説明

発泡した重合体材料からプラスティックスの栓を圧縮成形する方法

プラスティックス製品、例えば栓を圧縮成形する方法は少なくとも1種の熔融した重合体およびその中に配合されたガスを含んで成る熔融した重合体材料をつくることを含んでいる。重合体材料は一緒に動作する雄型および下型の間で成形され、これらの金型の相対運動は予め定められた容積をもった金型のキャビティーをつくるようにコントロールされる。このような成形法は実質的に密度が減少した成形された栓を生じるように行われ、所望の材料の節約を行うことができると同時に、所望の性能特性を示す栓または同様な製品を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に重合体材料から例えばプラスティックスの栓および同様物のような製品を圧縮成形する方法に関し、特に発泡した重合体材料から例えばプラスティックスの栓および同様物のような製品を圧縮成形し、これによって望ましくは重量並びにコストの節減を達成すると共に、所望の構造的特性並びにそれに関連した性能特性を有する成形された栓を提供する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば炭酸飲料および非炭酸飲料、並びに他の食品および非食品製品を入れる容器に使用されるような成形されたプラスティックスの栓は、市場に広く出回っている。このようなプラスティックスの栓を圧縮成形する方法は特にコスト効率が良く、必要な構造的特性および密封特性を示す栓を高速度で経済的につくることができ、したがって広範囲の飲料および他の製品に対し高い費用対効果で使用することができる。
【0003】
例えば射出成形製品をつくるような場合、発泡した重合体材料を使用することは従来法において公知である。重合体材料と気泡からつくられたセル構造物とを含む二相の重合体材料をつくることにより、材料の所望の節約を行い得ると同時に、また必要な構造的特性を示す製品を提供することができる。このような発泡した重合体製品をつくる技術には、重合体の熔融流の中に化学的な発泡剤または「膨張」剤を導入する工程、並びに重合体の熔融物の中にガスを注入する工程が含まれる。典型的な方法では、重合体材料を関連した金型に移す際、重合体材料の圧力を制御することにより重合体材料の内部におけるガスの膨張をコントロールする。製品を射出成形するための処理助剤、例えばシンクマーク(sink mark、ひけマーク)などの欠陥を充填し滑らかにする助剤として化学的な発泡剤を使用することもできる。
【0004】
典型的な回転式圧縮成形ツーリング技術では、計量した装入量の重合体またはプラスティックスの熔融材料を開いた金型へ送り込むことが必要である。次に金型を閉じ、雄のコア・ピン(male core pin)を金型のスペース(mold space、金型の隙間、金型の間隔)に押し込み、これによって計量された装入量のプラスティックスを所望の製品の形に変える。これはしばしば「力により駆動される(force driven)」システムと呼ばれる。プラスティックス材料が成形され冷却される際にそれによって生じる「水力学的な」反力は最終的にはコア・ピンを駆動するのに使用される力と釣り合い、金型のスペースへのコア・ピンの侵入を停止させる。従ってコア・ピンにかかる成形圧力は典型的には2,000psi程度であり、部材が最初に成形される際この圧力は全部がプラスティックス装入物に伝えられる。
【0005】
この回転圧縮成形ツーリング作用は、発泡させない重合体材料から栓を成形する場合には良好に動作し、このような製品を工業的に製造するのに使用され非常な成功を収めてきた。しかし、非ニュートン流動性および非等方性を示す予め発泡させたプラスティックスの熔融した装入材料から同じ方法を用いて栓をつくる場合、コア・ピンによる成形荷重全体が最初にかかるために、成形された製品の中における気泡の保持性は影響を受け、栓の密度を低減させる所望の能力が著しく制限される。事実、成形圧力は成形される製品の或る部分の耐荷重能力を超え、発泡した重合体の膨張を「凍結」させ制限するように作用する。
【0006】
発泡材料を使用する回転圧縮成形法においては、予め発泡させたプラスティックスの装入材料を大気圧において開いたキャビティーへ移送し、金型を閉じる前に短時間この条件
