説明

発光装置およびプロジェクター

【課題】高出力化および小型化を図ることができる発光装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る発光装置1000では、第1反射面212および第3反射面2
32は、第1出射面162aから第1反射面212までの第1出射光L1の光路長D1と
、第3出射面162bから第3反射面232までの第3出射光L3の光路長D3とが、等
しくなる位置に配置され、第2反射面222および第4反射面242は、第2出射面16
4aから第2反射面222までの第2出射光L2の光路長D2と、第4出射面164bか
ら第4反射面242までの第4出射光L4の光路長D4とが、等しくなる位置に配置され
、第1反射面212で反射された第1出射光L1の進行方向、第2反射面222で反射さ
れた第2出射光L2の進行方向、第3反射面232で反射された第3出射光L3の進行方
向、および第4反射面242で反射された第4出射光L4の進行方向は、同じである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置およびプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プロジェクターやディスプレイなどの表示装置の光源用の発光装置として、高輝
度で色再現性に優れたレーザー素子を有する発光装置が期待されている。このような光源
用の発光装置では、明るい画像を表示するために、高出力化が望まれている。高出力化を
図る方法として、例えば特許文献1には、半導体レーザーアレイからなる発光素子をスタ
ック状に積層した発光装置が提案されている。特許文献1の発光装置では、スタック状に
積層された発光素子から出射された出射光を、各光反射面が階段状にずれた状態となるよ
うに形成された反射部材によって反射させて、集光レンズに入射させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−215443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の構成では、各光反射面が出射光の進行方向に対して階段状
にずれた状態で配置されているため、装置が出射光の進行方向に大きくなってしまう問題
がある。
【0005】
本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、高出力化および小型化を図ることができ
る発光装置を提供することにある。また、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、
上記発光装置を有するプロジェクターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る発光装置は、
第1出射光を出射する第1出射面と、前記第1出射光とは反対方向に向かって進行する
第2出射光を出射する第2出射面と、を有する第1発光素子と、
前記第1出射光と同じ方向に向かって進行する第3出射光を出射する第3出射面と、前
記第3出射光とは反対方向に向かって進行する第4出射光を出射する第4出射面と、を有
する第2発光素子と、
前記第1発光素子の前記第1出射光を反射させる第1反射面と、
前記第1発光素子の前記第2出射光を反射させる第2反射面と、
前記第2発光素子の前記第3出射光を反射させる第3反射面と、
前記第2発光素子の前記第4出射光を反射させる第4反射面と、
を含み、
前記第1発光素子と前記第2発光素子は、第1方向に積層され、
前記第1出射面と前記第3出射面は、第1平面内にあり、
前記第2出射面と前記第4出射面は、第2平面内にあり、
前記第1出射面と前記第3出射面とは、前記第1平面において、前記第1方向に並ばな
いように配置され、
前記第2出射面と前記第4出射面とは、前記第2平面において、前記第1方向に並ばな
いように配置され、
前記第1反射面および前記第3反射面は、前記第1出射面から前記第1反射面までの前
記第1出射光の光路長と、前記第3出射面から前記第3反射面までの前記第3出射光の光
路長とが、等しくなる位置に配置され、
前記第2反射面および前記第4反射面は、前記第2出射面から前記第2反射面までの前
記第2出射光の光路長と、前記第4出射面から前記第4反射面までの前記第4出射光の光
路長とが、等しくなる位置に配置され、
前記第1反射面で反射された前記第1出射光の進行方向、前記第2反射面で反射された
前記第2出射光の進行方向、前記第3反射面で反射された前記第3出射光の進行方向、お
よび前記第4反射面で反射された前記第4出射光の進行方向は、同じである。
【0007】
このような発光装置によれば、前記第1反射面および前記第3反射面を、前記第1出射
面から前記第1反射面までの前記第1出射光の光路長と、前記第3出射面から前記第3反
射面までの前記第3出射光の光路長とが、等しくなる位置に配置することができ、かつ前
記第2反射面および前記第4反射面を、前記第2出射面から前記第2反射面までの前記第
2出射光の光路長と、前記第4出射面から前記第4反射面までの前記第4出射光の光路長
とが、等しくなる位置に配置することができる。そのため、発光装置の前記第1から第4
出射光の進行方向のサイズが大きくなることを抑制しつつ、高出力化を図ることができる
。したがって、高出力化および小型化を図ることができる。
【0008】
本発明に係る発光装置において、
前記第1出射面と前記第1反射面との間の前記第1出射光の光路上に設けられた、前記
第1出射光を平行光に変換する第1コリメートレンズと、
前記第2出射面と前記第2反射面との間の前記第2出射光の光路上に設けられた、前記
第2出射光を平行光に変換する第2コリメートレンズと、
前記第3出射面と前記第3反射面との間の前記第3出射光の光路上に設けられた、前記
第3出射光を平行光に変換する第3コリメートレンズと、
前記第4出射面と前記第4反射面との間の前記第4出射光の光路上に設けられた、前記
第4出射光を平行光に変換する第4コリメートレンズと、
を含むことができる。
【0009】
このような発光装置によれば、前記第1から第4コリメートレンズによって、前記第1
から第4出射光を平行光に変換して、前記第1から第4反射面に入射させることができる
。これにより、光の利用効率を向上させることができる。
【0010】
本発明に係る発光装置において、
前記第1反射面、前記第2反射面、前記第3反射面、および前記第4反射面は、放物面
ミラーであることができる。
【0011】
このような発光装置によれば、前記第1から第4反射面によって、前記第1から第4出
射光を平行光に変換することができる。これにより、光の利用効率を向上させることがで
きる。
【0012】
本発明に係る発光装置において、
前記第1出射面は、等間隔に複数配置され、
前記第2出射面は、等間隔に複数配置され、
前記第3出射面は、等間隔に複数配置され、
前記第4出射面は、等間隔に複数配置されていることができる。
