説明

発光装置の再生産方法および発光装置の再生産装置

【課題】低コストで廃棄物の量を抑制可能な発光装置の再生産方法および発光装置の再生産装置を提供する。
【解決手段】透光性の管1と、管1の内周に設けた、透光性の第1電極層12bと、第1電極層の内周に設けた、電界を印加して発光する有機物層OLと、有機物層OLの内周に設けた第2電極層12gと、管1の内周を気密に封止する、封止部110とを備えた発光装置の再生産方法であって、以下の工程を有する。封止部110を取外す。第2電極層12gを除去して有機物層OLを露出させる。有機物層OLを除去して第1電極層12bを露出させる。第1電極層12bを表面処理する。表面処理された第1電極層12bの内周に新たな有機物層OLを成膜する。成膜された新たな有機物層OLの内周に新たな第2電極層12gを成膜する。成膜された新たな第2電極層12gを含む管1の内周を封止部110で気密に封止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置の再生産方法および発光装置の再生産装置に関し、特に、管の内周に形成された有機物層を含む発光装置の再生産方法および発光装置の再生産装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
照明器などの発光装置として、現在、電球および蛍光管が広く用いられている。これらの発光装置は、フィラメントの劣化やスパッタ現象に起因して、有限の寿命を有している。寿命に達した発光装置は全体が廃棄される。なお廃棄物の一部は、破砕された後に、ガラスカレットおよび金属材料として利用されることがある。すなわち廃棄物の一部は、原形をとどめない材料として再利用されることがある。
【0003】
また複数のLED(Light Emitting Diode)素子を有するLED発光装置は、使用時間の経過とともに個々の素子の輝度が低下することに起因して、有限の寿命を有している。寿命に達したこのLED発光装置も全体が廃棄される。LEDは資源として再利用することが困難であるため、通常、材料としての再利用も行なわれていない。
【0004】
また近年、有機EL(Electro Luminescence)型の発光装置が提案されている。たとえば特開2007−73403号公報(特許文献1)によれば、面発光デバイス(発光装置)は、有機EL層が形成された透明基材と、口金とを有している。主に有機EL層が徐々に劣化することで、有機EL型の発光装置の劣化が生じる。劣化した有機EL型発光装置は、複数の部分に分解された後、廃棄される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−73403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の発光装置では、装置全体が廃棄されるため、廃棄物の量が多くなる。このため、廃棄物が最終処分される場合、廃棄物の処理費用と環境負荷とが大きかった。特に蛍光管が廃棄される場合、水銀による環境汚染が生じることがあった。また廃棄物が材料として再利用される場合、分別、破砕および純化などを行う必要があるため、大きなコストが必要であった。
【0007】
また劣化した発光装置と交換されることになる別の発光装置は、装置全体が新たに形成される必要があった。このため、発光装置が形成される際のコストが高くなるという問題があった。
【0008】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、低コストで廃棄物の量を抑制可能な発光装置の再生産方法および発光装置の再生産装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の発光装置の再生産方法は、透光性を有する管と、管の内周に設けられ、透光性を有する第1電極層と、第1電極層の内周に設けられ、電界が印加されることにより発光することができる有機物層と、有機物層の内周に設けられた第2電極層と、管の内周を気密に封止するように、管に着脱可能に固定された封止部とを備えた発光装置の再生産方法であって、以下の工程を有している。
【0010】
封止部を取り外す。封止部が取り外された発光装置の第2電極層を除去して有機物層を露出させる。露出された有機物層を除去して第1電極層を露出させる。露出された第1電極層を表面処理する。表面処理された第1電極層の内周に新たな有機物層を成膜する。成膜された新たな有機物層の内周に新たな第2電極層を成膜する。成膜された新たな第2電極層を含む管の内周を封止部で気密に封止する。
【0011】
本発明の発光装置の再生産方法によれば、有機物層および第2電極層が除去された管と、管に着脱可能であり、かつ管から取り外された封止部とが得られるので、この管の内周に有機物層および第2電極層を新たに形成した後に封止部が再度取り付けられることで、発光装置を再生産することができる。これにより、有機物層が劣化した発光装置の一部が廃棄されずに部品として再利用されるので、廃棄物の量を抑制することができる。また発光装置の一部が形状を保ったまま再利用されるので、装置全体が材料段階から再度形成される場合に比して、装置を生産するためのコストを抑制することができる。
【0012】
上記の発光装置の再生産方法において好ましくは、第2電極層を除去する工程は、ハロゲンガス系プラズマおよび有機ガス系プラズマの少なくともいずれかで第2電極層をエッチングする工程と、酸溶液で第2電極層をエッチングする工程との少なくともいずれかを含んでいる。これにより、第2電極層がエッチングされる際に有機物層をエッチングストッパーとして用いることができる。
【0013】
上記の発光装置の再生産方法において好ましくは、有機物層を除去する工程は、酸素プラズマで有機物層をアッシングする工程と、炭化水素系溶剤および水の少なくともいずれかで有機物層をエッチングする工程と、光照射による加熱で有機物層を蒸発させる工程と、高温ガスによる加熱で有機物層を蒸発させる工程との少なくともいずれかを含んでいる。これにより、有機物層がエッチングされる際に第1電極層をエッチングストッパーとして用いることができる。
【0014】
上記の発光装置の再生産方法において好ましくは、第1電極層を表面処理する工程は、第1電極層の表面を酸素プラズマ中で表面処理する工程と、第1電極層の表面を酸素雰囲気中で加熱表面処理する工程と、第1電極層の表面を紫外線で表面処理する工程との少なくともいずれかを含んでいる。これにより、有機物層が除去される際に生じた第1電極層の表面荒れが取り除かれる。よって発光装置の再生産において、有機物層が新たに形成される面である第1電極層の表面を平滑にすることができる。
【0015】
上記の発光装置の再生産方法において好ましくは、新たな有機物層を成膜する工程は、管と新たな有機物層の原料の放出を行う第1の放出部とが互いに相対運動を行うように第1の放出部および管の少なくともいずれかを動かしながら放出を行うことにより、管の内周に新たな有機物層を成膜する工程を含んでいる。
【0016】
これにより、管と放出部とが相対運動を行いながら管の内周に有機物層が形成されるので、管と放出部との相対的な位置関係が固定されている場合に比して管の内周に均一な厚みで成膜を行うことができる。よって、管の内周における発光特性の均一性を高めることができる。
【0017】
上記の発光装置の再生産方法において好ましくは、第1の放出部は、ノズルを有し、管の長さ方向を中心として自転する管の内周へ、原料として液体をノズルから放出して塗布する。これにより、真空蒸着法を用いた成膜が困難な高分子系の有機EL材料を用いた成膜を行うことができる。
【0018】
上記の発光装置の再生産方法において好ましくは、第1の放出部が複数の第1の放出部分を有する。これにより複数の第1の放出部分の各々を用いた成膜を連続して行うことができる。
【0019】
上記の発光装置の再生産方法において好ましくは、新たな有機物層を成膜する工程は、管の内部空間を管の一方端部より真空または減圧にし、加熱された新たな有機物層の気体状の原料を不活性ガスの放出により管の他方端部から流し、管を冷却することにより管の内周に新たな有機物層を成膜する工程を含んでいる。
【0020】
これにより、管の外部から流される気体状の原料の種類を順次変更することで連続して異なる材質の膜を形成することができる。よって複数の互いに異なる膜が積層されて構成された有機EL素子を効率的に製造することができる。よって複数の互いに材質の異なる膜が積層されて構成された発光装置を効率的に製造することができる。
【0021】
上記の発光装置の再生産方法において好ましくは、新たな第2電極層を成膜する工程は、管と新たな第2電極層の原料の放出を行う第2の放出部とが互いに相対運動を行うように第2の放出部および管の少なくともいずれかを動かしながら放出を行うことにより、管の内周に新たな第2電極層を成膜する工程を含んでいる。
【0022】
これにより、管と放出部とが相対運動を行いながら管の内周に第2電極層が形成されるので、管と放出部との相対的な位置関係が固定されている場合に比して管の内周に均一な厚みで成膜を行うことができる。よって、管の内周における発光特性の均一性を高めることができる。
【0023】
上記の発光装置の再生産方法において好ましくは、第2の放出部が複数の第2の放出部分を有する。これにより複数の第2の放出部分の各々を用いた成膜を連続して行うことができる。
【0024】
上記の発光装置の再生産方法において好ましくは、封止部を取り外す工程と、管の内部を封止部で気密に封止する工程とは第1の気密容器内で行われ、第2電極層を除去する工程と、有機物層を除去する工程と、第1電極層を表面処理する工程とは第1の気密容器とは異なる第2の気密容器内で行われ、有機物層を成膜する工程と、第2電極層を成膜する工程とは第1および第2の気密容器とは異なる第3の気密容器内で行われ、管が第1〜第3の気密容器に搬送手段によって搬送される。これにより、発光装置の再生産を連続的に行うことができる。発光装置の再生産を連続的に行うことができるので効率よく発光装置を再生産することができる。
【0025】
上記の発光装置の再生産方法において好ましくは、第2電極層を除去する工程と、有機物層を除去する工程と、第1電極層を表面処理する工程と、新たな有機物層を成膜する工程と、新たな第2電極層を成膜する工程の各工程が管の内部空間を閉塞して行なわれる。これにより、発光装置の再生産を連続的に行うことができる。発光装置の再生産を連続的に行うことができるので効率よく発光装置を再生産することができる。
【0026】
上記の発光装置の再生産方法において好ましくは、第2電極層を除去する工程と、有機物層を除去する工程と、第1電極層を表面処理する工程と、新たな有機物層を成膜する工程と、新たな第2電極層を成膜する工程が一つの気密容器内で行われ、管が一つの気密容器内で搬送手段によって搬送される。これにより、管を気密容器から取り出すことなしに、発光装置の再生産を連続して行うことができる。発光装置の再生産を連続的に行うことができるので効率よく発光装置を再生産することができる。
【0027】
上記の発光装置の再生産方法において好ましくは、新たな有機物層を成膜する工程において、第1電極層に第1のマスクを設けて、第1のマスクが設けられた領域以外に新たな有機物層を成膜する。これにより、第1電極層の一部を残して、配線の接続に使用することができる。
【0028】
上記の発光装置の再生産方法において好ましくは、新たな第2電極層を成膜する工程において、新たな有機物層に第2のマスクを設けて、第2のマスクが設けられた領域以外に新たな第2電極層を成膜する。これにより、第2電極層と第1電極層とが短絡することを防止することができる。
【0029】
上記の発光装置の再生産方法において好ましくは、新たな有機物層の成膜後、新たな有機物層を光照射により蒸発させて、光照射により蒸発された領域以外に新たな有機物層を残存させる。これにより、ショート防止用スペースを形成することができる。
【0030】
上記の発光装置の再生産方法において好ましくは、第1電極層と有機物層と第2電極層とを含む有機発光素子は、可撓性フィルムに形成された状態で管の内周に配置される。このように可撓性フィルムを用いて、その可撓性フィルムの屈折率を適切に設定することにより発光装置における発光光の取り出し効率を高めることができる。
【0031】
上記の発光装置の再生産方法において好ましくは、可撓性フィルムは湾曲させた状態で管の内周に装着される。このように可撓性フィルムを湾曲させて管の内周側に配置することにより、製造における自由度が高くなる。
【0032】
上記の発光装置の再生産方法において好ましくは、封止部を取り外す工程と、有機物層を露出させる工程と、第1電極層を露出させる工程と、第1電極層を表面処理する工程と、新たな有機物層を成膜する工程と、新たな第2電極層を成膜する工程と、管の内周を封止部で気密に封止する工程との少なくとも1つの工程は、管が縦に保持された状態で行なわれる。これにより、製造過程において重力方向に落下したゴミが管の内周の面上に付着することを抑制することができる。
【0033】
本発明の発光装置の再生産装置は、透光性を有する管と、管の内周に設けられ、透光性を有する第1電極層と、第1電極層の内周に設けられ、電界が印加されることにより発光することができる有機物層と、有機物層の内周に設けられた第2電極層と、管の内周を気密に封止するように、管に着脱可能に固定された封止部とを備えた発光装置の再生産装置であって、以下の構成を備えている。
【0034】
