説明

発光装置及びそれを用いた照明装置

【課題】固体発光素子(LED)を用いた発光装置において、生産性を低下させることなく色ムラを少なくする。
【解決手段】発光装置1は、LED2と、基板3と、LED2からの光を波長変換する波長変換部材4と、基板3の配線パターン31とLED2とを接続するワイヤ32とを備える。波長変換部材4は、蛍光体を含有する透明樹脂部材から成り、LED2の発光面を被覆する。また、隣り合うLED2から導出されるワイヤ32のうち、少なくとも1つは、他のワイヤ32とは異なる方向に導出される。この構成によれば、波長変換部材4が塗布により形成されると、その厚みがワイヤ32の導出方向に応じて変化する。ここに、波長変換部材4の厚みが厚い箇所からの出射光と、波長変換部材4の厚みが薄い箇所からの出射光とが混光されるようにワイヤ32の導出方向が設定されることにより、各出射光の色味の差が打ち消されて、色ムラを少なくすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源として複数の固体発光素子を用いた発光装置及びそれを用いた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(以下、LED)は、低電力で高輝度の発光が可能であり、しかも長寿命であることから、白熱灯や蛍光灯に代替する照明装置用の光源として注目されている。しかし、LED単体では、蛍光灯等に比べて光量が少ないので、LEDを光源とする一般的な照明装置では、複数のLEDを備えた発光装置が用いられている。
【0003】
この種の発光装置として、基板上に配設された複数のLEDを、各LEDを個別に被覆する透光層と共に覆う波長変換部材を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この発光装置は、青色光を出射する青色LEDを用い、波長変換部材を構成する樹脂層に青色光を黄色光に変換する黄色蛍光体を分散させ、青色光と黄色光を混光させて白色光を出射する。また、波長変換部材が、各LED及び透明層を一様に覆うので、LEDに対する蛍光体の量のばらつきが少なくなり、各LEDから放射される光色が均一化され、色ムラを少なくすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−129615号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の発光装置においては、波長変換部材が、各LED及び透明層を一様に覆うことができるように、所定の形状に形成されており、基板上に実装されるLEDの個数や配置は、波長変換部材の形状に適合するように設定される。通常、このような波長変換部材は、金型等を用いて、蛍光体を含有する樹脂を成形することによって作製されるので、設計上の自由度が低い。これに対して、流動性のある樹脂に蛍光体を含有させ、これをLED上に塗布することで波長変換部材を形成すれば、金型を用いて成形する方法に比べて、装置設計上の自由度を高くすることができ、しかも生産性を良くすることができる。
【0006】
ところが、塗布によって波長変換部材を形成する場合、その形状を安定化することが容易でなく、波長変換部材の被覆厚さが不均一となることがある。特に、LEDをワイヤボンディングにより基板上に実装する場合、ワイヤの影響により、塗布時の樹脂の流れが不均一になり易いので、波長変換部材の厚みを均一に形成することが容易でない。混光波長変換部材の厚みが不均一になると、各LEDからの放射状に出射された光と、蛍光体から出射された光の混光割合が局所的に変化し、色ムラを発生させる虞がある。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するものであり、複数の固体発光素子と、これらを被覆する波長変換部材を備えた発光装置において、生産性を低下することなく色ムラを少なくした発光装置及びこの発光装置を用いた照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係る発光装置は、複数の固体発光素子と、前記固体発光素子が実装される基板と、前記固体発光素子からの光を波長変換する波長変換部材と、前記基板に設けられた配線パターンと前記固体発光素子とを電気的に接続するワイヤと、を備え、前記波長変換部材は、蛍光体を含有する透明樹脂部材から成り、前記固体発光素子の発光面を被覆し、隣り合う前記固体発光素子から導出される前記ワイヤのうち、少なくとも1つのワイヤは、他のワイヤとは異なる方向に導出されることを特徴とする。
