説明

発光装置、発光方法および発光装置の製造方法

【課題】 単純な構造で低コストであり、高効率かつ輝度ムラを低減できる発光装置を提供する。
【解決手段】 本発明の発光装置10は、アノード電極12が基板面に配置されたアノード基板11と、カソード電極15が基板面に配置されたカソード基板16と、複数の開口部18が形成されたグリッド電極17とを有し、前記両基板は、前記基板面が互いに対面して配置され、前記両基板の間に、前記両基板に対向して略平行に、グリッド電極17が配置され、アノード基板11とアノード電極12との間、および、アノード電極12上の少なくとも一方に、蛍光体層13が配置され、カソード電極15上にエミッタ14が配置され、エミッタ14から電界放出された電子が、グリッド電極17の開口部18を通過することにより、前記電子の軌道が広げられることで、蛍光体層13の発光時の輝点が拡大され、輝度ムラが低減されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置、発光方法および発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、真空中で電子放出源から電界放出させた電子により蛍光体を励起させることで、光を取り出す電子線励起型の照明(電界放出型ランプ(FEL:Field Emission Lamp))が、白熱電球、蛍光灯等の従来の照明に対する次世代の光源として研究されている。電界放出発光素子(電子放出源)には、例えば、カーボンナノチューブ(CNT)等の、高いアスペクト比および導電性を有し、機械的にも強靭なものが使用されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
前記FELには、照明として、輝度が高く、平面の輝度ムラが少ないことが要求される。ここで、前記FELは、電子放出により蛍光体が励起発光する光源であるため、電子放出源として、例えば、CNT等を使用した場合、蛍光体の発光の輝点に明るさのばらつき(輝度ムラ)が発生し、均一発光が困難となる。これは、例えば、前記CNTの位置および長さを正確に制御することが困難なためである。前記輝度ムラは、前記電子放出源として、CNT以外の材料を使用した場合でも発生し得る。
【0004】
前述の輝度ムラを低減するため、特許文献2には、グリッド電極とカソード電極との間に制御電圧を周期的に印加すると共に、この制御電圧の印加に同期して、蛍光板電極(アノード電極)とカソード電極との間に、前記制御電圧よりも高い電圧を印加する発光装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3595233号公報
【特許文献2】特許第4347253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献2に記載の発光装置は、電流密度を蛍光体の飽和状態に達する程度に流すため、消費電力が多くなり、高効率化が困難であり、さらに、変圧回路などが必要なため、構造が複雑になり、低コスト化も困難である。
【0007】
本発明の目的は、単純な構造で低コストであり、高効率かつ輝度ムラを低減できる発光装置、発光方法および発光装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明の発光装置は、
アノード電極が基板面に配置されたアノード基板と、
カソード電極が基板面に配置されたカソード基板と、
複数の開口部が形成されたグリッド電極とを有し、
前記アノード基板および前記カソード基板は、前記基板面が互いに対面して配置され、
前記アノード基板と前記カソード基板との間に、前記アノード基板および前記カソード基板に対向して略平行に、前記グリッド電極が配置され、
前記アノード基板は、さらに、蛍光体層を含み、
前記蛍光体層は、前記アノード基板と前記アノード電極との間、および、前記アノード電極上の少なくとも一方に配置され、
前記カソード基板は、さらに、エミッタを含み、
前記エミッタが、前記カソード電極上に配置され、
前記エミッタから電界放出された電子が、前記グリッド電極の開口部を通過することにより、前記電子の軌道が広げられることで、前記蛍光体層の発光時の輝点が拡大され、輝度ムラが低減されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の発光方法は、
アノード電極が基板面に配置されたアノード基板と、
カソード電極が基板面に配置されたカソード基板と、
複数の開口部が形成されたグリッド電極とを有し、
前記アノード基板および前記カソード基板は、前記基板面が互いに対面して配置され、
前記アノード基板と前記カソード基板との間に、前記アノード基板および前記カソード基板に対向して略平行に、前記グリッド電極が配置され、
前記アノード基板は、さらに、蛍光体層を含み、
前記蛍光体層は、前記アノード基板と前記アノード電極との間、および、前記アノード電極上の少なくとも一方に配置され、
前記カソード基板は、さらに、エミッタを含み、
前記エミッタが、前記カソード電極上に配置された発光装置を使用し、
前記カソード電極と前記アノード電極との間、および、前記カソード電極と前記グリッド電極との間に電圧を印加することで、前記エミッタから電子を電界放出させ、
前記電子を、前記グリッド電極の開口部を通過させ、前記電子の軌道を広げることで、前記蛍光体層の発光時の輝点を拡大し、輝度ムラを低減することを特徴とする。
【0010】
また、本発明による、前記本発明の発光装置の製造方法は、
アノード電極が基板面に形成されたアノード基板を提供するアノード基板提供工程と、
カソード電極が基板面に形成されたカソード基板を提供するカソード基板提供工程と、
複数の開口部が形成されたグリッド電極を提供するグリッド電極提供工程と、
前記アノード基板と前記アノード電極との間、および、前記アノード電極上の少なくとも一方に、蛍光体層を形成する蛍光体層形成工程と、
前記カソード電極上に、エミッタを形成するエミッタ形成工程と、
前記アノード基板および前記カソード基板を、前記基板面が互いに対面するように配置する基板配置工程と、
前記アノード基板と前記カソード基板との間に、前記アノード基板および前記カソード基板に対向して略平行に、前記グリッド電極を配置するグリッド電極配置工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、単純な構造で低コストであり、高効率かつ輝度ムラを低減できる発光装置、発光方法および発光装置の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の発光装置の一例(実施形態1)の構成を模式的に示す断面図である。
【図2A】図2Aは、前記実施形態1における、アノードおよびカソードを模式的に示す平面図である。
【図2B】図2Bは、前記実施形態1における、アノードおよびカソードのその他の例を模式的に示す平面図である。
【図3】図3は、前記実施形態1における、グリッド電極を模式的に示す平面図である。
【図4】図4は、本発明の実施例1における、蛍光体層の発光状態を示す写真である。
【図5】図5は、本発明の実施例2における、蛍光体層の発光状態を示す写真である。
【図6】図6は、本発明の実施例3における、蛍光体層の発光状態を示す写真である。
【図7】図7は、本発明の実施例4における、蛍光体層の発光状態を示す写真である。
