説明

盗聴器検知方法とその装置

【課題】 物音がない環境下でも、盗聴器の有無を確実に判断する検知方法と装置を提供する。
【解決手段】 一定パターンの探査電気信号を発生し、この探査電気信号の波形特性を記録する。この探査電気信号を音波発生器により空気の振動に変換し音波として空気中に発射する。自由空間を伝播する一般電波をアンテナにより受信し、高周波電気信号を検波してその中に含まれる低周波の有意電気信号を検出する。この有意信号と前記波形特性とを比較して、これらが類似する場合は、音波発生器の近傍に、盗聴器が存在する可能性あるとの警告信号を発生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、盗聴器検知方法とその装置、更にはインターネットを利用した盗聴器検知方法とその装置に関する。特に、盗聴器検知装置から一定パターンの音波や音楽を発生して、この音波や音楽が搬送される電波を捉えることで、盗聴器を探索して確実に盗聴器の存在の有無を判定するインターネットを利用した盗聴器検知方法とその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現代社会では、経済活動とビジネスの根幹には情報がり、各種情報は文字と映像や図形と音声により人間と人間の間で交換されている。特に商談などにおいては、最初の状況説明は文書による情報交換を行い、結論の手前では生身の人間による重要な話し合いが盛んに行われている。
従って、このような重要な口答によるビジネス情報が外部に漏れることは完全に防止する必要がある。
【0003】
さて、映像に関しては、例えば室内などに隠して設置された盗撮装置は、カメラと送信部とからなり、室内に人が出入りしなくても、カメラは室内の映像を撮影している。盗撮装置の送信部は取り込まれた映像データを電波として外部に常時送信している。盗撮検出・防止装置側では、映像電波を捉えその後検波した映像を監視側の表示装置に表示して観察できる。従って映像に関する盗撮装置のカメラの場合は、常時十分な観察が可能で、商談用の室内へ人が入る前から予め盗撮装置のカメラの有無をほぼ確実に確認することができた。
【0004】
これに対し、音声に関しては、室内などに隠して設置された盗聴器は、一般にマイクと送信部とからなり、室内への人の出入りがなく、静かな部屋であれば、マイクへの音声入力は殆ど無く、あっても周りの僅かな振動音であり、ノイズとの区別がつかない低い強度の音である。
盗聴器の送信部は取り込まれた音声データを電波として外部に常時送信している。従って盗聴検出・防止装置側では、音声を運ぶ電波を捉えその後検波した音声を監視側のスピーカーから傍受して管理者が警備していた。
しかしながら、物音が無い場合があり、たとえ盗聴器があっても音声が小さい場合はノイズとの区別が困難で、盗聴器の検知は盗撮装置の検知に較べて容易ではなかった。
【0005】
音波による未確認物体や装置の探索は、海中にいる潜水艦の発見に多様されているが本願のような音波と電波とを使用した探査方法と装置は先行文献が今のところ未発見である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
音声に関する従来の盗聴検出・防止装置では、異常な音声電波を捉えることはできるが、室内への人の出入りしなく、静かな部屋であれば、マイクへの音声入力は殆ど無く、あっても周りの振動音であり、ノイズとの区別がつかない低い強度の音であるので、警備員が聞き逃したりするおそれがあった。盗聴器が設定されていてもノイズとして処理され、盗聴器に関する警戒を緩めている間に、商談などのため室内へ人が入り、顧客と営業上の重要な会談を始めてしまい、会談開始後になって初めて、盗聴器(マイク)の有無を確認することがあった。
【0007】
従って、会話の初期に話された重要情報が盗聴器により盗聴されてしまう恐れがあった。
従来の盗聴検出・防止装置では、盗聴器(マイク)による盗聴に対しては予め盗聴器(マイク)の有無を確認することは極めて困難であった。
