説明

発生電波制御システム及び無線端末装置

【課題】無線端末装置での電波発生により他機器に対する影響あるいは第三者に対する迷惑等を与える恐れが有る等の所定の区域・状況においてそのような弊害を回避し、使用者及び第三者にとっての心理的負担を軽減して安心して使用できる無線端末装置及びその制御を行うシステムを提供する。
【解決手段】第1の無線端末装置は、第2の無線端末装置からの抑制実行制御信号に基づいて無線部の送信電力を抑制制御している場合に、自らが受信することで取得した第1の無線端末装置の位置情報を、電波制限が行われる電波制限実行区域を示す登録情報と比較することで、第1の無線端末装置が電波制限実行区域内に居るか否かを判定し、第1の無線端末装置が電波制限実行区域内に居ない場合、OFFに抑制制御していた無線部の送信電力をONにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発生電波の制御を行う発生電波制御システム及び無線端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機の利用において携帯電話機が発生する電波による弊害が問題となっている。例として、病院内で携帯電話機が電波発生することにより医療機器に対して誤動作などの影響を与える恐れが有る。また、ペースメーカー(心臓ペースメーカー)等の医療機器の誤動作、また飛行機内での電波発生による飛行機制御装置の誤動作、その他微弱な電気信号を扱う機器等が近傍での電波発生の影響によって誤動作する恐れが有るという問題が挙げられる。また、映画館内などでの着信音による迷惑なども問題となっている。このような問題から、携帯電話機の使用に関して、病院や飛行機内など所定の区域・位置・状況においては携帯電話機からの電波発生を控えることが求められるが、十分対策は考えられていない。特に医療機器の誤動作など人命にかかわる場合も多いので問題は大きい。
【0003】
一方、携帯電話機における無線通信機能以外の各種機能・アプリケーション、例えば音楽再生機能などの搭載を特徴とする高機能化に伴い、無線通信機能は使用せずとも他の搭載機能・アプリケーション(音楽再生機能など)を使用したいという利用状況・要求が多く発生しつつある。特に上記のような携帯電話機からの発生電波の影響を考えなければならないような特定の区域・状況において、発生電波の影響を考えて無線通信機能は使用しないが他の搭載機能・アプリケーションは使用したいという要求があり、そのような利用法が可能であれば便利であると同時に電波発生の影響に対する対策としても有効である。
【0004】
今までの携帯電話機は、装置の主電源を入れた状態では位置登録処理などのために常に基地局との交信を行っている(つまり無線通信機能を使用して電波発生を行っている)。よって、無線通信機能を直接使用する訳ではない機能・アプリケーションを使用しても自端末から電波発生を行うことになるので、電波の影響を考慮しなければならないような特定の区域・状況においては悪影響をもたらす恐れが有る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
携帯電話機やPDA等の無線端末装置及びその通信システムにおいて、所定の区域・状況において無線通信機能は制限され、かつ、無線通信機能を使用しない他の搭載機能・アプリケーションは使用可能であるよう制御されれば便利でありかつ電波発生による弊害の問題に対する対策としても有効である。無線端末装置の無線通信機能の制限とは、装置の発生電波レベルを、近傍での電波発生の影響によって誤動作する恐れの有る機器などに影響を与えないレベルに制御すること、あるいは第三者などに迷惑を与えないよう制御することなどである。
【0006】
また、例えこのような電波制御機能を使用したことにより無線端末装置が電波制限モードにあって他機器等への悪影響が実質的に無い状態にある場合でも、このことが第三者などに伝わらなければ第三者に対しても自身に対しても不安を感じさせる可能性が有る。無線端末装置が発生電波を抑制して安全な状態にあることを第三者などに伝え示すことも重要である。
【0007】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、携帯電話機やPDAなどの無線端末装置及びその制御を行うシステムにおいて、端末での電波発生により他機器に対する影響や第三者に対する迷惑等を与える恐れが有る等の所定の区域・状況において端末の無線通信機能を自動的に制限状態へと制御し、使用者及び第三者にとって電波発生による悪影響や迷惑等を心配する心理的負担を軽減して安心して使用できる発生電波制御システム及び無線端末装置を提供することを主要な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するために、本発明の第1の態様は、第2の無線端末装置と無線通信処理を行う無線部を有する第1の無線端末装置と、電波制限が行われる電波制限実行区域を示す情報を登録情報として登録する手段、第1の無線端末装置と無線通信を行うことにより取得した第1の無線端末装置の位置情報を、登録情報と比較することで、第1の無線端末装置が電波制限実行区域内に居るか否かを判定する判定手段、第1の無線端末装置が電波制限実行区域内に居る場合に、無線部の送信電力をOFFに抑制する抑制実行制御信号を第1の無線端末装置へ送信する制御信号送信手段を有する第2の無線端末装置と、を有する発生電波制御システムであって、第2の無線端末装置は、判定手段による判定の結果、第1の無線端末装置が電波制限実行区域内に居る場合には、制御信号送信手段により、所定レベルの指定値を含む抑制実行制御信号を第1の無線端末装置へ送信し、第1の無線端末装置は、第2の無線端末装置から受信した抑制実行制御信号に基づいて、無線部の送信電力を抑制制御し、第1の無線端末装置は、第2の無線端末装置が有する登録情報と同じ登録情報を予め有しており、抑制実行制御信号に基づいて無線部の送信電力を抑制制御している場合に、自らが受信することで取得した第1の無線端末装置の位置情報を、登録情報と比較することで、第1の無線端末装置が電波制限実行区域内に居るか否かを判定し、第1の無線端末装置が電波制限実行区域内に居ない場合、OFFに抑制制御していた無線部の送信電力をONにすることを特徴としている。
