説明

発熱デバイス組立体および発熱デバイス組立体の製造方法

【課題】放熱性に優れる発熱デバイス組立体、および、かかる発熱デバイス組立体を製造する方法を提供すること。
【解決手段】発熱デバイス組立体10は、板状をなし金属材料で構成された金属板21と金属板21の上面211に形成された絶縁層22とを有するベース基板2と、絶縁層22上に配置され、通電により発熱する発熱体4と備える発熱デバイス1と、発熱デバイス1が搭載され、板状をなす搭載用基板9とを有している。そして、ベース基板2は、その平面視での面積Sが搭載用基板9の平面視での面積Sよりも小さいものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱デバイス組立体および発熱デバイス組立体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体装置として、ベース基板に発光ダイオード素子(LEDチップ)を備える発光体を搭載したものが知られている。このような半導体装置は、ベース基板と、ベース基板上に形成された絶縁層と、絶縁層上に形成された導体パターンとを有しており、さらに、発光体を絶縁層上に設置するとともに、発光体と導体パターンとをワイヤを介して電気的に接続することにより構成されている(特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、このような半導体装置では、発光体の駆動により発生する熱を外部に十分に放出することができず、放熱性が低いという問題がある。具体的には、発光体が外部へ露出しているため、発光体からの熱は、直に空気中に放出されるが、このような放出は十分に行われない。特に、半導体装置が比較的小さい気密空間内に設置されている場合には、空気の対流も発生せず(発生しても僅かであり)、その放熱性がより悪化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−259839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、放熱性に優れる発熱デバイス組立体、および、かかる発熱デバイス組立体を製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的は、下記(1)〜(17)の本発明により達成される。
(1) 板状をなし金属材料で構成された金属板と該金属板の一方の面側に形成された絶縁層とを有するベース基板と、前記絶縁層上に配置され、通電により発熱する発熱体とを備える発熱デバイスと、
少なくとも1つの前記発熱デバイスが搭載され、板状をなす搭載用基板とを有し、
前記ベース基板は、その平面視での面積が前記搭載用基板の平面視での面積よりも小さいものであることを特徴とする発熱デバイス組立体。
【0007】
(2) 前記発熱体が通電された際、該発熱体で生じた熱の一部は、前記金属板から放熱される上記(1)に記載の発熱デバイス組立体。
【0008】
(3) 前記ベース基板の前記面積は、前記搭載用基板の前記面積の0.1〜0.9倍である上記(1)または(2)に記載の発熱デバイス組立体。
【0009】
(4) 前記ベース基板の厚さは、前記搭載用基板の厚さの0.1〜2.0倍である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の発熱デバイス組立体。
【0010】
(5) 前記ベース基板は、その厚さが前記搭載用基板の厚さよりも薄いものである上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の発熱デバイス組立体。
【0011】
(6) 前記発熱デバイスを前記搭載用基板に対し固定する固定手段が設けられている上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の発熱デバイス組立体。
【0012】
(7) 前記固定手段は、前記金属板と前記搭載用基板との間に設けられ、これらの板同士を接合する接合部材を有する上記(6)に記載の発熱デバイス組立体。
【0013】
(8) 前記固定手段は、前記金属板の縁部に設けられ、該縁部と前記搭載用基板とを接合する接合部材を有する上記(6)に記載の発熱デバイス組立体。
【0014】
(9) 前記固定手段は、前記金属板の他方の面および前記搭載用基板のうちの一方に突出して形成された凸部と、他方に形成され、前記凸部が挿入される凹部とを有する上記(6)に記載の発熱デバイス組立体。
