発光ダイオードランプおよびその製造方法
【課題】組立工数を大幅に減じることができるとともに、温度上昇を低く抑えることのできる発光ダイオードランプを提供する。
【解決手段】リードフレームによって形成された、発光ダイオードチップを支持するための第1の支持部に発光ダイオードチップを装着して発光部を形成し、電流制限用素子を支持するための第2の支持部に電流制限用素子を固着して電流制限部を形成し、これら2つの部分とリード部分にそれぞれ絶縁樹脂を一体的にモールドして保持体を形成する際に電流制限素子を絶縁樹脂でモールドしないで保持体から露出させておくようにする。
【解決手段】リードフレームによって形成された、発光ダイオードチップを支持するための第1の支持部に発光ダイオードチップを装着して発光部を形成し、電流制限用素子を支持するための第2の支持部に電流制限用素子を固着して電流制限部を形成し、これら2つの部分とリード部分にそれぞれ絶縁樹脂を一体的にモールドして保持体を形成する際に電流制限素子を絶縁樹脂でモールドしないで保持体から露出させておくようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、配電盤や制御盤等の表示灯に使用される光源に発光ダイオードを使用した電球タイプの発光ダイオードランプに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示された従来の発光ダイオードランプの例を図7ないし図10に示す。この従来の発光ダイオードランプは、図7に示すように、リードフレーム用帯材110上に、支持部112およびリード部114,116とこれらを相互に連結支持するタイバー部119とを有するリードフレームユニット111を形成し、支持部112上に発光ダイオードチップ121(図9、10参照)を装着し、金細線122(図9、10参照)によりチップと支持部およびリード部との間の必要な電気的配線を施して発光部を形成し、この発光部を絶縁樹脂により一体的にモールド形成された反射筒を兼ねた保持体123により保持して発光部ユニット120を構成する。この発光部ユニット120は、装着された発光ダイオードチップおよび金線細線による配線の保護のために、表面を透明の封止剤124により封止し、リード部、支持部をタイバー部から切断することにより、リードフレームから切り離される(図7参照)。
この発光部ユニット120は、一方のリード線116に、図8に示すように、電流制限用抵抗器180を接続し、他方のリード線114とともに整形した上で(図8参照)、絶縁材製のホルダー150に嵌合し、このホルダー150の外側から接続用電極となる筒状の口金160を嵌着する。そして抵抗器180の発光部接続端と反対側のリード線181を口金の底部電極164にハンダ付けし、リード線114を口金の底部電極164から絶縁された外周電極160にハンダ付けまたはカシメにより接続して、発光ダイオードランプ100が構成される。
【0003】
このような従来の発光ダイオードランプにおいては、リードフレーム上には発光ダイオードチップで構成された発光部のみが絶縁性の成形材料により一体成形されるため、電流制限用抵抗器や外部接続のための電極を構成する口金を個別の部品として用意し、相互に組み立てる必要がある。
【0004】
このように、部品点数が多くなると、組立工数が多大となりコストの上昇を招く不都合がある。
【0005】
このような不都合を除くために、特許文献2には、図11および図12に示すような発光ダイオードランプが提案されている。
【0006】
図11および図12において、200は発光ダイオードランプであり、発光部220、電流制限部250および電極部260を一体的に結合して構成される。
【0007】
発光部220は、リードフレームにより形成された発光ダイオード支持部212、この支持部に装着され、金線222により必要な電気的配線の施された発光ダイオードチップ221およびこれらを外周から一体的に包み込むように絶縁樹脂によりモールドして形成された反射筒を兼ねる発光部保持体223を有する。この保持体223の中の発光ダイオードチップ221および金線222等を保護するために保持体223の上部空間は透明の封止材を充填して封止されている。
【0008】
電流制限部250は、リードフレームにより構成された電流制限部支持部213とこの支持部に装着された電流制限用の抵抗素子253を一体的に絶縁樹脂によりモールドして、半分に分割された筒体状に形成された電流制限部保持体の半部251と、リードフレームにより構成されたリード部216とこれに連結された接続用電極217を絶縁樹脂により一体的にモールドして半分に分割された筒体状に形成された電流制限部保持体の半部252とにより構成される。この場合、電極217の一部は保持体半部252の外周に露出されている。2つの電流制限部保持体半部251、252は、互いに向かい合わせに接合し、接着剤等により接着され、1つの電流制限部250を構成する。
【0009】
そして、電極部260は、リードフレームにより電流制限部支持部213に連続して形成されたリード部214とこのリード部214に連結して形成されたもう一方の接続用電極215とを、電極215の一部を底部に露出させて絶縁樹脂により一体的にモールドして形成した電極部保持体261を有する。
【0010】
前記発光部220、電流制限部250および電極部260はそれぞれの絶縁樹脂で構成された保持体を互いに接合し、接着剤等により接着し、一体化される。
【0011】
このように構成された発光ダイオードランプ200は、電極215と217に所定の直流電圧を印加すると電流制限抵抗素子253を通して発光部の発光ダイオードチップ221に電流が流れ発光ダイオードチップが発光する。
【特許文献1】特開平6−181340号公報
【特許文献2】特開2005−150603号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このように、従来の発光ダイオードランプは、リードフレームに形成された発光部、電流制限部および接続用電極部が絶縁樹脂によって一体成形されるので、電流制限部の電流制限素子の全体が絶縁樹脂によって覆われ、封止される。
【0013】
このため、この従来の発光ダイオードランプにおいては、電流制限素子の放熱性が悪く、ランプの温度上昇が大きくなりこれを抑えることが困難となるとともに、温度上昇を抑えるためには、消費電流を低く抑えなければならない等の問題があった。
【0014】
この発明は、前記の問題点を解消するため、組立工数を大幅に減じることができるとともに、温度上昇を低く抑えることのできる発光ダイオードランプを提供することを課題とするものである
