説明

発泡シート及びその製造方法

【課題】断熱性及び柔軟性に優れるとともに、取扱い性、施工性、及び成形性に優れ、種々の用途に適用することができる発泡シート及びその製造方法を提供する。
【解決手段】熱可塑性エラストマー100質量部に対して、1〜30質量部のホウケイ酸ガラスを主成分とするマイクロバルーンと、0.4〜2.0質量部の熱膨張性マイクロカプセルとを配合し、前記熱膨張性マイクロカプセルを熱膨張させるとともにシート状に成形したものであることを特徴とする発泡シート。好ましくは、熱可塑性エラストマーとして熱可塑性ポリウレタンエラストマーを用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡シート及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
断熱性を必要とする部材に断熱性を付与する手段として、中空のマイクロバルーンを配合した断熱材料を用いる方法がある。例えば、エポキシ樹脂等の比較的低温で硬化し、接着性を有する樹脂成分に、硼珪酸シリカからなるマイクロバルーンとフェノール樹脂からなるマイクロバルーン等を配合した断熱材料が提案されている(特許文献1、2参照)。このような断熱材料を、断熱性を必要とする部材に塗布して乾燥させる作業を数回繰り返すことで断熱層を形成し、それにより断熱性を付与するというものである。
【特許文献1】特許第2906083号公報
【特許文献2】特許第2990534号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のようなマイクロバルーン等を含む断熱性組成物は、高い断熱性を付与することができる反面、塗布と乾燥を繰り返し行う必要があるため、取扱い性や施工性に問題があり、また、適用場面が限られるといった問題もある。また、マイクロバルーンの配合量を多くすることで断熱性の向上をはかることができるが、マイクロバルーンの配合量、特に、ホウケイ酸ガラスを主成分とするマイクロバルーンの配合量を多くすると、断熱層の成形性、接着性、柔軟性等が低下し、剥離しやすいといった問題が生じる。
【0004】
本発明は、断熱性及び柔軟性に優れるとともに、取扱い性、施工性、及び成形性に優れ、種々の用途に適用することができる発泡シート及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明では以下の発泡シート及びその製造方法が提供される。
【0006】
<1> 熱可塑性エラストマー100質量部に対して、1〜30質量部のホウケイ酸ガラスを主成分とするマイクロバルーンと、0.4〜2.0質量部の熱膨張性マイクロカプセルとを配合し、前記熱膨張性マイクロカプセルを熱膨張させるとともにシート状に成形したものであることを特徴とする発泡シート。
【0007】
<2> 前記熱可塑性エラストマーが、熱可塑性ポリウレタンエラストマーであることを特徴とする<1>に記載の発泡シート。
【0008】
<3> 熱可塑性エラストマー100質量部に対して、1〜30質量部のホウケイ酸ガラスを主成分とするマイクロバルーンと、0.4〜2.0質量部の熱膨張性マイクロカプセルとを配合し、インフレーション法又はTダイ法により前記熱膨張性マイクロカプセルを熱膨張させるとともにシート状に成形することを特徴とする発泡シートの製造方法。
【0009】
<4> 前記熱可塑性エラストマーとして、熱可塑性ポリウレタンエラストマーを用いることを特徴とする<3>に記載の発泡シートの製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、断熱性及び柔軟性に優れるとともに、取扱い性、施工性、及び成形性に優れ、種々の用途に適用することができる発泡シート及びその製造方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係る発泡シート及びその製造方法について具体的に説明する。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねたところ、熱可塑性エラストマーに、ホウケイ酸ガラスを主成分とするマイクロバルーンと熱膨張性マイクロカプセルをそれぞれ特定の割合で配合し、熱膨張性マイクロカプセルを熱膨張させるとともにシート状に成形した発泡シートとすることで、断熱性、柔軟性、耐熱収縮性、寸法安定性、取扱い性、施工性、成形性等の様々な性能に優れ、種々の用途に適用することができることを見出し、本発明を完成させた。
【0012】
‐熱可塑性エラストマー‐