発光装置の封止部を取り外す封止着脱部と、封止着脱部で封止部が取り外された発光装置から第2電極層を除去する第2電極層除去部と、第2電極層が除去された発光装置から有機物層を除去する有機物層除去部と、有機物層が除去された発光装置の第1電極層を表面処理する第1電極層表面処理部と、表面処理された第1電極層の内周に新たな有機物層を成膜する有機物層成膜部と、新たな有機物層の内周に第2電極層を成膜する第2電極層成膜部とを備え、封止着脱部は、新たな有機物層および新たな第2電極層を含む管の内周を気密に封止するよう構成されている。
【0035】
本発明の発光装置の再生産装置によれば、有機物層および第2電極層が除去された管と、管に着脱可能であり、かつ管から取り外された封止部とが得られるので、この管の内周に有機物層および第2電極層を新たに形成した後に封止部が再度取り付けられることで、発光装置を再生産することができる。これにより、有機物層が劣化した発光装置の一部が廃棄されずに部品として再利用されるので、廃棄物の量を抑制することができる。また発光装置の一部が形状を保ったまま再利用されるので、装置全体が材料段階から再度形成される場合に比して、装置を生産するためのコストを抑制することができる。
【0036】
上記の発光装置の再生産装置において好ましくは、封止着脱部を有する第1の気密容器と、第2電極層除去部と、有機物層除去部と、第1電極層表面処理部とを有する、第1の気密容器とは異なる第2の気密容器と、有機物層成膜部と、第2電極層成膜部とを有する、第1および第2の気密容器とは異なる第3の気密容器とを備えている。管が第1〜3の気密容器に搬送手段によって搬送される。これにより、発光装置の再生産を連続的に行うことができる。発光装置の再生産を連続的に行うことができるので効率よく発光装置を再生産することができる。
【0037】
上記の発光装置の再生産装置において好ましくは、封止着脱部と、第2電極層除去部と、有機物層除去部と、第1電極層表面処理部と、有機物層成膜部と、第2電極層成膜部との少なくとも1つは、管を縦に保持できるように構成されている。これにより、製造過程において重力方向に落下したゴミが管の内周の面上に付着することを抑制することができる。
【0038】
上記の発光装置の再生産装置において好ましくは、第2電極層除去部と、有機物層除去部と、第1電極層表面処理部と、有機物層成膜部と、第2電極層成膜部とが、管の内部空間を閉塞する結合器をさらに備えている。管の内部空間が結合器によって閉塞された気密状態において各除去部の処理が行なわれる。これにより、発光装置の再生産を連続的に行うことができる。発光装置の再生産を連続的に行うことができるので効率よく発光装置を再生産することができる。
【0039】
本発明の発光装置の再生産装置は、透光性を有する管と、管の内周に設けられ、透光性を有する第1電極層と、第1電極層の内周に設けられ、電界が印加されることにより発光することができる有機物層と、有機物層の内周に設けられた第2電極層と、有機物層と第2電極層とを含む管の内周を気密に封止するように、管に着脱可能に固定された封止部とを備えた発光装置の再生産装置であって、管の内側に有機物層および第2電極層の少なくともいずれかを除去するエッチング液を供給する供給部と、管の長さ方向が重力方向に対して交差するように支持されかつ管の長さ方向を中心として自転するように発光装置を保持しかつエッチング液を排出するため発光装置を傾斜させる保持部とを備えている。
【0040】
本発明の発光装置の再生産装置によれば、第2電極層および有機物層をウェットエッチングにより除去することができる。またウェットエッチングを簡易な構成により行うことができる。これらにより製造コストを含めた生産性を向上することができる。
【0041】
上記の発光装置の再生産方法において好ましくは、新たな有機物層を成膜する工程は、管内に有機物原料供給器によって新たな有機物層の原料である固体状の有機物原料を落下により供給する工程と、有機物原料供給器から落下により管内に供給された有機物原料を第1の放出部で加熱することにより気化して放出する工程とを有する。これにより、有機物原料が管内に落下により供給されるので、第1の放出部が有機物原料を貯蔵しなくてよいため、第1の放出部を小さくすることができる。よって、管が細い場合でも、容易に新たな有機物層を成膜することができる。また、有機物原料供給器において複数の有機物原料を予め所定の割合で混合することにより、同様の割合の組成で新たな有機物層を成膜することができる。
【0042】
上記の発光装置の再生産方法において好ましくは、固体状の有機物原料を落下により供給する工程は、有機物原料供給器から落下により管内に供給された有機物原料の供給量をレーザーパーティクルモニタによって計測し、かつ計測の結果に基づき有機物原料の供給量を制御する工程を有する。これにより、有機物原料の供給量を正確に制御することにより、有機物層の厚さを正確に制御することができる。
【0043】
上記の発光装置の再生産方法において好ましくは、新たな第2電極層を成膜する工程は、管内に第2電極原料供給器によって新たな第2電極層の原料である固体状の第2電極原料を落下により供給する工程と、第2電極原料供給器から落下により管内に供給された第2電極原料を第2の放出部で加熱することにより気化して放出する工程とを有する。これにより、第2電極原料が管内に落下により供給されるので、第2の放出部が第2電極材料を貯蔵しなくてよいため、第2の放出部を小さくすることができる。よって、管が細い場合でも、容易に新たな第2電極層を成膜することができる。また、第2電極原料供給器において複数の第2電極原料を予め所定の割合で混合することにより、同様の割合の組成で新たな第2電極層を成膜することができる。
【0044】
上記の発光装置の再生産方法において好ましくは、固体状の第2電極原料を落下により供給する工程は、第2電極原料供給器から落下により管内に供給された第2電極原料の供給量をレーザーパーティクルモニタによって計測し、かつ計測の結果に基づき第2電極原料の供給量を制御する工程を有する。これにより、第2電極原料の供給量を正確に制御することにより、第2電極層の厚さを正確に制御することができる。
【0045】
上記の発光装置の再生産方法において好ましくは、複数の第1の放出部分が管の内側に配置される。これにより、より正確に有機物層を成膜することができる。
【0046】
上記の発光装置の再生産方法において好ましくは、複数の第2の放出部分が管の内側に配置される。これにより、より正確に第2電極層を成膜することができる。
【発明の効果】
【0047】
以上説明したように本発明によれば、発光装置のほとんどが廃棄されずに再利用されるので、廃棄物の量を抑制することができる。また発光装置のほとんどが形状を保ったまま再利用されるので、装置全体が材料段階から再度形成される場合に比して、発光装置を生産するためのコストを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施の形態1における発光装置の構成を概略的に示す外観図である。
【図2】本発明の実施の形態1における発光装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1における発光装置の再生産方法の第1工程を示す概略的な断面図である。
【図4】本発明の実施の形態1における発光装置の再生産方法の第2工程を示す概略的な断面図である。
【図5】本発明の実施の形態1における発光装置の再生産方法の第3工程を示す概略的な断面図である。
【図6】本発明の実施の形態1における発光装置の再生産方法の第4工程を示す概略的な断面図である。
【図7】本発明の実施の形態1における発光装置の再生産方法の第5工程を示す概略的な断面図である。
【図8】本発明の実施の形態1における発光装置の再生産装置としての真空蒸着装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図9】本発明の実施の形態2における発光装置の再生産装置としてのウェットエッチング装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図10】本発明の実施の形態2における発光装置の再生産装置としてのウェットエッチング装置の変形例の構成を概略的に示す断面図である。
【図11】本発明の実施の形態3における再生産装置の全体構成を示す概略図である。
【図12】本発明の実施の形態4における再生産装置の全体構成を示す概略上面図である。
【図13】本発明の実施の形態4における再生産装置の全体構成を示す概略正面図である。
【図14】本発明の実施の形態4における再生産装置の全体構成を示す概略下面図である。
【図15】本発明の実施の形態5における再生産装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図16】本発明の実施の形態5における再生産装置の第1工程を示す概略的な平面図である。
【図17】本発明の実施の形態5における再生産装置の第2工程を示す概略的な平面図である。
【図18】本発明の実施の形態1における再生産装置としての真空蒸着装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図19】本発明の実施の形態6における発光装置の製造装置としての成膜装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図20】本発明の実施の形態1における発光装置の製造方法を示す斜視図であって、可撓性フィルムに有機EL素子を形成する工程(A)と、その可撓性フィルムを湾曲させて円筒体内に装着する工程(B)とを示す斜視図である。
【図21】図19に示す方法で製造された、湾曲させた可撓性フィルムを内部に装着された円筒管の構成を概略的に示す断面図である。
【図22】本発明の実施の形態1におけるフレキシブル基板を有する発光装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図23】本発明の実施の形態1における複数のフレキシブル基板を有する発光装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図24】本発明の実施の形態7における発光装置の再生産装置としての真空蒸着装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図25】本発明の実施の形態8における発光装置の再生産装置としての真空蒸着装置における円筒管の近傍を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
(実施の形態1)
はじめに本発明の実施の形態1の発光装置の構成について説明する。
【0050】
図1および図2を参照して、本実施の形態の発光装置は、円筒管1(管)と、有機EL素子(有機発光素子)12と、封止部110と、配線113a、113bと、乾燥剤127、127と、バーコード103とを有している。
【0051】
円筒管1は、長さ方向(図中LD方向)に延びる空洞部を有する管である。すなわち円筒管1は管形状を有している。また円筒管1は透光性を有している。具体的には円筒管1は、たとえばパイレックス(登録商標)ガラスにより形成された、直径70mm、長さ540mm、厚さ2.4mmの管である。
【0052】
有機EL素子12は、円筒管1の内面上に順に、保護層12aと、透明陽極層12b(第1電極層)と、有機物層OLと、陰極層12g(第2電極層)とを有している。保護層12aは、アルカリ金属イオンの移動を防止する機能を有している。よって円筒管1の材質にパイレックス(登録商標)ガラスなどのアルカリ金属イオンを含む材質が用いられても、円筒管1から透明陽極層12bへアルカリ金属イオンが移動することが防止される。保護層12aは、たとえば酸化シリコン(SiO2)により形成された厚さ10nmの層である。
【0053】
透明陽極層12bは、透光性を有しており、かつ有機EL素子12の陽極としての機能を有している。透明陽極層12bは、導電性の酸化物層であり、たとえば酸化インジウム亜鉛(IZO(Indium Zinc Oxide))により形成された厚さ1μmの層である。
【0054】
陰極層12gは、有機EL素子12の陰極としての機能を有している。陰極層12gは、金属層であり、たとえばアルミニウムにより形成された厚さ0.1μmの層である。なお有機物層OL上の領域のうち円筒管1の長さ方向の両端側の領域は、陰極層12gが形成されていない領域であるショート防止用スペースSPとなっている。ショート防止用スペースSPが設けられていることにより、陰極層12gと透明陽極層12bとが有機EL素子12の端部において短絡することが防止されている。
【0055】
封止部110は、封止部品110a、110b、およびOリング124、124を有している。封止部品110aおよび110bのそれぞれは、発光装置の外部に向かって突出した電極112aおよび112bを有している。封止部品110aおよび110bの各々は、円筒管1の両端に、Oリング124により着脱可能に固定されている。封止部品110a、110bの材質は、たとえばガラスまたはアルミニウムである。各Oリング124は、エラストマーからなり、エラストマーの復元力により封止部品110aおよび110bのいずれかと、円筒管1とに密着されている。これにより封止部110は、不活性ガスIGが充填された円筒管1内部を封止している。よって、有機EL素子12が形成された領域、すなわち有機物層OLと陰極層12gとを含む領域が、発光装置の外部から気密に封止されている。なおOリング124による封止をより確実にするため、封止部110にOリング124を締め付けるためのネジが取り付けられてもよい。
【0056】
