説明

発電所での二酸化炭素放出量を減少させる方法

熱回収水蒸気発生器ユニットと、吸収器及び再生器付きのCOガス捕獲ユニットとに連結したガスタービンを少なくとも1つ備えた発電所でCO放出量を減少させる方法において、(a)特定高圧下のガスタービンを出る熱排気ガスを、熱回収水蒸気発生器ユニットに導入して、水蒸気、及び二酸化炭素含有煙道ガス流を生成する工程、(b)該煙道ガス流を、高操作圧下の吸収器中で吸収性液体と接触させて、二酸化炭素に富む吸収性液体及び精製煙道ガスとし、これにより二酸化炭素含有煙道ガス流から二酸化炭素を除去する工程を含み、ガスタービンを出る熱排気ガスの圧力が吸収器内の高操作圧に対し40%以上となるように、ガスタービンの設定及び/又は構造を調節することを特徴とする該方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発電所における二酸化炭素(CO)放出量を減少させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
世界のエネルギー供給のかなりの部分は、発電所における燃料、特に天然ガス又は合成ガスの燃焼により行われている。一般に燃料は、1つ以上のガスタービン中で燃焼させ、得られたガスは、水蒸気の製造に使用される。次に水蒸気は、発電に使用される。燃料の燃焼により、COが生成する。過去数十年来、大気中へのCOの放出量は、ほぼ地球規模で増加してきた。京都議定書に従って、天候の不要な変化を阻止又は阻害するため、CO放出量を減少させなければならない。
【0003】
ガスタービンの煙道ガス中のCO濃度は、燃料や利用する燃焼法及び熱回収法にもよるが、一般に比較的低く、通常、3〜15%の範囲である。したがって、全体の煙道ガスを圧縮し、堆積させるには費用がかかりすぎるので、COの放出量減少には、排気ガスからCOを分離することが望ましい。このため、煙道ガスからCOを除去し、これにより濃厚なCO流を発生させるには、専用のCO捕獲ユニットを用いるのが有利である。
【0004】
このような方法は、例えば欧州特許第1,688,173号には、海洋プラットホーム上で、吸収器及び再生器付きのCO捕獲ユニットを用いて二酸化炭素の回収及び発電を行う方法が記載されている。COを含有する排気ガスは、吸収器に入れる前に送風機を用いて加圧する。送風機を必要とするので、方法全体のコスト及び操作上の煩雑さが加わる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
COを含有する加圧排気ガスを作る際、一層簡素化した方法を達成できることが見出された。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的のため、本発明は、熱回収水蒸気発生器ユニットと、吸収器及び再生器付きのCOガス捕獲ユニットとに連結したガスタービンを少なくとも1つ備えた発電所でCO放出量を減少させる方法において、
(a)特定高圧下のガスタービンを出る熱排気ガスを、熱回収水蒸気発生器ユニットに導入して、水蒸気、及び二酸化炭素含有煙道ガス流を生成する工程、
(b)該煙道ガス流を、高操作圧下の吸収器中で吸収性液体と接触させて、二酸化炭素に富む吸収性液体及び精製煙道ガスとし、これにより二酸化炭素含有煙道ガス流から二酸化炭素を除去する工程、
を含み、ガスタービンを出る熱排気ガスの圧力が吸収器内の高操作圧に対し40%以上となるように、ガスタービンの設定及び/又は構造を調節することを特徴とする該方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本方法では、1つ以上のガスタービンを備えた発電所が使用される。通常、燃料及び酸素含有ガスはガスタービンの燃焼部に導入される。ガスタービンの燃焼部では、燃料が燃焼し、燃焼熱ガスを発生する。この燃焼熱ガスは、通常、数列に並んだ一連の膨張器羽根によりガスタービン中で膨張し、発電機により発電させるのに使用される。ガスタービン中で燃焼させる好適な燃料としては、天然ガス及び合成ガスが挙げられる。
【0008】
