説明

発熱具を備えた弁当箱

【課題】弁当を食べる者に、食前、食中もしくは食後に効果的にメッセージを伝達することのできる発熱具を備えた弁当箱を提供すること。
【解決手段】上面が開口し、手前側に下記長尺状開封具の引き出しを可能にする孔部を有する箱体、箱体の底部に収容されている、長尺状開封具を備えた発熱具、発熱具の上に配置されている食品トレイ、そして箱体の開口を塞ぐ蓋体からなる発熱具を備えた弁当箱であって、上記長尺状開封具が、文字及び/又は符号からなるメッセージが表面に表示されているテープ状開封具であることを特徴とする発熱具を備えた弁当箱。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱具を備えた弁当箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、食前に弁当(例、駅弁)を加温するための発熱具を備えた弁当箱は知られている。このような弁当箱は、上面が開口している箱体、この箱体の底部に収容されている、長尺状の開封具(例えば、紐状の開封具)を備えた発熱具、この発熱具の上に配置されている食品トレイ、そして箱体の開口を塞ぐ蓋体などから構成されている。
【0003】
一般に、前記の弁当箱の発熱具としては、水との反応により発熱する発熱剤(例、生石灰)が封入されている水不透性の発熱剤袋(水密容器)と、この発熱剤用の水を封入した水袋とが重ねて配置され、これらの袋を切り裂くために用いる紐状の開封具(長尺状開封具)を備えた構成の発熱具が広く用いられている。この発熱具は、弁当箱の底部に収容され、そして発熱剤袋と水袋とを切り裂くために用いる紐状の開封具の一方の端部の側は、箱体に形成された孔部から弁当箱の外部に引き出される。
【0004】
そして、使用者(弁当を食べる者)が、食前に弁当箱の外部に引き出された紐状の開封具を引っ張ることにより、弁当箱の内部で発熱剤袋と水袋との両者が紐状の開封具により切り裂かれ、そして発熱剤と水とが接触そして反応することにより発生した熱あるいは水蒸気によって弁当が加温される。このような構成の発熱具を備えた弁当箱は、例えば、特許文献1に記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、水袋を切り裂くためのテープ状の開封紐(長尺状開封具)を持つ発熱具を備えた加熱容器が開示されている。
【特許文献1】特開平11−292155号公報
【特許文献2】実開平7−11576号公報(図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記のように、従来の発熱具を備えた弁当箱(あるいは加熱容器)は、弁当を食べる直前に発熱具の発熱剤と水とを接触そして反応させ、この反応により発生した熱や水蒸気によって弁当を加温するため、少なくとも発熱剤用の水は水袋に収容され、この水袋を開封する紐状もしくはテープ状の開封具(長尺状開封具)を備えている。このような発熱具の長尺状開封具は、発熱具の水袋(発熱具が発熱剤袋を備える場合には発熱剤袋及び水袋)を開封する目的にのみ用いられている。
【0007】
本発明の目的は、弁当を食べる者に、食前、食中もしくは食後に効果的ににメッセージを伝達することのできる発熱具を備えた弁当箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上面が開口し、手前側に下記長尺状開封具の引き出しを可能にする孔部を有する箱体、箱体の底部に収容されている、長尺状開封具を備えた発熱具、発熱具の上に配置されている食品トレイ、そして箱体の開口を塞ぐ蓋体からなる発熱具を備えた弁当箱であって、上記長尺状開封具が、文字及び/又は符号からなるメッセージが表面に表示されているテープ状開封具であることを特徴とする発熱具を備えた弁当箱にある。
【0009】
本発明の発熱具を備えた弁当箱の好ましい態様は、次の通りである。
(1)テープ状の開封具が3乃至40mmの範囲の幅を有する。
(2)孔部が箱体の手前側の壁体の上辺より切り込まれた切り込みである。
【0010】
本発明はまた、発熱剤を収容する水密容器及び水袋からなり、長尺状の開封具を備えた発熱具であって、該長尺状開封具が、文字及び/又は符号からなるメッセージが表面に表示されているテープ状開封具であることを特徴とする発熱具にもある。
【0011】
本発明の発熱具の好ましい態様は、次の通りである。
(1)テープ状開封具が3乃至40mmの範囲の幅を有する。
