説明

監視システム、監視装置、監視方法、及びプログラム

【課題】一台の監視カメラによって2方向からの人物の監視を可能にする、監視システム、監視装置、監視方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】監視システム10は、監視対象となる空間70の内部における出入口71の上方に設置された鏡部材20と、監視カメラ30と、監視カメラ30が撮影した像の画像データを取得して監視を行う監視装置40とを備えている。監視カメラ30は、出入口71に位置する人物と鏡部材20の反射面21とが、同時に撮影範囲内に収まるように、配置されている。鏡部材20は、空間70内から出入口71に向かう人物の像が、その反射面21で反射され、そして、監視カメラ30によって撮影されるように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視カメラを利用した監視システム、監視装置、監視方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、百貨店、スーパー、各種小規模店舗、エレベータ、といった不特定多数の人が出入りする場所では、犯罪行為の抑制及び特定を図るため、カメラを用いた監視システムが導入されている。
【0003】
通常、カメラは、一方向にしか撮影できないため、入室する人物と、退室する人物とを撮影する場合等、異なる複数の方向からの人物の撮影が求められる場合は、各方向に対応して二つ以上のカメラが設置される(例えば、特許文献1参照)。具体的には、特許文献1は、エレベータのかご室の内部側を撮影するカメラと、かご室の出入口側を撮影するカメラとが設置された監視システムを開示している。
【0004】
更に、近年においては、顔認識技術を利用した監視システムが提案されている(例えば、特許文献2参照)。このような監視システムでは、顔認識技術によって、例えば、撮影された人物の顔画像と、予め登録されている不審者の顔画像とが一致するかどうかが判断される。そして、一致する場合は、監視システムは、管理者に警告を通報する。このため、顔認識技術を利用した監視システムでは、人物の顔を確実に撮影できるようにするため、更に多くのカメラが必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−38263号公報
【特許文献2】特開2010−211514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、監視システムにおいて、カメラの設置台数の増加は、導入にかかる初期コストと管理コストとの増大化を招いてしまう。また、カメラのレンズとして、広い範囲を一度に撮影できる広角レンズを用いれば、カメラの設置台数を少なくできるとも考えられるが、この場合は、撮影された顔画像が歪んだり、小さくなったりして、顔認識が困難になる可能性がある。
【0007】
本発明の目的の一例は、上記問題を解消し、一台の監視カメラによって2方向からの人物の監視を可能にする、監視システム、監視装置、監視方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一側面における監視システムは、監視対象となる空間の内部における出入口の上方に設置された鏡部材と、監視カメラと、前記監視カメラが撮影した像の画像データを取得して監視を行う監視装置とを備え、
前記監視カメラは、前記出入口に位置する人物と前記鏡部材の反射面とが、同時に撮影範囲内に収まるように、配置され、
前記鏡部材は、前記空間内から前記出入口に向かう人物の像が、その反射面で反射され、そして、前記監視カメラによって撮影されるように配置されている、
ことを特徴とする。
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の一側面における監視装置は、監視カメラが撮影した像の画像データを用いて監視を行う監視装置であって、
出入口の上方に鏡部材が設置された空間が監視対象となり、前記監視カメラは、前記出入口に位置する人物と前記鏡部材の反射面とが、同時に撮影範囲内に収まるように、配置され、前記鏡部材は、前記空間内から前記出入口に向かう人物の像が、その反射面で反射され、そして、前記監視カメラによって撮影されるように配置されている、場合において、
当該監視装置は、
前記監視カメラから画像データを取得する、画像取得部と、
予め登録されている人物の顔の画像データを格納している、記憶部と、
前記画像取得部が取得した画像データと、前記記憶部が格納している画像データとを対比して、前記出入口に位置する人物の顔と予め登録されている人物の顔とが一致している割合、及び前記空間内から前記出入口に向かう人物の顔と予め登録されている人物の顔とが一致している割合を算出する、演算部と、
前記演算部が算出した割合に基づいて、前記出入口に位置する人物、及び前記空間内から前記出入口に向かう人物それぞれが、予め顔が登録されている人物であるかどうかを判定する、判定部と、
を備えていることを特徴とする。
【0010】
