説明

発光装置及び照明装置

【課題】装置を見込んだ際の不快グレアを極力抑えながらも発光効率の良好な発光装置を提供する。
【解決手段】発光装置10は、基板11と、その上に実装された、光を照射するLED12と、LED12の光軸方向に開口部17が設けられた筒状のリフレクタ14とを備える。LED12は、ライン状に複数実装されている。LED12は、光軸から所定の角度傾いた方向である非軸方向の光度が光軸方向の光度より大きいタイプのものである。リフレクタ14は、少なくともLED12からLED12の非軸方向に照射される光を反射面15で反射して開口部17から出射する。リフレクタ14の反射面15は、例えば、角錐面、円錐面、あるいは、放物面をなす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置及び照明装置に関するものである。本発明は、特に、発光ダイオード(LED;Light・Emitting・Diode)を光源とし一般照明器具や表示用照明器具として利用可能な装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
これまでLEDパッケージを用い高出力化、発光効率向上、装置外観向上を目的とした装置構造に係る技術提案は少なくない。最も基本的な構成は拡散発光タイプ、又は、光軸方向で強い光度を有するような狭角タイプのLEDを用い、その周辺のリフレクタの形状や配置等に特徴を持たせる構成である(例えば、特許文献1,2参照)。特許文献1,2は拡散タイプLEDを用いそのリフレクタに特徴を持たせたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−156192号公報
【特許文献2】特開2004−185972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、装置正面方向の高照度化を狙いリフレクタ形状等に特徴を持たせた装置構造で均一照度分布や発光効率向上を実現できるとしているが、各LEDの光軸方向の光放射強度が大きいため、被照明空間、特に装置直下から装置を見込んだ場合の輝度が高く、それによる不快グレア(眩しさ)が大きいといった課題があった。
【0005】
特許文献2では、特許文献1のリフレクタとは形状が異なるが照明効率を高めるリフレクタ配置構造で、かつ、そのリフレクタ面積が広く装置全体が明るく感じられるとしている。しかしながらやはり各々のLEDの正面方向には強い光が放たれており、装置を見込んだ際、特に各LED配置部分の輝度が強く、やはり不快グレア(眩しさ)が大きい、あるいは、LED光源の粒々の輝きが不快であるといった課題があった。
【0006】
本発明は、例えば、装置を見込んだ際の不快グレアを極力抑えながらも発光効率の良好な発光装置を提供することを目的とする。また、例えば、そのような低グレア発光装置で単一色LEDを用いるような場合に、色変換部材を用いて容易に光色の変更を可能にすることをも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の態様に係る発光装置は、
光を照射するLEDであって、光軸から所定の角度傾いた方向である非軸方向の光度が光軸方向の光度より大きいLEDと、
前記LEDの光軸方向に開口部が設けられた筒状のリフレクタであって、少なくとも前記LEDから前記LEDの非軸方向に照射される光を内側面で反射して当該開口部から出射するリフレクタとを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一の態様によれば、発光装置が、光軸から所定の角度傾いた方向である非軸方向の光度が光軸方向の光度より大きいLEDからLEDの非軸方向に照射される光を内側面で反射して開口部から出射するリフレクタを備えるため、不快グレアの発生を抑えつつ、装置の光利用効率や発光効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態1に係る発光装置の一構成例を示す図。
【図2】市販のサイドエミットLEDの配光特性を示す図。
【図3】従来装置の配光特性と実施の形態1に係る発光装置の配光特性とを比較した例を示す図。
【図4】実施の形態1の変形例に係る発光装置の構成例を示す図。
【図5】実施の形態2に係る発光装置の一構成例を示す図。
【図6】実施の形態3及びその変形例に係る発光装置の構成例を示す図。
【図7】実施の形態3に係る発光装置の色変換部材適用前後の発光スペクトルを示す図。
