説明

発光装置

【課題】高輝度発光ダイオードの封止材としてシリコーン樹脂を使用しても発光素子の劣化を防ぎ、色調のばらつきが少なく高信頼性を有し、色再現性、耐光性、耐熱性、耐久性に優れ、高い生産効率で製造でき、発光素子から発光素子から光漏れすることなく所望方向へのみ光を出射する発光装置を提供する。
【解決手段】発光装置1は、基板18上で実装された発光素子15を取り巻いて該基板18上に密着しつつ照射方向へ末広がりに開口している中空形状であってその内壁21が該開口に沿って切欠き22を有した非透光性のパッケージ成形体20と、無機の蛍光体を含有するシリコーン板11及びガラス板10が重ねられた透光板とを備えており、該透光板13が、該切欠き22内に嵌め込まれてそのパッケージ成形体内を封止しつつ、該発光素子15からの光を透過させるというものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具や液晶ディスプレイのバックライトの光源に用いられる発光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
照明器具、信号機、液晶ディスプレイのバックライトなど様々な発光装置の光源として、発光ダイオード(LED)のような発光素子が用いられている。このような発光ダイオード、特に高輝度発光ダイオードは、白熱電球、ハロゲンランプ、水銀灯、蛍光灯などの白色系照明装置よりも、明るくて消費電力が少なく寿命が長いため、汎用されている。
【0003】
従来の発光装置は、プリント基板上に実装されている発光ダイオードを取り巻いて出射方向で末広がりに開口している中空形状のパッケージ成形体が基板上に密着しており、そのパッケージ成形体の中空に、蛍光体を封止材料に分散させた封止材が充填されているという数mm〜数cmの小型のものである。この中空で、比重の異なる封止材料と蛍光体とを均一化させることは難しいうえ大量生産されるため、発光装置の色調のばらつきが生じる。数百万個に僅か数個の低率ですら色調のばらつきを生じずに、より効率的に大量生産できる、品質精度の高い発光装置が求められている。
【0004】
また、封止材料として、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂が用いられてきたが、発光ダイオードの高出力化に伴い、高輝度発光ダイオードの発する120〜180℃の熱によりエポキシ樹脂は変色してしまうため、シリコーン樹脂が広く汎用されるようになった。しかし、シリコーン樹脂は、ガスバリア性に乏しく、湿気や酸素、硫化水素、NOやSOなどの腐食性ガスを透過させてしまう。このように外気を透過させてしまうことで、発光ダイオードや配線や反射面の劣化及び腐食を生じ、反射率が低下したり、発光装置の使用寿命が低下したりしてしまう。
【0005】
特許文献1に、有機系蛍光体を透明性材料で形成された容器内に気密封止した蓋体で発光体を封止している発光装置が開示されている。有機系蛍光体を気密封止することで、有機系蛍光体の劣化を防ぎ、有機系蛍光体の塗布量及び位置を制御できることにより、色調のばらつきの少ない発光装置を得ることができるが、透明性材料である蓋体からの光漏れによりその効果が低下してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−317787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、高輝度発光ダイオードの封止材としてシリコーン樹脂を使用しても発光素子が劣化せず、色調のばらつきが少なく高信頼性を有し、色再現性、耐光性、耐熱性、耐久性に優れ、高い生産効率で製造でき、発光素子から光漏れすることなく所望方向へのみ光を出射する発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するためになされた特許請求の範囲の請求項1に記載の発光装置は、基板上で実装された発光素子を取り巻いて該基板上に密着しつつ照射方向へ末広がりに開口している中空形状であってその内壁が該開口に沿って切欠きを有した非透光性のパッケージ成形体と、無機の蛍光体を含有するシリコーン板及びガラス板が重ねられた透光板とを備えており、該透光板が、該切欠き内に嵌め込まれてそのパッケージ成形体内を封止しつつ、該発光素子からの光を透過させることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発光装置は、請求項1に記載されたものであって、前記蛍光体含有シリコーン板と前記ガラス板とが、接着され、密着され、又は隙間を空けられて、前記重ねられていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載された発光装置は、請求項1に記載されたものであって、前記パッケージ成形体内が、シリコーン樹脂又は不活性ガスで充填されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載された発光装置は、請求項1に記載されたものであって、前記パッケージ成形体内が、真空になっていることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