【0009】
上記発光装置において、隣り合う前記固体発光素子から導出される前記ワイヤのうち、少なくとも1つのワイヤは、他のワイヤとは直交する方向に導出されることが好ましい。
【0010】
上記発光装置において、前記波長変換部材は、アレイ状に配された複数の前記固体発光素子を被覆していることが好ましい。
【0011】
上記発光装置は、照明装置に用いられることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の発光装置によれば、隣り合う固体発光素子のワイヤの導出方向の一部が異なるので、固体発光素子を被覆する波長変換部材が塗布によって形成されたとき、波長変換部材の厚みがワイヤの導出方向に応じて変わる。このため、波長変換部材の厚みが厚い箇所からの出射光と、厚みが薄い箇所からの出射光とが混光されるように、各個体発光素子のワイヤの導出方向が設定されることにより、波長変換部材の厚みに起因する各出射光の色味の差が打ち消されて、色ムラを少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(a)は本発明の第1の実施形態に係る発光装置の側断面図、(b)は上面図。
【図2】(a)は図1(a)のA領域の拡大図、(b)は図1(b)のA領域の拡大図、(c)は同A領域における発光色を示す図、(d)は図1(a)のB領域の拡大図、(e)は図1(b)のB領域の拡大図、(f)は同B領域における発光色を示す図。
【図3】(a)乃至(d)は、同発光装置における波長変換部材の形成手順を示す側面図。
【図4】(a)は同発光装置を組み込んだ照明装置の側断面図、(b)は上面図。
【図5】同照明装置の変形例を示す側断面図。
【図6】(a)は本発明の第2の実施形態に係る発光装置の一部を拡大した側断面図、(b)は上面図。
【図7】(a)は同発光装置の側断面図、(b)は上面図。
【図8】(a)は同照明装置の変形例を示す側断面図、(b)は別の変形例を示す側断面図。
【図9】(a)は本発明の第3の実施形態に係る発光装置の一部を拡大した側断面図、(b)は上面図。
【図10】(a)は同発光装置の側断面図、(b)は上面図。
【図11】(a)は本発明の第4の実施形態に係る発光装置の側断面図、(b)は上面図。
【図12】同発光装置における波長変換部材の形成手順を示す側面図。
【図13】図11(b)に示すC領域の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の第1の実施形態に係る発光装置及びそれを用いた照明装置について、図1乃至図4を参照して説明する。本実施形態の発光装置1は、図1(a)(b)及び図2(a)乃至(f)に示すように、固体発光素子としての発光ダイオード(以下、LED)2と、LED2が実装される配線基板(以下、基板)3と、LED2からの光を波長変換する波長変換部材4と、を備える。波長変換部材4は、蛍光体を含有する透明樹脂部材から成り、LED2の発光面を被覆する。この被覆は、蛍光体含有樹脂をLED2上に塗布することにより成される。また、波長変換部材4は、LED2毎にドット状に設けられ、LED2の光導出方向に頂点部を有するドーム形状に形成されている。以下の説明において、LED2の発光面の中心を通る法線を光導出軸Lという(図2(a)(d))。
【0015】
また、発光装置1は、基板3に設けられた配線パターン31とLED2とを電気的に接続するワイヤ32を備える。そして、隣り合うLED2から導出されるワイヤ32のうち、少なくとも1つのワイヤ32は、他のワイヤ32とは異なる方向に導出される。本例においては、1つのLED2から互いに正反対方向に一対のワイヤ32が夫々導出され、これら一対のワイヤ32の導出方向が、隣り合うLED2と互いに直交している。
【0016】
