説明

発光装置、照明装置および車両用前照灯

【課題】高輝度かつ高光束で発光が可能な光源を実現することができる。
【解決手段】レーザ光を出射するレーザ光源101と、レーザ光源101から出射されたレーザ光が照射される被照射面を有し、当該被照射面上におけるレーザ光の照射により発光する発光部106とを備え、発光部106の被照射面上におけるレーザ光のパワー密度は、0.1W/mm以上、100W/mm以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高輝度かつ高光束の光源として機能する発光装置並びに、当該発光装置を備えた照明装置および車両用前照灯に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネルギーや、環境有害物質の不使用を推進するため、新たな発光装置の開発と実用化が急ピッチで進んでいる。半導体発光素子と蛍光体を組み合わせたり、有機EL材料を使ったりした発光装置は、先ず、従来の白熱電球に比べて発光効率に優れている。日本国内においてはJIS Z8113によって光源効率(光源が発する全光束を、その光源の消費電力で除した値)が規定されており、上記のような発光装置はその光源効率が非常に高い。さらに、蛍光灯に比べて水銀等の環境有害物質を含まない等、種々の利点を有している。
【0003】
このうち、半導体発光素子として青色で発光する発光ダイオード(LED;Light Emitting Diode)を用い、黄色に発光する蛍光体とを組み合わせた白色LEDは、発光効率でも蛍光灯を上回るようなものも開発され、明るさ、効率、コスト等の面で最も実用化が進んでいるといってよい。
【0004】
ただし、白色LEDは輝度(単位:cd/mm)をより一層向上させることが難しいという側面がある。単なる明るさの向上であれば複数の白色LEDを並べることにより実現できる。しかし、輝度は単位面積当たりの光度であることから、前述した複数光源の足し合わせでは輝度を向上させることができない。
【0005】
したがって、輝度向上のためには、単位面積当たりの光度を増加させるべく、1素子あたりの投入電力をより高めなければならない。しかし、LED素子自体の発熱の問題もあって、現状は既に限界に近い。
【0006】
そうした中、半導体レーザを光源に使用し、そのレーザ光の照射により蛍光体を高輝度で発光させるという白色LD(Laser Diode)の取り組みもある。(例えば、非特許文献1を参照)。
【0007】
輝度は、一般に、遠方を照らす必要がある車両用前照灯(ヘッドランプ)やプロジェクターといった照明装置に搭載される光源等において、最も重要なパラメータとなる。高輝度の光源を用いることによって、ヘッドランプやプロジェクターを構成する光学系の大きさをより小さくすることができるためである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】応用物理 第74巻第11号(2005)pp.1423−1432
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の発光装置である白色LEDや白色LDを、このようなヘッドランプやプロジェクターに適した光源として用いることは困難であった。従来の白色LEDや白色LDでは、次に述べるように、高輝度と高光束とを両立できないという課題があったからである。
【0010】
すなわち、白色LEDでは1素子当たりの光束は100lm(ルーメン)を超えるようなものが既に市販されており、それを複数個集積することにより、更に大きな光束を得ることが可能である。しかし、前述した通り、輝度に関しては、これ以上向上させることはかなりの困難を伴う。
【0011】
一方、白色LDは、高輝度化は実現できているが1素子から照射することのできる光束が高々100lm程度であり、例えばヘッドランプ用に実用化されているハロゲンランプやHIDランプが照射可能な光束値(数100lm〜1500lm程度)に遠く及ばなかった。
【0012】
上記課題に鑑み、本発明は、高輝度かつ高光束で発光が可能な光源を実現することができる発光装置並びに、当該発光装置を備えた照明装置および車両用前照灯を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明に係る発光装置は、レーザ光を出射するレーザ光源と、前記レーザ光源から出射されたレーザ光が照射される被照射面を有し、当該被照射面上におけるレーザ光の照射により発光する発光部とを備え、前記発光部の被照射面上におけるレーザ光のパワー密度は、0.1W/mm以上、100W/mm以下である。
【0014】
上記の発光装置では、発光部の被照射面上におけるレーザ光のパワー密度が0.1W/mm以上、100W/mm以下であるので、発光部を劣化させることなく、発光部による発光を高パワーで行うことができるので、高輝度、かつ、高光束で発光可能な発光装置を実現することができる。
【0015】
ここで、「パワー密度」とは、レーザ光源から出射し、発光部に照射されるレーザ光の出力を発光部の被照射面積で除した値のことである。
【0016】
なお、発光部の発光効率が50%程度しかなかった場合、上記の「0.1W/mm以上」は、1W/mm以上であることが好ましい。
【0017】
例えば、レーザ光源の出力が例えば1Wあったとしても、発光部の発光効率が50%程度であれば、発光部による発光の出力は0.5Wにしかならない。発光部による発光出力が0.5Wしかないと、発光部から放出される全光束は、ヘッドランプやプロジェクターに適した光源に必要な100lmを超えることはできない。このため、上記の場合には、発光部の被照射面上におけるレーザ光のパワー密度が1.0W/mm以上であることが必要となる。
【0018】
前記レーザ光源は、レーザ光を出射する出射端面を有し、前記出射端面は、ドライエアに接触していることが好ましい。
【0019】
この場合、レーザ光源の出射端面がドライエアに接触しているため、高出力のレーザ光を出射させても、レーザ光源の駆動電圧が安定し、高出力のレーザ光が出射可能となる。
【0020】
前記レーザ光源を収納すると共に、前記レーザ光源から出射されたレーザ光を前記発光部の被照射面に照射させる筐体をさらに備え、前記筐体の内部は、ドライエアにより封止されていることが好ましい。
【0021】
この場合、レーザ光源がドライエアにより封止された筐体内に収納されているので、レーザ光源が長期にわたって高出力のレーザ光を安定して出射することが可能となる。
【0022】
前記発光部は、蛍光体保持部材と、前記蛍光体保持部材に分散されており、レーザ光が照射されることにより発光する蛍光体と、からなることが好ましく、前記蛍光体は、CASN:Eu、SCASN:Eu、Caα−SiAlON:Ce、β−SiAlON:Eu、JEMのうちの少なくとも1つである酸窒化物蛍光体、または、半導体ナノ粒子蛍光体であることが好ましい。
【0023】
この場合、高いパワー密度のレーザ光に対して高い発光効率と信頼性を維持できるようになり、高輝度、かつ、高光束な発光装置を実現することができる。
【0024】
なお、CASN:Euとは、CaAlSiN:Euのことであり、SCASN:Euとは、SrCaAlSiN:Euのことであり、JEMとは、LaSiAlON:Ceのことであって、「Ca」はカルシウムを、「Si」はケイ素を、「Al」はアルミニウムを、「O」は酸素を、「N」は窒素を、「Ce」はセリウムを、「Eu」はユウロピウムを示す。また、α−SiAlON、β−SiAlONの「α−」、「β−」は、結晶構造の違いを表し、それぞれ低温安定相α型と、高温安定相β型を示す。
【0025】
前記蛍光体保持部材は、有機高分子部材からなり、前記発光部の被照射面上におけるレーザ光のパワー密度は、0.1W/mm以上、10W/mm以下であることが好ましい。
【0026】
この場合、蛍光体保持部材に有機高分子部材を用いることにより、蛍光体保持部材でのレーザ光の吸収損失を低下させることができる。その結果、発光部の発光効率が向上する。
【0027】
