説明

監視センタの更新方法

【課題】遠隔監視業務を中断することなく、監視センタの移転や設備更新を円滑に行えてコスト面でも有利な、監視センタの更新方法を提供すること。
【解決手段】監視センタ13を移転して監視センタ22となす場合、第1のステップS1で、移転先の監視センタ22に外部からの通報を着信させるための代表回線20,21を設ける。次に第2のステップS2で、移転前に通報が着信可能な代表回線10,11に接続されている通信機器の一部(16c,16d)を代表回線20,21に任意選択的に接続し、迂回手段12を無効にして迂回手段26を有効にする。そして第3のステップS3で、迂回手段26を無効にして迂回手段27を有効にすると共に、残余の通信機器(16a,16b)を代表回線20,21に接続し、且つ、代表回線20を優先着信先となす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇降機や空調設備などの稼働状態を遠隔的に監視する監視センタを別の場所へ移転する際、あるいは監視センタ内の設備(交換機等)を新規のものに更新する際に適用される監視センタの更新方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の監視センタには、遠隔地の建物に設置されている監視対象の設備機器(昇降機や空調設備など)に接続された監視端末装置から発報される故障通報や、その建物の利用者が電話機等を用いて行う各種の通報が公衆回線網を介して着信される。また、監視センタでは、常に外部からの通報を受信して電話応対などができるようになっており、必要時には現地へ作業員を派遣させる等の措置を講じることができるため、監視対象の昇降機や空調設備に故障等の異常が発生した際に迅速な対応が可能である。
【0003】
ところで、監視センタを別の場所へ移転したり、監視センタ内の設備(交換機等)を新規のものに更新する必要性が生じた場合、従来は、遠隔監視業務の一時的な中断を余儀なくされることが多かった。しかし、遠隔監視業務が中断されているときに、監視対象の昇降機や空調設備に故障等の異常が発生した場合、監視センタは外部からの通報が受信できないため、迅速な対応が困難となる。
【0004】
特許文献1には、監視センタ内において、着信する電話番号の追加や変更などに伴って交換機を停止させているときに、別の交換機で代用できるようにした技術が記載されている。かかる従来技術では、監視センタ内に複数の交換機を設けておき、これら複数の交換機に、外部からの通報が着信される代表回線に含まれる複数の回線を接続しておく。それゆえ、着信する電話番号の追加や変更を行うために1つの交換機を停止させても、他の交換機に接続された回線を利用して外部からの通報を受信でき、遠隔監視業務が継続的に行えるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−168984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら上記の従来技術は、監視センタ内に設けた複数の交換機を代表回線に含まれる複数の回線に接続しておくというものなので、監視センタを別の場所へ移転する際には適用困難である。つまり、移転後の監視センタでは、通常、外部からの通報が着信される代表回線が移転前と異なるため、監視センタの移転時に遠隔監視業務の中断を回避するためには特別な段取りが必要となる。また、監視センタ内の通信機器や情報処理装置が移転後も使用できるとコスト面で有利なため、監視センタの移転時にはこうした点も考慮する必要がある。
【0007】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、遠隔監視業務を中断することなく、監視センタの移転や監視センタ内の設備更新を円滑に行えてコスト面でも有利な、監視センタの更新方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、外部からの通報の優先着信先に設定されている第1の代表回線と、外部から前記第1の代表回線への通報が第1迂回手段を介して着信可能な第2の代表回線と、前記第1および第2の代表回線に任意選択的に接続されて前記通報が受信可能な複数の通信機器とを備えた更新前の監視センタを、移転または設備更新する際に適用される更新方法において、外部からの通報を着信させるための第3の代表回線および第4の代表回線を設ける第1のステップと、前記第1のステップの後に、複数の前記通信機器のうちの一部を前記第3および第4の代表回線に任意選択的に接続し、且つ、前記第1迂回手段を無効となすと共に、外部から前記第1の代表回線への通報が第2迂回手段を介して前記第3の代表回線に着信可能となるように設定する第2のステップと、前記第2のステップの後に、前記第3の代表回線への通報が第3迂回手段を介して前記第4の代表回線に着信可能となるように設定して、複数の前記通信機器のうち前記一部を除く残余の通信機器を前記第3および第4の代表回線に任意選択的に接続すると共に、外部からの通報の優先着信先を前記第3の代表回線に設定して前記第2迂回手段を無効となす第3のステップとを含むこととした。