【0015】
(10) 前記固定手段は、ボルトと、該ボルトに螺合するナットとを有する上記(6)に記載の発熱デバイス組立体。
【0016】
(11) 前記金属板の一方の面には、粗面加工が施されており、
前記絶縁層は、前記金属板の一方の面に接合されている上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の発熱デバイス組立体。
【0017】
(12) 前記絶縁層上には、前記発熱体と電気的に接続されるベース基板側配線パターンが形成されている上記(1)ないし(11)のいずれかに記載の発熱デバイス組立体。
【0018】
(13) 前記搭載用基板には、前記発熱体と電気的に接続される搭載用基板側配線パターンが形成されている上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の発熱デバイス組立体。
【0019】
(14) 前記金属材料は、アルミニウムまたはアルミニウム合金である上記(1)ないし(13)のいずれかに記載の発熱デバイス組立体。
【0020】
(15) 前記発熱体は、光を発する発光体である上記(1)ないし(14)のいずれかに記載の発熱デバイス組立体。
【0021】
(16) 上記(1)ないし(15)のいずれかに記載の発熱デバイス組立体を製造する方法であって、
前記ベース基板の前記絶縁層上に前記発熱体を配置し、固定して、前記発熱デバイスを得る第1の組立工程と、
前記発熱デバイスを前記搭載用基板に搭載し、固定する第2の組立工程とを有することを特徴とする発熱デバイス組立体の製造方法。
【0022】
(17) 前記第1の組立工程は、切断することにより前記ベース基板となる母材上に、複数個の前記発熱体を互いに離間するように配置し、固定する固定工程と、
前記母材の、互いに隣接する前記発熱体同士の間の部分を切断して、前記発熱デバイスを得る切断工程とを有する上記(16)に記載の発熱デバイス組立体の製造方法。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、通電により発熱体から生じた熱は、絶縁層に伝わり、さらに、当該絶縁層よりも熱伝導性が高い、金属材料で構成された金属板に確実に伝わる。そして、この熱は、金属板から確実に放熱されることとなり、よって、放熱性に優れる。
【0024】
ベース基板の平面視での面積が搭載用基板の平面視での面積よりも小さいことにより、ベース基板の大きさをできる限り抑えつつも、金属板での放熱機能を十分に発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の発熱デバイス組立体の第1実施形態を示す断面図である。
【図2】図1に示す発熱デバイス組立体を製造する方法(本発明の発熱デバイス組立体の製造方法)を順に示す斜視図である。
【図3】図1に示す発熱デバイス組立体を製造する方法(本発明の発熱デバイス組立体の製造方法)を順に示す斜視図である。
【図4】図1に示す発熱デバイス組立体を製造する方法(本発明の発熱デバイス組立体の製造方法)を順に示す斜視図である。
【図5】図1に示す発熱デバイス組立体を製造する方法(本発明の発熱デバイス組立体の製造方法)を順に示す斜視図である。
【図6】本発明の発熱デバイス組立体の第2実施形態を示す断面図である。
【図7】本発明の発熱デバイス組立体の第3実施形態を示す断面図である。
【図8】本発明の発熱デバイス組立体の第4実施形態を示す断面図である。
【図9】本発明の発熱デバイス組立体の第5実施形態を示す断面図である。
【図10】図1に示す発熱デバイス組立体を組み込んだ照明器具を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の発熱デバイス組立体および発熱デバイス組立体の製造方法を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0027】
<第1実施形態>
図1は、本発明の発熱デバイス組立体の第1実施形態を示す断面図、図2〜図5は、それぞれ、図1に示す発熱デバイス組立体を製造する方法(本発明の発熱デバイス組立体の製造方法)を順に示す斜視図、図10は、図1に示す発熱デバイス組立体を組み込んだ照明器具を示す断面図である。なお、以下では、説明の都合上、図1〜図5および図10中(図6〜図9についても同様)の上側を「上」または「上方」、下側を「下」または「下方」と言う。
