説明

皮膚外用剤及びその製造方法

【課題】機能性油性成分の機能を効果的に発揮することができるエマルション組成物の皮膚外用剤及びその製造方法を提供する。
【解決手段】機能性油性成分を含む水中油型のエマルション組成物の皮膚外用剤であって、前記エマルション組成物が、200nm以上の平均粒子径を有する第1の油滴粒子及び70nm以下の平均粒子径を有する第2の油滴粒子を含み、前記第1の油滴粒子及び第2の油滴粒子が共に前記機能性油性成分を含有する皮膚外用剤と、上記第1の油滴粒子を含む第1の乳化物と上記第2の油滴粒子を含む第2の乳化物とを混合することを含む皮膚外用剤の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚外用剤及びその製造方法に関し、特に機能性油性成分を含む水中油型エマルション組成物の皮膚外用剤及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の機能性油性成分による効能を期待して、これらの機能性を効果的に発揮できるようなエマルション組成物が種々開発されている。例えば、カロテノイド類は、天然に存在する黄色から赤のテルペノイド類の色素で、抗酸化作用が強いことが知られている。特にカロテノイド類の一種であるアスタキサンチン類(アスタキサンチンおよびそのエステル等も含む)は、酸化防止効果、抗炎症効果(特許文献1)、皮膚老化防止効果(特許文献2)、シミやしわの形成予防効果(特許文献3)などの機能を有することも知られている。このため、アスタキチンサンを含有する食品、化粧品、医薬品等が種々開発されている。
【0003】
上記特許文献2では、オキアミの溶剤抽出液としてのアスタキサンチンを油相成分の一として用いて乳化を行い、エモリエントクリーム等を得ている。
また、特許文献4では、ローション等の場合には水溶性形態のアスタキサンチンを使用し、クリーム等の場合にはオイル状のものを使用している。これらの油溶性成分は、他の油相成分及び水相成分と共に混合・乳化して、目的とする形態の皮膚外用剤としている。
しかしながら、このような機能性油性成分の機能をより効果的にするには、いずれもまだ充分ではなかった。
【0004】
【特許文献1】特開平02−049091号公報
【特許文献2】特開平05−155736号公報
【特許文献3】特開2005−047860号公報
【特許文献4】特開2003−055188号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、機能性油性成分の機能を効果的に発揮することができる皮膚外用剤及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の皮膚外用剤は、水中油型エマルション組成物を含む皮膚外用剤であって、前記エマルション組成物が、200nm以上の最小粒子径を有する第1の油滴粒子及び70nm以下の平均粒子径を有する第2の油滴粒子を含み、前記第1の油滴粒子及び第2の油滴粒子が共に機能性油性成分を含有するものである。
ここで、前記第1の油滴粒子及び第2の油滴粒子の少なくとも一方に含まれる前記機能性油性成分が、カロテノイド含有成分であってもよく、その場合、前記カロテノイドが、アスタキサンチン及びその誘導体から選択された少なくとも1種であってもよい。
【0007】
前記皮膚外用剤では、前記第1の油滴粒子の配合量が、組成物全体の0.005質量%〜60質量%であってもよい。
また、前記皮膚外用剤では、前記第2の油滴粒子の配合量が、組成物全体の0.005質量%〜60質量%であってもよい。
更に、前記皮膚外用剤では、前記組成物における第1の油滴粒子と第2の油滴粒子との配合比が質量基準で、50000:1〜1:50000であることが好ましい。
前記皮膚外用剤では、前記水中油型のエマルション組成物の油相成分の合計配合量が組成物全体の0.01質量%〜60質量%であってもよい。
【0008】
本発明の皮膚外用剤の製造方法は、前記皮膚外用剤の製造方法であって、200nm以上の最小粒子径を有する第1の油滴粒子を含む第1の乳化物と、70nm以下の平均粒子径を有する第2の油滴粒子を含む第2の乳化物とを混合することを含むものである。
ここで、前記皮膚外用剤の製造方法では、前記第1の乳化物と第2の乳化物との混合比が質量基準で50000:1〜1:50000であることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、機能性油性成分の機能を効果的に発揮することができる皮膚外用剤及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の皮膚外用剤は、機能性油性成分を含む水中油型エマルション組成物であって、前記エマルション組成物が、200nm以上の最小粒子径を有する第1の油滴粒子及び70nm以下の平均粒子径を有する第2の油滴粒子を含み、前記第1の油滴粒子及び第2の油滴粒子が共に前記機能性油性成分を含有するものである。
このように粒子径が異なる第1の油滴粒子と第2の油滴粒子とを含むので、本皮膚外用剤を皮膚に塗布した場合には、200nm以上の最小粒子径を有する第1の油滴粒子は角質層の細胞間距離よりも大きいため角質層の上にとどまり、一方、70nm以下の平均粒子径を有する第2の油滴粒子は角質層を通過して角質層内部まで浸透することができる。これにより、機能性油性成分が各油滴粒子の配置に従って角質層の外側と内側にそれぞれ効果的に配置することができ、機能性油性成分の機能を効果的に発揮することができる。
【0011】
本発明にかかるエマルション組成物に含まれる第1の油滴粒子は、水中油型の粒子であって、200nm以上の最小粒子径を有する。200nm以上であれば、角質層を通過することがなく、角質層表面に配置することができる。第1の油滴粒子は、使用感の観点から好ましくは400nm以上、より好ましくは2000nm以上の最小粒子径を有する。
【0012】
第1の油滴粒子は、通常の水中油型の乳化物を作製することにより容易に得ることができる。第1の油滴粒子を含む水中油型の乳化物を、本発明では第1の乳化物という。
ここで最小粒子径は、粒子径測定の体積平均粒子径から体積粒子径の同標準偏差の3倍を引いた値の粒子径を意味し、下記の粒子分布測定方法から求めることができる。
【0013】
本発明のエマルション組成物に含まれる第2の油滴粒子は、第1の油滴粒子と同様に水中油型の粒子であって、70nm以下の平均粒子径を有する。70nm以下であれば、角質層を透過することができ、透過性の観点から好ましくは50nm以下、より好ましくは20nm以下とすることができる。
【0014】
ここで、平均粒子径は、体積平均粒子径を示し、市販の粒度分布計等で計測することができる。エマルションの粒度分布測定法としては、光学顕微鏡法、共焦点レーザー顕微鏡法、電子顕微鏡法、原子間力顕微鏡法、静的光散乱法、レーザー回折法、動的光散乱法、遠心沈降法、電気パルス計測法、クロマトグラフィー法、超音波減衰法等が知られており、それぞれの原理に対応した装置が市販されている。
【0015】