【0013】
このような発光装置によれば、発光により生じる熱が発光素子の一部に集中することを
防ぐことができる。
【0014】
本発明に係る発光装置において、
前記第1発光素子および前記第2発光素子は、スーパールミネッセントダイオードであ
ることができる。
【0015】
このような発光装置によれば、端面反射による共振器の形成を抑えることにより、レー
ザー発振を防止することができるため、スペックルノイズを低減させることができる。
【0016】
本発明に係るプロジェクターは、
本発明に係る発光装置と、
前記発光装置から出射された光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、
前記光変調装置によって形成された画像を投射する投射装置と、
を含む。
【0017】
このようなプロジェクターによれば、本発明に係る発光装置を光源として用いることが
できるため、高出力化および小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態に係る発光装置を模式的に示す平面図。
【図2】本実施形態に係る発光装置を模式的に示す断面図。
【図3】本実施形態に係る発光装置を模式的に示す断面図。
【図4】本実施形態に係る発光装置を模式的に示す断面図。
【図5】本実施形態に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【図6】本実施形態に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【図7】本実施形態の第1変形例に係る発光装置を模式的に示す断面図。
【図8】本実施形態の第2変形例に係る発光装置を模式的に示す断面図。
【図9】本実施形態係るプロジェクターを模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0020】
1. 発光装置
まず、本実施形態に係る発光装置1000について、図面を参照しながら説明する。図
1は、発光装置1000を模式的に示す平面図である。図2は、発光装置1000を模式
的に示す図1のII−II線断面図である。図3は、発光装置1000を模式的に示す図
1のIII−III線断面図である。図4は、発光装置1000を模式的に示す図1のI
V−IV線断面図である。なお、図2および図3では、便宜上、発光素子100を簡略化
して図示している。
【0021】
発光装置1000は、図1〜図4に示すように、第1発光素子100aと、第2発光素
子100bと、第1反射面212を有する第1反射部210と、第2反射面222を有す
る第2反射部220と、第3反射面232を有する第3反射部230と、第4反射面24
2を有する第4反射部240と、を含む。発光装置1000は、さらに、第1コリメート
レンズ200と、第2コリメートレンズ202と、第3コリメートレンズ204と、第4
コリメートレンズ206と、ベース250と、第1サブマウント260aと、第2サブマ
ウント260bと、第3サブマウント260cと、を含むことができる。なお、ここでは
、発光素子100a,100bがInGaAlP系(赤色)のスーパールミネッセントダ
イオード(Super Luminescent Diode、以下「SLD」ともいう)である場合について説
明する。SLDは、半導体レーザーと異なり、端面反射による共振器の形成を抑えること
により、レーザー発振を防止することができる。そのため、スペックルノイズを低減させ
ることができる。
【0022】
第1発光素子100aおよび第2発光素子100bは、図2〜図4に示すように、Z方
向(第1方向)に積層されている。図示の例では、ベース250の上方に、第1サブマウ
ント260a、第1発光素子100a、第2サブマウント260b、第2発光素子100
b、第3サブマウント260cの順で積層されている。第1発光素子100aおよび第2
発光素子100bは、サブマウント260a,260b,260cを介して、ベース25
0に実装されている。例えば、ベース250とリード270に異なる電位を与えることに
より、導電性のサブマウント260a,260b,260cを介して、発光素子100a
,100bに電圧を印加することができる。図示はしないが、例えば、サブマウント26
0a,260b,260cに貫通電極を設けることで、ベース250および発光素子10
0a,100bを電気的に接続してもよい。図示の例では、発光装置1000は、発光素
子を2つ(第1発光素子100aおよび第2発光素子100b)有しているが、その数は
限定されない。発光装置1000は、複数(2つ)の発光素子100a,100bを有す
ることにより、高出力化を図ることができる。発光装置1000は、例えば、第1発光素
子100aおよび第2発光素子100bに加えて、他の発光素子を単数または複数有して
もよい。これにより、発光装置をより高出力化することができる。第1発光素子100a
および第2発光素子100bは、図4に示すように、第1クラッド層104と、活性層1
06と、第2クラッド層108と、を有する。第1発光素子100aおよび第2発光素子
100bは、さらに、例えば、基板102と、コンタクト層110と、第1電極112と
、第2電極114と、絶縁部116と、を有することができる。
【0023】
基板102としては、例えば、第1導電型(例えばn型)のGaAs基板などを用いる
ことができる。
【0024】
第1クラッド層104は、基板102上に形成されている。第1クラッド層104とし
ては、例えば、n型のAlGaInP層などを用いることができる。なお、図示はしない
が、基板102と第1クラッド層104との間に、バッファー層が形成されていてもよい
。バッファー層としては、例えば、n型のGaAs層、InGaP層などを用いることが
できる。
【0025】
活性層106は、第1クラッド層104上に形成されている。活性層106は、第1ク
ラッド層104と第2クラッド層108とに挟まれている。活性層106は、例えば、I
nGaPウェル層とInGaAlPバリア層とから構成される量子井戸構造を3つ重ねた
多重量子井戸(MQW)構造を有する。
【0026】
活性層106の形状は、例えば直方体(立方体である場合を含む)などである。活性層
106は、図1に示すように、第1側面105および第2側面107を有する。第1側面
105と第2側面107とは、互いに対向しており、例えば平行である。第1クラッド層
104と第2クラッド層108とで挟まれた活性層106は、例えば、積層構造体を構成
している。第1側面105および第2側面107は、活性層106の面のうち第1クラッ
ド層104または第2クラッド層108に接していない面であり、積層構造体において、
露出している面ともいえる。積層構造体は、さらに、基板102と、コンタクト層110
と、を有していてもよい。
【0027】
活性層106の一部の領域は、活性層106の電流経路となる利得領域160を構成し