工程(a)では、ガスタービンを出る熱排気ガスは、熱回収水蒸気発生器ユニットに導入される。ガスタービンを出る熱排気ガスは特定の高圧状態である。この熱排気ガスの圧力は、ガスタービンの設定及び/又は構造によって決定される。例えば通常、ガスタービンは、数列に並んだ一連の膨張器羽根を有し、この膨張器羽根列の数を変えることにより、ガスタービンの背圧を増大でき、高圧の熱排気ガスが得られる。本方法ではガスタービンの設定及び/又は構造は、ガスタービンを出る熱排気ガスの圧力がCO捕獲ユニット中の吸収器の操作圧に対し40%以上となるように調節される。ガスタービンを出る熱排気ガスの圧力は、好ましくは吸収器の操作圧に対し50%以上、更に好ましくは60%以上、なお更に好ましくは70%以上である。
【0009】
ガスタービンの出力を決定する要因の1つは、ガスタービンの入口と出口との圧力差である。特定の理論に束縛されたくないが、高出力になるほど、更にかなりの圧力差が生じるものと推定される。更にかなりの圧力差とは、普通、ガスタービンの入口圧は高く、かつ出口圧はできるだけ周囲に近いことを意味する。本方法ではガスタービンの設定及び/又は構造は、出口圧が故意に高くなるように調節される。これは出口圧を周囲圧よりも高くすることを意味する。その結果、ガスタービンの出力は、出口圧が周囲圧に近いガスタービンに比べて僅かに低下する。ガスタービンの僅かな出力低下にも拘わらず、CO捕獲ユニットに対するエネルギー要求はそれ程低下しないので、本方法はなお一層好都合であることが見出された。こうして、煙道ガスはCO捕獲ユニットの吸収器に入る前に、加圧する必要が殆どないか、全くない。したがって、普通は、CO吸収器に入る前の煙道ガス流の加圧に必要な高価で、かつエネルギーを消費する設備はなくてよい。
【0010】
熱排気ガスの温度は好ましくは350〜700℃、更に好ましくは400〜650℃の範囲である。熱排気ガスの組成は、ガスタービン中で燃焼する燃料ガス及びガスタービン中の条件によって変化する。一般に熱排気ガスはOを10〜15%の範囲で含有する。一般に熱排ガスはCOを3〜6%の範囲で含有する。
【0011】
熱回収水蒸気発生器ユニットは、熱排気ガスから熱を回収すると共に、この熱を水蒸気に変換するための手段を備えたユニットである。例えば熱回収水蒸気発生器ユニットは、層状に載せた複数の管を備えることができる。水をポンプ送りし、管中を循環させ、高温高圧下に保持できる。熱排気ガスは管を加熱して、水蒸気を生成するのに使用される。熱回収水蒸気発生器ユニットは、1種、2種又は3種の水蒸気、即ち、高圧水蒸気、中圧水蒸気及び低圧水蒸気を生成するように設計できる。
【0012】
高圧水蒸気は、発電に使用できるので、水蒸気発生器は少なくとも特定量の高圧水蒸気を生成するように設計することが好ましい。高圧水蒸気の圧力は、好適には90〜150バール(絶対圧)、好ましくは90〜125バール(絶対圧)、更に好ましくは100〜115バール(絶対圧)の範囲である。低圧水蒸気も生成することが好ましく、低圧水蒸気の圧力は好ましくは2〜10バール(絶対圧)、更に好ましくは〜8バール(絶対圧)、なお更に好ましくは4〜6バール(絶対圧)の範囲である。この低圧水蒸気は、COを含有する吸収性液体の再生に使用される。
【0013】
好ましい実施態様では、追加の水蒸気を生成するため、熱回収水蒸気発生器中で或る量の燃料を燃焼させる。本実施態様は、熱回収水蒸気発生器ユニットに加える燃料の量を調節して、熱回収水蒸気発生器ユニットで生成する水蒸気の量及び種類を制御する可能性を与える。熱回収水蒸気発生器ユニットから加熱用水蒸気をCO捕獲ユニットに搬送するため、低圧水蒸気配管を使用することが好ましい。好適には低圧水蒸気配管は、プロセス熱交換器で使用される水蒸気から発電に使用される生成水蒸気を隔離するため閉ループ中に配置される。
【0014】
熱回収水蒸気発生器ユニットは、COを含有する煙道ガスを放出する。煙道ガスの組成は、特にガスタービンに使用される燃料の種類による。煙道ガスは、COを好適には0.25〜30%(v/v)、好ましくは1〜20%(v/v)の範囲で含有する。煙道ガスは、通常、酸素も好ましくは0.25〜20%(v/v)、更に好ましくは5〜15%(v/v)、なお更に好ましくは1〜10%(v/v)の範囲で含有する。
