説明

発光ダイオード用基板の製造方法、発光ダイオードの製造方法及びモールドの製造方法

【課題】高品質で低コストの発光ダイオード用基板の製造方法、発光ダイオードの製造方法及びモールドの製造方法を提供する。
【解決手段】実施形態に係る発光ダイオード用基板は、基板上に、レジスト材料を配置する工程と、主面に複数の第1の凸部が形成され、少なくとも前記第1の凸部の上面に、その幅及び間隔が前記第1の凸部の幅及び間隔よりも小さい複数の第2の凸部が形成されたモールドを、前記基板に押し付けることにより、前記第1の凸部間及び前記第2の凸部間に前記レジスト材料を進入させる工程と、前記モールドを押し付けた状態で、前記レジスト材料を固化させることにより、前記基板上にレジストパターンを形成する工程と、前記レジストパターンから前記モールドを剥離する工程と、前記レジストパターンをマスクとして、前記基板に対してエッチングを施す工程と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、発光ダイオード用基板の製造方法、発光ダイオードの製造方法及びモールドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオードを製造する際には、半導体や絶縁体などからなる基板が用いられる。例えば、サファイア基板やシリコン基板などは、その優れた化学的安定性、光透過性等から広く工業的に用いられている。一例として、サファイア基板を半導体装置の基板として用いる場合には、サファイア基板に対して光リソグラフィー法によるパターニング工程及びエッチング工程が複数回施される。そのため、半導体装置の製造プロセスが複雑となり、製造工期が長くなっていた。
【0003】
また、サファイア基板を三次元的に段差のある多段形状に加工する場合には、段差に近い部分が光リソグラフィー法の露光によって解像しないという問題や、レジストパターンの形状が厚さに比べて底面積が小さい高アスペクトな形状となり、加工中にパターンが倒れるという問題が発生していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−304689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態は、高品質で低コストの発光ダイオード用基板の製造方法、発光ダイオードの製造方法及びモールドの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る発光ダイオード用基板の製造方法は、基板上に、レジスト材料を配置する工程と、主面に複数の第1の凸部が形成され、少なくとも前記第1の凸部の上面に、その幅及び間隔が前記第1の凸部の幅及び間隔よりも小さい複数の第2の凸部が形成されたモールドを、前記基板に押し付けることにより、前記第1の凸部間及び前記第2の凸部間に前記レジスト材料を進入させる工程と、前記モールドを押し付けた状態で、前記レジスト材料を固化させることにより、前記基板上にレジストパターンを形成する工程と、前記レジストパターンから前記モールドを剥離する工程と、前記レジストパターンをマスクとして、前記基板に対してエッチングを施す工程と、を備える。
【0007】
また、実施形態に係る発光ダイオードの製造方法は、発光ダイオード用基板の製造方法によって製造された発光ダイオード用基板上に、半導体結晶を成長させる工程を備える。
【0008】
さらに、実施形態に係るモールドの製造方法は、モールド用基板上に、第1のレジスト材料を配置する工程と、主面に複数の第3の凹部が形成された第1のモールドを、前記モールド用基板に押し付けることにより、前記第3の凹部の内部に前記第1のレジスト材料を進入させる工程と、前記第1のモールドを押し付けた状態で、前記第1のレジスト材料を固化させることにより、前記モールド用基板上に第1のレジストパターンを形成する工程と、前記第1のレジストパターンから前記第1のモールドを剥離する工程と、前記第1のレジストパターンをマスクとして、前記モールド用基板に対してエッチングを施す工程と、前記第1のレジストパターンに覆われていた部分を含む前記モールド用基板上に第2のレジスト材料を配置する工程と、主面にその幅及び間隔が前記第3の凹部の幅及び間隔よりも小さい複数の第4の凹部が形成された第2のモールドを、前記モールド用基板に押し付けることにより、前記第4の凹部の内部に前記第2のレジスト材料を進入させる工程と、前記第2のモールドを押し付けた状態で、前記第2のレジスト材料を固化させることにより、前記モールド用基板上に第2のレジストパターンを形成する工程と、前記第2のレジストパターンから前記第2のモールドを剥離する工程と、前記第2のレジストパターンをマスクとして、前記モールド用基板に対してエッチングを施す工程と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(a)〜(e)は、第1の実施形態に係るモールドの製造方法を例示する工程断面図である。