【0009】
本発明の第2の態様は、第2の無線端末装置と無線通信処理を行う無線部を有する第1の無線端末装置と、無線部をONして通常の送信電力レベルでの無線通信を可能なモードへ制御する区域を示す情報を登録情報として登録する手段、第1の無線端末装置と無線通信を行うことにより取得した第1の無線端末装置の位置情報を、登録情報と比較することで、第1の無線端末装置が区域内に居るか否かを判定する判定手段、第1の無線端末装置が区域内に居る場合に、無線部をONして通常の送信電力レベルでの無線通信を可能なモードへ制御する通常送信電力レベル制御信号を第1の無線端末装置へ送信する制御信号送信手段を有する第2の無線端末装置と、を有する発生電波制御システムであって、第2の無線端末装置は、判定手段による判定の結果、第1の無線端末装置が区域内に居ない場合には、制御信号送信手段により、無線部の送信電力をOFFに抑制する抑制実行制御信号を第1の無線端末装置へ送信し、第1の無線端末装置は、第2の無線端末装置が有する登録情報と同じ登録情報を予め有しており、第2の無線端末装置から受信した抑制実行制御信号に基づいて、無線部の送信電力を抑制制御している場合に、自らが受信することで取得した第1の無線端末装置の位置情報を、登録情報と比較することで、第1の無線端末装置が区域内に居るか否かを判定し、第1の無線端末装置が区域内に居る場合、OFFに抑制制御していた無線部の送信電力をONにすることを特徴としている。
【0010】
本発明の第3の態様は、本発明の発生電波制御システムで第2の無線端末装置として用いられることを特徴としている。
【0011】
本発明の第4の態様は、本発明の発生電波制御システムで第1の無線端末装置として用いられることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、携帯電話機やPDAなどの無線端末装置及びその制御を行うシステムにおいて、端末での電波発生により他機器に対する影響や第三者に対する迷惑等を与える恐れが有る等の所定の区域・状況において端末の無線通信機能を自動的に制限状態へと制御し、使用者及び第三者にとって電波発生による悪影響や迷惑等を心配する心理的負担を軽減して安心して使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態における無線端末装置1及びシステムを含むシステム全体100の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態における無線端末装置1の構成を示すブロック図である。
【図3】制限区域情報rの構成例を示す図である。
【図4】無線端末装置1の各モードを示す図である。
【図5】装置1外部からの電波制限制御について示す図である。
【図6】電波制限実行に関する判定を示す図である。
【図7】無線部13の構成例を示す図である。
【図8】一般的なクローズドループ送信電力制御について示す図である。
【図9】本実施例でのクローズドループ送信電力制御について示す図である。
【図10】無線端末装置1での電波制限制御の処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】無線端末装置1に備えられる各種インタフェースの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態(実施形態)について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態における無線端末装置1及びその発生電波を制御するシステムを含むシステム全体100の全体構成を示す図である。システム100は、無線端末装置1、無線通信システム2、位置情報システム3を含んでいる。無線端末装置1は、無線基地局との無線リンクを通じて無線通信を行う機能を持つ携帯電話機やPDA等の端末装置である。本実施例では無線端末装置1は特に携帯電話機であるものとする。無線通信システム2は無線端末装置1による通信の基盤となるサービスを提供する網である。GPS等の位置情報システム3は、無線端末装置1あるいは無線通信システム2に対して端末1の地理的現在位置情報を提供する。無線端末装置1は、本発明に特徴的な発生電波制限機能を備え、その発生電波制限機能は無線端末装置1を含むシステムでの処理により実現される。
【0016】
本実施例の無線端末装置及びシステムは、無線端末装置の地理的な現在位置に応じて端末の発生電波のレベルを自動的に制限する機能を提供する。無線端末装置が所定の区域・位置にあるときに電波制限を有効にし、逆に所定区域・位置を離れれば電波制限を無効にして通常モードへ戻す。発生電波レベルの制限とは、端末の無線通信機能部(無線部)での送信電力レベルを0(OFF)にして無線通信機能を完全に使用不可の状態にしたり、あるいは送信電力レベルを所定レベル以下の低レベルに抑制してその低レベルでの無線通信のみ許可したりなどの制御である。本実施例では発生電波レベル制限のモード(電波制限モード)として、完全に送信電力レベルを0(OFF)とするモード(OFFモード:m0とする)と、所定レベル以下に抑制するモード(低レベルモード:m1とする)とを用意する(なお電波制限状態ではない通常モードはm2とする)。いずれも制限のレベル(0〜所定最大レベル)を指定してその値に制御すればよいので処理的には同様である。
