説明

発光表示装置

【課題】所定距離を置きながら配置したLEDの光をLED配列方向へむらを極力無くしながら連続的に拡散発光させ、しかも強い光の照射を受けた場合にもLEDの発する光の視認性が低下することのない発光表示装置を提供する。
【解決手段】基板上に複数配置した発光体をトンネル状の透光カバー体4で覆い、この透光カバー体4の外側面に第1シリンドリカルレンズ4aを形成し、内側面に第2シリンドリカルレンズ4bを形成する。それら第1シリンドリカルレンズ4aと第2シリンドリカルレンズ4bは、半円柱形状の軸方向が互いに直交するようにレンズを形成し、そして基板上に配置されている発光体の位置に対応する透光カバー体4の外側面または内側面に、第1シリンドリカルレンズ及び第2シリンドリカルレンズのレンズ幅より大きいレンズ幅を持つ第3シリンドリカルレンズ4cを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED(発光ダイオード)等の発光体をプリント基板上に複数配置し、各発光体を点滅制御することで電飾、イルミネーション等の装飾発光を行う発光表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、看板やアミューズメント機器、あるいは電飾サイン等に用いる発光表示装置としてLEDを使用した装置が知られている。例えば、特許文献1に示すように、透光性カバー体の内部にLEDを収容する収容凹部を形成し、その内面に光を拡散させる複数の凹曲面部を形成し、収容凹部の中に配置したLEDから照射された光を透光性カバー体の周側面方向に拡散させるようにした発光具がある。また、特許文献2に示すように、LEDを碁盤目状に配置した表示部の周囲に飾りLEDを配置して飾り部を形成し、この飾り部のLEDを特許文献1と同様にトンネル状の光拡散板で覆い、やはり同じように光拡散板によってLEDが並べられた方向に光を拡散させるようにした表示装置もある。
【特許文献1】特開平9−258676号
【特許文献2】特開2003−280534号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載の発光具では、透光性カバー体の内面に凹曲面部を形成し、LEDの光を透光性カバー体を透過して周側部に拡散させることで発光具全体を照らすようにしている。しかし、LEDの光を拡散させるための凹曲面部は、透光性カバーの内面のみに連設する構造であるため、カバー体の全体をむらのない状態で発光させるには不十分であった。カバー体内面に複数連設する凹曲面部は、断面円弧状の溝をカバー体内面の短手方向に形成するものであるため、LEDランプから照射された光は溝の長手方向に連続して拡散し、その結果、1つ1つの凹曲面部ごとにケース体の短手方向に一続きで光が拡散し、ケース体の長手方向には光が不連続で視認されることになるのである。LEDランプとLEDランプの間に位置する凹曲面部にも光は入射するものの、それは隣接する凹曲面部から漏れる光や、LEDランプから広がって照射された光であるため、ケース体の長手方向に不連続な状態で並んで視認される発光群はLEDランプから離れるに従って徐々に暗くなり、従ってカバー体全体を見たときにカバー体の長手方向に対して明るさのむらが生じるのである。
【0004】
特許文献2に記載の表示装置でも、飾りLEDを覆うトンネル状の光拡散板には、光拡散用の凹凸(特許文献1の凹曲面部に相当)がLEDの並ぶ方向へ連続して形成されており、やはり特許文献1と同様の問題を抱えている。
【0005】
そして、こうした従来の光拡散効果を利用した装置では、光拡散用のカバー体に太陽光等の強い光を受けた場合にカバー体の表面や内側の凹曲面で光が散乱して白っぽく認識され、LEDの発した光がほとんど認識できなくなるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記従来の問題点に対処してなされたものであり、所定距離を置きながら配置したLEDの光をLED配列方向へむらを極力無くしながら連続的に拡散発光させ、しかも強い光の照射を受けた場合にもLEDの発する光の視認性が低下することのない発光表示装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発光表示装置では、基板上に配置した複数の発光体を複数個ごとにトンネル状の透光カバー体で連続して覆い、発光体を点滅制御することで装飾発光表示を行う発光表示装置において、前記透光カバー体に、透光カバー体の外側面に透光カバー体の長手方向または短手方向に沿って複数形成する第1シリンドリカルレンズと、透光カバー体の内側面に前記第1シリンドリカルレンズの形成方向と直交する方向に沿って複数形成する第2シリンドリカルレンズと、前記透光カバー体で覆う発光体の位置に対応する透光カバー体の外側面または内側面に、前記第1シリンドリカルレンズ及び第2シリンドリカルレンズよりレンズ幅が大きい第3シリンドリカルレンズを形成すると共に、発光体の正面と対向する位置の透光カバー体の外側面及び内側面に前記第1シリンドリカルレンズ及び第2シリンドリカルレンズを形成しないことを特徴としている。