(2)食品を収容する箱体の食品に近接する位置に収容されて使用する食品加熱用である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の弁当箱は、その発熱具の水袋(発熱具が発熱剤を収容する水密容器を備える場合には水密容器及び水袋)を開封する長尺状開封具が、文字及び/又は符号からなるメッセージが表面に表示されているテープ状開封具から構成されている。このため、使用者が弁当を食べる前にテープ状の開封具を引っ張ると、弁当箱の箱体の外部に、メッセージが表示された開封具が引き出される。
【0013】
弁当箱の使用者は、弁当を加温するためにテープ状の開封具を見ながら引っ張り、そして弁当が加温される迄の間、弁当の食中及び食後に比較的に時間的なゆとりを持っているため、開封具を引っ張ることにより弁当箱の内部から外部へと次第にメッセージが現れると、何が表示されているのか注目して非常に高い関心を示し、そして弁当を食べながらメッセージを読んで確認する。このように、本発明の発熱具を備えた弁当箱は、テープ状の開封具が、非常に高い情報伝達性を有しているため、使用者に効果的にメッセージを伝達することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の発熱具を備えた弁当箱を、添付の図面を用いて説明する。図1は、本発明の発熱具を備えた弁当箱の構成例を示す分解斜視図である。図2は、図1の弁当箱10が備える発熱具13の斜視図であり、そして図3は、図2に記入した切断線III−III線に沿って切断した発熱具13の断面図である。
【0015】
図1に示す発熱具を備えた弁当箱10は、上面が開口し、手前側に下記の長尺状開封具22の引き出しを可能にする孔部11を有する箱体12、箱体12の底部に収容されている、長尺状の開封具22を備えた発熱具13、発熱具13の上に配置されている食品トレイ14、そして箱体12の開口を塞ぐ蓋体15から構成されている。そして弁当箱10は、上記長尺状開封具22が、文字及び/又は符号からなるメッセージ(図1の開封具の場合には「まいどありがとうございます」)が表面に表示されているテープ状の開封具から構成されていることに大きな特徴がある。なお、本明細書において「手前側」とは、開封具を引き出す側、すなわち図1に示す箱体12の孔部11の側を、そして「後方側」とは、箱体12の孔部11が形成された壁体と対向している壁体の側を意味している。
【0016】
弁当箱10が備える発熱具(本発明の発熱具)13は、図2及び図3に示すように、発熱剤16を収容する水密容器18及び水袋21からなり、長尺状の開封具22を備えている。そして、この長尺状開封具22は、上記のように文字及び/又は符号からなるメッセージが表面に表示されているテープ状の開封具から構成されている。
【0017】
図2及び図3に示す発熱具13の場合には、発熱剤16を収容する水密容器18の上面が易引裂性の水不透性フィルム17で形成されており、この水不透性フィルム17の上に易引裂性袋体19に水20が収容されてなる水袋21が接合固定されている。なお、図3に示すように、発熱剤16は、その取り扱いを容易とするために、水透過性袋体(例、不織布から形成された袋)16aに収容されていてもよい。
【0018】
そして、テープ状開封具(長尺状開封具)22は、水密容器18の水不透性フィルム17と水袋21との間に水不透性フィルム17の表面に接合された状態で配置され、一方の端部が、水密容器18の手前側に固定され、他方の端部が水袋21の後方側から突き出され、その突き出された部分の長さが水密容器18の前後方向の長さ(図3における左右方向の長さ)よりも大きい長さに設定されている。
【0019】
発熱具13は、図1及び図6に示すようにテープ状開封具22の端部が箱体12の手前側の孔部11に通されて箱体の外部に突き出された状態にて、箱体12の底部に収容される。そして弁当箱10は、使用者が弁当箱の外部に突き出されたテープ状開封具22の端部あるいはその近傍の部分を引っ張ることにより発熱具13が発生する熱あるいは水蒸気によって、食品トレイ14に入れた弁当を加温する。このように、本発明の発熱具は、食品を収容する箱体の食品に近接する位置に収容されて使用する食品加熱用であることが好ましい。
【0020】
そして、この発熱具13のテープ状開封具22を図2に記入した矢印の方向に引っ張ると、開封具22が接着剤(図3:25b)によって水不透性フィルム17の表面に接合固定されているため、図4に示すように水不透性フィルム17が引き裂かれて水密容器18が開封される。