【0028】
図1、図5に示す発熱デバイス組立体10は、発熱デバイス1と、発熱デバイス1が搭載される板状の搭載用基板9とを備え、例えば、照明器具100(図10参照)に用いることのできるものである。以下、各部の構成について説明する。
【0029】
発熱デバイス1は、発熱体4としての発光体と、発熱体4が実装されるベース基板2とを備えている。
【0030】
発熱体4は、板状をなす基板41と、基板41の上面に設けられた発光ダイオード42と、基板41の底部に設けられた1対の外部端子43とを有している。
【0031】
基板41は、樹脂材料やセラミックス材料等の絶縁性材料で構成された小片である。また、基板41には、発光ダイオード42と1対の外部端子43とを電気的に接続する図示しない配線が設けられている。
【0032】
発光ダイオード42は、基板41に、GaAlN、ZnS、ZnSe、SiCGaP、GaAlAs、AlN、InN、AlInGaP、InGaN、GaN、AlInGaN等の半導体を発光層として形成させたものである。
【0033】
1対の外部端子43は、導電性を有する例えばAl、Ti、Fe、Cu、Ni、Ag、Au、Pt等の金属材料を主材料として構成されている。また、これらの外部端子43のうちの一方は、アノード電極(陽極)であり、他方は、カソード電極(陰極)であり、それぞれ、後述するベース基板2の配線パターン23と電気的に接続される。
【0034】
このような発熱体4は、配線パターン23から1対の外部端子43を介して発光ダイオード42に電圧が印加される(通電される)と、発光ダイオード42でエレクトロルミネッセンス効果に基づく光Lの照射が生じる。また、このとき、発熱体4からは熱が生じる。
【0035】
このような発熱体4が配置されるベース基板2は、金属板21と、絶縁層22と、配線パターン(ベース基板側配線パターン)23とを有し、これらが下側から順に積層された積層基板である(図1参照)。
【0036】
図5に示すように、金属板21は、平面視で長方形または正方形をなす板状の部材である。なお、金属板21の平面視での形状は、図5に示す構成では長方形または正方形であるが、これに限定されず、例えば、円形、楕円形、五角形以上の多角形等であってもよい。
【0037】
金属板21を構成する金属材料としては、特に限定されないが、鉄、ニッケル、ステンレス鋼、銅、真鍮、アルミニウム、チタン、マグネシウム等の各種金属、またはこれらを含む合金を用いることができ、これらの中でも特にアルミニウムまたはアルミニウム合金が好ましい。アルミニウムは、比較的熱伝導率が高い材料である。アルミニウムで金属板21を構成した場合、放熱性に優れた金属板21となる。さらに、金属板21の外側表面にアルマイト処理等の化学的あるいは物理的処理を行うと熱輻射効率が高くなり、放熱性の観点から好ましい。
【0038】
なお、金属板21の厚さtとしては、特に限定されず、例えば、0.3〜3.0mmであるのが好ましく、0.5〜2.0mmであるのがより好ましい。
金属板21の上面(一方の面)211の全体には、絶縁層22が形成されている。絶縁層22は、金属板21と配線パターン23とを絶縁する層である。
この絶縁層22の中央部は、発熱体4が設置される発熱体設置部24となる。
【0039】
絶縁層22の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル(不飽和ポリエステル)樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合したものを用いることができる。これらの中でも特にエポキシ樹脂が好ましい。エポキシ樹脂は、アルミニウムとの密着性が比較的高いものである。このため、エポキシ樹脂で絶縁層22を構成し、アルミニウムで金属板21を構成した場合、絶縁層22が金属板21に確実に接合され、よって、当該金属板21から剥離するのが確実に防止される。
【0040】
なお、絶縁層22の厚さtとしては、特に限定されず、例えば、10〜200μmであるのが好ましく、50〜100μmであるのがより好ましい。
【0041】
また、金属板21上に絶縁層22を形成する方法としては、特に限定されず、例えば、金属板21とシート状の絶縁層22とをそれぞれ個別に用意し、金属板21の上面211にシート状の絶縁層22を載置した状態で熱プレス(加熱圧縮)を行なう方法を用いることができる。
【0042】