【0008】
また、本発明の発光表示装置では、前記第3シリンドリカルレンズの長手方向を、第3シリンドリカルレンズを形成する面と同一の面に形成する前記第1シリンドリカルレンズまたは第2シリンドリカルレンズの形成方向と同じくすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、基板上に複数配置した発光体をトンネル状の透光カバー体で覆い、この透光カバー体の外側面に第1シリンドリカルレンズを形成し、内側面に第2シリンドリカルレンズを形成する。それら第1シリンドリカルレンズと第2シリンドリカルレンズは、半円柱形状の軸方向が互いに直交するようにレンズを形成し、そして基板上に配置されている発光体の位置に対応する透光カバー体の外側面または内側面に、第1シリンドリカルレンズ及び第2シリンドリカルレンズのレンズ幅より大きいレンズ幅を持つ第3シリンドリカルレンズを形成し、更に、発光体の正面と対向する位置の透光カバー体の外側面及び内側面には第1シリンドリカルレンズと第2シリンドリカルレンズを形成しない構造としている。こうした構造とすることにより、発光体から照射された光は先ず透光カバー体の内側面に形成された第2シリンドリカルレンズに入射して屈折し、第2シリンドリカルレンズの曲率を備える断面の幅寸法(レンズ幅の寸法)でレンズの軸方向に拡散する。次に、透光カバー体の内部を通過して外側面側に達した光は第1シリンドリカルレンズで屈折を起こし、第1シリンドリカルレンズの曲率を備える断面の幅寸法でレンズの軸方向に拡散しながら透光カバー体の外部へ向けて照射されることになる。第1シリンドリカルレンズと第2シリンドリカルレンズとはレンズの軸方向が互いに直交している為、レンズの軸方向へ線状に拡散する複数本の光が直交して視認されることになり、透光カバー体を通して見る発光体の光は透光カバー体の長手方向にも短手方向にも連続した状態で発光させることができる。特に、透光カバー体の長手方向にも連続した状態で光を拡散する為、LEDが配列する方向に明るさのむらが発生するのを防ぐことができる。
【0010】
また、発光カバー体の発光体を覆う箇所にはレンズ幅の大きい第3シリンドリカルレンズを形成していることにより、発光カバー体を外側から見たときに発光体から直接放たれる一際明るい光を第3シリンドリカルレンズのレンズ幅に広げて視認させることができる。これによって、発光カバー体全体が発光する中に一段と明るい帯状の光を等間隔置きに出現させることができ、装飾表示上のアクセント効果を得ることができる。そして、発光カバー体の発光体に正対する位置には第1シリンドリカルレンズ及び第2シリンドリカルレンズを形成しない構造としていることにより、発光体の真正面に照射される強い明るさの光を第1シリンドリカルレンズと第2シリンドリカルレンズで屈折させることなく外部へ直接照射させることができる。これにより、太陽光等の強い光が発光カバー体を照らしているような状況の中においても、発光体の正面から照射される直接光の視認性を保つことができ、外光の散乱によって発光カバー全体が視認不能に陥るのを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(実施の形態1)
以下、本発明による好適な実施形態を図面を参照しながら説明する。
図1は本発明実施例の外観を示す説明図である。本発明の発光表示装置1は、プリント基板2の表面に実装した多色発光可能なLED3と、このLED3をトンネル状に覆う透光カバー体4と、LED3を発光駆動するための発光駆動回路(図示しない)とによって全体が構成されている。なお、発光駆動回路は、予め設定された発光表示パターンデータに基づいてLED3の発光輝度や点滅タイミング、あるいは発光色を可変させながら発光駆動する機能を備えており、多彩な装飾表示を可能にしている。
【0012】
