説明

皮膚ケア特性を有する毛剃り組成物

本出願は、損傷を受けた皮膚の回復および皮膚保湿の改善のための組成物および方法に関する。好ましくは揮発性炭化水素噴射剤を含む、毛剃り組成物、特に乳液が示される。毛剃りされた皮膚のpHを、塗布直後に4〜5の所望の値にまで至らせて皮膚修復特性を高めるために、揮発性窒素塩基が毛剃り組成物に組込まれる。好ましくは、毛剃り組成物はソープフリーであるが、ソープの毛剃りの利点およびpH制御システムの皮膚ケアの利点を有するようなアルカリ性pH範囲にある。有利には、本発明に従う毛剃り組成物は、ツーインワンのシェイブアンドアフターシェイブ製品、デオドラントアンドシェイブ製品およびシャワーアンドシェイブ製品などのツーインワン製品として使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本質的にソープフリーの毛剃り組成物の分野にある。本発明はさらに、毛剃り皮膚ケア製品の製造における、特に、湿式毛剃りの準備および実行における、ならびに毛剃りなどの機械的および/または化学的プロセスに由来する皮膚損傷の軽減および/または修復における、乳液組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
機械的または電気的な湿式毛剃りにおける使用のための、種々の毛剃り組成物が存在する。毛剃り組成物は概して、湿式のソープラザー、インスタントフォームなどの泡、後発泡ジェルなどのジェル、オイルなどの塗布によって、カットされる前に毛を軟化させる働きをする。これらのほとんどは、毛剃り後の皮膚を落ち着かせるために、または毛剃り後の皮膚の調子を整えるために、毛剃り後の皮膚ケアを別途必要とする。
【0003】
これらが販売されるにつれ、双方の機能、すなわち除毛の促進および毛剃り後の皮膚ケア、に向けられる組成物もある。
【0004】
これに関する参照は、たとえば、King of Shaves WomanのShave & Refresh Shaving
Gelであり、これは、快適な毛剃りおよび皮膚の保湿を提供する。類似のシステムが利用可能であり、合成(コ)ポリマ(たとえばアクリレート/C10−30アクリル酸アルキルクロスポリマ)または他のゲル化剤を用いる、ポリマ増粘化ゲルシステムを含む。
【0005】
毛剃りの特性と毛剃り後の特性との組合せは、US2003/143253 A1号などに開示される異なる解決手段でも、注目を集めてきた。ステアリン酸とグリセリンとの組合せ、または同等の成分との組合せが、毛剃りの不所望の皮膚損傷の影響を軽減する働きをする。
【0006】
毛剃りは、皮膚の様々な層の除去を引き起こし、皮膚のバリア機能の損失をもたらし、この損失は、皮膚の乾燥、ならびに潜在的に有害な微生物の定着への抵抗性の低下および侵入の容易化を導くことが充分認められている。ゆえに、医療、美容および衛生の視点から、皮膚のバリア機能の迅速な回復が求められる。さらに、皮膚は、充分なバリア機能を有するのに適した水分含量を有する必要があることが認められている。
【0007】
さらなる背景技術として、US5,500,211号が参照される。これは、水、水溶性のN−アシルサルコシン酸の塩、炭化水素の揮発性混合物、および非揮発性のパラフィン系炭化水素流体を含む、ソープフリーの自己発泡毛剃りジェルに関する。アシルサルコシン酸塩は、塩基、好ましくはトリエタノールアミンで中和される。生じた組成物のpHは、4〜8の範囲である。
【0008】
ソープフリーの毛剃り組成物の別の背景技術の参照は、EP034126号である。これらの組成物は本質的に、少なくとも1つの四級アンモニウム性窒素を含むカチオン性化合物を含み、pHが2〜7の範囲である。
【発明の概要】
【0009】
毛剃りプロセスにおいて助力となるだけでなく、特定のタイプの皮膚ケア製品として、たとえば毛剃りによって生じた機械的または化学的損傷後の皮膚のバリア機能の迅速な回復に寄与する、毛剃り製品を提供することが有利であろう。
【0010】
これらの所望により一層取組むために、本発明は、1つの態様において、全組成物の重量比で、50〜90重量%の水、1〜15重量%の保湿剤、0.1〜20重量%の界面活性剤および/または泡安定剤、5重量%までの、増粘剤、粘度強化剤またはレオロジ調整剤などの構造化剤、ならびに0.01〜6重量%の揮発性窒素塩基を含む、本質的にソープフリーの毛剃り組成物を提示している。
【0011】
別の態様において、本発明は、全組成物の重量比で、50〜90重量%の水、3〜20重量%の、炭化水素油、植物油、合成油およびシリコン油の混合物、1〜15重量%の保湿剤、20重量%までの界面活性剤および/または泡安定剤、5重量%までの、増粘剤、粘度強化剤またはレオロジ調整剤などの構造化剤、ならびに0.01〜6重量%の揮発性窒素塩基を含む、本質的にソープフリーの乳液の形態の毛剃り組成物である。
【0012】
さらなる態様において、本発明は、特に毛剃りによる、除毛に先立ち、人の皮膚への塗布用の本質的にソープフリーの乳液の製造における揮発性窒素塩基の使用を提供する。
【0013】
さらに別の態様において、本発明は、ツーインワンの毛剃り用および毛剃り後用組成物の製造のための、前述の成分を含む本質的にソープフリーの乳液の使用である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】種々の毛剃りフォームおよびジェルエアロゾルシステムの泡密度。
【図2】揮発性炭化水素噴射剤混合物の重量%の関数として表した、1.7%の界面活性剤を含む毛剃り組成物(実施例1a)の密度。
【図3】界面活性剤の重量%の関数として表した、3.6%の揮発性炭化水素噴射剤混合物を含む毛剃り組成物(実施例1a)の密度。
【図4】炭化水素噴射剤におけるイソペンタンおよび(イソ)ブタンの割合の関数として表した、3.6%の揮発性炭化水素噴射剤混合物を含む毛剃り組成物(実施例1a)の密度。
【図5】塗布中に塗布された製品の%の関数として表した、4%の揮発性炭化水素噴射剤混合物を含む毛剃り組成物(実施例1b)の密度。
【図6】皮膚バリアの回復に及ぼす毛剃り組成物(実施例1)の影響。
【図7】皮膚水分に及ぼす毛剃り組成物(実施例1)の影響。
【図8】皮膚修復および皮膚pH特性に及ぼす毛剃り組成物(実施例1および実施例2)の影響。
【図9】皮膚pHに及ぼす毛剃り組成物(実施例1および実施例2)の影響。
【図10】塗布中および塗布直後の皮膚pHに及ぼす毛剃り組成物(実施例3a〜実施例3dおよび実施例4)の影響。
【図11】塗布中および塗布直後の皮膚pHに及ぼす毛剃り組成物(実施例3e〜実施例3f)の影響。
【発明を実施するための形態】
【0015】