【図8】図8は、本発明の実施例5における、蛍光体層の発光状態を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明において、前記「基板面に」は、特に断らない限り、前記基板面に直接接触している状態に限定されず、間に他の構成要素等が存在し、直接接触していない状態も含む。また、本発明において、前記アノード基板の前記「基板面」は、前記アノード基板の、前記カソード基板に対面する側の面であり、前記カソード基板の前記「基板面」は、前記カソード基板の、前記アノード基板と対面する側の面である。
【0014】
本発明において、前記「上に」は、特に断らない限り、上面に直接接触している状態に限定されず、間に他の構成要素等が存在し、直接接触していない状態も含む。また、本発明において、前記「アノード電極上」は、前記アノード電極の、前記カソード基板に対面する側上であり、前記「カソード電極上」は、前記カソード電極の、前記アノード基板に対面する側上である。
【0015】
本発明において、前記開口部の「サイズ」は、例えば、前記開口部の平面形状における辺の長さ、または、前記平面形状の面積を意味する。前記辺の長さは、例えば、前記開口部の平面形状が、円形の場合にはその直径または半径の長さ、楕円形の場合には長径または短径の長さ、正方形の場合にはその一辺の長さ、正方形以外の矩形の場合は、その長辺または短辺の長さを意味する。前記蛍光体層および前記エミッタの「サイズ」についても、同様である。
【0016】
本発明において、前記カソード基板、前記カソード電極および前記エミッタをあわせて、「カソード」ということがあり、前記アノード基板、前記アノード電極および前記蛍光体層をあわせて、「アノード」ということがある。
【0017】
つぎに、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の説明により限定されない。
【0018】
本実施形態の発光装置は、カソード(エミッタ側)とアノード(蛍光体層側)との間にグリッド電極が挿入された3電極構造の発光装置の一例である。図1、図2Aおよび図3に、本実施形態の発光装置の構成を示す。図1は、本実施形態の発光装置を模式的に示す断面図である。図2Aは、本実施形態の発光装置におけるアノードおよびカソードを模式的に示す平面図である。図3は、本実施形態の発光装置におけるグリッド電極を模式的に示す平面図である。図1、図2Aおよび図3において、同一部分には、同一符号を付している。
【0019】
(1)全体構成
図1、図2Aおよび図3に示すように、本実施形態の発光装置10は、ガラス基板(アノード基板)11と、ガラス基板(カソード基板)16と、グリッド電極17とを有する。ガラス基板11の基板面には、透明電極(アノード電極)12が形成されている。ガラス基板16の基板面には、透明電極(カソード電極)15が形成されている。グリッド電極17は、薄板状であり、複数の円形の開口部18が形成されている。ガラス基板11およびガラス基板16は、互いの基板面が対面して配置されている。ガラス基板11とガラス基板16との間に、前記両ガラス基板に対向して略平行に、グリッド電極17が配置されている。ガラス基板11は、さらに、蛍光体層13を有し、透明電極12上に、蛍光体層13が形成されている。ガラス基板16は、さらに、エミッタ14を有し、透明電極15上に、エミッタ14が形成されている。本実施形態の発光装置10には、作動(発光)時にガラス基板11とガラス基板16との間を、例えば、真空に保つために、装置内部に、真空封止のための構造が設けられている。ただし、本発明は、前記構造により限定されない。なお、図1、図2Aおよび図3では、説明の便宜上、前記構造の図示を省略している(以下、図2Bにおいても同様)。
【0020】
(2)アノード
(2−1.アノード基板)
本実施形態の発光装置10におけるガラス基板11は、前記アノード基板である。前記アノード基板は、特に制限されず、前記ガラス基板の他に、例えば、石英基板等の透明な基板を使用するのが好ましい。
【0021】
(2−2.アノード電極)
本実施形態の発光装置10における透明電極12は、前記アノード電極である。透明電極12を形成する材料は、特に制限されず、例えば、金属酸化物、カーボンナノ材料等があげられる。前記金属酸化物は、例えば、ITO、ZnO、SnOがあげられる。前記カーボンナノ材料は、例えば、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、グラフェンシートまたはこれらの複合体等があげられる。透明電極12を形成する方法は、特に制限されず、例えば、選択した前記形成材料に応じて、スクリーン印刷、蒸着またはスパッタ法等を使用できる。
【0022】
(2−3.蛍光体層)
蛍光体層13は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube、すなわち、ブラウン管)に使用されるものと同様に、電子線が照射されると励起されて蛍光を発する電子線励起蛍光体を含む層である。前記電子線励起蛍光体は、特に制限されず、公知のものが使用でき、例えば、硫化物蛍光体、酸化物蛍光体、窒化物蛍光体等を使用できる。
【0023】
蛍光体層13を形成する方法は、特に制限されず、例えば、選択した前記電子線励起蛍光体に応じて適宜選択でき、スプレー法、インクジェット法、スクリーン印刷、手塗り印刷、または沈降法等を使用できる。蛍光体層13は、例えば、膜厚0.1μm〜100μmの範囲で塗布される。
【0024】
蛍光体層13を、例えば、塗布により形成する場合には、前記電子線励起蛍光体を含むペーストを調製する。前記ペーストには、例えば、バインダーが含まれてもよい。前記バインダーは、例えば、公知のものを使用できる。前記ペーストをアノード電極上に塗布した後に、例えば、前記アノード(アノード電極)を、空気、窒素、または真空中で焼成処理をすることで、前記ペーストに含まれるバインダーを除去することが好ましい。前記焼成温度は、特に制限されず、前記バインダーの分解・昇華・燃焼温度以上であればよく、蛍光体層13の劣化を防ぐため、例えば、400〜550℃の範囲が好ましい。焼成時間は、例えば、30分〜2時間の範囲が適している。
【0025】
(3)カソード
(3−1.カソード基板)
本実施形態の発光装置10におけるガラス基板16は、前記カソード基板である。前記カソード基板は、特に制限されず、前記ガラス基板の他に、例えば、石英基板、非ドープのシリコン基板等の電気的に絶縁性を有するものを使用できる。
【0026】
(3−2.カソード電極)
本実施形態の発光装置10における透明電極15は、前記カソード電極である。透明電極15を形成する材料は、例えば、導電性の高い材料を使用できる。前記形成材料は、例えば、金属、金属酸化物、カーボンナノ材料等があげられる。前記金属は、例えば、金属単体でも、2種類以上の前記金属からなる合金でもよい。前記金属は、例えば、Au、Ag、Al、Cu、Fe、Ni、Co、Pd、Pt、Mo、W等があげられる。前記金属酸化物は、例えば、ITO、ZnO、SnO等があげられる。前記カーボンナノ材料は、例えば、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、グラフェンシートまたはこれらの複合体等があげられる。透明電極15を形成する方法は、特に制限されず、例えば、選択した前記形成材料に応じて、スクリーン印刷、蒸着またはスパッタ法等を使用できる。
【0027】
(3−3.エミッタ)