【図2】第1の実施形態に係るモールドを例示する斜視図である。
【図3】(a)〜(e)は、第2の実施形態に係るモールドの製造方法を例示する工程断面図である。
【図4】第2の実施形態に係るモールドを例示する斜視図である。
【図5】(a)〜(c)は、第3の実施形態に係る発光ダイオード用基板の製造方法を例示する工程断面図である。
【図6】第3の実施形態に係る発光ダイオード用基板を例示する平面図である。
【図7】(a)〜(c)は、第4の実施形態に係る発光ダイオード用基板の製造方法を例示する工程断面図である。
【図8】第4の実施形態に係る発光ダイオード用基板を例示する平面図である。
【図9】第5の実施形態に係る発光ダイオードの製造方法を例示する工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
先ず、第1の実施形態に係るモールドの製造方法について説明する。
図1(a)〜(e)は、第1の実施形態に係るモールドの製造方法を例示する工程断面図である。
図2は、第1の実施形態に係るモールドを例示する斜視図である。
【0011】
先ず、図1(a)に示すように、モールド用基板10として、例えば、石英板を用意する。そして、モールド用基板10上にレジスト材料を配置する。
その後、レジスト材料からレジストパターン11を形成する。レジストパターン11は、インプリント法により形成する。
【0012】
インプリント法は、先ず、主面12に複数の凹部13が形成されたモールド14を用意する。凹部13の幅及び間隔を100〜500ナノメートルのうち、例えば、100ナノメートルとする。幅と間隔を異なる長さとしてもよい。また、凹部13は、モールド14上に周期的に配置されている。
そして、このモールド14をモールド用基板10に押し付けることにより、凹部13の内部にレジスト材料を進入させる。
【0013】
次に、モールド14を押し付けた状態で、レジスト材料を固化させる。レジスト材料は、例えば、紫外線が照射されることにより固化する。これにより、モールド用基板10上にレジストパターン11が形成される。
その後、レジストパターン11からモールド14を剥離する。レジストパターン11の幅及び間隔は、モールド14の凹部13の幅及び間隔が転写されて、100ナノメートルとなる。
【0014】
次に、図1(b)に示すように、パターニングされたレジストパターン11をマスクとして、モールド用基板10の上部に対してエッチングを施す。エッチングは、異方性ドライエッチングにより行う。これにより、モールド用基板10の上部に、複数の凸部15が形成される。凸部15の幅及び間隔はレジストパターン11の幅及び間隔と同じ100ナノメートルとなる。また、凸部15は、モールド用基板10の主面12の面内において周期的に配置される。その後、残留したレジストパターン11があれば、それを除去する。
【0015】
次に、図1(c)に示すように、レジストパターン11に覆われていた部分を含むモールド用基板10上に再びレジスト材料を配置する。
その後、レジスト材料からレジストパターン16を形成する。このレジストパターン16もインプリント法により形成する。
【0016】
先ず、主面17に複数の凹部18が形成されたモールド19を用意する。凹部18の幅及び間隔を、凹部13より大きい1〜2マイクロメートルのうち、例えば、1マイクロメートルとする。幅及び間隔を異なる長さとしてもよい。また、凹部18はモールドの主面17の面内において周期的に配置されている。そして、このモールド19をモールド用基板10に押し付けることにより、凹部18の内部にレジスト材料を進入させる。
【0017】
次に、モールド19を押し付けた状態で、レジスト材料を固化させる。これにより、モールド用基板10上にレジストパターン16が形成される。
