説明

発泡成形体

【課題】強度が高く、軽量化による作業性に優れ、火災発生時の高温に晒されても発泡体形状を長時間保持して延焼防止効果に優れる防火用発泡成形体の提供。
【解決手段】酸素指数が35以上であり、(A)熱可塑性エラストマーと、亜リン酸アルミニウムと、無機充填剤と、熱分解性発泡剤と、を含有する発泡成形体、(B)加硫可能なゴムと、亜リン酸アルミニウムと、無機充填剤と、加硫剤と、加硫促進剤と、熱分解性発泡剤と、を含有する発泡成形体、(C)加硫可能なゴムと、熱可塑性エラストマーと、亜リン酸アルミニウムと、無機充填剤と、加硫剤と、加硫促進剤と、熱分解性発泡剤と、を含有する発泡成形体、のいずれかである発泡成形体とすること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡成形体に関する。より詳しくは、防火用発泡成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
防火用発泡成形体として、ポリウレタンフォームに有機リン系難燃剤、ハロゲン化合物、水酸化アルミニウムや三酸化アンチモン等の難燃剤が配合された難燃性スポンジ材が広く知られているが、環境問題が取りざたされている。
【0003】
環境問題が少ないとされるノンハロゲン系防火用発泡成形体としては、ポリウレタンフォームにリン系難燃剤を添加したもの(例えば特許文献1)や、メラミン樹脂と水酸化アルミニウムを添加されたもの(例えば特許文献2)等が一般的である。前記ノンハロゲン系難燃性発泡成形体は、難燃性ではあるが直火に長時間さらされると溶融、熱分解するため、自身の形状を保持することはできない。
【0004】
【特許文献1】特開平10−147707号公報(第2頁:請求項1〜2)
【特許文献2】特開平07−292055号公報(第2頁:請求項1〜4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、建造物等の防火用目地材等として、強度が高く、軽量化による作業性にも優れ、火災発生時の高温に晒されても発泡体形状を長時間保持して延焼防止効果にも優れた発泡成形体を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
まず、本発明では、(A)熱可塑性エラストマーと、亜リン酸アルミニウムと、無機充填剤と、熱分解性発泡剤と、を含有する発泡成形体、(B)加硫可能なゴムと、亜リン酸アルミニウムと、無機充填剤と、加硫剤と、加硫促進剤と、熱分解性発泡剤と、を含有する発泡成形体、(C)加硫可能なゴムと、熱可塑性エラストマーと、亜リン酸アルミニウムと、無機充填剤と、加硫剤と、加硫促進剤と、熱分解性発泡剤と、を含有する発泡成形体、のいずれかであり、酸素指数が35以上である発泡成形体を提供する。これにより、強度、火災時における形状保持性、難燃性、作業性等が良好である発泡成形体とすることができる。
【0007】
次に、本発明では、前記熱可塑性エラストマーのみからなるゴム100質量部に対して、前記亜リン酸アルミニウムが10〜150質量部、前記無機充填剤が10〜200質量部含有される発泡成形体を提供する。これにより、強度、火災時における形状保持性、難燃性、作業性等を更に向上することができる。
【0008】
続いて、本発明では、前記加硫可能なゴムを少なくとも含むゴム100質量部に対して、前記亜リン酸アルミニウムが10〜150質量部、前記無機充填剤が10〜200質量部含有され、前記加硫可能なゴム100質量部に対して、前記加硫剤が0.1〜10質量部、前記加硫促進剤が0.1〜10質量部含有される発泡成形体を提供する。これにより、強度、火災時における形状保持性、難燃性、作業性等を更に向上することができる。
【0009】
更に、本発明では、前記熱可塑性エラストマーが、ビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックと、共役ジエンを主体とする重合体ブロックと、からなるスチレン系熱可塑性エラストマーである発泡成形体を提供する。そして、本発明では、前記無機充填剤が、水酸化アルミニウムである発泡成形体を提供する。無機充填剤として水酸化アルミニウムを用いることで、成形性や難燃性等をより向上させることができる。
【0010】
また、本発明では、前記発泡成形体を用いた目地材を提供する。これにより、強度、火災時における形状保持性、難燃性、作業性等が良好である防火用目地材とすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る発泡成形体は、強度に優れ、火災時に不燃性の堅固な発泡層を保持するとともに、長時間高温下にさらされても、その発泡層が脆弱化しにくく、優れた防火性能を有し、軽量化による作業性にも優れた効果が発揮される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための好適な形態について説明する。なお、本実施形態は、本発明の好適な実施の形態を例示したものであり、これにより本発明が狭く解釈されることはない。
【0013】
