説明

発光装置および電子機器

【課題】発光装置の各部に寄生する容量の影響を低減する。
【解決手段】単位素子Pは、第1電極21と第2電極22との間に発光層23が介在する発光素子Eと、発光素子Eに供給される電流量を制御する駆動トランジスタTdrと、駆動トランジスタTdrのゲート電極に電気的に接続された容量素子C1と、駆動トランジスタTdrのゲート電極の電位をデータ信号に応じて設定するための選択トランジスタTslと、駆動トランジスタTdrのゲート電極とドレイン電極との接続を制御するための初期化トランジスタTintとを含む。第1電極21は、容量素子C1と重なり合う一方、選択トランジスタTslや初期化トランジスタTintとは重なり合わない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL(ElectroLuminescent)材料などの発光材料を利用した発光装置の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子に供給される電流量を制御するためのトランジスタが発光素子ごとに設置されたアクティブマトリクス方式の発光装置が従来から提案されている(例えば特許文献1)。この種の発光装置においては、例えば開口率(発光素子が配列された領域のうち各発光素子からの放射光が実際に出射する領域の割合)の向上のために、トランジスタおよび発光素子の各層や、各々を電気的に接続するための配線が基板上に積層される。
【0003】
【特許文献1】特開2004−119219号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、以上のように各要素が積層された構成においては、相互に近接する各要素が容量的に結合する(すなわち各要素間に容量が寄生する)。そして、例えば各部の寄生容量に起因して各種の信号の波形が鈍化すると、発光素子の高精度な制御が阻害される場合がある。以上のような事情を背景として、本発明のひとつの形態は、発光装置の各部に寄生する容量の影響を低減するという課題の解決を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様は、第1電極と第2電極との間に発光層が介在する発光素子と、前記発光素子に供給される電流量を制御する駆動トランジスタと、前記駆動トランジスタのゲート電極に電気的に接続された容量素子(例えば図2の容量素子C1や図21または図32の容量素子C2)とを具備し、前記第1電極は、前記容量素子と重なり合うことを特徴とする。
この態様においては、容量素子と重なり合うように第1電極が形成されるから、発光素子の制御に利用される各種のスイッチング素子と重なり合うように第1電極を形成しなくても、第1電極の面積は容易に確保される。したがって、第1電極の面積を充分に確保しながら、第1電極とスイッチング素子との間に寄生する容量を低減すること(さらには寄生容量に起因したスイッチング動作の遅延を防止すること)ができる。
【0006】
例えば、選択信号に応じてオン状態またはオフ状態となる選択トランジスタ(例えば図2や図21の選択トランジスタTs1)が設置され、前記駆動トランジスタのゲート電極が、オン状態となった前記選択トランジスタを介してデータ線から供給されるデータ信号に応じた電位に設定される構成においては、前記選択トランジスタと重なり合わないように前記第1電極が形成される。この態様によれば、第1電極と選択トランジスタとの間の寄生容量が低減されるから、選択トランジスタを迅速に(すなわち寄生容量に起因した遅延を発生させることなく)動作させることが可能である。
また、初期化信号に応じてオン状態またはオフ状態となる初期化トランジスタ(例えば図2の初期化トランジスタTint)が設置され、前記駆動トランジスタのゲート電極とドレインとが、オン状態となった前記初期化トランジスタを介して電気的に接続される構成においては、前記初期化トランジスタと重なり合わないように前記第1電極が形成される。この態様によれば、第1電極と初期化トランジスタとの間の寄生容量が低減されるから、初期化トランジスタを迅速に動作させることが可能である。なお、初期化トランジスタを介して電気的に接続された駆動トランジスタのゲート電極は、この駆動トランジスタの閾値電圧に応じた電位に設定される。したがって、駆動トランジスタの閾値電圧の誤差を補償することが可能である。
【0007】
なお、容量素子は、典型的には駆動トランジスタのゲート電極の電位を設定または保持するために利用される。例えば、ひとつの態様における容量素子(例えば図2の容量素子C1)は、駆動トランジスタのゲート電極とデータ線との間に介在する。この構成においては、容量素子における容量カップリングによって、駆動トランジスタのゲート電極がデータ線の電位の変動量に応じた電位に設定される。また、その他の態様における容量素子(例えば図21や図32の容量素子C2)は、駆動トランジスタのゲート電極と定電位が供給される配線(例えば電源線)との間に介在する。この構成においては、データ線から駆動トランジスタのゲート電極に供給された電位が容量素子に保持される。
【0008】
本発明の第2の態様は、所定の電位が供給される給電線(例えば図2や図21の電源線15)と、第1電極と第2電極との間に発光層が介在する発光素子と、前記給電線から前記発光素子に供給される電流量を制御する駆動トランジスタとを具備し、前記給電線は、前記第1電極と前記駆動トランジスタとの間に介在する部分を含むことを特徴とする。なお、給電線の典型例は、電源電位を供給するための電源線である。
この態様によれば、第1電極と駆動トランジスタとの間に給電線が介在するから、第1電極と駆動トランジスタとの間に導電体が介在しない構成と比較して、両者の容量的な結合は抑制される。したがって、第1電極および駆動トランジスタの一方における電位の変動が他方の電位に与える影響を低減することができる。
【0009】
本発明の第3の態様は、データ信号が供給されるデータ線と、所定の電位が供給される給電線と、第1電極と第2電極との間に発光層が介在する発光素子と、前記給電線から前記発光素子に供給される電流量をデータ信号に応じて制御する駆動トランジスタとを具備し、前記給電線は、前記第1電極と前記データ線との間に介在する部分を含む。
この態様によれば、第1電極とデータ線との間に給電線が介在するから、第1電極とデータ線との間に導電体が介在しない構成と比較して、両者の容量的な容量的な結合は抑制される。したがって、第1電極およびデータ線の一方における電位の変動が他方の電位に与える影響を低減することができる。
【0010】
本発明の第4の態様は、データ信号が供給されるデータ線と、第1電極と第2電極との間に発光層が介在する発光素子と、前記発光素子に供給される電流量をデータ信号に応じて制御する駆動トランジスタとを具備し、前記第1電極は、前記データ線を被覆する絶縁層(例えば図11の第1絶縁層L1や第2絶縁層L2)の面上に形成された光反射性の電極であり、その外周縁が前記データ線と重なり合うことを特徴とする。
この態様によれば、データ線の膜厚を反映した段差を絶縁層の表面に形成することによって、第1電極の外周縁の近傍に傾斜面(例えば図11の傾斜面211)を形成することができる。そして、発光層からの出射光をこの傾斜面で反射させることで光の利用効率を向上することが可能である。
【0011】
本発明の第5の態様は、第1電極と第2電極との間に発光層が介在する発光素子と、前記発光素子に供給される電流量を制御する駆動トランジスタと、前記駆動トランジスタのゲート電極に電気的に接続された容量素子と、前記第2電極よりも抵抗率が低い材料で形成されて前記第2電極に導通する補助配線(例えば図3や図12や図22における補助配線27)とを具備し、前記補助配線は、前記駆動トランジスタおよび前記容量素子とは重なり合わないことを特徴とする。
この態様によれば、駆動トランジスタおよび容量素子とは重なり合わないように補助配線が形成されるから、補助配線と駆動トランジスタとの間や補助配線と容量素子との間に寄生する容量が削減される。したがって、補助配線および駆動トランジスタ(または容量素子)の一方における電位の変動が他方の電位に与える影響を低減することができる。
【0012】
第5の態様に係る発光装置においては、例えば、選択信号に応じてオン状態またはオフ状態となる選択トランジスタと、前記選択トランジスタに重なり合うとともに開口部(図4の開口部251)が形成された絶縁層(例えば図4の隔壁25)とが設置され、駆動トランジスタは、オン状態となった前記選択トランジスタを介してデータ線から供給されるデータ信号に応じて前記発光素子への電流量を制御する。この態様においては、補助配線が絶縁層の上方に形成された構成も好適である。この態様によれば、補助配線と選択トランジスタとの間に絶縁層が介在するから、選択トランジスタと補助配線との容量的な結合を抑制することができる。発光素子が発光する開口部や電源線を配置する領域を広く確保するため、選択トランジスタは、補助配線と重なり合うことが望ましい。
また、例えば、初期化信号に応じてオン状態またはオフ状態となる初期化トランジスタと、前記初期化トランジスタに重なり合うとともに開口部が形成された絶縁層とが設置された構成においても、補助配線は絶縁層の上方に形成され得る。この態様によれば、補助配線と初期化トランジスタとの容量的な結合を抑制することができる。発光素子が発光する開口部や電源線を配置する領域を広く確保するため、初期化トランジスタは、補助配線と重なり合うことが望ましい。
【0013】
本発明の第6の態様に係る発光装置は、第1方向(例えば図18〜図20や図28〜図30におけるX方向)に延在する複数の制御線と、前記第1方向とは異なる第2方向(例えば図18〜図20や図28〜図30におけるY方向)に延在して前記複数の制御線と交差するデータ線と、前記複数の制御線と前記データ線との交差に対応した位置に各々が配置されて前記第2方向に配列する複数の単位素子とを具備する。
前記複数の単位素子の各々は、第1電極と第2電極との間に発光層が介在する発光素子と、前記データ線に供給される信号に応じてゲート電極の電位が設定されることで、前記発光素子に供給される電流量を制御する駆動トランジスタと、前記駆動トランジスタのゲート電極に対する所定の電位の供給の可否または前記発光素子に対する電流の供給の可否を、前記複数の制御線のうち当該単位素子に対応した制御線に供給される信号に応じて制御する制御トランジスタとを含む。駆動トランジスタのゲート電極に対する所定の電位の供給の可否を制御する制御トランジスタとは、例えば図2の選択トランジスタTs1や初期化トランジスタTintである。また、前記発光素子に対する電流の供給の可否を制御する制御トランジスタとは、例えば図31の発光制御トランジスタTcntである。したがって、本態様における制御線とは、例えば図2における選択線11や初期化線12、または図31における発光制御線14に相当する。