に保ち、コア・ピンを作用させて装入材料を所望の最終的な製品の形にする。大気圧に露出するこの時間(典型的には「滞在時間」と呼ばれる)の間、重合体中に配合されたガスは既に泡を形成し始め、計量されたプラスティックスの熔融した装入材料は膨張し続ける。従って成形ピン(forming pin)によりそのすべての初期的な成形荷重が予め発泡したプラスティックスの装入材料にかけられた場合、重合体に直接かかる荷重の大きさは、成形される製品の中における気泡の保持性を減少させるほど十分に大きく、予め定められたツーリング運動により金型のスペースを迅速かつ正確に膨張させた場合でも、該荷重によってそれ以上の発泡作用は効果的に凍結される。本発明は、予め発泡させたプラスティックスの計量された熔融装入材料を用いた場合、製品の密度が著しく減少する結果が得られるプラスティックス製品の圧縮成形法に関する。
【0007】
上述のように、材料の密度を著しく減少させることによりプラスティックスの栓製品の重量を実質的に減少させるためには、発泡させた重合体材料を使用することが望ましい。これによって重合体材料から製品を製造するための材料のコストを実質的に節約できるという望ましい結果が得られる。望ましい目標として「再使用」、「再利用」、および「低減」を含む環境を考慮した文脈において、本発明は望ましくは「低減」を行う方法としての役割をもっている。即ち、所望の栓製品を初めて製造する際少ない材料を使用することによって「原料の低減」が行われる。
【0008】
本発明の他の態様は望ましい発泡可能な熔融した重合体材料を得る方法に関する。この回転圧縮成形に使用される重合体材料を発泡させる方法においては、重合体熔融物が圧縮成形機のノズルを出る時点まで、押出された重合体熔融流の内部における溶液中のガスの圧力を十分に高い値に保持することが極めて望ましい。熔融物流がひとたびノズルを出ると、これを切断して個別的な発泡したペレットにし、個々の発泡したペレットを金型のキャビティーに送って圧縮成形により最終的な栓の製品をつくる。十分なガス圧を維持するには、圧縮成形機のノズルのオリフィスの大きさ/面積を減少させることによって最も容易に行うことができる。オリフィスの大きさ/面積を減少させると、十分な流動抵抗が与えられ、ノズルの上手における熔融物の圧力はガスの大部分を溶液中に保持するのに十分なレベルまで増加するであろう。
【0009】
不幸にして、単純にオリフィスの大きさ/面積を減少させると、発泡したペレットの切断された物理的な大きさおよびアスペクト比は実質的に変化する。十分なガスの圧力が維持されるほどたオリフィスの大きさ/面積が十分小さいと、ペレットの大きさおよびアスペクト比は事実上金型のキャビティの使用可能なスペースの内部に適合させることができなくなる。即ち十分なガスの圧力を維持するためにノズルのオリフィスの大きさ/面積を単純に減少させる方法は、典型的な回転式圧縮成形法において重合体の発泡材料を処理するための実施可能な製造方法にはならない。
【0010】
理論的には、押出しシステムにおいて発泡した重合体材料の膨張を最後の可能な瞬間まで遅らせると、大きな圧力低下が生じ、これによってさらに大きな気泡の核が形成される。ノズルの中にその中を通る流れを制限する小さいオリフィスをつくると、移送系における圧力をガスの大部分を溶液中に保持するのに十分な圧力まで増加させることができる。この方法の制約はペレットの大きさに依存している。ノズルのオリフィスの直径をあまり減少させ過ぎると、ペレットの長さはキャビティーの直径よりも長くなる。この点においてキャビティーの中にペレットを保持することが不可能になり、従って通常の成形法によりペレットを成形できなくなる。
【発明の概要】
【0011】
本発明に従えば、発泡した重合体材料からプラスティックスの栓または同様物を圧縮成形する方法では、発泡した材料の回転式圧縮成形法に関連する問題が取扱われる。本発明
の一態様においては、各製品がつくられる金型のキャビティーの大きさをコントロールすることにより重合体材料の発泡を増強させることができる。本発明の他の態様においては、金型のキャビティーに導入する前に、熔融した重合体材料の流れを制限し、それにより熔融した重合体材料の内部において十分なガスの圧力を維持させる。この重合体の流れを制限する段階は、流れを制限するオリフィスを複数使用するか、または流れを制限する調節可能なバルブ・アセンブリーを使用することによって達成することができる。