熱可塑性エラストマーと加硫可能なゴムの配合比率は0〜100/100〜0質量%である。熱可塑性エラストマーは、特に限定されるものではないが、例えば、塩化ビニル系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー等の各種熱可塑性エラストマーが使用でき、中でもスチレン系エラストマーが好ましい。
【0014】
スチレン系エラストマーは、ビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックと共役ジエンを主体とする重合体ブロックとからなるブロック共重合体が好ましく、ビニル芳香族炭化水素としては、例えば、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルキシレン、モノクロルスチレン、ジクロロスチレン、モノブロモスチレン等があり、これらは単体だけでなく2種以上組み合わせて使用しても良い。これらビニル芳香族炭化水素のうち特に好ましいものはスチレンである。共役ジエンとしては1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン等があり、これらは単体だけでなく2種以上組み合わせて使用しても良い。特に好ましいものは1,3−ブタジエンである。なお、これらスチレン系エラストマーのブロック共重合体は、公知のアニオン重合により製造できるものである。
【0015】
加硫可能なゴムは、特に制限されるものではないが、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム等のジエン系ゴムが使用でき、ブチルゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム等の主鎖中に少量の二重結合を導入したゴムも使用可能である。これらを使用する場合は単体だけでなく、混練性、成形性等を改善するために2種以上を混合して使用してもよい。これらの中でも特にクロロプレンゴムとエチレン−プロピレン−ジエンゴムを混合して用いると混練性、成形性が改善されて好ましい。
【0016】
本発明では、火災時における発泡成形体の形崩れ防止のための形状安定化剤として亜リン酸アルミニウムを用いる。本発明で用いられる亜リン酸アルミニウムは、分散性の観点から平均粒径はレーザー回折法の測定値で1〜100μmが好ましい。
【0017】
亜リン酸アルミニウムの含有量は、ゴム100質量部に対して10〜150質量部が好ましく、10〜100質量部であればより好ましく、10〜80質量部であれば更に好ましい。10質量部より少ないと得られる発泡成形体は火災時の形状保持性が不十分で150質量部を超えると得られる発泡成形体の硬度が高くなり可撓性が低下する傾向がある。
【0018】
無機充填剤の含有量は、ゴム100質量部に対して10〜150質量部が好ましく、10〜100質量部であればより好ましく、10〜80質量部であれば更に好ましい。150質量部を超えて使用すると、発泡成形体の硬度が高くなって可撓性が劣り、施工性が悪くなる場合がある。
【0019】
無機充填剤は、特に制限されるものではないが、成形性及び難燃性を向上させるものであって、例えば、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化鉄、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ホウ酸亜鉛、ホウ酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ケイ酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、ベントナイト、活性白土、セピオライト、ガラス繊維、ガラスビーズ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、カーボンブラック、グラファイト等である。これらの無機充填剤は単体だけでなく2種以上を混合して使用してもよい。これらの中では、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムは、得られた発泡成形体が、火災時にこれらの脱水反応による吸熱反応で温度上昇が抑えられるという点で好ましい。中でも水酸化アルミニウムが特に好ましい。また、分散性の観点からこれらの充填剤の平均粒径は、レーザー回折法の測定値で1〜50μmが好ましい。
【0020】
加硫剤及び加硫促進剤は、加硫可能なゴムの架橋度を向上させ、ゴム自体の強度を向上させるものである。
【0021】
加硫剤は、ゴムを架橋できるものであれば特に制限されるものではないが、例えば、硫黄、ポリスルフィド等の硫黄系化合物、p−キノンジオキシム、p−p−ジベンゾイルキノンオキシム等のオキシム系化合物、t−ブチルハイドロパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物系化合物等がある。加硫剤は硫黄系化合物が好ましく、その硫黄系化合物と、それ以外のものを組み合わせて使用してもよい。これら加硫剤の使用量は、加硫可能なゴム100質量部あたり0.1〜10質量部が好ましく、より好ましくは0.5〜5質量部である。
【0022】