バーコード103は、封止部110の外面上に取り付けられており、個々の発光装置を識別するための識別情報を有している。この識別情報は、たとえば個々の発光装置に固有の数字情報である。なお個々の発光装置を識別するための識別情報を保持することができるものをバーコード103の代わりに用いることができる。たとえばICタグが用いられてもよい。
【0057】
有機物層OLは第1〜第4の層12c〜12fを有している。第1の層12cは、たとえば下記の式(1)に示す有機材料(NPD)から形成された厚さ40nmの層である。
【0058】
【化1】

【0059】
第2の層12dは、たとえば、下記の式(2)に示す有機材料(Znbox2)を主成分とし、かつ下記の式(3)に示すペリレン(C2012)により1.5重量%のドーピングがなされた、厚さ7nmの層である。
【0060】
【化2】

【0061】
【化3】

【0062】
第3の層12eは、たとえば、上記の式(2)に示す有機材料(Znbox2)を主成分とし、かつ下記の式(4)に示す有機材料(DCM1)により0.25重量%のドーピングがなされた、厚さ23nmの層である。
【0063】
【化4】

【0064】
第4の層12fは、たとえば、上記の式(2)に示す有機材料(Znbox2)から形成された、厚さ30nmの層である。
【0065】
なお上記の第1の層12cはホール輸送層としての機能を有し、第4の層12fは電子輸送層としての機能を有している。また第2の層12dおよび第3の層12eのそれぞれは、ドーパント色素としてペリレンおよびDCM1を含有することにより、発光層としての機能を有している。第2の層12dおよび第3の層12eのそれぞれにおいて青色およびオレンジ色の発光が生じ、これら2色の光が混合することで白色の光が得られる。
【0066】
配線113aの両端部は透明陽極層12bに電気的に接続されており、配線113aの中央部は電極112aに電気的に接続されている。配線113bの両端部は陰極層12gに電気的に接続されており、配線113bの中央部は電極112bに電気的に接続されている。また電極112a、112bの各々は封止部品110a、110bを貫通して形成されている。この構成により、円筒管1の封止領域の外に露出した電極112aと電極112bとの間に電圧を印加することで、透明陽極層12bと陰極層12gとの間の有機物層OLに電界が印加される。この電界により有機物層OLの発光層における発光が生じる。
【0067】
次に、本実施の形態の発光装置の使用方法について説明する。
上述したように、発光装置の電極112aと電極112bとの間に電圧が印加されることで、発光装置から発光が生じる。有機物層OLは、発光時間の経過により徐々に劣化していく。この劣化にともない、発光装置の輝度が低下していく。輝度が初期値の70%まで低下した時点を寿命時間と定義すると、この寿命時間は、たとえば4000時間である。寿命に到達した発光装置は、回収された後、以下に説明する発光装置の再生産に供される。
【0068】
続いて、本実施の形態の発光装置の再生産方法について説明する。図3〜図8は、本発明の実施の形態1における発光装置の再生産方法の第1〜第6工程を順に示す概略的な断面図である。
【0069】
図3を参照して、まず、図中矢印で示すように、円筒管1から封止部品110a、110bおよびOリング124、124が取り外される。封止部110、すなわち封止部品110a、110bおよびOリング124、124は、Oリング124の部分で円筒管1に固定されている。よって、封止部110および円筒管1を破壊することなしに、円筒管1から封止部110を容易に取り外すことができる。Oリング124がネジで締め付けられている場合は、このネジを緩めてから封止部110が取り外される。また封止部品110a、110bとともに、配線113a、113bと、乾燥剤127とが取り外される。乾燥剤127は脱水処理される。取り外された封止部110と、配線113a、113bと、乾燥剤127とは、部品として再利用されるために、一時的に保管される。
【0070】
図4を参照して、円筒管1の長さ方向LDに沿って円筒管1を囲うように、高周波コイル20が設置される。高周波コイル20には13.56MHzの高周波を発生する電源が接続される。円筒管1の両端のそれぞれに、ガス導入フランジ21および真空排気フランジ22のOリング124が有機物層OLに内接するように取り付けられる。ガス導入フランジ21は、アルゴンガス導入口23と、反応性ガス導入口24とを有している。真空排気フランジ22は、排気口25を有している。排気口25を通じた排気により円筒管1内が減圧状態とされつつ、アルゴンガス導入口23および反応性ガス導入口24のそれぞれからアルゴンガスおよびハロゲンガスが円筒管1内に導入される。
【0071】
高周波コイル20に高周波が印加されることで、円筒管1内にプラズマ26が発生する。これにより陰極層12gがプラズマエッチングにより除去される。陰極層12gが除去されると有機物層OLの陰極層12gに被覆されていた部分が露出する。有機物からなる有機物層OLは、このドライエッチングのエッチングストッパーとして機能する。
【0072】
なお、ハロゲンガスによるハロゲンガス系プラズマの代わりに、CH4やCH3OHなどの有機ガスによる有機ガス系プラズマが用いられてもよい。
【0073】
図5を参照して、アルゴンガス導入口23および反応性ガス導入口24のそれぞれからアルゴンガスおよび酸素ガスが円筒管1内に導入される。高周波コイル20に高周波が印加されることで、円筒管1内に酸素プラズマ27が発生する。これにより有機物層OLが酸素プラズマアッシングにより除去される。有機物層OLが除去されると透明陽極層12bの有機物層OLに被覆されていた部分が露出する。酸化物からなる透明陽極層12bは、このドライエッチングのエッチングストッパーとして機能する。
【0074】
なお、酸素プラズマアッシングの代わりに、光(たとえばレーザー)照射による加熱で有機物層OLを蒸発させて、有機物層OLを除去してもよい。また、酸素プラズマアッシングの代わりに、高温ガスによる加熱で有機物層OLを蒸発させて、有機物層OLを除去してもよい。
【0075】
図6を参照して、上記のドライエッチングにより、保護層12aおよび透明陽極層12bが内面に形成された円筒管1が得られる。次に透明陽極層12bの表面が処理される。
【0076】
図7を参照して、アルゴンガス導入口23および反応性ガス導入口24のそれぞれからアルゴンガスおよび酸素ガスが円筒管1内に導入される。高周波コイル20に高周波が印加されることで、円筒管1内に酸素プラズマ27が発生する。加熱ランプ28によって、円筒管1を昇温する。これにより、酸化物からなる透明陽極層12bの表面が処理される。また、透明陽極層12bの表面処理は、上記の酸素プラズマ中で行われるものに限定されず、酸素雰囲気中で加熱表面処理されてもよく、また紫外線で表面処理されてもよい。
【0077】
上記では、円筒管1は、縦に支持されている。つまり円筒管1は、円筒管1の長さ方向LDが重力方向に沿うように支持されている。
【0078】
主に図8を参照して、成膜装置100Vが用いられた真空蒸着法により、表面が処理された透明陽極層12b(図7)上に、有機物層OLおよび陰極層12g(図3)が成膜される。以下にこの工程について詳しく説明する。
【0079】
まず成膜装置100Vについて説明する。成膜装置100Vは、主に、真空容器29と、固定冶具30と、坩堝31と、冷却器32と、回転導入器33と、直線駆動機構34とを有している。真空容器29は、真空ポンプ35により真空蒸着に適した圧力まで減圧されることができる。固定冶具30は、真空容器29内に円筒管1を支持するための冶具である。固定冶具30は、図中の破線部Fで示すように、円筒管1の長さ方向LDの一方端部(図中上側の端部)における縁部分を保持することで、円筒管1を支持することができる。坩堝31は、ヒータ36により加熱されることができる。これにより坩堝31に入れられた固体原料37を加熱することができる。また坩堝31は、本体部分に加えてさらに上蓋38を有している。上蓋38は、本体部分との間に隙間GPが設けられるように坩堝31の本体部分に固定されている。坩堝31の材質は、たとえば窒化ホウ素である。冷却器32は、円筒管1の外面部分から熱を奪うことにより円筒管1を冷却することができるように構成されている。回転導入器33は、固定冶具30が円筒管1の長さ方向LDを中心に回転することができるように固定冶具30を支持している。また回転導入器33は回転モータ39の回転力を固定冶具30に伝達することができるように構成されている。これにより円筒管1を円筒管1の長さ方向LDを中心として自転させることができる。円筒管1が自転する運動により、坩堝31が原料を放出している際に、坩堝31から見て円筒管1は円筒管1の長さ方向LDを中心として自転する運動を行うことができる。すなわち坩堝31と円筒管1とが相対運動を行うことができる。直線駆動機構34は、円筒管1の中で坩堝31を円筒管1の長さ方向LDに沿って直線的に変位させることができるように構成されている。この変位により、円筒管1と円筒管1の中に配置された坩堝31とを円筒管1の長さ方向LDに相対的に変位させることができる。すなわち坩堝31と円筒管1とが相対運動を行うことができる。
【0080】
円筒管1は、固定冶具30によって、縦に支持されている。つまり円筒管1は、円筒管1の長さ方向LDが重力方向に沿うように支持されている。
【0081】
次に成膜装置100Vが用いられた、有機物層OLと陰極層12gとの成膜方法について説明する。
【0082】
まず有機物層OLの成膜方法について説明する。第1〜第4の層12c〜12fの真空蒸着に用いられる固体原料37として、粉体の原料が準備される。また各原料ごとに坩堝31が準備される。そして第1〜第4の層12c〜12fのそれぞれ対応する固体原料37が収められた複数の坩堝31のひとつが真空容器29内に取り付けられる。また円筒管1が固定冶具30により成膜装置100Vに取り付けられる。真空ポンプ35により真空容器29内部が減圧される。冷却器32の内部に冷媒が流されることにより、円筒管1の温度が50℃以下に保たれる。回転モータ39が駆動されることにより、円筒管1が長さ方向LDを中心として自転する。この円筒管1が自転する運動により、坩堝31から見て円筒管1は円筒管1の長さ方向LDを中心として自転する運動を行う。自転速度は、たとえば30rpmである。また直線駆動機構34が駆動されることにより、坩堝31が円筒管1の長さ方向LDに沿って円筒管1の中で往復するように変位する。変位速度は、たとえば20mm/秒である。この変位により、円筒管1と円筒管1の中に配置された坩堝31とが円筒管1の長さ方向LDに相対的に変位する。すなわち坩堝31と円筒管1とが相対運動を行う。ヒータ36に直流電流が流されることにより固体原料37が加熱されることで、固体原料37が坩堝31から隙間GPを介して蒸発する。すなわち円筒管1の内部に配置された固体原料37が、坩堝31からその周囲に飛散する。飛散された固体原料37の少なくとも一部が透明陽極層12b(図6)上へ付着することで、円筒管1の内面に真空蒸着による層の形成が行なわれる。異なる材質の固体原料37が収められた複数の坩堝31が順次用いられて真空蒸着が行なわれることで、第1〜第4の層12c〜12fからなる積層構造、すなわち新たな有機物層OLが得られる。
【0083】
なお、透明陽極層12bに有機物層OLが真空蒸着される際に、図18に示すように、透明陽極層12bの一部に第1のマスク81が設けられていてもよい。第1のマスク81が設けられた領域以外に有機物層OLが成膜される。残された透明陽極層12bの一部が配線113a、113bの接続に使用される。
【0084】
次に陰極層12gの形成工程について説明する。固体原料37としてアルミニウム材が収められた坩堝31が真空容器29内に取り付けられる。また有機物層OLが形成された円筒管1が固定冶具30により成膜装置100Vに取り付けられる。またショート防止用スペースSP(図2)を設けるために、直線駆動機構34の出発点と折り返し点を調節する。次に第1〜第4の層12c〜12fの形成工程と同様の真空蒸着が行なわれる。これにより新たな陰極層12gが形成される。
【0085】
なお、有機物層OLに陰極層12gが真空蒸着される際に、図18に示すように、有機物層OLの端部に第2のマスク81が設けられていてもよい。第2のマスク81が設けられた領域以外に陰極層12gが成膜される。これにより、陰極層12gと透明陽極層12bとが有機物層OLの端部において接触しないように形成される。ショート防止用スペースSPが設けられていることにより、陰極層12gと透明陽極層12bとが有機EL素子12の端部において短絡することが防止されている。
【0086】
これにより新たな有機物層OLと新たな陰極層12gとが成膜される。
再び図2を参照して、不活性ガス雰囲気中で、一時的に保管されていた封止部110と、配線113a、113bと、乾燥剤127とが、再び円筒管1に取り付けられる。このようにして封止部110が再使用されて円筒管1の内周が気密に封止される。配線113aが透明陽極層12bに接続され、配線113bが陰極層12gに接続される。封止部110は、Oリング124を有しているので、容易に円筒管1に取り付けることができる。
【0087】
以上により発光装置が再生産される。
上記の発光装置の再生産方法では、封止部110を取り外す工程と、有機物層OLを露出させる工程と、透明陽極層12b(第1電極層)を露出させる工程と、透明陽極層12b(第1電極層)を表面処理する工程と、新たな有機物層OLを成膜する工程と、新たな陰極層12g(第2電極層)を成膜する工程と、円筒管1の内周を封止部110で気密に封止する工程との全ては、円筒管1が縦に保持された状態で行なわれる。この場合には、各工程を行う装置の各部の全てが、円筒管1を縦に保持できるように構成されている。また、これらの各工程の少なくとも1つの工程が円筒管1が縦に保持された状態で行なわれてもよい。この場合には、各工程を行う装置の各部が、円筒管1を縦に保持できるように構成されている。
