説明

発泡体、該発泡体を用いたシール材、及び該発泡体の製造方法

【課題】樹脂組成物を構成する成分のブリードアウトを低減できる発泡体を提供する。
【解決手段】本発明の発泡体は、ゴム系樹脂とクマロン系樹脂とが配合された樹脂組成物を含み、JIS K7222に準拠する方法で測定した発泡倍率が25〜200cm3/gである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム系樹脂と、クマロン系樹脂とを含む樹脂組成物に架橋処理及び発泡処理を施すことにより得られる発泡体、該発泡体を用いたシール材、及び該発泡体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴム系樹脂や熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物に架橋処理及び発泡処理を施すことによって得られる発泡体として、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等からなる熱可塑性樹脂発泡体や、合成ゴム又は天然ゴムからなるゴム発泡体等が挙げられる。発泡体は、例えば、建築、土木、電気、エレクトロニクス、車輌等の各種分野において、気体又は液体から保護することが必要な部品や筐体(被密封体という)の周縁部分を密封するシール材として使用されている。
例えば、発泡体をシール材として使用する場合には、発泡体の圧縮柔軟性、すなわち発泡体が圧縮状態から回復しようとする反発応力が被密封体の材質や使用条件に見合って適切に設定されていること、及び該シール材が使用される被密封体の使用可能期間に亘って上記設定された反発応力が維持できることが求められる。これに対して、本件出願人は、時間経過による反発応力の低下が緩やかで、界面密着性に優れた発泡体を開発している(特許文献1参照)。
【0003】
しかし、上述した発泡体であっても、発泡体の製造後から被密封体に組み込まれるまでの期間や保管条件などによっては、発泡体に含まれる樹脂組成物を構成する成分の一部が発泡体の表面に析出する、いわゆるブリードアウトが起こり得ることがわかってきた。発泡体の表面にブリードアウトした成分が付着していると、例えば、該発泡体をシール材として使用した場合、十分な密封性が得られないなどの問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2007−072885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ブリードアウトを低減できる発泡体、該発泡体を用いたシール材、及び該発泡体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成するために、鋭意研究を重ねた結果、ゴム系樹脂に特定の樹脂を配合してなる樹脂組成物に架橋処理及び発泡処理を施すことにより、該樹脂組成物を構成する成分のブリードアウトが低減できることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の内容を含む。
[1]ゴム系樹脂とクマロン系樹脂とが配合された樹脂組成物を含み、JIS K7222に準拠する方法で測定した発泡倍率が25〜200cm3/gである発泡体。
[2]前記樹脂組成物は、ゴム系樹脂100質量部に対してクマロン系樹脂を3〜30質量部の割合で含む上記[1]の発泡体。
[3]前記ゴム系樹脂が、アクリロ−ニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ブチルゴム、及びクロロプレンゴムから選ばれる少なくとも1種のゴム、又は天然ゴムである上記[1]又は[2]の発泡体。
[4]クマロン系樹脂が、クマロン樹脂、クマロン−インデン共重合体、クマロン−インデン−スチレン共重合体から選ばれる少なくとも1種である上記[1]〜[3]の発泡体。
[5]前記発泡体のゲル分率が40〜80質量%である上記[1]〜[4]の発泡体。
[6]前記発泡体の気泡の縦方向、横方向及び厚み方向の気泡径は、それぞれ600μm以下であり、縦方向、横方向及び厚み方向の気泡径の平均値は、400μm以下である上記[1]〜[5]の発泡体。
[7]前記発泡体の気泡は、独立気泡である上記[1]〜[6]の発泡体。
[8]70℃で7日間養生後の寸法変化率が、縦方向、横方向及び厚み方向すべてにおいて、20%以下である上記[1]〜[7]の発泡体。
[9]前記発泡体は、前記樹脂組成物に架橋処理及び発泡処理を施すことにより得られ、前記架橋処理は、電離性放射線による物理架橋処理である上記[1]〜[8]の発泡体。
[10]前記発泡体は、前記樹脂組成物に架橋処理及び発泡処理を施すことにより得られ、前記架橋処理は、有機過酸化物又は硫黄化合物による化学架橋処理である上記[1]〜[8]の発泡体。
[11]上記[1]〜[10]の発泡体を用いたシール材。
[12]ゴム系樹脂と、クマロン系樹脂とを含む樹脂組成物からなる発泡体の製造方法であって、
該樹脂組成物を架橋する架橋処理と、
該樹脂組成物を発泡する発泡処理とを有する発泡体の製造方法。
[13]前記架橋処理は、電離性放射線による物理架橋処理である上記[12]の発泡体の製造方法。
[14]前記架橋処理は、有機過酸化物若しくは硫黄化合物による化学架橋処理である上記[12]の発泡体の製造方法。
[15]前記樹脂組成物は、発泡処理に用いられる発泡剤と、該発泡剤の分解温度よりも高い1分間半減期温度を有する架橋剤とを含有する上記[14]の発泡体の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ブリードアウトを低減できる発泡体、該発泡体を用いたシール材、及び該発泡体の製造方法を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について詳細に説明する。
[発泡体]
本発明の発泡体は、ゴム系樹脂とクマロン系樹脂とが配合された樹脂組成物を含み、JIS K7222に準拠する方法で測定した発泡倍率が25〜200cm3/gである。
発泡体は、ゴム系樹脂と、クマロン系樹脂とを含む樹脂組成物に架橋処理及び発泡処理を施すことにより得られる。架橋処理としては、電離性放射線による物理架橋処理を適用できる。また、有機過酸化物又は硫黄化合物による化学架橋処理を適用できる。
