発光装置
【課題】発光装置において、実装した発光素子の出射光を反射部材により反射させて任意の方向に向けて出射することができ、これにより、この発光素子の発光特性を変更することなく、発光装置の発光特性、つまり出射光の指向性を調整することができ、しかも、反射部材を外気から保護して経年劣化を抑えることができる実現する。
【解決手段】実装基板101上に配置した発光素子1を封止樹脂102で封止した発光装置100aにおいて、実装基板101上に発光素子1を囲むよう配置され、発光素子1からの出射光Lを実装基板101の上方に向けて反射する反射部材110a〜110dを備え、反射部材110a〜110dは、発光素子1とともに封止樹脂120により封止されている。
【解決手段】実装基板101上に配置した発光素子1を封止樹脂102で封止した発光装置100aにおいて、実装基板101上に発光素子1を囲むよう配置され、発光素子1からの出射光Lを実装基板101の上方に向けて反射する反射部材110a〜110dを備え、反射部材110a〜110dは、発光素子1とともに封止樹脂120により封止されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関し、特に、発光素子とともに反射部材を封止樹脂した発光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から発光装置には、半導体発光素子として発光ダイオードチップ(以下、LEDチップという。)を実装基板上に実装した構造のものがある。
【0003】
図15は、このような従来の発光装置を説明する図であり、図15(a)はこの発光装置の斜視図、図15(b)は、この発光装置に搭載したLEDチップの断面図である。
【0004】
この発光装置200は、図15(a)に示すように、実装基板201にLEDチップ1を載置し、LEDチップ1の電極(図示せず)と実装基板201の配線パッド20aおよび20bとをボンディングワイヤWで接続し、LEDチップ1およびボンディングワイヤWを透明樹脂202で封止したものである。
【0005】
ここで、LEDチップ1は、図15(b)に示すように、N型半導体層1aとP型半導体層1bとを接合した構造を有し、該接合面より発光光Lが出射されるようになっている。一般にLEDチップ1は、PN接合面の法線方向に出射される光の強度が強く、この法線方向に対する角度が大きくなるにつれて光の強度が弱くなるという発光特性を有している。
【0006】
このような発光装置200では、出射光Lの強度分布はLEDチップの発光特性に依存することとなり、用途に応じた発光特性の発光装置を提供するには、発光装置に搭載するLEDチップの発光特性を変える必要があるという問題がある。
【0007】
そこで、このような問題に対する対策として、従来から封止樹脂の形状を変えることにより、LEDチップの発光特性を変えることなく、発光装置の発光特性をその用途に応じたものとしている。
【0008】
図16は、従来の発光装置の発光特性(指向性)を封止樹脂の形状を変えて調整する方法を説明する図である。
【0009】
図16(a)に示す発光装置200aは、図15に示す発光装置200と同様、実装基板201にLEDチップ1を載置して透明樹脂202aで封止したものであるが、この発光装置200aは、封止樹脂202aの高さHaを低くして、出射光の強度が広い範囲にわたって均等になるようにしたものである。
【0010】
また、図16(b)に示す発光装置200bは、図15に示す発光装置200と同様、実装基板201にLEDチップ1を載置して透明樹脂202bで封止したものであるが、この発光装置200bは、封止樹脂202bの高さHbを高くして、出射光の強度が実装基板201の法線方向で強く、該法線方向から遠ざかるほど出射光の強度が弱くなるようにしたものである。。
【0011】
ところが、図16(a)および図16(b)に示すように、封止樹脂の高さを変えて発光装置の発光特性を変える方法では、樹脂封止に用いる金型などの治具を複数種類準備する必要があり、また、発光装置として外形寸法の異なるものが増えると、発光装置の輸送に用いる梱包材も、外形寸法の異なる発光装置毎に用意する必要が生し、製品コストの増大につながる。
【0012】
また、発光装置の外形寸法が変わることで、例えば発光装置を電子機器の光源として電子機器の筐体内に内蔵する場合には、発光装置の外形寸法が変わると、電子機器の筐体内に配置できず、電子機器の設計変更の必要が生ずるといった問題が生ずる場合がある。
【0013】
このような問題に対しては、発光素子からの出射光を反射させて指向性を調整する方法が考えられている。
【0014】
例えば、特許文献1および2には、発光装置として反射板を用いたものが開示されている。
【0015】
図17は、この特許文献1に開示の発光装置を説明する断面図である。
【0016】
この発光装置20aは、LEDチップ10が実装された実装基板20と、LEDチップ10を封止する樹脂封止部50と、この樹脂封止部50に重ねて配置されたレンズ60とを有している。このレンズ60の光出射面60bは凸曲面状に形成されており、該レンズ60の光出射面60bの上方には空気層80を介してドーム状の色変換部材70が配置されている。
【0017】
なお、上記LEDチップ10は導電性基板11上に発光部12を配置したものであり、サブマウント部材30を介して実装基板20上に載置されている。また、この実装基板20を構成する金属板21上には絶縁層22を介して導体パターン23が形成され、サブマウント部材30および発光部12はそれぞれボンディングワイヤ14により導体パターン23に接続されている。また、レンズ60の光入射面60aは封止部50に接しており、封止部50を囲むようにその周囲にはリフレクタ40が配置され、このリフレクタ40の内側面40aでLEDチップ10からの光がレンズの光入射面60aに反射されるようになっている。
【0018】
なお、図17中、70aおよび70bは色変換部材70の内面および外面である。
【0019】
図18は、この特許文献2に開示の発光装置を説明する断面図である。
【0020】
この発光装置31は白色光源として用いられ、この発光装置31では、基板3上にサブマウント4を介して発光素子2が搭載されており、該発光素子2は、内部材35bと外殻35aを有する透明部材35により封止されている。
【0021】
ここで透明部材35の外殻35aは、周縁部が基板3から離反するように形成された斜面35cを有する。さらにこの発光装置31では、前記斜面35cには、反射増加膜38が形成されている。前記斜面35cの傾斜角度は、透明部材35の周縁部で光を全反射する角度に設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特開2008−124500号公報
【特許文献2】特開2007−317952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
以上説明したように、上記特許文献1および2に開示の発光装置では、発光素子からの出射光をリフレクタや反射板などの反射部材により所定の方向、例えば実装基板の上方側に反射するようにしており、反射部材の角度を変えることで発光装置の発光特性を変えることができる。
【0024】
しかしながら、上記特許文献1では、反射部材は封止樹脂の外側に配置されているため、リフレクタは発光装置の動作中には過熱された状態で空気にさらされるため、腐食による破損のおそれがある。
【0025】
また、特許文献2においても、反射板は、LEDチップの封止樹脂としての透明部材の側端の斜面に形成されており、封止樹脂により完全に覆われていないため、湿気などにさらされ、このため、特許文献1に開示のものと同様に腐食による破損のおそれがある。
【0026】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、実装した発光素子の出射光を反射部材により任意の方向に向けて出射することができ、しかも、反射部材を外気から保護することができる発光装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明に係る発光装置は、実装基板上に配置した発光素子を封止樹脂で封止した発光装置であって、該実装基板上に配置され、該発光素子からの出射光を反射する反射部材を備え、該反射部材は、該発光素子とともに該封止樹脂により封止されており、そのことにより上記目的が達成される。
【0028】
本発明は、上記発光装置において、前記反射部材は、前記実装基板上に配置された発光素子を囲むよう、あるいは該発光素子を挟んで対向するよう配置され、該実装基板に垂直な方向の出射光の強度が該実装基板に平行な方向の出射光の強度に比べて高まるように該発光素子からの出射光を反射することが好ましい。
【0029】
本発明は、上記発光装置において、前記反射部材は筒状反射部材から構成されており、前記発光素子は、該筒状反射部材の内側に該筒状反射部材により囲まれるよう配置されており、該実装基板に垂直な方向の出射光の強度が該実装基板に平行な方向の出射光の強度に比べて高まるように、該発光素子からの出射光を該筒状反射部材の内側面で反射することが好ましい。
【0030】
本発明は、上記発光装置において、前記筒状反射部材は逆円錐台形状を有していることが好ましい。
【0031】
本発明は、上記発光装置において、前記筒状反射部材は円筒状反射部材であり、前記実装基板に近い部分ほど半径を小さく、かつ該円筒状反射部材の側壁を、該円筒状反射部材の中心を含む面内で湾曲した形状としたものであることが好ましい。
【0032】
本発明は、上記発光装置において、前記筒状反射部材は、前記実装基板に平行な断面の形状を楕円形状としたものであることが好ましい。
【0033】
本発明は、上記発光装置において、前記発光素子は、前記実装基板上に複数配置されていることが好ましい。
【0034】
本発明は、上記発光装置において、前記発光素子は、前記実装基板上に該実装基板の中心の周りに複数配置されており、前記反射部材は、前記発光素子と該実装基板の中心との間に配置され、該実装基板に平行な方向の出射光の強度が該実装基板に垂直な方向の出射光の強度に比べて高まるように該発光素子からの出射光を反射することが好ましい。
【0035】
本発明は、上記発光装置において、前記反射部材は、前記実装基板の中央に配置された筒状反射部材であり、前記発光素子は、該筒状反射部材の周囲に均等な間隔で複数配置されており、該実装基板に平行な方向の出射光の強度が該実装基板に垂直な方向の出射光の強度に比べて高まるように、該発光素子からの出射光が該筒状反射部材の外側面で反射されることが好ましい。
【0036】
本発明は、上記発光装置において、前記封止樹脂は、前記実装基板上の発光素子が配置された領域の周囲に空間が形成されるよう該発光素子を封止しており、前記反射部材は、該発光素子の配置領域の周囲に形成された空間内に収容されていることが好ましい。
【0037】
本発明は、上記発光装置において、前記反射部材は磁性体により構成されていることが好ましい。
【0038】
本発明は、上記発光装置において、前記封止樹脂は、蛍光体を含む内側封止樹脂と、該内側封止樹脂の外側を覆う蛍光体を含まない透明樹脂とから構成されていることが好ましい。
【0039】
次に作用について説明する。
【0040】
本発明においては、実装基板上に配置され、発光素子からの出射光を反射する反射部材を備え、反射部材を発光素子とともに封止樹脂により封止したので、反射部材により発光素子からの出射光の指向性を変更でき、発光素子の光出射特性を変更することなく発光装置として必要な発光特性を実現することができる。
【0041】
