説明

発光素子部品、およびこれを備える発光装置

【課題】 小型化が可能な発光素子部品、およびこれを備える発光装置を提供する。
【解決手段】 本発明の実施形態の一例である発光素子アレイ10は、支持基板20と、支持基板20の上面20aの上に設けられている、赤外の光を発する第1の発光部30aと、第1の発光部30aの上に設けられていて、赤外の光を透過する、可視の光を発する第2の発光部30bと、第1の発光部30aおよび第2の発光部30bの駆動を制御する駆動回路60と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子部品、およびこれを備える発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、赤外光による通信は、電気機器、光学機器、携帯機器などの種々の機器に採用されている。しかしながら、赤外光は、不可視の光であるため、通信状況を把握することが難しい。そこで、赤外光を発する発光素子と併せて、可視の光を発する発光素子を採用する装置が開発され、例えば特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−303463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された発明では、二つの発光ダイオードを機器に取り付けようとすると機器が大きくなってしまう。
【0005】
本発明は上述の事情のもとで考え出されたものであって、小型化が可能な発光素子部品、およびこれを備える発光装置を提供する目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る発光素子部品は、支持基板と、該支持基板の上面の上に設けられている、赤外の光を発する複数の第1の発光部と、前記第1の発光部の上に設けられていて、前記赤外の光を透過する、可視の光を発する複数の第2の発光部と、前記複数の第1の発光部および前記複数の第2の発光部の駆動を制御する駆動回路と、備えている。
【0007】
本発明に係る発光装置は、上述の発光素子部品と、該発光素子部品を支持する筐体と、を備えている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、小型化が可能な発光素子部品、およびこれを備える発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る発光素子部品の第1の実施形態である発光素子アレイを示す平面図である。
【図2】図1に示した発光素子アレイのII−II線に沿った要部断面図である。
【図3】本発明に係る発光素子部品の第2の実施形態である発光素子アレイを示す要部断面図である。
【図4】図3に示した発光素子アレイのIV−IV線に沿った要部断面図である。
【図5】本発明に係る発光素子部品の第3の実施形態である発光素子アレイを示す要部断面図である。
【図6】図3に示した発光素子アレイのVI−VI線に沿った要部断面図である。
【図7】本発明に係る画像装置の1つの実施形態を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<発光素子部品の第1の実施形態>
以下、本発明に係る発光素子部品の第1の実施形態として発光素子アレイについて、図面を参照しつつ説明する。
【0011】
図1,2に示した発光素子アレイ10は、支持基板20と、発光素子30と、電極層40と、保護層50と、駆動回路60とを備えている。この発光素子30は、一部が発光部として機能している。
【0012】
この支持基板20は、発光素子30と、電極層40と、保護層50とを支持する機能を担っている。この支持基板20は、電気絶縁性を有している。ここで「電気絶縁性を有する」とは、電流が実質的に流れなくなる程度をいい、例えば電気抵抗率が1.0×10〔Ω・m〕以上であることをいう。この支持基板20は、砒化ガリウム(GaAs)によって形成されており、不純物が殆どドープされていない。この支持基板20の厚みとしては、例えば100〜350〔μm〕の範囲の厚さが挙げられる。
【0013】
この支持基板20の上には、複数の発光素子30が設けられている。この複数の発光素子30は、支持基体20の主面20aの法線方向から平面視(以下、単に「平面視」とする)した際に、格子状に配列されている。本実施形態では、複数の発光素子30が直交格子状に配列されている。本実施形態では、この直交する格子の2つの方向を第1の方向D1,D2、第2の方向D3,D4としている。
【0014】
