発光鋲、制御ボックス、およびこれらを備えた照明システム
【課題】従来よりも格段に、低電力消費、高効率高輝度発光、低敷設コストでもってトンネル内を安全に歩行できる照明システムを提供すること。
【解決手段】本照明システムは、車道2と歩道3とを備えたトンネル1に設置されるものであり、フィールドエミッションランプ10内蔵の発光鋲6をトンネル内部に所定間隔で配置するとともに、照明モードでは第1の発光輝度で歩道を照明するよう駆動し、注意喚起モードでは第1の発光輝度よりも高い第2の発光輝度で点滅動作させるようになっている。
【解決手段】本照明システムは、車道2と歩道3とを備えたトンネル1に設置されるものであり、フィールドエミッションランプ10内蔵の発光鋲6をトンネル内部に所定間隔で配置するとともに、照明モードでは第1の発光輝度で歩道を照明するよう駆動し、注意喚起モードでは第1の発光輝度よりも高い第2の発光輝度で点滅動作させるようになっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車道と歩道とを備えたトンネルの内部に所定間隔で設置される発光鋲、発光鋲を制御する制御ボックス、およびこれらを備えた照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
発光鋲は、一般に、道路の路面上に設置されるなどして、例えば、交通誘導標識、防災避難誘導灯、等に使用されている(特許文献1参照)。発光鋲は、道路上に所定間隔で配置されて、光を点滅させることにより、自動車を運転するドライバーに注意を喚起させて交通誘導などさせる。このような道路のうちトンネル内道路には車道に加えて歩道を備えて児童の通学路、近隣住民の生活路に加えて他府県からの旅行者等の通過路になっているものがあり、このような生活トンネルでは歩行者の安全確保上、発光鋲に加えて照明灯の設置は必須である。
【0003】
ところで、このような生活トンネルの中には歩道が狭い上に照明が少なくて暗いトンネルがある一方で、トンネル内の歩行者の中には無灯火車両や通過風圧が大きい大型車があるために、トンネル内の暗い照明の中を歩行する歩行者に危険を及ぼすことがあり、また、車両のドライバーからは発光鋲の点滅輝度が低い場合では発光鋲の点滅で車道と歩道との境界が視認しづらく安全走行に支障を来たすことがある。
【0004】
以上の事情に鑑みてトンネル内道路の歩行者の歩行の安全確保のためのトンネル内道路では、照明灯とは別途にドライバーへの注意喚起のため発光鋲を設置する場合、照明設備の敷設コストが高価となるとともに、電力コストも相当に嵩むという課題がある。また、発光ダイオード(LED)に照明灯機能と発光鋲機能とを兼用させることがある。しかしながら、発光ダイオードは点状光源であって面状光源ではないために、照明灯としての機能を実現するには発光ダイオードを多数設置することが必要となり、その敷設コストが膨大となる上に、発光ダイオードの発光輝度を高めるために大電流が必要となり電力コストが著しく高価になるとともに発熱により寿命の早期劣化を来たし長期設置には不向きであるという課題がある。
【特許文献1】特開平10−135521号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明により解決すべき課題は、
(1)発光鋲に照明灯機能を持たせる際に蛍光灯や発光ダイオード等の他のランプ類よりも低電力消費でありながら高発光輝度構造のものを用いて敷設数少なくして敷設コストを低減可能となし、
(2)さらに発光ダイオードのごとき点光源ではなく面状光源として使用可能となして照明灯機能を実現可能となし、
(3)かつ、トンネル内道路の照明時(照明モード)の発光輝度よりもドライバーへの注意喚起時(注意喚起モード)にはより高発光輝度で点滅可能としてドライバーの注意喚起をより高いレベルで促してトンネル内道路の歩行者の安全歩行を図ることら加えて、
(4)さらに、照明モードと注意喚起モードの切り替えに際して瞬時にそのモードの切り替えを可能としかつどのモードにおいても立上がり時から高輝度、高効率で発光可能としかつそのための電力消費も低減可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による照明システムは、車道と歩道とを備えたトンネルに設置される照明システムにおいて、フィールドエミッションランプ内蔵発光鋲をトンネル内部に所定間隔で配置するとともに、照明モードでは第1の発光輝度で歩道を照明するよう駆動し、注意喚起モードでは第1の発光輝度よりも高い第2の発光輝度で点滅動作させる、ことを特徴とするものである。
【0007】
フィールドエミッションランプは、真空封止管内に発光面が面状である蛍光体付き陽極と、この蛍光体付き陽極と対向配置された1つないし複数の線状陰極とを備えた面状光源であり、線状陰極は導電性ワイヤとこの導電性ワイヤの外周面に形成されたカーボン膜からなる電界電子放出部が形成されてなるものであることが好ましい。
【0008】
発光鋲はトランスを内蔵しており、そのトランスから蛍光体付き陽極と線状陰極との間に、照明モードではパルス状高電圧を連続印加し、注意喚起モードではパルス状高電圧を周期的に印加することが好ましい。
【0009】
トンネル内の歩行者または進入車両の有無に対応したセンサ信号を出力するセンサを備え、発光鋲の点灯状態をこのセンサからのセンサ信号に応答して照明モードと注意喚起モードとにモード切り換えしてもよい。
【0010】
本発明の照明システムは、照明モードでは発光鋲を照明灯として第1の発光輝度で発光することができ、注意喚起モードでは発光鋲を第1の発光輝度よりも高輝度の第2の発光輝度で発光することができる。そして、発光鋲に内蔵するランプとしてフィールドエミッションランプを用いているので、蛍光灯や発光ダイオード等の他のランプ類よりも低電力消費でありながら高発光輝度することができるから、発光鋲の敷設数少なくして敷設コストを低減することができる。
【0011】
また、フィールドエミッションランプを、真空封止管内に発光面が面状である蛍光体付き陽極と、この蛍光体付き陽極と対向配置された1つないし複数の線状陰極とを備えた面状光源とした場合、発光ダイオードのごとき点光源とは異なって、該フィールドエミッションランプを内蔵する発光鋲の使用数が少なくても照明灯として十分な明るさで歩道を広範囲に照明することができる。さらに、トンネル内道路の照明時(照明モード)の発光輝度よりもドライバーへの注意喚起時(注意喚起モード)には、より高発光輝度で点滅するのでドライバーにはトンネルに進入する以前からトンネル内道路の歩行者に対する注意を喚起することができ、歩行者は明るい照明でかつ安全に歩行することができる。
【0012】