【0009】
このような監視センタの更新方法において、監視センタの更新前には、第1の代表回線が外部からの通報の優先着信先であると共に、第1の代表回線への通報が第1迂回手段を介して第2の代表回線に着信可能であり、いずれかの代表回線に着信した通報を受信するための複数の通信機器が第1および第2の代表回線に任意選択的に接続されている。また、監視センタの更新後には、第3の代表回線を外部からの通報の優先着信先となすと共に、第3の代表回線への通報が第3迂回手段を介して第4の代表回線へ着信できるようにする。したがって、第2のステップで、更新前の代表回線に接続されている複数の通信機器の一部を第3および第4の代表回線に任意選択的に接続して、第1の代表回線への通報が第2迂回手段を介して第3の代表回線へ着信できるように設定すれば、第1迂回手段を無効にしても、外部からの通報は第1または第3の代表回線に着信されて既存の通信機器で受信できるようになる。つまり、第2のステップによって、遠隔監視業務を中断することなく、既存の通信機器の一部を更新後の代表回線に接続するという移設作業が円滑に行える。そして、第3のステップで、第3迂回手段を設定すると共に、残余の通信機器を第3および第4の代表回線に任意選択的に接続し、且つ、第3の代表回線を優先着信先となせば、第2迂回手段を無効にしても、外部からの通報は第3または第4の代表回線に着信されて既存の通信機器で受信できるようになる。つまり、第3のステップによって、遠隔監視業務を中断することなく、移設未完了の残余の通信機器を更新後の代表回線に接続するという移設作業が円滑に行える。
【0010】
なお、外部からの通報が受信可能な通信機器は、電話機であっても通信モデムであってもよい。
【0011】
また、上記の監視センタの更新方法において、外部からの通報が受信可能な複数の通信機器が電話機であると共に、更新前の監視センタが、前記電話機による電話応対時に用いるデータを格納する第1のサーバと、この第1のサーバから前記データを読み出すための複数の情報処理装置(パーソナルコンピュータなど)とを備えている場合に、前記第1のステップで、前記データを格納するための第2のサーバを設けて、この第2のサーバを前記第1のサーバと通信可能に接続し、且つ、前記第2のステップで、前記複数の情報処理装置のうちの一部を前記第2のサーバに接続し、さらに、前記第3のステップで、前記複数の情報処理装置のうち前記一部を除く残余の情報処理装置を前記第2のサーバに接続するようにしてあれば、更新途中でも第2のサーバの格納データを用いて電話応対が可能となり、且つ、既存の複数の情報処理装置の移設作業が円滑に行えるようになるため好ましい。
【0012】
すなわち、第2のステップでは、既存の複数の通信機器の一部を更新後の代表回線に接続するという移設作業を行うため、この段階で、既存の複数の情報処理装置の一部を第2のサーバに接続するという移設作業を行えば、作業効率が良好となる。同様に、第3のステップで、残余の通信機器を代表回線に接続するという移設作業と、残余の情報処理装置を第2のサーバに接続するという移設作業を行えば、作業効率が良好となる。また、第2のサーバを予め第1のステップで第1のサーバと通信可能に接続しておけば、この第2のサーバに接続した情報処理装置を用いて新規データの書き込みや格納データの読み出しが行えるため、監視センタの更新途中でも第2のサーバを利用できてオペレータによる通報受信業務が円滑に行える。
【発明の効果】
【0013】