概して、本発明は、毛剃り組成物を、好ましくは、揮発性窒素塩基を含む、本質的にソープフリーである乳液組成物を、提供する。用語「本質的にソープフリー」は、組成物が完全にソープフリーであり得ること、またはソープの知られている皮膚への典型的な負の効果を避けるのに充分に低い量のソープを含み得ること、を示すのに使用される。2重量%までの濃度で利用される場合、特に濃度が最大1重量%である場合、ソープの泡安定化特性などの有益な効果がこの負の効果を上回ると考えられる。たとえば、このような低ソープ組成物において、ソープは、トリエタノールアミンまたは水酸化ナトリウムなどの塩基性物質を、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、オレイン酸またはココナッツ油脂肪酸などの高級脂肪酸と反応させることによって、in situで調製されてよい。好ましくは、脂肪酸を完全に中和させるために、およびpHを所望の値に調整するために、過剰のアルカリ性物質が付加されてよい(図10、3f参照)。
【0016】
比較のために、現在販売される毛剃りフォームおよび毛剃りジェルエアロゾルは、8〜20重量%のソープ濃度を含む。
【0017】
揮発性窒素塩基は、本発明の組成物において、組成物の皮膚修復特性を高めるために含まれる。組成物の皮膚への塗布後、揮発性窒素塩基および水の蒸発によって、皮膚のpHは、4.0〜5.0、好ましくは4.2〜4.9の範囲の値となる。このpH範囲は、皮膚のバリア機能の最適な回復を促進する。言い換えれば、本発明に従う乳液組成物は有利に、皮膚のpHを所望の値にする。揮発性窒素塩基は、皮膚pH制御剤として機能し、塗布後5〜10分以内に皮膚のpHを所望の値にする。
【0018】
本発明に従う毛剃り組成物は、1またはそれ以上の方法で皮膚のバリア機能に魅力的かつ有益な効果を及ぼす。特に、好ましい乳液組成物は、以下の機能の少なくとも1つに強化効果を及ぼすことがわかった。
(i)角質層のより深い層において通常見られるケラチン生成細胞を埋め込む二層シートを形成する、ケラチン生成細胞および表皮脂質によって実現される物理化学的バリア、
(ii)(角質層の表面での)微生物学的バリア、および
(iii)(特に、角質層の上層における)強く、平滑な、連続した、かつ可撓性のある皮膚状態を維持するのに適したホメオスタシス。
【0019】
皮膚において、皮膚表面から最も深い層までpH勾配が存在する。表面のpHは、pHが内部体液のpHに達する(角質層および顆粒層などの)より深い部分よりも、ほぼ必ず低い。
【0020】
あらゆる理論に制約されたいのではないが、皮膚のバリア機能に及ぼす本発明の毛剃り組成物の正の効果は、皮膚の全般的な層のpHを中立の(すなわち、非病的な)値に回復および/または維持する能力に部分的に起因すると、本発明者らは考えている。ゆえに、本発明に従う組成物は、皮膚の完全性の維持を助ける平衡効果を、皮膚に及ぼすことがわかった(図6〜図9参照)。
【0021】
本発明の本質的にソープフリーの組成物は、概して、(電気毛剃り前ローションなどの)ローション、ポリマ増粘化ゲルシステムまたは乳液であり得る。
【0022】
本発明は好ましくは、本質的にソープフリーの乳液の形態の毛剃り組成物である。組成物の種々の成分は、以下で議論する。示される割合は、組成物の総重量に基づく重量比である。
【0023】
様々な種類の毛剃り組成物は、概して皮膚から除毛する際に剃刀刃を支持する働きをするという共通点がある。このために、毛剃り組成物は、二重の機能を得るための、すなわち、毛を軟化させ(水、界面活性剤/ソープ)、かつ毛剃り金物類と顔との間で滑剤(炭化水素油、シリコン油)として機能するための、1またはそれ以上の成分を含む。これらの機能を発揮することができる1またはそれ以上の成分について、湿式毛剃りまたは電気毛剃りにおける使用のための種々のタイプの毛剃り組成物は、Harry’s Cosmeticology(Rieger M.M.(編)、Chemical Publishing Co. Inc.、ニューヨーク、501−522頁(2000年))が参照される。
【0024】
毛剃り組成物は、本発明において記載されるように、従来的にソープに基づき、皮膚ケアの利点(皮膚修復および長期の保湿)を提供しない、従来のブラシレスの毛剃りクリームの形態であり得る。
【0025】
本発明における毛剃り組成物の効果は、乳液成分の特定の組合せが用いられる場合に、もっともよく実現することができる。したがって、好ましい実施形態において、本発明は、pH値が4〜12の範囲にある組成物の、皮膚ケア特性を有する毛剃り組成物における使用に関し、この組成物は、50〜90重量%の水、3〜20重量%の量の炭化水素油とシリコン油との混合物、0.01〜6.0重量%の量の揮発性窒素塩基またはその塩、最大20重量%の量の界面活性剤(発泡剤)および/または泡安定剤、最大5重量%、好ましくは最大15重量%の量の、増粘剤、粘度調整剤もしくは稠度強化剤のいずれか、またはそれらの組合せである構造化剤、最大1.5重量%の量の香料、1〜15重量%、好ましくは最大10重量%の量の保湿剤、最大5重量%の量の収斂添加剤、最大5重量%の量の生物活性添加剤、最大5重量%の量の緩衝化剤または塩基、ならびに最大5重量%の量の揮発性炭化水素噴射剤、を含み、全重量は総乳液組成物に基づいている。最後に、本発明における毛剃り組成物は、皮膚pHを効率的に制御し、本質的にソープフリーである。
【0026】
本発明に従う好ましい乳液組成物中の水の量は、総乳液組成物に基づいて、適切には50〜90重量%の範囲であることができ、好ましくは65〜75重量%の範囲である。
【0027】
本発明の好ましい乳液組成物は、3〜20重量%の、炭化水素油、植物油、合成油およびシリコン油の混合物を含む。好ましくは、炭化水素油およびシリコン油の混合物が、総乳液組成物に基づいて5〜15重量%の範囲の量で存在する。油混合物は好ましくは、45〜95重量%、好ましくは60〜85重量%の割合で炭化水素油を、および5〜55重量%、好ましくは15〜40重量%の割合でシリコン油を含む。油は好ましくは、シクロペンタシロキサンなどのシリコン油の群と、ペトロラタムおよびイソヘキサデカンを始めとする流動パラフィン、(分岐)パラフィンなどの炭化水素油または鉱油の群と、から選ばれる。
【0028】
使用される窒素塩基は、揮発性窒素塩基である。本発明との関連で、このことは、窒素塩基が200℃未満、好ましくは100℃未満、より好ましくは65℃未満の沸点であることを意味する。揮発性窒素塩基は好ましくは、アンモニア、モノエタノールアミン、アルキル基が1〜4の炭素原子を有するアルキルアミン、およびこれらの混合物から成る群から選ばれる。より好ましくは、揮発性窒素塩基はアンモニアである。