本願では、確実に盗聴装置の存在の有無を使用者に認知させることができるようにした盗聴器検知方法とその装置及び、インターネットを利用した盗聴器の検知方法とその装置を提供することが目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、上記問題を解決するためになされたもので、請求項1では、盗聴器検知装置では、断続により規定される一定パターンの探査電気信号を電気発振器から発生し、この探査電気信号に関し時間経過に対応する強度変化状態を示す波形特性をあらかじめ基準メモリに記録しておき、前記探査電気信号を音波発生器により空気の振動に変換し音波として自由空間の空気中に発射し、
自由空間を伝播する一般電波をアンテナにより受信し共振回路により特定周波数の電波に同調してこの電波の強弱に応じた微弱な高周波電気信号を生成し、この高周波電気信号を信号再生部により検波してその中に含まれる低周波の有意電気信号を検出し、
任意時間において前記有意信号と前記基準メモリから読み出した前記波形特性とを比較部が比較し、これらが互いに類似する場合は、前記発信器の近傍に、空気の振動である音波を音声電気信号に変換してこの音声電気信号を搬送波高周波信号で変調して空間に電波として送信する盗聴器が存在する可能性あるとの警告信号を発生し、通信部がこの警告信号を受けて、前記有意信号と当該盗聴器検知装置のIDとをインターネットを介してセンターの管理者コンピュータに送信し、
前記センターのCPUは、前記有意信号と前記IDを受信し、前記IDが顧客ファイルにある識別コードIDと一致するかどうかを検索し、このシステムの加入者であることを確認し、次ぎに前記有意信号中に音声信号があれば、音声がリアルタイムでスピーカーから聞こえようにし、前記管理者コンピュータ側に常駐している常勤管理者に知らせ、
更に当該IDに該当する属性応報を表示部に表示するとともに、警告部から警報信号Rを読出し、表示部に警報を表示して、
前記管理者は属性応報に基き、前記盗聴器検知装置の責任者に電話や電子メールにより伝達するようにしたインターネットを利用した
【0009】
請求項3では、断続により規定される一定パターンの探査電気信号を電気発振器から発生し、この探査電気信号に関し時間経過に対応する強度変化状態を示す波形特性をあらかじめ基準メモリに記録しておき、前記探査電気信号を音波発生器により空気の振動に変換し音波として自由空間の空気中に発射し、
自由空間を伝播する一般電波をアンテナにより受信し、このアンテナと組になり特定周波数の電波に同調してこの電波の強弱に応じた微弱な高周波電気信号を共振回路により生成し、この高周波電気信号を信号再生部により検波してその中に含まれる低周波の有意電気信号を検出し、
任意時間において前記信号再生部が検出した有意信号と前記基準メモリから読み出した前記波形特性とを比較部により比較して、当該有意信号と前記波形特性とが類似する場合は、前記音波発生器の近傍に、空気の振動である音声を含む音波を音声電気信号に変換してこの音声電気信号を搬送波高周波信号で変調して空間に電波として送信する盗聴器が存在する可能性あるとの警告信号を発生し、この警告信号と前記有意信号とを入出力部により外部に送信するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
重要な音声に関し、盗聴器(マイク)による盗聴に対しては対話を開始する前から盗聴器(マイク)の有無を確認することが確実に容易になった。
正確に盗聴器(盗聴装置)の存在の有無を利害関係者が検知することができ、盗聴器設置の有無の判定が、誰にでも早期に安価な費用で可能となり、盗聴器(盗聴装置)の不正使用の予防に貢献できる。会議室など利害関係者が入室する前に、盗聴行為に対してクリーンルームであるかどうかが判定できる、盗聴器設置の有無の判定が可能となった。また、会議室などの利害関係者の責任者が感知しなくても・出来なくても、インターネット上で監視センターの管理者が早期に盗聴器設置の有無の判定を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【実施例】
【0011】
以下、本発明の望ましい実施例について詳細に説明する。
まず、盗聴器検知方法と装置が形成する盗聴器検知システムの参加者には、数多くの加入者、例えばホテル、貸し会議室、喫茶店、個人マンション等の企業がある。これら企業等の応接室や、更には政治家の面会室、官庁の面談室、銀行の商談室、商社の対談室などが実施対象となる。