また、反射部材を封止樹脂により発光素子とともに封止しているので、反射部材を外気、特に空気中の酸素や湿気から保護することができ、腐食による破損を抑制することができる。
【0042】
さらには、封止樹脂が反射部材を含むこととなるため、封止樹脂が反射部材により機械的に補強されることとなる。このため、封止樹脂として柔らかいが耐熱性のあるシリコーン樹脂を用いることができ、封止樹脂の劣化による黄変化を回避して出力光の強度低下を防止することができる。また、封止樹脂が柔らかいので、この封止樹脂が発光素子に及ぼす熱応力を小さくすることができる。
【0043】
また、本発明においては、反射部材として筒状反射部材を用い、筒状反射部材の内部に配置した発光素子からの出射光を、筒状反射部材の内面で、実装基板の上方側に反射させるので、発光素子から水平方向に出射する光を漏らさず実装基板の上方側に向けることができる。
【0044】
本発明においては、反射部材を、封止樹脂を構成する内側封止樹脂と外側封止樹脂との間に形成されたスペースに配置し、しかも反射部材を構成する反射板を磁性体により構成しているので、発光装置の製造後に、反射部材を構成する反射板の角度を磁力の印加により調整することが可能となる。
【0045】
本発明においては、封止樹脂を内側封止樹脂と外側封止樹脂の2層構造とし、内側封止樹脂を蛍光体を含むものとすることで、発光素子からの出射光の色を内側封止樹脂の蛍光体により変化させることができ、さらに、この発光素子からの出射光の色を変化させた光が反射部材により反射されることとなって、所望の色の出力光を所望の方向に指向性を持たせて出力することができる。
【発明の効果】
【0046】
以上のように、本発明によれば、実装した発光素子の出射光を反射部材により任意の方向に向けて出射することができ、しかも、反射部材の外気から保護して経年劣化を抑えることができる発光装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】図1は、本発明の実施形態1による発光装置を説明する図であり、図1(a)は断面図、図1(b)は平面図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態1による発光装置の製造方法を説明する図であり、図2(a)〜図2(d)は、反射板の取付工程および樹脂封止工程を順に示している。
【図3】図3は、本発明の実施形態1の変形例1による発光装置を説明する図であり、図3(a)は断面図、図3(b)は平面図である。
【図4】図4は、本発明の実施形態1の変形例2による発光装置を説明する図であり、図4(a)は断面図、図4(b)は平面図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態2による発光装置を説明する図であり、図5(a)は断面図、図5(b)は平面図である。
【図6】図6は、本発明の実施形態2の変形例による発光装置を説明する図であり、図6(a)は断面図、図6(b)は平面図である。
【図7】図7は、本発明の実施形態3による発光装置を説明する図であり、図7(a)は断面図、図7(b)は平面図である。
【図8】図8は、本発明の実施形態3の変形例1による発光装置を説明する図であり、図8(a)は断面図、図8(b)は平面図である。
【図9】図9は、本発明の実施形態3の変形例2による発光装置を説明する図であり、図9(a)は断面図、図9(b)は平面図である。
【図10】図10は、本発明の実施形態4による発光装置を説明する図であり、図10(a)は断面図、図10(b)は平面図である。
【図11】図11は、本発明の実施形態4の変形例による発光装置を説明する図であり、図11(a)は断面図、図11(b)は平面図である。
【図12】図12は、本発明の実施形態5による発光装置を説明する断面図である。
【図13】図13は、本発明の実施形態5による発光装置の製造方法を説明する図であり、図13(a)〜図13(d)は、反射板の取付工程および樹脂封止工程を順に示している。
【図14】図14は、本発明の実施形態6による発光装置を説明する断面図である。
【図15】図15は、従来の発光装置を説明する図であり、図15(a)は斜視図、図15(b)は該発光装置におけるLEDチップの断面図である。
【図16】図16は、従来の発光装置における課題を説明する図であり、図16(a)は封止樹脂の高さを低くしたもの、図16(b)は封止樹脂の高さを高くしたものを示している。
【図17】図17は特許文献1に開示の発光装置を説明する断面図である。
【図18】図18は特許文献1に開示の発光装置を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0049】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1による発光装置を説明する図であり、図1(a)は断面図、図1(b)は平面図である。
【0050】
この実施形態1の発光装置100aは、実装基板101上に配置した発光素子1を封止樹脂102で封止した発光装置であり、実装基板101上に配置され、発光素子1からの出射光を反射する反射部材110a〜110dを備え、反射部材110a〜110dは、発光素子1とともに封止樹脂102により封止されている。ここで発光素子1は発光ダイオードチップ(以下、LEDチップという。)であり、該発光素子1の素子電極(図示せず)と実装基板101の配線パッド(図示せず)とがボンディングワイヤWにより接続されている。また、実装基板101には例えばセラミック基板あるいはガラスエポキシ基板が用いられる。また、封止樹脂102の平面形状は、例えば図1(a)に示すように円形状であり、封止樹脂102には、例えばシリコーン樹脂あるいはエポキシ樹脂などの透明樹脂が用いられる。
【0051】
ここで、反射部材110a〜110dは、実装基板101上に配置された発光素子を囲むようその周囲に配置され、実装基板101と垂直な方向(法線方向)に向けて発光装置100aから出射する光の強度が、実装基板101と水平な方向に向けて発光装置100aから出射する光の強度より高まるように発光素子1からの出射光を反射するよう構成されている。
【0052】
また、反射部材110aは、Ni、Al、Agなどの金属あるいは白く着色した樹脂からなる反射板112aと、該反射板111aを支持する支持部材113aと、該支持部材113aに取り付けられた固定板111aとを有し、該固定板111aが接着剤により実装基板101に固着されている。ここで、支持部材113aあるいは固定板111aは金属でも樹脂でもよい。また、反射板は平板状のものに限らず、所定の曲率を有する湾曲したものでもよい。
【0053】
また、反射部材110b〜110dも、反射部材110aと同様にそれぞれ、反射板112b〜112d、支持部材113b〜113d、および固定板111b〜111dを有しており、反射部材110b〜110dの固定板111b〜111dが接着剤により実装基板101に固着されている。
【0054】
さらに、この実施形態1では、反射部材110aと反射部材110bとがLEDチップ1を挟んで対向するよう配置され、反射部材110cと反射部材110dとがLEDチップ1を挟んで対向するよう配置され、これらの反射部材110a〜110dはLEDチップ1の周囲に等間隔で配置されている。
【0055】
ここでは、4つの反射部材110a〜110dにおける各反射板112a〜112dの実装基板101の法線方向に対する傾斜角は同一としている。但し、4つの反射部材110a〜110dで、それぞれの反射板の法線方向に対する角度を異なる角度に設定してもよい。例えば、反射部材110aでは反射板112aの実装基板101の法線方向に対する傾斜角を10度とし、反射部材110bでは反射板112bの実装基板101の法線方向に対する傾斜角を20度とし、反射部材110cでは反射板112cの実装基板101の法線方向に対する傾斜角を30度とし、反射部材110dでは反射板112dの実装基板101の法線方向に対する傾斜角を40度としてもよい。
【0056】
次に、本実施形態1の発光装置の製造方法について説明する。
【0057】
図2は、本発明の実施形態1による発光装置の製造方法を説明する図であり、図2(a)〜図2(d)は、反射部材の取付工程および樹脂封止工程を順に示している。
【0058】
まず、実装基板101の素子配置領域に発光素子1をダイボンドなどの方法で固着し、さらにボンディングワイヤWにより発光素子1の素子電極(図示せず)と実装基板101の配線パッド(図示せず)との間を接続する(図2(a))。
【0059】
次に、反射部材110a〜110dを発光素子1の周囲に均等な間隔で取り付ける。これらの反射部材110a〜110dの取付は上記のとおり固定板111a〜111dをシリコーン接着剤により実装基板101に固着することにより行う(図2(b))。
【0060】
続いて、複数の半球状の樹脂溜部Grを有する封止金型Gを用いて、発光素子1および反射部材110a〜110dを樹脂封止する。
【0061】
具体的には、発光素子1および反射部材110a〜110dを実装基板101の各素子配置領域上に実装した後、実装基板101を裏返して該実装基板101を封止金型Gに対して素子配置領域が、液状の封止樹脂(例えばシリコーン樹脂あるいはエポキシ樹脂)102aで満たした樹脂溜部Gr上に位置するよう位置決めし、発光素子1および反射部材110a〜110dが樹脂溜部Grに収容されるよう実装基板101を封止金型Gに密着させる(図2(c))。
【0062】
この状態で熱処理を行って、液状の封止樹脂102aを硬化させて封止樹脂102とする(図2(d))。
【0063】
その後、実装基板101を封止金型Gから取り外して該実装基板101の各素子配置領域を分離して発光装置100aを作成する。
【0064】
このような構成の本実施形態1の発光装置100aでは、発光素子1の周囲に配置した反射部材110a〜110dにより発光素子からの出射光Lを反射させて、出射光の強度が実装基板101に対して垂直な方向で最大となるようにしたので、発光素子1の光出射特性を変更することなく発光装置として必要な発光特性、つまり実装基板の法線方向の出射光の強度が最大となる特性を実現することができる。
【0065】
また、反射部材110a〜110dを封止樹脂102により発光素子1とともに封止しているので、反射部材を外気、特に空気中の酸素や湿気から保護することができ、腐食による破損を抑制することができ、これにより経年劣化を抑えることができる。
【0066】
さらには、封止樹脂102が反射部材110a〜110dを含むこととなるため、封止樹脂が反射部材により機械的に補強されることとなる。これにより、封止樹脂102として、軟らかいが耐熱性が高いという特性を持つシリコーン樹脂を用いることができ、耐熱性の低い封止樹脂で生ずる黄変化に伴う光透過性の低下を回避することができ、また、封止樹脂102が発光素子1に及ぼす熱応力を小さくすることができる。
【0067】
なお、上記実施形態1では、封止樹脂102の平面形状は、例えば図1(a)に示すように円形状としているが、これは矩形形状であってもよい。
【0068】
また、上記実施形態1では、発光装置として、1つの発光素子からの出射光を4つの反射部材により反射するものを示したが、本発明の発光装置における反射部材の個数や発光素子の個数は実施形態1のものに限定されるものではなく、以下反射部材あるいは発光素子の個数が上記実施形態1とは異なるものを実施形態1の変形例として説明する。
【0069】
(実施形態1の変形例1)
図3は、本発明の実施形態1の変形例1による発光装置を説明する図であり、図3(a)は断面図、図3(b)は平面図である。
【0070】
この実施形態1の変形例1による発光装置100aは、実施形態1の発光装置100における発光素子1に代えて、左右一対の2つの発光素子1aおよび1bを備えたものである。なお、図3中、図1と同一符号は同一のものを示す。
