説明

発作および発作性障害を処置するための化合物ならびに方法

本発明は、脳細胞における解糖を調節することによって、動物において発作性障害(特に、癲癇、疼痛、片頭痛、失神、双極性障害、精神病、不安、ストレス誘導性の障害)を緩和するための方法を提供する。好ましい化合物は、2−デオキシ−D−グルコースである。この動物は、ヒトであり、より好ましくは癲癇を有するヒトであり、そして最も好ましくは医学的に難治性の癲癇もしくは薬物抵抗性の癲癇を有する成人のヒトまたは若年のヒトである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、本明細書中に参考として明確に援用される米国仮特許出願第60/580,436号(2004年6月17日出願)に基づく優先権を主張する。
【0002】
本発明は、National Institutes of Healthによる助成金番号NS025020の下で政府支援によってなされた。政府は、本発明において一定の権利を有する。
【0003】
(発明の背景)
(1.発明の分野)
本発明は、動物において発作性障害を緩和するための方法に関する。特に、本発明は、脳細胞においてその代謝の完全性を維持しつつ解糖を調節することによる癲癇の軽減に関する。具体的に、本発明は、疼痛、および特に神経障害性疼痛を含む発作、癲癇ならびに神経学的機能および神経精神医学的機能における他の発作性の変化を処置するための、抗解糖化合物(例えば、2−デオキシ−D−グルコース(2−DG))の抗痙攣剤および抗癲癇剤としての使用に関する。
【背景技術】
【0004】
(2.発明の背景)
中枢神経系の機能は、発作、失神、疼痛、片頭痛、および一過性虚血を含む種々の発作性の変化によって損なわれ得る。脳の神経細胞は、非常に複雑であるが、組織化された様式で機能する。神経細胞のある程度または全ての機能の一時的な突然の中断は、「発作」をもたらす。各個体は、「発作の閾値」または発作に抵抗するレベルを有し:この閾値は、各者さまざまであり、それらの遺伝子構造および他の発症因子にほぼ起因する(非特許文献1)。
【0005】
繰り返される発作を有する傾向にある者は、癲癇に罹患し得る。癲癇は、成人200人に1人が発症し、そして小児100人に1人が発症する、共通の深刻な神経学的状態についての総称である(非特許文献2)。癲癇は、脳における発作性の激しい放電によって引き起こされる短い不随意行動性の変化である発作の再発所見によって定義される。癲癇の原因は異種性であり、そしてこの原因としては、誕生から老衰までの任意の時点で存在し得る多種多様な遺伝的な病因、代謝性の病因、発育性の病因、外傷性の病因、腫瘍性の病因、および血管性の病因が挙げられる。
【0006】
癲癇の診断は、臨床的判断に基づき、そして脳波によって裏付けられ得、そしていくつかの場合において、MRIおよび血液検査によって裏付けられ得る。発作は、内在する病因または病理の症状の発現と見なされ得る。ときとして、癲癇は、内在する病因を直接処置することによって寛解され得るが、異常な放電および発作を抑制する抗痙攣薬物(例えば、フェニトイン、ギャバペンチン、ラモトリジン、フェルバメート、およびトピラメートなど)は、慣習的な処置の中心である(非特許文献3)。現在、利用可能な抗痙攣薬物は、約50%の患者において発作を抑制するのに有効であり、別の30〜35%の患者においては中程度に有効であって発作を軽減させ、そして残りの15%〜20%の患者においては有効ではない。現在使用される抗痙攣薬物の作用機構は、複雑であり、そしてそのほとんどの部分については不明であるが、鎮痙作用の共通の一般的な様式は、ナトリウムイオン(Na)チャネル機能の拮抗作用(反復的な頻度依存性のニューロン放電(neuronal discharge)を改変する)、およびγ−アミノ酪酸およびグルタミン酸媒介性のシナプス伝達の改変(神経回路における興奮と阻害とのバランスを都合よく変える)を含む。これらの薬物はまた、他の発作性障害の処置に有効であり、この障害としては、失神、痙攣性の失神、片頭痛、神経障害性疼痛、ならびに双極性障害、情動障害、不安障害、ストレス障害、および衝動障害(impulse disorder)を含む、発作性かまたは間欠性である行動の異常を伴う神経精神医学的状態が挙げられる。さらに、抗痙攣薬はまた、神経保護を提供し、そして脳卒中および虚血の実験モデルにおいて梗塞のサイズを減少させる。
【0007】
神経外科手術は、薬物処置が有効でない少ない割合の者における代替的な処置様式である。現代の医薬による処置にもかかわらず再発性の発作を有し続ける患者(約50%の患者)は、医学的に難治性であると見なされ、そしてこれらの患者の下位集団は、発作の頻度および認知の減退の上昇のような進行性の特徴を示す。医学的に難治性の癲癇を有する患者は、通常、外科的切除(surgical resective)による処置を検討され、この処置は、局所的な刺激性病変が同定され得る場合に治癒的であり得る。しかし、難治性の癲癇を有する特定の患者は、これらの患者における複数の刺激性病変の存在に起因して、外科手術による処置の候補者ではない。これは、特に小児ついて当てはまり、これらの小児については、抗癲癇医薬に対して良好に応答しない下位集団が存在する。このような患者について、代替的な治療様式は、治療食(具体的に、「ケトン誘発食」として公知である高脂肪食)である。多くの場合において、このケトン誘発食は、有効であり、かつときとして劇的な、発作の抑制および認知機能の改善をもたらし得る。
【0008】
ケトン誘発食は、慣習的な抗痙攣薬による薬物療法に十分に応答しなかった癲癇を有する小児において数十年間利用されてきた(非特許文献4;非特許文献5)。非常に低い炭水化物を伴うか、または全く炭水化物を伴わず、そして成長のために適したタンパク質のみを伴う高い脂肪摂取量からカロリーを得る、この治療食の鎮痙作用は、ケトーシスおよびケトン(β−ヒドロキシ酪酸およびアセトアセテート)の生成に関する。このケトン誘発食は、極めて効果的であり得、そして重篤な癲癇を有する患者のかなりの下位集団において発作を減少させ得るが、この治療食がどのようにして鎮痙効果をもたらすのかについての理解は、限定されている。ケトン誘発食の目立った特徴の1つは、この鎮痙効果は、この治療食を始めた後、少なくとも数日間〜数週間の間に発現するが、非常に僅かな量の炭水化物の摂取によってでさえ迅速に消失することである。この治療食がケトーシスを誘導し、そしてケトン体(とりわけ、β−ヒドロキシ酪酸およびアセトアセテート)を産生させるが、実験モデルにおいて、ケトン体は、一貫して鎮痙効果または抗癲癇効果と相関しない(非特許文献6;非特許文献7)。
【0009】
その一般的な効力にもかかわらず、ケトン誘発食によって患者(特に、小児)を治療することは、いくつかの不利益を有する。この治療食の開始は、代表的には最長で1週間までの入院を必要とし、そしてこの治療食の効果および利点(すなわち、発作の減少)は、通常すぐには表れず、この治療食が始められたときから1週間〜3ヶ月遅れて表れる。この治療食の維持は、困難である。なぜならこれは、特定の比(通常は、脂肪 対 他の全ての栄養素が3:1〜4:1)の栄養素のバランスを必要とし、そしてたとえ最小限の量でも炭水化物の摂取は、この治療食の発作緩和の利点を排除し得るからである。この治療食自体の副作用としては、悪心、嘔吐、便秘、鬱、不眠、傾眠、不安定(crankiness)、集中力の低下、腎石、体重増加、血清コレステロールの上昇、およびアシドーシスが挙げられる(非特許文献8)。さらに、この治療食は、成人において限定的な有効性を有し、そしてこれを、乳製品に対してアレルギー性である小児に使用するのはさらに困難であり得る。
【非特許文献1】Stafstrom、「Pediatrics in Review」、1998年、第19号、p.335−344
【非特許文献2】HauserおよびHersdorffer、「EPILEPSY:FREQUENCY,CAUSES AND CONSEQUENCES」、1990年、New York、Demos
【非特許文献3】RhoおよびSankar、「Epilepsia」、1999年、第40巻、p.1471−1483
【非特許文献4】Wilder、「Mayo Clinic Proceedings」、1921年、第2巻、p.307−308
【非特許文献5】Freemanら、「Pediatrics」、1998年、第102巻、p.1358−1363
【非特許文献6】StafstromおよびBough、「Nutritional Neuroscience」、2003年、第6巻、p.67−79
【非特許文献7】Boughら、「Developmental Neuroscience」、1999年、第21巻、p.400−406
【非特許文献8】Ballaban−Gilら、「Epilepsia」、1998年、第39巻、p.744−748
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、現在利用可能な抗癲癇薬物および神経外科手術の代替手段を使用して癲癇(特に、医学的に難治性の癲癇)を処置するための方法および化合物の開発に対する必要性が、当該分野において存在する。使用および維持がより容易であり、そして副作用が少なく、かつノンコンプライアンスによる重篤な結果が少ない、ケトン誘発食以外の治療的に有効な食事法(dietary method)を開発する必要性もまた、存在する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(発明の要旨)
本発明は、解糖、および他の(動物において発作性障害を開始するか、維持するか、または持続させることに関与する細胞において解糖を調節するように二次的に変えられる)代謝経路を調節することによって発作性障害(特に、癲癇、痙攣および神経障害性疼痛)を緩和するための方法を提供する。好ましい実施形態において、この動物は、ヒトであり、より好ましくは癲癇を有するヒトであり、そして最も好ましくは医学的に難治性の癲癇もしくは薬物抵抗性の癲癇を有する成人のヒトまたは若年の(juvenile)ヒトである。
【0012】
本発明は、動物において発作性障害(好ましくは癲癇、痙攣および神経障害性疼痛)を処置するための方法を提供し、この方法は、その必要がある動物に有効量の抗解糖化合物を投与する工程を包含する。好ましい実施形態において、この抗解糖化合物は、解糖酵素を阻害し、この解糖酵素としては、ヘキソキナーゼ(E.C.2.7.1.1)、グルコキナーゼ(E.C.2.7.1.2)、グルコース−1−リン酸イソメラーゼ(E.C.5.3.1.9)、6−ホスホフルクト−1−キナーゼ(E.C.2.7.1.11)、フルクトース−二リン酸アルドラーゼ(E.C.4.1.2.13)、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(E.C.1.2.1.12)、トリオースリン酸イソメラーゼ(E.C.5.3.1.1)、ホスホグリセリン酸キナーゼ(E.C.2.7.2.3)、ホスホグリセロムターゼ(E.C.5.4.2.1)、またはピルビン酸キナーゼ(E.C.2.7.1.40)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態において、この化合物は、2−デオキシグルコース(2−DG)または動物において2−デオキシグルコースに変換されるその誘導体である。代替的な実施形態において、この化合物は、グルコースの関連デオキシ置換体(例えば、3−デオキシ−D−グルコース、4−デオキシ−D−グルコース、5−デオキシ−D−グルコース、他のデオキシ−グルコース置換体の組み合わせ(例えば、2,n−デオキシ−D−グルコース(nは3〜5である)、式n,mデオキシ−D−グルコースの順列によって示される化合物(nが2〜5でありそしてmがnを除く2〜5の整数である)))である。さらなる実施形態は、2−DG(例えば、2−デオキシ−D−ガラクトース)へと代謝され得る糖、ならびに二糖実施形態(例えば、2−DGを含むラクトースアナログおよび2−DGを含むスクロースアナログ)ならびにハロゲン化したデオキシ糖の誘導体および他の(上に示されるような)結合体化したデオキシ糖の誘導体(例えば、フルオロ−2−デオキシ−D−グルコース)、2−DGへと代謝される(上に示されるような)結合体化したデオキシ糖、および2−DGと同様の抗解糖効果を有する抗解糖化合物(例えば、3−ブロモピルビン酸)を含む。代替的な実施形態において、本発明に従う抗解糖化合物はグルコーストランスポーターを阻害し、この抗解糖化合物としては、GLUT1(SLC2A1遺伝子によってコードされる,登録番号AC023331)、GLUT2(SLC2A2,AC068853)、GLUT3(SLC2A3,AC007536)、GLUT4(SLC2A4,AC003688)、GLUT5(SLC2A5,AC041046)、GLUT6(SLC2A6,AC002355)、GLUT7(SLC2A7,AL356306)、GLUT8(SLC2A8,AL445222)、GLUT9(SLC2A9,AC005674)、GLUT10(SLC2A10,AC031055)、GLUT11(SLC2A11,AP000350)、GLUT12(SLCA12,AL449363)、またはGLUT13(SLCA13,AJ315644)が挙げられるが、これらに限定されない。なおさらなる代替的な実施形態において、本方法は、細胞と、細胞において代謝の完全性を支持するのに十分である量のラクテート、ピルベート、アセトアセテートまたはβ−ヒドロキシ酪酸とを接触させる工程をさらに包含する。好ましくは、この発作性障害は、癲癇であり、最も好ましくは医学的に難治性の癲癇または薬物抵抗性の癲癇である。好ましい実施形態において、発作の頻度または出現は、約50%、より好ましくは約75%、および最も好ましくは約95%減少する。あるいは、この発作性障害は、神経障害性疼痛である。
【0013】