【0017】
この発生電波制御として、区域・位置に応じて異なる制御を行ってもよい。例えば病院内に設置される機器で或るレベル以上の電波が装置誤動作を誘発する可能性があることがわかっていればそのレベルを本システムで指定・設定することにより無線端末装置の発生電波をその指定レベル以下に制限させることができる。
【0018】
本実施例の無線端末装置及びシステムでは、無線端末装置の無線通信機能部(無線部)において制御される電波発生のための送信電力を当該システムにより端末現在位置に応じて任意レベルに制御する。端末現在位置は位置情報システムにより認識する。発生電波制限のモードとして、電波発生を完全にOFFに制御するモード、あるいは他機器等に悪影響を与えない低レベルに制御するモードを実現する。なおかつ、この電波制限モードでは、当該無線端末装置に搭載している、無線通信機能を使用しない他の機能・アプリケーションは使用可能な状態に制御する。これにより電波制限モードにあってもユーザは他の搭載機能・アプリケーションは使用することができる。また上記所定レベル以下の低レベルに制御するモードでは、そのレベルにおいて通信機能を使用することが可能である。
【0019】
図1で、無線通信システム2は、無線端末装置1と無線リンクで通信を行う無線基地局やそれら基地局の制御局などの公知要素を含んだシステムであり、IP網などの他システムと接続可能である。位置情報システム3は、無線端末装置1の地理的な現在位置を随時、情報として提供するシステムである。位置情報システム3は本実施例ではGPS(Global Positioning System)であるものとするが特に限定しない。無線端末装置1は、位置情報システム3と連携して端末の現在位置情報を取得する処理部(GPSの場合はGPS受信処理部)を備える。
【0020】
これらに加え、地理上に端末発生電波制限区域が存在する。端末発生電波制限区域は、その区域内において無線端末装置1の発生する電波レベルの制限を行うべく指定される区域である。例えば近傍での発生電波が誤動作などの影響を及ぼす恐れのある機器が存在したり、端末1への発着信が迷惑であるなどの区域・位置である。
【0021】
無線端末装置1の発生電波制限を行う際の制限のタイプとして、システムによる強制的なOFF、指定レベル以下なら許可する、制限の実行についてユーザの認識・確認を介在させてから実行する、制限すべき旨をユーザに通知するのみ等いくつかを設けることができ、電波制限したい区域の性格や指定に応じて制御を実行することができる。
【0022】
図2は、本発明の第1の実施の形態における無線端末装置の構成を示すブロック図である。無線端末装置1は、制御部11、電力制限レジスタ12、無線部13、表示部14、位置検知部15、制限区域情報管理部16、判定部17を有する。また無線部12での無線通信機能を使用せずに使用可能な機能・アプリケーションの処理を行う処理部19も有している。
【0023】
制御部11は、プロセッサやメモリを含む回路であり、プログラム制御に基づき装置全体の制御を行う。
【0024】
電力制限レジスタ12は、電波制限機能をトリガする役割を持つ無線部ON/OFFトリガ信号(s1とする)が制御部11に対して与えられたときに制御部11が参照するレジスタであり、ここには電波制限時つまり無線部送信電力制限時(電波制限モード:m0あるいはm1)に無線部13での最大送信電力をどの程度のレベルに制御するのか(最大送信電力を0にして電波を完全に発生しない制御を含む)を決定する設定情報(最大送信電力設定値cとする)が格納されている。
【0025】
無線部13は、無線通信機能を司る回路であり、無線通信システム2中の基地局との無線通信を処理する。音声通信の他、データ通信なども処理する。無線部13は、低レイヤの処理として無線リンクにおける変復調処理、送信電力制御、位置登録処理などの公知処理を行う。また高レイヤの処理として発着信制御などの公知処理を行う。主電源ON時には、位置登録処理などのために常時、基地局と交信を行っている。無線部13は更にいくつかの機能ブロックから構成される。
【0026】
表示部14は、自装置1の電波状態やモードについて外部に対して情報表示して知らしめる機能を持つ部分である。色光、文字、サイン等の表示によって電波状態を伝える。表示部14はLEDや液晶ディスプレイなど各種の手段により構成されてよい。電波制限状態(モード)として、電波を出さない状態(OFFモードm0)、発生電波が所定レベル以下の微弱な電波に抑制される状態(低レベルモードm1)、電波発生が通常通り許可されている状態(通常モードm2)などがある。表示部14は、このような各種モードに応じた表示処理を行う。
【0027】
位置検知部15は、機能的に位置情報システム3の一部を成して端末1での処理を担う処理部であり、自端末1の地理的な現在位置を情報として検知する機能を持つ。無線端末装置1は、位置検知部15での処理により、随時、自端末の地理的現在位置を認識する(位置情報を取得する)。本実施例では位置情報システム3はGPSに基づくシステムであり、位置検知部15はGPS受信処理部(GPSレシーバ)である。位置検知部15は、位置情報システム3からの無線信号に基づき地理的現在位置情報(Lとする)を取得する。具体的にはGPS受信処理部ではGPS衛星からの側位信号を受信してそれを解析し現在位置情報を得る。現在位置情報Lは、例えば、緯度・経度、現在時刻などのデータにより構成される。
【0028】
本実施例の場合は位置情報システム3としてGPSの例を採っているが、GPSに限らず端末1の地理的現在位置を随時認識できるシステムであれば良く、例えば、無線通信システム2にその機能を持たせて無線基地局を介して位置情報のやり取りを行う構成も考えられる。ただし電波制限モード時には無線基地局との無線通信における送信電力レベルが制限制御されるがその際にも端末現在位置の認識のための通信は制限されずかつ悪影響なども当然与えないレベルであることが条件である。