その後、レジストパターン16からモールド19を剥離する。レジストパターン16の幅及び間隔は、モールド19の凹部18の幅及び間隔が転写されて、1マイクロメートルとなる。
次に、パターニングされたレジストパターン16をマスクとして、モールド用基板10に対してエッチングを施す。
【0018】
この時、図1(d)に示すように、底出し、すなわち、本来、除去されるべきレジストパターン16以外の部分のレジスト材料がモールド用基板10上に残留している場合には、エッチングを施す工程の前に、残留している余分なレジスト材料を除去する。底出しは、ドライエッチングのエッチング条件を制御して行う。例えば、レジスト材料のエッチング速度をモールド用基板10に比べて十分大きくなるように、エッチングガスを選択する。底出しによって、モールド19の凹部18によって形成されたレジストパターン16は、モールド用基板10上に島状に分離された形状となる。
【0019】
そして、パターニングされたレジストパターン16をマスクとして、モールド用基板10に対してエッチングを施す。レジストパターン16で覆われた部分は、エッチングされない。したがって、レジストパターン16で覆われた部分のモールド用基板10は、エッチングされずに、複数の島状の形状となる。島状の形状の部分を島状部20という。それぞれの島状部20の上部には、複数の凸部15が残留する。島状部20の下部には、凸部21が形成される。凸部15及び凸部21は、モールド用基板上10に周期的に配置されている。凸部21のモールド用基板10上における幅及び間隔は、レジストパターン16と同じ幅及び間隔が転写されて、1マイクロメートルとなる。それぞれの凸部21の上面上には、凸部15が10〜50個形成されている。
【0020】
これに対して、レジストパターン16で覆われていない部分においては、異方性エッチングによって、凸部15及び凸部15間の領域22の直下部分がエッチングされる。これにより、凸部15の直下部分が凸部23となる。凸部23の幅及び間隔は、凸部15の幅及び間隔が転写されて100ナノメートルとなる。凸部15間の領域22の直下部分は、凸部23間の領域24となる。凸部15、凸部21及び凸部23は、モールド用基板上10に周期的に配置されている。
その後、残留したレジストパターン16があれば、それを除去する。
このようにして、図1(e)に示すように、モールド25が製造される。
【0021】
図2に示すように、本実施形態のモールド25には、主面26に、幅及び間隔が1マイクロメートルの複数の凸部21が形成され、凸部21の上面に、その幅及び間隔が100ナノメートルの凸部15が形成されている。また、凸部21の間の領域には、その幅及び間隔が100ナノメートルの凸部23が形成されている。
また、凸部21を上方から見た形状は、六角形とされている。
【0022】
本実施形態に係るモールドの製造方法によれば、多段形状のモールド25を製造することができる。このモールド25を用いてインプリントすることにより、多段形状の発光ダイオード用基板を量産するのが容易になる。よって、低コストの発光ダイオード用基板を製造することができる。
【0023】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係るモールドの製造方法について説明する。
図3(a)〜(e)は、第2の実施形態に係るモールドの製造方法を例示する工程断面図である。
図4は、第2の実施形態に係るモールドを例示する斜視図である。
【0024】
先ず、図3(a)に示すように、モールド用基板10上にレジスト材料を配置する。
その後、レジスト材料からレジストパターン16を形成する。このレジストパターン16はインプリント法により形成する。
【0025】
インプリント法は、先ず、主面17に複数の凹部18が形成されたモールド19を用意する。凹部18の幅及び間隔を、1〜2マイクロメートルのうち、例えば、1マイクロメートルとする。そして、このモールド19をモールド用基板10に押し付けることにより、凹部18の内部にレジスト材料を進入させる。
【0026】
次に、モールド19を押し付けた状態で、レジスト材料を固化させる。これにより、モールド用基板10上にレジストパターン16が形成される。
その後、レジストパターン16からモールド19を剥離する。レジストパターン16の幅及び間隔は、モールド19の凹部18の幅及び間隔が転写されて、1マイクロメートルとなる。