【0071】
このような構成の発光装置100aでは、実施形態1の発光装置100に比べて出射光のパワーを増大させたり、1つの発光素子における出射光の強度を低減させて、1つの発光素子での発熱量を低下させたりすることができる。
【0072】
なお、この実施形態1の変形例1では、反射部材110a〜110dは実施形態1におけるものと同一のものであるが、例えば2つの発光素子1aおよび1bの配列方向と平行な反射板112cおよび112dは、その幅を発光素子1aおよび1bの配列方向に沿って拡張したものとしてもよい。
【0073】
(実施形態1の変形例2)
図4は、本発明の実施形態1の変形例2による発光装置を説明する図であり、図4(a)は断面図、図4(b)は平面図である。
【0074】
この実施形態1の変形例2による発光装置100cは、実施形態1の発光装置100における4つの反射部材110a〜110dのうちの対向する一対の反射部材110cおよび110dを取り除いたものである。
【0075】
このような構成の発光装置100cでは、対向する一対の反射部材110aおよび110bにより、発光素子1からの出射光を反射して、上記実施形態1の発光装置100における出射光の強度分布(指向性)とは異なる強度分布の出射光を出力することができる。
【0076】
(実施形態2)
図5は、本発明の実施形態2による発光装置を説明する図であり、図5(a)は断面図、図5(b)は平面図である。
【0077】
この実施形態1の発光装置100dは、実装基板101上に配置した発光素子1a〜1dを封止樹脂102で封止した発光装置であり、実装基板101上に配置され、発光素子1a〜1dからの出射光を反射する反射部材120a〜120dを備え、反射部材120a〜120dは、発光素子1a〜1dとともに封止樹脂102により封止されている。ここで発光素子1は発光ダイオードチップ(以下、LEDチップという。)であり、反射部材120a〜120d、および封止樹脂102としては、実施形態1におけるものと同一の材料を用いている。
【0078】
この実施形態2では、発光素子1a〜1dは、実装基板101上にこの実装基板101の中心の周りに均等に配置されている。具体的には、発光素子1aおよび1bは、実装基板101の中心を挟んで対向するよう紙面左右方向に並べて配置され、発光素子1cおよび1dは、実装基板101の中心を挟んで対向するよう紙面上下方向に並べて配置されている。また、反射部材120a〜120dは、それぞれの発光素子1a〜1d毎に配置されている。
【0079】
反射部材120aは、発光素子1aと実装基板101の中心(図5(b)参照)との間に配置された反射板122aと、該反射板122aを支持する支持部材123aと、該支持部材123aに取り付けられた固定板121とを有している。
【0080】
また、その他の反射部材120b〜120dも、反射部材120aと同様に、反射板122b〜122dと、該反射板122b〜122dを支持する支持部材123b〜123dと、該支持部材123b〜123dに取り付けられた固定板121とを有している。
【0081】
このように各反射部材120a〜120dは固定板120を共有しており、この固定板120は接着剤により実装基板101の中央部分に固着されている。
【0082】
反射部材120a〜120dは、実装基板101と水平な方向に向けて発光装置100dから出射する光の強度が、実装基板101と垂直な方向に向けて発光装置100dから出射する光の強度より高まるように発光素子1a〜1dからの出射光Lを反射するよう構成されている。
【0083】
このような構成の本実施形態2の発光装置100dでは、発光素子1a〜1d毎に配置した反射部材120a〜120dにより発光素子からの出射光Lを反射させて、出射光の指向性が実装基板101に対して水平な方向となるようにしたので、発光素子1a〜1dの光出射特性を変更することなく発光装置として必要な発光特性を実現することができる。
【0084】
また、反射部材120a〜120dを封止樹脂102により発光素子1a〜1dとともに封止しているので、封止樹脂102が反射部材を補強することとなり、反射部材自体に機械的強度を持たせる必要がなくなり、反射部材の構造が大きなものとなるのを回避でき、さらに、反射部材を外部環境からの想定外の外力や湿気などから保護することができる。
【0085】
なお、上記実施形態2では、4つの反射部材120a〜120dにおける各反射板122a〜122dの実装基板101の法線方向に対する傾斜角は同一としているが、4つの反射部材120a〜120dで、それぞれの反射板の法線方向に対する角度を異なる角度に設定してもよい。
【0086】
また、上記実施形態2では、発光装置として、4つの発光素子1a〜1dからの出射光を対応する4つの反射部材120a〜120dにより反射するものを示したが、本発明の発光装置における反射部材の個数や発光素子の個数は実施形態2のものに限定されるものではなく、以下反射部材あるいは発光素子の個数が上記実施形態2とは異なるものを実施形態2の変形例として説明する。
【0087】
(実施形態2の変形例)
図6は、本発明の実施形態2の変形例による発光装置を説明する図であり、図6(a)は断面図、図6(b)は平面図である。
【0088】
この実施形態2の変形例による発光装置100eは、実施形態2の発光装置100dにおける4つの発光素子1a〜1dおよび4つの反射部材120a〜120dのうちの、発光素子1cおよび1dおよびこれらの対応する反射部材120cおよび120dを取り除いたものである。
【0089】
このような構成の発光装置100dでは、2つの発光素子1aおよび1bからの出射光を、発光素子1aおよび1bに対応する反射部材120aおよび120bにより反射して、上記実施形態2の発光装置100dにおける出射光の強度分布(指向性)とは異なる強度分布の出射光を出力することができる。
【0090】
(実施形態3)
図7は、本発明の実施形態3による発光装置を説明する図であり、図7(a)は断面図、図7(b)は平面図である。
【0091】
この実施形態3の発光装置100fは、実装基板101上に配置した発光素子1を封止樹脂102で封止した発光装置であり、実装基板101上に配置され、発光素子1からの出射光を反射する反射部材130を備え、反射部材130は、発光素子1とともに封止樹脂102により封止されている。ここで発光素子1は発光ダイオードチップ(以下、LEDチップという。)であり、封止樹脂102としては、実施形態1におけるものと同一の材料を用いている。
【0092】
この実施形態3では、反射部材130は、円筒状反射部材から構成されており、この円筒状反射部材の形状は逆円錐台形状である。発光素子1は、円筒状反射部材130の内側にこの円筒状反射部材130により囲まれるよう配置されており、発光素子1からの出射光Lが、実装基板101と垂直な方向に向けて該発光素子から出射する光の強度が高まるように、円筒状反射部材130の内側面130aで反射されるようになっている。
【0093】
また、円筒状反射部材130は、金属あるいは樹脂からなり、シリコーン接着剤により実装基板101に直接固着されている。
【0094】
このような構成の実施形態3の発光装置100fでは、実施形態1の効果に加えて、逆円錐台形状の円筒状反射部材130の内部に配置した発光素子1からの出射光Lを、該円筒状反射部材130の内面130aで実装基板の上方側に反射するので、発光素子1から水平方向に出射する光をすべて実装基板の上方に向けることができる。
【0095】
また、反射部材として1つの部材である逆円錐台形状の円筒状反射部材を用いるので、発光装置の製造工程での反射部材の取り付け作業が簡単になる。
【0096】
なお、上記実施形態3では、筒状反射部材として逆円錐台形状のものを示したが、筒状反射部材の縦断面形状および横断面形状は上記実施形態3のものに限定されるものではない。
【0097】
(実施形態3の変形例1)
図8は、本発明の実施形態3の変形例1による発光装置を説明する図であり、図8(a)は断面図、図8(b)は平面図である。
【0098】
この実施形態3の変形例1の発光装置100gは、実施形態3の発光装置100fにおける円筒状反射部材130に代えて、この円筒状反射部材130とは断面形状が異なる円筒状反射部材131を備えたものである。
【0099】
つまり、この実施形態3の変形例1の発光装置100fでは、円筒状反射部材131は、実装基板101に近い部分ほど半径が小さく、かつ円筒状反射部材の側壁の縦断面の形状は湾曲した形状となっている。
【0100】
(実施形態3の変形例2)
図9は、本発明の実施形態3の変形例2による発光装置を説明する図であり、図9(a)は断面図、図9(b)は平面図である。
【0101】
この実施形態3の変形例2の発光装置100hは、実施形態3の発光装置100fにおける円筒状反射部材130に代えて、この円筒状反射部材130とは横断面形状が異なる筒状反射部材132を備えたものである。
【0102】
つまり、この実施形態3の変形例2の発光装置100hでは、筒状反射部材132は、横断面形状(実装基板に平行な断面の形状)を楕円形状としたものである。
【0103】
(実施形態4)
図10は、本発明の実施形態4による発光装置を説明する図であり、図10(a)は断面図、図10(b)は平面図である。
【0104】
この実施形態1の発光装置100iは、実装基板101上に配置した発光素子1a〜1dを封止樹脂102で封止した発光装置であり、実装基板101上に配置され、発光素子1a〜1dからの出射光を反射する円筒状反射部材133を備え、円筒状反射部材133は、発光素子1a〜1dとともに封止樹脂102により封止されている。ここで発光素子1は発光ダイオードチップ(以下、LEDチップという。)であり、封止樹脂102としては、実施形態1におけるものと同一の材料を用いている。
【0105】
この実施形態3では、円筒状反射部材133は逆円錐台形状をしている。発光素子1a〜1dは、円筒状反射部材の周囲に均等に配置されており、発光素子1a〜1dからの出射光Lが、実装基板101の表面と平行な方向での出射光の強度が高まるように、円筒状反射部材133の外側面133aで反射されるようになっている。
【0106】
また、円筒状反射部材133は、金属あるいは樹脂からなり、シリコーン系接着剤により実装基板101に直接固着されている。
【0107】
このような構成の本実施形態4の発光装置100dでは、実装基板101上の円筒状反射部材133を配置した領域の周囲に発光素子1a〜1dを配置し、発光素子1a〜1dからの出射光Lを円筒状反射部材133の外側面133aで水平な方向に反射させて、出射光の指向性を、実装基板101に対して水平な方向で出射光の強度がピークとなるものとしたので、発光素子1a〜1dの光出射特性を変更することなく発光装置として水平方向に強い光を出射する発光特性を実現することができる。
【0108】
また、円筒状反射部材133を封止樹脂102により発光素子1a〜1dとともに封止しているので、封止樹脂102が円筒状反射部材133により補強されることとなり、封止樹脂102として、軟らかいが耐熱性が高いという特性を持つシリコーン系樹脂を用いることができ、実施形態1と同様に、耐熱性の低い封止樹脂で生ずる黄変化に伴う光透過性の低下を回避することができ、また、封止樹脂102が発光素子1に及ぼす熱応力を小さくすることができる。
【0109】
なお、上記実施形態1では、発光装置として、4つの発光素子1a〜1dからの出射光を円筒状反射部材133の外側面133aで反射するものを示したが、本発明の発光装置における発光素子の個数は実施形態4のものに限定されるものではなく、以下発光素子の個数が上記実施形態4とは異なるものを実施形態4の変形例として説明する。