加硫促進剤は、ゴムの加硫の促進を目的に使用されるものであって、特に制限されるものではないが、例えば、テトラメチルチウラムジスルフィドやテトラブチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチウラム系化合物、2−メルカプトベンゾチアゾールやジベンゾチアゾールジスルフィド等のチアゾール系化合物、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛やジエチルジチオカルバミン酸亜鉛等のジチオカルバミン酸塩系化合物、n−ブチルアルデヒドアニリン等のアルデヒドアミン系化合物,N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド等のスルフェンアミド系化合物、ジオルソトリルグアニジンやジオルソニトリルグアニジン等のグアニジン系化合物、チオカルバニリドやジエチルチオユリア、トリメチルチオユリア等のチオユリア系化合物、亜鉛華などの化合物が挙げられる。加硫促進剤は、これらの単体だけでなく、2種以上のものを組合せて使用してもよい。これら加硫促進剤の使用量は、加硫可能なゴム100質量部あたり0.1〜10質量部が好ましく、より好ましくは0.2〜5質量部である。
【0023】
熱分解性発泡剤は、加熱によって自ら分解してガスを発生させるものであってゴムを発泡させるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジアミノベンゼン、アゾシクロヘキシルニトリル等のアゾ系発泡剤、N,N´−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N´−ジメチルN,N´−ジニトロソテレフタルアミド等のニトロソ系発泡剤、ベンゼンスルフォニルヒドラジド、p,p´−オキシビス(ベンゼンスルフォニルヒドラジド)、トルエンスルフォニルヒドラジド、ジフェニルスルホン−3,3´−ジスルフォニルヒドラジド等のスルフォニルヒドラジド系発泡剤等の有機系発泡剤のほか、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、亜硝酸アンモニウム、カルシウムアジド等の無機系発泡剤である。熱分解性発泡剤の使用量は、目的とする発泡成形体の物性に応じて適宜調整すればよいが、ゴム100質量部あたり0.5〜50質量部が好ましく、より好ましくは1〜20質量部である。また、必要に応じて、これら熱分解性発泡剤と発泡助剤を併用してもよい。発泡助剤としては、サリチル酸、フタル酸、ステアリン酸、シュウ酸、尿酸またはその誘導体などが挙げられる。
【0024】
本発明の発泡成形体は、酸素指数35以上であることを特徴とする。35以上であると、火災時の防火性能が発揮され、形崩れ防止性にも優れる。酸素指数の調整は亜リン酸アルミニウム及び無機充填剤の配合量によって調整でき、例えば、亜リン酸アルミニウムおよび無機充填剤をゴム100質量部に対してそれぞれ10質量部以上配合するのが好ましい。
【0025】
本発明の発泡成形体の調整方法は、特に限定されるものではないが、必要な成分を配合した後、このゴム組成物の混練、所望する形状の成形、熱分解性発泡剤の発泡開始温度及び加硫開始温度以上の加熱の工程からなる。なお、加硫処理と発泡処理は別工程で行ってもよく同時に行ってもよい。
【0026】
ゴム組成物を混練する装置としては、従来公知のミキサー、バンバリーミキサー、ニーダーミキサー、二本ロール等の混練装置がある。混練したゴム組成物を成形する装置としては、従来公知のプレス成形、押出成形、カレンダー成形等の成形装置がある。一般には、ゴム組成物をゴム用押出機で製品形状に押出し、次いで加硫槽内に導入し、熱空気、流動床、マイクロ波等の手段によって加熱することにより加硫及び発泡を行うことができる。また、発泡成形体の形状は、シート状やテープ状など適宜用途に合わせて設計すればよい。良好な機械的強度及び柔軟性を持った発泡成形体を得るには、発泡後の比重は0.1〜0.6であるものが好ましい。
【0027】
本発明の発泡成形体にはその効果を阻害しない範囲で、通常の加硫ゴム配合物で使用される可塑剤、軟化剤、老化防止剤、加工助剤、滑剤、粘着付与剤等を併用して用いてもよい。成形性の調整に有効な軟化剤や可塑剤の例としては、パラフィン系やナフテン系等のプロセスオイル、流動パラフィンやその他のパラフィン類、ワックス類、シリコーンオイルや液状ポリブテン等の合成高分子系軟化剤、フタル酸系やアジピン酸系、セバシン酸系やリン酸系等のエステル系可塑剤類、ステアリン酸やそのエステル類、アルキルスルホン酸エステル類や粘着付与剤などがあげられる。
【0028】
従って、本発明の発泡成形体は、その弾性、柔軟性、断熱性、防火性、防振性、防音性等の特性が要求される様々な分野に利用でき、使用部位も特に制限されず、防火性が要求される箇所に幅広く用いることができる。
【実施例】
【0029】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものでない。なお、以下の説明における「部」及び「%」は質量基準に基づく。
【0030】
本実施例で使用した発泡成形体の各材料について表1に示す。
【0031】
【表1】



