39CO、CONR40、SO2NR41、NR42SO2またはNR43(ここで、R39、R40、R41、R42およびR43は、それぞれ独立して水素、C1-3アルキルまたはC1-3アルコキシC2-3アルキルで
ある)であり、R34は上記で定義されたとおりである);
13)C2-5アルケニルX834(ここで、X8はO、S、SO、SO2、NR44CO、CONR45、SO2NR46、NR47SO2またはNR48(ここで、R44、R45、R46、R47およびR48は、それぞれ独立して水素、C1-3アルキルまたはC1-3アルコキシC2-3アルキル
である)であり、R34は上記で定義されたとおりである);
14)C2-5アルキニルX934(ここで、X9はO、S、SO、SO2、NR49CO、CONR50、SO2NR51、NR52SO2またはNR53(ここで、R49、R50、R51、R52およびR53は、それぞれ独立して水素、C1-3アルキルまたはC1-3アルコキシC2-3アルキル
である)であり、R34は上記で定義されたとおりである);および、
15)C1-3アルキルX101-3アルキルR34(ここで、X10はO、S、SO、SO2、N
54CO、ONR55、SO2NR56、NR57SO2またはNR58(ここで、R54、R55、R56、R57およびR58は、それぞれ独立して水素、C1-3アルキルまたはC1-3アルコキシC2-3アルキルである)であり、R34は上記で定義されたとおりである);
16)R33(ここで、R33は上記で定義されたとおりである);および、
17)C1-3アルキルX101-3アルキルR33(ここで、X10およびR33上記で定義されたとおりである);
のうちの1つから選ばれ;
nは、0、1、2、3または4であり;
mは、0、1、2、3または4である]
の化合物の遊離塩基またはその塩を提供する。
【0020】
本発明の1つの態様は、式Iにおいて、R2が、カルボキシ、フルオロメチル、ジフル
オロメチル、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、または基R41であり、
ここで、X1は、C2-4アルカノイル、CONR56、SO2NR78またはSO29
ここで、R5およびR7はそれぞれ独立して水素またはC1-2アルキルであり、R6、R8
よびR9はそれぞれ独立してC1-4アルキルまたは結合であり、そしてここで、R4はR6、R8およびR9に結合している)であり;そして、
【0021】
4は、NRAB、ORA、CH(OC1-6アルキル)2、または独立してO、SおよびNから選ばれる1個または2個のヘテロ原子を有する7員の複素環式基であり、該複素環式基は飽和であっても、または不飽和であってもよく、また該複素環式基は、ヒドロキシ、オキソ、ハロゲノ、C1-3アルキル、C3-6シクロアルキル、C1-3アルコキシ、C1-3アルカノイルオキシ、C1-3アルキルOH、C1-3アルキルフェニル、カルバモイル、N−C1-4アルキルカルバモイル、N,N−ジ(C1-4アルキル)カルバモイル、アミノスルホニル、N−C1-4アルキルアミノスルホニル、N,N−ジ(C1-4アルキル)アミノスルホニル、トリフルオロメチル、シアノ、アミノ、ニトロおよびC1-4アルコキシカルボニルから独立して選ばれる1個または2個の置換基で置換されていてよく、そして該7員複素環式基は、場合により、C、N、OまたはSから独立して選ばれる原子を含む、5員または6員の、飽和または不飽和の環と縮合していてよく、該環は、ヒドロキシ、オキソ、ハロゲノ、トリフルオロメチル、C1-3アルキル、C3-6シクロアルキル、C1-3アルコキシ、シアノ、アミノおよびニトロから独立して選ばれる1個または2個の置換基で置換されていてよく;または、
【0022】
4は、フェニル、または独立してO、SおよびNから選ばれる1個もしくは2個のヘテロ原子を有する5員もしくは6員の複素環式基であり、該複素環式基は飽和であっても、または不飽和であってもよく、また該フェニルまたは複素環式基は、オキソ、C3-6シクロアルキル、C1-3アルキルOH、C1-3アルキルフェニル、カルバモイル、N−C1-4
アルキルカルバモイル、N,N−ジ(C1-4アルキル)カルバモイル、アミノスルホニル
、N−C1-4アルキルアミノスルホニルおよびN,N−ジ(C1-4アルキル)アミノスルホニルから独立して選ばれる1個または2個の置換基で置換されていてよく;または、
【0023】
4は、フェニル、または独立してO、SおよびNから選ばれる1個もしくは2個のヘテロ原子を有する5員もしくは6員の複素環式基であり、該複素環式基は飽和であっても、または不飽和であってもよく、また該フェニルまたは複素環式基は、ヒドロキシ、オキソ、ハロゲノ、C1-3アルキル、C3-6シクロアルキル、C1-3アルコキシ、C1-3アルカノイルオキシ、C1-3アルキルOH、C1-3アルキルフェニル、カルバモイル、N−C1-4
ルキルカルバモイル、N,N−ジ(C1-4アルキル)カルバモイル、アミノスルホニル、
N−C1-4アルキルアミノスルホニル、N,N−ジ(C1-4アルキル)アミノスルホニル、トリフルオロメチル、シアノ、アミノ、ニトロおよびC1-4アルコキシカルボニルから独
立して選ばれる1個または2個の置換基で置換されていてよく、そして該フェニルまたは5員もしくは6員の複素環式基は、C、N、OまたはSから独立して選ばれる原子を含む5員または6員の、飽和または不飽和の環と縮合しており、該環は、ヒドロキシ、オキソ、ハロゲノ、トリフルオロメチル、C1-3アルキル、C3-6シクロアルキル、C1-3アルコキシ、シアノ、アミノおよびニトロから独立して選ばれる1個または2個の置換基で置換されていてよく;そして、
AおよびRBは、水素、C1-6アルキル、フェニルおよびベンジルから独立して選ばれ
る;
式Iの化合物に関する。
【0024】
本発明のもう1つの態様において、R2は、カルボキシまたはC2-6アルコキシカルボニルである。
【0025】
本発明の第3の態様において、X1は、CONR56(ここで、R5は水素またはC1-2
アルキルであり、R6はC1-4アルキルまたは結合であり、ここでR4はR6に結合している)である。
【0026】
本発明の更にもう1つの態様において、R4は、NRAB、ORA、CH(OC1-6アル
キル)2、または独立してO、SおよびNから選ばれる1個もしくは2個のヘテロ原子を
有する7員の複素環式基であり、該複素環式基は飽和であっても、または不飽和であってもよく、また該複素環式基は、ヒドロキシ、オキソ、ハロゲノ、C1-3アルキル、C3-6シクロアルキル、C1-3アルコキシ、C1-3アルカノイルオキシ、C1-3アルキルOH、C1-3アルキルフェニル、カルバモイル、N−C1-4アルキルカルバモイル、N,N−ジ(C1-4アルキル)カルバモイル、アミノスルホニル、N−C1-4アルキルアミノスルホニル、N,N−ジ(C1-4アルキル)アミノスルホニル、トリフルオロメチル、シアノ、アミノ、
ニトロおよびC1-4アルコキシカルボニルから独立して選ばれる1個または2個の置換基
で置換されていてよく;
AおよびRBは、水素、C1-6アルキルおよびフェニルから独立して選ばれる。
【0027】