本発明における粒径範囲および測定の容易さから、本発明のエマルション粒径測定では動的光散乱法が好ましい。動的光散乱を用いた市販の測定装置としては、ナノトラックUPA(日機装(株))、動的光散乱式粒径分布測定装置LB−550((株)堀場製作所)、濃厚系粒径アナライザーFPAR−1000(大塚電子(株))等が挙げられる。また測定温度としては、粒子径の測定に通常用いられる温度であればよいが、20℃であることが好ましい。
本発明における粒子径は、測定温度を20℃とし、前記動的光散乱式粒径分布測定装置を用いて測定した値とする。
第2の油滴粒子は、後述する水中油型の乳化物を作製することにより容易に得ることができる。第2の油滴粒子を含む水中油型の乳化物を、本発明では第2の乳化物という。
【0016】
本発明にかかるエマルション組成物では、上記の第1の油滴粒子と第2の油滴粒子とを共に含むものである。第1の油滴粒子は皮膚表面における皮膚の保護および皮膚バリア機能の補助として作用することから、本エマルション組成物は、第1の油滴粒子を0.005質量%〜60質量%、好ましくは0.1質量%〜35質量%で、更に好ましくは5質量%〜25質量%で含むことができる。
一方、第2の油滴粒子は、皮膚内部における皮膚細胞、細胞外成分の保護および皮膚バリア機能の補助として作用することから、本エマルション組成物は、第2の油滴粒子を0.005質量%〜60質量%、好ましくは0.01質量%〜15質量%で、更に好ましくは0.5質量%〜5質量%で含むことができる。
第1の油滴粒子と第2の油滴粒子との配合比は、上記皮膚表面および内部での保護およびバリア機能のどこに重きを置いた設計にするかで配合比が変わるため、質量基準で50000:1〜1:50000の範囲で選択することができる。特に、肌表面の保護とバリア機能補助に要する成分必要量の観点から、好ましくは、100:1〜1:10とすることができ、更に好ましくは、10:1〜1:2とすることができる。
【0017】
本発明におけるエマルション組成物では、第1の油滴粒子と第2の油滴粒子とのそれぞれに機能性油性成分を含む。
(a)機能性油性成分
本発明に用いられる機能性油性成分とは、食品、化粧品、医薬品に使用した際に有用な効果を示す油性成分を表す。化学構造面からは、油脂類、炭化水素、ロウ類、エステル類、脂肪酸類、高級アルコール類、高分子類、油溶性色素類、油溶性蛋白質などがある。また、それらの混合物である、各種の植物由来油、動物由来油も含まれるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0018】
本発明に用いられる好ましい機能性油性成分の例としては、皮膚に適用したときの効果の観点から油溶性抗酸化成分であることが好ましく、これにはカロテノイド類、ビタミンE類(トコフェロール、トコトリエノール等)、ユビキノン類、ω−3油脂類(EPA、DHA、リノレン酸等を含む油脂)などを挙げることができる。
【0019】
本発明におけるカロテノイド類としては、天然色素を含むカロテノイド類を好ましく挙げることができ、これには、黄色から赤色のテルペノイド類の色素であり、植物類、藻類、及びバクテリアのものが含まれる。
【0020】
カロテノイド類としては、炭化水素類(カロテン類)及びこれらの酸化アルコール誘導体類(キサントフィル類)が挙げられる。
これらの例として、アクチニオエリスロール、アスタキサンチン、ビキシン、カンタキサンチン、カプサンチン、カプソルビン、β−8’−アポ−カロテナール(アポカロテナール)、β−12’−アポ−カロテナール、α−カロテン、β−カロテン、“カロテン”(α−及びβ−カロテン類の混合物)、γ−カロテン、β−クリプトキサンチン、エキネノン、ルテイン、リコピン、ビオラキサンチン、ゼアキサンチン及びフコキサンチン及びそれらのうちヒドロキシル又はカルボキシルを含有するもののエステル類が挙げられる。
【0021】
本発明において用いられるカロテノイド類は乳化粒径の微細化の観点から、好ましくは常温で油状のものである。特に好ましい例としては、酸化防止効果、抗炎症効果、皮膚老化防止効果、美白効果などを有し、黄色から赤色の範囲の着色料として知られているアスタキサンチン及びアスタキサンキチンのエステル等の誘導体(以下、「アスタキサンチン類」と総称する。)から選択された少なくとも1種を含むことができる。
【0022】
アスタキサンチンは、476nm(エタノール)、468nm(ヘキサン)に吸収極大を持つ赤色の色素でカロテノイドの一種キサントフィルに属している。アスタキサンチンの化学構造は3,3’−dihydroxy−β,β−carotene−4,4’−dione(C4052、分子量596.82)である。
【0023】
前記アスタキサンチン及びそのエステルは、アスタキサンチン及び/又はそのエステルを含有する天然物から分離・抽出したアスタキサンチン含有オイルとしたものであってもよい。このようなアスタキサンチン含有オイルとして、例えば、赤色酵母ファフィア、緑藻ヘマトコッカス、海洋性細菌等を培養し、その培養物からの抽出物、ナンキョクオキアミ等からの抽出物を挙げることができる。
【0024】
本発明において用いることができるアスタキサンチン類は、前記抽出物(抽出エキス)、またさらにこの抽出物を必要に応じて適宜精製したものでもよく、また合成品であってもよい。前記アスタキサンチン類としては、ヘマトコッカス藻から抽出されたもの(以下、ヘマトコッカス藻抽出物ともいう。)が、品質、生産性の点から特に好ましい。
本発明では、広く市販されているヘマトコッカス藻抽出物を用いることができ、例えば、武田紙器(株)製のASTOTS−S、同−2.5O、同−5O、同−10O等、富士化学工業(株)製のアスタリールオイル50F、同 5F等、東洋酵素化学(株)製のBioAstinSCE7等が挙げられる。
本発明において、ヘマトコッカス藻抽出物中のアスタキサチン類の色素純分としての含有量は、抽出コストの観点から好ましくは0.001〜50質量%が好ましく、より好ましくは0.01〜25質量%である。
【0025】
カロテノイド色素以外の好ましい機能性油性成分として、ユビキノン類、特にコエンザイムQ10が挙げられる。
また、本発明に好ましい更に他の機能性油性成分の例としては、ω−3位に二重結合を有する不飽和脂肪酸のω(オメガ)−3油脂類を挙げることができ、これにはリノレン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)及びドコサヘキサエン酸(DHA)並びにこれらを含有する魚油などを挙げることができる。
【0026】
上記以外にも機能性油性成分として使用可能な化合物には、常温で、液体の油脂(脂肪油)及び固体の油脂(脂肪)が挙げられる。
前記液体の油脂としては、例えばオリーブ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、ヒマシ油、アボガド油、月見草油、タートル油、トウモロコシ油、ミンク油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルチミン酸グリセリン、サラダ油、サフラワー油(ベニバナ油)、パーム油、ココナッツ油、ピーナッツ油、アーモンド油、ヘーゼルナッツ油、ウォルナッツ油、グレープシード油、スクワレン、スクワラン等が挙げられる。
