説明

発熱体

【課題】 従来のヒータガラスは、電極が目立って外観が悪かった。また、用途も限られていた。
【解決手段】 本発明の発熱体は、耐熱性と絶縁性を備えた基板に導電薄膜発熱体が設けられ、導電薄膜発熱体に二以上の電極が接続され、それら電極が外部から見えないように被覆材で被覆され、それら電極に給電すると導電薄膜発熱体が発熱するものである。また、当該基板又は/及びそれとは別の装飾板に文字、図形、模様、絵等の装飾が施され、前記基板と前記装飾板は前後に離して又は前後に重ねて配置することもできる。導電薄膜発熱体の一部にその導通を遮断する切断部を設けて、一方の電極に給電される電気が切断部を迂回して他方の電極に通電して導電薄膜発熱体全般に通電して発熱するようにすることもできる。基板又は/及び装飾板に光を入射して文字、図形、模様、絵等の装飾を照明する発光素子を、被覆材で被覆されて設けられたものとすることもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は暖房器具として利用できる発熱体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、主に寒冷地において霜、雪、水滴等の付着防止や室内の保温・加温のために、通常のガラス板に代えてヒータガラスが用いられることがある。ヒータガラスには各種のものがあり、例えば、ガラス板に導電薄膜発熱体が設けられ、導電薄膜発熱体に二以上の電極が接続され、それら電極に給電すると導電薄膜発熱体が発熱するものがあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記従来のヒータガラスは次のような課題があった。
(1)電極が外から見えるため電極が目立って体裁が悪い。
(2)建物の窓ガラスや戸などに取り付けて暖房器具として利用する程度の用途しかなく、用途に限りがあった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は窓ガラスへの霜、雪、水滴等の付着防止器具、室内の暖房機器等として使用できるのみならず、電極を外部から見えないようにすることにより卓上やカウンター等に設置しても体裁の良い装飾型の暖房機器、壁掛け式の暖房機器としても使用でき、更には装飾用、看板用等の各種表示体としても使用できる発熱体を提供するものである。
【0005】
本件出願の請求項1記載の発熱体は、耐熱性と絶縁性を備えた基板に導電薄膜発熱体が設けられ、導電薄膜発熱体に電極が二以上接続され、それら電極が外部から見えないように被覆材で被覆され、それら電極に給電すると導電薄膜発熱体が発熱するようにしてある。この場合、前記基板又は/及びそれとは別の装飾板に文字、図形、模様、絵等の装飾を施し、装飾板を前記基板の前方又は後方に離して又は前後に重ねて配置することもできる。更に、導電薄膜発熱体の一部にその導通を遮断する切断部を設けて、一方の電極に給電される電気が切断部を迂回して他方の電極に通電して導電薄膜発熱体全般に通電して発熱するようにすることもできる。
【0006】
本発明の発熱体は、前記発熱体における基板又は/及び装飾板に光を照射してそれらに施された文字、図形、模様、絵等の装飾を照明する発光素子を設け、その発光素子も被覆材で被覆して外部から見えないようにすることもできる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の発熱体は次のような効果がある。
(1)耐熱性と絶縁性を備えた基板に導電薄膜発熱体が設けられているため、窓や戸のガラス板として使用して、窓や戸への霜、雪、水滴等の付着防止と同時に室内の保温・加温も可能となる。
(2)電極が外部から見えないように被覆材で被覆されているため外観上の体裁が良い。
(3)基板に文字、図形、模様、絵等の装飾を施した場合、文字、図形、模様、絵等の装飾を施した装飾板を基板の前方又は後方に離して又は前後に重ねて配置した場合は、発熱体をテーブル、カウンター、机等の台の上に設置して案内板、看板、置物等として利用することもできる。
(4)導電薄膜発熱体の一部にその導通を遮断する切断部を設けて、一方の電極に給電される電気が電極間の最短距離を通らずに切断部を迂回して他方の電極に通電して導電薄膜発熱体全般に通電して発熱するようにしたので、導電薄膜発熱体全般を温度ムラなく万遍なく加温することができる。
(5)基板又は/及び装飾板に施された文字、図形、模様、絵等の装飾を発光素子からの光で照明してライトアップできるので装飾が目立ち、綺麗でもある。発光素子の発光色や発光パターンを変える事により、装飾のバリエーションを増やすこともできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(実施形態1)