【0012】
従って本発明は「変位により駆動される(displacement driven)」成形システムを意図するものであり、この場合回転圧縮成形用の金型に一定量の予め発泡させた熔融重合体材料を供給し、しかる後金型を閉じて予め定められた容積を有する金型のキャビティーを規定し、熔融材料の内部でガスを発泡させ、該材料を膨張させて所望の寸法特性および構造特性をもった仕上げられた栓をつくる。成形中比較的高い圧力をかけて非発泡性の熔融重合体材料を金型のキャビティーに「詰め込む」従来の圧縮成形法とは異なり、本発明では熔融した重合体材料を予め定められた容積をもつ金型のキャビティーの中に入れ、重合体材料を発泡させて所望の形状をもつ栓をつくることを意図している。
【0013】
本発明に従えば、プラスティックスの栓を圧縮成形する方法は、少なくとも1種の重合体とガスとの混合物を含む熔融した重合体材料を供給することを含んで成っている。この方法はさらに下型およびそれと一緒に動作する雄の成形ピン(male mold pin)を含む金型アセンブリーを装備させることを含み、該成形ピンは一般的に下型の内部に合うように取り付けられて金型アセンブリーの金型キャビティーを規定している。
【0014】
本発明はさらに予め定められた量の発泡させた重合体材料を大気圧において下型の中に沈積させることを含んでいる。しかる後下型および雄の成形ピンを相対的に動かすことにより金型アセンブリーを閉じ、重合体材料を圧縮する。注目すべきことは金型アセンブリーを閉じる際、予め定められた容積をもつ金型キャビティーをつくるために下型と雄の成形ピンとの相対運動をコントロールし、次いで中に含まれたガスの影響下において重合体材料を膨張させてプラスティックスの栓をつくる。下型の中への雄の成形ピンの侵入度が最終的にコントロールされて予め定められた値になった時に、雄の成形ピンと下型との間の相対的な速度および加速度がコントロールされてほぼゼロになるように、下型と雄の成形ピンとの相対的な運動のコントロールは行われる。
【0015】
次いで、随時金型を部分的に開き、ガスの影響下において重合体材料を膨張させて栓をつくる。金型アセンブリーを開くとそこからプラスティックスの栓を取り出すことができ、このサイクルが繰り返される。
【0016】
本発明の他の態様においては、金型アセンブリーを部分的に開いた後に重合体材料を再圧縮し、これによってプラスティックスの栓をつくることができる。
【0017】
このように、本発明は二段階の成形システムを意図しており、重合体材料とガスの配合物から製品を製造することを含み、該配合物は少なくとも1種の重合体とガスを生成し得る1種またはそれ以上の化合物との混合物によって与えることができ、該化合物は典型的には二酸化炭素および/または水蒸気を含んで成っていることができる。本発明の重要な態様は、成形された栓のセル構造を破壊することなく金型を閉じるように、金型アセンブリーの閉鎖運動をコントロールすることである。
【0018】
前述のように、金型アセンブリーを閉じることは下型と雄の成形ピンとの相対的な運動をコントロールすることを意図しており、この中には下型と雄の成形ピンとの相対的な運動をコントロールするカムの輪郭とバネにより偏倚させる力との共同作用により金型アセ
ンブリーの閉鎖を制限することも含まれている。本発明の他の形においては、金型アセンブリーには積極的な機械的な停止部材が具備されている。
【0019】
前述のように本発明の他の態様は、材料を下型の中に沈積させる段階の前において熔融した重合体材料の流れを制限し、それによって熔融した重合体材料の中において十分なガス圧を維持することは意図している。所望の程度の材料の発泡を達成するために、本発明方法では沈積工程の前において熔融した重合体材料を部分的に膨張させることが意図されている。
【0020】
重合体材料の流れの制限は、流れを制限するオリフィスを多数取り付け、沈積工程の前においてその中に熔融した重合体材料を流すことによって達成される。別法として調節可能な流れを制限するバルブ・アセンブリーを取り付け、沈積工程の前においてその中に熔融した重合体材料を流すこともできる。