本発明による監視センタの更新方法によれば、遠隔監視業務を中断することなく、既存の通信機器を更新後の代表回線に接続することができるため、監視センタの移転や監視センタ内の設備更新が円滑に行えると共に、既存の通信機器を使用できるため、追加投資を低減できるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態例に係る監視センタの移転時の更新方法を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本実施形態例は、図1のブロック図に示すように、ビル設備を遠隔的に監視する監視センタ13を、別の場所へ移転して監視センタ22となす場合の更新方法について例示したものである。なお、図1において、移転作業の第1段階である第1のステップは符号S1で示し、第2段階である第2のステップは符号S2で示し、第3段階である第3のステップは符号S3で示している。
【0016】
まず、移転前(更新前)の監視センタ13の回線や設備等について説明し、その後、本実施形態例で行う第1のステップS1、第2のステップS2、第3のステップS3の作業内容について順次説明する。
【0017】
移転前の監視センタ13には、外部からの通報が優先的に着信される第1の代表回線10と、外部からの通報が迂回して着信可能な第2の代表回線11とが備えられている。第1の代表回線10は、公衆回線網8に接続されて監視センタ13へ引き込まれたアナログ回線やデジタル回線等の回線10a,10bが代表組みされたものである。同様に、第2の代表回線11は、公衆回線網8に接続されて監視センタ13へ引き込まれたアナログ回線やデジタル回線等の回線11a,11bが代表組みされたものである。図1中の符号9は着信先指定手段を示しており、キャリア(電話会社等の電気通信事業者)が提供するフリーコール番号やフリーダイヤル番号の単位で優先的な着信先が指定されている。本実施形態例において、移転前の監視センタ13は、回線10a,10bのいずれかが着信可能であれば、外部からの通報が優先的に第1の代表回線10へ着信するように設定されている。また、回線10a,10bがいずれも通話中または利用停止の場合は、外部から第1の代表回線10への通報が迂回手段12を介して第2の代表回線11へ着信するように設定されている。なお、着信先指定手段9と第1の代表回線10とを接続する作業や、回線10a,10bの利用状態を確認して必要時に通報を迂回手段12へ迂回させる作業は、前記キャリアによって行われる。
【0018】
図1に示すように、監視センタ13には、遠隔地の建物4に設置されている監視対象のビル設備機器に接続された監視端末装置7から発報される故障通報や、その建物4の利用者5が一般加入電話機や携帯電話等の通話手段6を用いて行う各種の通報が、公衆回線網8を介して着信されるようになっている。ここで、監視対象のビル設備機器とは昇降機や空調設備などであり、監視端末装置7は該ビル設備機器の動作データを自動取得して故障の有無を判定し、故障発生時には故障通報を監視センタ13へ自動発報する。なお、監視センタ13は、建物4以外の複数の建物内のビル設備機器も遠隔的に監視している。そして、監視センタ13では、常に外部からの通報を受信して電話応対などができるようになっており、必要時には現地へ作業員を派遣させる等の措置を講じることができるため、監視対象のビル設備機器に故障等の異常が発生した際に迅速な対応が可能である。
【0019】
この監視センタ13には、回線10a,10b,11a,11bがそれぞれ切り離し可能に接続された端子板14と、端子板14を介して回線10a,10b,11a,11bに接続された交換機15と、交換機15に接続された複数の応答用電話機16a,16b,16c,16dと、電話応対に用いるデータが格納されたデータサーバ18と、データサーバ18に接続されて新規データの書き込みや格納データの読み出しが行える複数の情報処理装置(例えばパーソナルコンピュータ)17a,17b,17c,17dとが備えられている。交換機15は、複数の電話機16a〜16dの中から、通報時に電話応対が可能な電話機を自動的に選択する。つまり、電話機16a〜16dは交換機15および端子板14を介して、第1および第2の代表回線10,11の各回線10a,10b,11a,11bに任意選択的に接続されている。また、電話応対に用いるデータは情報処理装置17a〜17dの表示画面に表示可能であり、オペレータが情報処理装置17a〜17dのキーボード等を操作して入力したデータをデータサーバ18に格納することも可能である。なお、情報処理装置17a〜17dは社内ネットワーク19を介してデータサーバ18と接続されている。
【0020】
監視端末装置7や通話手段6からの通報は、監視センタ13の第1の代表回線10または第2の代表回線11に着信される。このうち、利用者5が通話手段6を用いて行う通報は、交換機15を介して応答用電話機16a〜16dのいずれかで受信されるため、利用者5は監視センタ13内のオペレータと通話することができる。