【0010】
発泡体の発泡倍率が25cm3/g〜200cm3/gであると、適正な反発応力が得られ、例えば、シール材として用いた際に、気体又は液体から保護することが必要な部品や筐体などの被密封体を変形させることがなく、被密封体の使用可能期間に亘って所定の反発応力を維持できる。これにより、密封性を維持することができる。
【0011】
本発明の発泡体の気泡は、実質的に、独立気泡である。なお、本発明において「実質的に」とは、独立気泡率が65%程度以上であることを意味する。止水性の観点から、独立気泡率は、高い方が望ましく、好ましくは、65%以上であり、より好ましくは、85〜100%である。
発泡体のゲル分率(架橋度)は、35〜80質量%であることが好ましく、より好ましくは、40〜60質量部である。ゲル分率をこの範囲にすることにより、70℃、24時間の条件下で測定した圧縮永久歪みを60%未満にすることができる。また、50%圧縮応力を60kPa未満にすることができる。
発泡体の気泡の縦方向、横方向及び厚み方向の気泡径は、それぞれ600μm以下であり、縦方向、横方向及び厚み方向の気泡径の平均値は、500μm以下である。また、発泡体の気泡の縦方向、横方向及び厚み方向の気泡径は、より好ましくは、500μm以下であり、さらに好ましくは、400μm以下である。また、縦方向、横方向及び厚み方向の気泡径の平均値は、より好ましくは、400μm以下であり、さらに好ましくは、350μm以下である。
本発明の発泡体において、70℃で7日間養生後の寸法変化率は、縦方向、横方向及び厚み方向すべてにおいて、20%以下であることが好ましい。
【0012】
[ゴム系樹脂]
本発明の発泡体に使用可能なゴム系樹脂としては、室温でゴム弾性(rubber elasticity)を有するものであれば、特に限定されないが、例えば、クロロプレンゴム(CR)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、ニトリルゴム(アクリロ−ニトリル−ブタジエンゴム)(NBR)、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、ウレタンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム、及び、シリコーンゴムなどから選ばれる少なくとも1種のゴムが挙げられる。これらの中でも、アクリロ−ニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)、及び、クロロプレンゴム(CR)から選ばれる少なくとも1種のゴムを用いると、発泡体のクッション性や耐久性を向上させることができるため、好ましい。
なお、発泡体がゴム弾性を有するためには、ゴム系樹脂は、ゴム系樹脂とクマロン系樹脂とを含む樹脂組成物中に50質量%以上含有されていることが好ましい。
【0013】
[クマロン系樹脂]
本発明の発泡体に使用可能なクマロン系樹脂としては、クマロン樹脂、クマロン−インデン共重合体、クマロン−インデン−スチレン共重合体から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。クマロン系樹脂は、ゴム系樹脂100質量部に対して3〜30質量部の割合で含まれることが好ましい。クマロン系樹脂の配合割合は、ゴム系樹脂100質量部に対して、3〜30質量部であることが好ましく、さらに好ましくは、5〜20質量部である。
【0014】
[添加剤]
本発明の発泡体には、本発明の目的が損なわれない範囲で、必要に応じて各種の添加剤を配合することができる。添加剤の種類は特に限定されず、発泡体の成形に通常使用される各種添加剤を使用できる。
【0015】
<配合剤>
本発明の発泡体には、寸法安定性を向上させるための配合剤を添加することもできる。配合剤としては、結晶性樹脂又は高軟化点樹脂が挙げられる。
(結晶性樹脂)
結晶性樹脂としては、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、エチレン−塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンから選ばれる少なくとも1種の樹脂であることが好ましい。
ポリエチレン系樹脂としては、特に限定されず、例えば、エチレン−α−オレフィン共重合体、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、直鎖状中密度ポリエチレン、直鎖状高密度ポリエチレンなどが挙げられ、単独で用いられても併用されてもよい。なお、α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等のα−オレフィン等が挙げられる。
また、ポリプロピレン系樹脂としては、特に限定されず、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体などが挙げられる。プロピレン−α−オレフィン共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、ランダムブロック共重合体の何れであってもよい。α−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等のα−オレフィン等が挙げられる。
【0016】
(高軟化点樹脂)
高軟化点樹脂としては、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油樹脂等が挙げられる。発泡性の観点から、テルペン系樹脂が好ましい。
【0017】
(結晶性樹脂の融点及び高軟化点樹脂の軟化点)
結晶性樹脂の融点及び高軟化点樹脂の軟化点は、25℃以上であることが好ましく、50以上がより好ましく、70℃以上が更に好ましい。結晶性樹脂の融点及び高軟化点樹脂の軟化点が25℃以上であると、発泡体の寸法安定性を向上させることが可能となる。ここで、結晶性樹脂の融点とは、JIS K7121に準拠して測定されたものであり、高軟化点樹脂の軟化点は、JIS K2207に準拠して測定されたものである。
