説明

発光装置および発光方法

【課題】1つの光源を用いて、複数の発光箇所を独立の明るさで発光させ、かつ、光源の生成する可視光を、様々な位置の発光箇所に供給できるようにする。
【解決手段】光源1の生成する可視光を、光ファイバ6が、光カプラ3に出力する。光カプラ3は、光ファイバ6から出力される可視光を、制御回路2の指示する比率で分岐させる。そして、光カプラ3の分岐した可視光の各々を、光ファイバ7および8が、それぞ発光部11および12に出力する。発光部11および12は、光ファイバ7および8が出力する可視光で発光する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置および発光方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1つの光源で機器の複数個所を発光させる、幾つかの技術が提案されている。
例えば、特許文献1では、1つの光源からの光を、導光板に入力して最初の照射部を発光させ、さらに導光板を透過した光で別の照射部を発光させる方法が示されている。
また、特許文献2では、面状照明装置が、照射光の偏向方向に応じて照射光を透過または反射させる偏向ビームスプリッタと、照射光の偏向の回転量を制御できる液晶素子とを含むビームスプリッタを具備し、液晶素子で偏向の回転量を制御する方法が示されている。この方法によれば、照射光の分岐比率を制御可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4225369号公報
【特許文献2】国際公開第2008/114507号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の方法では、光源からの光が、一定の割合で各照射部に供給される。このため、1箇所の照射部だけを明るく発光させたい場合でも、その他の照射部も同様に発光することとなり、無駄な電力を消費してしまう。また、特許文献1に記載の方法を用いて各照射部を発光させ、照射部の明るさを切り替える場合、一方の照射部の明るさに合わせて光源を明るくすると、他の照射部も明るく発光するようになる。従って、特許文献1に記載の方法は、照射部の各々を独立の明るさで発光させたい場合には適さない。
【0005】
一方、特許文献2に記載の方法では、照射光の分光比率を制御可能とされている。これによれば、分光された光で各照射部を発光させることで、照射部の各々を独立の明るさで発光させ得る。
しかしながら、特許文献2に記載の方法では、照明光をビームスプリッタに照射して透過および反射させることで照明光を分岐するので、空気中などの自由空間において照明光をビームスプリッタに照射する必要がある。このため、導波路は、自由空間を直進する導波路となり、照射可能な部分が限定されてしまう。仮に、ビームスプリッタを透過した光またはビームスプリッタで反射した光を光ファイバに入射させ、光ファイバで導波路を形成しようとすると、光を光ファイバに入射させる際に、光の反射および減衰が生じて光をロスしてしまう。
【0006】
本発明は、上述の課題を解決することのできる発光装置および発光方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は上述した課題を解決するためになされたもので、本発明の一態様による発光装置は、可視光を生成する光源と、入力される可視光を可変比率で分岐させる光カプラと、前記光カプラにおける可視光の分岐比率を制御する制御回路と、前記光源の生成する可視光を前記光カプラに伝達する第1の光ファイバと、前記光カプラの分岐する可視光の各々を伝達する第2の光ファイバと、前記第2の光ファイバの伝達する可視光で発光する発光部と、を具備することを特徴とする。
また、本発明の一態様による発光方法は、可視光を、第1の光ファイバで光カプラに出力する第1の光伝達ステップと、前記光カプラにおける可視光の分岐比率を制御する制御ステップと、前記光カプラが、前記第1の光ファイバから出力される可視光を、前記制御ステップにおける制御に従って可変比率で分岐させる分岐ステップと、前記光カプラの分岐する可視光の各々を、第2の光ファイバで発光部に出力する第2の光伝達ステップと、前記発光部が、前記第2の光ファイバから出力される可視光で発光する発光ステップと、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、1つの光源を用いて、複数の発光箇所を独立の明るさで発光させることができ、かつ、光源の生成する可視光を、様々な位置の発光箇所に供給し得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態における発光装置の概略構成を示す構成図である。