本発明の更なる態様において、R4は、フェニル、または独立してOおよびNから選ばれる1個もしくは2個のヘテロ原子を有する5員もしくは6員の複素環式基であり、該複素環式基は飽和であっても、または不飽和であってもよく、また該フェニルまたは複素環式基は、オキソ、C3-6シクロアルキル、C1-3アルキルOH、C1-3アルキルフェニル、
カルバモイル、N−C1-4アルキルカルバモイル、N,N−ジ(C1-4アルキル)カルバモイル、アミノスルホニル、N−C1-4アルキルアミノスルホニルおよびN,N−ジ(C1-4アルキル)アミノスルホニルから独立して選ばれる1個または2個の置換基で置換されていてよい。
【0028】
本発明の更にもう1つの態様において、R4は、フェニル、または独立してO、Sおよ
びNから選ばれる1個もしくは2個のヘテロ原子を有する5員もしくは6員の複素環式基であり、該複素環式基は飽和であっても、または不飽和であってもよく、また該フェニルまたは5員もしくは6員の複素環式基は、C、N、OまたはSから独立して選ばれる原子を含む、5員または6員の、飽和または不飽和の環と縮合しており、該環は、ヒドロキシ、オキソ、ハロゲノ、トリフルオロメチル、C1-3アルキル、C3-6シクロアルキル、C1-3アルコキシ、シアノ、アミノおよびニトロから独立して選ばれる1個または2個の置換
基で置換されていてよい。
【0029】
本発明のもう1つの態様において、R3は、R102であり、
ここで、X2はOであり;そして、
10は、C1-5アルキルX421(ここでX4は、OまたはNR26(ここでR21およびR26は独立して、水素、C1-3アルキル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル)である)であり;そして、
mは、1または2である。
【0030】
本発明の1つの態様は、少なくとも1つのR2、および少なくとも1つのR3置換基を有し、ここでR3はエステルであり、R2は上記で定義されたとおりである化合物に関する。
【0031】
本発明は更に、R2が5および/または6位で置換されており、R3が6、7および/または8位で置換されている、一般式Iの化合物に関する。
【0032】
本発明の更なる態様において、遊離塩基またはその塩である、次の化合物が提供される:
3−[7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン−4−イル]−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−5−カルボン酸(2−オキソアゼパン−3−イル)アミド、
2−ヒドロキシ−3−[7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン−4−イル]−1H−インドール−5−カルボン酸[3−(メチルフェニルアミノ)プロピル]アミド、
2−ヒドロキシ−3−[7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン−4−イル]−1H
−インドール−5−カルボン酸[3−(1−ヒドロキシエチル)フェニル]アミド、
2−ヒドロキシ−3−[7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン−4−イル]−1H−インドール−5−カルボン酸(4−シクロヘキシルフェニル)アミド、
2−ヒドロキシ−3−[7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン−4−イル]−1H−インドール−5−カルボン酸(4,4−ジエトキシブチル)アミド、
2−ヒドロキシ−3−[7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン−4−イル]−1H−インドール−5−カルボン酸(1H−ベンゾイミダゾール−2−イルメチル)アミド、
2−ヒドロキシ−3−[7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン−4−イル]−1H−インドール−5−カルボン酸[2−(5−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミド、
2−ヒドロキシ−3−[7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン−4−イル]−1H−インドール−5−カルボン酸4−スルファモイルベンジルアミド、
2−ヒドロキシ−3−[7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン−4−イル]−1H−インドール−5−カルボン酸(1−ベンジルピペリジン−4−イル)アミド。
【0033】
本発明を説明するために本明細書および特許請求の範囲において用いる様々な用語の定義を以下に挙げる。
【0034】
疑念を回避するために、本明細書において、基が「上記定義の」または「上記で定義された」によって修飾される場合、その基は、最初に記載された、および最も広義の定義、並びにその基の好ましい定義のうちのそれぞれ全てを包含するものとする。
【0035】
疑念を回避するために、本明細書において、「C1-6」は1、2、3、4、5または6
個の炭素原子を有する炭素の基を意味することとする。
【0036】
本明細書において、特に記載しない限り、「アルキル」なる用語は直鎖状および分枝鎖状の両方のアルキル基を包含する。C1-6アルキルは、メチル、エチル、n−プロピル、
i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、t−ペンチル、neo−ペンチル、n−ヘキシルまたはi−ヘキシルであり得る。
【0037】
本明細書において、特に記載しない限り、「C3-6シクロアルキル」なる用語は、シク
ロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルを包含する。
【0038】
本明細書で用いる「アルコキシ」なる用語は、特に記載しない限り、「アルキル」が上記で定義されたとおりであるような「アルキル」O基を包含する。C1-6アルコキシは、
メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、i−ペンチルオキシ、t−ペンチルオキシ、neo−ペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシまたはi−ヘキシルオキシであり得る。
【0039】
本明細書で用いる「アルカノイル」なる用語は、特に記載しない限り、ホルミル基、および「アルキル」が上記で定義されたとおりであるようなアルキルC=O基を包含し、例えばC2アルカノイルはエタノイルであってCH3C=Oを指し、Clアルカノイルはホル
ミルであってCHOを指す。
【0040】
本明細書において、特に記載しない限り、「アルケニル」なる用語は直鎖状および分枝鎖状の両方のアルケニル基を包含するが、2−ブテニルのような単一のアルケニル基については、直鎖状のもののみに特定される。特に記載しない限り、有利には、「アルケニル」なる用語は2〜5個の炭素原子、好ましくは3〜4個の炭素原子を有する鎖を指す。
【0041】
