説明

皮膚洗浄化粧料及び皮膚洗浄方法

【課題】 優れた皮膚洗浄効果、すなわち、効率的に毛穴や皮溝等に存在する化粧料や分泌物を除去し皮膚洗浄ができる皮膚洗浄剤を提供する。
【解決手段】 本発明は、皮膚洗浄方法に法線応力効果を利用することにより、従来技術より優れた皮膚洗浄効果が得らるものであり、使用する皮膚洗浄化粧料は、水と曳糸性を有する高分子と、界面活性剤及び/又は液状油剤とを配合した液状組成物であって、該液状組成物が、該液状組成物を500mLビーカーに300mL入れ、直径10mmの棒を3cm浸漬し、該攪拌棒を1500rpmで回転させたとき、該液状組成物の撹拌棒付近の液面が、無回転時より1cm以上上昇する特性を有するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、法線応力効果を呈する皮膚洗浄化粧料及び皮膚洗浄方法並びに皮膚の皮膚洗浄方法に法線応力効果を利用することを表示した皮膚洗浄化粧料に関するもので、さらに詳細には従来技術より優れた皮膚洗浄効果を有する化粧料の提供を目的とする。
【背景技術】
【0002】
従来、皮膚の清浄方法は、界面活性剤や油剤を用いて皮膚上の化粧料や分泌物を乳化若しくは可溶化し、洗い流すか拭き取る方法で行うのが一般的である。また、通常の清浄行為では除去し難い毛穴や皮溝中の化粧料や分泌物を除去する為、吸着力の高い被膜形成性樹脂を皮膚上で造膜させた後、剥がしとる化粧料、所謂、ピールオフ型パック料も一般的である(例えば特許文献1参照)。また、清浄動作時の塗擦力を毛穴や皮溝にまで到達させる為、微小な粉体や繊維等を清浄用化粧料に配合させた、所謂、スクラブ剤入り清浄用化粧料も皮膚清浄用化粧料として使用されている。(例えば特許文献2参照)
【0003】
【特許文献1】特開2002−104920号公報
【特許文献2】特許第2710157号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、界面活性剤や油剤だけでは毛穴や皮溝等に存在する化粧料や分泌物を完全には除去出来ない場合があった。ピールオフ型パック料においては、展延、乾燥、剥離と洗浄に時間がかかるし、皮膚が汚れている状態での使用では充分な吸着力が発揮されず、結果的に皮膚清浄が不充分の場合があった。スクラブ剤入りのものは、スクラブ剤の分散状態を良好に保つ技術が必要なことや、使用法によっては目に入るトラブルも生じる場合があった。通常の洗浄やクレンジング行為により毛穴や皮溝等に存在する化粧料や分泌物を除去できる皮膚洗浄化粧料や皮膚の洗浄方法が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、法線応力効果を洗浄剤に利用することにより、優れた皮膚洗浄効果を有する皮膚洗浄化粧料が得られることを見出し、本発明を完成した。すなわち本発明は、水及び曳糸性(曳糸性とは、粘チョウ液体が糸をひく性質のことをいう)を有する高分子、更に界面活性剤及び/又は液状油剤とを配合した液状組成物において、該液状組成物が、室温にて該液状組成物を500mLビーカーに300mL入れ、直径10mmの棒を3cm浸漬し、該攪拌棒を1500rpmで回転させたとき、該液状組成物の撹拌棒付近の液面が、無回転時より1cm以上上昇する特性を有するもの、すなわちその液状組成物が法線応力効果を呈することを特徴とする皮膚洗浄化粧料を提供するものであり、同時に水と曳糸性を有する高分子と、界面活性剤及び/又は液状油剤とを配合した液状組成物を塗布し、法線応力効果による特性を利用しながら皮膚を洗浄する、皮膚洗浄化粧料を提供するものである。また、本体、包装、説明書、宣伝物の何れか皮膚を洗浄する際に法線応力効果を利用する旨の表示をした皮膚洗浄化粧料をも提供する
【発明の効果】
【0006】
本発明は、皮膚洗浄化粧料に法線応力効果による特性を利用することにより、従来技術より優れた皮膚洗浄効果、すなわち、効率的に毛穴や皮溝等に存在する化粧料や分泌物を除去し皮膚洗浄ができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の皮膚洗浄化粧料は水と曳糸性を有する高分子と、界面活性剤及び/又は液状油剤とを配合した液状組成物で、且つ法線応力効果を呈する皮膚洗浄化粧料であり、皮膚洗浄効果は、化粧料に法線応力効果を付与し、該化粧料を皮膚に塗擦する事で完成する。
法線応力効果は、流体の物理的現象としては認知されているが、化粧料においてその流動特性はまだ利用されていない。
従来の皮膚洗浄行為の特徴は、皮膚洗浄剤を塗布後、指又はスポンジ等で皮膚面と平行方向に展延しながら行うものであった。しかし、皮膚洗浄化粧料が法線応力効果を呈する流体であるならば、展延動作時に皮膚面の法線方向、すなわち皮膚面と直角な方向に応力が発生し、その応力が、皮膚洗浄化粧料を介して毛穴や皮溝に及び、効率的な皮膚洗浄行為ができるものとなる。
【0008】