原料組成物中における結晶性樹脂又は高軟化点樹脂の配合量は、ゴム系樹脂100質量部に対して1〜50質量部であることが好ましく、5〜30質量部であることがより好ましい。結晶性樹脂又は高軟化点樹脂の配合量を上記範囲とすることにより、ゴム系樹脂の収縮を抑制するとともに、発泡体の所定の柔軟性を付与できる。
【0018】
<軟化剤>
本発明の発泡体には、軟化剤を配合することもできる。軟化剤を配合することによって、発泡体を軟化させることができ、発泡体中に発生した歪みを円滑に緩和することができる。これにより、発泡体の寸法安定性が向上する。
本発明に使用可能な軟化剤は、従来公知のものでよく、原料組成物と相溶するものが好ましい。軟化剤としては、例えば、塩素化パラフィン、流動パラフィン等のパラフィン類やワックス類、アマニ油等の動植物油類、石油樹脂、プロセス油、潤滑油、石油アスファルト、ワセリン等の石油系軟化剤、コールタール、コールタールピッチ等のコールタール系軟化剤、ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤、トール油、サブ油、蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリンなどのロウ類、リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸などの脂肪酸、フタル酸エステルなどの脂肪酸エステル類、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ラノリン酸亜鉛等の脂肪酸塩、リン酸エステル類、アルキルスルホン酸エステル類、粘着付与剤等が挙げられる。
軟化剤の配合量は、ゴム系樹脂100質量部に対して1〜50質量部であることが好ましく、発泡性の確保と収縮力の低減という観点から、15〜30質量部であることがより好ましい。
【0019】
<充填剤>
本発明の発泡体には、充填剤が配合されていてもよい。充填剤としては、例えば、タルク、炭酸カルシウム、ベントナイト、カーボンブラック、フュームドシリカ、アルミニウムシリケート、アセチレンブラック、アルミニウム粉等が挙げられる。
【0020】
<難燃剤>
本発明の発泡体には、難燃剤が配合されていてもよい。難燃剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物の他に、デカブロモジフェニルエーテルなどの臭素系難燃剤、ポリリン酸アンモニウムなどのリン系難燃剤などが挙げられる。
【0021】
<難燃助剤>
本発明の発泡体には、難燃助剤が配合されていてもよい。難燃助剤としては、例えば、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、ピロアンチモン酸ナトリウム、三塩化アンチモン、三硫化アンチモン、オキシ塩化アンチモン、二塩化アンチモンパークロロペンタン、アンチモン酸カリウムなどのアンチモン化合物、メタホウ酸亜鉛、四ホウ酸亜鉛、ホウ酸亜鉛、塩基性ホウ酸亜鉛などのホウ素化合物、ジルコニウム酸化物、スズ酸化物、モリブデン酸化物などが挙げられる。
【0022】
<その他の成分>
本発明の発泡体には、上述したもののほかに、発泡体の物性を調整することを目的として、加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫遅延剤、老化防止剤、酸化防止剤、顔料、着色剤、防カビ剤、発泡助剤などが添加されてもよい。さらに、発泡体の発泡前の原料組成物の粘度やゲル分率の調整のため、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステルのようなアクリル系ポリマーやポリ塩化ビニルなどを添加することもできる。
(加硫促進剤)
加硫促進剤としては、例えば、アルデヒドアンモニア類やアルデヒドアミン類、グアニジン類やチアゾール類、スルフェンアミド類やチューラム類、ジチオカルバミン酸類やキサントゲン酸類、チオウレア類等などが挙げられる。
(加硫促進助剤)
加硫促進助剤としては、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、酸化マグネシウム、鉛丹、水酸化カルシウム、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、アミン類、ジエチレングリコールなどが挙げられる。
(加硫遅延剤)
加硫遅延剤としては、無水フタル酸や安息香酸やサリチル酸の如き有機酸、N−ニトロソ−ジフェニルアミンやN−ニトロソ−フェニル−β−ナフチルアミンの如きアミン類等が挙げられる。
【0023】
[発泡体の製造方法]
本発明の発泡体の製造方法は、ゴム系樹脂と、クマロン系樹脂とを含む樹脂組成物からなる発泡体の製造方法であって、該樹脂組成物を架橋する架橋処理と、該樹脂組成物を発泡する発泡処理とを有する。架橋処理と発泡処理の順序は限定されない。どちらを先に行ってもよい。本発明の発泡体の製造方法において、架橋処理は、電離性放射線による物理架橋処理であってもよいし、有機過酸化物若しくは硫黄化合物による化学架橋処理であってもよい。また、物理架橋処理と化学架橋処理とを併用してもよい。製造方法として、以下に示す公知の製造方法が適用できる。以下に示す製造方法は、それぞれ、架橋処理と発泡処理の順序、発泡処理の方法が異なる。
製造方法1〜6は、加熱により分解して発泡ガスを発生させる熱分解型発泡剤を用いる方法であり、製造方法7は、高圧の不活性ガスを樹脂組成物に含浸する方法である。
【0024】
<熱分解型発泡剤を用いる方法>
《製造方法1》
ゴム系樹脂、クマロン系樹脂、熱分解型発泡剤を少なくとも含む樹脂組成物(発泡性原料組成物という)に、架橋剤と、必要に応じて充填剤等を配合する。発泡性原料組成物をバンバリーミキサー、加圧ニーダなどの混練機で混練する。この後、カレンダー、押出機、コンベアベルトキャスティングなどを用いて混練しながら連続的に搬送することにより発泡性原料組成物をシート状に加工する。加工後、発泡性原料組成物を架橋しながら熱分解型発泡剤を発泡させる。または、発泡性原料組成物を架橋した後、熱分解型発泡剤を発泡させる。
【0025】
《製造方法2》