【0029】
制限区域情報管理部16は、端末発生電波制限区域及びそこでの制限の仕方などに関する情報(制限区域情報rとする)を管理する処理部である。制限区域情報rは、制限区域の位置や範囲を指定する情報を含む端末登録情報であり、制限区域の数に応じて複数存在し得る情報である。
【0030】
図3に制限区域情報rの構成例を示す。制限区域情報rは、電波制限対象の区域の位置・範囲に関する情報表現r1、制限のタイプr2、より詳細な制限の指定情報r3などにより構成される。本実施例の無線端末装置1の場合、登録情報rは、制限区域情報管理部16により端末1内部のメモリに格納、管理される。処理構成として、この登録情報(制限区域情報r)群の内容が無線基地局との通信を介して随時更新される形態を採っても良い。
【0031】
電波制限区域の位置・範囲の指定情報r1は、緯度・経度による座標表現、また中心座標と半径により定まる円領域による表現、あるいはシステムにより予め定めた地理的な領域区分のうち或る領域を指定・特定する識別子情報などにより表現される。制限タイプ情報r2は、発生電波を0にしなければならない(電波発生禁止(→m0))、発生電波を或るレベル以下に抑制しなければならない(低レベルへの抑制(→m1))などの指定である。システム及び無線端末装置1は、この制限タイプ情報r2に基づいた電波制限処理を行う。制限指定情報r3は、例えばm1モードにおける送信電力レベル最大値の指定などである。
【0032】
電波制限区域管理部は、通常モードでの通信時などに無線通信手段を用いてシステム(無線通信システム2)から制限区域情報rを取得することにより端末装置内に保持する制限区域情報rを更新する処理を行っても良い。ユーザによる設定や製品出荷時でのデフォルト設定などを行っても良い。
【0033】
判定部17は、位置検知部15や基地局から取得できる端末現在位置情報Lをもとに制限区域管理部16の管理している制限区域情報rとの比較を行って電波制限の実行をすべきタイミングであるかどうかを判定する処理部である。端末が制限区域内に入ったと判定した場合は電波制限を実行する。逆に制限区域を出たと判定した場合は電波制限を解除する。判定部17は、判定処理に基づき電波制限機能をON/OFFするトリガである制御信号(無線部ON/OFFトリガ信号s0)を制御部11に対して出力する。なお判定部17の処理はソフトウェア的な処理であるから実際は制御部11が実行すると考えても同様である。
【0034】
無線通信機能を使用しない機能部・アプリケーションの処理部19は、制御部11により電波制限モード時(m0、m1)にあっても使用可能な状態に制御される。
【0035】
[動作概要]無線端末装置1の動作について説明する。装置1では、位置情報システム3及び位置検知部15における処理により、随時、自端末の現在位置を情報Lとして取得する。現在位置情報Lは判定部17などへ出力される。
【0036】
判定部17は、位置情報Lを取得すると、制限区域管理部16の管理している制限区域情報rを参照し、現在位置情報Lと比較して電波制限を実行すべきタイミングの判定処理を行う。制限区域情報rは、所定形式で構造化されているデータであり、例えば、2次元座標位置(x,y)あるいは所定の領域区分の識別子、更には電波制限の仕方を指定するより詳細な情報(電波制限のタイプの指定や制限時の最大送信電力レベルの指定などの情報)を含む。
【0037】
上記判定処理の結果、自端末が、発生電波を制限すべき区域(端末発生電波制限区域)内に居るあるいは進入したと判定された場合、電波制限をON(有効)にするための無線部ON/OFFトリガ信号s1を制御部11に対して出力する。また逆に制限区域外に居るあるいは進入したと判定された場合、電波制限をOFF(無効、解除)するための無線ON/OFFトリガ信号s1を制御部11に対して出力する。
【0038】
電波制限のONを指示する無線部ON/OFFトリガ信号s1が制御部11に対して与えられた場合、制御部11は電力制限レジスタ12を参照して最大送信電力値cを読み取り、無線部13に対して、送信電力を設定値c以下に制限する指示である無線部制御信号s2を送る。
【0039】
無線部13は、制御部11から無線部制御信号s2を受けると、この信号s2の内容に基づく送信電力制御処理を実行する。信号s2の内容が設定値cに基づく電波制限ONの指示である場合は、無線部13での送信電力を最大送信電力値cの設定に基づく最大送信電力レベルに制限、抑制する制御を行い、そのレベルc以上での無線通信を行わせない=そのレベルc以下での無線通信を許可する状態・モード(m0あるいはm1)へと切り替える。また、信号s2の内容が電波制限OFFの指示である場合は、無線部13での送信電力を通常レベルに戻す制御を行って通常モードm2へと切り替える。
【0040】
なお、電波制限モードm0とm1は主旨の異なる別のものとして設け指示も別に行う構成にしてもよいし、一方のモードのみ制限機能として備える構成にしてもよい。
【0041】
無線部制御信号s2により無線部の送信電力を制御して装置のモードを切り替える制御を行うと共に、制御部11から表示部14に対して装置の電波状態やモードに応じた表示を指示する役割を持つ表示部制御信号s3を出力する。これを受けて表示部14は、信号s3での指示に基づき、自装置1での電波発生状態・モードを外部に対して示す表示を行う。例えば装置1が電波制限モード(m0、m1)にあるときは、該当電波制限区域内で悪影響や迷惑等を与える恐れの有る電波を発生していない状態にあることを示す情報を色光や文字、サインなどの手段により表示する。
【0042】