【0021】
そして更にテープ状開封具22を引っ張ると、水不透性フィルム17が更に引き裂かれ、そして開封具22が、接着剤(図3:25a)によって水袋21に固定され、この水袋21が開封具22に近接並行して配置された両面接着テープ(図1:23)によって水不透性フィルム17に接合固定されているため、図5に示すように水袋21の易引裂性袋体19が引き裂かれて水袋が開封される。これにより水袋21の易引裂性袋体19に収容されている水20が水密容器18の容器本体18aの内部に流れ込み、そして発熱剤16が容器本体18aの内部に流れ込んだ水と接触そして反応して発熱すると共に、この発熱によって水蒸気が発生する。
【0022】
図1に示す発熱具13のテープ状開封具22は、水密容器18の上面の水不透性フィルム17を開封するために、水不透性フィルムの表面に接合されている。また、水不透性フィルム17と共に水袋21を切り裂いて開封するために、テープ状開封具22は、水不透性フィルムと水袋との間に配置され、その一方の端部が水密容器(水密容器の水不透性フィルムの表面)18の手前側に固定され、他方の端部が水袋21の後方側にて折り曲げられた後、弁当箱10の箱体12の手前側の透孔11に通されて箱体の外部に突き出されている。なお、テープ状開封具22の上記一方の端部は、水密容器18の外側表面の手前側、水袋21の手前側、あるいは弁当箱10の箱体12の手前側に固定されていてもよい。
【0023】
そして、本発明の弁当箱10が備える発熱具13のテープ状開封具22には、文字及び/又は符号からなるメッセージが表示されている。このように開封具22にメッセージが表示されていると、使用者が食前に弁当を加温するために図6に示す弁当箱10の箱体12の外部に突き出された開封具の端部を引っ張ると、先ず使用者は図7に示すようにメッセージの一部分を確認できるようになり、そして更に開封具の端部を引っ張ると図8に示すようにメッセージの更に多くの部分を確認できるようになる。
【0024】
従来の弁当箱が備える長尺状開封具(紐状もしくはテープ状の開封具)は、使用者が食前に弁当を温める目的にのみ用いられている。ところが、前記のように長尺状開封具を、文字及び/又は符号からなるメッセージが表示されたテープ状の開封具22から構成することにより、開封具22を、使用者に弁当の食前、食中、そして食後にメッセージを伝える情報伝達媒体として用いることが可能になる。
【0025】
例えば、駅弁などの弁当を入れた弁当箱の使用者は、弁当を加温するためにテープ状の開封具22を見ながら引っ張り、そして弁当が加温される迄の間、弁当の食中及び食後に比較的に時間的なゆとりを持っているため、図7に示すように開封具22に表示された文字(メッセージの一部分)を見た場合に、何が表示されているのか注目して非常に高い関心を示し、そして弁当を食べながらメッセージを読んで確認する。このように、本発明の発熱具を備えた弁当箱は、テープ状開封具22が非常に高い情報伝達性を有しているため、使用者に有効にメッセージを伝達することができる。
【0026】
このようなテープ状開封具22に表示するメッセージの例を、以下に記載する。
(1)図1の弁当箱10のテープ状開封具22のように「まいどありがとうございます。」のような使用者(弁当の購入者)に対するお礼、あるいは格言やことわざなどの短い文章を表示する。
(2)図9の弁当箱90のテープ状開封具92のように「お弁当の○○社」あるいは「タクシーのご用命は○○社へ」のような広告を電話番号と共に表示する。
(3)「当たり」もしくは「はずれ」などを表示して、テープ状開封具に籤の機能を持たせて、使用者の弁当箱の開封具に「当たり」が表示されていたら景品を渡す。あるいは「本日の運勢は○○」と表示して、テープ状開封具に占いの機能を持たせる。このような開封具による籤や占いによって、弁当箱の使用者に食前から食後までの時間に楽しみを与えることができる。
【0027】
テープ状開封具22は、3乃至40mmの範囲の幅を有することが好ましい。テープ状開封具の幅が3mm未満であると開封具の表面に表示できる文字のサイズが小さくなり過ぎるからである。その一方で、テープ状開封具の幅が40mmを超えると、使用者が開封具を引っ張る際に、開封具に皺あるいは折れ重なりが生じて開封具を引っ張り難くなり、また弁当を食べる際に開封具が邪魔になる場合があるからである。テープ状開封具の先端部に、予め粘着剤と離型紙とを付設しておくと、箱体から引き出された開封具を、例えば、箱体の側面に沿わせて配置して粘着剤によりその先端部にて固定しておくことができるので、食事中に開封具が邪魔にならないようにすることができ、また食事中に開封具をその表面に表示されたメッセージが読み易い状態にて配置しておくことができるようになる。