また、フィールドエミッションランプの線状陰極を、導電性ワイヤとこの導電性ワイヤの外周面に形成されたカーボン膜からなる電界電子放出部の構成とした場合においては、そのカーボン膜をカーボンナノウォール膜により構成することが好ましい。カーボンナノウォール膜は、基板上に多数のナノオーダの壁状炭素薄片が平面方向に集合連成された形態であり、カーボンナノウォール膜は、電気伝導度の高いグラファイトに近い結晶構造を持ち、数十層のグラフェンシートからなり、電圧印加により端部である壁状部の上面で高い電界集中が起こって電子を放出するものである。カーボンナノウォール膜は熱的安定性、機械的強度に優れており、低真空環境下でも安定した電子放出特性を有する。カーボンナノウォール膜の壁状部は両側壁面と上壁面(端部)からなり、この上壁面に電界集中が起こって該上壁面から電子放出が行われる。カーボンナノウォール膜は、比較的低温でかつ10-1ないし10-2Pa程度の低真空環境下でも電子放出が行われるなど、環境負荷が極めて小さい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、従来よりも格段に、低電力消費、高効率高輝度発光、低敷設コストでもってトンネル内を安全に歩行させることができる照明システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態に係る発光鋲およびそれを用いた照明システムを説明すると、図1(a)(b)は、照明システムの概要を説明するためのトンネルを示す図であり、このトンネル1は車道2の両側に歩道3を備えたアーチ状をなし、そのトンネル内壁には多数の照明灯4がトンネル入口から出口に整列状に敷設されている。これら照明灯4はトンネル内部全体を照明する通常の蛍光灯である。歩道3の路肩側には防護柵5が設置されている。
【0015】
歩道3の路肩に等間隔で複数の発光鋲6と複数の制御ボックス7とが埋設され相互に配線接続されている。実施の形態では発光鋲6と制御ボックス7とは別体であるが、発光鋲6と制御ボックス7とを一体化してもよい。
【0016】
トンネル1の入口部分の壁にトンネル1内の歩行者を検知するための歩行者センサ8が設置されている。歩行者センサ8は公知のものを用いることができる。歩行者センサ8は各制御ボックス7に共通に配線され、トンネル1内の歩行者無しの場合は第1のセンサ信号を、歩行者有りの場合は第2のセンサ信号を各制御ボックス7それぞれに出力するようになっている。
【0017】
制御ボックス7は、歩行者センサ8よりのトンネル内の歩行者無しの第1のセンサ信号の入力に応答して歩道3を照明する照明モードとし、歩行者センサ8よりのトンネル内の歩行者有りの第2のセンサ信号の入力に応答して車両9のドライバーに注意を喚起させる注意喚起モードとし、それに対応した制御信号を発光鋲6に出力する。
【0018】
発光鋲6は、制御ボックス7よりの照明モードであるとの制御信号に応答して第1の発光輝度で連続発光させて歩道3を照明し、制御ボックス7よりの注意喚起モードであるとの制御信号に応答して第1の発光輝度よりも高い第2の発光輝度で点滅発光して車両9のドライバーに注意を喚起させるようになっている。
【0019】
図2に、上記複数の発光鋲6と、複数の発光鋲6それぞれに個別に対応する複数の制御ボックス7と、複数の制御ボックス7に共通に配線接続された歩行者センサ8との配線接続構成を示す。この場合、図3で示すように、複数の発光鋲6を1つの制御ボックス7に共通に配線接続する構成とすることができる。
【0020】
図4を参照して、発光鋲6と制御ボックス7との構成を説明する。発光鋲6は、面状光源であるフィールドエミッションランプ10と、制御ボックス7からの制御信号に応答してフィールドエミッションランプ10を発光駆動するトランス11とを内蔵している。
【0021】
制御ボックス7は、ブレーカ12と、直流電源13と、制御基板14とを内蔵しており、ブレーカ12を介して入力する商用交流を直流電源13で直流電圧に変換したうえで制御基板14に入力し、制御基板14は歩行者センサ8からのセンサ信号を処理して歩行者の有無に対応した制御電圧を発光鋲6内のトランス11に印加するようになっている。
【0022】
図5ないし図8を参照して、フィールドエミッションランプ10を詳細に説明する。図5はフィールドエミッションランプ10の斜視図、図6はフィールドエミッションランプ10の断面図、図7はフィールドエミッションランプ10の内部平面図、図8はカーボンナノウォール膜のSEM写真である。
【0023】
これらの図に示すフィールドエミッションランプ10は、面状光源として、フロントパネル15と、リアパネル16と、サイドパネル17とにより内部を真空密封された直方体形状の真空封止管構成であり、フロントパネル15の内面に蛍光体付き陽極18が形成されているとともに、この蛍光体付き陽極18に対向して互いに平行な2本の線状陰極19が設けられている。線状陰極19は1本でも、また、多数本でもよい。
【0024】
蛍光体付き陽極18は、ガラス基板からなるフロントパネル15上に形成されたITOなどからなる透明の陽極18aと、この陽極18a上に形成された蛍光体18bとから構成されている。
【0025】
線状陰極19は、断面円形の導電性ワイヤ19aの外周面にカーボン膜であるカーボンナノウォール膜19bが形成されている。導電性ワイヤ19aはニッケル、鉄、コバルト等からなる。導電性ワイヤ19aの断面形状は円形に限らず、楕円、半楕円、半円形、矩形状、多角形状、等があり、これらのいずれであってもよい。導電性ワイヤ19aの外周面には研磨により粗くされて電界集中がより起り易くなっている。
【0026】
導電性ワイヤ19a上のカーボンナノウォール膜19bは、反応ガスがCH4/H2の混合ガスでガス圧50〜100torrとした直流プラズマCVD法により成膜されたものであり、図8にそのSEM写真を示す。
【0027】
直流プラズマCVDの詳細は省略するが、簡単には、炭化水素であるCH4とH2とを含む反応ガスを反応室に導入するとともに反応室内でプラズマを発生させ、その内部に配置したターゲットである導電性ワイヤ19aの表面にカーボンナノウォール膜19bを成膜したものである。この反応室内においては陽極と陰極との間に直流電圧を印加し、導電性ワイヤ19aは陽極側に配置する。
【0028】
以上のフィールドエミッションランプ10の電圧、電流特性を図9に示している。横軸は蛍光体付き陽極18と線状陰極19との間に印加される電圧(陽陰極間電圧VAK)であり、縦軸は蛍光体付き陽極18と線状陰極19との間に流れる電流である。図9で示すように印加電圧がほぼ3kV未満では電流は流れずほぼゼロであり、この印加電圧ではフィールドエミッションランプ10は発光しない。印加電圧が3kV超になってくると電流が流れ始める。
【0029】
フィールドエミッションランプ10の発光輝度、印加電圧特性を図10に示している。横軸は印加電圧、縦軸は発光輝度である。図10で示すように、3〜4kVを超えて発光輝度が増大している。
【0030】
フィールドエミッションランプ10の発光輝度、電力特性を図11に示している。横軸は電力、縦軸は発光輝度である。図11で示すように、数ワットの電力で高い発光輝度が得られる。このフィールドエミッションランプ10をより高い電力で高周波駆動すると、より高い発光輝度が得られる。
【0031】