【0027】
次に、図3(b)に示すように、パターニングされたレジストパターン16をマスクとして、モールド用基板10に対してエッチングを施す。これにより、モールド用基板10の上部に複数の島状部20が形成される。島状部20の幅及び間隔は、レジストパターン16の幅及び間隔が転写されて、1マイクロメートルとなる。その後、残留されたレジストパターン16があれば、それを除去する。
【0028】
次に、図3(c)に示すように、レジストパターン16に覆われていた部分を含むモールド用基板10上に再びレジスト材料を配置する。
その後、レジスト材料からレジストパターン11を形成する。このレジストパターン11もインプリント法により形成する。
【0029】
先ず、主面12に複数の凹部13が形成されたモールド14を用意する。凹部13の幅及び間隔を100〜500ナノメートルのうち、例えば、100ナノメートルとする。
そして、このモールド14をモールド用基板10に押し付けることにより、凹部13の内部にレジスト材料を進入させる。
【0030】
次に、モールド14を押し付けた状態で、レジスト材料を固化させる。これにより、モールド用基板10上に、レジストパターン11が形成される。
その後、レジストパターン11からモールド14を剥離する。レジストパターン11の幅及び間隔は、凹部13の幅及び間隔が転写されて、100ナノメートルとなる。
次に、パターニングされたレジストパターン11をマスクとして、モールド用基板10に対してエッチングを施す。
【0031】
この時、図3(d)に示すように、底出し、すなわち、本来、除去されるべきレジストパターン11以外の部分のレジスト材料が残留している場合には、エッチングを施す工程の前に、残留している余分なレジスト材料を除去する。底出しによって、モールド14の凹部13によって形成されたレジストパターン11は島状に分離された形状となる。
【0032】
そして、図3(e)に示すように、パターニングされたレジストパターン11をマスクとして、モールド用基板10に対してエッチングを施す。これにより、島状部20の上部がエッチングされて、凸部15が形成される。また、島状部20の下部は、凸部21となる。したがって、凸部21の上面上に凸部15が形成される。凸部15の幅及び間隔は、レジストパターン11の幅及び間隔が転写されて、100ナノメートルとなる。凸部21の幅及び間隔は、島状部20の幅及び間隔と同じ1マイクロメートルとなる。その後、残留されたレジストパターン11があれば、それを除去する。
このようにして、図3(e)に示すように、モールド27が製造される。
【0033】
図4に示すように、本実施形態のモールド27は、主面28に幅及び間隔が1マイクロメートルの凸部21が形成され、凸部21の上面上に、幅及び間隔が100ナノメートルの凸部15が形成されている。
【0034】
本実施形態に係るモールド27の製造方法によれば、モールド27の凸部21間の領域には、平面が形成される。
【0035】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係る発光ダイオード用基板の製造方法について説明する。
図5(a)〜(c)は、第3の実施形態に係る発光ダイオード用基板の製造方法を例示する工程断面図である。
図6は、第3の実施形態に係る発光ダイオード用基板を例示する平面図である。
【0036】
先ず、図5(a)に示すように、基板30、例えばサファイア基板上にレジスト材料29を配置する。その後、レジスト材料29をパターニングする。パターニングは、インプリント法により行う。
【0037】
インプリント法は、先ず、前述の第1の実施形態に係るモールド25を用意する。モールド25には、主面26に複数の凸部21が形成され、凸部21の上面に、その幅及び間隔が凸部21の幅及び間隔よりも小さい複数の凸部15が形成されている。凸部21及び凸部15により島状部20が形成されている。さらに、凸部21の間の領域には、複数の凸部23が形成されている。凸部21、凸部15及び凸部23は、モールド25上に周期的に形成されている。凸部21の幅及び間隔は1マイクロメートルである。凸部15及び凸部23の幅及び間隔は100ナノメートルである。
【0038】