図1ではこれらの加入者のうちで、1箇所の応接室1を代表として内部配置図を示している。応接室1の室内には丸い複数の椅子3とテーブル4等が配置されている。応接室1には電波探索装置20が設置され、電波探索装置20は盗聴器検知装置を形成する。
この電波探索装置20は応接室1の見えない天井裏に、または見える壁の所定の位置、または壁際の高い小棚に置かれる。
【0012】
室内では図示しない花瓶などの後ろに100円玉大で小型の盗聴器10が隠して置かれたと仮定する。盗聴器10というのは、所定の電波を発生させる集音器であり、空気振動の音声をマイクから入力して電気信号を生成し、この音声信号を更に高周波の搬送波で変調し電波にして応接室1外に発信する。
応接室1外の50m以内に駐車した自動車に乗った盗聴者がこの電波を受信機2で受信する。盗聴器10の出力は極めて弱く電波法で定める出力規定以下の装置であるので、個人的趣味用に東京秋葉原の電気街で自由に大量に販売されているものである。
しかしながら悪意で録音された音声データは、盗聴者グループがその後再生し、時として産業スパイ用にまたは、公序良俗に違反して販売しり悪用される。
【0013】
応接室1内の電波探索装置20は、光ファイバーや電話(通信ケーブル)等の通信回線(ADSL)9によりインターネット11を介して、この盗聴検知システムを管理するサーバーのセンターコンピュータ13に接続されている。
インターネット11には盗聴検知システムに参加している他の多くの顧客の電波探索装置20が同様に接続されている。管理者コンピュータ13はセンターCPU15や後述する各種顧客ファイル16や表示部21等を備えている。
【0014】
電波探索装置20には、複数のアンテナ21が設けられ、各アンテナ21は互いに別の周波数帯を受信する。各アンテナ21では受信した電波から微弱な起電力を発生し、微弱な起電力は電波探索装置20の内の情報処理部に送られる。
更に、電波探索装置20には音波発生装置5と情報処理用のCPU33とが設けられている。
【0015】
さて、自然界のこうもりは、暗い夜間に超音波を発振して、林の木々の位置を検知し、又は洞窟内の暗い空間を壁や岩を判断し衝突することなく自由に飛行できる。
本発明では、音波発生装置5を従来の盗聴器検知装置に組み込み電波探索装置20とし、そこから探索用に音波を空気中に発射し、この音波が未確認装置により捉えられて電波に変換され、今度は電波として自由空間に発射されると、この電波を受信して電気信号に変換し、未確認装置の盗聴器等の存在・非存在を判定する。
【0016】
応接室1の責任者H1は携帯電話61を所持し、遠隔地にあるサーバー側の管理者H2はセンターコンピュータ13の表示部21の画面を常時監視し、緊急時には携帯電話62により責任者H1に連絡できる。
電波探索装置20の音波発生装置5から特に一定パターンの音波Vを発信する理由は、このシステムに参加した人間が共通に認識できるために予め取り決めた音や音楽にすることを意味している。
【0017】
図2において、マイクは、ピエゾ電気を利用したクリスタルマイク65と、磁石及びコイルからなる磁石マイク66とが代表的である。クリスタルマイク65と磁石マイク66はともに空気の振動(音声)Vを受けると、クリスタルマイク65は結晶に圧力を受けて振動の強度に応じたピエゾ電気を発生する。磁石マイク66ではバネ状の永久磁石板Mが空気の振動(音声)により、動くと隣接したコイルCに電磁誘導により起電力が発生する。これらはともに空気の振動エネルギーを電気エネルギーに変換している。
【0018】
次に、図3、図4において音波発生装置5の詳細を説明する。
この音波発生装置5には音楽蓄積装置例えばCDプレーヤーや半導体メモリに曲を蓄積するipotや磁気テープ式ウォークマンなどの音声再生装置を使用してもいい(市販商品)。その場合曲名や歌名について予め一定のものを取り決めておく。
【0019】
音波発生装置5は交流の探査電気信号を発生する電気発振器60とクリスタル発振素子67や磁石発振素子68から構成される。
電気発振器60から交流信号がクリスタル発振素子67に付加されると、この周波数に応じて振動し、音波を空中に発射する。同様に磁石発振素子68のコイルに交流信号が付加されると、鉄心が電磁石となり、薄い鉄板を振動させるので、音波や音波を空中に発射する。