発光装置1は、図1(b)に示すように、複数のLED2及び波長変換部材4が基板3上にマトリックス状に実装されることが好ましい。なお、図示したマトリックス状に限らず、複数のLED2及び波長変換部材4は、例えば、基板3上にハニカム状に、又は放射状に実装されていてもよい(不図示)。また、複数のLED2が、長尺矩形の基板3上にアレイ状に実装されていてもよい(不図示)。
【0017】
LED2は、発光装置1として所望の光色の発光を可能とする光源であれば特に限定されないが、発光ピーク波長が460nmの青色光を放射するGaN系青色LEDチップが好適に用いられる。LED2の大きさも、特に限定されないが、□0.3mmサイズのものが好ましい。本実施形態において、LED2には、素子上面に陽極及び陰極の各電極が設けられた、いわゆるフェイスアップ型の素子が用いられる。LED2の実装方法としては、LED2が基板3上に、ダイボンド材33によって接合され、LED2の素子上面に設けられた各電極を、基板3上に設けられた配線パターン31に、ワイヤ32を用いて結線させる(図2(a)(d)参照)。これにより、LED2と配線パターン31とが電気的に接続される。ダイボンド材33としては、例えば、シリコーン系樹脂、銀ペースト、その他高耐熱のエポキシ系樹脂材等が用いられる。
【0018】
基板3は、母材として、例えば、ガラスエポキシ樹脂等の汎用の基板用板材が好適に用いられる。アルミナや窒化アルミ等のセラミック基板、表面に絶縁層が設けられた金属基板であってもよい。この基板3上に、LED2に給電するための配線パターン31が設けられている。基板3の形状は、LED2及び波長変換部材4等の搭載部材を搭載できるサイズ及び形状であればよく、厚みは、取り扱い時に撓み等の変形を生じない強度を有する程度であればよい。なお、上述した□0.3mmサイズのLED2を用いる場合、一つのLED2及び波長変換部材4から成る一ユニットあたり、40mm×40mmの矩形状の基板3が用いられる。
【0019】
基板3上に形成された配線パターン31は、例えば、Au表面でメッキ法により形成される。メッキ法は、Auに限られず、例えば、Ag、Cu、Ni等であってもよい。また、各パターン部の表面のAuは、基板3との接着力を向上させるために、例えば、Au/Ni/Agといった積層構造とされてもよい。なお、配線パターン31は、その表面に光反射処理が施され、LED2からの基板3側へ出射された光を反射するように構成されていてもよい。また、基板3及び配線パターン31の表面は、ワイヤ32の結線やLED2の実装に必要な領域を除き、白色レジストによって覆われていることが好ましい。この白色レジストは、例えば、リフトオフ法等により形成される。こうすれば、白色レジストによって各パターン部が保護されるので、配線の安定性が向上し、しかも、発光装置1を照明装置に組み込む際の取り扱いが容易となり、装置の製造効率が良くなる。
【0020】
ワイヤ32には、例えば、汎用の金ワイヤが用いられる。また、アルミワイヤ、銀ワイヤ又は銅ワイヤ等であってもよい。ワイヤ32は、熱接合又は超音波接合等の公知の接合方法により、LED2の各電極及び配線パターン31に接合される。
【0021】
波長変換部材4は、縦長の凸形状であって、縦断面が高さ方向に長径を有する半楕円形状となるように形成されている。長径及び短径の比は、例えば、2:1とされるが、この限りではない。また、波長変換部材4の形状は、横長の凸形状であって、縦断面が平面方向に長径を有する半楕円形状であっても良い。更に、波長変換部材4の形状は、略半円錐形状であっても良い。この波長変換部材4は、透光性を有する樹脂材料(例えば、シリコーン樹脂)に、LED2から出射された青色光によって励起され、黄色光を放射する粒子状の黄色蛍光体を分散させた混合材料を、上述した形状に形成加工して作製された光学部材である。透光性を有する樹脂材料は、例えば、屈折率が1.2〜1.5のシリコーン樹脂が用いられる。
【0022】
蛍光体には、LED2から出射された青色光の一部を吸収して励起され、波長500〜650nmの波長域にピーク波長を有する周知の黄色蛍光体が好適に用いられる。この黄色蛍光体は、発光ピーク波長が黄色波長域内にあり、且つ、発光波長域が赤色波長域を含むものである。黄色蛍光体としては、イットリウム(Yttrium)とアルミニウム(Aluminum)の複合酸化物のガーネット(Garnet)構造の結晶から成る、いわゆるYAG系蛍光体が挙げられるが、これに限られない。例えば、色温度や演色性を調整するため等に、複数色の蛍光体を混色させて用いてもよく、赤色蛍光体と緑色蛍光体を適宜に混合させることにより、演色性の高い白色光を得ることができる。なお、波長変換部材4を構成する樹脂材料には、上記蛍光体に加えて、例えば、光拡散材又はフィラー等が添加されてもよい。