発光素子30は、第1の一型電流拡散層31と、第1の一型クラッド層32と、第1の活性層33と、第1の二型クラッド層34と、二型電流拡散層35と、第2の二型クラッド層36と、第2の活性層37と、第2の一型クラッド層38と、第2の二型電流拡散層39とが積層されている。ここで「一型」および「二型」は、半導体のn型およびp型のいずれかをいい、一方を一型として、他方を二型として表している。本実施形態では、一型としてn型を採用し、二型としてp型を採用しているが、n型とp型とを逆にしてもよい。
【0015】
1つの発光素子30として積層されている各層のうち、第1の一型クラッド層32、第1の活性層33、および第1の二型クラッド層34は、第1の発光部30aとして機能している。また、第2の二型クラッド層36、第2の活性層37、および第2の一型クラッド層38は、第2の発光部30bとして機能している。つまり、この発光素子30は、第1の発光部30aの上に第2の発光部30bが積層して設けられている。この発光素子30は、第1の発光部30aが不可視の光を発するように構成されており、第2の発光部30bが可視光を発するように構成されている。本実施形態では、第1の発光部30aの発する不可視の光として赤外光を採用している。ここで、「可視の光」とは、人間が可視できる光をいい、例えば当該光の波長が360〔nm〕以上850〔nm〕以下の範囲のものをいう。また、「不可視の光」とは、人間が可視できない光をいい、赤外、紫外の光がある。赤外の光としては、例えば当該光の波長が850〔nm〕以上1.6〔μm〕以下の範囲のものをいい、紫外の光としては、360〔nm〕以下200〔nm〕の範囲のものをいう。
【0016】
また、本実施形態では、第1の発光部30aの発する不可視の光が第2の発光部30bを透過するように構成されている。ここで「透過する」とは、透過させる光の中心周波数における減衰が10〔%〕以下であることをいう。このように第1の発光部30aの発する不可視の光が第2の発光部30bを透過する構成とするには、透過させる不可視の光の波長に比べてバンドギャップを小さくすればよい。
【0017】
第1の一型電流拡散層31は、支持基板20の主面20aの上に複数設けられており、平面視した際に、格子状に配列されている。本実施形態では、第1の方向D1,D2および第2の方向D3,D4に沿って、この第1の一型電流拡散層31が直交格子状に配列されている。この第1の一型電流拡散層31は、第1の発光部30aに流れる電流を広い領域に拡散する機能を担っている。この第1の一型電流拡散層31は、平面視において矩形状に設けられている。この第1の一型電流拡散層31は、図2に示したように、下面の面積に比べて上面の面積が大きくなっているメサ形状をしている。
【0018】
本実施形態の第1の一型電流拡散層31は、n型半導体として機能している。この第1の一型電流拡散層31は、砒化ガリウム(GaAs)によって形成されており、例えばn型の不純物であるシリコン(Si)がドープされている。このドーピング濃度としては、例えば1×1017〜1×1019〔atom/cm〕の範囲が挙げられる。このn型の不純物としては、Siの他に、例えばゲルマニウム(Ge)、セレン(Se)、テルル(Te)などのIV族、VI族の元素が挙げられる。
【0019】
第1の一型クラッド層32は、第1の一型電流拡散層31の各々の上に設けられている。この第1の一型クラッド層32は、平面視において矩形状に設けられている。この第1の一型クラッド層32は、面積が第1の一型電流拡散層31の面積に比べて小さくなるように構成されている。つまり、第1の一型電流拡散層31は、第1の一型クラッド層32の下から周囲に広がって設けられている。
【0020】
本実施形態の第1の一型クラッド層32は、第1の発光部30aにおけるn型半導体として機能している。この第1の一型クラッド層32は、燐化アルミニウムインジウム(AlInP)によって形成されており、例えばn型の不純物であるシリコン(Si)がドープされている。このドーピング濃度としては、例えば1×1017〜1×1019〔atom/cm〕の範囲が挙げられる。このn型の不純物としては、Siの他に、例えばゲルマニウム(Ge)、セレン(Se)、テルル(Te)などのIV族、VI族の元素が挙げられる。この第1の一型クラッド層32の厚さとしては、例えば0.4〜1〔μm〕の範囲の厚みが挙げられる。
【0021】
第1の活性層33は、第1の一型クラッド層32の各々の上に設けられている。この第1の活性層33は、第1の発光部30aの発する赤外光を主として発光する発光層として機能している。この第1の活性層33は、バンドギャップの構造を組成、厚さを制御することで所望の波長の光を発することができる。この第1の活性層33は、平面視において矩形状に設けられている。
【0022】
本実施形態の第1の活性層33は、第1の発光部30aにおける真性半導体として機能している。この第1の活性層33は、燐化アルミニウムガリウムインジウム(AlGaInP)によって形成されており、不純物が殆どドープされていない。この第1の活性層33の厚さとしては、例えば0.3〜1〔μm〕の範囲の厚みが挙げられる。