図12は、トランス11からフィールドエミッションランプ10の蛍光体付き陽極18と線状陰極19との間に印加する電圧(陽陰極間電圧VAK)波形例を示している。図12で示すように、トランス11は、フィールドエミッションランプ10の動作開始電圧超でかつ蛍光体18bを励起発光させる動作電圧の下限値未満の低い直流電圧V1に重畳ピーク電圧値が動作電圧の下限値以上となる微分パルス電圧V2を重畳したパルス状高電圧を、照明モードでは連続出力してフィールドエミッションランプ10を連続点灯可能とし、注意喚起モードでは間欠的に出力してフィールドエミッションランプ10を点滅可能としている。
【0032】
図13は、トランス11からフィールドエミッションランプ10の蛍光体付き陽極18と線状陰極19との間に印加する他の電圧(陽陰極間電圧VAK)波形例を示している。図13で示すように、トランス11は、フィールドエミッションランプ10の動作電圧範囲のパルス状高電圧を照明モードでは連続出力してフィールドエミッションランプ10を連続点灯可能とし、注意喚起モードでは間欠的に出力してフィールドエミッションランプ10を点滅可能としている。
【0033】
図14は、トランス11からフィールドエミッションランプ10の蛍光体付き陽極18と線状陰極19との間に印加する、さらに他の電圧(陽陰極間電圧VAK)波形例を示している。図14で示すように、トランス11は、正負二つの微分パルス状電圧を立上がりを同期させて生成し、正の微分パルス状電圧を蛍光体付き陽極18に、また、負の微分パルス状高電圧を線状陰極19にそれぞれ印加するようになっている。これら正負の微分パルス状高電圧を同期させた状態で照明モードでは連続出力してフィールドエミッションランプ10を連続点灯可能とし、注意喚起モードでは間欠的に出力してフィールドエミッションランプ10を点滅可能としている。
【0034】
以上説明したように本実施の形態では、照明モードでは発光鋲6を照明灯として第1の発光輝度(例えば1.5〜数ワット電力で5000〜8000cd/m2)で発光することができ、注意喚起モードでは発光鋲6を第1の発光輝度よりも高輝度の第2の発光輝度(第1の発光輝度の場合より高い電力であるが数ワット電力で15000〜35000cd/m2)で発光することができる。
【0035】
そして、フィールドエミッションランプ10を用いているので、蛍光灯や発光ダイオード等の他のランプ類よりも低電力消費でありながら照明モードでも注意喚起モードでも共に高効率、高輝度発光することができるから、発光鋲6の敷設数少なくして敷設コストを低減することができる。また、発光ダイオードのごとき点光源ではなく面状光源であるからフィールドエミッションランプ10の使用数が少なくても照明灯として十分な明るさで歩道を広範囲に高効率、高輝度で照明することができる。さらに、照明モード時よりもドライバーへの注意を喚起する注意喚起モード時には、より高輝度で発光点滅するのでドライバーにはトンネルに進入する以前からトンネル内道路の歩行者に対する注意を効果的に促し喚起することができ、歩行者は、従来よりも明るい照明でかつより安全に歩行することができる。さらには、パルス状高電圧の印加仕様とすることにより、照明モードと注意喚起モードの切り替えに際しての発光の立上がりが良好であり、立ち上がり時から高輝度、高効率で即応性高く発光することができるとともに電力消費も大幅に低減することができる。
【0036】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内で、種々な変更ないしは変形を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施の形態に係る照明システムを示す図である。
【図2】照明システムのブロック回路図である。
【図3】照明システムの他のブロック回路図である。
【図4】照明システムの詳細なブロック回路図である。
【図5】フィールドエミッションランプの斜視図である。
【図6】フィールドエミッションランプの断面図である。
【図7】フィールドエミッションランプの内部の平面図である。
【図8】カーボンナノウォール膜のSEM写真である。
【図9】フィールドエミッションランプの電圧、電流特性を示す図である。
【図10】フィールドエミッションランプの発光輝度、印加電圧特性を示す図である。
【図11】フィールドエミッションランプの発光輝度、電力特性を示す図である。
【図12】トランスからフィールドエミッションランプの蛍光体付き陽極と線状陰極との間に印加する電圧波形例を示す図である。
【図13】トランスからフィールドエミッションランプの蛍光体付き陽極と線状陰極との間に印加する他の電圧波形例を示す図である。
【図14】トランスからフィールドエミッションランプの蛍光体付き陽極と線状陰極との間に印加するさらに他の電圧波形例を示す図である。
【符号の説明】
【0038】
1 トンネル
2 車道
3 歩道
4 照明灯
5 防護柵
6 発光鋲
7 制御ボックス
8 歩行者センサ
9 車両
10 フィールドエミッションランプ
11 トランス
12 ブレーカ
13 直流電源
14 制御基板
15 フロントパネル
16 リアパネル
17 サイドパネル
18 蛍光体付き陽極
19 線状陰極
【技術分野】
【0001】
本発明は、車道と歩道とを備えたトンネルの内部に所定間隔で設置される発光鋲、発光鋲を制御する制御ボックス、およびこれらを備えた照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
発光鋲は、一般に、道路の路面上に設置されるなどして、例えば、交通誘導標識、防災避難誘導灯、等に使用されている(特許文献1参照)。発光鋲は、道路上に所定間隔で配置されて、光を点滅させることにより、自動車を運転するドライバーに注意を喚起させて交通誘導などさせる。このような道路のうちトンネル内道路には車道に加えて歩道を備えて児童の通学路、近隣住民の生活路に加えて他府県からの旅行者等の通過路になっているものがあり、このような生活トンネルでは歩行者の安全確保上、発光鋲に加えて照明灯の設置は必須である。
【0003】
ところで、このような生活トンネルの中には歩道が狭い上に照明が少なくて暗いトンネルがある一方で、トンネル内の歩行者の中には無灯火車両や通過風圧が大きい大型車があるために、トンネル内の暗い照明の中を歩行する歩行者に危険を及ぼすことがあり、また、車両のドライバーからは発光鋲の点滅輝度が低い場合では発光鋲の点滅で車道と歩道との境界が視認しづらく安全走行に支障を来たすことがある。
【0004】
以上の事情に鑑みてトンネル内道路の歩行者の歩行の安全確保のためのトンネル内道路では、照明灯とは別途にドライバーへの注意喚起のため発光鋲を設置する場合、照明設備の敷設コストが高価となるとともに、電力コストも相当に嵩むという課題がある。また、発光ダイオード(LED)に照明灯機能と発光鋲機能とを兼用させることがある。しかしながら、発光ダイオードは点状光源であって面状光源ではないために、照明灯としての機能を実現するには発光ダイオードを多数設置することが必要となり、その敷設コストが膨大となる上に、発光ダイオードの発光輝度を高めるために大電流が必要となり電力コストが著しく高価になるとともに発熱により寿命の早期劣化を来たし長期設置には不向きであるという課題がある。