【0029】
本発明に従えば、揮発性窒素塩基は塩の形態で存在することができる。このような塩の適切な例は、たとえば、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウムおよび乳酸アンモニウムを含む。
【0030】
揮発性窒素塩基またはその塩は適切には、総乳液組成物の0.01〜6重量%の量で存在することができる。好ましくは、揮発性窒素塩基またはその塩は、0.01〜4重量%、より好ましくは0.5〜3重量%の量で、存在する。
【0031】
本発明の乳液組成物は好ましくは、最大20重量%の量で、1またはそれ以上の乳化剤および/または界面活性剤および/または泡安定剤を含む。
種々の乳化剤、界面活性剤および/または泡安定剤を使用することができるが、当業者は、代替物を容易に見出すことができ、以下のリストはいくつかの可能性を説明する。使用可能な乳化剤の例は、セテアレス−20、セテアレス−12、セチルヒドロキシエチルセルロース、パルミチン酸ヘキシルデシル、パルミチン酸セチル、ジステアリン酸ペンタエリスリチル、セテアリル硫酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセリル、セテアリルグルコシドである。加えて、アニオン性、カチオン性もしくは非イオン性の界面活性剤のいずれか、またそれらの組合せを発泡剤として使用することができ、例としてラウレス硫酸ナトリウム、ココアミドプロピルベタイン、ココグルコシド、ココイルイセチオン酸ナトリウムがある。生じた泡を安定化させるために、脂肪アルコール(たとえばセチル/ステアリルアルコール、セテアリルアルコール)および種々のタイプのたんぱくの群から成る泡安定剤を使用することができる。
【0032】
好ましい乳液組成物は、最大12重量%までの界面活性剤を含む。より好ましくは、システムは、最大8重量%までの界面活性剤を含む。
【0033】
本発明に従って使用される構造化剤(増粘剤/粘度強化剤/レオロジ調整剤)または構造化剤の混合物は、総乳液組成物に基づいて最大5重量%の量で存在する。使用される増粘剤/粘度強化剤/レオロジ調整剤は適切には、セルロースポリマ(たとえばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース)、多糖類グアガム(たとえばキサンタンガム、カラギナンガム、グアガム)、もしくは合成(コ)ポリマ(たとえばアクリレート/C10−30アクリル酸アルキルクロスポリマ、カルボマ)および/または種々のポリマの混合物から成る群から選ばれ、適切なレオロジ調整剤はたとえばジステリン酸PEG 150である。
【0034】
加えて、本発明の組成物は適切には、香料を含むことができる体への塗布または毛剃り後に使用するのに周知のあらゆる香料を、この目的のために使用することができる。使用される香料は適切には、総乳液組成物に基づいて最大1.5重量%の量で存在する。
【0035】
本発明に従う組成物はさらに、皮膚の水分の保持を促進する保湿剤を含む。本組成物において使用される保湿剤は適切には、グリコール、アミノ酸、水酸化化合物、尿素、ピロリジンカルボン酸、およびそれらのあらゆる組合せから成る群から選ぶことができる。適切な保湿剤の例は、グリセロールおよびソルビトールを含む。好ましくは、本発明に従って使用される保湿剤は、グリセロールもしくはソルビトールおよび/または双方の混合物である。適切には、保湿剤は、総組成物に基づいて1〜15重量%の範囲の量で存在する。好ましくは、保湿剤は、総組成物に基づいて4〜10重量%の範囲の量で存在する。
【0036】
適切には、本乳液組成物は、収斂添加剤を含む。このような収斂添加剤は、皮膚を引き締める。適切には、収斂添加剤は、金属塩、タンニンおよびヘイゼル抽出物から成る群から選ばれる。好ましくは、収斂添加剤は、可溶性アルミニウム塩または可溶性亜鉛塩である。より好ましくは、収斂添加剤は、硫酸アルミニウムまたは硫酸亜鉛である。収斂添加剤は適切には、総組成物に基づいて、5重量%の量まで、好ましくは0.3〜5重量%、より好ましくは0.5〜3重量%存在する。
【0037】
加えて、組成物は適切には、細菌増殖を制御する生物活性剤および/または防腐剤を含むことができる。適切には、たとえばトリクロサン、ファルネソール、エチルヘキシルグリセリンなどの生物活性添加剤、またはたとえば硫酸亜鉛もしくはコセスラウレス亜鉛(zinc coceth laureth)などの亜鉛化合物である。適切な防腐剤は、例えば、メチルパラベンナトリウム、エチルパラベンナトリウムおよびフェノキシエタノールの混合物である。生物活性添加剤は適切には、0.3〜5重量%の量で、または好ましくは0.5〜3重量%の量で存在し、防腐添加剤は適切には0.2〜1.5重量%の量で存在する。
【0038】
本発明の組成物は好ましくは、pHが4〜8である。その場合、組成物、好ましくは乳液は、モノ−、ジ−およびトリ−カルボン酸ならびにそれらの塩、ならびに置換モノ−およびジ−カルボン酸ならびにそれらの塩から成る群から選ぶことができる緩衝化剤を含む。好ましくは、緩衝化剤は、乳酸/乳酸塩およびコハク酸/コハク酸塩である。最も好ましくは、緩衝化剤は乳酸/乳酸塩である。
【0039】
初期pHがより高いと、除毛プロセスに有利に働く。処理後、顎鬚は、毛の外表面からの皮脂の除去によって促進される水分摂取によって軟化し、その後、塩基性の乳液組成物環境内に広がり、より快適な、より摩擦の少ない、かつより深い毛剃りを可能とする。このために、本発明の好ましい実施形態は、揮発性窒素塩基のpHが8〜12のであり、通常、除毛が行われる期間、たとえば毛剃りの最初の1〜5分間、初期のpHを8よりも大きく維持することができる、ソープフリーの水中油型乳液である。毛剃り直後に、ソープフリーの水中油型乳液は、皮膚pHの値を5〜10分以内に5未満に低下させ始め、皮膚pHを、皮膚バリアの回復に最適な範囲内、すなわちpH4〜5にすることができる。毛剃り組成物が本質的にソープフリーである実施形態に本発明のこの態様を与えることによって、皮膚の回復への寄与に加えて、特別な利益を得ることができる。これは、高いpHのソープ組成物による毛剃りの正の態様が維持されながら、ソープの皮膚乾燥効果が回避される(さらに、保湿剤組成物の好ましい実施形態において、もっと改良される)という事実に言及している(図10参照)。
【0040】
通常、適切な毛剃り組成物について、本発明の組成物は、たとえばクリームの形態である場合、皮膚への塗布によって密度の低下を達成することができる。界面活性剤の量に応じて、皮膚への塗布後の密度は概して1.04〜0.70g/mlとなる。