ている。利得領域160には、光を生じさせることができ、この光は、利得領域160内
で利得を受けることができる。利得領域160の平面形状は、例えば、平行四辺形である
。利得領域160は、図1に示すように、活性層106の積層方向から平面視して(Z方
向から見て)、第1側面105から第2側面107まで、第1側面105の垂線Pに対し
て傾いた方向に向かって設けられている。これにより、利得領域160に生じる光のレー
ザー発振を抑制または防止することができる。なお、利得領域160が、ある方向に向か
って設けられている場合とは、当該方向が、平面的に見て、利得領域160の第1側面1
05側の第1端面162の中心と、第2側面107側の第2端面164の中心とを結ぶ方
向に一致する場合をいう。図示の例では、第1発光素子100aおよび第2発光素子10
0bの各々は、利得領域160を3つ有しているが、その数は限定されない。発光素子1
00a,100bは、複数の利得領域160を有することで、高出力化を図ることができ
る。
【0028】
なお、図示はしないが、利得領域160は、第1側面105側の第1端面162から第
2側面107側の第2端面164まで、直線状に、第1側面105の垂線Pと平行となる
方向に向かって設けられていてもよい。この場合には、共振器が構成され、レーザー光を
発することができる。すなわち、第1発光素子100aおよび第2発光素子100bは、
例えば、半導体レーザーであってもよい。
【0029】
第2クラッド層108は、図4に示すように、活性層106上に形成されている。第2
クラッド層108としては、例えば、第2導電型(例えばp型)のAlGaInP層など
を用いることができる。
【0030】
例えば、p型の第2クラッド層108、不純物がドーピングされていない活性層106
、およびn型の第1クラッド層104により、pinダイオードが構成される。第1クラ
ッド層104および第2クラッド層108の各々は、活性層106よりも禁制帯幅が大き
く、屈折率が小さい層である。活性層106は、光を増幅する機能を有する。第1クラッ
ド層104および第2クラッド層108は、活性層106を挟んで、注入キャリア(電子
および正孔)並びに光を閉じ込める機能を有する。
【0031】
コンタクト層110は、第2クラッド層108上に形成されている。コンタクト層11
0としては、第2電極114とオーミックコンタクトする層を用いることができる。コン
タクト層110は、例えば第2導電型の半導体からなる。コンタクト層110としては、
例えばp型GaAs層などを用いることができる。
【0032】
絶縁部116は、利得領域160の上方以外のコンタクト層110上に形成されている
。すなわち、絶縁部116は利得領域160の上方に開口を有し、該開口ではコンタクト
層110の表面が露出している。絶縁部116としては、例えば、SiN層、SiO
、ポリイミド層などを用いることができる。
【0033】
第1電極112は、基板102の下の全面に形成されている。第1電極112は、該第
1電極112とオーミックコンタクトする層(図示の例では基板102)と接しているこ
とができる。第1電極112は、基板102を介して、第1クラッド層104と電気的に
接続されている。第1電極112は、発光素子100a,100bを駆動するための一方
の電極である。第1電極112としては、例えば、基板102側からCr層、AuGe層
、Ni層、Au層の順序で積層したものなどを用いることができる。なお、第1クラッド
層104と基板102との間に、第2コンタクト層(図示せず)を設け、ドライエッチン
グなどにより該第2コンタクト層の第1クラッド層104側を露出させ、第1電極112
を第2コンタクト層上に設けることもできる。これにより、片面電極構造を得ることがで
きる。第2コンタクト層としては、例えばn型GaAs層などを用いることができる。
【0034】
第2電極114は、露出しているコンタクト層110上および絶縁部116上に形成さ
れている。第2電極114は、コンタクト層110を介して、第2クラッド層108と電
気的に接続されている。第2電極114は、発光素子100a,100bを駆動するため
の一方の電極である。第2電極114としては、例えば、コンタクト層110側からCr
層、AuZn層、Au層の順序で積層したものなどを用いることができる。第2電極11
4とコンタクト層110との接触面は、例えば、利得領域160と同じ平面形状を有して
いる。図示の例では、第2電極114とコンタクト層110との接触面の平面形状によっ
て、電極112,114間の電流経路が決定され、その結果、利得領域160の平面形状
が決定されることができる。
【0035】
発光素子100a,100bでは、第1電極112と第2電極114との間に、pin
ダイオードの順バイアス電圧を印加すると、活性層106の利得領域160において電子
と正孔との再結合が起こる。この再結合により発光が生じる。この生じた光を起点として
、連鎖的に誘導放出が起こり、利得領域160内を光が進行し、その間に光強度が増幅さ
れ、第1端面162から出射光L1,L3として出射され、第2端面164から出射光L
2,L4として出射されることができる。すなわち、第1発光素子100aは、第1端面
162(第1出射面162a)から第1出射光L1を出射し、第2端面164(第2出射
面164a)から第2出射光L2を出射することができる。また、第2発光素子100b
は、第1端面162(第3出射面162b)から第3出射光L3を出射し、第2端面(第
164(第4出射面164b)から第4出射光L4を出射することができる。出射光L1
,L2,L3,L4は、例えば、光の屈折により、第1側面105の垂線Pに対する利得
領域160の傾きよりも、さらに傾いた方向に出射されることができる。第1出射光L1
および第2出射光L2は、例えば、活性層106の上面と平行な方向に進行することがで
きる。第1出射光L1の進行方向と第2出射光L2の進行方向とは、互いに反対方向であ
る。同様に、第3出射光L3および第4出射光L4は、例えば、活性層106の上面と平
行な方向に進行することができる。第3出射光L3の進行方向と第4出射光L4の進行方
向とは、互いに反対方向である。なお、第1出射光L1の進行方向と第3出射光L3の進
行方向は、例えば、同じである。また、第2出射光L2の進行方向と、第4出射光L4の
進行方向は、例えば、同じである。
【0036】
第1発光素子100aの第1出射面162aと第2発光素子100bの第3出射面16
2bは、図1〜図3に示すように、同一平面(第1平面、図示の例ではX−Z平面)内に
位置している。同様に、第1発光素子100aの第2出射面164aと第2発光素子10
0bの第4出射面164bとは、同一平面(第2平面、図示の例ではX−Z平面)内に位
置している。第1平面と第2平面とは、例えば、互いに対向する面であり、図示の例では
、平行である。第1出射面162aと第3出射面162bとは、図3に示すように、第1
平面において、発光素子100a,100bが積層された方向(Z方向)に並ばないよう