ゴム系樹脂、クマロン系樹脂、熱分解型発泡剤を少なくとも含む発泡性原料組成物に、架橋剤と、必要に応じて充填剤等を配合する。この発泡性原料組成物をミキシングロールなどで混練する。この後、混練された発泡性原料組成物を金型に封入し、発泡性原料組成物を架橋しながら熱分解型発泡剤を発泡させる。または、発泡性原料組成物を架橋した後、熱分解型発泡剤を発泡させる。
【0026】
《製造方法3》
ゴム系樹脂、クマロン系樹脂、熱分解型発泡剤を少なくとも含む発泡性原料組成物に、必要に応じて充填剤等を配合する。この発泡性原料組成物をバンバリーミキサー、加圧ニーダなどの混練機で混練する。この後、カレンダー、押出機、コンベアベルトキャスティングなどを用いて混練しながら連続的に搬送することにより発泡性原料組成物をシート状に加工する。加工後、発泡性原料組成物に電離性放射線を照射して架橋した後、加熱することによって熱分解型発泡剤を発泡させる。
【0027】
《製造方法4》
ゴム系樹脂、クマロン系樹脂、熱分解型発泡剤を少なくとも含む発泡性原料組成物に、架橋剤、必要に応じて充填剤等を配合する。この発泡性原料組成物をバンバリーミキサー、加圧ニーダなどの混練機で混練する。この後、カレンダー、押出機、コンベアベルトキャスティングなどを用いて混練しながら連続的に搬送することにより発泡性原料組成物をシート状に加工する。加工後、熱分解型発泡剤を発泡させた後、加熱により架橋する。
【0028】
《製造方法5》
ゴム系樹脂、クマロン系樹脂、熱分解型発泡剤を少なくとも含む発泡性原料組成物に、必要に応じて充填剤等を配合する。この発泡性原料組成物をバンバリーミキサー、加圧ニーダなどの混練機で混練する。この後、カレンダー、押出機、コンベアベルトキャスティングなどを用いて混練しながら連続的に搬送することにより発泡性原料組成物をシート状に加工する。加工後、加熱により熱分解型発泡剤を発泡させた後、発泡性原料組成物に電離性放射線を照射して架橋する。
【0029】
《製造方法6》
ゴム系樹脂、クマロン系樹脂、熱分解型発泡剤を少なくとも含む発泡性原料組成物に、架橋剤、必要に応じて充填剤等を配合する。この発泡性原料組成物をバンバリーミキサー、加圧ニーダなどの混練機で混練する。この後、カレンダー、押出機、コンベアベルトキャスティングなどを用いて混練しながら連続的に搬送することにより発泡性原料組成物をシート状に加工する。加工後、発泡性原料組成物に電離性放射線を照射して架橋した後、加熱によって熱分解型発泡剤を発泡させる。この後、さらに、加熱により架橋する。
【0030】
《製造方法1〜6に用いられる発泡剤》
発泡剤は、加熱により分解して発泡ガスを発生させる熱分解型発泡剤であれば、特に限定されることなく使用できるが、例えば、アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、トルエンスルホニルヒドラジド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)等が挙げられる。これらの熱分解型発泡剤は単独で用いられてもよく2種以上が併用されてもよい。
発泡性原料組成物中における熱分解型発泡剤の配合量は、ゴム系樹脂100質量部に対して5〜30質量部とすることが好ましく、より好ましくは、10〜26質量部であり、さらに好ましくは、12〜24質量部である。配合量が上記範囲であれば、発泡体の発泡倍率を25〜200cm3/gとすることができる。
また、発泡処理方法は、プラスチックフォームハンドブック(牧広、小坂田篤編集 日刊工業新聞社発行 1973年)に記載されている方法を含め、公知の方法を用いることができる。
【0031】
《製造方法1〜6における架橋処理》
(化学架橋処理)
化学架橋処理に使用可能な架橋剤としては、例えば、有機過酸化物、硫黄、硫黄化合物等が挙げられる。なかでも、有機過酸化物が好ましい。有機過酸化物としては、例えば、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート、クミルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルヘキサン、n−ブチル−4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)バレレート、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、t−ブチルパーオキシクメンなどが挙げられる。
硫黄化合物としては、例えば、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、一塩化硫黄、二塩化硫黄などが挙げられる。
【0032】
化学架橋処理で用いる架橋剤の1分間半減期温度は、熱分解型発泡剤の分解温度よりも高いことが好ましい。このような熱分解型発泡剤及び架橋剤を用いることにより、発泡成型後に架橋を施すことができる。また、寸法安定性が高く、高倍率・高架橋度の発泡体を得ることができる。ここで、熱分解型発泡剤の分解温度とは、熱分解型発泡剤が急激に分解し始める温度をいい、具体的には、熱重量分析(TG)によって昇温速度1℃/分の条件下にて測定したとき、質量が50%減少するときの温度である。
【0033】
発泡性原料組成物中における架橋剤の配合量は、ゴム系樹脂の特性や発泡体の用途によって適宜、調整することができるが、ゴム系樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましく、0.2〜7質量部であることがより好ましい。架橋剤の配合量がこの範囲であれば、ゲル分率(架橋度)を、40〜80質量%にすることができ、発泡剤が良好に発泡し、独立気泡を形成することができる。
化学架橋処理と物理架橋処理とを併用する場合には、発泡性原料組成物中における架橋剤の含有量は、ゴム系樹脂100質量部に対して0.05〜5質量部であることが好ましく、0.1〜3質量部であることがより好ましい。1分間半減期温度が熱分解型発泡剤の分解温度よりも高い架橋剤を用いた場合、架橋剤の配合量が上記範囲であれば、ゲル分率(架橋度)を、40〜80質量%にすることができ、得られる発泡体の圧縮柔軟性を良好に保つことができる。
【0034】
(物理架橋処理)