絶縁層22の上面221には、配線パターン23が形成されている。図1に示すように、配線パターン23は、発熱体設置部24を介してその両側に配置された2本の配線231を有している。そして、これら2本の配線231のうちの一方の配線231は、発熱体4の一方の外部端子43に電気的に接続され、他方の配線231は、発熱体4の他方の外部端子43に電気的に接続されている。
【0043】
配線パターン23は、例えば、絶縁層22の上面全域に積層された金属箔(金属層)をエッチング等により形成されたものである。配線パターン23の構成材料としては、導電性を有していれば、特に限定されず、例えば、銅、銀、アルミニウム等の各種金属材料を用いることができ、これらの中でも、特に銅が好ましい。銅で構成した配線パターン23は、比較的抵抗値が小さく、優れた電気特性を発揮することができる。
【0044】
図1に示すように、このような構成のベース基板2は、搭載用基板9上に、固定手段12としての接着層(接合部材)121を介して固定されて(接合されて)いる。
【0045】
図5に示すように、ベース基板2の平面視での面積Sは、搭載用基板9の平面視での面積Sよりも小さい。具体的には、面積Sは、面積Sの0.1〜0.9倍であるのが好ましく、0.2〜0.8倍であるのがより好ましい。
【0046】
また、ベース基板2の厚さt(金属板21と絶縁層22と配線パターン23との総厚)は、搭載用基板9の厚さt(金属層91と絶縁層92と配線パターン93との総厚)よりも薄い。具体的には、厚さtは、厚さtの0.1〜2.0倍であるのが好ましく、0.5〜1.5倍であるのがより好ましい。
【0047】
このようなベース基板2を有する発熱デバイス組立体10では、発熱体4が通電された際、その通電により発熱体4で生じた熱の一部が金属板21から放熱される。以下、このメカニズムについて説明する。
【0048】
発熱体4で生じた熱は、当該発熱体4から直接的に空気中に放熱される(放出される)ものと、ベース基板2の配線パターン23に伝わるものとがある。この配線パターン23に伝わる熱が金属板21から放熱される。
【0049】
配線パターン23に伝わった熱は、絶縁層22を介して、当該絶縁層22よりも熱伝導性(熱伝導率)が高い、金属材料で構成された金属板21に確実に伝わる。そして、この熱は、金属板21の4つの側面(縁部)213からそれぞれ確実に放熱されることとなる。
【0050】
以上のような放熱のメカニズムにより、発熱体4で生じた熱を金属板21から放熱することができる。これにより、発熱デバイス組立体10は、放熱性に優れたものとなる、すなわち、効率よく放熱することができるものとなる。
【0051】
また、ベース基板2と搭載用基板9との大きさが前述した大小関係を満足していることにより、ベース基板2(金属板21)の大きさをできる限り抑えつつ、金属板21での放熱機能を十分に発揮することができる。また、金属板21の使用量(材料費)も抑えることができ、よって、発熱デバイス1(発熱デバイス組立体10)の製造コストも抑えることができる。
【0052】
発熱デバイス組立体10では、発熱デバイス1が搭載用基板9に搭載されている。
図1に示すように、搭載用基板9は、金属層91と、絶縁層92と、配線パターン(搭載用基板側配線パターン)93とがこの順に下側から積層された積層基板である。
【0053】
金属層91は、板状をなす部分であり、例えば、ベース基板2の金属板21と同様の構成材料で構成されている。
【0054】
絶縁層92は、金属層91と配線パターン93とを絶縁する部分であり、例えば、ベース基板2の絶縁層22と同様の構成材料で構成されている。
【0055】
配線パターン93は、絶縁層92の全面に積層された金属箔をエッチング等により形成された部分であり、例えば、ベース基板2の配線パターン23と同様の構成材料で構成されている。
【0056】
図1、図5に示すうように、配線パターン93は、搭載される発熱デバイス1を介してその両側に配置された2本の配線931を有している。そして、これら2本の配線931のうちの一方の配線931は、ワイヤ131を介してベース基板2の一方の配線231と電気的に接続され、他方の配線931は、ワイヤ132を介してベース基板2の他方の配線231と電気的に接続されている。このような接続により、発熱体4は、配線パターン93と電気的に接続されることとなり、電源(図示せず)から電力が供給される。これにより、発熱体4が発光することができる。
【0057】