【課題を解決するための手段】
【0015】
このような課題を解決するため、第1の発明は、リードフレームによって形成された、発光ダイオードチップを支持するための発光部支持部と、この支持部の両側に連続して形成された、電流制限用素子を支持するための電流制限部支持部と、この電流制限部支持部から引き出し形成された接続用電極とを有し、前記発光部支持部に発光ダイオードチップを装着して発光部を形成し、この発光部を絶縁樹脂により一体的にモールドして発光部保持体を形成し、前記電流制限部支持部に電流制限用素子を固着して電流制限部を形成し、前記電流制限部および接続用電極を、この接続用電極の一部および電流制限素子が露出されるようにして絶縁樹脂により一体的にモールドして電流制限部保持体を形成し、この電流制限部保持体および前記発光部を一体に成型して筒状または柱状のランプユニットを構成し、このランプユニットを、前記接続用電極の露出部分と対向する部分に開口を備えた筒状の保持ケースに挿入して構成したことを特徴とするものである。
【0016】
第2の発明は、第1の発明において、電流制限素子として、抵抗素子または、A−DコンバータやD−Dコンバータ等の電圧変換用ICチップを搭載することを特徴とする。
【0017】
第3の発明は、リードフレーム用帯材上に、発光ダイオードチップを支持するための発光部支持部と、この支持部の両側に連続する電流制限用素子を支持するための第1および第2の電流制限部支持部と、この第1および第2の電流制限部支持部からそれぞれ引き出し形成された第1および第2の接続用電極とを有するリードフレームを形成する工程と、前記発光部支持部に発光ダイオードチップを固着して発光部を形成する工程と、前記電流制限部支持部に電流制限用素子を固着して電流制限部を形成する工程と、前記発光部と前記電流制限部とを前記電流制限部の接続用電極の一部および電流制限素子を露出させてそれぞれ絶縁樹脂により一体的にモールドして発光部保持体および2分割構成された電流制限部保持体半部を形成する工程と、前記発光部保持体および電流制限部保持体半部の形成されたリードフレームをリードフレーム用帯材から切り離して前記電流制限部保持体半部を一体的に接合して発光部保持体と電流制限部保持体の一体となった筒状または柱状のランプユニットを形成する工程と、このランプユニットを筒状の絶縁性保持ケースに挿入する工程とを含むことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、リードフレーム上に発光ダイオードを実装した発光部、電流制限素子を実装した電流制限部、および外部接続用の電極が形成され、前記の電流制限部の電流制限素子と外部接続用電極の一部とを露出させてこれらの各部を絶縁樹脂により一体モールドするようにしているので、リードフレームユニットごとにリードフレーム帯材から分離すると1つの部品となり、この分離されたリードフレームユニットのリード部分を折り曲げ加工してランプユニットを構成し、このランプユニットを筒状の保持ケースに挿入するだけで1つの発光ダイオードランプに組み立てることができるので、部品点数が削減され、組立てが容易となり、組立て工数を低減することができるとともに、電流制限部の電流制限素子が絶縁樹脂により封止されることなく露出開放されるので、電流制限素子から外部への放熱効果が高まり、温度上昇を低く抑えることができる。
【0019】
そして、発光ダイオードランプの温度温度上昇を所定値に制限するようにした場合には、消費電流をより多く流すことができるので、従来のものに比べて発光ダイオードランプの明るさを向上することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下にこの発明を、図に示す実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0021】
図1および図2はこの発明の実施例1に基づく発光ダイオードランプの構成を示すもので、図1は全体の外観を示す斜視図、図2は各部に分解して示す縦断面図である。
【0022】
図1および図2において、1は発光ダイオードランプであり、ランプユニット2と保持ケース7とを備える。ランプユニット2は、発光部20、電流制限部50および電極部60で構成される。
【0023】
発光部20は、リードフレームにより形成された発光ダイオード支持部12、この支持部に装着され、金細線22により必要な電気配線の施された発光ダイオードチップ21およびこれらを外周から一体的に包み込むように絶縁樹脂によりモールドして形成された反射筒を兼ねる発光部保持体23を有する。この保持体23の中の発光ダイオードチップ21および金細線22等を保護するために保持体23の内部空間は透明の樹脂封止材25を充填して封止される。
【0024】
電流制限部50は、発光部20の発光ダイオード支持部12から両側に引き出されたリードフレームにより形成された2つの電流制限部支持部13aおよび13bに、それぞれ電流制限用抵抗素子53aおよび53bを装着して構成される。各電流制限部支持部からそれぞれ引き出されたリードフレームにより接続用電極17aおよび17bが形成される。電流制限部支持部13aおよび13bならびに接続用電極17aおよび17bは、電流制限用抵抗素子53a、53bおよび接続用電極の外部電極に接触する部分は絶縁樹脂によりモールドされないように露出させ、それ以外の部分を一体的に絶縁樹脂によりモールドして、2分割された対称的な2つの電流制限部保持体半部51aおよび51bを形成する。このような2つの電流制限部保持体半部51a、51bの発光部20との連結部のリード部16a、16bを折り曲げて互いに向かい合わせに接合して、1つの筒状または柱状の電流制限部保持体51を形成する。これにより、電流制限部保持体51の内部には電流制限用抵抗素子53a、53bが絶縁樹脂により覆われることなく全体を露出して保持される。そして、電流制限部保持体51の外周には接続用電極17a、17bが一部を露出して保持され、電流制限部50と一体的な電極部60が構成される。
【0025】
このようにして発光部20、電流制限部50および電極部60が筒状または柱状に一体的に構成された、発光ダイオードランプの主構成要素のランプユニット2が構成される。
【0026】
このランプユニット2とは別に設けられた保持ケース7は、図2(b)に示すように内部にランプユニット2を収容するために、絶縁樹脂により筒状に形成されている。この保持ケース7は、上部に大径の鍔部71を備え、この鍔部71の下方に連続して設けられた小径の筒部72を備える。この筒部72の下端には、中央部に一体的にその軸方向に中間付近まで延びた仕切り部材74を備えた底壁75が設けられている。この小径の筒部72の周壁には、その対向する2ヶ所に部分的に軸方向に切り欠いて形成した開口73aおよび73bが設けられている。
