説明

皮膚化粧料

【課題】増粘剤を配合し、崩れやすくみずみずしい使用感を特徴とし、しかも極めて優れた安定性を有する皮膚化粧料を提供すること。
【解決手段】(a)アクリルアミド系増粘剤0.1〜1.0質量%と、(b)カルボキシビニルポリマー0.01〜1.0質量%と、(c)炭酸ナトリウム0.01〜3.0質量%と、(d)水とを含有することを特徴とする皮膚化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、増粘剤を含有する皮膚化粧料に関する。さらに詳しくは、崩れやすくみずみずしい使用感を特徴とし、しかも極めて優れた安定性を有する皮膚化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚化粧料に使用できる水溶性増粘剤としては、種々の多糖類、ゼラチンなどの天然高分子、ポリオキシエチレン、架橋ポリ(メタ)アクリル酸などの合成高分子、モンモリナイト、シリカなどの無機鉱物などが挙げられる。
【0003】
これらの中で、特に架橋ポリ(メタ)アクリル酸は、安価で増粘効果が高く、少量でゲル化するため、化粧品業界、特に皮膚化粧料において、水溶性増粘剤あるいは安定化剤として多用されている。
【0004】
しかしながら、架橋ポリ(メタ)アクリル酸は、pH5以下の酸性下や塩の存在する水溶液中では、カルボキシル基の解離が抑えられ、粘度が極端に低下しゲル化しなくなる。このため、酸性条件や塩共存系が要求される処方においては使用することが出来ない。
【0005】
現在最も汎用されている化粧料用増粘剤は、カルボキシビニルポリマーと総称されるアクリル酸の重合体であり、商品名としてはハイビスワコー(和光純薬株式会社)、シンタレン(3V SIGMA社)、カーボポール(グッドリッチ社)等として市販されているものである。これらの増粘剤は化学的に架橋している重合体である。
【0006】
このような架橋重合体の水分散液は、非常に増粘効果が高く、化粧料の増粘剤として汎用されている。
しかしながら、これらのカルボキシビニルポリマーの欠点として、単独で用いた場合、安定性には優れるものの肌なじみが悪く、べたついて、浸透感には劣るものであった。それに加え、増粘可能なpH範囲が限られるという問題もある。カルボキシビニルポリマーは該ポリマーに含まれるカルボキシル基が解離状態になることで水中にてポリマーが膨潤し増粘する。したがって、カルボキシル基が充分に解離しない弱酸性以下のpH領域ではカルボキシビニルポリマーは増粘剤として機能しないという重大な欠点がある。これに代わる肌なじみがよく、使用感に優れ、かつ広いpH範囲で増粘可能な増粘剤が強く望まれているのが現状である。
【0007】
一方、アクリルアミド系増粘剤は、使用感に優れ、かつ低いpH領域にも対応できることから化粧料への配合が試みられている。しかしながら、これらアクリルアミド系増粘剤を単独で用いた場合、経時で粘度低下を起こすという安定性の観点から問題がある。
【0008】
これに対して、安定性が良好なアクリルアミド系増粘剤として、水膨潤性高分子のミクロゲルからなる増粘剤が本出願人により開発され、化粧料に利用されている(特許文献1)。また、会合性高分子として疎水性ポリエーテルウレタンからなる増粘剤が開発され(特許文献2)、化粧料(特許文献3)、毛髪化粧料及び洗浄料(特許文献4)に利用されている。しかしながら、これらの増粘剤は、必ずしも崩れやすくみずみずしい使用感を与えるものではない。
【0009】
このように、化粧料の分野においては多くの様々な増粘剤が、化粧料の安定性や使用性の観点から精力的に研究されている。
【特許文献1】特開2004−43785
【特許文献2】特開平9−71766
【特許文献3】特開2000−239120
【特許文献4】WO 02/00179
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明者らは、上述の観点に鑑み、様々な増粘剤を配合する皮膚化粧料について鋭意研究を重ねた結果、増粘剤としてアクリルアミド系増粘剤とカルボキシビニルポリマーとを併用し、さらに炭酸ナトリウムを添加すると、僅かな力で増粘された化粧料が崩れ、みずみずしく皮膚にのばし易く、さらに肌のなじみがよく、しかもしっとりとべたつかない使用感が得られ、さらには安定性に優れた皮膚化粧料を提供できることを見出した。さらに、この皮膚化粧料にキサンタンガムを配合すると、ディスペンサー容器に充填しても水が分離することなく、極めて安定な皮膚化粧料を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
本発明の目的は、崩れやすくみずみずしい使用感を特徴とし、しかも安定性に極めて優れた皮膚化粧料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
すなわち、本発明は、(a)アクリルアミド系増粘剤0.1〜1.0質量%と、(b)カルボキシビニルポリマー0.01〜1.0質量%と、(c)炭酸ナトリウム0.01〜3.0質量%と、(d)水とを含有することを特徴とする皮膚化粧料を提供するものである。
【0013】