本明細書において、特に記載しない限り、「アルキニル」なる用語は直鎖状および分枝鎖状の両方のアルキニル基を包含するが、2−ブチニルのような単一のアルキニル基については、直鎖状のもののみに特定される。特に記載しない限り、有利には、「アルキニル」なる用語は2〜5個の炭素原子、好ましくは3〜4個の炭素原子を有する鎖を指す。
【0042】
本明細書において、特に記載しない限り、「結合」なる用語は飽和結合であっても、不飽和結合であってもよい。
【0043】
本明細書において、特に記載しない限り、「O、SおよびNから独立して選ばれる1個または2個のヘテロ原子を有する5員または6員の複素環式基であり、該複素環式基は飽和していても、または不飽和であってもよい」なる記載、および「O、SおよびNから独立して選ばれる1個または2個のヘテロ原子を有する7員の複素環式基であり、該複素環式基は飽和していても、または不飽和であってもよい」なる記載は、ヘテロ芳香環および飽和している複素環式環の両方を包含する。このような複素環式基の例としては、フリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサ−アゼパニル、オキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、チアゾリル、チエニル、イミダゾリル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピペリジル、ピペリドニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピロリジニル、ピロリニル、テトラヒドロピラニルまたはチオモルホリニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
本明細書において、特に記載しない限り、「C、N、OまたはSから選ばれる原子を有する、5員または6員の、飽和または不飽和の環」なる記載は、フリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、チアゾリル、チエニル、イミダゾリル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピペリジル、ピペリドニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピロリジニル、ピロリニル、テトラヒドロピラニル、チオモルホリニル、フェニル、シクロヘキシルまたはシクロペンチルであり得るが、これらに限定されない。
【0045】
本明細書において、特に記載しない限り、「O、SおよびNから独立して選ばれる1個または2個のヘテロ原子を有する5員または6員の飽和複素環式基」なる記載は、イミダゾリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペリドニル、ピラゾリジニル、ピラゾリジニル、ピロリジニル、テトラヒドロピラニルまたはチオモルホリニルであり得るが、これらに限定されない。
【0046】
本明細書において、特に記載しない限り、「O、NおよびSから独立して選ばれる1〜3個のヘテロ原子を有する5員または6員の芳香族複素環式基」なる記載は、フリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、ピラジニル、トリアジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、チアゾリルまたはチエニルであり得るが、これらに限定されない。
【0047】
本明細書において、特に記載しない限り、ハロゲノなる用語は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素である。
【0048】
あらゆる疑念を回避するために、X2が例えば式NR11COの基である場合、これはキ
ナゾリン環に結合している、R11基で置換された窒素原子であって、カルボニル(CO)基はR10に結合しているが、これに対し、X2が例えば式CONR12の基である場合、こ
れはキナゾリン環に結合しているカルボニル基であって、R12基で置換された窒素原子はR10に結合していると理解することとする。同様の決まりが、NR14SO2およびSO2
13のような他の2原子X2結合基に当てはまる。X2がNR15である場合、これはキナゾリン環およびR10に結合している、R15基で置換された窒素原子である。同様の決まりが他の基に当てはまる。更に、X2がNR15であって、R15がC1-3アルコキシC2-3アルキ
ルである場合、これはX2の窒素原子に結合しているC2-3アルキル部分であって、同様の決まりが他の基に当てはまることとする。
【0049】
あらゆる疑念を回避するために、式Iの化合物においてR10が例えば式C1-5アルキル
101-5アルキルR34の基である場合、これはX10に結合している末端C1-5アルキル部分であり、同様にR10が例えば式C2-5アルケニルR34の基である場合、これはX2に結合しているC2-5アルケニル部分であり、同様の決まりが他の基に当てはまることとする。
【0050】
あらゆる疑念を回避するために、R34がC1-4アミノアルキル置換基を有する場合、こ
れは、R34に結合しているC1-4アルキル部分であるが、これに対して、R34がCl-4アルキルアミノ置換基を有する場合、これはR34に結合しているアミノ部分であり、同様の決まりが他の基に当てはまることとする。
【0051】
あらゆる疑念を回避するために、X1がC2-4アルカノイルである場合、これはヘテロ芳香族オキシインドール基に結合しているカルボニル部分であり、また、これはR4に結合
しているアルキル部分であり、同様の決まりが他の基に当てはまる。
【0052】
本発明は、上記で定義された式Iの化合物の使用およびそれらの塩に関する。医薬組成物に使用される塩は、製薬上許容し得る塩であるが、その他の塩も式Iの化合物およびその製薬上許容し得る塩の製造に有用であり得る。
【0053】
有機および無機の両方の酸が、非毒性の製薬上許容し得る本発明の化合物の酸付加塩の形成に用いることができる。
【0054】
本発明の化合物の、製薬上許容し得る適当な塩は、例えば酸付加塩、例えば無機または有機酸との塩である。更に、本発明の化合物の、製薬上許容し得る適当な塩は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩または有機塩基との塩である。
【0055】
いくつかの式Iの化合物は、キラル中心および/または幾何異性中心(E−およびZ−異性体)を有し得、そして本発明は、このような全ての光学異性体、ジアステレオ異性体、および幾何異性体を包含するものとする。
【0056】
本発明はまた、式Iの化合物のいかなるそして全ての互変異性形態に関する。
【0057】
製造方法
中間体
式Iの化合物の遊離塩基またはその塩の製造において使用される中間体は、化学的に関連する化合物の製造に適用できる、任意の既知の方法により製造することができる。このような方法には、例えばPCT出願WO97/42187に説明される方法が挙げられる。
【0058】
最終生成物の製造方法
本発明のもう1つの目的は、式I、IbおよびIcの化合物の製造方法に関する。