【図2】同実施形態における発光装置の一例である携帯電話機の外形を示す外形図である。
【図3】同実施形態の携帯電話機の筺体内における配置例を示す配置図である。
【図4】同実施形態の携帯電話機における可視光の伝搬を示す説明図である。
【図5】同実施形態の携帯電話機において、ディスプレイおよび操作入力キー以外に、光源の生成する可視光で発光する部分の例を示す図である。
【図6】同実施形態の携帯電話機において、ディスプレイおよび操作入力キー以外に、光源の生成する可視光で発光する部分の、もう1つの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態における発光装置の概略構成を示す構成図である。同図において、発光装置100は、光源1と、制御回路2と、光カプラ3と、光ファイバ6〜8と、発光部11〜12とを具備する。光ファイバ6は第1の光ファイバの一例であり、光ファイバ7および8は、第2の光ファイバの一例である。
【0011】
光源1は、可視光を生成して出力する。光源1としては、発光ダイオード(Light Emitting Diode;LED)や、白熱電球や、蛍光灯や、レーザ光源など、可視光を生成する様々な装置を用いることができる。
ここで、光源1は、一定の明るさで発光する装置であってもよいし、明るさが可変の装置であってもよい。例えば、光源1として白熱電球を用いる場合、光源1に印加する電力を変化させることで光源1の明るさを変化させる。また、光源1として発光ダイオードを用いる場合、パルス駆動を行い(光源1にパルス状の電力を入力し)デューティー比を変化させることで明るさを変化させる。
以下では、光源1の明るさが可変の場合について説明する。光源1の明るさが一定の場合、発光装置100は、以下で説明するように、光カプラ3における可視光の分岐比率を制御する。
【0012】
光カプラ3は、入力される可視光を可変比率で分岐させる。光カプラ3としては、例えば光通信などで一般に用いられる光カプラ(スイッチ)を用いることができる。光カプラが、入力される可視光の分岐比率を変化させる方式としては、例えば、光カプラに入力される可視光に電界を印加して屈折率を変化させる方式が知られている。光カプラ3としても、当該方式の光カプラを用いることができる。
制御回路2は、光カプラ3における可視光の分岐比率を制御する。具体的には、制御回路2は、光カプラ3における可視光の分岐比率を決定し、決定した分岐比率に応じた制御信号を光カプラ3に出力する。また、制御回路2は、光源1の明るさを制御する。
【0013】
光ファイバ6は、光源1が生成して出力する可視光を光カプラ3に伝達する。光ファイバ7は、光カプラ3の分岐する可視光を発光部11に伝達する。光ファイバ8は、光カプラ3の分岐する可視光を発光部12に伝達する。
発光部11は、光ファイバ7の伝達する可視光で発光する。発光部12は、光ファイバ7の伝達する可視光で発光する。
【0014】
当該構成に基づき、制御回路2は、光源1の明るさと、光カプラ3における可視光の分岐比率とを調節することで、発光部11および12の明るさを調節する。
以下、制御回路2が行う光源1および光カプラ3に対する制御について例を用いて説明する。以下では、光源1がOFFの状態(可視光を出力しない状態)における光源1の明るさを0で示し、光源1の最大の明るさを10で示す。また、光ファイバ6〜8や光カプラ3における損失は無視し得るものとする。
【0015】
ここで、発光部11のみを明るく発光させ、発光部12を発光させない場合、制御回路2は、光源1を明るさ10で発光させ、光カプラ3の分岐比率(光ファイバ7に出力する可視光の明るさ:光ファイバ8に出力する可視光の明るさ)を1:0とする。すると、発光部11の明るさが10となり、発光部12はOFF(可視光を出力しない状態)となる。
また、発光部11と12とを同じ明るさで暗めに発光させる場合、制御回路2は、光源1を明るさ4で発光させ、光カプラ3の分岐比率を5:5とする。すると、発光部11と12とは、共に明るさが2となる。
【0016】
以上のように、制御回路2が、光源1の明るさと、光カプラ3の分岐比率とを制御することで、発光部11および12を適切な明るさで発光させることができる。すなわち、発光装置100は、1つの光源を複数個所の発光に用いつつ、発光箇所それぞれに光源を具備する場合と同様に、発光箇所の明るさを適切に調節できる。
【0017】