【0041】
好ましくは、特に乳液組成物の実施形態において、本発明に従う組成物は、圧縮空気、ジメチルエーテル(DME)、または、好ましくは4〜6の炭素原子を有する、揮発性炭化水素などの、泡形成を促進する噴射剤を含むことができる。これは概して、かなり大きな密度の低下をもたらす。好ましくは、噴射剤は、塗布後、組成物のもとの値(0.98〜1.04g/ml)の1.3〜7倍の毛剃り組成物の密度低下をもたらすほど充分な種類および量のものである。好ましくは、皮膚への毛剃り組成物の塗布によって生じる泡の密度は、0.80〜0.15g/mlである。
【0042】
ソープベース、および遮断ソープベースの後発泡毛剃りジェルシステムと比較して、この密度の低下はより低い。これらのエアロゾル毛剃り製品は、皮膚への塗布前のもとの値の7〜15倍の毛剃り組成物の密度の低下を示す。実際、これらのシステムの密度は、塗布前の〜1.0g/mlから、皮膚への塗布後の0.15g/ml未満の密度にまで低下する(図1参照)。
【0043】
本発明の組成物は、皮膚への塗布後に密度の低下をもたらす後発泡毛剃り組成物であるのではなく、発泡組成物であることも可能である。その場合、組成物は、噴射剤、特に、塗布後に組成物のもとの値の5〜20倍の毛剃り組成物の密度低下をもたらすほど充分な種類および量の揮発性炭化水素噴射剤が与えられる。概して、皮膚への毛剃り組成物の塗布によって生じる泡の密度は、0.20〜0.05g/mlである。
【0044】
好ましい揮発性炭化水素は、沸点が65℃未満、好ましくは40℃未満、より好ましくは−15℃以上である。適切な揮発性炭化水素噴射剤の例は、後発泡毛剃り組成物に対してイソペンタンおよびイソブタンまたはそれらの混合物を含み、発泡毛剃り組成物に対して(イソ)ブタンおよびペンタンまたはそれらの混合物を含む。以下、用語「(イソ)ブタン」は、イソブタン、n−ブタンまたはそれらの混合物を指すのに用いる。
【0045】
揮発性炭化水素は、存在する場合、適切には、総乳液組成物の、最大5重量%、好ましくは最大4重量%、より好ましくは最大3.5重量%の量で存在することができる。好ましくは、乳液組成物の噴射剤含量は、毛剃りされていない皮膚表面の検出が容易な視覚制御と組合せて、最適な皮膚表面接触を許容することができるほど低いままでなければならない。
【0046】
先に述べたように、本発明の実施形態において、乳液は、後発泡毛剃り組成物として提供することができる。有利には、イソペンタンおよびイソブタンを含む揮発性炭化水素混合物の蒸発によって、後発泡毛剃り組成物の密度は、もとの値の1.3〜7倍低下する。
【0047】
代わりに、(イソ)ブタンおよびプロパンまたはそれらの混合物を含む発泡毛剃り組成物について、同様の効果を得ることができる。
【0048】
好ましい後発泡噴射剤システムは、最大60重量%の(イソ)ブタンおよび最小40重量%のイソペンタンを含む。より好ましくは、システムは、25〜50重量%の(イソ)ブタンおよび75〜50重量%のイソペンタンを含む。好ましい発泡噴射剤システムは、少なくとも70重量%の(イソ)ブタンおよび多くとも30重量%のプロパンを、より好ましくは80〜90重量%の(イソ)ブタンおよび20〜10重量%のプロパンを含む。
【0049】
皮膚表面の接触および皮膚の可視性の改善は、密度の最適な低下を設定するのに重要な要因である。密度の高すぎる低下は、最適な皮膚表面接触にとって有益ではなく、皮膚修復効果を軽減し得る。
【0050】
実施例1a,bおよびcならびに図2〜図5によって説明されるように、本発明は、毛剃り組成物の最適密度を選択することを可能にする。生じた泡が剃刀刃からの容易な洗い流しを可能とする状態で、発明者らは、毛剃り組成物にとって最も好ましいとして、2〜5倍の密度低下を評価している。
【0051】
本発明に従って好ましい毛剃り組成物は、剃刀刃での湿式毛剃り中の支持、皮膚バリアの回復、および長期の皮膚保湿特性などの毛剃り特性を最適に扱う働きをする。加えて、高い安定性の要望を扱う働きもする。
【0052】
別の態様において、本発明は、特に毛剃りによる除毛に先立ち、人の皮膚への塗布用の本質的にソープフリーの乳液の製造における揮発性窒素塩基の使用に関する。より詳細には、本発明は、全組成物の重量比で、50〜90重量%の水、3〜20重量%の油、1〜15重量%の保湿剤、20重量%までの、界面活性剤または泡安定剤などの泡成分、5%までの、増粘剤、粘度強化剤またはレオロジ調整剤などの構造化剤、および0.01〜6重量%の揮発性窒素塩基を含む組成物の使用であって、特に毛剃りによる除毛に先立ち、人の皮膚への塗布用の本質的にソープフリーの乳液の製造における使用に関する。この使用に適した組成物の好ましい実施形態について、以上に挙げた乳液成分の記載が参照される。
【0053】
本発明はまた、先に記載したように、機械的および/または化学的プロセスによって課せられてきた皮膚損傷を軽減および/または修復するための毛剃り組成物に関する。本発明はまた、先に記載したように、皮膚バリアの回復、修復または復旧を強化するための毛剃り組成物の使用に関する。別に言われるのは、本発明は、先に実質的に記載したように、機械的および/もしくは化学的除毛プロセスによって課せられてきた皮膚損傷を軽減および/もしくは修復する目的での、ならびに/または皮膚バリアの回復、修復もしくは復旧を強化する目的での、除毛に先立つ人の皮膚への塗布のための、本質的にソープフリーの組成物、好ましくは乳液の製造における、組成物の使用に関する。
【0054】
与えられる組成物、特に乳液は、湿式毛剃りの準備および実行を促進する毛剃り助剤として、ならびに除毛後の皮膚ケア(すなわち、特に毛剃り、毛の剥離または脱毛後の人の顔または体)として機能し、好ましくは毛剃り製品に含まれる。
【0055】
当然のことながら、毛剃りは、顔、頭、腋窩、足などを含む体のあらゆる部位に適用することができる。
【0056】
驚いたことに、本発明に従って記載される組成物は、機械的および/または化学的プロセスによって皮膚が損傷された後の皮膚バリア機能の迅速な修復を可能とし、加えて皮膚を保湿するので、皮膚にとって非常に有益である。より驚いたことに、顎鬚の準備中の湿潤状態および伸長状態は、最適な切断力および毛剃り後の皮膚の滑らかさを保証するように促進される。
【0057】
現在市場で販売されているソープベースの乳液組成物(欧州市場における上位10位の製品)と対比して、本乳液組成物はまた、ありふれたアフターシェイブバーム、ローションおよび/またはモイスチャライザと同様の、優れた毛剃り後の皮膚感触および保湿特性に寄与する。
【0058】
