説明

監視制御統合装置、伝送装置、監視制御方法およびプログラム

【課題】障害の監視制御に係る処理を簡単化する。
【解決手段】監視制御統合部10は、監視対象とされる光波長多重伝送装置12a、12bと監視制御装置との間に介在し、光波長多重伝送装置12a、12bから発せられるそれぞれの障害に係るアラーム情報を集約して監視制御装置に通知する。監視制御統合部10は、アラーム情報を通知するに際し、アラーム情報のうち、波及障害となるアラーム情報をマスクするように制御し、主要因となる障害に係るアラーム情報のみを監視制御装置に通知する。この時、アラーム情報がどの経路に波及して行くかについての経路情報を予め経路情報保持部15に保持しておき、保持してある経路情報に基づいて波及障害となるアラーム情報をマスクするように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視制御統合装置、伝送装置、監視制御方法およびプログラムに係り、特に、データ伝送装置の障害発生を監視制御する技術に係る。
【背景技術】
【0002】
通信分野において情報を伝送するためのデータ伝送装置においては、データ伝送装置の運用状態を監視することが重要であり、そのために、データ伝送装置を監視制御する監視システムが用いられる。
【0003】
監視システムの例として、データ送受信のためのデータ伝送機能部内の予め定められた被監視ポイントを監視制御する監視制御部と、監視制御部による監視情報を収集するWEBサーバ機能部とを内蔵し、このWEBサーバ機能部を介して監視情報を監視端末へ提示するデータ伝送装置が特許文献1に開示されている。このようにデータ伝送装置そのものに、WEBサーバ機能を内蔵することにより、データ伝送装置を監視するための専用の監視制御装置が不要となる。
【0004】
また、特許文献2には、監視制御装置は監視制御の対象となる全通信装置のアドレスと、複数の通信装置で構成する群毎にマスタとして指定された通信装置のアドレスを管理データとして保持し、マスタの通信装置は、配下の全通信装置に対して定期的にポーリングを行って各通信装置の状態を監視し、監視制御装置はマスタの通信装置に対してだけ定期的にポーリングを行ってマスタ及びマスタ配下の通信装置の警報・異常データを収集し、マスタ配下の通信装置の中にサブマスタの通信装置を設定し、サブマスタの通信装置はマスタの通信装置の異常を検出する監視システムが開示されている。
【0005】
なお、関連する技術として、特許文献3には、ある動作が基本要因となって複数の動作状況に係る情報が発生しても、動作状況の迅速な把握を可能とする半導体製造装置が記載されている。
【0006】
【特許文献1】特開2003−228528号公報
【特許文献2】特開平10−242965号公報
【特許文献3】特開2004−127989号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以下の分析は本発明において与えられる。
【0008】
特許文献1、2には、監視対象の各装置のアラーム情報を集約して上位装置に通知する技術が記載されている。ところで、監視対象の伝送装置が複数あって、これらの伝送装置間で通信がなされるような場合、ある伝送装置で発生した障害が他の伝送装置に伝播し、他の伝送装置でも障害となって、多くの伝送装置から障害情報が上位装置に通知されることとなる。このような場合、上位装置は、多くの伝送装置の障害情報から主要因となる障害に係る情報を見出す必要があり、処理が複雑化する虞がある。
【0009】
したがって、本発明の目的は、多くの伝送装置の障害情報を処理することなく主要因となる障害を見出す処理が容易な監視制御統合装置、伝送装置、監視制御方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の1つのアスペクト(側面)に係る監視制御統合装置は、監視対象とされる複数の伝送装置と監視制御装置との間に介在し、複数の伝送装置から発せられるそれぞれの障害に係るアラーム情報を集約して監視制御装置に通知する監視制御統合装置であって、アラーム情報を通知するに際し、アラーム情報のうち、波及障害となるアラーム情報をマスクするように制御し、主要因となる障害に係るアラーム情報のみを監視制御装置に通知する。
【0011】