このように、無線端末装置1の位置に応じて、電波制限区域内に居るあるいは進入した場合に自動的に無線部の送信電力を制限し、逆に制限区域外に居るあるいは出た場合にも自動的に通常モードに戻す制御を行い、同時に電波状態・モードを示す表示を表示部にて行いそのことを第三者(及びユーザ自身)に対して示す。
【0043】
[装置1のモード]図4に本実施例において無線端末装置1の取り得るモードについて示す。主電源OFF時では、無線部13、他機能部19ともにOFFである。主電源がONされると通常モードm2となり無線部13がON及び他機能部19もON(使用可能)である。装置1あるいはシステム100において随時、電波制限実行のタイミングの判定処理がなされ、制限区域内に居るあるいは進入したと判定されると電波制限モードm0あるいはm1へと切り替えされる。制限区域外に居るあるいは出たと判定されると通常モードm2に戻る。電波制限モード(OFFモード)m0では、無線部13はOFFであり他機能部19はONである。電波制限モード(低レベルモード)m1では、無線部13は低送信電力レベルでの制御であり他機能部19はONである。
【0044】
[装置外部(システム)から制御を行う方法]無線端末装置1内での処理だけではなく、図5に示すように、装置1の外部からの信号に基づき装置1の無線部送信電力制御を行う。この際の信号手段として、ブルートゥース(Bluetooth:短距離無線伝送規格の1つ)等による無線信号や、携帯電話機の無線基地局からの特定の信号などを用いることができる。装置1は、外部(本システム100)からの制御信号(無線部ON/OFFトリガ信号s1あるいはその指定を含む無線信号)を受信してデコード部で解読し、これに基づき無線部ON/OFFトリガ信号s1を制御部11に対して出力する。後は同様に制御部11から無線部制御信号s2などを発行して無線部13の送信電力を制御し、装置のモードを切り替える。この構成の場合、装置1の外部において、装置1の発生電波制限(=無線通信機能制限=無線部送信電力制限)をON/OFFするタイミングの判定を行う。例えば、無線通信システム2において、端末1の位置情報Lを取得し、これに基づき無線通信システム2が保持する制限区域情報rと比較して判定を行い、判定の結果に基づき端末1に対して無線部ON/OFFトリガ信号s1等の制御信号を送信する。
【0045】
[端末発生電波制限区域情報の登録・管理]飛行場、病院など、無線端末装置1の発生電波を制限したい・すべき区域を情報(r)として本システム100に登録する。この登録は、システム100内の無線通信システム2などに対して行われる。例えば医療機器を扱う病院において、病院中の所定区域あるいは病院区域自体を電波制限区域としてシステムへの登録処理を行う。本システム100では、電波制限区域及びより詳細な制限の仕方に関する各登録情報を無線通信システム2の備える設備等において一括管理し、無線端末装置1に対して提供する。無線端末装置1は、制限区域管理部16において、登録情報(r)を装置内に入力・設定し保持する(使用者の購入前でも、購入後任意にでも構わない)。この登録情報(制限区域情報r)を参照して、電波制限の実行タイミングの判定処理が行われる。端末1内に登録情報rを保持せず無線通信システム2側が保持する登録情報rを参照して判定・制御を行うような処理構成でもよい。
【0046】
[電波制限実行に関する判定処理]図6に示すように、例えば、装置1内の制限区域情報管理部16あるいは装置外部において制限区域情報rとして登録されている情報と、GPS等の位置情報システム3及び位置検知部14によって取得される端末現在位置情報Lとを比較し、電波制限区域と端末現在位置との距離を算出して所定の距離しきい値と比較して閾値内にあるかどうか判断する距離判定処理、あるいは端末現在位置Lが電波制限区域(所定の領域区分識別子による表現)内に居る否か判断する位置判定処理などの手法により実現する。
【0047】
[無線部13の送信電力制御の例]図7に、無線部13の構成例を示す。無線部13は、大別して、受信部131、シンセサイザー部132、送信部133、ベースバンド部134に分けられる。中でも、医療機器や航空機の精密機械等に影響を与える恐れの有る電波を発生するのは一般に送信部133である。
【0048】
電波制限を実行するときの無線部送信電力制御処理として、送信部133全体の供給電源をON/OFF制御する、送信部133の信号の通り道にあたるデバイスの電源をON/OFFする等により実現できる。消費電流低減の観点から考えると、送信部133、ベースバンド部134、シンセサイザー部132、受信部131の全ての電源をOFFするのが理想的であるが、送信部133全体もしくは一部の電源をOFFすることによっても医療機器や航空機の精密機械等に影響を与える恐れの有る電波を発生させなくすることが可能である。
【0049】
一般にクローズドループ動作時の携帯電話機の送信電力決定の仕組みは図8のような構成となっている。携帯電話機が送信した移動機波を受信した基地局は、この移動機波のレベルを上げるか下げるかを判断し、携帯電話機に対して送信する基地局波にTPC信号をコーディングして送信する。TPC信号とは、Transmission Power Control信号のことで、これには所定の携帯電話機が送信電力を上げる/下げる/維持するといったことを決める信号が含まれている。携帯電話機はTPC信号が含まれた基地局波を受信すると、基地局波をデコーディングし(受信部+デコード部)、TPC信号を取り出して送信電力制御部へ送る。送信電力制御部は送信電力に関する最大電力設定値が記録されている最大電力レジスタを参照し、TPC信号が電力増加指示を示していても最大電力レジスタの設定値を超えないよう送信部に対して送信電力信号を送る。送信部は送信電力信号で示される電力値での送信処理を行う。
【0050】