以上の構成のもとで、前記複数の単位素子のうち第1の単位素子(例えば図18〜図20や図28〜図30における第i行目の単位素子P)においては、前記制御トランジスタと前記制御線とが前記駆動トランジスタからみて前記第2方向における一方の側に位置し、前記複数の単位素子のうち前記第2方向における一方の側にて前記第1の単位素子に隣接する第2の単位素子(例えば第(i−1)行目の単位素子P)と、前記第2方向における他方の側にて前記第1の単位素子に隣接する第3の単位素子(例えば第(i+1)行目の単位素子P)との各々においては、前記制御トランジスタと前記制御線とが前記駆動トランジスタからみて前記第2方向における他方の側に位置する。そして、前記データ線は、前記複数の制御線と同層から形成されて前記第2方向に配列する複数の第1データ線部と、前記複数の制御線を被覆する絶縁層の面上に形成されて前記各第1データ線部を電気的に接続する第2データ線部とを含み、前記第1データ線部は、前記第1の単位素子と前記第3の単位素子とにわたって連続し、前記第2データ線部は、前記第1の単位素子に対応した前記制御線と前記第2の単位素子に対応した前記制御線とに交差する。
【0014】
この態様によれば、第1の単位素子と第3の単位素子とにわたって連続するように第1データ線部が形成されるから、第1の単位素子と第3の単位素子との間隙には第2データ線部を形成する必要がない。なお、本発明において複数の要素が「同層から形成される」とは、共通の膜体(単層であるか複数層であるかは不問である)の選択的な除去によって複数の要素が同工程で形成されることを意味し、各要素が相互に離間しているか連続しているかは不問である。以上に説明した第6の態様の具体例は第3実施形態および第5実施形態として後述される。
【0015】
第6の態様に係る発光装置においては、例えば、所定の電位が供給される給電線が設置され、前記駆動トランジスタは、前記給電線から前記発光素子に供給される電流量を制御し、前記給電線は、前記データ線の第2データ線部と同層から形成され、前記第1データ線部のうち前記第1の単位素子と前記第3の単位素子との間隙に位置する部分(例えば図29の連結部153)を含む。この態様によれば、第1の単位素子と第3の単位素子との間隙に位置する部分を含むから、給電線を低抵抗化することが可能である。
さらに好適な態様においては、前記第2電極よりも抵抗率が低い材料で形成されて前記第2電極に導通する補助配線が設置され、前記補助配線は、前記第1の単位素子の前記制御トランジスタおよび前記制御線と前記第2の単位素子の前記制御トランジスタおよび前記制御線とに重なり合うように形成され、前記第1の単位素子と前記第3の単位素子との間隙には形成されない。この態様によれば、単位素子ごとに独立に補助配線が形成される構成と比較して、第1の単位素子と第2の単位素子との間に形成される補助配線の線幅を拡大することが可能である。この構成においては補助配線の形成に高い精度は要求されないから、低廉な方法によって補助配線を形成することができる。また、発光装置に形成する補助配線の本数が少ないため、補助配線を形成する際に、各々の補助配線と他の構成要素との間に設けられるマージン領域を少なくすることができる。したがって、補助配線を形成するための領域あるいは発光素子が発光する領域を広くすることができる。
【0016】
本発明に係る発光装置は各種の電子機器に利用される。この電子機器の典型例は、発光装置を表示装置として利用した機器である。この種の電子機器としては、パーソナルコンピュータや携帯電話機などがある。もっとも、本発明に係る発光装置の用途は画像の表示に限定されない。例えば、光線の照射によって感光体ドラムなどの像担持体に潜像を形成するための露光装置(露光ヘッド)、液晶装置の背面側に配置されてこれを照明する装置(バックライト)、あるいは、スキャナなどの画像読取装置に搭載されて原稿を照明する装置など各種の照明装置など、様々な用途に本発明の発光装置を適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
<A:第1実施形態>
<A−1:発光装置の電気的な構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係る発光装置Dの電気的な構成を示すブロック図である。同図に示すように、発光装置Dは、複数の選択線11と複数の初期化線12と複数のデータ線13とを有する。各選択線11および各初期化線12はX方向に延在する。各データ線13はX方向に直交するY方向に延在する。選択線11および初期化線12の各対とデータ線13との各交差には単位素子(画素)Pが配置される。したがって、これらの単位素子PはX方向およびY方向にわたってマトリクス状に配列する。ひとつの単位素子Pは発光の最小の単位となる要素である。各単位素子Pには電源線15を介して高位側の電源電位Vddが供給される。
【0018】
図2は、各単位素子Pの構成を示す回路図である。同図に示すように、電源線15から接地線(接地電位Gnd)に至る経路上には発光素子Eと駆動トランジスタTdrとが配置される。発光素子Eは、有機EL材料より少なくともなる発光層23を第1電極21(陽極)と第2電極22(陰極)との間に介在させた素子である。第1電極21は、単位素子Pごとに相互に離間して形成される。第2電極22は、複数の単位素子Pにわたって連続に形成されて接地(Gnd)される。発光層23は、第1電極21から第2電極22に流れる電流量に応じた光量で発光する。
【0019】
駆動トランジスタTdrは、発光素子Eに供給される電流量をゲート電極の電位(以下「ゲート電位」という)Vgに応じて制御するためのpチャネル型の薄膜トランジスタである。駆動トランジスタTdrのソース電極(S)は電源線15に接続され、そのドレイン電極(D)は発光素子Eの第1電極21に接続される。
【0020】
駆動トランジスタTdrのゲート電極とドレイン電極(発光素子Eの第1電極21)との間には、両者の電気的な接続を制御するためのnチャネル型のトランジスタ(以下では「初期化トランジスタ」という)Tintが介在する。初期化トランジスタTintのゲート電極は初期化線12に接続される。初期化線12には駆動回路(図示略)から初期化信号Sbが供給される。初期化信号Sbがアクティブレベルとなって初期化トランジスタTintがオン状態に変化すると、駆動トランジスタTdrのゲート電極とドレイン電極とが電気的に接続(ダイオード接続)される。以下では、オン状態となった初期化トランジスタTintを介して駆動トランジスタTdrのゲート電極とドレイン電極とが電気的に接続された状態を、駆動トランジスタTdrがダイオード接続された状態と称して説明する場合もある。
【0021】
図2に示すように、単位素子Pは、電極E1と電極E2とから構成される容量素子C1を含む。電極E1は駆動トランジスタTdrのゲート電極に接続される。電極E2とデータ線13との間には、両者の電気的な接続を制御するnチャネル型のトランジスタ(以下「選択トランジスタ」という)Ts1が介在する。選択トランジスタTs1のゲート電極は選択線11に接続される。選択線11には駆動回路(図示略)から選択信号Saが供給される。なお、駆動トランジスタTdrや選択トランジスタTs1や初期化トランジスタTintの導電型は図2の例示から適宜に変更される。
【0022】
次に、ひとつの単位素子Pの動作を初期化期間と書込期間と駆動期間とに区分して説明する。まず、初期化期間においては、駆動回路(図示略)からデータ線13に所定の電位Vrefが供給されるとともに選択線11の選択信号Saと初期化線12の初期化信号Sbとがアクティブレベル(ハイレベル)を維持する。したがって、容量素子C1の電極E2にはデータ線13から選択トランジスタTs1を介して電位Vrefが供給される。また、初期化トランジスタTintがオン状態に変化することで駆動トランジスタTdrがダイオード接続される。したがって、駆動トランジスタTdrのゲート電位Vgは、電源線15に供給される電源電位Vddと駆動トランジスタTdrの閾値電圧Vthとの差分値(Vg=Vdd−Vth)に収束する。
【0023】
次に、初期化期間の経過後の書込期間においては、初期化信号Sbが非アクティブレベル(ローレベル)に遷移する。したがって、初期化トランジスタTintがオフ状態に変化して駆動トランジスタTdrのダイオード接続は解除される。また、選択トランジスタTs1がオン状態に維持されたまま、データ線13から電極E2に供給される電位Vrefがデータ電位Vdataに変更される。データ電位Vdataは、単位素子Pに指定された階調に応じた電位である。
【0024】
駆動トランジスタTdrのゲート電極のインピーダンスは充分に高いから、電極E2が電位Vrefからデータ電位Vdataまで変化量ΔV(=Vref−Vdata)だけ変動すると、電極E1の電位は、容量素子C1における容量カップリングによって、初期化期間にて設定された電位Vg(=Vdd−Vth)から変動する。このときの電極E1の電位の変化量は、容量素子C1とその他の寄生容量(例えば駆動トランジスタTdrのゲート容量やその他の配線に寄生する容量)との容量比に応じて定まる。より具体的には、容量素子C1の容量値を「C」として寄生容量の容量値を「Cs」とすると、電極E1の電位の変化量は「ΔV・C/(C+Cs)」と表現される。したがって、駆動トランジスタTdrのゲート電位Vgは、書込期間の終点において以下の式(1)のレベルに設定される。
Vg=Vdd−Vth−k・ΔV ……(1)
ただし、k=C/(C+Cs)
【0025】
次いで、書込期間の経過後の駆動期間においては、選択信号Saが非アクティブレベルに遷移して選択トランジスタTs1がオフ状態に変化する。そして、駆動トランジスタTdrのゲート電位Vgに応じた電流が電源線15から駆動トランジスタTdrのソース電極とドレイン電極とを経由して発光素子Eに供給される。この電流の供給によって発光素子Eはデータ電位Vdataに応じた光量で発光する。
【0026】
いま、駆動トランジスタTdrが飽和領域で動作する場合を想定すると、駆動期間にて発光素子Eに供給される電流量Iは以下の式(2)によって表現される。ただし、式(2)における「β」は駆動トランジスタTdrの利得係数であり、「Vgs」は駆動トランジスタTdrのゲート−ソース間の電圧である。
I=(β/2)(Vgs−Vth)2 ……(2)
=(β/2)(Vdd−Vg−Vth)2
式(1)の代入によって式(2)は以下のように変形される。
I=(β/2)(k・ΔV)2
すなわち、発光素子Eに供給される電流量Iは駆動トランジスタTdrの閾値電圧Vthに依存しない。したがって、本実施形態によれば、各駆動トランジスタTdrの閾値電圧Vthのバラツキ(設計値からの相違や他の単位素子Pの駆動トランジスタTdrとの相違)に起因した発光素子Eの光量の誤差(輝度のムラ)を抑制することができる。
【0027】
<A−2:単位素子Pの構造>
次に、単位素子Pの具体的な構造を説明する。図3は、ひとつの単位素子Pの構成を示す平面図であり、図4は、図3におけるIV−IV線からみた断面図である。なお、図3は平面図であるが、各要素の把握を容易化するために、図4と共通する要素については適宜に図4と同態様のハッチングが施されている。以下で参照する他の平面図についても同様である。また、以下で参照する各図面においては、説明の便宜のために、各要素の寸法や比率を実際の装置から適宜に異ならせてある。