また、本発明は、前記(a)アクリルアミド系増粘剤が、ビニルピロリドン/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、ジメチルアクリルアミド/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、アクリル酸アミド/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、ポリアクリル酸アミドとポリアクリル酸ナトリウムの混合物、アクリル酸ナトリウム/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリルアミド/アクリル酸アンモニウム共重合体、アクリルアミド/アクリル酸ナトリウム共重合体からなる群から選択される1種又は2種以上の増粘剤であることを特徴とする上記の皮膚化粧料を提供するものである。
【0014】
さらに、本発明は、さらに(e)キサンタンガムを含有することを特徴とする上記の皮膚化粧料を提供するものである。
【0015】
また、本発明は、さらに(f)乳酸ナトリウムを含有することを特徴とする上記の皮膚化粧料を提供するものである。
【0016】
さらに、本発明は、前記皮膚化粧料の粘度が、30℃において、4000〜30000mPa・sであることを特徴とする上記の皮膚化粧料を提供するものである。
【0017】
また、本発明は、前記皮膚化粧料が水中油型乳化化粧料であることを特徴とする上記の皮膚化粧料を提供するものである。
【0018】
さらに、本発明は、前記皮膚化粧料の容器がディスペンサーであることを特徴とする上記の皮膚化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、少しの力で崩れ、みずみずしく、肌なじみがよく、しっとりとべたつかない使用感を有する皮膚化粧料を提供できる。
しかも、一般的に、分離や乾燥による塊の発生により安定性の確保が困難とされる、ディスペンサー容器に対しても十分に対応可能な皮膚化粧料を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明について詳述する。
【0021】
本発明に用いる(a)成分のアクリルアミド系増粘剤は、特に限定されない。例えば、ビニルピロリドン/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、ジメチルアクリルアミド/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、アクリル酸アミド/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、ポリアクリル酸アミドとポリアクリル酸ナトリウムの混合物、アクリル酸ナトリウム/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリルアミド/アクリル酸アンモニウム共重合体、アクリルアミド/アクリル酸ナトリウム共重合体等が挙げられるが、これらの例示に限定されない。アクリルアミド系増粘剤は1種または2種以上を用いることができる。
【0022】
本発明において特に好ましいアクリルアミド系増粘剤は、前記特許文献1記載のミクロゲルからなる増粘剤である。このミクロゲルからなる増粘剤とは、有機溶媒若しくは油分を分散媒とし水を分散相とする組成物において、アクリルアミド系モノマーを、一般に逆相乳化重合法と称される重合法により製造される高分子ミクロゲルである。逆相乳化重合における重合系が一相マイクロエマルションあるいは微細W/Oエマルションを形成する条件下において、ミクロゲルが製造されることが好ましく、その製造方法は特許文献1に詳細に記載されている。具体的には、ジメチルアクリルアミドと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を用い、これらのモノマーから共重合されるミクロゲルを、(a)成分の増粘剤として用いることが好ましい。さらに、メチレンビスアクリルアミド等の架橋モノマーを共重合しても好ましく、特に好ましくは、ジメチルアクリルアミドと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸とメチレンビスアクリルアミドからなる共重合体のミクロゲルである。
【0023】
(a)成分のアクリルアミド系増粘剤の配合量は、皮膚化粧料全量に対して0.1〜1.0質量%である。0.1質量%未満では、系の安定性に乏しい。一方、1.0質量%を超えて配合するとべたつきを生じる場合があり、また、崩れやすくみずみずしい使用感の観点からも好ましくない。
【0024】
(b)成分のカルボキシビニルポリマーは汎用の市販品を使用することが出来る。その配合量は、安定性の観点から、皮膚化粧料全量に対して0.01〜1.0質量%である。0.01質量%未満では、系の安定性が乏しくなる。崩れやすくみずみずしく、べたつかない使用感の観点から、より好ましくは0.03〜0.2質量%である。
【0025】
(c)成分の炭酸ナトリウムは、本発明の皮膚化粧料において、(a)成分の電解質タイプの増粘剤に対しても、安定化剤、粘度調整剤、pH調整剤として機能しながら、かつ減粘しないという予測不可能な効果を発揮する必須成分である。
【0026】
皮膚化粧料において、塩は、一般的には、安定化剤、あるいは粘度調整剤、pH調整剤として用いられる。具体的には、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム等が挙げられる。しかしながら、これらの塩は、自身の解離によって増粘するタイプの増粘剤に対して、顕著な減粘効果をもたらし、皮膚化粧料として望ましい中低粘度領域(4000〜30000mPa・s/30℃)の調整には不向きであるという欠点がある。また、調整できたとしても、経時で減粘してしまうといった問題を抱えていた。