載された発光装置は、請求項1に記載されたものであって、前記蛍光体が、Yb、Ce、Eu、Tb及びSmから選ばれる少なくとも1種の希土類元素を含有する無機酸化物蛍光体、及び/又は、II〜VI族化合物半導体であることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載された発光装置は、請求項1に記載されたものであって、前記切欠きが階段状であり、同一又は異なる大きさの前記蛍光体含有シリコーン板と前記ガラス板との前記透光板が嵌め込まれていることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載された発光装置は、請求項1に記載されたものであって、前記蛍光体含有シリコーン板が、前記ガラス板よりも出射方向側に在ることを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載された発光装置は、請求項7に記載されたものであって、前記蛍光体含有シリコーン板が、JIS−K6253に準拠したタイプA硬度計により測定される硬度で、A10〜A90であるシリコーンゴム、又は、JIS−K6253に準拠したタイプD硬度計により測定される硬度で、D10〜D80としたシリコーン樹脂で形成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載された発光装置は、請求項7又は8に記載されたものであって、前記蛍光体含有シリコーン板の露出面が、マイクロメートルオーダーの凹凸を付されて粗らされていることを特徴とする。
【0017】
請求項10に記載された発光装置は、請求項1に記載されたものであって、前記蛍光体含有シリコーン板の露出面が、平滑処理されていることを特徴とする。
【0018】
請求項11に記載された発光装置は、請求項1に記載されたものであって、前記透光板が、光学レンズで覆われていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の発光装置は、ガラス板により発光素子を密閉しており、気密性を維持できるので、外気による発光素子の劣化を防ぎ、およそ4万時間とされる発光ダイオードの使用寿命を、大幅に向上させることができる。
【0020】
この発光装置は、蛍光体の含有量が均一化されているため、大量生産であっても色調のばらつきを減少させることができる。
【0021】
また、発光装置は、透光板がパッケージ成形体の切欠き内に嵌め込まれているため、透光板の側面からの光漏れが無く、発光素子から所望方向へ所期の光量を確保して光を照射することができる。発光装置は、発光素子から透光板を透過するまでの光量を一定にすることができるため、色調のばらつきを減少させ、優れた色再現性を発現することができる。
【0022】
この発光装置によれば、透光板の最外を、露出面にマイクロメートルオーダーの凹凸が付されて粗らされている蛍光体含有シリコーン板、又はガラス板にすることで、シリコーンの粘着性や帯電性に起因する生産工程におけるそれの持ち帰り現象を解消し、生産効率を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明を適用する発光装置の模式断面図である。
【図2】本発明を適用する別の発光装置の模式部分断面図である。
【図3】本発明を適用する別の発光装置の模式部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの形態に限定されるものではない。
【0025】
本発明の発光装置の好ましい一形態について、図1を参照しながら、詳細に説明する。
【0026】
発光装置1は、図1に示す通り、基板18上に実装されている発光素子15と、その発光素子15を取り巻くセラミックス製のパッケージ成形体20と、そのパッケージ成形体20を覆う透光板13とを有している。
【0027】
基板18上に発光素子15である発光ダイオードが付されており、その発光ダイオード15の実装面側の基板上にリードパターン17a・17bが付されて、電源(不図示)へ接続されている。発光ダイオード15から伸びた2本のワイヤ16a・16bが、そのリードパターン17aとリードパターン17bとにそれぞれ接続され、回路を形成している。
【0028】
パッケージ成形体20は、その発光ダイオード15を取巻きつつ照射方向へ向かって末広がりに開口しており、中空形状である。また、その擂鉢状の中空の内壁21の開口部分において、その開口に沿った階段状の切欠き22を有する。そのパッケージ成形体20が、リードパターン17a・17bの付された基板18に、接着剤層(不図示)を介して一体に接着されている。
【0029】
透光板13は、蛍光体12を含有するシリコーン板11がガラス板10よりも出射方向側にあって、蛍光体含有シリコーン板11とガラス板10とが重なり合い、接着され形成されている。蛍光体含有シリコーン板11は、シリコーン原材料に無機の蛍光体12が均一に含有されているものである。この蛍光体含有シリコーン板11は、白色の発光ダイオード15を用いた発光装置1にカラーバリエーションをもたらし、明るさをコントロールしている。ガラス板10よりも出射方向側に在る蛍光体含有シリコーン板11の露出面は、1〜1000μmの凹凸が付されて粗らされていると好ましい。また、ガラス板10は、ガスバリア性が高く、外気、特にそれの酸素や湿気のような腐食を誘発するガスを遮断しているので発光ダイオード15の劣化を防止している。