本発明は、動物において発作性障害(特に、癲癇、痙攣および神経障害性疼痛)を予防するための方法を提供し、この方法は、その必要がある動物に有効量の抗解糖化合物を投与する工程を包含する。好ましい実施形態において、この抗解糖化合物は、解糖酵素を阻害し、この抗解糖化合物としては、ヘキソキナーゼ(E.C.2.7.1.1)、グルコキナーゼ(E.C.2.7.1.2)、グルコース−1−リン酸イソメラーゼ(E.C.5.3.1.9)、6−ホスホフルクト−1−キナーゼ(E.C.2.7.1.11)、フルクトース−二リン酸アルドラーゼ(E.C.4.1.2.13)、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(E.C.1.2.1.12)、トリオースリン酸イソメラーゼ(E.C.5.3.1.1)、ホスホグリセリン酸キナーゼ(E.C.2.7.2.3)、ホスホグリセロムターゼ(E.C.5.4.2.1)、またはピルビン酸キナーゼ(E.C.2.7.1.40)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態において、この化合物は、2−デオキシグルコースまたは動物において2−DGへと変換される2−DGの誘導体である。代替的な実施形態において、この化合物は、グルコースの関連デオキシ置換体(例えば、3−デオキシ−D−グルコース、4−デオキシ−D−グルコース、5−デオキシ−D−グルコース、他のデオキシ−グルコース置換体の組み合わせ(例えば、2,n−デオキシ−D−グルコース(nは3〜5である)、式n,mデオキシ−D−グルコースの順列によって示される化合物(nが2〜5でありそしてmがnを除く2〜5の整数である)))である。さらなる実施形態は、2−DG(例えば、2−デオキシ−D−ガラクトース)へと代謝され得る糖、および二糖実施形態(例えば、2−DGを含むラクトースアナログおよび2−DGを含むスクロースアナログ)ならびにハロゲン化したデオキシ糖の誘導体および他の(上に示されるような)結合体化したデオキシ糖の誘導体(例えば、フルオロ−2−デオキシ−D−グルコース)、2−DGへと代謝される(上に示されるような)結合体化したデオキシ糖、および2−DGと同様の抗解糖効果を有する抗解糖化合物(例えば、3−ブロモピルビン酸)を含む。代替的な実施形態において、本発明に従う抗解糖化合物は、グルコーストランスポーターを阻害し、この抗解糖化合物としては、GLUT1(SLC2A1遺伝子によってコードされる,登録番号AC023331)、GLUT2(SLC2A2,AC068853)、GLUT3(SLC2A3,AC007536)、GLUT4(SLC2A4,AC003688)、GLUT5(SLC2A5,AC041046)、GLUT6(SLC2A6,AC002355)、GLUT7(SLC2A7,AL356306)、GLUT8(SLC2A8,AL445222)、GLUT9(SLC2A9,AC005674)、GLUT10(SLC2AI0,AC031055)、GLUT11(SLC2A11,AP000350)、GLUT12(SLCA12,AL449363)、またはGLUT13(SLCA13,AJ315644)が挙げられるが、これらに限定されない。なおさらなる代替的な実施形態において、本方法は、細胞と、細胞において代謝の完全性を支持するのに十分である量のラクテート、ピルベート、アセトアセテートまたはβ−ヒドロキシ酪酸とを接触させる工程をさらに包含する。好ましくは、この発作性障害は、癲癇であり、最も好ましくは医学的に難治性の癲癇または薬物抵抗性の癲癇である。好ましい実施形態において、発作の頻度または出現は、約50%、より好ましくは約75%、および最も好ましくは約95%減少する。あるいは、この発作性障害は、神経障害性疼痛である。
【0014】
特定のさらなる実施形態において、本発明によって提供される方法は、神経細胞および脳切片において癲癇の同期性のバースト(synchronous bursting)を減少させる。これらの実施形態において、この方法は、この細胞と、有効量の抗解糖化合物とを接触させる工程を包含する。好ましい実施形態において、この抗解糖化合物は、解糖酵素を阻害し、この抗解糖化合物としては、ヘキソキナーゼ(2.7.1.1)、グルコキナーゼ(2.7.1.2)、グルコース−1−リン酸イソメラーゼ(5.3.1.9)、6−ホスホフルクト−1−キナーゼ(2.7.1.11)、フルクトース−二リン酸アルドラーゼ(4.1.2.13)、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(1.2.1.12)、トリオースリン酸イソメラーゼ(5.3.1.1)、ホスホグリセリン酸キナーゼ(2.7.2.3)、ホスホグリセロムターゼ(5.4.2.1)、またはピルビン酸キナーゼ(2.7.1.40)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態において、この化合物は、2−デオキシグルコースまたは動物において2−DGへと変換される2−DGの誘導体である。代替的な実施形態において、この化合物は、グルコースの関連デオキシ置換体(例えば、3−デオキシ−D−グルコース、4−デオキシ−D−グルコース、5−デオキシ−D−グルコース、他のデオキシ−グルコース置換体の組み合わせ(例えば、2,n−デオキシ−D−グルコース(nは3〜5である)、式n,mデオキシ−D−グルコースの順列によって示される化合物(nが2〜5でありそしてmがnを除く2〜5の整数である)))である。さらなる実施形態は、2−DGへと代謝され得る糖(例えば、2−デオキシ−D−ガラクトース)、および二糖実施形態(例えば、2−DGを含むラクトースアナログおよび2−DGを含むスクロースアナログ)ならびにハロゲン化したデオキシ糖の誘導体および他の(上に示されるような)結合体化したデオキシ糖の誘導体(例えば、フルオロ−2−デオキシ−D−グルコース)、2−DGへと代謝される(上に示されるような)結合体化したデオキシ糖、および2−DGと同様の抗解糖効果を有する抗解糖化合物(例えば、3−ブロモピルビン酸)を含む。代替的な実施形態において、この抗解糖化合物はグルコーストランスポーターを阻害し、この抗解糖化合物としては、GLUT1(SLC2A1,登録番号AC023331)、GLUT2(SLC2A2,AC068853)、GLUT3(SLC2A3,AC007536)、GLUT4(SLC2A4,AC003688)、GLUT5(SLC2A5,AC041046)、GLUT6(SLC2A6,AC002355)、GLUT7(SLC2A7,AL356306)、GLUT8(SLC2A8,AL445222)、GLUT9(SLC2A9,AC005674)、GLUT10(SLC2A10,AC031055)、GLUT11(SLC2A11,AP000350)、GLUT11(SLC2A11,AP000350)、GLUT12(SLCA12,AL449363)、またはGLUT13(SLCA13,AJ315644)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、この神経細胞は、哺乳動物の神経細胞であり、より好ましくはヒトの神経細胞であり、および最も好ましくは成人のヒト神経細胞または若年のヒト神経細胞である。
【0015】
さらなる実施形態において、本発明によって提供される方法は、動物において疼痛(特に、神経障害性疼痛)を予防するか、または疼痛を処置するために使用される。これらの実施形態において、この方法は、動物に有効量の抗解糖化合物を投与する工程を包含する。好ましい実施形態において、この抗解糖化合物は、解糖酵素を阻害し、この抗解糖化合物としては、ヘキソキナーゼ(2.7.1.1)、グルコキナーゼ(2.7.1.2)、グルコース−1−リン酸イソメラーゼ(5.3.1.9)、6−ホスホフルクト−1−キナーゼ(2.7.1.11)、フルクトース−二リン酸アルドラーゼ(4.1.2.13)、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(1.2.1.12)、トリオースリン酸イソメラーゼ(5.3.1.1)、ホスホグリセリン酸キナーゼ(2.7.2.3)、ホスホグリセロムターゼ(5.4.2.1)、またはピルビン酸キナーゼ(2.7.1.40)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態において、この化合物は、2−デオキシグルコースまたは動物において2−DGへと変換される2−DGの誘導体である。代替的な実施形態において、この化合物は、グルコースの関連デオキシ置換体(例えば、3−デオキシ−D−グルコース、4−デオキシ−D−グルコース、5−デオキシ−D−グルコース、他のデオキシ−グルコース置換体の組み合わせ(例えば、2,n−デオキシ−D−グルコース(nは3〜5である)、式n,mデオキシ−D−グルコースの順列によって示される化合物(nが2〜5でありそしてmがnを除く2〜5の整数である)))である。さらなる実施形態は、2−DGへと代謝され得る糖(例えば、2−デオキシ−D−ガラクトース)、および二糖実施形態(例えば、2−DGを含むラクトースアナログおよび2−DGを含むスクロースアナログ)ならびにハロゲン化したデオキシ糖の誘導体および他の(上に示されるような)結合体化したデオキシ糖の誘導体(例えば、フルオロ−2−デオキシ−D−グルコース)、2−DGへと代謝される(上に示されるような)結合体化したデオキシ糖、および2−DGと同様の抗解糖効果を有する抗解糖化合物(例えば、3−ブロモピルビン酸)を含む。代替的な実施形態において、この抗解糖化合物はグルコーストランスポーターを阻害し、この抗解糖化合物としては、GLUT1(SLC2A1,登録番号AC023331)、GLUT2(SLC2A2,AC068853)、GLUT3(SLC2A3,AC007536)、GLUT4(SLC2A4,AC003688)、GLUT5(SLC2A5,AC041046)、GLUT6(SLC2A6,AC002355)、GLUT7(SLC2A7,AL356306)、GLUT8(SLC2A8,AL445222)、GLUT9(SLC2A9,AC005674)、GLUT10(SLC2A10,AC031055)、GLUT11(SLC2A11,AP000350)、GLUT11(SLC2A11,AP000350)、GLUT12(SLCA12,AL449363)、またはGLUT13(SLCA13,AJ315644)であるが、これらに限定されない。好ましくは、この動物は、哺乳動物であり、より好ましくはヒトであり、そして特に、神経障害性疼痛に罹患するヒトである。
【0016】
本発明はまた、本発明の方法に従って処方される、2−デオキシグルコースもしくは動物において2−DGへと変換されるその誘導体、または関連デオキシ置換グルコース化合物(例えば、3−デオキシ−D−グルコース、4−デオキシ−D−グルコース、5−デオキシ−D−グルコース、他のデオキシ−グルコース置換体の組み合わせ(例えば、2,n−デオキシ−D−グルコース(nは3〜5である)、式n,mデオキシ−D−グルコースの順列によって示される化合物(nが2〜5でありそしてmがnを除く2〜5の整数である))、2−DGへと代謝され得る糖(例えば、2−デオキシ−D−ガラクトース)、および二糖実施形態(例えば、2−DGを含むラクトースアナログおよび2−DGを含むスクロースアナログ)、ならびにハロゲン化したデオキシ糖の誘導体および他の(上に示されるような)結合体化したデオキシ糖の誘導体(例えば、フルオロ−2−デオキシ−D−グルコース)、2−DGへと代謝される(上に示されるような)結合体化したデオキシ糖、および2−DGと同様の抗解糖効果を有する抗解糖化合物(例えば、3−ブロモピルビン酸)を含有する薬学的組成物を提供する。薬学的に受容可能な賦形剤、アジュバント、または投与の様式に適合した他の成分と一緒に処方される本発明の薬学的組成物が、提供され、この投与の様式としては、経口経路、非経口経路および局所投与経路が挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】
本発明の方法は、それらが、毒性が低い化合物、または発作障害を処置するために現在使用される抗痙攣薬物および抗癲癇薬物より小さいか、もしくは穏やかな副作用を有する化合物の投与を含むので、有利である。本発明の方法はまた、実行の容易さ、より容易でありかつより可能であるそれらの投与のコンプライアンス、処置コンプライアンスを避けるか、または無視する機会がより少ないこと、血清脂質レベルおよび血清コレステロールレベルに対するより小さい影響、体重減少、より迅速な有効性、およびモニタリングの容易さに起因して、食事方法(例えば、先行技術において公知であるケトン誘発食)より有利である。本発明の方法は、侵襲性がより低くかつ不可逆性がより低い点で、神経外科手術と比較して有利である。
【0018】
本発明の特定の好ましい実施形態は、以下の特定の好ましい実施形態のより詳細な説明および特許請求の範囲から明らかとなる。
【0019】
本発明の理解は、図面を参照することによって容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
本発明は、動物(特に、ヒトであり、そして医学的に難治性の癲癇を有する小児が挙げられる)において発作性障害(特に、癲癇、痙攣および神経障害性疼痛)を緩和するための方法および化合物を提供する。本発明によって提供される方法は、この発作障害を誘起するか、開始するか、または維持することに関与する動物の脳細胞において解糖を調節することによって、動物において発作を減少させることに関する。本発明の方法は、具体的には、治療有効量の抗解糖化合物(特に、2−デオキシグルコースまたは本明細書中に示されるような関連化合物)を、癲癇の動物の脳において抗解糖効果を有するのに有効な量でこの動物に投与する工程を包含する。
【0021】
本明細書中で使用される場合、用語「抗解糖化合物」は、特に、癲癇のバースト(bursting)もしくは同期性バースト(synchronized bursting)に関与する脳細胞においてか、または発作性障害(特に、癲癇、痙攣および神経障害性疼痛)に罹患する動物(好ましくはヒト、および最も好ましくは癲癇を有する成人または若年のヒト)の脳において、グルコース代謝を調節する化合物を包含することを意図する。具体的に、この用語は、解糖酵素(特に、ヘキソキナーゼ(E.C.2.7.1.1)、グルコキナーゼ(E.C.2.7.1.2)、グルコース−1−リン酸イソメラーゼ(E.C.5.3.1.9)、6−ホスホフルクト−1−キナーゼ(E.C.2.7.1.11)、フルクトース−二リン酸アルドラーゼ(E.C.4.1.2.13)、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(E.C.1.2.1.12)、トリオースリン酸イソメラーゼ(E.C.5.3.1.1)、ホスホグリセリン酸キナーゼ(E.C.2.7.2.3)、ホスホグリセロムターゼ(E.C.5.4.2.1)、またはピルビン酸キナーゼ(E.C.2.7.1.40))を阻害する化合物を包含する。この用語はまた、グルコーストランスポータータンパク質(特に、GLUT1(SLC2A1,登録番号AC023331)、GLUT2(SLC2A2,AC068853)、GLUT3(SLC2A3,AC007536)、GLUT4(SLC2A4,AC003688)、GLUT5(SLC2A5,AC041046)、GLUT6(SLC2A6,AC002355)、GLUT7(SLC2A7,AL356306)、GLUT8(SLC2A8,AL445222)、GLUT9(SLC2A9,AC005674)、GLUT10(SLC2A10,AC031055)、GLUT11(SLC2A11,AP000350)、GLUT11(SLC2A11,AP000350)、GLUT12(SLCA12,AL449363)、またはGLUT13(SLCA13,AJ315644)として当該分野において公知であるグルコーストランスポーター)を阻害する化合物を含む。好ましい実施形態において、本発明の抗解糖化合物は、2−デオキシグルコースもしくは動物において2−DGへと変換されるその誘導体、またはグルコースの関連デオキシ置換体(例えば、3−デオキシ−D−グルコース、4−デオキシ−D−グルコース、5−デオキシ−D−グルコース、他のデオキシ−グルコース置換体の組み合わせ(例えば、2,n−デオキシ−D−グルコース(nは3〜5である)、式n,mデオキシ−D−グルコースの順列によって示される化合物(nが2〜5でありそしてmがnを除く2〜5の整数である)))である。さらなる好ましい実施形態において、この抗解糖化合物は、2−DGへと代謝され得る糖(例えば、2−デオキシ−D−ガラクトース)、および二糖実施形態(例えば、2−DGを含むラクトースアナログおよび2−DGを含むスクロースアナログ)ならびにハロゲン化したデオキシ糖の誘導体および他の(上に示されるような)結合体化したデオキシ糖の誘導体(例えば、フルオロ−2−デオキシ−D−グルコース)、2−DGへと代謝される(上に示されるような)結合体化したデオキシ糖、および2−DGと同様の抗解糖効果を有する抗解糖化合物(例えば、3−ブロモピルビン酸)である。より好ましくは、本発明の抗解糖化合物は、2−デオキシ−D−グルコース(2−DG)または3−ブロモピルビン酸であり、これらはまた、解糖経路の酵素を阻害する。