本発明の法線応力効果は、法線応力測定装置(日本レオロジー機器社製)を用いて測定することや、その効果を示す指標としてスウェル値で表すこともできる。本発明においては、簡単に判断できる方法として、例えば、液状組成物を500mLビーカーに300mL入れ、直径10mmの棒を3cm浸漬し、該攪拌棒を1500rpmで回転させたとき、液面より棒の周囲に組成物が這い上がる現象が生じるものを法線応力効果を呈すると言うことができる。本発明においては、撹拌棒の無回転時液面より撹拌棒の周囲に1cm以上上昇する現象が生じるものを法線応力効果を呈する液状組成物であるとした。通常、法線応力効果を呈さない液状組成物は、前記回転数で回転させると、接線方向の応力しか働かず、その遠心力により外壁に押しやられ、攪拌棒の周囲の液面は下降するため、対照的な現象が現れるといえる。尚、本発明において断りのないかぎり、物理的性質を表すものは室温での状態を指す。
【0009】
法線応力効果は、特定のコロイド溶液や高分子溶液、さらに具体的には天然ゴムのキシロール溶液や特定の植物性多糖類水溶液、水溶性高分子水溶液等で観察される。当然ながら法線応力効果は液体に観察される現象であるため、当該化粧料の性状は液体である。化粧料の剤型は、粘弾性を有する水溶液状、更にはその内部に混合しない相を乳化させた、水中油乳化型が挙げられる。
【0010】
本発明の皮膚洗浄化粧料は、少なくとも水と曳糸性を有する高分子を配合し、その高分子は、化粧料が法線応力効果による特性を呈すれば、特に制限されず、いずれのものも使用することができるが、水溶性高分子が好ましい。例えば、水溶性高分子としては、高重合度ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、(ビニルピロリドン−酢酸ビニル)コポリマーから選ばれるものが好ましい。更に、この水溶性高分子は、水に1質量%(以下、単に「%」とする)溶解したものに直径3mmの金属棒を1cm針入して垂直に引き上げたとき、3cm以上の糸ひき(溶液が金属棒に付着したまま切れないこと)が起こる糸ひき性を有するものであれば、法線応力効果を呈することができる。高重合度ポリエチレングリコールの市販品として、ポリオックスWSR−N−60K、ポリオックスWSR−301、ポリオックスWSR COAGULANT、ポリオックスWSR−303(以上、ユニオンカーバイト社製)が例示できるが分子量は200万〜700万の範囲のものが好ましい。ポリアクリル酸ナトリウムの市販品として、アロンビス S(日本純薬社製)が例示でき、カルボキシメチルセルロースナトリウムの市販品として、CMCダイセル1170、CMCダイセル1180、CMCダイセル1270、CMCダイセル1280、CMCダイセル1290、CMCダイセル1350、CMCダイセル1380(以上、ダイセル化学工業社製)が例示でき、ヒアルロン酸ナトリウムの市販品として、ヒアルロン酸FCH121−S(1%水溶液)、ヒアルロン酸FCH201S(1%水溶液)、ヒアルロン酸FCHSU−S(以上、紀文フードケミファ社製)、アセチル化ヒアルロン酸ナトリウム(資生堂ファインケミカル事業部製)が例示でき、ポリビニルピロリドンの市販品として、LUVISKOL K−90(バディッシュ社製)が例示でき、ポリビニルアルコールの市販品として、PVA−205、PVA−217、クラレポバール PVA124(以上、クラレ社製)、PVA−EG25、PVA−EG40、PVA−GL05S、PVA−EG05、(以上、日本合成社製)が例示でき、(ビニルピロリドン−酢酸ビニル)コポリマーの市販品として、PVP/VAE−735(50%エタノール溶液)、PVP/VA−S630(以上、ISPヴァンダイク社製)が例示できる。中でも、ポリアクリル酸ナトリウムが少量で法線応力効果を呈することができるため好ましい。これらの水溶性高分子は必要に応じ1種または2種以上を用いることができる。
高分子の配合量は、特に限定されないが、好ましくは0.001〜10%であり、より好ましくは0.01〜5%である。この範囲であれば、皮膚洗浄化粧料が法線応力効果による特性を有し、皮膚洗浄化粧料としての使用性も向上することができる。
【0011】
本発明は皮膚洗浄剤であるため、界面活性剤を配合することにより、洗浄力をあげることができる。