【0030】
これらの透光板13は、基板18上の発光ダイオード15の照射先にあって、パッケージ成形体20の切欠き22内に隙間無く嵌め込まれている。透光板13の側面14は、切欠き22に密着して接着されているため、発光ダイオード15から出射される光は、所望方向へのみ出射され、その側面14から光漏れすることがない。また、透光板13の側面14が切欠き22に接着されているため、パッケージ成形体20の中空を密閉しており、発光ダイオード15を気密にして外気から保護することができる。
【0031】
リードパターン17a・17bの酸化や硫化等による光取り出し効率の低下を防止することを目的として、この中空は、不活性ガスが充填されていてもよく、また真空状態にされていてもよい。これにより、外気の酸素等を排除できる。不活性ガスとして、窒素ガス、アルゴンガスが挙げられる。高純度の不活性ガスを用いることにより、真空状態と比較して簡易に外気の酸素等を一層排除でき、発光装置の品質を安定にすることができる。
【0032】
また、この中空とする代わりに、シリコーン樹脂が封止材25として充填されていてもよい。シリコーン樹脂のように気体よりも屈折率の高い物質で封止し、透光板13と密着または接着させると、界面の表面反射ロスが低減され取り出し効率を上げることができる。しかも、外気の酸素の浸透や湿気の浸潤をより一層、排除できる。
【0033】
この透光板13が、凸レンズ、凹レンズ、フレネルレンズのような光学レンズ26で、覆われていてもよい。また、その透光板13に、光の照射方向を制御する白色の拡散板を重ね合わせてもよい(不図示)。透光板13が、光学レンズで覆われていたり、拡散板を重ね合わせていたりしている場合、蛍光体含有シリコーン板11の露出面は、平滑処理され、鏡面であると好ましい。
【0034】
発光装置1は、以下のようにして製造される。
【0035】
厚さ10〜500μmのガラス板上に蛍光体12を分散させたシリコーン原材料をマイクロコーターでコーティングし、加熱して硬化してガラス板10の上に蛍光体含有シリコーン板11を形成する。これにレーザーを照射して蛍光体含有シリコーン板11をエッチングして、一定形状にダイシングし、透光板13を一体形成する。
【0036】
発光ダイオード15の実装面側の基板18上に、リードパターン17a・17bを形成し、発光ダイオード15から伸びたワイヤ16a・16bとそのリードパターン17a・17bとを接合して、回路を形成する。この発光ダイオード15の実装面側の基板18上に、中空形状であるパッケージ成形体20の、切欠きを有する開口部を上向きにして、接着剤で接着する。このように成形されたパッケージ成形体20の中空にシリコーン樹脂である封止材25を充填する。パッケージ成形体20の中空の内壁にある開口に沿った切欠き22内に、透光板13の側面14が密着するように嵌め込み、切欠き22とその側面14とを接着剤で接着する。接着剤で、強固に接着することで、中空を密閉し、発光装置1が得られる。
【0037】
透光板13のコーティング法は、ポッティング法や蒸着法を用いてもよい。また、それらの一体成形は、ガラス板10と蛍光体12を分散させたシリコーン原材料とを、金型に充填させて、成形してもよい。シリコーン特有の優れた転写性により、金型通りに正確に任意の表面状態に転写することができる。内表面にマイクロメートルオーダーの凹凸が付された金型を用いることで、マイクロメートルオーダーの凹凸が精密に転写される。マイクロメートルオーダーの凹凸は、表面粗さRaが0.5μm〜10μm、表面粗さRyが3μm〜50μmであると好ましい。
【0038】
この透光板13をパッケージ成形体20の切欠き22に嵌め込む実装機において、シリコーン特有の粘着性により、実装機の減圧しているマウントノズルに吸引された透光板13が所定の位置でその吸引状態を解除されないことにより生じる持ち帰り現象を、回避することができる。このため、このシリコーンの粘着性及び帯電による生産性の低下が解決される。さらに、この組み立てられた発光装置1を回路基板へマウントし使用する場合においても、マウントノズルへの付着を防止し、マウントノズルからの持ち帰り現象を防止できることから、回路基板への実装マウント工程の高速化に対応でき生産性を上げることができる。
【0039】
また、透光板13は、シリコーン原材料が付加反応性で、無溶媒下で加熱硬化するため、蛍光体12を分散させたシリコーン原材料を、型を用いて、インサート成形、コンプレッション成形、射出成形、トランスファー成形、液状シリコーンゴム射出成形(LIMS)、押し出し成形、カレンダー成形のような方法で成形し、その成形物をガラス板10に、密着、又は接着剤やシリコーンゴム接着体により接着させて、形成してもよい。成形工程により高精度に厚みを制御でき、蛍光体の沈降を防止する非流動性の材料を使用することができることから、蛍光体12を容易に均一化させることができ、色調のばらつきを減少させることができる。
【0040】