エミッタ14には、電子放出材料が含まれている。前記電子放出材料は、特に制限されず、例えば、アスペクト比が高いために電界集中が起こりやすく、かつ導電性を有するものを用いることが好ましく、カーボンナノ材料がより好ましい。前記カーボンナノ材料は、特に制限されず、例えば、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンナノホーン、カーボンナノコイル、グラフェンシート、カーボンファイバー、カーボンスティック、またはこれらの複合体等があげられる。前記カーボンナノ材料は、一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を併用した混合物として使用してもよい。これらの中でも、アスペクト比が高く、耐電流密度性が高いため、CNTが特に好ましい。前記電子放出材料は、前記カーボンナノ材料の他に、例えば、金属ナノワイヤー、金属ナノチューブ等があげられる。前記金属ナノワイヤーの形成材料は、特に制限されず、例えば、Ni、Co、Fe、Au等があげられる。金属ナノチューブの形成材料は、特に制限されず、例えば、Au、Ag、Pt、Rh、Irがあげられる。
【0028】
エミッタ14の作製方法について、前記電子放出材料としてカーボンナノチューブ(CNT)を使用した場合を例にとり説明する。ただし、本発明は、この例には限定されない。
【0029】
まず、前記CNT、ガラスフリットおよびバインダーを溶剤に添加し、混合することでCNT含有ペーストを調製する。つぎに、このペーストをガラス基板16の透明電極15上に塗布して、前記ペーストの塗膜を形成する。前記塗膜は、例えば、スプレー法、インクジェット法、スクリーン印刷、手塗り印刷、沈降法等により形成できる。前記塗膜の厚みは、特に制限されず、例えば、1〜100μmの範囲である。そして、前記塗膜を焼成して、CNTを含むエミッタ14を形成する。前記塗膜の焼成条件は、特に制限されず、雰囲気条件は、例えば、真空、不活性雰囲気、大気(空気)等であり、焼成温度は、例えば、300〜550℃の範囲、焼成時間は、例えば、30分〜2時間の範囲が適している。
【0030】
前記溶剤は、特に制限されず、例えば、有機溶剤等があげられる。前記有機溶剤は、例えば、低蒸気圧の溶剤が好ましい。前記低蒸気圧の溶剤は、例えば、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、α−テルピネオール、γ−ブチロラクトン等があげられる。また、前記有機溶剤は、例えば、乾燥速度の観点から、低沸点の溶剤を使用してもよい。前記低沸点の溶剤は、例えば、酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエン、ベンジルアルコール等があげられる。前記溶剤は、一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を併用してもよい。
【0031】
前記ガラスフリットは、例えば、SnO−P系ガラス、SnO−B系ガラス、SnO−B−P系ガラス、Bi−B系ガラス等を使用できる。特に、SnO−P系ガラスは、例えば、カーボンナノチューブ等のカーボン材料の燃焼を抑制する効果があるため好ましい。なお、前記電子放出材料の燃焼温度は、おおよそ500℃以上であるが、前記電子放出材料の熱劣化を防止する観点から、焼成温度が低いほど好ましい。したがって、前記CNT含有ペーストの焼成温度は、500℃以下が好ましい。このため、前記ガラスフリット(ガラス粉末)は、軟化点が500℃以下であることが好ましい。
【0032】
前記バインダーは、特に制限されず、例えば、一般的な有機バインダー樹脂を使用できる。前記有機バインダー樹脂は、例えば、エチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース系;アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、シアノアクリル酸エステル、もしくは、これらのアクリル系単量体の共重合体等のアクリル樹脂系;酢酸ビニル系;ポリビニルアルコール系;ポリビニルアセタール系;ポリエステル系等の樹脂があげられる。
【0033】
(4)グリッド電極
前述のように、グリッド電極17は、薄板状の電極である。グリッド電極17を形成する材料は、例えば、導電性の高い材料を使用できる。前記形成材料は、例えば、銅等の金属;ステンレス、ニッケル材、アンバー材(鉄とニッケルとの合金材)等の合金等があげられる。
【0034】
本実施形態の発光装置10において、開口部18の形状は、円形である。開口部18を形成する方法は、特に制限されず、公知の方法が使用でき、例えば、エッチング、パンチング等が使用できる。また、グリッド電極17を、細線上または網目上とした場合、例えば、開口部18のサイズと開口率とを制御できる。開口部18のサイズは、特に制限されず、例えば、直径0.1〜10mmの範囲である。前記サイズを、直径0.1mm以上とすることで、例えば、前述のエッチング等の簡易なプロセスで開口部18を形成できる。また、前記サイズを、直径10mm以下とすることで、例えば、後述する発光装置の作動において、エミッタ14からの電子の引き出しが容易となり、前記電子の軌道を広げられる。開口部18のサイズは、直径0.5〜2mmの範囲が好ましく、直径1〜2mmの範囲がより好ましく、直径1〜1.5mmの範囲がさらに好ましい。また、開口部18間の距離は、特に制限されず、例えば、0.5〜5mmの範囲であり、好ましくは1〜5mmの範囲であり、より好ましくは1〜3mmの範囲である。本実施形態の発光装置10において、開口部18間の距離は、例えば、図3(b)に示すように、隣り合う円形の開口部18の中心同士を結んだ直線の長さをいう。なお、本実施形態の発光装置10では、開口部18の平面形状は、円形であるが、本発明は、これには限定されず、前記開口部の平面形状は、例えば、楕円形、正方形、正方形以外の矩形、三角形等の多角形等でもよい。ただし、電界集中またはプロセスの容易さ等の観点から、前記開口部の形状は、円形が効果的である。
【0035】
グリッド電極17の開口率は、特に制限されず、例えば、60〜75%の範囲が適している。前記開口率を、60%以上とすることで、例えば、エミッタ14から放出された電子がグリッド電極17に捕獲されるのを低減でき、発光効率を向上できる。また、前記開口率を、75%以下とすることで、例えば、グリッド電極17の強度を維持し、かつ、グリッド電極17の電気抵抗値を低く抑えられる。グリッド電極17の開口率は、60〜70%の範囲が好ましく、65〜70%の範囲がより好ましい。前記開口率は、例えば、開口部18のサイズおよび/または開口部18間の距離を設定することで、適宜調節できる。
【0036】
前述のように、ガラス基板11およびガラス基板16は、互いの基板面が対面して配置されており、グリッド電極17は、前記両ガラス基板の間に、前記両ガラス基板に対向して略平行に配置されている。本実施形態の発光装置10では、エミッタ14からグリッド電極17までの距離(例えば、図1において、エミッタ14の上面からグリッド電極17の下面までの距離)に対する、グリッド電極17から蛍光体層13までの距離(例えば、図1において、グリッド電極17の上面から蛍光体層13の下面までの距離)の比は、特に制限されない。ただし、本実施形態の発光装置10を、例えば、照明用途として使用する場合には、高い輝度と効率が要求される。このため、蛍光体層13の発光効率の向上が望まれる。通常、電子線励起蛍光体の発光効率は、印加電圧が増加するほど高くなる。このため、例えば、前記比は、5〜40の範囲であることが好ましい。前記比を5以上とすることで、例えば、後述する発光装置の作動において、十分に電子を広げることができる。また、前記比を40以下とすることで、例えば、放電等の発生を抑制できる。前記比の下限は、例えば、1以上であり、好ましくは4以上であり、より好ましくは5以上であり、さらに好ましくは、10以上である。前記比の上限は、例えば、40以下であり、好ましくは35以下であり、より好ましくは30以下であり、さらに好ましくは20以下である。前記比は、例えば、1〜40であり、好ましくは5〜40の範囲であり、より好ましくは10〜30の範囲であり、さらに好ましくは10〜20の範囲である。