【0027】
従来、化粧品用増粘剤として、自身の解離によって増粘する増粘剤は、例えば、カルボキシビニルポリマー、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(以下、AMPSと略す場合がある)のホモポリマー、ビニルピロリドン/AMPS共重合体、アクリル酸アミド/AMPS共重合体、アクリル酸ナトリウム/AMPS共重合体、アクリル酸ナトリウム−アクリル酸アミドの混合物等が挙げられるが、これら電解質タイプの増粘剤は、全て前記した塩によって減粘する。
【0028】
本発明者等は、炭酸ナトリウムが、(a)成分の電解質タイプの増粘剤を含有する皮膚化粧料において、安定化剤、粘度調整剤、pH調整剤として機能しながらも、減粘しないことを新たに見出した。そして、(a)及び(b)成分の増粘剤と、(c)成分の炭酸ナトリウムとを組み合わせたならば、崩れやすくみずみずしい使用感が得られ、かつ従来調整が困難であった中低粘度領域(4000〜30000mPa・s/30℃)を自由に調整できることを見出したのである。
【0029】
本発明に用いる炭酸ナトリウムは、無水塩、一水塩、十水塩のいずれでも良く、これらの混合物でもよい。その配合量は、皮膚化粧料全量に対して、0.01〜3.0質量%である。0.01質量%未満では、使用感の面で、みずみずしさに欠ける場合があり、また、3.0質量%を越えて配合すると、経時で減粘する場合があるからである。
【0030】
本発明の皮膚化粧料は、(d)成分の水が配合されて増粘される皮膚化粧料である。
水の配合量は限定されないが、水若しくは水を主成分とする水相が、皮膚化粧料全量に対して50.0〜90.0質量%の場合に本発明の効果がさらに効果的に発揮される。
水相が50.0質量%未満であると、重さを感じ、べたつきを生じる場合がある。一方、90.0質量%を超えると、さっぱりしているが、しっとりせず、優れた使用感が得られにくくなる。
【0031】
本発明では、特に充填容器にディスペンサー容器を用いる場合、上記(a)〜(d)成分に加えてさらに、(e)キサンタンガムを配合することにより、みずみずしさや、くずれ感を損なうことなく、ディスペンサー充填に必要な安定性に優れた皮膚化粧料を提供することができる。ディスペンサー容器は吐出する際の圧力等から、(e)キサンタンガムを配合しないと、吐出に際して本発明の皮膚化粧料の安定性が崩壊し、水が分離してしまう場合がある。(e)成分は、崩れやすくみずみずしい使用感を特徴とする本発明の皮膚化粧料をディスペンサー容器に充填する場合の特異的な現象を見事に解決する要件である。これにより、本発明の皮膚化粧料を使い易いディスペンサーに充填して提供することが可能となり、適量を取り出して、これを指で皮膚上にのばす際に、崩れやすくみずみずしい使用感を発揮することが可能となる。
【0032】
(e)成分のキサンタンガムの配合量は、皮膚化粧料全量に対して0.01〜0.2質量%が好ましく、より好ましくは0.03〜0.1質量%である。0.01質量%未満では、ディスペンサーから出す際の安定性に乏しく、一方、0.2質量%を超えて配合すると塊となって吐出する場合があり、好ましくない。
【0033】
本発明では、上記必須成分の(a)〜(c)成分に加えて、さらに(f)乳酸ナトリウムを配合すると、みずみずしい使用感がさらに増大されるので好ましい。
【0034】
(f)成分の乳酸ナトリウムの配合量は、皮膚化粧料全量に対して、0.01〜3.0質量%が好ましく、より好ましくは0.01〜1質量%である。0.01質量%未満ではその効果は期待できず、また、3.0質量%を超えて配合すると、系の安定性に乏しくなる場合がある。
【0035】
本発明の皮膚化粧料においては、みずみずしい使用感となり得る最適な粘度として、4000〜30000mPa・s/30℃(B型粘度計による測定値)に調整されることが好ましい。
【0036】
本発明の皮膚化粧料の剤型は任意であり、例えば、可溶化系、水分散系、乳化系などを製造できるが、上記必須成分と油分と乳化剤とを混合し常法により乳化して水中油型皮膚化粧料とすることが好ましい。水中油型皮膚化粧料においては、水相成分が50.0〜90.0質量%、油相成分は10.0〜50.0質量%が特に好ましく、崩れ感と水が弾き出てくようなみずみずしさとしっとり感とが特に好ましく発揮される。そして、その粘度を4000〜30000mPa・s/30℃(B型粘度計による測定値)に調整すると使用感の観点からさらに好ましいものになる。なお、油相成分及び水相成分には各種薬剤を配合することが可能である。
【0037】
本発明の水中油型皮膚化粧料においては、通常乳化組成物に配合され得る油分を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。このような成分としては、例えば、炭化水素油、シリコーン油、ロウ類、脂肪酸エステル類、高級アルコール類、紫外線吸収剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0038】
炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプッシュワックス等が挙げられる。
【0039】
シリコーン油としては、例えば、鎖状ポリシロキサン(例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等);環状ポリシロキサン(例えば、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等)、3次元網目構造を形成しているシリコーン樹脂、平均分子量20万以上のシリコーンゴム、各種変性ポリシロキサン(アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等)等が挙げられる。
【0040】
ロウ類としては、例えば、ミツロウ、カンデリラロウ、カルナウバロウ、ラノリン、液状ラノリン、ジョジョバロウ等が挙げられる。
【0041】
脂肪酸エステルとしては、例えば、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸コレステリル、ミツロウ脂肪酸2−オクチルドデシル等が挙げられる。
【0042】
高級アルコールとしては、例えば、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セリルアルコール、ベヘニルアルコール、トリアコンチルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール等が挙げられる。
【0043】
紫外線吸収剤としては下記化合物が挙げられる。
(1)安息香酸系紫外線吸収剤
例えば、パラアミノ安息香酸(以下、PABAと略す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N-ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N-ジエトキシPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAブチルエステル、N,N-ジメチルPABAエチルエステルなど。
(2)アントラニル酸系紫外線吸収剤
例えば、ホモメンチル-N- アセチルアントラニレートなど。
(3)サリチル酸系紫外線吸収剤
例えば、アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p-イソプロパノールフェニルサリシレートなど。
(4)ケイ皮酸系紫外線吸収剤
例えば、オクチルシンナメート、エチル-4-イソプロピルシンナメート、メチル-2,5-ジイソプロピルシンナメート、エチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、メチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、プロピル-p-メトキシシンナメート、イソプロピル-p-メトキシシンナメート、イソアミル-p-メトキシシンナメート、オクチル-p-メトキシシンナメート(2-エチルヘキシル-p-メトキシシンナメート) 、2-エトキシエチル-p-メトキシシンナメート、シクロヘキシル-p-メトキシシンナメート、エチル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、2-エチルヘキシル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、グリセリルモノ-2-エチルヘキサノイル-ジパラメトキシシンナメートなど。
(5)トリアジン系紫外線吸収剤
例えば、ビスレゾルシニルトリアジン。
さらに具体的には、ビス{〔4−(2−エチルヘキシロキシ)−2−ヒドロキシ〕フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス{4−(2−エチルヘキシロキシカルボニル)アニリノ}1,3,5−トリアジンなど。
(6)その他の紫外線吸収剤
例えば、3-(4'-メチルベンジリデン)-d,l-カンファー、3-ベンジリデン-d,l-カンファー、2-フェニル-5-メチルベンゾキサゾール、2,2'-ヒドロキシ-5-メチルフェニルベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-5'-t-オクチルフェニル) ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-5'-メチルフェニルベンゾトリアゾール、ジアニソイルメタン、4-メトキシ-4'-t-ブチルジベンゾイルメタン、5-(3,3-ジメチル-2-ノルボルニリデン)-3-ペンタン-2-オン。ジモルホリノピリダジノンなどのピリダジン誘導体。
【0044】
また、本発明の水中油型皮膚化粧料に用いる乳化剤としては、HLB3〜11の非イオン性界面活性剤と長鎖アシル酸性グルタミン酸塩を併用したものが、みずみずしい使用感と安定性の観点からより好ましい。
【0045】
HLB3〜11の非イオン性界面活性剤としては、具体的には以下のようなものが挙げられる。