本実施例の無線端末装置1及びシステムでは、図9のように、無線部13の最大電力レジスタにおける最大送信電力設定値をシステムにより任意に設定できるよう構成する。装置1内の判定部17あるいは装置外部などから与えられる制御信号に基づき最大電力レジスタにおける最大送信電力設定値を書き換えることにより、送信部133での最大送信電力を自動的に制限制御する構成とした。図中では、電力制限レジスタ12における設定値(電波制限モード時の送信電力レベル最大値を指定する設定情報)cが装置1内部からあるいは外部からの最大電力レジスタ設定値により設定される。制御部11は電力制限レジスタ12内の設定値cを参照して無線部13の最大電力レジスタにおける最大送信電力値の設定の書き換えを行う。送信電力制御部は最大電力レジスタにおける最大送信電力設定値を参照して送信部133に送信電力信号を送る。送信部133は、送信電力信号で指定される送信電力値での送信処理を行う。
【0051】
ブルートゥース、構内LAN等の通信手段を用いて最大電力レジスタ設定値を含む搬送波が装置外部からあったときは、この搬送波をデコード部がデコードして最大電力レジスタ設定値を取得し、デコードされた設定値が電力制限レジスタ12内に設定される。また、ユーザによってMMI(マンマシンインタフェース)やMT(メンテナンスツール)を用いて電力制限レジスタ12に値(最大送信電力設定値)を設定することもできる。位置情報システム3及び位置検知部15での処理を経て判定部17から無線部ON/OFFトリガ信号s1が発行された場合、あるいは装置1外部での判定処理を介して外部から無線部ON/OFFトリガ信号s1等の制御信号を受信した場合、更にはユーザが装置1に備えられた電力制限キー等のMMIを用いて制御信号を発生させた場合などにおいて、無線部ON/OFFトリガ信号s1が発行される。無線部ON/OFFトリガ信号s1として特に送信電力OFFトリガが発生すると、電力制限レジスタ12における装置値cが無線部13の最大電力レジスタに書き込まれることにより、クローズドループ送信電力制御においても無線端末装置1の送信電力は電力制限レジスタ12に書き込まれている設定値cのレベルを超えないレベルで処理される状態となる。設定値が0であれば完全にOFF、設定値が所定レベル値であればそのレベル以下での送信電力での送信処理となる。また、無線部ON/OFFトリガ信号s1として特に送信電力ONトリガが発生した場合は保持されている本来の最大送信電力設定値が制御部11から最大電力レジスタに書き込まれることで、無線部13の最大送信電力値を通常の状態に戻すことができる。
【0052】
ユーザにより無線端末装置1の無線通信機能(電波制限モード)のON/OFFを行うインタフェース、また電波制限時の最大送信電力レベルの設定を行うインタフェースを備えることにより、システムによる自動的な電波制限ON/OFFだけでなく、緊急の状況や制限区域における電波発生の条件が変わった場合などにも柔軟に対応できる。
【0053】
[電波制限制御の処理フロー]図10に無線端末装置1における電波制限制御に関する処理のフローを示す。まず、位置情報システム3及び端末1の位置検知部15における処理により、無線端末装置1の現在位置が随時、位置情報Lの形で認識される(ステップS1)。
【0054】
無線端末装置1内で(あるいは無線通信システム2側において)、位置情報Lをもとに端末1が電波制限区域内にあるか否かの判定処理が行われる。位置情報Lと登録情報rとの比較が行われ、制限区域内に居るあるいは進入したかどうか逆に制限区域外に居るあるいは出たかどうか判定が行われる(ステップS2)。
【0055】
制限区域内と判定された場合(ステップS2−「制限区域内」)、無線部ON/OFFトリガ信号s1として電波制限を指示する制御信号が発行される。更に登録情報rから制限タイプr2、制限指定r3などの情報があれば確認し、以後その指定に基づく処理を実行する(ステップS3)。発行された制御信号に基づき、無線部13の送信電力レベルの制御が実行され、電波制限モードへと切り替わる(ステップS4)。電波制限モードとして特にOFFモードm0へ移行する場合は、無線部13(特に送信部133)の供給電源がOFFされる。また特に低レベルモードm1へ移行する場合は、最大送信電力レジスタから設定値が読み出され、その値に基づき無線部13の最大送信電力が制御され、その指定レベル以下のレベルでの送信処理のみ許可される状態となる。またモード切り替えに伴い、表示部14での表示処理も装置1の電波状態・モードに応じて更新する(ステップS5)。この場合、装置1が電波制限モードにあることが表示により示される。
【0056】
ステップS2において制限区域外である判定された場合(ステップS2−「制限区域外」)、無線部ON/OFFトリガ信号s1として電波制限の解除を指示する制御信号が発行される。発行された制御信号に基づき、無線部13の送信電力レベルの制御が実行され、通常モードへと切り替わる(ステップS6)。またモード切り替えに伴い、表示部14での表示処理も装置1の電波状態・モードに応じて更新する(ステップS5)。以上の処理が端末1の移動に伴い随時繰り返し実行される。
【0057】
[装置1に備えられるMMIの例]図11は、無線端末装置1として特に折り畳みタイプの携帯電話機を例に採り、これに本発明の電波制限機能に関するMMIが備えられている構成に関して示す図である。図11左上は、装置1の前面において操作入力のための各種キーのうちの一つとして主電源キー兼無線部ON/OFFキーを設けた構成を示す。このキーでの入力により、無線部ON/OFFトリガ信号s1を発行させ、これに基づき電波制限機能・モードをON/OFFする。例えばこのキーが長押しされた場合は装置1の電源をON/OFFし、また、短く押された場合は無線部ON/OFFトリガs1を制御部11に対して出力するようにする。また図11右上は、装置1前面に主電源キーとは別に無線部ON/OFF専用キーを設けた構成を示す。無線部ON/OFF専用キーのON/OFFにより同様に無線部ON/OFFトリガ信号s1を発行させる。またこのようなキー及び他の機能キーを用いてユーザにより電力制限レジスタ12における設定値cの設定を行うこともできる。