また、上記目的を達成するため、本発明の一側面における監視方法は、監視カメラが撮影した像の画像データを用いて監視を行うための監視方法であって、
出入口の上方に鏡部材が設置された空間が監視対象となり、前記監視カメラは、前記出入口に位置する人物と前記鏡部材の反射面とが、同時に撮影範囲内に収まるように、配置され、前記鏡部材は、前記空間内から前記出入口に向かう人物の像が、その反射面で反射され、そして、前記監視カメラによって撮影されるように配置されている、場合において、
(a)前記監視カメラから画像データを取得する、ステップと、
(b)前記(a)のステップで取得した画像データと、予め登録されている人物の顔の画像データとを対比して、前記出入口に位置する人物の顔と予め登録されている人物の顔とが一致している割合、及び前記空間内から前記出入口に向かう人物の顔と予め登録されている人物の顔とが一致している割合を算出する、ステップと、
(c)前記(b)のステップで算出した割合に基づいて、前記出入口に位置する人物、及び前記空間内から前記出入口に向かう人物それぞれが、予め顔が登録されている人物であるかどうかを判定する、ステップと、
を有することを特徴とする。
【0011】
更に、上記目的を達成するため、本発明の一側面におけるプログラムは、監視カメラが撮影した像の画像データを用いた監視を、コンピュータによって、実行するためのプログラムであって、
出入口の上方に鏡部材が設置された空間が監視対象となり、前記監視カメラは、前記出入口に位置する人物と前記鏡部材の反射面とが、同時に撮影範囲内に収まるように、配置され、前記鏡部材は、前記空間内から前記出入口に向かう人物の像が、その反射面で反射され、そして、前記監視カメラによって撮影されるように配置されている、場合において、
前記コンピュータに、
(a)前記監視カメラから画像データを取得する、ステップと、
(b)前記(a)のステップで取得した画像データと、予め登録されている人物の顔の画像データとを対比して、前記出入口に位置する人物の顔と予め登録されている人物の顔とが一致している割合、及び前記空間内から前記出入口に向かう人物の顔と予め登録されている人物の顔とが一致している割合を算出する、ステップと、
(c)前記(b)のステップで算出した割合に基づいて、前記出入口に位置する人物、及び前記空間内から前記出入口に向かう人物それぞれが、予め顔が登録されている人物であるかどうかを判定する、ステップと、
を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上の特徴により、本発明における監視システム、監視装置、監視方法、及びプログラムによれば、一台の監視カメラによって2方向からの人物の監視を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の実施の形態における監視システム及び監視装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、図1に示した監視システムの各構成要素のレイアウトを示す図である。
【図3】図3は、図1に示した監視カメラによって撮影された画像の一例を示す図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態における監視システムの動作を示すフロー図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態における監視装置40を実現するコンピュータの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施の形態)
以下、本発明の実施の形態における監視システム、監視装置、監視方法、及びプログラムについて、図1〜図4を参照しながら説明する。最初に、本実施の形態における監視システム及び監視装置の構成について図1〜図3を用いて説明する。
【0015】
[システムの構成]
図1は、本発明の実施の形態における監視システム及び監視装置の概略構成を示すブロック図である。図2は、図1に示した監視システムの各構成要素のレイアウトを示す図である。図3は、図1に示した監視カメラの撮影範囲の一例を示す図である。
【0016】
図1に示す本実施の形態における監視システム10は、店舗等の空間70を対象として監視を行うシステムである。図1及び図2に示すように、監視システム10は、監視対象となる空間70の内部における出入口71の上方に設置された鏡部材20と、監視カメラ30と、監視カメラ30が撮影した画像(図3参照)を取得して監視を行う監視装置40とを備えている。
【0017】
また、監視カメラ30は、出入口71に位置する人物60と鏡部材20の反射面21とが、同時に撮影範囲内に収まるように、配置されている。具体的には、図3に示すように、監視カメラ30は、撮影範囲31の上方側に、鏡部材20の反射面21が収まり、下方側に、出入口71に位置する人物60の像が収まるように配置されている。
【0018】
更に、図1及び図3に示すように、鏡部材20は、空間70内から出入口71に向かう人物61の像が、その反射面21で反射され、そして、監視カメラ30によって撮影されるように配置されている。