【0015】
工程(b)では、煙道ガスを吸収器中、吸収性液体と好適な圧力で接触させると、COは除去される。好適には吸収は、比較的低温で高操作圧で行われる。高圧とは、CO吸収器の操作圧が周囲圧よりも高いことを意味する。吸収器の操作圧は、好ましくは50〜200ミリバール(ゲージ圧)、更に好ましくは70〜150ミリバール(ゲージ圧)の範囲である。煙道ガスは既に高圧なので、煙道ガス圧と吸収器の操作圧との圧力差は、比較的小さい。したがって、吸収器に入れる前に、煙道ガスは加圧する必要がないか、或いは加圧するとしても少しだけでよい。加圧すべき煙道ガスが大量でも、小型の送風機を用いるか、或いは送風機を必要とすることがないので、一般に全体のプロセスでかなりのコストが節約される。煙道ガスの温度は、通常、比較的高いので、煙道ガスは、吸収器に入れる前に冷却することが好ましい。
【0016】
吸収性液体は、酸素及び比較的低濃度のCOを含む煙道ガス流からCOを除去できるいかなる好適な吸収性液体であってもよい。このような吸収性液体としては、化学溶剤、物理溶剤又はそれらの組み合わせが挙げられる。
好適な物理溶剤としてはポリエチレングリコールのジメチルエーテル化合物が挙げられる。
好適な化学溶剤としてはアンモニア及びアミン化合物が挙げられる。
【0017】
一実施態様では、吸収性液体は、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン(DEA)、ジグリコールアミン(DGA)、メチルジエタノールアミン(MDEA)及びトリエタノールアミン(TEA)の群から選ばれた1種以上のアミンを含む。MEAは、COを比較的高い割合(MEA 1容量当たりCO容量)で吸収する能力を有するため、特に好ましいアミンである。したがって、MEAを含む吸収性液体は、低濃度、通常、3〜10容量%のCOを有する煙道ガスからCOを除去するのに好適である。
【0018】
他の一実施態様では、吸収性液体は、メチルジエタノールアミン(MDEA)、トリエタノールアミン(TEA)、N,N’−ジ(ヒドロキシアルキル)ピペラジン、N,N,N’N’−テトラキス(ヒドロキシアルキル)−1,6−ヘキサンジアミン及びt−アルキルアミンスルホン酸化合物の群から選ばれた1種以上のアミンを含む。
【0019】
N,N’−ジ(ヒドロキシアルキル)ピペラジンは、好ましくはN,N’−ジ(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン及び/又はN,N’−ジ(3−ヒドロキシプロピル)ピペラジンである。
N,N,N’N’−テトラキス(ヒドロキシアルキル)−1,6−ヘキサンジアミンは、好ましくはN,N,N’N’−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)−1,6−ヘキサンジアミン及び/又はN,N,N’N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)−1,6−ヘキサンジアミンである。
【0020】
t−アルキルアミンスルホン酸化合物は、好ましくは4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンプロパンスルホン酸、4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−(2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)及び1,4−ピペラジンジ(スルホン酸)の群から選ばれる。
更に他の一実施態様では吸収性液体はN−エチルジエタノールアミン(EDEA)を含む。
【0021】
特に好ましい実施態様では、吸収性液体はアンモニアを含む。
煙道ガスが少量、好適には1〜20%(v/v)の範囲の酸素を含有する場合、吸収性液体に腐蝕防止剤を添加することが好ましい。好適な腐蝕防止剤は例えば米国特許第6,036,888号に記載されている。
【0022】
