説明

発泡ウレタン充填装置および発泡ウレタン充填用の注入ガン

【課題】作業効率が良く、製品の品質が安定し、低コストで、小型化でき、清掃容易な発泡ウレタン充填装置および発泡ウレタン充填用の注入ガンを提供する。
【解決手段】液容器1A,1BからR液とI液を吸い上げて注入ガン3に送る液送り装置4A,4Bのポンプ2A,2Bにギアポンプを使用する、また、注入ガン3は、ポンプ2A,2Bで送り込まれたI液とR液を、注入ガン3内部で発泡して硬化しないよう別々の液流路を介してノズル35まで移送するとともに、R液を移送する液流路の途中にエアー送り装置17で加圧されたエアーを導入し、R液をエアーの流れに乗せてエアーと共に移送して、ノズル35内部でI液と混合させ、アーの圧力で攪拌しつつノズル35先端から噴出させるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡ウレタンの原料である2種類の液体を混合し攪拌して断熱施工箇所に注入する発泡ウレタン充填装置および発泡ウレタン充填用の注入ガンに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば化学プラントのタンクや配管の断熱施工現場において、断熱施工箇所に断熱材である発泡ウレタンを充填する場合に、従来の施工方法は、現場で、原料であるポリオール液(R液)とポリイソシアネート液(I液)を作業員が手作業で一回一回計量して小容器に入れ、掻き混ぜて、硬化しないうちに施工箇所に流し込むというのが一般的であった。
【0003】
しかし、このように手作業で原料の液体を一回一回計量し小容器に取って掻き混ぜるのでは、バッチ作業であって作業効率が悪く、また、計量ミスもあり、人によって掻き混ぜ具合が違うこともあって、品質にバラツキが生じ、製品不良が発生し易く、手直しのための再施工に時間がかかりコストもかかることが少なくない。そこで、原料2液を混合し攪拌して噴出させる作業を機械化することも試みられている。そして、例えば、胴部内部を二重構造の流路とし、原料2液をポンプで定量的に供給して、胴部内部で一方の液は二重構造の外側の流路を通し、他方の液は内側の流路を通して、それぞれノズルの内部に吐出させ、ノズルの内部でそれら2液を混合し、例えばエアーを供給して攪拌し、ホースの先端から吐出するようにした注入ガンが提案されている。このエアーは、外側の流路に送り込む一方の液とともに注入ガンに供給される(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−308854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
断熱施工現場において施工箇所の発泡ウレタンを充填する作業を従来のように手作業で行っていたのでは、作業効率が悪く、製品不良が発生し易くて、手直しのための再施工に時間がかりコストもかかることが少なくない。また、機械化したものでも、従来の装置では、発泡ウレタンの原料である粘度の高いポリオール液とポリイソシアネート液を完全に混合・攪拌することが難しく、そのため、製品の品質にバラツキが生じ易く、断熱効果を損なうような空洞(す)ができることもあって、再施工(手直し)が必要となってコスト高になる恐れがある。そうした事情は、上記のように、原料の2液を二重構造の流路の内側と外側に分けて通し、ノズルの内部でそれら2液を混合し攪拌して吐出するようにした上記従来の注入ガンでも同様である。また、この注入ガンでは、エアーで2液を攪拌する場合に、そのエアーは、外側の流路に送り込む液とともに注入ガンに供給するので、この外側の流路にエアーの圧力がかかり、その分、ポンプ圧が大きくなってポンプの大型化が必要となるだけでなく、液量の制御が困難となり、製品の品質にバラツキが生じやすくなる。
【0006】