次に、図5(b)に示すように、モールド25を基板30に押し付ける。これにより、モールド25の凸部21間、凸部15間及び凸部23間にレジスト材料29を進入させる。そして、モールド25を基板30に押し付けた状態で、レジスト材料29を固化させることにより、基板30上にレジストパターン31を形成する。その後、レジストパターン31からモールド25を剥離する。モールド25の凸部21によりレジストパターン31に複数の凹部32が形成される。モールド25の凸部15によりレジストパターン31におけるそれぞれの凹部32の底面に複数の凹部33が形成される。モールド25の凸部23により、レジストパターン31における凹部32の間の領域に複数の凹部34が形成される。凹部32、凹部33及び凹部34は、基板30上に周期的に形成されている。
【0039】
そして、図5(c)に示すように、レジストパターン31をマスクとして、基板30に対してエッチングを施す。レジストパターン31における凹部32が転写されて、基板30に複数の凹部35が形成される。レジストパターン31における凹部33が転写されて、それぞれの凹部35の底面に複数の凹部36が形成される。レジストパターン31における凹部34が転写されて、凹部35の間の領域に複数の凹部37が形成される。基板30の上面における凹部35の幅は、凹部36及び凹部37の幅より大きい。また、凹部35の側面を挟んで基板30の上面と、凹部35の底面とで段差が形成されている。また、凹部36の側面を挟んで凹部35の底面と、凹部36の底面とで段差が形成されている。さらに、凹部37の側面を挟んで基板30の上面と、凹部37の底面とで段差が形成されている。
このようにして、基板30の主面39に複数の段差が形成された多段形状の発光ダイオード用基板38が製造される。
【0040】
図6に示すように、発光ダイオード用基板38には、上方から見て六角形の複数の凹部35が形成されている。また、凹部35の底面及び凹部35の間の領域には、複数の凹部36及び複数の凹部37が形成されている。
【0041】
本実施形態に係る発光ダイオード用基板38の製造方法によれば、多段形状の発光ダイオード用基板38を1回のパターニングと1回のエッチングにより形成することができる。よって、多段形状を形成する場合に、多数回のパターニングと多数回のエッチングを要するリソグラフィー法より低コストで、製造することができる。
また、リソグラフィー法のように、マスクの位置合わせを多数回必要としないので、リソグラフィー法より高精度で製造することができる。
【0042】
さらに、凹部35の側面に近い部分、すなわち、段差に近い部分に凹部36及び凹部37を形成することができ、リソグラフィー法では困難であった段差の近傍の部分における加工を容易にすることができる。
また、リソグラフィー法では問題になったレジスト倒れも発生しない。よって、リソグラフィー法より高品質の発光ダイオード用基板を製造することができる。
【0043】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態に係る発光ダイオード用基板の製造方法について説明する。
図7(a)〜(c)は、第4の実施形態に係る発光ダイオード用基板の製造方法を例示する工程断面図である。
図8は、第4の実施形態に係る発光ダイオード用基板を例示する平面図である。
【0044】
先ず、図7(a)に示すように、基板30、例えばサファイア基板上にレジスト材料29を配置する。その後、レジスト材料29をパターニングする。パターニングは、インプリント法により行う。先ず、前述の第2の実施形態に係るモールド27を用意する。モールド27には、主面28に複数の凸部21が形成され、それぞれの凸部21の上面上に、その幅及び間隔が凸部21の幅及び間隔よりも小さい複数の凸部15が形成されている。凸部21及び凸部15により島状部20が形成されている。凸部21の幅及び間隔は1マイクロメートルである。凸部15の幅及び間隔は100ナノメートルである。
【0045】
次に、図7(b)に示すように、モールド27を基板30に押し付ける。これにより、モールド27の凸部21間及び凸部15間にレジスト材料29を進入させる。そして、モールド27を基板30に押し付けた状態で、レジスト材料29を固化させることにより、基板30上にレジストパターン40を形成する。その後、レジストパターン40からモールド27を剥離する。モールド27の凸部21によりレジストパターン40に複数の凹部32が形成される。モールド27の凸部15によりレジストパターン40のそれぞれの凹部32の底面に複数の凹部33が形成される。