【図8】実施の形態4に係る発光装置の構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。なお、断面図では、便宜上、断面を表すためではなく部材を区別するためにハッチングを用いている。
【0011】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態に係る発光装置10の一構成例を示す図である。図1(a)は、図1(b)のB点線の位置でみた発光装置10(一部)の上断面図である。図1(b)は、図1(a)のA点線の位置でみた発光装置10(一部)の側断面図である。図1(c)は、図1(a)のC点線の位置でみた発光装置10の側断面図である。
【0012】
発光装置10は、基板11と、その上に実装されたサイドエミット型のLED12とを備える。LED12は、ライン状に複数実装されている。発光装置10は、LED12の周囲には光を上方に反射させる、望ましくは高反射率の反射面15を有するリフレクタ14を備えている。発光装置10は、基板11とリフレクタ14の間には、基板11の表面露出を避けつつリフレクタ14を取り付け可能なリフレクタ支持部13を備える。発光装置10は、さらには必要に応じて、LED12やリフレクタ14の表面の保護、また、例えば発光光の透過率制御を行うような透光性の表面カバー16を備えている。
【0013】
基板11は、ガラスエポキシや表面絶縁処理されたアルミ板材料の上にLED12の実装パタンと配線パタンを設けたような構成であり、LED12の投入電力が大きいものでは高放熱性あるいは高熱伝導性材料で構成する。
【0014】
図1(a),(b)は、発光装置10の例としてライン状に複数のLED12を配置した線状装置の一部を示したものであるが、例えばこの発光装置10を単数あるいは複数金属筐体に取り付け、あるいは、収納し照明器具として使用することができる。ここでは図示しないがLED12の自己発熱による温度上昇で発光効率の低下を招かないように、基板11の裏面を熱伝導性シートを介して金属筐体に密着させる等の構成をとる。
【0015】
ここでLED12は、サイドエミットと呼ばれる側方への相対的光放射量の大きいLEDでありその配光特性に特徴を有するものである。図2にそのような特性を有する既存LED製品(市販のサイドエミットLED)の配光特性(角度光放射分布特性)を示す。例えば図2(a)は、サンケン電気株式会社製のLEDであるSELT1WA13CMについて、LEDの放射中心を0度方向(LEDの真上方向)として、それより側方の放射角度でどれくらいの割合の光が放射されているかを示したものである。また、図2(b)は、Philips・Lumileds・Lighting社製のLEDであるLuxeon(登録商標)・Emitterについて、横軸の放射角度に対して縦軸に相対強度を示したものである。また、図2(c)は、OSRAM・Opto・Semiconductors社製のLEDであるLW・W5KMについて、図2(a)及び図2(b)の両形式のグラフで特性を示している。図2(a)〜(c)いずれの特性も側方放射比率が非常に大きいものである。これら例として挙げたLEDは外観形状は異なるものの全て光線制御レンズを有し、レンズ界面でのフレネル透過/反射則に従って光線方向が決定され、図2のようにLED中心方向では光の放射が抑えられ、LED側面方向でLED周囲全方向に対し側方放射成分の放射量が大きくなるように設計されたものである。
【0016】
図1(c)は、図1(a),(b)の発光装置10の1つのLED12の周辺部の構成を示したものであるが、上記のようなサイドエミット型のLEDを用いているため、LED12の中心光軸に沿って放射される光量よりも、LED12の側方に放射される光量が大きい。したがって、図1(c)の構成のようにLED12の周辺にリフレクタ14を備えることで、LED12からの放射光の大半が直接リフレクタ14の反射面15に入射し、その反射を受けて装置上面へ光が放射されることになる。
【0017】