本発明は、こうした問題を解決するためになされたもので、作業効率が良く、製品の品質が安定し、低コストで、小型化でき、清掃容易な発泡ウレタン充填装置および発泡ウレタン充填用の注入ガンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、発泡ウレタンの原料である2種類の液体を混合し攪拌して断熱施工箇所に注入する発泡ウレタン充填装置であって、2種類の液体を別々に収容する液容器と、これらの液容器から2種類の液体をそれぞれポンプで吸い上げて別々に送る液送り装置と、加圧したエアーを送るエアー送り装置と、中空状の胴部および握り部を有するガン本体の胴部先端に取り外し自在に中空状の連結部材を介してノズルが連結され、液送り装置から送られた2種類の液体をガン本体の胴部および連結部材の内部で別々の液流路を通してノズルまで移送するとともに、エアー送り装置から送られた加圧されたエアーを2種類の液体の内の一方の液体を移送する液流路に該液流路の途中から該液流路の移送方向へ向けて供給し、ノズル内部で2種類の液体を混合させエアーの圧力で攪拌してノズル先端から吐出する注入ガンとを備える発泡ウレタン充填装置を提供する。
【0008】
この発泡ウレタン充填装置において、液送り装置は、ポンプとして例えばギアポンプを使用したものであるのがよい。また、液容器にヒータを取り付けるのがよい。
【0009】
発泡ウレタン充填装置をこのように構成することで、液容器から2種類の液体がそれぞれポンプで供給されて注入ガンの内部を別々にノズルまで送られて、ノズル内部で2液が混合する。そのため、注入ガンの内部で2液が混合して硬化するのが防止される。
【0010】
そして、一方の液に対し液流路の途中から液移送方向へ向けて加圧されたエアーが供給されて、その液がエアーの流れに乗ってノズルに移送され、ノズル内部で他方の液と混合し、エアーの圧力でノズル内部に乱流が生じ、2液が最適に攪拌される。そのため、製品の品質が安定し、効率が良く、品質不良で再施工が必要となるような事態が少なくて、低コストとなる。また、液流量の調整はポンプ回転数の制御によって容易に行える。
【0011】
そして、この発泡ウレタン充填装置は、液容器、液送り装置、エアー送り装置および注入ガンをそれぞれコンパクトに形成し、全体として小型・軽量化することができる。そのため、例えば化学プラントにおける液化天然ガス(LNG)の大型のタンクやその配管の周りの断熱工事のような、施工現場が広範囲で、機材を、高い所や低い所を含めて広範囲に移動させながら作業しなくてはならない場合であっても、移動が容易で、効率の良い作業が可能になる。
【0012】
また、エアーは一方の液に対し液流路の途中から液移送方向へ向けて供給されることで、液流路およびその周辺への逆流を防ぐことができる。そのため、ポンプ圧が増大してポンプの大型化が必要になったり、エアーの逆流によって液流量の制御が困難になるのを防ぐことができる。
【0013】
また、この発泡ウレタン充填装置は、使用後、液供給を止めて、エアーを空噴きすることにより、ノズル内部に残った液体を吹き飛ばすとともに、ノズルより上流の液流路およびその周辺から負圧で液体を吸い出して、注入ガン内部が詰まらないように清掃することができ、さらに、ガン本体の胴部から連結部材およびノズルを取り外し、それぞれ分解して洗浄することができる。また、パーツ取替も容易である。
【0014】
また、この発泡ウレタン充填装置は、100V電源を使用したり、小型発電機の使用も可能にするなど、使い勝手によいものとすることができる。
【0015】
そして、この発泡ウレタン充填装置は、液送り装置のポンプとして例えばギアポンプを使用することで、小型・軽量化並びに液量制御が容易になる。ギアポンプは粘度の高い液体を定量的に送るポンプとして好適で、発泡ウレタンの原料であるポリオール液およびポリイソシアネート液にも対応でき、他の例えばモノポンプ(スネークポンプ)等に比べて小型・軽量である。このギアポンプを二つ例えば上下に並べて一つのボックスに組み込むことで、装置の一層の小型・軽量化が可能である。
【0016】
また、この発泡ウレタン充填装置は、液容器にヒータを取り付けて液温を管理することにより、液体の粘度を下げてスムーズな移送および混合を実現することができる。
【0017】