乳液組成物以外の実施形態が本発明に含まれることに留意されたい。たとえば、電気毛剃り前ローションおよびポリマベースの透明毛剃りジェルである。ポリマベースの透明毛剃りジェルの現在の市場の例は、たとえば一連のKing of ShavesのShave Gel Ultra GelsまたはAlpha Gelsである。加えて、本発明は、(電気)剃刀刃を用いる湿式毛剃りを促進するための乳液組成物を提供し、この乳液組成物は、本発明に従う乳液組成物を含む。
【0059】
さらに、本発明はまた、特に乳液組成物の形態である場合、たとえばシャワーアンドシェイブ製品などのツーインワン製品としての、本発明の組成物の使用に関する。この場合、製品は、界面活性剤も含むその独特な組成によって、シャワーで皮膚をきれいにすることができ、皮膚が同製品で毛剃りされるのを可能とする。
【0060】
さらに、本発明はまた、特に乳液組成物の形態である場合、たとえばデオドラントアンドシェイブ製品などのツーインワン製品としての、本発明の組成物の使用に関する。その場合、製品は、生物活性剤も含むその独特な組成によって、毛剃りに先立ち腋窩の臭気を取除くことができ、その後皮膚が同製品で毛剃りされるのを可能とする。
【0061】
本発明の組成物は、特に乳液組成物の形態である場合、ポット、ジャーおよびボトルを含むあらゆる形態のパッケージに包装することができる。より好ましくは、乳液組成物は、乳液組成物の泡生地への膨張がパッケージの外側でのみ起こることを可能とするための弁を備える、スズめっきシステムもしくはアルミニウムエアロゾルシステム、またはプラスチックボトルに包装することができる。本発明の乳液組成物はまた、電気剃刀システムに載せることが可能な、使い捨て剃刀刃または使い捨てカートリッジに載せることが可能な、従来の滑剤片(strip)として類似の一体化ディスペンサシステムを用いることによって、毛剃り装置の一部として成ることもできる。毛剃り中、一体化ディスペンサシステムは、本発明に従う乳液を含む薄層を皮膚上に提供することができ、毛剃りを促進し、その後皮膚修復特性を提供する。この実施形態は特に、発泡特性を有するというのではなく、優れた潤滑特性を付与する乳液組成物に言及する。この目的のために、乳液は、潤滑性を強化するための付加的な水溶性ポリマを含むことができる(たとえば、種々のタイプのポリエチレングリコール)。このタイプの一体化パッケージは、特に、使い捨て湿式毛剃り装置に、さらに特定して使い捨て女性用湿式毛剃り装置に有用である。
【0062】
本発明を、非限定の図および例を参照して、以下でさらに説明する。
図1〜図9は、実施例1および実施例2において議論されるグラフを表す。図1〜図6において、泡密度が縦軸におかれる。図7〜図9において、各影響が縦軸に示される。横軸は試験プロトコールの種々の段階を表す。
【0063】
実施例1
本発明に従う毛剃り組成物を、以下のように調製した。第1混合物は、分離容器に攪拌下で15%のセテアリルアルコール、7%の流動パラフィン、1.5%のセテアレス−20および0.1%のセテアレス−12、0.1%のパルミチン酸セチル、0.1%のステアリン酸グリセリルならびに0.1%のイソヘキサデカンを付加することによって得た。第2混合物は、7.5%のグリセリン、0.03%のクエン酸および1%の防腐剤を水に溶解させることによって得た。続いて、第1混合物(油相)を、73〜77℃にて、10分間ホモジナイザを用いながら、第2混合物(水相)と混合した。その後混合物を40℃にまで攪拌しながら冷却し、次いで、0.6%のシクロペンタシロキサン、0.1%および0.8%の香料を付加した。最後に、30℃にて1.8%の乳酸アンモニウムを攪拌しながら付加した。20分後、攪拌を止め、バッチを貯蔵コンテナ内に移した。
【0064】
実施例1a
後発泡毛剃りエアロゾル缶へ移す前に、実施例1に類似するが、5%の流動パラフィン、1%のシクロペンタシロキサン、0.5%のセテアリル硫酸ナトリウム、さらには0%、1.7%または3.3%のいずれかのコカミドプロピルベタインを有する組成物を、2.0重量%,3.5重量%または3.6重量%のいずれかのイソペンタンおよび(イソ)ブタン噴射剤混合物と、加圧下で混合した。イソペンタン対(イソ)ブタンの適用比は、75:25,60:40または50:50のいずれかであった。
【0065】
最後に、混合物を、弁を通してエアロゾル缶のナイロンバッグ内に押し込んだ。その後、サンプルを、発泡性について、噴射剤なしのサンプルに対して評価した。
【0066】
実施例1b
発泡毛剃りエアロゾルを、実施例1に類似するが、5%の流動パラフィン、1%のシクロペンタシロキサン、さらには1.7%のコカミドプロピルベタイン、0.5%のセテアリル硫酸ナトリウムを有する、96重量%の毛剃り組成物で満たし、その後毛剃り用フォーム専用弁によって固定した。最後に、4重量%の(イソ)ブタンおよびプロパン噴射剤混合物を、弁を通してエアロゾル缶内に付加した。適用前、毛剃りフォームエアロゾル缶を30秒間振とうし、作動中、アクチュエータを直立位置で維持した。
【0067】
実施例2
本発明に従う毛剃り組成物を、以下のように調製した。第1混合物は、分離容器に攪拌下で15%のセテアリルアルコール、7%の流動パラフィン、1.5%のセテアレス−20および0.1%のセテアレス−12、0.1%のパルミチン酸セチル、0.1%のステアリン酸グリセリルならびに0.1%のイソヘキサデカンを付加することによって得た。第2混合物は、7.5%のグリセリン、0.03%のクエン酸および1%の防腐剤を水に溶解させることによって得た。続いて、第1混合物(油相)を、73〜77℃にて、10分間ホモジナイザを用いながら、第2混合物(水相)と混合した。その後混合物を40℃にまで攪拌しながら冷却し、次いで0.6%のシクロペンタシロキサン、0.1%および0.8%の香料を付加した。最後に、20分後、攪拌を止め、バッチを貯蔵コンテナ内に移した。
【0068】
密度測定
毛剃り成分のおおよそ0.7グラムを、円形のガラスディスクに塗布し、おおよそ0.3グラムの、手の温度の水(37℃)と混合した。毛剃り製品を、1本の指を使って45秒間の回転(2回転/秒)によって混合した。生じた泡を、既知の体積(0.92ml)の小さなカップ内に直接移し、その後重さを測定した。泡を押圧しないように用心してカップを完全に満たした。平均5回の読みを行い、各読みは、採取したての泡のサンプルを作ることで得た。
【0069】
毛剃りフォームエアロゾル製品の泡密度の測定は、エアロゾル缶からの泡の放出後、直ちに測定した。
【0070】
皮膚回復および皮膚pHの試験