一方、従来の発光装置では、できるだけ装置直上(発光面を上向きに置いた場合)の明るさを高めるため、LED中心光軸方向の放射量がLED側方の放射量より大きい拡散面発光型LEDや、それより照射角度を狭めたような砲弾型LEDを用いることが多かった。そのため、結果として特に装置直上の明るさが強く、かなり不快な眩しさ(グレア)が感じられる場合が少なくなかった。そのような従来装置の配光特性と本実施の形態の発光装置10の配光特性とを比較した例を示したのが図3である。図の見方は通常の光源ランプの標準配光データと同じであるが、横軸方向が水平方向(装置設置面方向)で縦軸方向が発光装置10の発光中心軸方向である。L1が従来装置の狭配光LEDや拡散配光LEDとリフレクタで得られる配光曲線、L2、L3が図1(c)のリフレクタ14の形状条件等により得られる2つの配光曲線例であるが、その相対形状としてはL1に比較して特に中心方向の強度を低く抑え、その分中心より側方への発光量を増やすような形とすることができる。例えばL2の配光では、光軸方向の光度が相対的に低く抑えられており、水平方向から角度θの方向に光度のピークがあるため、この方向の光を効率よく反射できるようにリフレクタ14の反射面15を設計することで、不快グレアの発生を抑えつつ、発光効率を高めることができる。また、例えばL3のような配光では、直上を中心とする広い照明領域で照度むらの少ない照明を得ることができる。
【0018】
このように、本実施の形態では、従来装置よりも装置中心軸方向の明るさを抑える効果があり、例えば照明装置として用いる場合には、装置中心方向を見込んだ場合の眩しさを低減する効果がある。一方でLED12から多く放たれる側方への光は、大半をリフレクタ14に照射させることができるため、それを効率よく反射的に発光光として活用することができ、発光効率の良好な装置を提供することができる。またリフレクタ14の反射面15の鏡面性、拡散性を問わずリフレクタ14の開口部17の面積を広くしていくことで、不快グレアを抑えた状態で照明領域を広げることができる。
【0019】
上記のように、本実施の形態において、発光装置10は、光を照射するLED12と、LED12の光軸方向に開口部17が設けられた筒状のリフレクタ14とを備える。LED12は、光軸から所定の角度(例えば、図3のL2の配光特性を持つのであれば、90°−θ)傾いた方向である非軸方向の光度が光軸方向の光度より大きいタイプのものである。リフレクタ14は、少なくともLED12からLED12の非軸方向に照射される光を反射面15(内側面)で反射して開口部17から出射する。これにより、不快グレアの発生を抑えつつ、装置の光利用効率や発光効率を高めることができる。本実施の形態では、発光装置10が、LED12ごとにリフレクタ14を備え、しかもリフレクタ14の底部の開口形状及びサイズをLED12の外周形状及びサイズと略同じ(LED12の外周よりはやや大きいことが望ましい)としているため、装置の光利用効率や発光効率がより一層高まる。
【0020】
本実施の形態において、発光装置10は、基板11上にリフレクタ支持部13を配置し、さらにその上部にリフレクタ14を取り付け可能な構成としている。ここでリフレクタ14を着脱可能な構成とすることもできる。予め様々な形態や表面状態のリフレクタ14を用意しておくことで、発光装置10を用いる空間の照明ニーズ(照度分布)に応じ、ビーム角(配光角)を調整することが可能であり、低グレアで照明領域あるいは配光特性が可変な照明装置を提供することができる。例えば、リフレクタ14の反射面15は必要な配光特性に依存するが、反射面15を鏡面又は拡散率の高い面とし、形状としては平坦面、放物面(パラボラ)等の湾曲面等で形成する。また、リフレクタ14の開口径の大きさ(開口部17の幅)で照明領域を調整することも可能である。さらに図1の例ではリフレクタ14の形状を円錐(反射面15を円錐面)としているが、表面開口形状(開口部17の形状)を正方形あるいは長方形とし、その基板11側に向かう反射面15の形状が湾曲面あるいは平面(角錐面)で構成されるような形であっても構わない。即ち、リフレクタ14の反射面15は、例えば、角錐面、円錐面、あるいは、放物面をなす。また後述するようにリフレクタ14を着脱可能な構成とすることで、予め色変換機能を有するリフレクタ14を装着することで、元々のLED12の光色をユーザニーズにより他の色に変更することもできる。また、図1の例では個々のLED12の周囲を囲むようなリフレクタ14の構成を採用しているが、複数のLED12を囲むようなリフレクタ14の構成を採用しても構わない。
【0021】
本実施の形態において、発光装置10は、例えばオフィス天井に設置するグリッド、スクエア、ベース、ライン照明器具、あるいは、ダウンライト器具等の筐体に組み込み低グレア照明装置として利用することができる。具体的な活用例としては、一般照明や演出照明等の照明器具のほか、美術館や医療用等の特殊照明、また、ショーケースや冷蔵庫等の機器の組み込み照明装置、広告灯等の背面照明装置といったものがある。このとき、照明装置は、発光装置10のLED12を点灯させる電源装置を備えるものとする。