【0028】
図4に示すように、駆動トランジスタTdrや発光素子Eといった図2の各要素は基板10の面上に形成される。基板10は、ガラスやプラスチックなど各種の絶縁性材料より少なくともなる板状の部材である。なお、基板10を覆う絶縁性の膜体(例えば酸化珪素や窒化珪素の膜体)を下地として基板10の面上に単位素子Pの各要素を形成してもよい。また、本実施形態の発光装置Dはトップエミッション型である。したがって、基板10に光透過性は要求されない。
【0029】
図5ないし図7は、単位素子Pが形成される各段階における基板10の面上の様子を示す平面図である。なお、図5ないし図7においては、図3に図示された第1電極21が形成されるべき領域Aが二点鎖線によって併記されている。
【0030】
図4および図5に示すように、基板10の面上には、半導体層31と半導体層41とがシリコンなどの半導体材料によって形成される。半導体層31と半導体層41とは、基板10の全域にわたって連続に形成された膜体のパターニングによって同一の工程で一括的に形成される。なお、半導体層31と半導体層41との関係のように、複数の要素が共通の膜体(単層および複数層の何れであるかは不問である)の選択的な除去によって同一の工程で形成されることを以下では単に「同層から形成される」と表記する。同層から形成された各要素は当然に同一の材料からなり、各々の膜厚は略一致する。複数の要素が同層から形成される構成によれば、その各々が別層から形成される構成と比較して、製造工程の簡素化や製造コストの低減が実現されるという利点がある。
【0031】
図4および図5に示すように、半導体層31は、第1素子部311と第2素子部312とを含む。第1素子部311は、駆動トランジスタTdrの半導体層として機能する略矩形状の部分である。第2素子部312は、初期化トランジスタTintの半導体層として機能する部分であり、第1素子部311からY方向の負側に連続する部分312aと、この部分312aからX方向の正側に延在する部分312bと、部分312bからY方向の正側に延在する部分312cとを含む。
【0032】
半導体層41は、半導体層31からみてY方向の正側に配置された部分であり、図2の容量素子C1を構成する略矩形状の電極E2と、電極E2からY方向の正側に延在する素子部411とを含む。素子部411は、選択トランジスタTs1の半導体層として機能する部分である。
【0033】
図4に示すように、半導体層31と半導体層41とが形成された基板10の表面はその全域にわたってゲート絶縁層L0に覆われる。図4および図6に示すように、ゲート絶縁層L0の面上には、選択線11と初期化線12と中間導電体51と第1データ線部131とが導電性材料によって同層から形成される。
【0034】
選択線11は、複数の単位素子PにわたってX方向に延在して半導体層41の素子部411と重なり合う。素子部411のうちゲート絶縁層L0を挟んで選択線11に対向する領域が選択トランジスタTs1のチャネル領域である。初期化線12は、複数の単位素子PにわたってX方向に延在して半導体層31の第2素子部312と重なり合う。第2素子部312の部分312aおよび部分312cの各々のうちゲート絶縁層L0を挟んで初期化線12に対向する領域が初期化トランジスタTintのチャネル領域である。すなわち、本実施形態における初期化トランジスタTintはデュアルゲート構造のトランジスタである。
【0035】
中間導電体51は、選択線11と初期化線12との間隙に形成された部分であり、電極E1とゲート電極511と連結部513とを含む。電極E1は、基板10に垂直な方向からみて半導体層41の電極E2と重なり合う略矩形状の部分である。図4および図6に示すように、ゲート絶縁層L0(誘電体)を挟んで電極E1と電極E2とが対向することによって図2の容量素子C1が構成される。
【0036】
図6に示すように、連結部513は、電極E1の右上部からY方向の負側に延在する。ゲート電極511は、電極E1と間隔をあけて連結部513からX方向の負側に延在する部分であり、第1素子部311の略全幅(X方向の寸法)にわたって第1素子部311と重なり合う。図4に示すように、第1素子部311のうちゲート絶縁層L0を挟んでゲート電極511に対向する領域が駆動トランジスタTdrのチャネル領域311cである。また、第1素子部311のうちチャネル領域311cよりも電極E2側の領域(すなわち、図6のように基板10に垂直な方向からみてゲート電極511と電極E1との間隙に位置する領域)はソース領域311sであり、その反対側の領域はドレイン領域311dである。
【0037】
第1データ線部131は、図2のデータ線13を構成する部分である。この第1データ線部131は、中間導電体51からみてX方向の負側の領域に配置され、選択線11と初期化線12との間隙にてY方向に延在する。
【0038】
図8は、図6の段階にある4個の単位素子PがX方向およびY方向にわたって配列する様子を示す平面図である。図6および図8に示すように、各単位素子Pにおいて、Y方向の負側の周縁に形成された第2素子部312(初期化トランジスタTint)はX方向の正側に位置し、Y方向の正側の周縁に形成された素子部411(選択トランジスタTs1)はX方向の負側に位置する。
【0039】
いま、第2素子部312と素子部411とが各単位素子PにおけるX方向の同じ側に配置された構成を想定する。この構成においては、第2素子部312と素子部411とを確実に離間させるために、Y方向に隣接する各単位素子Pの間隙の領域(図8の領域Bに相当する領域)を充分に確保する必要があるから、単位素子Pの高精細化が阻害されるという問題がある。これに対し、本実施形態においては、第2素子部312および素子部411のX方向における位置が相違するから、図8に示すように、第2素子部312と素子部411とは領域B内にてX方向に沿って交互に配列する。この構成によれば、領域Bを狭小化した場合であっても第2素子部312と素子部411とは確実に離間するから、単位素子Pの高精細化が容易であるという利点がある。
【0040】
図4に示すように、中間導電体51や第1データ線部131が形成されたゲート絶縁層L0の表面はその全域にわたって第1絶縁層L1に覆われる。図4および図7に示すように、第1絶縁層L1の面上には、接続部61と導通部71と電源線15と第2データ線部132とが導電性材料によって同層から形成される。
【0041】
図7のように基板10に垂直な方向からみると、接続部61は、第2素子部312の部分312cと中間導電体51(ゲート電極511)とに重なり合う。そして、接続部61は、第1絶縁層L1とゲート絶縁層L0とを貫通するコンタクトホールHa1を介して部分312cに導通するとともに、第1絶縁層L1を貫通するコンタクトホールHa2を介して中間導電体51に導通する。すなわち、駆動トランジスタTdrのゲート電極511(容量素子C1の電極E1)と初期化トランジスタTintのチャネル領域とは接続部61を介して電気的に接続される。なお、本明細書におけるコンタクトホールとは、絶縁層の一方の側に位置する要素と絶縁層の他方の側に位置する要素とを電気的に接続するための部分であり、より具体的には絶縁層をその厚さ方向に貫通する部分(孔や穴)である。コンタクトホールの平面的な形状は任意である。
【0042】
導通部71は、駆動トランジスタTdrと発光素子Eとの間に介在して両者を電気的に接続する部分であり、基板10に垂直な方向からみると、駆動トランジスタTdrを挟んで容量素子C1とは反対側の領域(すなわち駆動トランジスタTdrに対してY方向の負側の領域)に配置される。本実施形態の導通部71は、第1素子部311のドレイン領域311dに重なり合う部分711と、初期化線12を挟んで部分711とは反対側に位置する部分712とが連続する形状である。
【0043】
基板10に垂直な方向からみて第1絶縁層L1のうちドレイン領域311dと重なり合う領域には、第1絶縁層L1とゲート絶縁層L0とを貫通する複数のコンタクトホールHa3が形成される。これらのコンタクトホールHa3はゲート電極511が延在するX方向(すなわち駆動トランジスタTdrのチャネル幅の方向)に配列する。導通部71の部分711は、各コンタクトホールHa3を介してドレイン領域311dに導通する。
【0044】
次に、図9は、図7の段階にある単位素子Pが配列する様子を示す平面図である。図7および図9に示すように、電源線15は、複数の単位素子Pの配列に沿ってX方向に延在する帯状の配線である。この電源線15は、基板10に垂直な方向からみて、各単位素子Pの容量素子C1と駆動トランジスタTdrのソース領域311sとの双方に重なり合う。図6および図7に示すように、第1絶縁層L1のうちソース領域311sと重なり合う領域には、第1絶縁層L1とゲート絶縁層L0とを貫通する複数のコンタクトホールHa4が形成される。これらのコンタクトホールHa4はゲート電極511が延在するX方向に配列する。電源線15は、各コンタクトホールHa4を介して駆動トランジスタTdrのソース領域311sに導通する。本実施形態の電源線15は、基板10に垂直な方向からみて、選択トランジスタTs1(素子部411)や選択線11、および初期化トランジスタTint(第2素子部312)や初期化線12と重なり合わないように、その形状や寸法が選定されている。本実施形態において、電源線15は、選択線11や初期化線12と平行に延在している。
【0045】
第2データ線部132は、第1データ線部131とともにデータ線13を構成する部分であり、図7および図9に示すように各電源線15の間隙にてY方向に延在する。図7に示すように、第2データ線部132のうちY方向の正側(下側)の端部132aは、第1データ線部131におけるY方向の負側(上側)の端部131a(図6参照)と重なり合う。端部132aと端部131aとは第1絶縁層L1を貫通するコンタクトホールHa5を介して相互に導通する。同様に、第2データ線部132のうちY方向の負側の端部132bと第1データ線部131におけるY方向の正側の端部131b(図6参照)とはコンタクトホールHa6を介して相互に導通する。以上のように、Y方向に沿って交互に配列する第1データ線部131と第2データ線部132とが電気的に接続されることによって、Y方向に直線状に延在するデータ線13が構成される。
【0046】
図7に示すように、第2データ線部132には分岐部134が連設される。分岐部134は、選択線11を挟んで容量素子C1とは反対側に位置する部分であり、X方向に延在して半導体層41の素子部411と重なり合う。この分岐部134は、第1絶縁層L1とゲート絶縁層L0とを貫通するコンタクトホールHa7を介して素子部411に導通する。すなわち、選択トランジスタTs1とデータ線13とは分岐部134を介して電気的に接続される。
【0047】