【特許文献1】特開平10−135521号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明により解決すべき課題は、
(1)発光鋲に照明灯機能を持たせる際に蛍光灯や発光ダイオード等の他のランプ類よりも低電力消費でありながら高発光輝度構造のものを用いて敷設数少なくして敷設コストを低減可能となし、
(2)さらに発光ダイオードのごとき点光源ではなく面状光源として使用可能となして照明灯機能を実現可能となし、
(3)かつ、トンネル内道路の照明時(照明モード)の発光輝度よりもドライバーへの注意喚起時(注意喚起モード)にはより高発光輝度で点滅可能としてドライバーの注意喚起をより高いレベルで促してトンネル内道路の歩行者の安全歩行を図ることら加えて、
(4)さらに、照明モードと注意喚起モードの切り替えに際して瞬時にそのモードの切り替えを可能としかつどのモードにおいても立上がり時から高輝度、高効率で発光可能としかつそのための電力消費も低減可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による照明システムは、車道と歩道とを備えたトンネルに設置される照明システムにおいて、フィールドエミッションランプ内蔵発光鋲をトンネル内部に所定間隔で配置するとともに、照明モードでは第1の発光輝度で歩道を照明するよう駆動し、注意喚起モードでは第1の発光輝度よりも高い第2の発光輝度で点滅動作させる、ことを特徴とするものである。
【0007】
フィールドエミッションランプは、真空封止管内に発光面が面状である蛍光体付き陽極と、この蛍光体付き陽極と対向配置された1つないし複数の線状陰極とを備えた面状光源であり、線状陰極は導電性ワイヤとこの導電性ワイヤの外周面に形成されたカーボン膜からなる電界電子放出部が形成されてなるものであることが好ましい。
【0008】
発光鋲はトランスを内蔵しており、そのトランスから蛍光体付き陽極と線状陰極との間に、照明モードではパルス状高電圧を連続印加し、注意喚起モードではパルス状高電圧を周期的に印加することが好ましい。
【0009】
トンネル内の歩行者または進入車両の有無に対応したセンサ信号を出力するセンサを備え、発光鋲の点灯状態をこのセンサからのセンサ信号に応答して照明モードと注意喚起モードとにモード切り換えしてもよい。
【0010】
本発明の照明システムは、照明モードでは発光鋲を照明灯として第1の発光輝度で発光することができ、注意喚起モードでは発光鋲を第1の発光輝度よりも高輝度の第2の発光輝度で発光することができる。そして、発光鋲に内蔵するランプとしてフィールドエミッションランプを用いているので、蛍光灯や発光ダイオード等の他のランプ類よりも低電力消費でありながら高発光輝度することができるから、発光鋲の敷設数少なくして敷設コストを低減することができる。
【0011】
また、フィールドエミッションランプを、真空封止管内に発光面が面状である蛍光体付き陽極と、この蛍光体付き陽極と対向配置された1つないし複数の線状陰極とを備えた面状光源とした場合、発光ダイオードのごとき点光源とは異なって、該フィールドエミッションランプを内蔵する発光鋲の使用数が少なくても照明灯として十分な明るさで歩道を広範囲に照明することができる。さらに、トンネル内道路の照明時(照明モード)の発光輝度よりもドライバーへの注意喚起時(注意喚起モード)には、より高発光輝度で点滅するのでドライバーにはトンネルに進入する以前からトンネル内道路の歩行者に対する注意を喚起することができ、歩行者は明るい照明でかつ安全に歩行することができる。
【0012】
また、フィールドエミッションランプの線状陰極を、導電性ワイヤとこの導電性ワイヤの外周面に形成されたカーボン膜からなる電界電子放出部の構成とした場合においては、そのカーボン膜をカーボンナノウォール膜により構成することが好ましい。カーボンナノウォール膜は、基板上に多数のナノオーダの壁状炭素薄片が平面方向に集合連成された形態であり、カーボンナノウォール膜は、電気伝導度の高いグラファイトに近い結晶構造を持ち、数十層のグラフェンシートからなり、電圧印加により端部である壁状部の上面で高い電界集中が起こって電子を放出するものである。カーボンナノウォール膜は熱的安定性、機械的強度に優れており、低真空環境下でも安定した電子放出特性を有する。カーボンナノウォール膜の壁状部は両側壁面と上壁面(端部)からなり、この上壁面に電界集中が起こって該上壁面から電子放出が行われる。カーボンナノウォール膜は、比較的低温でかつ10-1ないし10-2Pa程度の低真空環境下でも電子放出が行われるなど、環境負荷が極めて小さい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、従来よりも格段に、低電力消費、高効率高輝度発光、低敷設コストでもってトンネル内を安全に歩行させることができる照明システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態に係る発光鋲およびそれを用いた照明システムを説明すると、図1(a)(b)は、照明システムの概要を説明するためのトンネルを示す図であり、このトンネル1は車道2の両側に歩道3を備えたアーチ状をなし、そのトンネル内壁には多数の照明灯4がトンネル入口から出口に整列状に敷設されている。これら照明灯4はトンネル内部全体を照明する通常の蛍光灯である。歩道3の路肩側には防護柵5が設置されている。
【0015】
歩道3の路肩に等間隔で複数の発光鋲6と複数の制御ボックス7とが埋設され相互に配線接続されている。実施の形態では発光鋲6と制御ボックス7とは別体であるが、発光鋲6と制御ボックス7とを一体化してもよい。
【0016】
トンネル1の入口部分の壁にトンネル1内の歩行者を検知するための歩行者センサ8が設置されている。歩行者センサ8は公知のものを用いることができる。歩行者センサ8は各制御ボックス7に共通に配線され、トンネル1内の歩行者無しの場合は第1のセンサ信号を、歩行者有りの場合は第2のセンサ信号を各制御ボックス7それぞれに出力するようになっている。
【0017】
制御ボックス7は、歩行者センサ8よりのトンネル内の歩行者無しの第1のセンサ信号の入力に応答して歩道3を照明する照明モードとし、歩行者センサ8よりのトンネル内の歩行者有りの第2のセンサ信号の入力に応答して車両9のドライバーに注意を喚起させる注意喚起モードとし、それに対応した制御信号を発光鋲6に出力する。
【0018】
発光鋲6は、制御ボックス7よりの照明モードであるとの制御信号に応答して第1の発光輝度で連続発光させて歩道3を照明し、制御ボックス7よりの注意喚起モードであるとの制御信号に応答して第1の発光輝度よりも高い第2の発光輝度で点滅発光して車両9のドライバーに注意を喚起させるようになっている。
【0019】