【0058】
また図11下は、装置1の背面に表示部14として背面表示部を設けた構成を示す。この背面表示部は、発光ダイオードあるいは液晶タイプのディスプレイなどで構成され、装置1の電波状態・モードを色光や文字・サイン等により表示して第三者(及びユーザ自身)に対して示す。このように携帯電話機において第三者にとって見やすい位置に表示部14(背面表示部)を設け、悪影響や迷惑等を与える恐れの有る電波発生を行っていない状態あるいは行わない電波制限モードにあることを示す。例えば背面表示部に、装置1が電波発生しないモード(m0)にある場合は「No Transmission」や「電波停止中」等の表示を行い、第三者に対して端末が完全に電波発生していない・しないことについて分かり易く示す。また装置1が送信電力を低レベルに抑制しているモード(m1)のときは、「Low Power Transmission」、「電波制限中」といった表示を行っても良い。また特に背面表示部に文字を出力できないようなタイプの携帯電話機では、背面表示部のカラー液晶もしくは発光ダイオード等の色を変えることにより、状態・モードに応じて背面表示部の色を変化させ、例えば赤色は電波を発生しない状態、緑色は電波を発生している状態といったように制御することにより電波状態・モードを伝える。
【0059】
また、ユーザによる電力制限レジスタ12への設定手段として、装置1がユーザに対してソフトウェア的に提供するメニューの中に無線部ON/OFF(=電波制限モードのON/OFF)の項目を設ける。装置1は、このようなユーザインタフェースを介してユーザによる無線部ON/OFFの設定あるいは電力制限レジスタ12の設定値cの設定を受け付け、これに基づき無線部ON/OFF制御トリガs1を制御部11に対して出力したり、最大送信電力設定値の設定を行わせる。
【0060】
また、システムにより無線端末装置1の無線通信機能の制限を実行しようとする際あるいは実行した後に、ユーザに対してその旨(なぜ無線通信機能の制限を実行する/したのか、どのように制限する/したのかなどの情報)を文字等により表示するような処理構成にしてもよい。例えば端末1に標準に備えられているディスプレイへの表示処理などにより行う。
【0061】
上述した実施例では、端末発生電波制限区域内において無線端末装置1の発生電波レベルを制限し、制限区域を出れば通常モードへ戻すように制御を行うことを説明した。これとは逆に他の実施形態として、端末1が所定の区域内に居るあるいは進入したときは無線部13をONして通常の送信電力レベルでの無線通信を可能なモードへと制御し、逆にこの区域を出た場合は無線部13をOFF(制限)して電波制限モードへと制御するような処理構成とすることができる。これは例えば、利用者が無線端末装置(携帯電話機)を複数所有している場合などで、或る特定の場所でのみ電波利用による無線通信機能を利用したい場合があり、このような場合でも端末位置による自動的な無線通信機能ON/OFF機能を利用して、所定の場所で無線部をONし、その場所を離れるとOFFとする制御を行う。
【0062】
以上により本発明の実施の形態について説明した。なお、上述した実施形態は、本発明の好適な実施形態の一例を示すものであり、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、種々変形実施が可能である。
【0063】
以上の説明から明らかなように、本実施例によれば、携帯電話機やPDA等の携帯型の無線端末装置において端末の現在位置に応じて所定の制限区域で自動的に端末発生電波の制限を行うことができ、またその制限区域外に出れば電波制限状態を解除することができるので、所定区域において電波を発生することによる悪影響や迷惑などを回避し、ユーザや第三者が電波発生に関して感じる不安などの心理的負担を軽減することができる。例えば病院内での医療機器の誤動作、ペースメーカー等の誤動作、飛行機内での飛行機制御装置の誤動作などを回避することができる。
【0064】
また、無線端末装置での発生電波制限時においても、電波発生を伴う無線通信機能を使用しない他の各種搭載機能・アプリケーション(音楽再生機能等)は使用可能に制御されるため、他搭載機能・アプリケーションを安心してユーザが利用することができるようになり便利である。また、無線端末装置に着信することなしに他搭載機能・アプリケーションを利用したい時もユーザはこの機能を利用して装置を使用することができる。
【0065】
また、映画館内など、端末に着信して着信音が鳴ることにより他者に対して迷惑がかかるような場所では外部(システム)からの電波制限機能を用いて無線端末装置での発生電波の制限の制御を行うことにより、映画館の管理者等によって特定の禁止区域内に無線端末装置が入ったときに自動的にその区域内での電波発生を禁止するなどの利用方法が可能となる。
【0066】
また、無線端末装置の電波制限状態・モードを第三者(及びユーザ自身)に対して表示部により知らせることができ、電波発生が悪影響や迷惑等を及ぼす恐れの有る場所においても、ユーザは第三者の目を気にすることなく無線端末装置で電波発生せずに使用できる搭載機能・アプリケーションを使用したり、低レベルモードでの通信機能を使用することができる。同時に第三者も、無線端末装置を使用しているユーザが居ても上記表示機能による表示を認識することにより、無線端末装置が電波発生をしていない・しない状態であると認識することができ、電波による影響を心配する心理的負担が軽減する。