【0023】
次に、波長変換部材4の形成方法について、図3(a)乃至(d)を参照して説明する。まず、図3(a)に示すように、LED2が実装された基板3上に実装されたLED2の発光面の略中央領域にディスペンサ40が配される。次に、図3(b)に示すように、ディスペンサ40から、LED2上に蛍光体を含有する樹脂41が塗布される。このとき、樹脂41は、塗布開始位置から同心円状に流れ広がり、半楕円形状を形成するが、ワイヤ32近傍では、この樹脂41の流れが阻害されるために流動量が小さくなり、その分、樹脂はワイヤ32の無い方向により大きく広がる。その結果、波長変換部材4は、上記図2(b)(e)に示すように、ワイヤ32の近傍の厚みが薄く、ワイヤ32から離れた箇所の厚みが厚くなる。本実施形態においては、1つのLED2から互いに正反対方向に一対のワイヤ32が夫々導出されているので、波長変換部材4は、ワイヤ32の導出方向の直径が短く、これと直交する方向の直径が長くなり、上面視において楕円形状となるように形成される。1つのLED2に対する樹脂41の塗布が終了すると、図3(c)に示すように、ディスペンサ40は持ち上げられ、図3(d)に示すように、別のLED21の上方へ移動させられる。各LED2上へは、いずれも均一量の樹脂が塗布される。こうすれば、側面視における波長変換部材4の基板3からの突出高さは、いずれの波長変換部材4においても等しくなる。このように、波長変換部材4を塗布により形成すれば、金型成形等に比べて生産性を良くすることができる。
【0024】
LED2から発せられた光は、光導出軸Lを中心として放射状に出射される。そして、光の一部は、波長変換部材4に含まれる蛍光体に当たり、基底状態にある蛍光体を励起状態に遷移させる。励起状態となった蛍光体は、LED2からの光とは波長が異なる光を放出して基底状態に戻る。これにより、蛍光体は、LED2からの光の波長を変換した光を放射することができる。蛍光体によって波長変換された光は、光導出軸Lの方向に限らず、蛍光体から放射状に出射される。つまり、LED2から放射された光は、蛍光体によって、波長変換されるだけでなく、LED2から放射されたときの光の直進方向通りには進まず、放射状に拡散される。また、波長変換された光は、他の蛍光体の表面においても更に拡散され得る。
【0025】
図2(b)(e)に示すように、本実施形態においては、波長変換部材4は、ワイヤ32の導出方向の直径が短く、これと直交する方向の直径が長くなるように形成されている。従って、発光装置1の上面視において、LED2から放射された光のうち、ワイヤ32の導出方向に進む光は、波長変換部材4内の短い距離を通る。この光のスペクトルは、波長変換部材4内を通る距離(光路)が短いだけ、蛍光体に当たる確率が低くなるので、蛍光体による黄色光成分の発光強度が小さく、LED2の青色光成分の発光強度が高くなる。一方、ワイヤ32の導出方向と直交する方向に進む光は、波長変換部材4内の長い距離を通る。この光のスペクトルは、波長変換部材4内を通る光路が長いだけ、蛍光体に当たる確率が高くなるので、蛍光体による黄色光成分の発光強度が高く、LED2の青色光成分の発光強度が小さくなる。つまり、図2(c)(f)に示すように、このような楕円形状の波長変換部材4から出射される光は、上面視において、楕円の短径方向に青味ががり、楕円の長径方向に黄味がかる。
【0026】
本実施形態の発光装置1においては、上記図1(b)に示したように、各LED2から導出されるワイヤ32の導出方向を、隣り合うLED2と互いに直交させている。そのため、一のLED2を被覆する波長変換部材4の短径方向は、隣り合う波長変換部材4の短径方向と互いに直交する。つまり、図例のA領域にある波長変換部材4の短径方向(ワイヤ32の導出方向)には、青味がかった光が出射され、この方向には、A領域に隣り合うB領域の波長変換部材4から黄味がかった光が出射される。その結果、本実施形態の発光装置1は、A領域とB領域との間には、青味がかった光及び黄味がかった光が互いに打ち消されて、全体としては色ムラの少ない白色光を生成することができる。なお、各波長変換部材4の基板3からの突出高さは等しいので、光導出方向Lには、いずれも色ムラの無い白色光が出射される。