本発明に従う毛剃り組成物を、12の被験者(個体)のテープストリップされた皮膚のバリアの修復を促進するのに使用した。試験中、ソープでの洗浄のようなアルカリ処理後に比較的短い観察で皮膚を酸性にすることができない、8の被験者のサブグループが参加した(いわゆる緩徐応答者)。
【0071】
テープストリッププロトコール
経表皮性水分喪失(TEWL)の増加が12〜25g.m−2.h−1の範囲になるまで、Pritt Sellotape Diamond ultra clear(Henkel)で、前腕の手のひら側の3のフィールド(3×3cm)をテープストリップした。以下の手順を使用した。
・テープの一片を皮膚に貼付した。
・予熱したステンレス鋼重量(1000g、64g/cm;T=34℃)を、テープされた皮膚に5秒間当てた。
・皮膚に対して(できるだけ速く)平行に引っ張ってテープを除去した。
・この手順を15〜30回繰り返した。
【0072】
回復期間
テープストリップされた人の皮膚のバリア修復を、試験製品で1日2回処理した皮膚、および非処理の皮膚の双方について、9日間観察した。この期間中、皮膚を日に2回ソープ洗浄した。TEWL値(皮膚のバリアの質について優れた指標である)を測定することによって、この観察をした。
【0073】
ソープ洗浄手順
第1日の午後のテープストリップ手順後、第9日までの毎朝および毎夕、ならびに第9日の朝に、前腕の内側を洗浄した。洗浄手順中、以下のプロトコールを用いた。
・前腕を生ぬるい水道水で濡らした。
・2分間、被験者が前腕を天然ソープバーの19%溶液で(時々こすって)洗浄した。
・前腕を約15秒間水道水ですすいだ。
・その後、タオルで叩いて前腕を乾燥させた。
【0074】
製品塗布プロトコール
先に記載したような、本発明に従う毛剃り組成物(実施例1および実施例2)を、被験者自身によってテープストリップされた皮膚に塗布した。約2mg/cmを毎回塗布した。第1日目に、組成物を、最後のテープストリップ後および各ソープ洗浄後の皮膚に塗布し、第2日から第9日の朝まで、各ソープ洗浄後、組成物を皮膚に塗布した。
【0075】
生物物理学的評価
先に記載したように処理した皮膚の部位のTEWL値および皮膚pH値を測定した。第1日目に、処理開始前(基準線測定)、テープストリップ手順中(TEWL値のみ。データ不図示)、およびソープ洗浄処理15分後(回復開始測定)に、値を測定した。続いて、第3日、第7日および第9日目において、毛剃り組成物を皮膚に塗布した4時間後に、値を測定した。除毛乳液組成物の塗布4時間後に、TEWL値をTewameter(登録商標)TM300(Courage + Khazaka)で測定し、皮膚水分をCornemeter(登録商標)CM825で測定し、皮膚のpH値をSkin-pH-Meter(登録商標)PH 905(Courage + Khazaka)で測定した。被験者は、18〜65歳の男女の健康なボランティアの10人であった。測定中、以下の条件、すなわち22℃の温度(1℃の標準偏差)、45%の相対湿度(5%の標準偏差)、30分の平衡期間を適用した。統計分析において、両側仮説の対応のあるスチューデントt検定を適用し、0.05の有意性の限界水準p値(確率値)を用いた。得られたデータにおいて、回復を、(1−「TEWL増大」/「初期のTEWL増大」)*100%として表し、TEWL増大を、‘テープストリップした皮膚のTEWL値’−‘無処理の皮膚のTEWL値’として規定した。言い換えれば、3のテープストリップされた皮膚のフィールドおよび無処理の(ソープ洗浄された)皮膚のフィールドの双方を測定した。
【0076】
結果
図1に示す結果から、欧州/米国市場で購入した毛剃りフォームおよび毛剃りジェルエアロゾル製品から生じた泡の密度は、0.15g/ml未満であることが明らかである。加えて、本発明に従う後発泡毛剃り組成物(実施例1a)の使用は、有意に高い密度を示す(図2および図3)。代わりに、本発明に従う発泡毛剃り組成物(実施例1b)は、0.08〜0.12mg/mlのよく似た密度値を示す(図5)。密度は、乳液の組成を変更することによって、または最適な層を供給するのに使用される、噴射剤混合物の量もしくは噴射剤混合物の組成を変更することによって、影響され得る(図4および図5)。図6に示す結果から、テープストリップされた人の皮膚への本毛剃り組成物の繰り返しの塗布は、損傷を受けなかった皮膚と比較して、皮膚のバリアの有意に早い回復をもたらすことが明らかである。加えて、本発明に従う、実施例1に記載される組成物の使用は、損傷を受けなかった皮膚と比較して、皮膚水分の有意な改善ももたらす(図7)。図8および図9に示す結果から、アルカリ処理後の比較的短い観察で皮膚を酸性にすることができない被験者についての、揮発性窒素塩基を含む乳液組成物(実施例1)の皮膚修復特性は、揮発性窒素塩基を含まない乳液組成物(実施例2)の皮膚修復特性に対して、優れていることが明らかである。皮膚pHおよび皮膚保湿特性も、実施例2に従う毛剃り組成物よりも、揮発性窒素塩基を含む実施例1に従う毛剃り組成物について有意に優れている。
【0077】
図10〜図11は、実施例3a〜実施例3fおよび実施例4において議論されるグラフを表す。各図において、各影響が縦軸に示される。横軸は、実施例において議論された試験プロトコールの種々の段階を表す。
【0078】
実施例3a
本発明に従う毛剃り組成物3aを、以下のように調製した。第1混合物は、分離容器に攪拌下で14%のセテアリルアルコール、6%の流動パラフィン、1.4%のセテアレス−20および0.1%のセテアレス−12、0.1%のパルミチン酸セチル、0.1%のステアリン酸グリセリルならびに0.1%のイソヘキサデカンを付加することによって得た。第2混合物は、7%のグリセリン、1%のトリエタノールアミン、0.1%の水酸化カリウムおよび0.6%の防腐剤を水に溶解させることによって得た。続いて、第1混合物(油相)を、73〜77℃にて、10分間ホモジナイザを用いながら、第2混合物(水相)と混合した。その後混合物を40℃にまで攪拌しながら冷却し、次いで0.6%のシクロペンタシロキサン、0.1%および0.8%の香料を付加した。最後に、30℃にて1.4%の乳酸アンモニウムを攪拌しながら付加した。20分後、攪拌を止め、バッチを貯蔵コンテナ内に移した。サンプルの産生1日後、製品塗布試験に先立ち、pH8.2を記録した。
【0079】
実施例3b