【0023】
第1の二型クラッド層34は、第1の活性層33の各々の上に設けられている。この第1の二型クラッド層34は、平面視において矩形状に設けられている。
【0024】
本実施形態の第1の二型クラッド層34は、第1の発光部30aにおけるp型半導体として機能している。この第1の二型クラッド層34は、AlInPによって形成されており、例えばp型の不純物である亜鉛(Zn)がドープされている。このドーピング濃度としては、例えば1×1017〜1×1019〔atom/cm〕の範囲が挙げられる。このp型の不純物としては、Znの他に、例えばベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、炭素(Canion)などの元素が挙げられる。この第1の二型クラッド層34の厚さとしては、例えば0.4〜1〔μm〕の範囲の厚みが挙げられる。
【0025】
二型電流拡散層35は、第1の二型クラッド層34の各々の上に設けられている。この二型電流拡散層35は、第1の発光部30aおよび第2の発光部30bに流れる電流を広い領域に拡散する機能を担っている。この二型電流拡散層35は、第1の発光部30aと、第2の発光部30bとに共通に接続されている。この二型電流拡散層35は、平面視において矩形状に設けられている。
【0026】
本実施形態の二型電流拡散層35は、p型半導体として機能している。この二型電流拡散層35は、砒化アルミニウムガリウム(AlGaAs)によって形成されており、例えばp型の不純物であるZnがドープされている。このドーピング濃度としては、例えば1×1017〜1×1019〔atom/cm〕の範囲が挙げられる。このp型の不純物としては、Siの他に、例えばBe、Mg、Ca、Canionなどの元素が挙げられる。
【0027】
この二型電流拡散層35の各々の上には、二型コンタクト層351が設けられている。この二型コンタクト層351は、二型電流拡散層35と電極40とを接続するのに際して、接触抵抗を低減するのに寄与している。
【0028】
第2の二型クラッド層36は、二型コンタクト層351の各々の上に複数設けられている。また、この第2の二型クラッド層36は、平面視において矩形状に設けられている。この第2の二型クラッド層36は、面積が二型電流拡散層35の面積に比べて小さくなるように構成されている。つまり、二型電流拡散層35は、第2の二型クラッド層36の下から周囲に広がって設けられている。
【0029】
本実施形態の第2の二型クラッド層36は、第2の発光部30bにおけるp型半導体として機能している。この第2の二型クラッド層36は、AlInPによって形成されており、例えばp型の不純物であるZnがドープされている。のドーピング濃度としては、例えば1×1017〜1×1019〔atom/cm〕の範囲が挙げられる。このp型の不純物としては、Siの他に、例えばBe、Mg、Ca、Canionなどの元素が挙げられる。この第2の二型クラッド層36の厚さとしては、例えば0.4〜1〔μm〕の範囲の厚みが挙げられる。
【0030】
第2の活性層37は、第2の二型クラッド層36の各々の上に設けられている。この第2の活性層37は、第2の発光部30bの発する可視光を主として発光する発光層として機能している。この第2の活性層37は、バンドギャップの構造を組成、厚さを制御することで所望の波長の光を発することができる。この第2の活性層37は、平面視において矩形状に設けられている。
【0031】
本実施形態の第2の活性層37は、第2の発光部30bにおける真性半導体として機能している。この第2の活性層37は、AlGaInPによって形成されており、不純物が殆どドープされていない。この第2の活性層37の厚さとしては、例えば0.3〜1〔μm〕の範囲の厚みが挙げられる。
【0032】
第2の一型クラッド層38は、第2の活性層37の各々の上に設けられている。この第2の一型クラッド層38は、平面視において矩形状に設けられている。
【0033】
本実施形態の第2の一型クラッド層38は、第2の発光部30bにおけるn型半導体として機能している。この第2の一型クラッド層38は、AlInPによって形成されており、例えばn型の不純物であるSiがドープされている。このドーピング濃度としては、例えば1×1017〜1×1019〔atom/cm〕の範囲が挙げられる。このn型の不純物としては、Siの他に、例えばGe、Se、TeなどのIV族、VI族の元素が挙げられる。この第2の一型クラッド層38の厚さとしては、例えば0.4〜1〔μm〕の範囲の厚みが挙げられる。
【0034】
第2の一型電流拡散層39は、第2の一型クラッド層38の各々の上に設けられている。この第2の一型電流拡散層39は、第2の発光部30bに流れる電流を広い領域に拡散する機能を担っている。この第2の一型電流拡散層39は、平面視において矩形状に設けられている。