本発明に係る発泡シートの主剤(主成分)となる熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系、オレフィン系、塩ビ系、ウレタン系、エステル系、アミド系が挙げられ、いずれも使用することができる。なお、成形性、熱膨張性マイクロカプセルの膨張開始温度、断熱性等の観点から、軟化温度が90〜160℃の範囲にあるものが好ましく、必要に応じて複数の種類の熱可塑性エラストマーをブレンドして用いてもよい。
【0013】
特に熱可塑性ポリウレタンエラストマー(以下、TPUと略称する場合がある。)は、成形性、断熱性、柔軟性、軽量性、耐薬品性、耐油性、耐オゾン性等に優れるため好適に使用することができる。主剤としてTPUを用いれば、例えばインフレーション法又はTダイ法によってシート状に容易に成形することができ、断熱性が極めて高く、柔軟であり、比重が0.7〜0.9の極めて軽量な発泡シートを得ることができる。
【0014】
TPUは、分子構造中にウレタン結合(−NHCOO−)を持つゴム状の弾性体であり、主に、エステル系(アジペートタイプ、カプロラクトンタイプ、ポリカーボネートタイプなど)とエーテル系があるが、本発明ではいずれのタイプも使用することができる。また、ウレタンシリコン共重合タイプ等も使用することができる。
これらのTPUは市場で入手することができ、例えば、BASF社製、ET880(エーテル系ウレタン)、ET690(エステル系ウレタン)、C90(エステル系ウレタン)、DICバイエル社製T-2180(ラクトン系ウレタン)、T-1190(エステル系ウレタン)、クラレ社製U8180、U1190等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0015】
‐ホウケイ酸ガラスを主成分とするマイクロバルーン‐
ホウケイ酸ガラスを主成分とするマイクロバルーン(以下、ガラスバルーンと称する場合がある。)は、主としてシリカ(SiO)で作られた中空の微小な球体であり、加熱減量が小さく、高い耐熱性、断熱性、形状保持性等を有するものである。本発明では、シリカを50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上含み、前記熱可塑性エラストマー中に均一に混合することができ、さらに、原料組成物をシート状に成形する際の加熱により物理特性(形状、粒径等)が変化しないものを使用する。
【0016】
具体的な特性として、平均粒径が好ましくは5〜90μm、より好ましくは5〜45μm、嵩比重が0.1〜0.5g/cm、真比重が0.2〜0.7、耐圧強度10Mpa以上であるガラスバルーンを好ましく用いることができる。このようなガラスバルーンは、市場で入手することができ、例えば、ポッターズバロティーニ(株)製Q−CEL5070S、7040S、富士シリシア化学(株)製フジバルーンS−35、S−40、H−35など挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0017】
上記のようなガラスバルーンを熱可塑性エラストマーに配合することにより発泡シートの断熱性を効果的に向上させることができる。ただし、熱可塑性エラストマー100質量部に対して、ガラスバルーンの配合量を1質量部未満とするとガラスバルーンによる断熱効果を十分発揮することができなかったり、耐熱収縮性や寸法安定性の効果に乏しい。一方、ガラスバルーンの配合を多くするほど発泡シートの成膜性や強度が低下し、30質量部を超えるとシート状に成形することができなかったり、シートの強度が著しく低下するといった問題が生じる。したがって、ガラスバルーンの配合量は、熱可塑性エラストマー100質量部に対して、1〜30質量部の範囲内とし、発泡シートに要求される断熱性、柔軟性、用途等に応じて上記範囲内で適宜決めればよいが、好ましくは5〜20質量部である。
【0018】
‐熱膨張性マイクロカプセル‐
熱膨張性マイクロカプセルは、液体が内包された微小な球体であり、主に熱可塑性樹脂により構成されている外殻と、外殻に内包され、外殻を構成する熱可塑性樹脂の軟化温度以下の沸点を有する液体により構成されている。
熱膨張性マイクロカプセルの物理特性としては、本発明の発泡シートの主剤となる熱可塑性エラストマー中に均一に混合することができ、原料組成物をシート状に成形する際に破裂しない程度に熱膨張し、成形後は膨張した形状を維持することができるものであればよい。具体的には、熱膨張性マイクロカプセルの膨張前の平均粒径は、好ましくは5〜50μm、より好ましくは20〜40μmであり、膨張後の平均粒径は、好ましくは50〜160μm、より好ましくは80〜120μmである。また、熱膨張開始温度が約100〜170℃、最大発泡温度が約160〜200℃、体積膨張率が約50〜100倍である熱膨張性マイクロカプセルを好ましく用いることができる。