また、本発明は、発泡ウレタンの原料である2種類の液体を混合し攪拌して断熱施工箇所に注入する発泡ウレタン充填用の注入ガンであって、中空状の胴部および握り部を有するガン本体の胴部先端に取り外し自在に中空状の連結部材を介してノズルが連結され、2種類の液体を注入ガン内部に別々に送入する二つの液送入口と、加圧されたエアーを注入ガン内部に送入するエアー送入口と、二つの液送入口から送入された2種類の液体を注入ガン内部で別々にノズルまで移送する2系統の液流路と、エアー送入口から送入されたエアーを注入ガン内部で2種類の液体とは分離してノズルへ向けて移送しノズルの手前で2系統の液流路の内の一方の液流路に合流させるエアー流路を有し、ポンプで送られて液送入口から送入された2種類の液体を2系統の液流路を通して別々にノズルまで移送するとともに、加圧されてエアー送入口から送入されたエアーを2系統の液流路の内の一方の液流路に該液流路の途中から該液流路の移送方向へ向けて供給し、ノズル内部で2種類の液体を混合させエアーの圧力で攪拌してノズル先端から吐出する発泡ウレタン充填用の注入ガンを提供する。
【0018】
この注入ガンにおいて、2系統の液流路とエアー流路は、ノズルの手前まではエアー流路が一番外側となる同心的三重構造で、ノズルの内部では、エアー流路と一方の液流路が合流して外側となり他方の液流路が内側となる同心的二重構造で、その二重構造の先端側で、内側の流路端部が外側の流路端部よりもノズル内部において吐出方向に突出しているのがよい。
【0019】
また、ガン本体には、握り部に近い基端側の位置にエアー送入口と、エアーが通る内部の通路を開閉するエアー開閉弁と、エアー開閉弁を操作するエアー開閉レバーが設けられるとともに、胴部先端側の位置に2系統の液流路の内の内側の液流路に連通する液送入口が設けられ、連結部材には、2系統の液流路の内の外側の液流路に連通する液送入口が設けられているとともに、ガン本体側への液体の逆流を防止する液体逆止蓋が設けられ、ノズルは、ノズルジョイントにホースが連結されてなり、二つの液送入口には、それら液送入口をそれぞれ開閉自在とする開閉弁が設けられているのがよい。
【0020】
注入ガンをこのように構成することで、2種類の液体が注入ガンの内部を別々にノズルまで送られて、ノズル内部で2液が混合する。そのため、注入ガンの内部で2液が混合して硬化するのが防止される。そして、この注入ガンは、小型・軽量で取扱い性に優れたものとすることができる。
【0021】
そして、一方の液に対し液流路の途中から液移送方向へ向けて加圧されたエアーが供給されて、その液がエアーの流れに乗ってノズルに移送され、ノズル内部で他方の液と混合し、エアーの圧力でノズル内部に乱流が生じ、2液が最適に攪拌される。そのため、製品の品質が安定し、効率が良く、品質不良で再施工が必要となるような事態が少なくて、低コストとなる。また、液流量の調整はポンプ回転数の制御によって容易に行える。
【0022】
また、この注入ガンは、エアーが一方の液に対し液流路の途中から液移送方向へ向けて供給されるため、液流路およびその周辺へのエアーの逆流を防ぐことができる。そのため、ポンプ圧が増大してポンプの大型化が必要になったり、エアーの逆流によって液流量の制御が困難になるのを防ぐことができる。
【0023】
また、この注入ガンは、使用後、液供給を止めて、エアーを空噴きすることにより、ノズル内部に残った液体を吹き飛ばすとともに、ノズルより上流の液流路およびその周辺から負圧で液体を吸い出して、注入ガン内部が詰まらないように清掃することができ、さらに、ガン本体の胴部から連結部材およびノズルを取り外し、それぞれ分解して洗浄することができる。また、連結部材およびノズルのパーツ取替も容易である。
【0024】
そして、この注入ガンは、2系統の液流路とエアー流路を、ノズルの手前まではエアー流路が一番外側となる同心的三重構造で、ノズルの内部では、エアー流路と一方の液流路が合流して外側となり他方の液流路が内側となる同心的二重構造で、その二重構造の先端側で、内側の流路端部が外側の流路端部よりもノズル内部において吐出方向に突出するようにすることで、2液を螺旋状に絡ませ、エアーの圧力で攪拌させて2液が均一に混ざるようにすることが容易になる。
【0025】