図4に示すように、第2データ線部132や電源線15が形成された第1絶縁層L1の表面はその全域にわたって第2絶縁層L2に覆われる。図3および図4に示すように、第2絶縁層L2の表面には第1電極21が形成される。第1電極21は、例えば、アルミニウムや銀などの金属またはこれらの金属を主成分とする合金など光反射性の導電性材料によって形成され、第2絶縁層L2を貫通するコンタクトホールHa8を介して導通部71の部分712に導通する。すなわち、駆動トランジスタTdrのドレイン領域311dと発光素子Eの第1電極21とは導通部71を介して電気的に接続される。また、第2絶縁層L2をアクリルやポリイミドの樹脂により形成する場合には、樹脂を熱により硬化させる工程において、熱導電性が高い電源線を介して熱が均一に樹脂へ伝わるため、樹脂が溶融する。これにより、第2絶縁層L2の表面がより平坦化されるため、その上に形成する第1電極21の凹凸を少なくすることができる。
【0048】
図3や図4に示すように、第1電極21は、基板10に垂直な方向からみて導通部71や駆動トランジスタTdrや容量素子C1と重なり合う。図6や図7に示すように、単位素子Pが配置される領域のうち駆動トランジスタTdrや容量素子C1が占める面積は大きいから、本実施形態によれば第1電極21を広い範囲にわたって形成することが可能である。したがって、本実施形態においては、選択トランジスタTslや初期化トランジスタTintのみと重なり合うように第1電極21が形成された構成と比較して高い開口率が実現される。また、第2絶縁層L2のうち選択トランジスタTslや初期化トランジスタTintと重なり合う領域の表面にはこれらのトランジスタの外形を反映した段差が現れる場合がある。本実施形態においては、第2絶縁層L2のうち駆動トランジスタTdrや容量素子C1と重なり合う広範な平坦面に第1電極21が形成されるから、第2絶縁層L2の段差に起因した第1電極21の不良(例えば断線)や発光層23の不良を有効に防止することができる。
【0049】
また、電源線15は容量素子C1と駆動トランジスタTdrのソース領域311sとに重なり合うから、図4や図7に示すように、第1電極21と駆動トランジスタTdrのソース領域311s(さらには容量素子C1)との間には電源線15が介在する。この構成によれば、第1電極21と駆動トランジスタTdrとの間に電源線15が介在しない構成と比較して、第1電極21と駆動トランジスタTdrとの容量的な結合が抑制される。したがって、第1電極21および駆動トランジスタTdrの一方における電位の変化が他方の電位に与える影響が低減され、これによって各発光素子Eの正確な制御が可能となる。また、第1電極21を形成する領域において、駆動トランジスタTdrや容量素子C1を覆うように電源線15が形成されているため、第1電極21を形成する表面を平坦化することができる。
【0050】
さらに、第1電極21は、図3に示すように、基板10に垂直な方向からみるとデータ線13の第1データ線部131と重なり合う。電源線15は第1データ線部131と重なり合うから、図3や図7に示すように、第1電極21と第1データ線部131との間には電源線15が介在する。この構成によれば、第1電極21と第1データ線部131との間に電源線15が介在しない構成と比較して、第1電極21とデータ線13(第1データ線部131)との容量的な結合が抑制される。したがって、第1電極21およびデータ線13の一方における電位の変化が他方の電位に与える影響が低減され、これによって各発光素子Eの正確な制御が可能となる。
【0051】
第1電極21が形成された第2絶縁層L2の面上には絶縁性材料によって隔壁25が形成される。隔壁25は、第1電極21に応じて開口部251が単位素子Pごとに形成された絶縁性の膜体であり、相隣接する第1電極21を電気的に絶縁させる役割(すなわち第1電極21の電位の個別的な制御を可能とする役割)を担う。
【0052】
発光層23は、隔壁25が形成された第2絶縁層L2の全域を被覆するように複数の単位素子Pにわたって連続に形成される。すなわち、発光層23は、開口部251の内側に入り込んで第1電極21に接触する部分(すなわち実際に発光する部分)と隔壁25の面上に位置する部分とを含む。なお、第1電極21は発光素子Eごとに個別に形成されるから、発光層23が複数の発光素子Eにわたって連続するとは言っても、発光層23の光量は発光素子Eごとに個別に制御される。また、発光層23による発光を促進または効率化するための各種の機能層(正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、正孔ブロック層、電子ブロック層)が発光層23に積層された構成としてもよい。
【0053】
図11は、図3におけるXI−XI線からみた断面図である。図11に示すように、データ線13の第1データ線部131を被覆する各要素(第1絶縁層L1、電源線15、第2絶縁層L2)には第1データ線部131の膜厚を反映した段差が現れる。第1電極21は、このような段差が形成された第2絶縁層L2の表面に薄膜状に形成されるから、第1電極21のうちデータ線13と重なり合う部分は、第1データ線部131の形状を反映した傾斜面211となる。この構成によれば、図11に矢印Lで示すように、発光層23から基板10と平行な方向への出射光を傾斜面211にて反射させて基板10と反対側(観察側)に出射させることができる。したがって、第1電極21の全域が平坦面である構成(すなわち発光層23から基板10に平行な方向への放射光が観察側に出射しない構成)と比較して、発光層23からの放射光の利用効率を向上させることが可能である。
【0054】
図4に示すように、第2電極22は、複数の単位素子Pにわたって連続に形成されて発光層23および隔壁25を覆う電極である。したがって、隔壁25は、各発光素子Eの間隙の領域において各第1電極21と第2電極22とを電気的に絶縁する。換言すると、隔壁25は、第1電極21と第2電極22との間に電流が流れる領域(すなわち実際に発光する領域)を画定する。第2電極22は、ITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)といった光透過性の導電性材料によって形成される。したがって、発光層23から基板10とは反対側に出射した光と発光層23から基板10側に出射して第1電極21の表面で反射した光とは第2電極22を透過して出射する。すなわち、本実施形態の発光装置Dはトップエミッション型である。
【0055】
ところで、光透過性の導電性材料の多くは抵抗率が高いから、この種の材料によって形成された第2電極22は高抵抗となってその面内における電圧降下が顕著となる。したがって、各発光素子Eに供給される電位が第2電極22の面内における位置に応じて相違し、この結果として発光領域における光量のムラ(輝度や階調のムラ)が発生する場合がある。
【0056】
この光量のバラツキを抑制するために、本実施形態においては、第2電極22の導電性を補助するための補助配線27が形成される。補助配線27は、第2電極22よりも抵抗率が低い導電性材料によって形成されて第2電極22に導通する配線である。図3において、補助配線27は、その外形のみが便宜的に二点鎖線で図示されている。図10は、図3の段階にある4個の単位素子PがX方向およびY方向にわたって配列する様子を示す平面図である。図3および図10に示すように、本実施形態における補助配線27は、基板10に垂直な方向からみると、隔壁25の表面(開口部251以外の部分)のうちY方向に隣接する各単位素子Pの間隙の領域にてX方向に延在し、第1電極21とは重なり合わない。さらに、補助配線27は、図4に示すように、発光層23と第2電極22との間に介在して両者に接触する。以上の構成によれば、電流の大部分は低抵抗の補助配線27を流れるから、第2電極22における電圧降下は抑制される。したがって、各単位素子Pに供給される電位が均一化され、この結果として電圧降下に起因した各発光素子Eの光量のムラを有効に抑制することができる。なお、補助配線27のように低抵抗な導電性材料の多くは遮光性(あるいは光反射性)を有するが、本実施形態においては第1電極21と重なり合わないように補助配線27が形成されるから、補助配線27の形成によって開口率が低下することはない。
【0057】
また、補助配線27は、駆動トランジスタTdrや容量素子C1と重なり合わないから、両者間の容量的な結合は抑制される。したがって、補助配線27と駆動トランジスタTdrや容量素子C1との一方の電位の変動が他方に与える影響が抑制され、この結果として発光素子Eの輝度を高精度に制御することが可能となる。一方、基板10に垂直な方向からみると、補助配線27は、図3や図10に示すように選択トランジスタTslや初期化トランジスタTintと重なり合う。しかしながら、本実施形態においては、補助配線27と選択トランジスタTslや初期化トランジスタTint(さらには選択線11や初期化線12)との間に隔壁25が介在するから、両者間に隔壁25が介在しない構成と比較して、補助配線27と選択トランジスタTslや初期化トランジスタTintとの容量的な結合は抑制される。したがって、本実施形態によれば、補助配線27が選択トランジスタTslや初期化トランジスタTintと重なり合う構成にも拘わらず、選択信号Saや初期化信号Sbの波形の鈍りを抑制して選択トランジスタTslや初期化トランジスタTintを高速に動作させることができる。なお、以上においては補助配線27が発光層23と第2電極22との間に介在する構成を例示したが、補助配線27は第2電極の表面(発光層23とは反対側の表面)に形成されてもよい。
【0058】
<B:第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る単位素子Pの具体的な構成を説明する。なお、本実施形態における発光装置Dの電気的な構成は第1実施形態(図1および図2)と同様である。以下に示す各形態において、第1実施形態と共通する要素には同一の符号を付してその説明を適宜に省略する。
【0059】
図12は、本実施形態における単位素子Pの構成を示す平面図であり、図13ないし図15は、図12の単位素子Pが形成される各段階における基板10の面上の様子を示す平面図である。図13に示すように、基板10の面上には半導体層32と半導体層42と半導体層45とが半導体材料によって同層から形成される。半導体層32は、駆動トランジスタTdrを構成する略矩形状の部分である。半導体層42は、半導体層32からみてY方向の正側に形成された部分であり、略矩形状の電極E2と、電極E2の左下部からX方向に延在する素子部421とを含む。素子部421は、選択トランジスタTslの半導体層として機能する部分である。半導体層45は、初期化トランジスタTintを構成する部分であり、半導体層42を挟んで半導体層32とは反対側の領域にてX方向に延在する。
【0060】
以上の各要素を覆うゲート絶縁層L0の面状には、図14に示すように、第1データ線部131と選択線11および初期化線12と中間導電体52と第1中継配線部171とが同層から形成される。第1データ線部131は、第1実施形態と同様にデータ線13を構成する部分であり、中間導電体52からみてX方向の正側の領域にてY方向に延在する。