本発明の監視制御統合装置において、アラーム情報がどの経路に波及して行くかについての経路情報を予め保持しておく経路情報保持部を備え、保持してある経路情報に基づいて波及障害となるアラーム情報をマスクするように制御してもよい。
【0012】
本発明の監視制御統合装置において、主要因となる障害に係るアラーム情報を発した伝送装置に対して下流に位置する伝送装置を経路情報から求め、下流に位置する伝送装置から発せられるアラーム情報を波及障害としてマスクするように制御してもよい。
【0013】
本発明の監視制御統合装置において、波及障害となるアラーム情報をマスクするに際し、波及障害となるアラーム情報を発する伝送装置に対してマスク制御信号を送出し、波及障害となるアラーム情報を発する伝送装置は、マスク制御信号によってアラーム情報をマスクするようにしてもよい。
【0014】
本発明の監視制御統合装置において、経路情報に係る設定変更があるか否かを定期的なポーリングによって複数の伝送装置に対し問い合わせるポーリング機能部を備え、
問い合わせの結果によって設定変更の有無を認識し、設定変更がある場合に変更された経路情報を取得するようにしてもよい。
【0015】
本発明の他のアスペクト(側面)に係る伝送装置は、監視制御装置によって障害が監視され、障害に係るアラーム情報を監視制御統合部を介して監視制御装置に通知する伝送装置であって、アラーム情報が波及障害となるアラーム情報である場合、該アラーム情報をマスクするように制御する。
【0016】
本発明の伝送装置において、監視制御統合部からのマスク制御信号が到来するまでの間、自装置におけるアラーム通知を遅延させるアラームマスク機能部を備えるようにしてもよい。
【0017】
本発明の伝送装置において、伝送に係る経路の設定変更がある場合に、監視制御部に対し設定変更を通知し、設定変更に伴って変更された経路情報を監視制御部から監視制御統合部を介して取得するようにしてもよい。
【0018】
本発明の伝送装置において、光波長多重伝送を行う装置であって、経路情報は、送受する光波長多重信号毎に対応する情報であってもよい。
【0019】
本発明の伝送監視制御システムは、上記の監視制御統合装置と、上記の伝送装置とを備えていてもよい。
【0020】
本発明のさらに他のアスペクト(側面)に係る監視制御方法は、監視対象とされる複数の伝送装置と監視制御装置との間に介在し、複数の伝送装置から発せられるそれぞれの障害に係るアラーム情報を集約して監視制御装置に通知する監視制御統合部を備える伝送監視制御システムにおける監視制御方法であって、監視制御統合部がアラーム情報を通知するに際し、アラーム情報のうち、波及障害となるアラーム情報をマスクするように制御するステップと、アラーム情報のうち、主要因となる障害に係るアラーム情報のみを監視制御装置に通知するステップと、を含む。
【0021】
本発明の別のアスペクト(側面)に係るプログラムは、監視対象とされる複数の伝送装置と監視制御装置との間に介在し、複数の伝送装置から発せられるそれぞれの障害に係るアラーム情報を集約して監視制御装置に通知する監視制御統合装置を構成するコンピュータに、アラーム情報を通知するに際し、アラーム情報のうち、波及障害となるアラーム情報をマスクするように制御し、主要因となる障害に係るアラーム情報のみを監視制御装置に通知する処理を実行させる。
【0022】
本発明のさらに別のアスペクト(側面)に係るプログラムは、監視制御装置によって障害が監視され、障害に係るアラーム情報を監視制御統合部を介して監視制御装置に通知する伝送装置を構成するコンピュータに、アラーム情報が波及障害となるアラーム情報である場合、該アラーム情報をマスクするように制御する処理を実行させる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、主要因となる障害のみを監視制御装置に通知するので、障害の監視制御に係る処理が簡単になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の実施形態に係る伝送監視制御システムは、監視対象とされる複数の光波長多重伝送装置(図1の12a、12b)の監視制御機能を統合する監視制御統合部(図1の10)を設ける。