ただし、発光部の被照射面上におけるレーザ光のパワー密度は、発光部の蛍光体保持部材である有機高分子部材の耐熱性の観点から、その上限値として10W/mm以下であることが好ましい。
【0028】
また、蛍光体保持部材に有機高分子部材を用いた場合、次のような効果も得ることができる。
【0029】
有機高分子部材は常温で液体状であるものが多く、比較的低温(例えば、100〜250℃)で加熱するだけで硬化する。このため、蛍光体保持部材の硬化に用いる金型に高耐熱性が不要となり、金型に利用できる材料の幅が広がる。このため、金型を任意の形状に作製できるので、多種多様な形状を持つ発光部を作製することができる。
【0030】
なお、たとえば、低温焼成タイプのシリコーン樹脂であれば100℃、通常のシリコーン樹脂であれば150〜180℃程度、有機無機ハイブリッド材料であれば150〜250℃程度の温度によって、それぞれ硬化させることができる。
【0031】
また、蛍光体保持部材にガラスを用いた場合であれば、その流動性を出すために少なくとも400〜500℃程度の高温でガラスを加熱する高温プロセスが必須となる。高温プロセスの存在は、発光部を製造する上でその作業効率を大きく低下させる要因となる。これに対し、蛍光体保持部材に有機高分子部材を用いれば、このような高温プロセスは不要となり、発光部の製造プロセスの作業効率を向上させ、ひいては発光部の製造コストを低減することができる。
【0032】
前記有機高分子部材は、主鎖がシロキ酸結合しており、側鎖が有機基の化学構造を有することが好ましい。
【0033】
この場合、高いパワー密度のレーザ光に対して耐性が強くなり、高い信頼性を有する高輝度、かつ、高光束な発光装置を実現することができる。
【0034】
前記有機高分子部材は、側鎖がメチル基(CH−)のシリコーン樹脂であることが好ましい。
【0035】
この場合、可視光波長域に特異な吸収がないシリコーン樹脂を有機高分子部材として使用することで、発光部のより高い信頼性を得ることができる。
【0036】
前記ドライエアの露点温度は、−30℃以下であることが好ましい。
【0037】
この場合、露点温度が−30℃以下のドライエアを用いることで、レーザ光源の動作時信頼性を向上させることができる。具体的には、レーザ光源の動作電圧変動が抑制でき、長期間にわたって安定した励起光を出力させることができる。
【0038】
前記筐体は、前記レーザ光源から出射されたレーザ光を透過させるための透過部を有し、前記透過部は、有機高分子部材からなることが好ましい。
【0039】
この場合、レーザ光が透過部を透過する際、レーザ光のパワー損失を低減することができる。その結果、より発光効率のよい高輝度、かつ、高光束の発光装置を実現することができる。
【0040】
前記レーザ光源の発振波長は、400nm以上、420nm以下であることが好ましい。
【0041】
この場合、400nm以上、420nm以下のレーザ光を使用しているので、レーザ光が発光部で別の波長の光に変換されず、発光部の外部に放射された場合でも、400nmよりも短い光で発現する皮膚障害の発生がなく、また、視感度が低い420nm以下であることにより、発光部からの発光に対して演色性を損ねることが少ない。また、前記酸窒化物蛍光体として上述した酸窒化物蛍光体群(CASN:Eu、SCASN:Eu、Caα−SiAlON:Ce、β−SiAlON:Eu、JEM)を用いた場合、酸窒化物蛍光体群に対し高い吸収率を持つため、高効率な高輝度、かつ、高光束な発光装置を実現することができる。
【0042】
前記レーザ光源の発振波長は、440nm以上、470nm以下であることが好ましい。
【0043】
この場合、青色の波長域である440nm以上470nm以下のレーザ光で発光部に発光させるので、ストークスロス(励起波長−蛍光波長の差に起因するエネルギーロス)が少なくし、より高効率で発光部を発光させることができる。したがって、発光効率のよい高輝度、かつ、高光束な発光装置を実現することができる。
【0044】
本発明に係る照明装置は、上記の発光装置を光源として用いる。
【0045】
上記の照明装置が車両用前照灯の場合には、高輝度、かつ、高光度な発光装置を用いているので、従来のハロゲンランプやHIDランプを使用した前照灯に比べて、消費電力を削減することができる。さらに、高輝度であることから光学系を小型化でき、機器からの発熱の少なさの面からも小型化を進められることができる。その結果、従来の前照灯に比べてデザイン自由度が大幅に向上させることができる。
【0046】
また、上記の照明装置がプロジェクターである場合には、水銀ランプやキセノンランプを光源に用いた従来のプロジェクターに対して、より小型で、低消費電力、かつ、高輝度、高光束な発光装置を光源に使用しているので、プロジェクターのさらなる小型化、低消費電力化が実現できる。
【0047】
本発明に係る車両用前照灯は、上記の発光装置を光源として用いる。
【0048】
上記の車両用前照灯の場合には、高輝度、かつ、高光度な発光装置を用いているので、従来のハロゲンランプやHIDランプを使用した前照灯に比べて、消費電力を削減することができる。さらに、高輝度であることから光学系を小型化でき、機器からの発熱の少なさの面からも小型化を進められることができる。その結果、従来の前照灯に比べてデザイン自由度が大幅に向上させることができる。
【発明の効果】
【0049】
本発明に係る発光装置は、以上のように、レーザ光を出射するレーザ光源と、前記レーザ光源から出射されたレーザ光が照射される被照射面を有し、当該被照射面上におけるレーザ光の照射により発光する発光部とを備え、前記発光部の被照射面上におけるレーザ光のパワー密度は、0.1W/mm以上、100W/mm以下である構成である。
【0050】
それゆえ、高輝度かつ高光束で発光が可能な光源を実現することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施形態に係る発光装置の概略構成を示す側断面である。
【図2】本発明の一実施形態に係る発光装置のレーザ光源として用いられたGaN系半導体レーザの概略構造を示す断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る発光装置を用いた車両用前照灯の概略構成を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る発光装置を用いたプロジェクターの概略構成を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るレーザダウンライトが備える発光ユニットおよび従来のLEDダウンライトの外観を示す概略図である。
【図6】上記レーザダウンライトが設置された天井の断面図である。
【図7】上記レーザダウンライトの断面図である。
【図8】上記レーザダウンライトの設置方法の変更例を示す断面図である。
【図9】上記LEDダウンライトが設置された天井の断面図である。
【図10】上記レーザダウンライトおよび上記LEDダウンライトのスペックを比較するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付している。なお、以下で参照する各図は、説明の便宜上、本発明の実施の形態における構成部材のうち、本発明を説明するために必要な主要部材のみを簡略化して示したものである。したがって、本発明に係る発光装置及び照明装置は、本明細書が参照する各図に示されていない任意の構成部材を備え得る。また、各図中の部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
【0053】
〔実施の形態1〕
本発明の実施の一形態について図1および図2に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0054】