【0021】
本発明の他の特徴および利点は下記の詳細な説明から容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】従来の圧縮成形システムの模式図。
【図2】本発明の原理を具体化した圧縮成形システムの模式図。
【図3】本発明に従ってつくられた栓の垂直方向の断面のCAT画像。
【図4】本発明に従ってつくられた栓の水平方向の断面のCAT画像。
【図5】本発明に従ってつくられた栓の密度の減少を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は種々の形で具体化を行うことができるが、ここでは目下のところ好適と思われる本発明の具体化例を説明する。但しここに記載された説明は本発明の一例であると考えるべきであり、ここに記載された具体化例によって本発明が限定されることはないことを了解すべきである。
【0024】
プラスティックスの栓のような製品の圧縮成形は、このような栓を高速度で正確につくることができる効率が良いために、工業的に非常に成功していることが証明されている。従来の圧縮成形装置はしばしば「力で駆動されるシステム」と呼ばれており、図1にその動作が模式的に示されている。このような配置においては、一緒に動作する雄型および下型の成形用工具が備えられ、この場合熔融したプラスティックスのペレットを開いた成形用工具アセンブリーの中に沈積させ、次いでペレットを圧縮成形して所望の製品がつくられる。
【0025】
図示のように、成形工程の間、しばしば成形ピン(forming pin)とも呼ばれる雄の金型アセンブリーはカムによって下方へと駆動され、熔融したペレットを所望の成形された栓または同様な製品にする。金型のキャビティーを充填する最後の時点において、全成形荷重(約2,000psiの程度)が直接熔融したペレットにかけられる。金型のキャビティーが重合体材料で完全に充填されると、成形ピンの下方への運動は停止し、その結果重合体の中に生じる抵抗荷重は約2,000psiの成形荷重と釣り合う。
【0026】
このシステムにおいては、栓の上方のパネルまたは上方の壁の最終的な厚さはペレットの重量によってコントロールされる。即ち重いペレットは厚い上方のパネルを生じ、軽いペレットは薄い上方のパネルを生じる。
【0027】
重合体材料とその中に含まれた気泡とを含んで成る発泡した栓または同様な製品をつくるためには、力によって駆動される上述のシステムは不適当である。何故なら高い成形圧
力(2,000psiの程度)をかけると重合体材料からガスが押出されるからである。従って本発明を実施するためには、図2に模式的に示された「変位によって駆動される」圧縮成形システムを使用することを考える。このような変位によって駆動されるシステムにおいては、雄の成形ピンはカムによってサイクロイド状の運動をしながら下方に駆動され、発泡したペレット(熔融した重合体およびその中に配合されたガスを含んで成る)を所望の成形された栓または同様な製品に変える。注目すべきはサイクロイド状のカムの運動は比較的「穏やかな」成形法を与え、上述の力による駆動システムで操作される従来の圧縮成形装置に比べ、熔融した材料にかかる成形圧力が小さい。
【0028】
本発明に従えば、変位により駆動されるシステムは、成形ピンが関連するカムの設計によって決められる予め定められた位置に到達した場合に、成形ピンの下方への運動が停止するように動作する。このシステムにおいては、栓の上方のパネルの最終的な厚さはペレットの重量に無関係であり、全体として成形ピンの予め定められた最終的な高さによってコントロールされる。その結果、ペレットの重量の変動は、標準的な圧縮成形法におけるような上方パネルの厚さの変動としてではなく、密度の変動として示されるであろう。
【0029】
熔融した重合体にかかる荷重は主として発泡した重合体の粘度によって決定され、従来の圧縮成形法において使用される典型的な2,000psiよりも実質的に小さい。この方法による成形法は発泡した栓の製造に対して特に効果的である。何故なら重合体にかかる成形荷重は標準的な圧縮成形法における負荷よりも実質的に小さく、成形される重合体の中に配合されたガスが重合体から押出されることはないからである。