HLB3〜11の非イオン性界面活性剤として、POE(2)ステアリルエーテル(HLB4.0)、自己乳化型モノステアリン酸プロピレングリコール(HLB4.0)、ミリスチン酸グリセリル(HLB3.5)、モノステアリン酸グリセリル(HLB4.0)、自己乳化型モノステアリン酸グリセリル(HLB4.0)、モノイソステアリン酸グリセリル(HLB4.0)、ペンタステアリン酸デカグリセリル(HLB3.5)、ペンタイソステアリン酸デカグリセリル(HLB3.5)、ペンタオレイン酸デカグリセリル(HLB3.5)、モノステアリンソルビタン(HLB4.7)、モノイソステアリン酸ソルビタン(HLB5.0)、セスキイソステアリン酸ソルビタン(HLB4.5)、モノオレイン酸ソルビタン(HLB4.3)、ヘキサステアリン酸POE(6)ソルビット(HLB3.0)、POE(3)ヒマシ油(HLB3.0)、モノステアリン酸PEG(2)(HLB4.0)、モノステアリン酸エチレングリコール(HLB3.5)、ステアリン酸PEG(2)(HLB4.5)等が挙げられ、さらにはモノミリスチン酸ヘキサグリセリル(HLB11)、モノステアリン酸ヘキサグリセリル(HLB9.0)、モノオレイン酸ヘキサグリセリル(HLB9.0)、ジステアリン酸デカグリセリル(HLB9.5)、ジイソステアリン酸デカグリセリル(HLB10.0)等のポリグリセリン脂肪酸エステル類。モノステアリン酸ポリオキシエチレン(以下、POEと略す)(5)グリセリル(HLB9.5)、モノオレイン酸POE(5)グリセリル(HLB9.5)等のポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類。モノステアリン酸POE(6)ソルビタン(HLB9.5)、トリステアリン酸POE(20)ソルビタン(HLB10.5)、モノオレイン酸POE(20)ソルビタン(HLB15.0)、モノオレイン酸POE(6)ソルビタン(HLB10.0)、トリオレイン酸POE(20)ソルビタン(HLB11.0)等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類。POE(20)ヒマシ油(HLB10.5)POE(20)硬化ヒマシ油(HLB10.5)、POE(30)硬化ヒマシ油(HLB11.0)等のポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油類。POE(5)フィトステロール(HLB9.5)等のポリオキシエチレンステロール・水素添加ステロール類。POE(2)ラウリルエーテル(HLB9.5)、POE(5.5)セチルエーテル(HLB10.5)、POE(7)セチルエーテル(HLB11.5)、POE(7)オレイルエーテル(HLB10.5)、POE(10)オレイルエーテル(HLB14.5)、POE(15)オレイルエーテル(HLB16.0)、POE(20)オレイルエーテル(HLB17.0)、POE(50)オレイルエーテル(HLB18.0)、POE(10)ベヘニルエーテル(HLB10.0)POE(2)(C12−15)アルキルエーテル(HLB9.0)、POE(4)(C12−15)アルキルエーテル(HLB10.5)、POE(5)2級アルキルエーテル(HLB10.5)等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類。ポリオキシエチレン(以下、POEと略す)(1)ポリオキシプロピレン(以下、POPと略す)(4)セチルエーテル(HLB9.5)、POE(10)POP(4)セチルエーテル(HLB10.5)、POE(20)POP(6)デシルテトラデシルエーテル(HLB11.0)、等のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類。モノステアリン酸PEG(10)(HLB11.0)、ジイソステアリン酸PEG(HLB9.5)等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル類。イソステアリン酸PEG(8)グリセリル(HLB10.0)、イソステアリン酸PEG(10)グリセリル(HLB10.0)等のイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル類。
【0046】
本発明において、水中油型の乳化皮膚化粧料とする場合には、前記HLB3〜11の非イオン性界面活性剤は、0.1〜1.0質量%が望ましい。0.1質量%未満では、安定性の面で問題を生じる場合があり、また、1.0質量%を超えて配合すると、みずみずしさといった使用感の面で問題を生じるからである。
【0047】
また、本発明に用いるN−長鎖アシル酸性アミノ酸塩は、具体的には、N−ステアロイル−L−グルタミン酸、N−パルミトイル−L−グルタミン酸、N−ステアロイル−アスパラギン酸、N−パルミトイル−アスパラギン酸のモノナトリウム塩又はモノカリウム塩の少なくとも一種であることが好適である。
【0048】
本発明において、水中油型の乳化皮膚化粧料とする場合には、前記N−長鎖アシル酸性アミノ酸塩は、0.05〜1.0質量%が望ましい。0.05質量%未満では、乳化性の面で不十分な場合があり、1.0質量%を超えて配合すると、みずみずしさといった使用感の面で問題を生じる場合があるからである。
【0049】
本発明の皮膚化粧料には、上記成分の他に、通常皮膚化粧料に配合され得る成分を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。配合可能成分を具体例に例示する。
【0050】
多価アルコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、1,2−ペンタンジオール、ヘキシレングリコール等が挙げられる。
