説明

発光素子搭載用パッケージ

【課題】高発光効率で、高耐久性を有し、出力光の色味の制御が容易で、かつ、室内照明用に適した柔らかい光を発する発光素子搭載用パッケージを提供する。
【解決手段】白色セラミックス7からなり表面に発光素子6を搭載するためのメタライズ膜5を備えた基板2と、この基板2上に搭載され,発光素子6を単数又は複数個囲繞しながら収容するための貫通孔4aを複数備えた白色セラミックス7製のリフレクタ3aとを有する発光素子搭載用パッケージであって、それぞれの貫通孔4aの内側面と基板2の成す角度は90°以下でかつ一定であり、貫通孔4a内における基板2の有効反射面13の割合Pが0.5以上であることを特徴とする発光素子搭載用パッケージによる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高発光効率で、高耐久性を有し、出力光の色味の制御が容易で、かつ、室内照明用に適した柔らかい光を発する発光素子搭載用パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発光素子を用いた室内照明用の発光モジュールの開発が望まれているが、未だ実現に至っていない。
一般に、発光素子は光束が小さいため、従来の蛍光灯や白熱灯と同程度の明るさを得るためには、多数の発光素子を集積させて発光モジュールを構成する必要があり、この場合、発光素子をリフレクタで囲繞することで発光素子から発せられる光を最大限有効に活用する方法が用いられてきた。
しかしながら、発光素子を搭載する基板の表面が広範囲にわたって発光素子に電力を供給するためのメタライズ膜で被覆される場合、このメタライズ膜は表面が滑らかではない上、その色は白色でないのでその表面に到達する光を有効に活用し難いという課題があった。
また、このようなリフレクタの貫通孔内に複数の発光素子を同時に収容した場合、隣り合う発光素子同士が互いに光を吸収し合う光吸収現象が生じて発光出力が大幅に低下するという不具合があった。
加えて、発光素子から発せられる紫外光や近紫外光を複数種類の波長変換材を用いて複数の色の可視光線に変換し、これらを混合して所望の色の光、例えば、白色光を得る場合、ある波長変換材により変換された可視光線が他の波長変換材に再度波長変換される二次吸収現象が起こり、発光出力の低下の原因となるだけでなく出力光の色味の制御が難しいという課題があった。
このような従来の課題に対処する目的でいくつかの発明が開示されている。
【0003】
特許文献1には「発光モジュールとその製造方法」という名称で、バックライトを有する表示機器のバックライト等に使われる発光モジュール及びその製造方法に関する発明が開示されている。
特許文献1に開示される発明は、文献中に記載される符号をそのまま用いて説明すると、光反射樹脂104からなる壁部116で固定されたリードフレーム100と、放熱用の金属板112を、導熱樹脂102を介して一体化成型することで、発光素子108から発生する熱はリードフレーム100から導熱樹脂102を介して金属板112に伝えると共に、発光素子108から発せられる光はリードフレーム100同士の隙間に露出した光反射樹脂104や、発光素子108の実装後に後付可能な反射リング114によって前面に反射させることにより、発光モジュールの発光効率と放熱効率を高められるよう構成されるものである。
上記構成の発明によれば、反射リング114の内側において裸出する光反射樹脂104上で、発光素子から発せられる光を好適に反射することができるので、特許文献1に開示される発光モジュールの発光出力を向上することができるという効果を有する。
また、特許文献1に開示される発明によれば、複数個の発光素子108を高密度に実装できるので、混色による白色を均一化しやすいという効果を有する。
【0004】
特許文献2には「発光ダイオード」という名称で光半導体チップをエポキシ樹脂で封止した発光ダイオードに関する発明が開示されている。
特許文献2に開示される発明は、文献中に記載される符号をそのまま用いて説明すると、一対の金属電極11と、一対の金属電極11に電気的に接続された光半導体チップ13と、前記光半導体チップ13と前記金属電極11の一部を封止する透光性樹脂15とを備え、透光性樹脂15は、ポリチオール系硬化剤で硬化したエポキシ樹脂であり、少なくとも透光性樹脂15と接する金属電極11の表面に硫化物の生成を抑制する保護膜16が設けられることを特徴とするものである。
上記構成の発明によれば、ケース14の内側に裸出する基板10の表面を金属電極11で被覆し、その表面に保護膜16を設けることで、ケース14の内側において裸出する基板10の上面側において、半導体チップ13から放射される光を好適に鏡面反射させることができるので、特許文献2に記載の発光ダイオードの発光出力を向上することができるという効果を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−194522号公報
【特許文献2】特開2007−109915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の発明おいて、反射リング114の内側において裸出する光反射樹脂104は、合成樹脂を主成分としているため、長期間連続して使用すると樹脂が劣化して変色し、特許文献1に開示される発光モジュールの発光出力を低下させてしまう恐れがあった。このため、長寿命でかつ高耐久性が求められる室内照明用の光源には適さないという課題があった。
また、反射リング114の内側に複数個の発光素子108を高密度に集積した場合、先に述べたような発光素子108同士の光吸収現象が起こり、発光出力が低下する上、例えば、白色光の色味を制御し難いという課題があった。
さらに、紫外光や近紫外光を発する発光素子108を用い、反射リング114内に複数種類の波長変換材を収容して、発光素子108から発せられる紫外光や近紫外光を複数種類の可視光線に変換して白色光とする場合、光反射樹脂104が紫外光や近紫外光により急速に劣化してしまう上、先に述べたような波長変換材の二次吸収現象が生じて発光出力の低下が生じたり、白色光の色味の制御が一層困難になる可能性が高かった。
【0007】
また、特許文献2記載の発明においては、その製造時に、ケース14の内の金属電極11の表面に逐一保護膜16を形成しなければならず、生産効率を向上しがたいという課題があった。
さらに、特許文献2記載の発明においては、ケース14の内に複数の光半導体チップ13を搭載する場合に、光吸収現象を抑制するための構成を備えるものではなかった。