また、前記固体の油脂としては、牛脂、硬化牛脂、牛脚脂、牛骨脂、ミンク油、卵黄油、豚脂、馬脂、羊脂、硬化油、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、パーム硬化油、モクロウ、モクロウ核油、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0027】
また他の機能性油性成分として、例えば、流動パラフィン、パラフィン、ワセリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックスなどの炭化水素、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ホホバ油、ミツロウ、ラノリンなどのロウ類、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、2−エチルヘキサン酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリルなどのエステル類、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、リノール酸、アラキドン酸などの脂肪酸類、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノールなどの高級アルコール類、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンなどのシリコーン油、その他、高分子類、油溶性色素類、油溶性蛋白質などを挙げることができる。また、それらの混合物である各種の植物由来油、動物由来油も含まれる。
【0028】
これらの機能性油性成分は、上述したように、第1の乳化物及び第2の乳化物にそれぞれ含有されており、機能性油性成分の合計量としては、エマルション組成物の応用、及び、乳化粒子径・乳化安定性の観点から、エマルション組成物の全体に対して、好ましくは0.1〜50質量%、より好ましくは0.5〜25質量%、更に好ましくは1〜10質量%である。
機能性油性成分の含有量を前記0.1質量%以上とすると、有効成分が少なくなることがなく、エマルション組成物の食品、化粧品への応用が容易となる傾向となり、50質量%以下であると、乳化粒子径の増大、乳化安定性の悪化が生じ難い傾向となる。
【0029】
また、第1の乳化物及び第2の乳化物それぞれに含有される機能性油性成分の含有量としては、機能性油性成分の種類等によって異なるが、一般に、第1の乳化物においては、使用感と機能とのバランスの観点から第1の乳化物全体に対して1質量%〜85質量%とすることができ、5質量%〜50質量%であることがより好ましい。一方、第2の乳化物においては、機能の観点から第2の乳化物全体に対して1質量%〜50質量%とすることができ、5質量%〜35質量%であることがより好ましい。
【0030】
(b)ラジカル捕捉剤
本発明における油性成分として、ラジカル捕捉の機能を有する脂溶性のラジカル捕捉剤(酸化防止剤)を含有することが好ましい。
ラジカル捕捉剤を単独又は複数組み合わせて使用することは、他の油性成分の酸化を防止するために好ましい態様である。
【0031】
本発明のラジカル捕捉剤として使用できる化合物としては、フェノール性OHを有する化合物、フェニレンジアミン等のアミン系化合物、また、アスコルビン酸及びエリソルビン酸の油溶化誘導体等を挙げることができる。
【0032】
エマルション組成物全体に対するラジカル捕捉剤の含有量は一般的には、組成物に全体に対して0.001〜20.0質量%であり、好ましくは0.01〜10.0質量%、より好ましくは0.1〜5.0質量%である。
本発明においては、第1の乳化物及び第2の乳化物のそれぞれに機能性油性成分が含有されることから、第1の乳化物と第2の乳化物とのそれぞれにラジカル捕捉剤を含有してもよく、いずれか一方にのみ含有してもよい。いずれか一方のみにラジカル捕捉剤が含有する場合には、機能性油性成分の抗酸化効果の観点から、第1の乳化物に配合されていることが好ましい。また双方に配合される場合のラジカル捕捉剤の含有量は、第1の乳化物及び第2の乳化物にそれぞれに含有される機能性油性成分の含有量に応じて適宜選択することができる。
【0033】
前記フェノール性OHを有する化合物として、ポリフェノール類(例えば、カテキン)、グアヤク脂、ノルジヒドログアヤレチック酸(NDGA)、没食子酸エステル類、BHT(ブチルヒドロキシトルエン)、BHA(ブチルヒドロキシアニソール)、ビタミンE類およびビスフェノール類等が挙げられる。没食子酸エステル類として、没食子酸プロピル、没食子酸ブチルおよび没食子酸オクチルが挙げられる。
【0034】
アミン系化合物としてフェニレンジアミン、ジフェニル−p−フェニレンジアミンまたは4−アミノ−p−ジフェニルアミンが挙げられ、ジフェニル−p−フェニレンジアミンまたは4−アミノ−p−ジフェニルアミンがより好ましい。
【0035】
アスコルビン酸、エリソルビン酸の油溶化誘導体としては、ステアリン酸L−アスコルビルエステル、テトライソパルミチン酸L−アスコルビルエステル、パルミチン酸L−アスコルビルエステル、パルミチン酸エリソルビルエステル、テトライソパルミチン酸エリソルビルエステル、などが挙げられる。
【0036】
以上の中でも、安全性、及び、酸化防止の機能に優れる観点から、特にビタミンE類が好ましく用いられる。
ビタミンE類としては、特に限定されず、例えばトコフェロール及びその誘導体からなる化合物群、並びにトコトリエノール及びその誘導体からなる化合物群から選ばれるものを挙げることができる。これらは単独で用いても、複数併用して用いてもよい。またトコフェノール及びその誘導体からなる化合物群とトコトリエノール及びその誘導体からなる化合物群からそれぞれ選択されたものを組み合わせて使用してもよい。
【0037】
トコフェロール及びその誘導体からなる化合物群としては、dl−α−トコフェロール、dl−β−トコフェロール、dl−γ−トコフェロール、dl−δ−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸−dl−α−トコフェロール、リノール酸−dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール等が含まれる。これらの内で、dl−α−トコフェロール、dl−β−トコフェロール、dl−γ−トコフェロール、dl−δ−トコフェロール、及び、これらの混合物(ミックストコフェロール)がより好ましい。また、トコフェロール誘導体としては、これらの酢酸エステルが好ましく用いられる。