【0110】
(実施形態4の変形例)
図11は、本発明の実施形態4の変形例による発光装置を説明する図であり、図11(a)は断面図、図11(b)は平面図である。
【0111】
この実施形態4の変形例による発光装置100jは、実施形態4の発光装置100iにおける4つの発光素子1a〜1dのうちの、発光素子1cおよび1dを取り除いたものである。
【0112】
このような構成の発光装置100jでは、2つの発光素子1aおよび1bからの出射光を円筒状反射部材133により反射して、上記実施形態4の発光装置100における出射光の強度分布とは異なる強度分布の出射光を出力することができる。
【0113】
(実施形態5)
図12は、本発明の実施形態5による発光装置を説明する断面図である。
【0114】
この実施形態5の発光装置100kは、実装基板101上に配置した発光素子1および反射部材150aおよび150bを2重構造の樹脂封止部140を用いて封止した発光装置である。
【0115】
ここで、発光素子1は発光ダイオードチップ(以下、LEDチップという。)であり、内側封止樹脂141により封止されている。また、反射部材150aおよび150bは、内側封止樹脂141で封止した発光素子1を挟んで対向するよう配置されている。この反射部材150aは、磁性体からなる反射板152aと、該反射板151aを支持する支持部材153aと、該支持部材153aに取り付けられた固定板151aとを有し、該固定板151aがシリコーン接着剤により実装基板101に固着されている。
【0116】
また、反射部材150bも、反射部材150aと同様に、反射板152b、支持部材153bおよび固定板151bを有しており、反射部材110bの固定板111bが上記接着剤により実装基板101に固着されている。
【0117】
そして、内側封止樹脂141で封止した発光素子1と、該発光素子1の両側に配置した反射部材150aおよび150bとが、ドーム状の外側封止樹脂142により封止されており、この外側封止樹脂142と内側封止樹脂141との間には空間Sが形成され、上記反射部材150aおよび150bは、外側封止樹脂142と内側封止樹脂141との間の空間S内に配置されている。
【0118】
次に、本実施形態5の発光装置の製造方法について説明する。
【0119】
図13は、本発明の実施形態5による発光装置の製造方法を説明する図であり、図13(a)〜図13(d)は、反射板の取付工程および樹脂封止工程を順に示している。
【0120】
まず、実装基板101の素子配置領域に発光素子1をダイボンドなどの方法で固着し、さらにボンディングワイヤWにより発光素子1の素子電極(図示せず)と実装基板101の配線パッド(図示せず)との間を接続する(図13(a))。
【0121】
次に、該発光素子1を、例えばモールド金型(図示せず)を用いて樹脂封止して内側封止樹脂141を形成する。続いて、反射部材150aおよび150bを、内側封止樹脂141で封止した発光素子1の両側に、該発光素子1を挟んで対向するよう取り付ける。これらの反射部材150aおよび150bの取付は、固定板151aおよび151bをシリコーン接着剤により実装基板101に固着することにより行う(図13(b))。
【0122】
その後、複数の略半球状の樹脂保持部Ghを有する封止金型G1を用いて、発光素子1および反射部材150a、150bを樹脂封止する。
【0123】
具体的には、発光素子1および反射部材150aおよび150bを実装基板101の各素子配置領域上に実装した後、実装基板101を裏返して該実装基板101を封止金型G1に対して素子配置領域が、フィルム状封止樹脂142aを貼り付けた樹脂保持部Gh上に位置するよう位置決めし、発光素子1および反射部材150aおよび150bが樹脂保持部Ghに収容されるよう実装基板101を封止金型G1に密着させる(図13(c))。
【0124】
この状態で熱処理を行って、フィルム状封止樹脂142aを硬化させて外側封止樹脂142とする(図13(d))。
【0125】
その後、実装基板101を封止金型G1から取り外して該実装基板101の各素子配置領域を分離して発光装置100kを作成する。
【0126】
このような構成の本実施形態5の発光装置100kでは、発光素子1の周囲に配置した反射部材150aおよび150bにより発光素子からの出射光Lを反射させて、出射光の指向性が実装基板101に対して垂直な方向となるようにしたので、発光素子1の光出射特性を変更することなく発光装置として必要な発光特性を実現することができる。
【0127】
また、反射部材150aおよび150bを外側封止樹脂142により封止しているので、反射部材150aおよび150bを外気、特に空気中の酸素や湿気から保護することができ、腐食による破損を抑制することができる。
【0128】
さらに、この実施形態5では、反射部材150aおよび150bを封止樹脂140を構成する内側封止樹脂141と外側封止樹脂142との間に形成されたスペースに配置し、しかも反射部材150aおよび150bにおける反射板152aおよび152bを磁性体により構成しているので、発光装置の製造後に、反射部材を構成する反射板の角度を磁力の印加により調整することが可能となる。
【0129】
(実施形態6)
図14は、本発明の実施形態6による発光装置を説明する断面図である。
【0130】
この実施形態6の発光装置100mは、実装基板101上に配置した発光素子1および反射部材170aおよび170bを2重構造の樹脂封止部160を用いて封止した発光装置である。
【0131】
ここで、反射部材170aおよび170bは、実装基板101上に配置された発光素子を挟んで対向するよう配置され、実装基板101と垂直な方向に向けて発光装置100mから出射する光の強度が、実装基板101と水平な方向に向けて発光装置100mから出射する光の強度より高まるように発光素子1からの出射光を反射するよう構成されている。
【0132】
また、反射部材170aは、金属あるいは樹脂からなる反射板172aと、該反射板171aを支持する支持部材173aと、該支持部材173aに取り付けられた固定板171aとを有し、該固定板171aがシリコーン接着剤などにより実装基板101に固着されている。
【0133】
また、反射部材170bも、反射部材170aと同様にそれぞれ、反射板172b、支持部材173b、および固定板171bを有しており、反射部材170bの固定板171bがシリコーン接着剤などにより実装基板101に固着されている。
【0134】
また、実装基板101上に固着された発光素子1は、蛍光体を含む内側封止樹脂161により封止され、さらにのこの内側封止樹脂161で封止した発光素子1および反射部材170a、170bが外側封止樹脂162により封止されている。
【0135】
このような構成の本実施形態6の発光装置100mでは、発光素子1の周囲に配置した反射部材170aおよび170bにより発光素子からの出射光Lを反射させて、出射光の指向性が実装基板101に対して垂直な方向となるようにしたので、発光素子1の光出射特性を変更することなく、発光装置として実装基板の上部側での発光強度が強い発光特性のものを実現することができる。
【0136】
また、発光素子1を、蛍光体を含む内側封止樹脂161により封止しているので、発光素子1からの出射光の色が内側封止樹脂161により他の色に変換され、変換された色の光が反射部材により反射されることとなり、所望の色の出力光を所望の方向に指向性を持たせて出力することができる。
【0137】
また、反射部材を外側封止樹脂162により封止しているので、反射部材を外気、特に空気中の酸素や湿気から保護することができ、腐食による破損を抑制することができる。
【0138】
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0139】
本発明は、発光装置の分野において、発光素子からの出射光の方向を封止樹脂の内部に配置した反射部材により設定することができ、これにより発光素子の光出射特性を変えることなく、発光装置からの出射光の方向を設定することができる発光装置が得られる。
【符号の説明】
【0140】
1 発光素子
100a〜100k、100m 発光装置
101 実装基板
102 封止樹脂
110a〜110d、120a〜120d、150a、150b 反射部材
111a〜111d、121、151a、151b、171a、171b 固定板
112a〜112d、122a〜122d、152a、152b、172a、172b 反射板
113a〜113d、123a〜123d、173a、173b 支持部材
130、131、133 円筒状反射部材(筒状反射部材)
132 筒状反射部材
G、G1 封止金型
W ボンディングワイヤ
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関し、特に、発光素子とともに反射部材を封止樹脂した発光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から発光装置には、半導体発光素子として発光ダイオードチップ(以下、LEDチップという。)を実装基板上に実装した構造のものがある。
【0003】
図15は、このような従来の発光装置を説明する図であり、図15(a)はこの発光装置の斜視図、図15(b)は、この発光装置に搭載したLEDチップの断面図である。
【0004】
この発光装置200は、図15(a)に示すように、実装基板201にLEDチップ1を載置し、LEDチップ1の電極(図示せず)と実装基板201の配線パッド20aおよび20bとをボンディングワイヤWで接続し、LEDチップ1およびボンディングワイヤWを透明樹脂202で封止したものである。
【0005】
ここで、LEDチップ1は、図15(b)に示すように、N型半導体層1aとP型半導体層1bとを接合した構造を有し、該接合面より発光光Lが出射されるようになっている。一般にLEDチップ1は、PN接合面の法線方向に出射される光の強度が強く、この法線方向に対する角度が大きくなるにつれて光の強度が弱くなるという発光特性を有している。
【0006】
このような発光装置200では、出射光Lの強度分布はLEDチップの発光特性に依存することとなり、用途に応じた発光特性の発光装置を提供するには、発光装置に搭載するLEDチップの発光特性を変える必要があるという問題がある。
【0007】
そこで、このような問題に対する対策として、従来から封止樹脂の形状を変えることにより、LEDチップの発光特性を変えることなく、発光装置の発光特性をその用途に応じたものとしている。
【0008】
図16は、従来の発光装置の発光特性(指向性)を封止樹脂の形状を変えて調整する方法を説明する図である。
【0009】
図16(a)に示す発光装置200aは、図15に示す発光装置200と同様、実装基板201にLEDチップ1を載置して透明樹脂202aで封止したものであるが、この発光装置200aは、封止樹脂202aの高さHaを低くして、出射光の強度が広い範囲にわたって均等になるようにしたものである。
【0010】
また、図16(b)に示す発光装置200bは、図15に示す発光装置200と同様、実装基板201にLEDチップ1を載置して透明樹脂202bで封止したものであるが、この発光装置200bは、封止樹脂202bの高さHbを高くして、出射光の強度が実装基板201の法線方向で強く、該法線方向から遠ざかるほど出射光の強度が弱くなるようにしたものである。。
【0011】
ところが、図16(a)および図16(b)に示すように、封止樹脂の高さを変えて発光装置の発光特性を変える方法では、樹脂封止に用いる金型などの治具を複数種類準備する必要があり、また、発光装置として外形寸法の異なるものが増えると、発光装置の輸送に用いる梱包材も、外形寸法の異なる発光装置毎に用意する必要が生し、製品コストの増大につながる。