【0035】
本実施形態の第2の一型電流拡散層39は、n型半導体として機能している。この第2の一型電流拡散層39は、GaAsによって形成されており、例えばn型の不純物であるSiがドープされている。このドーピング濃度としては、例えば1×1017〜1×1019〔atom/cm〕の範囲が挙げられる。このn型の不純物としては、Siの他に、例えばGe、Se、TeなどのIV族、VI族の元素が挙げられる。
【0036】
この第2の一型電流拡散層39の各々の上には、一型コンタクト層391が設けられている。この一型コンタクト層391は、一型電流拡散層39と電極40とを接続するのに際して、接触抵抗を低減するのに寄与している。
【0037】
電極層40は、第1の電極41と、第2の電極42と、第3の電極43とを含んで構成されている。電極層40は、第1の発光部30aおよび第2の発光部30bに電流を流して発光させる際に、当該第1の発光部30aおよび第2の発光部30bに流れる電流の伝送路として機能している。
【0038】
第1の電極41は、二型コンタクト層351を介して二型電流拡散層35に電気的に接続されている。この第1の電極41は、二型電流拡散層35の上面のうち、第2の二型クラッド層36の下から周囲に広がっている部分に接続されている。本実施形態では、格子状に配列されている複数の発光素子30のうち、第1の方向D1,D2に配列されている複数の発光層30に対して、1つの第1の電極41が共通に接続されている。
【0039】
第2の電極42は、第1の一型電流拡散層31に電気的に接続されている。この第2の電極42は、第1の一型電流拡散層31の上面のうち、第1の一型クラッド層32の下から周囲に広がっている部分に接続されている。本実施形態では、格子状に配列されている複数の発光素子30のうち、第2の方向D3,D4に配列されている複数の発光層30に対して、1つの第2の電極42が共通に接続されている。
【0040】
第3の電極43は、一型コンタクト層391を介して第2の一型電流拡散層39に電気的に接続されている。本実施形態では、格子状に配列されている複数の発光素子30のうち、第2の方向D3,D4に配列されている複数の発光層30に対して、1つの第3の電極43が共通に接続されている。
【0041】
本実施形態では、第1の発光部30aは、第1の電極41と第2の電極42との間に順方向に電圧を印加することで、当該第1の発光部30aに電流が供給され、第1の活性層33が発光する。また、第2の発光部30bは、第1の電極41と第3の電極43との間に順方向に電圧を印加することで、当該第2の発光部30bに電流が供給され、第2の活性層37が発光する。
【0042】
本実施形態の発光素子30は、第1の発光部30aと、第2の発光部30bとに共通に接続されている二型電流拡散層35を有しているので、発光素子30を構成する層を少なくして、生産性を高めることができる。また、第1の発光部30aおよび第2の発光部30bに電流を流す伝送路の数を少なくすることで、電極層40を簡略化することができる。このようにして電極層40を簡略化することで、発光素子30を狭い間隔で配置したり、支持基体20の上面20aに対して発光素子30の面積が占める割合を大きくしたりすることができるようになる。
【0043】
保護層50は、発光素子30の所望の層と、電極層40とを電気的に接続する機能を担っている。この保護層50は、複数の発光素子30を覆うように形成されている。また、の保護層50は、第1の電極41と、第2の電極42と、第3の電極43とを互い電気的に絶縁する機能を担っている。この保護層50は、第1の電極41と、第2の電極42と、第3の電極43とが交差する際に、交差する2つの電極の間に設けられている。このように2つの電極の間に保護層50を設けるには、下側に位置する電極の形成後に、保護層50を形成することで可能となる。なお、この保護層50は、図1において省略している。
【0044】
この保護層50は、複数の貫通孔50aを有している。この貫通孔50aは、二型電流拡散層35の上面のうち、第2の二型クラッド層36の下から周囲に広がっている部分の上に設けられている。第1の電極41は、この二型電流拡散層35の上面の上に設けられている貫通孔50aを介して、当該二型電流拡散層35に接続されている。また、この貫通孔50aは、第1の一型電流拡散層31の上面のうち、第1の一型クラッド層32の下から周囲に広がっている部分の上に設けられている。第2の電極42は、この第1の一型電流拡散層31の上面の上に設けられている貫通孔50aを介して、当該第1の一型電流拡散層31に接続されている。また、この貫通孔50aは、一型コンタクト層391の上に設けられている。第3の電極43は、この一型コンタクト層391の上面の上に設けられている貫通孔50aを介して、当該一型コンタクト層391に接続されている。
【0045】