物理架橋処理に用いられる電離性放射線としては、例えば、紫外線、γ線、電子線などが挙げられるが、電子線を用いることが好ましい。電子線の場合の照射量としては、ゴム系樹脂の特性や発泡体の用途によって適宜調整することができる。例えば、0.5〜10Mradが好ましく、1.2〜6Mradがより好ましい。電子線源に制限はないが、例えば、コックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用いることができる。
電離性放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むことが好ましい。紫外線源に制限はないが、例えば、高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈等が用いられる。
電離性放射線を用いた物理架橋処理を選択する場合には、発泡性原料組成物には、従来公知の光重合開始剤を適量含有させることが好ましい。
【0035】
<高圧の不活性ガスを用いる方法>
《製造方法7》
本発明の発泡体の製造方法は、ゴム系樹脂と、クマロン系樹脂とが配合された樹脂組成物に気泡を形成できる方法であればよく、いわゆるバッチ方式、連続方式等を適用できる。
ゴム系樹脂及びクマロン系樹脂を含む組成物(原料組成物という)を単軸押出機、二軸押出機等の押出機を使用して押し出すことにより、原料組成物をシート状に加工する。
あるいは、原料組成物をバンバリーミキサー、加圧ニーダなどの混練機で混練し、この後、カレンダー、押出機、コンベアベルトキャスティングなどを用いて混練しながら連続的に搬送することにより原料組成物をシート状に加工する。
シート状に加工された原料組成物を高圧容器中に入れて、二酸化炭素、窒素、空気などからなるガスを高圧で注入し、原料組成物中にガスを含浸させる。十分に高圧ガスを含浸させた時点で圧力を解放し(通常、大気圧まで)、原料組成物中に気泡核を発生させる。気泡核は、室温で成長させてもよいが、加熱により成長させてもよい。
気泡を成長させた後、原料組成物を冷水などにより冷却し、原料組成物中に形成された気泡の形状を固定する。これにより、発泡体を得ることができる。
なお、原料組成物は、シート状に加工されなくてもよい。用途に応じて種々の形状のものを使用できる。また、発泡に供する成形体は押出成形、プレス成形のほか、射出成形等の他の成形法により作製することもできる。
【0036】
《製造方法7に用いられる発泡剤》
上述した製造方法では、発泡剤として、高圧の不活性ガスを用いることが好ましい。使用可能な不活性ガスとしては、ゴム系樹脂及びクマロン系樹脂に対して不活性であり、原料組成物の内部に注入可能であれば特に制限されない。例えば、二酸化炭素、窒素ガス、空気等が挙げられる。これらの不活性ガスを混合して用いてもよい。これらの不活性ガスのうち、原料組成物への含浸量が多く、含浸速度が速い二酸化炭素が好適である。
原料組成物に不活性ガスを含浸させる際、不活性ガスは超臨界状態であることが好ましい。超臨界状態では、原料組成物への不活性ガスの溶解度が増大するため、原料組成物中に混入される不活性ガスの濃度を高濃度にすることができる。原料組成物に高濃度の不活性ガスが混入されていると、原料組成物に不活性ガスを含浸した後、急激に圧力を降下すると、より多くの気泡核が発生する。このため、気泡核が成長してできる気泡の密度が高くなり、気孔率に対して微細な気泡が得られる。
なお、二酸化炭素の臨界温度は31℃、臨界圧力は7.4MPaである。
【0037】
《製造方法7における発泡処理》
製造方法7において、不活性ガスを原料組成物に含浸させるときの圧力条件は、不活性ガスの種類や製造上の操作性等を考慮して適宜選択できるが、6MPa以上(例えば、6〜100MPa程度)、好ましくは8MPa以上(例えば8〜100MPa程度)であることが好ましい。圧力が6MPa以上であれば、本発明の発泡体に好適な気泡径及び気泡密度を得ることができる。
不活性ガスとして、二酸化炭素を用いる場合には、圧力条件は、5〜100MPa程度(好ましくは7.4〜100MPa程度)とすることが好ましい。
不活性ガスを原料組成物に含浸させるときの圧力が低いほど、ガスの含浸量は相対的に少なくなるため、気泡核が形成される速度が低下し、気泡核数が少なくなる。この場合には、1気泡あたりのガス量が増え、圧力を解放した際に、気泡径が成長しやすくなると同時に、連続気泡の割合が増加する傾向がある。
このため、独立気泡率が高い発泡体を得るには圧力を6MPaより高くするのが好ましい。
【0038】
不活性ガスを原料組成物に含浸させるときの温度条件は、使用する不活性ガスや原料組成物によって適宜選択できるが、製造上の操作性等を考慮すると、例えば、10〜350℃程度とすることが好ましい。不活性ガスが含浸された状態の原料組成物を押し出して成形と同時に発泡を行う連続方式では、60〜350℃とすることが好ましい。
なお、不活性ガスとして二酸化炭素を用いる場合には、上述した超臨界状態を保持するため、32℃以上、特に40℃以上に設定することが好ましい。
不活性ガスの混合量は、特に制限されないが、発泡性や、平均気泡径のサイズの観点から、原料組成物全量に対して1〜15質量%とすることが好ましく、より好ましくは2〜12質量%であり、さらにより好ましくは3〜10質量%である。
【0039】
[シール材]
本発明の発泡体を用いて、シール材を形成することができる。本発明のシール材の JIS K6850に準拠する方法で測定した剥離強度は、シール材をアクリル板へ貼り付けた直後に20kPa以上であることが好ましい。また、貼り付け後23℃で12時間養生後に40kPa以上であることが好ましい。さらに、貼り付け後70℃で12時間養生後に60kPa以上であることが好ましい。
本発明のシール材の JIS K6767に準拠する方法で測定した50%圧縮応力は、60kPa未満であることが好ましい。50%圧縮応力の下限値は、特に限定されないが、シール材として用いる際には、50%圧縮応力の範囲は、10kPa〜60kPaであることが好ましい。50%圧縮応力をこの範囲に規定することにより、密封性を高めることができる。なお、50%圧縮応力が60kPaを超えると、柔軟性が不充分になり、気体又は液体から保護することが必要な部品や筐体などの形状に十分に追随することができず、十分な密封性が得られないことがある。