そして、この注入ガンは、ガン本体に、握り部に近い基端側の位置にエアー送入口と、エアーが通る内部の通路を開閉するエアー開閉弁と、エアー開閉弁を操作するエアー開閉レバーが設けられ、胴部先端側の位置に2系統の液流路の内の内側の液流路に連通する液送入口が設けられ、連結部材に、2系統の液流路の内の外側の液流路に連通する液送入口が設けられているとともに、ガン本体側への液体の逆流を防止する液体逆止蓋が設けられ、ノズルが、ノズルジョイントにホースが連結されてなり、二つの液送入口に、それら液送入口をそれぞれ開閉自在とする開閉バルブが設けられているものとすることで、二つの液送入口と、エアー送入口と、二つの液送入口から送入された2種類の液体を注入ガン内部で別々にノズルまで移送する2系統の液流路と、エアー送入口から送入されたエアーを注入ガン内部で2種類の液体とは分離してノズルへ向けて移送しノズルの手前で2系統の液流路の内の一方の液流路に合流させるエアー流路とを、最適な配置で形成し、注入ガンをコンパクトで取り扱い易いものとすることができるとともに、ノズル内部で2種類の液体を混合させエアーの圧力で最適に攪拌することができ、ノズル先端から最適に吐出することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上のとおり、本発明によれば、発泡ウレタンの原料である2種類の液体を混合し攪拌して断熱施工箇所に注入し、発泡・硬化させることにより発泡ウレタンを充填する断熱施工を、小型・軽量な装置によって、作業効率良く、製品品質が良好で、低コストで実現でき、また、使用後の装置の清掃が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態の一例に係る発泡ウレタン充填装置の全体図である。
【図2】本発明の実施形態の一例に係る液送り装置を示す図で、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【図3】本発明の実施形態の一例に係る注入ガンの構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1〜図3は本発明の実施形態の一例を示している。
この実施形態の発泡ウレタン充填装置は、ポリオール液(以下、R液という。)とポリイソシアネート液(以下、I液という。)を原料として、これら2種類の液体(以下、原料2液、あるいは、単に2液という。)を混合・攪拌して断熱施工箇所に注入し、発泡・硬化させるもので、装置全体の構成は図1に示すとおりである。
【0029】
原料2液は個別に液容器1A,1Bに収容する。これらの液容器1A,1Bにはヒータを巻きつけ(図示せず)、液体の粘度を下げるために適宜温める(23〜40℃程度)。
【0030】
そして、この発泡ウレタン充填装置は、液容器1A,1Bから原料2液を別々にポンプ2A,2Bで吸い上げて注入ガン3に送り込む液送り装置4A,4Bを備えている。液容器1A,1Bとしては、例えば一斗缶を使用する。
【0031】
この実施形態では、ポンプ2A,2Bとしてギアポンプを使用している。ギアポンプは、粘度の高いR液およびI液を定量的に吸い上げて送ることができ、流量を安定させることができ、ポンプ回転数の制御により流量を調整することができ、しかも、小型・軽量である。
【0032】
そして、R液、I液を圧送するそれぞれのポンプ2A,2B(ギアポンプ)を備えた二つの液送り装置4A,4Bを、図2に示すように上下に並べて一つのボックス5に組み込んでいる。こうすることで、二つの液送り装置4A,4Bを一体化して小型・軽量化することができる。なお、ポンプ2A,2Bはギアポンプに限るものではなく、他に、例えばチューブポンプ等を使用し、ダンパー及び減圧弁によって流量を安定させるようにしてもよい。
【0033】
図2に示すように、上下に並んでボックス5に組み込まれた二つの液送り装置4A,4Bには、それぞれ、ポンプ2A,2B(ギアポンプ)の吸入側の配管6A,6Bと、吐出側の配管7A,7Bが設けられ、液容器1A,1Bに接続された液吸上げ用の配管8A,8Bが、吸入側の配管6A,6Bの液供給用の接続口9A,9Bに開閉弁10A,10Bを介して接続されている。
【0034】