駆動回路60は、発光層30の第1の発光部30aおよび第2の発光部30bの駆動を制御する機能を担っている。つまり、この駆動回路60は、第1の発光部30aおよび第2の発光部30bに流れる電流を制御して、発光層30が光を発するのを制御している。この駆動回路60は、第1の電極41と、第2の電極42と、第3の電極43とに接続されている。
【0046】
本実施形態の第1の電極41は、駆動回路60の内部を介して、電源としての電圧源に接続されている。また、第2の電極42および第3の電極43は、駆動回路60の内部回路を介して、電源の基準電位となる基準電位点に接続される。この第2の電極42および第3の電極43と、基準電位点との間の回路には、個別制御されるスイッチが設けられており、駆動回路60に内蔵されている。つまり、この駆動回路60は、当該スイッチを制御して、発光素子30の発光を制御している。
【0047】
本実施形態の駆動回路60は、複数の第1の発光部30aのうち、上に設けられている第2の発光部30bが発光していないものを優先的に発光させるように構成されている。そのため、この発光素子アレイ10では、複数の発光素子30において、発光しているものと、発光していないものとの間で生じる熱分布を小さくすることができる。よって、この発光素子アレイ10では、熱によって第1の発光部30aおよび第2の発光部30bの発する光に周波数の変動が生じるのを低減することができる。
【0048】
また、本実施形態の駆動回路60は、複数の第1の発光部30aのうち、上に設けられている第2の発光部30bが発光していないものを優先的に発光させるように構成されているので、第1の発光部30aおよび第2の発光部30bに共通接続されている第1の電極41に過度に電流が流れるのを低減することができる。そのため、この発光素子アレイ10では、第1の電極41の断線の発生を低減して、第1の電極41を細線化したり、薄くしたりすることができる。
【0049】
複数の第1の発光部30aのうち、上に設けられている第2の発光部30bが発光していないものを優先的に発光させるように、駆動回路60で制御するには、第2の発光部30bを駆動しない発光素子30の中からいずれかを選択して、選択した発光素子30に接続されている第2の電極42のスイッチを制御することによって実現することができる。なお、全ての第1の発光部30aを発光させる場合は、第2の発光部30bのいずれかを選択して発光するものとする。
【0050】
本実施形態の駆動回路60は、第1の発光部30aおよび該第1の発光部30aの上に設けられている第2の発光部30bの発光時間を各組ごと、つまり発熱素子30ごとに算出しており、当該発光時間の短い組の第1の発光部30aを優先的に発光させるように構成されている。そのため、この発光素子アレイ10では、複数の発光素子30において、発光しているものと、発光していないものとの間で生じる熱分布をより小さくすることができる。よって、この発光素子アレイ10では、熱によって第1の発光部30aおよび第2の発光部30bの発する光に周波数の変動が生じるのをより低減することができる。
【0051】
当該発光時間の短い組の第1の発光部30aを優先的に発光させるように、駆動回路60で制御するには、予め各発光素子30の発光時間を数えておき、第2の発光部30bを駆動しない発光素子30の中から駆動する第1の発光部30aを選択する際に、発光時間の短い発光素子30を採用して発光させることで実現することができる。発光時間を数えるには、例えば発光をデジタル制御したりする際にカウンタなどを用いて出力回数を数えることで可能となる。なお、この発光時間を計算する上で、重み付けを変えてもよい。このような重み付けとしては、例えば放熱性の観点が挙げられ、第1の発光部30aと、第2の発光部30bとで重み付けを変えたり、各発光素子30の位置で重み付けを変えたりしてもよい。また、この発光時間は、オーバーフローしないように一定値を減じたり、長時間駆動されない場合にクリアしたりしてもよい。
【0052】
本実施形態の発光素子アレイ10は、支持基板20と、支持基板20の上面20aの上に設けられている、赤外の光を発する第1の発光部30aと、第1の発光部30aの上に設けられていて、可視の光を発する第2の発光部30bと、第1の発光部30aおよび第2の発光部30bの駆動を制御する駆動回路60と、を備えている。そのため、この発光素子アレイ10では、第1の発光部30aと、第2の発光部30bとを重ねて設けることで、小型化を図ることができる。
【0053】
本実施形態の発光素子アレイ10では、第1の発光部30aの上に設けられている第2の発光部30bが、第1の発光部30aの発する光を透過するように構成されているので、第2の発光部30bの下から第1の発光部30aが延在する領域を狭くすることができる。そのため、この発光素子アレイ10は、より小型化を図ることができる。