【0030】
予めつくられたプラスティックスの熔融装入物を用いて回転圧縮成形を行う場合には、本発明では、金型のスペースの中へのコア・ピンの侵入運動を止めるために予め発泡させたプラスティックスの熔融装入物の「水力学的な」反力を使用する代わりに、全体的な成形荷重が予め発泡させたプラスティックスの熔融装入物にかかる前に、金型アセンブリーの閉鎖運動を制御し制限することにより金型のスペースの中へのコア・ピンの初期的な侵入運動を制限するような工具および/または関連したカムの設計を用いる。そうしなければ全体的な成形荷重は成形された製品の中での気泡の保持性を制限し、それ以上の発泡作用を効果的に凍結する可能性がある。本発明では、コア・ピンの侵入運動と釣り合いこれを停止させるための工具として相対するバネの作用(または電磁的な/空気による/水力学的な作動)を用いるか、および/またはコア・ピンを金型のスペースの中へと駆動するために使用する運動を制限するカムを取り付けることが意図されている。また積極的な機械的な停止部材を用いることにより金型のスペースの中へのコア・ピンの侵入運動を停止させるようにすることもできる。
【0031】
本発明の基本的な原理は、重合体中における圧力が成形された製品中における気泡の保持性を制限しそれ以上発泡作用を効果的に凍結するような閾値に達する前に、金型のスペースの中へのコア・ピンの侵入作用を停止させることである。
【0032】
コア・ピンの侵入運動を停止させた後、随時、金型のスペースを迅速かつ正確に膨張させ、著しい圧力低下を起こさせて重合体の熔融装入物中で連続的に発生するガスを膨張させ続け、「新しい」金型のスペースを充填し、このようにして著しく密度が低下した製品をつくるような二次的なツーリングの運動を行わせることができる。
【0033】
本発明の他の態様に従えば、最初コア・ピンの運動を停止させた後に、1回またはそれ以上さらにツーリング運動のサイクルを行うことができ、金型のスペースを迅速かつ正確に膨張させるようにすることができる。本発明のこの態様においては、金型のスペースを膨張させる最初の運動は最終的な成形製品に対して意図したよりも金型のスペースを大きく膨張させるのに使用することができる。これによって泡を生成させるのに多くの空間と
時間が与えられる。次いで次のツーリング運動を使用して半熔融した発泡材料を再圧縮し、所望の幾何学的な大きさをもつ最終的な製品にすることができる。
【0034】
各下型に予め定められた量の材料を導入する前に熔融した重合体材料の流れを制限するためには、材料が回転式圧縮成形機のノズルを出る前に、熔融した重合体材料中において十分なガスの圧力を保つと同時に、うまく切断して回転圧縮成形機のキャビティーへと送ることができる大きさおよび形をもった発泡したペレットをつくることが望ましい。熔融した重合体材料の内部に配合されたガスは、圧縮成形機の下型のキャビティーの中に熔融した重合体を沈積させるために切断してペレットにする前に熔融した重合体中に注入するか、或いは重合体と配合した1種またはそれ以上のガス生成用の発泡剤または「膨張」剤によって与えることができる。
【0035】
本発明の一態様においては、熔融流中において回転圧縮成形機のノズル・ブロックの入り口の所に適当なオリフィス制限部材を配置し、その大きさを該制限部材の上手において十分な圧力を与えるような十分な流動抵抗が得られるような大きさにする。この時制限部材の下手におけるノズル・ブロックの幾何学的な大きさは、実際にノズルを出る前に発泡した熔融物が膨張できるような形をしており、従って金型のキャビティーの周囲に容易に適合し得る適切な幾何学的大きさをもつ発泡したペレットをつくることができる。
【0036】
別法として、調節可能な弁を熔融物流の中の回転圧縮成形機のノズル・ブロックの所に配置することができる。この時、弁の下手におけるノズル・ブロックの幾何学的な大きさは、実際にノズルを出る前に発泡した熔融物が膨張できるような形をしており、従って金型のキャビティーの周囲に容易に適合し得る幾何学的大きさをもつ適切な発泡したペレットをつくることができる。弁のオリフィスは十分な圧力が保たれるように手で調節できるか、或いは弁の位置のすぐ上手において熔融流の中に配置された圧力変換器を使用する閉じたループ式フィードバックシステムにより弁のオリフィスを自動的にコントロールすることができる。