【0059】
方法Aは、R2がカルボキシである式Ibの化合物の製造を説明しており、該方法は、
【化2】

式Ia[式中、R2はC1-6アルコキシカルボニルであり、R1、R3、mおよびnは一般式Iにおいて定義したとおりである]の化合物を加水分解して、式Ib[式中、R2はカ
ルボキシであり、R1、R3、mおよびnは一般式Iにおいて定義したとおりである]の化合物を得ることから成り、これは酸性条件下で、例えば水、エタノール、メタノールまたはこれらの混合物のような適当な溶剤中で、H2SO4、HClまたはHBrのような酸を用いて、+20℃〜+100℃の反応温度で行うことができ、または塩基性条件下で、例えば水、エタノール、メタノールまたはこれらの混合物のような適当な溶剤中で、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムのような塩基を用いて、+20℃〜+100℃の反応温度で行うこともできる。
【0060】
方法Bは、R2がR41である式Icの化合物の製造を説明しており、該方法は、
【化3】

式Ib[式中、R2はカルボキシであり、R1、R3、mおよびnは一般式Iにおいて定
義したとおりである]の化合物をアミド化して、式Ic[式中、R2はR41であり、X1はCONR56であり、R1、R3、R4、R5、R6、mおよびnは一般式Iにおいて定義
したとおりである]の化合物を得ることから成り、これは式Ib[式中、R2はカルボキ
シである]の化合物を、カップリング試薬、例えば、1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド ヒドロクロリドおよび1−ヒドロキシベンゾトリア
ゾール水和物もしくはヒドロキシベンズイミダゾール、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミドおよび1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物、1,1’−カルボニルジイミダゾール、もしくは、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートで処理することによって、またはハロゲン化アシル試薬、例えば塩化シアヌル、塩化オキサリル、塩化チオニル、もしくはブロモトリスピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェートを用いることによって活性化し、続いて、N,N−ジメチルアミノピリジンの存在下または非存在下で、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン、塩化メチレンまたはクロロホルムのような適当な溶剤中で、0℃〜+80℃の反応温度で、適当なアミンにより処理することによって行うことができる。
【0061】
別法として、式Iの化合物は方法Cにより製造することができ、該方法は、
【化4】

式II[式中、L1はSCH3またはハロゲン、例えば塩素もしくは臭素のような脱離基であり、R3およびmは一般式Iにおいて定義したとおりである]の化合物を、式III
[式中、R1、R2、およびnは一般式Iにおいて定義したとおりである]の化合物と反応させることから成る。
【0062】
このようにして、該方法における反応を、適当な溶剤、例えばテトラヒドロフランもしくは1,4−ジオキサンのようなエーテル、トルエンのような芳香族炭化水素系溶剤、またはN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジン−2−オンもしくはジメチルスルホキシドのような両極性非プロトン性溶剤中で行うことができ、この反応は、+10〜+150℃、好ましくは+20〜+90℃の範囲の温度で、都合よく達成される。この反応は、塩基の存在下で有利に達成される。このような塩基は、ピリジン、2,6−ルチジン、コリジン、4−ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミン、モルホリン、N−メチルモルホリンまたはジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、テトラメチルグアニジンのような有機アミン塩基、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムのようなアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩もしくは水酸化物であってよい。別法として、このような塩基は、水素化ナトリウムのようなアルカリ金属水素化物、またはナトリウムアミド、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド、カリウムアミドもしくはカリウムビス(トリメチルシリル)アミドのようなアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属のアミドであってよい。酸性塩を得ることが望ましい場合は、慣用の手順を用いて遊離塩基を酸で処理してよい。
【0063】
中間体
本発明は更に、新規化合物、および上記で定義された式Iの化合物の製造におけるこれらの化合物の使用に関する。
【0064】
本発明の1つの態様において、化合物は、式II
【化5】

[式中、
1は、SCH3であり;
3は、R102であり、
ここで、X2は、O、CH2、S、SO、SO2、NR11CO、CONR12、SO2NR13、NR14SO2またはNR15(ここでR11、R12、R13、R14およびR15はそれぞれ独立
して水素、C1-3アルキルまたはC1-3アルコキシC2-3アルキル)であるか、またはX2
直接結合であり;そして、
10は、C1-5アルキルX421(ここで、X4は、OまたはNR26(ここでR21および
26は独立して水素、C1-3アルキル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル)である)
であり;そして、
mは、1または2である]
の化合物である。
【0065】
本発明の1つの態様において、化合物は、
2−ヒドロキシ−3−[7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン−4−イル]−1H−インドール−5−カルボン酸、
メチル2−ヒドロキシ−3−[7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン−4−イル]−1H−インドール−5−カルボキシレート
であり、式IIの化合物は式Iの化合物の製造に使用される。
【実施例】
【0066】
ここで、本発明を以下の非制限的な実施例により説明する。
【0067】
実施例1
メチル2−ヒドロキシ−3−[7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン−4−イル]−1H−インドール−5−カルボキシレート