【0019】
上記のような熱膨張性マイクロカプセルの外殻を構成する材料としては、前記熱可塑性エラストマーの軟化温度、原料組成物をシート状に成形する際の成形温度等に応じて適宜選択すればよく、例えば、(メタ)アクリルニトリル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチルなどのモノマーからなるホモポリマーや、(メタ)アクリルニトリル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチルなどのモノマー2種類以上からなるコポリマーなどの熱可塑性樹脂が挙げられる。また、例えば、熱可塑性樹脂からなるマイクロカプセルの表面に、バインダー樹脂を介して、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、シリカ、炭酸カルシウム等の無機微粒子を固着させた熱膨張マイクロカプセルを用いてもよい。また、外殻が主にアクリルニトリルとシリコンにより形成された熱膨張性マイクロカプセルとし、シリコンの配合量を調整することにより発泡(例えば膨張率)を制御することができるものを用いることができる。
一方、内包される液体としては、原料組成物を成形する際に気化する炭化水素が好ましく、例えば、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、石油エーテルなどの低沸点液体が挙げられる。
【0020】
上記のような熱膨張性マイクロカプセルは、市場で入手することができ、例えば、松本油脂製薬社製 マツモトマイクロスフェアー F−55、F−80S、F−80VS、F−82EVA50、F−85、F−100;EXPANCEL社製 Expancel 092−40、192−80、092−120、009−80、092RMB120、092MB120、930DU120;大日精化工業社製ファインセルマスターMS401K、MS402K、MS405Kなどが挙げられる。
【0021】
熱膨張性マイクロカプセルの配合量としては、熱可塑性エラストマー100質量部に対して、0.4質量部未満とすると、熱膨張後のマイクロカプセルによる断熱効果を十分発揮することができない。一方、熱膨張性マイクロカプセルの配合量が2質量部を超えると、原料組成物をシート状に成形したときに熱膨張したマイクロカプセルが多数存在して気泡が連結しやすく、その結果、シートの強度及び断熱性の低下を招いたり、シートにピンホールが発生したり、シートの表面粗れが大きくなるなどの不具合を招いてしまう。そのため、熱膨張性マイクロカプセルの配合量は、熱可塑性エラストマー100質量部に対して、0.4〜2.0質量部の範囲内とし、成形後の発泡シートに要求される断熱性、用途等に応じて上記範囲内で適宜決めればよいが、好ましくは1.0〜1.4質量部である。熱可塑性エラストマー100質量部に対して、1.0〜1.4質量部の範囲内で熱膨張性マイクロカプセルを配合してシート状に成形すれば、独立気泡構造の発泡シートが得られ、強度や断熱性が高く、軽量であるほか、水面に長期間浮くことも可能となる。
【0022】
‐その他の成分‐
本発明の発泡シートは、上記のような熱可塑性エラストマーと、ガラスバルーンと、熱膨張性マイクロカプセルを必須成分とするが、必要に応じて他の成分(任意成分)を含むことができる。
任意成分としては、例えば、発泡促進剤、難燃剤、難燃助剤、滑剤、熱安定剤、可塑剤、顔料、染料、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、カップリング剤、防カビ剤、帯電防止剤、無機充填剤、粘着剤、ブロッキング防止剤、抗菌剤、消臭剤などが挙げられる。例えば、難燃剤として、リン酸エステルを使用すれば、断熱性に加え、耐火性(耐熱性)も有する発泡シートとすることができる。
なお、これらの任意成分は、本発明の発泡シートの効果を妨げない量、特に発泡シートの断熱性、柔軟性、及び成膜性を低下させない程度に配合することが好ましく、原料組成物全体に対する任意成分の総量としては、好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは0.1〜10質量部である。
【0023】
本発明に係る発泡シートを製造する方法は特に限定されないが、インフレーション法又はTダイ法により好適に製造することができる。