LED3は、プリント基板上に所定距離を置きながら直線状に複数配置しており、その直線配置したLEDを長尺形状の透光カバー体4によって連続して覆っている。透光カバー体4の短手方向の断面形状は、LED3の側方から上方を連続的に覆うように略半円状のトンネル形状としている。透光カバー体4の外側面に複数形成される4aは第1シリンドリカルレンズであり、半円柱形状を呈すレンズの軸を透光カバー体4の長手方向に沿わせて形成している。この第1シリンドリカルレンズ4aは、透光カバー体4の短手方向の一方の側端から他方の側端にかけて隙間無く密に隣接させながら形成しており、透光カバー体4の内側からLED3が放射した光をレンズの曲率に応じて屈折させながらカバー体の長手方向へ線状に拡散する。
【0013】
一方、透光カバー体4の内側面に複数形成される4bは第2シリンドリカルレンズであり、レンズの軸を透光カバー体4の短手方向に揃えながらトンネル形状の内側面に沿わせて形成している。この第2シリンドリカルレンズ4bは、透光カバー体4の長手方向の一端から他端にかけて隙間無く密に隣接させながら形成しておりLED3が放射した光をレンズの曲率に応じて屈折させながらカバー体の短手方向へ線状に拡散する。
【0014】
4cは第3シリンドリカルレンズであり、透光カバー体4の内側面に第2シリンドリカルレンズ4bと同じように形成される。但し、この第3シリンドリカルレンズは、透光カバー体4内側面のLED3に対向する箇所にのみ形成されており、シリンドリカルレンズの円弧状に膨らむ断面で見たレンズ幅が第2シリンドリカルレンズより大きい幅寸法を有している。第3シリンドリカルレンズのレンズ幅寸法は、少なくともLED3の幅寸法より大きい寸法に設定されており、LED3から広がりながら照射された光を第3シリンドリカルレンズのレンズ幅内で屈折させ、レンズの軸方向に対して拡散させる。これにより、LED3から照射される強い明るさの直接光が第3シリンドリカルレンズ4cのレンズ幅でレンズ軸方向へ線状に集光され、図4に示すようにレンズを形成しない場合と比較して、透光カバー体4を外から見たときにLED3から照射された直接光がレンズ幅まで広がって視認される効果が得られる。ちなみに、第1シリンドリカルレンズのレンズ幅と第2シリンドリカルレンズのレンズ幅は、LED3の縦及び横寸法より小さい寸法を有しており、透光カバー体4を外から見たときにLED3の発する光を細い複数の線状に視認させ、透光カバー体4がところどころ点状に発光した状態ではなく、透光カバー体4全体が面として発光しているように視認される効果を得るようにしている。
【0015】
透光カバー体4のレンズ外側面において、LED3の直上に相当する箇所には平滑部4dが形成される。この平滑部4dは、透光カバー体4の外側部全体に複数の第1シリンドリカルレンズ4aが形成される中で、部分的にレンズ構造を持たない平面が形成されたものであり、レンズの機能を備えていない。この平滑部4dは矩形に形成されており、その縦横寸法は、平滑部を正面より見たときに直下に位置するLED3の発光部が隠れることなく確認できる大きさであれば良い。また、透光カバー体4の長手方向に相当する平滑部4dの寸法は、透光カバー体4の内側面側に形成される第3シリンドリカルレンズのレンズ幅の範囲に収まる寸法であることが望ましい。そうすることにより、LED3から広がりながら放射された光が第3シリンドリカルレンズによって屈折し、光の放射方向が平滑部4dの表面に垂直な方向に揃った状態で平滑部4dから放射されることになる。従って平滑部4dの正面方向に対してLED3の発する光をより高い輝度で視認させることが可能になり、透光カバー体4に直射日光等の強い光が照射されたような状況の中でも、平滑部4dを通してLED3の光を視認させることができる。
【0016】
図2は透光カバー体4を示した図であり、図2(a)は平面図、図2(b)は側面図、図2(c)は底面図を示している。図1に基づいて説明した通り、透光カバー体4の外側面にはカバー体の長手方向に沿ってレンズ軸を形成した複数の第1シリンドリカルレンズ4aが密に隣接配置され、カバー体4の内側に配置されるLED3に対応して第3シリンドリカルレンズ4cのレンズ幅に収まる寸法の平滑部4dが形成されている。また、透光カバー体4の内側面には、カバー体4の短手方向に沿ってレンズ軸を形成した第2シリンドリカルレンズ4bが密に隣接配置されており、LED3の配置位置に相当する箇所に第3シリンドリカルレンズ4cが広いレンズ幅で形成されている。
【0017】