【0061】
初期化線12は、X方向に延在する部分からY方向の負側に分岐して半導体層45に重なり合う第1ゲート電極121と第2ゲート電極122とを有する。半導体層45のうち第1ゲート電極121および第2ゲート電極122の各々と重なり合う部分が初期化トランジスタTintのチャネル領域である。同様に、選択線11は、X方向に延在する部分からY方向の負側に分岐して半導体層42の素子部421に重なり合う第1ゲート電極111と第2ゲート電極112とを有する。第1ゲート電極111と第2ゲート電極112とは間隔をあけてX方向に隣接する。素子部421のうちゲート絶縁層L0を挟んで第1ゲート電極111および第2ゲート電極112の各々と重なり合う部分が選択トランジスタTslのチャネル領域である。以上のように、本実施形態の選択トランジスタTslおよび初期化トランジスタTintは、デュアルゲート構造の薄膜トランジスタである。
【0062】
中間導電体52は、電極E2に対向して容量素子C1を構成する電極E1と、電極E1の左上部からY方向の負側に延在する連結部525と、この連結部525からX方向の正側に延在して半導体層32と重なり合うゲート電極521と、電極E1のうちX方向における略中央からY方向の正側に突出する接続部523とを含む。ゲート電極521は、半導体層32のX方向における全寸法にわたって半導体層32と重なり合うようにX方向に延在する。図14に示すように、半導体層32のうちゲート絶縁層L0を挟んでゲート電極521に対向する領域が駆動トランジスタTdrのチャネル領域32cである。また、チャネル領域32cを挟んで電極E1側の領域がソース領域32sであり、その反対側の領域がドレイン領域32dである。
【0063】
第1中継配線部171は、初期化トランジスタTintと駆動トランジスタTdrのドレイン領域32dとを電気的に接続するための配線(以下「中継配線」という)を構成する部分であり、中間導電体52からみてX方向の負側の領域にてY方向に延在する。すなわち、本実施形態における中間導電体52は第1データ線部131と第1中継配線部171との間隙に配置される。
【0064】
以上の各要素を覆う第1絶縁層L1の面上には、図15に示すように、第1絶縁層L1の面上には、第2データ線部132と接続部62と第2中継配線部172と導通部72と電源線15とが同層から形成される。
【0065】
第2データ線部132は、第1実施形態と同様に、第1データ線部131とともにデータ線13を構成する配線である。すなわち、第2データ線部132は、コンタクトホールHb1を介して第1データ線部131の図紙面の上方の端部131a(図14参照)に導通する端部132aからY方向に延在して端部132bに至る。端部132bは、コンタクトホールHb2を介して第1データ線部131の図紙面の下方の端部131b(図14参照)に導通する。また、本実施形態の第2データ線部132は、第1絶縁層L1とゲート絶縁層L0とを貫通するコンタクトホールHb3を介して素子部421の端部に導通する。すなわち、データ線13と選択トランジスタTslとはコンタクトホールHb3を介して電気的に接続される。
【0066】
図14および図15に示すように、接続部62は、中間導電体52の接続部523と半導体層45のX方向における正側の端部451とに重なり合うようにY方向に延在する。接続部62は、第1絶縁層L1を貫通するコンタクトホールHb4を介して接続部523(電極E1やゲート電極521))に導通するとともに、第1絶縁層L1とゲート絶縁層L0とを貫通するコンタクトホールHb5を介して半導体層45の端部451に導通する。すなわち、容量素子C1の電極E1(さらには駆動トランジスタTdrのゲート電極521)と初期化トランジスタTintとは接続部62を介して電気的に接続される。
【0067】
導通部72は、第1絶縁層L1を貫通するコンタクトホールHb6を介して第1中継配線部171に導通する。この導通部72は、第1実施形態の導通部71と同様に、駆動トランジスタTdrのドレイン電極と発光素子Eの第1電極21とを電気的に接続する部分である。第1絶縁層L1のうちドレイン領域32dと重なり合う領域には、第1絶縁層L1とゲート絶縁層L0とを貫通する複数(ここでは2個)のコンタクトホールHb7が形成される。これらのコンタクトホールHb7はゲート電極521が延在するX方向(すなわち駆動トランジスタTdrのチャネル幅の方向)に配列する。導通部72は、各コンタクトホールHb7を介してドレイン領域32dに導通する。
【0068】
第2中継配線部172は、図14および図15に示すように、半導体層45におけるX方向の負側の端部452と第1中継配線部171とに重なり合うようにY方向に延在する配線である。この第2中継配線部172は、第1絶縁層L1とゲート絶縁層L0とを貫通するコンタクトホールHb8を介して端部452に導通するとともに、第1絶縁層L1を貫通するコンタクトホールHb9を介して第1中継配線部171に導通する。以上のように、初期化トランジスタTintと駆動トランジスタTdrのドレイン領域32d(さらには導通部72)とは、第1中継配線部171と第2中継配線部172とから構成される中継配線17を介して電気的に接続される。
【0069】
図16は、図15の段階にある4個の単位素子Pが配列する様子を示す平面図である。図15および図16に示すように、第1絶縁層L1のうち半導体層32のソース領域32s(図14参照)と重なり合う領域には、第1絶縁層L1とゲート絶縁層L0とを貫通する複数(ここでは3個)のコンタクトホールHb10が形成される。これらのコンタクトホールHb10はゲート電極521が延在するX方向に配列する。電源線15は、各コンタクトホールHb10を介してソース領域32sに導通する。
【0070】
本実施形態における電源線15は、複数の単位素子PにわたってX方向に延在する第1部分151と、複数の単位素子PにわたってY方向に延在する第2部分152とが交差する形状(格子状)の配線である。第1部分151は、各第2データ線部132の間隙の領域と、第2中継配線部172および導通部72(部分721)の間隙の領域とを通過するようにX方向に延在する。したがって、図15や図16のように基板10に垂直な方向からみると、第1部分151は、第1データ線部131と第1中継配線部171と容量素子C1とに重なり合う。また、第2部分152は、導通部72(部分722)および第2データ線部132の間隙の領域と、接続部62および第2データ線部132の間隙の領域とを通過するようにY方向に延在する。一方、図15や図16に示すように、電源線15は選択トランジスタTslや初期化トランジスタTintには重なり合わない。
【0071】
図12の第1電極21は、以上の要素を被覆する第2絶縁層L2の面上に形成され、コンタクトホールHb11を介して導通部72(さらには駆動トランジスタTdrのドレイン領域32d)に電気的に接続される。図17は、図12の段階にある単位素子Pが配列された様子を示す平面図である。図12および図17に示すように、第1電極21は、駆動トランジスタTdrや容量素子C1およびデータ線13(第1データ線部131)に重なり合うように形成される。この構成においては、第1電極21と駆動トランジスタTdrや容量素子C1との間、および、第1電極21とデータ線13の第1データ線部131との間に電源線15が介在する。したがって、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、第1電極21と各要素との容量的な結合が抑制される。
【0072】
また、図12のように基板10に垂直な方向からみると、本実施形態の第1電極21は、選択トランジスタTslや初期化トランジスタTint(さらには選択線11や初期化線12)と重なり合わない。一方、図12および図17に示すように、補助配線27は、第2絶縁層L2の面上に形成された隔壁25の表面のうち各第1電極21の間隙の領域に形成され、選択トランジスタTslや初期化トランジスタTint(さらには選択線11や初期化線12)と重なり合うようにX方向に延在する。補助配線27と選択トランジスタTslや初期化トランジスタTintとの間には隔壁25が介在するから、第1実施形態と同様に、補助配線27と選択トランジスタTslや初期化トランジスタTintとの容量的な結合は抑制される。なお、第2電極22の態様は第1実施形態と同様である。
【0073】
ところで、電源線15や第1電極21の低抵抗化や開口率の向上という観点のみからすれば、駆動トランジスタTdrや容量素子C1だけでなく選択トランジスタTslや初期化トランジスタTintにも重なり合うように電源線15や第1電極21が形成された構成(以下「対比例」という)も採用される。しかしながら、この対比例においては、選択トランジスタTslや選択線11が電源線15および第1電極21と容量的に結合し(すなわち両者間に容量が寄生し)、この容量に起因して選択信号Saに波形の鈍りが発生する場合がある。同様に、初期化トランジスタTintや初期化線12と電源線15および第1電極21との間に付随する容量は初期化信号Sbの波形の鈍りの原因となり得る。したがって、対比例においては、例えば選択トランジスタTslや初期化トランジスタTintのスイッチングが遅延するという問題がある。
【0074】
これに対し、本実施形態においては、選択トランジスタTslや選択線11および初期化トランジスタTintや初期化線12とは重なり合わないように電源線15や第1電極21が形成されるから、電源線15や第1電極21と他の要素との間に寄生する容量は対比例と比較して低減される。したがって、本実施形態によれば、選択信号Saや初期化信号Sbの波形の鈍りを抑制して選択トランジスタTslや初期化トランジスタTintを高速に動作させることができる。
【0075】
<C:第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態における発光装置Dの具体的な構成を説明する。
以上の各形態においては、総ての単位素子Pが同じ態様で基板10の面上に配列された構成を例示した。これに対し、本実施形態においては、ひとつの単位素子Pの態様(レイアウト)とこれに隣接する単位素子Pの態様とが相違する。なお、本実施形態におけるひとつの単位素子Pの構成は第2実施形態と同様である。したがって、各単位素子Pの具体的な構成については適宜に説明を省略する。
【0076】
図18は、ゲート絶縁層L0の面上に第1データ線部131や選択線11や初期化線12が形成された段階にある9個の単位素子PがX方向およびY方向にわたって配列された様子を示す平面図である。なお、図18および後掲の図19や図20においては、第(i−1)行から第(i+1)行までの各行に属する3列分の単位素子Pが図示されている。第i行は奇数行であり、第(i−1)行および第(i+1)行は偶数行である。同図に示すように、本実施形態においては、奇数行(第i行)の各単位素子Pと偶数行(第(i−1)行および第(i+1)行)の各単位素子Pとにおいて、各々を構成する各要素のY方向における配置が逆転した構成となっている。