図2に、上記複数の発光鋲6と、複数の発光鋲6それぞれに個別に対応する複数の制御ボックス7と、複数の制御ボックス7に共通に配線接続された歩行者センサ8との配線接続構成を示す。この場合、図3で示すように、複数の発光鋲6を1つの制御ボックス7に共通に配線接続する構成とすることができる。
【0020】
図4を参照して、発光鋲6と制御ボックス7との構成を説明する。発光鋲6は、面状光源であるフィールドエミッションランプ10と、制御ボックス7からの制御信号に応答してフィールドエミッションランプ10を発光駆動するトランス11とを内蔵している。
【0021】
制御ボックス7は、ブレーカ12と、直流電源13と、制御基板14とを内蔵しており、ブレーカ12を介して入力する商用交流を直流電源13で直流電圧に変換したうえで制御基板14に入力し、制御基板14は歩行者センサ8からのセンサ信号を処理して歩行者の有無に対応した制御電圧を発光鋲6内のトランス11に印加するようになっている。
【0022】
図5ないし図8を参照して、フィールドエミッションランプ10を詳細に説明する。図5はフィールドエミッションランプ10の斜視図、図6はフィールドエミッションランプ10の断面図、図7はフィールドエミッションランプ10の内部平面図、図8はカーボンナノウォール膜のSEM写真である。
【0023】
これらの図に示すフィールドエミッションランプ10は、面状光源として、フロントパネル15と、リアパネル16と、サイドパネル17とにより内部を真空密封された直方体形状の真空封止管構成であり、フロントパネル15の内面に蛍光体付き陽極18が形成されているとともに、この蛍光体付き陽極18に対向して互いに平行な2本の線状陰極19が設けられている。線状陰極19は1本でも、また、多数本でもよい。
【0024】
蛍光体付き陽極18は、ガラス基板からなるフロントパネル15上に形成されたITOなどからなる透明の陽極18aと、この陽極18a上に形成された蛍光体18bとから構成されている。
【0025】
線状陰極19は、断面円形の導電性ワイヤ19aの外周面にカーボン膜であるカーボンナノウォール膜19bが形成されている。導電性ワイヤ19aはニッケル、鉄、コバルト等からなる。導電性ワイヤ19aの断面形状は円形に限らず、楕円、半楕円、半円形、矩形状、多角形状、等があり、これらのいずれであってもよい。導電性ワイヤ19aの外周面には研磨により粗くされて電界集中がより起り易くなっている。
【0026】
導電性ワイヤ19a上のカーボンナノウォール膜19bは、反応ガスがCH4/H2の混合ガスでガス圧50〜100torrとした直流プラズマCVD法により成膜されたものであり、図8にそのSEM写真を示す。
【0027】
直流プラズマCVDの詳細は省略するが、簡単には、炭化水素であるCH4とH2とを含む反応ガスを反応室に導入するとともに反応室内でプラズマを発生させ、その内部に配置したターゲットである導電性ワイヤ19aの表面にカーボンナノウォール膜19bを成膜したものである。この反応室内においては陽極と陰極との間に直流電圧を印加し、導電性ワイヤ19aは陽極側に配置する。
【0028】
以上のフィールドエミッションランプ10の電圧、電流特性を図9に示している。横軸は蛍光体付き陽極18と線状陰極19との間に印加される電圧(陽陰極間電圧VAK)であり、縦軸は蛍光体付き陽極18と線状陰極19との間に流れる電流である。図9で示すように印加電圧がほぼ3kV未満では電流は流れずほぼゼロであり、この印加電圧ではフィールドエミッションランプ10は発光しない。印加電圧が3kV超になってくると電流が流れ始める。
【0029】
フィールドエミッションランプ10の発光輝度、印加電圧特性を図10に示している。横軸は印加電圧、縦軸は発光輝度である。図10で示すように、3〜4kVを超えて発光輝度が増大している。
【0030】
フィールドエミッションランプ10の発光輝度、電力特性を図11に示している。横軸は電力、縦軸は発光輝度である。図11で示すように、数ワットの電力で高い発光輝度が得られる。このフィールドエミッションランプ10をより高い電力で高周波駆動すると、より高い発光輝度が得られる。
【0031】
図12は、トランス11からフィールドエミッションランプ10の蛍光体付き陽極18と線状陰極19との間に印加する電圧(陽陰極間電圧VAK)波形例を示している。図12で示すように、トランス11は、フィールドエミッションランプ10の動作開始電圧超でかつ蛍光体18bを励起発光させる動作電圧の下限値未満の低い直流電圧V1に重畳ピーク電圧値が動作電圧の下限値以上となる微分パルス電圧V2を重畳したパルス状高電圧を、照明モードでは連続出力してフィールドエミッションランプ10を連続点灯可能とし、注意喚起モードでは間欠的に出力してフィールドエミッションランプ10を点滅可能としている。
【0032】
図13は、トランス11からフィールドエミッションランプ10の蛍光体付き陽極18と線状陰極19との間に印加する他の電圧(陽陰極間電圧VAK)波形例を示している。図13で示すように、トランス11は、フィールドエミッションランプ10の動作電圧範囲のパルス状高電圧を照明モードでは連続出力してフィールドエミッションランプ10を連続点灯可能とし、注意喚起モードでは間欠的に出力してフィールドエミッションランプ10を点滅可能としている。
【0033】
図14は、トランス11からフィールドエミッションランプ10の蛍光体付き陽極18と線状陰極19との間に印加する、さらに他の電圧(陽陰極間電圧VAK)波形例を示している。図14で示すように、トランス11は、正負二つの微分パルス状電圧を立上がりを同期させて生成し、正の微分パルス状電圧を蛍光体付き陽極18に、また、負の微分パルス状高電圧を線状陰極19にそれぞれ印加するようになっている。これら正負の微分パルス状高電圧を同期させた状態で照明モードでは連続出力してフィールドエミッションランプ10を連続点灯可能とし、注意喚起モードでは間欠的に出力してフィールドエミッションランプ10を点滅可能としている。
【0034】
以上説明したように本実施の形態では、照明モードでは発光鋲6を照明灯として第1の発光輝度(例えば1.5〜数ワット電力で5000〜8000cd/m2)で発光することができ、注意喚起モードでは発光鋲6を第1の発光輝度よりも高輝度の第2の発光輝度(第1の発光輝度の場合より高い電力であるが数ワット電力で15000〜35000cd/m2)で発光することができる。
【0035】
そして、フィールドエミッションランプ10を用いているので、蛍光灯や発光ダイオード等の他のランプ類よりも低電力消費でありながら照明モードでも注意喚起モードでも共に高効率、高輝度発光することができるから、発光鋲6の敷設数少なくして敷設コストを低減することができる。また、発光ダイオードのごとき点光源ではなく面状光源であるからフィールドエミッションランプ10の使用数が少なくても照明灯として十分な明るさで歩道を広範囲に高効率、高輝度で照明することができる。さらに、照明モード時よりもドライバーへの注意を喚起する注意喚起モード時には、より高輝度で発光点滅するのでドライバーにはトンネルに進入する以前からトンネル内道路の歩行者に対する注意を効果的に促し喚起することができ、歩行者は、従来よりも明るい照明でかつより安全に歩行することができる。さらには、パルス状高電圧の印加仕様とすることにより、照明モードと注意喚起モードの切り替えに際しての発光の立上がりが良好であり、立ち上がり時から高輝度、高効率で即応性高く発光することができるとともに電力消費も大幅に低減することができる。