監視制御統合部は、光波長多重伝送装置における障害発生時に波及障害となるアラーム情報をマスクするように制御し、主要因となる障害のみを監視制御装置に通知するための経路情報を経路情報保持部(図1の15)に保持する。また、光波長多重伝送装置におけるローカル設定等、監視制御統合部を経ないで設定された経路状態をも把握するための同期機能を備える。同期機能は、経路情報に係る設定変更があるか否かを定期的なポーリングによって複数の光波長多重伝送装置に対し問い合わせるポーリング機能部(図1の16)を備え、問い合わせの結果によって設定変更の有無を認識し、設定変更がある場合に変更された経路情報を取得するようにしてもよい。あるいは、光波長多重伝送装置は、経路情報に係る設定変更があった場合にのみ、監視制御部に対し設定変更を通知し、監視制御統合部は、設定変更に伴って変更された経路情報を監視制御部から取得してもよい。
【0025】
このような監視制御統合部を設けることで、上位の監視制御装置に対して、1つの装置として見せることが可能となる。複数の光波長多重伝送装置で構成されている装置群を監視制御装置から1つの仮想装置として扱うことができ、さらに装置群内の障害情報を障害の要因のみに集約して通知する。監視制御装置からの設定変更の際に、監視制御統合部が各装置へ識別子により振り分けを行うので、1つの装置を扱うようにユーザが作業を実施することができる。
【0026】
上位の監視制御装置への障害通知において、監視制御統合部は、認識している各光波長多重伝送装置の経路情報から複数の障害を集約し、主要因となる障害のみを監視制御装置へ報告する。これにより各光波長多重伝送装置は、自装置内の障害のみを通知すればよいので各装置における処理が簡単になる。
【0027】
複数の伝送装置にまたがる経路に関する設定変更などを実施する際において、一つの監視制御統合部に設定変更を実施することでユーザ設定の簡易化を図ることができる。
【0028】
また、監視制御統合部のインタフェースは、従来の伝送装置と上位の監視制御装置間と同じインタフェースであるので、既存の光波長多重装置と監視制御装置の間の通信方式をそのまま使用することができる。監視制御統合部のインタフェースに既存と同じものを使用できるので、光波長多重装置が複数で監視制御統合部を使用する場合と、1つの光波長多重装置のため監視制御統合部が不要な場合も監視制御装置へのインタフェースを同じにすることができる。
【0029】
以下、実施例に即し、図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0030】
図1は、本発明の実施例に係る光波長多重伝送システムの構成を示すブロック図である。図1において、光波長多重伝送システムは、光波長多重信号の送受を行う光波長多重伝送装置12a、12b、光波長多重伝送装置12a、12bの監視制御を統合して図示されない監視制御装置に伝える監視制御統合部10、監視制御統合部10と監視制御装置との間に介在する監視制御装置インタフェース部11を備える。
【0031】
光波長多重伝送装置12aは、装置内を監視・制御する監視制御部14、光波長多重信号を処理する主信号処理部13、監視制御部14と主信号処理部13間の通信インタフェース25を備える。光波長多重信号は、主信号処理部13から伝送路27aおよび28aを介して他の光波長多重装置へ伝えられる。なお、光波長多重伝送装置12bは、光波長多重伝送装置12aと同様の構成であるのでその説明を省略する。また、光波長多重伝送装置12a、12bは、光ファイバ26で互いに接続され、装置間にまたがる光信号を伝送する。
【0032】
主信号処理部13は、生成した光波長多重信号を伝送路27a、28a(27b、28b)または光ファイバ26へ送出する機能、またはこれらの伝送路、光ファイバから受信した信号を波長単位に終端または他の経路へ送出する機能を有する。光ファイバ26で伝送される光信号は、主信号処理部13において処理される光波長多重信号の全部または一部や光波長多重信号のうちの1波長の信号であってもよい。光波長多重伝送装置12a、12bは、それぞれケーブル23a、23bによって監視制御統合部10のインタフェース部24aおよび24bへそれぞれ接続される。さらにケーブル21によって監視制御装置インタフェース部11を通り、ケーブル22を介して図示されない上位の監視制御装置へと接続される。
【0033】