【0020】
図5において、電気発振器60の詳細を説明する。
電気発振器60は単純発振部70と周波数設定部71と一定パターンを指定するゲート回路72とパターン設定部73から構成される。
単純発振部70は可変コンデンサーとコイルとトランジスターからなるので、この設計方法は公知の基本的な電子回路であり具体的な説明を省略する。
【0021】
単純発振部70は音波とほぼ同一の周波数の交流信号を発生し、その正確な周波数は周波数設定部71により指定される。周波数設定部71はコンデンサーの容量(周波数に較正された)を指定している。単純発振部70から交流信号がゲート回路72に送られる。
パターン設定部73はゲート回路72のオン・オフパターンを指定するものである。これら回路の設計方法も公知の基本的な原理であるので、具体的な説明を省略する。
【0022】
図5で、単純発振部70とゲート回路72とから出力される信号波形を説明する。
単純発振部70から連続した所定Hzの交流信号Fが発振されゲート回路72に送られる。パターン設定部73の設定により、ゲート制御信号がゲート回路72に指令として送られる。
このゲート制御信号は時間経過とともに、例えばT1期間オン・t1期間オフ・T2期間オン・t2期間オフ、T1期間オン・t1期間オフ・T2期間オン・t2期間オフ、・・・の繰り返しパターンとなっている。このゲート回路72から連続した音波とほぼ同一の周波数の交流信号が、断続して飛び飛びの交流信号FQとして出力される。
【0023】
断続して飛び飛びの交流信号FQが探査電気信号となり、音波発生器5のクリスタル発信素子67や磁石発信素子68に与えられる。その結果これらが振動してこの探査電気信号FQを空気の振動に変換し、断続性の音波Vとして自由空間の空気中に発射される。音波Vや音波の発生原理は初等物理で公知であり、マイクの場合と動作が逆となっている。
断続性の探査電気信号FQは、元の連続した交流信号Fが仮に200Hzから20KHzの範囲のものであれば、断続性の波形の音波はいわゆるモールルス信号の「ト・ツー」「ト・ツー」・・・となって聞くことができる。
【0024】
次に、電波探索装置(盗聴器検知装置)20の全体構成を図6で説明する。
電波探索装置20はROM8と周波数スキャン部23と増幅・検波器26と記録用メモリ24と基準メモリ27と比較部28と読み出し部29と通信部31と警報ランプ又はブザー32とこれらに時間(クロック)信号を与えて制御するCPU33とから構成され、更に、前述のアンテナ21と音波発生装置5とが電波探索装置20と一体的に設けられている。
ROM8内には当該電波探索装置20の所有者(責任者)のIDコードと属性の氏名、住所、電話、図1の配置図面、携帯電話等の情報が登録されている。
【0025】
周波数スキャン部23は、コイルとコンデンサーからなる同調回路であって、例えば各アンテナ21が受け持つ各周波数帯1MHz〜2GHz、2GHz〜4GHz、4GHz〜6.4GHzを所定時間毎に順時切り替(L・Cを変化)えて、到来電波に同調する。共振して捉えた電波の微弱起電力を次の増幅・検波器26に伝達する。
【0026】
増幅・検波器26は、周波数スキャン部23で同調された搬送波電波を増幅し、その後搬送波から音声信号、即ち低周波の有意電気信号を検波して、音声信号波形データEを出力する。
記録用メモリ24は、周波数スキャン部23から送られた周波数MHz、波形(スペクトラム)と、増幅・検波器26から送られた電界強度E0、音声信号波形データEを記録する。
【0027】
基準メモリ27には、予め断続性の探査電気信号FQの波形が記録されており、探査電気信号FQに関し時間経過に対応する強度変化状態を示す図5の波形である。
比較部28では基準メモリ27から読み出した探査電気信号FQと増幅・検波器26からの音声信号波形データEとを比較し、これらが互いに類似すれば、警告信号Kを発生して読み出し部29とCPU33に向けて出力する。
【0028】
読み出し部29は警告信号Kを受けて、記録用メモリ24から時間thに対応した音声信号波形データEと受信周波数MHzや、波形(スペクトラム)、電界強度Eh等を読み出し、通信部31に向けてこれらデータを警告信号Kとともに出力する。CPU33はROM8から当該盗聴器検知装置20の所有者(責任者)のIDコードと属性を読み出し、通信部31に送る。