【0037】
また、エミッタ14からグリッド電極17までの距離は、特に制限されず、例えば、
0.1〜10mmの範囲であり、好ましく0.1〜5mmの範囲であり、より好ましくは0.5〜1mmの範囲である。グリッド電極17から蛍光体層13までの距離は、特に制限されず、例えば、1〜50mmの範囲であり、好ましくは5〜30mmの範囲であり、より好ましくは10〜20mmの範囲である。なお、エミッタ14を、前述のように、低コスト化に有利な印刷等の簡易プロセスで作製した場合、エミッタ14の膜厚制御の観点から、エミッタ14からグリッド電極17までの距離は、例えば、0.5mm以上が実用的である。
【0038】
(5)発光装置の製造方法
本実施形態の発光装置10は、例えば、以下のようにして製造できる。すなわち、まず、前述のように、ガラス基板11の基板面に透明電極12を形成し、透明電極12上に蛍光体層13を形成して前記アノードを準備する。一方、ガラス基板16の基板面に透明電極15を形成し、透明電極15上にエミッタ14を形成して前記カソードを準備する。そして、ガラス基板11とガラス基板16とが、互いの基板面が対面するように配置し、前記両ガラス基板の間に、グリッド電極17を、前記両ガラス基板に対向して略平行に配置することで製造できる。
【0039】
本実施形態の発光装置10では、前述のように、蛍光体層13およびエミッタ14を、例えば、印刷等の簡易なプロセスで形成できる。このため、例えば、特開2005−243611号公報および特許第4194543号公報等に記載のフィールドエミッションディスプレイ(FED:Field Emission Display)等のように、例えば、デバイスの構築に、フォトリソグラフィー技術を利用しないため、設備および生産プロセスを簡易にでき、低コストに発光装置を製造できる。
【0040】
(6)発光装置の作動(発光)
本実施形態の発光装置10の作動(発光)について、図1を参照して説明する。
【0041】
まず、本実施形態の発光装置10を、電圧源に接続する。具体的には、例えば、透明電極(カソード電極)15と透明電極(アノード電極)12との間を、電圧源22に接続する。また、透明電極15とグリッド電極17との間を、電圧源21に接続する。
【0042】
本実施形態の発光装置10は、発光時において、ガラス基板16とガラス基板11との間は、例えば、真空に保たれる。前記真空は、1×10−3Pa以上の真空度(すなわち、前記両ガラス基板間の圧力を1×10−3Pa以下)とすることが好ましく、1×10−5Pa以上の真空度(すなわち、前記両ガラス基板間の圧力を1×10−5Pa以下)とすることがより好ましい。前記真空度の指標である前記圧力の下限値は、特に限定されず、例えば、0Pa以上または0Paを超える値である。
【0043】
前記真空状態で、透明電極15および透明電極12に接続された電圧源22により、前記両電極の間に電圧(Vca)を印加し、透明電極15およびグリッド電極17に接続された電圧源21により、前記両電極の間に電圧(Vcg)を印加する。これにより、エミッタ14に含まれる前記電子放出材料に電界が印加され、電子が放出される。前記放出された電子は、グリッド電極17の開口部18を通過することにより、図1の矢印に示すように、前記電子の軌道が広げられる。前記軌道を広げられた電子は、蛍光体層13に含まれる前記電子線励起蛍光体を励起し、本実施形態の発光装置10が発光する。
【0044】
印加電圧である前記Vcaおよび前記Vcgの大きさは、特に制限されず、例えば、前記Vcaは、0.1〜20kVの範囲であり、好ましくは5〜15kVの範囲であり、より好ましくは10〜15kVの範囲である。
【0045】
本実施形態の発光装置10では、前述のように、前記電子がグリッド電極17の開口部18を通過することで、前記電子の軌道が広げられる。このため、グリッド電極17の構造、すなわち、開口部18の配置形態を反映した輝点が形成される。この結果、例えば、前記グリッド電極を備えない、従来の2電極(アノードおよびカソード)構造の発光装置で形成される輝点と比較して、輝点が拡大される。本実施形態の発光装置10では、個々の輝点が重なり合うことで、輝度ムラを低減できる。
【0046】
また、前述のように、輝点を拡大させることで、輝度ムラを低減できるため、例えば、前記特許文献2に記載の発光装置のように、輝度ムラを低減するのに、電流密度を蛍光体の飽和包袋に達する程度まで流す必要がない。このため、本実施形態の発光装置10は、高効率である。また、前記特許文献2に記載の発光装置のように、変圧回路等を備える必要がないため、本実施形態の発光装置10は、構造が単純であり、このため、低コストである。
【0047】
さらに、本実施形態の発光装置10では、前述のように、エミッタ14からグリッド電極17までの距離に対するグリッド電極17から蛍光体層13までの距離の比が、4以上であれば、例えば、グリッド電極17と透明電極(アノード電極)12との間で、前記電子を十分加速できる。この結果、例えば、蛍光体層13における発光効率を向上でき、平均輝度を向上できる。
【0048】
(7)その他の形態
本実施形態の発光装置10では、前述のように、蛍光体層13およびエミッタ14が、透明電極12および透明電極15上の全面に配置されているが、本発明は、この例には限定されない。前記エミッタおよび前記蛍光体層は、例えば、それぞれ複数でもよい。そして、前記複数のエミッタは、互いに間隔をおいて、前記カソード電極上に配置されていることが好ましく、図2B(a)に示すように、ドットパターンを形成するように、前記複数のエミッタ(エミッタ24)が、前記カソード電極上に配置されていることがより好ましい。また、前記複数の蛍光体層は、互いに間隔をおいて、前記アノード電極上に配置されていることが好ましく、図2B(b)に示すように、ドットパターンを形成するように、前記複数の蛍光体層(蛍光体層23)が、前記アノード電極上に配置されていることがより好ましい。前記エミッタおよび前記蛍光体層は、例えば、両方がドットパターンを形成するように配置されていてもよいし、いずれか一方がドットパターンを形成するように配置されていてもよい。なお、前記エミッタおよび前記蛍光体層の配置態様は、ドットパターンには限定されず、例えば、ストライプ状、格子状等があげられる。
【0049】
前記カソード電極上において、前記複数のエミッタは、前記複数の開口部と一対一で対応する位置に配置されていることが好ましい。このような配置態様であれば、例えば、前記エミッタから放出される電子が、前記グリッド電極に捕獲されるのを低減でき、発光効率を向上できる。そして、前記エミッタは、前記グリッド電極の面方向に垂直な方向から見て、前記開口部の内側に配置されていることがより好ましい。この場合、前記開口部のサイズが、前記エミッタのサイズより大きいことが好ましい。このような配置態様であれば、例えば、前記エミッタから放出される電子が、前記グリッド電極に捕獲されるのをさらに低減でき、発光効率をさらに向上できる。前記開口部のサイズは、前記エミッタのサイズと比較して、例えば、5%〜50%大きいのが、電子を広げる点で効果的である。前記エミッタの平面形状は、前記開口部の平面形状と同一であることが好ましい。