【0022】
なお、図1中、発光装置10はライン状にLED12を配置した線状照明装置であるが、本実施の形態はその配列に限ったものではなくLED12が円環状等に配置されるような構成でも構わない。
【0023】
以上説明したように、本実施の形態では、発光装置10が、単数又は複数のサイドエミット放射機能を有するLED12(LEDパッケージ)を実装した基板11と、その基板11上の個々のLED12の周囲を囲むリフレクタ14とを備える。これにより、サイドエミット型のLED12の光軸方向の光を抑えるとともにリフレクタ14の照射効率を高めることができ、その結果、光源を見込んだ際の不快グレア(眩しさ)を抑制するとともに、広い空間を効率よく照らすことができる。
【0024】
図4は、本実施の形態の変形例に係る発光装置10の構成例を示す図である。図4(a)〜(c)は、いずれも図1(c)に対応する発光装置10の側断面図である。
【0025】
図4(a)の構成は、LED12の表面上で、かつ、それが有するLEDチップの光軸上の位置に半透光性、又は、少なくともLED12の発光面に対向する側が高反射性を有する光制御部材18を配置したものである。それはLED12の上面にそのような光材料を塗布する、あるいは、光制御シート部材を貼り付けたり、取り付けたりする等して実現することができる。そのような光制御部材18を設けることでLED12の発光中心軸方向の光をさらに低減させつつ、例えば高反射性部材とした場合には、一度LED12内に光を戻しその一部はLED12の側面方向から放射されるため、LED12からの側方放射量を高めることができる。その結果、発光装置10を見込んだ際、LED12の中心付近から直接発せられる光の強度を抑えることができ、LED12の配置箇所を見た際の不快グレアを低減することが可能である。さらに側方放射された光のほとんどはリフレクタ14の表面(反射面15)を照射し、リフレクタ14の反射面15で効率よく反射されるため、不快グレアを低減する効果を持ちながら発光効率のよい発光装置10を提供することができる。
【0026】
上記のように、図4(a)の例において、発光装置10は、LED12の表面のうち、LED12の光軸方向に位置する特定の領域を覆う光制御部材18を備える。光制御部材18は、LED12からLED12の光軸方向に照射される光の少なくとも一部を遮る(例えば、一部又は全部の光を反射又は吸収し、残りがあれば残りの光のみを透過する)。これにより、不快グレアの発生をより確実に抑えることができる。
【0027】
図4(b)の構成は、図1の構成の表面カバー16の裏面(LED12側の面)に、個々のLED12の発光中心軸上の位置に合わせ、LED12側に向かい光を鏡面反射する、あるいは、光を乱反射する機能を有し、半透過性又は非透光性を持つ光制御部材18を設けたものである。それは反射パタン(ドット)の印刷、反射材(反射塗料)の塗布、高反射シールの貼り付け、表面カバー16の裏面のブラスト処理、又は、凹凸加工により実現することができる。そのような光制御部材18を設けることでLED12の発光中心軸方向の光をさらに低減させることができ、その結果、発光装置10を見込んだ際、LED12の中心付近から直接発せられる光の強度を抑えることができ、LED12の配置箇所を見た際の不快グレアを低減することが可能である。
【0028】
上記のように、図4(b)の例において、発光装置10は、光を透過する表面カバー16(カバーの一例)を備える。表面カバー16は、リフレクタ14の開口部17を覆っている。表面カバー16において、LED12の光軸方向に位置する所定の領域には、LED12からLED12の光軸方向に照射される光の少なくとも一部を遮る(例えば、LED12に近い側の面が一部又は全部の光を反射又は吸収し、残りがあれば残りの光のみを透過する)光制御部材18が設けられている。そのため、上記所定の領域の透光率は、上記所定の領域以外の領域の透光率より低くなっている。これにより、不快グレアの発生をより確実に抑えることができる。なお、光制御部材18を設けるのではなく、例えば、上記所定の領域とそれ以外の領域とで表面カバー16の構成を変えることにより、上記所定の領域の透光率がそれ以外の領域の透光率より低くなるようにしてもよい。
【0029】