また、本発明のシール材の JIS K6262に準拠する方法において、70℃、24時間の条件下で測定した圧縮永久歪みは、60%未満であることが好ましい。圧縮永久歪みが60%未満であれば、圧縮変形されたシール材が圧縮状態から回復しやすく、長期間に亘って密封性を維持することができる。シール材の圧縮永久歪み(70℃、24h)は、小さいほど好ましい。圧縮永久歪み(70℃、24h)は、55%未満であればよく、好ましくは、5〜55%であり、さらに好ましくは、5〜45%である。
【0040】
[積層体]
本発明の発泡体の片面又は両面に、発泡体とは異なる樹脂層が配置されることにより、積層体が形成されていてもよい。
樹脂層は、発泡体の原料組成物の発泡時の温度よりも低い融点、又は軟化点を有することが好ましい。ゴム系樹脂を主成分とする発泡体は、ゴム由来の粘着性のために、単体では、生産時に発泡体同士を積層したり、発泡体をロール状に巻き取ったりしたときに、ブロッキングしてしまい、発泡体同士を分離させることが困難になることがある。これに対して、発泡体の片面又は両面に、発泡体とは異なる樹脂層を配置することにより、ブロッキングを防止することができる。
積層体を構成する樹脂層としては、原料組成物の発泡時の温度より低い融点又は軟化点を有するものであれば、特に限定されず、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂からなるフィルムが挙げられる。これらの樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。樹脂層を構成する樹脂の融点は、JIS K7121に準拠して測定されたものをいい、樹脂層を構成する樹脂の軟化点は、JIS K2207に準拠して測定されたものをいう。
【0041】
樹脂層は、発泡時に原料組成物と共に延展される。この観点から、融点が170℃以下であるポリオレフィン系樹脂が好ましく、融点が130℃以下であるポリエチレン系樹脂がより好ましい。更に、発泡体をシート状に加工する場合には、搬送状態で発泡体にかかる引張応力によって搬送方向に不要に延伸されないようにするために、引張強度が高い高密度ポリエチレンを用いることが好ましい。樹脂層の厚さは、5〜100μmであることが好ましい。
また、樹脂層の粘着性が低い場合は、積層体をロール状に巻いた場合に、離型層としての機能を有するため好ましい。樹脂層の好ましい剥離強さは、2枚の積層体の一方の積層体の発泡体に、他方の積層体の樹脂層を重ね合わせて、JIS K6854−2に準拠する方法で測定したとき、50N/25mm以下であることが好ましく、20N/25mm以下であることがより好ましい。
また、これらの積層体をシール材として使用することもできる。この場合には、被密封体においてシール材を密着させる密着部分と、発泡体との密着性を向上させるためには、発泡体と樹脂層との間に公知の手段によって粘着剤を塗布しておくことが好ましい。
【0042】
発泡体の片面又は両面に樹脂層を積層する方法としては、樹脂層を構成するフィルムを従来の公知の方法で作製し、このフィルムをシート状に加工された原料組成物の片面又は両面に積層する。続いて、原料組成物の架橋処理及び発泡処理を行うことによって、発泡体を形成するとともに積層体を製造する方法が挙げられる。樹脂層を構成するフィルムの製造方法としては、例えば、Tダイ法やインフレーション法による押出成型、カレンダー成型、溶液流延法等が挙げられる。
【0043】
また、押出ラミネート法や、共押出法などを用いて、原料組成物をシート状に加工するとともに、シート状に加工された原料組成物の片面又は両面に樹脂層を配置してもよい。
【0044】
また、発泡体の片面又は両面に、若しくは積層体の片面又は両面に、発泡体とは異なる発泡層を形成してもよい。このような発泡層としては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリオレフィン系樹脂発泡シート、ゴム系樹脂発泡シート、ポリウレタン系樹脂発泡シートなどが挙げられ、ポリオレフィン系樹脂発泡シートやゴム系樹脂発泡シートが好ましい。なお、ポリオレフィン系樹脂としては、上記樹脂層を構成するポリオレフィン系樹脂と同様であるのでその説明を省略する。又、ポリオレフィン系樹脂発泡シートの独立気泡率は、80%以上が好ましい。
【0045】
また、発泡層を構成する発泡シートは、独立気泡を有する発泡シートであっても、連続気泡を有する発泡シートであってもよいが、水密性を確保させるという観点からは、独立気泡を有する発泡シートであることが好ましい。
更に、発泡層を構成する発泡シートの発泡倍率は、圧縮柔軟性と取り扱い性を両立できるという観点から、10〜50cm3/gであることが好ましく、14〜45cm3/gであることがより好ましい。なお、発泡層には、酸化防止剤、充填剤、安定剤、紫外線吸収剤、顔料、帯電防止剤、可塑剤、難燃剤、難燃助剤等の従来公知の添加剤を含有してもよい。
【0046】
発泡体の片面又は両面に、若しくは積層体の片面又は両面に発泡層を積層させる方法としては、公知の方法が用いられ、熱ラミネート法、粘着ラミネート法、接着ラミネート法、両面テープを用いる方法、ホットメルト接着剤を用いる方法などが挙げられる。
【0047】
発泡体の片面又は両面に、若しくは積層体の片面又は両面に粘着剤層を設けてもよい。積層体が、発泡体と、この発泡体の片面又は両面に配置された樹脂層とからなる場合には、粘着剤層は、積層体を構成している発泡体又は樹脂層のうちの最外層の表面上に積層される。積層体が、発泡体と、この発泡体の片面又は両面に配置された樹脂層と、発泡層とからなる場合には、粘着剤層は、発泡体、樹脂層、発泡層のうちの最外層の表面に積層される。
【0048】
粘着剤層を構成する粘着剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリウレタン系粘着剤、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤を用いることができるが、優れた密着性と再剥離性を有し、高い止水性と作業性を両立できるという観点から、ポリウレタン系粘着剤を用いることが望ましい。
【0049】