【0027】
このように構成された保持ケース7に上方からランプユニット2を挿入し、ランプユニット2と保持ケース7とを一体に嵌め合わせることにより発光ダイオードランプ1が組みあがる。保持ケース7に挿入されたランプユニット2がこれから抜出ないようにするために、ランプユニット2の電流制限部保持体51の外周壁に抜け止め突起55aおよび55bを設けている(図2(a)参照)。この突起55aおよび55bは、ランプユニット2を保持ケース7に挿入するとき、このケース7を弾性変形させて外側へ押し広げながら挿入され、保持ケース7の周壁の開口73aおよび73bの位置に達したところで、ここから外部へ突出し、保持ケース7の鍔部71の段差面と係合する(図2(c)参照)。これによって保持ケース7に収められたランプユニット2は抜け止めされる。
【0028】
保持ケース7に収められたランプユニット2の下方に対向して設けられた接続用電極17aおよび17bは、その大部分が絶縁樹脂によって覆われることなく露出し、それぞれ保持ケース7の開口73aおよび73bから外部へ臨んでいる。このような発光ダイオードランプ1を図示しない電源ソケットなどに挿入して電源に接続すると、この電源ソケットの電源端子81aおよび81bが、図2(c)に示すように、発光ダイオードランプ1の外部へ臨む接続用電極17aおよび17bと接触し、外部の直流電源からこの発光ダイオードランプ1に直流電圧が印加される。このように直流電圧が印加されると、発光ダイオードランプ1は、電極17aおよび17bから電流制限抵抗素子53a、および53bを通して発光部20の発光ダイオードチップ21に電流が流れ発光ダイオードチップが発光する。
【0029】
発光ダイオードランプ1の発光中は、電流制限抵抗素子53a、53bに電流が流れ、電流制限抵抗素子53a、53bが自己発熱するが、全体が絶縁樹脂で封止されることなく露出されているので、素子から大気への放熱が良好となるため、この電流制限抵抗素子による発光ダイオードランプの温度上昇を低く抑えることができる。
【0030】
発光ダイオードランプ1の外部接続用電極17aおよび17bと外部電源電極81aおよび81bとの接触を外れにくくするためには、接続用電極17aおよび17bに中間部に内側へ凹んだ凹部62aおよび62bを設け、これに外部電源端子81aおよび81bに形成した凸部82aおよび82bを嵌め合わせるようにするのがよい。
【実施例2】
【0031】
次に、図1および図2に示す発光ダイオードランプ1の製造方法について説明する。
【0032】
図3〜図6は、この発明の実施例1の発光ダイオードランプの製造工程を説明する図である。
【0033】
図3(a)および(b)はリードフレームを形成する工程を示す。この工程においては、プレス加工などにより、導電性金属薄板からなるリードフレーム用帯材10上に、発光ダイオードを装着するための発光ダイオード支持部12、この発光ダイオード支持部12の両側に設けられた電流制限素子を装着するための2つの電流制限部支持部13aおよび13b、発光ダイオード支持部12と電流制限部支持部13aおよび13bとを接続するリード部16aおよび16b、電流制限部支持部13aおよび13bに連続して一体に設けられた外部接続用電極17aおよび17bと各部を連結支持するタイバー部19を有するリードフレームユニット11を多数形成する。ここで、接続用電極17aおよび17bは、図3(b)に示すように、帯材10の平面より上方に突出するように折り曲げ加工され、外部電極を接続する場合の係合用の凹部62aおよび62bを備える。
【0034】
次に、図4に示す素子の装着およびモールド工程へ移る。この工程においては、自動マウント機等を使用して、リードフレームユニット11の発光ダイオード支持部12および電流制限部支持部13a、13bにそれぞれ例えば発光ダイオードチップ21を4個および2個の抵抗素子53a、53bを搭載し、ハンダ等により支持部に固着する。発光部20においては、図2(a)および(c)に示すように、各発光ダイオードチップ21と支持部12との間を金細線22により接続して必要な電気的接続を行なう。発光部20における発光ダイオードチップ21の搭載数は、発光量、使用電圧などによって決められる。また電流制限部50に設けられる電流制限用抵抗素子は2個が最適であるが、これに限られるものではない。
【0035】
このように、リードフレームユニット11に発光ダイオードチップや抵抗素子等の素子を装着する工程を終えたのち、モールド工程へ移行する。モールド工程においては、リードフレームユニット11を帯材10につけたまま、発光ダイオード支持部12、電流制限部支持部13a、13b、および電極17a、17bをそれぞれ絶縁樹脂により一体的にモールドして各部にそれぞれ保持体を形成する。
【0036】
発光ダイオード支持部12に形成される発光部保持体23はこの支持部12を外周から取り囲んだ有底円筒状をなし発光部の反射筒を兼ねる。そしてその発光ダイオードチップ21の配置されている上部空間は、発光ダイオードチップ21および金細線22を保護するために、透明の樹脂封止材25を充填して封止する。
【0037】
電流制限部支持部13aおよび13bにそれぞれ一体的に絶縁樹脂をモールドすることにより形成される保持体半部51aと51bは、図5を参照するとより明らかであるように、それぞれ円筒の2分割された半部を構成し、互いに向かい合わせに接合することにより、1つの円筒状の電流制限部保持体51を構成する。保持体半部51a、51bにおいては、それぞれ、図5(b)に示すように、接続用電極17a、17bの一部および保持した電流制限抵抗素子53a、53bを除いて絶縁樹脂によりモールドされる。このため、接続用電極17a、17bの一部および電流制限抵抗素子53a、53bは、絶縁樹脂により封止されないで露出する(図5(b)参照)。
【0038】
このようなモールド工程の次は、リードフレームユニット11ごとに、タイバー部19を切断し、これを帯材10から切り離す、切離し工程となる。図5は、この切離し工程によって、帯材10から切り離された1つのリードフレームユニット11を示すもので、(a)は、全体の外観を示す斜視図、(b)は、(a)におけるb−b線の縦断面図である。この切り離されたリードフレームユニット11には、すでに説明したように、発光ダイオードチップ21、電流制限抵抗素子53a、53bが装着され、かつ、接続用電極17a、17bが一体に形成されたリードフレームと一体的に絶縁樹脂をモールドして発光部保持体23および電流制限部保持体半部51a、51bが形成されている。保持体半部51aおよび51bの上面に抜け止め用突起55aおよび55bがモールド時に一体成形により形成されている。