【0027】
本実施形態では、LED2から一対のワイヤ32が反対方向に導出され、それらの導出方向を、隣り合うLED2と互いに直交させているが、ワイヤ32の導出方向は、必ずしもこの構成に限られない。例えば、各LED2から導出されるワイヤ32の導出方向が一方向に揃っていると、この導出方向には、いずれの波長変換部材4からも青味がかった光が出射され、これと直交する方向には、いずれも黄味がかった光が出射される。その結果、発光装置全体としては、青味がかり及び黄味がかりが殆ど打ち消されることがないので、色ムラを生じる。
【0028】
これに対して、隣り合うLED2から導出されるワイヤ32のうち、少なくとも1つのワイヤ32が、他のワイヤ32とは異なる方向に導出されていれば、波長変換部材4が塗布によって形成されたとき、その厚みが、ワイヤ32の導出方向に応じて変化する。このため、波長変換部材4の厚みが厚い箇所からの出射光と、波長変換部材4の厚みが薄い箇所からの出射光とが混光されるようにワイヤ32の導出方向を設定することにより、各出射光の色味を打ち消し合わせて、色ムラの少ない光を出射することができる。
【0029】
次に、図4(a)(b)を参照して、複数のLED2及び波長変換部材4を備えた発光装置1を組み込んだ照明装置10について説明する。照明装置10は、本体部5と、発光装置1を本体部5に固定するための取付板6と、発光装置1の光導出方向に設けられる光拡散透過パネル(以下、光拡散パネル)7と、発光装置1から放射される光を光拡散パネル7の方向へ反射させる反射板8と、を備える。なお、本実施形態において、照明装置10は、正方矩形状のベースライトを想定して例示されているが、長尺矩形状であってもよく、また、円形状のダウンライト等であってもよく、その形状等は特に限定されない。
【0030】
本体部5は、発光装置1が固定される底面を有する取付枠51と、この取付枠51の開口側に取り付けされ、光拡散パネル7を保持する開口枠52とを備える。取付枠51は、前面が開口した缶形状の構造部材であり、発光装置1を収納可能なように、基板3より大きな矩形状の底面部と、この底面部の四方に立設された側面部とを備える。取付枠51の側面部は、開口側の外周縁が薄くなるよう形成されて被嵌込部として構成されている。この被嵌込部に開口枠52の側面部が嵌め込まれて、外側からネジ53が挿通されることにより、取付枠51と開口枠52とが固定される。開口枠52は、光を放射するために中央が開口した枠状部材であり、光拡散パネル7を保持するため、開口部の周縁部が内側に突出している。また、開口枠52の開口部は、基板3のサイズよりも大きく、また、光導出方向に従って開口面積が広くなるように形成されている。これら取付枠51及び開口枠52は、例えば、所定の剛性を有するアルミニウム板又は鋼板等の板材を、所定形状にプレス加工したものである。取付枠51の内側面は、白色塗料等によりコーティングされていてもよい。
【0031】
取付板6は、発光装置1の基板3と取付枠51の底面との間に隙間ができるように、発光装置1を保持する部材であり、所定の剛性を有するアルミニウム板又は鋼板等の板材を、上記形状にプレス加工したものである。発光装置1の基板3と取付板6とは、それらを貫通するネジ61によって固定される。取付板6は、ネジ(不図示)又は接着等により、取付枠51に固定される。また、例えば、所定の樹脂板又は止め具を用いて、基板3の端部と取付板6とを挟み込むように固定してもよい(不図示)。取付板6は、発光装置1からの熱を効率的に放熱できるように、熱伝導性のよい材料から構成されていることが望ましく、また、取付枠51の底面と対向する面に放熱フィンが形成されていてもよい。基板3と取付枠51の底面との間には、発光装置1を点灯駆動するための電源部や配線等(不図示)が収納される。なお、電源別置の場合、発光装置1の取付構造は、この限りではなく、取付板6を介さず取付枠51の底面に発光装置1を直接的に固定することもできる。