(発光装置10の構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る発光装置10の概略構成を示す側断面である。発光装置10は、図1に示すように、レーザ光源101と、ステムブロック102と、ステム103と、キャップ104と、キャップガラス(透過部)105と、発光部106と、電極リード線107aおよび107bと、を備えている。
【0055】
レーザ光源101は、レーザ光を出射するための劈開端面である前端面(出射端面)101aと、前端面101aの反対側に位置する劈開端面である後端面101bと、を有しており、前端面101aと後端面101bとは、レーザ発振するための共振器を構成している。この共振器の共振方向は、ステムブロック102の長手方向に一致している。
【0056】
レーザ光源101は、例えば単一波長帯域もしくは複数波長帯域の半導体レーザまたは半導体レーザ励起固体レーザを用いることができ、例えば公知のGaN(窒化ガリウム)系半導体レーザを用いることができる。レーザ光源101から出射されるレーザ光は、発光部106を励起するための励起光となる。
【0057】
レーザ光源101としてGaN系半導体レーザを用いた場合、405nm(青紫色)の波長により発振させ、10Wの出力パワーを持つレーザ光が出射可能である。なお、以下では、レーザ光源101としてGaN系半導体レーザを用いた場合を例として説明する。このGaN系半導体レーザの具体的な構造については、後述する。
【0058】
ステムブロック102およびステム103は、例えば銅等の導電性材料からなる。レーザ光源101は、ステムブロック102上に搭載されている。
【0059】
ステムブロック102は、レーザ光源101のステムブロック102側の主面に配置された下部電極(図示省略)と電気的に接続されている。そして、ステムブロック102とステム103とは一体に形成されており、レーザ光源101の上記の下部電極と電極リード線107aとは、ステムブロック102およびステム103を通して、電気的に接続されている。
【0060】
また、ステムブロック102とステム103とは一体に形成されていることから、レーザ光源101における発熱が、ステムブロック102を通して、ステム103から効率よく放熱されている。
【0061】
ステム103には挿入穴(図示省略)が設けられており、その挿入穴に電極リード線107aの一端が挿入されている。ステム103と電極リード線107aとは、電気的に接続されている。
【0062】
また、ステム103には貫通穴が設けられており、その貫通穴を通して電極リード線107bの一端がステム103を貫通している。ステム103と電極リード線107bとは、電気的に絶縁されている。このようなステム103と電極リード線107bとの電気的な絶縁状態は、ステム103と電極リード線107bとの間に例えば絶縁性樹脂108を挟み込むことにより実現することができる。
【0063】
キャップ104は、レーザ光源101およびレーザ光源101を搭載するステムブロック102を取り囲むように、ステム103上に配置されている。そして、キャップ104には、レーザ光源101から出射されるレーザ光を、キャップ104の外部に取り出すためのレーザ光出射口が設けられている。このレーザ光出射口は、レーザ光源101の前端面101aに対向するように形成されている。
【0064】
また、キャップ104は、ステム103およびキャップガラス105と共に、レーザ光源101およびステムブロック102を収納し、封止するための筐体を構成している。すなわち、レーザ光源101およびステムブロック102は、ステム103、キャップ104およびキャップガラス105によって封止された筐体内の空間Aに配置されることになる。
【0065】
さらに、この空間Aには、ドライエア(乾燥空気)が封入されている。そして、このドライエアの露点温度は−35℃である。
【0066】
キャップガラス105は、レーザ光源101の前端面101aに対向するように配置されている。そして、キャップガラス105は、キャップ104のレーザ光出射口を塞いでいる。キャップガラス105は、レーザ光源101の前端面101aから出射されるレーザ光を透過させており、キャップガラス105を透過したレーザ光が発光部106を照射する。
【0067】
キャップガラス105は、レーザ光源101から出射されるレーザ光を透過するものであり、例えば公知のレーザ光を透過させる石英等を用いることができる。
【0068】
電極リード線107aは、ステム103と電気的に接続されたグランド用電極である。電極リード線107aの一端がステム103に挿入されている。一方、電極リード線107bは、レーザ光源101のステムブロック102側とは反対側の主面上に配置された上部電極(図示省略)と電気的に接続された半導体レーザ駆動用電極である。電極リード線107bの一端は、ステム103と絶縁されながら、ステム103を貫通し、空間A内に突出している。そして、電極リード線107bの一端とレーザ光源101の上部電極とは、例えばAuワイヤー109を通して電気的に接続されている。
【0069】
電極リード線107aおよび電極リード線107bの各々の他端は共に、例えばレーザ駆動回路110に接続されている。レーザ駆動回路110は、電極リード線107aと電極リード線107bとの間に連続的に、あるいは、間欠的に、所定の電位差を印加することで、レーザ光源101の上部電極と下部電極との間に、レーザ光源101を駆動するための駆動電流を注入する。
【0070】
発光部106は、キャップガラス105上に配置されている。発光部106は、レーザ光源101の前端面101aと対向し、レーザ光源101から出射されるレーザ光が照射される、発光部106の底部に位置する被照射面を有している。
【0071】
また、発光部106は、被照射面にレーザ光が照射されることで発光するものであり、レーザ光を受けて発光する蛍光体を含んでいる。具体的には、発光部106は、例えばシリコーン樹脂からなる蛍光体保持物質(蛍光体保持部材)106aの内部に蛍光体106bが分散されているものである。蛍光体保持物質106aと蛍光体106bとの割合は、10:1程度である。また、発光部106は、蛍光体106bを押し固めたものであってもよい。蛍光体保持物質106aは、シリコーン樹脂に限定されず、ガラスであってもよい。
【0072】
蛍光体106bは、酸窒化物系のものであり、青色、緑色および赤色の蛍光体を含み、蛍光体保持物質106aに分散されている。レーザ光源101にGaN系半導体レーザを用いた場合であれば、405nm(青紫色)のレーザ光を発振するため、発光部106に当該レーザ光が照射されると白色光が発生する。それゆえ、発光部106は、波長変換材料であるといえる。
【0073】
なお、レーザ光源101は、450nm(青色)のレーザ光(または、440nm以上490nm以下の波長範囲にピーク波長を有する、いわゆる「青色」近傍のレーザ光)を発振するものでもよく、この場合には、蛍光体106bは、黄色の蛍光体、または緑色の蛍光体と赤色の蛍光体との混合物である。黄色の蛍光体とは、560nm以上590nm以下の波長範囲にピーク波長を有する光を発する蛍光体である。緑色の蛍光体とは、510nm以上560nm以下の波長範囲にピーク波長を有する光を発する蛍光体である。赤色の蛍光体とは、600nm以上680nm以下の波長範囲にピーク波長を有する光を発する蛍光体である。
【0074】
蛍光体106bは、サイアロン蛍光体と通称されるものが好ましい。サイアロンとは、窒化ケイ素のシリコン原子の一部がアルミニウム原子に、窒素原子の一部が酸素原子に置換された物質である。サイアロン蛍光体は、窒化ケイ素(Si)にアルミナ(Al)、シリカ(SiO)および希土類元素等を固溶させて作ることができる。
【0075】
蛍光体106bの別の好適な例としては、III−V族化合物半導体のナノメータサイズの粒子を用いた半導体ナノ粒子蛍光体を用いることもできる。同一の化合物半導体(例えばインジュウムリン:InP)を用いても、その粒子径を変更させることにより、量子サイズ効果によって発光色を変化させることができることが半導体ナノ粒子蛍光体の特徴の一つである(例えばInPでは、粒子サイズが3〜4nm程度のときに赤色に発光する。ここで、粒子サイズは透過型電子顕微鏡(TEM)にて評価した。)。