【0039】
最後の組立て工程を図6に示す。
【0040】
帯材10から切り離されたリードフレームユニット11の発光部保持体23の両側に延びた一方の電流制限部保持体半部51bをリード部16bから下方へ直角に折り曲げるとともに(図6(a)、(b)参照)、他方の電流制限部保持体半部51aを同様にリード部16aから下方へ直角に折り曲げて、2つの電流制限部保持体半部を互いに向かい合せに接合して、図6(c)に示すように、発光体保持体23と電流制限部保持体51とが一体の筒状体となったランプユニット2を構成する。
【0041】
このランプユニット2をこれとは別に形成した絶縁樹脂製の筒状の保持ケース7に挿入し、一体に嵌め合わせる。ランプユニット2は挿入の際、電極部60が、保持ケース7の開口73aおよび73bに臨む位置に置かれる。このランプユニット2を保持ケース7に挿入する際、ランプユニットの電流制限部保持体51の外周表面に設けた抜け止め用突起55aおよび55bが保持ケース7を弾性変形させて内側から外側へ押し広げながら押し込まれ、突起が開口73a、73bに達したところで、保持ケース7が元に戻り、ランプユニット2を締付ける。そして、図6(d)に示すように、突起55a,55bが保持ケース7の鍔部71の段差面と係合し、ランプユニット2の保持ケース7からの抜け止めが行なわれる。これにより発光ダイオードランプ1の組立てが完了する。
【0042】
このような組立て工程は、リードフレームの折り曲げ加工と、保持ケースへの挿入だけであるので自動化することが容易となる。
【0043】
この実施例によれば、装着部品の発光ダイオードチップや電流制限用抵抗素子だけでなく保持体部分まで、リードフレーム上に形成することができるので、組立て部品数が減り、かつリードフレームの折り曲げ加工のみで組立てを行なうことができるので、組立てが極めて簡単となり、その工数を大幅に低減することができる。
【0044】
前記各実施例において、電流制限素子として最も一般的な抵抗素子を用いた例を示したが、この発明においては、これの代わりにA−Dコンバ−タや、D−Dコンバータのような電圧変換用ICチップを搭載することができ、特にA−Dコンバータを用いた場合は交流電源のもとで直接使用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】この発明の実施例1による発光ダイオードランプの構成を示す斜視図である。
【図2】この発明の実施例1による発光ダイオードランプの構成を分解して示す縦断面図である。
【図3】この発明の実施例2による発光ダイオードランプの製造方法のリードフレーム形成工程を示す図であり、(a)はリードフレームの帯材を示す斜視図、(b)は同縦断面図ある。
【図4】同モールド工程における帯材の表面を示す図である。
【図5】同リードフレームユニットの切離し工程を示す図であり、(a)は切離したリードフレームユニットの斜視図、(b)は同縦断面図である。
【図6】同組立て工程を示す図である。
【図7】従来の発光ダイオードランプの製造方法におけるモールド工程および分離工程を示す図である。
【図8】同組立て工程を示す図である。
【図9】従来の発光ダイオードランプの構成を示す斜視図である。
【図10】従来の発光ダイオードランプの構成を示す縦断面図である。
【図11】他の従来の発光ダイオードランプの構成を示す斜視図である。
【図12】他の従来の発光ダイオードランプの構成を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0046】
1:発光ダイオードランプ
10:リードフレーム用帯材
11:リードフレームユニット
13a,13b:電流制限部支持部
17a、17b:接続用電極
2:ランプユニット
20:発光部
21:発光ダイオードチップ
23:発光部保持体
50:電流制限部
51、51a、51b:電流制限部保持体および電流制限部保持体半部
53a、53b:電流制限用抵抗素子
60:電極部
【技術分野】
【0001】
この発明は、配電盤や制御盤等の表示灯に使用される光源に発光ダイオードを使用した電球タイプの発光ダイオードランプに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示された従来の発光ダイオードランプの例を図7ないし図10に示す。この従来の発光ダイオードランプは、図7に示すように、リードフレーム用帯材110上に、支持部112およびリード部114,116とこれらを相互に連結支持するタイバー部119とを有するリードフレームユニット111を形成し、支持部112上に発光ダイオードチップ121(図9、10参照)を装着し、金細線122(図9、10参照)によりチップと支持部およびリード部との間の必要な電気的配線を施して発光部を形成し、この発光部を絶縁樹脂により一体的にモールド形成された反射筒を兼ねた保持体123により保持して発光部ユニット120を構成する。この発光部ユニット120は、装着された発光ダイオードチップおよび金線細線による配線の保護のために、表面を透明の封止剤124により封止し、リード部、支持部をタイバー部から切断することにより、リードフレームから切り離される(図7参照)。
この発光部ユニット120は、一方のリード線116に、図8に示すように、電流制限用抵抗器180を接続し、他方のリード線114とともに整形した上で(図8参照)、絶縁材製のホルダー150に嵌合し、このホルダー150の外側から接続用電極となる筒状の口金160を嵌着する。そして抵抗器180の発光部接続端と反対側のリード線181を口金の底部電極164にハンダ付けし、リード線114を口金の底部電極164から絶縁された外周電極160にハンダ付けまたはカシメにより接続して、発光ダイオードランプ100が構成される。
【0003】
このような従来の発光ダイオードランプにおいては、リードフレーム上には発光ダイオードチップで構成された発光部のみが絶縁性の成形材料により一体成形されるため、電流制限用抵抗器や外部接続のための電極を構成する口金を個別の部品として用意し、相互に組み立てる必要がある。
【0004】
このように、部品点数が多くなると、組立工数が多大となりコストの上昇を招く不都合がある。
【0005】
このような不都合を除くために、特許文献2には、図11および図12に示すような発光ダイオードランプが提案されている。