【0032】
<発泡成形体の調製>
実施例区及び比較例区の各発泡成形体の調製は次のように行なった。表1の配合Aに示した成分を、容量3リットルのニーダーミキサーを用いて120℃で3分間混練した。次いで、得られた混練物を二本ロールで練りながら表1の配合Bに示した成分を添加して5分間混練し、更に、熱プレス機を用いて170℃で加硫処理(4分間)と発泡処理を行い、厚さ5mmの発泡成形体を得た。
【0033】
そして、各発泡成形体の特性評価は、表2の測定方法に基づいて行なった。
【0034】
【表2】



【0035】
実施例区で用いた各発泡成形体の成分比とその評価結果とを表3に示す。以下、各実施例として使用した発泡成形体の成分比について説明する。
【0036】
ゴムとして3種類の材料を用いた。詳しくは、熱可塑性エラストマーとして、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBS)を用い、加硫可能なゴムとして、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)とクロロプレンゴムとを用いた。これらの樹脂のうち一種類又は二種類をゴムとして使用した(表3参照)。即ち、実施例1のゴムは熱可塑性エラストマーである。実施例2〜4のゴムは一種類又は二種類の加硫可能なゴムである。実施例5のゴムは前記熱可塑性エラストマーと前記加硫可能なゴムとをブレンドしたものである。
【0037】
そして、加硫剤と加硫促進剤については、前記加硫可能なゴムを含有しない実施例1では添加せず、前記加硫可能なゴムを含有している実施例2〜5では添加した。なお、実施例5は、前記加硫可能なゴムの混合比率を考慮して添加した(表3参照)。
【0038】
【表3】



【0039】
次に、比較例区で用いた各発泡成形体の配合とその評価結果を表4に示す。以下、各比較例として使用した発泡成形体の成分比について説明する。
【0040】
いずれの比較例も、前記加硫可能なゴムであるエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)を用いた。そして、比較例1は亜リン酸アルミニウムを含有せず酸素指数が32である発泡成形体であり、比較例2は無機充填剤を含有せず酸素指数が27の発泡成形体であり、比較例3は熱分解性発泡剤を含有しない樹脂成形体であり、比較例4は加硫剤を含有しない発泡成形体である(表4参照)。
【0041】
【表4】