図4(c)の構成は、図1の構成の表面カバー16の裏面(LED12側の面)に、LED12の光軸上に中心が位置する逆円錐状の光制御部材18を設けたものである。ここでの光制御部材18は例えば鏡面、拡散性を問わず表面が高反射性を持つものであれば、LED12から中心方向に放射された光を表面反射により、リフレクタ14の反射面15の方向等に一旦反射することができるため、LED12の光軸方向へ直接放射される光の光度を低く抑えることが可能である。光制御部材18は、表面カバー16と一体成形されていてもよいし、表面カバー16とは別部品として用意したものでもよい。例えば光制御部材18は表面カバー16を表面加工(磨き、めっき、塗装、反射材料貼り付け)等して実現することができる。またそれとは別に、光制御部材18は表面を平坦に磨いた透明樹脂材料でも構わず、その場合にはスネルの法則により光の進行方向が決まるが、図4(c)で示した光線のようにLED12の中心方向から光制御部材18に浅い角度で進んだ光は、その斜面で反射され、表面カバー16やリフレクタ14の反射面15の方向に制御される。
【0030】
上記のように、図4(c)の例において、発光装置10は、図4(b)の例と同様に、表面カバー16(カバーの一例)を備える。この例では、表面カバー16の所定の領域に、円錐状の光制御部材18が設けられている。即ち、上記所定の領域は、頂点がLED12側を向く円錐状に形成され、円錐面が光を反射する。これにより、不快グレアの発生をより確実に抑えることができる。
【0031】
以上のように、本実施の形態の変形例では、LED12から光軸方向に照射される光を光制御部材18により、光軸より外側方向に制御することができ、その結果、光源中心を見込んだ際のグレアを低減させることができる。
【0032】
実施の形態2.
本実施の形態について、主に実施の形態1との差異を説明する。
【0033】
図5は、本実施の形態に係る発光装置10の一構成例を示す図である。図5は、図1(c)に対応する発光装置10の側断面図である。
【0034】
実施の形態1では、1つのリフレクタ14に対してLED12を1個のみ用いた構成を採用していたが、面積が小さい基板11で大光束が必要となる場合等には、図5に示すように1つのリフレクタ14に対してLED12が複数個配置される構成としても構わない。なお、図5は、図4(a)の構成を応用したものであるが、図1(c)や図4(b),(c)の構成、あるいは、後述する実施の形態の構成を応用してもよい。いずれの場合も、光制御部材18や後述する色変換部材は、1つのリフレクタ14に対してLED12を1個のみ用いた場合と同様に構成すればよい。
【0035】
実施の形態3.
本実施の形態について、主に実施の形態1との差異を説明する。
【0036】
図6(a)は、本実施の形態に係る発光装置10の一構成例を示す図である。図6(a)は、図1(c)に対応する発光装置10の側断面図である。
【0037】
実施の形態1のような不快グレアの少ない柔らかい光を発する発光装置10では、LED12の発光色が電気的に調整不可能な場合、基板11を、その光色変更を目的に異なる光色のLED12を実装した基板11と交換するのは電気工事も必要となり非常に手間を要する。一方、本実施の形態では、以下に述べる特徴的な色変換部材20を用いた構成により比較的容易に所望の発光色に変更することができる。
【0038】
本実施の形態では、リフレクタ14の高い反射率を有する反射面15の上に色変換部材20を具備した構成としている。色変換部材20は例えばサイドエミット型のLED12の光に励起発光する蛍光体を樹脂バインダに分散させたような材料をリフレクタ14の反射面15に塗布したり、蛍光体混合材料を用意しておき反射面15に貼り付けたりする等により構成する。例えばLED12がJIS(日本工業規格)の昼光色や昼白色であり(図中実線の光線)、それを低色温度の白色、温白色、電球色等に変換したい場合(図中の点線の光線)には、例えば窒化物赤色蛍光体等をシリコーン材料等に混合した材料で色変換部材20を構成する。また光色の調整はさらに例えばシリケート等の緑色蛍光体や橙色蛍光体等を混合させることで行うとよい。シリコーンはLED12の封止材料にも用いられる材料であり、透明性があり耐光性や耐熱性に優れ柔軟性がある材料である。一方、青色に発光するLED12を用いるような場合に、略白色を得たい場合には、例えば黄色発光シリケート蛍光体やYAG蛍光体材料といった黄色蛍光体が含まれる色変換材料で色変換部材20を構成すればよい。このように、LED12が照射する光の色は、JIS照明色のうち、昼光色、昼白色、白色、温白色、電球色のいずれであってもよいし、青色等、他の色であってもよい。
【0039】