透光板13とパッケージ成形体20との接着方法として、接着剤を用いた例を示したが、ガラス溶着、低融点ガラスによるシール、およそ300℃の高温での超音波溶着、シリコーンゴム接着体で接着することが挙げられる。
【0041】
発光装置1は、以下のようにして使用される。
【0042】
この発光ダイオード15に、リードパターン17a及びワイヤ16aと、リードパターン17b及びワイヤ16bとにより印加すると、発光ダイオード15は発光する。発光した光の一部は、封止材25とガラス板10とを透過して蛍光体含有シリコーン板11に至り、そこで異なる波長に変換され所定の色調の光となり、透光板13から外界へ出射する。また、封止材25を透過して、パッケージ成形体20の内壁21にコーティングされた反射材により、反射して進行方向を変え、ガラス板10を経て蛍光体含有シリコーン板11に至り、そこで異なる波長に変換され所定の色調の光となり、透光板13から外界へ出射する。
【0043】
別な発光装置の一形態は、図2に示されるように、ガラス板10が蛍光体含有シリコーン板11よりも出射方向側にあり、ガラス板10と蛍光体含有シリコーン板11とが、隙間を空けて重ねられているというものである。パッケージ成形体20の内壁21における、パッケージ成形体20の開口に沿った階段状の切欠き22a内に、ガラス板10が嵌め込まれ、また、大輪の切欠き22aより発光ダイオード側でパッケージ成形体20の開口に沿った階段状で小輪の切欠き22b内に、ガラス板10より小さい蛍光体含有シリコーン板11が嵌め込まれて、形成されている。ガラス板10が、切欠き22aに接着してパッケージ成形体20の中空を密閉していればよく、蛍光体含有シリコーン板11が切欠き22bに接着されてその中空を密閉していなくてもよい。
【0044】
さらに別な発光装置の一形態は、図3に示されるように、パッケージ成形体20の内壁21において、パッケージ成形体20の開口に沿ってパッケージ成形体20の内側に窪んだ形状の切欠き22に、透光板13が嵌め込まれ、埋め込まれて形成されているというものである。透光板13のガラス板10がその切欠き22に接着されて、パッケージ成形体20の発光ダイオード側の中空を密閉していればよく、蛍光体含有シリコーン板11は切欠き22に接着されていなくてもよい。また、ガラス板10よりも蛍光体含有シリコーン板11が出射方向側にあってもよい。
【0045】
図3を形成する方法として、例えば、図3に示される切欠き22の形状を有する縦割のパッケージ成形体20を成形し、その切欠き22に透光板13が嵌め込まれ、埋め込まれるように、透光板13を両側面から縦半分のパッケージ成形体20で挟み込み、それらを接着することで発光装置1が形成される。
【0046】
透光板13は、ガラス板10と蛍光体含有シリコーン板11との2層化構造での例を示したが、蛍光体含有シリコーン板11をガラス板10で挟み込む3層化構造であってもよい。これらの板は、それぞれ、密着して重ねられていてもよく、接着して重ねられていてもよく、隙間を空けて重ねられていてもよい。
【0047】
透光板13は、ガラス板10と蛍光体含有シリコーン板11との2層構造の場合、最外部が蛍光体含有シリコーン板11であると、金型からの転写により簡易に表面に微細加工が可能である。また、切欠き22に接着させる場合、より気密性を高めた接着が可能である。また、最外部がガラス板10とした場合、マウントする際にマウントノズルからの持ち帰り現象を簡易かつ確実に低減できるとともに、マウントノズルが触れた際に生じ得る蛍光体含有シリコーン板11のキズ、欠けを、防止することができる。
【0048】
また、シリコーン樹脂が封止材25として充填されている場合に、封止材25はガラス板10で密閉されていることにより、封止材25のシリコーン樹脂への異物や異成分の吸着による透過率低下を防止することができ、さらには、封止材25に含有する低分子のオリゴマーが発光装置の外部に拡散することを防止することができる。
【0049】
また、蛍光体含有シリコーン板11をガラス板10で挟み込む3層化構造の場合、酸化、加水分解する蛍光体もガラス板10で挟み込むことにより、蛍光体の劣化を防止することができ、さらには、蛍光体含有シリコーン板11の基材であるシリコーン樹脂への異物や異成分の吸着による透過率低下を防止することができる。
【0050】
透光板13は、ガラス板10と蛍光体含有シリコーン板11とが接着されて形成されている場合、その厚さが0.05mm〜0.90mmであり、その全光線透過率が、30%以上であると好ましい。
【0051】
ガラス板10は、全光線を透過することができるガラスで形成されていればよいが、中でも低融点ガラスや石英ガラスで形成されていると好ましい。ガラス板10の厚さは、30μm〜200μmであると好ましい。
【0052】
ガラス板10の表面は、梨地処理、プライマー処理、プラズマ処理、コロナ放電処理、誘電体バリア放電処理、グロー放電処理、火炎処理、紫外線(UV)照射処理の何れかで処理されていてもよい。
【0053】
蛍光体含有シリコーン板11は、硬質のシリコーン樹脂であってもよく、軟質のシリコーンゴムであってもよい。軟質のシリコーンゴムである蛍光体含有シリコーン板11に対して、ガラス板10が支持体となる。蛍光体含有シリコーン板11の厚さは、30μm〜500μmであると好ましい。