まず、前記必須成分を用い、熱可塑性エラストマー100質量部に対して、1〜30質量部、好ましくは5〜20質量部のガラスバルーンと、0.4〜2.0質量部、好ましくは1.0〜1.4質量部の熱膨張性マイクロカプセルと、さらに必要に応じて前記任意成分を適量配合した原料組成物を用意する。
例えば、前記熱可塑性エラストマーをヘンシュルミキサー、バンバリーミキサー、ロールニーダー、加圧ニーダー等を用いて加熱混練し、これをカレンダーロール、一軸押出機、二軸押出機等でペレット化し、このペレットにガラスバルーンと熱膨張性マイクロカプセルを付着(配合)させて原料組成物を得る。これをマスターバッチとしたペレットを、Tダイ押出成形、インフレーション押出成形等で発泡シートに成形する。
【0024】
例えば、インフレーション法により成形する場合は、熱可塑性エラストマーを溶融させ、溶融した原料組成物を円筒状に押し出し、その中に空気を吹き込んで膨らませる。これによりシート状に成形することができるとともに、熱膨張性マイクロカプセルが熱膨張した発泡シートを得ることができる。一方、Tダイ法により成形する場合は、上記と同様に原料組成物を溶融させ、溶融した原料組成物をスリットから押し出してシート状に成形するとともに熱膨張性マイクロカプセルを熱膨張させて発泡シートとすることができる。
【0025】
なお、いずれの成形方法にせよ、原料組成物をシート状に成形する際の加熱温度(成形温度)は、主剤である熱可塑性エラストマーの軟化温度以上、かつ、熱膨張性マイクロカプセルの膨張開始温度以上とする必要があるが、成形時の温度が高過ぎると、熱膨張性マイクロカプセルが膨張し過ぎてカプセルが破裂したり、形状が崩れてしまうおそれがある。成形時の温度は、使用する熱膨張性マイクロカプセルの膨張開始温度にもよるが、熱膨張性マイクロカプセルを確実に膨張させる一方、過度な膨張による破裂等を防ぐため、膨張開始温度よりも好ましくは40〜80℃、より好ましくは50〜70℃高い範囲に設定することが好ましい。
【0026】
原料組成物は、主剤となる熱可塑性エラストマーに、ガラスバルーンのほかに、熱膨張性マイクロカプセルが配合されているため、溶融させてシート状に成形する際に、カプセルの外殻が軟化するとともに、カプセルに内包されている液体が気化することでカプセルが数倍〜数十倍に膨張して中空の球状粒子となる。そして、シート状に成形されたとき、カプセルは膨張前よりも径がはるかに大きい中空球状粒子として維持され、高い断熱効果を発揮することができる。
【0027】
なお、発泡シートの厚みは、その用途等に応じて決めればよく、インフレーション成形の場合は、溶融した原料組成物を円筒状に押し出す際の厚みや、空気を吹き込んで膨らませるときの圧力により調整することができ、また、Tダイ成形の場合は、スリットの間隔により調整することができる。ただし、シートの厚みが薄過ぎると、強度が低くなるほか、ガラスバルーンあるいは発泡したマイクロカプセルによりピンホールが生じ易くなり、多数の気泡がシートの表面に露出するなどして断熱効果が十分得られないおそれがある。これらの観点から、発泡シートの厚みは好ましくは50〜600μm、より好ましくは100〜500μmである。
【0028】
以上のように、本発明に係る発泡シートは、ガラスバルーンを含むほか、熱膨張性マイクロカプセルを含むことで、成形性に優れ、軽量であり、断熱性、柔軟性、寸法安定性等に優れたものとなる。
このような本発明に係る発泡シートは、種々の用途、例えば、ホース、チューブ、消防ホースの内面ライニング、土木用・灌漑用ホースライニング、搬送ベルト、駆動ベルト、電線被覆、靴底、アッパー材、自動車部品、時計バンド、かばんの把手、肘あて、合成皮革、ライフジャケット、ウエットスーツ、断熱シート、結露防止シート、ルーフィング材、バット、クラブ等のグリップ、バンテージ等に好適に適用することができる。
【実施例】
【0029】
以下、実施例及び比較例について説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。
【0030】
<実施例1>
発泡シートを製造するための原料組成物を以下の成分及び配合により調製した。
・エーテル系ウレタン 100質量部
(エラストランET880)
・熱膨張性マイクロカプセル 1.4質量部
(Expancel930DU120、平均粒径33μm、熱膨張開始温度:122℃)
・ガラスバルーン 5.0質量部
(Q−CEL5020FPS、平均粒径35μm)
・ブロッキング防止剤 5.0質量部
(AB-1、東京インキ社製)
