説明

皮膚洗浄剤

【課題】従来の皮膚洗浄剤は、カチオン系界面活性剤とそれと反応して固形化するポリマーからなるものであった。従来のものは、水と消しゴムの屑状のものになるポリマーと、該ポリマーと反応するカチオン系界面活性剤で構成されているため、洗浄後、さっぱりはしているが、どうしてもツッパリ感(エモリエント感に劣る)があった。
【解決手段】皮膚に塗布し摩擦することにより、消しゴムの屑状のものに変化しその屑状のものと共に汚れや古くなった角質等を除去するものであって、少なくとも、水、カチオンと反応する反応基を有するポリマー、カチオン系界面活性剤、ノニオン系親油性界面活性剤、ノニオン系親水性界面活を含有し、その含有量はノニオン系親油性界面活性剤は0.1〜5重量%、ノニオン系親水性界面活性剤0.1〜5重量%であるもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚洗浄剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
皮膚洗浄剤とは、皮膚の汚れや古い角質を除去するためのものである。ここでは、皮膚に塗布し軽く擦ることによって、固形化したものと一緒にそれらを除去するタイプのものをいう。
【0003】
従来の皮膚洗浄剤は、カチオン系界面活性剤とそれと反応して固形化するポリマーからなるものであった。例えば、特許文献1のような皮膚洗浄料である。
【特許文献1】特開2005−187338
【0004】
この従来例は、皮膚に少し塗布し軽くマッサージすることによって消しゴムの屑状のものを出し、それとともに汚れや古くなった角質を除去できる。洗浄できたことが視覚的に分かるものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の従来例では、また市販されているものもすべて水と消しゴムの屑状のものになるポリマーと、該ポリマーと反応するカチオン系界面活性剤で構成されているため、洗浄後、さっぱりはしているが、どうしてもツッパリ感(エモリエント感に劣る)がある。
よって、このような消しゴムの屑状のものになる洗浄剤は、汚れ落し等にはよいが、しっとり感がないため洗浄後油分の補給が必要であった。
【0006】
従来例では、塗布する部位が水に濡れている場合にはマッサージを行なっても消しゴムの屑状のものが出にくい、また液ダレを起こしやすくマッサージしにくかった。即ち、耐水性が悪いということである。よって、使用者からは使用場所を限定され使用しづらいとの意見が多かった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上のような状況に鑑み、本発明者は鋭意研究の結果本発明皮膚洗浄剤を完成したものであり、その特徴とするところは、皮膚に塗布し摩擦することにより、消しゴムの屑状のものに変化しその屑状のものと共に汚れや古くなった角質等を除去するものであって、少なくとも、水、カチオンと反応する反応基を有するポリマー、カチオン系界面活性剤、ノニオン系親油性界面活性剤、ノニオン系親水性界面活性剤を含有し、その含有量はノニオン系親油性界面活性剤は0.1〜5重量%、ノニオン系親水性界面活性剤0.1〜5重量%である点にある。
【0008】
ここでカチオンと反応する反応基を有するポリマーとは、アニオン性の水溶性ポリマーであり、一般的にはカルボキシビニルポリマーである。これはアクリル酸系のモノマーが重合したものである。これも種々のものがあるが、カチオン系界面活性剤と反応し摩擦することにより消しゴムの屑状のもの(ゲル)になるものであればどのようなものでもよい。
【0009】
このポリマーの含有量は、本発明皮膚洗浄剤全体の0.2〜7重量%が適当である。0.2%以下ではゲルの生成が不十分であり、7%以上になるとゲルの粘度が高くなり使用し難い。
【0010】
カチオン系界面活性剤は、上記したポリマーと反応するものであればよい。通常はアンモニウム塩である。例えば、モノアルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、ジアルキルモリホニウム塩その他である。
この混合量は、上記と同様0.2〜7重量%が適当である。
【0011】
この上記の組合せで消しゴムの屑状のものは出るが、これだけではしっとり感がないためこれを補うためと耐水性を向上させるため、本発明では、ここにノニオン系親油性界面活性剤とノニオン系親水性界面活性剤を混合している。これが本発明のポイントである。
【0012】
ノニオン系親油性界面活性剤は、HLBが2〜8であり、特に3〜7が好適である。例としては、ポリオキシエチレン(5)ポリオキシプロピレングリコール(HLB5.8)、ポリオキシエチレン(3)ヒマシ油(HLB3.0)、ポリオキシエチレン(5)ベヘニルエーテル(HLB7.0)等がある。
このノニオン系親油性界面活性剤の含有量は、0.1〜5重量%である。0.1%以下では効果がほとんどなく、5%以上ではべとつき感がで、また混合も難しい。
【0013】
ノニオン系親水性界面活性剤は、HLBが12〜18であり、13〜17が好適である。例としては、ポリオキシエチレン(12)2級アルキルエーテル(HLB14.5)、ポリオキシエチレン(9)2級アルキルエーテル(HLB13.5)、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸ソルビタン(20EO)(HLB16.9)等がある。
このノニオン系親水性界面活性剤の含有量は、0.1〜5重量%である。0.1%以下では効果がほとんどなく、5%以上では混合が難しい。
【0014】
ノニオン系界面活性剤の新油性のものと親水性のものの両方を加えることが本発明のポイントであり、全体がエマルジョンではなく溶液状(ジェル状も含む)になる。
【0015】
更に、上記の必須成分に、グリセリンのような多価アルコールを混合してもよい。これは保湿効果と、消しゴムの屑状のものがさらに出やすくなるためである。多価アルコールとしては前記グリセリンだけでなく、エチレングリコールやポリエチレングリコール等が使用できる。混合量としては1〜20重量%であり、5〜15重量%がより好適である。
【0016】
以上の成分を水を加えて100重量%にして完成であるが、本発明の趣旨を逸脱しない限り他の成分を加えてもよい。例えば、植物抽出物、ビタミン類、着色剤、香料等である。
【0017】
本発明洗浄剤の使用法は、本洗浄剤を皮膚(濡れていてもよい)に適量、塗布し軽くマッサージするように肌に擦りつける。このようにすると、液剤が固形化し消しゴムの屑状になる。それが、汚れや古くなった角質をまきこんで皮膚から除去する。
その後は屑状物を水やぬるま湯で洗い流す。これは簡単にできる。そして、通常の洗浄後の手入れはしてもしなくてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明皮膚洗浄剤には次のような効果がある。
(1) 固形状にして汚れ等を除去するため視覚的にわかりやすく使用者に好まれる。
(2) ノニオン系親油性界面活性剤が混合されているため、洗浄後にしっとりとした感じがある。
(3) 耐水性が高いため、少々濡れている部分でも消しゴムの屑状物が出やすく、液ダレも少ない。
(4) エマルジョンではなくジェルタイプであり肌の馴染みがよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下実施例に基づいて、本発明をより詳細に説明する。
【実施例1】
【0020】
実施例1
次の成分を混合して実施例や比較例を作成した。
カチオンと反応する反応基を有するポリマーと、カチオン系界面活性剤、ノニオン系親油性界面活性剤、ノニオン系親水性界面活性剤を水と混合して実施例を作成した。混合量は表1の通りであり、表中の成分名は次の通りである。
A:カルボキシビニルポリマーであるノベオン社のカーボポール940
B:ベヘニルトリメチルアンモニウム塩
C:ポリオキシエチレン(5)ポリオキシプロピレングリコール(HLB 5.8)
D:ポリオキシエチレン(3)ヒマシ油(HLB 3.0)
E:ポリオキシエチレン(5)ベヘニルエーテル(HLB 7.0)
F:ポリオキシエチレン(12)2級アルキルエーテル(HLB 14.5)
G:ポリオキシエチレン(9)2級アルキルエーテル(HLB 13.5)
H:ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸ソルビタン(20EO)(HLB 16.9)
I:グリセリン
J:水
【0021】
【表1】