【0054】
蛍光体含有シリコーン板11が透光板13の最外である場合、その硬度が、JIS−K6253に準拠したタイプA硬度計により測定される硬度でA10〜A90であるシリコーンゴム、又は、JIS−K6253に準拠したタイプD硬度計により測定される硬度でD10〜D80であるシリコーン樹脂で形成されていると好ましい。
【0055】
蛍光体含有シリコーン板11の表面は、マイクロレンズ、放電加工、微細形状加工、サンドブラスト、ビーズブラスト、ヘアラインで処理されている型を用いて転写した表面形状であってもよい。
【0056】
蛍光体含有シリコーン板11を形成する原材料のシリコーンは、硬質のシリコーン樹脂であってもよく、軟質のシリコーンゴムであってもよく、シリコーン製であれば特に限定されない。
【0057】
このようなシリコーンとして、ポリ(ジメチルシロキサン)のようなポリ(ジアルキルシロキサン)や、ポリ(ジフェニルシロキサン)のようなポリ(ジアリールシロキサン)で例示されるポリシロキサン化合物であってもよい。
【0058】
また、このようなシリコーンは、三次元架橋するシリコーンであってもよい。この三次元架橋するポリシロキサン化合物は、その途中のSi基が、アルキルオキシシリル基やジアルキルオキシシリル基、ビニルシリル基やジビニルシリル基、ヒドロシリル基やジヒドロシリル基であったり、それらの基が複数存在したりすることにより、網目状に三次元的に架橋するというものである。シロキサン化合物同士や、シロキサン化合物とシランカップリング剤とは、夫々のアルキルオキシシリル基又はジアルキルオキシシリル基同士が脱アルコール化反応により縮合して架橋したり、ビニルシリル基やジビニルシリル基とヒドロシリル基やジヒドロシリル基とが白金錯体等の白金触媒存在下で、無溶媒中、加熱や光照射によって付加して架橋したりする。シロキサン化合物はその中でも、付加して架橋するポリシロキサン化合物が好ましい。ジフェニルシロキシ基(-Si(C)-O-)やジメチルシロキシ基(-Si(CH)-O-)のような繰り返し単位を有するシロキサン化合物であってもよい。シロキサン化合物は、ジメチルシロキシ基の繰り返し単位を有し、アルキルオキシシリル基、ジアルキルオキシシリル基、ビニルシリル基、ジビニルシリル基、ヒドロシリル基、ジヒドロシリル基を有しているポリシロキサン化合物であると、一層好ましい。
【0059】
蛍光体含有シリコーン板11に含まれる蛍光体12の含有量は、5〜50質量%であると好ましい。
【0060】
蛍光体12は、無機物からなる蛍光体であって、発光ダイオードが発した光の波長を変換して別な色調の光にして出射させるものである。このような無機蛍光体は有機蛍光体よりも光、特に高輝度光に対して高安定性で、長寿命である。
【0061】
無機の赤色発光蛍光体として、
下記組成式(1)
Li(1−y)EuSm ・・・(1)
(式(1)中、MはNa,K,Rb及びCsから選ばれる少なくとも1種類、MはYを含みEu及びSmを除く希土類元素から選ばれる少なくとも1種類、MはMo及びWから選ばれる少なくとも1種類、aは0.4≦a≦1の数、bは0.8≦b≦1の数、cは0≦c≦0.2の数、dは0≦d≦0.2の数、b+c+d=1である。)、
下記組成式(2)
Li(1−e)EuW ・・・(2)
(式(2)中、MはNa,K,Rb及びCsから選ばれる少なくとも1種類、eは0.7≦e<1の数である。)例えばLiEuW
下記組成式(3)
Eu(1−f) ・・・(3)
(式(3)中、MはLi、Na、K、Rb及びCsから選ばれる少なくとも1種類、MはYを含む希土類元素(Euを除く)から選ばれる少なくとも1種類、MはW及びMoから選ばれる少なくとも1種類、fは0<f≦1の数である。)
下記組成式(4)
0.5Eu(1−g)10 ・・・(4)
(式(4)中、MはMg、Ca、Sr及びBaから選ばれる少なくとも1種類、MはYを含む希土類元素(Euを除く)から選ばれる少なくとも1種類、M10はW及びMoから選ばれる少なくとも1種類、gは0<g≦1の数である。)例えばCa0.5EuW28
22S:Eu、
La22S:Eu、
3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mnが挙げられる。
【0062】
無機の青色発光蛍光体として、
BaMg2Al1627:Eu、
(Sr,Ca,Ba)5(PO43Cl:Eu
が挙げられる。
【0063】
無機の緑色発光蛍光体として、
BaMg2Al1627:Eu,Mn、
Zn2GeO4:Mn、
ZnS:Cu,Al、
下記組成式(5)
LiTb11(1−h) ・・・(5)
(式(5)中、M11はYを含む希土類元素(Tbを除く)から選ばれる少なくとも1種類、好ましくはY又はDy、hは0.8≦h≦1の数である。)が挙げられる。
【0064】
無機の黄色発光蛍光体として、
CdZnS、
ZnSSeにドナーとアクセプター不純物を添加したII-VI族混晶蛍光体、
下記組成式(6)
3−iGdl512:Ce ・・・(6)
(式(6)中、iは0≦i≦3の数である)のようなYAG:Ceで例示されるYAG系蛍光体が挙げられる。
【0065】