【0054】
本実施形態の発光素子アレイ10では、第2の発光部30bの発する光に比べて波長の長い赤外光を第1の発光部30aが発するように構成されているので、第1の発光部30aの発する光を第2の発光部30bが透過するようにバンドギャップの構成を制御するうえで好適である。
【0055】
本実施形態の第2の発光部30bは、複数設けられている。そのため、この発光素子アレイ10では、単に赤外光を発しているか否かに限らず、発光している赤外光に関連する情報をも表示することができる。
【0056】
また、この発光素子アレイ10では、第1の発光部30aの発する赤外の光(不可視の光)の発光位置で熱分布を制御しているので、可視の光で表示している、文字、記号に誤りが生じるのを低減することができる。
【0057】
本実施形態の第1の発光部30aは、複数設けられている。そのため、この発光素子アレイ10では、赤外光を発する発光部を分散して、一部の発光部に負荷が集中するのを緩和することができる。
【0058】
本実施形態の複数の第1の発光部の発する光は、赤外通信に用いられる。そのため、この発光素子アレイ10では、通信している信号と関連する情報を第2の発光部30bに表示させることができる。つまり、この発光素子アレイ10では、通信と光とで複合的に動作する小型の発光素子部品を提供することができる。
【0059】
<発光素子の第2の実施形態>
以下、本発明に係る発光素子部品の第2の実施形態として発光素子アレイについて、図面を参照しつつ説明する。
【0060】
図3,4に示した発光素子アレイ10Aは、発光素子30に換えて発光素子30Aを、電極層40に換えて電極層40Aを、保護層50に換えて保護層50Aを、駆動回路60に換えて駆動回路60Aを備える点において、発光素子アレイ10と異なっている。なお、これらの異なる構成要素を含めて、発光素子アレイ10Aと発光素子アレイ10とで共通している内容は、記載を省略している。
【0061】
発光素子30Aでは、第1の一型電流拡散層31Aと、第1の一型クラッド層32Aと、第1の活性層33Aと、第1の二型クラッド層34Aと、二型電流拡散層35Aと、第2の二型クラッド層36と、第2の活性層37と、第2の一型クラッド層38と、第2の二型電流拡散層39とが積層されている。
【0062】
第1の一型電流拡散層31Aは、支持基板20の主面20aの上に複数設けられている。この第1の一型電流拡散層31Aは、第1の方向D1,D2に長く伸びるように設けられており、第2の方向D3,D4に配列されている。
【0063】
第1の一型クラッド層32Aは、第1の一型電流拡散層31Aの各々の上に設けられている。この第1の一型クラッド層32Aは、面積が第1の一型電流拡散層31Aの面積に比べて小さくなるように構成されている。つまり、第1の一型電流拡散層31Aは、第1の一型クラッド層32Aの下から周囲に広がって設けられている。
【0064】
この第1の一型クラッド層32Aの各々の上には、第1の活性層33Aが設けられている。この第1の活性層33Aの各々の上には、第1の二型クラッド層34Aが設けられている。この第1の二型クラッド層34Aの各々の上には、二型電流拡散層35Aが設けられている。この二型電流拡散層35Aの各々の上には、二型コンタクト層351Aが設けられている。
【0065】
第2の二型クラッド層36は、1つの二型コンタクト層351Aの上に複数設けられている。本実施形態では、1つの二型コンタクト層351Aの上に、複数の第2の二型クラッド層36が第1の方向D1,D2に沿って配列されている。本実施形態では、第1の方向D1,D2および第2の方向D3,D4に沿って、この第2の二型クラッド層36Aが直交格子状に配列されている。つまり、本実施形態では、1つの第1の発光部30Aaの上に、複数の第2の発光部30bが設けられている。
【0066】
この第2の二型クラッド層36の各々の上には、第2の活性層37が設けられている。この第2の活性層37の各々の上には、第2の一型クラッド層38が設けられている。この第2の一型クラッド層38の各々の上には、第2の一型電流拡散層39が設けられている。この第2の一型電流拡散層39の各々の上には、一型コンタクト層391が設けられている。
【0067】
電極層40Aは、第1の電極41Aと、第2の電極42Aと、第3の電極43Aとを含んで構成されている。
【0068】
第1の電極41Aは、二型コンタクト層351Aを介して二型電流拡散層35に電気的に接続されている。この第1の電極41Aは、二型電流拡散層35Aの上面のうち、第2の二型クラッド層36Aの下から周囲に広がっている部分に接続されている。本実施形態では、第2の方向D3,D4に配列されている。二型コンタクト層351の上に1つの第1の電極41Aが共通に接続されている。
【0069】