【0006】
図11および図12において、200は発光ダイオードランプであり、発光部220、電流制限部250および電極部260を一体的に結合して構成される。
【0007】
発光部220は、リードフレームにより形成された発光ダイオード支持部212、この支持部に装着され、金線222により必要な電気的配線の施された発光ダイオードチップ221およびこれらを外周から一体的に包み込むように絶縁樹脂によりモールドして形成された反射筒を兼ねる発光部保持体223を有する。この保持体223の中の発光ダイオードチップ221および金線222等を保護するために保持体223の上部空間は透明の封止材を充填して封止されている。
【0008】
電流制限部250は、リードフレームにより構成された電流制限部支持部213とこの支持部に装着された電流制限用の抵抗素子253を一体的に絶縁樹脂によりモールドして、半分に分割された筒体状に形成された電流制限部保持体の半部251と、リードフレームにより構成されたリード部216とこれに連結された接続用電極217を絶縁樹脂により一体的にモールドして半分に分割された筒体状に形成された電流制限部保持体の半部252とにより構成される。この場合、電極217の一部は保持体半部252の外周に露出されている。2つの電流制限部保持体半部251、252は、互いに向かい合わせに接合し、接着剤等により接着され、1つの電流制限部250を構成する。
【0009】
そして、電極部260は、リードフレームにより電流制限部支持部213に連続して形成されたリード部214とこのリード部214に連結して形成されたもう一方の接続用電極215とを、電極215の一部を底部に露出させて絶縁樹脂により一体的にモールドして形成した電極部保持体261を有する。
【0010】
前記発光部220、電流制限部250および電極部260はそれぞれの絶縁樹脂で構成された保持体を互いに接合し、接着剤等により接着し、一体化される。
【0011】
このように構成された発光ダイオードランプ200は、電極215と217に所定の直流電圧を印加すると電流制限抵抗素子253を通して発光部の発光ダイオードチップ221に電流が流れ発光ダイオードチップが発光する。
【特許文献1】特開平6−181340号公報
【特許文献2】特開2005−150603号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このように、従来の発光ダイオードランプは、リードフレームに形成された発光部、電流制限部および接続用電極部が絶縁樹脂によって一体成形されるので、電流制限部の電流制限素子の全体が絶縁樹脂によって覆われ、封止される。
【0013】
このため、この従来の発光ダイオードランプにおいては、電流制限素子の放熱性が悪く、ランプの温度上昇が大きくなりこれを抑えることが困難となるとともに、温度上昇を抑えるためには、消費電流を低く抑えなければならない等の問題があった。
【0014】
この発明は、前記の問題点を解消するため、組立工数を大幅に減じることができるとともに、温度上昇を低く抑えることのできる発光ダイオードランプを提供することを課題とするものである
【課題を解決するための手段】
【0015】
このような課題を解決するため、第1の発明は、リードフレームによって形成された、発光ダイオードチップを支持するための発光部支持部と、この支持部の両側に連続して形成された、電流制限用素子を支持するための電流制限部支持部と、この電流制限部支持部から引き出し形成された接続用電極とを有し、前記発光部支持部に発光ダイオードチップを装着して発光部を形成し、この発光部を絶縁樹脂により一体的にモールドして発光部保持体を形成し、前記電流制限部支持部に電流制限用素子を固着して電流制限部を形成し、前記電流制限部および接続用電極を、この接続用電極の一部および電流制限素子が露出されるようにして絶縁樹脂により一体的にモールドして電流制限部保持体を形成し、この電流制限部保持体および前記発光部を一体に成型して筒状または柱状のランプユニットを構成し、このランプユニットを、前記接続用電極の露出部分と対向する部分に開口を備えた筒状の保持ケースに挿入して構成したことを特徴とするものである。
【0016】
第2の発明は、第1の発明において、電流制限素子として、抵抗素子または、A−DコンバータやD−Dコンバータ等の電圧変換用ICチップを搭載することを特徴とする。
【0017】
第3の発明は、リードフレーム用帯材上に、発光ダイオードチップを支持するための発光部支持部と、この支持部の両側に連続する電流制限用素子を支持するための第1および第2の電流制限部支持部と、この第1および第2の電流制限部支持部からそれぞれ引き出し形成された第1および第2の接続用電極とを有するリードフレームを形成する工程と、前記発光部支持部に発光ダイオードチップを固着して発光部を形成する工程と、前記電流制限部支持部に電流制限用素子を固着して電流制限部を形成する工程と、前記発光部と前記電流制限部とを前記電流制限部の接続用電極の一部および電流制限素子を露出させてそれぞれ絶縁樹脂により一体的にモールドして発光部保持体および2分割構成された電流制限部保持体半部を形成する工程と、前記発光部保持体および電流制限部保持体半部の形成されたリードフレームをリードフレーム用帯材から切り離して前記電流制限部保持体半部を一体的に接合して発光部保持体と電流制限部保持体の一体となった筒状または柱状のランプユニットを形成する工程と、このランプユニットを筒状の絶縁性保持ケースに挿入する工程とを含むことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、リードフレーム上に発光ダイオードを実装した発光部、電流制限素子を実装した電流制限部、および外部接続用の電極が形成され、前記の電流制限部の電流制限素子と外部接続用電極の一部とを露出させてこれらの各部を絶縁樹脂により一体モールドするようにしているので、リードフレームユニットごとにリードフレーム帯材から分離すると1つの部品となり、この分離されたリードフレームユニットのリード部分を折り曲げ加工してランプユニットを構成し、このランプユニットを筒状の保持ケースに挿入するだけで1つの発光ダイオードランプに組み立てることができるので、部品点数が削減され、組立てが容易となり、組立て工数を低減することができるとともに、電流制限部の電流制限素子が絶縁樹脂により封止されることなく露出開放されるので、電流制限素子から外部への放熱効果が高まり、温度上昇を低く抑えることができる。
【0019】