次に、上記のように構成される発光表示装置を発光表示させた状態を図3に示す。LED3が発光すると、第1シリンドリカルレンズ4a及び第2シリンドリカルレンズ4bの作用により、透光カバー体4の長手方向と短手方向にそれぞれ光が線状に拡散して透光カバー体4全体が面状に発光する。同時に、LED3から照射される直接光を受けて第3シリンドリカルレンズ4cのレンズ幅で一際明るい発光群が透光カバー体4の外側部に表れる。また、第3シリンドリカルレンズ4cの作用による発光群の中で、平滑部4dが形成された位置においては更に明るい発光点が視認されることになり、結果として、透光カバー体4全体がむらの無い状態で発光する中に帯状の発光群が一定間隔で表れ、その帯状発光群を透光カバー体4の正面から見たときに極めて高輝度の発光点が視認される。従って、周囲が暗い状態となる夜間はもとより、透光カバー体4に強い外光が照射されていない使用状態では、離間配置したLEDの光が透光カバー体4の全体に拡散してチューブ状に発光する電飾表示効果が得られ、直射日光等の強い光の照射を受けたような悪条件の中でも、透光カバー体4の頂部を正面から見る方向に対しては非常に明るい点状の光を放つ電飾表示効果を得ることができる。
【0018】
本発明は以上にように構成されるものであるが、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で、上記実施例に限定されることなく種々の実施が可能である。例えば、透光カバー体4の短手方向の断面形状は逆V字状、伏せたコ字状など他の形状としても良く、全体形状も長尺の直線である必要は無く、曲部を備えた形状としても良い。また、第1シリンドリカルレンズ4aのレンズ軸を透光カバー体4の外側面短手方向に沿わせて形成し、同じく外側面の短手方向に第3シリンドリカルレンズ4cを形成しても良い。その場合、第2シリンドリカルレンズ4bは透光カバー体4の内側面に長手方向に沿って形成する必要があり、平滑部4dも内側面のLED直上位置に形成する必要がある。また、上記実施例ではLED3を表面実装型のものとして図示しているが、ランプ型のものでも実施可能である。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明は、看板、アミューズメント機器、電飾サイン等に単独で使用することが可能である他、LEDを碁盤目状にドットマトリクス配置した情報表示部を備える表示装置の装飾表示部として利用可能である。その場合、ドットマトリクス情報表示部の周囲を囲むように配置可能なことは勿論、情報表示部の周囲に適宜箇所にのみ配置することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明実施例に係る発光表示装置の外観を示す説明図である。
【図2】透光カバー体の外観を示す説明図である。
【図3】本発明実施例に係る発光表示装置の発光表示イメージを示す説明図である。
【図4】第3シリンドリカルレンズによる表示効果を示す説明図である。
【符号の説明】
【0021】
1 発光表示装置
2 プリント基板
3 発光体たるLED
4 透光カバー体
4a 第1シリンドリカルレンズ
4b 第2シリンドリカルレンズ
4c 第3シリンドリカルレンズ
4d 平滑部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に配置した複数の発光体を複数個ごとにトンネル状の透光カバー体で連続して覆い、発光体を点滅制御することで装飾発光表示を行う発光表示装置において、
前記透光カバー体に、
透光カバー体の外側面に透光カバー体の長手方向または短手方向に沿って複数形成する第1シリンドリカルレンズと、
透光カバー体の内側面に前記第1シリンドリカルレンズの形成方向と直交する方向に沿って複数形成する第2シリンドリカルレンズと、
前記透光カバー体で覆う発光体の位置に対応する透光カバー体の外側面または内側面に、前記第1シリンドリカルレンズ及び第2シリンドリカルレンズよりレンズ幅が大きい第3シリンドリカルレンズを形成すると共に、発光体の正面と対向する位置の透光カバー体の外側面及び内側面に前記第1シリンドリカルレンズ及び第2シリンドリカルレンズを形成しないことを特徴とする発光表示装置。
【請求項2】
前記第3シリンドリカルレンズの長手方向を、第3シリンドリカルレンズを形成する面と同一の面に形成する前記第1シリンドリカルレンズまたは第2シリンドリカルレンズの形成方向と同じくすることを特徴とする請求項1記載の発光表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−8678(P2010−8678A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−167486(P2008−167486)
【出願日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(000103138)エムケー精工株式会社 (174)
【Fターム(参考)】