前述したように、ベース基板2は、接着層121を介して搭載用基板9に接合されている。図1に示すように、接着層121は、ベース基板2の金属板21の下面(他方の面)212と搭載用基板9の絶縁層92の上面921との間に設けられている。このように配置された接着層121により、ベース基板2を搭載用基板9に対し確実に固定することができる。また、接着層121がベース基板2に隠れることなり、後述するように発熱デバイス組立体10を照明器具100に組み込んだ場合、当該照明器具100の見栄えをよくすることができる。
【0058】
なお、接着層121としては、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等を使用したフィルム状のもの(接着フィルム)を用いることができる。また、同様の樹脂を使用した液状接着剤であってもよい。そして、接着層121を構成する樹脂材料中に、例えば、アルミナ等の金属酸化物、窒化ホウ素等の窒化物、黒鉛に代表される絶縁性を有する高熱伝導性フィラーを充填することもできる。これにより、接着層121が熱伝導性を有するものとなり、前述したように金属板21に伝わった熱を、接着層121を介して搭載用基板9にも伝えることができる。この搭載用基板9に伝わった熱は、当該搭載用基板9から放熱され、結果、発熱デバイス組立体10での放熱性が向上する。
【0059】
次に、発熱デバイス組立体10の製造方法について、図2〜図5を参照しつつ説明する。
【0060】
本製造方法は、第1の組立工程と第2の組立工程とを有し、第1の組立工程は、さらに、準備工程と固定工程と切断工程とに分けられている。
【0061】
[1] 準備工程(第1の組立工程)
まず、図2に示すように、切断することによりベース基板2となる母材20を用意する。この母材20からは、12個のベース基板2を得る(図4参照)。
【0062】
また、母材20には、得られるベース基板2と同数の発熱体設置部24が予め設定されている。これらの発熱体設置部24は、図2に示す構成では、3行4列のマトリックス状(行列状)に配置されている。
【0063】
[2] 固定工程(第1の組立工程)
次に、図3に示すように、母材20上の各発熱体設置部24、すなわち、ベース基板2となる絶縁層22上に、それぞれ、1つの発熱体4を配置する。これにより、隣接する発熱体4同士は、互いに離間するように配置される。
【0064】
そして、この状態のまま、各発熱体4をそれぞれ配線パターン23に例えば半田を用いて固定する。これにより、発熱体4と配線パターン23とが電気的に接続される。
【0065】
[3] 切断工程(第1の組立工程)
次に、図4に示すように、母材20の、互いに隣接する発熱体4同士の間の部分、すなわち、切断しろ(スペーシング)26を切断する。この切断には、例えば、ダイシングブレードを用いることができる。
【0066】
そして、切断が完了すると、チップ化された24個の発熱デバイス1を一括して得る。
なお、切断時の絶縁層22の弾性率(弾性係数)としては、特に限定されず、例えば、2〜40GPaであるのが好ましく、10〜25GPaであるのがより好ましい。
【0067】
[4] 第2の組立工程
次に、図5に示すように、切断工程で得られた24個の発熱デバイス1のうちの1つの発熱デバイス1を搭載用基板9に搭載する。なお、搭載用基板9には、発熱デバイス1が搭載さる部分に、予め接着層121が設けられているのが好ましい。この接着層121を介して、発熱デバイス1が搭載用基板9に固定される。
【0068】
そして、ワイヤ131、132で発熱デバイス1の配線パターン23と搭載用基板9の配線パターン93とを接続する。
以上のような工程を経ることにより、発熱デバイス組立体10が得られる。
【0069】
次に、発熱デバイス組立体10を組み込んだ照明器具100について簡単に説明する。
図10に示す照明器具100は、本体110と、口金120と、カバー130とで構成された電球である。
【0070】
本体110は、筒状のハウジング(筐体)111と、ハウジング111内に収納された発熱デバイス組立体10とを備えている。発熱デバイス組立体10は、図10に示す構成では複数の発熱デバイス1を有するものとなっているが、これに限定されず、1つの発熱デバイス1を有するものとなっていてもよい。
【0071】
ハウジング111は、その両端が開口した筒体で構成されている。また、ハウジング111は、その中心軸方向の途中の部分にて内径および外径が急峻に変化しており、下側の大径部111aと、上側の小径部111bとに分けることができる。