【0077】
偶数行(第(i−1)行および第(i+1)行)の各単位素子Pにおいては、駆動トランジスタTdr(さらにはそのY方向の正側に位置する容量素子C1)からみてY方向の正側の領域に選択トランジスタTslと選択線11とが配置され、さらに選択線11からみてY方向の正側の領域に初期化トランジスタTintと初期化線12とが配置される。これに対し、奇数行(第i行)の各単位素子Pにおいては、駆動トランジスタTdr(さらにはそのY方向の負側に位置する容量素子C1)からみてY方向の負側の領域に選択トランジスタTslと選択線11とが配置され、さらに選択線11からみてY方向の負側の領域に初期化トランジスタTintと初期化線12とが配置される。したがって、図18に示すように、偶数行(第(i−1)行)の各単位素子PとそのY方向の正側に隣接する奇数行(第i行)の各単位素子Pとの間隙には各々に対応する2組の選択線11および初期化線12が介在するのに対し、奇数行(第i行)の各単位素子PとそのY方向の正側に隣接する偶数行(第(i+1)行)の各単位素子Pとの間隙には選択線11および初期化線12の何れも存在しない。
【0078】
データ線13のうち選択線11や初期化線12と同層から形成される第1データ線部131は、図18に示すように、奇数行(第i行)の各単位素子PとそのY方向の正側に隣接する偶数行(第(i+1)行)の各単位素子Pとにわたって直線状に連続して形成される。換言すると、各第1データ線部131は、偶数行(第(i−1)行)の選択線11および初期化線12とそのY方向の正側に隣接する奇数行(第i行)の選択線11および初期化線12とをY方向に挟んで分割された形状である。
【0079】
次に、図19は、第1絶縁層L1の面上に各要素(第2データ線部132や電源線15)が形成された段階にある各単位素子Pの様子を示す平面図である。同図に示すように、第2データ線部132は、偶数行(第(i−1)行)およびそのY方向の正側に位置する奇数行(第i行)の各行における選択線11および初期化線12と交差するように形成され、Y方向に隣接する各第1データ線部131を相互に連結することでデータ線13を構成する。図19に示すように、第2データ線部132は、これと同層から形成される電源線15の第2部分152に隣接してY方向に延在する。
【0080】
一方、第1データ線部131は奇数行(第i行)とそのY方向の正側に隣接する偶数行(第(i+1)行)とにわたって連続するから、これらの各行の間隙に第2データ線部132は形成されない。そこで、本実施形態においては、第2データ線部132が形成されない分だけ電源線15の第2部分152が幅広とされる。すなわち、奇数行(第i行)とそのY方向の正側に隣接する偶数行(第(i+1)行)とにわたって延在する第2部分152の幅寸法Waは、偶数行(第(i−1)行)とそのY方向の正側に隣接する奇数行(第i行)とにわたって延在する第2部分152の幅寸法Wbよりも大きい(Wa>Wb)。
【0081】
図20は、第2絶縁層L2の面上に各要素(第1電極21や補助配線27)が形成された様子を示す平面図である。同図に示すように、隔壁25の面上に形成される補助配線27は、偶数行(第(i−1)行)の各第1電極21とそのY方向の正側に隣接する奇数行(第i行)の各第1電極21との間隙にてX方向に延在して選択線11および初期化線12と重なり合う。一方、奇数行(第i行)の各第1電極21とそのY方向の正側に隣接する偶数行(第(i+1)行)の各第1電極21とは相互に近接して配置され、両者の間隙に補助配線27は形成されない。すなわち、第2実施形態においては単位素子Pの1行ごとに1本の補助配線27が形成された構成を例示したが、本実施形態においては、単位素子Pの2行ごとに1本の補助配線27が形成される。
【0082】
以上に説明したように、本実施形態によれば、第1データ線部131と第2データ線部132とが導通する箇所(コンタクトホールHb1,Hb2)の総数を、第2実施形態と比較して約半分に削減することが可能である。したがって、データ線13の断線(第1データ線部131と第2データ線部132との導通不良)の可能性を低減できるという利点がある。また、第2データ線部132が不要である箇所においては電源線15の第2部分152の線幅が拡大されるから、第2実施形態と比較して、電源線15を低抵抗化することができる。さらに、補助配線27は、2行分の選択線11および初期化線12と重なり合うように幅広に形成されるから、補助配線27に要求される寸法上の精度は第2実施形態よりも低い。したがって、マスクを介した蒸着など低廉な技術によって補助配線27を容易に形成することが可能である。
【0083】
<D:第4実施形態>
<D−1:発光装置の電気的な構成>
次に、本発明の第4実施形態に係る発光装置について説明する。図21は、本実施形態におけるひとつの単位素子Pの電気的な構成を示す回路図である。同図に示すように、この単位素子Pにおいては、以上の各形態における容量素子C1や初期化トランジスタTint(初期化線12)が形成されず、駆動トランジスタTdrのゲート電極とデータ線13との電気的な接続が選択トランジスタTslによって制御される。また、駆動トランジスタTdrのゲート電極とソース電極(電源線15)との間には容量素子C2が介在する。
【0084】
この構成において選択トランジスタTslがオン状態に変化すると、発光素子Eに指定された階調に応じたデータ電位Vdataがデータ線13から選択トランジスタTslを経由して駆動トランジスタTdrのゲート電極に供給される。このときに容量素子C2にはデータ電位Vdataに応じた電荷が蓄積されるから、選択トランジスタTslがオフ状態に変化しても、駆動トランジスタTdrのゲート電位Vgはデータ電位Vdataに維持される。したがって、発光素子Eには、駆動トランジスタTdrのゲート電位Vgに応じた電流(データ電位Vdataに応じた電流)が継続的に供給される。この電流の供給によって発光素子Eはデータ電位Vdataに応じた輝度で発光する。
【0085】
<D−2:単位素子Pの構造>
次に、本実施形態に係る単位素子Pの具体的な構造を説明する。図22は、ひとつの単位素子Pの構成を示す平面図であり、図23ないし図25は、単位素子Pが形成される各段階における基板10の面上の様子を示す平面図である。図23ないし図25には、図22に図示された第1電極21の形成される領域Aが二点鎖線によって併記されている。
【0086】
図23に示すように、基板10の面上には半導体層34と半導体層44とが半導体材料によって同層から形成される。半導体層34は、駆動トランジスタTdrや容量素子C2を構成する略矩形状の部分である。半導体層44は、半導体層34からみてY方向の正側の領域にてX方向に延在する。
【0087】
図24に示すように、半導体層34と半導体層44とを覆うゲート絶縁層L0の面上には、選択線11と第1データ線部131と中間導電体54とが同層から形成される。選択線11は、X方向に延在する部分からY方向の負側に分岐して半導体層44に重なり合う2個のゲート電極114を有する。各ゲート電極114と半導体層44とがゲート絶縁層L0を挟んで対向する部分がデュアルゲート構造の選択トランジスタTslとして機能する。第1データ線部131は、図21のデータ線13を構成する部分であり、各行の選択線11の間隙の領域(中間導電体54からみてX方向の負側の領域)にてY方向に延在する。
【0088】
中間導電体54は、略矩形状の電極部Fと、電極部Fの左上部からY方向の負側に延在する連結部545と、この連結部545からX方向の正側に延在して半導体層34と重なり合うゲート電極541とを含む。電極部Fと半導体層34とがゲート絶縁層L0を挟んで対向する部分が容量素子C2として機能する。また、半導体層34のうちゲート絶縁層L0を挟んでゲート電極541に対向する領域は駆動トランジスタTdrのチャネル領域34cである。また、半導体層34のうちチャネル領域34cを挟んで電極部F側の領域がソース領域34sであり、その反対側の領域がドレイン領域34dである。
【0089】
以上の各要素を覆う第1絶縁層L1の面上には、図25に示すように、第2データ線部132と接続部64と導通部74と電源線15とが同層から形成される。第2データ線部132は、第1データ線部131とともにデータ線13を構成する配線であり、コンタクトホールHc1を介して各行の第1データ線部131に導通するとともに、そのY方向の負側における隣接行の第1データ線部131にコンタクトホールHc2を介して導通する。また、第2データ線部132は、第1絶縁層L1とゲート絶縁層L0とを貫通するコンタクトホールHc3を介して半導体層44に導通する。
【0090】
接続部64は、選択トランジスタTslと容量素子C2とを電気的に接続するための部分である。すなわち、接続部64は、第1絶縁層L1を貫通するコンタクトホールHc4を介して中間導電体54の電極部Fに導通するとともに、第1絶縁層L1とゲート絶縁層L0とを貫通するコンタクトホールHc5を介して半導体層44に導通する。また、導通部74は、駆動トランジスタTdrと発光素子Eとを電気的に接続する部分であり、ゲート電極541に沿ってX方向に配列する複数のコンタクトホールHc6を介して半導体層34のドレイン領域34dに導通する。
【0091】
図26は、図25の段階にある4個の単位素子Pが配列する様子を示す平面図である。図25および図26に示すように、本実施形態の電源線15は、Y方向に隣接する各第2データ線部132の間隙の領域においてX方向に延在する。電源線15は、第1絶縁層L1とゲート絶縁層L0とを貫通する複数のコンタクトホールHc7を介して半導体層34のソース領域34sに導通する。
【0092】
図22の第1電極21は、以上の要素を被覆する第2絶縁層L2の面上に形成されるとともにコンタクトホールHc8を介して導通部74に導通する。図27は、図22の段階にある4個の単位素子Pが配列された様子を示す平面図である。図22および図27に示すように、第1電極21は、駆動トランジスタTdrや容量素子C2およびデータ線13と重なり合うように形成される。この構成においては、第1電極21と駆動トランジスタTdrやデータ線13との間に電源線15が介在するから、第1実施形態と同様に、第1電極21と各要素との容量的な結合が抑制される。また、第1電極21は選択トランジスタTslに重なり合わないから、第1電極21と選択トランジスタTslとの容量的な結合を抑制することができる。コンタクトホールHc1,Hc8,Hc6とは、X方向に直線状に並んでいる。また、コンタクトホールHc2,Hc4とは、X方向に直線状に並んでいる。また、選択トランジスタTslを構成する半導体層44は、X方向に延在している。したがって、電源線15をX方向に幅広く延在させることができる。
【0093】
一方、図22および図27に示すように、補助配線27は、第2絶縁層L2の面上に形成された隔壁25の表面のうち各第1電極21の間隙の領域に形成され、選択トランジスタTslや選択線11と重なり合うようにX方向に延在する。このように補助配線27と選択トランジスタTslとの間には隔壁25が介在するから、第1実施形態と同様に、補助配線27と選択トランジスタTslとの容量的な結合は抑制される。なお、第2電極22の態様は第1実施形態と同様である。