警報ランプ又はブザー32は警告信号Kを受けると、発光や警報音を発生する。
【0029】
通信部31は、警告信号Kを受けて、読み出し部29から受けたこれらデータ及びCPU33から受けた当該盗聴器検知装置20の所有者(責任者)のIDコードと属性とをインターネット11を介して管理者コンピュータ13に送信する。
【0030】
次に、図7で管理者コンピュータ13を説明する。管理者コンピュータ13は通信制御部14とセンター中央制御部CPU15と演算用メモリ12と顧客ファイル16と記憶装置19とキー18と表示部LCD21と警告部32と警報ランプ36とを備えている。中央制御部CPU15は所定プログラムに従いこれら各部を制御する。管理者コンピュータ13側には常時管理者H2が勤めて表示部LCD21と警報ランプ36とを監視している。
【0031】
通信制御部14は、管理者コンピュータ13をインターネット11を介して複数の盗聴器検知装置20と通信する。
顧客ファイル16には盗聴装置検知システムに参加している各応接室1の所有者や責任者や運営者に関するデータを予め記録している。盗聴器検知装置20の責任者に係わるIDコード、氏名、住所、電話、図1の室内配置図面、携帯電話等の情報は、このシステムに参加する際に双方の契約に従って登録される。
キー18により管理者は、新たな参加者を顧客ファイル16に追加する。
【0032】
記憶装置19にはインターネット11を介して各地の電波探索装置20から送られてきた通常連絡データと観測電波のデータDと音声信号とが各IDデータ及び監視時間と対応付けて記録される。
通常プログラム34と緊急プログラム35とはインターネット11を介して盗聴器検知装置20に向けて送られる命令である。
通常プログラム34を受けた時に盗聴器検知装置20の周波数スキャン部23は、各周波数帯を均等に所定時間間隔に順時切り替(L・Cを変化)えて、到来電波に同調する。
緊急プログラム35を受けた時に周波数スキャン部23は、警告信号Kを発生した周波数帯に時間をかけて、或は繰返し同調(チューニング)するようにする。
【0033】
次に動作を説明する。
図1において、盗聴器検知装置20の音波発生装置5は常時音波Vを自由空間の空気中に発射している。この音波は図5の一定パターンであり、例えば可聴音波に変換すると、「ト・ツー」、「ト・ツー」の繰返し音である。
この動作は、音波発生装置5の電気発振器60では、断続により規定される一定パターンの探査電気信号FQを発振して行なわれる。
即ち、周波数設定部71で指定された周波数、所定Hzの交流電気信号を単純発振部70が発生し、パターン設定部73が設定した一定パターンのゲート開閉に従ってゲート回路72が探査電気信号FQを発生する。
【0034】
探査電気信号FQを受けた音波発生器67,68の振動により電気信号を空気の振動に変換して一定パターンの音波Vが自由空間の空気中に発射される。
応接室1に設置された盗聴器検知装置20の近傍に、盗聴器10が設置されていると、図2に示す(盗聴器10の)マイク65、66は、この一定パターンの音波を捉えて、搬送波高周波信号で変調して空間に例えば盗聴電波、2、5GHzを送信する。
マイク65、66は、空気の振動である音波Vが音声電気信号に変換され、搬送波高周波信号で変調され空間に盗聴電波として送信される。
このように盗聴器検知装置20から音波Vを空間に発射して、盗聴器10を誘い出して探査する。
【0035】
一方盗聴器検知装置20のアンテナ21では、常時自由空間を伝播する盗聴電波を周波数スキャン部23でスキャンの途中で受信する。同時に共振回路により特定周波数の盗聴電波に同調してこの盗聴電波の強弱に応じた微弱な高周波電気信号を生成している。
盗聴電波の高周波電気信号を信号再生部26により検波してその中に含まれる低周波の有意電気信号Eを検出する。
【0036】
比較部28では、捉えた有意電気信号Eと基凖メモリ27から読み出した(波形特性が知られている)探査電気信号FQとを比較する。
これらが互いに類似する場合は、比較部28は警告信号Kを発生し、通信部31とCPU33に伝える.