【0050】
前記アノード電極上において、前記複数の蛍光体層は、前記複数の開口部と一対一で対応する位置に配置されていることが好ましい。このような配置態様であれば、例えば、前記蛍光体層における電子のチャージアップを抑制でき、発光効率の低下を抑制できる。前記蛍光体層の平面形状は、前記開口部の平面形状と同一であることが好ましい。
【0051】
前記エミッタの各ドットのサイズは、前記開口部のサイズに対応しているのが好ましい。前記各ドットが円形の場合、その直径は、例えば、0.1〜10mmの範囲であり、好ましくは0.5〜5mmの範囲であり、より好ましくは1〜5mmの範囲である。前記各ドットの間隔は、前記開口部間の距離に対応しているのが好ましい。前記各ドットの間隔は、例えば、0.5〜5mmの範囲であり、好ましくは1〜5mmの範囲であり、より好ましくは1〜3mmの範囲である。
【0052】
前記蛍光体層の各ドットのサイズは、前記開口部のサイズに対応しているのが好ましい。前記各ドットが円形の場合、その直径は、例えば、0.1〜10mmの範囲であり、好ましくは0.5〜5mmの範囲であり、より好ましくは1〜5mmの範囲である。前記各ドットの間隔は、前記開口部間の距離に対応しているのが好ましい。前記各ドットの間隔は、例えば、0.5〜5mmの範囲であり、好ましくは1〜5mmの範囲であり、より好ましくは1〜3mmの範囲である。
【0053】
また、本実施形態の発光装置10では、前述のように、蛍光体層13が透明電極(アノード電極)12上に形成されているが、本発明は、これには限定されない。前記蛍光体層は、例えば、前記アノード電極と前記アノード基板との間に配置されてもよい。言い換えると、例えば、電子線が通過できる程度の厚みのアノード電極を、前記蛍光体層の前記カソード基板側表面に形成し(メタルバックということがある)、これを前記アノード電極として利用する場合は、必ずしも、前記蛍光体層の前記アノード基板側に前記アノード電極は必要でない。なお、前記蛍光体層は、前記アノード電極のカソード基板側表面およびアノード基板側表面の両面に配置してもよい。
【0054】
(8)用途
以上のように、本発明の発光装置は、単純な構造で低コストであり、高効率かつ輝度ムラを低減できる。したがって、本発明の発光装置の用途は、例えば、発光デバイス、電子放出素子等があげられる。前記発光デバイスは、例えば、照明、ディスプレイ、バックライト等の用途があげられる。前記電子放出素子は、例えば、電子顕微鏡に使用するエミッタ等の用途があげられる。前記照明は、例えば、自動車用ランプ、空港等で使用される照明等があげられる。ただし、その用途は限定されず、広い分野に適用可能である。
【実施例】
【0055】
つぎに、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は、下記の実施例によって何ら限定および制限されない。
【0056】
[実施例1]
本例では、3電極構造の発光装置を作製し、発光特性の評価および輝度ムラの定量評価を行った。
【0057】
(1)発光装置の作製
(1−1.カソードの作製)
電子放出材料として多層カーボンナノチューブ(CNT)を用い、CNT含有ペーストを調製した。まず、多層CNT100mgを、α−テルピネオール15mLに添加し、30分間超音波処理して分散させた。この分散液に、セルロース系有機バインダー200mgおよびガラスフリット400mgを混合し、5分間超音波処理して分散させた。この分散液を、三本ロールミルによりペースト化した。このようにして、CNT含有ペーストを調製した。
【0058】
つぎに、スパッタによりITO膜を形成したガラス基板上に、前記ペーストを、1μm程度の厚みとなるように、2cm×2cmのサイズでスクリーン印刷した。これを、窒素中500℃で1時間焼成した。その後、エミッタを剥離テープ(テクニスコ社製)でピーリング(剥離処理)した。このようにして、カソード電極上にエミッタが形成されたカソードを作製した。
【0059】
(1−2.アノードの作製)
つぎに、スパッタによりITO膜を形成したガラス基板上に、P22の白色蛍光体を含むペーストを、1μm程度の厚みとなるように、2cm×2cmのサイズでスクリーン印刷した。その後、バインダーを除去するために、空気中で450℃で焼成した。このようにして、アノード電極上に蛍光体層が形成されたアノードを作製した。
【0060】
(1−3.グリッド電極の作製)
つぎに、Cu(銅)基板をエッチングして、複数の円形の開口部を有するグリッド電極を作製した。このグリッド電極において、前記開口部の、開口サイズ(直径)は1mm、開口部間距離は1.2mm、開口率は63%とした。
【0061】
(1−4.発光装置の作製)
前記アノード基板および前記カソード基板を、互いの基板面、すなわち、前記カソードのエミッタ側の面と前記アノードの蛍光体層側の面とが対面するように配置した。さらに、前記グリッド電極を、前記両基板の間に、前記両基板に対向して略平行に配置した。このようにして、実施例1の3電極構造の発光装置を作製した。実施例1の発光装置において、前記エミッタから前記グリッド電極までの距離(以下、「Deg」という)を1mm、前記グリッド電極から前記蛍光体層までの距離(以下、「Dgl」という)を5mmとした。一方、前記グリッド電極を配置せず、前記エミッタから前記蛍光体層までの距離を、3mmとしたこと以外は、前記実施例1と同様にして、比較例の2電極構造の発光装置を作製した。
【0062】
(2)発光特性
前記実施例1および前記比較例の発光装置を、装置内部の真空度1×10−5Paとした。装置内部の真空度は、以下の実施例においても、同様とした。ついで、前記実施例1の発光装置について、前記カソード電極および前記グリッド電極の間、および、前記カソード電極および前記アノード電極の間に電圧を印加して発光させた。一方、前記比較例の発光装置について、前記カソード電極および前記アノード電極の間に電圧を印加して発光させた。比較のために、前記両発光装置への投入電力(W)は、ほぼ同じとした。前記実施例1の発光装置への投入電力は、1.8W、前記比較例の発光装置への投入電力は、1.7Wであった。
【0063】
図4に、前記両発光装置の発光写真を示す。図4において、(a)は前記実施例1の発光の結果、(b)は前記比較例の発光の結果を示す。図4に示すように、前記実施例1の発光装置では、輝点が大きく広がりそれが重なることで輝度ムラがほとんどなくなっていることが確認できた。一方、前記比較例の発光装置では、輝点が小さく、かつ、発光点がまばらであるため、輝度ムラが大きかった。
【0064】
(3)輝度ムラの定量評価
図4に示す発光写真に基づき、輝度ムラの定量評価を行った。具体的には、前記発光写真の全ピクセルについて明るさを測定し、全ピクセルの明るさの平均値(平均輝度)と標準偏差を算出した。そして、前記平均輝度と前記標準偏差との比(標準偏差/平均輝度)を定義して評価を行った。この結果、前記実施例1の発光装置(図4(a))および前記比較例の発光装置(図4(b))について、前記比は、それぞれ、「0.069」および「0.197」であった。この結果から、前記実施例1の発光装置は、前記比較例の発光装置と比較して、輝度ムラが約1/3であることが確認できた。
【0065】
[実施例2]
本例では、グリッド電極の開口率および開口部のサイズの違いによる影響について、発光特性の評価を行った。
【0066】