トコトリエノール及びその誘導体からなる化合物群としては、α−トコトリエノール、β−トコトリエノール、γ−トコトリエノール、δ−トコトリエノール等が含まれる。また、トコトリエノール誘導体としては、これらの酢酸エステルが好ましく用いられる。トコトリエノールは麦類、米糠、パーム油等に含まれるトコフェロール類似化合物で、トコフェロールの側鎖部分に二重結合が3個含まれ、優れた酸化防止性能を有する。
上記ビタミンE類の中でも酸化防止効果の観点から、トコトリエノール及びその誘導体からなる化合物群から選択されたものを少なくとも1種を含有することが更に好ましい。
【0038】
(c)乳化剤
本発明におけるエマルション組成物は、第1の油滴粒子及び第2の油滴粒子を得るために、リン脂質及び界面活性剤からなる群より選択された少なくとも1種の乳化剤を含む。
【0039】
[リン脂質]
本発明において、リン脂質とは、複合脂質の内、脂肪酸、アルコール、リン酸と、場合によって窒素化合物とを有するエステルで、リン酸エステル及び脂肪酸エステルを有する一群であり、グリセリンを基本骨格とするグリセロリン脂質、スフィンゴシンを基本骨格とするスフィンゴリン脂質をいう。
本発明で使用することができるリン脂質としては、具体的にはホスファチジン酸、ビスホスファチジン酸、レシチン(ホスファチジルコリン)、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルメチルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ジホスファチジルグリセロール、スフィンゴミエリン等を例示できる。また、これらの成分を含む大豆、トウモロコシ、落花生、ナタネ、麦等の植物由来のものや、卵黄、牛等の動物由来のもの及び大腸菌等の微生物等由来の各種レシチンも挙げることができる。これらの混合物であるレシチンや水素添加レシチンを用いることもできる。またこれらリン脂質の由来は特に限定されないが、特に精製したものが好適である。
また、本発明においては、グリセロリン脂質として、酵素分解した結果、1分子内に1つの脂肪酸残基を有するグリセロリン脂質、即ちリゾレシチンも含まれる。
【0040】
また更に、上記のレシチンに代表されるグリセロリン脂質としては、水素添加又はヒドロキシル化されたものも、本発明において用いることができ、例えば水素添加レシチン、酵素分解レシチン、酵素分解水素添加レシチン、ヒドロキシレシチン等を使用することができる。
前記水素添加は、例えば、レシチンを触媒の存在下に水素と反応させることにより行われ、脂肪酸部分の不飽和結合が水素添加される。水素添加により、レシチンの酸化安定性が向上する。
また、前記ヒドロキシル化は、レシチンを高濃度の過酸化水素と酢酸、酒石酸、酪酸などの有機酸と共に加熱することにより、脂肪酸部分の不飽和結合が、ヒドロキシル化される。ヒドロキシル化により、レシチンの親水性が改良される。
【0041】
前記リン脂質としては、乳化安定性の観点から、レシチンが特に好ましい。
市販品のレシチンとしては、理研ビタミン(株)製レシオンシリーズや、レシマールELなどを挙げることができる。
また、一般に「高純度レシチン」と称されるレシチン純度80質量%以上のものが好ましく、より好ましくは90質量%以上のものである。
本発明で用いるリン脂質は、単独又は複数種の混合物の形態で用いることができる。
【0042】
リン脂質の含有量については、乳化安定性の観点から、第1の乳化物におけるリン脂質の含有量は第1の乳化物全体に対して0.01質量%〜70質量%とすることができ、2質量%〜35質量%であることが好ましい。また、第2の乳化物におけるリン脂質の含有量は、乳化安定性及び第2の油滴粒子の粒子径の観点から、第2の乳化物全体に対して0.001質量%〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは0.002質量%〜10質量%である。
【0043】
[界面活性剤]
本発明に使用することができる界面活性剤としては、水性媒体に溶解する水溶性界面活性剤であれば特に限定は無いが、例えばHLBが10以上、好ましくは12以上のノニオン界面活性剤が好ましい。HLBが10未満の場合には、乳化力が不十分となることがある。また乳化安定性の観点からHLBは16以下であることが好ましい。
また、本発明で使用することのできる界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、両性イオン性及びノニオン性のいずれであってよく特に制限は無いが、乳化安定性の観点からノニオン性界面活性剤が好ましい。ノニオン性界面活性剤の例としては、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、およびショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられる。より好ましくは、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルである。また、上記の界面活性剤は蒸留などで高度に精製されたものであることは必ずしも必要ではなく、反応混合物であってもよい。
【0044】
本発明に用いられる、ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、平均重合度が2以上、好ましくは6〜15、より好ましくは8〜10のポリグリセリンと、炭素数8〜18の脂肪酸、例えばカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、およびリノール酸とのエステルである。ポリグリセリン脂肪酸エステルの好ましい例としては、ヘキサグリセリンモノオレイン酸エステル、ヘキサグリセリンモノステアリン酸エステル、ヘキサグリセリンモノパルミチン酸エステル、ヘキサグリセリンモノミリスチン酸エステル、ヘキサグリセリンモノラウリン酸エステル、デカグリセリンモノオレイン酸エステル、デカグリセリンモノステアリン酸エステル、デカグリセリンモノパルミチン酸エステル、デカグリセリンモノミリスチン酸エステル、デカグリセリンモノラウリン酸エステル等が挙げられる。これらのポリグリセリン脂肪酸エステルを、単独又は混合して用いることができる。
【0045】
本発明に用いられるソルビタン脂肪酸エステルは、脂肪酸の炭素数が8以上のものが好ましく、12以上のものがより好ましい。ソルビタン脂肪酸エステルの好ましい例としては、モノカプリル酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、オレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン等が挙げられる。
【0046】
本発明に用いられるショ糖脂肪酸エステルは、脂肪酸の炭素数が12以上のものが好ましく、12〜20のものがより好ましい。ショ糖脂肪酸エステルの好ましい例としては、ショ糖ジオレイン酸エステル、ショ糖ジステアリン酸エステル、ショ糖ジパルミチン酸エステル、ショ糖ジミリスチン酸エステル、ショ糖ジラウリン酸エステル、ショ糖モノオレイン酸エステル、ショ糖モノステアリン酸エステル、ショ糖モノパルミチン酸エステル、ショ糖モノミリスチン酸エステル、ショ糖モノラウリン酸エステル等が挙げられる。本発明においては、これらのショ糖脂肪酸エステルを、単独又は混合して用いることができる。