【0022】
本明細書中で使用される場合、用語「発作性障害」としては、発作障害(例えば、点頭癲癇、ミオクローヌス発作および「小運動」発作)、ならびに強直間代性発作および複合型部分発作が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態において、この発作障害は、真性癲癇、症候癲癇および原因不明性癲癇が挙げられる癲癇であり、そしてより好ましくは、癲癇発作が抗癲癇薬物の適切な投与にもかかわらず継続することが意味される、薬物抵抗性の癲癇または医学的に難治性の癲癇である。
【0023】
本明細書中で使用される場合、用語「発作性障害」としてはまた、失神、痙攣性の失神、片頭痛、疼痛、チック、振戦および他の運動障害、ならびに双極性障害、情動障害、不安障害、およびストレス障害を含む発作性か、または間欠性の行動異常を伴う神経精神医学的状態が挙げられる。
【0024】
特に、慢性疼痛および神経障害性疼痛は、その症状が強度および重症度において自発的に変化するだけでなく、損傷したか、もしくは傷害を受けた神経または組織傷害に対する応答に起因して起こる活動電位の発生をもたらすような発作性障害と見なされる。神経障害性疼痛は、末梢神経系および中枢神経系に関する傷害ならびに機能不全に関連する共通の臨床的障害である。神経障害性疼痛の特性としては、感覚異常、異痛症(通常の無害性の触覚刺激に対する有痛性の応答)、および痛覚過敏(侵害刺激に対する上昇した応答)が挙げられる。神経障害性疼痛は、種々の最初の傷害および多様な病因(例えば、直接的な神経の外傷、感染、切断術、外科手術、糖尿病および他の代謝異常)に関連して発症し、そして多くの場合、進行する状態である。神経障害性疼痛の慢性的な特徴の多くは、最初の傷害の帰結だけでなく、持続的な神経の活性および異所的な活動電位の発生の帰結でもある、末梢神経系および中枢神経系における分子レベル、細胞レベル、および回路レベルのプロセスの結果であり得ることが、次第に理解される。これらの理由のために、神経障害性疼痛の病原は、活性依存的な神経の柔軟性の現象と見なされ得る。当業者は、鎮痛剤によって神経障害性疼痛を処置することを試みたが、これらの薬剤は、一般に、療法の継続期間においてのみ、患者の下位集団のみにしか症状の軽減を提供せず、そしていくつかの抗痙攣薬(例えば、ギャバペンチン(GBP))は、この障害において部分的に有効であり得る。結果的に、神経障害性疼痛は、よくても少数の患者において部分的かつ一時的に寛解されるのみであり、そしてより有効な処置は、明確に必要とされる。
【0025】
本明細書中で使用される場合、用語「若年の」は、特に、ヒトに適用される場合、患者は、18歳未満のヒト、より好ましくは16歳未満のヒト、より好ましくは14歳未満のヒト、より好ましくは12歳未満のヒト、最も好ましくは10歳未満のヒトである。
【0026】
本明細書中で使用される場合、用語「ケトン誘発食」は、小児において癲癇に対する薬物療法の代替手段として使用される低炭水化物高脂肪食をいうことを意図する。この治療食の「伝統的」形態において、カロリーは、天然に脂肪が高い食品(例えば、乳脂、チーズ、マヨネーズ、バターおよび油)から提供される。この形態において、この治療食中の、脂肪 対 炭水化物およびタンパク質の割合は、約4:1(重量比、カロリー含有量で9:1の比と等価)である。代替的な形態において、この治療食は、中鎖トリグリセリド(MCT)を補充される。このケトン誘発食は、慣習的な抗痙攣薬による医学療法に対して十分に応答しなかった癲癇を有する小児において数十年間利用されてきた。非常に低い炭水化物を伴うか、または全く炭水化物を伴わない高い脂肪およびタンパク質の摂取量からカロリーを得るこの治療食の鎮痙作用は、ケトーシス、およびケトン(3−ヒドロキシ酪酸およびアセトアセテート)の生成に関連する。この「ケトン誘発」食は、極めて効果的であり得、そして重篤な癲癇を有する患者のかなりの下位集団において発作を減少させ得るが、この治療食がどのようにして鎮痙効果をもたらすのかについての理解は、限定されている。このケトン誘発食の目立った特徴の1つは、この鎮痙効果は、非常に僅かな量の炭水化物の摂取によって迅速に消失することである。ほとんどの調査は、この治療食の抗癲癇効果についてのケトン体の役割に集中したが、この治療食の鎮痙効果がわずかな炭水化物の摂取によって迅速に消失するという観察された特異性には取り組まなかった。
【0027】
本明細書中で使用される場合、「抗癲癇薬物」としては、ギャバペンチン(Neurontin)、カルバマゼピン(Tegretol)、エトスクシミド(Zarontin)、ラモトリジン(Lamictal)、フェルバメート(Felbatol)、トピラメート(Topamax)、ゾニサミド(Zonergran)、チアギャビン(Gabitril)、オクスカルバゼピン(Trileptal)、レベチラセタム(Keppra)、ジバルプロエクスナトリウム(Depakote)、フェニトイン(Dilantin)、フォスフェニトイン(Cerebryx)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
本明細書中で使用される場合、抗解糖化合物の「有効量」または「治療有効量」は、動物(好ましくはヒト、より好ましくは癲癇を有する成人のヒトおよび若年のヒトの両方が挙げられる発作性障害を有するヒト)に投与される場合に、個体が経験する発作の頻度、持続期間または重症度を減少させる量として定義される。この抗解糖化合物の「有効量」は、血中または血漿中の化合物(例えば、2−デオキシグルコース)のナノモル以下〜ミリモルの濃度をもたらす用量であり、そしてこれは、種、薬物動態、および投与の経路に依存する。ラットにおいて、2−DGの「有効用量」は、腹腔内投与または皮下投与によって250mg/kgであるが、より低い用量がまた、有効であり得る。
【0029】
本明細書中で使用される場合、用語「代謝の完全性」は、細胞が生存可能であり、かつ代謝的に活性であり、そして具体的には、アポトーシス性でないか、または低グルコース環境に存在することによって代謝が損なわれないことを意図する。特にこの用語は、細胞のエネルギーバランスおよびその正常なエネルギーの要求を満たす能力が維持されることを意図する。
【0030】
解糖は、グルコースからエネルギーを得るための代謝経路であり、そしてこれは、図1に示される。エネルギー源としてのグルコースの利用は、特定の六炭糖トランスポーターによる細胞内への進入を必要とし、これらのトランスポーターとしては、GLUT1(SLC2A1,登録番号AC023331)、GLUT2(SLC2A2,AC068853)、GLUT3(SLC2A3,AC007536)、GLUT4(SLC2A4,AC003688)、GLUT5(SLC2A5,AC041046)、GLUT6(SLC2A6,AC002355)、GLUT7(SLC2A7,AL356306)、GLUT8(SLC2A8,AL445222)、GLUT9(SLC2A9、AC005674)、GLUT10(SLC2A10,AC031055)、GLUT11(SLC2All,AP000350)、GLUT11(SLC2A11,AP000350)、GLUT12(SLCA12,AL449363)、またはGLUT13(SLCA13,AJ315644)が挙げられるが、これらに限定されない。細胞への進入後、グルコースはリン酸化されて、6−ホスホ−グルコース(6−P−G)を形成し;このリン酸化は、哺乳動物組織において広範に発現されるヘキソキナーゼ、ならびに肝臓およびいくつかの脳細胞において発現されるグルコキナーゼによって行われる。その後、6−P−Gはホスホグルコースイソメラーゼ(E.C.5.3.1.9)によって異性化されて、6−ホスホ−フルクトースを形成する。この反応は、5−炭素グルコース環の開環、次いで2−炭素のヒドロキシル基のケト基への酸化によって起こる4−炭素環を形成する閉環を必要とする。次に6−ホスホ−フルクトースは、6−ホスホフルクトース−1−キナーゼ(E.C.2.7.1.11)によって1,6ジホスホフルクトースへとリン酸化され、そしてこの化合物は、フルクトース−二リン酸アルドラーゼ(E.C.4.1.2.13)によって、グリセルアルデヒド3−リン酸とジヒドロキシアセトンリン酸とに開裂される。この反応において形成されるジヒドロキシアセトンリン酸は、グリセルアルデヒド3−リン酸に変換され、これは、1,3ホスホグリセリン酸を形成するグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(E.C.1.2.1.12)に対する基質である。1,3ホスホグリセリン酸は、3−ホスホグリセリン酸キナーゼ(E.C.2.7.2.3)によって3−ホスホグリセリン酸に変換され、そしてこの反応の3−ホスホグリセリン酸生成物は、ホスホグリセロムターゼ(E.C.5.4.2.1)によって2−ホスホグリセリン酸に変換される。この酵素エノラーゼ(E.C.4.2.1.11)は、2−ホスホグリセリン酸をホスホエノールピルビン酸へと変換し、これは、その後、ピルビン酸キナーゼ(E.C.2.7.1.40)の作用によってピルベートを形成する。次いでピルベートは、その細胞の代謝の状態に依存してラクテートまたはアセチル−CoAへと変換され得る。
【0031】
本発明によって提供される特定の抗解糖化合物、および抗痙攣剤および抗癲癇剤としてそれらを使用するための方法は、解糖を媒介する酵素の少なくとも1つを阻害する。好ましい実施形態において、2−DGは、2−炭素位におけるヒドロキシル基の欠如に起因して、6−ホスホグルコースのフルクトース−6−リン酸への変換を阻害し、解糖経路の機能停止をもたらす。したがって、2−DGは、その他の点で治療食中に存在するグルコースの利用を妨害するので、「低カロリー模倣物」として作用し、そして代謝の破綻のために利用可能である。代替的な実施形態において、例えば、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(E.C.1.2.1.12)(例えば、3−ブロモピルビン酸、および解糖中間体のハロゲン化したアナログ(例えば、1,6−ジクロロ−1,6−ジデオキシ−D−フルクトフラノース(ジクロロデオキシフルクトース、DCF)、l−クロロ−3−ヒドロキシプロパノン、およびブロモピルビン酸を阻害する他の解糖インヒビターが、使用され得る。他の好ましい実施形態は、2−DGのハロゲン化した誘導体(例えば、2−フルオロ−デオキシグルコース−D−グルコースである。代替的な実施形態において、本発明の方法の実施において有用であるヘキソース糖の他のデオキシ誘導体としては、2−デオキシガラクトースが挙げられる。これらの化合物は、アナログの様式で機能し、そしてガラクトースが炭素供給源として使用されるのを防ぐ。代替的な実施形態としてはまた、3−デオキシ−D−グルコース、4−デオキシ−D−グルコース、5−デオキシ−D−グルコース、他のデオキシ−グルコース置換体の組み合わせ(例えば、2,n−デオキシ−D−グルコース(nは3〜5である)、式n,mデオキシ−D−グルコースの順列によって示される化合物(nが2〜5でありそしてmがnを除く2〜5の整数である))、2−DGへと代謝され得る糖(例えば、2−デオキシ−D−ガラクトース)、および二糖実施形態(例えば、2−DGを含むラクトースアナログおよび2−DGを含むスクロースアナログ)ならびにハロゲン化したデオキシ糖の誘導体および他の(上に示されるような)結合体化したデオキシ糖の誘導体(例えば、フルオロ−2−デオキシ−D−グルコース)、2−DGへと代謝される(上に示されるような)結合体化したデオキシ糖、および2−DGと同様の抗解糖効果を有する抗解糖化合物(例えば、3−ブロモピルビン酸)が挙げられ、これらは、本発明の方法に従って使用されるために処方される。
【0032】
特定の実施形態において、本発明は、具体的に、発作、癲癇および神経学的および神経精神医学的な機能不全における他の発作性の変化の処置のための抗痙攣剤および抗癲癇剤として、抗解糖化合物2−デオキシ−D−グルコース(2−DG)およびその薬学的処方物を提供する。本発明は、2−DGおよび(上に示されるような)グルコースの関連デオキシ置換体、解糖をやはり遮断するこれらの化合物のハロゲン化した誘導体および結合体、2−デオキシ−D−ガラクトースのような糖および2−DGへと代謝されて解糖を阻害することによって中枢神経系において作用する他の化合物、ならびに他の代謝経路において解糖阻害の効果を模倣し、そして鎮痙効果および抗癲癇効果を有する、他の代謝経路中の反応を改変する化合物である抗解糖化合物を含む。
【0033】
本明細書中に開示されるように、2−DGは、嗅球のキンドリング刺激によって、ラットにおいてインビボで誘起される発作(発作の誘導および癲癇の誘導の、よく特徴付けられ、かつ当該分野において認められたモデル)に対する鎮痙効果および抗癲癇誘発効果を有した。2−DGはまた、細胞外K濃度[Kの上昇によってインビトロで誘起される癲癇の放電に対して有効であった。2−DGは、解糖を阻害することによって中枢神経系において作用し、これはまた、エネルギー生成に累積的に影響し得る他の代謝経路、細胞内シグナル伝達経路、および細胞機能の長期にわたる調節における効果に関連しており、神経学的機能および神経精神医学的機能(例えば、発作、癲癇、片頭痛、失神、疼痛、不安、および気分障害)における発作性の変化に対する有用な処置をなす。
【0034】