に配置されている。すなわち、第1出射面162aの中心と第3出射面162bの中心と
は、発光素子100a,100bが積層された方向に延びる同一直線上に位置していない
。ここで、第1出射面162aの中心とは、例えば、第1出射面162aにおいて光強度
の最も強い箇所をいうことができる。なお、他の出射面についても同様である。第1出射
面162aと第3出射面162bとは、発光素子100a,100bが積層された方向か
ら見て、重ならないように配置されていてもよい。同様に、第2出射面164aと第4出
射面164bとは、第2平面において、発光素子100a,100bが積層された方向(
Z方向)に並ばないように配置されている。すなわち、第2出射面164aの中心と第4
出射面164bの中心とは、発光素子100a,100bが積層された方向に延びる同一
直線上に位置していない。第2出射面164aと第4出射面164bとは、発光素子10
0a,100bが積層された方向から見て、重ならないように配置されていてもよい。
【0037】
第1出射面162aは、第1発光素子100aの活性層106の第1側面105に等間
隔に複数配置されていることができる。第2出射面164aは、第1発光素子100aの
活性層106の第2側面107に等間隔に複数配置されていることができる。すなわち、
利得領域160は、活性層106に等間隔に配置されていることができる。これにより、
発光により生じる熱が第1発光素子100aの一部に集中することを防ぐことができる。
第3出射面162bは、第2発光素子100bの活性層106の第1側面105に等間隔
に複数配置されていることができる。第4出射面164bは、第2発光素子100bの活
性層106の第2側面107に等間隔に複数配置されていることができる。すなわち、利
得領域160は、活性層106に等間隔に配置されていることができる。これにより、発
光により生じる熱が第2発光素子100bの一部に集中することを防ぐことができる。
【0038】
第1コリメートレンズ200は、図1および図2に示すように、第1出射面162aと
第1反射面212の間の第1出射光L1の光路上に設けられている。第1コリメートレン
ズ200は、例えば、レンズ支持部208によって支持されている。第1コリメートレン
ズ200は、第1出射光L1を平行光に変換する光学素子である。すなわち、第1コリメ
ートレンズ200によって、第1出射光L1を平行光に変換して、第1反射面212に入
射させることができる。これにより、光の利用効率を向上させることができる。
【0039】
第2コリメートレンズ202は、第2出射面164aと第2反射面222の間の第2出
射光L2の光路上に設けられている。第2コリメートレンズ202は、例えば、レンズ支
持部208によって支持されている。第2コリメートレンズ202は、第2出射光L2を
平行光に変換する光学素子である。すなわち、第2コリメートレンズ202によって、第
2出射光L2を平行光に変換して、第2反射面222に入射させることができる。これに
より、光の利用効率を向上させることができる。
【0040】
第3コリメートレンズ204は、第3出射面162bと第3反射面232の間の第3出
射光L3の光路上に設けられている。第3コリメートレンズ204は、例えば、レンズ支
持部208によって支持されている。第3コリメートレンズ204は、第3出射光L3を
平行光に変換する光学素子である。すなわち、第3コリメートレンズ204によって、第
3出射光L3を平行光に変換して、第3反射面232に入射させることができる。これに
より、光の利用効率を向上させることができる。
【0041】
第4コリメートレンズ206は、第4出射面164bと第4反射面242の間の第4出
射光L4の光路上に設けられている。第4コリメートレンズ206は、例えば、レンズ支
持部208によって支持されている。第4コリメートレンズ206は、第4出射光L4を
平行光に変換する光学素子である。すなわち、第4コリメートレンズ206によって、第
4出射光L4を平行光に変換して、第4反射面242に入射させることができる。これに
より、光の利用効率を向上させることができる。
【0042】
レンズ支持部208は、コリメートレンズ200,202,204,206を支持する
ための部材である。レンズ支持部208は、図示の例では、2つ設けられており、一方は
、第1コリメートレンズ200および第3コリメートレンズ204を支持し、他方は、第
2コリメートレンズ202と、第4コリメートレンズ206を支持している。レンズ支持
部208の形状は、コリメートレンズ200,202,204,206を支持することが
できれば、特に限定されない。レンズ支持部208の材質としては、ガラス、セラミック
スなどが挙げられる。
【0043】
第1反射部210は、第1反射面212で、第2出射光L2を反射させることができる
。第1出射光L1は、第1コリメートレンズ200により平行光に変換された後に、第1
反射面212により反射される。第1反射面212は、第1反射部210のうち、第1出
射光L1が入射する面であるともいえる。第1反射面212は、第1出射光L1を発光素
子100a、100bの上側に向けて反射させることができる。第1出射光L1は、第1
反射面212により反射され、第1反射光L1として、例えば、活性層106の上面に
対して垂直上向き(Z方向)に進むことができる。第1反射面212は、例えば、ベース
250の上面(X−Y平面)に対して傾いており、図示の例では、45度傾いている。こ
れにより、第1出射光L1の進行方向と、第1反射光L1の進行方向とは、直角を成す
ことができる。第1反射面212の第1出射光L1に対する反射率は、50%より高く、
100%以下であることが好ましい。第1反射部210の材質としては、例えば、Al、
Ag、Auなどが挙げられる。例えば、第1反射部210の表面の材質のみを、上記材質
(例えば、Al、Ag、Au)とすることにより、第1反射部210の表面を第1反射面
212としてもよい。第1反射部210は、例えば、反射部支持基板244によって支持
されている。
【0044】
第2反射部220は、第2反射面222で、第2出射光L2を反射させることができる
。第2出射光L2は、第2コリメートレンズ202により平行光に変換された後に、第2
反射面222により反射される。第2反射面222は、第2反射部220のうち、第2出
射光L2が入射する面であるともいえる。第2反射面222は、第2出射光L2を発光素
子100a、100bの上側に向けて反射させることができる。第2出射光L2は、第2
反射面222により反射され、第2反射光L2として、例えば、活性層106の上面に
対して垂直上向き(Z方向)に進むことができる。第2反射面222は、例えば、ベース
250の表面(X−Y平面)に対して傾いており、図示の例では、45度傾いている。こ
れにより、第2出射光L2の進行方向と、第2反射光L2の進行方向とは、直角を成す