【0047】
これら界面活性剤の添加量については、第1の乳化物における界面活性剤の量は、乳化物安定性の観点から第1の乳化物全体に対して、好ましくは0.01質量%〜70質量%、より好ましくは0.1質量%〜35質量%とすることができ、一方、第2の乳化物における界面活性剤の量は、第2の油滴粒子の粒子径の観点から第2の乳化物全体に対して、好ましくは0.1〜50質量%、より好ましくは0.5〜25質量%、更に好ましくは1〜20質量%とすることができる。
【0048】
(d)製造方法
このような本発明におけるエマルション組成物は、上記第1の油滴粒子と第2の油滴粒子を含むものであれば、製造方法は特に制限されないが、上記第1の乳化物と第2の乳化物とを混合することを含むものであることが好ましい。
【0049】
上記第1の乳化物と第2の乳化物は共に、それぞれ従来行われている方法に従って得ることができ、例えば、a)水などの水性媒体に、界面活性剤(乳化剤)を溶解させて、水相を得、b)前述したカロテノイドや、トコフェロール、リン脂質、及び必要に応じてその他の油溶性成分を混合・溶解して、油相を得、c)攪拌下で水相と油相を混合して、乳化分散を行うことによって得ることができる。
ここで使用可能な乳化手段は、自然乳化法、界面化学的乳化法、電気乳化法、毛管乳化法、機械的乳化法、超音波乳化法等一般に知られている乳化法のいずれも使うことができる。
【0050】
前記乳化分散における油相と水相との比率(質量)は、特に限定されるものではないが、油相/水相比率(質量%)として0.1/99.9〜50/50が好ましく、0.5/99.5〜30/70がより好ましく、1/99〜20/80が更に好ましい。
油相/水相比率を0.1/99.9以上とすることにより、有効成分が低くならないためエマルション組成物の実用上の問題が生じない傾向となり好ましい。また、油相/水相比率を50/50以下とすることにより、界面活性剤濃度が薄くなることがなく、エマルション組成物の乳化安定性が悪化しない傾向となり好ましい。
【0051】
本発明において第1の乳化物を得る場合には、前記乳化分散は、1ステップの乳化操作を行うことでもよいが、より均一な乳化粒子を得る場合、2ステップ以上の乳化操作を行うことができる。
具体的には、剪断作用を利用する通常の乳化装置(例えば、スターラーやインペラー攪拌、ホモミキサー、連続流通式剪断装置等)を用いて乳化するという1ステップの乳化操作に加えて、高圧ホモジナイザー等を通して乳化する等の方法で2種以上の乳化装置を併用するのが特に好ましい。高圧ホモジナイザーを使用することで、乳化物を更に均一な微粒子の液滴に揃えることができる。また、更に均一な粒子径の液滴とする目的で複数回行ってもよい。
【0052】
本発明における乳化分散する際の温度条件は、特に限定されるものでないが、機能性油性成分の安定性の観点から10〜100℃であることが好ましく、取り扱う機能性油性成分の融点などにより、適宜好ましい範囲を選択することができる。
【0053】
前記高圧ホモジナイザーとしては、処理液の流路が固定されたチャンバーを有するチャンバー型高圧ホモジナイザー及び均質バルブを有する均質バルブ型高圧ホモジナイザーが挙げられる。これらの中でも、均質バルブ型高圧ホモジナイザーは、処理液の流路の幅を容易に調節でき、操作時の圧力及び流量を任意に設定できるため、その操作範囲が広く、特に本発明にかかるエマルション組成物の製造方法にとって好ましい。
また、操作の自由度は低いが、圧力を高める機構が作りやすいため、超高圧を必要とする場合、チャンバー型高圧ホモジナイザーも好適に用いることができる。
【0054】
前記チャンバー型高圧ホモジナイザーとしては、マイクロフルイダイザー(マイクロフルイディクス社製)、ナノマイザー(吉田機械興業(株)製)、アルティマイザー((株)スギノマシン製)等が挙げられる。
前記均質バルブ型高圧ホモジナイザーとしては、ゴーリンタイプホモジナイザー(APV社製)、ラニエタイプホモジナイザー(ラニエ社製)、高圧ホモジナイザー(ニロ・ソアビ社製)、ホモゲナイザー(三和機械(株)製)、高圧ホモゲナイザー(イズミフードマシナリ(株)製)、超高圧ホモジナイザー(イカ社製)等が挙げられる。
【0055】
本発明において、前記高圧ホモジナイザーの圧力は、好ましくは50MPa以上、より好ましくは50〜250MPa、更に好ましくは100〜250MPaで処理することが好ましい。
また、乳化分散された組成物である乳化液はチャンバー通過直後30秒以内、好ましくは3秒以内に何らかの冷却器を通して冷却することが、分散粒子の粒子径保持の観点から好ましい。
【0056】
本発明における第2の乳化物を得るには、特に乳化物を微細化するための有用な方法として、PIT乳化法、ゲル乳化法等の界面化学的乳化法も使用可能である。この方法は消費するエネルギーが小さいという利点があり、熱で劣化しやすい素材を微細に乳化する場合に適している。
【0057】
また、汎用的に用いられる乳化法として、機械力を用いた方法、すなわち外部から強い剪断力を与えることで油滴を分裂させる方法が適用されている。機械力として最も一般的なものは、高速、高剪断攪拌機である。このような攪拌機としては、ホモミキサー、ディスパーミキサーおよびウルトラミキサーと呼ばれるものが市販されている。
【0058】
また、微細化に有用な別な機械的な乳化装置として高圧ホモジナイザーがあり、種々の装置が市販されている。高圧ホモジナイザーは、攪拌方式と比べて大きな剪断力を与えることが出来るために、乳化剤の量を比較的少なくても微細化が可能である。
高圧ホモジナイザーには大きく分けて、固定した絞り部を有するチャンバー型高圧ホモジナイザーと、絞りの開度を制御するタイプの均質バルブ型高圧ホモジナイザーがある。これらのチャンバー型高圧ホモジナイザー及び均質バルブ型高圧ホモジナイザーの具体例としては、第1の乳化物の製造について記載したものをそのまま挙げられる。
【0059】
比較的エネルギー効率のよい分散装置で、簡単な構造を有する乳化装置として超音波ホモジナイザーがある。乳化物の製造も可能な高出力超音波ホモジナイザーの例としては、超音波ホモジナイザーUS−600、同US−1200T,同RUS−1200T、同MUS−1200T(以上、(株)日本精機製作所製)、超音波プロセッサーUIP2000,同UIP−4000、同UIP−8000,同UIP−16000(以上、ヒールッシャー社製)等が挙げられる。これらの高出力超音波照射装置は25kHz以下、好ましくは15〜20kHzの周波数で使用される。
また、他の公知の乳化手段として、外部からの攪拌部を持たず、低エネルギーしか必要としない、スタチックミキサー、マイクロチャネル、マイクロミキサー、膜乳化装置等を使う方法も有用な方法である。
前記乳化分散は、1ステップの乳化操作を行うことでもよいが、粒径の小さな油滴粒子を含む第2の乳化物を得るには、2ステップ以上の乳化操作を行うことが均一で微細な乳化粒子を得る点から好ましい。