【0036】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内で、種々な変更ないしは変形を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施の形態に係る照明システムを示す図である。
【図2】照明システムのブロック回路図である。
【図3】照明システムの他のブロック回路図である。
【図4】照明システムの詳細なブロック回路図である。
【図5】フィールドエミッションランプの斜視図である。
【図6】フィールドエミッションランプの断面図である。
【図7】フィールドエミッションランプの内部の平面図である。
【図8】カーボンナノウォール膜のSEM写真である。
【図9】フィールドエミッションランプの電圧、電流特性を示す図である。
【図10】フィールドエミッションランプの発光輝度、印加電圧特性を示す図である。
【図11】フィールドエミッションランプの発光輝度、電力特性を示す図である。
【図12】トランスからフィールドエミッションランプの蛍光体付き陽極と線状陰極との間に印加する電圧波形例を示す図である。
【図13】トランスからフィールドエミッションランプの蛍光体付き陽極と線状陰極との間に印加する他の電圧波形例を示す図である。
【図14】トランスからフィールドエミッションランプの蛍光体付き陽極と線状陰極との間に印加するさらに他の電圧波形例を示す図である。
【符号の説明】
【0038】
1 トンネル
2 車道
3 歩道
4 照明灯
5 防護柵
6 発光鋲
7 制御ボックス
8 歩行者センサ
9 車両
10 フィールドエミッションランプ
11 トランス
12 ブレーカ
13 直流電源
14 制御基板
15 フロントパネル
16 リアパネル
17 サイドパネル
18 蛍光体付き陽極
19 線状陰極
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車道と歩道とを備えたトンネルに設置される照明システムにおいて、フィールドエミッションランプ内蔵発光鋲をトンネル内部に所定間隔で配置するとともに、照明モードでは第1の発光輝度で歩道を照明するよう駆動し、注意喚起モードでは第1の発光輝度よりも高い第2の発光輝度で点滅動作させる、ことを特徴とする照明システム。
【請求項2】
フィールドエミッションランプは、真空封止管内に発光面が面状である蛍光体付き陽極と、この蛍光体付き陽極と対向配置された1つないし複数の線状陰極とを備えた面状光源であり、線状陰極は導電性ワイヤとこの導電性ワイヤの外周面に形成されたカーボン膜からなる電界電子放出部が形成されてなるものである、ことを特徴とする請求項1に記載の照明システム。
【請求項3】
カーボン膜が、基板上に多数のナノオーダの壁状炭素薄片が平面方向に集合連成された形態のカーボンナノウォール膜であることを特徴とする請求項2に記載の照明システム。
【請求項4】
発光鋲はトランスを内蔵しており、そのトランスから蛍光体付き陽極と線状陰極との間に、照明モードではパルス状高電圧を連続的に印加し、注意喚起モードではパルス状高電圧を周期的に印加する、ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の照明システム。
【請求項5】
トンネル内の歩行者または進入車両の有無に対応したセンサ信号を出力するセンサを備え、このセンサからのセンサ信号に応答して照明モードと注意喚起モードとにモード切り換えする、ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の照明システム。
【請求項6】
車道と歩道とを備えたトンネルに設置される照明システムにおいて、発光鋲と、この発光鋲を制御する制御ボックスとを備え、発光鋲は、フィールドエミッションランプと、トランスとを備え、フィールドエミッションランプは、平面状ないしは曲面状の発光面を備えた真空封止管内の該発光面内面に蛍光体付き陽極を設けるとともにこの蛍光体付き陽極と対向して1つないし複数の線状陰極を配置してなる面状光源であり、かつ、線状陰極は導電性ワイヤとこの導電性ワイヤの外周面に形成されたカーボンナノウォール膜からなる電界電子放出部が形成されており、トランスはパルス状高電圧を蛍光体付き陽極と線状陰極との間に印加するものであり、
制御ボックスは、発光鋲内のトランスに配線接続されて、蛍光体付き陽極と線状陰極との間に、照明モードでは第1の発光輝度で少なくとも歩道をフィールドエミッションランプにより照明させるよう、また、注意喚起モードでは第1の発光輝度よりも高い第2の発光輝度でフィールドエミッションランプを点滅動作させるようにトランスを駆動制御する、ことを特徴とする照明システム。
【請求項7】
パルス状高電圧の波形ピーク付近が微分パルス状である、ことを特徴とする請求項6に記載の照明システム。
【請求項8】
パルス状高電圧の波形ピークが平坦である、ことを特徴とする請求項6に記載の照明システム。
【請求項9】
パルス状高電圧が、正負二つの微分パルス状電圧を立上がりを同期させて生成してなるものであり、正の微分パルス状電圧を蛍光体付き陽極に、また、負の微分パルス状電圧を線状陰極にそれぞれ印加する、ことを特徴とする請求項6に記載の照明システム。
【請求項10】
車道と歩道とを備えたトンネル内に設置されてトンネル内を照明する発光鋲であって、
フィールドエミッションランプと、トランスとを内蔵し、フィールドエミッションランプは、平面状ないしは曲面状の発光面を備えた真空封止パネル内の該発光面内面に蛍光体付き陽極を設けるとともにこの蛍光体付き陽極と対向して1つないし複数の線状陰極を配置してなり、かつ、線状陰極は導電性ワイヤとこの導電性ワイヤの外周面に形成されたカーボンナノウォール膜からなる電界電子放出部が形成されており、トランスはパルス状高電圧を蛍光体付き陽極と線状陰極との間に印加する、ことを特徴とする発光鋲。
【請求項11】
請求項6に記載の照明システムに用いる制御ボックスであって、
トランスに配線接続されて、蛍光体付き陽極と線状陰極との間に、フィールドエミッションランプを照明モードでは第1の発光輝度で少なくとも歩道を照明動作させるよう、また、注意喚起モードでは第1の発光輝度よりも高い第2の発光輝度で点滅動作させるようにトランスを駆動制御する、ことを特徴とする制御ボックス。
【請求項12】
フィールドエミッションランプを内蔵して車道と歩道とを備えたトンネルの内部に設置された面状光源と、該面状光源を、照明モードでは第1の発光輝度で少なくとも歩道を照明動作させ、注意喚起モードでは第1の発光輝度よりも高い第2の発光輝度で点滅動作させる制御部とを、具備したことを特徴とする照明システム。