キンドリング刺激の30分前に通常の食餌を与えたラットに対する2−DGの(250mg/kgのIP)の投与は、鎮痙効果をもたらし、そして長期処置は、抗癲癇作用をもたらした。2−DGを注射されたラットにおいて、20回目の刺激において後発射(AD)を誘起するのに必要とされた電流量は、注射前に測定された最初のADをもたらすのに必要とされた電流量の1.45±0.35倍まで増加した。相対的に、この電流量は、コントロールの動物における最初のADのために必要とされた電流の0.83±0.15まで減少した(p=0.016)。閾値におけるこの上昇は、鎮痙効果を実証した。慢性的に繰り返し誘起された発作に対する応答におけるAD閾値の減少の防止は、未処置のラットにおいて普通に観察され、抗癲癇誘発効果を実証した。これらの結果は、2−DGが抗痙攣薬および抗癲癇薬物として使用され得ることを実証した。キンドリングは、進行性かつ難治性の癲癇の当該分野で認識されたモデルである(Cavazosら、1991、Journal of Neuroscience 11:2795−2803)ので、これらの結果はまた、抗痙攣薬および抗癲癇薬物の新規の分類としての2−DGおよび関連する化学的同属種の使用を支持し、これらの薬物は、現行の薬物が機能しない場合に役立ち得る。抗痙攣薬はまた、種々の発作性障害および神経精神医学的な障害においても有効な処置であるので、本発明はまた、これらの状態の処置のために有用である。
【0035】
2−DGは、当該分野において公知であり、そして2−DG自体およびその誘導体は、特に、ヒトにおける虚血性心疾患および脳の発作、ならびに特定の悪性腫瘍を診断するために、心筋の陽電子放出型断層撮影(PET)スキャンにおける放射標識されたトレーサー分子として医学的に使用されてきた(www.fda.gov/cder/regulatorv/pet/fdgoncologyfinal.htm(2003年12月23日にアクセスした)を参照のこと)。2−DGはまた、乳癌に対する化学療法剤として使用されてきた(Kaplanら、1990、Cancer Research 50:544−551)。
【0036】
本明細書中で提供されるように、2−DGを含有する薬学的組成物およびこの組成物を使用する方法は、D−立体異性体のような2−デオキシグルコースの調製物、およびD−2−デオキシグルコースとL−2−デオキシグルコースとの任意の組み合わせを含むそのラセミ体混合物を含むことが理解されるが、但し、D−立体異性体の%は、0より大きい。2−DGは、市販されており、そして好ましくは薬学産業の基準および指針に従い、そして全ての関連する規制基準を遵守して生産される。2−DGはまた、当該分野において十分に確立された方法を使用して合成され得る(例えば、THE MERCK INDEX、第12版、Monograph 2951、New Jersey:Merck & Co.、1997;Bergmannら、1922、Ber.55:158; Snowdenら、1947、JACS 69:1048;Bolligerら、1954、Helv.Chim.Acta 34:989;Bolliger、1962、「2−Deoxy−D−arabino−hexose(2−Deoxy−d−gulucose)」、METHODS IN CARBOHYDRATE CHEMISTRY、第I巻、(WhistlerおよびWolfram編)、New York Academic Press、pp.186,189を参照のこと)。
【0037】
本発明はまた、上記抗解糖化合物の薬学的組成物としての実施形態を提供する。本発明の薬学的組成物は、それ自体が公知である様式(例えば、従来の混合プロセス、溶解プロセス、顆粒化プロセス、糖剤作製プロセス、すりつぶし(levigating)プロセス、乳化プロセス、カプセル化プロセス、封入プロセスまたは凍結乾燥プロセスによって)で製造され得る。
【0038】
本発明の抗解糖化合物の薬学的組成物は、処方されて、そして全身投与、局所投与(localized administration)、または局所投与(topical administration)を含む種々の手段によって投与され得る。処方および投与のための技術は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、Mack Publishing Co.、Easton、PAに見出され得る。投与の様式は、身体中の所望の標的部位に対する送達を最大化するように選択され得る。適切な投与の経路としては、例えば、経口投与、直腸投与、経粘膜投与、経皮投与、または腸管投与;筋肉内注射、皮下注射、髄内注射、およびくも膜下腔内注射、直接的な脳室内注射、静脈内注射、腹腔内注射、鼻腔内注射、または眼内注射を含む非経口送達が挙げられ得る。
【0039】
あるいは、ある者は、全身的な様式よりもむしろ、例えば、この化合物の特定の組織への直接的な注射(多くの場合に、デポーまたは徐放性処方物)を介して、局所的な様式で抗解糖化合物を投与し得る。具体的に、本発明の抗解糖化合物および処方物は、組織における局所的効果を達成するデバイスおよび局所注入システムによって、局所的に投与され得る。
【0040】
したがって、本発明の方法に従う使用のための薬学的組成物は、抗解糖化合物を薬学的に使用され得る調製物へと加工することを容易にする賦形剤および助剤を含む1種以上の生理学的に受容可能なキャリアを使用する従来様式で処方され得る。適切な処方物は、選択される投与の経路に依存する。
【0041】
上記抗解糖化合物は、注射による(例えば、ボーラス注射または持続的注入による)非経口投与のために処方され得る。注射のための処方物は、単位投薬形態(例えば、添加された保存料を含むアンプルまたは複数用量容器)で存在し得る。これらの組成物は、油性ビヒクルまたは水性ビヒクル中の懸濁物、溶液またはエマルションのような形態をとり得、そして処方用(formulatory)薬剤(例えば、懸濁剤、安定化剤および/または分散剤)を含み得る。
【0042】
非経口投与のための薬学的処方物は、水溶性形態の活性化合物の水性溶液を含む。さらに、抗解糖化合物の懸濁物は、適切な油性注射用懸濁物として調製され得る。適切な新油性溶媒または新油性ビヒクルとしては、脂肪油(例えば、ゴマ油)もしくは合成脂肪酸エステル(例えば、オレイン酸エチルまたはトリグリセリド)、またはリポソームが挙げられる。水性注射用懸濁物は、この懸濁物の粘度を増加させる物質(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストラン)を含み得る。必要に応じて、この懸濁物はまた、安定剤、または高濃度の溶液の調製を可能にするためにこの化合物の溶解性を増加させる適切な薬剤を含み得る。あるいは、この活性成分は、適切なビヒクル(例えば、発熱物質を含まない滅菌水)による使用前の構成のために、粉末形態であり得る。これらの化合物はまた、例えば、ココアバターまたは他のグリセリドのような従来の坐剤ベースを含む坐剤または保留浣腸(retention enema)のような直腸用組成物中に処方され得る。
【0043】
注射に関して、抗解糖化合物は、適切な水性溶液(例えば、生理学的適合性の緩衝液(例えば、Hank溶液、Ringer溶液、乳酸化Ringer溶液、または生理食塩緩衝液))中に処方され得る。経粘膜投与および経皮投与に関して、透過されるべき障壁に対して適切な浸透剤(penetrant)が、この処方物中に使用される。一般的に、このような浸透剤は、当該分野において公知である。
【0044】
経口投与に関して、抗解糖化合物は、これらの活性化合物と当該分野において周知である薬学的に受容可能なキャリアとを組み合わせることによって容易に処方され得る。このようなキャリアは、処置される患者による経口摂取のために、本発明のこの化合物が、錠剤、丸剤、糖剤、カプセル、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー、懸濁剤などとして処方されることを可能にする。経口使用のための薬学的調製物は、固体の賦形剤によって得られ得る。これは、所望される場合、(錠剤のコア(core)または糖剤のコアを得るために)適切な助剤を添加した後に、ここで得られた混合物は、必要に応じて粉砕され、そして顆粒の混合物が加工される。特に、適切な賦形剤は、糖類(例えば、ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールが挙げられる);セルロース調製物およびデンプン調製物(例えば、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガントガム、微結晶セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および/またはポリビニルピロリドン(PVP)のような)のようなフィラーである。所望される場合、崩壊剤(例えば、架橋したポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸またはその塩(例えば、アルギン酸ナトリウム))が、添加され得る。
【0045】
糖剤のコアは、適切なコーティングによって提供される。この目的のために、濃縮された糖の溶液が使用され得、これは、必要に応じて、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル(carbopol gel)、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液(lacquer solution)、ならびに適切な有機溶媒または有機溶媒の混合物を含み得る。染料または顔料は、活性化合物用量の異なる組み合わせを識別するかまたは特徴付けるために、錠剤または糖剤のコーティングに添加され得る。
【0046】
経口的に使用され得る薬学的処方物としては、ゼラチンから作製される、押し込んで嵌める(push−fit)カプセル、ならびにゼラチンおよび可塑剤(例えば、グリセロールまたはソルビトール)から作製される密閉軟質カプセルが挙げられる。この押し込んで嵌めるカプセルは、フィラー(例えば、ラクトース)、結合剤(例えば、デンプン)、および/または滑沢剤(例えば、タルク、またはステアリン酸マグネシウム)、ならびに必要に応じて安定化剤と混合して活性成分を含み得る。軟質カプセルにおいて、抗解糖化合物は、適切な液体(例えば、脂肪油、流動パラフィン、または液体ポリエチレングリコール)中に溶解されても、懸濁されてもよい。さらに、安定化剤が、添加され得る。経口投与のためのあらゆる処方物は、このような投与に適した投薬量であるべきである。口腔粘膜投与のために、上記組成物は、従来様式で処方される錠剤またはロゼンジの形態をとり得る。
【0047】
吸入による投与のために、本発明に従って使用するための抗解糖化合物は、適切な噴霧剤(例えば、ジクロロフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロメタン、二酸化炭素または他の適切な気体)の使用によって、加圧されたパックまたは噴霧器からエアロゾル噴霧を与える形態で便利に提供され得る。加圧されたエアロゾルの場合において、この投薬単位は、測定された量を送達するための弁を提供することによって決定され得る。例えば、吸入器(inhaler)または吸入器(insufflator)において使用するためのゼラチンのカプセルおよびカートリッジは、化合物の混合粉末および適切な粉末ベース(例えば、ラクトースまたはデンプン)を含むように処方され得る。
【0048】
これまでに記載された処方物に加えて、抗解糖化合物はまた、デポー調製物として処方され得る。このような長く作用する処方物は、移植物(例えば、皮下または筋肉内)によって投与されても、筋肉内注射によって投与されてもよい。したがって、例えば、これらの抗解糖化合物は、適切なポリマー物質もしくは(例えば、受容可能な油におけるエマルションのような)適切な疎水性物質もしくはイオン交換樹脂と共に処方されても、または噴霧可能な可溶性の誘導体(例えば、噴霧可能な可溶性の塩)として処方されてもよい。
【0049】
本発明の抗解糖化合物の疎水性実施形態のための薬学的キャリアは、ベンジルアルコール、非極性界面活性剤、水混和性の有機性ポリマー、および水相を備える共溶媒系である。この共溶媒系は、VPD共溶媒系であり得る。VPDは、3%(w/v)のベンジルアルコール、8%(w/v)の非極性界面活性剤ポリソルベート80、および65%(w/v)のポリエチレングリコール300の、無水エタノール中の容量で構成される溶液である。このVPD共溶媒系(VPD:5W)は、水溶液中の5%デキストロースによって1:1に希釈されたVPDから構成される。この共溶媒系は、疎水性化合物をよく溶解し、そしてそれ自体は、全身投与の際に、低い毒性をもたらす。必然的に、共溶媒系の割合は、その溶解性および毒性の特性を壊すことなく、大幅に変えられ得る。さらに、この共溶媒構成成分の同一性は、変更され得る:例えば、他の低毒性の非極性界面活性剤が、ポリソルベート80の代わりに使用され得;ポリエチレングリコールの分画サイズが、変更され得;他の生体適合性ポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン)が、ポリエチレングリコールと置き換えられ得;そして他の糖類または多糖類が、デキストロースと置き換えられ得る。
【0050】
あるいは、他の送達系が、利用され得る。リポソームおよびエマルションは、疎水性薬物のための送達ビヒクルまたは送達キャリアの例として周知である。特定の有機溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド)がまた、利用され得るが、通常は、より大きい毒性の負担が存在する。さらに、抗解糖化合物は、徐放系(例えば、治療剤を含む固体の疎水性ポリマーの半透性マトリックス)を使用して送達され得る。種々の徐放用物質は、当該分野において確立されおり、そして当業者に周知である。徐放カプセルは、それらの化学的性質に依存して、数週間から最長で100日間にわたってこれらの抗解糖化合物を放出し得る。
【0051】
上記薬学的組成物はまた、適切な固相もしくはゲル相のキャリアまたは賦形剤を含有し得る。このようなキャリアまたは賦形剤の例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、種々の糖類、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、およびポリエチレングリコールのようなポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
本発明において使用するのに適した薬学的組成物としては、活性成分がその意図される目的を達成する有効量で含まれる組成物が挙げられる。より具体的に、治療有効量は、処置される被験体の現存する症状の発達を予防するか、またはそれを緩和するのに有効な量を意味する。有効量の決定は、特に、本明細書中に提供される詳細な開示に照らして、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0053】
本発明はまた、食糧、食品サプリメント(food supplement)または動物(好ましくはヒト、より好ましくは癲癇を有するヒト、および最も好ましくは医学的に難治性か、もしくは薬物抵抗性の癲癇を有する成人のヒトまたは若年のヒト)のための食物の成分として、抗解糖化合物の処方物を提供する。
【0054】