【0019】
このような構成により、監視システム10では、一台の監視カメラ30によって、出入口71に位置する人物60と、空間70内から出入口71に向かう人物61とを同時に撮影することができる。従って、監視システム10によれば、一台の監視カメラ30によって2方向からの人物の監視が可能となる。
【0020】
また、図1〜図3に示すように、本実施の形態における監視装置40は、画像取得部41と、演算部42と、判定部43と、記憶部44とを備えている。また、監視装置40には、表示装置45が接続されている。
【0021】
画像取得部41は、監視カメラ30に接続されており、監視カメラ30から出力された画像データを取得する。また、画像取得部41は、取得した画像データを演算部42に出力する。
【0022】
記憶部44は、予め登録されている人物の顔の画像データを格納している。ここで、予め顔の画像データが登録される人物としては、監視システム10の管理者によって要注意人物であると判断された人物が挙げられる。例えば、監視システム10が、スーパー、書店等の小売店を監視対象としている場合であれば、要注意人物としては、万引きの常習者が挙げられる。
【0023】
演算部42は、画像取得部41から取得した画像データと、記憶部44が記憶している画像データとを対比して、撮影された人物の顔と予め登録されている人物の顔とが一致している割合を算出する。
【0024】
ここで、「撮影された人物」には、出入口に位置しており、監視カメラ30によって直接撮影された人物60に加え、鏡部材20の反射面21に映った像が撮影された人物、即ち、空間70内から出入口71に向かう人物61も含まれる。演算部42は、撮影範囲31(図3参照)の上方側で得られた画像データから、人物61についての一致率を算出し、更に、撮影範囲31の下方側で得られた画像データから、人物60についての一致率を算出する。
【0025】
また、演算部42は、既存の顔認識技術を用いて、両者が一致している割合(以下「一致率」という。)を算出することができる。既存の顔認識技術としては、例えば、特開平9−134432号公報、特開平2003−187229号公報、特開平2003−296735号公報、特開2004−139596号公報等に開示された顔認識技術が上げられる。なお、演算部42が利用する顔認識技術は、既存の技術に限られず、今後開発される顔認識技術であっても良い。
【0026】
判定部43は、演算部42によって算出された一致率の値に応じて、撮影された人物が要注意人物であるかどうかの判定を行う。具体的には、判定部43は、算出された一致率か閾値以上であるかどうかを判定する。そして、一致率が閾値以上である場合は、判定部43は、撮影された人物は要注意人物であると判定し、表示装置45の画面に警告を表示させる。また、判定部43は、警告の際、警告音を出力しても良い。
【0027】
また、本実施の形態では、判定部43は、監視カメラ30によって直接撮影された人物60、及び鏡部材20の反射面21に映った人物61それぞれについて、要注意人物かどうかの判定を行う。このため、空間70内に入ったときは、顔の角度の関係などにより、要注意人物と判定できなかった場合であっても、空間70から出ようとするときに、要注意人物であると判定できる場合もある。
【0028】
更に、本実施の形態では、演算部42は、監視対象となる空間70内から出入口71に向かう人物61の数と、監視対象となる空間70に入る人物60の数とを、別々に計測することができる。
【0029】
具体的には、本実施の形態では、演算部42は、撮影範囲31の上方側で得られた画像データ、即ち、鏡部材20の反射面21に映った人物の像(図3参照)から、空間70内から出入口71に向かう人物61の数を計測する。更に、演算部42は、撮影範囲の下方側で得られた画像データ、即ち、監視カメラ30が直接撮影した人物の像から、空間70に入る人物60の数を計測する。そして、演算部42が計測した人物60及び人物61それぞれの数は、表示装置45の画面に表示され、監視システム10の管理者に通知される。
【0030】
また、本実施の形態では、監視システム10は、更に、ICタグが付与された商品の出入口71の通過を検出するゲート検出装置50を備えることができる。この場合は、鏡部材20は、空間70内から退出する人物の像が反射面21で反射されて監視カメラ30によって撮影されるように、配置されているのが好ましい。つまり、この場合は、鏡部材20は、ゲート検出装置50の反応範囲内にいる人物、出入口71の自動扉が反応する範囲内にいる人物、といった今まさに退出しようとしている人物の像が撮影されるように配置されているのが好ましい。
【0031】
また、ゲート検出装置50は、ICタグが付与された商品の通過を検出すると、検出したことを、演算部42に通知する。この場合、演算部42は、撮影範囲31(図3参照)の上方側で得られた画像データから人物の顔の画像データを抽出し、抽出した人物の顔の画像データを記憶部44に出力する。その後、記憶部44は、出力された画像データを格納し、これを要注意人物の画像データとして登録する。このように、ゲート検出装置50を用いれば、万引きを行った人物を自動的に要注意人物として登録することができる。