【0021】
本実施形態例では、第1のステップS1において、移転先(更新後)の監視センタ22に、外部からの通報を着信させるための第3の代表回線20および第4の代表回線21を設けて利用可能な状態にしておく。第3の代表回線20は、公衆回線網8に接続されて監視センタ22へ引き込まれたアナログ回線やデジタル回線等の回線20a,20bが代表組みされたものである。同様に、第4の代表回線21は、公衆回線網8に接続されて監視センタ22へ引き込まれたアナログ回線やデジタル回線等の回線21a,21bが代表組みされたものである。なお、後述するように、移転先の監視センタ22では、第3の代表回線20を外部からの通報の優先着信先に設定し、且つ、第3の代表回線20への通報が第3迂回手段27を介して第4の代表回線21に着信可能となるように設定するが、第1のステップS1ではこうした設定をまだ行わない。
【0022】
また、第1のステップS1では、移転先の監視センタ22に、回線20a,20b,21a,21bがそれぞれ切り離し可能に接続された端子板23と、端子板23を介して回線20a,20b,21a,21bに接続された交換機24と、電話応対に用いるデータが格納されるデータサーバ25とを備えておく。このデータサーバ25は、通信回線である社内ネットワーク19を介して、移転前の監視センタ13が備えるデータサーバ18とデータ通信が行えるようにしておく。そして、データサーバ18に格納されている電話応対用データと同じデータを、移転先の監視センタ22が備えるデータサーバ25に取り込んでおく。
【0023】
本実施形態例では、上記した第1のステップS1の後、第2のステップS2において、移転前の監視センタ13が備える複数の応答用電話機16a〜16dのうちの一部(電話機16c,16d)を、移転先の監視センタ22に移設して交換機24に接続する。これにより、電話機16c,16dは交換機24および端子板23を介して、第3および第4の代表回線20,21の各回線20a,20b,21a,21bに任意選択的に接続される。
【0024】
また、この第2のステップS2では、移転前の監視センタ13が備える複数の情報処理装置17a〜17dのうちの一部(情報処理装置17c,17d)を、移転先の監視センタ22に移設し、社内ネットワーク19を介してデータサーバ25に接続する。
【0025】
また、この第2のステップS2では、第1の代表回線10への通報を第2の代表回線11へ迂回させるための迂回手段12を無効にし、回線11a,11bを利用停止にすると共に、第1の代表回線10への通報を第3の代表回線20へ迂回させるための迂回手段26を有効にする。なお、迂回手段12を無効にして迂回手段26を有効にする作業、ならびに利用停止に伴って回線11a,11bを取り外す作業は、前記キャリアによって行われる。ただし、回線11a,11bを取り外す作業は、第3のステップS3以降に行ってもよい。
【0026】
こうして第2のステップS2での作業が完了すると、第1の代表回線10で着信しきれない電話の呼びが迂回手段26を介して第3の代表回線20へ着信されるようになるため、移転が未完了であっても、移設した応答用電話機16c,16dによって外部からの通報が受信できるようになる。また、電話応答用データが格納されたデータサーバ25に情報処理装置17c,17dが接続されているため、移転が未完了であっても、移設した情報処理装置17c,17dによって新規データの書き込みや格納データの読み出しが行えるようになる。したがって、移転前の監視センタ13と移転先の監視センタ22にオペレータを分散させて、各監視センタ13,22で故障通報受信業務等の遠隔監視業務を行うことができる。
【0027】
本実施形態例では、上記した第2のステップS2の後、第3のステップS3において、第1の代表回線10を優先着信先となしていた着信先指定手段9を無効にすると共に、第3の代表回線20を優先着信先となす着信先指定手段28を有効にする。また、第1の代表回線10への通報を第3の代表回線20へ迂回させるための迂回手段26を無効にすると共に、第3の代表回線20への通報を第4の代表回線21へ迂回させるための迂回手段27を有効にする。なお、着信先指定手段9や迂回手段26を無効にする作業、ならびに着信先指定手段28や迂回手段27を有効にする作業は、前記キャリアによって行われる。
【0028】