本発明の発熱体の実施形態の一例を図1〜図4に基づいて説明する。この実施形態の発熱体1は、図1、図2に示すように、耐熱性、絶縁性を備えたガラス板、樹脂板等の基板2と装飾板3を前後に離して支持台4に備え付けた卓上型のものである。基板2の片面(図1の内側面)5には導電薄膜発熱体6が設けられ、その導電薄膜発熱体6に電極7が二枚一対にして接続されて、電極7は外部から見えないように支持台4で被覆されており、二枚の電極7間に給電すると導電薄膜発熱体6が発熱するようにしてある。
【0009】
前記基板2、装飾板3、導電薄膜発熱体6の一つ又は二以上は着色されたものであってもよい。装飾板3には文字(装飾)8が表示されている。装飾8は文字以外の図形、記号、絵等々であってもよい。装飾は基板2に表示することもできる。その場合は、基板2のうち、導電薄膜発熱体6を設けた面に施すことも、それとは反対側の面に施すこともできる。
【0010】
前記基板2はガラス製の透明板であって、図1〜図3に示すようにその片面(内側面)5に導電薄膜発熱体6と電極7を設け、他面(外側面)16には導電薄膜発熱体6及び電極7は設けられていない。前記導電薄膜発熱体6は発熱素子を基板2に蒸着させてその表面を絶縁被覆して形成してある。導電薄膜発熱体6も透明であり外部から見えない。導電薄膜発熱体6は基板2の両面に設けたり外側面16にのみ設けたりすることもできる。また二枚の基板2の間に挟んで導電性接着剤で貼り付けることもできる。基板2は透明なガラス板に限らず、例えば色付きのガラス板や樹脂板とすることもできる。いずれの場合も耐熱性、絶縁性が要求される。
【0011】
基板2には正極、負極の電極7が一本ずつ貼り付けられて導電薄膜発熱体6に接続されている。図3に示す実施形態では二本の電極7が基板2の下端付近に横に離して配置されている。二本の電極7をこのように配置することにより、基板2を支持台4にセットしたときに、図1に示すように電極7が支持台4に被覆されて外部から見えなくなる。
【0012】
導電薄膜発熱体6の二本の電極7間に切り込みを入れて電気の導通を遮断する切断部17(図3)を設けて、一方の電極7に給電される電気が導電薄膜発熱体6に通電し、切断部17を迂回して他方の導電薄膜発熱体6に通電して他方の電極7に流れて、導電薄膜発熱体6の全般に通電して導電薄膜発熱体全般から発熱するようにしてある。導電薄膜発熱体6の発熱温度は最高250℃程度とすることができ、前記発熱温度制御装置(図示しない)及び発熱温度調節ツマミ15で温度調節可能としてある。
【0013】
導電薄膜発熱体6への電極7の貼り付け、切断部17の形成位置及び本数は電気が導電薄膜発熱体6に万遍なく供給されて導電薄膜発熱体6全般が発熱可能であれば、任意とすることができる。また、電極7の配置によっては切断部17を省略することもできる。例えば、後述する図5のように方形の基板2の全面に導電薄膜発熱体6を設け、基板の左右対向位置又は上下全長対向位置に電極7を貼り付けた場合は、一方の電極に給電された電流は導電薄膜発熱体6の全面を通過して他方の電極7に流れるため、切断部17は設ける必要は無い。但し、この場合は、それら電極7を支持枠21で被覆して外部から見えないようにする。
【0014】
前記装飾板3は、図1、図2、図4に示すようなガラス製の板材であって、文字(装飾)8が片面又は両面に彫られたものである。前記装飾8は文字に限られず図形、模様、絵等、任意のものとすることができる。また、装飾の形成方法も彫刻ではなく塗料で印刷したり描いたり、装飾模様や図形に切り抜かれたフィルムや板材等の別部材を貼り付けて形成したりする等、任意の方法で形成することができる。装飾板3も透明なガラス板に限らず、例えば色付きのガラス板や樹脂板とすることもできる。装飾8は装飾板3に施すのではなく基板2に施すこともできる。
【0015】
図1、図2に示す支持台4は金属製であって、前記基板2及び装飾板3を支持すると共に前記電極7を外部から見えなくなるように覆うための被覆材としての機能をも有する。支持台4の上面には基板挿入溝10及び装飾板挿入溝11が前後に離して開口され、夫々の挿入溝10、11に基板2と装飾板3の下端部を差し込んで固定してある。装飾板3は基板2と重ねて配置することもできる。この場合は装飾板3も耐熱性と絶縁性のあるものが好ましい。
【0016】
支持台4の内側には装飾板3の下方から装飾板3に光を入射或いは照射して装飾板3の装飾8を照明する発光素子9が設けられている。この支持台4には電源コード12、主電源スイッチ13、発光素子ON/OFFスイッチ14、発熱温度制御装置(図示しない)及び発熱温度調節ツマミ15等が設けられている。この台4は金属製には限られず、例えば木製や竹製等、任意の材質製とすることもできる。
【0017】