【0012】
また、発光装置の外形寸法が変わることで、例えば発光装置を電子機器の光源として電子機器の筐体内に内蔵する場合には、発光装置の外形寸法が変わると、電子機器の筐体内に配置できず、電子機器の設計変更の必要が生ずるといった問題が生ずる場合がある。
【0013】
このような問題に対しては、発光素子からの出射光を反射させて指向性を調整する方法が考えられている。
【0014】
例えば、特許文献1および2には、発光装置として反射板を用いたものが開示されている。
【0015】
図17は、この特許文献1に開示の発光装置を説明する断面図である。
【0016】
この発光装置20aは、LEDチップ10が実装された実装基板20と、LEDチップ10を封止する樹脂封止部50と、この樹脂封止部50に重ねて配置されたレンズ60とを有している。このレンズ60の光出射面60bは凸曲面状に形成されており、該レンズ60の光出射面60bの上方には空気層80を介してドーム状の色変換部材70が配置されている。
【0017】
なお、上記LEDチップ10は導電性基板11上に発光部12を配置したものであり、サブマウント部材30を介して実装基板20上に載置されている。また、この実装基板20を構成する金属板21上には絶縁層22を介して導体パターン23が形成され、サブマウント部材30および発光部12はそれぞれボンディングワイヤ14により導体パターン23に接続されている。また、レンズ60の光入射面60aは封止部50に接しており、封止部50を囲むようにその周囲にはリフレクタ40が配置され、このリフレクタ40の内側面40aでLEDチップ10からの光がレンズの光入射面60aに反射されるようになっている。
【0018】
なお、図17中、70aおよび70bは色変換部材70の内面および外面である。
【0019】
図18は、この特許文献2に開示の発光装置を説明する断面図である。
【0020】
この発光装置31は白色光源として用いられ、この発光装置31では、基板3上にサブマウント4を介して発光素子2が搭載されており、該発光素子2は、内部材35bと外殻35aを有する透明部材35により封止されている。
【0021】
ここで透明部材35の外殻35aは、周縁部が基板3から離反するように形成された斜面35cを有する。さらにこの発光装置31では、前記斜面35cには、反射増加膜38が形成されている。前記斜面35cの傾斜角度は、透明部材35の周縁部で光を全反射する角度に設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特開2008−124500号公報
【特許文献2】特開2007−317952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
以上説明したように、上記特許文献1および2に開示の発光装置では、発光素子からの出射光をリフレクタや反射板などの反射部材により所定の方向、例えば実装基板の上方側に反射するようにしており、反射部材の角度を変えることで発光装置の発光特性を変えることができる。
【0024】
しかしながら、上記特許文献1では、反射部材は封止樹脂の外側に配置されているため、リフレクタは発光装置の動作中には過熱された状態で空気にさらされるため、腐食による破損のおそれがある。
【0025】
また、特許文献2においても、反射板は、LEDチップの封止樹脂としての透明部材の側端の斜面に形成されており、封止樹脂により完全に覆われていないため、湿気などにさらされ、このため、特許文献1に開示のものと同様に腐食による破損のおそれがある。
【0026】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、実装した発光素子の出射光を反射部材により任意の方向に向けて出射することができ、しかも、反射部材を外気から保護することができる発光装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明に係る発光装置は、実装基板上に配置した発光素子を封止樹脂で封止した発光装置であって、該実装基板上に配置され、該発光素子からの出射光を反射する反射部材を備え、該反射部材は、該発光素子とともに該封止樹脂により封止されており、そのことにより上記目的が達成される。
【0028】
本発明は、上記発光装置において、前記反射部材は、前記実装基板上に配置された発光素子を囲むよう、あるいは該発光素子を挟んで対向するよう配置され、該実装基板に垂直な方向の出射光の強度が該実装基板に平行な方向の出射光の強度に比べて高まるように該発光素子からの出射光を反射することが好ましい。
【0029】
本発明は、上記発光装置において、前記反射部材は筒状反射部材から構成されており、前記発光素子は、該筒状反射部材の内側に該筒状反射部材により囲まれるよう配置されており、該実装基板に垂直な方向の出射光の強度が該実装基板に平行な方向の出射光の強度に比べて高まるように、該発光素子からの出射光を該筒状反射部材の内側面で反射することが好ましい。
【0030】
本発明は、上記発光装置において、前記筒状反射部材は逆円錐台形状を有していることが好ましい。
【0031】
本発明は、上記発光装置において、前記筒状反射部材は円筒状反射部材であり、前記実装基板に近い部分ほど半径を小さく、かつ該円筒状反射部材の側壁を、該円筒状反射部材の中心を含む面内で湾曲した形状としたものであることが好ましい。
【0032】
本発明は、上記発光装置において、前記筒状反射部材は、前記実装基板に平行な断面の形状を楕円形状としたものであることが好ましい。
【0033】
本発明は、上記発光装置において、前記発光素子は、前記実装基板上に複数配置されていることが好ましい。
【0034】
本発明は、上記発光装置において、前記発光素子は、前記実装基板上に該実装基板の中心の周りに複数配置されており、前記反射部材は、前記発光素子と該実装基板の中心との間に配置され、該実装基板に平行な方向の出射光の強度が該実装基板に垂直な方向の出射光の強度に比べて高まるように該発光素子からの出射光を反射することが好ましい。
【0035】
本発明は、上記発光装置において、前記反射部材は、前記実装基板の中央に配置された筒状反射部材であり、前記発光素子は、該筒状反射部材の周囲に均等な間隔で複数配置されており、該実装基板に平行な方向の出射光の強度が該実装基板に垂直な方向の出射光の強度に比べて高まるように、該発光素子からの出射光が該筒状反射部材の外側面で反射されることが好ましい。
【0036】
本発明は、上記発光装置において、前記封止樹脂は、前記実装基板上の発光素子が配置された領域の周囲に空間が形成されるよう該発光素子を封止しており、前記反射部材は、該発光素子の配置領域の周囲に形成された空間内に収容されていることが好ましい。
【0037】
本発明は、上記発光装置において、前記反射部材は磁性体により構成されていることが好ましい。
【0038】
本発明は、上記発光装置において、前記封止樹脂は、蛍光体を含む内側封止樹脂と、該内側封止樹脂の外側を覆う蛍光体を含まない透明樹脂とから構成されていることが好ましい。
【0039】
次に作用について説明する。
【0040】
本発明においては、実装基板上に配置され、発光素子からの出射光を反射する反射部材を備え、反射部材を発光素子とともに封止樹脂により封止したので、反射部材により発光素子からの出射光の指向性を変更でき、発光素子の光出射特性を変更することなく発光装置として必要な発光特性を実現することができる。
【0041】
また、反射部材を封止樹脂により発光素子とともに封止しているので、反射部材を外気、特に空気中の酸素や湿気から保護することができ、腐食による破損を抑制することができる。
【0042】
さらには、封止樹脂が反射部材を含むこととなるため、封止樹脂が反射部材により機械的に補強されることとなる。このため、封止樹脂として柔らかいが耐熱性のあるシリコーン樹脂を用いることができ、封止樹脂の劣化による黄変化を回避して出力光の強度低下を防止することができる。また、封止樹脂が柔らかいので、この封止樹脂が発光素子に及ぼす熱応力を小さくすることができる。
【0043】
また、本発明においては、反射部材として筒状反射部材を用い、筒状反射部材の内部に配置した発光素子からの出射光を、筒状反射部材の内面で、実装基板の上方側に反射させるので、発光素子から水平方向に出射する光を漏らさず実装基板の上方側に向けることができる。
【0044】
本発明においては、反射部材を、封止樹脂を構成する内側封止樹脂と外側封止樹脂との間に形成されたスペースに配置し、しかも反射部材を構成する反射板を磁性体により構成しているので、発光装置の製造後に、反射部材を構成する反射板の角度を磁力の印加により調整することが可能となる。
【0045】
本発明においては、封止樹脂を内側封止樹脂と外側封止樹脂の2層構造とし、内側封止樹脂を蛍光体を含むものとすることで、発光素子からの出射光の色を内側封止樹脂の蛍光体により変化させることができ、さらに、この発光素子からの出射光の色を変化させた光が反射部材により反射されることとなって、所望の色の出力光を所望の方向に指向性を持たせて出力することができる。
【発明の効果】
【0046】
以上のように、本発明によれば、実装した発光素子の出射光を反射部材により任意の方向に向けて出射することができ、しかも、反射部材の外気から保護して経年劣化を抑えることができる発光装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】図1は、本発明の実施形態1による発光装置を説明する図であり、図1(a)は断面図、図1(b)は平面図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態1による発光装置の製造方法を説明する図であり、図2(a)〜図2(d)は、反射板の取付工程および樹脂封止工程を順に示している。
【図3】図3は、本発明の実施形態1の変形例1による発光装置を説明する図であり、図3(a)は断面図、図3(b)は平面図である。
【図4】図4は、本発明の実施形態1の変形例2による発光装置を説明する図であり、図4(a)は断面図、図4(b)は平面図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態2による発光装置を説明する図であり、図5(a)は断面図、図5(b)は平面図である。
【図6】図6は、本発明の実施形態2の変形例による発光装置を説明する図であり、図6(a)は断面図、図6(b)は平面図である。
【図7】図7は、本発明の実施形態3による発光装置を説明する図であり、図7(a)は断面図、図7(b)は平面図である。
【図8】図8は、本発明の実施形態3の変形例1による発光装置を説明する図であり、図8(a)は断面図、図8(b)は平面図である。
【図9】図9は、本発明の実施形態3の変形例2による発光装置を説明する図であり、図9(a)は断面図、図9(b)は平面図である。
【図10】図10は、本発明の実施形態4による発光装置を説明する図であり、図10(a)は断面図、図10(b)は平面図である。
【図11】図11は、本発明の実施形態4の変形例による発光装置を説明する図であり、図11(a)は断面図、図11(b)は平面図である。
【図12】図12は、本発明の実施形態5による発光装置を説明する断面図である。
【図13】図13は、本発明の実施形態5による発光装置の製造方法を説明する図であり、図13(a)〜図13(d)は、反射板の取付工程および樹脂封止工程を順に示している。
【図14】図14は、本発明の実施形態6による発光装置を説明する断面図である。
【図15】図15は、従来の発光装置を説明する図であり、図15(a)は斜視図、図15(b)は該発光装置におけるLEDチップの断面図である。