ポリウレタン系粘着剤は、ポリオールとポリイソシアネートを含む原料を反応させてなる。上記ポリオールとしては、ポリエスエルポリオール、ポリエーテルポリオールなどが挙げられる。
【0050】
ポリエステルポリオールは、多価カルボン酸成分とポリオール成分を反応させたもである。このような多価カルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸などが挙げられる。
【0051】
ポリオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキセングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3,3’−ジメチロールヘプタン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルペンタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、その他、ポリカプロラクトン、ポリ(β―メチル−γ−バレロラクトン)、ポリバレロラクトン等のラクトン類を開環重合したポリエステルポリオールなどが挙げられる。
【0052】
ポリエーテルポリオールは、低分子量ポリオールを開始剤として用いてオキシラン化合物を重合させることで得られる。上記オキシラン化合物としては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラビドロフランなどが挙げられる。又、上記低分子量ポリオールとしては、例えば、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパンなどが挙げられる。
【0053】
ポリイソシアネートとしては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネートに分けられる。
【0054】
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、2,4,6−トリイソシアナトトルエン、1,3,5−トリイソシアナトベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’,4’’−トリフェニルメタントリイソシアネート等が挙げられる。
【0055】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等などが挙げられる。
【0056】
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、ω、ω’−ジイソシアネート−1,3−ジメチルベンゼン、ω、ω’−ジイソシアナト−1,4−ジメチルベンゼン、ω、ω’−ジイソシアナト−1,4−ジエチルベンゼン、1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0057】
脂環族ポリイソシアネートとしては、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナト)、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
【実施例】
【0058】
以下に、本発明の実施例及び比較例によって、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。
[評価方法]
実施例及び比較例として作製した発泡体を以下に示す方法で評価した。
【0059】
<独立気泡率の測定>
発泡体の独立基法律を下記の要領で測定した。
発泡体から一辺が5cmの平面正方形状で且つ一定厚みの試験片を切り出す。試験片の厚みを測定し、試験片の見掛け体積V1を算出するとともに試験片の重量W1を測定する。
次に、気泡の占める見掛け体積V2を下記式に基づいて算出する。なお、試験片を構成している樹脂の密度は、1g/cm3とする。
気泡の占める見掛け体積V2=V1−W1
続いて、試験片を23℃の蒸留水中に水面から100mmの深さに沈めて、試験片に15kPaの圧力を3分間に亘って加える。この後、試験片を水中から取り出して試験片の表面に付着した水分を除去し、試験片の重量W2を測定し、下記式に基づいて連続気泡率F1及び独立気泡率F2を算出する。
連続気泡率F1(%)=100×(W2−W1)/V2
独立気泡率F2(%)=100−F1
【0060】
<発泡体の発泡倍率の測定>
JIS K7222に準拠して測定した。
【0061】
<発泡体の気泡径>
光学顕微鏡(25倍)による目視観察により測定した。
【0062】
<発泡体のゲル分率(架橋度)>
ゲル分率は、次のように測定した。発泡体100mgを70℃のエチルメチルケトン25ミリリットル中に7〜22時間に亘って浸漬し、不溶解分を200メッシュの金網で濾過した。金網上の残渣を真空乾燥して乾燥残渣の質量A(mg)を測定し、下記式により算出した。
ゲル分率(質量%)=100×A/100
【0063】
<寸法変化率>
寸法変化率は、次のように測定した。発泡体の押出方向(以下「縦方向」という)に100mm、発泡体の面方向に沿いであって押出方向に直交する方向(以下「横方向」という)に100mmである矩形状の試験片を作製した。次に、この試験片を70℃にて1週間(7日)養生し、試験片の縦方向、横方向、及び発泡体の表面に対して直交する方向(以下「厚み方向」という)における寸法を測定した。下記式によって各方向における収縮率を算出し、縦方向、横方向のうち収縮率が大きい方を平面方向の寸法安定性の指標とした。また、厚み方向の収縮率を厚み方向の寸法安定性の指標とした。
収縮率(%)=100×(養生前の寸法−養生後の寸法)/養生前の寸法
【0064】
<ブリードアウトの評価>
ブリードアウトは、発泡体表面の明度(L値)によって評価した。L値は、分光測色計装置CM−3500d(コニカミノルタ株式会社製)を用いて測定した。数値が大きいほど、白色に近く、小さいほど黒色に近いことを示している。ブリードアウトが起きている場合には、発泡体の表面が白色化することから、本評価では、数値が大きいほどブリードアウトが起きていると判断した。
製造直後の発泡体の測定面のL値を測定し、12時間後、再び同じ測定面のL値を測定し、両者を比較した。