【0051】
水溶性高分子としては、例えば、カラギーナン、ペクチン、マンナン、カードラン、コンドロイチン硫酸、デンプン、グリコーゲン、アラビアガム、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガントガム、キサンタンガム、ムコイチン硫酸、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、グアガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビーンガム、サクシノグルカン、キチン、キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天等が挙げられる。
【0052】
その他、エタノール等の低級アルコール;ブチルヒドロキシトルエン、δ−トコフェロール、フィチン等の酸化防止剤;安息香酸、サリチル酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、フェノキシエタノール、ヘキサクロロフェン、ε−ポリリジン等の防腐剤;クエン酸、乳酸、ヘキサメタリン酸等の有機または無機酸よびその塩;ビタミンA、ビタミンAパルミテート、ビタミンAアセテート等のビタミンA誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2およびその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15およびその誘導体等のビタミンB類、α−トコフェロール、β−トコフェロール、ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン等のビタミン類;γ−オリザノール、アラントイン、グリチルリチン酸(塩)、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリル、ヒノキチオール、ビサボロール、ユーカルプトーン、チモール、イノシトール、サイコサポニン、ニンジンサポニン、ヘチマサポニン、ムクロジサポニン等のサポニン類、パントテニルエチルエーテル、アルブチン、セファランチン等の各種薬剤、ギシギシ、クララ、コウホネ、オレンジ、セージ、ノコギリソウ、ゼニアオイ、センブリ、タイム、トウキ、トウヒ、バーチ、スギナ、ヘチマ、マロニエ、ユキノシタ、オウゴン、アルニカ、ユリ、ヨモギ、シャクヤク、アロエ、クチナシ、サクラリーフ等の植物の抽出物、β−カロチン等の色素等も配合することができる。
【0053】
本発明の皮膚化粧料は、スキンケア乳液、低粘度のスキンケアクリーム等の水中油型乳液状製品として用いることが好ましい。これらの製品は、前記した必須成分および化粧料に通常配合される成分を混合して常法により製造することができる。
【実施例】
【0054】
本発明を実施例を挙げてさらに詳述する。本発明は、これによりなんら限定されるものではない。配合量は特に断りのない限り質量%で示す。
【0055】
「表1〜3」に記載した配合量組成よりなる実施例1〜9および比較例1〜6のスキンケア乳液(水中油型皮膚化粧料)を常法により製造した。得られたスキンケア乳液について、下記試験方法により、安定性および使用性(くずれ感、みずみずしさ、べたつき、浸透感)を評価した。また、粘度については、試料を30℃の水槽中に1時間浸し、B型粘度計にて測定した。
【0056】
[安定性試験]
50℃、1ヶ月間放置後の外観を、目視にて観察し、下記評価基準により判定した。
(評価基準)
○ :分離が全くみられなかった。
△ :分離がほとんどみられなかった。
× :液相(油相または水相)の分離が生じた。
【0057】
[ディスペンサー対応の安定性]
(評価基準)
◎: 高温に放置したディスペンサーから出した際、分離、塊が全く見られなかった。
○: 高温に放置したディスペンサーから出した際、分離、塊が全ほとんど見られなかった。
△: 高温に放置したディスペンサーから出した際、口元での分離または固化が見られた。
×: ディスペンサーから出した際、口元での分離または固化が見られた。
【0058】
[使用性(くずれ感)]
女性専門パネル(10名)による実使用試験を行い、肌へのばす時のくずれ感について、それぞれ下記の評価基準により評価した。
(評価基準)
◎: 10名全員が、くずれ感があると判定した。
○: 7〜9名が、くずれ感があると判定した。
△: 3〜6名が、くずれ感があると判定した。
×: 0〜2名が、くずれ感があると判定した。
【0059】
[使用性(みずみずしさ)]
女性専門パネル(10名)による実使用試験を行い、みずみずしさについて、それぞれ下記の評価基準により評価した。
(評価基準)
◎: 10名全員が、みずみずしさがあると判定した。
○: 7〜9名が、みずみずしさがあると判定した。
△: 3〜6名が、みずみずしさがあると判定した。
×: 0〜2名が、みずみずしさがあると判定した。
【0060】
[使用性(べたつき)]
女性専門パネル(10名)による実使用試験を行い、べたつきについて、それぞれ下記の評価基準により評価した。
(評価基準)
◎: 10名全員が、べたつきがなく、しっとりしたと判定した。
○: 7〜9名が、べたつきがなく、しっとりしたと判定した。
△: 3〜6名が、べたつきがなく、しっとりしたと判定した。