【0076】
また、この半導体ナノ粒子蛍光体は半導体ベースであるので蛍光寿命が短く、励起光のパワーを素早く蛍光として放射できるのでハイパワーの励起光に対して耐性が強いという特徴もある。これは、半導体ナノ粒子蛍光体の発光寿命が10ナノ秒程度と、希土類を発光中心とする通常の蛍光体材料に比べて5桁も小さいためである。発光寿命が短いため、励起光の吸収と蛍光の発光とを素早く繰り返すことができる。その結果、強い励起光に対して高効率を保つことができ、蛍光体からの発熱が低減される。よって、光変換部材が熱により劣化(変色や変形)するのをより抑制することができる。これにより、光の出力が高い発光素子を光源として用いる場合に、発光装置の寿命が短くなるのをより抑制することができる。
【0077】
例えば、発光部106は、有機高分子部材であるシリコーン樹脂(信越化学製X32−2712−A/B)に、Caα−SiAlON:Ce蛍光体とCASN:Eu蛍光体とを3:1に分散させ、加熱硬化、成型してなるものを用いることができる。
【0078】
このCaα−SiAlON:Ce蛍光体は、405nm付近の波長を有する光で励起され、青緑色の蛍光を示す蛍光体である。また、CASN:Eu蛍光体は、同じく、405nm付近の波長を有する光で励起され、赤色の蛍光を示す蛍光体である。これら2つの蛍光体を上記の割合で配合し、分散させた発光部106は、GaN系半導体レーザであるレーザ光源101から出射されるレーザ光により励起され、白色に発光する。
【0079】
レーザ光源101の前端面101aから出射されるレーザ光は、キャップガラス105を透過して、発光部106の底部に位置する被照射面に照射されている。
【0080】
ここで、キャップ104のステム103からの高さを2.5mmと設定した場合、レーザ光源101の前端面101aから発光部106の被照射面に照射されるレーザ光の出力パワーの密度(W/mm)は、発光部106の被照射面上において、0.1W/mm以上、10W/mm以下となっている。
【0081】
このとき、レーザ光源101の前端面101aから発光部106の被照射面までの距離Bは1.0mmであり、発光部106の被照射面上におけるレーザ光のパワー密度は5W/mmであった。
【0082】
また、レーザ駆動回路110からレーザ光源101に投入される投入電力が35Wの時、レーザ光源101から10Wのレーザ光が出力され、その時の発光部106から放出される白色の全光束は1800lm、輝度は100cd/mmであった。また、平均演色評価数Raは94、赤色に関する特殊演色評価数R9は95であった。
【0083】
レーザ光源101は、ドライエアが封入されている空間A内に保持されているので、長期にわたって高出力のレーザ光を安定して出射することが可能となる。上述したように、本実施の形態では、−35℃の露点温度を持つドライエアを用いたが、露点温度が−30℃以下のドライエアであれば、レーザ光源101としてGaN系半導体レーザを用いた場合でも、長期間、高出力で安定動作させることが可能である。
【0084】
また、発光部106の蛍光体保持物質106a中に分散された蛍光体106bである酸窒化物蛍光体の母材であるSiAlON(サイアロン)は、超硬質セラミック材料として知られている。本実施の形態では、これ利用して蛍光体材料化した酸窒化物蛍光体を発光部106に用いているため、発光部106の被照射面上において、0.1W/mm以上、10W/mm以下というパワー密度を持つ、非常に高出力なレーザ光で励起しても、発光部106が劣化することがない。このことによって、ハロゲンランプの寿命を大幅に超える数1000時間に渡って、高輝度と高光束が維持できる発光装置10を実現することができる。
【0085】
発光部106の被照射面上におけるパワー密度が0.1W/mmに満たないレーザ光で発光部106を励起した場合、20cd/mmを超える高輝度発光を実現することができない。
【0086】
なぜなら、ハロゲンランプと同程度の輝度(20cd/mm)、あるいはそれ以上の輝度を実現するには、発光部106の被照射面上におけるパワー密度が0.1W/mm以上必要となるからである。
【0087】
なお、レーザ光を集光する等により、発光部106の被照射面上におけるレーザ光のパワー密度を0.1W/mm以上とすることは可能である。しかしながら、レーザ光のパワー自体が小さいと(例えば0.5W以下)、発光部106から放出される全光束を100lm以上とすることができない。したがって、高光束を実現するためには発光部106の被照射面上におけるレーザ光のパワーとしては、0.5W以上であることが好ましい。
【0088】
一方、発光部106の被照射面上におけるパワー密度が10W/mmを超えるようなレーザ光で発光部106を長時間励起し続けた場合、発光部106を構成する蛍光体保持物質106aである有機高分子部材が分解・燃焼してしまうことがある。このため、発光部106の被照射面上におけるパワー密度を10W/mm以下とし、蛍光体保持物質106aである有機高分子部材の分解・燃焼を防止している。
【0089】
なお、蛍光体保持物質106aに、上で述べたようなシリコーン樹脂等の有機高分子部材に代えて、ガラス等の無機部材を用いてもよい。ガラス等の無機部材は、有機高分子部材よりも高い耐熱性を持っている。この場合、蛍光体保持物質106aである無機部材の劣化等を防止するには、発光部106の被照射面上におけるパワー密度を100W/mm以下とすればよい。
【0090】
本実施の形態では、酸窒化物蛍光体材料としてCaα−SiAlON:Ce蛍光体とCASN:Eu蛍光体を用いたが、それ以外に、SCASN:Eu蛍光体、β−SiAlON:Eu蛍光体、JEM蛍光体を用いた場合においても高出力なレーザ光に対する高い信頼性が実現できる。例えば、青色に発光するJEM蛍光体と、緑色のβ−SiAlON:Eu蛍光体、赤色のCASN蛍光体を組み合わせて、RGB三原色の発光を高輝度・高光束で実現させることもできる。このとき、β―SiAlON:Eu蛍光体に代えてCaα−SiAlON:Ce蛍光体を用いることもできる。
【0091】
また、これらの蛍光体を分散させる有機高分子部材としては、その主鎖がシロキ酸結合しており、その側鎖が有機基の化学構造を有しているものを用いると、高出力のレーザ光に対する耐性がより高くなる。
【0092】
特に、側鎖がメチル基(CH−)のシリコーン樹脂を用いると、可視光波長域に特異な吸収がないために高い信頼性を実現できるようになる。本実施の形態でも、酸窒化物蛍光体を分散させる有機高分子部材にはシリコーン樹脂を用いている。
【0093】
本実施の形態の変形例として、キャップガラス105に代えて、酸窒化物蛍光体を分散させた有機高分子部材を用いることができる。この場合、キャップガラス105によるレーザ光(励起光)の吸収損失が無くなるので、さらに発光効率のよい高輝度、高光束な発光装置を実現することができる。
【0094】
なお、この際には、封入したドライエアが逃げないよう、また外部から水分の浸入が無いよう、有機高分子部材の材料としては、ガス・水分を透過しにくいものを選択することが重要である。
【0095】
本実施の形態では、レーザ光源101として、発振波長が405nmのGaN系半導体レーザを用いたが、発光部106の励起光源としては、発振波長が400nm以上、420nm以下のGaN系半導体レーザを用いることが好ましい。
【0096】
半導体レーザ光源は、非常に鋭い単一波長で発振するので、400nm以上で発振させることによって、皮膚障害の原因となるUV−A光(〜400nm)を含まないようにすることができる。また、420nm以下で発振させることによって、この波長域は視感度が非常に低いので、演色性に悪影響を与えにくい。さらに、この波長域において、前述の酸窒化物蛍光体は高い吸収率を持つというメリットもある。
【0097】
また、GaN系半導体レーザの発振波長は、440nm以上、470nm以下であってもよい。
【0098】