また、液送り装置4A,4Bのそれぞれの吐出側の配管7A,7Bには、先端に開閉弁11A,11Bが配設され、開閉弁11A,11Bの上流側にポンプ2A,2B保護のためのリリーフ弁からなる安全装置12A,12Bが配設されている。
【0035】
そして、安全装置12A,12Bを介して吐出側の配管7A,7Bにリリーフ用の配管13A,13Bの一端が接続され、それらリリーフ用の配管13A,13Bの他端が吸入側の配管6A,6Bに接続されている。
【0036】
また、吐出側の配管7A,7Bには、安全装置12A,12Bより上流側に排出口14A,14Bが設けられ、これら排出口14A,14Bに開閉弁15A,15Bが配設されている。また、液送り装置4A,4Bには、それぞれポンプ2A,2Bを駆動するモータ16A,16Bが配設されている。
【0037】
また、この発泡ウレタン充填装置は、コンプレッサーで例えば約0.4MP程度に加圧して注入ガン3にエアーを送り込むエアー送り装置17を備えている。
【0038】
そして、二つの液送り装置4A,4Bの吐出側の配管7A,7Bがそれぞれ開閉弁11A,11Bを介してホース18,19で注入ガン3に接続され、エアー送り装置17がホース20で注入ガン3に接続されている。
【0039】
注入ガン3は、発泡ウレタンの原料2液を混合・攪拌してノズルから噴出させ断熱施工箇所に注入するもので、図3に示すように、中空状の胴部31および握り部32を有するガン本体33の胴部31先端に、取り外し自在に中空状の連結部材34を介してノズル35が連結されている。
【0040】
ガン本体33には、握り部32に近い位置に、注入ガン内部にエアーを送入するエアー送入口36と、エアーが通る内部の通路を開閉するエアー開閉弁37と、エアー開閉弁37を操作するエアー開閉レバー38と、エアー量調整ネジ39が設けられ、また、連結部材34を介してノズル35を組み付ける胴部31先端側の位置に、I液を送入する液送入口41が設けられている。
【0041】
連結部材34は、図示の例ではソケット34A、ニップル34Bおよびレデューサー34Cの3部材であり、それらがこの順にガン本体33の胴部31に連結される(但し、これに限定されるものではない)。そして、R液を送入する液送入口42がニップル34Bに設けられ、ソケット34Aには、ガン本体33内部への液体逆流を防止する液体逆止蓋43(エアーを通すが液体を通さない小さい穴を開けた蓋)が設けられている。
【0042】
そして、アルミパイプ44が、ガン本体33の胴部31の内部でI液用の液送入口41に接続され、胴部31内部から、ソケット34A、ニップル34Bおよびレデューサー34Cの内部を貫通して、ノズル35の内部へ突き出るように配設され、そのアルミパイプ44の周りに、同心二重構造となる配置で、相対的に径が大きくて長さの短いもう一つのアルミパイプ45が配置され、その一端がニップル34Bの内部で90°角エルボ46を介してR液用の液送入口42に接続され、他端がレデューサー34Cの内部でノズル35の手前にあって、その位置でレデューサー34Cの内部に開放されている。
【0043】
ノズル35は、ノズルジョイント46にホース47が連結されたもので、ノズルジョイント46の部分でレデューサー34Cに組み付けられている。I液用の液送入口41に接続された内側のアルミパイプ44の先端は、ノズルジョイント46からホース47内に例えば5mm程度突出している。
【0044】
アルミパイプ44,45の径は、三重構造の部分の内外2系統の液流路51,52の断面積が同じになるよう設計される。
【0045】
そして、注入ガン3の胴部33に設けられたI液用の液送入口41と、ニップル34Bに設けられたR液用の液送入口42には、それらの液送入口41,42を開閉する開閉弁48,49がそれぞれ設けられている。液送り装置4A,4Bから注入ガン3にR液およびI液を送るホース18,19は、これら開閉弁48,49を介してそれぞれの液送入口41,42に接続される。
【0046】