以上のように、本実施の形態では、LED12の側面方向の放射成分が強いため、それが照射されるリフレクタ14の反射面15に色変換部材20を配置することで効率よく任意の光色に色変換できる。なお色変換材料をシート材料等として予め用意する場合は、例えば高反射フィルム材料の上に蛍光体混合材料を形成したものを作製しておき、それを装着するようにすれば、蛍光体混合材料中での光の利用効率を高めることができ、蛍光体の波長変換効率と、非光色変換光及び光色変換光の反射効率を高めることができ発光効率の高い発光装置10を提供することができる。
【0040】
光色がJIS照明4色(色温度が高いものから昼光色、昼白色、白色、温白色)の領域のLED12を用いることで、非色変換時にはある照明色で利用し、変換時には色変換部材20の調整により上記のそれぞれの色より低色温度の昼白色〜電球色のJIS照明色で発光する発光装置10を提供することができる。したがって、発光装置10は使用するシーンに合わせて色変換部材20の使用/不使用を選択し、また使用する場合には色変換部材20の種類を選定して(蛍光体種類や混合量を調整して)、所望の照明用光色にて一般照明として使用することができる。
【0041】
例えば図6(a)の構成を採用し、昼白色のLED12を用いた発光装置10において、色変換部材20を装着(適用)する前の発光スペクトルと、色変換部材20を装着して色変換(波長変換)を行った後の発光スペクトルとを図7に示す。この例において、色変換部材20は655nm(ナノメートル)付近にピークを持つ窒化物赤色蛍光体(CaAlSiN;Eu)を適量混合した材料である。色変換部材20の装着前は、色温度が約5000K(ケルビン)であり、即ち、発光色が昼白色である。一方、色変換部材20の装着後は、色温度が約4000Kに変化しており、即ち、発光色が白色に変換されている。
【0042】
また、LED12の光色を青色とする場合には、青色光に励起しそれと異なる色の光を発する蛍光体が多種存在するため、色変換部材20の調整により上記JIS照明4色を用いる場合よりも幅広い照明色に変換することができる。例えば演出照明用として彩度の高いカラフルな照明色や、一般照明用としてJIS照明色にも変更することが可能である。
【0043】
また、図6(a)の構成の発光装置10において予めリフレクタ14をリフレクタ支持部13から着脱可能なように構成しておくことで、所望の色変換を行う色変換部材20を装着したリフレクタ14をいくつか別途作製しておき、それを選択交換することで色変換可能となる。リフレクタ14とリフレクタ支持部13はネジ止め、引っ掛け、凸部と凹部による嵌合止め、リフレクタ14をリフレクタ支持部13にスライドする等の手法で着脱可能として固定する。このとき、リフレクタ14を取り外した際も基板11の上の電気端子に交換作業者の指先等が触れないようにリフレクタ支持部13の幅や高さを調整しておくことで、リフレクタ14の交換作業のみで光の色を変えることができるだけでなく、交換作業が安全になる。したがって、本実施の形態によれば、光源光色の変更が簡単な不快グレアが少ない照明装置を得ることができる。また色変換部材20を有しない例えば様々な形状のリフレクタ14との交換も簡単であるため、グレア抑制の効果を保ちながら必要に応じ配光の調整も行うことができる。
【0044】
上記のように、本実施の形態において、発光装置10は、光の色を変換する色変換部材20を備える。色変換部材20は、リフレクタ14の反射面15の少なくとも一部(特に、LED12から照射される光が直接到達する領域)を覆うようにリフレクタ14に着脱自在に取り付けられる。色変換部材20は、リフレクタ14と一体であってもよい。即ち、リフレクタ14が、反射面15の少なくとも一部(特に、LED12から照射される光が直接到達する領域)に、光の色を変換する色変換材料を含んでいてもよい。
【0045】
以上説明したように、本実施の形態では、リフレクタ14が着脱可能であり、発光装置10が、リフレクタ14の反射面15(内側面)に蛍光材料を含有する色変換部材20を備える。LED12の側面方向の放射成分が強いため、それが照射されるリフレクタ14の反射面15に色変換部材2を配置することで、LED12の発光色を効率よく所望の光色に変換することができる。
【0046】
図6(b)〜(e)は、本実施の形態の変形例に係る発光装置10の構成例を示す図である。図6(b),(d),(e)は、図6(a)に対応する発光装置10の側断面図である。図6(c)は、図6(b),(d)の構成における色変換部材20の斜視図である。
【0047】