本発明の方法において使用される任意の抗解糖化合物に関して、治療有効用量は、本明細書中に開示されるようなインビトロアッセイ、もしくは当該分野で認識される動物モデル系、またはその組み合わせを使用して最初に見積もられ得る。例えば、用量は、インビトロで決定されるようなEC50(50%増加させるための有効量)を含む循環濃度範囲(すなわち、発作の頻度の最大の半量を達成する試験化合物の濃度)を達成する動物モデルにおいて処方され得る。このような情報が使用されて、ヒトにおいて有用な用量がより正確に決定され得る。
【0055】
しかし、任意の特定の患者に対する特定の用量レベルは種々の因子に依存することが、理解され、これらの因子としては、利用される抗解糖化合物の活性、体重、一般的な健康状態、性別、食事、投与の時間、投与の経路、ならびに排泄の速度、薬物の組み合わせ、療法を受ける患者の特定の発作障害の重症度および程度ならびに処方する医師の判断が挙げられ、そして特に、成人であっても、若年であっても、小児であっても、乳児であってもよい患者の年齢が挙げられる。
【0056】
本発明によって提供される好ましい抗解糖化合物は、特定の薬理学的性質を有する。このような性質としては、経口的なバイオアベイラビリティー、低い毒性、低い血清タンパク質結合ならびにインビトロおよびインビボにおける望ましい半減期が挙げられるが、これらに限定されない。アッセイが使用されて、これらの所望の薬理学的性質が予測され得る。バイオアベイラビリティーを予測するために使用されるアッセイとしては、ヒト腸管細胞単層(Caco−2細胞単層が挙げられる)を横切る輸送が挙げられる。血清タンパク質結合は、アルブミン結合アッセイから予測され得る。このようなアッセイは、Oravcovaらによる概説に記載される(1996、J.Chromat.B 677:1−27)。抗解糖化合物のインビトロでの半減期は、KuhnzおよびGieschenによって記載されるようなミクロソームの半減期のアッセイから予測され得る(1998、Drug Metabolism and Disposition、26:1120−1127)。
【0057】
上記抗解糖化合物の毒性および治療的有効性は、例えば、LD50(50%の集団において致死的な用量)およびED50(50%の集団において治療的に有効な用量)を決定するために、細胞培養物または実験動物における標準的な薬学的手順によって決定され得る。毒性効果と治療効果との間の用量の比は、治療指数であり、そしてそれは、LD50とED50との間の比として示され得る。高い治療指数を示す抗解糖化合物が、好ましい。これらの細胞培養アッセイおよび動物研究から得られるデータは、ヒトにおいて使用するための投薬量の範囲を処方するのに使用され得る。このような抗解糖化合物の投薬量は、好ましくは、ほとんど毒性を伴わないか、または全く毒性を伴わずに、ED50を誘導する循環濃度の範囲内にある。この投薬量は、利用される投薬形態および利用される投与の経路に依存して、この範囲内で変化し得る。正確な処方、投与の経路および投薬量は、患者の状態の観点から、個々の医師によって選択され得る(例えば、Finglら、1975、「The Pharmacological Basis of Therapeutics」、第1章、p.1を参照のこと)。
【0058】
例えば、投薬量および2−DGの投与間隔は、発作の頻度、継続期間または強度を減少させるために、250mg/kg以下の用量から、発作の頻度を減少させ、そして毒性を最小化することを許容するようなより高い用量まで、個別に調製され得る。650mg/kgの用量は、ラットにおいてよく許容された。3ヶ月間250mg/kgで1日に2回投与された2−DGの鎮痙効果は、1日に2回の刺激を継続しながら2−DGを中止した後、約8週間持続した。このことは、2−DGの効果が、かなり長期にわたることを示す。当該分野の医師は、長期にわたる鎮痙効果および抗癲癇効果をもたらすために、500mg/kg〜600mg/kgまでの範囲において投薬量を調整し得、そして投与の時期を調整し得る。効果的な投薬量は、有効な投薬量レベルを確立するための基準として治療的有効性の測定(例えば、発作の頻度または重症度の減少)を使用して、小児においては約l4mg/kgの2−DGに調整され得、そして成人においては40mg/kgの2−DGに調整され得る。
【0059】
代替的な実施形態(例えば、可逆的に解糖を阻害する抗解糖化合物)に関して、この化合物の投薬量および投与の時期は、発作の頻度、継続期間または強度を減少させるのに十分であるこれらの抗解糖化合物の血漿レベルを提供するために、個別に調整され得る。
【0060】
本明細書中に開示される薬学的組成物は、発作(好ましくは、癲癇発作)のような発作性の事象の出現前、出現の間、または出現後に投与され得、そして投与の経路および投与される用量は、適宜選択される。例えば、発作の間の本発明の薬学的組成物の投与は、好ましくは安全かつ有効な投与経路(とりわけ、これらの実施形態において経口処方物を含まなくともよい投与経路)を使用する、迅速に生物学的に利用される投薬量である。
【0061】
本発明は、動物(好ましくは、成人のヒトまたは若年のヒト)において発作の頻度、継続期間または強度を減少させる方法を提供する。本発明の方法は、発作の頻度、継続期間または強度を、処置される患者の少なくとも50%、より好ましくは60%、より好ましくは70%、より好ましくは80%、より好ましくは90%、より好ましくは95%、より好ましくは98%、およびより好ましくは99%減少させるのに有効である。好ましい実施形態において、本発明の方法は、本明細書中に開示される本発明の薬学的組成物を使用して実施される。
【0062】
以下の実施例は、本発明の特定の実施形態、およびその種々の使用の例示である。それらは、例示目的のためのみに示され、そして本発明の限定として受け止められるべきではない。
【実施例】
【0063】
(実施例1)
キンドリング性(kindled)発作に対する2−DGの鎮痙作用および抗癲癇作用
2−デオキシグルコース(2−DG)の鎮痙効果および抗癲癇効果を、側頭葉癲癇のキンドリング(kindling)モデルにおいて評価した。
【0064】
上記キンドリングモデルにおいて、インビボにおける神経路の頻回の活性化は、進行性の無症状発作および行動性の発作、さらなる発作に対する感受性の永続的な増加を誘導し、そして最終的に自発性の発作を誘導する(Goddardら、1969、Experimental Neurology 25:295−330;Pinel、1978、Experimental Neurology 58:190−202;Wadaら、1975、Canadian Journal of Neurological Sciences 2:477−492;Sayinら、2003、Journal of Neuroscience 23:2759−2768)。キンドリングは、最も広く研究されている癲癇の実験モデルとなった(McNamara、1999、Nature 399:A15−22)。代表的なキンドリングプロトコールにおいて、毎日1回または2回送達される周期的な刺激は、同調的で電気的な後発射(AD)または行動性の発作を伴う無症状発作の増加を徐々に誘起する。一旦キンドリング性発作が繰り返し誘導されると、頻回の発作に対する感受性は、一生続くので、永続的であると見なされ得る。キンドリングは、両生類、哺乳類、および霊長類を含むさまざまな種において、種々の神経路の電気的か、または化学的な活性化によって誘導され得る(MorrellおよびTsuru、1976、Electroencephalography and Clinical Neurophysiology 40:1−11;WadaおよびMizoguchi、1984;Epilepsia 25:278−287)。キンドリングは、脳において永続的な変化を誘導し、そして種々の刺激によってさまざまな種において誘起され得るので、長期的な脳の柔軟性の現象および側頭葉癲癇のモデルと見なされてきた。辺縁系の刺激によって誘起される、短く反復的なキンドリング性発作の行動性の特徴は、二次的な汎化を伴うヒトの複合型部分発作と共通点がある。げっ歯類における辺縁系のキンドリングの初期段階において、各刺激は、刺激によって誘起される二次的な全身性発作に進む短い部分発作を伴うADを誘起する。この特徴は、癲癇誘発性であるキンドリングによって誘導される、進行性の機能的変化の例である。
【0065】
2−DGの鎮痙効果および抗癲癇効果を実証するためのインビボ実験を、以下の通りに行った。成体雄Sprague−Dawleyラット(250g〜350gの間の体重であり、Harlan,Madison,WIから入手した)を、ケタミン(筋肉内に80mg/kg)およびキシラジン(筋肉内に10mg/kg)によって麻酔し、そしてこのラットに、刺激および記録のために絶縁ステンレス鋼の双極電極を定位的に移植した。この電極を、嗅球(ブレグマに対して、9.0mm前方、1.2mm側方、1.8mm腹側)または貫通線維(ブレグマに対して8.1mm後方、4.4mm側方、3.5mm腹側)に移植し、そしてアクリルによって頭蓋に固定した。電極配置後の2週間の回復期間の後に、拘束されない、覚醒している、移植を受けたラットに、キンドリング性発作を誘導するために、1秒間連続する62ヘルツ(Hz)の二相性の定電流の1.0ミリ秒(ms)の方形波パルスによるキンドリング刺激を、1日に2回与えた(1週間あたり5日)。この脳波を、キンドリング刺激の送達のための刺激装置に切り換えた双極電極から記録した。刺激の初日において、各ラットに、連続する500マイクロアンペア(μA)の刺激を与えた。ADが誘起された場合、この強度を、その後の刺激に使用した。ADが誘起されなかった場合、この刺激強度を、ADが誘起されるまで、500μA、700μA、900μA、1000μA、1100μA、1200μA、1300μAおよび1400μAの順に増加した。最初にADを誘起した強度を、その後の刺激のために使用した。1400μAでADを誘起できなかった場合、その後の日まで続けて、この同じ強度の連鎖を最大1500μAまで増加した。ADが、所与の強度にて、3連続の刺激によって誘起された場合、その後、刺激強度を、100μAずつ減少させた。500μAを下回る刺激強度においては、この強度を、30μAずつ減少させた。これらの刺激手順は、ADを誘起するのに必要とされる最も低い強度で刺激を送達する(SutulaおよびSteward、1986、Journal of Neurophysiology 56:732−746;Cavazosら、1991、Journal of Neuroscience 11:2795−2803)。誘起された行動性の発作を、標準的な判定基準に従ってクラス分けし、そしてクラスIの発作(行動の停止)〜二次的な汎化を伴う複合型部分発作に匹敵するクラスVの発作(姿勢の緊張の喪失を伴う両側性で強直間代性の運動活性)に分類した。
【0066】
嗅球に電極の移植を受けたラットに、上に記載されるプロトコールに従って刺激を与えた。初回のAD閾値を決定し、そしてこのAD閾値を、AD閾値および2−DG処置の効果に対する、繰り返し誘起したキンドリング性発作の効果を比較するためのベースラインとして使用した。3回目の誘起したADを達成した後、ラットの下位集団に、1日2回のキンドリング刺激の各々の30分前に、2−DG(250mg/kg)を腹腔内に与え、そしてこれらのラットを、電極を移植した未処置のコントロールラットと比較した(このコントロールラットにも、キンドリング刺激を与えた)。2−DG処置群に割り振ったラットについての平均のベースラインAD閾値は、975±125μAであった。20回目の刺激の後、達成された平均AD閾値は、1400±57μAであった。このプロトコールは1500μAを超えて拡大しなかったが、このAD閾値に対する効果は、さらに高くなり得る。この未処置ラットにおける初回のAD閾値は、400±89μAであり、そして多くの以前の研究と一致して、この平均AD閾値は、20回目の刺激後に、330±35μAまで減少した。未処置のコントロールラットにおけるAD閾値の予想した減少と対照的に、2−DGによって処置したラットにおけるAD閾値の上昇は、2−DGの明白な鎮痙効果を実証した。
【0067】
上記AD閾値に対する2−DGの効果の時間経過を調べるため、および群間の比較を可能にするために、各ラットに対する刺激強度を、ベースラインのADに必要とされる強度によって分け、そしてADを誘起する刺激の数の関数としてプロットした。これらの標準化した刺激強度を、プロットし、そして2−DG処置群とコントロール群との間で比較した。
【0068】
これらの結果を、図2A〜図2Cに示す。2−DGの投与は、徐々に上昇する鎮痙効果をもたらし、そしてまた、継続的な処置によって抗癲癇効果をもたらした。2−DGを注射したラットの群において、ADを誘起するのに必要とされるAD電流閾値は、徐々に上昇し、そして20回目の刺激において、1.45±0.35μAのベースラインAD閾値まで上昇した。相対的に、正常なラットにおけるAD電流閾値は、徐々に減少し、そして20回目の刺激後に、0.83±0.15μAのベースラインまで減少した(処置群と比較した差は有意である、p=0.016、t検定)。この未処置群と比較した2−DG処置群における閾値の上昇は、鎮痙効果を実証した。キンドリングが、正常にAD閾値の漸減を誘導するので(図2Aを参照のこと)、慢性的に繰り返し誘起される発作に応答したAD閾値の漸減ではなく、2−DGによって徐々に誘起されるAD閾値の上昇が、抗癲癇誘発効果を実証する。これらの研究の結果は、確立された実験動物モデルにおいて、2−DGが抗痙攣薬および抗癲癇薬の両方として有効であることを実証した。
【0069】
2−DGの鎮痙効果および抗癲癇効果を、上に記載されるプロトコールに従う貫通線維刺激によって誘起されるキンドリング性発作を経験したラットにおいて確認した。2−DGは、生理食塩水を与えたコントロールラット(n=12)と比較して、貫通線維刺激を与えたラット(n=15)におけるAD閾値を上昇させた(p<0.001、ANOVA、図2B)。貫通線維刺激を与え、2−DGで処置したラット(n=11)は、最初のクラスVの全汎性強直間代発作の里程標に到達するために、27.7±6.0ADを必要とした(生理食塩水処置したコントロールにおける12.9±1.3ADと比較する)(n=10、p<0.03、t検定)。2−DGで処置したラットは、クラス3、クラス4、およびクラス5の発作に到達するのに、生理食塩水処置したコントロールより多いADを必要とした(表1、p<0.03、ANOVAおよび図2Cを参照のこと)。これらの結果は、2−DGが、刺激の場所または発作の発生部位に依存しなかった誘起された発作およびキンドリングの進行に対する、鎮痙効果および抗癲癇効果を有することを、実証した。
【0070】
【表1】

上記AD閾値に対する2−DGの効果をまた、繰り返し誘起された発作を経験するキンドリング性ラットについて図3に示す。繰り返し誘起された発作は、最初に1500μA〜200μAであったAD閾値の漸減を伴った。250mg/kgの用量での2−DGの腹腔内(IP)投与は、1日2回刺激した約2〜3週間の間に、1500μAに向ってAD閾値の上昇を徐々に誘導た。このことは、2−DGの鎮痙効果が、繰り返しの投与の間に、徐々に発達し続け得ることを示唆する。AD閾値に対する徐々に上昇する鎮痙効果はまた、AD閾値が1日2回の2−DG処置の中止後6週間高いままであったように、非常に持続性であった。