【0072】
ハウジング111は、金属材料で構成され、具体的には、例えば、鉄、ニッケル、ステンレス鋼、銅、真鍮、アルミニウム、チタン、マグネシウム等の各種金属、またはこれらを含む合金を用いることができ、これらの中でも特にアルミニウムが好ましい。アルミニウムは、比較的熱伝導率が高い材料である。アルミニウムでハウジング111を構成した場合、当該ハウジング111は、放熱性に優れたものとなる。さらに、ハウジング111の外側表面にアルマイト処理等の化学的あるいは物理的処理を行うと熱輻射効率が高くなり、放熱性の観点から好ましい。
【0073】
このようなハウジング111の大径部111aには、発熱デバイス組立体10が収納されており、発熱デバイス組立体10での各発熱デバイス1は、それぞれ、カバー130側へ光Lを発することができる。
【0074】
また、ハウジング111には、発熱デバイス組立体10の裏面側の空間に連通する開口112が形成されている。各発熱デバイス1で発生した熱を開口112からも放熱することができる。
【0075】
また、ハウジング111の小径部111bには、制御手段150が収納されている。制御手段150は、照明器具100の駆動を制御する手段である。このような制御手段150は、照明器具100のON/OFFや明るさを制御することができる。
【0076】
口金120は、ハウジング111の上端部に設置されている。この口金120は、JIS規格等で規定され、図示しない電球ソケットに装着されるものである。
【0077】
カバー130は、ハウジング111の下端部を覆うように設置されている。また、カバー130は、例えば嵌合によりハウジング111に対し固定されている。このようなカバー130は、透明の樹脂材料またはガラス材料等で構成されている。なお、カバー130には、各発熱デバイス1からの光Lを拡散するために、凹凸が形成されていてもよい。また、カバー130には、各発熱デバイス1からの光Lにより励起されて発光する蛍光体が設けられていてもよい。
【0078】
<第2実施形態>
図6は、本発明の発熱デバイス組立体の第2実施形態を示す断面図である。
【0079】
以下、この図を参照して本発明の発熱デバイス組立体および発熱デバイス組立体の製造方法の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、固定手段の構成が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0080】
図6に示す発熱デバイス組立体10での固定手段12は、ベース基板2の金属板21の側面213に複数個設けられた半田ボール(接合部材)123で構成されている。
【0081】
搭載用基板9の発熱デバイス組立体10周辺では、絶縁層92が省略されて(欠損して)いる。
【0082】
そして、各半田ボール123を介して、ベース基板2の金属板21の側面213と、搭載用基板9の金属層91とが接合されている。これにより、発熱デバイス1を搭載用基板9に確実に固定することができる。また、本実施形態の発熱デバイス組立体10は、前記第1実施形態の発熱デバイス組立体10と比べて、発熱デバイス1(ベース基板2)と搭載用基板9との間で接着層121が省略され、さらに絶縁層92の一部が省略されている分、厚さ(高さ)を抑えることができる。
【0083】
<第3実施形態>
図7は、本発明の発熱デバイス組立体の第3実施形態を示す断面図である。
【0084】
以下、この図を参照して本発明の発熱デバイス組立体および発熱デバイス組立体の製造方法の第3実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、固定手段の構成が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0085】
図7に示す発熱デバイス組立体10での固定手段12は、ベース基板2の金属板21の下面212に突出して形成された2本のガイドピン(凸部)25と、搭載用基板9に貫通して形成された2つのガイド孔(凹部)94とで構成されている。
【0086】
各ガイドピン25は、それぞれ、ガイド孔94に挿入される。各ガイドピン25の端面251は、丸みを帯びている。これにより、ガイドピン25のガイド孔94への挿入を容易かつ確実に行なうことができる。
【0087】
また、ガイドピン25は、その外径がガイド孔94の内径よりも若干小さい。これにより、ガイドピン25がガイド孔94に嵌合することができる。