殆どの場合、本方法は吸収性液体の再生工程を含む連続法が望ましい。したがって、本方法は、再生器中、二酸化炭素に富む吸収性液体を高温でストリッピングガスと接触させて再生吸収性液体、及び二酸化炭素に富むガス流を得る、二酸化炭素に富むガス流の再生工程(c)を更に含むことが好ましい。再生に使用される条件は、特に吸収性液体の種類及び吸収工程で使用した条件によることは理解されよう。好適には再生は、吸収とは異なる温度及び/又は異なる圧力で行う。
【0023】
吸収性液体がアミンを含む場合、好ましい再生温度は100〜200℃の範囲である。吸収性液体が水性アミンを含む場合、再生は1〜5バール(絶対圧)の範囲で行うことが好ましい。
【0024】
吸収性液体がアンモニアを含む場合、吸収工程は好適には周囲温度未満、好ましくは0〜10℃、更に好ましくは2〜8℃の範囲で行われる。再生工程は好適には吸収工程の場合よりも高い温度で行われる。アンモニアを含む吸収性液体を用いる場合、再生器を出るCOに富むガス流は高温である。COに富むガス流の圧力は好適には5〜8バール(絶対圧)、好ましくは6〜8バール(絶対圧)の範囲である。COに富むガス流を高圧で使用する必要がある用途、例えば地下の地層に注入する場合、COに富むガス流は、既に高温であるという利点がある。普通、COに富むガス流を所望の圧力に加圧するには、一連の圧縮機を必要とする。既に高圧にあるCOに富むガス流を更に加圧するのは一層容易である。
【0025】
本方法は、或る量の燃料を熱回収水蒸気発生ユニット中で燃焼させて、追加の水蒸気を生成する工程(d)を任意に更に含む。再生工程での熱要件は、追加量の水蒸気を用いて少なくとも部分的に満たされる。燃料の燃焼量は、水蒸気の追加量が吸収性液体の再生に必要な熱の好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上、なお更に好ましくは95%以上、最も好ましくは100%供給するのに充分であるような量である。
【0026】
工程(d)を行う好ましい方法は、熱回収水蒸気発生器ユニットで発生した電力(power)をモニターし、電力量によって、熱回収水蒸気発生器ユニットへの燃料の導入量を調節することである。前述のように熱回収水蒸気発生器ユニットでは、水蒸気タービン中で好ましくは高圧の水蒸気が生成し、この高圧水蒸気は、例えば水蒸気タービンに連結した発電機により電力に変換される。水蒸気タービンに連結した発電機の電力出力は、CO捕獲ユニットの操作中は、CO捕獲ユニットの再生器の加熱に必要な熱回収水蒸気発生器ユニットからの水蒸気の抽出量のため、低下する。熱回収水蒸気発生器ユニットの水蒸気タービンに連結した発電機の電力出力をモニターすれば、熱回収水蒸気発生器ユニットでの燃料の燃焼量を調節できる。出力が低下する場合は、燃料の燃焼量を増加できる。水蒸気タービンに連結した発電機の電力出力を余り落とさずにCO捕獲ユニットの再生器の熱要件を満足できるようにするため、燃料の燃焼量を予備設定することが好ましい。CO捕獲ユニットを操作していない時は、水蒸気タービンに連結した発電機の電力出力を基本ケースとみなし、次いで、同じ出力を得るために、燃料の燃焼量が決められる。
【0027】
熱回収水蒸気発生器ユニットでの燃焼に好適な燃料としては、天然ガス及び合成ガスが挙げられる。
工程(d)で或る量の燃料を燃焼させるには、酸素の存在が必要である。この酸素は熱回収水蒸気発生器ユニットに供給できるが、熱排気ガスは酸素を含有し、この酸素の少なくとも一部を工程(d)において燃料の燃焼に使用することが好ましい。熱排気ガスからの酸素を使用する結果、熱回収水蒸気発生器ユニットを出る煙道ガス中の酸素の量は減少する。これは、特にアミン系吸収性液体を用いた場合のCO吸収プロセスに好ましい。酸素はアミンの分解を誘引すると共に、吸収性液体中に分解生成物を形成できる。したがって、煙道ガス中の酸素含有量が少ないと、アミンの分解は減少するし、分解生成物の形成も少なくなる。
【0028】
二酸化炭素に富むガス流は、二酸化炭素圧縮機を用いて加圧され、加圧二酸化炭素流を生成する。二酸化炭素圧縮機は駆動する必要があるが、熱回収水蒸気発生器ユニット中で生成した水蒸気の一部を二酸化炭素圧縮機の駆動に使用すれば、見事な熱の統合が達成される。