ことができる。第2反射面222の第2出射光L2に対する反射率は、50%より高く、
100%以下であることが好ましい。第2反射部220の材質としては、例えば、Al、
Ag、Auなどが挙げられる。例えば、第2反射部220の表面の材質のみを、上記材質
(例えば、Al、Ag、Au)とすることにより、第2反射部220の表面を第2反射面
222としてもよい。第2反射部220は、例えば、反射部支持基板244によって支持
されている。
【0045】
第3反射部230は、第3反射面232で、第3出射光L3を反射させることができる
。第3出射光L3は、第3コリメートレンズ204により平行光に変換された後に、第3
反射面232により反射される。第3反射面232は、第3反射部230のうち、第3出
射光L3が入射する面であるともいえる。第3反射面232は、第3出射光L3を発光素
子100a、100bの上側に向けて反射させることができる。第3出射光L3は、第3
反射面232により反射され、第3反射光L3として、例えば、活性層106の上面に
対して垂直上向き(Z方向)に進むことができる。第3反射面232は、例えば、ベース
250の表面(X−Y平面)に対して傾いており、図示の例では、45度傾いている。こ
れにより、第3出射光L3の進行方向と、第3反射光L3の進行方向とは、直角を成す
ことができる。第3反射面232の第3出射光L3に対する反射率は、50%より高く、
100%以下であることが好ましい。第3反射部230の材質としては、例えば、Al、
Ag、Auなどが挙げられる。例えば、第3反射部230の表面の材質のみを、上記材質
(例えば、Al、Ag、Au)とすることにより、第3反射部230の表面を第3反射面
232としてもよい。第3反射部230は、例えば、反射部支持基板244によって支持
されている。
【0046】
第4反射部240は、第4反射面242で、第4出射光L4を反射させることができる
。第4出射光L4は、第4コリメートレンズ206により平行光に変換された後に、第4
反射面242により反射される。第4反射面242は、第4反射部240のうち、第4出
射光L4が入射する面であるともいえる。第4反射面242は、第4出射光L4を発光素
子100a、100bの上側に向けて反射させることができる。第4出射光L4は、第4
反射面242により反射され、第4反射光L4として、例えば、活性層106の上面に
対して垂直上向き(Z方向)に進むことができる。第4反射面242は、例えば、ベース
250の表面(X−Y平面)に対して傾いており、図示の例では、45度傾いている。こ
れにより、第4出射光L4の進行方向と、第4反射光L4の進行方向とは、直角を成す
ことができる。第4反射面242の第4出射光L4に対する反射率は、50%より高く、
100%以下であることが好ましい。第4反射部240の材質としては、例えば、Al、
Ag、Auなどが挙げられる。例えば、第4反射部240の表面の材質のみを、上記材質
(例えば、Al、Ag、Au)とすることにより、第4反射部240の表面を第4反射面
242としてもよい。第4反射部240は、例えば、反射部支持基板244によって支持
されている。
【0047】
発光装置1000では、第1出射面162aと第3出射面162bとは、図3に示すよ
うに、第1平面において、発光素子100a,100bが積層された方向(Z方向)に並
ばないように配置されている。したがって、図1に示すように、第1反射面212および
第3反射面232を、第1出射面162aから第1反射面212までの第1出射光L1の
光路長D1と、第3出射面162bから第3反射面232までの第3出射光L3の光路長
D3とが等しくなるように配置することができる。同様に、第2出射面164aと第4出
射面164bとは、第2平面において、発光素子100a,100bが積層された方向(
Z方向)に並ばないように配置されている。したがって、第2反射面222および第4反
射面242を、第2出射面164aから第2反射面222までの第2出射光L2の光路長
D2と、第4出射面164bから第4反射面242までの第4出射光L4の光路長D4と
が、等しくなる位置に配置することができる。図示の例では、第1出射光L1の光路長D
1、第2出射光L2の光路長D2、第3出射光L3の光路長D3、第4出射光L4の光路
長D4は、等しい。
【0048】
第1出射光L1の進む向きは、活性層106の上面に平行な面(X−Y平面)と第1反
射面212との交線に対して直角をなしている。第2出射光L2の進む向きは、活性層1
06の上面に平行な面と第2反射面222との交線に対して直角をなしている。同様に、
第3出射光L3の進む向きは、活性層106の上面に平行な面(X−Y平面)と第3反射
面232との交線に対して直角をなしている。第4出射光L4の進む向きは、活性層10
6の上面に平行な面と第4反射面242との交線に対して直角をなしている。これにより
、第1反射面212による第1反射光L1の進行方向、第2反射面222による第2反
射光L2の進行方向、第3反射面232による第3反射光L3の進行方向、および第
4反射面242による第4反射光L4の進行方向を、同じにすることができる。
【0049】
反射部支持基板244は、反射部210,220,230,240を支持するための部
材である。反射部支持基板244は、図示の例では、2つ設けられており、一方は、第1
反射部210および第3反射部230を支持し、他方は、第2反射部220と、第4反射
部240を支持している。反射部支持基板244の形状は、反射部210,220,23
0,240を支持することができれば、特に限定されない。反射部支持基板244の材質
としては、ガラス、セラミックスなどが挙げられる。
【0050】
ベース250は、第1サブマウント260aおよび第2サブマウント260bを介して
、間接的に発光素子100a,100bを支持することができる。ベース250としては
、例えば、板状(直方体形状)の部材を用いることができる。ベース250には、例えば
、柱部252が形成されている。柱部252は、例えば、サブマウント260a,260
b,260cと接しており、サブマウント260a,260b,260cの熱を逃がすこ
とができる。ベース250は、例えば、Cu、Al、Mo、W、Si、C、Be、Auや
、これらの化合物(例えば、AlN、BeOなど)や合金(例えばCuMoなど)などか
らなることができる。また、これらの例示を組み合わせたもの、例えば銅(Cu)層とモ
リブデン(Mo)層の多層構造などから、ベース250を構成することもできる。
【0051】
第1サブマウント260aは、第1発光素子100aを支持することができる。第2サ
ブマウント260bは、第2発光素子100bを支持することができる。第3サブマウン
ト260cは、第2発光素子100b上に形成され、リード270を支持することができ
る。サブマウント260a,260b,260cは、例えば、AlN、CuW、SiC、
BeO、CuMo、銅(Cu)層とモリブデン(Mo)層の多層構造(CMC)などから
なることができる。