【0088】
本実施の形態によれば、封止部110が円筒管1に着脱可能に固定されているので、封止部110は、取り外された後に再度取り付けられることができる。よって、有機物層OLが劣化した発光装置の封止部110が取り外され、有機物層OLおよび陰極層12gが新たにされ、そして封止部110が再度取り付けられることで、発光装置を再生産することができる。これにより、装置の一部が廃棄されずに部品として再利用されるので、廃棄物の量を抑制することができる。また発光装置の一部が形状を保ったまま再利用されるので、装置全体が材料段階から再度形成される場合に比して、装置を生産するためのコストを抑制することができる。
【0089】
また陰極層12gは金属層である。これにより、金属用のエッチャントを用いて陰極層12gをエッチングすることができる。また金属用のエッチャントは有機物をエッチングしにくいので、陰極層12gのエッチングの際に有機物層OLをエッチングストッパーとして用いることができる。
【0090】
また透明陽極層12bは、酸化物層であるため、有機物用のエッチャントによりエッチングされにくい。このため有機物用のエッチャントによって有機物層OLがエッチングされる際に、透明陽極層12bをエッチングストッパーとして用いることができる。
【0091】
また円筒管1は管形状を有している。これにより、封止部110が円筒管1の管形状の端部に取り付けられるだけで、有機物層OLと陰極層12gとを含む領域を気密に封止することができる。よって、封止部110が円筒管1の広範囲に取り付けられる必要がないので、封止部110の着脱を容易に行うことができる。
【0092】
また有機物層OLが除去された後に、透明陽極層12bの表面が処理される。これにより、有機物層OLが除去される際に生じた透明陽極層12bの表面残渣が取り除かれる。よって発光装置の再生産において有機物層OLが新たに形成される面である透明陽極層12bの表面を平滑にすることができる。
【0093】
また円筒管1、保護層12a、および透明陽極層12bは酸化物などの劣化の少ない材料からなり、封止部110はガラスまたはアルミニウムなどの劣化の少ない材料からなる。また発光装置は発光素子として有機EL素子12、すなわち電流注入により発光する素子を用いているので、熱または放電により発光する素子に比して、発光素子以外の部分を劣化させる程度が少ない。よって発光装置の一部を長期にわたって再使用することができる。再使用できる期間は、たとえば発光時間として80000時間程度(1日12時間の使用で20年程度)である。
【0094】
また有機物層OLが不活性ガスIG中に封止されるので、有機物層OLの劣化を抑制することができる。よって1回の再生産当たりの発光装置の寿命を長くすることができる。
【0095】
上記の発光装置においては、有機EL素子(有機発光素子)12がフレキシブル基板115上に形成されてもよい。以下、その内容について説明する。
【0096】
図20(A)を参照して、まずフレキシブル基板(可撓性フィルム)115が、たとえば透光性を有する厚さ75μmのPEN(Poly (ethylene naphthalate))フィルムから準備される。このフレキシブル基板115上に有機EL素子12が形成される。
【0097】
図20(B)を参照して、この後、たとえばフレキシブル基板115が外周側、有機EL素子12が内周側となるようにフレキシブル基板115が湾曲させられる。湾曲されたフレキシブル基板115は円筒管1内面に装着される。この状態の円筒管1内の構成は、図21に示すような構成となっている。つまり、円筒管1の内周面にフレキシブル基板115を介在して有機EL素子12が配置されている。
【0098】
この後、図22に示す封止部品110a、110bなどが円筒管1に取り付けられて発光装置が製造される。図22に示す発光装置では、円筒管1の内面上に、フレキシブル基板115と、透明陽極層(第1電極層)12bと、有機物層OLと、陰極層(第2電極層)12gとが順に積層されるように形成されている。この発光装置では、円筒管1の内面上にフレキシブル基板115が形成されているので、保護層12aは形成されていない。なお、フレキシブル基板115と円筒管1との間に保護層12aが形成されていてもよい。
【0099】
また、図23に示すように、フレキシブル基板115と、透明陽極層(第1電極層)12bと、有機物層OLと、陰極層(第2電極層)12gとが複数(図23では2層)積層されていてもよい。図23に示す発光装置では、円筒管1の内面上に、フレキシブル基板115と、透明陽極層(第1電極層)12bと、有機物層OLと、陰極層(第2電極層)12gと、フレキシブル基板115と、透明陽極層(第1電極層)12bと、有機物層OLと、陰極層(第2電極層)12gとが順に積層されるように形成されている。
【0100】
有機物層OLとフレキシブル基板115との間に位置している陰極層12gは透光性を有していることが好ましく、酸化インジウム錫などを用いることができる。補助電極114は、複数の透明陽極層12bと配線113aとを接続し、複数の陰極層12gと配線113bとを接続している。
【0101】
上記のようにフレキシブル基板115を用いた場合には、フレキシブル基板115の屈折率を適切に設定することにより有機EL発光装置における光の取り出し効率を高めることができる。
【0102】
円筒管1が縦に保持されている。これにより、円筒管1は、円筒管1の長さ方向LDが重力方向に沿うように支持されているので、製造過程において重力方向に落下したゴミが管の内周の面上に付着することを抑制することができる。
【0103】
なお本実施の形態においては封止部品110aおよび110bの各々と円筒管1との間を封止するためにOリング124が用いられたが、本発明はこれに限定されるものではない。たとえば、Oリング124を使用しないで紫外線硬化接着剤やロウ付けを用いて封止されてもよい。
【0104】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2の発光装置の再生産方法では、実施の形態1における陰極層12gのドライエッチング工程(図4)および有機物層OLのドライエッチング工程(図5)のそれぞれの代わりに、液体を使用した陰極層12gのウェットエッチング工程および有機物層OLのウェットアッシング工程が行なわれる。以下にこの工程について説明する。
【0105】
まずウェットエッチング装置80について説明する。図9を参照して、ウェットエッチング装置80は、回転導入フランジ40と、回転排出フランジ41と、軸受42a,42bと、回転モータ43と、液体供給管(供給部)44と、排出口45と、傾斜台46と、ランプヒータ47と、駆動機構48とを主に有している。図9においてはウェットエッチング装置に加えて円筒管が図示されている。
【0106】
傾斜台46は、第1保持部材46aと、ヒンジ部46bと、支持部46cと、第2保持部材46dと、第3保持部材46eとからなっている。第1保持部材46aは、第1保持部材46aの一方端部において、ヒンジ部46bによって支持部46cに回転可能に取り付けられている。ヒンジ部46bから第1保持部材46aの他方端部の方向に移動した位置に第2保持部材46dが形成されている。また第1保持部材46aの他方端部には第3保持部材46eが形成されている。
【0107】
第2保持部材46dおよび第3保持部材46e上には、軸受42a、42bが取り付けられている。軸受42aの内周側には、回転導入フランジ40が挿入されて、回転可能に保持されている。また、軸受42bの内周側には、回転排出フランジ41が挿入されて、回転可能に保持されている。回転導入フランジ40は駆動機構48を介して回転モータ43に接続されている。これにより、回転モータ43の駆動力が駆動機構48を介して回転導入フランジ40に伝達されることにより回転導入フランジ40が回転する。
【0108】
回転導入フランジ40の円周方向の中心部には孔が形成されている。当該孔から液体供給管44が長さ方向LDに沿った方向に回転導入フランジ40の内側に挿入されている。この液体供給管44から酸溶液、純水などが円筒管1内に供給されるように構成されている。回転排出フランジ41の円周方向の中心部には排出口45が形成されている。この排出口45の円周方向の下端まで酸溶液、純水などが満たされている。傾斜台46が傾くことにより排出口45から酸溶液、純水などが排出される。円筒管1と傾斜台46との間にはランプヒータ47が配置されている。円筒管1の外周面とランプヒータ47とが対向するようにランプヒータ47は配置されている。
【0109】
回転導入フランジ40と回転排出フランジ41との間には円筒管1の長さ方向LDが重力方向に交差するように円筒管1が支持されている。円筒管1の両端部は、回転導入フランジ40および回転排出フランジ41の対向する面に接触している。また、回転導入フランジ40および回転排出フランジ41の対向する面にはそれぞれ凸部が設けられている。これらの凸部の外周面と円筒管1に形成されている有機物層OLの内周面とがOリング124を介在して接触している。このようにして、円筒管1が回転導入フランジ40および回転排出フランジ41によって支持されている。
【0110】
なお、上記では回転導入フランジ40および回転排出フランジ41のそれぞれの凸部の外周面と、円筒管1に形成されている有機物層OLの内周面とがOリング124を介在して接触して、円筒管1がウェットエッチング装置80に取り付けられているが、図10に示す変形例のように円筒管1がウェットエッチング装置80に取り付けられていてもよい。図10においてはウェットエッチング装置に加えて円筒管が図示されている。
【0111】
つまり、凸部が回転導入フランジ40および回転排出フランジ41のそれぞれの外周部に形成されている。そして、凸部の内周面と、円筒管1の外周面とがOリング124を介して接触して、円筒管1がウェットエッチング装置80に取り付けられていてもよい。
【0112】
次にウェットエッチング装置80によるウェットエッチング処理について説明する。
図9を参照して、円筒管1の長さ方向LDが重力方向に交差するように円筒管1が支持される。円筒管1の両端のそれぞれに、回転導入フランジ40および回転排出フランジ41が取り付けられる。回転モータ43の駆動力が駆動機構48を介して伝達されることにより回転導入フランジ40が軸受42aに支持されながら回転する。これにより円筒管1が円筒管1の長さ方向LDを中心として自転する。
【0113】
この状態において、液体供給管44から円筒管1内へ酸溶液の導入が開始される。酸溶液は液面FLが排出口45の円周方向の下端まで供給される。この酸溶液は、金属に対するウェットエッチング液であり、たとえばリン酸と、硝酸と、酢酸との混合液である。この酸溶液により、アルミニウムなどの金属からなる陰極層12gが溶かされる。すなわち陰極層12gがウェットエッチングにより除去される。陰極層12gが除去されると有機物層OLの陰極層12gに被覆されていた部分が露出する。有機物層OLは有機物であるため酸溶液には溶けない。すなわち有機物層OLはこのウェットエッチングのエッチングストッパーとして機能する。
【0114】
陰極層12gの除去後、円筒管1の回転が停止されて傾斜台46が傾斜されることにより、円筒管1内の酸溶液が排出口45から排出される。つまり、傾斜台46の第1保持部材46aが、ヒンジ部46bによって第3保持部材46eが第2保持部材46dより低い位置となるように支持部46cに対して回転される。これにより、第2保持部材46e側に配置された回転排出フランジ41に形成された排出口45が低い位置となるように傾斜台46が傾斜される。これにより、円筒管1内の酸溶液が排出口45から排出される。続いて、液体供給管44から円筒管1内に純水が導入されることで、円筒管1内に付着している酸溶液が洗い流される。
【0115】
次に、傾斜台46が水平状態に戻される。これにより再び円筒管1の長さ方向LDが水平方向に沿った方向となるように円筒管1が配置される。そして再び円筒管1が回転される。この状態において液体供給管44からから円筒管1内へ炭化水素系洗浄溶剤の導入が開始される。炭化水素系洗浄溶剤は液面FLが排出口45の円周方向の下端まで供給される。この炭化水素系洗浄溶剤は、有機物に対する非塩素系ウェットエッチング液であり、たとえば関東化学株式会社製の有機EL材料洗浄液「OEL Cleanシリーズ」(商標)である。
【0116】
この炭化水素系洗浄溶剤により、有機物層OLが溶かされる。すなわち有機物層OLがウェットエッチングにより除去される。有機物層OLが除去されると透明陽極層12bの有機物層OLに被覆されていた部分が露出する。透明陽極層12bは酸化物であるため、炭化水素系洗浄溶剤には溶けない。すなわち透明陽極層12bはこのウェットエッチングのエッチングストッパーとして機能する。
【0117】
なお炭化水素系洗浄溶剤の代わりに、高温純水が用いられてもよい。
有機物層OLの除去後、円筒管1の回転が停止されて上記と同様に傾斜台46が傾斜されることにより円筒管1は傾斜されることにより、円筒管1内の炭化水素系洗浄溶剤が排出口45から排出される。続いて、液体供給管44から円筒管1内に非塩素系洗浄溶剤が導入されることで、円筒管1内に付着している炭化水素系洗浄溶剤が洗い流される。この非塩素系洗浄溶剤は、たとえば住友スリーエム株式会社製「ノベック」(商標)HFE−7100、または旭硝子株式会社製「アサヒクリン」(商標)AE−3000である。 次に液体供給管44から円筒管1内に純水が導入されることで、さらに洗浄が行なわれる。次に円筒管1がランプヒータ47と対向する位置で回転モータ43の駆動力によって回転される。これにより、ランプヒータ47の熱によって効率よく円筒管1内が乾燥される。