水素化ナトリウム(58mg、1.45mmol、油中60%)を石油エーテル(3×5mL)で洗浄し、真空下で乾燥した。固体をテトラヒドロフラン(3mL)に懸濁し、テトラヒドロフラン(2mL)中のメチル2−オキソ−5−インドリンカルボキシレート(140mg、0.73mmol)およびN−メチルピロリジノン(2mL)を加えた。反応混合物を室温で30分間撹拌した。テトラヒドロフラン(2mL)およびN−メチルピロリジノン(1mL)中の4−クロロ−7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン(183mg、0.77mmol、WO 97/42187に記載される)の溶液を加え、反
応混合物を室温で1.5時間撹拌した。溶剤を真空下で除去し、1M 塩酸を加えた。生
成した沈殿を濾過し、真空中40℃で、1晩乾燥して、橙色固体として表題化合物150mg(収率99%)を得た:MS(AP+)m/z 394.2(M++1)。
【0068】
実施例2
2−ヒドロキシ−3−[7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン−4−イル]−1H−インドール−5−カルボン酸
メチル2−ヒドロキシ−3−[7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン−4−イル]−1H−インドール−5−カルボキシレート(5.15g、13.1mmol)、メタノール(100mL)および水(50mL)の混合物に、水酸化ナトリウム水溶液(92mL、1M)を加え、反応混合物を40℃で1晩撹拌した。メタノールを真空中で除去して、塩基性の水層を1M 塩酸で酸性化し、30分間撹拌した。生成した沈殿を濾過し、塩
酸(50mL、1M)および水(2×50mL)で洗浄し、真空中、50℃で1晩乾燥した。粗生成物をメタノール中、室温で1晩撹拌した。固体を濾過して、橙色固体として表題化合物4.23g(収率85%)を得た:MS(AP+)m/z 380.3(M++1)。
【0069】
実施例3−11
一般方法A
2−ヒドロキシ−3−[7−(2−メトキシエトキシ)−キナゾリン−4−イル]−1H−インドール−5−カルボン酸(2.0g)、(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド ヒドロクロリド(2.2g)、およびヒドロキシベンズイミダゾ
ール(1.54g)を、N−メチルピロリジノン(160mL)に懸濁して、ストック溶
液Aを調製した。N,N−ジメチルアミノピリジン(2.8g)をN−メチルピロリジノン(40mL)に溶解して、ストック溶液Bを調製した。溶液A(8mL、2−ヒドロキシ−3−[7−(2−メトキシエトキシ)−キナゾリン−4−イル]−1H−インドール−5−カルボン酸:100mg、0.26mmol、1等量;(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド ヒドロクロリド:110mg、0.51mmol、
2.2等量;ヒドロキシベンズイミダゾール:77mg、0.57mmol、2.2等量に相当)を、所望のアミン(0.4mmol、1.5等量)を入れた反応容器に加えて、アミド化反応を行った。溶液B(2mL、N,N−ジメチルアミノピリジン:140mg、1.14mmol、4.4等量に相当)を加えて、得られた溶液を室温で1晩撹拌した。溶剤を真空中で除去して粗生成物を得た。
【0070】
実施例3
3−[7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン−4−イル]−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−5−カルボン酸(2−オキソアゼパン−3−イル)アミド
(3S)−3−アミノアゼパン−2−オン(50mg、0.40mmol)を用いて、方法Aに記載したように反応を行った。粗生成物をアセトニトリルで磨砕して、表題化合物109mg(収率86%)を得た:MS(AP+)m/z 490.3(M++1)。
【0071】
実施例4
2−ヒドロキシ−3−[7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン−4−イル]−1H−インドール−5−カルボン酸[3−(メチルフェニルアミノ)プロピル]アミド
N−(3−アミノプロピル)−N−メチルアニリン(0.07mL、0.395mmol)を用いて、方法Aに記載したように反応を行った。粗生成物を酢酸エチルで磨砕した。固体をデカントし、メタノールで洗浄して、表題化合物35mg(収率26%)を得た:MS(AP+)m/z 526.3(M++1)。
【0072】
実施例5
2−ヒドロキシ−3−[7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン−4−イル]−1H−インドール−5−カルボン酸[3−(1−ヒドロキシエチル)フェニル]アミド ヒドロ
クロリド
3−(1−ヒドロキシエチル)アニリン(55mg、0.395mmol)を用いて、方法Aに記載したように反応を行った。粗生成物を塩酸(1M)で磨砕して、表題化合物71mg(収率55%)を得た:MS(AP+)m/z 499.2(M++1)。
【0073】
実施例6
2−ヒドロキシ−3−[7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン−4−イル]−1H−インドール−5−カルボン酸(1H−ベンゾイミダゾール−2−イルメチル)アミド
2−(アミノメチル)ベンズイミダゾール ジヒドロクロリド(88mg、0.395
mmol)を用いて、方法Aに記載したように反応を行った。粗生成物をアセトニトリルで磨砕して、表題化合物28mg(収率21%)を得た:MS(AP+)m/z 509
.3(M++1)。
【0074】
実施例7
2−ヒドロキシ−3−[7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン−4−イル]−1H−インドール−5−カルボン酸(4−シクロヘキシルフェニル)アミド ヒドロクロリド
4−シクロヘキシルアニリン(69mg、0.395mmol)を用いて、方法Aに記載したように反応を行った。粗生成物を塩酸(1M)で磨砕して、表題化合物110mg(収率79%)を得た:MS(AP+)m/z 537.3(M++1)。
【0075】
実施例8
2−ヒドロキシ−3−[7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン−4−イル]−1H−インドール−5−カルボン酸[2−(5−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミド ヒドロクロリド
5−メチルトリプタミン ヒドロクロリド(83mg、0.395mmol)を用いて
、方法Aに記載したように反応を行った。粗生成物を塩酸(1M)で磨砕して、表題化合物101mg(収率73%)を得た:MS(AP+)m/z 536.2(M++1)。
【0076】
実施例9
2−ヒドロキシ−3−[7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン−4−イル]−1H−インドール−5−カルボン酸 4−スルファモイルベンジルアミド
4−(アミノメチル)ベンゼンスルホンアミド ヒドロクロリド(0.06mL、0.