【0052】
ベース250の熱伝導率は、サブマウント260a,260b,260cの熱伝導率よ
りも高く、サブマウント260a,260b,260cの熱伝導率は、発光素子100a
,100bの熱伝導率よりも高い。ベース250およびサブマウント260a,260b
,260cの各々の熱伝導率は、例えば、140W/mK以上である。サブマウント26
0a,260b,260cの熱膨張率は、発光素子100a,100bの熱膨張率に近い
ことが望ましい。例えば、図示はしないが、サブマウント260a,260b,260c
を用いず、発光素子100a,100bを直接ベース250に実装すると、ベース250
と発光素子100a,100bとの熱膨張率の差により、実装時の過熱や駆動時の発熱に
より反りが発生し発光素子100a,100bに応力が加わって、信頼性が低下する場合
がある。このような問題に対し、本実施形態では、サブマウント260a,260b,2
60cを用いることにより、ベース250と発光素子100a,100bとの熱膨張率の
差によって生じる応力を緩和し、信頼性を向上させることができる。また、サブマウント
260a,260b,260cの各々と、柱部252を接触させることで、より放熱性を
高めることができる。すなわち、柱部252は、各サブマウント260a,260b,2
60cを放熱させる放熱部として機能することができる。このような場合、例えば、少な
くともサブマウント260a,260b,260と接触する柱部252の表面を絶縁性の
材質とすることで、電気的に短絡させないことができる。
【0053】
リード270は、第3サブマウント260c上に形成されている。リード270は、端
子272と第3サブマウント260cとを電気的に接続している。発光装置1000では
、例えば、ベース250がアノード端子として機能し、端子272がカソード端子として
機能することができる。端子272は、図3に示すように、ベース250上に形成された
端子支持部274によって支持されている。
【0054】
発光装置1000の一例として、発光素子100a,100bがInGaAlP系の場
合について説明したが、発光素子100a,100bは、発光利得領域が形成可能なあら
ゆる材料系を用いることができる。半導体材料であれば、例えば、AlGaN系、InG
aN系、GaAs系、InGaAs系、GaInNAs系、ZnCdSe系などの半導体
材料を用いることができる。
【0055】
発光装置1000は、例えば、以下の特徴を有する。
【0056】
発光装置1000によれば、第1反射面212および第3反射面232を、第1出射面
162aから第1反射面212までの第1出射光L1の光路長D1と、第3出射面162
bから第3反射面232までの第3出射光L3の光路長D3とが等しくなるように配置す
ることができる。同様に、第2反射面222および第4反射面242を、第2出射面16
4aから第2反射面222までの第2出射光L2の光路長D2と、第4出射面164bか
ら第4反射面242までの第4出射光L4の光路長D4とが、等しくなる位置に配置する
ことができる。そのため、発光装置1000の出射光L1,L2,L3,L4の進行方向
のサイズが大きくなることを抑制しつつ、高出力化を図ることができる。例えば、出射面
を発光素子が積層された方向に並べて配置した発光装置では、各反射面を出射光の進行方
向に対して階段状にずれた状態で配置しなければならないため、装置が出射光の進行方向
に大きくなってしまう。本実施例では、このような問題を回避することができる。したが
って、高出力化および小型化を図ることができる。
【0057】
発光装置1000によれば、出射光L1,L2,L3,L4を同じ向きに向けて反射さ
せることができる。すなわち、第1反射面212による第1反射光L1の進行方向、第
2反射面222による第2反射光L2の進行方向、第3反射面232による第3反射光
L3の進行方向、および第4反射面242による第4反射光L4の進行方向を、同じ
にすることができる。これにより、例えば、発光装置をプロジェクターの光源として用い
る場合、プロジェクターの光学系の構成を簡素化することができ、プロジェクターにおい
て光軸合わせを容易化することができる。
【0058】
発光装置1000によれば、コリメートレンズ200,202,204,206を有す
ることができる。これにより、出射光L1,L2,L3,L4を平行光に変換して、反射
面212,222,232,242に入射させることができる。これにより、光の利用効
率を向上させることができる。
【0059】
発光装置1000によれば、発光素子100a,100bは、SLDであることができ
る。そのため、利得領域160に生じる光のレーザー発振を抑制または防止することがで
きる。したがって、スペックルノイズを低減させることができる。
【0060】
2. 発光装置の製造方法
次に、本実施形態に係る発光装置1000の製造方法について、図面を参照しながら説
明する。図5および図6は、発光装置1000の製造工程を模式的に示す断面図である。
【0061】
図5に示すように、基板102上に、第1クラッド層104、活性層106、第2クラ
ッド層108、およびコンタクト層110を、この順でエピタキシャル成長させる。エピ
タキシャル成長させる方法としては、例えば、MOCVD(Metal Organic Chemical Vap
or Deposition)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法などを用いることができる。
【0062】
図6に示すように、コンタクト層110上に、開口部を有する絶縁部116を形成する
。絶縁部116は、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法などにより形成さ
れる。開口部は、例えば、絶縁部をフォトリソグラフィー技術およびエッチング技術によ
りパターニングし、コンタクト層110が露出するように形成される。
【0063】
次に、露出したコンタクト層110および絶縁部116上に第2電極114を形成する
。次に、基板102の下面下に第1電極112を形成する。第1電極112および第2電
極114は、例えば、真空蒸着法により形成される。なお、第1電極112および第2電
極114の形成順序は、特に限定されない。以上の工程により、第1発光素子100aを
得ることができる。
【0064】
図2に示すように、まず、第1サブマウント260a、第1発光素子100a、第2サ
ブマウント260b、第2発光素子100b、第3サブマウント260cの順で、ベース
250に実装する。
【0065】
図1および図3に示すように、端子272を形成する。端子272は、ベース250上
に形成された端子支持部274上に形成される。次に、端子272と、第3サブマウント
260cをリード270によって接続する。
【0066】
次に、コリメートレンズ200,202,204,206および反射部210,220