【0118】
なお、本実施の形態の上記以外の再生産方法は、上述した実施の形態1とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0119】
本実施の形態によれば、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。また、本実施の形態によれば、陰極層12gおよび有機物層OLをウェットエッチングにより除去することができる。またウェットエッチング装置80により陰極層12gおよび有機物層OLのウェットエッチングを簡易な構成により行うことができる。これらにより製造コストを含めた生産性を向上することができる。
【0120】
(実施の形態3)
はじめに本発明の実施の形態3の再生産装置の構成について説明する。
【0121】
図11を参照して、本実施の形態の再生産装置100Wは、搬入室51と、開閉弁GV1〜GV7と、封止着脱室(封止着脱部)52と、待機室53と、搬送手段TR1、TR2と、真空搬送室54と、エッチング室(第2電極層除去部、有機物層除去部、第1電極層表面処理部)55と、中間室56と、高真空搬送室57と、有機物蒸着室(有機物層成膜部)58と、陰極蒸着室(第2電極層成膜部)59と、搬出室60と、ポンプ61,62とを主に有している。各室は気密構造を有している。図11においては再生装置に加えて円筒管が図示されている。また図11においては図を見やすくするために再生産装置の上面側の構造が一部図示されていない。
【0122】
搬入室51は、発光装置の種類をバーコード13によって識別する図示しない識別装置を有している。搬入室51は、大気圧から真空排気され、また窒素が導入されて大気圧にされるように構成されている。開閉弁GV1〜GV7は各室の間を開閉するように構成されている。封止着脱室52は、発光装置の発光装置の封止部110(図2)を着脱する機能を有している。封止着脱室52は、窒素が導入されるように構成されている。待機室53は、真空排気されるように構成されている。
【0123】
真空搬送室54は、真空にされるように構成されている。真空搬送室54は、搬送手段TR1を有している。搬送手段TR1は、たとえば搬送ロボットであり、待機室53からエッチング室55に円筒管1を搬送することができる。
【0124】
エッチング室55は、真空排気されるように構成されている。エッチング室55は、円筒管1に図示しないエッチングマスクを取り付け、エッチングのための混合ガスを導入するように構成されている。またエッチング後、エッチングマスクが取り外されるように構成されている。またエッチング室55は、高周波を印加してプラズマを発生させることにより陰極層12g(図2)および有機物層OL(図2)をエッチングするよう構成されている。さらにエッチング室55は、円筒管1を加熱するための図示しない加熱ランプを有している。加熱ランプが円筒管1を加熱することにより透明陽極層12bが表面処理されるように構成されている。中間室56は高真空排気されるように構成されている。
【0125】
高真空搬送室57は、高真空にされるように構成されている。高真空搬送室57は、搬送手段TR2を有している。搬送手段TR2は、たとえば搬送ロボットであり、中間室56から有機物蒸着室58に円筒管1を搬送することができる。搬送手段TR2は、有機物層OLの各層に対応する図示しない坩堝を備えたそれぞれの有機物蒸着室58へ円筒管1を順に移動させるように構成されている。
【0126】
有機物蒸着室58は、真空排気されるように構成されている。有機物蒸着室58は図示しない有機物蒸着マスク(第1のマスク)を取り付けて、有機物層OL(図2)を蒸着した後、有機物蒸着マスクを取り外すように構成されている。
【0127】
陰極蒸着室59は、高真空排気されるように構成されている。陰極蒸着室59は、図示しない陰極蒸着マスク(第2のマスク)を取り付けて、陰極層12g(図2)を蒸着した後、陰極蒸着マスクを取り外すように構成されている。
【0128】
搬出室60は、真空排気され、また窒素ガスが導入されて大気圧となるように構成されている。
【0129】
真空ポンプ61は、たとえばターボ分子ポンプ61からなっている。蒸着用の高真空ポンプ62は、たとえばクライオポンプ62からなっている。
【0130】
上記以外の構成については実施の形態1の成膜装置100Vの構成とほぼ同じであるため、同一の要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0131】
続いて、本実施の形態の発光装置の再生産方法について説明する。
発光装置が搬入室51に設置される。図示しない制御装置によって、発光装置の種類がバーコード13により識別され、プロセスレシピが選択され、再生産作業が開始される。
【0132】
次に、搬入室51は大気雰囲気から真空排気される。次に、搬入室51に窒素が導入される。搬入室51が大気圧にされたら開閉弁GV1が開かれて、発光装置が封止着脱室52に移送される。発光装置の移送後、開閉弁GV1が閉じられる。
【0133】
次に、窒素雰囲気の封止着脱室52において、発光装置の封止部110が取り外されて、円筒管1と分離される。次に、開閉弁GV2が開き、円筒管1が封止着脱室52から待機室53に移送される。円筒管1の移送終了後、開閉弁GV2が閉じられる。
【0134】
次に、待機室53が真空排気される。次に、開閉弁GV3、GV4が開かれて、円筒管1が搬送手段TR1によって、待機室53から真空搬送室54を通ってエッチング室55に真空中で搬送される。搬送終了後、開閉弁GV3、GV4が閉じられる。
【0135】
次に、エッチング室55では、真空排気しながら円筒管1にエッチングマスクが取り付けられて、陰極層12gだけが露出される。そして、アルゴンガスとハロゲンガスとの混合ガスがエッチング室55に導入される。減圧雰囲気で13.56MHzの高周波が印加されることでプラズマ26が発生する。プラズマ雰囲気中で陰極層12gがエッチングされて有機物層OLが露出される。エッチング終了後、真空排気してエッチングマスクが取り外される。
【0136】
次に、アルゴンガスと酸素ガスとの混合ガスがエッチング室55に導入される。減圧雰囲気で13.56MHzの高周波が印加されることでプラズマ27が発生する。プラズマ雰囲気中で有機物層OLがエッチングされて透明陽極層12bが露出される。
【0137】
次に、図示しない加熱ランプ28によって円筒管1が加熱される。このように円筒管1が加熱されながらプラズマ27によってエッチングされることで、酸化物からなる透明陽極層12bの表面が処理される。エッチング終了後、エッチング室55は真空排気される。
【0138】
次に、開閉弁GV4、GV5が開かれて、円筒管1が搬送手段TR1によって、エッチング室55から真空搬送室54を通って中間室56に真空中で搬送される。搬送終了後、開閉弁GV4、GV5は閉じられる。真空搬送室54は、たとえばターボ分子ポンプからなるポンプ61により真空にされる。
【0139】
次に、中間室56は高真空排気される。次に、開閉弁GV6が開かれて、円筒管1が搬送手段TR2によって、中間室56から高真空搬送室57を通って有機物蒸着室58に搬送される。高真空搬送室57は、たとえばクライオポンプ62からなる蒸着用の高真空ポンプ61により高真空排気される。
【0140】
次に、各有機物蒸着室58では、真空排気しながら有機物蒸着マスクが取り付けられて、有機物層OLの蒸着が行われる。蒸着終了後、有機物蒸着マスクは取り外される。有機物層OLの各層に対応する複数の坩堝(図示しない)を備えたそれぞれの有機物蒸着室58へ搬送手段TR2によって円筒管1を順に移動させることにより有機物層OLが多層形成される。
【0141】
次に、円筒管1が搬送手段TR2によって有機物蒸着室58から陰極蒸着室59に高真空中で搬送される。次に、陰極蒸着室59では、陰極蒸着マスクが取り付けられて、陰極層12gの蒸着が行われる。蒸着終了後、陰極蒸着マスクは取り外される。
【0142】
次に、開閉弁GV6が開かれ、円筒管1は搬送手段TR2によって陰極蒸着室59から中間室56に高真空中で搬送される。搬送終了後、開閉弁GV6は閉じられる。
【0143】
次に、開閉弁GV3,GV5が開かれて、円筒管1は搬送手段TR1によって中間室56から待機室53に真空中で搬送する。搬送終了後、開閉弁GV3、GV5は閉じられる。
【0144】
次に、待機室53に窒素が導入されて大気圧にされる。その後、開閉弁GV2が開かれて、円筒管1が封止着脱室52に移送される。移送後、開閉弁GV2は閉じられる。
【0145】
次に、窒素雰囲気の封止着脱室52で円筒管1に封止部110が取り付けられて、発光装置が組み立てられる。
【0146】
次に、開閉弁GV7が開かれて、発光装置は封止着脱室52から搬出室60に移送される。移送終了後、開閉弁GV7は閉じられる。
【0147】
次に、発光装置が搬出室60から取り出される。発光装置が搬出室60から取り出された後、搬出室60は真空排気される。その後、窒素ガスが導入されて搬出室60は大気圧にされる。
【0148】
発光装置は、連続して各室に搬送される。つまり各室の処理が終了し、1つの発光装置が再生産装置から搬出されると次の発光装置が搬入される。
【0149】
上記のように、封止部110を取り外す工程と、円筒管1の内部を封止部110で気密に封止する工程とを有する第1の工程は、封止着脱室(第1の気密容器)52で行なわれる。陰極層12gを除去する工程と、有機物層OLを除去する工程と、透明陽極層12bを表面処理する工程とを有する第2の工程は、エッチング室(第2の気密容器)55で行われる。有機物層OLを成膜する工程と、陰極層12gを成膜する工程とを有する第3の工程は、高真空搬送室57を通じて繋がっている有機物蒸着室58および陰極蒸着室59で行なわれる(第3の気密容器)。
【0150】
上記の再生産装置100Wでは、封止着脱室(封止着脱部)52と、エッチング室(第2電極層除去部、有機物層除去部、第1電極層表面処理部)55と、有機物蒸着室(有機物層成膜部)58と、陰極蒸着室(第2電極層成膜部)59との全ては、円筒管1を縦に保持できるように構成されている。また、これらの各部の少なくとも1つが、円筒管11を縦に保持できるように構成されていてもよい。
【0151】
本実施の形態の再生産装置によれば、発光装置の再生産を連続的に行うことができる。発光装置の再生産を連続的に行うことができるので効率よく発光装置を再生産することができる。
【0152】
(実施の形態4)
はじめに、本発明の実施の形態4の再生産装置の構成について説明する。
【0153】
図12〜14を参照して、本実施の形態の再生産装置100Xは、気密室70と、結合治具71と、公転搬送手段72と、エッチングフランジ73と、自転モータ74と、溶液コーティングフランジ75と、溶液コーティングノズル76と、陰極蒸着フランジ77と、蒸着ルツボ78とを主に有している。
【0154】
結合治具71と、公転搬送手段72と、エッチングフランジ73とにより第2電極層除去部、有機物層除去部および第1電極層表面処理部が形成されている。結合治具71と、公転搬送手段72と、溶液コーティングフランジ75とにより有機物層成膜部が形成されている。結合治具71と、公転搬送手段72と、陰極蒸着フランジ77とにより有機物層成膜部が形成されている。結合治具71と、公転搬送手段72と、エッチングフランジ73、溶液コーティングフランジ75および陰極蒸着フランジ77のいずれかを組み合わせて結合器が形成されている。円筒管(管)1の内周領域は、結合器によって気密状態に閉塞されている。
【0155】
図12〜14においては再生装置に加えて円筒管が図示されている。また図12においては、図を見やすくするために再生産装置の上側のみを図示している。図14においては、図を見やすくするために再生産装置の下側のみを図示している。
【0156】
図12に示すように、気密室70内の一方端部側には公転搬送手段72が仮想の軸線Jを中心に回転可能に配置されている。他方端部側にはエッチングフランジ73が公転搬送手段72に対して前後移動可能に配置されている。
【0157】
図13に示すように、側面視における右上側にエッチングフランジ73が配置されている。側面視においてエッチングフランジ73から仮想の軸線Jに対して90度時計回りに移動した位置に溶液コーティングフランジ75が配置されている。側面視において溶液コーティングフランジ75から仮想の軸線Jに対して90度時計回りに移動した位置に陰極蒸着フランジ77が配置されている。
【0158】
図14に示すように、気密室70内の他方端部側には、溶液コーティングフランジ75および陰極蒸着フランジ77が公転搬送手段72に対して前後移動可能に配置されている。
【0159】
図12に示すように、公転搬送手段72には円筒管1の一方側が取り付けられるための取付部72aが設けられている。また取付部72aはパーティクルの侵入を防止するためパージ窒素を供給するように構成されている。エッチングフランジ73は、マスクM1を円筒管1内に取り付ける装置を有している。エッチングフランジ73には自転モータ74が取り付けられている。エッチングフランジ73は、円筒管1内を真空排気するように構成されている。公転搬送手段72の取付部72aとエッチングフランジ73との間には、円筒管1を挟みこむように加熱ランプ28が配置されている。