青色の波長域である440nm以上470nm以下の励起光で蛍光体を励起させることによって、前述した400nm以上420nm以下の励起光に比べてストークスロス(励起波長−蛍光波長の差に起因するエネルギーロス)を少なくできる。したがって、より高効率で蛍光体を発光させることができるため、発光効率のよい高輝度、かつ、高光束な発光装置を実現することができる。
【0099】
(GaN系半導体レーザ20の具体的な構造)
次に、図1のレーザ光源101として用いられるGaN系半導体レーザ20の具体的な構造について説明する。図2は、このGaN系半導体レーザ20の概略構造を示す断面図である。なお、図2は、図1の発光装置10の設置されたレーザ光源101の前端面101a側から見た時における、GaN系半導体レーザ20が持つ1つのリッジストライプ部の概略構成を示す断面図である。GaN系半導体レーザ20は、このようなリッジストライプを10個有するアレイ型の構造を有している。
【0100】
このGaN系半導体レーザ20に用いられる「窒化物半導体層」はAlGaInN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z=1)の式で表される窒化物半導体結晶を含む。ここで、「Al」はアルミニウムを、「Ga」はガリウムを、「In」はインジウムを、「N」は窒素を示す。また、「x」はアルミニウムの含有比率を、「y」はガリウムの含有比率を、「z」はインジウムの含有比率を示す。また、窒化物半導体層を構成する窒化物半導体結晶が六方晶である場合には、窒化物半導体層中の窒素元素のうち、10%以下の窒素元素が砒素、リンおよびアンチモンのうち少なくとも1種の元素に置換されていてもよい。
【0101】
さらに、以下において、AlGaN(0<x<1、0<y<1、x+y=1)の式で表される窒化物半導体結晶からなる窒化物半導体層を「AlGaN層」と略記する。また、窒化物半導体層には、例えば、ケイ素、酸素、塩素、硫黄、セレン、炭素、ゲルマニウム、亜鉛、カドミウム、マグネシウムおよびベリリウムのうち、少なくとも1種がドーピングされることで、窒化物半導体層がp型またはn型のいずれかの導電型を有するものとしてもよい。特に、p型不純物としては、マグネシウムを用いるものがよい。このような窒化物半導体結晶からなる窒化物半導体層を備えたGaN系半導体レーザ20の一構成例を図2の断面図を参照して説明する。
【0102】
GaN系半導体レーザ20は、n型GaN基板201の表面上には、厚さ0.5μmのn型GaN層202と、厚さ2μmのn型Al0.05Ga0.95N下部クラッド層203と、厚さ0.1μmのn型GaNガイド層204と、厚さ20nmのGaN下部隣接層205と、アンドープのIn0.15Ga0.85N井戸層(厚さ:4nm)とアンドープのGaN障壁層(厚さ:8nm)とが積層された活性層206と、厚さ50nmのGaN上部隣接層207と、厚さ20nmのp型Al0.2Ga0.8N層208と、厚さ0.6μmのp型Al0.1Ga0.9N上部クラッド層209と、0.1μmのp型GaNコンタクト層210と、がこの順で形成されている。
【0103】
そして、p型GaNコンタクト層210及び絶縁層212上には、p側電極213が形成されている。このp側電極213は、図1のレーザ光源101の上部電極に相当するものである。一方、n型GaN基板201の裏面上には、n側電極211が形成されている。このn側電極211は、図1のレーザ光源101の下部電極に相当するものである。
【0104】
このようにして各層が積層されたGaN系半導体レーザ20では、上部クラッド層209とコンタクト層210は、共振器方向に延伸したストライプ状に形成されており、リッジストライプ型導波路を構成している。この上部クラッド層209とコンタクト層210におけるストライプ状に形成された部分を、以下「リッジストライプ」とする。
【0105】
そして、上部クラッド層209とコンタクト層210におけるリッジストライプ以外の部分は、絶縁層212で埋め込まれ、電流狭窄を実現している。本実施形態では、上部クラッド層209とコンタクト層210におけるリッジストライプの幅を約7.0μmとし、GaN系半導体レーザ20の共振器長は600μmとした。
【0106】
このリッジストライプを備えたGaN系半導体レーザ20の前端面に、アルミナによるARコーティングを施すとともに、後端面に、アルミナとチタニアの交互積層膜によるHRコーティングを施す。なお、前記のように積層された各層において、p型の層にはpドープ不純物としてマグネシウム(Mg)が1×1019〜1×1020cm−3濃度で含有されている。このマグネシウムの含有量は、例えば、上部クラッド層209とコンタクト層210において、4×1019cm−3である。
【0107】
また、活性層206は、アンドープのIn0.15Ga0.85N井戸層(厚さ:4nm)とアンドープのGaN障壁層(厚さ:8nm)とが、井戸層、障壁層、井戸層、障壁層、井戸層の順で形成された多重量子井戸構造(井戸数3)である。この活性層206を構成する井戸層および障壁層をこのように構成することで、障壁層は井戸層よりもバンドギャップエネルギーが大きくなるような組成とする。
【0108】
また、p側電極213は、p型GaNコンタクト層210に接する側から順番に積層された第1層214(Pd/Mo層)、第2層215(バリア層)、第3層216(パッド)の3層からなる。ここで、第2層215および第3層216は、絶縁層212上にも形成される。バリア層となる第2層215は、絶縁層212に対して密着性がよいことが好ましい。また、第1層214の内のPd層は、p型窒化物半導体にオーミック接触するための層である。このp側電極213を構成する第1層214、第2層215および第3層216は、電子ビーム(EB)真空蒸着法の他、高周波スパッタリング法等の成膜法によって形成される。
【0109】
このような構成のGaN系半導体レーザ20は、公知の窒化物半導体の結晶成長方法で作製できる。すなわち、各窒化物半導体層は、有機金属気相成長法(MOCVD法:Metal Organic Chemical Vapor Deposition method)により積層され、ドライエッチングを用いたエッチング処理により、上部クラッド層209とコンタクト層210におけるリッジストライプ構造が形成される。このように窒化物半導体層を積層する際の窒化物半導体結晶の成長方法としてMOCVD法を用いた場合、キャリアガスやV族原料ガスに水素が含まれるため、窒化物半導体結晶内にも水素が取り込まれる。
【0110】
それに対して、窒化物半導体結晶の成長方法として分子ビームエピタキシ法(MBE法:Molecular Beam Epitaxy method)が用いられることもあるが、この場合もV族原料としてアンモニア等が使用されると、やはり窒化物半導体結晶内に水素が取り込まれる。
【0111】
また、GaN系半導体レーザ20の発振波長は、400nm以上410nm以下とした。
【0112】
なお、図2の構成のGaN系半導体レーザ20は一例であって、各窒化物半導体層の膜厚、リッジストライプの幅、リッジストライプの数、および共振器長について前述の値に限られるものではない。また、例えば、p型GaNコンタクト層210を省略して、上部クラッド層209がコンタクト層を兼ねるようにしてもよい。また、活性層206を構成する井戸層および障壁層を、InGa1−xN(0≦x<1)、AlGa1−xN(0≦x<1)、InGaAlN、GaN1−xAs(0<x<1)、GaN1−x(0<x<1)、またはこれらの化合物等の窒化物半導体で形成するものとしてもよい。また、発振閾値を引き下げる目的から、GaN系半導体レーザ20の活性層の井戸数は2〜4の多重量子井戸構造(MQW(Multiple Quantum Well)構造)とすることが好ましいが、単一量子井戸構造(SQW(Single Quantum Well)構造)としてもよい。この場合、前述した構成例における井戸層に挟まれる障壁層は存在しない。