【0032】
光拡散パネル7は、アクリル樹脂等の透光性樹脂に酸化チタン等の拡散粒子を添加した乳白色材料を、開口枠52の内寸形状と略同形状に形成加工した矩形板状部材である。なお、光拡散パネル7は、透明なガラス板又は樹脂板の表面又は裏面に、サンドブラスト処理を施して粗面としたもの、又はシボ加工を施したもの等であってもよい。
【0033】
反射板8は、反射性を有する屈曲した板材が、基板3上にマトリックス状に配置されたLED2及び波長変換部材4の四方を囲うように、且つ光導出軸Lに対して傾斜するように配置されたものである。この反射板8は、例えば、前記形状に形成された樹脂構造体に、高反射性の白色塗料を塗装して作製された光拡散反射板が好適に用いられる。なお、照明装置10が、例えば、ダウンライトとして用いられる場合、反射板8は、碗形状に形成され、その表面に、より反射率の高い銀又はアルミニウムが蒸着されたものであってもよい。
【0034】
このように構成された照明装置10において、発光装置1から放射された光は、直接又は反射板8で反射されて光拡散パネル7に入射し、照明装置10外に出射される。このとき、光拡散パネル7が発光装置1に近接して配置された場合であっても、発光装置1からは、色ムラの少ない白色光が出射されるので、光拡散パネル7の輝度分布を均一とすることができる。また、光拡散パネル7を発光装置1に近接して配置することができるので、照明装置10を薄型化することができる。
【0035】
本実施形態の照明装置10の変形例を、図5を参照して説明する。この変形例は、照明装置10の種類及び用途に応じた反射板8を備えたものであり、ここでは、ダウンライト用照明を想定して、上述した実施形態より光導出方向に大きな反射板8を備えた構成を示す。この構成によれば、発光装置1の外周縁方向へ照射された光が、反射板8によって多重反射され、拡散されるので、色ムラの少ない白色光を照射することができる。
【0036】
次に、本発明の第2の実施形態に係る発光装置について、図6及び図7を参照して説明する。本実施形態の発光装置1においては、図6(a)(b)に示すように、一対のワイヤ32が、1つのLED2から互いに略90度に導出されている。このように、一対のワイヤ32がL字形状を模るようにすれば、これらワイヤ32の近傍においては、蛍光体含有樹脂を塗布したときに、これと反対側の部分に比べて樹脂の流動性が小さくなる。その結果、ワイヤ32の近傍の波長変換部材4の厚みが薄くなるので、この領域から出射される光は青味が強くなり、これとは反対側の部分の厚みが厚くなるので、この領域から出射される光は黄味が強くなる。
【0037】
また、図7(a)(b)に示すように、本実施形態の発光装置1は、隣接するLED2のワイヤ32の導出方向が、90度回転の関係になるように設定される。こうすれば、斜め隣に配置された互いの波長変換部材4から、夫々青味が強く光及び黄味が強い光が、対向する方向に出射されるように、波長変換部材4が形成される。こうすれば、最外周に配置された波長変換部材4同士によって、青味がかり及び黄味がかりが互いに打ち消されるので、発光装置1の端部における色ムラを抑制することができる。
【0038】
本実施形態の発光装置1の変形例を、図8(a)(b)を参照して説明する。この変形例においては、複数のLED2によってLED群20が形成され、一のLED群20におけるワイヤ32の導出方向が同じであり、隣接するLED群20のワイヤ32の導出方向が、90度回転の関係になるように設定される。この変形例においても、隣接するLED群単位で、青味がかり及び黄味がかりが互いに打ち消されるので、発光装置1の色ムラを抑制することができる。
【0039】
次に、本発明の第3の実施形態に係る発光装置について、図9及び図10を参照して説明する。本実施形態の発光装置1においては、図9(a)(b)に示すように、一対のワイヤ32が、1つのLED2から平行に導出されている。LED2には、例えば、0.25mm×0.6mmの長方形状のものが用いられる。
【0040】
本実施形態においても、ワイヤ32の近傍においては、蛍光体含有樹脂を塗布したときに、これと反対側の部分に比べて樹脂の流動量が小さくなる。その結果、ワイヤ32の近傍の波長変換部材4の厚みが薄くなるので、この領域から出射される光は青味が強くなり、これとは反対側の部分の厚みが厚くなるので、この領域から出射される光は黄味が強くなる。