【0071】
(実施例2)
(海馬切片における同期性バーストに対する2−DGの効果)
キンドリング性ラットにおいて観察した2−DGの鎮痙効果をさらに確かめるために、体外(ex corpora)でラット海馬切片において、[Kの上昇によって誘導される同期性バーストに対する2−DGの効果を、評価した。
【0072】
これらの実験において、生後14日目〜生後35日目の雄Sprague−Dawleyラットを、麻酔し、そして断頭した。脳を取り出し、そしてこれを、95%のOおよび5%のCOで継続的にバブリングした氷冷した人工脳脊髄液(ACSF)(124mMのNaCl、5mMのKCl、1.25mMのNaHPO、1.5mMのMgSO、および26mMのNaHCO含有、10mMのグルコース補充)に移した。横断海馬切片(約400ミクロン)を、Leica VT1000sビブラトーム(Wetzlar Germany)上で調製した。この切片を、室温で1時間回復させ、次いで7.5mMの[Kを含むACSF中の34℃のインターフェース型記録チャンバー(interface recording chamber)に移した。細胞外記録を、150mMのNaClで満たしたガラス管微小電極を使用したAxioclamp 2B(Axon Instruments、Forest City、CA)によってCA3領域から作成した。データを、記録し、そしてPClamp8(Axon Instruments)を使用して分析した。
【0073】
同期性バーストを、7.5mMの最終濃度まで[Kを補充したACSF中で海馬切片をインキュベートすることによって誘導した。ベースラインの記録を、高い[Kに対して1時間曝露し、そしてバースト頻度が安定化した後に得た。その後、バーストを、1mMの2−DGを含むACSF中で記録した。これらの実験の結果を、図4A〜図4Cに示す。このバースト頻度は、図4Bおよび図4Cの記録ならびに図5Aおよび図5Bの棒グラフに示すように、2−DGの付加後に徐々に減少した。
【0074】
図5Bに示すように、2−DGの鎮痙効果は、7.5mMの[Kを含むが、2−DGを含まないACSFへ海馬切片を戻した後、60分程度持続した。この知見は、2−DGがグルコーストランスポーターによって取り込まれた後に細胞中に捕捉され、そして2−DGは、この組織からおそらく流出しないことを実証する、以前の研究と合致した。
【0075】
2−DGの鎮痙効果が、解糖の阻害の結果としての神経細胞および脳細胞に対する減少したエネルギー供給に起因するか否かをさらに決定するために、バーストに対する2−DGの効果を、ラクテートが代替的なエネルギー源として供給される場合に、評価した。図5Cで実証される通り、1mMの2−DG添加は、20mMのラクテートの存在下において、バーストを減少させ、このことは、2−DGの鎮痙効果が、2−DGによる解糖の阻害を介するエネルギー供給の減少に起因し得えないことを示す。
【0076】
(実施例3)
(ヨードアセテートによる同期性バーストの減少)
上に示した結果が、抗解糖効果に起因することを確かめるために、実施例2に示した実験を、200uMのヨードアセテート(解糖酵素グリセルアルデヒドリン酸デヒドロゲナーゼ(EC 1.2.1.12)のインヒビター)の存在下において、10mMのグルコースまたは10mMのラクテートを補充したACSFを使用して繰り返した。これらの実験の結果を、図6および図7に示す。図6は、10mMの[K、10mMのグルコース、および20mMのラクテートを含むACSF中の海馬切片から得たベースラインの同期性バーストの速度を示す。バースト頻度の減少を、図7にグラフ形態で示す。ヨードアセテートは、同期性バーストを減少させ、これはまた、グリセルアルデヒドリン酸デヒドロゲナーゼの阻害によって解糖を阻害することが、神経の同期性(neural synchronization)(種々の発作障害に関連する細胞の事象)を減少させるための有効な手段であることを実証した。
【0077】
(実施例4)
(海馬切片において誘導された同期性バーストに対するエネルギー源の効果)
また、2−DGの鎮痙作用をさらに調査するために、癲癇のバースト放電に対するグルコースの欠乏の効果を、評価した。
【0078】
同期性バースト放電に対するグルコース欠乏の効果を、実施例2に記載される方法を使用して、体外でラット海馬切片において調べた。自発的な同調性バーストを、7.5mMの[Kを補充した10mMのグルコースを含むACSF中に約1時間おき、次いで10mMのラクテートまたは10mMのピルベートを補充したグルコースを含まないACSFにおいたCA3において記録した。これらの実験の結果を、図8に示す。10mMのグルコースにおけるベースラインでの平均バースト頻度を、約3.8秒間のバースト間の間隔を有する規則性であると見出した。このバースト間の間隔は、この切片を、10mMのラクテートを補充したグルコースを含まないACSFに曝した場合に24秒間まで増加した。これは、グルコース欠乏の鎮痙効果を示す。この効果は、迅速に誘導され、そして可逆的であり、5〜10分間以内に遅滞効果が観察され、そして10mMのグルコースを含むACSFに戻した後、10分以内にベースライン値まで回復した。同様の結果を、グルコースを10mMのピルベートで置換した場合に見出した。これらの結果は、グルコースの除去および代替的なエネルギー源(例えば、ラクテートまたはピルベート)による置換が、CA3において同期性バーストを抑制し、そして鎮痙効果を有することを実証した。
【0079】
(実施例5)
(動物において神経障害性疼痛の症状を緩和するための2−DGの使用)
海馬切片における急激な鎮痙特性を有し、そして癲癇のキンドリングモデルにおける繰り返し誘起されたネットワークの同調の結果を防止する、2−デオキシ−D−グルコース(2−DG)の効果を、神経障害性疼痛の処置について評価した。2−DGの効果を、神経障害性疼痛の緩い坐骨神経結紮ラットモデルにおいて調べた。このモデルは、過感受性の型である機械的痛覚過敏および温熱性痛覚過敏ならびに異痛症を含むヒトの状態に対して多くの類似性を示す。神経障害性疼痛に対する2−DGの効果を、標準的な方法にしたがって、機械的刺激および機械的異痛症の発症に対する後肢の撤退時間の測定によって評価した。
【0080】
雄Sprague−Dawleyラット(Harlan、250〜350g)を、全ての動物が最初に外科的手順および外科的処置の前に正常な応答を有したことを検証するために、増加性の直径の規格化Von Fryeフィラメントによる後肢の機械的刺激に対する応答において、後肢の撤退時間を測定することによって行動について試験した。Von Frye法において、動物を、金網の床上におき、そしてその後肢を、撤退が観察されるまで、増加性の直径の規格化フィラメントによってなでる。撤退を誘起するフィラメントのサイズが、Von Fryeスコアである。正常で無害性のフィラメントが撤退をもたらす場合、より小さいフィラメントに対する撤退は、痛覚過敏、または機械的異痛症を示し、そして疼痛の基準と見なされる。ベースラインの撤退スコアを使用して、坐骨神経結紮および2−DGによる処置の効果を評価した。
【0081】
ベースラインの測定値を得た後、次いで動物を、70mg/kgのケタミン(IP)と7mgのキシラジン(IM)との組み合わせによって麻酔した。この坐骨神経を、大腿二頭筋を通る鈍的切開(blunt dissection)によって大腿中央のレベルで曝した。この神経を、付随する組織から離し、そして4本の結紮糸(4.0クロムガット)を、約1mmの間隔をあけておいた。神経幹が、40×の解剖顕微鏡によって見た場合にちょうどむき出しに狭窄されるようにこれらの結紮糸を慎重に結んだ。この程度の狭窄は、表面の神経鞘の脈管を通る循環を遅らせるが、この循環を止めない。この切開を、層状に閉じ、そして手術直後の期間の間、この動物を、外科的手順に対する予想外であり、そして望ましくない反応を示す行動の兆候(体重または食欲の減少、毛繕いの欠如または移動運動の喪失)についてモニタリングした。
【0082】
後肢撤退反応を、機械的異痛症および痛覚過敏が外科的結紮の結果として誘導されたことを検証するために、術後に評価した。外科的手順の3日後、動物は、ベースラインの試験において撤退を誘起しなかったより小さい直径のフィラメント(より低いVon Fryeスコア)による機械的刺激に応答する後肢撤退を示した。このことは、異痛症の発症を示す(図9を参照のこと、p<0.001、ANOVA)。神経障害性の撤退反応を伴う20匹の動物に、機械的刺激による評価の30分前に、IPに250mg/kgの2−DG(n=10)、またはIPに250mg/kgの生理食塩水(n=10)を無作為に与えた。2−DGによる処置は、生理食塩水処置のコントロールと比較して機械的異痛症を急激に減少させた(機械的刺激に対する感受性の減少およびVon Fryeスコアの増加によって示される)。2−DGによる処置は、任意の明らかな運動障害または行動障害をもたらさなかった。感受性の減少は、早くも1日目から観察され、そして処置の第2日目において、継続的な改善またはVon Fryeスコアの増加の傾向があるようであった(図9を参照のこと)。生理食塩水処置した動物と2−DG処置した動物との間の差は、処置の1日目(p=0.044(対生理食塩水))および処置の2日目(p<0.001(対生理食塩水))において有意であった。このことは、神経障害性疼痛の基準が、2−DGによって減少したことを実証する。これらの疼痛減少効果は、投与の4〜5日後に弱まったか、または消滅した。
【0083】
本明細書中に引用される全ての特許、特許出願、科学論文ならびに他の出典および参考文献は、あたかも本願においてその全体が明確に示されるかのように、その教示の全範囲について本明細書中に参考として明確に援用される。
【0084】
前述の開示は本発明の特定の具体的な実施形態を強調すること、および全ての改変またはそれと等価である代替物は添付の特許請求の範囲に示されるような本発明の精神および範囲内であることが、理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】図1は、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼの2−DGによる阻害を示す、哺乳動物細胞中の解糖において起こる化学反応の一部およびその酵素メディエーターの概略図である。
【図2A】図2A〜図2Cは、後発射(AD)閾値に対する2−DGの効果を示し、そしてキンドリング性発作に対する2−DGの鎮痙効果および抗癲癇効果を実証する。図2Aは、後発射(AD)閾値に対する2−DGの効果を示し、そして1秒間持続する62ヘルツの1ミリ秒の嗅球刺激によって誘起されるキンドリング性発作に対する2−DGの鎮痙効果および抗癲癇効果を実証する。図2Bは、1秒間持続する62ヘルツの1ミリ秒の貫通線維の刺激によって誘起されるキンドリング性発作を経験したラットのAD閾値に対する2−DGの効果を示し、そして2−DGの鎮痙効果および抗癲癇効果が、キンドリング性発作を誘起する刺激の部位に依存しないことを示す。図2Cは、2−DGが、貫通線維の刺激によって誘起されるキンドリングの進行を妨げることを示す。刺激の30分前に腹腔内に250mg/kgの用量で2−DGによって処置されたラットにおいて、さらなる発作は、クラスIIIの発作、クラスIVの発作、およびクラスVの発作の里程標に到達するために必要とされた。これは、2−DGが、AD(発作)閾値を上昇させることによる鎮痙効果だけでなく、繰り返される発作に応答するキンドリングの進行を遅滞させることによる抗癲癇効果も有することを示す。
【図2B】図2A〜図2Cは、後発射(AD)閾値に対する2−DGの効果を示し、そしてキンドリング性発作に対する2−DGの鎮痙効果および抗癲癇効果を実証する。図2Aは、後発射(AD)閾値に対する2−DGの効果を示し、そして1秒間持続する62ヘルツの1ミリ秒の嗅球刺激によって誘起されるキンドリング性発作に対する2−DGの鎮痙効果および抗癲癇効果を実証する。図2Bは、1秒間持続する62ヘルツの1ミリ秒の貫通線維の刺激によって誘起されるキンドリング性発作を経験したラットのAD閾値に対する2−DGの効果を示し、そして2−DGの鎮痙効果および抗癲癇効果が、キンドリング性発作を誘起する刺激の部位に依存しないことを示す。図2Cは、2−DGが、貫通線維の刺激によって誘起されるキンドリングの進行を妨げることを示す。刺激の30分前に腹腔内に250mg/kgの用量で2−DGによって処置されたラットにおいて、さらなる発作は、クラスIIIの発作、クラスIVの発作、およびクラスVの発作のマイルストンに到達するために必要とされた。これは、2−DGが、AD(発作)閾値を上昇させることによる鎮痙効果だけでなく、繰り返される発作に応答するキンドリングの進行を遅滞させることによる抗癲癇効果も有することを示す。
【図2C】図2A〜図2Cは、後発射(AD)閾値に対する2−DGの効果を示し、そしてキンドリング性発作に対する2−DGの鎮痙効果および抗癲癇効果を実証する。図2Aは、後発射(AD)閾値に対する2−DGの効果を示し、そして1秒間持続する62ヘルツの1ミリ秒の嗅球刺激によって誘起されるキンドリング性発作に対する2−DGの鎮痙効果および抗癲癇効果を実証する。図2Bは、1秒間持続する62ヘルツの1ミリ秒の貫通線維の刺激によって誘起されるキンドリング性発作を経験したラットのAD閾値に対する2−DGの効果を示し、そして2−DGの鎮痙効果および抗癲癇効果が、キンドリング性発作を誘起する刺激の部位に依存しないことを示す。図2Cは、2−DGが、貫通線維の刺激によって誘起されるキンドリングの進行を妨げることを示す。刺激の30分前に腹腔内に250mg/kgの用量で2−DGによって処置されたラットにおいて、さらなる発作は、クラスIIIの発作、クラスIVの発作、およびクラスVの発作のマイルストンに到達するために必要とされた。これは、2−DGが、AD(発作)閾値を上昇させることによる鎮痙効果だけでなく、繰り返される発作に応答するキンドリングの進行を遅滞させることによる抗癲癇効果も有することを示す。
【図3】図3は、1500μAmpの強度で反復性のADを最初に経験していたラットのAD閾値を実証する。3回目に誘起されたADの後、2−DGは、各刺激の前に、腹腔内(IP)に250mg/kgの用量で投与され(x軸のすぐ上にある第1の棒によって示される)、そして代表的には、キンドリングによって誘起される繰り返されるADとによって観察されるAD閾値の漸減(進行の基準とみなされる)を防ぐようであった。この2−DG処置は、20回目のADの後、約8週間の期間および約40回のさらなるADの後に中止され、約200μAmpまでのAD閾値の漸減があった。その後、2−DGの投与は、再度開始され(x軸のすぐ上にある第2の棒によって示される)、そして約2〜3週間の期間の間にAD閾値を1500μAmpまで上昇させた。