【0113】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施形態について図3に基づいて説明すれば、以下のとおりである。本実施の形態は、上記の実施の形態1の発光装置を用いた照明装置の具体例である車両用前照灯に係る実施の形態である。図3は、本実施の形態に係る車両用前照灯30の概略構成を示す図である。
【0114】
車両用前照灯30は、上記の実施の形態1の発光装置301と、発光装置301から放射される白色光を反射するための反射鏡302と、投影レンズ303と、発光装置301を固定するための支持体304と、すれ違いビーム用のカットラインを形成するための遮光板305と、を備えている。
【0115】
反射鏡302は、発光装置301の発光部106から出射した光を反射することにより、車両用前照灯30の前方に向かわせる。この反射鏡302は、例えば、金属薄膜がその表面に形成された曲面形状(カップ形状)の部材である。
【0116】
発光装置301の発光部106の蛍光体106bには、上記の実施の形態1で使用したCaα−SiAlON:Ce蛍光体とCASN:Eu蛍光体を用いている。この2つの蛍光体を組み合わせた発光部106は、上記の実施の形態1で説明したように、演色性が非常に優れており、夜間走行時の道路標識や路上の対象物の識別性をより高めることができる。
【0117】
また、車両用前照灯30は、高輝度と高光束を両立しているために前照灯を構成する光学系である反射鏡302や投影レンズ303の大きさ(光学系実効面積:前方から見た時の光学系の大きさ)を小さくできるというメリットがある。具体的には、車両用前照灯30では、前方から見た時の投影レンズ(円形)303の直径は20mmであって、その時の光度はロービーム用前照灯として十分な値である20000cdである。
【0118】
車両用前照灯30の発光装置301の輝度は100cd/mm、光束が1800lmであるので、反射鏡302と投影レンズ303でのロス(35%)を勘案しても、前述のように非常に小さな光学系でありながら明るい車両用前照灯が得られた。
【0119】
なお、本実施の形態の車両用前照灯30をハイビーム用前照灯として用いることももちろん可能である。ハイビームとして必要十分とされる100000cdを得るのに必要な光学系実効面積から求めた投影レンズ径は44mmである。
【0120】
このように、車両用前照灯30は、従来の車両用前照灯に比べてより小型化が図れ、かつ低消費電力、高演色性であるという特徴を有する。
【0121】
同じ程度の高輝度・高光束を有するHIDランプでは、点灯後しばらくしないと最大光度にならないという欠点がある。それに対し、本実施の形態の車両用前照灯では、点灯直後から最大光度が得られ、消灯・再点灯も瞬時に行えるという特徴も有する。これは夜間の前照灯点灯直後や、トンネル等に突入直後の視認性を多いに向上できるというメリットがある。
【0122】
〔実施の形態3〕
本発明の他の実施形態について図4に基づいて説明すれば、以下のとおりである。本実施の形態は、上記の実施の形態1の発光装置を用いた照明装置の具体例であるプロジェクターに係る実施の形態である。図4は、本実施の形態に係るプロジェクター40の概略構成を示す図である。
【0123】
プロジェクター40は、発光装置401と、集光レンズ404と、反射鏡405と、集光レンズ406と、偏光板408、液晶パネル409及び偏光板410からなる表示パネル407と、液晶パネル409を駆動する液晶駆動回路411と、凸レンズ413、凹レンズ414及び凸レンズ415からなる投射レンズ412と、を備えている。
【0124】
ここで、本実施の形態の発光装置401と上記の実施の形態1の発光装置10とは、以下の点が異なっている。すなわち、発光装置401では、上記の実施の形態1とは異なり、レーザ光源を収納する筐体402と発光部403との間のレーザ光の光路上に集光レンズ404が配置されている。
【0125】
発光部403は、反射鏡405の焦点位置に保持されており、発光部403の秘照射面におけるレーザ光のパワー密度が1W/mmとなるような焦点距離の集光レンズ404を選択、設置している。
【0126】
さらに、発光部403の蛍光体は、青色の蛍光を発するJEM蛍光体と、鋭いピーク(狭い半値幅)の緑色の蛍光を発するβ−SiAlON:Eu蛍光体と、赤色の蛍光を発するCASN:Eu蛍光体とが分散されている。
【0127】
ここで用いた緑色蛍光体であるβ−SiAlON:Eu蛍光体は、発光ピークにおける半値幅が45nmである。このことによって、プロジェクターの色再現域を広げることに貢献している。
【0128】
このような構成により、発光装置401は消費電力35Wで、輝度80cd/mm、全光束1600lmを実現し、画像表示装置の色再現性を表す指標として一般的に用いられるNTSC比でも、95%以上とすることができた。
【0129】
プロジェクター40は、光源部分が超小型で低消費電力なため、水銀ランプやキセノンランプを光源に用いた従来のプロジェクターに対して、圧倒的に小型で、低消費電力とすることができた。低消費電力であるために、機器からの発熱も大幅に低減され、その結果として不快な騒音を発する大きな放熱ファンが不要となり、プロジェクターの商品性が向上するというメリットもある。
【0130】
さらに、高輝度、高光束な発光装置を光源として使用しているので、超小型でありながら明るい空間でも十分に実用的なプロジェクター40を実現することができる。
【0131】
なお、本実施の形態においても、発光装置401のGaN系半導体レーザとして、発振波長が440nm以上、470nm以下のものを用いることができる。このとき、JEM蛍光体を用いず、緑色および赤色の蛍光体粒子によって散乱され、非コヒーレント光化されたGaN系半導体レーザからの青色光をプロジェクションとして用いる。
【0132】
このような構成とすることによって、発光ピークにおける半値幅が狭いβ−SiAlON:Eu蛍光体に加えて、青色光も単色(単一波長)化できるので、プロジェクターの色再現域を更に広げることができるようになる。
【0133】
なお、本実施の形態においては、液晶パネルと偏光板を用いたプロジェクターの構成例を開示したが、本発明は、もちろんこれに限定されるものではない。例えば、DMD(Digital Micromirror Device)を用いたDLP(Digital Light Processing)方式の投射型プロジェクターの光源にも好適に使用することができる。
【0134】
〔実施の形態4〕
本発明の他の実施形態について図5〜図10に基づいて説明すれば、以下のとおりである。本実施の形態は、上記の実施の形態1の発光装置を用いた照明装置の具体例であるレーザダウンライトに係る実施の形態である。図7は、本実施の形態に係るレーザダウンライト500の断面図である。
【0135】
図7に示すように、レーザダウンライト500は、家屋、乗物などの構造物の天井に設置される照明装置であり、レーザ光源521から出射したレーザ光を発光部513に照射することによって発生する蛍光を照明光として用いるものである。
【0136】
なお、レーザダウンライト500と同様の構成を有する照明装置を、構造物の側壁または床に設置してもよく、上記照明装置の設置場所は特に限定されない。
【0137】
図5は、発光ユニット510および従来のLEDダウンライト600の外観を示す概略図である。図6は、レーザダウンライト500が設置された天井の断面図である。図5〜図7に示すように、レーザダウンライト500は、天板700に埋設され、照明光を出射する発光ユニット510と、光ファイバー523を介して発光ユニット510へレーザ光を供給するLD光源ユニット520とを含んでいる。
【0138】
LD光源ユニット520は、天井には設置されておらず、ユーザが容易に触れることができる位置(例えば、家屋の側壁)に設置されている。このようにLD光源ユニット520の位置を自由に決定できるのは、LD光源ユニット520と発光ユニット510とが光ファイバー523によって接続されているからである。この光ファイバー523は、天板700と断熱材701との間の隙間に配置されている。光ファイバー523は、その一方の端部である入射端部がLD光源ユニット520側に配置され、その他方の端部である出射端部が発光ユニット510側に配置されている。