図6(b)は、色変換部材20をリング状の部材とし、それをリフレクタ14の内側面(反射面15)に固定可能なように装着する構成例である。リング状の色変換部材20の輪の厚みや形状は必要な色合いや発光効率(特性)により調整すればよい。また色変換部材20の厚みは、リフレクタ14の底面からリフレクタ14の中間までの厚みとしているが、このように、LED12の配光特性に合わせる形でリフレクタ14の強く照射される領域だけに色変換材料を用いることが望ましい。図6(a)の構成でも同様であるが、本例のようにリフレクタ14の照射される光の強度が大きい領域にのみ色変換部材20を配置することで色変換材料の使用量を少なくすることができ、その結果、色変換部材20や発光装置10を安価にすることができる。なお、リフレクタ14の反射面15の全面に色変換部材20を設けても色変換機能に大きな支障が出るわけではない。
【0048】
上記のように、例えばリフレクタ14がリング状であれば、その寸法に合わせたリング状の色変換部材20のみを嵌合かつ着脱可能とすることでも任意の光色への色変換を行うことができる。また、図6(c)に示したようにLED12の放射量の少ないLED12の光軸付近の領域を開口部21とするような構成を採用すれば、色変換部材20の使用材料(特に蛍光体)を少なくすることができ、より安価な発光装置10を提供することができる。
【0049】
図6(d)は、図6(b)の構成に、さらに、図4(c)の構成と同様の光制御部材18を追加した例である。即ち、本例では、図6(b)の構成の表面カバー16の裏面(LED12側の面)に、LED12の光軸上に中心が位置する逆円錐状の光制御部材18が設けられている。
【0050】
図6(e)は、表面カバー16の裏面に、図4(c)の構成と同様の光制御部材18を設けるとともに、表面カバー16の裏面の光制御部材18を除く領域に色変換部材20を設けた構成例である。この場合は、色変換部材20や光制御部材18が装着され、あるいは、一体となった表面カバー16を予め用意しておくことで、表面カバー16のみを着脱させて簡単に所望の光色に変換できる低グレアの発光装置10を提供することができる。
【0051】
実施の形態4.
本実施の形態について、主に実施の形態3との差異を説明する。
【0052】
図8は、本実施の形態に係る発光装置10の一構成例を示す図である。図8(a)は、図6(a)に対応する発光装置10の側断面図である。図8(b)は、LED12及び色変換部材20の斜視図である。
【0053】
ここでは色変換部材20をシート部材とし、リフレクタ14を上部14aと下部14bとに2分割してその間に色変換部材20を配置した構成を採用している。ここではLED12の発光面位置にシート状の色変換部材20を配置した例を示している。このような配置によってもやはりシート状の色変換部材20に入射する光があるため色変換が可能になる。図8(b)は、そのようなシート状の色変換部材20の構成例を示しており、例えばLED12の上方の放射量が側方放射量に比較し低いため、シート中心部22の蛍光体混合比は周囲(色変換部材20のシート中心部22以外の部分)に比べ低くしている。このような構成によりシート状の色変換部材20でもある程度、変換された色の色度分布をなだらかに(色むらを少なく)することが可能である。
【0054】
上記のように、本実施の形態において、リフレクタ14は、上部14aと下部14bとに分割可能に構成されている。そして、リフレクタ14の上部14aと下部14bとの間には、光の色を変換するシート状の色変換部材20が着脱自在に取り付けられる。このように、着脱可能な色変換部材20をリフレクタ14の上部14aと下部14bとで挟み込んで使用するような構成でも容易に色変更を実現することができる。
【0055】
また、上記のように、本実施の形態では、色変換部材20において、LED12の光軸方向に位置する特定の領域(シート中心部22)の蛍光体含有率が当該特定の領域以外の領域の蛍光体含有率より少なくなっている。このように、LED12の放射量の少ないLED12の光軸付近の領域では蛍光体混合比率を小さくするような構成を採用すれば、色変換部材20の使用材料(特に蛍光体)を少なくすることができ、より安価な発光装置10を提供することができる。
【0056】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、これらのうち、2つ以上の実施の形態を組み合わせて実施しても構わない。あるいは、これらのうち、1つの実施の形態を部分的に実施しても構わない。あるいは、これらのうち、2つ以上の実施の形態を部分的に組み合わせて実施しても構わない。
【符号の説明】
【0057】