界面活性剤としては、化粧品一般に用いられている界面活性剤であればよく、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、プロピレングリコール脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビトールの脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、グリセリンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ラノリンのアルキレングリコール付加物、ポリオキシアルキレン変性シリコーン、ポリオキシアルキレンアルキル共変性シリコーン等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、ステアリン酸、ラウリン酸のような脂肪酸及びそれらの無機及び有機塩、アルキルベンゼン硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、α−スルホン化脂肪酸塩、アシルメチルタウリン塩、N−メチル−N−アルキルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩、N−アシルアミノ酸塩、N−アシル−N−アルキルアミノ酸塩、ο−アルキル置換リンゴ酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、ポリアミン及びアルカノルアミン脂肪酸誘導体、アルキル四級アンモニウム塩、環式四級アンモニウム塩等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、アミノ酸タイプやベタインタイプのカルボン酸型、硫酸エステル型、スルホン酸型、リン酸エステル型のものがあり、例えば、大豆リン脂質、N,N−ジメチル−N−アルキル−N−カルボキシルメチルアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキルアミノアルキレンカルボン酸、N,N,N−トリアルキル−N−スルフォアルキレンアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキル−N,N−ビス(ポリオキシエチレン硫酸)アンモニウムベタイン、2−アルキル−1−ヒドロキシエチル−1−カルボキシメチルイミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。
これらの界面活性剤は必要に応じ1種または2種以上を用いることができる。界面活性剤の配合量は、特に限定されないが、好ましくは0.001〜50%であり、より好ましくは0.01〜30%である。この範囲であれば、皮膚洗浄化粧料が法線応力効果による特性を有し、皮膚洗浄化粧料としての洗浄力も向上することができる。
【0012】
液状油剤を配合することにより、油による汚れとのなじみを良くし、クレンジング効果を向上させることができる。この液状油剤は化粧料に通常使用されているものであって、常温で液状であれば特に制限なく使用できる。液状油剤としては、動物油、植物油、合成油等の起源及び、液体油、揮発性油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、エステル油類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、脂肪酸類等が挙げらる。具体的には、炭化水素では流動パラフィン、軽質流動イソパラフィン、スクワレン、スクワラン、α−オレフィンオリゴマー、ポリブテン等があり、油脂として、トウモロコシ油、ベニバナ油、ヒマワリ油、アボカド油、米胚芽油、小麦胚芽油、アルモンド油、大豆油、菜種油、胡麻油、ツバキ油、サザンカ油、パーシック油、オリーブ油、茶実油、シソ実油、ミンク油、ヒマシ油、アマニ油、月見草油、ボレッジ油、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン)酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル等があり、エステル油としてミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、2−エチルヘキサン酸セチル、オレイン酸デシル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、ステアリン酸オクチル、安息香酸アルキルエステル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、アジピン酸ジイソステアリル、ホホバ油等があり、シリコーン油として低重合度ジメチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、架橋型オルガノポリシロキサン、フッ素変性シリコーン等があり、フッ素系油類としてパーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン等があり、高級アルコールとしてはオレイルアルコール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等があり、脂肪酸としてオレイン酸、ヤシ油脂肪酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられ、これらの一種又は二種以上用いることができる。これらの中でも、流動パラフィン、スクワラン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、2−エチルヘキサン酸セチルが挙げられる。