他にも蛍光体は用途に応じて適宜使用できる。例えばCaAlSiNのような窒化物系蛍光体、Ca−α−SiAlON:Eu,β−SiAlON:Euのような酸窒化物系蛍光体、BAM(バリウムアルミン酸マグネシウム類),BOS(バリウム オルト シリケート類)のようなシリケート系蛍光体で、CaS:Eu、SrS:Eu、BaS:Euのような硫化物系蛍光体など様々な蛍光体を適宜使用できる。
【0066】
蛍光体含有シリコーン板11は、蛍光体12として、有機顔料及び無機顔料を組み合わせていてもよい。
【0067】
有機顔料及び無機顔料としては、フタロシアニン系、アゾ系、イソインドリノン系、キナクリドン系、アントラキノン系、ジケトピロロピロール系の顔料、レーキ顔料などの有機顔料、コバルトブルー、群青、酸化鉄などの無機顔料、プラスチックの粉末を蛍光性のある染料で着色した蛍光顔料のような擬似顔料が挙げられる。より具体的には、黄色顔料として、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマンネントイエローNCG、タートラジンレーキ;橙色顔料として、赤口黄鉛、モリブテンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGK;赤色顔料として、縮合アゾ顔料、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B;紫色顔料として、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ;青色顔料として、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBC;緑色顔料として、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファナルイエローグリーンG;白色顔料として、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイトが挙げられる。これらの顔料を1種類で用いてもよく、また複数組み合わせて用いてもよい。その使用量が多すぎても少なすぎても十分な発光強度が得られないため、適当量分散させることが好ましい。
【0068】
なお、発光素子15は、特に限定されず、市販のものであってもよい。発光素子15を、色度、光度、出力、光束、順方向電圧、波長選別のいずれか1つ以上の項目で選別、分類しその特性に合わせて、蛍光体含有シリコーン板11を、顔料、蛍光体の濃度、種類を選定、配合して作成し、組み込むことにより、目的にあった安定した発光光源を、無駄なく効率的に作製することができる。
【0069】
パッケージ成形体20は、発光ダイオード15が発する熱や光線による変色を低減し、光線反射率を維持するために、アルミナやガラスであるセラミックス、又は耐熱性樹脂で成形されている。耐熱性樹脂は、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、エポキシ樹脂、ポリフタルアミド樹脂、液晶ポリマーが挙げられる。これらの中でもセラミックス、フッ素樹脂、シリコーン樹脂で形成されていると好ましい。
【0070】
パッケージ成形体20の内壁21は、金属蒸着メッキで反射コーティングが施されているか、白色の反射剤を含有して成形されていると好ましい。さらに、シリコーン樹脂やシリコーンゴムが用いられている場合、その内壁に透湿防止コートが施されているとよい。
【0071】
発光装置の製造工程で用いられる接着剤は、例えば、脱アルコール型、脱オキシム型、脱酢酸型のシリコーン系常温硬化タイプ、シリコーン系熱硬化タイプ、エポキシ系接着剤、アクリル樹脂系接着剤、ブチルゴム系接着剤、セラミック系接着剤が挙げられる。
【0072】
接着方法として、ガラス板10と蛍光体含有シリコーン板11との接着、透光板13とパッケージ成形体20との接着、又は基板18とパッケージ成形体20との接着が、接着剤で接着された例を示したが、シリコーンゴム接着体で化学結合を介して結合されていてもよい。シリコーンゴム接着体は、三次元化シリコーンゴムで形成された物質と被接着物質とにコロナ放電処理、プラズマ処理又は紫外線処理により生じた水酸基同士を共有結合されているものである。
【0073】
具体的には、ガラス板10と蛍光体含有シリコーン板11とを接着する場合、三次元化シリコーンゴムで成形された蛍光体含有シリコーン板11の接着面を予めコロナ放電処理又はプラズマ処理を施し、また、ガラス板10の接着面をコロナ放電処理、プラズマ処理又は紫外線処理を施すことによって、それらの表面に活性基が生成され、その活性基を介する化学結合によって両者が強固に、接着する。
【実施例】
【0074】
以下に、本発明を適用する発光装置、及び本発明を適用外の発光装置を試作し、性能評価した例を具体的に示す。
【0075】
(実施例1 本発明を適用する発光装置)