10 発光装置、11 基板、12 LED、13 リフレクタ支持部、14 リフレクタ、14a 上部、14b 下部、15 反射面、16 表面カバー、17 開口部、18 光制御部材、20 色変換部材、21 開口部、22 シート中心部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を照射するLED(発光ダイオード)であって、光軸から所定の角度傾いた方向である非軸方向の光度が光軸方向の光度より大きいLEDと、
前記LEDの光軸方向に開口部が設けられた筒状のリフレクタであって、少なくとも前記LEDから前記LEDの非軸方向に照射される光を内側面で反射して当該開口部から出射するリフレクタと
を備えることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記発光装置は、前記LEDを複数備えるとともに、前記リフレクタをLEDごとに備えることを特徴とする請求項1の発光装置。
【請求項3】
前記発光装置は、さらに、前記LEDの表面のうち、前記LEDの光軸方向に位置する特定の領域を覆い、前記LEDから前記LEDの光軸方向に照射される光の少なくとも一部を遮る光制御部材を備えることを特徴とする請求項1又は2の発光装置。
【請求項4】
前記発光装置は、さらに、光を透過するカバーであって、前記リフレクタの開口部を覆い、前記LEDの光軸方向に位置する所定の領域の透光率が当該所定の領域以外の領域の透光率より低いカバーを備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかの発光装置。
【請求項5】
前記カバーの所定の領域は、前記LEDに近い側の面が光を反射することを特徴とする請求項4の発光装置。
【請求項6】
前記カバーの所定の領域は、頂点が前記LED側を向く円錐状に形成され、円錐面が光を反射することを特徴とする請求項5の発光装置。
【請求項7】
前記カバーの所定の領域以外の領域は、光の色を変換する色変換材料を含むことを特徴とする請求項4から6のいずれかの発光装置。
【請求項8】
前記リフレクタは、内側面の少なくとも一部に、光の色を変換する色変換材料を含むことを特徴とする請求項1から7のいずれかの発光装置。
【請求項9】
前記発光装置は、さらに、光の色を変換する色変換部材であって、前記リフレクタの内側面の少なくとも一部を覆うように前記リフレクタに着脱自在に取り付けられる色変換部材を備えることを特徴とする請求項1から8のいずれかの発光装置。
【請求項10】
前記リフレクタは、上部と下部とに分割可能に構成され、
前記発光装置は、さらに、光の色を変換するシート状の色変換部材であって、前記リフレクタの上部と下部との間に着脱自在に取り付けられる色変換部材を備えることを特徴とする請求項1から8のいずれかの発光装置。
【請求項11】
前記色変換部材は、光の色を変換するための蛍光体を含み、前記LEDの光軸方向に位置する特定の領域の蛍光体含有率が当該特定の領域以外の領域の蛍光体含有率より少ないことを特徴とする請求項10の発光装置。
【請求項12】
前記発光装置は、さらに、前記LEDが実装される基板と、前記基板に取り付けられ、前記リフレクタを着脱自在に支持するリフレクタ支持部とを備えることを特徴とする請求項1から11のいずれかの発光装置。
【請求項13】
前記リフレクタの内側面は、角錐面、円錐面、放物面のいずれかをなすことを特徴とする請求項1から12のいずれかの発光装置。
【請求項14】
前記LEDは、JIS(日本工業規格)照明色のうち、昼光色、昼白色、白色、温白色、電球色のいずれかの光を照射することを特徴とする請求項1から13のいずれかの発光装置。
【請求項15】
前記LEDは、青色の光を照射し、
前記色変換部材は、黄色蛍光体を含むことを特徴とする請求項9から11のいずれかの発光装置。
【請求項16】
請求項1から15のいずれかの発光装置と、
前記発光装置のLEDを点灯させる電源装置と
を備えることを特徴とする照明装置。

【図1】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2012−59988(P2012−59988A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−202878(P2010−202878)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(390014546)三菱電機照明株式会社 (585)
【Fターム(参考)】