また、ケース14内に複数種類の波長変換材を収容し、光半導体チップ13から紫外光や近紫外光を発光させて、波長変換材により可視光線を混色して、例えば、白色光とする場合に、波長変換材による二次吸収現象の発生を抑制したり、出力光の色味の制御を容易にするための構成を備えるものではなかった。
【0008】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものでありその目的は、簡素な構成で高発光効率であり、高耐久性を有し、出力光の色味の制御が容易で、かつ、室内照明用に適した柔らかい光を発する発光素子搭載用パッケージを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため請求項1記載の発明である発光素子搭載用パッケージは、白色セラミックスからなり表面に発光素子を搭載するためのメタライズ膜を備えた基板と、この基板上に搭載され,発光素子を単数又は複数個囲繞しながら収容するための貫通孔を複数備えた白色セラミックス製のリフレクタとを有する発光素子搭載用パッケージであって、それぞれの貫通孔の内側面と基板の成す角度は90°以下でかつ一定であり、貫通孔内における基板の有効反射面の割合P=1−{(B−D)/(A−C)}(ただし、貫通孔内において裸出する基板の全面積をA(mm)、貫通孔内におけるメタライズ膜の占有面積をB(mm)、発光素子の搭載部面積をC(mm)、発光素子により隠れるメタライズ膜の面積をD(mm)とする。)が0.5以上であることを特徴とするものである。
上記構成の発明において、基板を白色セラミックスにより構成することで、貫通孔内に裸出する基板の表面において可視光線を高効率で反射させるとともに、基板の表面に近紫外光や紫外光に対する耐久性を付与するという作用を有する。また、リフレクタを白色セラミックスにより構成することで、貫通孔の内側面(反射面)において可視光線を高効率で反射させるとともに、反射面に近紫外光や紫外光に対する耐久性を付与するという作用を有する。
また、基板やリフレクタの反射面を白色セラミックスにより構成することで、請求項1記載の発光素子搭載用パッケージから出力される光を室内照明に適した柔らかい光にするという作用を有する。
また、複数の貫通孔を備えてその内部に発光素子を単数又は複数個収容することにより、個々の発光素子が、又は、発光素子が複数個ずつ、障壁で間仕切られることになるので、発光素子同士の光吸収現象が起こるのを抑制するという作用を有する。
また、特に、発光素子が紫外光や近紫外光を発する場合で、かつ、それぞれの貫通孔内に波長変換材である蛍光体を1種類のみ収容する場合には、波長変換材により変換された可視光線光が他の波長変換材により再び別の波長の可視光線に変換される可視光線の二次吸収現象を防止するという作用を有する。これにより、発光出力の低下を抑制するという作用を有する。
さらに、それぞれの貫通孔の内側面と基板の成す角度を一定にすることで、それぞれの貫通孔の形状及び大きさが同じ場合に、個々の貫通孔の内側面の面積を同一にするという作用を有する。また、このとき、貫通孔の内側面と基板のなす角θを90°以下にすることで、基板の法線方向への光の拡散を促進するという作用を有する。
加えて、貫通孔内における基板の有効反射面の割合を0.5以上とすることで、貫通孔内の基板上における可視光線の反射を促進して、請求項1に係る発光素子搭載用パッケージの発光出力を向上するという作用を有する。なお、本願において「一定」とは、「略一定」を含む概念である。
【0010】
請求項2記載の発明である発光素子搭載用パッケージは、請求項1記載の発光素子搭載用パッケージであって、貫通孔における、内側面の面積Sと、貫通孔内の基板の有効反射面の面積S(mm)={(A−C)−(B−D)}とを合計した面積S1+2(mm)は、複数の貫通孔毎に同一であることを特徴とする請求項1に記載の発光素子搭載用パッケージ。
上記構成の発明は、請求項1記載の発明と同じ作用に加え、各貫通孔における面積S1+2を同一にすることで、それぞれの貫通孔に収容される発光素子の数及び寸法を同一にした場合に、個々の貫通孔から放射される光束を均一にするという作用を有する。これにより、請求項2記載の発光素子搭載用パッケージの出力光に輝度ムラが生じるのを抑制するという作用を有する。
また、それぞれの貫通孔内に波長変換材を一種類のみ収容して、発光素子から発せられる紫外光や近紫外光を単色の可視光線に変換してこれらの可視光線を混合して所望の色の光を得る場合に、その色味の制御を容易にするという作用を有する。なお、本願において「同一」とは、「略同一」を含む概念である。
【0011】
請求項3記載の発明である発光素子搭載用パッケージは、請求項1又は請求項2に記載の発光素子搭載用パッケージであって、リフレクタの貫通孔を含む形状は、リフレクタの中心に対して回転対称であることを特徴とするものである。
上記構成の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明と同じ作用に加えて、貫通孔を含むリフレクタの形状をリフレクタの中心に対して回転対称とすることで、リフレクタの平面方向に貫通孔を均等に配置するという作用を有する。この結果、請求項3に記載の発光素子搭載用パッケージの平面方向に輝度ムラが生じるのを一層確実に抑制するという作用を有する。さらにこの時、例えば、紫外光又は近紫外光を発する発光素子を搭載し、それぞれの貫通孔内に蛍光体を1種類のみ収容して、それぞれの貫通孔から放射される単色の可視光線を混合して所望の色の光を構成する場合に、光の色味の制御を一層容易にするという作用を有する。なお、本願において「均等」とは、「略均等」を含む概念である。
【0012】
請求項4記載の発明である発光素子搭載用パッケージは、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の発光素子搭載用パッケージあって、隣り合う貫通孔の外縁同士の間隔は均一であることを特徴とするものである。
上記構成の発明は、請求項1乃至請求項3に記載のそれぞれの発明と同じ作用に加えて、隣り合う貫通孔の外縁同士の間隔を均一にすることで、請求項3記載の発光素子搭載用パッケージの平面方向における出力光の輝度を一層均一にするという作用を有する。なお、本願において「均一」とは、「略均一」を含む概念である。
【0013】