これらの液状油剤は必要に応じ1種または2種以上を用いることができる。液状油剤の配合量は、特に限定されないが、好ましくは0.001〜20%であり、より好ましくは0.01〜10%である。この範囲であれば、皮膚洗浄化粧料が法線応力効果による特性を有し、皮膚洗浄化粧料としての洗浄力も向上することができる。
【0013】
本発明の皮膚洗浄化粧料には、法線応力効果による特性が消失しない範囲で、通常の化粧料、皮膚外用剤に配合できる事が知られている各種の成分、例えば、水性成分、粉体成分、紫外線吸収剤、保湿剤、油溶性樹脂、褪色防止剤、酸化防止剤、消泡剤、美容成分、防腐剤、香料等を配合する事が出来る。
【0014】
本発明の皮膚洗浄化粧料は、皮膚上の汚れや化粧料と十分なじませた後、ふき取る又は洗い流す等の方法により、洗浄することができ、洗浄時に水を用いて泡立てて洗い流すこともできる。剤型としては、溶剤型、界面活性剤型が挙げられ、その形状は、液状であるが、具体的にはペースト状、クリーム状、ゲル状(ジェル状)、乳液状、オイル状が挙げられ、身体、顔、睫や瞼などポイントメーク専用にも応用できる。
【0015】
また、製造方法は、水と高分子を有する法線応力効果を有する液体に他の成分を添加して均一に分散、溶解する方法、通常の皮膚洗浄化粧料を調製しておき、溶液が法線応力効果を呈する成分を添加して溶解させる方法等が挙げられる。
【0016】
以下、例をあげて本発明を更に説明する。なお、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【実施例】
【0017】
実施例1〜6及び比較例1〜3クレンジングジェル(水中油型)
表1に示す処方の皮膚洗浄化粧料を調製し、法線応力効果、洗浄効果について下記の方法により評価を行った。これらの結果も併せて表1に示す。
【0018】
【表1】

【0019】
注1:アロンビス S(日本純薬社製)
注2:ポリオックスWSR−N−60K(ユニオンカーバイド社製)
注3:CMCダイセル1290(ダイセル化学工業社製)
注4:ケルトロール(ケルコカンパニー社製)
(製造方法)
成分1〜成分10を均一に混合し、クレンジングジェルとした。
【0020】
(評価方法)
下記イについては、各試料300mLを500mLビーカーに入れ、直径10mmの棒を3cm浸漬し、該攪拌棒を1500rpmで回転させたとき、試料の撹拌棒付近の液面が、無回転時より1cm以上上昇したかどうかを評価した。
下記ロについては、10名の官能検査パネルにより、市販のメイクアップ料を塗布し、3時間後に、下記洗浄方法を用いて、各試料をパネル各人が絶対評価にて7段階に評価し、各試料のパネル全員の評点の平均値から4段階判定基準により判定した。
【0021】
(洗浄方法)
ステップ1:手のひらにさくらんぼ粒くらいの量(2〜2.5g)の試料をとり、あご・両頬・鼻・額の5カ所におく。
ステップ2:メイクアップ料や肌の汚れとなじませながら顔全体にのばす。
ステップ3:あご、頬、額、鼻の順番に円を描きながら軽くマッサージするように、さらにメイクアップ料や肌の汚れとなじませる。
ステップ4:ティッシュペーパーでふき取り終了する。
【0022】
(評価項目)
イ.法線応力効果
ロ.洗浄効果
(法線応力効果)
液面より組成物が1cm以上上昇した :○
液面より組成物が上昇しなかったか、上昇しても1cm未満であった:×
(官能検査)
絶対評価
(評点):(評価)
6 :非常に良い
5 :良い
4 :やや良い
3 :普通
2 :やや悪い
1 :悪い
0 :非常に悪い
4段階判定基準
5点を超える :非常に良好:◎
3点を超え5点以下:良好 :○
1点を超え3点以下:やや不良 :△
1点以下 :不良 :×
【0023】
表1の結果から明らかなように、実施例のクレンジングジェルは、比較例に比べて、法線応力効果を利用することにより、洗顔時の塗擦動作の際に、皮溝や毛穴に詰まった汚れを効率的に清浄するものであったことがわかる。
一方、法線応力効果を利用しないで皮膚洗浄を行う比較例は、全ての点で劣るものであった。特に、比較例1は皮膚洗浄するときに肌上のすべりが悪く、皮膚洗浄効果が得られず、比較例2は粘度を与えたためある程度改善するものの、皮膚洗浄効果を十分得ることはできず、比較例3は粉体により物理的な刺激を与え効果をあげようとしたが、パネルの肌により、しっかり皮膚洗浄ができないことがあった。
このように、法線応力効果をもつように皮膚洗浄化粧料を設計することにより、皮膚洗浄の効果が効率的に得られることがわかる。
【0024】
実施例7 クレンジングペースト
(処方)
成分 (%)
1.2−(2−ヒドロキシドデシロキシ)酢酸ナトリウム塩溶液(注5) 40
2.カチオン化セルロース(注6) 0.5
3.ヒドロキシエチルセルロース(注7) 3.5