【図4】図4A〜図4Cは、ラット海馬脳切片における増加したカリウム(K)イオン濃度によって誘導されるCA3における同期性の自発的なバースト放電の電気生理学的な追跡である。図4Aは、図4Bおよび図4Cにおいて、より緩徐な速度にて示される、自発的な癲癇の放電のマルチスパイク細胞外領域記録(multispike extracellular field recording)を示す。ベースラインの癲癇放電の頻度は、図4Bに示され、そして図4Cは、1mMの2−DGのバス適用後の頻度である。これらの記録は、2−DGのバス適用による癲癇のバーストの減少を示す。
【図5A】図5A〜図5Cは、以下を示すグラフ表示である:(a)CA3におけるバースト放電に対する2−DGの鎮痙作用の時間経過、(b)通常のACSFに戻した後の洗い流しの間持続した、30分間バス適用した2−DGの長期にわたる鎮痙効果、および(c)2−DGによる癲癇のバーストの減少が、ラクテートが代替的な細胞のエネルギー源として提供される場合に持続すること。
【図5B】図5A〜図5Cは、以下を示すグラフ表示である:(a)CA3におけるバースト放電に対する2−DGの鎮痙作用の時間経過、(b)通常のACSFに戻した後の洗い流しの間持続した、30分間バス適用した2−DGの長期にわたる鎮痙効果、および(c)2−DGによる癲癇のバーストの減少が、ラクテートが代替的な細胞のエネルギー源として提供される場合に持続すること。
【図5C】図5A〜図5Cは、以下を示すグラフ表示である:(a)CA3におけるバースト放電に対する2−DGの鎮痙作用の時間経過、(b)通常のACSFに戻した後の洗い流しの間持続した、30分間バス適用した2−DGの長期にわたる鎮痙効果、および(c)2−DGによる癲癇のバーストの減少が、ラクテートが代替的な細胞のエネルギー源として提供される場合に持続すること。
【図6】図6は、ラット海馬脳切片における増加した[Kによって誘導されるCA3における同期生の自発的なバースト放電の電気生理学的な追跡であり、そしてヨードアセテートのバス適用による癲癇のバーストの減少を示す。
【図7】図7は、ヨードアセテートによる癲癇のバーストの減少が、ラクテートが代替的な細胞のエネルギー源として提供される場合に持続することを示すグラフ表示である。
【図8】図8は、グルコースの除去および代替的なエネルギー源(例えば、ラクテートまたはピルベート)による置換が、CA3において同期性バーストを抑制することを実証するグラフ表示であり、これは、解糖を減少させること(この場合においては、基質としてのグルコースを除去することによる)が、鎮痙効果を有することを確認する。
【図9】図9は、Von Fryeフィラメント分析を使用した神経障害性疼痛の測定の結果を示す。結果は、ANOVA(p=0.037)によって統計学的に分析された。生理食塩水処置は、正常なベースラインレベルに向かって応答を回復する傾向があったが、2−DGの投与は、Von Fryeスコアを増加させ、そして生理食塩水処置と比較して痛覚過敏を有意に減少させた。2−DGの効果は、4日後に減少した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成体の動物または若年の動物において発作性障害を処置する方法であって、該方法は、該動物に有効量の抗解糖化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項2】
前記抗解糖化合物は、解糖酵素を阻害する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記解糖酵素は、ヘキソキナーゼ(E.C.2.7.1.1)、グルコキナーゼ(E.C.2.7.1.2)、グルコース−1−リン酸イソメラーゼ(E.C.5.3.1.9)、6−ホスホフルクト−1−キナーゼ(E.C.2.7.1.11)、フルクトース−二リン酸アルドラーゼ(E.C.4.1.2.13)、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(E.C.1.2.1.12)、トリオースリン酸イソメラーゼ(E.C.5.3.1.1)、ホスホグリセリン酸キナーゼ(E.C.2.7.2.3)、ホスホグリセロムターゼ(E.C.5.4.2.1)、またはピルビン酸キナーゼ(E.C.2.7.1.40)である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記発作性障害は、癲癇である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記化合物は、2−デオキシグルコースである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記動物は、ヒトである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記抗解糖化合物は、グルコーストランスポーターのインヒビターである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記グルコーストランスポーターは、GLUT1(SLC2A1,登録番号AC023331)、GLUT2(SLC2A2,AC068853)、GLUT3(SLC2A3,AC007536)、GLUT4(SLC2A4,AC003688)、GLUT5(SLC2A5,AC041046)、GLUT6(SLC2A6,AC002355)、GLUT7(SLC2A7,AL356306)、GLUT8(SLC2A8,AL445222)、GLUT9(SLC2A9,AC005674)、GLUT10(SLC2A10,AC031055)、GLUT11(SLC2A11,AP000350)、GLUT11(SLC2A11,AP000350)、GLUT12(SLCA12,AL449363)、またはGLUT13(SLCA13,AJ315644)である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記発作性障害は、疼痛、片頭痛、失神、双極性障害、精神病、不安、ストレス誘導性の障害、痙攣、または発作性の特徴もしくは周期性の特徴を有する神経精神医学的な障害である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記発作性障害は、痙攣である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記痙攣は、癲癇発作に関連する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記抗解糖化合物は、前記動物が癲癇発作を有する前に投与される、請求項4に記載の方法。
【請求項13】
前記抗解糖化合物は、癲癇発作の間に前記動物に投与される、請求項4に記載の方法。
【請求項14】
前記抗解糖化合物は、前記動物が癲癇発作を有した後に該動物に投与される、請求項4に記載の方法。
【請求項15】
前記抗解糖化合物は、前記動物が癲癇発作を有する前の30分以内に投与されるか、または前記動物が癲癇発作を有した後の24時間以内に投与される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記動物は、ヒトである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記化合物は、2−デオキシグルコースである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
成体の動物または若年の動物において発作性障害を予防するための方法であって、該方法は、該動物に有効量の抗解糖化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項19】
前記抗解糖化合物は、解糖酵素を阻害する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記解糖酵素は、ヘキソキナーゼ(E.C.2.7.1.1)、グルコキナーゼ(E.C.2.7.1.2)、グルコース−1−リン酸イソメラーゼ(E.C.5.3.1.9)、6−ホスホフルクト−1−キナーゼ(E.C.2.7.1.11)、フルクトース−二リン酸アルドラーゼ(E.C.4.1.2.13)、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(E.C.1.2.1.12)、トリオースリン酸イソメラーゼ(E.C.5.3.1.1)、ホスホグリセリン酸キナーゼ(E.C.2.7.2.3)、ホスホグリセロムターゼ(E.C.5.4.2.1)、またはピルビン酸キナーゼ(E.C.2.7.1.40)である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記発作性障害は、癲癇である、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記化合物は、2−デオキシグルコースである、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記動物は、ヒトである、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記抗解糖化合物は、グルコーストランスポーターのインヒビターである、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
前記グルコーストランスポーターは、GLUT1(SLC2Al,登録番号AC023331)、GLUT2(SLC2A2,AC068853)、GLUT3(SLC2A3,AC007536)、GLUT4(SLC2A4,AC003688)、GLUT5(SLC2A5,AC041046)、GLUT6(SLC2A6,AC002355)、GLUT7(SLC2A7,AL356306)、GLUT8(SLC2A8,AL445222)、GLUT9(SLC2A9,AC005674)、GLUT10(SLC2A10,AC031055)、GLUT11(SLC2A11,AP000350)、GLUT11(SLC2A11,AP000350)、GLUT12(SLCA12,AL449363)、またはGLUT13(SLCA13,AJ315644)である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記発作性障害は、疼痛、片頭痛、失神、双極性障害、精神病、不安、ストレス誘導性の障害、痙攣、または発作性の特徴もしくは周期性の特徴を有する神経精神医学的な障害である、請求項18に記載の方法。
【請求項27】
前記発作性障害は、痙攣である、請求項18に記載の方法。
【請求項28】
前記痙攣は、癲癇発作に関連する、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記抗解糖化合物は、前記動物が癲癇発作を有する前に投与される、請求項18に記載の方法。
【請求項30】
前記抗解糖化合物は、癲癇発作の間に前記動物に投与される、請求項18に記載の方法。
【請求項31】
前記抗解糖化合物は、前記動物が癲癇発作を有した後に該動物に投与される、請求項18に記載の方法。
【請求項32】
前記抗解糖化合物は、前記動物が癲癇発作を有する前の30分以内に投与されるか、または前記動物が癲癇発作を有した後の24時間以内に投与される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記動物は、ヒトである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記化合物は、2−デオキシグルコースである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
脳または神経組織において発作の閾値を上げる必要がある動物の脳または神経組織において発作の閾値を上げるための方法であって、該方法は、該動物に有効量の抗解糖化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項36】
前記化合物は、解糖酵素を阻害する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記解糖酵素は、ヘキソキナーゼ(E.C.2.7.1.1)、グルコキナーゼ(E.C.2.7.1.2)、グルコース−1−リン酸イソメラーゼ(E.C.5.3.1.9)、6−ホスホフルクト−1−キナーゼ(E.C.2.7.1.11)、フルクトース−二リン酸アルドラーゼ(E.C.4.1.2.13)、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(E.C.1.2.1.12)、トリオースリン酸イソメラーゼ(E.C.5.3.1.1)、ホスホグリセリン酸キナーゼ(E.C.2.7.2.3)、ホスホグリセロムターゼ(E.C.5.4.2.1)、またはピルビン酸キナーゼ(E.C.2.7.1.40)である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記化合物は、2−デオキシグルコースである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記神経細胞は、成体の細胞または若年の細胞である、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
前記抗解糖化合物は、グルコーストランスポーターのインヒビターである、請求項35に記載の方法。
【請求項41】
前記グルコーストランスポーターは、GLUT1(SLC2A1,登録番号AC023331)、GLUT2(SLC2A2,AC068853)、GLUT3(SLC2A3,AC007536)、GLUT4(SLC2A4,AC003688)、GLUT5(SLC2A5,AC041046)、GLUT6(SLC2A6,AC002355)、GLUT7(SLC2A7,AL356306)、GLUT8(SLC2A8,AL445222)、GLUT9(SLC2A9,AC005674)、GLUT10(SLC2A10,AC031055)、GLUT11(SLC2A11,AP000350)、GLUT11(SLC2A11,AP000350)、GLUT12(SLCA12,AL449363)、またはGLUT13(SLCA13,AJ315644)である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記脳または神経組織は、成体もしくは若年の脳または成体もしくは若年の神経組織を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記抗解糖化合物は、前記動物が発作を有する前に投与される、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
前記抗解糖化合物は、発作の間に前記動物に投与される、請求項40に記載の方法。
【請求項45】
前記抗解糖化合物は、前記動物が癲癇発作を有した後に該動物に投与される、請求項40に記載の方法。
【請求項46】