【0032】
また、本実施の形態において、監視カメラ30としては、一般的な監視カメラを用いることができる。監視カメラ30は、撮影対象となったエリアを、そこに人物が存在するか否かに関わりなく、設定された間隔で撮影を行い、撮影を行う度に、撮影した静止画の画像データを画像取得部41に出力する。また、監視カメラ30は、画像データをデジタル信号に変換した状態でネットワークを介して出力可能なIP(Internet Protocol)カメラであっても良いし、画像データをアナログ信号の状態で出力するカメラであっても良い。
【0033】
但し、監視カメラ30は、IPカメラであるのが好ましい。この場合、監視カメラ30は、撮影範囲31(図3参照)の上方側で得られた画像データと、撮影範囲31の下方側で得られた画像データとを、別々に画像取得部41に出力することができ、監視装置40の各部の処理速度の向上を図ることができる。
【0034】
[システムの動作]
次に、本実施の形態における監視システム10及び監視装置40の動作について図4を用いて説明する。図4は、本発明の実施の形態における監視システムの動作を示すフロー図である。
【0035】
また、以下の説明においては、適宜図1〜図3を参酌する。更に、本実施の形態においては、監視装置40を動作させることによって、本実施の形態における監視方法を実行することができる。従って、本実施の形態における監視方法の説明は、以下の監視装置40の動作説明に代える。
【0036】
図4に示すように、最初に、監視カメラ30によって、撮影対象となるエリアの撮影が行われる(ステップA1)。本実施の形態では、監視カメラ30の撮影範囲31は、図3に示すように、出入口71の付近と鏡部材20の反射面とが含まれるように設定されている。よって、図1及び図2の例では、出入口71に位置する人物60と、空間70内から出入口71に向かう人物61とが、撮影される。
【0037】
次に、監視装置40において、画像取得部41は、監視カメラ31から出力された画像データを取得し、取得した画像データを演算部42に出力する(ステップA2)。次に、演算部42は、画像取得部41から取得した画像データと、記憶部44が記憶している画像データとを対比して、撮影された人物の顔と予め登録されている人物の顔とが一致している割合(一致率)を算出する(ステップA3)。また、演算部42は、算出した一致率を判定部43に出力する。
【0038】
本実施の形態では、演算部42は、撮影範囲31(図3参照)の上方側で得られた画像データと、撮影範囲31の下方側で得られた画像データとの両方に対して、ステップA3を実行する。また、両方の画像データ中に、人物の顔の画像データが含まれていない場合、または両方の画像データから人物の画像データを抽出できなかった場合は、演算部42は、監視装置40における処理を終了する。
【0039】
次に、判定部43は、演算部42によって算出された一致率の値と、予め設定された閾値とを対比して、撮影された人物が要注意人物であるかどうかの判定を行う(ステップA4)。
【0040】
ステップA4の判定の結果、撮影された人物が要注意人物である場合は、判定部43は、表示装置45の画面に警告を表示させる(ステップA5)。ステップA5が実行されると、監視装置40おける処理は終了する。
【0041】
一方、ステップA4の判定の結果、撮影された人物が要注意人物でない場合は、演算部43が、ゲート検出装置50によって、ICタグが付与された商品の通過が検出されているかどうかを判定する(ステップA6)。
【0042】
ステップA6の判定の結果、ICタグが付与された商品の通過が検出されていない場合は、監視装置40における処理は終了する。一方、ステップA6の判定の結果、ICタグが付与された商品の通過が検出されている場合は、演算部42は、撮影範囲31(図3参照)の上方側で得られた画像データから人物の顔の画像データを抽出し、抽出した人物の顔の画像データを記憶部44に出力する。そして、記憶部44は、出力された画像データを要注意人物の画像データとして登録する(ステップA7)。
【0043】
ステップA7が実行された場合も、監視装置40おける処理は終了する。また、監視装置40においては、ステップA1〜A7は、設定された間隔、具体的には、監視カメラ30の撮影間隔で、繰り返し実行される。また、本実施の形態においては、演算部42が、出入口71に向かう人物61の数と、空間70に入る人物60の数とを、それぞれ計測する、ステップを追加することもできる。
【0044】
以上のように、本実施の形態における監視システム10によれば、出入口71に位置する人物60と、空間70内から出入口71に向かう人物61との両方に対して、一致判定を行うことができる。また、監視カメラの台数は、一台で良いため、監視システム10の導入にかかる初期コストと管理コストとの増大化が抑制される。
【0045】