【0160】
溶液コーティングフランジ75は、溶液コーティングノズル76を有している。溶液コーティングフランジ75には自転モータ74が取り付けられている。公転搬送手段72の取付部72aと溶液コーティングフランジ75との間には、円筒管1に沿うように加熱ランプ28が配置されている。陰極蒸着フランジ77は、蒸着ルツボ78を有している。陰極蒸着フランジ77には自転モータ74が取り付けられている。陰極蒸着フランジ77は、円筒管1内を真空排気するように構成されている。
【0161】
上記以外の構成については実施の形態1の成膜装置100Vの構成とほぼ同じであるため、同一の要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0162】
続いて、本実施の形態の発光装置の再生産方法について説明する。
図12を参照して、窒素雰囲気の気密室70内で、発光装置の封止部110が取り外される。そして、図中矢印X1で示すように、円筒管1の両端に結合治具71が装着される。
【0163】
次に、図中矢印X2で示すように、円筒管1が公転搬送手段への取り付け位置に移動される。そして図中矢印X3で示すように、円筒管1の一方側は、結合治具71を介在して公転搬送手段72に装着される。公転搬送手段72の取付部72aから円筒管1の内部にパーティクルの侵入を防止するためパージ窒素が供給される。
【0164】
次に、図13に示すように、公転搬送手段72は、図示しない回転モータによって、仮想の軸線Jを中心に時計回りに90度公転する。
【0165】
次に、図12および図13を参照して、図中矢印X4で示すように、円筒管1の片側には、エッチングフランジ73が連結されて、真空排気しながら円筒管1にエッチングマスクM1が取り付けられる。これにより、エッチングされる陰極層12gだけが露出される。そして、自転モータ74によって円筒管1が自転する。アルゴンガスとハロゲンガスの混合ガスが円筒管1に導入され、減圧雰囲気で13.56MHzの高周波が印加されて、プラズマ26が発生する。プラズマ雰囲気中で陰極層12gがエッチングされて有機物層OLが露出される。エッチング終了後、真空排気してエッチングマスクM1が取り外される。
【0166】
次に、アルゴンガスと酸素ガスとの混合ガスが円筒管1に導入される。減圧雰囲気で13.56MHzの高周波が印加されることで酸素プラズマ27が発生する。プラズマ雰囲気中で有機物層OLがエッチングされて透明陽極層12bを露出する。
【0167】
次に加熱ランプ28によって円筒管1が加熱される。このように円筒管1が加熱されながらプラズマ27によってエッチングされることで、酸化物からなる透明陽極層12bの表面が処理される。エッチング終了後、円筒管1内は常圧にされる。
【0168】
次に、エッチングフランジ73が外されて、公転搬送手段72は、仮想の軸線Jを中心に時計回りに90度公転する。
【0169】
次に、円筒管1の片側には、溶液コーティングフランジ75が連結される。円筒管1は、加熱ランプ28で加熱されながら自転モータ74によって自転する。溶液コーティングノズル76が円筒管1の内側に挿入され、有機物層OLの塗布が行われる。その際、有機物層マスクが設けられていてもよい。
【0170】
次に、溶液コーティングフランジ75が外されて、公転搬送手段72は仮想の軸線Jを中心に時計回りに90度公転する。
【0171】
次に、図14を参照して、円筒管1の片側には、陰極蒸着フランジ77が連結される。円筒管1は、真空排気されて、冷却されながら自転モータ74によって自転する。蒸着ルツボ78が円筒管1の内側に挿入され、陰極層12gの真空蒸着が行われる。その際、陰極蒸着マスクが設けられていてもよい。
【0172】
次に、陰極蒸着フランジ77が外されて、公転搬送手段72は仮想の軸線Jを中心に時計回りに90度公転する。このようにして円筒管1は、元の位置に戻り、公転搬送手段72から取り外される。
【0173】
次に、円筒管1の両端の結合治具71が外され、封止部110が取り付けられて、発光装置が組み立てられる。
【0174】
発光装置は連続して気密室70に搬入される。つまり発光装置は、順次、公転搬送手段72に装着される。各工程の処理が終了し、発光装置が搬出されると次の発光装置が気密室70に搬入される。
【0175】
本実施の形態の再生産装置によれば、発光装置の再生産を連続的に行うことができる。
発光装置の再生産を連続的に行うことができるので効率よく発光装置を再生産することができる。
【0176】
(実施の形態5)
はじめに、本発明の実施の形態5の再生産装置の構成について説明する。
【0177】
図15および図16を参照して、本実施の形態の発光装置の再生産装置としての成膜装置100Pは、円筒管1と、円筒管1の内周に形成された有機EL素子12とを含む発光装置の製造装置である。
【0178】
成膜装置100Pは、主に、複数の固定冶具30と、複数の坩堝31(複数の放出部分)と、公転用テーブル80a(搬送手段)と、駆動部とを有している。公転用テーブル80aは、真空容器(気密容器)29内に設けられ、円板形状を有している。この公転用テーブル80aの一方の面の中心に、真空容器29外に設けられた回転モータ39が自公転機構80Aを介して取り付けられている。この回転モータ39により、公転用テーブル80aは円板形状の中心を通る軸AXを中心にして自転することができる。またこの公転用テーブル80aの他方の面の外周に沿って、複数の固定冶具30が設けられている。
【0179】
この構成により、公転用テーブル80aは自身が自転することにより複数の固定冶具30を公転用テーブル80aの円形形状の中心の周りに公転させることができる。駆動部の各々は、自転用伝達ベルト80bと、直線駆動機構34とを有する。固定冶具30は自転用伝達ベルト80bを介して回転モータ39の駆動力を受けることにより自転することができる。直線駆動機構34は複数の坩堝31の各々に設けられている。
【0180】
なお成膜装置100Pは、さらに封止着脱室52と、待機室53と、搬送手段TR3と、ゲートバルブGV8とを有している。封止着脱室52は待機室53を介在して真空容器29に接続されている。搬送手段TR3は封止着脱室52と真空容器29との間で円筒管1を搬送する機能を有している。ゲートバルブGV8は待機室53と真空容器29との間を開閉することができる。
【0181】
上記以外の構成については実施の形態1の成膜装置100Vの構成とほぼ同じであるため、同一の要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0182】
次に成膜装置100Pを用いた有機EL素子12の形成方法について説明する。図2および図15を参照して、複数の坩堝31のそれぞれに、有機EL素子12の保護層12a、透明陽極層12b、第1〜第4の層12c〜12f、および陰極層12gに対応する固体原料37が収められる。
【0183】
図16を参照して、ゲートバルブGV8が閉じた状態で、封止着脱室52内において搬送手段TR3に円筒管1が取り付けられる。
【0184】
図15および図17を参照して、ゲートバルブGV8が開けられ、搬送手段TR3により円筒管1が真空容器29内に移動される。そして円筒管1が固定冶具30に取り付けられる。次に搬送手段TR3が元の位置に戻り、ゲートバルブGV8が閉じる。
【0185】
成膜装置100V(図8)を用いた成膜方法と同様の方法で、保護層12aの形成が行なわれる。すなわち長さ方向LDを中心として自転する円筒管1の内面に保護層12aが形成される。なお、成膜中は仮想の軸線AXを中心とする公転用テーブル80aの自転は行なわれない。
【0186】
保護層12aの形成が終了した時点で、坩堝31は直線駆動機構34により、図中下側(直線駆動機構34の側)に移動されることで、円筒管1の外部に引き出される。シャッター79により坩堝31から蒸発する固体原料37が遮られる。回転モータ39により仮想の軸線AXを中心に公転用テーブル80aが一定角度だけ回転される。これにより円筒管1は、仮想の軸線AXを中心として一定角度だけ公転し、透明陽極層12bに対応する固体原料37が収められた坩堝31の上方に至る。このようにして、円筒管1が複数の坩堝31の各々に対応する位置へ順に移動させる。
【0187】
次に成膜装置100V(図8)を用いた成膜方法と同様の方法で、保護層12a上に透明陽極層12bが形成される。同様にして、さらに第1〜第4の層12c〜12f、および陰極層12gが形成されることで、有機EL素子12が形成される。
【0188】
なお公転用テーブル80aが一定角度回転されるごとに、真空容器29から封止着脱室52を経由して有機EL素子12が形成済みの円筒管1を1つ取り出し、有機EL素子12が形成前の円筒管1の1つを封止着脱室52を経由して真空容器29に入れることにより、複数の円筒管1への成膜を1つの真空容器29内で同時に行うことができる。
【0189】
また有機EL素子12を構成する複数の層の少なくとも1層が、成膜装置100P以外の装置である成膜装置100V、成膜装置100Yにより形成されてもよい。
【0190】
本実施の形態によれば、円筒管1を真空容器29から取り出すことなく、連続して複数の層を形成することができるので、効率よく有機EL素子12を形成することができる。
【0191】
(実施の形態6)
本実施の形態においては第1〜第4の層12c〜12fはガス輸送法により形成される。ここでガス輸送法とは、OVPD(Organic Vapor Phase Deposition)法とも称され、以下の工程を含む成膜方法のことである。
【0192】
有機物からなる出発原料が加熱されることで昇華または蒸発される。昇華または蒸発された有機物がキャリヤガス(不活性ガス)に含められる。有機物が再固化しないように加熱を行ないながら、有機物を含んだキャリヤガスが成膜される領域まで輸送される。成膜される領域は冷却されており、この領域でキャリヤガス中の有機物が再固化されることで成膜が行なわれる。
【0193】
なお図19においては成膜装置本体に加えて、円筒管および形成中の有機EL素子も図示されている。
【0194】
図19を参照して、本実施の形態の発光装置の製造装置としての成膜装置100Yは、固定冶具30と、冷却器32と、ヒータ36と、回転モータ39と、ガス輸送管87と、気化器82と、オーブン83と、ガスボンベ84と、質量流量計85と、バルブ86と、排気口88と、ガス加熱器90とを主に有している。
【0195】
円筒管1の一方端部(図中の上端部)は、固定冶具30を通じてガス輸送管87を経由してガスボンベ84に接続されている。ガス輸送管87は固定冶具30に接続されている。固定冶具30は、回転モータ39によって自転するように構成されている。円筒管1の他方端部(図中の下端部)には排気口88が取り付けられている。排気口88は円筒管1の内部を真空または減圧するように構成されている。
【0196】
ガスボンベ84はガス輸送法におけるキャリヤガスの供給源である。ガス輸送管87の途中には、ガスボンベ84側から順に、質量流量計85と、ガス加熱器90と、気化器82とが設けられている。オーブン83は、気化器82を加熱することにより、気化器82に収められた固体原料37から蒸発原料(気体状の原料)を生じさせる機能を有している。ヒータ36は、ガス輸送管87を加熱する機能を有している。
【0197】
なお上記以外の構成については実施の形態1の成膜装置100Vの構成とほぼ同じであるため、同一の要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0198】
次に成膜装置100Gを用いたガス輸送法による第1〜第4の層12c〜12f(図1)の形成方法について説明する。図19を参照して、第1の層12cの材質からなる粉末状の固体原料37と、円筒管1とが準備される。そして気化器82内に固体原料37が入れられる。
【0199】
質量流量計85によりガスボンベ84から円筒管1に不活性なキャリヤガスが導入される。ヒータ36により、ガス輸送管87は、固体原料37からの蒸発原料が付着しないように加熱される。
【0200】
円筒管1が固定冶具30に取り付けられる。回転モータ39が駆動されることにより、円筒管1が長さ方向を中心として自転する。円筒管1は冷却器7により冷却される。
【0201】
オーブン83がオンされることにより固体原料37が加熱されることで、気化器82から蒸発原料が生じる。この蒸発原料は、キャリヤガスと共に、ガス輸送管87を流され、固定冶具30から円筒管1の内部へ吹き出される。吹き出された蒸発原料が円筒管1の内面上において冷却されることで、蒸発原料が再固化する。この再固化により、円筒管1の内面に第1の層12cの形成が行なわれる。
【0202】
気化器82およびオーブン83の対が複数設けられ、各対がバルブ86により選択的に固定冶具30に蒸発原料を導入するように構成されているので、バルブ86の開閉により、第1〜第4の層12c〜12fの連続的な成膜が行われる。
【0203】
また固体原料37の材質が第1の層12cの材質から第2〜第4の層12d〜12fの材質に順次入れ替えられて成膜が行なわれることにより、第1の層12c上に第2〜第4の層12fが形成されてもよい。
【0204】
有機物層OLは光(たとえばレーザー)89の照射によって局部的に加熱され、蒸発される。このようにして、レーザー照射により蒸発された領域以外に新たな有機物層を残存させることができる。これにより、ショート防止用スペースSPが形成される。
【0205】
本実施の形態によれば、ガス輸送法を用いて実施の形態1と同様の効果を得ることができる。つまり、真空蒸着の代わりに低分子系有機EL材料が加熱して蒸発されて、加熱されたキャリヤガスに含まれることで発光装置の内側に供給され、冷却された円筒管1の内周に析出される。