内外二つのアルミパイプ44,45は、二つの液送入口41,42から注入ガン3内部に送り込まれた原料2液を注入ガン3内部において別々にノズル35まで移送する2系統の液流路51,52を構成している。また、ガン本体33の内部から、連結部材34であるソケット34A、ニップル34Bおよびレデューサー34Cの内部を経て、ノズル35に内部にかけて、エアー送入口36から送り込まれたエアーを原料2液とは分離してノズル35へ向けて移送し、外側のアルミパイプ45によって構成されノズル35の手前でレデューサー34Cの内部に開放されたR液用の液流路52に合流するエアー流路53が構成されている。
【0047】
これら2系統の液流路51,52およびエアー流路53は、ニップル34Bおよびレデューサー34Cの内部でノズル35の手前までは、I液用の液流路51が一番内側で、R液用の液流路52がその外側で、エアー流路53が一番外側となる同心的三重構造の流路となり、ノズルジョイント46の内部で、I液用の液流路51が内側で、R液用の液流路52が外側となり、この外側の液流路52にエアーが合流して流れる同心的二重構造の流路となっている。
【0048】
この注入ガン3は、ポンプ2A,2Bで別々に送り込まれたI液とR液を、注入ガン3の内部で発泡して硬化しないように別々の液流路51,52を介してノズル35まで移送する。I液は、空気中の水分と反応するとすぐ硬化してしまうので、エアーと触れないよう内側の液流路51を通してノズル35のホース47まで送り出す。そして、そのR液を移送する液流路52の途中に、その移送方向へ向けて、コンプレッサーで加圧されたエアーを導入する。R液は、空気中でI液ほど硬化しないのでエアーと触れないようにする必要性は比較的低いが、粘度が高いため、ノズル35の手前でエアーと合流させてエアーの圧力で押し出すのである。そして、R液をエアーの流れに乗せてエアーと共に移送し、ノズル35内部でI液と混合させてエアーの圧力で攪拌しつつノズル35のホース47から噴出させる。
【0049】
この場合、内側のアルミパイプ44により構成されるI液用の液流路51は、ノズルジョイント46の内側に形成されてエアーが合流するR液用の液流路52よりも、5mm程度ホース47内に突出しており、これにより、2液は螺旋状に絡まって攪拌される。また、R液はノズル35の手前でエアーと合流するので、エアーの圧力がR液用のホース18を介してポンプ2A側に逆流するのを防止できる。内側のアルミパイプ44がノズルジョイント46から突出する量は、5mmに限定されるものではなく、2液が螺旋状に絡まって均一に混ざるように調整する。
【0050】
ノズル35のホース47には、例えばビニールホースや鋼管等を使用し、攪拌が十分であるよう150mm以上とするのがよい。ビニールホースは使い捨てにするのがよい。鋼管は洗浄して再利用できる。
【0051】
この発泡ウレタン充填装置は、100V電源を使用したり、小型発電機の使用も可能にするなど、使い勝手によいものとすることができる。
【0052】
注入ガン3は、使用後、液送入口41,42の開閉弁48,49を閉じて液供給を止め、エアーを空噴きすることで、ノズル3内部に残った液体を吹き飛ばすとともに、ノズル3より上流の液流路52およびその周辺から負圧で液体を吸い出して、内部が詰まらないように清掃することができる。また、ガン本体33の胴部31から連結部材34(ソケット34A、ニップル34Bおよびレデューサー34C)とノズル3を全て取り外し、それぞれを分解して洗浄することもできる。
【0053】
以上、本発明の実施形態の一例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、様々に態様を変更して実施することが可能である。
【0054】
また、本発明は、断熱材の壁の吹き付け工事等に応用することも可能である。
【符号の説明】
【0055】
1A、1B 液容器
2A、2B ポンプ
3 注入ガン
4A、4B 液送り装置
17 エアー送り装置
31 胴部
32 握り部
33 ガン本体
34 連結部材
35 ノズル
36 エアー送入口
37 エアー開閉弁
38 エアー開閉レバー
39 エアー量調整ネジ
41、42 液送入口
43 液体逆止蓋
44、45 アルミパイプ
46 ノズルジョイント
47 ホース
48、49 開閉弁
51、52 液流路
53 エアー流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡ウレタンの原料である2種類の液体を混合し攪拌して断熱施工箇所に注入する発泡ウレタン充填装置であって、