そして、発光ダイオードランプの温度温度上昇を所定値に制限するようにした場合には、消費電流をより多く流すことができるので、従来のものに比べて発光ダイオードランプの明るさを向上することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下にこの発明を、図に示す実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0021】
図1および図2はこの発明の実施例1に基づく発光ダイオードランプの構成を示すもので、図1は全体の外観を示す斜視図、図2は各部に分解して示す縦断面図である。
【0022】
図1および図2において、1は発光ダイオードランプであり、ランプユニット2と保持ケース7とを備える。ランプユニット2は、発光部20、電流制限部50および電極部60で構成される。
【0023】
発光部20は、リードフレームにより形成された発光ダイオード支持部12、この支持部に装着され、金細線22により必要な電気配線の施された発光ダイオードチップ21およびこれらを外周から一体的に包み込むように絶縁樹脂によりモールドして形成された反射筒を兼ねる発光部保持体23を有する。この保持体23の中の発光ダイオードチップ21および金細線22等を保護するために保持体23の内部空間は透明の樹脂封止材25を充填して封止される。
【0024】
電流制限部50は、発光部20の発光ダイオード支持部12から両側に引き出されたリードフレームにより形成された2つの電流制限部支持部13aおよび13bに、それぞれ電流制限用抵抗素子53aおよび53bを装着して構成される。各電流制限部支持部からそれぞれ引き出されたリードフレームにより接続用電極17aおよび17bが形成される。電流制限部支持部13aおよび13bならびに接続用電極17aおよび17bは、電流制限用抵抗素子53a、53bおよび接続用電極の外部電極に接触する部分は絶縁樹脂によりモールドされないように露出させ、それ以外の部分を一体的に絶縁樹脂によりモールドして、2分割された対称的な2つの電流制限部保持体半部51aおよび51bを形成する。このような2つの電流制限部保持体半部51a、51bの発光部20との連結部のリード部16a、16bを折り曲げて互いに向かい合わせに接合して、1つの筒状または柱状の電流制限部保持体51を形成する。これにより、電流制限部保持体51の内部には電流制限用抵抗素子53a、53bが絶縁樹脂により覆われることなく全体を露出して保持される。そして、電流制限部保持体51の外周には接続用電極17a、17bが一部を露出して保持され、電流制限部50と一体的な電極部60が構成される。
【0025】
このようにして発光部20、電流制限部50および電極部60が筒状または柱状に一体的に構成された、発光ダイオードランプの主構成要素のランプユニット2が構成される。
【0026】
このランプユニット2とは別に設けられた保持ケース7は、図2(b)に示すように内部にランプユニット2を収容するために、絶縁樹脂により筒状に形成されている。この保持ケース7は、上部に大径の鍔部71を備え、この鍔部71の下方に連続して設けられた小径の筒部72を備える。この筒部72の下端には、中央部に一体的にその軸方向に中間付近まで延びた仕切り部材74を備えた底壁75が設けられている。この小径の筒部72の周壁には、その対向する2ヶ所に部分的に軸方向に切り欠いて形成した開口73aおよび73bが設けられている。
【0027】
このように構成された保持ケース7に上方からランプユニット2を挿入し、ランプユニット2と保持ケース7とを一体に嵌め合わせることにより発光ダイオードランプ1が組みあがる。保持ケース7に挿入されたランプユニット2がこれから抜出ないようにするために、ランプユニット2の電流制限部保持体51の外周壁に抜け止め突起55aおよび55bを設けている(図2(a)参照)。この突起55aおよび55bは、ランプユニット2を保持ケース7に挿入するとき、このケース7を弾性変形させて外側へ押し広げながら挿入され、保持ケース7の周壁の開口73aおよび73bの位置に達したところで、ここから外部へ突出し、保持ケース7の鍔部71の段差面と係合する(図2(c)参照)。これによって保持ケース7に収められたランプユニット2は抜け止めされる。
【0028】
保持ケース7に収められたランプユニット2の下方に対向して設けられた接続用電極17aおよび17bは、その大部分が絶縁樹脂によって覆われることなく露出し、それぞれ保持ケース7の開口73aおよび73bから外部へ臨んでいる。このような発光ダイオードランプ1を図示しない電源ソケットなどに挿入して電源に接続すると、この電源ソケットの電源端子81aおよび81bが、図2(c)に示すように、発光ダイオードランプ1の外部へ臨む接続用電極17aおよび17bと接触し、外部の直流電源からこの発光ダイオードランプ1に直流電圧が印加される。このように直流電圧が印加されると、発光ダイオードランプ1は、電極17aおよび17bから電流制限抵抗素子53a、および53bを通して発光部20の発光ダイオードチップ21に電流が流れ発光ダイオードチップが発光する。
【0029】
発光ダイオードランプ1の発光中は、電流制限抵抗素子53a、53bに電流が流れ、電流制限抵抗素子53a、53bが自己発熱するが、全体が絶縁樹脂で封止されることなく露出されているので、素子から大気への放熱が良好となるため、この電流制限抵抗素子による発光ダイオードランプの温度上昇を低く抑えることができる。
【0030】
発光ダイオードランプ1の外部接続用電極17aおよび17bと外部電源電極81aおよび81bとの接触を外れにくくするためには、接続用電極17aおよび17bに中間部に内側へ凹んだ凹部62aおよび62bを設け、これに外部電源端子81aおよび81bに形成した凸部82aおよび82bを嵌め合わせるようにするのがよい。
【実施例2】
【0031】
次に、図1および図2に示す発光ダイオードランプ1の製造方法について説明する。
【0032】
図3〜図6は、この発明の実施例1の発光ダイオードランプの製造工程を説明する図である。
【0033】
図3(a)および(b)はリードフレームを形成する工程を示す。この工程においては、プレス加工などにより、導電性金属薄板からなるリードフレーム用帯材10上に、発光ダイオードを装着するための発光ダイオード支持部12、この発光ダイオード支持部12の両側に設けられた電流制限素子を装着するための2つの電流制限部支持部13aおよび13b、発光ダイオード支持部12と電流制限部支持部13aおよび13bとを接続するリード部16aおよび16b、電流制限部支持部13aおよび13bに連続して一体に設けられた外部接続用電極17aおよび17bと各部を連結支持するタイバー部19を有するリードフレームユニット11を多数形成する。ここで、接続用電極17aおよび17bは、図3(b)に示すように、帯材10の平面より上方に突出するように折り曲げ加工され、外部電極を接続する場合の係合用の凹部62aおよび62bを備える。