【0028】
テープ状開封具22は、ポリプロピレン樹脂フィルムやポリエステルフィルム(例、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム)などの樹脂フィルムあるいは合成紙から形成されていることが好ましい。
【0029】
なお、本発明の弁当箱及び発熱具に用いる「文字及び/又は符号からなるメッセージが表面に表示されているテープ状開封具」には、弁当箱の箱体の外部に突き出される端部の側とは逆側に紐状の開封具が連結されているものも含まれる。すなわち、本発明の弁当箱に用いる発熱具には、従来の発熱具の紐状の開封具の先端に更に文字及び/又は符号からなるメッセージが表面に表示されているテープ状の開封具を連結して構成される発熱具が含まれる。
【0030】
以下に、弁当箱10及びその発熱具13の詳細について記載する。
【0031】
図1の弁当箱10の箱体12、食品トレイ14及び蓋体15の各々は、例えば、ポリスチレン樹脂から形成される。これらの各々の材料としては、上記のポリスチレン樹脂の他に、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂に代表される樹脂材料が挙げられる。箱体12は、発熱剤13が発生した熱を外部に逃がさないようにするため、また加温された弁当の保温性が良好になることから発泡樹脂から形成されていることが好ましい。また、箱体12、食品トレイ14及び蓋体15の各々は、耐水加工の施された厚紙や段ボールシートなどの紙材(例、表面にアルミニウム箔、樹脂フィルムあるいは発泡紙が貼り付けられた紙材)から形成することもできる。
【0032】
また、図1に示すように箱体12の長尺状開封具22を通すための孔部11は、箱体の手前側の壁体の上辺より切り込まれた切り込みであることが好ましい。このように箱体12の上端にまで達する孔部11が備えられていると、箱体12の底部に発熱具13を収容した後に、孔部11に箱体12の上端からテープ状開封具22を差し込んで通すことができるため、箱体12に発熱具13を組み込む作業が容易となる。また、このような形状の孔部11は、箱体12の壁体を一枚のシートから筒状に折り曲げて組み立てる際に、孔部11の位置にてシートの両端を突き合わせて接触させ、この接触部の箱体の下側となる一部分のみを接着することで形成することができる。これにより孔部11を有する箱体12を簡単に作製することができるようになる。
【0033】
上記のように、発熱具13を用いることにより、テープ状開封具22により引き裂かれて形成された水密容器18の水不透性フィルム17の開口から水蒸気が放出される。このような水蒸気を有効に利用して弁当を加温する場合には、図1に示すように食品トレイ14の底部に多数の水蒸気透過性孔部24a、24bが形成されていることが好ましい。
【0034】
食品トレイ14の底部に横方向に一列に並んだ状態で形成されている複数の水蒸気透過性孔部24bは、発熱具13が発生した水蒸気を食品トレイに入れた弁当(例、御飯やおかず)の上方に導く機能を有しており、弁当を十分に加温するために有効なものである。
【0035】
また、蓋体15の上面に形成された水蒸気排出口15aは、水蒸気透過性孔部24bによって弁当の上方に導かれた水蒸気に排出口15aに向かう流れを生じさせるものであり、これにより弁当の上方には次々と高温の蒸気が導かれるようになるため、弁当をより効果的に加温することができるようになる。
【0036】
図1に示す発熱具13の水密容器18の容器本体18aは、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂もしくはポリ塩化ビニル樹脂などの樹脂材料、あるいは金属材料などから形成され、通常は樹脂材料から形成される。発熱剤と水との接触により発生した熱を弁当箱10の箱体12の側に逃がさないようにするために、容器本体18aを発泡樹脂から形成することも好ましい。
【0037】