警告信号Kを受けて、通信部31は有意電気信号Eと警告信号K及び当該盗聴器検知装置20のIDとその属性情報をインターネット11を介してセンターの管理者コンピュータ13に送信する。
【0037】
前記センターのCPU13は、前記有意電気信号Eと前記IDとその属性情報を受信し、前記IDが顧客ファイル16にある識別コードIDと一致するかどうかを検索して、このシステムの加入者であることを確認する。
更に応接室1内に音波V以外に音波があり、有意電気信号E中に音声信号があれば、音声がリアルタイムでスピーカー37から聞こえようにする。
次に、センターのCPU13は、有意電気信号Eと前記IDを記憶装置19に記録し、更に当該IDに該当する属性情報を表示部21に表示する。
【0038】
有意電気信号Eと警報信号を読出し、スピーカー37から聞こえるようにし、表示部21に警報を表示して、管理者コンピュータ側に常駐している常勤管理者H2に知らせる。
有意電気信号Eが予め関係者の間で取り決めた音楽であれば、常勤管理者H2は容易に正確に盗聴器10の存在を確認できる。
管理者H2は属性情報を見て、盗聴器検知装置20の責任者H1に電話62や電子メールにより伝達する。
このように、本発明によると、盗聴器10の存在の有無を、応接室1に人の出入りがなく人声が無い状態でも、常にチェックできるので安全な保安環境を持続的に維持できる効果がある。
【0039】
本発明を実施例によって詳細に説明したが、本発明は実施例によって限定されず、本発明が属する技術分野において通常の知識を有するものであれば本発明の思想と精神を離れることなく、本発明を修正または変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
現代人が、避けることができない盗聴という外部からの侵害に充分対応できる。既存のカメラ監視システムと組み合わせると、完璧な盗聴予防システムが構築できる。本発明のシステムはコンパクト化が可能であり、それによって一般個人や中小企業人らに至るまで多様な階層で安い値段で、場所にかかわらず簡便に普及し、使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】この発明のインターネットを利用した盗聴器検知装置の全体構成を示す図である。
【図2】音波による音波を電気信号に変換するマイクの構成図である。
【図3】この発明に利用する電気発振器と音波発生装置の構成を示す図である。
【図4】取気発振器と音波発生装置の詳細を説明するための図である。
【図5】この発明に利用すると超音波を発生させる探査電気信号の波形を示す図である。
【図6】この発明の盗聴器検知装置の詳細な構成を示す図である。
【図7】この発明の管理者コンピュータの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0042】
1 応接室
2 受信機
5 音波発生装置
8 ROMメモリ
9 通信回線
10 盗聴装置
11 インターネット
13 管理者コンピュータ
14 通信制御部
15 センターCPU
16 顧客ファイル
18 判定部
19 記憶装置
20 盗聴器検知装置
21 アンテナ
21 表示部LCD
23 周波数スキャン部
24 メモリ
26 増幅・検波部
27 基準メモリ
28 比較部
31 通信部
32 警告部
33 CPU
36 警報ランプ
37 スピーカー
38 映像・音声分離回路
60 電気発振器
70 単純発振部
71 周波数設定部
72 ゲート回路
73 パターン設定部
E 有意電気信号
FQ 探査電気信号
K 警告信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
盗聴器検知装置では、断続により規定される一定パターンの探査電気信号を電気発振器から発生し、この探査電気信号に関し時間経過に対応する強度変化状態を示す波形特性をあらかじめ基準メモリに記録しておき、前記探査電気信号を音波発生器により空気の振動に変換し音波として自由空間の空気中に発射し、
自由空間を伝播する一般電波をアンテナにより受信し共振回路により特定周波数の電波に同調してこの電波の強弱に応じた微弱な高周波電気信号を生成し、この高周波電気信号を信号再生部により検波してその中に含まれる低周波の有意電気信号を検出し、
任意時間において前記有意信号と前記基準メモリから読み出した前記波形特性とを比較部が比較し、これらが互いに類似する場合は、前記音波発生器の近傍に、空気の振動である音波を音声電気信号に変換してこの音声電気信号を搬送波高周波信号で変調して空間に電波として送信する盗聴器が存在する可能性あるとの警告信号を発生し、通信部がこの警告信号を受けて、前記有意信号と当該盗聴器検知装置のIDとをインターネットを介してセンターの管理者コンピュータに送信し、
前記センターのCPUは、前記有意信号と前記IDを受信し、前記IDが顧客ファイルにある識別コードIDと一致するかどうかを検索し、このシステムの加入者であることを確認し、次ぎに前記有意信号中に音声信号があれば、音声がスピーカーから聞こえようにし、前記管理者コンピュータ側に常駐している常勤管理者に知らせ、
更に当該IDに該当する属性応報を表示部に表示するとともに、警告部から警報信号Rを読出し、表示部に警報を表示して、