また、本実施の形態におけるプログラムは、コンピュータに、図4に示すステップA1〜A7を実行させるプログラムであれば良い。このプログラムをコンピュータにインストールし、実行することによって、本実施の形態における監視装置40と監視方法とを実現することができる。この場合、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)は、画像取得部41、演算部42、及び判定部43として機能し、処理を行なう。更に、コンピュータに備えられたハードディスク等の記憶装置が、記憶部44として機能する。
【0046】
ここで、実施の形態におけるプログラムを実行することによって、監視装置40を実現するコンピュータについて図5を用いて説明する。図5は、本発明の実施の形態における監視装置40を実現するコンピュータの一例を示すブロック図である。
【0047】
図5に示すように、コンピュータ110は、CPU111と、メインメモリ112と、記憶装置113と、入力インターフェイス114と、表示コントローラ115と、データリーダ/ライタ116と、通信インターフェイス117とを備える。これらの各部は、バス121を介して、互いにデータ通信可能に接続される。
【0048】
CPU111は、記憶装置113に格納された、本実施の形態におけるプログラム(コード)をメインメモリ112に展開し、これらを所定順序で実行することにより、各種の演算を実施する。メインメモリ112は、典型的には、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性の記憶装置である。また、本実施の形態におけるプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体120に格納された状態で提供される。なお、本実施の形態におけるプログラムは、通信インターフェイス117を介して接続されたインターネット上で流通するものであっても良い。
【0049】
また、記憶装置113の具体例としては、ハードディスクの他、フラッシュメモリ等の半導体記憶装置が挙げられる。入力インターフェイス114は、CPU111と、キーボード及びマウスといった入力機器118との間のデータ伝送を仲介する。表示コントローラ115は、ディスプレイ装置119と接続され、ディスプレイ装置119での表示を制御する。データリーダ/ライタ116は、CPU111と記録媒体120との間のデータ伝送を仲介し、記録媒体120からのプログラムの読み出し、及びコンピュータ110における処理結果の記録媒体120への書き込みを実行する。通信インターフェイス117は、CPU111と、他のコンピュータとの間のデータ伝送を仲介する。
【0050】
また、記録媒体120の具体例としては、CF(Compact Flash)及びSD(Secure Digital)等の汎用的な半導体記憶デバイス、フレキシブルディスク(Flexible Disk)等の磁気記憶媒体、又はCD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)などの光学記憶媒体が挙げられる。
【0051】
また、上述した例では、本実施の形態における監視システム10を店舗で利用する場合について説明しているが、監視システム10を利用可能な用途は、上述の例に限定されるものではない。本実施の形態における監視システム10は、複数の人物が相反する2方向に向かって移動する場合であれば、特に限定なく利用できる。
【0052】
上述した実施の形態の一部又は全部は、以下に記載する(付記1)〜(付記20)によって表現することができるが、以下の記載に限定されるものではない。
【0053】
(付記1)
監視対象となる空間の内部における出入口の上方に設置された鏡部材と、監視カメラと、前記監視カメラが撮影した像の画像データを取得して監視を行う監視装置とを備え、
前記監視カメラは、前記出入口に位置する人物と前記鏡部材の反射面とが、同時に撮影範囲内に収まるように、配置され、
前記鏡部材は、前記空間内から前記出入口に向かう人物の像が、その反射面で反射され、そして、前記監視カメラによって撮影されるように配置されている、
ことを特徴とする監視システム。
【0054】
(付記2)
前記監視カメラが、前記撮影範囲の上方側に前記反射面が収まり、前記撮影範囲の下方側に前記出入口に位置する人物の像が収まるように配置されている、付記1に記載の監視システム。
【0055】
(付記3)
前記監視カメラが、更に、前記撮影範囲の上方側で得られた画像データと、前記撮影範囲の下方側で得られた画像データとを、別々に前記監視装置に出力する、付記2に記載の監視システム。
【0056】
(付記4)
前記監視装置が、前記撮影範囲の上方側で得られた画像データから、前記空間内から前記出入口に向かう人物の数を計測し、前記撮影範囲の下方側で得られた画像データから、前記監視対象となる空間に入る人物の数を計測する、付記2または3に記載の監視システム。
【0057】
(付記5)
前記監視対象となる空間が店舗であり、前記空間内には、ICタグが付与された商品が陳列されており、
当該監視システムが、前記ICタグが付与された商品の通過を検出するゲート検出装置を更に備え、
前記鏡部材が、前記空間内から退出する人物の像が、その反射面で反射され、そして、前記監視カメラによって撮影されるように配置され、