そして図1に示す水密容器18の水不透性フィルム17としては、易引裂性及び水不透性を示すアルミニウム箔が用いられている。なお、易引裂性とは、使用者がテープ状開封具22を引っ張ることにより水不透性フィルム17を引き裂き可能であることを意味しており、図2に示すように引き裂きを補助する切り込み17aが設けられた状態にて引裂き可能であることも含まれる。また、水不透性とは、水袋21から水が漏れた場合に、この水が水不透性フィルム17を通して水密容器18の内部に侵入しない程度の透水性を有していることを意味している。
【0038】
水不透性フィルム17の例としては、樹脂フィルム及び金属フィルム(金属箔)が挙げられる。樹脂フィルムの例としては、ポリエチレン樹脂フィルム、ポリプロピレン樹脂フ、およびポリ塩化ビニル樹脂フィルムが挙げられる。金属フィルム(金属箔)の代表例としては、アルミニウム箔が挙げられる。水不透性フィルムとしては、優れた易引裂性及び水不透性を示すことから金属箔、特にアルミニウム箔を用いることが好ましい。
【0039】
水不透性フィルム17は、容器本体18aの上端面に、例えば、接着剤あるいは熱融着により固定される。水不透性フィルム17としてアルミニウム箔を用い、これを熱融着により容器本体18aの上端面に固定する場合には、アルミニウム箔の容器本体18aの側の表面に樹脂層が備えられていてもよい。また、容器本体の上端周縁に外側へと広がる鍔部が形成されていると、水不透性フィルムを容器本体の上端面に重ね、水不透性フィルムと鍔部とを加圧そして加熱して熱融着することができるようになるため、熱融着の際の加圧による容器本体の破損を防止することができる。
【0040】
水袋21の易引裂性袋体19は、上記の水不透性フィルム17と同様に樹脂フィルムや金属フィルム(金属箔)から形成される。また、易引裂性袋体19には、テープ状開封具22による引き裂きを補助する切り込み19aが設けられていてもよい。
【0041】
この水袋21の易引裂性袋体19と水不透性フィルム17との接合方法に特に制限は無く、両者を、テープ状開封具22により開封される部位以外の位置にて、例えば、ガムテープなどによって互いに接合することもできる。両者の接合は、図1に示すようにテープ状開封具22に近接並行して配置された両面接着テープ23による接着によりなされていることが好ましい。これにより、テープ状開封具22を引っ張った際に水袋21が水不透性フィルム17から浮き上がり難くなり、水袋を更に確実に引き裂くことができるようになるからである。
【0042】
なお、水密容器18の内部に封入する発熱剤16としては公知のもの、例えば、生石灰粉末、特に好ましくは生石灰粉末とアルミニウム粉末との混合物などを用いることができる。生石灰粉末とアルミニウム粉末との混合物からなる発熱剤は、例えば、特開2001−226668号公報に詳細に記載されている。
【0043】
また、弁当箱10の箱体12とその底部に収容される発熱具13との間に、発熱具13にて発生した熱を箱体12の底部の側に伝え難くするための断熱材(例、段ボールシート)、あるいは発熱具13の水袋21を開封した際に箱体12の底部に僅かに流れ落ちる水を吸水するための吸水材(例、シート状のスポンジや段ボールシート)を配置することもできる。
【0044】
図9は、本発明の発熱具を備えた弁当箱の別の構成例を示す斜視図である。図9の弁当箱90の構成は、孔部91が箱体12の壁体に横方向に伸びる透孔として形成されていること、そしてテープ状の開封具92の表面に表示されているメッセージが異なること以外は図1の弁当箱10と同様である。このように箱体12の孔部91は、箱体12の壁体に形成された透孔であってもよい。
【0045】
図10は、本発明の発熱具の別の構成例を示す斜視図であり、そして図11は、図10に記入した切断線XI−XI線に沿って切断した発熱具113の断面図である。
【0046】
図10及び図11に示す発熱具113の構成は、水密容器118の全体が水不透性フィルム117から形成されていること以外は図2及び図3に示す発熱具13と同様である。このように、水密容器118として、その全体が水不透性フィルムから形成された袋体を用いることもできる。
【0047】
発熱具113は、その水密容器118の底面の全体を弁当箱の箱体の底面に接合固定して使用するか、例えば、図11に示すように水密容器118の内部に発熱剤トレイ119を収容した状態で箱体の底面に配置して使用される。これは、テープ状開封具22を引っ張った際に水密容器(水不透性フィルムから形成された袋体)が歪むと、その上面の水不透性フィルム117及び水袋21の引き裂きが難しくなるからである。また、水密容器118の上面の水不透性フィルム117には、テープ状の開封具22による引き裂きを補助する切り込み117aが形成されており、この切り込み117は、水不透性フィルム117の表面に接着剤25bで固定された開封具22により封止されている。