次に、図2〜3を参照して、本発明の一実施形態における携帯電話機について説明する。
なお、本発明の適用範囲は、携帯電話機に限らない。例えば、ゲーム機や、タブレットPC(Personal Computer、パソコン)や、ノートPCなど、複数の発光箇所を有する様々な機器に本発明を適用し得る。
【0018】
図2は、発光装置100の一例である携帯電話機の外形を示す外形図である。同図において、携帯電話機200は、ディスプレイ21と操作入力キー22とを具備する。
ディスプレイ21と操作入力キー22とは、いずれも発光部の一例である。携帯電話機200の具備する1つの光源が生成する可視光が光カプラによって分岐され、バックライトとしてディスプレイ21と操作入力キー22とを発光させる。
【0019】
図3は、図1で説明した各部の、携帯電話機200の筺体内における配置例を示す配置図である。同図において、光源1と、制御回路2と、光カプラ3と、光ファイバ6〜8とに加えて導光シート31および32と、照度センサ33とが配置されている。同図において、図1の各部に相当して同様の機能を有する部分には、同一の符号(1〜8)を付して説明を省略する。なお、制御回路2は、例えば、携帯電話機200の具備するアプリケーションプロセッサが、携帯電話機200の具備する記憶デバイスからプログラムを読み出して実行することで実現される。
【0020】
導光シート31は、光ファイバ6に接続されて、光ファイバ6の出力する可視光をディスプレイ21に出力して、ディスプレイ21を発光させる。
導光シート32は、光ファイバ6に接続されて、光ファイバ6の出力する可視光を操作入力キー22の各々に出力して、操作入力キー22の各々を発光させる。
【0021】
照度センサ33は、携帯電話機200の筐体表面における照度を測定し、測定した照度を制御回路2に出力する。照度センサ33の測定する照度は、制御回路2が行う、光源1の明るさの制御や光カプラ3の分岐比率の制御に用いられる。
【0022】
次に、図4を参照して、携帯電話機200における可視光の伝搬について説明する。
図4は、携帯電話機200における可視光の伝搬を示す説明図である。
同図に示すように、制御回路2が、照度センサ33の測定する明るさと、操作入力キー22の受け付けるユーザ設定とに基づいて、光源1の明るさと光カプラ3の分岐比率とを決定し、光源1と光カプラ3とに対して制御信号を出力する。
【0023】
そして、光源1は、制御回路2から出力される制御信号に応じた明るさの可視光を生成し、生成した可視光を光ファイバ6を介して光カプラ3に出力する。
光カプラ3は、光ファイバ6を介して光源1から出力される可視光を、制御回路2から出力される制御信号に応じた分岐比率で分岐する。そして、光カプラ3は、分岐した可視光の一方を光ファイバ7を介して導光シート31に出力する。ディスプレイ21は、光ファイバ7を介して光カプラ3から導光シート31に出力される可視光をバックライトとして発光する。
また、光カプラ3は、分岐した可視光の一方を光ファイバ8を介して導光シート32に出力する。操作入力キー22は、光ファイバ8を介して光カプラ3から導光シート32に出力される可視光で発光する。
【0024】
以下、携帯電話機200において、制御回路2が、照度センサ33の測定する明るさに基づいて行う、光源1および光カプラ3に対する制御について、例を用いて説明する。以下では、上記の説明と同様、光源1がOFFの状態(可視光を出力しない状態)における光源1の明るさを0で示し、光源1の最大の明るさを10で示す。また、光ファイバ6〜8や光カプラ3における損失は無視し得るものとする。また、照度センサ33は5段階で明るさを検出するものとし、照度センサ33の検出する明るさのうち、最も暗い段階を1、最も明るい段階を5とする。
【0025】
照度センサ33の検出する明るさが1の場合、制御回路2は、光源1の明るさを6にし、光カプラ3の分岐比率(光ファイバ7に出力する可視光の明るさ:光ファイバ8に出力する可視光の明るさ)を1:1にする。これで、ディスプレイ21および操作入力キー22は、いずれも明るさ3で発光する。
ここで、制御回路2は、光源1の出力する光量が、ディスプレイ21や操作入力キー22など発光部分に供給すべき光量の合計となるように光源1を制御する。上記の例では光源1の明るさ「6」は、光源1が、ディスプレイ21と操作入力キー22とが明るさ3で発光するために必要な光量の合計となる光量を生成して出力する際の明るさである。
【0026】