【0094】
<E:第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態について説明する。本実施形態においては、ひとつの単位素子Pの態様(レイアウト)とそのX方向およびY方向に隣接する各単位素子Pの態様とが相違する。各単位素子Pの構造は第4実施形態と同様である。したがって、各単位素子Pの具体的な構成については適宜に説明を省略する。
【0095】
図28は、第1データ線部131と選択線11と中間導電体54とが同層から形成された段階の複数の単位素子PがX方向およびY方向にわたって配列された様子を示す平面図である。同図における第i行は奇数行であり、第(i−1)行および第(i+1)行は偶数行である。
【0096】
図28の構成においては、第3実施形態と同様に、複数の単位素子Pを構成する各要素のY方向における配置が奇数行(第i行)と偶数行(第(i−1)行および第(i+1)行)とで逆転したレイアウトとなっている。すなわち、奇数行(第i行)に属する単位素子Pにおいては、駆動トランジスタTdrからみてY方向の正側に選択トランジスタTslおよび選択線11が配置される。これに対し、偶数行(第(i−1)行および第(i+1)行)に属する各単位素子Pにおいては、駆動トランジスタTdrからみてY方向の負側に選択トランジスタTslおよび選択線11が配置される。そして、第1データ線部131は、偶数行(第(i−1)行)の単位素子PとそのY方向の正側に位置する奇数行(第i行)の単位素子Pとにわたって連続する形状に形成される。
【0097】
さらに、本実施形態においては、単位素子Pを構成する各要素のX方向における配置が第j列とそのX方向に隣接する第(j+1)列とで逆転したレイアウトとなっている。すなわち、第j列に属する各単位素子Pにおいては、駆動トランジスタTdrや容量素子C2からみてX方向の正側に第1データ線部131が配置されるのに対し、第(j+1)列に属する各単位素子Pにおいては、駆動トランジスタTdrや容量素子C2からみてX方向の負側に第1データ線部131が配置される。したがって、第j列の第1データ線部131と第(j+1)列の第1データ線部131との間隙には駆動トランジスタTdrや容量素子C2が存在しない。
【0098】
次に、図29は、第1絶縁層L1の面上に各要素(第2データ線部132や電源線15)が形成された様子を示す平面図である。同図に示すように、第2データ線部132は、奇数行(第i行)の選択線11とそのY方向の正側に隣接する偶数行(第(i+1)行)の選択線11とに交差する。一方、偶数行(第(i−1)行)とそのY方向の正側に隣接する奇数行(第i行)との間隙に第2データ線部132は形成されない。
【0099】
そして、本実施形態の電源線15は、各単位素子Pの容量素子C2と重なり合うようにX方向に延在する部分に加えて、これらの各部分を相互に連結する連結部153を含む。連結部153は、偶数行(第(i−1)行)とそのY方向の正側に隣接する奇数行(第i行)との間隙であって第j列および第(j+1)列の各第1データ線部131と重なり合う領域(すなわち第2データ線部132が形成されない領域)に形成される。このように本実施形態によれば、第4実施形態と比較して連結部153の分だけ電源線15の面積が拡大されるから、電源線15を低抵抗化して各単位素子Pにおける電源電位Vddのバラツキを抑制することができる。
【0100】
図30は、第2絶縁層L2の面上に各要素(第1電極21や補助配線27)が形成された様子を示す平面図である。同図に示すように、隔壁25の面上に形成される補助配線27は、奇数行(第i行)の第1電極21とそのY方向の正側に隣接する偶数行(第(i+1)行)の第1電極21との間隙にてX方向に延在し、これらの各行に属する選択線11や選択トランジスタTslに重なり合う。一方、偶数行(第(i−1)行)とそのY方向の正側に隣接する奇数行(第i行)との間隙(すなわち選択線11や選択トランジスタTslが形成されない領域)に補助配線27は形成されない。本実施形態によっても第3実施形態と同様の作用および効果が奏される。
【0101】
<F:変形例>
以上の形態には様々な変形が加えられる。具体的な変形の態様を例示すれば以下の通りである。なお、以下の各態様を適宜に組み合わせてもよい。
【0102】
<F−1:変形例1>
以上の各形態における単位素子Pの電気的な構成は適宜に変更される。本発明に適用される単位素子Pの具体的な態様を以下に例示する。
【0103】
(1)図31に示すように、駆動トランジスタTdrと発光素子Eとの間にトランジスタ(以下「発光制御トランジスタ」という)Tcntが介在する構成としてもよい。この発光制御トランジスタTcntは、駆動トランジスタTdrのドレイン電極と発光素子Eの第1電極21との電気的な接続を、発光制御線14に供給される発光制御信号Scに応じて制御するスイッチング素子である。発光制御トランジスタTcntがオン状態に変化すると電源線15から発光素子Eへの電流の経路が形成されて発光素子Eの発光が許可され、発光制御トランジスタTcntがオフ状態に変化するとこの経路が遮断されて発光素子Eの発光が禁止される。したがって、この構成によれば、初期化期間や書込期間を除外した駆動期間のみにおいて発光制御トランジスタTcntをオン状態として発光素子Eを発光させるといった具合に、発光素子Eが実際に発光する期間を正確に規定することができる。なお、図21に例示した構成の単位素子Pに対して発光制御トランジスタTcntを追加してもよい。
【0104】
以上の構成における発光制御トランジスタTcntや発光制御線14についても、以上の各形態において例示した選択トランジスタTslや選択線11(あるいは初期化トランジスタTintや初期化線12)と同様の態様が採用される。
【0105】
(2)図32に示すように、図2に例示した単位素子Pにおいて、駆動トランジスタTdrのゲート電極とソース電極(電源線15)との間に容量素子C2が介挿された構成としてもよい。この構成によれば、書込期間にて設定された駆動トランジスタTdrのゲート電位Vgを駆動期間にて容量素子C2に保持できるという利点がある。もっとも、駆動トランジスタTdrのゲート電極の面積(チャネル領域の面積)が充分に確保される構成においては、この駆動トランジスタTdrのゲート容量によってゲート電位Vgが保持される。したがって、第1実施形態から第3実施形態のように容量素子C2が配置されない構成であっても、駆動期間にてゲート電位Vgを保持することは可能である。
【0106】
以上のように、駆動トランジスタTdrのゲート電極に接続される容量素子は、容量カップリングによって駆動トランジスタTdrのゲート電位Vgを設定するための容量素子C1であってもよいし、駆動トランジスタTdrのゲート電極の電位を保持するための容量素子C2であってもよい。
【0107】
<F−2:変形例2>
以上の形態においては第1電極21が光反射性の材料によって形成された構成を例示したが、発光層23から基板10側への出射光が第1電極21とは別個の反射層によって基板10とは反対側に反射される構成としてもよい。この構成においては、光反射性の材料によって第1絶縁層L1の面上に反射層が形成され、この反射層を覆うように第1電極21が形成される。第1電極21は、ITOやIZOなどの光透過性の導電性材料によって形成される。また、以上の形態においては第2電極22が光透過性の材料によって形成された構成を例示したが、遮光性または光反射性を有する導電性材料を充分に薄く形成した電極が第2電極22とされた構成によっても発光層23からの放射光を透過させることができる。
【0108】
もっとも、発光層23からの出射光が基板10を透過して出射するボトムエミッション型の発光装置にも本発明は適用される。この構成においては、例えば、光反射性の導電性材料によって第2電極22が形成されるとともに光透過性の導電性材料によって第1電極21が形成される。そして、発光層23から基板10側への出射光と、発光層23から基板10とは反対側に出射して第2電極22の表面にて反射した光とが、第1電極21および基板10を透過して出射する。
【0109】
<F−3:変形例3>
以上の構成においては、複数の単位素子Pにわたって連続するように発光層23が形成された構成を例示したが、発光層23が単位素子Pごとに分離された構成(例えば発光層23が隔壁25の開口部の内側のみに形成された構成)も採用される。また、隔壁25は適宜に省略される。
【0110】
<F−4:変形例4>
以上の各形態においては有機EL材料より少なくともなる発光層23を含む発光素子Eを例示したが、本発明における発光素子はこれに限定されない。例えば、無機EL材料より少なくともなる発光層を含む発光素子やLED(Light Emitting Diode)素子など様々な発光素子を採用することができる。本発明における発光素子は、電気エネルギの供給(典型的には電流の供給)によって発光する素子であれば足り、その具体的な構造や材料の如何は不問である。
【0111】
<G:応用例>
次に、本発明に係る発光装置を利用した電子機器の具体的な形態を説明する。図33は、以上に説明した何れかの形態に係る発光装置Dを表示装置として採用したモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。パーソナルコンピュータ2000は、表示装置としての発光装置Dと本体部2010とを備える。本体部2010には、電源スイッチ2001およびキーボード2002が設けられている。この発光装置Dは有機EL材料の発光層23を発光素子Eに使用しているので、視野角が広く見易い画面を表示できる。
【0112】
図34に、各形態に係る発光装置Dを適用した携帯電話機の構成を示す。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001およびスクロールボタン3002、ならびに表示装置としての発光装置Dを備える。スクロールボタン3002を操作することによって、発光装置Dに表示される画面がスクロールされる。
【0113】
図35に、各形態に係る発光装置Dを適用した携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistants)の構成を示す。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001および電源スイッチ4002、ならびに表示装置としての発光装置Dを備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が発光装置Dに表示される。
【0114】