【0206】
また複数の固体原料37がそれぞれ独立して加熱されて、バルブ86の切換えによって第1〜第4の層12c〜12fからなる積層膜を連続的に成膜することができる。また気化器82内に入れられる固体原料37の材質を変更することで、第1〜第4の層12c〜12fからなる積層膜を連続的に形成することができる。
【0207】
また、キャリヤガスがマスクの裏面に回り込むため、有機物層OLの成膜後、レーザーの照射によって有機物層OLの一部を蒸発させることができる。これにより、ショート防止用スペースSPを形成することができる。
【0208】
(実施の形態7)
本発明の実施の形態7の成膜装置100Qは、実施の形態1の成膜装置100Vと比較して、加熱台(第1の放出部、第2の放出部)150と、原料供給器(有機物原料供給器、第2電極原料供給器)151と、レーザーパーティクルモニタ152とを備えている点で主に異なっている。
【0209】
図24を参照して、本実施の形態の成膜装置100Qは、円筒管1内に新たな有機物層OLまたは第2電極層12gの原料である固体状の原料(固体原料)37を落下により供給するための原料供給器151を有している。原料供給器151には、新たな有機物層OLを成膜する場合には有機物原料(固体原料)37が貯蔵されており、また新たな第2電極層12gを成膜する場合には第2電極原料(固体原料)37が貯蔵されている。複数の原料供給器151に有機物原料37と第2電極原料37とがそれぞれ別個に貯蔵されてもよい。有機物原料37を供給するための有機物原料供給器151は、有機物層OLの各層にあわせて、複数載置されていてもよい。
【0210】
原料供給器151は、真空容器29の上面に載置されている。原料供給器151の底面には孔151aが形成されている。真空容器29の上面には孔29aが形成されている。原料供給器151の底部の孔151aと真空容器29の上部の孔29aとが連通することにより、原料供給器151の固体原料37が真空容器29内に落下するように構成されている。
【0211】
原料供給器151の孔151aおよび真空容器29の孔29aは、円筒管1の長さ方向LDに沿って配置されている。
【0212】
回転導入器33は、固定冶具30が円筒管1の長さ方向LDを中心に回転可能に固定冶具30を支持している。また回転導入器33は回転モータ39の回転力を固定冶具30に伝達可能に構成されている。
【0213】
原料供給器151が円筒管1の長さ方向LDに沿って配置されているため、回転モータ39は円筒管1の長さ方向LDと平面視において重ならない位置に配置されている。そのため、回転導入器33の回転モータ39と連結する部分は、円筒管1の長さ方向LDと平面視において重ならない位置に配置されている。回転導入器33の固定冶具30と連結する部分は、円筒管1の長さ方向LDに沿って配置されている。回転導入器33における、回転モータ39と連結する部分と、固定冶具30と連結する部分とは、たとえば複数の歯車で連結されている。これにより、回転モータ39の駆動力が固定冶具30を介して伝達されることにより、円筒管1を円筒管1の長さ方向LDを中心として自転させることができる。回転導入器33の固定冶具30と連結する部分は、円筒形状を有しており、円筒管1の長さ方向LDに沿って固定冶具30に固定されている。
【0214】
固定冶具30は、回転導入器33の固定冶具30と連結する部分が平面視における中央部分を貫通することにより、固体原料37が原料供給器151から真空容器29内に円筒管1の長さ方向LDに沿って落下するように構成されている。
【0215】
成膜装置100Qは、原料供給器151から落下により円筒管1内に供給された固体原料37を加熱することにより気化して放出するための加熱台150を有している。
【0216】
加熱台150は、ヒータ36により加熱されるように構成されている。加熱台150は、本体部分に加えてさらに上蓋38を有している。上蓋38は、本体部分との間に隙間GPが設けられるように加熱台150の本体部分に固定されている。上蓋38は、落下した固体原料37を通過させるための開口部153を有している。このようにして、円筒管1の長さ方向LDに沿って、原料供給器151から円筒管1内に供給された固体原料37が、開口部153を通って加熱台150に落下することにより、固体原料37が加熱されるように加熱台150が構成されている。なお、加熱台150の材質は、たとえば窒化ホウ素である。
【0217】
レーザーパーティクルモニタ152は、原料供給器151から落下により円筒管1内に供給された固体原料37の供給量を計測し、計測の結果に基づき固体原料37の供給量を制御するように構成されている。
【0218】
レーザーパーティクルモニタ152は、落下中にレーザーパーティクルモニタ152を通過した固体原料37の供給量を算出することにより固体原料37の供給量を計測するように構成されている。たとえば、レーザーパーティクルモニタ152は、落下中の固体原料37の大きさ、数から固体原料37の供給量を算出するように構成されている。レーザーパーティクルモニタ152は、固体原料37の供給量の計測の結果に基づいて、原料供給器151から供給される固体原料37の供給量を制御するように構成されている。
【0219】
次に成膜装置100Qが用いられた、有機物層OLと陰極層12gとの成膜方法について説明する。
【0220】
まず有機物層OLの成膜方法について説明する。第1〜第4の層12c〜12fの真空蒸着に用いられる固体原料37として、粉体の有機物原料37が準備される。また各有機物原料37ごとに有機物原料供給器151に貯蔵される。そして第1〜第4の層12c〜12fのそれぞれ対応する有機物原料37が収められた複数の原料供給器151がひとつの真空容器29に載置される。
【0221】
また円筒管1が固定冶具30により成膜装置100Qに取り付けられる。真空ポンプ35により真空容器29内部が減圧される。冷却器32の内部に冷媒が流されることにより、円筒管1の温度が50℃以下に保たれる。回転モータ39が駆動されることにより、円筒管1が長さ方向LDを中心として自転する。この円筒管1が自転する運動により、加熱台150から見て円筒管1は円筒管1の長さ方向LDを中心として自転する運動を行う。自転速度は、たとえば30rpmである。
【0222】
また直線駆動機構34が駆動されることにより、加熱台150が円筒管1の長さ方向LDに沿って円筒管1の中で往復するように変位する。変位速度は、たとえば20mm/秒である。この変位により、円筒管1と円筒管1の中に配置された加熱台150とが円筒管1の長さ方向LDに相対的に変位する。すなわち加熱台150と円筒管1とが相対運動を行う。
【0223】
ヒータ36に直流電流が流されることにより加熱台150が加熱されることで、原料供給器151から落下した有機物原料37が加熱台150の開口部153を通過して内部で気化し隙間GPを介して放出する。すなわち加熱台150の内部に落下した有機物原料37が、加熱台150からその周囲に飛散する。飛散された有機物原料37の少なくとも一部が透明陽極層12b(図6)上へ付着することで、円筒管1の内面に真空蒸着による層の形成が行なわれる。異なる材質の有機物原料37が収められた複数の有機物原料供給器151が順次用いられて真空蒸着が行なわれることで、第1〜第4の層12c〜12fからなる積層構造、すなわち新たな有機物層OLが得られる。
【0224】
次に陰極層12gの形成工程について説明する。第2電極原料37としてアルミニウム材が収められた第2電極原料供給器151が真空容器29に載置される。また有機物層OLが形成された円筒管1が固定冶具30により成膜装置100Qに取り付けられる。またショート防止用スペースSP(図2)を設けるために、直線駆動機構34の出発点と折り返し点を調節する。次に第1〜第4の層12c〜12fの形成工程と同様の真空蒸着が行なわれる。これにより新たな陰極層12gが形成される。
【0225】
レーザーパーティクルモニタ152は、原料供給器151から落下により円筒管1内に供給された固体原料37の供給量を計測し、計測の結果に基づき固体原料37の供給量を制御するように構成されている。レーザーパーティクルモニタ152は、落下中にレーザーパーティクルモニタ152を通過した固体原料37の供給量を算出することにより固体原料37の供給量を計測し、その計測の結果に基づいて、原料供給器151から供給される固体原料37の供給量を制御する。
【0226】
なお、上記では、複数の原料供給器151に有機物原料37と第2電極原料37とがそれぞれ別個に貯蔵される場合について説明したが、これに限定されず、1つの原料供給器151に有機物原料37、第2電極原料37が順次貯蔵されてもよい。
【0227】
なお、上記では、加熱台150の隙間GPが断面視において片方に形成されている場合について説明したが、これに限定されず、隙間GPが断面視において両方に形成されていてもよい。
【0228】
なお、本実施の形態の上記以外の再生産方法は、上述した実施の形態1とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0229】
本実施の形態によれば、有機物原料37が円筒管1内に落下により供給されるので、第1の放出部である加熱台150に有機物原料37を貯蔵しなくてよいため、加熱台150を小さくすることができる。これにより、円筒管1が細い場合でも、容易に新たな有機物層OLを成膜することができる。また、有機物原料供給器151において複数の有機物原料37を予め所定の割合で混合することにより、同様の割合の組成で新たな有機物層OLを成膜することができる。
【0230】
また、有機物原料供給器151から落下により円筒管1内に供給された有機物原料37の供給量をレーザーパーティクルモニタ152によって計測し、かつ計測の結果に基づき有機物原料37の供給量を制御することにより、有機物原料37の供給量を正確に制御することにより、有機物層OLの厚さを正確に制御することができる。
【0231】
本実施の形態によれば、第2電極原料37が円筒管1内に落下により供給されるので、第2の放出部である加熱台150に第2電極原料37を貯蔵しなくてよいため、加熱台150を小さくすることができる。これにより、円筒管1が細い場合でも、容易に新たな第2電極層12gを成膜することができる。また、第2電極原料供給器151において複数の第2電極原料37を予め所定の割合で混合することにより、同様の割合の組成で新たな第2電極層12gを成膜することができる。
【0232】
また、第2電極原料供給器151から落下により円筒管1内に供給された第2電極原料37の供給量をレーザーパーティクルモニタ152によって計測し、かつ計測の結果に基づき第2電極原料37の供給量を制御することにより、第2電極原料37の供給量を正確に制御することにより、第2電極層12gの厚さを正確に制御することができる。
【0233】
(実施の形態8)
本発明の実施の形態8は、実施の形態1と比較して、複数の坩堝31が円筒管1の内側に配置される点で主に異なっている。
【0234】
図25を参照して、本実施の形態では、1つの円筒管1の内側に複数の坩堝31が配置されている。新たな有機物層OLを成膜する場合には、有機物層OLの原料となる固体原料37が複数の坩堝31のそれぞれに入れられている。陰極層12gを成膜する場合には、陰極層12gの原料となる固体原料37が複数の坩堝31のそれぞれに入れられている。
【0235】
なお、本実施の形態の上記以外の再生産方法は、上述した実施の形態1とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0236】
本実施の形態によれば、複数の坩堝(第1の放出部分)31が円筒管1の内側に配置されるので、より正確に有機物層OLを成膜することができる。
【0237】
本実施の形態によれば、複数の坩堝(第2の放出部分)31が円筒管1の内側に配置されるので、より正確に陰極層(第2電極層)12gを成膜することができる。
【0238】
なお上記の各実施の形態においては管として円筒管1、すなわち管の長さ方向に垂直な断面形状が円形となるような管が用いられたが、本発明はこれに限定されるものではない。管の長さ方向に垂直な断面形状は、たとえば楕円形または多角形であってもよい。
【0239】
なお、実施の形態1と同様に、実施の形態2〜8においても可撓性フィルムに有機EL素子が形成されていてもよい。
【0240】
なお、第2電極層と有機物層とを除去する構成および方法ならびに新たな有機物と第2電極層とを成膜する構成および方法については、実施の形態1〜8の各構成が適時組み合わせられた構成であってもよい。
【0241】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0242】
本発明は、管の内周に形成された有機物層を含む発光装置の再生産方法および発光装置の再生産装置に特に有利に適用され得る。
【符号の説明】
【0243】