請求項5記載の発明である発光素子搭載用パッケージは、白色セラミックスからなり表面に発光素子を搭載するためのメタライズ膜を備えた基板と、この基板上に搭載され,発光素子を個別に囲繞しながら収容するための貫通孔を複数備えた白色セラミックス製のリフレクタとを有する発光素子搭載用パッケージであって、それぞれの貫通孔の内側面と基板の成す角度は90°以下でかつ一定であり、リフレクタは、複数の貫通孔により構成される貫通孔群を少なくとも2つ備え、貫通孔内における基板の有効反射面の割合P=1−{(B−D)/(A−C)}(ただし、貫通孔内において裸出する基板の全面積をA(mm)、貫通孔内におけるメタライズ膜の占有面積をB(mm)、発光素子の搭載部面積をC(mm)、発光素子により隠れるメタライズ膜の面積をD(mm)とする。)が0.5以上であることを特徴とするものである。
上記構成の発明において、基板、リフレクタ、及び、白色セラミックスのそれぞれは、請求項1記載の基板、リフレクタ、及び、白色セラミックスと同じ作用を有する。
また、複数の貫通孔を備えてその内部に発光素子を1つずつ収容した場合、個々の発光素子が障壁で間仕切られることになるので、発光素子同士の光吸収現象を抑制するという作用を有する。
さらに、特に、発光素子が紫外光や近紫外光を発する場合で、かつ、それぞれの貫通孔内に波長変換材である蛍光体が1種類のみ収容される場合には、波長変換材により変換された可視光線が他の波長変換材により再び別の波長の可視光線に変換される可視光線の二次吸収現象を防止するという作用を有する。
また、それぞれの貫通孔の内側面と基板の成す角度を一定にすることで、それぞれの貫通孔の形状が同じ場合に、個々の貫通孔の内側面の面積を略同じにするという作用を有する。さらに、このとき、貫通孔の内側面と基板のなす角θを90°以下にすることで、基板の法線方向への光の拡散を促進するという作用を有する。
そして、個々の貫通孔内の基板の有効反射面の割合Pを0.5以上にすることによる作用は、請求項1記載の発明と同じである。
【0014】
請求項6記載の発明である発光素子搭載用パッケージは、請求項5記載の発光素子搭載用パッケージであって、貫通孔群において、個々の貫通孔の内側面の面積S(mm)を合計した値S(mm)に、個々の貫通孔における基板の有効反射面の面積S(mm)={(A−C)−(B−D)}を合計した値Sを加えた値Sa+b(mm)は、他の貫通孔群のSa+b(mm)と同一であることを特徴とするものである。
上記構成の発明は、請求項5記載の発明と同じ作用に加えて、各貫通孔群から放射される光束を均一にするという作用を有する。これにより、請求項6記載の発明の出力光に輝度ムラが生じるのを抑制するという作用を有する。
また、各貫通孔群を構成する個々の貫通孔内に波長変換材を一種類のみ収容して、発光素子から発せられる紫外光や近紫外光を単色の可視光線に変換して、各貫通孔群から放射される単色の可視光線を混合して所望の色の光を得る場合に、その色味の制御を容易にするという作用を有する。なお、本願において「同一」とは、「略同一」を含む概念である。
【0015】
請求項7記載の発明である発光素子搭載用パッケージは、請求項5又は請求項6記載の発光素子搭載用パッケージであって、リフレクタの貫通孔を含む形状は、リフレクタの中心に対して回転対称であることを特徴とするものである。
上記構成の発明は、請求項5又は請求項6記載の発明と同じ作用に加えて、リフレクタの貫通孔を含む形状を、リフレクタの中心に対して回転対称とすることによる作用は、請求項3記載の発明と同じである。
この場合、例えば、紫外光又は近紫外光を発する発光素子を用い、それぞれの貫通孔群を構成する各貫通孔内に収容される波長変換材を1種類のみとし、それぞれの貫通孔群から放射される単色の可視光線を混合して所望の色の光を得る場合に、光の色味の制御を一層容易にするという作用を有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の請求項1記載の発明によれば、リフレクタ及び基板に白色セラミックスを用いることで反射面における可視光線の反射率が高められ、発光素子搭載用パッケージの発光出力を向上させることができる。また、反射面に近紫外光や紫外光に対する高い耐久性を付与することができるという効果も有する。さらに、反射面を白色セラミックスにより構成することで、反射面を金属の鏡面により構成した場合に比べて、出力光を柔らかい光にすることができる。
すなわち、反射面が長寿命で高耐久性を有し、しかも、発光素子から発生される可視光線を,又は,発光素子から発せられる紫外光や近紫外光が波長変換材により変換された可視光線を、柔らかい光にして出力することができるので、室内照明に適した発光モジュールを提供することができるという効果を有する。
また、それぞれの貫通孔の内側面と基板の成す角度を一定にすることで、各貫通孔の形状及び大きさが同じであり、かつ、個々の貫通孔に収容される発光素子の大きさ及び数が同じ場合に、個々の貫通孔から放射される光束の量を一定にすることができる。この結果、個々の貫通孔から放射される光の強さを均一にすることができる。
また、このとき、貫通孔の内側面と基板のなす角θを90°以下にすることで、基板の法線方向への光の拡散が促進されるので、既存の蛍光灯や電球のように光拡散性の高い発光モジュールを提供することができるという効果も有する。
さらに、貫通孔内における基板の有効反射面の割合Pを0.5以上にすることで、基板の表面における可視光線の減衰に伴うロスを抑制することができる。この結果、基板の表面にメタライズ膜を形成することによる発光出力の低下を最小限度にすることができる。
つまり、請求項1記載の発明によれば、高出力でかつ高耐久性を有する室内照明に適した発光モジュールを提供することができるという効果を有する。
【0017】
本発明の請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明と同じ効果に加えて、個々の貫通孔における面積S1+2(mm)を同一にすることで、それぞれの貫通孔から単色の可視光線が放射され、これらの単色の可視光線を混合して所望の色の光を得る場合に、光の色味の制御を容易にすることができる。
この結果、製品とした場合に、個々の請求項2に記載の発光素子搭載用パッケージ同士の間での色味のバラツキをより小さくすることができ、高品質な製品を提供することができるという効果を有する。
【0018】