【0088】
このようなガイドピン25およびガイド孔94により、発熱デバイス1を搭載用基板9に搭載する際、互いの位置関係が規制されつつ、すなわち、発熱デバイス1の搭載用基板9に対する位置決めが行われつつ、発熱デバイス1を搭載用基板9に確実に固定することができる。
【0089】
なお、固定手段12を構成するガイドピンとガイド孔とは、それぞれ、図7に示す構成ではガイドピンが金属板21に形成され、ガイド孔が搭載用基板9に形成されているが、これに限定されず、例えば、ガイドピンが搭載用基板9に形成され、ガイド孔が金属板21に形成されていてもよい。
【0090】
<第4実施形態>
図8は、本発明の発熱デバイス組立体の第4実施形態を示す断面図である。
【0091】
以下、この図を参照して本発明の発熱デバイス組立体および発熱デバイス組立体の製造方法の第4実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、固定手段の構成が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0092】
図8に示す発熱デバイス組立体10での固定手段12は、複数本のボルト124と、各ボルト124にそれぞれ螺合するナット125とで構成されている。ボルト124およびナット125は、それぞれ、ステンレス鋼等のような金属材料で構成されている。
【0093】
各ボルト124は、それぞれ、上側からベース基板2と搭載用基板9とを一括して挿通している。また、各ナット125は、それぞれ、下側からボルト124に螺合している。
【0094】
このようなボルト124およびナット125により、発熱デバイス1を搭載用基板9に確実に固定することができる。
【0095】
また、各ボルト124が「導体ポスト(伝熱部材)」として機能する。これにより、前述したように金属板21に伝わった熱を、各ボルト124を介して搭載用基板9にも伝えることができる。この搭載用基板9に伝わった熱は、当該搭載用基板9の金属層91から放熱され、結果、発熱デバイス組立体10での放熱性が向上する。
【0096】
<第5実施形態>
図9は、本発明の発熱デバイス組立体の第5実施形態を示す断面図である。
【0097】
以下、この図を参照して本発明の発熱デバイス組立体および発熱デバイス組立体の製造方法の第5実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、金属板の形状が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0098】
図9に示す発熱デバイス組立体10では、金属板21の上面211に、微小な凹凸214が形成されている。凹凸214の形成には、例えばブラスト処理等の粗面加工を用いることができる。
【0099】
このような凹凸214が形成されていることにより、金属板21の上面211の表面積が増大するとともに、上面211(凹凸214)に絶縁層22が引っ掛かるアンカー効果が発揮され、よって、金属板21と絶縁層22とがより確実に接合される。また、切断工程で、回転する記ダイシングブレードの力により絶縁層22が金属板21から剥離するのを確実に防止することができる。
【0100】
以上、本発明の発熱デバイス組立体および発熱デバイス組立体の製造方法を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、発熱デバイス組立体を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0101】
また、本発明の発熱デバイス組立体および発熱デバイス組立体の製造方法は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【符号の説明】
【0102】
10 発熱デバイス組立体
1 発熱デバイス
2 ベース基板
20 母材
21 金属板
211 上面(一方の面)
212 下面(他方の面)
213 側面(縁部)
214 凹凸
22 絶縁層
221 上面
23 配線パターン(ベース基板側配線パターン)
231 配線
24 発熱体設置部
25 ガイドピン(凸部)
251 端面
26 切断しろ(スペーシング)
4 発熱体
41 基板
42 発光ダイオード
43 外部端子
9 搭載用基板
91 金属層
92 絶縁層
921 上面
93 配線パターン(搭載用基板側配線パターン)