,230,240をベース250上に配置する。コリメートレンズ200,202,20
4,206および反射部210,220,230,240は、出射光L1,L2,L3,
L4に対する光軸調整を行いながら配置される。
【0067】
以上の工程により、発光装置1000を製造することができる。
【0068】
3. 発光装置の変形例
次に、本実施形態の変形例に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。以
下、本実施形態の変形例に係る発光装置において、本実施形態に係る発光装置1000の
構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略
する。
【0069】
(1)第1変形例に係る発光装置
まず、本実施形態の第1変形例に係る発光装置2000について、図面を参照しながら
説明する。図7は、発光装置2000を模式的に示す断面図であり、図2に対応している
。なお、図7では、便宜上、発光素子100a,100bを簡略化して図示している。
【0070】
発光装置1000の例では、図2に示すように、反射面212,222,232,24
2が、ベース250の表面に対して45度傾いた面であった。これに対し、発光装置20
00では、図7に示すように、反射面212,222,232,242は、放物面ミラー
であることができる。すなわち、反射面212,222,232,242が、放物面形状
(回転放物面形状)であることができる。
【0071】
第1発光素子100aの第1出射面162aは、例えば、第1反射面212の焦点に位
置するように配置され、第1発光素子100aの第2出射面164aは、例えば、第2反
射面222の焦点に位置するように配置されている。これにより、第1発光素子100a
から水平方向に出射された2つの出射光L1,L2を同じ向きに向けて反射させることが
でき、かつ平行光に変換することができる。同様に、第2発光素子100bの第3出射面
162bは、例えば、第3反射面232の焦点に位置するように配置され、第2発光素子
100bの第4出射面164bは、例えば、第4反射面242の焦点に位置するように配
置されている。これにより、第2発光素子100bから水平方向に出射された2つの出射
光L3,L4を同じ向きに向けて反射させることができ、かつ平行光に変換することがで
きる。
【0072】
このように、発光装置2000によれば、コリメートレンズ200,202,204,
206を用いることなく反射面212,222,232,242により、出射光L1,L
2を平行光に変換することができるため、部品点数を減らすことができる。
【0073】
(2)第2変形例に係る発光装置
次に、本実施形態の第2変形例に係る発光装置3000について、図面を参照しながら
説明する。図8は、発光装置3000を模式的に示す断面図であり、図4に対応している

【0074】
発光装置1000の例では、いわゆる利得導波型について説明した。これに対し、発光
装置3000は、いわゆる屈折率導波型であることができる。
【0075】
すなわち、発光装置3000では、図8に示すように、コンタクト層110と、第2ク
ラッド層108の一部とは、柱状部111を構成することができる。柱状部111の平面
形状は、利得領域160と同じである。例えば、柱状部111の平面形状によって、電極
112,114間の電流経路が決定され、その結果、利得領域160の平面形状が決定さ
れる。なお、図示はしないが、柱状部111は、例えば、コンタクト層110、第2クラ
ッド層108、および活性層106から構成されていてもよいし、さらに、第1クラッド
層104をも含んで構成されていてもよい。また、柱状部111の側面を傾斜させること
もできる。
【0076】
柱状部111の側方には、絶縁部116が設けられている。絶縁部116は、柱状部1
11の側面に接していることができる。電極112,114間の電流は、絶縁部116を
避けて、該絶縁部116に挟まれた柱状部111を流れることができる。絶縁部116は
、活性層106の屈折率よりも小さい屈折率を有することができる。これにより、平面方
向(活性層106の上面と平行な方向)において、利得領域160内に効率良く光を閉じ
込めることができる。
【0077】
4. プロジェクター
次に、本実施形態に係るプロジェクター4000について、図面を参照しながら説明す
る。図9は、プロジェクター4000を模式的に示す図である。なお、図9では、便宜上
、プロジェクター4000を構成する筐体は省略している。
【0078】
プロジェクター4000において、赤色光、緑色光、青色光を出射する赤色光源(発光
装置)1000R,緑色光源(発光装置)1000G、青色光源(発光装置)1000B
は、本発明に係る発光装置(例えば発光装置1000)である。
【0079】
プロジェクター4000は、光源1000R,1000G,1000Bから出射された
光をそれぞれ画像情報に応じて変調する透過型の液晶ライトバルブ(光変調装置)404
R,404G,404Bと、液晶ライトバルブ404R,404G,404Bによって形
成された像を拡大してスクリーン(表示面)410に投射する投射レンズ(投射装置)4
08と、を備えている。また、プロジェクター4000は、液晶ライトバルブ404R,
404G,404Bから出射された光を合成して投写レンズ408に導くクロスダイクロ
イックプリズム(色光合成手段)406を備えていることができる。
【0080】
さらに、プロジェクター4000は、光源1000R,1000G,1000Bから出
射された光の照度分布を均一化させるため、各光源1000R,1000G,1000B
よりも光路下流側に、均一化光学系402R,402G,402Bを設けており、これら
によって照度分布が均一化された光によって、液晶ライトバルブ404R,404G,4
04Bを照明している。均一化光学系402R,402G、402Bは、例えば、ホログ
ラム402aおよびフィールドレンズ402bによって構成される。
【0081】
各液晶ライトバルブ404R,404G,404Bによって変調された3つの色光は、
クロスダイクロイックプリズム406に入射する。このプリズムは4つの直角プリズムを
貼り合わせて形成され、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘
電体多層膜とが十字状に配置されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合
成され、カラー画像を表す光が形成される。そして、合成された光は投写光学系である投
射レンズ406によりスクリーン410上に投写され、拡大された画像が表示される。
【0082】
プロジェクター4000によれば、上述のように、高出力かつ小型化された発光装置1
000を光源として用いることができる。そのため、プロジェクター4000は、高出力
化および小型化を図ることができる。
【0083】