【0034】
次に、図4に示す素子の装着およびモールド工程へ移る。この工程においては、自動マウント機等を使用して、リードフレームユニット11の発光ダイオード支持部12および電流制限部支持部13a、13bにそれぞれ例えば発光ダイオードチップ21を4個および2個の抵抗素子53a、53bを搭載し、ハンダ等により支持部に固着する。発光部20においては、図2(a)および(c)に示すように、各発光ダイオードチップ21と支持部12との間を金細線22により接続して必要な電気的接続を行なう。発光部20における発光ダイオードチップ21の搭載数は、発光量、使用電圧などによって決められる。また電流制限部50に設けられる電流制限用抵抗素子は2個が最適であるが、これに限られるものではない。
【0035】
このように、リードフレームユニット11に発光ダイオードチップや抵抗素子等の素子を装着する工程を終えたのち、モールド工程へ移行する。モールド工程においては、リードフレームユニット11を帯材10につけたまま、発光ダイオード支持部12、電流制限部支持部13a、13b、および電極17a、17bをそれぞれ絶縁樹脂により一体的にモールドして各部にそれぞれ保持体を形成する。
【0036】
発光ダイオード支持部12に形成される発光部保持体23はこの支持部12を外周から取り囲んだ有底円筒状をなし発光部の反射筒を兼ねる。そしてその発光ダイオードチップ21の配置されている上部空間は、発光ダイオードチップ21および金細線22を保護するために、透明の樹脂封止材25を充填して封止する。
【0037】
電流制限部支持部13aおよび13bにそれぞれ一体的に絶縁樹脂をモールドすることにより形成される保持体半部51aと51bは、図5を参照するとより明らかであるように、それぞれ円筒の2分割された半部を構成し、互いに向かい合わせに接合することにより、1つの円筒状の電流制限部保持体51を構成する。保持体半部51a、51bにおいては、それぞれ、図5(b)に示すように、接続用電極17a、17bの一部および保持した電流制限抵抗素子53a、53bを除いて絶縁樹脂によりモールドされる。このため、接続用電極17a、17bの一部および電流制限抵抗素子53a、53bは、絶縁樹脂により封止されないで露出する(図5(b)参照)。
【0038】
このようなモールド工程の次は、リードフレームユニット11ごとに、タイバー部19を切断し、これを帯材10から切り離す、切離し工程となる。図5は、この切離し工程によって、帯材10から切り離された1つのリードフレームユニット11を示すもので、(a)は、全体の外観を示す斜視図、(b)は、(a)におけるb−b線の縦断面図である。この切り離されたリードフレームユニット11には、すでに説明したように、発光ダイオードチップ21、電流制限抵抗素子53a、53bが装着され、かつ、接続用電極17a、17bが一体に形成されたリードフレームと一体的に絶縁樹脂をモールドして発光部保持体23および電流制限部保持体半部51a、51bが形成されている。保持体半部51aおよび51bの上面に抜け止め用突起55aおよび55bがモールド時に一体成形により形成されている。
【0039】
最後の組立て工程を図6に示す。
【0040】
帯材10から切り離されたリードフレームユニット11の発光部保持体23の両側に延びた一方の電流制限部保持体半部51bをリード部16bから下方へ直角に折り曲げるとともに(図6(a)、(b)参照)、他方の電流制限部保持体半部51aを同様にリード部16aから下方へ直角に折り曲げて、2つの電流制限部保持体半部を互いに向かい合せに接合して、図6(c)に示すように、発光体保持体23と電流制限部保持体51とが一体の筒状体となったランプユニット2を構成する。
【0041】
このランプユニット2をこれとは別に形成した絶縁樹脂製の筒状の保持ケース7に挿入し、一体に嵌め合わせる。ランプユニット2は挿入の際、電極部60が、保持ケース7の開口73aおよび73bに臨む位置に置かれる。このランプユニット2を保持ケース7に挿入する際、ランプユニットの電流制限部保持体51の外周表面に設けた抜け止め用突起55aおよび55bが保持ケース7を弾性変形させて内側から外側へ押し広げながら押し込まれ、突起が開口73a、73bに達したところで、保持ケース7が元に戻り、ランプユニット2を締付ける。そして、図6(d)に示すように、突起55a,55bが保持ケース7の鍔部71の段差面と係合し、ランプユニット2の保持ケース7からの抜け止めが行なわれる。これにより発光ダイオードランプ1の組立てが完了する。
【0042】
このような組立て工程は、リードフレームの折り曲げ加工と、保持ケースへの挿入だけであるので自動化することが容易となる。
【0043】
この実施例によれば、装着部品の発光ダイオードチップや電流制限用抵抗素子だけでなく保持体部分まで、リードフレーム上に形成することができるので、組立て部品数が減り、かつリードフレームの折り曲げ加工のみで組立てを行なうことができるので、組立てが極めて簡単となり、その工数を大幅に低減することができる。
【0044】
前記各実施例において、電流制限素子として最も一般的な抵抗素子を用いた例を示したが、この発明においては、これの代わりにA−Dコンバ−タや、D−Dコンバータのような電圧変換用ICチップを搭載することができ、特にA−Dコンバータを用いた場合は交流電源のもとで直接使用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】この発明の実施例1による発光ダイオードランプの構成を示す斜視図である。
【図2】この発明の実施例1による発光ダイオードランプの構成を分解して示す縦断面図である。
【図3】この発明の実施例2による発光ダイオードランプの製造方法のリードフレーム形成工程を示す図であり、(a)はリードフレームの帯材を示す斜視図、(b)は同縦断面図ある。
【図4】同モールド工程における帯材の表面を示す図である。
【図5】同リードフレームユニットの切離し工程を示す図であり、(a)は切離したリードフレームユニットの斜視図、(b)は同縦断面図である。
【図6】同組立て工程を示す図である。
【図7】従来の発光ダイオードランプの製造方法におけるモールド工程および分離工程を示す図である。
【図8】同組立て工程を示す図である。
【図9】従来の発光ダイオードランプの構成を示す斜視図である。