第2の電極42Aは、第1の一型電流拡散層31Aに電気的に接続されている。この第2の電極42Aは、第1の一型電流拡散層31Aの上面のうち、第1の一型クラッド層32Aの下から周囲に広がっている部分に接続されている。本実施形態では、第2の方向D3,D4に配列されている。第1の一型電流拡散層31Aの上に1つの第2の電極42Aが共通に接続されている。
【0070】
第3の電極43Aは、一型コンタクト層391を介して第2の一型電流拡散層39に電気的に接続されている。本実施形態では、格子状に配列されている複数の発光素子30のうち、第2の方向D3,D4に配列されている複数の第2の発光部30bに対して、1つの第3の電極43Aが共通に接続されている。
【0071】
本実施形態の発光素子30Aは、第1の発光部30Aaの上に、複数の第2の発光部30bが設けられているので、発光素子30の形成工程を簡素にして、生産性を高めることができる。また、第1の発光部30Aaに電流を流す伝送路の数を少なくすることで、電極層40Aを簡略化することができる。
【0072】
保護層50Aは、複数の発光素子30を覆うように形成されている。なお、この保護層50は、図3において省略している。この保護層50Aは、複数の貫通孔50Aaを有している。この貫通孔50Aaは、二型電流拡散層35Aの上面のうち、第2の二型クラッド層36の下から周囲に広がっている部分の上に設けられている。第1の電極41Aは、この二型電流拡散層35Aの上面の上に設けられている貫通孔50Aaを介して、当該二型電流拡散層35Aに接続されている。また、この貫通孔50Aaは、第1の一型電流拡散層31Aの上面のうち、第1の一型クラッド層32Aの下から周囲に広がっている部分の上に設けられている。第2の電極42Aは、この第1の一型電流拡散層31Aの上面の上に設けられている貫通孔50Aaを介して、当該第1の一型電流拡散層31Aに接続されている。また、この貫通孔50Aaは、一型コンタクト層391の上に設けられている。第3の電極43Aは、この一型コンタクト層391の上面の上に設けられている貫通孔50Aaを介して、当該一型コンタクト層391に接続されている。
【0073】
駆動回路60Aは、発光層30Aの第1の発光部30Aaおよび第2の発光部30bの駆動を制御する機能を担っている。つまり、この駆動回路60Aは、第1の発光部30Aaおよび第2の発光部30bに流れる電流を制御して、発光層30Aが光を発するのを制御している。この駆動回路60Aは、第1の電極41Aと、第2の電極42Aと、第3の電極43Aとに接続されている。
【0074】
本実施形態の駆動回路60Aは、複数の第1の発光部30Aaのうち、上に設けられている複数の第2の発光部30bが発光している数が少ないものを優先的に発光させるように構成されている。そのため、この発光素子アレイ10Aでは、複数の発光素子30Aにおいて、発光しているものと、発光していないものとの間で生じる熱分布をより小さくすることができる。よって、この発光素子アレイ10Aでは、熱によって第1の発光部30Aaおよび第2の発光部30bの発する光に周波数の変動が生じるのをより低減することができる。
【0075】
<画像装置>
以下、本発明に係る画像装置の一実施形態を例示し、図面を参照しつつ説明する。
【0076】
図3に示した画像装置1は、上述の発光素子アレイ10と、筐体70とを備えている。なお、本実施形態では、発光素子部品として発光素子アレイ10を採用しているが、発光素子アレイ10Aを採用してもよい。
【0077】
この筐体70は、発光素子アレイ10を保持する機能を担っている。この筐体70は、第1の筐体71と、第2の筐体72とを含んで構成されている。第1の筐体71は、発光素子アレイ10を支持する機能を担っている。この第1の筐体71の上面には、発光素子アレイ10が載置されている。第2の筐体71は、第1の筐体71と対となって発光素子アレイ10を覆うように設けられている。この第2の筐体71は、発光素子アレイ10の発光素子30の発する光を透過する機能を担っている。本実施形態の第2の筐体71は、発光素子30の発する光を透過する材料で全体が形成されている。なお、第2の筐体71は、一部のみが発光素子30の発する光を透過するように構成されていてもよい。
【0078】
本実施形態の画像装置1は、発光素子アレイ10を備えており、当該発光素子アレイ10の有する効果を享受することができる。本実施形態の画像装置1は、光の強度分布が小さい画像装置を提供することができる。
【0079】
以上、本発明の具体的な実施形態を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の要旨から逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。
【0080】