(1)発光装置の作製
前記実施例1と同様の発光装置を作製した。この発光装置を、実施例2−1の発光装置とした。また、グリッド電極の開口率を23%、開口部のサイズを直径0.5mmとしたこと以外は、前記実施例1と同様にして、実施例2−2の発光装置を作製した。
【0067】
(2)発光特性
前記実施例1と同様にして、前記実施例2−1および前記実施例2−2の発光装置を発光させた。比較のために、前記両発光装置への投入電力(W)は、ほぼ同じとした。
【0068】
図5に、前記両発光装置の発光写真を示す。図5において、(a)は前記実施例2−1の発光の結果、(b)は前記実施例2−2の発光の結果を示す。図5に示すように、前記実施例2−1および前記実施例2−2の発光装置のいずれにおいても、輝点が大きく広がりそれが重なることで輝度ムラを低減できていることが確認できた。なお、開口部のサイズが直径1mmである前記実施例2−1の発光装置は、開口部のサイズが直径0.5mmである前記実施例2−2の発光装置と比較して、より輝点の広がりが確認できた。
【0069】
[実施例3]
本例では、グリッド電極の開口部のサイズの違いによる影響について、発光特性の評価を行った。
【0070】
(1)発光装置の作製
グリッド電極の開口部のサイズを所定のサイズとし、Degを0.5mm、Dglを5.5mmとしたこと以外は、前記実施例1と同様にして、発光装置を作製した。前記所定の開口部のサイズは、直径1mm(実施例3−1)、直径2mm(実施例3−2)、直径3mm(実施例3−3)とした。
【0071】
(2)発光特性
前記実施例1と同様にして、前記実施例3−1〜3−3の発光装置を発光させた。比較のために、前記各発光装置への投入電力(W)は、ほぼ同じとした。
【0072】
図6に、前記各発光装置の発光写真を示す。図6において、(a)は前記実施例3−1の発光の結果、(b)は前記実施例3−2の発光の結果、(c)は前記実施例3−3の発光の結果を示す。図6に示すように、前記実施例3−1〜3−3の発光装置のいずれにおいても、輝点が大きく広がりそれが重なることで輝度ムラを低減できていることが確認できた。前記実施例3−1(開口部のサイズ:直径1mm)および前記実施例3−2(開口部のサイズ:直径2mm)の発光装置では、特に輝度ムラの低減効果が大きかった。この結果から、輝度ムラの低減には、開口部のサイズが、直径1〜2mmであるのが、特に有効であると確認できた。
【0073】
[実施例4]
本例では、Degの違いによる影響について、発光特性の評価を行った。
【0074】
(1)発光装置の作製
egを所定の距離とし、Dglを5.5mmとし、開口部のサイズを直径1mmとしたこと以外は、前記実施例1と同様にして、発光装置を作製した。前記所定のDegは、0.2mm(実施例4−1)、0.5mm(実施例4−2)、1mm(実施例4−3)とした。
【0075】
(2)発光特性
前記実施例1と同様にして、前記実施例4−1〜4−3の発光装置を発光させた。比較のために、前記各発光装置への投入電力(W)は、ほぼ同じとした。
【0076】
図7に、前記各発光装置の発光写真を示す。図7において、(a)は前記実施例4−1の発光の結果、(b)は前記実施例4−2の発光の結果、(c)は前記実施例4−3の発光の結果を示す。図7に示すように、前記実施例4−1〜4−3の発光装置のいずれにおいても、輝点が大きく広がりそれが重なることで輝度ムラを低減できていることが確認できた。前記実施例4−2(Deg:0.5mm)および前記実施例4−3(Deg:1mm)の発光装置では、特に輝度ムラの低減効果が大きかった。この結果から、輝度ムラの低減には、前記エミッタから前記グリッド電極までの距離が、0.5〜1mmであるのが、特に有効であると確認できた。
【0077】
[実施例5]
本例では、Dglの違いによる影響について、発光特性の評価を行った。
【0078】
(1)発光装置の作製
egを0.5mmとし、Dglを所定の距離とし、開口部のサイズを直径1mmとしたこと以外は、前記実施例1と同様にして、発光装置を作製した。前記所定のDglは、5.5mm(実施例5−1)、8.5mm(実施例5−2)、10.5mm(実施例5−3)とした。
【0079】
(2)発光特性
前記実施例1と同様にして、前記実施例5−1〜5−3の発光装置を発光させた。比較のために、前記各発光装置への投入電力(W)は、ほぼ同じとした。
【0080】
図8に、前記各発光装置の発光写真を示す。図8において、(a)は前記実施例5−1の発光の結果、(b)は前記実施例5−2の発光の結果、(c)は前記実施例5−3の発光の結果を示す。図8に示すように、前記実施例5−1〜5−3の発光装置のいずれにおいても、輝点が大きく広がりそれが重なることで輝度ムラが低減できていることが確認できた。また、Dglが大きくなるほど、輝度ムラを低減できることが確認できた。
【0081】
さらに、Dglを大きくして、発光特性を評価した結果、Dglが20mmまでは、輝点が大きく広がりそれが重なることで輝度ムラを低減できていることが確認できた。また、Dglを20mmより大きくした場合でも、輝点が大きく広がりそれが重なることで輝度ムラを低減できることが確認できた。しかしながら、この場合には、異常放電等が発生し、安定して発光できないことが確認された。
【0082】
[実施例6]
本例では、エミッタをドットパターンとした場合について、発光特性の評価を行った。
【0083】
(1)発光装置の作製
スパッタによりITO膜を形成したガラス基板上に、前記実施例1で作製したペーストを、ドット形状(円形、サイズ:直径1mm、ドット間ピッチ:2mm)に1μm程度の厚みとなるように、2cm×2cmのサイズでスクリーン印刷した。これ以外は、前記実施例1と同様にして、カソードを作製した。このカソードを使用し、グリッド電極の開口部のサイズを直径1.1mm、Degを1mm、Dglを5mmとしたこと以外は、前記実施例1と同様にして、実施例6の発光装置を作製した。なお、この発光装置では、前記エミッタの各ドットの位置と、グリッド電極の各開口部の位置とを一対一で対応させた。
【0084】
(2)発光特性
前記実施例1と同様にして、前記実施例6の発光装置を発光させた。この結果、前記実施例6の発光装置では、カソード電極の全面にエミッタを形成した発光装置と比較して、同じ投入電力において、グリッド電極にトラップされる電子が減少し、発光効率が10%増加した。なお、両発光装置において、輝度ムラの低減は同程度であった。
【0085】
[実施例7]
本例では、蛍光体層をドットパターンとした場合について、発光特性の評価を行った。
【0086】
(1)発光装置の作製
ITOをスパッタしたガラス基板上に、前記実施例1で作製したP22の白色蛍光体を含むペーストを、ドットパターン(円形、サイズ:直径1mm、ドット間ピッチ:2mm)でスクリーン印刷した。これ以外は、前記実施例1と同様にして、アノードを作製した。このアノードを使用したこと以外は、前記実施例1と同様にして、実施例7の発光装置を作製した。なお、この発光装置では、前記蛍光体層の各ドットの位置と、グリッド電極の各開口部の位置とを一対一で対応させた。
【0087】
(2)発光特性
前記実施例1と同様にして、前記実施例7の発光装置を発光させた。前記実施例7の発光装置では、アノードの発光面を放射温度計で測定した結果、前記実施例1の発光装置と比較して、同じ投入電力において、蛍光体層の温度が異なることが確認できた。前記実施例7の発光装置では、電流を100μA流した場合、前記実施例1の発光装置と比較して、アノードの発光面の温度が、5℃下がることが確認できた。さらに、この時の発光効率は、同じ投入電力において、3%増加した。