前記監視装置が、前記ゲート検出装置によって、前記ICタグが付与された商品の通過が検出されると、前記撮影範囲の上方側で得られた画像データから人物の顔の画像データを抽出し、抽出した画像データを登録する、付記2から4のいずれかに記載の監視システム。
【0058】
(付記6)
監視カメラが撮影した像の画像データを用いて監視を行う監視装置であって、
出入口の上方に鏡部材が設置された空間が監視対象となり、前記監視カメラは、前記出入口に位置する人物と前記鏡部材の反射面とが、同時に撮影範囲内に収まるように、配置され、前記鏡部材は、前記空間内から前記出入口に向かう人物の像が、その反射面で反射され、そして、前記監視カメラによって撮影されるように配置されている、場合において、
当該監視装置は、
前記監視カメラから画像データを取得する、画像取得部と、
予め登録されている人物の顔の画像データを格納している、記憶部と、
前記画像取得部が取得した画像データと、前記記憶部が格納している画像データとを対比して、前記出入口に位置する人物の顔と予め登録されている人物の顔とが一致している割合、及び前記空間内から前記出入口に向かう人物の顔と予め登録されている人物の顔とが一致している割合を算出する、演算部と、
前記演算部が算出した割合に基づいて、前記出入口に位置する人物、及び前記空間内から前記出入口に向かう人物それぞれが、予め顔が登録されている人物であるかどうかを判定する、判定部と、
を備えていることを特徴とする監視装置。
【0059】
(付記7)
前記監視カメラが、前記撮影範囲の上方側に前記反射面が収まり、前記撮影範囲の下方側に前記出入口に位置する人物の像が収まるように配置されている、付記6に記載の監視装置。
【0060】
(付記8)
前記監視カメラが、更に、前記撮影範囲の上方側で得られた画像データと、前記撮影範囲の下方側で得られた画像データとを、別々に前記画像取得部に出力する、付記7に記載の監視装置。
【0061】
(付記9)
前記演算部が、前記撮影範囲の上方側で得られた画像データから、前記空間内から前記出入口に向かう人物の数を計測し、前記撮影範囲の下方側で得られた画像データから、前記監視対象となる空間に入る人物の数を計測する、付記7または8に記載の監視装置。
【0062】
(付記10)
前記監視対象となる空間が店舗であり、前記空間内には、ICタグが付与された商品が陳列され、更に、前記出入口に、前記ICタグが付与された商品の通過を検出するゲート検出装置が配置され、加えて、前記鏡部材が、前記空間内から退出する人物の像が、その反射面で反射され、そして、前記監視カメラによって撮影されるように配置されている、場合において、
前記演算部が、前記ゲート検出装置によって、前記ICタグが付与された商品の通過が検出されると、前記撮影範囲の上方側で得られた画像データから人物の顔の画像データを抽出し、抽出した画像データを前記記憶部に格納させる、付記7から9のいずれかに記載の監視装置。
【0063】
(付記11)
監視カメラが撮影した像の画像データを用いて監視を行うための監視方法であって、
出入口の上方に鏡部材が設置された空間が監視対象となり、前記監視カメラは、前記出入口に位置する人物と前記鏡部材の反射面とが、同時に撮影範囲内に収まるように、配置され、前記鏡部材は、前記空間内から前記出入口に向かう人物の像が、その反射面で反射され、そして、前記監視カメラによって撮影されるように配置されている、場合において、
(a)前記監視カメラから画像データを取得する、ステップと、
(b)前記(a)のステップで取得した画像データと、予め登録されている人物の顔の画像データとを対比して、前記出入口に位置する人物の顔と予め登録されている人物の顔とが一致している割合、及び前記空間内から前記出入口に向かう人物の顔と予め登録されている人物の顔とが一致している割合を算出する、ステップと、
(c)前記(b)のステップで算出した割合に基づいて、前記出入口に位置する人物、及び前記空間内から前記出入口に向かう人物それぞれが、予め顔が登録されている人物であるかどうかを判定する、ステップと、
を有することを特徴とする監視方法。
【0064】
(付記12)
前記監視カメラが、前記撮影範囲の上方側に前記反射面が収まり、前記撮影範囲の下方側に前記出入口に位置する人物の像が収まるように配置されている、付記11に記載の監視方法。
【0065】
(付記13)
前記監視カメラが、更に、前記撮影範囲の上方側で得られた画像データと、前記撮影範囲の下方側で得られた画像データとを、別々に前記画像取得部に出力する、付記12に記載の監視方法。
【0066】
(付記14)
(d)前記撮影範囲の上方側で得られた画像データから、前記空間内から前記出入口に向かう人物の数を計測し、前記撮影範囲の下方側で得られた画像データから、前記監視対象となる空間に入る人物の数を計測する、ステップを、更に有する付記12または13に記載の監視方法。
【0067】
(付記15)
前記監視対象となる空間が店舗であり、前記空間内には、ICタグが付与された商品が陳列され、更に、前記出入口に、前記ICタグが付与された商品の通過を検出するゲート検出装置が配置され、加えて、前記鏡部材が、前記空間内から退出する人物の像が、その反射面で反射され、そして、前記監視カメラによって撮影されるように配置されている、場合において、