395mmol)を用いて、方法Aに記載したように反応を行った。粗生成物をメタノールで磨砕し、固体を熱メタノールから再結晶して、表題化合物72mg(収率51%)を得た:MS(AP+)m/z 548.3(M++1)。
【0077】
実施例10
2−ヒドロキシ−3−[7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン−4−イル]−1H−インドール−5−カルボン酸(4,4−ジエトキシブチル)アミド
4,4−ジエトキシブチルアミン(0.07mL、0.395mmol)を用いて、方法Aに記載したように反応を行った。粗生成物をアセトンで洗浄し、固体を熱メタノールで洗浄して、表題化合物10mg(収率7.4%)を得た:MS(AP+)m/z 52
3.3(M++1)。
【0078】
実施例11
2−ヒドロキシ−3−[7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン−4−イル]−1H−インドール−5−カルボン酸(1−ベンジルピペリジン−4−イル)アミド ヒドロクロ
リド
ベンジル−4−ピペリジルアミン(0.08mL、0.395mmol)を用いて、方法Aに記載したように反応を行った。粗生成物をアセトンで磨砕した。得られた固体を塩酸(1M)中で撹拌し、濾過し、真空中で乾燥して、表題化合物39mg(収率27%)を得た:MS(AP+)m/z 552.4(M++1)。
【0079】
医薬組成物
本発明の1つの態様によれば、痴呆関連疾患、アルツハイマー病、およびグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3関連症状、並びに次に挙げる他の症状の治療および/または予防に使用するための、式Iの化合物の遊離塩基またはその塩を含む医薬組成物が提供される。
【0080】
該組成物は、経口投与に適当な形態、例えば錠剤、丸剤、シロップ剤、粉剤、顆粒剤もしくはカプセル剤、非経口注射(静脈内、皮下、筋内、血管内、もしくは注入を含む)に適当な形態、例えば無菌液剤、懸濁剤もしくは乳剤、局所投与に適当な形態、例えば軟膏剤、パッチ剤もしくはクリーム剤、または直腸投与に適当な形態、例えば坐剤であってよい。
【0081】
一般に、上記の組成物は、製薬上許容し得る担体または希釈剤を用いて慣用の方法で製造できる。
【0082】
ヒトを含む哺乳動物の治療における式Iの化合物の適当な日用量は、経口投与では約0.01〜250mg/kg体重であり、非経口投与では約0.001〜250mg/kg体重である。活性成分の典型的な日用量は広い範囲で変化し、関連する兆候、投与経路、
患者の年齢、体重および性別のような様々な因子によって決まり、医師が決定することができる。
【0083】
医療用途
驚くべきことに、本発明において定義した化合物の遊離塩基またはその塩は、治療に有用であることが分かった。本発明の化合物は、グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(GSK3)の阻害に非常に適している。従って、本発明の化合物はグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3活性に関連する症状の治療および/または予防に有用であると考えられ、即ち本化合物は、このような治療および/または予防が必要なヒトを含む哺乳動物において、GSK3の阻害効果を引き起こすために用いることができると考えられる。
【0084】
GSK3は、中枢および末梢神経系において、および他の組織において高度に発現される。従って、本発明の化合物は、中枢および末梢神経系におけるグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3関連症状の治療および/または予防に非常に適していると考えられる。特に、本発明の化合物は、痴呆関連疾患およびアルツハイマー病の治療および/または予防のための医薬の製造に適していると考えられる。
【0085】
痴呆関連疾患は、前頭頭頂性痴呆パーキンソン型、Guamパーキンソン痴呆複合、HIV痴呆、神経原線維変化病理関連疾患、前痴呆状態(predemented state)、血管性痴
呆、レビー小体痴呆、前頭頭頂性痴呆およびボクサー痴呆から成る群より選ばれる。本発明の化合物はまた、筋萎縮性側索硬化症、大脳皮質基底核変性症、ダウン症候群、ハンチントン病、パーキンソン病、脳萎縮後パーキンソン症、進行性核上麻痺、ピック病、ニーマン−ピック病、卒中、脳損傷、および他の慢性神経変性疾患、双極性疾患、情動障害、うつ病、統合失調症、認知障害、脱毛症の治療および/または予防のための医薬の製造に、および避妊薬の製造に適していると考えられる。
【0086】
本発明の化合物は、更に、軽度の認知機能障害、加齢関連記憶障害、加齢関連認知衰退、非痴呆性認知機能障害(Cognitive Impairment No Dementia)、軽度の認知衰退、軽度の神経性認知衰退(neurocognitive decline)、Late−Life健忘症、記憶障害および認知障害、並びに男性ホルモン性脱毛症の治療および/または予防のための医薬の製造に適していると考えられる。
【0087】
本発明はまた、グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3関連症状の治療および/または予防のための医薬の製造における、上記で定義した式Iの化合物の使用に関する。
【0088】
本明細書の文脈において、それに反する特定の指示がないならば、「治療」なる用語は「予防」も包含する。「治療的」および「治療的に」なる用語は適宜に解釈されるべきである。
【0089】
本発明はまた、痴呆関連疾患、アルツハイマー病およびグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3関連症状、並びに上記に挙げた他の症状の治療および/または予防が必要な、ヒトを含む哺乳動物に、治療有効量の上記で定義された式Iの化合物を投与することから成る、このような疾患を治療および/または予防する方法を提供する。
【0090】
非医薬用途
治療用医薬におけるそれらの用途に加えて、式Iの化合物の遊離塩基またはその塩は、新規治療剤を探索する一環として、ネコ、イヌ、ウサギ、サル、ラットおよびマウスのような実験動物における、GSK3に関連する活性の阻害効果を評価するための、インビトロおよびインビボ試験システムの開発および標準化における薬理学的ツールとして有用である。
【0091】
薬理学
シンチレーション近接GSK3βアッセイにおける、ATP競合の測定
GSK3βシンチレーション近接アッセイ
競合実験を、底が透明なマイクロタイタープレート(Wallac、Finland)において、1