本発明の請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載のそれぞれの発明と同じ効果に加えて、貫通孔を含むリフレクタの形状をリフレクタの中心に対して回転対称となるよう構成することで、請求項3記載の発明から放射される光の輝度ムラを小さくすることができる。また、それぞれの貫通孔から単色の可視光線が放射され、複数種類の単色の可視光線を混合して所望の色の光を得る場合に、光の色味の制御を一層容易にすることができるという効果を有する。
この結果、請求項3記載の発明を製品化した場合に、個々の請求項3に記載の発光素子搭載用パッケージ同士の間での色味のバラツキを小さくすることができるので、一層高品質な発光モジュールを提供することができるという効果を有する。
【0019】
本発明の請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求項3に記載のそれぞれの発明と同じ効果に加えて、隣り合う貫通孔の外縁同士の間隔を均一にすることで、発光素子搭載用パッケージの平面方向における出力光の輝度を均一にすることができるという効果を有する。
この場合、輝度ムラがなく均質な光を出光する高品質な発光素子搭載用パッケージを提供することができるという効果を有する。
【0020】
本発明の請求項5記載の発明において、基板及びリフレクタを白色セラミックスにより構成することによる効果は、請求項1と同じである。
また、請求項5記載の発明において、個々の貫通孔における内側面と基板のなす角度を一定にすることによる効果、個々の貫通孔における内側面と基板のなす角度を90°以下にすることによる効果、並びに、貫通孔内における基板の有効反射面の割合Pを0.5以上にすることによる効果はいずれも、請求項1記載の発明と同じである。
特に、請求項5記載の発明においては、個々の貫通孔に発光素子を1個づつ搭載するので、発光素子同士の光吸収現象を確実に防止することができる。また、近紫外光又は紫外光を発する発光素子を搭載し、個々の貫通孔に波長変換材を一種類のみ収容した場合には、波長変換材同士の光の二次吸収現象の発生を確実に防止することができるという効果を有する。
従って、請求項5記載の発明によれば、高耐久性を有し,かつ,請求項1記載の発明よりも高出力で、室内照明に適した発光モジュールを提供することができるという効果を有する。
【0021】
本発明の請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明と同じ効果に加えて、個々の貫通孔群における面積S a+b (mm)を同一にすることで、それぞれの貫通孔群から単色の可視光線が放射され、これらの単色の可視光線を混合して所望の色の光を得る場合に、光の色味の制御を容易にすることができる。
この結果、製品とした場合に、個々の請求項6に記載の発光素子搭載用パッケージ同士の間での色味のバラツキをより小さくすることができるので、高品質な発光モジュールを提供することができるという効果を有する。
【0022】
本発明の請求項7記載の発明は、請求項5又は請求項6記載の発明と同じ効果を有する。また、請求項7記載の発明において貫通孔を含むリフレクタの形状をリフレクタの中心に対して回転対称となるよう構成することによる効果は、請求項3記載の発明と同じである。
このため請求項7記載の発明によれば、それぞれの貫通孔群から単色の可視光線が放射され、複数種類の単色の可視光線を混合して所望の色の光を得る場合に、光の色味の制御を一層容易にすることができるという効果を有する。
この結果、請求項7記載の発明を製品とした場合に、個々の請求項7に記載の発光素子搭載用パッケージ同士の間での色味のバラツキを小さくすることができるので、一層高品質な発光モジュールを提供することができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】(a)本発明の実施例1に係る発光素子搭載用パッケージの平面図であり、(b)はそのA−A線矢視断面図である。
【図2】(a)〜(c)はいずれも実施例1に係る発光素子搭載用パッケージの構成を模式化したものの平面図である。
【図3】(a)〜(c)はいずれも本発明に係る発光素子搭載用パッケージの変形例を示す平面図である。
【図4】(a)〜(d)はいずれも本発明に係る発光素子搭載用パッケージの変形例を示す平面図である。
【図5】本発明の実施例2に係る発光素子搭載用パッケージの平面図である。
【図6】本発明の実施例3に係る発光素子搭載用パッケージの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明の最良の実施の形態に係る発光素子搭載用パッケージについて実施例1及び実施例2を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0025】
実施例1に係る発光素子搭載用パッケージについて図1乃至4を参照しながら詳細に説明する。
図1(a)本発明の実施例1に係る発光素子搭載用パッケージの平面図であり、(b)はそのA−A線矢視断面図である。
図1(a),(b)に示すように、実施例1に係る発光素子搭載用パッケージ1aは、平板状の白色セラミックス7を積層してなる基板2(セラミックス多層基板)の上面側に、やはり白色セラミックス7からなり複数の貫通孔4aを有するリフレクタ3aが金属又は合成樹脂を主成分とする接合材8により接合され、さらに、それぞれの貫通孔4a内に裸出する基板2の表面上に発光素子6を搭載するためのメタライズ膜5が形成されるものである。
また、基板2の内部にはメタライズ膜5上に接合される発光素子6に電気信号を伝送するための導電体10が収容され、基板2の下面側で導電体10の露出部分に端子9が形成されることで、外部からの電気信号がこの端子9を通じて実施例1に係る発光素子搭載用パッケージ1aに伝送される仕組みになっている。
【0026】
なお、実施例1に係る発光素子搭載用パッケージ1aにおいては、貫通孔4aに5個の発光素子6を収容する場合を例に挙げて説明しているが、それぞれの貫通孔4aに収容される発光素子6の数は単数でも複数でもよい。
また、実施例1に係る発光素子搭載用パッケージ1aにおいては、微小な領域を有する点状のメタライズ膜5,5が、互いに接触しないようにわずかな隙間を形成しながら一対を成すように配置され、この一対のメタライズ膜5,5上に発光素子6が架渡されるように搭載されている。
なお、実施例1においてはフリップチップ方式により発光素子6を搭載する場合を例に挙げているが、発光素子6はワイヤボンド方式により搭載される場合もある。
【0027】