【0042】
<酸素指数と形状保持性>
形状保持性について検討した。実施例区ではいずれも「良」であることより、いずれの実施例の発泡成形体でも形状保持性は優れていることが示唆された(表3参照)。一方、比較例区では、酸素指数が35以下であり亜リン酸アルミニウムを含有しない比較例1は「不可」であり、酸素指数が35以下であり無機充填剤を配合しない比較例2は「可」であった(表4参照)。このことから、少なくとも、酸素指数が35以上であり、亜リン酸アルミニウムと無機充填剤とを含有させることで、優れた形状保持性を発揮し、火災発生時の高温に晒されてもその形状を長時間保持しうる発泡成形体となることが示唆された。
【0043】
<引張強度>
引張強度について検討した。実施例区における引張強度はいずれも0.4MPa以上1.2MPa以下となった。即ち、本発明に係る発泡成形体によれば、目地材として柔らかすぎず、かつ適度な可ぎょう性を有する硬さとなることが示唆された(表3参照)。一方、ゴムとして加硫可能なゴムを用いているが加硫剤と加硫促進剤とを含有していない比較例4では、引張強度は0.2MPaとなった(表4参照)。即ち、ゴムが加硫可能なゴムである場合に加硫剤と加硫促進剤を含有させることで、少なくとも、防火用目地材として良好な強度となることが示唆された。
【0044】
<発泡品比重>
発泡品比重について検討した。少なくとも実施例区における発泡品比重は0.29g/cm〜0.43g/cmであることから、軽量な目地材として使用できることが示唆された。一方、比較例3では、発泡品比重が1.23g/cm、引張強度が2.8MPaであり、いずれの項目も実施例区と比較例区の中で最も高い数値であった。更に、実施例3と比較例3とを比べたところ、実施例3の方が実施例3よりも発泡品比重が小さく、かつ引張強度もより小さい結果となった(表3、表4参照)。従って、前記熱分解性発泡剤を用いた発泡成形体とすることで、軽量化できるとともに、加工性も向上できることが示唆された。
【0045】
<熱伝導率>
熱伝導率について検討した。いずれの実施例においても熱伝導率は0.08W/mKであることから、いずれの発泡成形体も断熱性に優れている目地材として使用できることが示唆された。一方、比較例3では、熱伝導率が0.27W/mKであり、実施例区と比較例区の中で最も高い数値であった。特に、実施例3と比較例3を比較すれば、熱分解性発泡剤を用いた実施例3の方が、前記熱分解性発泡剤を用いていない比較例3よりも熱伝導率が小さい結果となった(表3、表4参照)。即ち、前記熱分解性発泡剤を用いた発泡成形体とすることで、断熱性を向上できることが示唆された。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明に係る発泡成形体は、建造物の防火用目地材等に利用できる。同発泡成形体は強度が高く、作業性にも優れ、火災発生時の高温に晒されても形状を長時間保持できるため、延焼防止効果等に優れる防火用目地材として利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素指数が35以上であり、以下の(A)〜(C)のいずれかである発泡成形体。
(A)熱可塑性エラストマーと、亜リン酸アルミニウムと、無機充填剤と、熱分解性発泡剤と、を含有する発泡成形体。
(B)加硫可能なゴムと、亜リン酸アルミニウムと、無機充填剤と、加硫剤と、加硫促進剤と、熱分解性発泡剤と、を含有する発泡成形体。
(C)加硫可能なゴムと、熱可塑性エラストマーと、亜リン酸アルミニウムと、無機充填剤と、加硫剤と、加硫促進剤と、熱分解性発泡剤と、を含有する発泡成形体。

【請求項2】
前記熱可塑性エラストマーのみからなるゴム100質量部に対して、前記亜リン酸アルミニウムが10〜150質量部、前記無機充填剤が10〜200質量部含有される請求項1記載の発泡成形体。

【請求項3】
前記加硫可能なゴムを少なくとも含むゴム100質量部に対して、前記亜リン酸アルミニウムが10〜150質量部、前記無機充填剤が10〜200質量部含有され、
前記加硫可能なゴム100質量部に対して、前記加硫剤が0.1〜10質量部、前記加硫促進剤が0.1〜10質量部含有される請求項1記載の発泡成形体。

【請求項4】
前記熱可塑性エラストマーが、ビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックと、共役ジエンを主体とする重合体ブロックと、からなるスチレン系熱可塑性エラストマーである請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発泡成形体。

【請求項5】
前記無機充填剤が、水酸化アルミニウムである請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発泡成形体。

【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の発泡成形体を用いた目地材。


【公開番号】特開2007−31707(P2007−31707A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−171937(P2006−171937)
【出願日】平成18年6月21日(2006.6.21)
【出願人】(000003296)電気化学工業株式会社 (1,539)
【出願人】(591129771)シー・アール・ケイ株式会社 (31)
【Fターム(参考)】