0種の異なる濃度の阻害剤を用いて2連で行った。ビオチン化ペプチド基質、Biotin−Ala−Ala−Glu−Glu−Leu−Asp−Ser−Arg−Ala−Gly−Ser(PO3H2)−Pro−GIn−Leu(AstraZeneca、Lund)を、1mU組替えヒトGSK3β(Dundee University、UK)、12mMモルホリンプロパンエタンスルホン酸(MOPS)、pH7.0、0.3mM EDTA、0.01% β−メルカプトエタノール、0.004% Brij35(天然界面活性剤)、0.5%グリセロール、および0.5μg BSAを含むアッセイバッファー 25μl中に最終濃度1μMで加えた。アッセイ容量 25μlで、0.04μCi[γ−33P]ATP(Amersham, UK)および非標識ATPを最終濃度1μMで添加して反応を開始した。20分間室温でインキュベーションした後に、5mM EDTA、50μM ATP、0.1%Triton X−100および0.25mgストレプトアビジン被覆シンチレーション近接アッセイ(SPA)ビーズ(Amersham, UK)を含む停止溶液25μlを添加して、各反応を終了した。6時間後に、液体シンチレーションカウンター(1450 MicroBeta Trilux, Wallac)において放射活性を測定した。阻害曲線を、GraphPad Prism, USAを用いて、非線形回帰により分析した。様々な化合物の阻害定数(Ki)の計算に用いる、GSK3βについてのATPのKm値は、20μMであった。
【0092】
次の略語を用いた:
ATP アデノシントリホスファターゼ
BSA ウシ血清アルブミン
EDTA エチレンジアミンテトラ酢酸
GSK3 グリコーゲンシンターゼキナーゼ3
MOPS モルホリンプロパンスルホン酸
SPA シンチレーション近接アッセイ
【0093】
結果
本発明の化合物についての標準Ki値は、約0.001〜約10,000nMの範囲で
あった。その他のKi値は、約0.001〜約1000nMの範囲であった。更に他のKi値は、約0.001nM〜約300nMの範囲であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊離塩基またはその塩である、式I
【化1】

の化合物。
上記式中、
1は、水素であり;
2は、カルボキシ、C2-6アルコキシカルボニル、または基R41であり、
ここで、X1は、CONR56(ここで、R5は水素またはC1-2アルキルであり、R6はC1-4アルキルまたは結合であり、ここで、R4はR6に結合している)であり;そして、
4は、NRAB、ORA、CH(OC1-6アルキル)2、または独立してO、SおよびNから選ばれる1個または2個のヘテロ原子を有する7員の複素環式基であり、該複素環式基は飽和であっても、または不飽和であってもよく、また該複素環式基は、ヒドロキシ、オキソ、ハロゲノ、C1-3アルキル、C3-6シクロアルキル、C1-3アルコキシ、C1-3アルカノイルオキシ、C1-3アルキルOH、C1-3アルキルフェニル、カルバモイル、N−C1-4アルキルカルバモイル、N,N−ジ(C1-4アルキル)カルバモイル、アミノスルホニル、N−C1-4アルキルアミノスルホニル、N,N−ジ(C1-4アルキル)アミノスルホニル、トリフルオロメチル、シアノ、アミノ、ニトロおよびC1-4アルコキシカルボニルから独立して選ばれる1個または2個の置換基で置換されていてよく、そして、該7員複素環式基は、場合により、C、N、OまたはSから独立して選ばれる原子を含む5員または6員の、飽和または不飽和の環と縮合していてよく、該環は、ヒドロキシ、オキソ、ハロゲノ、トリフルオロメチル、C1-3アルキル、C3-6シクロアルキル、C1-3アルコキシ、シアノ、アミノおよびニトロから独立して選ばれる1個または2個の置換基で置換されていてよく;または、
4は、フェニル、または独立してO、SおよびNから選ばれる1個もしくは2個のヘテロ原子を有する5員もしくは6員の複素環式基であり、該複素環式基は飽和であっても、または不飽和であってもよく、該フェニルまたは複素環式基は、オキソ、C3-6シクロアルキル、C1-3アルキルOH、C1-3アルキルフェニル、カルバモイル、N−C1-4アルキルカルバモイル、N,N−ジ(C1-4アルキル)カルバモイル、アミノスルホニル、N−C1-4アルキルアミノスルホニルおよびN,N−ジ(C1-4アルキル)アミノスルホニルから独立して選ばれる1個または2個の置換基で置換されていてよく;または、
4は、フェニル、または独立してO、SおよびNから選ばれる1個または2個のヘテロ原子を有する5員または6員の複素環式基であり、該複素環式基は飽和であっても、または不飽和であってもよく、該フェニルまたは複素環式基は、ヒドロキシ、オキソ、ハロゲノ、C1-3アルキル、C3-6シクロアルキル、C1-3アルコキシ、C1-3アルカノイルオキシ、C1-3アルキルOH、C1-3アルキルフェニル、カルバモイル、N−C1-4アルキルカルバモイル、N,N−ジ(C1-4アルキル)カルバモイル、アミノスルホニル、N−C1-4アルキルアミノスルホニル、N,N−ジ(C1-4アルキル)アミノスルホニル、トリフル
オロメチル、シアノ、アミノ、ニトロおよびC1-4アルコキシカルボニルから独立して選ばれる1個または2個の置換基で置換されていてよく、そして該フェニルまたは5員もし
くは6員の複素環式基は、C、N、OまたはSから独立して選ばれる原子を含む、5員または6員の、飽和または不飽和の環と縮合しており、この環は、ヒドロキシ、オキソ、ハロゲノ、トリフルオロメチル、C1-3アルキル、C3-6シクロアルキル、C1-3アルコキシ
、シアノ、アミノおよびニトロから独立して選ばれる1個または2個の置換基で置換されていてよく;そして、
AおよびRBは、水素、C1-6アルキル、フェニルおよびベンジルから独立して選ばれ;
3は、R102であり、
ここで、X2はOであり;そして、
10は、C1-5アルキルX421であり、ここで、X4は、Oであり、R21は、水素またはC1-3アルキルである;
mは、1、2、3または4であり;
nは、1、2、3または4である。
【請求項2】
式中:
2が、基R41であり、
ここで、X1は、CONR56(ここで、R5は水素またはC1-2アルキルであり、R6はC1-4アルキルまたは結合であり、そしてここで、R4はR6に結合している)であり;そして、
4は、NRAB、ORA、CH(OC1-6アルキル)2、または独立してO、SおよびNから選ばれる1個または2個のヘテロ原子を有する7員の複素環式基であり、該複素環式基は飽和であっても、または不飽和であってもよく、また該複素環式基は、ヒドロキシ、オキソ、ハロゲノ、C1-3アルキル、C3-6シクロアルキル、C1-3アルコキシ、C1-3アルカノイルオキシ、C1-3アルキルOH、C1-3アルキルフェニル、カルバモイル、N−C1-4アルキルカルバモイル、N,N−ジ(C1-4アルキル)カルバモイル、アミノスルホニル、N−C1-4アルキルアミノスルホニル、N,N−ジ(C1-4アルキル)アミノスルホニル、トリフルオロメチル、シアノ、アミノ、ニトロおよびC1-4アルコキシカルボニルから独立して選ばれる1個または2個の置換基で置換されていてよく、そして該7員複素環式基は、場合により、C、N、OまたはSから独立して選ばれる原子を含む、5員または6員の、飽和または不飽和の環と縮合していてよく、該環は、ヒドロキシ、オキソ、ハロゲノ、トリフルオロメチル、C1-3アルキル、C3-6シクロアルキル、C1-3アルコキシ、シアノ、アミノおよびニトロから独立して選ばれる1個または2個の置換基で置換されていてよく;または、