【請求項13】
フィールドエミッションランプは、真空封止管内に面状の蛍光体付き陽極と、この蛍光体付き陽極と対向配置された1つないし複数の線状陰極とを備えた面状光源であり、線状陰極は導電性ワイヤとこの導電性ワイヤの外周面に形成されたカーボンナノウォール膜からなる電界電子放出部が形成されている、ことを特徴とする請求項12に記載の照明システム。
【請求項14】
車道と歩道とを備えたトンネルに設置される発光鋲において、
フィールドエミッションランプと、トランスとを備え、フィールドエミッションランプは、面状の発光面を備えた真空封止パネル内の該発光面内面に蛍光体付き陽極を設けるとともにこの蛍光体付き陽極と対向して1つないし複数の線状陰極を配置してなる面状光源であり、線状陰極は導電性ワイヤとこの導電性ワイヤの外周面に形成されたカーボンナノウォール膜からなる電界電子放出部が形成されてなり、トランスは蛍光体付き陽極と線状陰極との間にパルス状高電圧を印加して、フィールドエミッションランプを照明モードでは第1の発光輝度で少なくとも歩道を照明動作させ、また、注意喚起モードでは第1の発光輝度よりも高い第2の発光輝度で点滅動作させる、ことを特徴とする発光鋲。
【請求項15】
請求項14に記載の発光鋲と、発光鋲内のトランスの駆動を制御する制御ボックスとを備えた、ことを特徴とする照明システム。
【請求項16】
請求項14に記載の発光鋲と、トンネル内への歩行者または進入車両の有無を検知するセンサと、発光鋲のフィールドエミッションランプをセンサからの第1のセンサ信号に応答して第1の発光輝度で連続点灯させ、第2のセンサ信号に応答して第1の発光輝度よりも高い第2の発光輝度で点滅点灯させるようトランスを駆動制御する制御信号を出力する制御ボックスとを備えた、ことを特徴とする照明システム。
【請求項17】
少なくともフィールドエミッションランプとトランスとを内蔵した複数の発光鋲と、複数の発光鋲それぞれに個別に配線接続されてトランスを駆動制御する複数の制御ボックスとを備え、
各発光鋲それぞれのフィールドエミッションランプは、面状の発光面を備えた真空封止パネル内の該発光面内面に蛍光体付き陽極を設けるとともにこの蛍光体付き陽極と対向して1つないし複数の線状陰極を配置してなる面状光源であり、線状陰極は導電性ワイヤとこの導電性ワイヤの外周面に形成されたカーボンナノウォール膜からなる電界電子放出部が形成されてなり、かつ、トランスからの微分パルス状高電圧が蛍光体付き陽極と線状陰極との間に印加されて電界電子放出部から電子を放出させるとともに該電子を蛍光体付き陽極の蛍光体に衝突させて該蛍光体を励起発光させるものであり、
各制御ボックスは、それぞれ、照明モードでは第1の発光輝度で少なくとも各フィールドエミッションランプを照明動作させ、注意喚起モードでは第1の発光輝度よりも高い第2の発光輝度で各フィールドエミッションランプを点滅動作させるようトランスを駆動制御する制御信号を出力する、ことを特徴とする照明システム。
【請求項18】
少なくともフィールドエミッションランプとトランスとを内蔵した複数の発光鋲と、複数の発光鋲それぞれに共通に配線接続されてトランスを駆動制御する制御ボックスとを備え、
各発光鋲それぞれのフィールドエミッションランプは、面状の発光面を備えた真空封止パネル内の該発光面内面に蛍光体付き陽極を設けるとともにこの蛍光体付き陽極と対向して1つないし複数の線状陰極を配置してなる面状光源であり、線状陰極は導電性ワイヤとこの導電性ワイヤの外周面に形成されたカーボンナノウォール膜からなる電界電子放出部が形成されてなり、かつ、トランスからの微分パルス状高電圧が蛍光体付き陽極と線状陰極との間に印加されて電界電子放出部から電子を放出させるとともに該電子を蛍光体付き陽極の蛍光体に衝突させて該蛍光体を励起発光させるものであり、
制御ボックスは、照明モードでは第1の発光輝度で各フィールドエミッションランプを照明動作させ、注意喚起モードでは第1の発光輝度よりも高い第2の発光輝度で各フィールドエミッションランプを点滅動作させるようトランスを駆動制御する制御信号を出力する、ことを特徴とする照明システム。
【請求項1】
車道と歩道とを備えたトンネルに設置される照明システムにおいて、フィールドエミッションランプ内蔵発光鋲をトンネル内部に所定間隔で配置するとともに、照明モードでは第1の発光輝度で歩道を照明するよう駆動し、注意喚起モードでは第1の発光輝度よりも高い第2の発光輝度で点滅動作させる、ことを特徴とする照明システム。
【請求項2】
フィールドエミッションランプは、真空封止管内に発光面が面状である蛍光体付き陽極と、この蛍光体付き陽極と対向配置された1つないし複数の線状陰極とを備えた面状光源であり、線状陰極は導電性ワイヤとこの導電性ワイヤの外周面に形成されたカーボン膜からなる電界電子放出部が形成されてなるものである、ことを特徴とする請求項1に記載の照明システム。
【請求項3】
カーボン膜が、基板上に多数のナノオーダの壁状炭素薄片が平面方向に集合連成された形態のカーボンナノウォール膜であることを特徴とする請求項2に記載の照明システム。
【請求項4】
発光鋲はトランスを内蔵しており、そのトランスから蛍光体付き陽極と線状陰極との間に、照明モードではパルス状高電圧を連続的に印加し、注意喚起モードではパルス状高電圧を周期的に印加する、ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の照明システム。
【請求項5】
トンネル内の歩行者または進入車両の有無に対応したセンサ信号を出力するセンサを備え、このセンサからのセンサ信号に応答して照明モードと注意喚起モードとにモード切り換えする、ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の照明システム。
【請求項6】
車道と歩道とを備えたトンネルに設置される照明システムにおいて、発光鋲と、この発光鋲を制御する制御ボックスとを備え、発光鋲は、フィールドエミッションランプと、トランスとを備え、フィールドエミッションランプは、平面状ないしは曲面状の発光面を備えた真空封止管内の該発光面内面に蛍光体付き陽極を設けるとともにこの蛍光体付き陽極と対向して1つないし複数の線状陰極を配置してなる面状光源であり、かつ、線状陰極は導電性ワイヤとこの導電性ワイヤの外周面に形成されたカーボンナノウォール膜からなる電界電子放出部が形成されており、トランスはパルス状高電圧を蛍光体付き陽極と線状陰極との間に印加するものであり、
制御ボックスは、発光鋲内のトランスに配線接続されて、蛍光体付き陽極と線状陰極との間に、照明モードでは第1の発光輝度で少なくとも歩道をフィールドエミッションランプにより照明させるよう、また、注意喚起モードでは第1の発光輝度よりも高い第2の発光輝度でフィールドエミッションランプを点滅動作させるようにトランスを駆動制御する、ことを特徴とする照明システム。
【請求項7】