(e)前記ゲート検出装置によって、前記ICタグが付与された商品の通過が検出されると、前記撮影範囲の上方側で得られた画像データから人物の顔の画像データを抽出し、抽出した画像データを登録する、ステップを、更に有する付記12から14のいずれかに記載の監視方法。
【0068】
(付記16)
監視カメラが撮影した像の画像データを用いた監視を、コンピュータによって、実行するためのプログラムであって、
出入口の上方に鏡部材が設置された空間が監視対象となり、前記監視カメラは、前記出入口に位置する人物と前記鏡部材の反射面とが、同時に撮影範囲内に収まるように、配置され、前記鏡部材は、前記空間内から前記出入口に向かう人物の像が、その反射面で反射され、そして、前記監視カメラによって撮影されるように配置されている、場合において、
前記コンピュータに、
(a)前記監視カメラから画像データを取得する、ステップと、
(b)前記(a)のステップで取得した画像データと、予め登録されている人物の顔の画像データとを対比して、前記出入口に位置する人物の顔と予め登録されている人物の顔とが一致している割合、及び前記空間内から前記出入口に向かう人物の顔と予め登録されている人物の顔とが一致している割合を算出する、ステップと、
(c)前記(b)のステップで算出した割合に基づいて、前記出入口に位置する人物、及び前記空間内から前記出入口に向かう人物それぞれが、予め顔が登録されている人物であるかどうかを判定する、ステップと、
を実行させるプログラム。
【0069】
(付記17)
前記監視カメラが、前記撮影範囲の上方側に前記反射面が収まり、前記撮影範囲の下方側に前記出入口に位置する人物の像が収まるように配置されている、付記16に記載のプログラム。
【0070】
(付記18)
前記監視カメラが、更に、前記撮影範囲の上方側で得られた画像データと、前記撮影範囲の下方側で得られた画像データとを、別々に前記画像取得部に出力する、付記17に記載のプログラム。
【0071】
(付記19)
(d)前記撮影範囲の上方側で得られた画像データから、前記空間内から前記出入口に向かう人物の数を計測し、前記撮影範囲の下方側で得られた画像データから、前記監視対象となる空間に入る人物の数を計測する、ステップを、更に前記コンピュータに実行させる付記17または18に記載のプログラム。
【0072】
(付記20)
前記監視対象となる空間が店舗であり、前記空間内には、ICタグが付与された商品が陳列され、更に、前記出入口に、前記ICタグが付与された商品の通過を検出するゲート検出装置が配置され、加えて、前記鏡部材が、前記空間内から退出する人物の像が、その反射面で反射され、そして、前記監視カメラによって撮影されるように配置されている、場合において、
(e)前記ゲート検出装置によって、前記ICタグが付与された商品の通過が検出されると、前記撮影範囲の上方側で得られた画像データから人物の顔の画像データを抽出し、抽出した画像データを登録する、ステップを、更に前記コンピュータに実行させる付記17から19のいずれかに記載のプログラム。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明によれば、一台の監視カメラによって2方向からの人物の監視を行うことができる。本発明は、相反する2方向に移動する複数の人物の監視が必要な場合であれば、特に限定なく利用できる。
【符号の説明】
【0074】
10 監視システム
20 鏡部材
21 反射面
30 監視カメラ
40 監視装置
41 画像取得部
42 演算部
43 判定部
44 記憶部
45 表示装置
50 ゲート検出装置
60、61 人物
70 空間
71 出入口
110 コンピュータ
111 CPU
112 メインメモリ
113 記憶装置
114 入力インターフェイス
115 表示コントローラ
116 データリーダ/ライタ
117 通信インターフェイス
118 入力機器
119 ディスプレイ装置
120 記録媒体
121 バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象となる空間の内部における出入口の上方に設置された鏡部材と、監視カメラと、前記監視カメラが撮影した像の画像データを取得して監視を行う監視装置とを備え、
前記監視カメラは、前記出入口に位置する人物と前記鏡部材の反射面とが、同時に撮影範囲内に収まるように、配置され、
前記鏡部材は、前記空間内から前記出入口に向かう人物の像が、その反射面で反射され、そして、前記監視カメラによって撮影されるように配置されている、
ことを特徴とする監視システム。
【請求項2】
前記監視カメラが、前記撮影範囲の上方側に前記反射面が収まり、前記撮影範囲の下方側に前記出入口に位置する人物の像が収まるように配置されている、請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