前記発光素子9としてはLEDを用いることができるが、その他の発光部材を用いることもできる。この発光素子9によって装飾板3の下端面から装飾板3に光を入射して照明した装飾8は発光色に染まる。発光色に染まった装飾8は綺麗な上目立ち、独特の美感を呈する。発光素子9として、種々の色のLEDを備え、発光色を切り替えたりグラデーションさせたりする等して、装飾8を様々なバリエーションで照明することもできる。装飾板3に施された装飾8が、塗料で印刷したり描いたりしたものや、装飾模様や図形に切り抜かれたフィルムや板材等の別部材を貼り付けたもの等、照明に適さないものや照明の効果が小さいものである場合、発光素子9を省略することもできる。
【0018】
(実施形態2)
本発明の発熱体の実施形態の他の一例を図5に基づいて説明する。この実施形態の発熱体20も、基本的な構成態様は前記実施形態1記載のものと共通する。この発熱体20は、図5に示すように、ガラス製の基板2が支持枠21に嵌め込まれて形成された壁掛け型の表示体である。図5の基板2は、片面(背面側)22に導電薄膜発熱体6が設けられ、その導電薄膜発熱体6に電極7が一対接続されている。電極7は基板2の両端に備えられ、切断部17は省略されている。基板2の他面(前面側)23には、文字(装飾)8が彫られている。本例では、装飾板3が省略され、基板2に装飾8が施されている。図5の支持枠21は、基板2の外周部を嵌め込み可能な枠状部材であり、基板2を嵌め込むと、電極7が被覆されて外部から見えないようにしてある。また、支持枠21内部には発光素子9が複数設けられ、基板2の下端面から基板2に光を入射して前記装飾8を照明できるようにしてある。
【0019】
(その他の実施形態)
本発明の発熱体においては、一つの発熱体に基板や装飾板を二以上備える構成とすることもできる。
【0020】
発熱体の電源は、図1、図2に示すような商用電源には限られず、バッテリー等、任意の電源を使用することもできる。
【0021】
基材や装飾板の形状は、図1〜図5に示すものには限られず、他の任意の形状にすることができる。また、電極を被覆可能であれば、支持台や支持枠等の各種被覆材も任意の形状とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明の発熱体は、卓上型や壁掛け型の表示体等としての使用には限られず、霜、雪、水滴等の付着防止や保温・加温が必要な任意の場所に使用することができる。従って、例えば、窓ガラス等の建材や自動車の部品等として応用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の発熱体の実施形態の一例を示す斜視図。
【図2】図1に示す発熱体の基板及び装飾板を示す斜視図。
【図3】図1に示す発熱体の基板(内側面)を示す説明図。
【図4】図1に示す発熱体の装飾板及び発光素子を示す説明図。
【図5】本発明の発熱体の他の例を示す斜視説明図。
【符号の説明】
【0024】
1 発熱体
2 基板
3 装飾板
4 支持台
6 導電薄膜発熱体
7 電極
8 装飾
9 発光素子
10 基板挿入溝
11 装飾板挿入溝
17 切断部
20 発熱体
21 支持枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐熱性と絶縁性を備えた基板に導電薄膜発熱体が設けられ、導電薄膜発熱体に電極が二以上接続され、それら電極が外部から見えないように被覆材で被覆され、それら電極に給電すると導電薄膜発熱体が発熱することを特徴とする発熱体。
【請求項2】
耐熱性と絶縁性を備えた基板に導電薄膜発熱体が設けられ、導電薄膜発熱体に電極が二以上接続され、その電極が外部から見えないように被覆材で被覆され、前記電極に給電すると導電薄膜発熱体が発熱し、当該基板又は/及びそれとは別の装飾板に文字、図形、模様、絵等の装飾が施され、前記装飾板は前記基板の前後に離して又は前後に重ねて配置されたことを特徴とする発熱体。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の発熱体において、導電薄膜発熱体の一部にその導通を遮断する切断部を設けて、一方の電極に給電される電気が切断部を迂回して他方の電極に通電して導電薄膜発熱体全般に通電して発熱するようにしたことを特徴とする発熱体。
【請求項4】
請求項2又は請求項3記載の発熱体において、基板又は/及び装飾板に光を照射してそれらに施された文字、図形、模様、絵等の装飾を照明する発光素子が設けられ、発光素子は被覆材で被覆されたことを特徴とする発熱体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−93993(P2009−93993A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−265478(P2007−265478)
【出願日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(307021748)ヱル電株式会社 (4)
【Fターム(参考)】