第1混合物は、分離容器に攪拌下で15%のセテアリルアルコール、7%の流動パラフィン、1.5%のセテアレス−20および0.1%のセテアレス−12、0.1%のパルミチン酸セチル、0.1%のステアリン酸グリセリルならびに0.1%のイソヘキサデカンを付加することによって得た。第2混合物は、7%のグリセリン、0.4%の水酸化カリウムおよび0.6%の防腐剤を水に溶解させることによって得た。続いて、第1混合物(油相)を、73〜77℃にて、10分間ホモジナイザを用いながら、第2混合物(水相)と混合した。その後混合物を40℃にまで攪拌しながら冷却し、次いで0.6%のシクロペンタシロキサン、0.1%および0.8%の香料を付加した。最後に、30℃にて1.4%の乳酸アンモニウムを攪拌しながら付加した。20分後、攪拌を止め、バッチを貯蔵コンテナ内に移した。サンプルの産生1日後、製品塗布試験に先立ち、pH8.9を記録した。
【0080】
実施例3c
第1混合物は、分離容器に攪拌下で14%のセテアリルアルコール、6%の流動パラフィン、1.4%のセテアレス−20および0.1%のセテアレス−12、0.1%のパルミチン酸セチル、0.1%のステアリン酸グリセリルならびに0.1%のイソヘキサデカンを付加することによって得た。第2混合物は、7%のグリセリン、0.7%のグリシン、0.3%の水酸化カリウム、および1%の防腐剤を水に溶解させることによって得た。続いて、第1混合物(油相)を、73〜77℃にて、10分間ホモジナイザを用いながら、第2混合物(水相)と混合した。その後混合物を40℃にまで攪拌しながら冷却し、次いで0.6%のシクロペンタシロキサン、0.1%および0.8%の香料を付加した。最後に、30℃にて1.2%の乳酸アンモニウムを攪拌しながら付加した。20分後、攪拌を止め、バッチを貯蔵コンテナ内に移した。サンプルの産生1日後、製品塗布試験に先立ち、pH8.1を記録した。
【0081】
実施例3d
毛剃り組成物3dを、以下のように調製した。第1混合物は、分離容器に攪拌下で15%のセテアリルアルコール、7%の流動パラフィン、1.5%のセテアレス−20および0.1%のセテアレス−12、0.1%のパルミチン酸セチル、0.1%のモノステアリン酸グリセリルならびに0.1%のイソヘキサデカンを付加することによって得た。第2混合物は、7.5%のグリセリン、0.03%のクエン酸および1%の防腐剤を水に溶解させることによって得た。続いて、第1混合物(油相)を、73〜77℃にて、10分間ホモジナイザを用いながら、第2混合物(水相)と混合した。その後混合物を49℃にまで攪拌しながら冷却し、次いで0.1%のパンテノール、0.6%のシクロペンタシロキサン、および0.8%の香料を付加した。続いて、38℃にて再度1分間ホモジナイザを用いた。最後に、攪拌を止めて、均一混合物を得た。サンプルの産生1日後、製品塗布試験に先立ち、実施例3dについてpH4.8を記録した。
【0082】
実施例3e
毛剃り組成物3eを、以下のように調製した。第1混合物は、分離容器に攪拌下で15%のセテアリルアルコール、7%の流動パラフィン、1.5%のセテアレス−20、0.1%のセテアレス−12、0.1%のパルミチン酸セチル、0.1%のステアリン酸グリセリルおよび0.1%のイソヘキサデカンを付加することによって得た。第2混合物は、7.5%のグリセリン、および0.5%の防腐剤を水に溶解させることによって得た。続いて、第1混合物(油相)を、73〜77℃にて、10分間ホモジナイザを用いながら、第2混合物(水相)と混合した。その後混合物を45℃にまで攪拌しながら冷却し、次いで0.1%のパンテノール、0.6%のシクロペンタシロキサン、0.8%の香料、0.7%の乳酸ナトリウム、および0.4%の乳酸を付加した。続いて、38℃にて再度5分間ホモジナイザを用いた。攪拌を止めて、均一混合物を得た。サンプルの産生1日後、製品塗布試験に先立ち、実施例3eについてpH4.6を測定した。
【0083】
実施例3f
本発明に従う毛剃り組成物3fを、以下のように調製した。第1混合物は、分離容器に攪拌下で10%のセテアリルアルコール、5%の流動パラフィン、1.5%のセテアレス−20、0.1%のセテアレス−12、0.7%のパルミチン酸を付加することによって得た。第2混合物は、5%のグリセリン、3%のコカミドプロピルベタイン、1%の防腐剤および1.3%のトリエタノールアミンを水に溶解させることによって得た。続いて、第1混合物(油相)を、75〜80℃にて、10分間ホモジナイザを用いながら、第2混合物(水相)と混合した。その後混合物を45℃にまで攪拌しながら冷却し、次いで1%のシクロペンタシロキサン、および0.5%の香料を付加した。続いて、38℃にて再度1分間ホモジナイザを用いた。最後に、30℃未満の温度にて、1.8%の乳酸アンモニウムを攪拌しながら付加した。攪拌を止めて、均一混合物を得た。サンプルの産生1日後、製品塗布試験に先立ち、実施例3fについてpH8.0を測定した。
【0084】
実施例3g
毛剃り組成物3gを、以下のように調製した。第1混合物は、分離容器に攪拌下で15%のセテアリルアルコール、7%の流動パラフィン、1.5%のセテアレス−20、0.1%のセテアレス−12、0.1%のパルミチン酸セチル、0.1%のステアリン酸グリセリルおよび0.1%のイソヘキサデカンを付加することによって得た。第2混合物は、7.5%のグリセリン、および0.5%の防腐剤を水に溶解させることによって得た。続いて、第1混合物(油相)を、73〜77℃にて、10分間ホモジナイザを用いながら、第2混合物(水相)と混合した。その後混合物を45℃にまで攪拌しながら冷却し、次いで0.1%のパンテノール、0.6%のシクロペンタシロキサン、0.8%の香料、0.1%の乳酸ナトリウム、0.4%の乳酸および0.6%の乳酸アンモニウムを付加した。続いて、38℃にて再度5分間ホモジナイザを用いた。攪拌を止めて、均一混合物を得た。サンプルの産生1日後、製品塗布試験に先立ち、実施例3gについてpH4.7を測定した。
【0085】
実施例4
後発泡ソープベースの毛剃りジェル組成物を、以下のように調製した。第1混合物は、メインの容器に攪拌下で水、7.5%のトリエタノールアミン、0.5%のPEG−4 ナタネアミンを付加することによって得た。この混合物の温度を75〜80℃に加熱した。その後、1.75%のソルビトールを0.3%のヒドロキシエチルセルロースおよび0.1%のPEG−2Mと混合することによって得た第2混合物を付加した。続いて、2.7%のパルミチン酸ソルビタン、14%のパルミチン酸および0.05%のBHTの混合物を、分離容器で攪拌しながら予熱することによって得たワックス混合物を75〜80℃にて付加した。混合物を真空下75〜80℃にて10分間均質化した。その後、真空下で攪拌しながら混合物を29℃までゆっくりと冷却した。35℃にて0.5%の香料を、その後30℃にて2%の乳酸アンモニウムを付加した。攪拌を止めて、均一混合物を得た。サンプルの産生3日後、製品塗布試験に先立ち、実施例4についてpH8.2を測定した。
【0086】
製品塗布および生物物理学的評価プロトコール