【0060】
第1の乳化物及び第2の乳化物は、上記の乳化分散における油相と水相との比率に加えて、リン脂質を含む界面活性剤のHLBおよび油相/水相への溶解度、さらには乳化温度、撹拌条件等をコントロールすることにより、所望の粒径の油滴粒子を含む乳化物として得ることができる。
このようにして得られた第1の乳化物と第2の乳化物とを混合することによって本発明におけるエマルション組成物を得ることができるが、それぞれの油滴粒子の粒子径の維持及び分散性の観点から、第1の乳化物の水相に第2の乳化物を混合することが好ましい。このときの混合比は、乳化物により求める機能の何に重点を置くかによって異なるが、混合乳化物の安定性の観点から、質量基準で第1の乳化物:第2の乳化物が50000:1〜1:50000であることが好ましく、100:1〜1:10であることがより好ましい。
【0061】
(e)その他成分
本発明にかかるエマルション組成物は、上記記載の成分の他に、通常化粧品組成物等で使用している水、多価アルコール、水溶性化合物、水溶性高分子化合物、防腐剤、酸化防止剤、金属イオン封止剤、香料等を必要に応じて配合することができる。
【0062】
[多価アルコール]
本発明における多価アルコールは、保湿機能や粘度調整機能等を有している。また、多価アルコールは、水と油脂成分との界面張力を低下させ、界面を広がりやすくし、微細で、かつ、安定な微粒子を形成しやすくする機能も有している。
【0063】
本発明における多価アルコールとしては、特に限定されず、例えば、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、イソプレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール、マルチトール、還元水あめ、蔗糖、ラクチトール、パラチニット、エリスリトール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、キシロース、グルコース、ラクトース、マンノース、マルトース、ガラクトース、フルクトース、イノシトール、ペンタエリスリトール、マルトトリオース、ソルビタン、トレハロース、澱粉分解糖、澱粉分解糖アルコール等が挙げられる。これらを、単独又は複数種の混合物の形態で用いることができる。
【0064】
[水溶性化合物]
本発明にかかるエマルション組成物では、機能の点から、水溶性の化合物を適時添加することが好ましい。
水溶性化合物としては、水溶性の美白剤(メラニン色素抑制剤、メラニン色素還元剤、メラニン色素排出促進剤)、抗シワ剤(細胞賦活剤、マトリックス(例えばコラーゲンなど)産生促進剤、マトリックス分解抑制剤)、抗酸化剤(ビタミンC、およびその誘導体、ポリフェノール類)、肌荒れ改善剤(低分子保湿剤(尿素、乳酸類、ピロリドンカルボン酸類など)、抗炎症剤、免疫抑制剤など)、角質保護剤(角質分化促進剤、角質間脂質産生促進剤、角質間脂質分解抑制剤)、ニキビ用剤、収斂剤等が挙げられる。これらの具体例としては、例えば、「化粧品科学ガイド」田上八郎ら著、フレグランスジャーナル社2007年発行、p227〜235に記載の物が挙げられる。
【0065】
[水溶性高分子化合物]
本発明にかかるエマルション組成物では、粘度の調整等の観点から、水溶性高分子、特に糖類、タンパク質類およびそれらの複合体を含むことができる。
【0066】
糖類としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖類、多糖類、デキストリン、デンプン誘導体、ガム類、ムコ多糖類、セルロース類等を含むがこれらに限定されるものではない。
これらの中で、代表的なものは、アガロース、アラビノース、アミロース、アミロペクチン、アカシアガム、アラビアガム、アラビノガラクタン、アルキルグリコシド、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、アルドース、イヌリン、オリゴ糖、ガッティガム、カードラン、カラギーナン、ガラクトマンナン、ガラクトース、キサンタンガム、キシロース、キシログルカン、キチン、キトサン、グアーガム、クラスターデキストリン、β−グルカン、グルクロン酸、グリコーゲン、グリコサミノグリカン、グリセルアルデヒド、グルコサミン、グルコース、グルコマンナン、ケトース、コンドロイチン硫酸、サイリウムシードガム、ジェランガム、シクロデキストリン、スクロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、セロビオース、ソルビトール、デオキシリボース、デキストリン、転化糖、デンプン、大豆多糖類、糖アルコール、糖タンパク質、トラガントガム、トレハロース、ヒアルロン酸、フコース、フルクトース、プルラン、ペクチン、ヘパリン、ヘミセルロース、マルトース、マンニトール、マンナン、ラクトース、リボース等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
これらの糖類の中では、粘度増加による分散安定性の観点からガム類、多糖類が好ましく、カロテノイド類の安定性の観点から、キサンタンガム、アラビアガム、プルランなどが更に好ましい。
【0067】
また、タンパク質類としては、アミノ酸がペプチド結合で重合したポリマー又はオリゴマーであればいかなる種類のものも用いることができるが、より好ましくは天然由来で且つ水溶性のものである。
タンパク質にはアミノ酸からなる単純タンパク質と、アミノ酸以外の構成成分を含む複合タンパク質とがあり、いずれも用いることができる。単純タンパク質の例としては、ゼラチン、コラーゲン、カゼイン、フィブロイン、セリシン、ケラチン、プロタミン等が挙げられる。また複合タンパク質としては、炭水化物に結合したタンパク質である糖タンパク質、脂質に結合したタンパク質であるリポタンパク質、金属イオンに結合したタンパク質である金属タンパク質、リボ核酸に結合したタンパク質である核タンパク質、リン酸基に結合したタンパク質であるリンタンパク質等がある。
一方、一般的には、タンパク質原料から呼称される場合も多く、動物性筋肉タンパク質、乳タンパク質、卵タンパク質、魚皮タンパク質、米タンパク質、小麦タンパク質(小麦グルテン)、大豆タンパク質、酵母タンパク質、細菌タンパク質等が挙げられる。
なお、このようなタンパク質は、混合物としても使用してもよい。
【0068】
[アミノ酸又はその誘導体]
本発明にかかるエマルション組成物は、他の機能性成分として、アミノ酸又はその誘導体を含有することが好ましい。
また、アミノ酸またはその誘導体が複数結合した、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチドを含有することも好ましい。
使用可能なアミノ酸又はその誘導体としては、化粧品の構成成分として用いることができるものは、特に限定されず用いることができる。