【0048】
前記の図2及び図3に示す発熱具13は、その水密容器18の容器本体18aとして樹脂成形品を用いる場合には、成形用の金型を用意する必要がある。図10及び図11に示す発熱具113は、その作製に金型を用いる必要が無いために、その製造コストが低いという利点を有している。なお、発熱具113は、その水密容器118の内部に発熱剤トレイ119を収容する場合でも、発熱剤トレイとして、例えば、安価な汎用のポリスチレン樹脂製の食品用トレイを用いることができる。
【0049】
本発明の発熱具を備えた弁当箱を、駅弁、仕出し弁当、コンビニエンスストア等で販売される持ち帰り用の弁当、あるいは災害の際に被災者に提供される弁当の弁当箱として用いることにより、使用者に温かい弁当をメッセージと共に提供することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の発熱具を備えた弁当箱の構成例を示す分解斜視図である。
【図2】図1の弁当箱10が備える発熱具13の斜視図である。
【図3】図2に記入した切断線III−III線に沿って切断した発熱具13の断面図である。
【図4】図2の発熱具13の動作を説明する図である。
【図5】図2の発熱具13の動作を説明する別の図である。
【図6】図1の弁当箱10の使用方法を説明する図である。
【図7】図1の弁当箱10の使用方法を説明する別の図である。
【図8】図1の弁当箱10の使用方法を説明する更に別の図である。
【図9】本発明の発熱具を備えた弁当箱の別の構成例を示す斜視図である。
【図10】本発明の発熱具の別の構成例を示す斜視図である。
【図11】図10に記入した切断線XI−XI線に沿って切断した発熱具113の断面図である。
【符号の説明】
【0051】
10 発熱具を備えた弁当箱
11 孔部
12 箱体
13 発熱具
14 食品トレイ
15 蓋体
15a 水蒸気排出口
16 発熱剤
16a 水透過性袋体
17 水不透性フィルム
17a 切り込み
18 水密容器
18a 容器本体
19 易引裂性袋体
19a 切り込み
20 水
21 水袋
22 テープ状開封具
23 両面接着テープ
24a、24b 水蒸気透過性孔部
25a、25b 接着剤
90 発熱具を備えた弁当箱
91 孔部
92 テープ状開封具
113 発熱具
117 水不透性フィルム
117a 切り込み
118 水密容器
119 発熱剤トレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が開口し、手前側に下記長尺状開封具の引き出しを可能にする孔部を有する箱体、該箱体の底部に収容されている、長尺状開封具を備えた発熱具、該発熱具の上に配置されている食品トレイ、そして該箱体の開口を塞ぐ蓋体からなる発熱具を備えた弁当箱であって、上記長尺状開封具が、文字及び/又は符号からなるメッセージが表面に表示されているテープ状開封具であることを特徴とする発熱具を備えた弁当箱。
【請求項2】
テープ状の開封具が3乃至40mmの範囲の幅を有する請求項1に記載の発熱具を備えた弁当箱。
【請求項3】
孔部が箱体の手前側の壁体の上辺より切り込まれた切り込みである請求項1もしくは2に記載の発熱具を備えた弁当箱。
【請求項4】
発熱剤を収容する水密容器及び水袋からなり、長尺状の開封具を備えた発熱具であって、該長尺状開封具が、文字及び/又は符号からなるメッセージが表面に表示されているテープ状開封具であることを特徴とする発熱具。
【請求項5】
テープ状開封具が3乃至40mmの範囲の幅を有する請求項4に記載の発熱具。
【請求項6】
食品を収容する箱体の食品に近接する位置に収容されて使用する食品加熱用である請求項4もしくは5に記載の発熱具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−259965(P2007−259965A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−86368(P2006−86368)
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【出願人】(596064857)株式会社ヨシザワ (11)
【Fターム(参考)】