×: 0〜2名が、べたつきがなく、しっとりしたと判定した。
【0061】
[使用性(浸透感:有効成分が肌に浸透していく感じ)]
女性専門パネル(10名)による実使用試験を行い、浸透感について、それぞれ下記の評価基準により評価した。
(評価基準)
◎: 10名全員が、浸透感があると判定した。
○: 7〜9名が、浸透感があると判定した。
△: 3〜6名が、浸透感があると判定した。
×: 0〜2名が、浸透感があると判定した。












【0062】
【表1】





【0063】
【表2】





【0064】
【表3】

*1:下記合成例により得られるアクリルアミド系増粘剤ミクロゲル
「合成例:ジメチルアクリルアミド(興人製)を35gと2-アクリルアミド2-メチルプロパンスルホン酸(Sigma製)17.5gおよびメチレンビスアクリルアミド70mgを260gのイオン交換水に溶解し水酸化ナトリウムでpH=7.0に調節する。還流装置を備えた1000ml三つ口フラスコに、n-ヘキサン260gとポリオキシエチレン(3)オレイルエーテル(エマレックス503、日本エマルション製)8.7gおよびポリオキシエチレン(6)オレイルエーテル(エマレックス506、日本エマルション製)17.6gを入れ混合溶解しN2置換する。この三つ口フラスコにモノマー水溶液を添加してN2雰囲気下で攪拌しながらオイルバスで65℃〜70℃に加熱する。系の温度が65℃〜70℃に達したところで系が半透明なマイクロエマルション状態になっていることを確認した後、過硫酸アンモニウム2gを重合系に添加し重合を開始する。重合系を65〜70℃に3時間攪拌しながら維持することでミクロゲルが生成する。重合終了後ミクロゲル懸濁液にアセトンを加えてミクロゲルを沈殿させ、引き続きアセトンで3回洗浄し、残存モノマーおよび界面活性剤を除去する。沈殿物は濾過後減圧乾燥し、白色粉末状のミクロゲル乾燥物を得る。」
*2:商品名:SIMULGEL NS(ポリマー実分35%)(SEPPIC社製)
*3:商品名:Aristoflex AVC(Clariant社製)
【0065】
表1〜3の結果から明らかなように、本発明である実施例1〜9のスキンケア乳液は、優れた安定性と使用性を有していることがわかる。
【0066】
表1の実施例4のレオロジー特性を図1に示す。このグラフから、粘度降伏値が高いにもかかわらず、その後の応力が低いことが分かる(粘度降伏値でせん断応力の傾きが減少している)。これは、指で塗布する際に崩れやすく、塗布し易いことを示している。すなわち、本発明の皮膚化粧料は、それを皮膚上に伸ばすときに(指で負荷がかかる)、崩れて伸ばし易くなり、しかも崩れて伸ばす際には水が弾き出るようなみずみずしい塗布感を与える。
【0067】
以下に、本発明のその他の実施例を示す。
【0068】
実施例13 スキンケアクリーム
(配合成分) 質量%
(1)イオン交換水 残余
(2)ヘキサメタリン酸ソーダ 0.1
(3)炭酸ナトリウム 十水塩 0.2
(4)乳酸ナトリウム 0.05
(5)トラネキサム酸 1.0
(6)水酸化ナトリウム 0.03
(7)酸化チタン(ルチル型,粒径0.25μ) 1.0
(商品名:タイペークCR−50(石原産業(株)社製))
(8)1,3−ブチレングリコール 5.0
(9)グリセリン 3.0
(10)アクリルアミド系増粘剤 2.5
(商品名:セピゲル305(実分40%)(SEPPIC社製))
(11)カルボキシビニルポリマー 0.03
(12)N−ステアロイル−アスパラギン酸カリウム 0.1
(13)フェノキシエタノール 0.5
(14)水溶性コラーゲン 適量
(15)自己乳化型グリセリルモノステアレート 0.5
(16)ソルビタントリステアレート 0.1
(17)ベヘニン酸 0.4
(18)ミリスチン酸 0.2
(19)(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸) 0.1
ジペンタエリスリチル
(商品名:コスモール168E、日清オイリオ(株)社製)
(20)α−オレフィンオリゴマー 2.5
(21)グリセリル トリ−2−エチルヘキサノエート 1.5
(22)ジメチルポリシロキサン 0.3
(23)オクトクリレン 0.1
(24)香料 適量
<製法>
(15)〜(24)を70℃にて、均一に混合溶解した(油相)。一方、(1)〜(14)を70℃にて均一に混合溶解した(水相)。70℃に保持した水相に油相を徐添しながら、ホモミキサーで乳化した。乳化が終了したら、40℃以下に急冷し、目的の粘度30000mPa・s/30℃のスキンケアクリームを得た。
<製品の性状>
得られたスキンケアクリームについて、実施例1〜9と同様の評価を行ったところ、使用性に優れ(使用性評価、肌へののび、べたつき、みずみずしさ、浸透感とも◎)、安定性も良好(安定性評価:○)なものであった。
【0069】
実施例14 スキンケア乳液
(配合成分) 質量%
(1)イオン交換水 残余
(2)ヘキサメタリン酸ソーダ 0.05
(3)乳酸ナトリウム 0.01
(4)炭酸ナトリウム(無水塩) 0.05
(5)アスコルビン酸グルコシド 0.2
(6)水酸化カリウム 0.05
(7)酸化チタン(ルチル型,粒径0.25μ) 1.0
(商品名:タイペークCR−50(石原産業(株)社製))
(8)ジプロピレングリコール 5.0
(9)1,3−ブチレングリコール 9.0
(10)グリセリン 3.0