前記監視カメラが、更に、前記撮影範囲の上方側で得られた画像データと、前記撮影範囲の下方側で得られた画像データとを、別々に前記監視装置に出力する、請求項2に記載の監視システム。
【請求項4】
前記監視装置が、前記撮影範囲の上方側で得られた画像データから、前記空間内から前記出入口に向かう人物の数を計測し、前記撮影範囲の下方側で得られた画像データから、前記監視対象となる空間に入る人物の数を計測する、請求項1または2に記載の監視システム。
【請求項5】
前記監視対象となる空間が店舗であり、前記空間内には、ICタグが付与された商品が陳列されており、
当該監視システムが、前記ICタグが付与された商品の通過を検出するゲート検出装置を更に備え、
前記鏡部材が、前記空間内から退出する人物の像が、その反射面で反射され、そして、前記監視カメラによって撮影されるように配置され、
前記監視装置が、前記ゲート検出装置によって、前記ICタグが付与された商品の通過が検出されると、前記撮影範囲の上方側で得られた画像データから人物の顔の画像データを抽出し、抽出した画像データを登録する、請求項2から4のいずれかに記載の監視システム。
【請求項6】
監視カメラが撮影した像の画像データを用いて監視を行う監視装置であって、
出入口の上方に鏡部材が設置された空間が監視対象となり、前記監視カメラは、前記出入口に位置する人物と前記鏡部材の反射面とが、同時に撮影範囲内に収まるように、配置され、前記鏡部材は、前記空間内から前記出入口に向かう人物の像が、その反射面で反射され、そして、前記監視カメラによって撮影されるように配置されている、場合において、
当該監視装置は、
前記監視カメラから画像データを取得する、画像取得部と、
予め登録されている人物の顔の画像データを格納している、記憶部と、
前記画像取得部が取得した画像データと、前記記憶部が格納している画像データとを対比して、前記出入口に位置する人物の顔と予め登録されている人物の顔とが一致している割合、及び前記空間内から前記出入口に向かう人物の顔と予め登録されている人物の顔とが一致している割合を算出する、演算部と、
前記演算部が算出した割合に基づいて、前記出入口に位置する人物、及び前記空間内から前記出入口に向かう人物それぞれが、予め顔が登録されている人物であるかどうかを判定する、判定部と、
を備えていることを特徴とする監視装置。
【請求項7】
監視カメラが撮影した像の画像データを用いて監視を行うための監視方法であって、
出入口の上方に鏡部材が設置された空間が監視対象となり、前記監視カメラは、前記出入口に位置する人物と前記鏡部材の反射面とが、同時に撮影範囲内に収まるように、配置され、前記鏡部材は、前記空間内から前記出入口に向かう人物の像が、その反射面で反射され、そして、前記監視カメラによって撮影されるように配置されている、場合において、
(a)前記監視カメラから画像データを取得する、ステップと、
(b)前記(a)のステップで取得した画像データと、予め登録されている人物の顔の画像データとを対比して、前記出入口に位置する人物の顔と予め登録されている人物の顔とが一致している割合、及び前記空間内から前記出入口に向かう人物の顔と予め登録されている人物の顔とが一致している割合を算出する、ステップと、
(c)前記(b)のステップで算出した割合に基づいて、前記出入口に位置する人物、及び前記空間内から前記出入口に向かう人物それぞれが、予め顔が登録されている人物であるかどうかを判定する、ステップと、
を有することを特徴とする監視方法。
【請求項8】
監視カメラが撮影した像の画像データを用いた監視を、コンピュータによって、実行するためのプログラムであって、
出入口の上方に鏡部材が設置された空間が監視対象となり、前記監視カメラは、前記出入口に位置する人物と前記鏡部材の反射面とが、同時に撮影範囲内に収まるように、配置され、前記鏡部材は、前記空間内から前記出入口に向かう人物の像が、その反射面で反射され、そして、前記監視カメラによって撮影されるように配置されている、場合において、
前記コンピュータに、
(a)前記監視カメラから画像データを取得する、ステップと、
(b)前記(a)のステップで取得した画像データと、予め登録されている人物の顔の画像データとを対比して、前記出入口に位置する人物の顔と予め登録されている人物の顔とが一致している割合、及び前記空間内から前記出入口に向かう人物の顔と予め登録されている人物の顔とが一致している割合を算出する、ステップと、
(c)前記(b)のステップで算出した割合に基づいて、前記出入口に位置する人物、及び前記空間内から前記出入口に向かう人物それぞれが、予め顔が登録されている人物であるかどうかを判定する、ステップと、
を実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−108777(P2012−108777A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−257885(P2010−257885)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(000164449)九州日本電気ソフトウェア株式会社 (67)
【Fターム(参考)】