【0139】
(発光ユニット510の構成)
発光ユニット510は、図7に示すように、筐体511、光ファイバー523、発光部513および透光板514を備えている。
【0140】
筐体511には、凹部512が形成されており、この凹部512の底面に発光部513が配置されている。凹部512の表面には、金属薄膜が形成されており、凹部512は反射鏡として機能する。
【0141】
また、筐体511には、光ファイバー523を通すための通路515が形成されており、この通路515を通って光ファイバー523が発光部513まで延びている。光ファイバー523の出射端部から出射されるレーザ光が持つ、発光部513の被照射面上におけるパワー密度は、上記の実施の形態1で述べた値と同様である。
【0142】
透光板514は、凹部512の開口部をふさぐように配置された透明または半透明の板である。この透光板514は、キャップガラス105と同様の機能を有するものであり、発光部513の蛍光は、透光板514を透して照明光として出射される。透光板514は、筐体511に対して取外し可能であってもよく、省略されてもよい。
【0143】
透光板514は、凹部512の開口部を塞ぐように配置された透明または半透明の板である。この透光板514は、レーザ光源521が発する光の外部への進路方向に設けられており、レーザ光源521からのレーザ光を遮断するとともに、発光部513においてレーザ光を変換することにより生成された白色光(インコヒーレントな光)を透過する材質で形成することが好ましい。
【0144】
発光部513によって、コヒーレントなレーザ光はそのほとんどがインコヒーレントな白色光に変換される。しかし、何らかの原因でレーザ光の一部が変換されない場合も考えられる。このような場合でも、透光板514によってレーザ光を遮断することにより、レーザ光が外部に漏れることを防止できる。
【0145】
図5では、発光ユニット510は、円形の外縁を有しているが、発光ユニット510の形状(より厳密には、筐体511の形状)は特に限定されない。
【0146】
なお、ダウンライトでは、ヘッドランプの場合とは異なり、理想的な点光源は要求されず、発光点が1つというレベルで十分である。それゆえ、発光部513の形状、大きさおよび配置に関する制約は、ヘッドランプの場合よりも少ない。
【0147】
(LD光源ユニット520の構成)
LD光源ユニット520は、レーザ光源521、非球面レンズ522および光ファイバー523を備えている。
【0148】
光ファイバー523の一方の端部である入射端部は、LD光源ユニット520に接続されており、レーザ光源521から発振されたレーザ光は、非球面レンズ522を介して光ファイバー523の入射端部に入射される。
【0149】
図7に示すLD光源ユニット520の内部には、レーザ光源521および非球面レンズ522が一対のみ示されているが、発光ユニット510が複数存在する場合には、発光ユニット510からそれぞれ延びる光ファイバー523の束を1つのLD光源ユニット520に導いてもよい。この場合、1つのLD光源ユニット520に複数のレーザ光源521と非球面レンズ522との対(または、複数のレーザ光源521と1つのロッド状レンズとの対)が収納されることになり、LD光源ユニット520は集中電源ボックスとして機能する。
【0150】
(レーザダウンライト500の設置方法の変更例)
図8は、レーザダウンライト500の設置方法の変更例を示す断面図である。同図に示すように、レーザダウンライト500の設置方法の変形例として、天板700には光ファイバー523を通す小さな穴702だけを開け、薄型・軽量の特長を活かしてレーザダウンライト本体(発光ユニット510)を天板700に貼り付けるということもできる。この場合、レーザダウンライト500の設置に係る制約が小さくなり、また工事費用が大幅に削減できるというメリットがある。
【0151】
(レーザダウンライト500と従来のLEDダウンライト600との比較)
従来のLEDダウンライト600は、図5に示すように、複数の透光板601を備えており、各透光板601からそれぞれ照明光が出射される。すなわち、LEDダウンライト600において発光点は複数存在している。LEDダウンライト600において発光点が複数存在しているのは、個々の発光点から出射される光の光束が比較的小さいため、複数の発光点を設けなければ照明光として十分な光束の光が得られないためである。
【0152】
これに対して、レーザダウンライト500は、高光束の照明装置であるため、発光点は1つでもよい。それゆえ、照明光による陰影がきれいに出るという効果が得られる。また、発光部513の蛍光体を高演色蛍光体(例えば、数種類の酸窒化物蛍光体の組み合わせ)にすることにより、照明光の演色性を高めることができる。
【0153】
図9は、LEDダウンライト600が設置された天井の断面図である。同図に示すように、LEDダウンライト600では、LEDチップ、電源および冷却ユニットを収納した筐体602が天板700に埋設されている。筐体602は比較的大きなものであり、筐体602が配置されている部分の断熱材701には、筐体602の形状に沿った凹部が形成される。筐体602から電源ライン603が延びており、この電源ライン603はコンセント(不図示)につながっている。
【0154】
このような構成では、次のような問題が生じる。まず、天板700と断熱材701との間に発熱源である光源(LEDチップ)および電源が存在しているため、LEDダウンライト600を使用することにより天井の温度が上がり、部屋の冷房効率が低下するという問題が生じる。
【0155】
また、LEDダウンライト600では、光源ごとに電源および冷却ユニットが必要であり、トータルのコストが増大するという問題が生じる。
【0156】
また、筐体602は比較的大きなものであるため、天板700と断熱材701との間の隙間にLEDダウンライト600を配置することが困難な場合が多いという問題が生じる。
【0157】
これに対して、レーザダウンライト500では、発光ユニット510には、大きな発熱源は含まれていないため、部屋の冷房効率を低下させることはない。その結果、部屋の冷房コストの増大を避けることができる。
【0158】
また、発光ユニット510ごとに電源および冷却ユニットを設ける必要がないため、レーザダウンライト500を小型および薄型にすることができる。その結果、レーザダウンライト500を設置するためのスペースの制約が小さくなり、既存の住宅への設置が容易になる。
【0159】
また、レーザダウンライト500は、小型および薄型であるため、上述したように、発光ユニット510を天板700の表面に設置することができ、LEDダウンライト600よりも設置に係る制約を小さくすることができるとともに工事費用を大幅に削減できる。
【0160】
図10は、レーザダウンライト500およびLEDダウンライト600のスペックを比較するための図である。同図に示すように、レーザダウンライト500は、その一例では、LEDダウンライト600に比べて体積は94%減少し、質量は86%減少する。
【0161】
また、LD光源ユニット520をユーザの手が容易に届く所に設置できるため、レーザ光源521が故障した場合でも、手軽にレーザ光源521を交換できる。また、複数の発光ユニット510から延びる光ファイバー523を1つのLD光源ユニット520に導くことにより、複数のレーザ光源521を一括管理できる。そのため、複数のレーザ光源521を交換する場合でも、その交換が容易にできる。
【0162】
なお、LEDダウンライト600において、高演色蛍光体を用いたタイプの場合、消費電力10Wで約500lmの光束が出射できるが、同じ明るさの光をレーザダウンライト500で実現するためには、3.3Wの光出力が必要である。この光出力は、LD効率が35%であれば、消費電力10Wに相当し、LEDダウンライト600の消費電力も10Wであるため、消費電力では、両者の間に顕著な差は見られない。それゆえ、レーザダウンライト500では、LEDダウンライト600と同じ消費電力で、上述の種々のメリットが得られることになる。