【図16】図16は、従来の発光装置における課題を説明する図であり、図16(a)は封止樹脂の高さを低くしたもの、図16(b)は封止樹脂の高さを高くしたものを示している。
【図17】図17は特許文献1に開示の発光装置を説明する断面図である。
【図18】図18は特許文献1に開示の発光装置を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0049】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1による発光装置を説明する図であり、図1(a)は断面図、図1(b)は平面図である。
【0050】
この実施形態1の発光装置100aは、実装基板101上に配置した発光素子1を封止樹脂102で封止した発光装置であり、実装基板101上に配置され、発光素子1からの出射光を反射する反射部材110a〜110dを備え、反射部材110a〜110dは、発光素子1とともに封止樹脂102により封止されている。ここで発光素子1は発光ダイオードチップ(以下、LEDチップという。)であり、該発光素子1の素子電極(図示せず)と実装基板101の配線パッド(図示せず)とがボンディングワイヤWにより接続されている。また、実装基板101には例えばセラミック基板あるいはガラスエポキシ基板が用いられる。また、封止樹脂102の平面形状は、例えば図1(a)に示すように円形状であり、封止樹脂102には、例えばシリコーン樹脂あるいはエポキシ樹脂などの透明樹脂が用いられる。
【0051】
ここで、反射部材110a〜110dは、実装基板101上に配置された発光素子を囲むようその周囲に配置され、実装基板101と垂直な方向(法線方向)に向けて発光装置100aから出射する光の強度が、実装基板101と水平な方向に向けて発光装置100aから出射する光の強度より高まるように発光素子1からの出射光を反射するよう構成されている。
【0052】
また、反射部材110aは、Ni、Al、Agなどの金属あるいは白く着色した樹脂からなる反射板112aと、該反射板111aを支持する支持部材113aと、該支持部材113aに取り付けられた固定板111aとを有し、該固定板111aが接着剤により実装基板101に固着されている。ここで、支持部材113aあるいは固定板111aは金属でも樹脂でもよい。また、反射板は平板状のものに限らず、所定の曲率を有する湾曲したものでもよい。
【0053】
また、反射部材110b〜110dも、反射部材110aと同様にそれぞれ、反射板112b〜112d、支持部材113b〜113d、および固定板111b〜111dを有しており、反射部材110b〜110dの固定板111b〜111dが接着剤により実装基板101に固着されている。
【0054】
さらに、この実施形態1では、反射部材110aと反射部材110bとがLEDチップ1を挟んで対向するよう配置され、反射部材110cと反射部材110dとがLEDチップ1を挟んで対向するよう配置され、これらの反射部材110a〜110dはLEDチップ1の周囲に等間隔で配置されている。
【0055】
ここでは、4つの反射部材110a〜110dにおける各反射板112a〜112dの実装基板101の法線方向に対する傾斜角は同一としている。但し、4つの反射部材110a〜110dで、それぞれの反射板の法線方向に対する角度を異なる角度に設定してもよい。例えば、反射部材110aでは反射板112aの実装基板101の法線方向に対する傾斜角を10度とし、反射部材110bでは反射板112bの実装基板101の法線方向に対する傾斜角を20度とし、反射部材110cでは反射板112cの実装基板101の法線方向に対する傾斜角を30度とし、反射部材110dでは反射板112dの実装基板101の法線方向に対する傾斜角を40度としてもよい。
【0056】
次に、本実施形態1の発光装置の製造方法について説明する。
【0057】
図2は、本発明の実施形態1による発光装置の製造方法を説明する図であり、図2(a)〜図2(d)は、反射部材の取付工程および樹脂封止工程を順に示している。
【0058】
まず、実装基板101の素子配置領域に発光素子1をダイボンドなどの方法で固着し、さらにボンディングワイヤWにより発光素子1の素子電極(図示せず)と実装基板101の配線パッド(図示せず)との間を接続する(図2(a))。
【0059】
次に、反射部材110a〜110dを発光素子1の周囲に均等な間隔で取り付ける。これらの反射部材110a〜110dの取付は上記のとおり固定板111a〜111dをシリコーン接着剤により実装基板101に固着することにより行う(図2(b))。
【0060】
続いて、複数の半球状の樹脂溜部Grを有する封止金型Gを用いて、発光素子1および反射部材110a〜110dを樹脂封止する。
【0061】
具体的には、発光素子1および反射部材110a〜110dを実装基板101の各素子配置領域上に実装した後、実装基板101を裏返して該実装基板101を封止金型Gに対して素子配置領域が、液状の封止樹脂(例えばシリコーン樹脂あるいはエポキシ樹脂)102aで満たした樹脂溜部Gr上に位置するよう位置決めし、発光素子1および反射部材110a〜110dが樹脂溜部Grに収容されるよう実装基板101を封止金型Gに密着させる(図2(c))。
【0062】
この状態で熱処理を行って、液状の封止樹脂102aを硬化させて封止樹脂102とする(図2(d))。
【0063】
その後、実装基板101を封止金型Gから取り外して該実装基板101の各素子配置領域を分離して発光装置100aを作成する。
【0064】
このような構成の本実施形態1の発光装置100aでは、発光素子1の周囲に配置した反射部材110a〜110dにより発光素子からの出射光Lを反射させて、出射光の強度が実装基板101に対して垂直な方向で最大となるようにしたので、発光素子1の光出射特性を変更することなく発光装置として必要な発光特性、つまり実装基板の法線方向の出射光の強度が最大となる特性を実現することができる。
【0065】
また、反射部材110a〜110dを封止樹脂102により発光素子1とともに封止しているので、反射部材を外気、特に空気中の酸素や湿気から保護することができ、腐食による破損を抑制することができ、これにより経年劣化を抑えることができる。
【0066】
さらには、封止樹脂102が反射部材110a〜110dを含むこととなるため、封止樹脂が反射部材により機械的に補強されることとなる。これにより、封止樹脂102として、軟らかいが耐熱性が高いという特性を持つシリコーン樹脂を用いることができ、耐熱性の低い封止樹脂で生ずる黄変化に伴う光透過性の低下を回避することができ、また、封止樹脂102が発光素子1に及ぼす熱応力を小さくすることができる。
【0067】
なお、上記実施形態1では、封止樹脂102の平面形状は、例えば図1(a)に示すように円形状としているが、これは矩形形状であってもよい。
【0068】
また、上記実施形態1では、発光装置として、1つの発光素子からの出射光を4つの反射部材により反射するものを示したが、本発明の発光装置における反射部材の個数や発光素子の個数は実施形態1のものに限定されるものではなく、以下反射部材あるいは発光素子の個数が上記実施形態1とは異なるものを実施形態1の変形例として説明する。
【0069】
(実施形態1の変形例1)
図3は、本発明の実施形態1の変形例1による発光装置を説明する図であり、図3(a)は断面図、図3(b)は平面図である。
【0070】
この実施形態1の変形例1による発光装置100aは、実施形態1の発光装置100における発光素子1に代えて、左右一対の2つの発光素子1aおよび1bを備えたものである。なお、図3中、図1と同一符号は同一のものを示す。
【0071】
このような構成の発光装置100aでは、実施形態1の発光装置100に比べて出射光のパワーを増大させたり、1つの発光素子における出射光の強度を低減させて、1つの発光素子での発熱量を低下させたりすることができる。
【0072】
なお、この実施形態1の変形例1では、反射部材110a〜110dは実施形態1におけるものと同一のものであるが、例えば2つの発光素子1aおよび1bの配列方向と平行な反射板112cおよび112dは、その幅を発光素子1aおよび1bの配列方向に沿って拡張したものとしてもよい。
【0073】
(実施形態1の変形例2)
図4は、本発明の実施形態1の変形例2による発光装置を説明する図であり、図4(a)は断面図、図4(b)は平面図である。
【0074】
この実施形態1の変形例2による発光装置100cは、実施形態1の発光装置100における4つの反射部材110a〜110dのうちの対向する一対の反射部材110cおよび110dを取り除いたものである。
【0075】
このような構成の発光装置100cでは、対向する一対の反射部材110aおよび110bにより、発光素子1からの出射光を反射して、上記実施形態1の発光装置100における出射光の強度分布(指向性)とは異なる強度分布の出射光を出力することができる。
【0076】
(実施形態2)
図5は、本発明の実施形態2による発光装置を説明する図であり、図5(a)は断面図、図5(b)は平面図である。
【0077】
この実施形態1の発光装置100dは、実装基板101上に配置した発光素子1a〜1dを封止樹脂102で封止した発光装置であり、実装基板101上に配置され、発光素子1a〜1dからの出射光を反射する反射部材120a〜120dを備え、反射部材120a〜120dは、発光素子1a〜1dとともに封止樹脂102により封止されている。ここで発光素子1は発光ダイオードチップ(以下、LEDチップという。)であり、反射部材120a〜120d、および封止樹脂102としては、実施形態1におけるものと同一の材料を用いている。
【0078】
この実施形態2では、発光素子1a〜1dは、実装基板101上にこの実装基板101の中心の周りに均等に配置されている。具体的には、発光素子1aおよび1bは、実装基板101の中心を挟んで対向するよう紙面左右方向に並べて配置され、発光素子1cおよび1dは、実装基板101の中心を挟んで対向するよう紙面上下方向に並べて配置されている。また、反射部材120a〜120dは、それぞれの発光素子1a〜1d毎に配置されている。
【0079】
反射部材120aは、発光素子1aと実装基板101の中心(図5(b)参照)との間に配置された反射板122aと、該反射板122aを支持する支持部材123aと、該支持部材123aに取り付けられた固定板121とを有している。
【0080】
また、その他の反射部材120b〜120dも、反射部材120aと同様に、反射板122b〜122dと、該反射板122b〜122dを支持する支持部材123b〜123dと、該支持部材123b〜123dに取り付けられた固定板121とを有している。
【0081】
このように各反射部材120a〜120dは固定板120を共有しており、この固定板120は接着剤により実装基板101の中央部分に固着されている。
【0082】
反射部材120a〜120dは、実装基板101と水平な方向に向けて発光装置100dから出射する光の強度が、実装基板101と垂直な方向に向けて発光装置100dから出射する光の強度より高まるように発光素子1a〜1dからの出射光Lを反射するよう構成されている。
【0083】
このような構成の本実施形態2の発光装置100dでは、発光素子1a〜1d毎に配置した反射部材120a〜120dにより発光素子からの出射光Lを反射させて、出射光の指向性が実装基板101に対して水平な方向となるようにしたので、発光素子1a〜1dの光出射特性を変更することなく発光装置として必要な発光特性を実現することができる。
【0084】