前記アミノ酸又はその誘導体としては、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、シスチン、メチオニン、リジン、ヒドロキシリジン、アルギニン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アセチルヒドロキシプロリン等のアミノ酸及びそれらの誘導体が挙げられる。
前記アミノ酸又はその誘導体としては、上記の中でも、ヒドロキシプロリン、アセチルヒドロキシプロリンが好ましい。
前記アミノ酸又はその誘導体は、従来公知の方法を用いて合成されたものでも、市販されているものでもよい。
これらは単独で用いても、複数を併用してもよい。
【0069】
[紫外線吸収剤]
本発明にかかるエマルション組成物は、紫外線吸収剤を含有することができる。本発明において使用可能な紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、3−(4’−メチルベンジリデン)−d,1−カンファー、3−ベンジリデン−d,1−カンファー、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等の公知の紫外線吸収剤を挙げることができる。
【0070】
これらの紫外線吸収剤は、エマルション組成物中に存在していればよいが、吸収剤の分散安定性の観点から第1の乳化物に含有されていることが好ましい。紫外線吸収剤の含有量は、特に制限されてないが、一般にエマルション組成物全体に対して0.1質量%〜45質量%とすることができ、好ましくは0.5質量%〜20質量%とすることができる。
【0071】
[香料]
本発明に配合可能な香料としては、動物系、植物系、鉱物系の天然香料および合成香料のいずれも使用可能であり、例えば、ローズ抽出エキス、カモミール抽出エキス、グリーンティー香料、ラベンダー油、ゼラニウム油、ジャスミン油、ベルガモット油、ムスク油、イランイラン油、リモネン、リナロール、β−フェニルエチルアルコール、2,6−ノナジエナール、シトラール、シクロペンタデカノン、オイゲノール、ローズオキサイド、インドール、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール、オーランチオールなどを挙げることができる。
香料の配合量には特に制限はなく適宜選択することができる。また、第1の乳化物と第2の乳化物のいずれに含有されていてもよく、また乳化物に含有せずエマルション組成物に可溶化されていてもよく、特に制限されない。
【0072】
(f)エマルション組成物の物性
本発明にかかるエマルション組成物は、化粧水等の水系分散物としてもよいが、機能性油性成分の機能を効果的に発揮するためにクリーム状又はジェル状であることが好ましい。
クリーム状のエマルション組成物である場合には、油相成分が組成物全体の1質量%〜60質量%であることが好ましく、5質量%〜30質量%であることがより好ましい。
またこのようなクリーム状又はジェル状である場合には、肌への塗布適性の観点から適当な粘度を有することが好ましく、例えば25℃における粘度が200〜200000mPa・sであることが好ましく、2000〜40000mPa・sであることがより好ましい。クリーム状又はジェル状のエマルション組成物の粘度は回転式粘度計やレオメーターで測定したものとすることができ、市販の粘度計を用いて測定することができる。
【0073】
本発明の皮膚外用剤は、機能性油性成分の機能を、特に皮膚に塗布したときに効果的に発揮させることができるので、特に化粧料組成物等として有用である。
【実施例】
【0074】
以下、本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下の記載で「部」と「%」表示してあるものは、特に断らない限り質量基準である。
【0075】
[実施例1]
(1)乳化物EM−1の作製
下記の表1記載の水相成分及び油相成分をそれぞれ、83℃で加熱しながら1時間溶解して得た。油相成分を80℃下で攪拌しながら、水相成分を添加して、ホモミキサーにて12000rpmで10分間攪拌乳化する。その後軽く攪拌しながら2℃/分の速度で徐々に冷却し35℃で攪拌を停止し、放冷した。得られたクリーム状の乳化物をEM−1とした。
乳化物EM−1の粒径は、動的光散乱粒径分散測定装置LB−550(株式会社堀場製作所製)を用いて測定し、得られた体積平均粒子経及び体積粒子径分布より、体積粒子径分布の標準偏差を求めた。体積平均粒子径−体積粒子径分布の標準偏差×3の計算より、最小粒子径は240nmであった。
【0076】
【表1】

【0077】
(2)乳化物EM−2の作製
乳化物EM−1の油相に、アスタキサンチンオイル(超臨界炭酸ガス抽出ヘマトコッカス藻色素(アスタキサンチン類20質量%含有))0.06gを更に添加する以外は乳化物EM−1と同様にして、乳化物EM−2を得た。
乳化物EM−2の最小粒子径は、上記と同様に測定したところ、220nmであった。
【0078】
(3)乳化物EM−3の作製
下記に記載の水相成分及び油相成分をそれぞれ、70℃で加熱しながら1時間溶解して得た。水相成分を70℃に保ったままホモジナイザー(みづほ工業(株)製、真空乳化装置PVQ−1D型)にて10000rpmで攪拌し、そこへ油相成分を添加して、乳化物を得た。得られた乳化物を、40℃で、アルティマイザーHJP−25005(株式会社スギノマシン社製)を用いて、200MPaの圧力で高圧乳化を行った。
その後、平均孔径1μmのミクロフィルターでろ過してアスタキサンチン含有乳化物AE−1(アスタキサンチンの添加量0.2g相当)を得た。
アスタキサンチン含有乳化物AE−1を1.0gと、99.0の純水とを混合してスターラーを用いて10分間攪拌し、得られた水希釈物の粒子径を、動的光散乱粒径分散測定装置LB−550(株式会社堀場製作所製)を使用して25℃で測定したところ、平均粒子径150nmであった。
EM−1の全量が70.0gとなるように精製水の量を調整し、EM−1の油相成分と水相成分とを混合して35℃まで冷却した後に、上記アスタキサンチン含有乳化物AE−1(平均粒子径150nm)30gを、70.0gのEM−1の水相に更に添加して攪拌した以外は乳化物EM−1と同様にして、乳化物EM−3(アスタキサンチンの添加量0.06g)を得た。
【0079】
油相
アスタキサンチンオイル 1.0g
(アスタキサンチン類20質量%含有)
ミックストコフェロール 0.25g
トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル 1.5g
レシチン 1.0g
水相
ショ糖ラウリン酸エステル 0.75g
ラウリン酸ポリグリセリル−10 0.75g
精製水で全量 100g
【0080】
(4)乳化物EM−4の作製
下記に記載の水相成分及び油相成分をそれぞれ、70℃で加熱しながら1時間溶解して得た。水相成分を70℃に保ったままホモジナイザー(みづほ工業(株)製、真空乳化装置PVQ−1D型)にて10000rpmで攪拌し、そこへ油相成分を添加して、乳化物を得た。得られた乳化物を、40℃で、アルティマイザーHJP−25005(株式会社スギノマシン社製)を用いて、200MPaの圧力で高圧乳化を行った。