皮膚のpH値をSkin-pH-Meter(登録商標)PH 905(Courage + Khazaka)で測定した。被験者は、18〜65歳の男女の健康なボランティアであった。測定中、以下の条件、すなわち22℃の温度(1℃の標準偏差)、45%の相対湿度(5%の標準偏差)、30分の平衡期間を適用した。
【0087】
試験開始時、前腕の手のひら側を20秒間ソープ洗浄した。続いて、ソープを除去するために皮膚を水ですすいだ。1分後、種々の試験皮膚フィールドのpHを測定した。これらの測定が完了すると、おおよそ2mg/cmの毛剃り組成物3a〜3fおよび4を塗布した。種々の試験皮膚フィールドのpH評価を、塗布の5,10,20,40および60分後に記録した。
【0088】
結果
図10〜図11に示される結果から、揮発性窒素塩基を含む毛剃り組成物の塗布だけが皮膚のpH低下をもたらすことが明らかである(実施例3a〜3cおよび3g対実施例3d,3e参照)。効果は、塗布の5〜10分後に達成された。ソープを含む(>2%)毛剃り組成物はこの有益な効果を与えず、皮膚pHは、製品の塗布後、非常に長い間、pH>6のままである(実施例3fおよび4参照)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
全組成物の重量比で、50〜90重量%の水、1〜15重量%の保湿剤、0.1〜20重量%の界面活性剤および/または泡安定剤、5重量%までの、増粘剤、粘度強化剤またはレオロジ調整剤などの構造化剤、ならびに0.01〜6重量%の揮発性窒素塩基を含むことを特徴とする本質的にソープフリーの毛剃り組成物。
【請求項2】
全組成物の重量比で、50〜90重量%の水、3〜20重量%の、炭化水素油、植物油、合成油およびシリコン油の混合物、1〜15重量%の保湿剤、20重量%までの界面活性剤および/または泡安定剤、5重量%までの、増粘剤、粘度強化剤またはレオロジ調整剤などの構造化剤、ならびに0.01〜6重量%の揮発性窒素塩基を含む本質的にソープフリーの乳液の形態であることを特徴とする請求項1記載の毛剃り組成物。
【請求項3】
有効量の噴射剤を含むことを特徴とする請求項1記載の毛剃り組成物。
【請求項4】
50〜75重量%の水、7〜18重量%の、炭化水素油およびシリコン油の混合物、1〜15重量%の保湿剤、20重量%までの界面活性剤および/または泡安定剤、5重量%までの、増粘剤、粘度強化剤またはレオロジ調整剤などの構造化剤、0.01〜6重量%の揮発性窒素塩基、ならびに1〜5重量%の揮発性炭化水素噴射剤混合物を含むことを特徴とする請求項3記載の毛剃り組成物。
【請求項5】
揮発性炭化水素噴射剤が、最大60重量%の(イソ)ブタンおよび最小40重量%のイソペンタンの混合物を含むことを特徴とする請求項4記載の毛剃り組成物。
【請求項6】
揮発性炭化水素混合物が、最小75重量%の(イソ)ブタンおよび最大25重量%のプロパンの混合物を含むことを特徴とする請求項4記載の毛剃り組成物。
【請求項7】
組成物のpHが4〜12であり、揮発性窒素塩基が皮膚pHを、毛剃り完了後5〜10分以内に標的皮膚pHである4〜5に低下させることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の毛剃り組成物。
【請求項8】
揮発性窒素塩基が、アンモニア、モノエタノールアミン、アルキル基が1〜4の炭素原子を有するアルキルアミン、およびこれらの混合物から成る群から選ばれることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の毛剃り組成物。
【請求項9】
揮発性窒素塩基を、総乳液組成物の0.01〜6重量%の濃度で含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の毛剃り組成物。
【請求項10】
揮発性窒素塩基が、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、乳酸アンモニウム、およびこれらの混合物から成る群から選ばれることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の毛剃り組成物。
【請求項11】
組成物のpHが4〜8であり、組成物が乳酸/乳酸塩緩衝化剤またはコハク酸/コハク酸塩緩衝化剤を含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の毛剃り組成物。
【請求項12】
組成物のpHが8〜12であり、組成物が、トリエタノールアミン、エタノールアミン、グリシンおよび炭酸ナトリウムから成る群から選ばれる成分を含むことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の毛剃り組成物。
【請求項13】
ツーインワンの毛剃りおよび毛剃り後用組成物の製造における、請求項1〜12のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項14】
ツーインワンの毛剃りおよび消臭用組成物の製造における、請求項1〜12のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項15】
組成物が0.1〜5重量%の生物活性成分を含むことを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の使用。
【請求項16】
ツーインワンのシャワーおよび毛剃り用組成物の製造における、請求項1〜12のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項17】
特に毛剃りによる、除毛に先立ち、人の皮膚への塗布用の本質的にソープフリーの乳液の製造における揮発性窒素塩基の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2011−500672(P2011−500672A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−529889(P2010−529889)
【出願日】平成20年10月20日(2008.10.20)
【国際出願番号】PCT/NL2008/050658
【国際公開番号】WO2009/051486
【国際公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(510108087)
【氏名又は名称原語表記】Sara Lee/DE N.V.
【住所又は居所原語表記】Keulsekade 143,Utrecht The Netherlands
【Fターム(参考)】