また、図1(a)に示すように、実施例1に係る発光素子搭載用パッケージ1aは、発光素子6同士、又は、発光素子6群同士が障壁18により間仕切られた状態で収容されている。
このように、発光素子6同士、又は、発光素子6群同士の間に障壁18を設けることで、発光素子6同士の間で光吸収現象が生じるのを抑制することができるので、障壁18を設けない場合に比べて発光出力の低下を防止することができる。
【0028】
さらに、実施例1に係る発光素子搭載用パッケージ1aにおいては、個々の貫通孔4aにおける内側面(反射面12)と基板2の表面のなす角度θは、略一定となっている。
このように、反射面12と基板2のなす角度θを略一定とすることで、個々の貫通孔4aの形状及び大きさが同一の場合、個々の貫通孔4aにおける反射面12の面積も同一にすることができる。すなわち、個々の貫通孔に収容される発光素子6の大きさと数が同じである場合に、個々の貫通孔4aから放射される光束の量を略一定にすることができる。この結果、個々の貫通孔4aから放射される光の強さを均一にすることができる。
また、反射面12と基板2のなす角度θを90°以下に設定することで、基板2の法線方向に光を拡散させるように放射することができる。この結果、実施例1に係る発光素子搭載用パッケージ1aから放射される光の拡散性を高めることができる。
【0029】
さらに、図1(a)に示す発光素子搭載用パッケージ1aにおいて、貫通孔4a内に裸出する基板2の表面であって、可視光線を高効率で反射させる反射面として作用する領域(有効反射面13)の面積Sは、以下に示す数式1により求めることができる。
なお、以下の数式1では、貫通孔4a内において裸出する基板2の全面積をA(mm)、貫通孔4a内におけるメタライズ膜5の占有面積をB(mm)、発光素子6の搭載部面積をC(mm)、発光素子6により隠れるメタライズ膜5の面積をD(mm)としている。本実施の形態においては発光素子6の接合部分の真下にあたる基板2の表面は、反射面として機能しないので、有効反射面13には含めない。
【0030】
【数1】

【0031】
ここで、有効反射面13の面積Sについて図2を参照しながら詳細に説明する。
図2(a),(b)はいずれも実施例1に係る発光素子搭載用パッケージの構成を模式化したものの平面図である。なお、図1に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図2では、実施例1に係る発光素子搭載用パッケージ1aのリフレクタ3aを単純化して示している。つまり、図2では、複数の貫通孔4aを有するリフレクタ3aが、貫通孔4を1つのみ有するリフレクタ3として示されている。
【0032】
図2(a)には、数式1における(A−C)に該当する領域が斜線で示されている。すなわち、数式1における(A−C)に該当する領域とは、貫通孔4内に裸出する基板2の全面積(A)から、発光素子6の搭載部面積(C)を差し引いた領域である。
また、図2(b)には、数式1における(B−D)に該当する領域が斜線で示されている。すなわち、数式1における(B−D)に該当する領域とは、貫通孔4内に裸出する基板2上においてメタライズ膜5が占有する面積(B)から発光素子6により隠れるメタライズ膜5の面積(D)を差し引いた領域である。
なお、貫通孔4内にワイヤボンド方式により発光素子6を搭載する場合には、面積(B)に、ワイヤ(図示せず。)に電力を供給するために貫通孔4内に裸出する基板2上に形成される他のメタライズ膜5の占有面積が含まれることになる。
そして、実施例1に係る発光素子搭載用パッケージ1aにおいて、基板2は高反射性を有する白色セラミックス7により形成されているので、図2(a)に示す領域において図2(b)に示す領域が狭いほど発光素子搭載用パッケージ1aの発光効率が高くなる。つまり、図2(a)に示す領域から図2(b)に示す領域を差し引いた図2(c)に示す領域(有効反射面13)の面積Sが広いほど発光素子搭載用パッケージ1aの発光出力は高くなると言える。
【0033】
このため、実施例1に係る発光素子搭載用パッケージ1aにおいては、図2(a)に示す(A−C)に該当する領域における有効反射面13の面積Sの割合Pが0.5以上となるよう構成することで、実施例1に係る発光素子搭載用パッケージ1aの発光出力を高めている。
なお、割合Pは以下に示す数式2により求めることができる。
【0034】
【数2】

【0035】
さらに、実施例1に記載の発光素子搭載用パッケージ1aにおいては、各貫通孔4における有効反射面13の面積Sと、反射面12の面積Sを足し合せた面積S1+2を複数の貫通孔毎に同一(略同一)にすることで、個々の貫通孔4aに収容する発光素子6の寸法及び個数を同一にした場合に、各貫通孔4aから放射される光束を均一(略均一)にすることができる。
特に、リフレクタ3aに形成されるそれぞれの貫通孔4aの形状及び大きさが同じである場合には、個々の貫通孔4aにおいて反射面12と基板2のなす角θは一定であるので、必然的に個々の貫通孔4aにおける面積S1+2は同一(略同一)となる。
この場合、実施例1に係る発光素子搭載用パッケージ1aから放射される光を基板2の平面方向においてより均質なものにすることができるという効果を有する。
【0036】
また、実施例1に係る発光素子搭載用パッケージ1aにおいては、貫通孔4aを含むリフレクタ3aの形状が、リフレクタ3aの中心11aに対して回転対称となるよう構成してもよい。
この場合、リフレクタ3aに貫通孔4aを均等に配置することができる。従って、実施例1に係る発光素子搭載用パッケージ1aから放射される光に輝度ムラが生じるのを抑制することができる。この結果、実施例1に係る発光素子搭載用パッケージ1aの品質を向上することができる。
【0037】
また、実施例1に係る発光素子搭載用パッケージ1aにおいて、貫通孔4aと貫通孔4aの間に形成される隙間は、発光素子6同士あるいは、発光素子6群同士を仕切る障壁18であり、この障壁18がある基板2上には発光素子6を搭載することができないので、障壁18の厚みが大きいと、すなわち、貫通孔4a同士の隙間が広いと発光素子搭載用パッケージ1aから放射される光に輝度ムラが生じる原因となってしまう。
このため、図1(a)に示すように、貫通孔4a同士の隙間を略均一にした場合には、実施例1に係る発光素子搭載用パッケージ1aから放射される光に輝度ムラが生じるのを抑制することができる。
【0038】