また、この第3のステップS3では、移転前の監視センタ13が備える残余の応答用電話機16a,16bを、移転先の監視センタ22に移設して交換機24に接続する。これにより、既存の電話機16a〜16dが、すべて移転先の交換機24および端子板23を介して、第3および第4の代表回線20,21の各回線20a,20b,21a,21bに任意選択的に接続された状態になる。
【0029】
また、この第3のステップS3では、移転前の監視センタ13が備える残余の情報処理装置17a,17bを、移転先の監視センタ22に移設し、社内ネットワーク19を介してデータサーバ25に接続する。これにより、既存の情報処理装置17a〜17dがすべて移転先のデータサーバ25に接続された状態になる。この後、移転前の監視センタ13に存する端子板14や交換機15やデータサーバ18等を取り外す。
【0030】
こうして第3のステップS3での作業が完了すると、監視センタ13,22で分散して行っていた故障通報受信業務等の遠隔監視業務を移転先の監視センタ22のみで行うことができる。
【0031】
以上説明したように、本実施形態例に係る監視センタの更新方法において、移転前の監視センタ13では、第1の代表回線10が外部からの通報の優先着信先であると共に、第1の代表回線10への通報が迂回手段12を介して第2の代表回線11に着信可能であり、いずれかの代表回線に着信した通報を受信するための複数の電話機16a〜16dが第1および第2の代表回線10,11に任意選択的に接続されている。また、移転先の監視センタ22では、第3の代表回線20を外部からの通報の優先着信先となすと共に、第3の代表回線20への通報が迂回手段27を介して第4の代表回線21に着信できるようにする。したがって、第2のステップS2で、移転前の代表回線10,11に接続されている一部の電話機16c,16dを第3および第4の代表回線20,21に任意選択的に接続して、第1の代表回線10への通報が迂回手段26を介して第3の代表回線20に着信可能となるように設定しておけば、迂回手段12を無効にしても、外部からの通報は第1または第3の代表回線10,20に着信されて既存の電話機16a〜16dで受信できるようになる。つまり、第2のステップS2によって、遠隔監視業務を中断することなく、既存の電話機16a〜16dの一部(電話機16c,16d)を移転先の代表回線20,21に接続するという移設作業が円滑に行える。
【0032】
さらに、本実施形態例では、第1のステップS1において、移転前のデータサーバ18と通信可能で電話応答用データが格納されるデータサーバ25を移転先に設けておき、且つ、第2のステップS2において、一部の情報処理装置17c,17dをこのデータサーバ25に接続している。したがって、遠隔監視業務を中断することなく、既存の情報処理装置17a〜17dの一部(情報処理装置17c,17d)を移転先のデータサーバ25に接続するという移設作業が円滑に行える。
【0033】
また、本実施形態例では、第3のステップS3において、迂回手段27を設定すると共に、残余の電話機16a,16bを移転先の代表回線20,21に接続し、且つ、残余の情報処理装置17a,17bを移転先のデータサーバ25に接続している。そのため、第2のステップS2で設定した迂回手段26を無効にしても、外部からの通報は移転先の第3または第4の代表回線20,21に着信されて既存の電話機16a〜16dで受信できるようになり、且つ、移転先のデータサーバ25に接続された既存の情報処理装置17a〜17dによって新規データの書き込みや格納データの読み出しが行えるようになる。
【0034】
それゆえ、本実施形態例においては、遠隔監視業務を中断することなく、監視センタ13を監視センタ22へ円滑に移転させることができる。また、移転先の監視センタ22でも既存の応答用電話機16a〜16dや既存の情報処理装置17a〜17dが使用できるため、移転に伴う追加投資を低減できてコスト面でも有利である。
【0035】
なお、上記の実施形態例に限らず、本発明の技術的思想の範囲内において種々の実施形態例が可能である。例えば、上記の実施形態例では、外部からの通報を受信可能な通信機器が応答用電話機である場合について説明したが、この種の通信機器が外部の監視端末装置7と公衆回線網8を介して接続される通信モデムであっても本発明は適用可能である。
【0036】
また、上記の実施形態例では、応答用電話機や情報処理装置を4台ずつ使用するものとして説明しているが、応答用電話機や情報処理装置の台数は上記の実施形態例に限定されるものではない。同様に、代表回線の数や各代表回線に含まれる回線数も、上記の実施形態例に限定されるものではない。