931 配線
94 ガイド孔(凹部)
12 固定手段
121 接着層(接合部材)
123 半田ボール(接合部材)
124 ボルト
125 ナット
131、132 ワイヤ
100 照明器具
110 本体
111 ハウジング(筐体)
111a 大径部
111b 小径部
112 開口
120 口金
130 カバー
150 制御手段
L 光
、S 面積
、t、t、t 厚さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状をなし金属材料で構成された金属板と該金属板の一方の面側に形成された絶縁層とを有するベース基板と、前記絶縁層上に配置され、通電により発熱する発熱体とを備える発熱デバイスと、
少なくとも1つの前記発熱デバイスが搭載され、板状をなす搭載用基板とを有し、
前記ベース基板は、その平面視での面積が前記搭載用基板の平面視での面積よりも小さいものであることを特徴とする発熱デバイス組立体。
【請求項2】
前記発熱体が通電された際、該発熱体で生じた熱の一部は、前記金属板から放熱される請求項1に記載の発熱デバイス組立体。
【請求項3】
前記ベース基板の前記面積は、前記搭載用基板の前記面積の0.1〜0.9倍である請求項1または2に記載の発熱デバイス組立体。
【請求項4】
前記ベース基板の厚さは、前記搭載用基板の厚さの0.1〜2.0倍である請求項1ないし3のいずれかに記載の発熱デバイス組立体。
【請求項5】
前記ベース基板は、その厚さが前記搭載用基板の厚さよりも薄いものである請求項1ないし4のいずれかに記載の発熱デバイス組立体。
【請求項6】
前記発熱デバイスを前記搭載用基板に対し固定する固定手段が設けられている請求項1ないし5のいずれかに記載の発熱デバイス組立体。
【請求項7】
前記固定手段は、前記金属板と前記搭載用基板との間に設けられ、これらの板同士を接合する接合部材を有する請求項6に記載の発熱デバイス組立体。
【請求項8】
前記固定手段は、前記金属板の縁部に設けられ、該縁部と前記搭載用基板とを接合する接合部材を有する請求項6に記載の発熱デバイス組立体。
【請求項9】
前記固定手段は、前記金属板の他方の面および前記搭載用基板のうちの一方に突出して形成された凸部と、他方に形成され、前記凸部が挿入される凹部とを有する請求項6に記載の発熱デバイス組立体。
【請求項10】
前記固定手段は、ボルトと、該ボルトに螺合するナットとを有する請求項6に記載の発熱デバイス組立体。
【請求項11】
前記金属板の一方の面には、粗面加工が施されており、
前記絶縁層は、前記金属板の一方の面に接合されている請求項1ないし10のいずれかに記載の発熱デバイス組立体。
【請求項12】
前記絶縁層上には、前記発熱体と電気的に接続されるベース基板側配線パターンが形成されている請求項1ないし11のいずれかに記載の発熱デバイス組立体。
【請求項13】
前記搭載用基板には、前記発熱体と電気的に接続される搭載用基板側配線パターンが形成されている請求項1ないし12のいずれかに記載の発熱デバイス組立体。
【請求項14】
前記金属材料は、アルミニウムまたはアルミニウム合金である請求項1ないし13のいずれかに記載の発熱デバイス組立体。
【請求項15】
前記発熱体は、光を発する発光体である請求項1ないし14のいずれかに記載の発熱デバイス組立体。
【請求項16】
請求項1ないし15のいずれかに記載の発熱デバイス組立体を製造する方法であって、
前記ベース基板の前記絶縁層上に前記発熱体を配置し、固定して、前記発熱デバイスを得る第1の組立工程と、
前記発熱デバイスを前記搭載用基板に搭載し、固定する第2の組立工程とを有することを特徴とする発熱デバイス組立体の製造方法。
【請求項17】
前記第1の組立工程は、切断することにより前記ベース基板となる母材上に、複数個の前記発熱体を互いに離間するように配置し、固定する固定工程と、
前記母材の、互いに隣接する前記発熱体同士の間の部分を切断して、前記発熱デバイスを得る切断工程とを有する請求項16に記載の発熱デバイス組立体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−65706(P2013−65706A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203635(P2011−203635)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】