【0088】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載しうるが、以下には限定されない。
【0089】
(付記1)
アノード電極が基板面に配置されたアノード基板と、
カソード電極が基板面に配置されたカソード基板と、
複数の開口部が形成されたグリッド電極とを有し、
前記アノード基板および前記カソード基板は、前記基板面が互いに対面して配置され、
前記アノード基板と前記カソード基板との間に、前記アノード基板および前記カソード基板に対向して略平行に、前記グリッド電極が配置され、
前記アノード基板は、さらに、蛍光体層を含み、
前記蛍光体層は、前記アノード基板と前記アノード電極との間、および、前記アノード電極上の少なくとも一方に配置され、
前記カソード基板は、さらに、エミッタを含み、
前記エミッタが、前記カソード電極上に配置され、
前記エミッタから電界放出された電子が、前記グリッド電極の開口部を通過することにより、前記電子の軌道が広げられることで、前記蛍光体層の発光時の輝点が拡大され、輝度ムラが低減されることを特徴とする、発光装置。
【0090】
(付記2)
前記エミッタから前記グリッド電極までの距離に対する前記グリッド電極から前記蛍光体層までの距離の比が、4以上であることを特徴とする付記1記載の発光装置。
【0091】
(付記3)
前記グリッド電極の開口部のサイズが、0.1〜10mmの範囲であることを特徴とする付記1または2記載の発光装置。
【0092】
(付記4)
前記グリッド電極の開口率が、60〜75%の範囲であることを特徴とする付記1から3のいずれかに記載の発光装置。
【0093】
(付記5)
前記エミッタが、複数であり、かつ互いに間隔をおいて配置され、
前記蛍光体層が、複数であり、かつ互いに間隔をおいて配置されていることを特徴とする付記1から4のいずれかに記載の発光装置。
【0094】
(付記6)
前記複数のエミッタが、ドットパターンを形成するように配置され、
前記複数の蛍光体層が、ドットパターンを形成するように配置されていることを特徴とする付記5記載の発光装置。
【0095】
(付記7)
前記複数のエミッタが、前記複数の開口部と一対一で対応する位置に配置され、
前記複数の蛍光体層が、前記複数の開口部と一対一で対応する位置に配置されていることを特徴とする付記5または6記載の発光装置。
【0096】
(付記8)
前記グリッド電極の面方向に垂直な方向から見て、前記エミッタが、前記開口部の内側に配置され、かつ、前記開口部のサイズが、前記エミッタのサイズより大きいことを特徴とする付記1から7のいずれかに記載の発光装置。
【0097】
(付記9)
前記エミッタが、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノコイル、グラフェンシートおよびこれらの複合体からなる群から選択される少なくとも一つを含むことを特徴とする付記1から8のいずれかに記載の発光装置。
【0098】
(付記10)
アノード電極が基板面に配置されたアノード基板と、
カソード電極が基板面に配置されたカソード基板と、
複数の開口部が形成されたグリッド電極とを有し、
前記アノード基板および前記カソード基板は、前記基板面が互いに対面して配置され、
前記アノード基板と前記カソード基板との間に、前記アノード基板および前記カソード基板に対向して略平行に、前記グリッド電極が配置され、
前記アノード基板は、さらに、蛍光体層を含み、
前記蛍光体層は、前記アノード基板と前記アノード電極との間、および、前記アノード電極上の少なくとも一方に配置され、
前記カソード基板は、さらに、エミッタを含み、
前記エミッタが、前記カソード電極上に配置された発光装置を使用し、
前記カソード電極と前記アノード電極との間、および、前記カソード電極と前記グリッド電極との間に電圧を印加することで、前記エミッタから電子を電界放出させ、
前記電子を、前記グリッド電極の開口部を通過させ、前記電子の軌道を広げることで、前記蛍光体層の発光時の輝点を拡大し、輝度ムラを低減することを特徴とする、発光方法。
【0099】
(付記11)
前記発光装置は、前記エミッタから前記グリッド電極までの距離に対する前記グリッド電極から前記蛍光体層までの距離の比が、4以上であることを特徴とする付記10記載の発光方法。
【0100】
(付記12)
前記発光装置は、前記グリッド電極の開口部のサイズが、0.1〜10mmの範囲であることを特徴とする付記10または11記載の発光方法。
【0101】
(付記13)
前記発光装置は、前記グリッド電極の開口率が、60〜75%の範囲であることを特徴とする付記10から12のいずれかに記載の発光方法。
【0102】
(付記14)
前記発光装置は、前記エミッタが、複数であり、かつ互いに間隔をおいて配置され、
前記蛍光体層が、複数であり、かつ互いに間隔をおいて配置されていることを特徴とする付記10から13のいずれかに記載の発光方法。
【0103】
(付記15)
前記発光装置は、前記複数のエミッタが、ドットパターンを形成するように配置され、
前記複数の蛍光体層が、ドットパターンを形成するように配置されていることを特徴とする付記14記載の発光方法。
【0104】
(付記16)
前記発光装置は、前記複数のエミッタが、前記複数の開口部と一対一で対応する位置に配置され、
前記複数の蛍光体層が、前記複数の開口部と一対一で対応する位置に配置されていることを特徴とする付記14または15記載の発光方法。
【0105】
(付記17)
前記発光装置は、前記グリッド電極の面方向に垂直な方向から見て、前記エミッタが、前記開口部の内側に配置され、かつ、前記開口部のサイズが、前記エミッタのサイズより大きいことを特徴とする付記10から16のいずれかに記載の発光方法。
【0106】
(付記18)
前記発光装置は、前記エミッタが、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノコイル、グラフェンシートおよびこれらの複合体からなる群から選択される少なくとも一つを含むことを特徴とする付記10から17のいずれかに記載の発光方法。
【0107】
(付記19)
アノード電極が基板面に形成されたアノード基板を提供するアノード基板提供工程と、
カソード電極が基板面に形成されたカソード基板を提供するカソード基板提供工程と、
複数の開口部が形成されたグリッド電極を提供するグリッド電極提供工程と、
前記アノード基板と前記アノード電極との間、および、前記アノード電極上の少なくとも一方に、蛍光体層を形成する蛍光体層形成工程と、
前記カソード電極上に、エミッタを形成するエミッタ形成工程と、
前記アノード基板および前記カソード基板を、前記基板面が互いに対面するように配置する基板配置工程と、
前記アノード基板と前記カソード基板との間に、前記アノード基板および前記カソード基板に対向して略平行に、前記グリッド電極を配置するグリッド電極配置工程とを含むことを特徴とする、付記1記載の発光装置の製造方法。
【0108】
(付記20)
前記発光装置が、付記2記載の発光装置であり、
前記グリッド電極配置工程において、前記エミッタから前記グリッド電極までの距離に対する前記グリッド電極から前記蛍光体層までの距離の比が、4以上となるように、グリッド電極を配置することを特徴とする付記19記載の発光装置の製造方法。
【0109】
(付記21)
前記発光装置が、付記3記載の発光装置であり、