【0029】
加圧CO流は、好ましくは40〜300バール(絶対圧)、更に好ましくは50〜300バール(絶対圧)の範囲の圧力を有する。このような好ましい範囲の圧力を有するCO流は、多くの目的、特に石油や石炭床メタンの回収増進又は地下の地層での隔離に使用できる。特に加圧CO流を地下の地層に注入する目的には、高圧が必要である。好ましい実施態様では、加圧CO流は石油の回収増進に使用される。COを油層に注入すれば、石油の回収速度は増大できる。通常、加圧CO流は油層に注入され、ここに存在する石油の若干量と混合される。このCOと石油との混合物は、慣用の注入法では置換(displace)できない石油を置換させる。
以下に本発明を添付の図1を参照して、単に例示により説明する。
【実施例】
【0030】
図1に、ガスタービン(1)、熱回収水蒸気発生器ユニット(2)及びCO捕獲ユニット(3)を備えた発電所を示す。ガスタービンでは、酸素含有ガスがライン4経由で圧縮機5に供給される。燃焼器7には燃料がライン6経由で供給され、圧縮酸素含有ガスの存在下で燃焼する。得られた燃焼ガスは膨張器8中で膨張し、発電機9での発電に使用される。CO及び酸素を含む残りの排気ガスは、ライン10経由で熱回収水蒸気発生器ユニット2に案内される。熱回収水蒸気発生器ユニットでは、加熱部11中の熱排気ガスにより水が加熱され、水蒸気を発生する。この水蒸気はライン12経由で水蒸気タービン13に案内され、発電機14で追加の電力を生成する。任意に或る量の燃料がライン15経由で熱回収水蒸気発生器ユニットに案内され、排気ガスからの酸素を用いて燃焼し、追加の水蒸気を生成する。CO及び酸素を含有し圧力が増大した熱煙道ガスは、ライン16経由でアミン系吸収器17に案内される。熱煙道ガスは、まず冷却器(図示せず)で冷却することが好ましい。アミン系吸収器17内でCOは、煙道ガスからアミン系吸収器に含まれるアミン液に移行する。二酸化炭素が欠乏した精製煙道ガスは、アミン系吸収器17からライン18経由で案内される。COに富むアミン液はアミン系吸収器からライン19経由で再生器20に案内される。再生器ではCOに富むアミン液は、脱圧され、高温でストリッピングガスと接触し、これによりCOをアミン液からストリッピングガスに移行させ、再生アミン液と、COに富むガス流とが得られる。COに富むガス流は、CO圧縮機(図示せず)を用いて加圧し、この加圧CO流はどこか他の所で使用することが好ましい。再生アミン液は再生器からライン22経由でアミン系吸収器に案内される。COに富むガス流は、再生器からライン21経由で案内される。再生アミン液は、再生器からライン22経由でアミン系吸収器に案内される。再生器の高温を供給するのに必要な熱は、水蒸気タービン13からライン23経由で再生器に案内された低圧水蒸気を用いて供給される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】ガスタービン、熱回収水蒸気発生器ユニット及びCO捕獲ユニットを備えた発電所を示す。
【符号の説明】
【0032】
1 ガスタービン
2 熱回収水蒸気発生器ユニット
3 CO捕獲ユニット
5 圧縮機
7 燃焼器
8 膨張器
9 発電機
13 水蒸気タービン
14 発電機
17 アミン系吸収器
20 再生器
【先行技術文献】
【特許文献】
【0033】
【特許文献1】欧州特許第1,688,173号
【特許文献2】米国特許第6,036,888号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱回収水蒸気発生器ユニットと、吸収器及び再生器付きのCOガス捕獲ユニットとに連結したガスタービンを少なくとも1つ備えた発電所でCO放出量を減少させる方法において、
(a)特定高圧下のガスタービンを出る熱排気ガスを、熱回収水蒸気発生器ユニットに導入して、水蒸気、及び二酸化炭素含有煙道ガス流を生成する工程、
(b)該煙道ガス流を、高操作圧下の吸収器中で吸収性液体と接触させて、二酸化炭素に富む吸収性液体及び精製煙道ガスとし、これにより二酸化炭素含有煙道ガス流から二酸化炭素を除去する工程、