ディスプレイ21の表示内容をユーザが認識可能とするために、周囲の明るさにかかわらず、ディスプレイ21が発光する(バックライトを発光させる)必要がある。また、周囲が暗い場合、操作入力キー22の位置をユーザが認識可能とするために、操作入力キー22が発光する必要がある。そこで、制御回路2は、光源1の生成する可視光を光カプラ3に分岐させて、ディスプレイ21と操作入力キー22とを発光させる。
ただし、周囲が暗い場合、ディスプレイ21や操作入力キー22が発光する可視光が暗くても、ユーザが認識し得る。そこで、制御回路2は、光源1の明るさをやや暗くして消費電力を抑制する。
【0027】
また、照度センサ33の検出する明るさが3の場合、制御回路2は、光源1の明るさを5にし、光カプラ3の分岐比率を1:0にする。これで、ディスプレイ21は明るさ5で発光する。一方、操作入力キー22の明るさは0となる。すなわち、操作入力キー22は発光しない。
周囲に明かりがある場合、操作入力キー22が発光しなくても、ユーザは操作入力キー22の位置を認識しうる。そこで、制御回路2は、光カプラ3が、ディスプレイ21のみに対して可視光を分岐するようにする。
また、周囲が比較的暗い場合、ディスプレイ21が発光する可視光が暗くても、ディスプレイ21の表示内容をユーザが認識し得る。そこで、制御回路2は、光源1の明るさを暗めにして消費電力を抑制する。
【0028】
また、照度センサ33の検出する明るさが5の場合、制御回路2は、光源1の明るさを10にし、光カプラ3の分岐比率を1:0にする。これにより、ディスプレイ21は明るさ10で発光する。一方、操作入力キー22の明るさは0となる。すなわち、操作入力キー22は発光しない。
この場合も、周囲に明かりがあるので、制御回路2は、光カプラ3が、ディスプレイ21のみに対して可視光を分岐するようにする。
また、周囲が明るい場合、ディスプレイ21の表示内容をユーザが認識し得るようにするために、ディスプレイ21が明るく発光する必要がある。そこで、制御回路2は、光源1の明るさを明るくして、ディスプレイ21が明るく発光するようにする。
【0029】
このように、制御回路2は、光源1と光カプラ3とを制御して、ディスプレイ21と操作入力キー22とが必要に応じて適切な明るさで発光するようにし、かつ、消費電力の抑制を図る。
光カプラ3が、光源1の生成する可視光を分岐比率変更可能に分岐するので、ディスプレイ21と操作入力キー22とのように、独立に動作する部分を1つの光源で発光させることができる。例えば、発光不要な部分に対しては、光カプラ3が可視光を出力しないようにでき、発光必要な部分のみを発光させることができる。
また、発光装置100が、ディスプレイ21に出力すべき光量と操作入力キー22に出力すべき光量との合計の光量を出力することにより、ディスプレイ21と操作入力キー22とのように、独立に動作する部分を適切な明るさで発光させることができる。
【0030】
なお、操作入力キー22が受け付けるユーザ設定に基づいて、制御回路2が光源1や光カプラ3に対して行う制御としては、携帯電話機200の周囲が比較的暗い場合でも、ディスプレイ21が明るく発光するように、光源1の明るさや光カプラ3の分岐比率を制御するといった、ディスプレイ21や操作入力キー22の明るさの制御や、ディスプレイ21や操作入力キー22の発光時間の設定に応じて光源1を所定時間発光させるといった、ディスプレイ21や操作入力キー22の発光時間の制御などがある。
【0031】
なお、携帯電話機200において、上述したディスプレイ21および操作入力キー22以外の部分が、光源1の生成する可視光で発光するようにしてもよい。その際、発光する部分の数は、上記のディスプレイ21および操作入力キー22のような2つ限らず、3つ以上であってもよい。すなわち、発光装置100(図1)における発光部の数は、図1に示す2つに限らず、3つ以上であってもよい。
【0032】
図5は、携帯電話機200において、ディスプレイ21および操作入力キー22以外に、光源1の生成する可視光で発光する部分の例を示す図である。
例えば、同図に示す着信表示のインジケータ23や、充電表示のインジケータ24や、サブディスプレイ25のバックライトが、ディスプレイ21および操作入力キー22に加えて、あるいは、ディスプレイ21や操作入力キー22に代えて、光源1の生成する可視光で発光するようにしてもよい。
この場合も、光カプラ3は、制御回路2の制御に従って、光源1の生成する可視光を分岐比率可変に分岐して各部に出力する。
【0033】