本実施形態に記載された発光素子30は、第1の発光部30aが赤外光を発するように構成されているが、紫外光を発するように構成されていてもよい。第1の発光部30aで紫外光を発するには、例えば第1の活性層の形成材料として、窒化ガリウム(GaN)を採用して、バンドギャップの構成を制御することで実現可能である。
【0081】
本実施形態に記載された発光素子30は、二型電流拡散層35が第1の発光部30aと、第2の発光部30bとに共通に接続されているが、このような構成に限られない。例えば、第1の発光部30aおよび第2の発光部30bの間に絶縁層352Bが形成されており、当該第1の発光部30aおよび第2の発光部30bが異なる二型電流拡散層35B,35Bに接続されていてもよい。
【0082】
本実施形態に記載された発光素子30は、DBR層を含んで構成されていてもよい。なお、この「DBR」は、Distributed Bragg. Reflector(分布ブラッグ反射体)の略称である。このDBR層は、第1の発光部30aおよび第2の発光部30bが発する光を反射させる機能を担っている。このDBR層を形成する位置としては、第1の一型電流拡散層31と第1の一型クラッド層32との間、および二型コンタクト層351と第2の二型クラッド層36との間が挙げられる。このDBR層は、この両方の位置に形成されてもよいし、いずれか一方のみに形成されてもよい。なお、二型コンタクト層351と第2の二型クラッド層36との間にDBR層を形成する際には、第2の発光部30bの発する光を反射する特性と、第1の発光部30aの発する光が透過する特性とを両立するように設計される。
【0083】
本実施形態に記載された発光素子30は、エッチ緩衝層を含んで構成されていてもよい。このエッチ緩衝層は、第1の発光部30aと第2の発光部30bとを形成するのに際して、一方の発光部を形成する際に他方の発光部がエッチされるのを緩衝する機能を担っている。このエッチ緩衝層を形成する位置としては、第1の一型電流拡散層31と第1の一型クラッド層32との間、および二型コンタクト層351と第2の二型クラッド層36との間が挙げられる。このエッチ緩衝層は、この両方の位置に形成されてもよいし、いずれか一方のみに形成されてもよい。
【符号の説明】
【0084】
1・・・画像装置
10・・・発光モジュール
20・・・支持基体
30・・・発光素子
30a・・・第1の発光部
30b・・・第2の発光部
31・・・第1の一型電流拡散層
32・・・第1の一型クラッド層
33・・・第1の活性層
34・・・第1の二型クラッド層
35・・・二型電流拡散層
351・・・二型コンタクト層
352・・・絶縁層
36・・・第2の二型クラッド層
37・・・第2の活性層
38・・・第2の一型クラッド層
39・・・第2の一型電流拡散層
391・・・一型コンタクト層
40・・・電極層
41・・・第1の電極
42・・・第2の電極
43・・・第3の電極
50・・・保護層
50a・・・貫通孔
60・・・駆動回路
70・・・筐体
71・・・第1の筐体
72・・・第2の筐体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基板と、
該支持基板の上面の上に設けられている、不可視の光を発する第1の発光部と、
前記第1の発光部の上に設けられていて、可視の光を発する第2の発光部と、
前記第1の発光部および前記第2の発光部の駆動を制御する駆動回路と、
を備えている、発光素子部品。
【請求項2】
前記第2の発光部は、複数設けられている、請求項1に記載の発光素子部品。
【請求項3】
前記第1の発光部は、複数設けられている、請求項2に記載の発光素子部品。
【請求項4】
前記駆動回路は、前記複数の第1の発光部のうち、上に設けられている前記第2の発光部が発光していないものを優先的に発光させるように構成されている、請求項3に記載の発光素子部品。
【請求項5】
前記第1の発光部の上には、複数の前記第2の発光部が設けられており、
前記駆動回路は、前記複数の第1の発光部のうち、上に設けられている前記複数の第2の発光部が発光している数が少ないものを優先的に発光させるように構成されている、請求項3または4に記載の発光素子部品。
【請求項6】
前記駆動回路は、前記第1の発光部および該第1の発光部の上に設けられている前記第2の発光部の発光時間を各組ごとに算出しており、当該発光時間の短い組の前記第1の発光部を優先的に発光させるように構成されている、請求項3から5のいずれかに記載の発光素子部品。
【請求項7】
前記複数の第1の発光部は、赤外通信に用いられる、請求項1から6のいずれかに記載の発光素子部品
【請求項8】
請求項1から6のいずれかに記載の発光素子部品と、該発光素子を支持する筐体と、を備えている、発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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