【0037】
この方法により、ペレットを切断し送り出す時点まで十分なガスの圧力を保ちながら、適切な大きさの発泡したペレットを回転圧縮成形機のキャビティーに送ることができる。
【0038】
本発明のさらに他の態様においては、1個の小さい孔による圧力低下を用いるのではなく、多数のオリフィスのノズルは減少した水力半径が使用しノズルを通じて必要な圧力低下が得えられるようにする。この設計の利点は、小さいノズルの場合に類似した圧力低下が得られると共に、ノズルの断面の流れを大きくすることができる点である。これによってシステムはノズルの上手において所望の十分な圧力を保てると同時に、関連した金型のキャビティーの内部にぴったりと合うペレットを得ることができる。
【0039】
容易に理解し得るように、基質重合体材料とその中に配合されたガスとの実質的に均一で同質な混合物をつくることが望ましい。そのためには関連した圧縮成形装置において或る一定量の材料を沈積させる前に、発泡した重合体材料を分配または分布させて混合することが望ましい。これは発泡した重合体流の中にスタティックミキサー(static mixer)と称せられる固定した機素を配置して重合体材料を混合することによって達成される。発泡した重合体を関連した金型の中に沈積させる前にその混合度および均一性を増強させるために、別の機素または装置を使用することもできる。
【0040】
本発明によりつくられたプラスティックスの栓または同様な製品は、それがつくられる重合体材料の使用量を減少させることによりコストを低減をさせ得ることが望ましいが、予想される重量の減少は10〜20%の程度である。このような製品において重合体の使用量が減少すると、非常に著しいコストの低減を行うことができる。何故なら重合体材料
のコストは典型的には製品自身のコストの少なくとも半分を占めるからである。このことは比較的コストの高いバイオ樹脂、例えばポリ乳酸およびポリヒドロキシアルカノエート、および石油をベースにした典型的な重合体とは対照的な部分的にまたは完全に再生可能な供給原料、例えばエタノールからつくられたポリオレフィン等を使用する際には特に有利である。これに加えて容易に理解されるように、本発明を実施するのに使用できる成形可能な重合体材料は、基質の重合体樹脂の他に、顔料、潤滑剤、充填剤等の当業界に公知の成分を含んで成っていることができる。
【0041】
望ましい材料の節約、並びに望ましい栓の性能は、実質的に製品全体に亙って発泡させた製品をつくることによって達成される。スエプト密度(swept density)が低い場合において栓としての必要な性能を達成すると同時に、ドーム形成(doming)に対して必要な抵抗性を示し、所望の密封特性を与え、クラッキングに対して抵抗性をもち、必要な衝撃強さを示す栓を与えることが望ましい。
【0042】
発泡した重合体の栓に関連したレオロジー的特性は材料の選択に影響を及ぼす。ポリエチレンは容易に発泡するが、ポリプロピレンは発泡させることが困難である。外延的な粘度(extensional viscosity)、即ち膨張して風船に似た構造物になる能力は材料を選択する際の一因子になる。
【0043】
重合体熔融物の内部からガスが膨張する過程は吸熱反応の傾向をもっているから、ガスの膨張は成形の際に製品を冷却する作用をする。このことは、典型的に行われる金型アセンブリーの典型的な液体による冷却に加えて、製品の冷却をいっそう効率的に行なうことができるために望ましいことである。注目すべきことには、この吸熱反応は成形された製品の厚い部分の冷却を助けることができ、その結果望ましいことにはこの方法全体に対する冷却の必要な量を少なくすることができる。
【0044】
着色剤の選択も考慮しなければならない。何故なら重合体が結晶化した後、着色剤は典型的には冷却中に重合体を収縮させることができるからである。このような着色剤はまた発泡作用にも影響を及ぼし、或る種の着色剤は小さいセルまたは気泡の生成を増強させる。
【0045】