シリコーン接着剤(旭化成ワッカーシリコーン株式会社製;製品名 「SEMICOSIL 989/1K」)にYAG蛍光体を30質量%加え、遊星式撹拌脱泡装置を用いて脱泡しながら蛍光体を分散させ、蛍光体含有シリコーン板11用の材料を調製した。これを、厚み200μmのガラス板10(30×30mm)上の中央に1g程度載せて仕込み、それを取囲むように、厚み100μmのスペーサーをガラス板10の外周縁部に設置した。その上を同形のガラス板10で覆って、接着剤を挟み込み、室温で硬化させて、厚み100μmの蛍光体含有シリコーン板11が2枚のガラス板10で挟み込まれた成形物を、作製した。これを、4×4mmのサイズにダイシングカットし、透光板13を作製した。発光素子15から延びるワイヤ16a・16bが基板18のリードパターン17a・17bに接続されているAg配線部を有したその発光素子15を取り巻く擂鉢状の部位をシリコーン封止剤で封止したパッケージ成形体20の開口に沿う切欠き22に、この透光板13を、耐熱エポキシ樹脂接着剤(太陽金網株式会社製;製品名「Duralco・44611P」)で接着し、密封して発光装置1を製造した。
【0076】
(比較例1 本発明適用外の発光装置)
封止性の性能試験の比較のために、市販されている通常のものでAg配線部を有しパッケージ成形体の擂鉢状の部位をシリコーン封止剤で封止したLEDパッケージからなる発光装置を、本発明適用外の発光装置として用いた。
【0077】
(封止性の性能試験)
シリコーン封止されている実施例1の発光装置1と、比較例1の発光装置との封止性の性能を、比較した。封止性の性能試験方法及びその結果は以下の通りである。実施例1の発光装置1からなるパッケージと、この通常のシリコーン封止LEDパッケージとの夫々の封止面を、硫黄含有の加硫天然ゴムに接触させ、60℃×90%相対湿度(90%RH)の環境下で72時間放置した。その後、各パッケージを破壊し、その中のAg配線部を取り出して、比較観察したところ、実施例1の発光装置1についてはAg配線部に変化が無かったが、比較例1の発光装置については、封止剤の白濁が認められ、しかもAg配線部の黒化が確認された。
【0078】
(比較例2 本発明を適用外の別な発光装置)
市販されている通常のものでAg配線部を有しパッケージ成形体の擂鉢状の部位をシリコーンで封止したLEDパッケージの封止表面を、コロナ処理して接着性を向上させてから、表1に記載の各種表面被覆素材でポッティングコートしたものからなる本発明適用外の発光装置を用いた。
【0079】
(耐腐食性・耐熱性の性能試験)
実施例1の発光装置1と、比較例2の発光装置との耐腐食性・耐熱性の性能を、比較した。
耐腐食性の性能試験方法として、硫黄加硫の天然ゴム板に、発光装置のLED発光面であるガラス面又は表面被覆素材で被覆した面を接触させ、60℃×90%相対湿度の環境下で72時間放置した。各パッケージを破壊し、その中のAg配線部を取り出して、比較観察した。その結果を表1に纏めて示す。
また、耐熱性の性能試験方法として、これらと同種の発光装置について150℃で500時間放置する高温保存試験を行い、発光装置のLED発光面であるガラス面又は表面被覆素材で被覆した面の変化を観察した。その結果を表1に纏めて示す。
【0080】
【表1】

【0081】
表1から明らかな通り、本発明を適用する実施例1のようにガラス板製の透光板で覆われた発光装置は、本発明を適用外の比較例2のように樹脂製の表面被覆素材で覆われた発光装置よりも、耐腐食性、耐熱性に優れ信頼性が向上していることが確認できた。
【0082】
(実施例2〜5及び比較例3)
実施例1の透光板を、表2に記載の表面被覆素材で被覆された透光板に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、本発明の発光装置(実施例2〜5)及び本発明適用外の発光装置(比較例3)を、作製した。
実施例2〜5の透光板は、ガラス板10と蛍光体含有シリコーン板11との2層構造であり、マウントノズルと接触する表面を蛍光体含有シリコーン板11とした。その表面状態は金型の表面状態が転写され、実施例2は放電加工処理面、実施例3はサンドブラスト処理♯80の粗さ、実施例4はサンドブラスト処理♯40の粗さ、実施例5は平滑処理面を転写した。このときの蛍光体含有シリコーン板11の硬さはJIS−K6253に準拠したタイプA硬度計により測定される硬度で、A80であるシリコーンゴムを使用した。
また、比較例3として、実施例2〜5のガラス板を透明シリコーンゴム板に変え、蛍光体含有シリコーン板11との2層構造の透光板となし、マウントノズルと接触する表面を透明シリコーンゴム板(実施例2〜5と同じシリコーンゴム素材、硬度A80を使用)とし、その表面状態が平滑面であるものを使用した。
なお、各々の透光板の表面粗さは、株式会社東京精密製 接触式3次元表面粗さ計:SURFCOM575A−3DFを用いて、測定速度0.15mm/sec、測定長2.4mmの条件で測定した。
【0083】
(耐持帰り性の性能試験)
発光装置のLED発光面における表面状態の違いにより、マウントノズルに吸着させた後の持ち帰り現象の有無について、以下のようにして確認した。実施例1〜4及び比較例3の発光装置を用い、それらの表面状態の異なる各LED発光面に、マウントに使用するφ1.6の吸着マウントノズルを用いて、垂直に230gfの加重を2秒かけて、その後マウントノズルを持ち上げ、ノズル先端から発光装置が離れるか、又は離れずに持ち帰るかのマウントの様子を、n=10で、観察した。それらの結果を表2に示す。
【0084】
【表2】