【図10】従来の発光ダイオードランプの構成を示す縦断面図である。
【図11】他の従来の発光ダイオードランプの構成を示す斜視図である。
【図12】他の従来の発光ダイオードランプの構成を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0046】
1:発光ダイオードランプ
10:リードフレーム用帯材
11:リードフレームユニット
13a,13b:電流制限部支持部
17a、17b:接続用電極
2:ランプユニット
20:発光部
21:発光ダイオードチップ
23:発光部保持体
50:電流制限部
51、51a、51b:電流制限部保持体および電流制限部保持体半部
53a、53b:電流制限用抵抗素子
60:電極部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リードフレームによって形成された、発光ダイオードチップを支持するための発光部支持部と、この支持部の両側に連続して形成された、電流制限用素子を支持するための電流制限部支持部と、この電流制限部支持部から引き出し形成された接続用電極とを有し、前記発光部支持部に発光ダイオードチップを装着して発光部を形成し、この発光部を絶縁樹脂により一体的にモールドして発光部保持体を形成し、前記電流制限部支持部に電流制限用素子を固着して電流制限部を形成し、前記電流制限部および接続用電極を、この接続用電極の一部および電流制限素子が露出されるようにして絶縁樹脂により一体的にモールドして電流制限部保持体を形成し、この電流制限部保持体および前記発光部を一体に成型して筒状または柱状のランプユニットを構成し、このランプユニットを、前記接続用電極の露出部分と対向する部分に開口を備えた筒状の保持ケースに挿入して構成したことを特徴とする発光ダイオードランプ。
【請求項2】
請求項1に記載の発光ダイオードランプにおいて、電流制限素子として、抵抗素子または、AーDコンバータやDーDコンバータ等の電圧変換用ICチップを搭載することを特徴とする発光ダイオードランプ。
【請求項3】
リードフレーム用帯材上に、発光ダイオードチップを支持するための発光部支持部と、この支持部の両側に連続する電流制限用素子を支持するための第1および第2の電流制限部支持部と、この第1および第2の電流制限部支持部からそれぞれ引き出し形成された第1および第2の接続用電極とを有するリードフレームを形成する工程と、前記発光部支持部に発光ダイオードチップを固着して発光部を形成する工程と、前記電流制限部支持部に電流制限用素子を固着して電流制限部を形成する工程と、前記発光部と前記電流制限部とを前記電流制限部の接続用電極の一部および電流制限素子を露出させてそれぞれ絶縁樹脂により一体的にモールドして発光部保持体および2分割構成された電流制限部保持体半部を形成する工程と、前記発光部保持体および電流制限部保持体半部の形成されたリードフレームをリードフレーム用帯材から切り離して前記電流制限部保持体半部を一体的に接合して発光部保持体と電流制限部保持体の一体となった筒状または柱状のランプユニットを形成する工程と、このランプユニットを筒状の絶縁性保持ケースに挿入する工程とを含むことを特徴とする発光ダイオードランプの製造方法。
【請求項1】
リードフレームによって形成された、発光ダイオードチップを支持するための発光部支持部と、この支持部の両側に連続して形成された、電流制限用素子を支持するための電流制限部支持部と、この電流制限部支持部から引き出し形成された接続用電極とを有し、前記発光部支持部に発光ダイオードチップを装着して発光部を形成し、この発光部を絶縁樹脂により一体的にモールドして発光部保持体を形成し、前記電流制限部支持部に電流制限用素子を固着して電流制限部を形成し、前記電流制限部および接続用電極を、この接続用電極の一部および電流制限素子が露出されるようにして絶縁樹脂により一体的にモールドして電流制限部保持体を形成し、この電流制限部保持体および前記発光部を一体に成型して筒状または柱状のランプユニットを構成し、このランプユニットを、前記接続用電極の露出部分と対向する部分に開口を備えた筒状の保持ケースに挿入して構成したことを特徴とする発光ダイオードランプ。
【請求項2】
請求項1に記載の発光ダイオードランプにおいて、電流制限素子として、抵抗素子または、AーDコンバータやDーDコンバータ等の電圧変換用ICチップを搭載することを特徴とする発光ダイオードランプ。
【請求項3】
リードフレーム用帯材上に、発光ダイオードチップを支持するための発光部支持部と、この支持部の両側に連続する電流制限用素子を支持するための第1および第2の電流制限部支持部と、この第1および第2の電流制限部支持部からそれぞれ引き出し形成された第1および第2の接続用電極とを有するリードフレームを形成する工程と、前記発光部支持部に発光ダイオードチップを固着して発光部を形成する工程と、前記電流制限部支持部に電流制限用素子を固着して電流制限部を形成する工程と、前記発光部と前記電流制限部とを前記電流制限部の接続用電極の一部および電流制限素子を露出させてそれぞれ絶縁樹脂により一体的にモールドして発光部保持体および2分割構成された電流制限部保持体半部を形成する工程と、前記発光部保持体および電流制限部保持体半部の形成されたリードフレームをリードフレーム用帯材から切り離して前記電流制限部保持体半部を一体的に接合して発光部保持体と電流制限部保持体の一体となった筒状または柱状のランプユニットを形成する工程と、このランプユニットを筒状の絶縁性保持ケースに挿入する工程とを含むことを特徴とする発光ダイオードランプの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−32763(P2009−32763A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−192883(P2007−192883)
【出願日】平成19年7月25日(2007.7.25)
【出願人】(390021186)株式会社秩父富士 (54)
【出願人】(503361927)富士電機アセッツマネジメント株式会社 (402)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月25日(2007.7.25)
【出願人】(390021186)株式会社秩父富士 (54)
【出願人】(503361927)富士電機アセッツマネジメント株式会社 (402)
【Fターム(参考)】
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