前記抗解糖化合物は、前記動物が発作を有する前の30分以内に投与されるか、または前記動物が発作を有した後の24時間以内に投与される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記発作は、癲癇発作である、請求項43、44、45、または46に記載の方法。
【請求項48】
前記動物は、ヒトである、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記化合物は、2−デオキシグルコースである、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
疼痛を処置する必要がある動物において疼痛を処置するための方法であって、該方法は、該動物に有効量の抗解糖化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項51】
前記化合物は、解糖酵素を阻害する、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記解糖酵素は、ヘキソキナーゼ(E.C.2.7.1.1)、グルコキナーゼ(E.C.2.7.1.2)、グルコース−1−リン酸イソメラーゼ(E.C.5.3.1.9)、6−ホスホフルクト−1−キナーゼ(E.C.2.7.1.11)、フルクトース−二リン酸アルドラーゼ(E.C.4.1.2.13)、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(E.C.1.2.1.12)、トリオースリン酸イソメラーゼ(E.C.5.3.1.1)、ホスホグリセリン酸キナーゼ(E.C.2.7.2.3)、ホスホグリセロムターゼ(E.C.5.4.2.1)、またはピルビン酸キナーゼ(E.C.2.7.1.40)である、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記化合物は、2−デオキシグルコースである、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記神経細胞は、成体の細胞または若年の細胞である、請求項50に記載の方法。
【請求項55】
前記抗解糖化合物は、グルコーストランスポーターのインヒビターである、請求項50に記載の方法。
【請求項56】
前記グルコーストランスポーターは、GLUT1(SLC2A1,登録番号AC023331)、GLUT2(SLC2A2,AC068853)、GLUT3(SLC2A3,AC007536)、GLUT4(SLC2A4,AC003688)、GLUT5(SLC2A5,AC041046)、GLUT6(SLC2A6,AC002355)、GLUT7(SLC2A7,AL356306)、GLUT8(SLC2A8,AL445222)、GLUT9(SLC2A9,AC005674)、GLUT10(SLC2A10,AC031055)、GLUT11(SLC2A11,AP000350)、GLUT11(SLC2A11,AP000350)、GLUT12(SLCA12,AL449363)、またはGLUT13(SLCA13,AJ315644)である、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記脳細胞は、成体の脳細胞または若年の脳細胞である、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
前記疼痛は、神経障害性疼痛である、請求項50に記載の方法。
【請求項59】
前記動物は、ヒトである、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記化合物は、2−デオキシグルコースである、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
動物において疼痛を予防するための方法であって、該方法は、該動物に有効量の抗解糖化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項62】
前記化合物は、解糖酵素を阻害する、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記解糖酵素は、ヘキソキナーゼ(E.C.2.7.1.1)、グルコキナーゼ(E.C.2.7.1.2)、グルコース−1−リン酸イソメラーゼ(E.C.5.3.1.9)、6−ホスホフルクト−1−キナーゼ(E.C.2.7.1.11)、フルクトース−二リン酸アルドラーゼ(E.C.4.1.2.13)、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(E.C.1.2.1.12)、トリオースリン酸イソメラーゼ(E.C.5.3.1.1)、ホスホグリセリン酸キナーゼ(E.C.2.7.2.3)、ホスホグリセロムターゼ(E.C.5.4.2.1)、またはピルビン酸キナーゼ(E.C.2.7.1.40)である、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記化合物は、2−デオキシグルコースである、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記神経細胞は、成体細胞または若年細胞である、請求項61に記載の方法。
【請求項66】
前記抗解糖化合物は、グルコーストランスポーターのインヒビターである、請求項61に記載の方法。
【請求項67】
前記グルコーストランスポーターは、GLUT1(SLC2A1,登録番号AC023331)、GLUT2(SLC2A2,AC068853)、GLUT3(SLC2A3,AC007536)、GLUT4(SLC2A4,AC003688)、GLUT5(SLC2A5,AC041046)、GLUT6(SLC2A6,AC002355)、GLUT7(SLC2A7,AL356306)、GLUT8(SLC2A8,AL445222)、GLUT9(SLC2A9,AC005674)、GLUT10(SLC2A10,AC031055)、GLUT11(SLC2A11,AP000350)、GLUT11(SLC2A11,AP000350)、GLUT12(SLCA12,AL449363)、またはGLUT13(SLCA13,AJ315644)である、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記脳細胞は、成体の脳細胞または若年の脳細胞である、請求項66に記載の方法。
【請求項69】
前記疼痛は、神経障害性疼痛である、請求項61に記載の方法。
【請求項70】
前記動物は、ヒトである、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記化合物は、2−デオキシグルコースである、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
脳細胞において癲癇のバーストを減少させるための方法であって、該方法は、該細胞と有効量の抗解糖化合物とを接触させる工程を包含する、方法。
【請求項73】
前記抗解糖化合物は、解糖酵素を阻害する、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記解糖酵素は、ヘキソキナーゼ(E.C.2.7.1.1)、グルコキナーゼ(E.C.2.7.1.2)、グルコース−1−リン酸イソメラーゼ(E.C.5.3.1.9)、6−ホスホフルクト−1−キナーゼ(E.C.2.7.1.11)、フルクトース−二リン酸アルドラーゼ(E.C.4.1.2.13)、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(E.C.1.2.1.12)、トリオースリン酸イソメラーゼ(E.C.5.3.1.1)、ホスホグリセリン酸キナーゼ(E.C.2.7.2.3)、ホスホグリセロムターゼ(E.C.5.4.2.1)、またはピルビン酸キナーゼ(E.C.2.7.1.40)である、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記脳細胞は、ヒト脳細胞である、請求項72に記載の方法。
【請求項76】
前記抗解糖化合物は、2−デオキシグルコースである、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記脳細胞は、成体の脳細胞または若年の脳細胞である、請求項72に記載の方法。
【請求項78】
前記抗解糖化合物は、グルコーストランスポーターのインヒビターである、請求項75に記載の方法。
【請求項79】
前記グルコーストランスポーターは、GLUT1(SLC2A1,登録番号AC023331)、GLUT2(SLC2A2,AC068853)、GLUT3(SLC2A3,AC007536)、GLUT4(SLC2A4,AC003688)、GLUT5(SLC2A5,AC041046)、GLUT6(SLC2A6,AC002355)、GLUT7(SLC2A7,AL356306)、GLUT8(SLC2A8,AL445222)、GLUT9(SLC2A9,AC005674)、GLUT10(SLC2A10,AC031055)、GLUT11(SLC2A11,AP000350)、GLUT11(SLC2A11,AP000350)、GLUT12(SLCA12,AL449363)、またはGLUT13(SLCA13,AJ315644)である、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記脳細胞は、成体の脳細胞または若年の脳細胞である、請求項78に記載の方法。
【請求項81】
癲癇のバーストは、癲癇発作を有する動物に関連する、請求項72に記載の方法。
【請求項82】
前記抗解糖化合物は、前記動物が発作を有する前に投与される、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記抗解糖化合物は、発作の間に前記動物に投与される、請求項81に記載の方法。
【請求項84】
前記抗解糖化合物は、前記動物が発作を有した後に該動物に投与される、請求項81に記載の方法。
【請求項85】
前記抗解糖化合物は、前記動物が発作を有する前の30分以内に投与されるか、または前記動物が発作を有した後の24時間以内に投与される、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記脳細胞は、成体の脳細胞または若年の脳細胞である、請求項81に記載の方法。
【請求項87】
前記化合物は、2−デオキシグルコースである、請求項81に記載の方法。
【請求項88】
治療有効量の抗解糖化合物を含有し、かつ薬学的に受容可能な賦形剤を含有する、薬学的組成物。
【請求項89】
前記抗解糖化合物は、2−デオキシグルコースである、請求項88に記載の薬学的組成物。
【請求項90】
前記抗解糖化合物は、解糖酵素を阻害する、請求項88に記載の薬学的組成物。
【請求項91】
前記解糖酵素は、ヘキソキナーゼ(E.C.2.7.1.1)、グルコキナーゼ(E.C.2.7.1.2)、グルコース−1−ホスフェートイソメラーゼ(E.C.5.3.1.9)、6−ホスホフルクト−1−キナーゼ(E.C.2.7.1.11)、フルクトース−二リン酸アルドラーゼ(E.C.4.1.2.13)、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(E.C.1.2.1.12)、トリオースリン酸イソメラーゼ(E.C.5.3.1.1)、ホスホグリセリン酸キナーゼ(E.C.2.7.2.3)、ホスホグリセロムターゼ(E.C.5.4.2.1)、またはピルビン酸キナーゼ(E.C.2.7.1.40)である、請求項90に記載の薬学的組成物。
【請求項92】
前記抗解糖化合物は、2−デオキシグルコースである、請求項91に記載の薬学的組成物。
【請求項93】
前記抗解糖化合物は、グルコーストランスポーターのインヒビターである、請求項88に記載の薬学的組成物。
【請求項94】
前記グルコーストランスポーターは、GLUT1(SLC2A1,登録番号AC023331)、GLUT3(SLC2A3,AC007536)、GLUT4(SLC2A4,AC003688)、GLUT6(SLC2A6,AC002355)、GLUT8(SLC2A8,AL445222)、GLUT11(SLC2A11,AP000350)、GLUT11(SLC2A11,AP000350)、GLUT12(SLCA12,AL449363)、またはGLUT13(SLCA13,AJ315644)である、請求項93に記載の薬学的組成物。
【請求項95】
前記グルコーストランスポーターは、GLUT1(SLC2A1,登録番号AC023331)、GLUT2(SLC2A2,AC068853)、GLUT3(SLC2A3,AC007536)、GLUT4(SLC2A4,AC003688)、GLUT5(SLC2A5,AC041046)、GLUT6(SLC2A6,AC002355)、GLUT7(SLC2A7,AL356306)、GLUT8(SLC2A8,AL445222)、GLUT9(SLC2A9,AC005674)、GLUT10(SLC2A10,AC031055)、GLUT11(SLC2A11,AP000350)、GLUT11(SLC2A11,AP000350)、GLUT12(SLCA12,AL449363)、またはGLUT13(SLCA13,AJ315644)である、請求項94に記載の薬学的組成物。
【請求項96】
前記抗解糖化合物は、2−デオキシグルコース、3−デオキシ−D−グルコース、4−デオキシ−D−グルコース、5−デオキシ−D−グルコース、nが3〜5である2,n−デオキシ−D−グルコース、nが2〜5でありそしてmがnを除く2〜5の整数であるn,mデオキシ−D−グルコース、2−DGへと代謝され得る糖、ハロゲン化したデオキシ糖の誘導体および他の結合体化したデオキシ糖の誘導体、2−DGへと代謝される結合体化したデオキシ糖、ならびに2−DGと同様の抗解糖効果を有する抗解糖化合物である、請求項89に記載の薬学的組成物。
【請求項97】
経口投与のために処方される、請求項88〜96に記載の薬学的組成物。
【請求項98】
非経口投与のために処方される、請求項88〜96に記載の薬学的組成物。
【請求項99】
局所投与のために処方される、請求項88〜96に記載の薬学的組成物。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2008−502705(P2008−502705A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−516830(P2007−516830)
【出願日】平成17年6月17日(2005.6.17)
【国際出願番号】PCT/US2005/021845
【国際公開番号】WO2006/002121
【国際公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(506223510)ウィスコンシン・アルムニ・リサーチ・ファウンデーション (11)
【氏名又は名称原語表記】WISCONSIN ALUMNI RESEARCH FOUNDATION
【Fターム(参考)】