なお、本発明に係る発光装置が適用される電子機器としては、図33から図35に示したもののほか、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、プリンタ、スキャナ、複写機、ビデオプレーヤ、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。また、本発明に係る発光装置の用途は画像の表示に限定されない。例えば、光書込み型のプリンタや電子複写機といった画像形成装置においては、用紙などの記録材に形成されるべき画像に応じて感光体を露光する書込みヘッドが使用されるが、この種の書込みヘッドとしても本発明の発光装置を利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】第1実施形態の発光装置における複数の単位素子の配列を示すブロック図。
【図2】各単位素子の電気的な構成を示す回路図。
【図3】第1実施形態における単位素子の構成を示す平面図。
【図4】図3におけるIV−IV線からみた断面図。
【図5】ゲート絶縁層が形成された段階を示す平面図。
【図6】第1絶縁層が形成された段階を示す平面図。
【図7】第2絶縁層が形成された段階を示す平面図。
【図8】第1絶縁層が形成された段階にある複数の単位素子を示す平面図。
【図9】第2絶縁層が形成された段階にある複数の単位素子を示す平面図。
【図10】第2電極が形成された段階にある複数の単位素子を示す平面図。
【図11】図3におけるXI−XI線からみた断面図。
【図12】第2実施形態における単位素子の構成を示す平面図。
【図13】ゲート絶縁層が形成された段階を示す平面図。
【図14】第1絶縁層が形成された段階を示す平面図。
【図15】第2絶縁層が形成された段階を示す平面図。
【図16】第2絶縁層が形成された段階にある複数の単位素子を示す平面図。
【図17】第2電極が形成された段階にある複数の単位素子を示す平面図。
【図18】第3実施形態で第1絶縁層が形成された段階の複数の単位素子を示す平面図。
【図19】第2絶縁層が形成された段階の単位素子を示す平面図。
【図20】第2電極が形成された段階の単位素子を示す平面図。
【図21】第4実施形態における各単位素子の電気的な構成を示す回路図。
【図22】ひとつの単位素子の構成を示す平面図。
【図23】ゲート絶縁層が形成された段階を示す平面図。
【図24】第1絶縁層が形成された段階を示す平面図。
【図25】第2絶縁層が形成された段階を示す平面図。
【図26】第2絶縁層が形成された段階にある複数の単位素子を示す平面図。
【図27】第2電極が形成された段階にある複数の単位素子を示す平面図。
【図28】第5実施形態で第1絶縁層が形成された段階の複数の単位素子を示す平面図。
【図29】第2絶縁層が形成された段階の複数の単位素子を示す平面図。
【図30】第2電極が形成された段階の複数の単位素子を示す平面図。
【図31】変形例に係る単位素子の構成を示す回路図。
【図32】変形例に係る単位素子の構成を示す回路図。
【図33】本発明に係る電子機器の具体例であるパーソナルコンピュータの斜視図。
【図34】本発明に係る電子機器の具体例である携帯電話機の斜視図。
【図35】本発明に係る電子機器の具体例である携帯型情報端末の斜視図。
【符号の説明】
【0116】
D…発光装置、P…単位素子、E…発光素子、10…基板、11…選択線、12…初期化線、13…データ線、14…発光制御線、15…電源線、21…第1電極、22…第2電極、23…発光層、Tdr…駆動トランジスタ、Tsl…選択トランジスタ、Tint…初期化トランジスタ、Tcnt…発光制御トランジスタ、C1,C2…容量素子、E1,E2…電極、L0…ゲート絶縁層、L1…第1絶縁層、L2…第2絶縁層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の電位が供給される給電線と、
第1電極と第2電極との間に発光層が介在する発光素子と、
前記給電線から前記発光素子に供給される電流量を制御する駆動トランジスタとを具備し、
前記給電線は、前記第1電極と前記駆動トランジスタとの間に介在する部分を含む
ことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記駆動トランジスタのゲート電極に電気的に接続された容量素子とをさらに具備し、
前記第1電極は、前記容量素子と重なり合う
ことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
データ信号が供給されるデータ線とをさらに具備し、
前記駆動トランジスタは、前記電流量を前記データ信号に応じて制御し、
前記給電線は、前記第1電極と前記データ線との間に介在する部分を含む
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
データ信号が供給されるデータ線と、
前記第1電極は、前記データ線を被覆する絶縁層の面上に形成された光反射性の電極であり、その外周縁が前記データ線と重なり合う
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項5】
選択信号に応じてオン状態またはオフ状態となる選択トランジスタを具備し、
前記駆動トランジスタのゲート電極は、オン状態となった前記選択トランジスタを介してデータ線から供給されるデータ信号に応じた電位に設定され、
前記第1電極は、前記選択トランジスタと重なり合わないように形成される
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項6】
初期化信号に応じてオン状態またはオフ状態となる初期化トランジスタを具備し、
前記駆動トランジスタのゲート電極とドレインとは、オン状態となった前記初期化トランジスタを介して電気的に接続され、
前記第1電極は、前記初期化トランジスタと重なり合わないように形成される
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項7】
第1電極と第2電極との間に発光層が介在する発光素子と、
前記発光素子に供給される電流量を制御する駆動トランジスタと、
前記駆動トランジスタのゲート電極に電気的に接続された容量素子と、
前記第2電極よりも抵抗率が低い材料で形成されて前記第2電極に導通する補助配線とを具備し、
前記補助配線は、前記駆動トランジスタおよび前記容量素子とは重なり合わない
ことを特徴とする発光装置。
【請求項8】
選択信号に応じてオン状態またはオフ状態となる選択トランジスタと、
前記選択トランジスタに重なり合うとともに開口部が形成された絶縁層と、
第1電極と前記絶縁層を被覆する第2電極とが少なくとも前記開口部の内側において発光層を挟んで対向する発光素子と、
オン状態となった前記選択トランジスタを介してデータ線から供給されるデータ信号に応じて、前記発光素子に供給される電流量を制御する駆動トランジスタと、
前記第2電極よりも抵抗率が低い材料によって前記絶縁層の面上に形成されて前記第2電極に導通する補助配線と
を具備することを特徴とする発光装置。
【請求項9】
前記選択トランジスタは、前記補助配線と重なり合うことを特徴とする請求項8に記載の発光装置。
【請求項10】
初期化信号に応じてオン状態またはオフ状態となる初期化トランジスタと、
前記初期化トランジスタに重なり合うとともに開口部が形成された絶縁層と、
第1電極と前記絶縁層を被覆する第2電極とが少なくとも前記開口部の内側において発光層を挟んで対向する発光素子と、
前記発光素子に供給される電流量を制御するとともに、オン状態となった前記初期化トランジスタを介してゲート電極とドレインとが電気的に接続される駆動トランジスタと、
前記第2電極よりも抵抗率が低い材料によって前記絶縁層の面上に形成されて前記第2電極に導通する補助配線と
を具備することを特徴とする発光装置。
【請求項11】
前記初期化トランジスタは、前記補助配線と重なり合うことを特徴とする請求項10に記載の発光装置。
【請求項12】
第1方向に延在する複数の制御線と、
前記第1方向とは異なる第2方向に延在して前記複数の制御線と交差するデータ線と、
前記複数の制御線と前記データ線との交差に対応した位置に各々が配置されて前記第2方向に配列する複数の単位素子とを具備し、
前記複数の単位素子の各々は、
第1電極と第2電極との間に発光層が介在する発光素子と、
前記データ線に供給される信号に応じてゲート電極の電位が設定されることで、前記発光素子に供給される電流量を制御する駆動トランジスタと、
前記駆動トランジスタのゲート電極に対する所定の電位の供給の可否または前記発光素子に対する電流の供給の可否を、前記複数の制御線のうち当該単位素子に対応した制御線に供給される信号に応じて制御する制御トランジスタとを含み、
前記複数の単位素子のうち第1の単位素子においては、前記制御トランジスタと前記制御線とが前記駆動トランジスタからみて前記第2方向における一方の側に位置し、
前記複数の単位素子のうち前記第2方向における一方の側にて前記第1の単位素子に隣接する第2の単位素子と、前記第2方向における他方の側にて前記第1の単位素子に隣接する第3の単位素子との各々においては、前記制御トランジスタと前記制御線とが前記駆動トランジスタからみて前記第2方向における他方の側に位置し、
前記データ線は、前記複数の制御線と同層から形成されて前記第2方向に配列する複数の第1データ線部と、前記複数の制御線を被覆する絶縁層の面上に形成されて前記各第1データ線部を電気的に接続する第2データ線部とを含み、
前記第1データ線部は、前記第1の単位素子と前記第3の単位素子とにわたって連続し、前記第2データ線部は、前記第1の単位素子に対応した前記制御線と前記第2の単位素子に対応した前記制御線とに交差する
ことを特徴とする発光装置。
【請求項13】
所定の電位が供給される給電線を具備し、
前記駆動トランジスタは、前記給電線から前記発光素子に供給される電流量を制御し、
前記給電線は、前記データ線の第2データ線部と同層から形成され、前記第1データ線部のうち前記第1の単位素子と前記第3の単位素子との間隙に位置する部分を含む
ことを特徴とする請求項10に記載の発光装置。
【請求項14】
前記第2電極よりも抵抗率が低い材料で形成されて前記第2電極に導通する補助配線を具備し、
前記補助配線は、前記第1の単位素子の前記制御トランジスタおよび前記制御線と前記第2の単位素子の前記制御トランジスタおよび前記制御線とに重なり合うように形成され、前記第1の単位素子と前記第3の単位素子との間隙には形成されない
ことを特徴とする請求項12又は請求項13に記載の発光装置。
【請求項15】
請求項1乃至請求項14のいずれか一項に記載の発光装置を具備する電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2007−226184(P2007−226184A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−289587(P2006−289587)
【出願日】平成18年10月25日(2006.10.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】