(11)アクリルアミド系増粘剤(表1の合成例で得られるもの) 0.1
(12)カルボキシビニルポリマー 0.1
(13)ケルトロール 0.05
(14)フェノキシエタノール 0.5
(15)エリスリトール 0.1
(16)ヒドロキシステアリン酸コレステリル 適量
(17)グリセリルステアレート 0.3
(18)ステアリン酸 0.4
(19)ミリスチン酸 0.2
(20)セトステアリルアルコール 0.3
(21)水添ヤシ油 0.6
(22)流動パラフィン 5.0
(23)メチルポリシロキサン20mPa・s 0.1
(24)ピロ亜硫酸ナトリウム 0.005
(25)香料 適量
<製法>
(16)〜(25)を70℃にて、均一に混合溶解した(油相)。一方、(1)〜(15)を70℃にて均一に混合溶解した(水相)。70℃に保持した水相に油相を徐添しながら、ホモミキサーで乳化した。乳化が終了したら、40℃以下に急冷し、目的の粘度10000mPa・s/30℃のスキンケア乳液を得、ディスペンサー容器に入れ、ディスペンサー仕様のスキンケア乳液を得た。
<製品の性状>
得られたスキンケア乳液について、実施例1〜9と同様の評価を行ったところ、使用性に優れ(使用性評価、肌へののび、べたつき、みずみずしさ、浸透感とも◎)、安定性も良好(安定性評価:○)なものであった。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明によれば、増粘剤としてアクリルアミド系増粘剤とカルボキシビニルポリマーとを併用し、くずれ感とみずみずしさを付与するため、炭酸ナトリウムを用いることにより、安定性と使用性に極めて優れた組成物が得られ、この組成物は皮膚化粧料として好適に利用される。
【0071】
安定性については、50℃保存下による経時安定性や遠心分離によっても、油浮きなどの分離がなく、経時安定性に極めて優れている。
【0072】
また、使用性については、特に、くずれ感があり、みずみずしく、べたつかず、有効成分が肌に浸透していく感じ(浸透感)に優れるという使用感に極めて優れた特性を有するものである。そして、乳酸ナトリウムを用いることにより、特にみずみずしい使用感をさらに増大することができるので、本発明の効果はさらに優れたものになる。
【0073】
さらに、本発明の皮膚化粧料を、ディスペンサー容器に充填する場合には、キサンタンガムを用いることによって安定性良く提供できるので、本発明の効果はさらに一層優れたものになる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】実施例4の皮膚化粧料のレオロジー特性のグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)アクリルアミド系増粘剤0.1〜1.0質量%と、(b)カルボキシビニルポリマー0.01〜1.0質量%と、(c)炭酸ナトリウム0.01〜3.0質量%と、(d)水とを含有することを特徴とする皮膚化粧料。
【請求項2】
前記(a)アクリルアミド系増粘剤が、ビニルピロリドン/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、ジメチルアクリルアミド/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、アクリル酸アミド/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、ポリアクリル酸アミドとポリアクリル酸ナトリウムの混合物、アクリル酸ナトリウム/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリルアミド/アクリル酸アンモニウム共重合体、アクリルアミド/アクリル酸ナトリウム共重合体からなる群から選択される1種又は2種以上の増粘剤であることを特徴とする請求項1記載の皮膚化粧料。
【請求項3】
さらに(e)キサンタンガムを含有することを特徴とする請求項1又は2記載の皮膚化粧料。
【請求項4】
さらに(f)乳酸ナトリウムを含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の皮膚化粧料。
【請求項5】
前記皮膚化粧料の粘度が、30℃において、4000〜30000mPa・sであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の皮膚化粧料。
【請求項6】
前記皮膚化粧料が水中油型乳化化粧料であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の皮膚化粧料。
【請求項7】
前記皮膚化粧料の容器がディスペンサーであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の皮膚化粧料。

【図1】
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【公開番号】特開2007−284389(P2007−284389A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−114267(P2006−114267)
【出願日】平成18年4月18日(2006.4.18)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】