なお、発光装置100が3つ以上の発光部を具備する場合、発光装置100が1つの光カプラを具備し、当該光カプラが、光源1の生成する可視光を、発光部の数に分岐して出力するようにしてもよい。あるいは、発光装置100が複数の光カプラを具備し、これら複数の光カプラがの組み合わせによって、光源1の生成する可視光を、発光部の数に分岐して出力するようにしてもよい。
【0034】
また、図6は、携帯電話機200において、ディスプレイ21および操作入力キー22以外に、光源1の生成する可視光で発光する部分の、もう1つの例を示す図である。
同図において、ディスプレイ21の両側にインジケータ26の発光部分26−1〜26−10が配置されている。携帯電話機200は、このインジケータを用いて、メール着信時や電話着信時など、様々な発光パターンで発光する。
【0035】
このインジケータ26の発光パターンを実現するために、制御回路2は、光源1の明るさと、光カプラ3の分岐比率とを制御する。そして、光カプラ3は、分岐した可視光を、光ファイバを介して発光部分26−1〜26−10の各々に出力する。
制御回路2は、光カプラ3の分岐比率を制御することによって、発光点26−1〜26−10のオン/オフ(点灯と消灯と)を切り換える、オン/オフ制御を行う。そして、制御回路2は、発光させる発光部分26−1〜26−10の数に応じて光源1の明るさを制御する。例えば、光源1の明るさと発光部分26−1〜26−10の明るさとが正比例の関係にある場合、制御回路2は、光源1の明るさを、発光させる発光部分の数を所定の明るさに乗算した明るさとする。これで、発光部分26−1〜26−10は、発光する数に限らず一定の明るさで発光する。
【0036】
このように、発光部分26−1〜26−10は、1つの光源の生成する可視光で発光するので、発光点毎にLED等の光源を配置する必要がない。すなわち、携帯電話機200では、光ファイバによる導波路を発光部分に接続すればよく、配線基板等において電源からの導線を各発光部分(に配置されるLED等)に引き回す必要がない。これにより、例えば配線基板の配線パターンを簡単にでき、携帯電話機200をコンパクトにすることができる。また、基板配線のレイアウトの自由度が上がること、および、発光点毎に光源を配置する必要がないことで、デザイン性の向上が容易になる。
【0037】
以上説明したように、光カプラ3が、分岐比率可変に可視光を分岐するので、発光装置100は、発光不要な部分への可視光の供給を抑制することができ、また、必要以上の光量の供給を抑制することができる。これにより、消費電力を抑制することができる。
【0038】
また、発光装置100では、1つの光源で複数の部分を発光させるので、この点においても消費電力を抑制することができる。以下、この点について説明する。
例えば、LEDなどの光源に加える電圧を一定とした場合、当該LEDなどの光源は、所定の電流(以下、この所定の電流をIdにて示す)以上の電流が流れると発光する。
【0039】
そして、発光後は、電流の増加と発光量の増加とは、概ね比例する。従って、光源を流れる電流Iと光源の発光量Lとの関係は、式(1)のようになる。
L = a・(I−Id) ・・・ 式(1)
ここで、aは所定の定数を示す。
【0040】
この式(1)から、光源を発光量Lで発光させるために必要な電流Iは、式(2)のようになる。
I = b・L + Id ・・・ 式(2)
ここで、bは、b=1/aの定数を示す。
【0041】
この式(2)から、1つの光源で2・Lの光量を出力するために必要な電流I1は、式(3)のようになる。
I1 = b・2・L + Id ・・・ 式(3)
一方、2つの光源で2・Lの光量を出力するために必要な電流I2は、式(4)のようになる。
I2 = 2(b・L + Id)
= b・2・L +2・Id ・・・ 式(4)
【0042】
式(3)と式(4)とを比較すると、2つの光源を用いる場合、2・Lの光量を出力するために必要な電流は、1つの光源を用いる場合よりもIdだけ多くなる。従って、発光装置100では、1つの光源で複数の部分を発光させるので、消費電力を抑制することができる。
【0043】
ここで、光カプラ3に、可視光を比率可変に分岐させる場合、光カプラ3に電界を生成するための電力を供給する必要が生じ得るが、一般に光カプラに供給する電力は、光源を発光させるための電力と比較してかなり小さい。従って、発光装置100では、光カプラ3に電力を供給することを考慮しても、なお消費電力の抑制効果を期待できる。
【0044】
また、発光装置100では、1つの光源で複数の部分を発光させるので、発光させる部分ごとにLED等の光源を設ける必要が無い。この点において、発光装置100の構成を簡単にし、また、発光装置100の電力消費を抑制することができる。