また、反射部材120a〜120dを封止樹脂102により発光素子1a〜1dとともに封止しているので、封止樹脂102が反射部材を補強することとなり、反射部材自体に機械的強度を持たせる必要がなくなり、反射部材の構造が大きなものとなるのを回避でき、さらに、反射部材を外部環境からの想定外の外力や湿気などから保護することができる。
【0085】
なお、上記実施形態2では、4つの反射部材120a〜120dにおける各反射板122a〜122dの実装基板101の法線方向に対する傾斜角は同一としているが、4つの反射部材120a〜120dで、それぞれの反射板の法線方向に対する角度を異なる角度に設定してもよい。
【0086】
また、上記実施形態2では、発光装置として、4つの発光素子1a〜1dからの出射光を対応する4つの反射部材120a〜120dにより反射するものを示したが、本発明の発光装置における反射部材の個数や発光素子の個数は実施形態2のものに限定されるものではなく、以下反射部材あるいは発光素子の個数が上記実施形態2とは異なるものを実施形態2の変形例として説明する。
【0087】
(実施形態2の変形例)
図6は、本発明の実施形態2の変形例による発光装置を説明する図であり、図6(a)は断面図、図6(b)は平面図である。
【0088】
この実施形態2の変形例による発光装置100eは、実施形態2の発光装置100dにおける4つの発光素子1a〜1dおよび4つの反射部材120a〜120dのうちの、発光素子1cおよび1dおよびこれらの対応する反射部材120cおよび120dを取り除いたものである。
【0089】
このような構成の発光装置100dでは、2つの発光素子1aおよび1bからの出射光を、発光素子1aおよび1bに対応する反射部材120aおよび120bにより反射して、上記実施形態2の発光装置100dにおける出射光の強度分布(指向性)とは異なる強度分布の出射光を出力することができる。
【0090】
(実施形態3)
図7は、本発明の実施形態3による発光装置を説明する図であり、図7(a)は断面図、図7(b)は平面図である。
【0091】
この実施形態3の発光装置100fは、実装基板101上に配置した発光素子1を封止樹脂102で封止した発光装置であり、実装基板101上に配置され、発光素子1からの出射光を反射する反射部材130を備え、反射部材130は、発光素子1とともに封止樹脂102により封止されている。ここで発光素子1は発光ダイオードチップ(以下、LEDチップという。)であり、封止樹脂102としては、実施形態1におけるものと同一の材料を用いている。
【0092】
この実施形態3では、反射部材130は、円筒状反射部材から構成されており、この円筒状反射部材の形状は逆円錐台形状である。発光素子1は、円筒状反射部材130の内側にこの円筒状反射部材130により囲まれるよう配置されており、発光素子1からの出射光Lが、実装基板101と垂直な方向に向けて該発光素子から出射する光の強度が高まるように、円筒状反射部材130の内側面130aで反射されるようになっている。
【0093】
また、円筒状反射部材130は、金属あるいは樹脂からなり、シリコーン接着剤により実装基板101に直接固着されている。
【0094】
このような構成の実施形態3の発光装置100fでは、実施形態1の効果に加えて、逆円錐台形状の円筒状反射部材130の内部に配置した発光素子1からの出射光Lを、該円筒状反射部材130の内面130aで実装基板の上方側に反射するので、発光素子1から水平方向に出射する光をすべて実装基板の上方に向けることができる。
【0095】
また、反射部材として1つの部材である逆円錐台形状の円筒状反射部材を用いるので、発光装置の製造工程での反射部材の取り付け作業が簡単になる。
【0096】
なお、上記実施形態3では、筒状反射部材として逆円錐台形状のものを示したが、筒状反射部材の縦断面形状および横断面形状は上記実施形態3のものに限定されるものではない。
【0097】
(実施形態3の変形例1)
図8は、本発明の実施形態3の変形例1による発光装置を説明する図であり、図8(a)は断面図、図8(b)は平面図である。
【0098】
この実施形態3の変形例1の発光装置100gは、実施形態3の発光装置100fにおける円筒状反射部材130に代えて、この円筒状反射部材130とは断面形状が異なる円筒状反射部材131を備えたものである。
【0099】
つまり、この実施形態3の変形例1の発光装置100fでは、円筒状反射部材131は、実装基板101に近い部分ほど半径が小さく、かつ円筒状反射部材の側壁の縦断面の形状は湾曲した形状となっている。
【0100】
(実施形態3の変形例2)
図9は、本発明の実施形態3の変形例2による発光装置を説明する図であり、図9(a)は断面図、図9(b)は平面図である。
【0101】
この実施形態3の変形例2の発光装置100hは、実施形態3の発光装置100fにおける円筒状反射部材130に代えて、この円筒状反射部材130とは横断面形状が異なる筒状反射部材132を備えたものである。
【0102】
つまり、この実施形態3の変形例2の発光装置100hでは、筒状反射部材132は、横断面形状(実装基板に平行な断面の形状)を楕円形状としたものである。
【0103】
(実施形態4)
図10は、本発明の実施形態4による発光装置を説明する図であり、図10(a)は断面図、図10(b)は平面図である。
【0104】
この実施形態1の発光装置100iは、実装基板101上に配置した発光素子1a〜1dを封止樹脂102で封止した発光装置であり、実装基板101上に配置され、発光素子1a〜1dからの出射光を反射する円筒状反射部材133を備え、円筒状反射部材133は、発光素子1a〜1dとともに封止樹脂102により封止されている。ここで発光素子1は発光ダイオードチップ(以下、LEDチップという。)であり、封止樹脂102としては、実施形態1におけるものと同一の材料を用いている。
【0105】
この実施形態3では、円筒状反射部材133は逆円錐台形状をしている。発光素子1a〜1dは、円筒状反射部材の周囲に均等に配置されており、発光素子1a〜1dからの出射光Lが、実装基板101の表面と平行な方向での出射光の強度が高まるように、円筒状反射部材133の外側面133aで反射されるようになっている。
【0106】
また、円筒状反射部材133は、金属あるいは樹脂からなり、シリコーン系接着剤により実装基板101に直接固着されている。
【0107】
このような構成の本実施形態4の発光装置100dでは、実装基板101上の円筒状反射部材133を配置した領域の周囲に発光素子1a〜1dを配置し、発光素子1a〜1dからの出射光Lを円筒状反射部材133の外側面133aで水平な方向に反射させて、出射光の指向性を、実装基板101に対して水平な方向で出射光の強度がピークとなるものとしたので、発光素子1a〜1dの光出射特性を変更することなく発光装置として水平方向に強い光を出射する発光特性を実現することができる。
【0108】
また、円筒状反射部材133を封止樹脂102により発光素子1a〜1dとともに封止しているので、封止樹脂102が円筒状反射部材133により補強されることとなり、封止樹脂102として、軟らかいが耐熱性が高いという特性を持つシリコーン系樹脂を用いることができ、実施形態1と同様に、耐熱性の低い封止樹脂で生ずる黄変化に伴う光透過性の低下を回避することができ、また、封止樹脂102が発光素子1に及ぼす熱応力を小さくすることができる。
【0109】
なお、上記実施形態1では、発光装置として、4つの発光素子1a〜1dからの出射光を円筒状反射部材133の外側面133aで反射するものを示したが、本発明の発光装置における発光素子の個数は実施形態4のものに限定されるものではなく、以下発光素子の個数が上記実施形態4とは異なるものを実施形態4の変形例として説明する。
【0110】
(実施形態4の変形例)
図11は、本発明の実施形態4の変形例による発光装置を説明する図であり、図11(a)は断面図、図11(b)は平面図である。
【0111】
この実施形態4の変形例による発光装置100jは、実施形態4の発光装置100iにおける4つの発光素子1a〜1dのうちの、発光素子1cおよび1dを取り除いたものである。
【0112】
このような構成の発光装置100jでは、2つの発光素子1aおよび1bからの出射光を円筒状反射部材133により反射して、上記実施形態4の発光装置100における出射光の強度分布とは異なる強度分布の出射光を出力することができる。
【0113】
(実施形態5)
図12は、本発明の実施形態5による発光装置を説明する断面図である。
【0114】
この実施形態5の発光装置100kは、実装基板101上に配置した発光素子1および反射部材150aおよび150bを2重構造の樹脂封止部140を用いて封止した発光装置である。
【0115】
ここで、発光素子1は発光ダイオードチップ(以下、LEDチップという。)であり、内側封止樹脂141により封止されている。また、反射部材150aおよび150bは、内側封止樹脂141で封止した発光素子1を挟んで対向するよう配置されている。この反射部材150aは、磁性体からなる反射板152aと、該反射板151aを支持する支持部材153aと、該支持部材153aに取り付けられた固定板151aとを有し、該固定板151aがシリコーン接着剤により実装基板101に固着されている。
【0116】
また、反射部材150bも、反射部材150aと同様に、反射板152b、支持部材153bおよび固定板151bを有しており、反射部材110bの固定板111bが上記接着剤により実装基板101に固着されている。
【0117】
そして、内側封止樹脂141で封止した発光素子1と、該発光素子1の両側に配置した反射部材150aおよび150bとが、ドーム状の外側封止樹脂142により封止されており、この外側封止樹脂142と内側封止樹脂141との間には空間Sが形成され、上記反射部材150aおよび150bは、外側封止樹脂142と内側封止樹脂141との間の空間S内に配置されている。
【0118】
次に、本実施形態5の発光装置の製造方法について説明する。
【0119】
図13は、本発明の実施形態5による発光装置の製造方法を説明する図であり、図13(a)〜図13(d)は、反射板の取付工程および樹脂封止工程を順に示している。
【0120】
まず、実装基板101の素子配置領域に発光素子1をダイボンドなどの方法で固着し、さらにボンディングワイヤWにより発光素子1の素子電極(図示せず)と実装基板101の配線パッド(図示せず)との間を接続する(図13(a))。
【0121】
次に、該発光素子1を、例えばモールド金型(図示せず)を用いて樹脂封止して内側封止樹脂141を形成する。続いて、反射部材150aおよび150bを、内側封止樹脂141で封止した発光素子1の両側に、該発光素子1を挟んで対向するよう取り付ける。これらの反射部材150aおよび150bの取付は、固定板151aおよび151bをシリコーン接着剤により実装基板101に固着することにより行う(図13(b))。
【0122】
その後、複数の略半球状の樹脂保持部Ghを有する封止金型G1を用いて、発光素子1および反射部材150a、150bを樹脂封止する。
【0123】
具体的には、発光素子1および反射部材150aおよび150bを実装基板101の各素子配置領域上に実装した後、実装基板101を裏返して該実装基板101を封止金型G1に対して素子配置領域が、フィルム状封止樹脂142aを貼り付けた樹脂保持部Gh上に位置するよう位置決めし、発光素子1および反射部材150aおよび150bが樹脂保持部Ghに収容されるよう実装基板101を封止金型G1に密着させる(図13(c))。
【0124】
この状態で熱処理を行って、フィルム状封止樹脂142aを硬化させて外側封止樹脂142とする(図13(d))。
【0125】
その後、実装基板101を封止金型G1から取り外して該実装基板101の各素子配置領域を分離して発光装置100kを作成する。