本発明を実施することにより新規の特徴の組み合わせをもったプラスティックスの栓をつくることができる。特に、本発明は発泡した少なくとも二つの部分、即ちセル状構造をもつ栓であって、その各々の部分は異なった平均密度を示す栓をつくることを意図している。さらに圧縮成形による製造に関連して、上部の壁の部分、および該上部の壁の部分から垂れ下がった環状のスカートの部分をもった栓がつくられる。注目すべきは、上方の壁の部分およびスカートの部分の両方は発泡した重合体材料からつくられ、この上方の壁の部分およびスカートの部分は両方とも発泡していない基質材料よりも実質的に低い密度の領域をもっている。
【0046】
一般的に云えば、栓を製造する際の重合体材料にかかる荷重は気泡の発生を制限することができるから、栓の内部における発泡能力は栓を製造する際の金型のキャビティーの内部における局所的な圧力に関係している。
【0047】
上述のように、本発明に従ってつくられた栓は、「原料の低減」の形で、即ち周囲の環境の中に導入される重合体材料の量を制限することにより環境に対して利点を与える。このような「原料の低減」は栓の寸法的な特性、特に栓の高さを制限することによりさらに達成される。この目的のためには、望ましくは異なった平均密度を有する発泡した部分を示すプラスティックスの栓を使用することにより本発明の原理を具体化したパッケージをつくり、このような栓をいわゆる「短い高さ(short height)」の瓶の仕上
げを有する容器、即ち容器のネジの部分をもつ容器と組み合わせて使用する。このような瓶の仕上げは通常PCO 1881と呼ばれ、本発明の原理を具体化した栓と組み合わせて使用した場合、さらに「原料を低減」することにより環境に対する望ましい利点を与えると同時に、所望のコストの節約を行うことができる。
【0048】
図3および図4は本発明に従ってつくられた成形されたプラスティックスの栓のCAT(computed axial tomography,コンピュータ制御による(体軸 )断層X線写真)の画像である。注目すべきことは、栓の発泡した特性は容易にわかり、栓のセル構造は栓の上部のパネルまたは上部の壁の部分、並びに垂れ下がった環状のスカートの部分、および関連する螺旋状のネジの生成に明白に現れている。図4は栓のネジが生成した部分を通して水平に撮影したCATの画像であり、これは栓の側壁の発泡したセル状の性質およびネジ状部分の生成を明白に示している。
【0049】
図5は従来の圧縮成形法によりつくられた非発泡性のプラスティックスの栓と比較した場合の、本発明に従ってつくられたプラスティックスの栓の密度の減少をグラフ的に示した図である。
【0050】
添付された表1は本発明に従ってつくられた栓の試料の特性を示している。下記の表は請求項1を支持する根拠になっている。
【0051】
【表1】

【0052】
上記の説明から本発明の新規概念の精神および範囲を逸脱することなく多数の変更および変形を行い得ることは明らかである。本明細書に記載した特定の具体化例に関する限定は全く意図されておらず、或いはまたそのようなことを推定すべきではない。上記説明は添付特許請求の範囲により請求項の範囲に入るすべての変形を包含するものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の熔融した重合体とその中に配合されたガスとの混合物を含む熔融した重合体材料をつくる段階;
下型、およびそれと一緒に動作する雄型の成形ピンを含む金型アセンブリーであって、該雄型の成形ピンは該下型の内部に一般的に適合して該金型アセンブリーの金型キャビティーを規定するような金型アセンブリーを装備する段階;
予め定められた量の該重合体材料を大気圧において該下型の中に沈積させる段階;
該下型および該雄型の成形ピンを相対的に動かすことにより該金型アセンブリーを閉じて該重合体材料を圧縮し、この際該下型および該雄型の成形ピンの相対運動をコントロールして予め定められた容積をもつ該金型キャビティーが形成されるようにして実質的に減少した密度をもつ成形製品を得ることを含む段階:および
該金型アセンブリーを開き、そこから成形されたプラスティックスの栓を取り出す段階を含んで成ることを特徴とするプラスティックス製品を圧縮成形する方法。
【請求項2】
該ガスは該重合体と配合されたガス生成化合物を供給することによって該混合物中に提供されることを特徴とする請求項1記載の製品の成形法。