パルス状高電圧の波形ピーク付近が微分パルス状である、ことを特徴とする請求項6に記載の照明システム。
【請求項8】
パルス状高電圧の波形ピークが平坦である、ことを特徴とする請求項6に記載の照明システム。
【請求項9】
パルス状高電圧が、正負二つの微分パルス状電圧を立上がりを同期させて生成してなるものであり、正の微分パルス状電圧を蛍光体付き陽極に、また、負の微分パルス状電圧を線状陰極にそれぞれ印加する、ことを特徴とする請求項6に記載の照明システム。
【請求項10】
車道と歩道とを備えたトンネル内に設置されてトンネル内を照明する発光鋲であって、
フィールドエミッションランプと、トランスとを内蔵し、フィールドエミッションランプは、平面状ないしは曲面状の発光面を備えた真空封止パネル内の該発光面内面に蛍光体付き陽極を設けるとともにこの蛍光体付き陽極と対向して1つないし複数の線状陰極を配置してなり、かつ、線状陰極は導電性ワイヤとこの導電性ワイヤの外周面に形成されたカーボンナノウォール膜からなる電界電子放出部が形成されており、トランスはパルス状高電圧を蛍光体付き陽極と線状陰極との間に印加する、ことを特徴とする発光鋲。
【請求項11】
請求項6に記載の照明システムに用いる制御ボックスであって、
トランスに配線接続されて、蛍光体付き陽極と線状陰極との間に、フィールドエミッションランプを照明モードでは第1の発光輝度で少なくとも歩道を照明動作させるよう、また、注意喚起モードでは第1の発光輝度よりも高い第2の発光輝度で点滅動作させるようにトランスを駆動制御する、ことを特徴とする制御ボックス。
【請求項12】
フィールドエミッションランプを内蔵して車道と歩道とを備えたトンネルの内部に設置された面状光源と、該面状光源を、照明モードでは第1の発光輝度で少なくとも歩道を照明動作させ、注意喚起モードでは第1の発光輝度よりも高い第2の発光輝度で点滅動作させる制御部とを、具備したことを特徴とする照明システム。
【請求項13】
フィールドエミッションランプは、真空封止管内に面状の蛍光体付き陽極と、この蛍光体付き陽極と対向配置された1つないし複数の線状陰極とを備えた面状光源であり、線状陰極は導電性ワイヤとこの導電性ワイヤの外周面に形成されたカーボンナノウォール膜からなる電界電子放出部が形成されている、ことを特徴とする請求項12に記載の照明システム。
【請求項14】
車道と歩道とを備えたトンネルに設置される発光鋲において、
フィールドエミッションランプと、トランスとを備え、フィールドエミッションランプは、面状の発光面を備えた真空封止パネル内の該発光面内面に蛍光体付き陽極を設けるとともにこの蛍光体付き陽極と対向して1つないし複数の線状陰極を配置してなる面状光源であり、線状陰極は導電性ワイヤとこの導電性ワイヤの外周面に形成されたカーボンナノウォール膜からなる電界電子放出部が形成されてなり、トランスは蛍光体付き陽極と線状陰極との間にパルス状高電圧を印加して、フィールドエミッションランプを照明モードでは第1の発光輝度で少なくとも歩道を照明動作させ、また、注意喚起モードでは第1の発光輝度よりも高い第2の発光輝度で点滅動作させる、ことを特徴とする発光鋲。
【請求項15】
請求項14に記載の発光鋲と、発光鋲内のトランスの駆動を制御する制御ボックスとを備えた、ことを特徴とする照明システム。
【請求項16】
請求項14に記載の発光鋲と、トンネル内への歩行者または進入車両の有無を検知するセンサと、発光鋲のフィールドエミッションランプをセンサからの第1のセンサ信号に応答して第1の発光輝度で連続点灯させ、第2のセンサ信号に応答して第1の発光輝度よりも高い第2の発光輝度で点滅点灯させるようトランスを駆動制御する制御信号を出力する制御ボックスとを備えた、ことを特徴とする照明システム。
【請求項17】
少なくともフィールドエミッションランプとトランスとを内蔵した複数の発光鋲と、複数の発光鋲それぞれに個別に配線接続されてトランスを駆動制御する複数の制御ボックスとを備え、
各発光鋲それぞれのフィールドエミッションランプは、面状の発光面を備えた真空封止パネル内の該発光面内面に蛍光体付き陽極を設けるとともにこの蛍光体付き陽極と対向して1つないし複数の線状陰極を配置してなる面状光源であり、線状陰極は導電性ワイヤとこの導電性ワイヤの外周面に形成されたカーボンナノウォール膜からなる電界電子放出部が形成されてなり、かつ、トランスからの微分パルス状高電圧が蛍光体付き陽極と線状陰極との間に印加されて電界電子放出部から電子を放出させるとともに該電子を蛍光体付き陽極の蛍光体に衝突させて該蛍光体を励起発光させるものであり、
各制御ボックスは、それぞれ、照明モードでは第1の発光輝度で少なくとも各フィールドエミッションランプを照明動作させ、注意喚起モードでは第1の発光輝度よりも高い第2の発光輝度で各フィールドエミッションランプを点滅動作させるようトランスを駆動制御する制御信号を出力する、ことを特徴とする照明システム。
【請求項18】
少なくともフィールドエミッションランプとトランスとを内蔵した複数の発光鋲と、複数の発光鋲それぞれに共通に配線接続されてトランスを駆動制御する制御ボックスとを備え、
各発光鋲それぞれのフィールドエミッションランプは、面状の発光面を備えた真空封止パネル内の該発光面内面に蛍光体付き陽極を設けるとともにこの蛍光体付き陽極と対向して1つないし複数の線状陰極を配置してなる面状光源であり、線状陰極は導電性ワイヤとこの導電性ワイヤの外周面に形成されたカーボンナノウォール膜からなる電界電子放出部が形成されてなり、かつ、トランスからの微分パルス状高電圧が蛍光体付き陽極と線状陰極との間に印加されて電界電子放出部から電子を放出させるとともに該電子を蛍光体付き陽極の蛍光体に衝突させて該蛍光体を励起発光させるものであり、
制御ボックスは、照明モードでは第1の発光輝度で各フィールドエミッションランプを照明動作させ、注意喚起モードでは第1の発光輝度よりも高い第2の発光輝度で各フィールドエミッションランプを点滅動作させるようトランスを駆動制御する制御信号を出力する、ことを特徴とする照明システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図8】
【公開番号】特開2007−12553(P2007−12553A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−194983(P2005−194983)
【出願日】平成17年7月4日(2005.7.4)
【出願人】(597154966)学校法人高知工科大学 (141)
【出願人】(504224371)ダイヤライトジャパン株式会社 (105)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月4日(2005.7.4)
【出願人】(597154966)学校法人高知工科大学 (141)
【出願人】(504224371)ダイヤライトジャパン株式会社 (105)
【Fターム(参考)】
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