【0085】
表2から明らかな通り、実施例1のガラス平滑面は、持ち帰り現象が起こらなかったのに対し、比較例3のゴム平滑面の場合、マウントノズルに10回すべて密着し持ち帰り現象が発生した。実施例2のゴム梨地面は、表面粗さRaが1.0μmで2回、持ち帰り現象が発生したが大幅に低減できた。それ以上の粗さの実施例3,4の場合、ゼロになることが確認できた。
また、実施例5はゴム平滑面であっても、比較例3と比較して持ち帰り現象を低減することが出来た。
【0086】
蛍光体含有シリコーン板11の表面を梨地面にすることで、マウントノズルとの接地面積を減少させることにより、持ち帰り現象を防止し、作業性を向上させることが出来た。一方、比較例3のゴム平滑面では、10回すべてに持ち帰り現象が発生したにもかかわらず、実施例1のガラス平滑面では持ち帰り現象は発生していないことから、ゴムの柔らかさから起因する密着や、絶縁性が起因する静電気により、持ち帰り現象が発生したと考えられる。
【0087】
実施例5の結果は、ガラス板とシリコーンゴム板を張り合わせることにより、ゴムの見かけ上の硬さが向上し、密着性が低下したこと、静電気が減少したことなどの理由により持ち帰り現象が低減したと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明の発光装置は、液晶ディスプレイのバックライトや照明器具、信号機などの光源として有用である。
【符号の説明】
【0089】
1は発光装置、10はガラス板、11は蛍光体含有シリコーン板、12は蛍光体、13は透光板、14は側面、15は発光素子、16a・16bはワイヤ、17a・17bはリードパターン、18は基板、20はパッケージ成形体、21は内壁、22・22a・22bは切欠き、25は封止材、26は光学レンズである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上で実装された発光素子を取り巻いて該基板上に密着しつつ照射方向へ末広がりに開口している中空形状であってその内壁が該開口に沿って切欠きを有した非透光性のパッケージ成形体と、無機の蛍光体を含有するシリコーン板及びガラス板が重ねられた透光板とを備えており、該透光板が、該切欠き内に嵌め込まれてそのパッケージ成形体内を封止しつつ、該発光素子からの光を透過させることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項2】
前記蛍光体含有シリコーン板と前記ガラス板とが、接着され、密着され、又は隙間を空けられて、前記重ねられていることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記パッケージ成形体内が、シリコーン樹脂又は不活性ガスで充填されていることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項4】
前記パッケージ成形体内が、真空になっていることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項5】
前記蛍光体が、Yb、Ce、Eu、Tb及びSmから選ばれる少なくとも1種の希土類元素を含有する無機酸化物蛍光体、及び/又は、II〜VI族化合物半導体であることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項6】
前記切欠きが階段状であり、同一又は異なる大きさの前記蛍光体含有シリコーン板と前記ガラス板との前記透光板が嵌め込まれていることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項7】
前記蛍光体含有シリコーン板が、前記ガラス板よりも出射方向側に在ることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項8】
前記蛍光体含有シリコーン板が、JIS−K6253に準拠したタイプA硬度計により測定される硬度で、A10〜A90であるシリコーンゴム、又は、JIS−K6253に準拠したタイプD硬度計により測定される硬度で、D10〜D80としたシリコーン樹脂で形成されていることを特徴とする請求項7に記載の発光装置。
【請求項9】
前記蛍光体含有シリコーン板の露出面が、マイクロメートルオーダーの凹凸を付されて粗らされていることを特徴とする請求項7又は8に記載の発光装置。
【請求項10】
前記蛍光体含有シリコーン板の露出面が、平滑処理されていることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項11】
前記透光板が、光学レンズで覆われていることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−108889(P2011−108889A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−263167(P2009−263167)
【出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【出願人】(597096161)株式会社朝日ラバー (74)
【Fターム(参考)】