なお、上述の例では、光変調装置として透過型の液晶ライトバルブを用いたが、液晶以
外のライトバルブを用いてもよいし、反射型のライトバルブを用いてもよい。このような
ライトバルブとしては、例えば、反射型の液晶ライトバルブや、デジタルマイクロミラー
デバイス(Digital Micromirror Device)が挙げられる。また、投射光学系の構成は、使
用されるライトバルブの種類によって適宜変更される。
【0084】
また、発光装置1000を、発光装置1000からの光をスクリーン上で走査させるこ
とにより、表示面に所望の大きさの画像を表示させる画像形成装置である走査手段を有す
るような走査型の画像表示装置(プロジェクター)の光源装置にも適用することが可能で
ある。
【0085】
なお、上述した実施形態および変形例は一例であって、これらに限定されるわけではな
い。例えば、各実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【0086】
上記のように、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および
効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できよ
う。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0087】
100a 第1発光素子、100b 第2発光素子、102 基板、
104 第1クラッド層、105 第1側面、106 活性層、107 第2側面、
108 第2クラッド層、110 コンタクト層、111 柱状部、112 第1電極、
114 第2電極、160 利得領域、162 第1端面、162a 第1出射面、
162b 第3出射面、164 第2端面、164a 第2出射面、
164b 第4出射面、200 第1コリメートレンズ、
202 第2コリメートレンズ、204 第3コリメートレンズ、
206 第4コリメートレンズ、208 レンズ支持部、210 第1反射部、
212 第1反射面、220 第2反射部、222 第2反射面、230 第3反射部、
232 第3反射面、240 第4反射部、242 第5反射面、
244 反射部支持基板、250 ベース、252 柱部、
260a 第1サブマウント、260b 第1サブマウント、
260c 第1サブマウント、270 リード、272 端子、274 端子支持部、
402 均一化光学系、402a ホログラム、402b フィールドレンズ、
404 液晶ライトバルブ、406 クロスダイクロイックプリズム、
408 投写レンズ、410 スクリーン、1000,2000,3000 発光装置、
4000 プロジェクター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1出射光を出射する第1出射面と、前記第1出射光とは反対方向に向かって進行する
第2出射光を出射する第2出射面と、を有する第1発光素子と、
前記第1出射光と同じ方向に向かって進行する第3出射光を出射する第3出射面と、前
記第3出射光とは反対方向に向かって進行する第4出射光を出射する第4出射面と、を有
する第2発光素子と、
前記第1発光素子の前記第1出射光を反射させる第1反射面と、
前記第1発光素子の前記第2出射光を反射させる第2反射面と、
前記第2発光素子の前記第3出射光を反射させる第3反射面と、
前記第2発光素子の前記第4出射光を反射させる第4反射面と、
を含み、
前記第1発光素子と前記第2発光素子は、第1方向に積層され、
前記第1出射面と前記第3出射面は、第1平面内にあり、
前記第2出射面と前記第4出射面は、第2平面内にあり、
前記第1出射面と前記第3出射面とは、前記第1平面において、前記第1方向に並ばな
いように配置され、
前記第2出射面と前記第4出射面とは、前記第2平面において、前記第1方向に並ばな
いように配置され、
前記第1反射面および前記第3反射面は、前記第1出射面から前記第1反射面までの前
記第1出射光の光路長と、前記第3出射面から前記第3反射面までの前記第3出射光の光
路長とが、等しくなる位置に配置され、
前記第2反射面および前記第4反射面は、前記第2出射面から前記第2反射面までの前
記第2出射光の光路長と、前記第4出射面から前記第4反射面までの前記第4出射光の光
路長とが、等しくなる位置に配置され、
前記第1反射面で反射された前記第1出射光の進行方向、前記第2反射面で反射された
前記第2出射光の進行方向、前記第3反射面で反射された前記第3出射光の進行方向、お
よび前記第4反射面で反射された前記第4出射光の進行方向は、同じである、発光装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1出射面と前記第1反射面との間の前記第1出射光の光路上に設けられた、前記
第1出射光を平行光に変換する第1コリメートレンズと、
前記第2出射面と前記第2反射面との間の前記第2出射光の光路上に設けられた、前記
第2出射光を平行光に変換する第2コリメートレンズと、
前記第3出射面と前記第3反射面との間の前記第3出射光の光路上に設けられた、前記
第3出射光を平行光に変換する第3コリメートレンズと、
前記第4出射面と前記第4反射面との間の前記第4出射光の光路上に設けられた、前記
第4出射光を平行光に変換する第4コリメートレンズと、
を含む、発光装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記第1反射面、前記第2反射面、前記第3反射面、および前記第4反射面は、放物面
ミラーである、発光装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、
前記第1出射面は、等間隔に複数配置され、
前記第2出射面は、等間隔に複数配置され、
前記第3出射面は、等間隔に複数配置され、
前記第4出射面は、等間隔に複数配置されている、発光装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、
前記第1発光素子および前記第2発光素子は、スーパールミネッセントダイオードであ
る、発光装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の発光装置と、
前記発光装置から出射された光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、
前記光変調装置によって形成された画像を投射する投射装置と、
を含むプロジェクター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−124307(P2011−124307A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−279197(P2009−279197)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】