前記管理者は属性応報に基き、前記盗聴器検知装置の責任者に電話や電子メールにより伝達するようにしたインターネットを利用した盗聴器の検知方法。
【請求項2】
断続により規定される一定パターンの探査電気信号を発生する電気発振器と、この探査電気信号に関し時間経過に対応する強度変化状態を示す波形特性をあらかじめ記録した基準メモリと、前記探査電気信号を空気の振動に変換し音波として自由空間の空気中に発射する音波発生器と、自由空間を伝播する一般電波を受信してこの電波の強弱に応じた微弱な高周波電気信号を生成するアンテナと、このアンテナと組になり特定周波数の電波に同調してこの電波の強弱に応じた微弱な高周波電気信号を生成する共振回路と、
この高周波電気信号を検波してその中に含まれる低周波の有意電気信号を検出する信号再生部と、任意時間において前記信号再生部が検出した有意信号と前記基準メモリから読み出した前記波形特性とを比較する比較部と、この比較部が所定の原因により警告信号を発生すると、この警告信号を受けて前記有意信号と当該盗聴器検知装置のIDとをインターネットを介して外部に送信する通信部とからなり、前記CPUは当該有意信号と前記波形特性とが類似すると判定した場合は、前記音波発生器の近傍に、空気の振動である音波を音声電気信号に変換しこの音声電気信号を搬送波高周波信号で変調し空間に電波として送信する盗聴器が存在する可能性あるとの警告信号を発生するようにした盗聴器検知装置と、
前記インターネットを形成する通信網と、
前記インターネットを介して前記有意信号と前記IDとを受信する通信制御部14と、
前記盗聴器検知装置の責任者の属性情報と識別コードIDとを予め記憶した顧客ファイルと、記憶装置と、表示部と、警報信号Rを記憶する警告部と、スピーカーと、前記通信制御部が受信した前記IDと顧客ファイルから読み出した識別コードIDとを比較するセンターCPUとを備えた管理者コンピュータとから構成され、
前記センターCPUは、前記受信したIDと前記識別コードIDとが互いに一致する場合、前記有意信号と前記IDとを前記記憶装置に記録するとともに、当該IDに該当する属性情報を表示部に表示して、前記警告部から警報信号Rを読出し、前記表示部に警報を表示し、前記有意信号中に音声信号があれば前記スピーカーに送り音声がスピーカーから聞こえようにし、前記管理者コンピュータ側に常駐している管理者に知らせるようにし、更に、前記管理者が前記属性情報に基き、前記責任者に電話や電子メールにより伝達できるようにしたインターネットを利用した盗聴器の検知装置。
【請求項3】
断続により規定される一定パターンの探査電気信号を電気発振器から発生し、この探査電気信号に関し時間経過に対応する強度変化状態を示す波形特性をあらかじめ基準メモリに記録しておき、前記探査電気信号を音波発生器により空気の振動に変換し音波として自由空間の空気中に発射し、
自由空間を伝播する一般電波をアンテナにより受信し、このアンテナと組になり特定周波数の電波に同調してこの電波の強弱に応じた微弱な高周波電気信号を共振回路により生成し、この高周波電気信号を信号再生部により検波してその中に含まれる低周波の有意電気信号を検出し、
任意時間において前記信号再生部が検出した有意信号と前記基準メモリから読み出した前記波形特性とを比較部により比較して、当該有意信号と前記波形特性とが類似する場合は、前記音波発生器の近傍に、空気の振動である音声を含む音波を音声電気信号に変換してこの音声電気信号を搬送波高周波信号で変調して空間に電波として送信する盗聴器が存在する可能性あるとの警告信号を発生し、この警告信号と前記有意信号とを入出力部により外部に送信するようにした盗聴器検知方法。
【請求項4】
断続により規定される一定パターンの探査電気信号を発生する電気発振器と、この探査電気信号に関し時間経過に対応する強度変化状態を示す波形特性をあらかじめ記録した基準メモリと、前記探査電気信号を空気の振動に変換し音波として自由空間の空気中に発射する音波発生器と、自由空間を伝播する一般電波を受信してこの電波の強弱に応じた微弱な高周波電気信号を生成するアンテナと、このアンテナと組になり特定周波数の電波に同調してこの電波の強弱に応じた微弱な高周波電気信号を生成する共振回路と、
この高周波電気信号を検波してその中に含まれる低周波の有意電気信号を検出する信号再生部と、警告信号を外部に送る入出力部と、任意時間において前記信号再生部が検出した有意信号と前記基準メモリから読み出した前記波形特性とを比較する比較部とからなり、
この比較部は当該有意信号と前記波形特性とが類似すると判定した場合は、前記音波発生器の近傍に、空気の振動である音声を含む音波を音声電気信号に変換しこの音声電気信号を搬送波高周波信号で変調し空間に電波として送信する盗聴器が存在する可能性あるとの警告信号を発生し、この警告信号と前記有意信号とを前記入出力部は外部に送信可能とした盗聴器検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−250968(P2008−250968A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−114819(P2007−114819)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(500158384)
【Fターム(参考)】