【0163】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0164】
例えば、本発明の照明装置は、自動車以外の車両・移動物体(例えば、人間・船舶・航空機・潜水艇・ロケットなど)のヘッドランプとして実現されてもよいし、その他の照明装置として実現されてもよい。その他の照明装置として、例えば、サーチライト、プロジェクター、家庭用照明器具を挙げることができる。
【0165】
なお、本発明は、以下のようにも表現することができる。すなわち、本発明に係る固体点光源は、酸窒化物蛍光体が有機高分子部材に分散されており、レーザ光出射端面がドライエアに接しているGaN系半導体レーザを用いて、前記有機高分子部材を前記GaN系半導体レーザから出射されるパワー密度0.1W/mm以上、10W/mm以下のレーザ光により励起して発光させる。
【0166】
前記GaN系半導体レーザが、前記ドライエアを封止するステム内に保持され、前記ステムのレーザ光取り出し部から出射されたレーザ光が、前記有機高分子部材に照射されることが好ましい。
【0167】
前記酸窒化物蛍光体は、CASN:Eu、SCASN:Eu、Caα−SiAlON:Ce、β−SiAlON:Eu、JEMからなる群から選択される少なくとも一種類の酸窒化物蛍光体であることが好ましい。
【0168】
前記有機高分子部材は、主鎖がシロキ酸結合しており、側鎖が有機基の化学構造を有することが好ましい。
【0169】
前記有機高分子部材は、側鎖がメチル基(CH−)のシリコーン樹脂であることが好ましい。
【0170】
前記ドライエアは、露点温度が−30℃以下であることが好ましい。
【0171】
前記GaN系半導体レーザが、前記ドライエアを封止するステム内に保持され、前記ステムのレーザ光取り出し部が、前記有機高分子部材によって密閉されていることが好ましい。
【0172】
前記GaN系半導体レーザは、発振波長が400nm以上、410nm以下であることが好ましい。
【0173】
前記GaN系半導体レーザは、発振波長が440nm以上、470nm以下であることが好ましい。
【0174】
本発明に係る車両用前照灯は、上記の固体点光源を用いた車両用前照灯である。
【0175】
本発明に係るプロジェクターは、上記の固体点光源を用いたプロジェクターである。
【産業上の利用可能性】
【0176】
本発明は、高輝度かつ高光束で発光が可能な光源として機能する発光装置を備えた照明装置に関し、特に車両用等のヘッドランプに好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0177】
10、301、401 発光装置
20 GaN系半導体レーザ
30 車両用前照灯
40 プロジェクター
101、521 レーザ光源
101a 前端面(出射端面)
101b 後端面
102 ステムブロック
103 ステム
104 キャップ
105 キャップガラス
106、403、513 発光部
106a 蛍光体保持物質(蛍光体保持部材、有機高分子部材)
106b 蛍光体
107a、107b 電極リード線
108 絶縁性樹脂
109 Auワイヤー
110 レーザ駆動回路
201 n型GaN基板
202 n型GaN層
203 n型Al0.05Ga0.95N下部クラッド層
204 n型GaNガイド層
205 GaN下部隣接層
206 活性層
207 GaN上部隣接層
208 p型Al0.2Ga0.8N層
209 p型Al0.1Ga0.9N上部クラッド層
210 p型GaNコンタクト層
211 n側電極
212 絶縁層
213 p側電極
214 第1層
215 第2層
216 第3層
302、405 反射鏡
303 投影レンズ
304 支持体
305 遮光板
402、511、602 筐体
404、406 集光レンズ
407 表示パネル
408、410 偏光板
409 液晶パネル
411 液晶駆動回路
412 投射レンズ
413、415 凸レンズ
414 凹レンズ
416 スクリーン
500 レーザダウンライト
510 発光ユニット
512 凹部
514、601 透光板
515 通路
520 LD光源ユニット
522 非球面レンズ
523 光ファイバー
600 LEDダウンライト
603 電源ライン
700 天板
701 断熱材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を出射するレーザ光源と、
前記レーザ光源から出射されたレーザ光が照射される被照射面を有し、当該被照射面上におけるレーザ光の照射により発光する発光部と
を備え、
前記発光部の被照射面上におけるレーザ光のパワー密度は、0.1W/mm以上、100W/mm以下であることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記レーザ光源は、レーザ光を出射する出射端面を有し、
前記出射端面は、ドライエアに接触していることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記レーザ光源を収納すると共に、前記レーザ光源から出射されたレーザ光を前記発光部の被照射面に照射させる筐体をさらに備え、
前記筐体の内部は、ドライエアにより封止されていることを特徴とする請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記発光部は、蛍光体保持部材と、前記蛍光体保持部材に分散されており、レーザ光が照射されることにより発光する蛍光体と、からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記蛍光体は、CASN:Eu、SCASN:Eu、Caα−SiAlON:Ce、β−SiAlON:Eu、JEMのうちの少なくとも1つである酸窒化物蛍光体、または、半導体ナノ粒子蛍光体であることを特徴とする請求項4に記載の発光装置。
【請求項6】
前記蛍光体保持部材は、有機高分子部材からなり、
前記発光部の被照射面上におけるレーザ光のパワー密度は、0.1W/mm以上、10W/mm以下であることを特徴とする請求項4または5に記載の発光装置。
【請求項7】
前記有機高分子部材は、主鎖がシロキ酸結合しており、側鎖が有機基の化学構造を有することを特徴とする請求項6に記載の発光装置。
【請求項8】
前記有機高分子部材は、側鎖がメチル基(CH−)のシリコーン樹脂であることを特徴とする請求項7に記載の発光装置。
【請求項9】
前記ドライエアの露点温度は、−30℃以下であることを特徴とする請求項2または3に記載の発光装置。
【請求項10】
前記筐体は、前記レーザ光源から出射されたレーザ光を透過させるための透過部を有し、
前記透過部は、有機高分子部材からなることを特徴とする請求項3に記載の発光装置。
【請求項11】
前記レーザ光源の発振波長は、400nm以上、420nm以下であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項12】
前記レーザ光源の発振波長は、440nm以上、470nm以下であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の発光装置を光源として用いることを特徴とする照明装置。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の発光装置を光源として用いることを特徴とする車両用前照灯。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−243369(P2011−243369A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−113474(P2010−113474)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】