を含み、ガスタービンを出る熱排気ガスの圧力が吸収器内の高操作圧に対し40%以上となるように、ガスタービンの設定及び/又は構造を調節することを特徴とする該方法。
【請求項2】
前記ガスタービンを出る熱排気ガスの圧力が吸収器内の高操作圧に対し50%以上、好ましくは60%以上、更に好ましくは70%以上である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記吸収器内の高操作圧が、50〜200ミリバール(ゲージ圧)、好ましくは70〜150ミリバール(ゲージ圧)の範囲である請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
(c)前記二酸化炭素に富む吸収性液体を、再生器中、高温でストリッピングガスと接触させて、再生吸収性液体、及び二酸化炭素に富むガス流とし、これにより二酸化炭素に富む吸収性液体を再生する工程を更に含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
(d)二酸化炭素圧縮機、好ましくは前記熱回収水蒸気発生器ユニット中で生成した水蒸気の第一部分を使用して駆動する二酸化炭素圧縮機を使用して、前記二酸化炭素に富むガス流を加圧する工程を更に含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
追加量の水蒸気を生成するため、前記熱回収水蒸気発生器ユニット中で或る量の燃料を燃焼させ、この時、熱回収水蒸気発生器ユニットでの燃料の燃焼量は、好ましくは、水蒸気の追加量が吸収性液体の再生に必要な量の80%以上を供給するのに充分であるような量である請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記熱回収水蒸気発生器ユニット中で生成した水蒸気の少なくとも一部が、高圧流、好ましくは90〜125バール(絶対圧)、更に好ましくは100〜115バール(絶対圧)の範囲の圧力を有する高圧流である請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記二酸化炭素に富む加圧ガス流が、オイル回収を増進するために使用される請求項5〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記吸収性液体が、アミン、好ましくはモノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン(DEA)、ジグリコールアミン、(DGA)、メチルジエタノールアミン(MDEA)、トリエタノールアミン(TEA)、N−エチルジエタノールアミン(EDEA)、N,N’−ジ(ヒドロキシアルキル)ピペラジン、N,N,N’,N’−テトラキス(ヒドロキシアルキル)−1,6−ヘキサンジアミン及びt−アルキルアミンスルホン酸化合物よりなる群から選ばれた1種以上のアミンである請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記吸収性液体が物理溶剤又はアンモニアを含む請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2010−516941(P2010−516941A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−546747(P2009−546747)
【出願日】平成20年1月23日(2008.1.23)
【国際出願番号】PCT/EP2008/050735
【国際公開番号】WO2008/090168
【国際公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(390023685)シエル・インターナシヨネイル・リサーチ・マーチヤツピイ・ベー・ウイ (411)
【氏名又は名称原語表記】SHELL INTERNATIONALE RESEARCH MAATSCHAPPIJ BESLOTEN VENNOOTSHAP
【Fターム(参考)】