なお、実施例1に係る発光素子搭載用パッケージ1aにおいて、基板2及びリフレクタ3aを構成する白色セラミックス7として、標準白板と比較した場合の反射率が70%を超えるものを用いている。
この場合、実施例1に係る発光素子搭載用パッケージ1aを長期間使用した場合でも、また、反射面が紫外光や近紫外光に長期間さらされた場合でも、反射面が劣化する恐れがない。つまり、合成樹脂を用いる場合のように劣化して黄変して反射率が低下したり、銀薄膜を用いる場合のように空気中の硫化物と化学反応を起こして反射率が低下する恐れがない。従って、高耐久性を有し、かつ、高品質な発光モジュールを提供することができるという効果を有する。
【0039】
しかも、基板2の表面やリフレクタ3aの反射面12に高反射性を付与するために特別な加工を施す必要がないので、発光素子搭載用パッケージ1aの生産性を向上することができる。
加えて、セラミックスは耐熱性に優れるので、発光素子6の発光に伴う発熱に対する耐久性も備えている。
さらに、基板2とリフレクタ3aとを同じ材質で構成することで、発光素子搭載用パッケージ1aに熱が作用した際に、基板2とリフレクタ3aとの接合部分に生じる熱応力を大幅に緩和することができる。
従って、実施例1に係る発光素子搭載用パッケージ1aによれば、高品質で信頼性の高い製品を安価に提供することができるという効果を有している。
【0040】
以下に図3及び図4を参照しながら実施例1に係る発光素子搭載用パッケージ1aの変形例について説明する。
図3(a)〜(c)及び図4(a)〜(d)はいずれも本発明に係る発光素子搭載用パッケージの変形例を示す平面図である。なお、図1又は図2に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図3(a)に示すように、変形例1に係る発光素子搭載用パッケージ1bにおいては、円形(略円形を含む概念である。)のリフレクタ3bに扇形状の貫通孔4bが2つ形成され、かつ、貫通孔4b,4bの間に形成される障壁18の厚みが大きくなっている。
実施例1に係る発光素子搭載用パッケージ1aにおいては、リフレクタ3aの材質として白色セラミックス7が用いられている。この場合、リフレクタ3aの小型化に伴い、可視光線が貫通孔4a,4aの隙間に形成される障壁18を透過しやすくなってしまう。そして、隣り合う貫通孔4a同士間での光の干渉が無視できなくなる場合もある。
このような場合、図3(a)に示す変形例1に係る発光素子搭載用パッケージ1bのように、障壁18を厚くすることで、貫通孔4b,4b間での光の干渉を防止することができる。
また、リフレクタ3aやリフレクタ3bのように、貫通孔を2つ有するものは、例えば、黄色光と青色光のように、2色の単色光を混合して所望の色の光、例えば、白色光を得る場合に、それぞれの色に発光する発光素子を分離した状態で収容することができるという効果を有する。
【0041】
図3(b)に示すように、変形例2に係る発光素子搭載用パッケージ1cにおいては、円形(略円形)のリフレクタ3cに巴形(略巴形を含む概念である。)の貫通孔4cが2つ形成されている。
このように、貫通孔4cの形状を円形や多角形以外の不定形とした場合、個々の貫通孔4cから放射される単色光が混ざり合う領域が広くなるので、発光素子搭載用パッケージ1cからの出力光の色味にムラが生じるのを抑制することができる。
【0042】
図3(c)に示すように、変形例3に係る発光素子搭載用パッケージ1dにおいては、円形(略円形)のリフレクタ3dに円形(略円形)の複数の貫通孔4dが、リフレクタ3dの中央及びその周囲に放射状に形成されている。
このように、1つの貫通孔4dに発光素子6を1個のみ収容する場合、個々の発光素子6間に障壁18が形成されることになるので、発光素子6同士の光吸収現象が生じるのを抑制することができる。
この結果、発光素子6から放射される光を最大限有効に活用することができ、発光素子搭載用パッケージ1dの発光出力を高めることができる。
【0043】
図4(a)に示すように、変形例4に係る発光素子搭載用パッケージ1eにおいては、円形(略円形)のリフレクタ3eに3つの扇形(略扇形を含む概念である。)の貫通孔4eが均等に形成されている。
このように、リフレクタ3eを三分割した場合、例えば、赤色光、緑色光、青色光等の3種類の単色光を混合して白色光とするのに適している。また、個々の貫通孔4eに複数の発光素子6を収容する場合、一つの貫通孔4eに収容される発光素子6を増減させることで、発光素子搭載用パッケージ1eからの出力光の色味の調整を高精度にかつ容易に行うことができる。
この結果、高品質の発光素子搭載用パッケージ1eを製造することができるという効果を有する。
【0044】
図4(b)に示すように、変形例5に係る発光素子搭載用パッケージ1fにおいては、円形(略円形)のリフレクタ3eに三日月形(略三日月形を含む概念である。)の貫通孔4fと長方形(長方形を含む概念である。)の貫通孔4fとを形成している。すなわち、リフレクタ3eの内部空間を平行な2つの障壁18により3分割している。
この場合、リフレクタ3eの中央部分に発光素子6を搭載することが可能となるので、発光素子搭載用パッケージ1fの出力光に輝度ムラが生じるのを抑制することができる。
【0045】
図4(c)に示すように、変形例6に係る発光素子搭載用パッケージ1gは、円形(略円形)のリフレクタ3gの内部空間を障壁18により内側と外側に分割し、さらに、リフレクタ3gの外側の内部空間をさらに障壁18で均等に6分割している。言い換えると、円形(略円形)のリフレクタ3gの中央に円形(略円形)の貫通孔4gが形成され、その周囲に扇形(略扇形)の貫通孔4gが6個放射状に形成されている。
この場合、リフレクタ3gの中央部に発光素子6を搭載することができるので、発光素子搭載用パッケージ1gの輝度ムラの発生を抑制することができる。また、発光素子6群を間仕切る障壁18の厚みを均一(略均一)にすると同時に、貫通孔4gの外縁からリフレクタ3gの外縁までの距離を均一(略均一)にすることで、リフレクタ3gを構成する白色セラミックス7が可視光線の一部を透過してしまう場合に、リフレクタ3gの内における透過の影響を均一にすることができるという効果を有する。
この結果、輝度ムラが少なく均質な光を発する発光素子搭載用パッケージを提供することができるという効果を有する。
【0046】