【0065】
[実施例1、比較例1,2]
<実施例1>
ゴム系樹脂、クマロン系樹脂、発泡剤、充填剤、酸化防止剤を表1に示す配合量で配合して発泡性原料組成物を作製した。発泡性原料組成物を加圧ニーダを用いて混練した後、発泡性原料組成物を押出機に供給して混練して押出すことにより、未架橋未発泡のシート状の発泡性原料組成物を得た。
得られたシート状の発泡性原料組成物に線量2.2Mrad、加速電圧500keVの電子線を照射することにより架橋した。続いて、反応炉中で240℃に加熱することにより、アゾジカルボンアミドを熱分解して発泡させ、発泡倍率27cm3/g、厚さ2.5mmの発泡体を得た。
【0066】
<比較例1>
クマロン系樹脂の代わりに、テルペン系樹脂を配合した以外は、実施例1と同様の方法により、発泡倍率27.5cm3/g、厚さ2.5mmの発泡体を得た。
【0067】
<比較例2>
クマロン系樹脂の代わりに、脂肪族炭化水素樹脂を配合した以外は、実施例1と同様の方法により発泡体の形成を試みた。
【0068】
実施例1、比較例1,2に使用した成分の詳細と、各成分の配合量は、表1に示すとおりである。
【0069】
【表1】

【0070】
*1:ゴム系樹脂 アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR:密度0.96g/cm3
*2:充填剤 カーボンブラック「シーストV」(東海カーボン株式会社製)
*3:発泡剤 アゾジカルボンアミド「ユニフォームAZ BS−500」(大塚化学株式会社製)
*4:酸化防止剤 「スミライザーGM」(住友化学株式会社製)
*5:クマロン系樹脂 「クマロンV120」(日塗化学株式会社製)
*6:テルペン系樹脂 「アルコンP−125」(荒川化学工業株式会社製)
*7:脂肪族炭化水素樹脂 1,3−ペンタジエン 「クイントンR−100」(日本ゼオン株式会社製)
【0071】
<評価結果>
実施例で得られた発泡体の独立気泡率は、90%以上であった。なお、比較例2の成分及び配合量とした場合には、各成分が相溶せず、層分離状態になった。評価結果を表2に示す。
【0072】
【表2】

【0073】
表2の評価結果によれば、実施例1の発泡体の製造直後のL値は、比較例1の発泡体の製造直後のL値に比べて小さかった。実施例1の発泡体の12時間経過後のL値もまた、12時間経過後の比較例1のL値よりも小さかった。このことから、比較例1の発泡体よりも黒色に近く、ブリードアウトの発生が少ないと判断できる。
また、実施例1の発泡体の製造直後のL値と自身の12時間経過後のL値との差は、1.29であるのに対して、比較例1の発泡体の製造直後のL値と自身の12時間経過後のL値との差は、4.34であった。このことから、実施例1の発泡体は、比較例1の発泡体よりも時間経過によるブリードアウトの発生量が抑制できることが判った。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム系樹脂とクマロン系樹脂とが配合された樹脂組成物を含み、JIS K7222に準拠する方法で測定した発泡倍率が25〜200cm3/gである発泡体。
【請求項2】
前記樹脂組成物は、ゴム系樹脂100質量部に対してクマロン系樹脂を3〜30質量部の割合で含む請求項1に記載の発泡体。
【請求項3】
前記ゴム系樹脂が、アクリロ−ニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ブチルゴム、及びクロロプレンゴムから選ばれる少なくとも1種のゴム、又は天然ゴムである請求項1又は2に記載の発泡体。
【請求項4】
クマロン系樹脂が、クマロン樹脂、クマロン−インデン共重合体、クマロン−インデン−スチレン共重合体から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか1項に記載の発泡体。
【請求項5】
前記発泡体のゲル分率が40〜80質量%である請求項1〜4のいずれか1項に記載の発泡体。
【請求項6】
前記発泡体の気泡の縦方向、横方向及び厚み方向の気泡径は、それぞれ600μm以下であり、縦方向、横方向及び厚み方向の気泡径の平均値は、500μm以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の発泡体。
【請求項7】
前記発泡体の気泡は、独立気泡である請求項1〜6のいずれか1項に記載の発泡体。
【請求項8】
70℃で7日間養生後の寸法変化率が、縦方向、横方向及び厚み方向すべてにおいて、20%以下である請求項1〜7のいずれか1項に記載の発泡体。
【請求項9】
前記発泡体は、前記樹脂組成物に架橋処理及び発泡処理を施すことにより得られ、
前記架橋処理は、電離性放射線による物理架橋処理である請求項1〜8のいずれか1項に記載の発泡体。
【請求項10】
前記発泡体は、前記樹脂組成物に架橋処理及び発泡処理を施すことにより得られ、
前記架橋処理は、有機過酸化物又は硫黄化合物による化学架橋処理である請求項1〜8のいずれか1項に記載の発泡体。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の発泡体を用いたシール材。
【請求項12】
ゴム系樹脂と、クマロン系樹脂とを含む樹脂組成物からなる発泡体の製造方法であって、
該樹脂組成物を架橋する架橋処理と、
該樹脂組成物を発泡する発泡処理とを有する発泡体の製造方法。
【請求項13】
前記架橋処理は、電離性放射線による物理架橋処理である請求項12に記載の発泡体の製造方法。
【請求項14】
前記架橋処理は、有機過酸化物若しくは硫黄化合物による化学架橋処理である請求項12に記載の発泡体の製造方法。
【請求項15】
前記樹脂組成物は、発泡処理に用いられる発泡剤と、該発泡剤の分解温度よりも高い1分間半減期温度を有する架橋剤とを含有する請求項14に記載の発泡体の製造方法。

【公開番号】特開2012−214624(P2012−214624A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−80888(P2011−80888)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】