【0041】
また、図10(a)(b)に示すように、本実施形態の発光装置1は、隣接するLED2のワイヤ32の導出方向が、90度回転の関係になるように設定される。こうすれば、青味が強く光及び黄味が強い光が、夫々異なる方向に出射されるので、発光装置1全体としての色ムラを抑制することができる。また、上述した第1の実施形態のように、青味が強く光及び黄味が強い光が夫々対向させるように波長変換部材4及びワイヤ32の導出方向が設定されてもよい。
【0042】
次に、本発明の第4の実施形態に係る発光装置について、図11乃至図13を参照して説明する。本実施形態の発光装置1においては、図11(a)(b)に示すように、波長変換部材4が、アレイ状に配された複数のLED2を被覆している。また、ワイヤ32の導出は、上記第2の実施形態と同様である。本実施形態は、図12に示すように、ディスペンサ40から一端部のLED2上に樹脂41が塗布された後、ディスペンサ40が水平に移動され、他端部のLED2までが一括して樹脂41が塗布される。この塗布方法によれば、各LED2上への樹脂41の塗布量を容易に均一化することができ、また、ディスペンサ40の動作が単純なので、生産性を良くすることができる。
【0043】
本実施形態においても、ワイヤ32の近傍においては、蛍光体含有樹脂を塗布したときに、これと反対側の部分に比べて樹脂の流動量が小さくなる。その結果、図13に示すように、ワイヤ32の近傍の波長変換部材4の厚みが薄くなるので、この領域から出射される光は青味が強くなり、これとは反対側の部分の厚みが厚くなるので、この領域から出射される光は黄味が強くなる。そして、隣り合う列の波長変換部材4同士によって、青味がかり及び黄味がかりが互いに打ち消されるので、発光装置1の端部における色ムラを抑制することができる。
【0044】
なお、本発明は、上記実施形態に限らず、種々の変形が可能である。例えば、基板3の中央領域に、一対のワイヤ32が正反対方向に導出されたLED2(図1(b)参照)を配置し、基板3の周縁領域に、一対のワイヤ32がLED2から互いに略90度に導出されたLED2(図7(b)参照)を配置してもよい。また、波長変換部材4の更に外側に、配光を調整する別途の光学部材が設けられてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 発光装置
10 照明装置
2 LED(固体発光素子)
3 基板
31 配線パターン
32 ワイヤ
4 波長変換部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の固体発光素子と、前記固体発光素子が実装される基板と、前記固体発光素子からの光を波長変換する波長変換部材と、前記基板に設けられた配線パターンと前記固体発光素子とを電気的に接続するワイヤと、を備え、
前記波長変換部材は、蛍光体を含有する透明樹脂部材から成り、前記固体発光素子の発光面を被覆し、
隣り合う前記固体発光素子から導出される前記ワイヤのうち、少なくとも1つのワイヤは、他のワイヤとは異なる方向に導出されることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
隣り合う前記固体発光素子から導出される前記ワイヤのうち、少なくとも1つのワイヤは、他のワイヤとは直交する方向に導出されることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記波長変換部材は、アレイ状に配された複数の前記固体発光素子を被覆していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の発光装置を用いた照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−8754(P2013−8754A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138900(P2011−138900)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】