図4(d)に示すように、変形例7に係る発光素子搭載用パッケージ1hは、円形(略円形)のリフレクタ3hの内部空間を障壁18により内側と外側に分割し、さらに、外側の内部空間を障壁18で大きい空間と小さい空間とに分割している。言い換えると、円形(略円形)のリフレクタ3hの中央に円形(略円形)の貫通孔4hが形成され、その周囲に大きさの違う扇形(略扇形)の貫通孔4h及び貫通孔4hが放射状に形成されている。
この場合、変形例6に係る発光素子搭載用パッケージ1gと同じ効果に加えて、リフレクタ3hに形成される貫通孔4h〜4hにおいて同じ形状を有する貫通孔から放射される光の色を統一した場合、各貫通孔4h〜4hから放射される光束の多少は、貫通孔内の面積S1+2及び収容される発光素子6の数に比例する。
このため、発光素子搭載用パッケージ1hから放射される混合光の色味の調整を容易にすることができる。この結果、個々の発光素子搭載用パッケージ1hから放射される光の色味のバラツキを小さくすることができるので、高品質な発光モジュールを提供することができるという効果を有する。
【0047】
なお、変形例1乃至変形例7に係る発光素子搭載用パッケージの夫々のリフレクタに形成される貫通孔の形状及び数は、図示されるものに限定される必要はなく、発明の要旨を変えない範囲において自由に設定することができる。
【実施例2】
【0048】
実施例2に係る発光素子搭載用パッケージについて図5を参照しながら詳細に説明する。
図5は本発明の実施例2に係る発光素子搭載用パッケージの平面図である。なお、図1乃至図4に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
実施例2に係る発光素子搭載用パッケージ14は、上述の実施例1に係る発光素子搭載用パッケージ1aと同じ構成に加えて、白色セラミックス7製のリフレクタ15に形成される貫通孔16a〜16a,16b〜16b,16c〜16c,16d〜16dのそれぞれに発光素子6が個別に収容され、貫通孔16a〜16a,16b〜16b,16c〜16c,16d〜16dは貫通孔群17a〜17dを形成することを特徴とするものである。
ここでは、実施例1に係る発光素子搭載用パッケージ1aとの相違点に重点をおいて説明する。
【0049】
このような実施例2に係る発光素子搭載用パッケージ14は、実施例1に係る発光素子搭載用パッケージ1aと同じ作用・効果に加えて、貫通孔16a〜16a,16b〜16b,16c〜16c,16d〜16dのそれぞれに発光素子6が個別に収容されることで、個々の発光素子6同士の間には障壁18が形成されることになり、発光素子6同士の光吸収現象の発生を抑制することができるという効果を有する。この結果、実施例2に係る発光素子搭載用パッケージ14の発光効率を高めることができるという効果を有する。
また、貫通孔16a〜16a,16b〜16b,16c〜16c,16d〜16dにより貫通孔群17a〜17dを形成し、それぞれの貫通孔群17a〜17dから単色の可視光線を放射させることで、均質な色味を有する混合光を発光させることが容易になる。
【0050】
さらに、実施例2に係る発光素子搭載用パッケージ14において、貫通孔群17aを構成する個々の貫通孔16a〜16aの反射面12の面積Sを合計した面積Sに、個々の貫通孔16a〜16aの有効反射面13の面積Sを合計した面積Sを加えた面積Sa+bを、他の貫通孔群17b〜17dのそれぞれの面積Sa+bと同一(略同一)にした場合、各通孔群17a〜17dから放射される光束を同一(略同一)にすることができるという効果を有する。
この場合、実施例2に係る発光素子搭載用パッケージ14同士の色味のバラツキを防止することができるので、高品質の発光モジュールを提供することができるという効果を有する。
【0051】
また、実施例2に係る発光素子搭載用パッケージ14においては、リフレクタ15の貫通孔16a〜16a,16b〜16b,16c〜16c,16d〜16dを含む外形を、中心23に対して回転対称としてもよい。
この場合、リフレクタ15の平面方向に貫通孔群17a〜17dが略均等に配置されることで、発光素子搭載用パッケージ14からの出力光に輝度ムラが生じるのを抑制することができるという効果を有する。
【実施例3】
【0052】
本発明の実施例3に係る発光素子搭載用パッケージについて図6を参照しながら詳細に説明する。
図6は本発明の実施例3に係る発光素子搭載用パッケージの断面図である。なお、図1乃至図5に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。また、実施例3に係る発光素子搭載用パッケージは実施例1又は実施例2に係る発光素子搭載用パッケージと同じ構成を備えるものであるが、ここではその一例として実施例1に係る発光素子搭載用パッケージ1aを用いた場合を説明している。
実施例3に係る発光素子搭載用パッケージ19は、実施例1又は実施例2に係る発光素子搭載用パッケージ1aと同じ構成に加え、紫外光又は近紫外光を発する発光素子6を搭載した貫通孔4a,4a内に、波長変換材21を分散混合した封止用樹脂20を封入し、その上に、例えば合成樹脂製のレンズ22を覆設したものである。
なお、図6においては、波長変換材21を封止用樹脂20に分散混合した場合を例に挙げて説明しているが、波長変換材21はレンズ22に分散混合してもよい。あるいは、塗布材中に波長変換材21を分散混合して発光素子6の表面に塗布してもよい。
【0053】
このような実施例3に係る発光素子搭載用パッケージ19においては、発光素子6から放射される紫外光又は近紫外光が波長変換材21により可視光線に変換され、この可視光線がリフレクタ3aの反射面12や、基板2の有効反射面13において反射されて基板2の法線方向に放射される。
そして、各貫通孔4aに収容される波長変換材21を一種類とすることで、貫通孔4aに複数種類の波長変換材21を収容する場合に起こる可視光線の波長変換材21への二次吸収現象を防止することができる。この結果、実施例3に係る発光素子搭載用パッケージ19の発光出力の低下を抑制することができるという効果を有する。
【0054】
また、実施例3に係る発光素子搭載用パッケージ19において、各貫通孔4aから放射される可視光線の光束の多少は、貫通孔4a中に収容される波長変換材21の量を増減させることで制御することができる。
このため、実施例1に係る発光素子搭載用パッケージ1aを用いて実施例3に係る発光素子搭載用パッケージ19を構成する場合、個々の貫通孔4aから放射される単色の可視光線を混合して所望の色の光を得る際に、その色味の制御を容易にすることができるという効果を有する。
つまり、個々の実施例3に係る発光素子搭載用パッケージ19から放射される光の色味のバラツキを少なくすることができるという効果を有する。