【請求項3】
該閉鎖段階の間、下型の中への雄型の成形ピンの侵入度が最終的にコントロールされて予め定められた値になった時、雄型の成形ピンと下型との間の相対的な速度および加速度がほぼゼロのレベルになるようにコントロールされることを特徴とする請求項1記載の製品の成形法。
【請求項4】
該金型アセンブリーを開く段階の前において、該金型アセンブリーを部分的に開いてガスの影響下において重合体材料を膨張させ該プラスティックスの栓をつくることを含んでいることを特徴とする請求項3記載の製品の成形法。
【請求項5】
該金型アセンブリーを部分的に開いた後に該重合体材料を再圧縮して該プラスティックスの栓をつくることを含んでいることを特徴とする請求項4記載の製品の成形法。
【請求項6】
該金型アセンブリーの閉鎖を制限するために該金型アセンブリーに積極的な機械的な停止部材を取り付けることを含んでいることを特徴とする請求項1記載の製品の成形法。
【請求項7】
カムの輪郭とバネによる変位、空気圧、水力、または電磁的な作動力との共同作用によって該金型アセンブリーの閉鎖を制限し、該下型と雄型の成形ピンとの相対運動をコントロールすることを含んでいることを特徴とする請求項1記載の製品の製造法。
【請求項8】
該沈積段階の前において、熔融重合体材料の流れを制限し、これによって該熔融重合体材料の内部において十分なガスの圧力を維持することを含んでいることを特徴とする請求項1記載の製品の成形法。
【請求項9】
該沈積段階の前において、該熔融重合体材料を部分的に膨張させることを含んでいることを特徴とする請求項8記載の製品の成形法。
【請求項10】
該沈積段階の前において、熔融重合体材料を通して流す流量制限用のオリフィスが複数装備されていることを含んでいることを特徴とする請求項8記載の製品の成形法。
【請求項11】
該沈積段階の前において、熔融重合体材料を通して流す調節可能な流量制限用のバルブ・アセンブリーが装備されていることを含んでいることを特徴とする請求項8記載の製品の成形法。
【請求項12】
該沈積段階の前において、該熔融重合体材料を分散または分配させて混合し該材料の均一性を増加させることを含んでいることを特徴とする請求項1記載の製品の成形法。
【請求項13】
該熔融重合体材料を分散または分配させて混合するスタティック・ミキサーが装備されていることを含んでいることを特徴とする請求項12記載の製品の成形法。
【請求項14】
上部の壁の部分、;および
該上部の壁の部分から一体となって垂れ下がっている環状のスカートの部分を具備し、
該上部の壁の部分および該スカートの部分はさらに非発泡の基質材料の密度と実質的に同じ密度をもった第1の層、およびその場でつくられる比較的密度の低い発泡した第2の層を含んで成り;
該上部の壁の部分および該スカートの部分の各々は発泡した重合体材料からつくられ、またそれぞれ非発泡の基質材料より低い密度の区域を有していることを特徴とするプラスティックスの栓。
【請求項15】
該非発泡の基質材料は部分的にまたは完全に再生可能な供給原料を含んで成ることを特徴とする請求項14記載のプラスティックスの栓。
【請求項16】
請求項12記載の構成をもつプラスティックスの栓;および
該栓を受けるための頸部の仕上げ部分を含んで成ることを特徴とするパッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−503061(P2013−503061A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−527008(P2012−527008)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【国際出願番号】PCT/US2010/046909
【国際公開番号】WO2011/025916
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(505279259)クロージヤー・システムズ・インターナシヨナル・インコーポレーテツド (14)
【氏名又は名称原語表記】Closure Systems International, Inc.
【Fターム(参考)】