【0022】
これらの例を少し皮膚に塗布し、その上から軽くマッサージして固形化するようにした。そして種々の効果を判断した。その結果も表1に示す。
ここで屑状物の発生状況において、◎は「非常によい」、○は「よい」、△は「屑状にはなるが効果は少ない」を表す。
耐水性においては、十分に湿らせた手で軽くこすることで、消しゴムの屑状のものが視覚的に確認できるかどうか確認した。即ち、従来例を濡れていない状態、従来例を濡れた状態、本発明品を濡れた状態で使用して比較した。◎は「従来例の濡れていない状態での視覚確認と比べて屑状の量が多い」、○は「従来例の濡れていない状態での視覚確認と比べて同等かそれよりわずか少ない程度」、×は「従来例の濡れた状態での視覚確認と比べて同等かそれよりわずか少ない程度」を表す。
エモリエント感において、◎は「しっとり感が強い」、○は「しっとり感がある」、×は「しっとり感がない」を表す。
安定性において、◎は「非常に安定である」、○は「安定である」、×は「不安定(分離等)である」を表す。
【0023】
次に比較例も同様のものを表2に示す。
比較例1はノニオン系界面活性剤を両方とも混合しないもの、比較例2はノニオン系親水性界面活性剤を含まないもの、比較例3はノニオン系親油性界面活性剤を含まないもの、比較例4はノニオン系界面活性剤は両方含むが親油性界面活性剤が多すぎるもの、比較例5はノニオン系界面活性剤は両方含むが親水性界面活性剤が多すぎるもの、比較例6はノニオン系界面活性剤は両方含むが両方とも多すぎるものである。
【0024】
【表2】

【0025】
表1から実施例1〜5は充分使用できるが、実施例6にようにグリセリンを加えた方がよいことが分かる。また、その他の実施例から種々の活性剤が使用できることが分かる。
【0026】
表2からノニオン系界面活性剤は両方が必要であり、且つ多すぎても効果がないことが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚に塗布し摩擦することにより、消しゴムの屑状のものに変化しその屑状のものと共に汚れや古くなった角質等を除去するものであって、少なくとも、水、カチオンと反応する反応基を有するポリマー、カチオン系界面活性剤、ノニオン系親油性界面活性剤、ノニオン系親水性界面活を含有し、その含有量はノニオン系親油性界面活性剤は0.1〜5重量%、ノニオン系親水性界面活性剤0.1〜5重量%であることを特徴とする皮膚洗浄剤。
【請求項2】
更に、多価アルコールを混合したものである請求項1記載の皮膚洗浄剤。

【公開番号】特開2007−230932(P2007−230932A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−55893(P2006−55893)
【出願日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(391027929)三粧化研株式会社 (17)
【Fターム(参考)】