それ以降は、アスタキサンチン含有乳化物AE−1と同様にして、アスタキサンチン添加量0.2g、平均粒子径60nmのアスタキサンチン含有乳化物AE−2を得た。
ここで得られたアスタキサンチン含有乳化物AE−2をAE−1の代わりに用いた以外は乳化物EM−3と同様にして、乳化物EM−4を得た。
【0081】
油相
アスタキサンチンオイル 1.0g
(アスタキサンチン類20質量%含有)
ミックストコフェロール 0.25g
トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル 2.0g
レシチン 1.0g
水相
ショ糖ラウリン酸エステル 0.5g
ラウリン酸ポリグリセリル−10 0.5g
精製水で全量 100g
【0082】
(5)乳化物EM−5の作製
下記に記載の水相成分及び油相成分を用いた以外は、アスタキサンチン含有乳化物AE−1と同様にして、アスタキサンチン添加量0.2g、平均粒子径150nmのアスタキサンチン含有乳化物AE−3を得た。
アスタキサンチンオイル0.003gを油相に添加し、全量が85gとなるよう精製水の量を調整した以外は乳化物EM−1と同様にして最小粒子径が240nmの乳化物BM−5を得た。アスタキサンチン含有乳化物AE−1をEM−1の水相に添加する代わりに、15gのアスタキサンチン含有乳化物AE−3を、85gの乳化物BM−5の水相に添加した以外は、乳化物EM−3と同様にして、乳化物EM−5を得た。
【0083】
油相
アスタキサンチンオイル 1.0g
(アスタキサンチン類20質量%含有)
ミックストコフェロール 0.25g
トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル 1.0g
レシチン 1.0g
水相
ショ糖ラウリン酸エステル 1.0g
ラウリン酸ポリグリセリル−10 1.0g
精製水で全量 100g
【0084】
(6)乳化物EM−6の作製
AE−3をEM−5の水相に添加する代わりに、前記アスタキサンチン含有乳化物AE−2(平均粒子径60nm、アスタキサンチン添加量0.2g)15gを85gのEM−5の水相に添加した以外は、乳化物EM−5と同様にして、乳化物EM−6を得た。
(7)乳化物EM−7の作製
EM−1の全量が70.0gとなるように精製水の量を調整し、前記アスタキサンチン含有乳化物AE−1(平均粒子径150nm、アスタキサンチン添加量0.2g)15gと、スタキサンチン含有乳化物AE−2(平均粒子径60nm、アスタキサンチン添加量0.2g)15gとを、EM−1の水相に添加して攪拌した以外は乳化物EM−1と同様にして、乳化物EM−7(アスタキサンチンの添加量0.06g)を得た。
【0085】
(8)評価方法
35歳から55歳の女性5名を被験者とし、朝/夕の1日2回、2品を半顔ずつ使用して評価を行った。具体的には、乳化物EM−1と乳化物EM−2とを半顔ずつ使用した。乳化物EM−3〜7については乳化物EM−2の代わりに用いて、この半顔テストを繰り返した。乳化物EM−1〜乳化物EM−7の使用感(潤い、肌やわらか感、肌ふっくら感それぞれの向上)を、使用1日目と5日目とに、5点法により評価した。各点の評価は、強く効果を感じる:5点、効果を感じる:4点、効果を感じない:3点、逆効果を感じる:2点、強く逆効果を感じる:1点とし、5人の平均点を出した。
なお、「潤い」は角質保湿性に対する評価、「肌やわらか感」とは、肌の柔軟性に対する評価、「肌ふっくら感」とは、肌の角質より深層の保湿性に対する評価である。
それぞれの結果を表2に示す。なお表中、アスタキサンチン(AX)含有油滴粒子の粒子径は、油相の場合には最小粒子径、水相添加の乳化物の場合には平均粒子径をそれぞれ表す。
【0086】
【表2】

【0087】
表2に示されるように、いずれもアスタキサンチンを含有する2種の油滴粒子、即ち240nm以上の最小粒子径となる油滴粒子と、70nm以下の平均粒子径となる油滴粒子とを共に含む乳化物EM−6は、1日目から高い評価を得ることができた。その上、5日後の使用感が他の乳化物を使用した場合と比較して潤い感、やわらか感、ふっくら感のいずれも格段に向上していた。
なお乳化物EM−6では、肌のハリ感においても5日後の使用感が他の乳化物よりも向上していた。
このように本発明に係る乳化物EM−6は、アスタキサンチンの柔軟性に関する機能を高めることができた。
従って、本発明によれば、機能性油性成分の機能を効果的に高めることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中油型エマルション組成物を含む皮膚外用剤であって、
前記エマルション組成物が、200nm以上の最小粒子径を有する第1の油滴粒子及び70nm以下の平均粒子径を有する第2の油滴粒子を含み、前記第1の油滴粒子及び第2の油滴粒子が共に機能性油性成分を含有する皮膚外用剤。
【請求項2】
前記第1の油滴粒子及び第2の油滴粒子の少なくとも一方に含まれる前記機能性油性成分が、カロテノイド含有成分である請求項1記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
前記カロテノイドが、アスタキサンチン及びその誘導体から選択された少なくとも1種である請求項2記載の皮膚外用剤。
【請求項4】
前記第1の油滴粒子の配合量が、組成物全体の0.005質量%〜60質量%である請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の皮膚外用剤。
【請求項5】
前記第2の油滴粒子の配合量が、組成物全体の0.005質量%〜60質量%である請求項1〜請求項4のいずれか1項記載の皮膚外用剤。
【請求項6】
前記組成物における第1の油滴粒子と第2の油滴粒子との配合比が質量基準で、50000:1〜1:50000である請求項1〜請求項5のいずれか1項記載の皮膚外用剤。
【請求項7】
前記水中油型エマルション組成物の油相成分の合計配合量が組成物全体の0.01質量%〜60質量%である請求項1〜請求項6のいずれか1項記載の皮膚外用剤。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれか1項記載の皮膚外用剤の製造方法であって、
200nm以上の最小粒子径を有する第1の油滴粒子を含む第1の乳化物と、70nm以下の平均粒子径を有する第2の油滴粒子を含む第2の乳化物とを混合することを含む皮膚外用剤の製造方法。
【請求項9】
前記第1の乳化物と第2の乳化物との混合比が質量基準で50000:1〜1:50000である請求項8記載の皮膚外用剤の製造方法。

【公開番号】特開2009−161523(P2009−161523A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−314783(P2008−314783)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】