【0046】
そして、図7(c)に示すように、レジストパターン40をマスクとして、基板30に対してエッチングを施す。レジストパターン40における凹部32が転写されて、基板30に複数の凹部35が形成される。レジストパターン40における凹部33が転写されて、それぞれの凹部35の底面に複数の凹部36が形成される。凹部35の幅は、凹部36の幅より大きい。また、凹部35の側面を挟んで基板30の上面と、凹部35の底面とで段差が形成されている。また、凹部36の側面を挟んで凹部35の底面と、凹部36の底面とで段差が形成されている。
このようにして、基板30の主面39に複数の段差が形成された多段形状の発光ダイオード用基板41が製造される。
【0047】
図8に示すように、発光ダイオード用基板41には、上方から見て六角形の複数の凹部35が形成されている。また、凹部35の底面には、凹部36が形成されている。
本実施形態に係る発光ダイオード用基板41の製造方法によれば、凹部35の相互間における発光ダイオード用基板38の上面を、平面とすることができる。
よって、凸部21間の領域に凸部23が形成された発光ダイオード用基板と品質の比較をすることができる。したがって、発光ダイオード用基板の形状の最適化を図ることができる。
なお、前述の第3の実施形態及び本実施形態において、基板30としてサファイア基板を用いたが、シリコン基板を用いてもよい。
【0048】
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態に係る発光ダイオードの製造方法について説明する。
図9は、第5の実施形態に係る発光ダイオードの製造方法を例示する工程断面図である。
図9に示すように、第3の実施形態に係る発光ダイオード用基板38上に、半導体結晶42を結晶成長させる。発光ダイオード用基板38の代わりに、第4の実施形態に係る発光ダイオード用基板41を用いてもよい。
【0049】
半導体結晶42として、発光ダイオードの材料となる結晶を成長させる。発光ダイオードの材料となる結晶は、例えば、窒化ガリウム(GaN)である。
その後、例えば不純物を添加してpn接合を形成し、p形領域及びn形領域に電極を形成する。
このようにして、発光ダイオード43が製造される。
【0050】
本実施形態に係る発光ダイオード43の製造方法によれば、凹部35及び凹部36が形成された発光ダイオード用基板38及び41上に、発光ダイオードの材料となる結晶として例えば窒化ガリウムを成長させている。凹部35の幅は、1〜2マイクロメートルである。この幅は、窒化ガリウムの半導体結晶から形成された発光ダイオードの青色光を取り出すのに適している。凹部31が形成されていないと、青色光が基板、例えばサファイア基板に反射又は吸収されて、サファイア基板を透過する光量が減少する。
【0051】
一方、基板として、シリコン基板を用いた場合には、青色光をシリコンの積層間で反射させ、その反射光を共鳴させて取り出す。その場合に、凹部35が形成されていないと、青色光のシリコンの積層間での反射量が減少する。なぜなら、シリコン基板においては、凹部35が形成されていないと、青色光が吸収されてしまうからである。この場合にも、凹部35の幅は、1〜2マイクロメートルが好ましい。
【0052】
さらに、発光ダイオード用基板38及び41に形成された凹部36の径は、100〜500ナノメートルとしている。この径は、半導体結晶、特に、窒化ガリウム結晶を成長させる場合に適している。凹部36によって、窒化ガリウムの結晶格子とサファイア基板またはシリコン基板の結晶格子との間の不整合を緩和し、転移の発生を抑制する。
また、凹部35を周期的に配置することによって、発光ダイオードから発光する光を均一に出射することができる。凹部36を周期的に配置することによって、結晶を均一に成長することができる。よって、高品質の発光ダイオードを製造することができる。
【0053】
以上説明した実施形態によれば、高品質で低コストの発光ダイオード用基板、発光ダイオード及びモールドの製造方法を提供することができる。
【0054】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明及びその等価物の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0055】