また、発光装置100では、発光部に光源を配置する必要が無い。従って、発光装置100を小型化することが可能であり、また、発光装置100における発光部の配置の自由度が高い。
【0045】
また、発光装置100では、光源1の生成する可視光を、光ファイバ(図1の例では光ファイバ6)が、光カプラ3に入力し、また、光カプラ3の分岐する可視光の各々を、光ファイバ(図1の例では光ファイバ7および8)が、それぞれ発光部(図1の例では発光部11および12)に出力する。
従って、1つの光源を用いて、発光装置100の複数の発光部(発光箇所)を独立の明るさで発光させることができ、かつ、光源の生成する可視光を、様々な位置の発光部に供給し得る。さらに、光カプラ3の分岐する可視光を光ファイバに入力する際の光のロスを抑えることができる。
【0046】
なお、上述したように、本発明は、複数の発光箇所を有する様々な機器に適用し得る。例えば、撮像部を具備するカメラや携帯電話機等のカメラライトおよび撮像画像の表示部を発光させる仕組みに本発明を適用するようにしてもよい。
【0047】
また、2画面以上の表示画面を有する装置(例えばゲーム機や、メインディスプレイおよびサブディスプレイを有する携帯電話機など)の各表示画面のバックライトを発光させる仕組みに本発明を適用するようにしてもよい。ここで、2画面以上の表示画面を有する当該機器は、折り畳み式あるいはスライド式の筐体を具備していてもよく、2画面以上の表示画面が、筐体の折り畳み部分を挟んで両側に配置されていてもよいし、スライドする2つの筐体の各々に配置されていてもよい。本発明では、導波路として光ファイバを用いるため、筐体の折り畳みやスライドなど、電源および各発光部の位置関係が変化する場合、さらには筐体の一部が回転して光源および各発光部の位置関係が変化する場合にも柔軟に対応可能である。
【0048】
また、発光装置100の具備する光源の数は図1に示す1つに限らず、2つ以上であってもよい。例えば、2つの発光装置100の生成する可視光を、光ファイバが光カプラ3に入力し、光カプラ3が、入力された光を融合して分岐するようにしてもよい。
【0049】
以上、本発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0050】
1 光源
2 制御回路
3 光カプラ
6〜8 光ファイバ
11、12 発光部
21 ディスプレイ
22 操作入力キー
23、24 インジケータ
25 サブディスプレイ
31、32 導光シート
33 照度センサ
100 発光装置
200 携帯電話機



【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視光を生成する光源と、
入力される可視光を可変比率で分岐させる光カプラと、
前記光カプラにおける可視光の分岐比率を制御する制御回路と、
前記光源の生成する可視光を前記光カプラに伝達する第1の光ファイバと、
前記光カプラの分岐する可視光の各々を伝達する第2の光ファイバと、
前記第2の光ファイバの伝達する可視光で発光する発光部と、
を具備することを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記制御回路は、前記光カプラが、複数の前記発光部を点灯または消灯させるよう前記分岐比率を制御し、かつ、点灯させる前記発光部の数に応じた明るさの可視光を前記光源に生成させる、ことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
可視光を、第1の光ファイバで光カプラに出力する第1の光伝達ステップと、
前記光カプラにおける可視光の分岐比率を制御する制御ステップと、
前記光カプラが、前記第1の光ファイバから出力される可視光を、前記制御ステップにおける制御に従って可変比率で分岐させる分岐ステップと、
前記光カプラの分岐する可視光の各々を、第2の光ファイバで発光部に出力する第2の光伝達ステップと、
前記発光部が、前記第2の光ファイバから出力される可視光で発光する発光ステップと、
を具備することを特徴とする発光方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−191475(P2012−191475A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−53908(P2011−53908)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】