前記グリッド電極の開口部のサイズが、0.1〜10mmであることを特徴とする付記19または20記載の発光装置の製造方法。
【0110】
(付記22)
前記発光装置が、付記4記載の発光装置であり、
前記グリッド電極の開口率が、60〜75%であることを特徴とする付記19から21のいずれかに記載の発光装置の製造方法。
【0111】
(付記23)
前記発光装置が、付記5記載の発光装置であり、
前記エミッタ形成工程において、複数のエミッタを、互いに間隔をおいて形成し、
前記蛍光体層形成工程において、複数の蛍光体層を、互いに間隔をおいて形成することを特徴とする付記19から22のいずれかに記載の発光装置の製造方法。
【0112】
(付記24)
前記発光装置が、付記6記載の発光装置であり、
前記エミッタ形成工程において、ドットパターンを形成するように、前記エミッタを形成し、
前記蛍光体層形成工程において、ドットパターンを形成するように、前記蛍光体層を形成することを特徴とする付記23記載の発光装置の製造方法。
【0113】
(付記25)
前記発光装置が、付記7記載の発光装置であり、
前記エミッタ形成工程において、前記複数の開口部と一対一で対応する位置に、前記エミッタを形成し、
前記蛍光体層形成工程において、前記複数の開口部と一対一で対応する位置に、前記蛍光体層を形成することを特徴とする付記23または24記載の発光装置の製造方法。
【0114】
(付記26)
前記発光装置が、付記8記載の発光装置であり、
前記エミッタ形成工程において、前記グリッド電極の面方向に垂直な方向から見て、前記エミッタを前記開口部の内側に形成し、
前記開口部のサイズが、前記エミッタのサイズより大きいことを特徴とする付記23から25のいずれかに記載の発光装置の製造方法。
【0115】
(付記27)
前記発光装置が、付記9記載の発光装置であり、
前記エミッタ形成工程が、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノコイル、グラフェンシートおよびこれらの複合体からなる群から選択される少なくとも一つを含むペーストを、前記カソード電極上に印刷する印刷工程を含むことを特徴とする付記19から26のいずれかに記載の発光装置の製造方法。
【符号の説明】
【0116】
10 発光装置
11 ガラス基板(アノード基板)
12 透明電極(アノード電極)
13、23 蛍光体層
14、24 エミッタ
15 透明電極(カソード電極)
16 ガラス基板(カソード基板)
17 グリッド電極
18 開口部
21、22 電圧源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノード電極が基板面に配置されたアノード基板と、
カソード電極が基板面に配置されたカソード基板と、
複数の開口部が形成されたグリッド電極とを有し、
前記アノード基板および前記カソード基板は、前記基板面が互いに対面して配置され、
前記アノード基板と前記カソード基板との間に、前記アノード基板および前記カソード基板に対向して略平行に、前記グリッド電極が配置され、
前記アノード基板は、さらに、蛍光体層を含み、
前記蛍光体層は、前記アノード基板と前記アノード電極との間、および、前記アノード電極上の少なくとも一方に配置され、
前記カソード基板は、さらに、エミッタを含み、
前記エミッタが、前記カソード電極上に配置され、
前記エミッタから電界放出された電子が、前記グリッド電極の開口部を通過することにより、前記電子の軌道が広げられることで、前記蛍光体層の発光時の輝点が拡大され、輝度ムラが低減されることを特徴とする、発光装置。
【請求項2】
前記エミッタから前記グリッド電極までの距離に対する前記グリッド電極から前記蛍光体層までの距離の比が、4以上であることを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項3】
前記グリッド電極の開口部のサイズが、0.1〜10mmの範囲であることを特徴とする請求項1または2記載の発光装置。
【請求項4】
前記グリッド電極の開口率が、60〜75%の範囲であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記エミッタが、複数であり、かつ互いに間隔をおいて配置され、
前記蛍光体層が、複数であり、かつ互いに間隔をおいて配置されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項6】
前記複数のエミッタが、ドットパターンを形成するように配置され、
前記複数の蛍光体層が、ドットパターンを形成するように配置されていることを特徴とする請求項5記載の発光装置。
【請求項7】
前記複数のエミッタが、前記複数の開口部と一対一で対応する位置に配置され、
前記複数の蛍光体層が、前記複数の開口部と一対一で対応する位置に配置されていることを特徴とする請求項5または6記載の発光装置。
【請求項8】
前記グリッド電極の面方向に垂直な方向から見て、前記エミッタが、前記開口部の内側に配置され、かつ、前記開口部のサイズが、前記エミッタのサイズより大きいことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項9】
アノード電極が基板面に配置されたアノード基板と、
カソード電極が基板面に配置されたカソード基板と、
複数の開口部が形成されたグリッド電極とを有し、
前記アノード基板および前記カソード基板は、前記基板面が互いに対面して配置され、
前記アノード基板と前記カソード基板との間に、前記アノード基板および前記カソード基板に対向して略平行に、前記グリッド電極が配置され、
前記アノード基板は、さらに、蛍光体層を含み、
前記蛍光体層は、前記アノード基板と前記アノード電極との間、および、前記アノード電極上の少なくとも一方に配置され、
前記カソード基板は、さらに、エミッタを含み、
前記エミッタが、前記カソード電極上に配置された発光装置を使用し、
前記カソード電極と前記アノード電極との間、および、前記カソード電極と前記グリッド電極との間に電圧を印加することで、前記エミッタから電子を電界放出させ、
前記電子を、前記グリッド電極の開口部を通過させ、前記電子の軌道を広げることで、前記蛍光体層の発光時の輝点を拡大し、輝度ムラを低減することを特徴とする、発光方法。
【請求項10】
アノード電極が基板面に形成されたアノード基板を提供するアノード基板提供工程と、
カソード電極が基板面に形成されたカソード基板を提供するカソード基板提供工程と、
複数の開口部が形成されたグリッド電極を提供するグリッド電極提供工程と、
前記アノード基板と前記アノード電極との間、および、前記アノード電極上の少なくとも一方に、蛍光体層を形成する蛍光体層形成工程と、
前記カソード電極上に、エミッタを形成するエミッタ形成工程と、
前記アノード基板および前記カソード基板を、前記基板面が互いに対面するように配置する基板配置工程と、
前記アノード基板と前記カソード基板との間に、前記アノード基板および前記カソード基板に対向して略平行に、前記グリッド電極を配置するグリッド電極配置工程とを含むことを特徴とする、請求項1記載の発光装置の製造方法。



【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−221846(P2012−221846A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88477(P2011−88477)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】