10:モールド用基板、11:レジストパターン、12:主面、13:凹部、14:モールド、15:凸部、16:レジストパターン、17:主面、18:凹部、19:モールド、20:島状部、21:凸部、22:領域、23:凸部、24:領域、25:モールド、26:主面、27:モールド、28:主面、29:レジスト材料、30:基板、31:レジストパターン、32:凹部、33:凹部、34:凹部、35:凹部、36:凹部、37:凹部、38:発光ダイオード用基板、39:主面、40:レジストパターン、41:発光ダイオード用基板、42:半導体結晶、43:発光ダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、レジスト材料を配置する工程と、
主面に複数の第1の凸部が形成され、少なくとも前記第1の凸部の上面に、その幅及び間隔が前記第1の凸部の幅及び間隔よりも小さい複数の第2の凸部が形成されたモールドを、前記基板に押し付けることにより、前記第1の凸部間及び前記第2の凸部間に前記レジスト材料を進入させる工程と、
前記モールドを押し付けた状態で、前記レジスト材料を固化させることにより、前記基板上にレジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンから前記モールドを剥離する工程と、
前記レジストパターンをマスクとして、前記基板に対してエッチングを施す工程と、
を備えたことを特徴とする発光ダイオード用基板の製造方法。
【請求項2】
前記モールドには、前記主面における前記第1の凸部間の領域に、複数の前記第2の凸部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の発光ダイオード用基板の製造方法。
【請求項3】
前記エッチングを施す工程において、前記基板に複数の第1の凹部を形成し、前記第1の凹部の底面に、その幅及び間隔が前記第1の凹部の幅及び間隔よりも小さい複数の第2の凹部を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の発光ダイオード用基板の製造方法。
【請求項4】
前記第1の凸部の幅は、1〜2マイクロメートルであり、
前記第2の凸部の幅は、100〜500ナノメートルであり、
前記第1の凹部の幅を、1〜2マイクロメートルとし、
前記第2の凹部の幅を、100〜500ナノメートルとすることを特徴とする請求項3記載の発光ダイオード用基板の製造方法。
【請求項5】
前記第1の凸部を上方から見た形状は、六角形であり、
前記第1の凹部を上方から見た形状を、六角形とすることを特徴とする請求項3または4に記載の発光ダイオード用基板の製造方法。
【請求項6】
前記第1の凸部は、前記主面の面内において、周期的に配置され、
前記第2の凸部は、前記第1の凸部の上面の面内において、周期的に配置され、
前記第1の凹部を、前記基板の上面の面内において、周期的に配置させ、
前記第2の凹部を、前記第1の凹部の底面の面内において、周期的に配置させることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1つに記載の発光ダイオード用基板の製造方法。
【請求項7】
前記基板の材料には、サファイアが含まれることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の発光ダイオード用基板の製造方法。
【請求項8】
前記基板の材料には、シリコンが含まれることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の発光ダイオード用基板の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1つに記載の発光ダイオード用基板の製造方法によって製造された発光ダイオード用基板上に、半導体結晶を成長させる工程を備えたことを特徴とする発光ダイオードの製造方法。
【請求項10】
前記成長させる工程において、前記半導体結晶の材料には、窒化ガリウムが含まれることを特徴とする請求項9記載の発光ダイオードの製造方法。
【請求項11】
モールド用基板上に、第1のレジスト材料を配置する工程と、
主面に複数の第3の凹部が形成された第1のモールドを、前記モールド用基板に押し付けることにより、前記第3の凹部の内部に前記第1のレジスト材料を進入させる工程と、