【0037】
また、上記の実施形態例では、外部の通話手段6や監視端末装置7と監視センタ13,22とが、公衆回線網8に接続されたアナログ回線やデジタル回線等を介して通信可能に接続されている場合について説明したが、IP回線を介して通信可能に接続される場合でも、本発明を適用することによって上記の実施形態例と同等の効果が期待できる。
【0038】
また、上記の実施形態例では、監視センタを別の場所へ移転する場合について説明したが、監視センタ内の交換機等の設備を更新する場合にも、本発明は適用可能である。例えば、監視センタ13内の旧交換機15を新交換機24に更新する場合、上記の第2のステップS2において新旧の交換機15,24がいずれも外部からの通報に対応できるため、遠隔監視業務を中断することなく交換機の更新が行えることになる。
【符号の説明】
【0039】
5 利用者
6 通話手段
7 監視端末装置
8 公衆回線網
9,28 着信先指定手段
10 第1の代表回線
11 第2の代表回線
12 迂回手段(第1迂回手段)
13 (移転前の)監視センタ
14,23 端子板
15,24 交換機
16a,16b,16c,16d 応答用電話機(通信機器)
17a,17b,17c,17d 情報処理装置
18 データサーバ(第1のサーバ)
19 社内ネットワーク
20 第3の代表回線
21 第4の代表回線
22 (移転先の)監視センタ
25 データサーバ(第2のサーバ)
26 迂回手段(第2迂回手段)
27 迂回手段(第3迂回手段)
S1 第1のステップ
S2 第2のステップ
S3 第3のステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部からの通報の優先着信先に設定されている第1の代表回線と、外部から前記第1の代表回線への通報が第1迂回手段を介して着信可能な第2の代表回線と、前記第1および第2の代表回線に任意選択的に接続されて前記通報が受信可能な複数の通信機器とを備えた更新前の監視センタを、移転または設備更新する際に適用される更新方法において、
外部からの通報を着信させるための第3の代表回線および第4の代表回線を設ける第1のステップと、
前記第1のステップの後に、複数の前記通信機器のうちの一部を前記第3および第4の代表回線に任意選択的に接続し、且つ、前記第1迂回手段を無効となすと共に、外部から前記第1の代表回線への通報が第2迂回手段を介して前記第3の代表回線に着信可能となるように設定する第2のステップと、
前記第2のステップの後に、前記第3の代表回線への通報が第3迂回手段を介して前記第4の代表回線に着信可能となるように設定して、複数の前記通信機器のうち前記一部を除く残余の通信機器を前記第3および第4の代表回線に任意選択的に接続すると共に、外部からの通報の優先着信先を前記第3の代表回線に設定して前記第2迂回手段を無効となす第3のステップとを含むことを特徴とする監視センタの更新方法。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記通信機器が電話機であると共に、更新前の前記監視センタが、前記電話機による電話応対時に用いるデータを格納する第1のサーバと、この第1のサーバから前記データを読み出すための複数の情報処理装置とを備えている場合に、
前記第1のステップで、前記データを格納するための第2のサーバを設けて、この第2のサーバを前記第1のサーバと通信可能に接続し、
且つ、前記第2のステップで、前記複数の情報処理装置のうちの一部を前記第2のサーバに接続し、
さらに、前記第3のステップで、前記複数の情報処理装置のうち前記一部を除く残余の情報処理装置を前記第2のサーバに接続するようにしたことを特徴とする監視センタの更新方法。
【請求項3】
請求項1の記載において、前記通信機器が通信モデムであることを特徴とする監視センタの更新方法。

【図1】
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【公開番号】特開2013−21542(P2013−21542A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153899(P2011−153899)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000232955)株式会社日立ビルシステム (895)
【Fターム(参考)】