4は、フェニル、または独立してO、SおよびNから選ばれる1個もしくは2個のヘテロ原子を有する5員もしくは6員の複素環式基であり、該複素環式基は飽和であっても、または不飽和であってもよく、また該フェニルまたは複素環式基は、オキソ、C3-6シクロアルキル、C1-3アルキルOH、C1-3アルキルフェニル、カルバモイル、N−C1-4アルキルカルバモイル、N,N−ジ(C1-4アルキル)カルバモイル、アミノスルホニル、N−C1-4アルキルアミノスルホニルおよびN,N−ジ(C1-4アルキル)アミノスルホニルから独立して選ばれる1個または2個の置換基で置換されていてよく;または、
4は、フェニル、または独立してO、SおよびNから選ばれる1個もしくは2個のヘテロ原子を有する5員もしくは6員の複素環式基であり、該複素環式基は飽和であっても、または不飽和であってもよく、また該フェニルまたは複素環式基は、ヒドロキシ、オキソ、ハロゲノ、C1-3アルキル、C3-6シクロアルキル、C1-3アルコキシ、C1-3アルカノイルオキシ、C1-3アルキルOH、C1-3アルキルフェニル、カルバモイル、N−C1-4アルキルカルバモイル、N,N−ジ(C1-4アルキル)カルバモイル、アミノスルホニル、N−C1-4アルキルアミノスルホニル、N,N−ジ(C1-4アルキル)アミノスルホニル、トリフルオロメチル、シアノ、アミノ、ニトロおよびC1-4アルコキシカルボニルから独立して選ばれる1個または2個の置換基で置換されていてよく、そして該フェニルまたは5員もしくは6員の複素環式基は、C、N、OまたはSから独立して選ばれる原子を含む
5員または6員の、飽和または不飽和の環と縮合しており、該環は、ヒドロキシ、オキソ、ハロゲノ、トリフルオロメチル、C1-3アルキル、C3-6シクロアルキル、C1-3アルコキシ、シアノ、アミノおよびニトロから独立して選ばれる1個または2個の置換基で置換されていてよく;そして、
AおよびRBは、水素、C1-6アルキル、フェニルおよびベンジルから独立して選ばれる、
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式中、R4が、NRAB、ORA、CH(OC1-6アルキル)2、または独立してO、SおよびNから選ばれる1個もしくは2個のヘテロ原子を有する7員の複素環式基であり、該複素環式基は飽和であっても、または不飽和であってもよく、また該複素環式基は、ヒドロキシ、オキソ、ハロゲノ、C1-3アルキル、C3-6シクロアルキル、C1-3アルコキシ、C1-3アルカノイルオキシ、C1-3アルキルOH、C1-3アルキルフェニル、カルバモイル、N−C1-4アルキルカルバモイル、N,N−ジ(C1-4アルキル)カルバモイル、アミノスルホニル、N−C1-4アルキルアミノスルホニル、N,N−ジ(C1-4アルキル)アミノスルホニル、トリフルオロメチル、シアノ、アミノ、ニトロおよびC1-4アルコキシカルボニルから独立して選ばれる1個または2個の置換基で置換されていてよく;
AおよびRBは、水素、C1-6アルキルおよびフェニルから独立して選ばれる、
請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
式中、R4が、フェニル、または独立してOおよびNから選ばれる1個もしくは2個のヘテロ原子を有する5員もしくは6員の複素環式基であり、該複素環式基は飽和であっても、または不飽和であってもよく、また該フェニルまたは複素環式基は、オキソ、C3-6シクロアルキル、C1-3アルキルOH、C1-3アルキルフェニル、カルバモイル、N−C1-4アルキルカルバモイル、N,N−ジ(C1-4アルキル)カルバモイル、アミノスルホニル、N−C1-4アルキルアミノスルホニルおよびN,N−ジ(C1-4アルキル)アミノスルホニルから独立して選ばれる1個または2個の置換基で置換されていてよい、
請求項1または2に記載の化合物。
【請求項5】
式中、R4が、フェニル、または独立してO、SおよびNから選ばれる1個もしくは2個のヘテロ原子を有する5員もしくは6員の複素環式基であり、該複素環式基は飽和であっても、または不飽和であってもよく、また該フェニルまたは5員もしくは6員の複素環式基は、C、N、OまたはSから独立して選ばれる原子を含む、5員または6員の、飽和または不飽和の環と縮合しており、該環は、ヒドロキシ、オキソ、ハロゲノ、トリフルオロメチル、C1-3アルキル、C3-6シクロアルキル、C1-3アルコキシ、シアノ、アミノおよびニトロから独立して選ばれる1個または2個の置換基で置換されていてよい、
請求項1または2に記載の化合物。
【請求項6】
式中、R2が5および/または6位において置換されており、R3が6、7および/または8位において置換されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
式中、R2がカルボキシまたはC2-6アルコキシカルボニルである、請求項1、および3〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
【化2】

適当な溶剤中で適当な加水分解試薬を用いて、+10℃〜+100℃の範囲の温度で、式Ia[式中、R2はC1-6アルコキシカルボニルであり、R1、R3、mおよびnは請求項1の一般式Iにおいて定義したとおりである]の化合物を加水分解して、式Ib[式中、R2はカルボキシであり、R1、R3、mおよびnは請求項1の一般式Iにおいて定義したとおりである]の化合物を得ることから成る、式Ib[式中、R2はカルボキシである]の化合物の製造方法。
【請求項9】
【化3】

適当な溶剤中で適当な加水分解試薬を用いて、0℃〜+80℃の範囲の温度で、式Ib[式中、R2はカルボキシであり、R1、R3、mおよびnは請求項1の一般式Iにおいて定義したとおりである]の化合物をアミド化して、式Ic[式中、R2はR41であり、X1はCONR56であり、R1、R3、R4、R5、R6およびmは請求項1の一般式Iにおいて定義したとおりである]の化合物を得ることから成る、式Ic[式中、R2はR41である]の化合物の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の式Iの化合物の製造のための、
2−ヒドロキシ−3−[7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン−4−イル]−1H−インドール−5−カルボン酸、および、
メチル2−ヒドロキシ−3−[7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン−4−イル]−1H−インドール−5−カルボキシレートの化合物。

【公開番号】特開2010−13459(P2010−13459A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−197766(P2009−197766)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【分割の表示】特願2003−556407(P2003−556407)の分割
【原出願日】平成14年12月18日(2002.12.18)
【出願人】(391008951)アストラゼネカ・アクチエボラーグ (625)
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
【Fターム(参考)】