この結果、高品質の発光モジュールを提供することができるという効果を有する。
また、実施例2に係る発光素子搭載用パッケージ14を用いて実施例3に係る発光素子搭載用パッケージ19を構成する場合、個々の貫通孔群から放射される単色の可視光線を混合して所望の色の光を得る際に、その色味の制御を容易にすることができるという効果を有する。
この場合も、個々の実施例3に係る発光素子搭載用パッケージ19から放射される光の色味のバラツキを少なくすることができるという効果を有する。
【0055】
さらに、実施例3に係る発光素子搭載用パッケージ19においては、リフレクタ3a及び基板2が白色セラミックス7により形成されているので、波長変換材21により可視光線に変換されなかった紫外光や近紫外光に、リフレクタ3aや基板2が長期間さらされても変性することがない。すなわち、合成樹脂のように黄変することがないので、出力光の色が変化したり、発光出力の低下が起こり難い構造になっている。
この結果、高品質で、高耐久性を有し、しかも、信頼性の高い発光モジュールを提供することができるという効果を有する。
【0056】
なお、実施例1乃至実施例3に係る発光素子搭載用パッケージに搭載されるリフレクタ3a〜3h,15は、例えば、セラミックグリーンシートにパンチングにより貫通孔を形成したものを複数層積層して焼成して製造してもよいし、セラミックス粉体原料に合成樹脂等のバインダーを混合して粒状体を形成した後、プレス成形したものを焼成して製造してもよい。
いずれの場合も、同じ形状のものを容易に大量に生産することができるので、リフレクタの製造コストを低減することができる。この結果、実施例1乃至実施例3に係る発光素子搭載用パッケージを安価に供給することができるという効果を有する。
【産業上の利用可能性】
【0057】
以上説明したように、本発明は簡素な構成で高発光効率であり、高耐久性を有し、出力光の色味の制御が容易で、かつ、室内照明用に適した柔らかい光を発する発光素子搭載用パッケージであり、室内向けの照明装置や発光装置に関する分野において利用可能である。
【符号の説明】
【0058】
1,1a〜1h…発光素子搭載用パッケージ 2…基板(セラミックス多層基板) 3,3a〜3h…リフレクタ 4,4a〜4f, 4f, 4g, 4g, 4h〜4h…貫通孔 5…メタライズ膜 6…発光素子 7…白色セラミックス 8…接合材 9…端子 10…導電体 11a〜11h…中心 12…反射面 13…有効反射面 14…発光素子搭載用パッケージ 15…リフレクタ 16a〜16a,16b〜16b,16c〜16c,16d〜16d…貫通孔 17a〜17d…貫通孔群 18…障壁 19…発光素子搭載用パッケージ 20…封止用樹脂 21…波長変換材 22…レンズ 23…中心


【特許請求の範囲】
【請求項1】
白色セラミックスからなり表面に発光素子を搭載するためのメタライズ膜を備えた基板と、この基板上に搭載され,前記発光素子を単数又は複数個囲繞しながら収容するための貫通孔を複数備えた白色セラミックス製のリフレクタとを有する発光素子搭載用パッケージであって、
それぞれの前記貫通孔の内側面と前記基板の成す角度は90°以下でかつ一定であり、
前記貫通孔内における前記基板の有効反射面の割合P=1−{(B−D)/(A−C)}(ただし、前記貫通孔内において裸出する前記基板の全面積をA(mm)、前記貫通孔内における前記メタライズ膜の占有面積をB(mm)、前記発光素子の搭載部面積をC(mm)、前記発光素子により隠れる前記メタライズ膜の面積をD(mm)とする。)が0.5以上であることを特徴とする発光素子搭載用パッケージ。
【請求項2】
前記貫通孔における、内側面の面積Sと、前記貫通孔内の前記基板の有効反射面の面積S(mm)={(A−C)−(B−D)}とを合計した面積S1+2(mm)は、前記複数の貫通孔毎に同一であることを特徴とする請求項1に記載の発光素子搭載用パッケージ。
【請求項3】
前記リフレクタの前記貫通孔を含む形状は、前記リフレクタの中心に対して回転対称であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の発光素子搭載用パッケージ。
【請求項4】
隣り合う前記貫通孔の外縁同士の間隔は均一であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の発光素子搭載用パッケージ。
【請求項5】
白色セラミックスからなり表面に発光素子を搭載するためのメタライズ膜を備えた基板と、この基板上に搭載され,前記発光素子を個別に囲繞しながら収容するための貫通孔を複数備えた白色セラミックス製のリフレクタとを有する発光素子搭載用パッケージであって、
それぞれの前記貫通孔の内側面と前記基板の成す角度は90°以下でかつ一定であり、
前記リフレクタは、複数の前記貫通孔により構成される貫通孔群を少なくとも2つ備え、
前記貫通孔内における前記基板の有効反射面の割合P=1−{(B−D)/(A−C)}(ただし、前記貫通孔内において裸出する前記基板の全面積をA(mm)、前記貫通孔内における前記メタライズ膜の占有面積をB(mm)、前記発光素子の搭載部面積をC(mm)、前記発光素子により隠れる前記メタライズ膜の面積をD(mm)とする。)が0.5以上であることを特徴とする発光素子搭載用パッケージ。
【請求項6】
前記貫通孔群において、個々の前記貫通孔の内側面の面積S(mm)を合計した値S(mm)に、個々の前記貫通孔における前記基板の有効反射面の面積S(mm)={(A−C)−(B−D)}を合計した値Sを加えた値Sa+b(mm)は、他の貫通孔群のSa+b(mm)と同一であることを特徴とする請求項5記載の発光素子搭載用パッケージ。
【請求項7】
前記リフレクタの前記貫通孔を含む形状は、前記リフレクタの中心に対して回転対称であることを特徴とする請求項5又は請求項6記載の発光素子搭載用パッケージ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−182878(P2010−182878A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−25170(P2009−25170)
【出願日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(391039896)株式会社住友金属エレクトロデバイス (276)
【Fターム(参考)】