4.褐藻エキス(注8) 1
5.高重合度ポリエチレングリコール(注2) 1
6.グリセリン 30
7.ジプロピレングリコール 5
8.エデト酸二ナトリウム 0.5
9.精製水 残量
10.カオリン 2
注5:ビューライトSHAA(三洋化成工業社製):30%水溶液
注6:カチナールHC−200(東邦化学工業社製)
注7:ナトロゾール250HHR(ハーキュレス社製)
注8:ALGAE COLLOID POWDER(ボドガー社製)
(製造方法)
成分1〜成分10を均一に混合溶解し、クレンジングペーストとした。
実施例7のクレンジングペーストは、法線応力効果を呈し、皮膚洗浄の塗擦動作の際に、皮溝や毛穴、細かい皺に詰まった汚れを効率的に清浄するものであった。
【0025】
実施例8 透明クレンジングクリーム
(処方)
成分 (%)
1.N−ラウロイル−L−グルタミン酸ナトリウム(注9) 15
2.ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(注10) 7
3.N−ヤシ油脂肪酸アシルグリシンカリウム(注11) 15
4.ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン溶液(注12) 10
5.1,3−ブチレングリコール 8
6.ポリエチレングリコール400(注13) 10
7.ヒドロキシエチルセルロース(注7) 3
8.ポリアクリル酸ナトリウム(注1) 0.25
9.クエン酸ナトリウム 0.1
10.エタノール 5
11.精製水 残量
注9:アミソフトLS−11(味の素社製)
注10:アミゾールCDE(川研ファインケミカル社製)
注11:アミライトGCK−11(味の素社製)
注12:リカビオンB−200(新日本理化社製)30%水溶液
注13:PEG400(三洋化成工業社製)
(製造方法)
成分1〜成分11を均一に混合溶解し、透明クレンジングクリームとした。
実施例8の透明クレンジングクリームは、法線応力効果を呈し、皮膚洗浄の塗擦動作の際に、皮溝や毛穴、細かい皺に詰まった汚れを効率的に清浄し、洗い流しも容易であり、使用性に優れるものであった。
【0026】
実施例9 クレンジングジェル
(処方)
成分 (%)
1.ポリアクリル酸ナトリウム(注1) 0.01
2.1,3−ブチレングリコール 10
3.水酸化ナトリウム1%水溶液 3
4.精製水 残量
5.モノステアリン酸ポリエチレングリコール(55E.O.) 1
6.ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド(5E.O.) 3
7.トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル 2
8.軽質流動イソパラフィン 5
9.エタノール 5
10.香料 0.5
11.防腐剤 適量
(製造方法)
A.成分1〜4を混合分散する。
B.成分5〜11を加えて均一に混合して、Aに添加混合し、クレンジングジェルを得た。
実施例9のクレンジングジェルは、法線応力効果を呈し、皮膚洗浄の塗擦動作の際に、皮溝や毛穴、細かい皺に詰まった汚れを効率的に清浄し、洗い流しも容易であり、使用性に優れるものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と曳糸性を有する高分子と、界面活性剤及び/又は液状油剤とを配合した液状組成物であって、該液状組成物が、該液状組成物を500mLビーカーに300mL入れ、直径10mmの棒を3cm浸漬し、該攪拌棒を1500rpmで回転させたとき、該液状組成物の撹拌棒付近の液面が、無回転時より1cm以上上昇する特性を有することを特徴とする皮膚洗浄化粧料。
【請求項2】
前記特性が、法線応力効果によるものであることを特徴とする請求項1記載の皮膚洗浄化粧料。
【請求項3】
本体、包装、説明書、宣伝物の何れかに法線応力効果を利用する旨の表示をしたことを特徴とする請求項1又は2記載の皮膚洗浄化粧料。
【請求項4】
水と曳糸性を有する高分子と、界面活性剤及び/又は液状油剤とを配合した液状組成物であって、該液状組成物が、該液状組成物を500mLビーカーに300mL入れ、直径10mmの棒を3cm浸漬し、該攪拌棒を1500rpmで回転させたとき、該液状組成物の撹拌棒付近の液面が、無回転時より1cm以上上昇する特性を有すること液状組成物を用いて皮膚を洗浄する方法。
【請求項5】
前記特性が、法線応力効果によるものであることを特徴とする請求項4記載の皮膚洗浄方法。

【公開番号】特開2007−238572(P2007−238572A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−66796(P2006−66796)
【出願日】平成18年3月10日(2006.3.10)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】