【符号の説明】
【0067】
100 システム全体
1 携帯端末装置(携帯電話機やPDA等)
2 無線通信システム
3 GPS等の位置情報システム
11 制御部
12 電力制限レジスタ
13 無線部
14 表示部
15 位置検知部
16 制限区域情報管理部
17 判定部
19 無線通信機能を使用しない他の搭載機能・アプリケーションの処理部
131 受信部
132 シンセサイザー部
133 送信部
134 ベースバンド部
L 端末1の地理的現在位置情報
s1 無線部ON/OFF制御トリガ信号
s2 無線部制御信号
s3 表示部制御信号
c 最大送信電力設定値
r 端末発生電波制限区域の登録情報
r1 制限区域の位置・範囲の表現
r2 制限タイプ情報
r3 制限指定情報
m0 電波制限モード(OFFモード)
m1 電波制限モード(低レベルモード)
m2 通常モード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第2の無線端末装置と無線通信処理を行う無線部を有する第1の無線端末装置と、
電波制限が行われる電波制限実行区域を示す情報を登録情報として登録する手段、前記第1の無線端末装置と無線通信を行うことにより取得した前記第1の無線端末装置の位置情報を、前記登録情報と比較することで、該第1の無線端末装置が前記電波制限実行区域内に居るか否かを判定する判定手段、前記第1の無線端末装置が前記電波制限実行区域内に居る場合に、前記無線部の送信電力をOFFに抑制する抑制実行制御信号を前記第1の無線端末装置へ送信する制御信号送信手段を有する第2の無線端末装置と、を有する発生電波制御システムであって、
前記第2の無線端末装置は、
前記判定手段による判定の結果、前記第1の無線端末装置が前記電波制限実行区域内に居る場合には、前記制御信号送信手段により、前記所定レベルの指定値を含む前記抑制実行制御信号を前記第1の無線端末装置へ送信し、
前記第1の無線端末装置は、
前記第2の無線端末装置から受信した前記抑制実行制御信号に基づいて、前記無線部の送信電力を抑制制御し、
前記第1の無線端末装置は、
前記第2の無線端末装置が有する前記登録情報と同じ登録情報を予め有しており、
前記抑制実行制御信号に基づいて前記無線部の送信電力を抑制制御している場合に、自らが受信することで取得した前記第1の無線端末装置の位置情報を、前記登録情報と比較することで、該第1の無線端末装置が前記電波制限実行区域内に居るか否かを判定し、
前記第1の無線端末装置が前記電波制限実行区域内に居ない場合、OFFに抑制制御していた前記無線部の送信電力をONにすることを特徴とする発生電波制御システム。
【請求項2】
第2の無線端末装置と無線通信処理を行う無線部を有する第1の無線端末装置と、
前記無線部をONして通常の送信電力レベルでの無線通信を可能なモードへ制御する区域を示す情報を登録情報として登録する手段、前記第1の無線端末装置と無線通信を行うことにより取得した前記第1の無線端末装置の位置情報を、前記登録情報と比較することで、該第1の無線端末装置が前記区域内に居るか否かを判定する判定手段、前記第1の無線端末装置が前記区域内に居る場合に、前記無線部をONして通常の送信電力レベルでの無線通信を可能なモードへ制御する通常送信電力レベル制御信号を前記第1の無線端末装置へ送信する制御信号送信手段を有する第2の無線端末装置と、を有する発生電波制御システムであって、
前記第2の無線端末装置は、
前記判定手段による判定の結果、前記第1の無線端末装置が前記区域内に居ない場合には、前記制御信号送信手段により、前記無線部の送信電力をOFFに抑制する抑制実行制御信号を前記第1の無線端末装置へ送信し、
前記第1の無線端末装置は、
前記第2の無線端末装置が有する前記登録情報と同じ登録情報を予め有しており、
前記第2の無線端末装置から受信した前記抑制実行制御信号に基づいて、前記無線部の送信電力を抑制制御している場合に、自らが受信することで取得した前記第1の無線端末装置の位置情報を、前記登録情報と比較することで、該第1の無線端末装置が前記区域内に居るか否かを判定し、
前記第1の無線端末装置が前記区域内に居る場合、OFFに抑制制御していた前記無線部の送信電力をONにすることを特徴とする発生電波制御システム。
【請求項3】
前記第1の無線端末装置は、
前記第2の無線端末装置から受信した前記抑制実行制御信号に基づいて前記無線部の送信電力をOFFに抑制制御している場合に、短距離無線通信規格による制御信号を受信すると、OFFに抑制制御していた前記無線部の送信電力をONにすることを特徴とする請求項1又は2記載の発生電波制御システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の発生電波制御システムで第2の無線端末装置として用いられることを特徴とする無線端末装置。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1項に記載の発生電波制御システムで第1の無線端末装置として用いられることを特徴とする無線端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−10350(P2012−10350A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161815(P2011−161815)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【分割の表示】特願2002−167810(P2002−167810)の分割
【原出願日】平成14年6月7日(2002.6.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】