前記第1のモールドを押し付けた状態で、前記第1のレジスト材料を固化させることにより、前記モールド用基板上に第1のレジストパターンを形成する工程と、
前記第1のレジストパターンから前記第1のモールドを剥離する工程と、
前記第1のレジストパターンをマスクとして、前記モールド用基板に対してエッチングを施す工程と、
前記第1のレジストパターンに覆われていた部分を含む前記モールド用基板上に第2のレジスト材料を配置する工程と、
主面にその幅及び間隔が前記第3の凹部の幅及び間隔よりも小さい複数の第4の凹部が形成された第2のモールドを、前記モールド用基板に押し付けることにより、前記第4の凹部の内部に前記第2のレジスト材料を進入させる工程と、
前記第2のモールドを押し付けた状態で、前記第2のレジスト材料を固化させることにより、前記モールド用基板上に第2のレジストパターンを形成する工程と、
前記第2のレジストパターンから前記第2のモールドを剥離する工程と、
前記第2のレジストパターンをマスクとして、前記モールド用基板に対してエッチングを施す工程と、
を備えたことを特徴とするモールドの製造方法。
【請求項12】
モールド用基板上に、第2のレジスト材料を配置する工程と、
主面に複数の第4の凹部が形成された第2のモールドを、前記モールド用基板に押し付けることにより、前記第4の凹部の内部に前記第2のレジスト材料を進入させる工程と、
前記第2のモールドを押し付けた状態で、前記第2のレジスト材料を固化させることにより、前記モールド用基板上に第2のレジストパターンを形成する工程と、
前記第2のレジストパターンから前記第2のモールドを剥離する工程と、
前記第2のレジストパターンをマスクとして、前記モールド用基板に対してエッチングを施す工程と、
前記第2のレジストパターンに覆われていた部分を含む前記モールド用基板上に第1のレジスト材料を配置する工程と、
主面にその幅及び間隔が前記第4の凹部の幅及び間隔よりも大きい複数の第3の凹部が形成された第1のモールドを、前記モールド用基板に押し付けることにより、前記第3の凹部の内部に前記第1のレジスト材料を進入させる工程と、
前記第1のモールドを押し付けた状態で、前記第1のレジスト材料を固化させることにより、前記モールド用基板上に第1のレジストパターンを形成する工程と、
前記第1のレジストパターンから前記第1のモールドを剥離する工程と、
前記第1のレジストパターンをマスクとして、前記モールド用基板に対してエッチングを施す工程と、
を備えたことを特徴とするモールドの製造方法。
【請求項13】
前記第1のレジストパターンをマスクとして、前記モールド用基板に対してエッチングを施す工程において、前記モールド用基板に、複数の第1の凸部を形成し、
前記第2のレジストパターンをマスクとして、前記モールド用基板に対してエッチングを施す工程において、前記モールド用基板に、その幅及び間隔が前記第1の凸部の幅及び間隔より小さい複数の第2の凸部を形成することを特徴とする請求項11または12に記載のモールドの製造方法。
【請求項14】
前記第3の凹部の幅は、1〜2マイクロメートルであり、
前記第4の凹部の幅は、100〜500ナノメートルであり、
前記第1の凸部の幅を、1〜2マイクロメートルとし、
前記第2の凸部の幅を、100〜500ナノメートルとすることを特徴とする請求項13記載のモールドの製造方法。
【請求項15】
前記第3の凹部を上方から見た形状は、六角形であり、
前記第1の凸部を上方から見た形状を、六角形とすることを特徴とする請求項13または14に記載のモールドの製造方法。
【請求項16】
前記第3の凹部は、前記第1のモールドの上面の面内において、周期的に配置され、
前記第4の凹部は、前記第2のモールドの上面の面内において、周期的に配置され、
前記第1の凸部を、前記モールド用基板の上面の面内において、周期的に配置させ、
前記第2の凸部を、前記第1の凸部の上面の面内において、周期的に配置させることを特徴とする請求項13〜15のいずれか1つに記載のモールドの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−55104(P2013−55104A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190474(P2011−190474)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】