【0126】
このような構成の本実施形態5の発光装置100kでは、発光素子1の周囲に配置した反射部材150aおよび150bにより発光素子からの出射光Lを反射させて、出射光の指向性が実装基板101に対して垂直な方向となるようにしたので、発光素子1の光出射特性を変更することなく発光装置として必要な発光特性を実現することができる。
【0127】
また、反射部材150aおよび150bを外側封止樹脂142により封止しているので、反射部材150aおよび150bを外気、特に空気中の酸素や湿気から保護することができ、腐食による破損を抑制することができる。
【0128】
さらに、この実施形態5では、反射部材150aおよび150bを封止樹脂140を構成する内側封止樹脂141と外側封止樹脂142との間に形成されたスペースに配置し、しかも反射部材150aおよび150bにおける反射板152aおよび152bを磁性体により構成しているので、発光装置の製造後に、反射部材を構成する反射板の角度を磁力の印加により調整することが可能となる。
【0129】
(実施形態6)
図14は、本発明の実施形態6による発光装置を説明する断面図である。
【0130】
この実施形態6の発光装置100mは、実装基板101上に配置した発光素子1および反射部材170aおよび170bを2重構造の樹脂封止部160を用いて封止した発光装置である。
【0131】
ここで、反射部材170aおよび170bは、実装基板101上に配置された発光素子を挟んで対向するよう配置され、実装基板101と垂直な方向に向けて発光装置100mから出射する光の強度が、実装基板101と水平な方向に向けて発光装置100mから出射する光の強度より高まるように発光素子1からの出射光を反射するよう構成されている。
【0132】
また、反射部材170aは、金属あるいは樹脂からなる反射板172aと、該反射板171aを支持する支持部材173aと、該支持部材173aに取り付けられた固定板171aとを有し、該固定板171aがシリコーン接着剤などにより実装基板101に固着されている。
【0133】
また、反射部材170bも、反射部材170aと同様にそれぞれ、反射板172b、支持部材173b、および固定板171bを有しており、反射部材170bの固定板171bがシリコーン接着剤などにより実装基板101に固着されている。
【0134】
また、実装基板101上に固着された発光素子1は、蛍光体を含む内側封止樹脂161により封止され、さらにのこの内側封止樹脂161で封止した発光素子1および反射部材170a、170bが外側封止樹脂162により封止されている。
【0135】
このような構成の本実施形態6の発光装置100mでは、発光素子1の周囲に配置した反射部材170aおよび170bにより発光素子からの出射光Lを反射させて、出射光の指向性が実装基板101に対して垂直な方向となるようにしたので、発光素子1の光出射特性を変更することなく、発光装置として実装基板の上部側での発光強度が強い発光特性のものを実現することができる。
【0136】
また、発光素子1を、蛍光体を含む内側封止樹脂161により封止しているので、発光素子1からの出射光の色が内側封止樹脂161により他の色に変換され、変換された色の光が反射部材により反射されることとなり、所望の色の出力光を所望の方向に指向性を持たせて出力することができる。
【0137】
また、反射部材を外側封止樹脂162により封止しているので、反射部材を外気、特に空気中の酸素や湿気から保護することができ、腐食による破損を抑制することができる。
【0138】
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0139】
本発明は、発光装置の分野において、発光素子からの出射光の方向を封止樹脂の内部に配置した反射部材により設定することができ、これにより発光素子の光出射特性を変えることなく、発光装置からの出射光の方向を設定することができる発光装置が得られる。
【符号の説明】
【0140】
1 発光素子
100a〜100k、100m 発光装置
101 実装基板
102 封止樹脂
110a〜110d、120a〜120d、150a、150b 反射部材
111a〜111d、121、151a、151b、171a、171b 固定板
112a〜112d、122a〜122d、152a、152b、172a、172b 反射板
113a〜113d、123a〜123d、173a、173b 支持部材
130、131、133 円筒状反射部材(筒状反射部材)
132 筒状反射部材
G、G1 封止金型
W ボンディングワイヤ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装基板上に配置した発光素子を封止樹脂で封止した発光装置であって、
該実装基板上に配置され、該発光素子からの出射光を反射する反射部材を備え、
該反射部材は、該発光素子とともに該封止樹脂により封止されている発光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発光装置において、
前記反射部材は、前記実装基板上に配置された発光素子を囲むよう、あるいは該発光素子を挟んで対向するよう配置され、該実装基板に垂直な方向の出射光の強度が該実装基板に平行な方向の出射光の強度に比べて高まるように該発光素子からの出射光を反射する発光装置。
【請求項3】
請求項1に記載の発光装置において、
前記反射部材は筒状反射部材から構成されており、
前記発光素子は、該筒状反射部材の内側に該筒状反射部材により囲まれるよう配置されており、
該実装基板に垂直な方向の出射光の強度が該実装基板に平行な方向の出射光の強度に比べて高まるように、該発光素子からの出射光を該筒状反射部材の内側面で反射する発光装置。
【請求項4】
請求項3に記載の発光装置において、
前記筒状反射部材は逆円錐台形状を有している発光装置。
【請求項5】
請求項3に記載の発光装置において、
前記筒状反射部材は円筒状反射部材であり、
前記実装基板に近い部分ほど半径を小さく、かつ該円筒状反射部材の側壁を、該円筒状反射部材の中心を含む面内で湾曲した形状としたものである発光装置。
【請求項6】
請求項3に記載の発光装置において、
前記筒状反射部材は、前記実装基板に平行な断面の形状を楕円形状としたものである発光装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の発光装置において、
前記発光素子は、前記実装基板上に複数配置されている発光装置。
【請求項8】
請求項1に記載の発光装置において、
前記発光素子は、前記実装基板上に該実装基板の中心の周りに複数配置されており、
前記反射部材は、前記発光素子と該実装基板の中心との間に配置され、該実装基板に平行な方向の出射光の強度が該実装基板に垂直な方向の出射光の強度に比べて高まるように該発光素子からの出射光を反射する発光装置。
【請求項9】
請求項1に記載の発光装置において、
前記反射部材は、前記実装基板の中央に配置された筒状反射部材であり、
前記発光素子は、該筒状反射部材の周囲に均等な間隔で複数配置されており、
該実装基板に平行な方向の出射光の強度が該実装基板に垂直な方向の出射光の強度に比べて高まるように、該発光素子からの出射光が該筒状反射部材の外側面で反射される発光装置。
【請求項10】
請求項1に記載の発光装置において、
前記封止樹脂は、前記実装基板上の発光素子が配置された領域の周囲に空間が形成されるよう該発光素子を封止しており、
前記反射部材は、該発光素子の配置領域の周囲に形成された空間内に収容されている発光装置。
【請求項11】
請求項10に記載の発光装置において、
前記反射部材は磁性体により構成されている発光装置。
【請求項12】
請求項1に記載の発光装置において、
前記封止樹脂は、蛍光体を含む内側封止樹脂と、該内側封止樹脂の外側を覆う蛍光体を含まない透明樹脂とから構成されている発光装置。
【請求項1】
実装基板上に配置した発光素子を封止樹脂で封止した発光装置であって、
該実装基板上に配置され、該発光素子からの出射光を反射する反射部材を備え、
該反射部材は、該発光素子とともに該封止樹脂により封止されている発光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発光装置において、
前記反射部材は、前記実装基板上に配置された発光素子を囲むよう、あるいは該発光素子を挟んで対向するよう配置され、該実装基板に垂直な方向の出射光の強度が該実装基板に平行な方向の出射光の強度に比べて高まるように該発光素子からの出射光を反射する発光装置。
【請求項3】
請求項1に記載の発光装置において、
前記反射部材は筒状反射部材から構成されており、
前記発光素子は、該筒状反射部材の内側に該筒状反射部材により囲まれるよう配置されており、
該実装基板に垂直な方向の出射光の強度が該実装基板に平行な方向の出射光の強度に比べて高まるように、該発光素子からの出射光を該筒状反射部材の内側面で反射する発光装置。
【請求項4】
請求項3に記載の発光装置において、
前記筒状反射部材は逆円錐台形状を有している発光装置。
【請求項5】
請求項3に記載の発光装置において、
前記筒状反射部材は円筒状反射部材であり、
前記実装基板に近い部分ほど半径を小さく、かつ該円筒状反射部材の側壁を、該円筒状反射部材の中心を含む面内で湾曲した形状としたものである発光装置。
【請求項6】
請求項3に記載の発光装置において、
前記筒状反射部材は、前記実装基板に平行な断面の形状を楕円形状としたものである発光装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の発光装置において、
前記発光素子は、前記実装基板上に複数配置されている発光装置。
【請求項8】
請求項1に記載の発光装置において、
前記発光素子は、前記実装基板上に該実装基板の中心の周りに複数配置されており、
前記反射部材は、前記発光素子と該実装基板の中心との間に配置され、該実装基板に平行な方向の出射光の強度が該実装基板に垂直な方向の出射光の強度に比べて高まるように該発光素子からの出射光を反射する発光装置。
【請求項9】
請求項1に記載の発光装置において、
前記反射部材は、前記実装基板の中央に配置された筒状反射部材であり、
前記発光素子は、該筒状反射部材の周囲に均等な間隔で複数配置されており、
該実装基板に平行な方向の出射光の強度が該実装基板に垂直な方向の出射光の強度に比べて高まるように、該発光素子からの出射光が該筒状反射部材の外側面で反射される発光装置。
【請求項10】
請求項1に記載の発光装置において、
前記封止樹脂は、前記実装基板上の発光素子が配置された領域の周囲に空間が形成されるよう該発光素子を封止しており、
前記反射部材は、該発光素子の配置領域の周囲に形成された空間内に収容されている発光装置。
【請求項11】
請求項10に記載の発光装置において、
前記反射部材は磁性体により構成されている発光装置。
【請求項12】
請求項1に記載の発光装置において、
前記封止樹脂は、蛍光体を含む内側封止樹脂と、該内側封止樹脂の外側を覆う蛍光体を含まない透明樹脂とから構成されている発光装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2013−41952(P2013−41952A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177325(P2011−177325)
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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