1 円筒管(管)、12 有機EL素子(有機発光素子)、12a 保護層、12b 透明陽極層(第1電極層)、12c〜12f 有機物層の第1〜第4の層、OL 有機物層、12g 陰極層(第2電極層)、20 高周波コイル、21 ガス導入フランジ、22 真空排気フランジ、23 アルゴンガス導入口、24 反応性ガス導入口、25 排気口、26 プラズマ、27 酸素プラズマ、28 加熱ランプ、29 真空容器、30 固定冶具、31 坩堝、32 冷却器、33 回転導入器、34 直線駆動機構、35 真空ポンプ、36 ヒータ、37 固体原料、38 上蓋、39 回転モータ、40 回転導入フランジ、41 回転排出フランジ、42 軸受、43 回転モータ、44 液体供給管、45 排出口、46 傾斜台、47 ランプヒータ、51 搬入室、GV1〜GV7 開閉弁、52 封止着脱室、53 待機室、TR1,TR2,TR3 搬送手段、54 真空搬送室、55 エッチング室、56 中間室、57 高真空搬送室、58 有機物蒸着室、59 陰極蒸着室、60 搬出室、61 ターボ分子ポンプ、62 クライオポンプ、70 気密室、71 結合治具、72 公転搬送手段、72a 取付部、73 エッチングフランジ、74 自転モータ、75 溶液コーティングフランジ、76 溶液コーティングノズル、77 陰極蒸着フランジ、78 蒸着ルツボ、79 シャッター、80 ウェットエッチング装置、80A 自公転機構、80a 公転用テーブル、80b 自転用伝達ベルト、81 第1,第2のマスク、82 気化器、83 オーブン、84 ガスボンベ、85 質量流量計、86 バルブ、87 ガス輸送管、88 排気口、89 光(レーザー)、100P,100V,100Y 成膜装置、100W,100X 再生産装置、110 封止部、110a,110b 封止部品、112a,112b 電極、113a,113b 配線、114 補助電極、115 フレキシブル基板(可撓性フィルム)、124 Oリング、150 加熱台、151 原料供給器、152 レーザーパーティクルモニタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性を有する管と、前記管の内周に設けられ、透光性を有する第1電極層と、前記第1電極層の内周に設けられ、電界が印加されることにより発光することができる有機物層と、前記有機物層の内周に設けられた第2電極層と、前記管の内周を気密に封止するように、前記管に着脱可能に固定された封止部とを備えた発光装置の再生産方法であって、
前記封止部を取り外す工程と、
前記封止部が取り外された前記発光装置の前記第2電極層を除去して前記有機物層を露出させる工程と、
露出された前記有機物層を除去して前記第1電極層を露出させる工程と、
露出された前記第1電極層を表面処理する工程と、
表面処理された前記第1電極層の内周に新たな有機物層を成膜する工程と、
成膜された前記新たな有機物層の内周に新たな第2電極層を成膜する工程と、
成膜された前記新たな第2電極層を含む前記管の内周を前記封止部で気密に封止する工程とを備えた、発光装置の再生産方法。
【請求項2】
前記第2電極層を除去する工程は、ハロゲンガス系プラズマおよび有機ガス系プラズマの少なくともいずれかで前記第2電極層をエッチングする工程と、酸溶液で前記第2電極層をエッチングする工程との少なくともいずれかを含む、請求項1に記載の発光装置の再生産方法。
【請求項3】
前記有機物層を除去する工程は、酸素プラズマで前記有機物層をアッシングする工程と、炭化水素系溶剤および水の少なくともいずれかで前記有機物層をエッチングする工程と、光照射による加熱で前記有機物層を蒸発させる工程と、高温ガスによる加熱で前記有機物層を蒸発させる工程との少なくともいずれかを含む、請求項1または2に記載の発光装置の再生産方法。
【請求項4】
前記第1電極層を表面処理する工程は、前記第1電極層の表面を酸素プラズマ中で表面処理する工程と、前記第1電極層の表面を酸素雰囲気中で加熱表面処理する工程と、前記第1電極層の表面を紫外線で表面処理する工程との少なくともいずれかを含む、請求項1〜3のいずれかに記載の発光装置の再生産方法。
【請求項5】
前記新たな有機物層を成膜する工程は、前記管と前記新たな有機物層の原料の放出を行う第1の放出部とが互いに相対運動を行うように前記第1の放出部および前記管の少なくともいずれかを動かしながら前記放出を行うことにより、前記管の内周に前記新たな有機物層を成膜する工程を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の発光装置の再生産方法。
【請求項6】
前記第1の放出部は、ノズルを有し、前記管の長さ方向を中心として自転する前記管の内周へ、前記原料として液体を前記ノズルから放出して塗布する、請求項5に記載の発光装置の再生産方法。
【請求項7】
前記第1の放出部が複数の第1の放出部分を有する、請求項5または6に記載の発光装置の再生産方法。
【請求項8】
前記新たな有機物層を成膜する工程は、前記管の内部空間を前記管の一方端部より真空または減圧にし、加熱された前記新たな有機物層の気体状の原料を不活性ガスの放出により前記管の他方端部から流し、前記管を冷却することにより前記管の内周に前記新たな有機物層を成膜する工程を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の発光装置の再生産方法。
【請求項9】
前記新たな第2電極層を成膜する工程は、前記管と前記新たな第2電極層の原料の放出を行う第2の放出部とが互いに相対運動を行うように前記第2の放出部および前記管の少なくともいずれかを動かしながら前記放出を行うことにより、前記管の内周に前記新たな第2電極層を成膜する工程を含む、請求項1〜7のいずれかに記載の発光装置の再生産方法。
【請求項10】
前記第2の放出部が複数の第2の放出部分を有する、請求項9に記載の発光装置の再生産方法。
【請求項11】
前記封止部を取り外す工程と、前記管の内部を前記封止部で気密に封止する工程とは第1の気密容器内で行われ、
前記第2電極層を除去する工程と、前記有機物層を除去する工程と、前記第1電極層を表面処理する工程とは前記第1の気密容器とは異なる第2の気密容器内で行われ、
前記有機物層を成膜する工程と、前記第2電極層を成膜する工程とは前記第1および第2の気密容器とは異なる第3の気密容器内で行われ、
前記管が前記第1〜第3の気密容器に搬送手段によって搬送される、請求項1〜5、7、9〜10のいずれかに記載の発光装置の再生産方法。
【請求項12】
前記第2電極層を除去する工程と、前記有機物層を除去する工程と、前記第1電極層を表面処理する工程と、前記新たな有機物層を成膜する工程と、前記新たな第2電極層を成膜する工程の各工程が前記管の内部空間を閉塞して行なわれる、請求項1〜10のいずれかに記載の発光装置の再生産方法。
【請求項13】
前記第2電極層を除去する工程と、前記有機物層を除去する工程と、前記第1電極層を表面処理する工程と、前記新たな有機物層を成膜する工程と、前記新たな第2電極層を成膜する工程が一つの気密容器内で行われ、前記管が一つの気密容器内で搬送手段によって搬送される、請求項1〜5、7、9〜10のいずれかに記載の発光装置の再生産方法。
【請求項14】
前記新たな有機物層を成膜する工程において、前記第1電極層に第1のマスクを設けて、前記第1のマスクが設けられた領域以外に前記新たな有機物層を成膜する、請求項1〜13のいずれかに記載の発光装置の再生産方法。
【請求項15】
前記新たな第2電極層を成膜する工程において、前記新たな有機物層に第2のマスクを設けて、前記第2のマスクが設けられた領域以外に前記新たな第2電極層を成膜する、請求項1〜14のいずれかに記載の発光装置の再生産方法。
【請求項16】
前記新たな有機物層の成膜後、前記新たな有機物層を光照射により蒸発させて、前記光照射により蒸発された領域以外に前記新たな有機物層を残存させる、請求項1〜15のいずれかに記載の発光装置の再生産方法。
【請求項17】
前記第1電極層と前記有機物層と前記第2電極層とを含む有機発光素子は、可撓性フィルムに形成された状態で前記管の内周に配置される、請求項1〜16のいずれかに記載の発光装置の再生産方法。
【請求項18】
前記可撓性フィルムは湾曲させた状態で前記管の内周に装着される、請求項17に記載の発光装置の再生産方法。
【請求項19】
前記封止部を取り外す工程と、前記有機物層を露出させる工程と、前記第1電極層を露出させる工程と、前記第1電極層を表面処理する工程と、前記新たな有機物層を成膜する工程と、前記新たな第2電極層を成膜する工程と、前記管の内周を前記封止部で気密に封止する工程との少なくとも1つの工程は、前記管が縦に保持された状態で行なわれる、請求項1に記載の発光装置の再生産方法。
【請求項20】
透光性を有する管と、前記管の内周に設けられ、透光性を有する第1電極層と、前記第1電極層の内周に設けられ、電界が印加されることにより発光することができる有機物層と、前記有機物層の内周に設けられた第2電極層と、前記管の内周を気密に封止するように、前記管に着脱可能に固定された封止部とを備えた発光装置の再生産装置であって、
前記発光装置の前記封止部を取り外す封止着脱部と、
前記封止着脱部で前記封止部が取り外された前記発光装置から前記第2電極層を除去する第2電極層除去部と、
前記第2電極層が除去された前記発光装置から前記有機物層を除去する有機物層除去部と、
前記有機物層が除去された前記発光装置の前記第1電極層を表面処理する第1電極層表面処理部と、
前記表面処理された第1電極層の内周に新たな有機物層を成膜する有機物層成膜部と、
前記新たな有機物層の内周に第2電極層を成膜する第2電極層成膜部とを備え、
前記封止着脱部は、前記新たな有機物層および前記新たな第2電極層を含む前記管の内周を気密に封止するよう構成されている、発光装置の再生産装置。
【請求項21】
前記封止着脱部を有する第1の気密容器と、
前記第2電極層除去部と、前記有機物層除去部と、前記第1電極層表面処理部とを有する、前記第1の気密容器とは異なる第2の気密容器と、
前記有機物層成膜部と、前記第2電極層成膜部とを有する、前記第1および第2の気密容器とは異なる第3の気密容器とを備え、
前記管が前記第1〜3の気密容器に搬送手段によって搬送される、請求項20に記載の発光装置の再生産装置。
【請求項22】
前記封止着脱部と、前記第2電極層除去部と、前記有機物層除去部と、前記第1電極層表面処理部と、前記有機物層成膜部と、前記第2電極層成膜部との少なくとも1つは、前記管を縦に保持できるように構成されている、請求項20または21に記載の発光装置の再生産装置。
【請求項23】
前記第2電極層除去部と、前記有機物層除去部と、前記第1電極層表面処理部と、前記有機物層成膜部と、前記第2電極層成膜部とが、前記管の内部空間を閉塞する結合器をさらに備え、
前記管の内部空間が前記結合器によって閉塞された気密状態において前記各除去部の処理が行なわれる、請求項20に記載の発光装置の再生産装置。
【請求項24】
透光性を有する管と、前記管の内周に設けられ、透光性を有する第1電極層と、前記第1電極層の内周に設けられ、電界が印加されることにより発光することができる有機物層と、前記有機物層の内周に設けられた第2電極層と、前記有機物層と前記第2電極層とを含む前記管の内周を気密に封止するように、前記管に着脱可能に固定された封止部とを備えた発光装置の再生産装置であって、
前記管の内側に前記有機物層および前記第2電極層の少なくともいずれかを除去するエッチング液を供給する供給部と、
前記管の長さ方向が重力方向に対して交差するように支持されかつ前記管の長さ方向を中心として自転するように発光装置を保持しかつ前記エッチング液を排出するため前記発光装置を傾斜させる保持部とを備えた、発光装置の再生産装置。
【請求項25】
前記新たな有機物層を成膜する工程は、前記管内に有機物原料供給器によって前記新たな有機物層の原料である固体状の有機物原料を落下により供給する工程と、
前記有機物原料供給器から落下により前記管内に供給された前記有機物原料を前記第1の放出部で加熱することにより気化して放出する工程とを有する、請求項5に記載の発光装置の再生産方法。
【請求項26】
前記固体状の有機物原料を落下により供給する工程は、前記有機物原料供給器から落下により前記管内に供給された前記有機物原料の供給量をレーザーパーティクルモニタによって計測し、かつ前記計測の結果に基づき前記有機物原料の供給量を制御する工程を有する、請求項25に記載の発光装置の再生産方法。
【請求項27】
前記新たな第2電極層を成膜する工程は、前記管内に第2電極原料供給器によって前記新たな第2電極層の原料である固体状の第2電極原料を落下により供給する工程と、
前記第2電極原料供給器から落下により前記管内に供給された前記第2電極原料を前記第2の放出部で加熱することにより気化して放出する工程とを有する、請求項9に記載の発光装置の再生産方法。
【請求項28】
前記固体状の第2電極原料を落下により供給する工程は、前記第2電極原料供給器から落下により前記管内に供給された前記第2電極原料の供給量をレーザーパーティクルモニタによって計測し、かつ前記計測の結果に基づき前記第2電極原料の供給量を制御する工程を有する、請求項27に記載の発光装置の再生産方法。
【請求項29】
複数の前記第1の放出部分が前記管の内側に配置される、請求項7に記載の発光装置の再生産方法。
【請求項30】
複数の前記第2の放出部分が前記管の内側に配置される、請求項10に記載の発光装置の再生産方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2010−251282(P2010−251282A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−168092(P2009−168092)
【出願日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【特許番号】特許第4533964号(P4533964)
【特許公報発行日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【出願人】(508016664)フジテック・インターナショナル株式会社 (7)
【出願人】(599048661)有限会社マイクロシステム (9)
【Fターム(参考)】