前記2種類の液体を別々に収容する液容器と、
これらの液容器から前記2種類の液体をそれぞれポンプで吸い上げて別々に送る液送り装置と、
加圧したエアーを送るエアー送り装置と、
中空状の胴部および握り部を有するガン本体の胴部先端に取り外し自在に中空状の連結部材を介してノズルが連結され、前記液送り装置から送られた前記2種類の液体を前記ガン本体の胴部および前記連結部材の内部で別々の液流路を通して前記ノズルまで移送するとともに、前記エアー送り装置から送られた加圧されたエアーを前記2種類の液体の内の一方の液体を移送する液流路に該液流路の途中から該液流路の移送方向へ向けて供給し、ノズル内部で前記2種類の液体を混合させ前記エアーの圧力で攪拌してノズル先端から吐出する注入ガンとを備えることを特徴とする発泡ウレタン充填装置。
【請求項2】
前記液送り装置は、ポンプとしてギアポンプを使用したものであることを特徴とする請求項1記載の発泡ウレタン充填装置。
【請求項3】
前記液容器にヒータを取り付けることを特徴とする請求項1または2記載の発泡ウレタン充填装置
【請求項4】
発泡ウレタンの原料である2種類の液体を混合し攪拌して断熱施工箇所に注入する発泡ウレタン充填用の注入ガンであって、
中空状の胴部および握り部を有するガン本体の胴部先端に取り外し自在に中空状の連結部材を介してノズルが連結され、
前記2種類の液体を注入ガン内部に別々に送入する二つの液送入口と、
加圧されたエアーを注入ガン内部に送入するエアー送入口と、
前記二つの液送入口から送入された前記2種類の液体を注入ガン内部で別々に前記ノズルまで移送する2系統の液流路と、
前記エアー送入口から送入されたエアーを注入ガン内部で前記2種類の液体とは分離して前記ノズルへ向けて移送し前記ノズルの手前で前記2系統の液流路の内の一方の液流路に合流させるエアー流路を有し、
ポンプで送られて前記液送入口から送入された前記2種類の液体を前記2系統の液流路を通して別々に前記ノズルまで移送するとともに、加圧されて前記エアー送入口から送入されたエアーを前記2系統の液流路の内の一方の液流路に該液流路の途中から該液流路の移送方向へ向けて供給し、ノズル内部で前記2種類の液体を混合させ前記エアーの圧力で攪拌してノズル先端から吐出することを特徴とする発泡ウレタン充填用の注入ガン。
【請求項5】
前記2系統の液流路と前記エアー流路は、前記ノズルの手前までは前記エアー流路が一番外側となる同心的三重構造で、前記ノズルの内部では、前記エアー流路と一方の液流路が合流して外側となり他方の液流路が内側となる同心的二重構造で、その二重構造の先端側で、内側の流路端部が外側の流路端部よりもノズル内部において吐出方向に突出していることを特徴とする請求項4記載の発泡ウレタン充填用の注入ガン。
【請求項6】
前記ガン本体には、前記握り部に近い基端側の位置に前記エアー送入口と、エアーが通る内部の通路を開閉するエアー開閉弁と、該エアー開閉弁を操作するエアー開閉レバーが設けられるとともに、胴部先端側の位置に前記2系統の液流路の内の内側の液流路に連通する液送入口が設けられ、
前記連結部材に、前記2系統の液流路の内の外側の液流路に連通する液送入口が設けられているとともに、前記ガン本体側への液体の逆流を防止する液体逆止蓋が設けられ、
前記ノズルは、ノズルジョイントにホースが連結されてなり、
前記二つの液送入口には、それら液送入口をそれぞれ開閉自在とする開閉弁が設けられていることを特徴とする請求項4または5記載の発泡ウレタン充填用の注入ガン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−24682(P2012−24682A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−164821(P2010−164821)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(510200635)株式会社アビノ (2)
【出願人】(510200646)有限会社アスプリ (1)
【Fターム(参考)】