・着色剤 5.0質量部
(PEONY E、大日本インキ化学工業社製)
【0031】
上記各成分を配合し、タンブラーで30分間混合し、原料組成物を調製した。
この原料組成物を、二軸押出機を用いてペレット化した。次いで、このペレットをインフレーション押出機(トミー機械工業社製、商品名:EXT65、φ65mm、L/D:28)を用い、ダイス径φ150mm、押出機シリンダー温度165℃、170℃、180℃、ダイス温度185℃、巻取速度5m/minで膨らませてインフレーション押出成形し、厚さ386μmの発泡シートを成形してワインダーで巻き取った。
【0032】
<実施例2〜6>
表1に示す成分及び配合量からなる原料組成物を調製し、実施例1と同様の方法によりインフレーション法により発泡シートを製造した。
【0033】
<比較例1〜2>
また、表1に示す成分及び配合量からなる原料組成物を調製し、実施例1と同様の方法によりインフレーション法により発泡シートを製造した。
【0034】
【表1】

【0035】
<実施例7及び比較例3〜4>
表2に示す成分及び配合量からなる原料組成物を調製し、実施例1とは厚さを変更した以外は、実施例1と同様の方法によりインフレーション法により発泡シートを製造した。
【0036】
【表2】

【0037】
表1、2に示したように、実施例1、2、及び3では、TPU100重量部にガラスバルーンを5重量部〜20重量部、熱膨張性マイクロカプセル1.4重量部を添加し発泡シートを作製した。また、比較としてTPU100重量部に熱膨張性マイクロカプセル1.4重量部を添加した比較例1の発泡シートも作製し、物理的強度の比較検証を行なった。その結果、実施例1、2、及び3で得られた発泡シートでは熱収縮試験(160℃、1時間)の収縮率が1%以下となり、比較例1で得られたシートより耐熱安定性に優れたシートを得ることができた。
【0038】
また、実施例4、5、及び6では、TPU100重量部に対し、ガラスバルーンを10重量部、熱膨張性マイクロカプセルを0.57重量部〜2.0重量部添加した発泡シートを作製した。比較としてTPU100重量部にガラスバルーン10重量部を添加した比較例2も作製し、上記同様の比較検証を行なった。その結果、比較例2の組成に、更に熱膨張性マイクロカプセルを所定量添加した実施例4、5、及び6では、熱収縮試験(160℃、1時間)の収縮率を保ち、且つ断熱性に優れた低比重の発泡シートを得ることができた。シートの比重は熱膨張性カプセルの添加量に比例するが、添加量が2重量部を超えると成形工程中にリップ口に目やにが発生し、成膜性を低下させる要因となる。
【0039】
また、実施例7では熱可塑性樹脂としてポリアミド樹脂100重量部にガラスバルーン5重量部、熱膨張性マイクロカプセル1.4重量部をそれぞれ添加し発泡シートを作製した。TPUを用いた場合と同様に軽量で熱安定性に優れた発泡シートが得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性エラストマー100質量部に対して、1〜30質量部のホウケイ酸ガラスを主成分とするマイクロバルーンと、0.4〜2.0質量部の熱膨張性マイクロカプセルとを配合し、前記熱膨張性マイクロカプセルを熱膨張させるとともにシート状に成形したものであることを特徴とする発泡シート。
【請求項2】
前記熱可塑性エラストマーが、熱可塑性ポリウレタンエラストマーであることを特徴とする請求項1に記載の発泡シート。
【請求項3】
熱可塑性エラストマー100質量部に対して、1〜30質量部のホウケイ酸ガラスを主成分とするマイクロバルーンと、0.4〜2.0質量部の熱膨張性マイクロカプセルとを配合し、インフレーション法又はTダイ法により前記熱膨張性マイクロカプセルを熱膨張させるとともにシート状に成形することを特徴とする発泡シートの製造方法。
【請求項4】
前記熱可塑性エラストマーとして、熱可塑性ポリウレタンエラストマーを用いることを特徴とする請求項3に記載の発泡シートの製造方法。

【公開番号】特開2009−227867(P2009−227867A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−76704(P2008−76704)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(503361400)独立行政法人 宇宙航空研究開発機構 (453)
【出願人】(390007054)株式会社ピラミッド (2)
【出願人】(594050821)日生化学株式会社 (16)
【Fターム(参考)】