なお、光波長多重伝送装置12a、12bは、コンピュータを内蔵し、プログラムによりコンピュータに各機能の一部を実行させるように構成してもよい。
【0034】
監視制御統合部10は、複数の光波長多重伝送装置を識別するために、各光波長多重伝送装置と共有する識別子情報を保持する。光波長多重伝送装置12a、12bと監視制御統合部10との間で通信を行う際には、この識別子情報を通信信号に付与することで通信対象を特定する。また、監視制御統合部10は、光波長多重伝送装置間にまたがって通信する光信号の経路情報を保持する経路情報保持部15を備える。さらに、経路情報に係る設定変更があるか否かを定期的なポーリングによって複数の光波長多重伝送装置に対して問い合わせるポーリング機能部16を備えるようにしてもよい。
【0035】
なお、監視制御統合部10は、コンピュータを内蔵し、プログラムによりコンピュータに各機能を実行させるように構成してもよい。
【0036】
以上、光波長多重伝送システムの構成を述べたが、上位の監視制御装置、監視制御装置インタフェース部11の詳細については、当事者にとってよく知られており、また本発明と直接関係しないので、その説明を省略する。
【0037】
図1において、光波長多重伝送装置12aから光波長多重伝送装置12bへ渡される主信号パスが存在するとしたとき、光波長多重伝送装置12aの該当主信号パスにおいて障害が発生し、この障害に影響される波及障害として光波長多重伝送装置12bでも障害が発生したとする。この場合、監視制御装置へ報告されるべき障害情報としては、光波長多重伝送装置12aで発生した障害のみであることが望ましい。
【0038】
図2は、本発明の実施例に係る光波長多重伝送システムの動作を表すフローチャートである。図2において、光波長多重伝送装置12a、12bで発生した障害(ステップS1)は、障害内容に自ノードの識別子を付与し、マスク前障害として監視制御統合部10へそれぞれ通知される(ステップS2)。
【0039】
監視制御統合部10は、経路情報保持部15に保持されている各光波長多重伝送装置の経路情報によって、発生した障害に関する信号の経路のどちらが上流であるか下流であるかを認識する(ステップS3)。これによって、光波長多重伝送装置12aの障害および光波長多重伝送装置12bの障害のどちらが要因障害(主要因となる障害)であるかを特定することができる。
【0040】
監視制御統合部10は、マスクすべき下流の光波長多重伝送装置12bに対してマスク制御信号によってマスク制御を指示する(ステップS4)。これを受けた光波長多重伝送装置12bは、発生した障害をマスクする(ステップS5)。なお、上位の監視制御装置への通知以外に、装置前面のLED点灯、地気出力(地気電位と伝送装置の給電電位との差により発生する電流を利用する)等があるが、同一光波長多重伝送装置内で該当障害に関するものについては、マスク処理を行う。
【0041】
すなわち、監視制御統合部10と光波長多重伝送装置間の通信等の遅延時間によってマスク制御される前に障害に関する信号が一時的に発出しないように、障害が発生してから発出までの間、各光波長多重伝送装置12bで障害発出の保護時間を設けることが好ましい。この保護時間の設定によって光波長多重伝送装置12bの波及障害がマスクされ、光波長多重伝送装置12aのマスク後の要因障害のみが監視制御統合部10へ報告される(ステップS6)。
【0042】
このようにして、監視制御統合部10は、装置の識別子と共に障害情報を監視制御装置インタフェース部11へ出力することで、監視制御装置へ光波長多重伝送装置12aの要因障害のみを通知することができる。
【0043】
次に、光波長多重伝送システムの設定変更に関して説明する。図3は、本発明の実施例に係る光波長多重伝送システムの設定変更に係る動作を表すフローチャートである。監視制御装置からユーザが設定変更を行う場合(ステップS9)は、監視制御装置において光波長多重伝送装置の識別子を付与し、監視制御装置インタフェース部11を介して、監視制御統合部10へ設定変更の実施を指示する(ステップS10)。監視制御統合部10では、識別子を元に設定変更の対象とされる光波長多重伝送装置に対して設定変更を実施する(ステップS11)。この際、監視制御統合部10は、設定変更の内容を経路情報保持部15に記憶しておく(ステップS12)。これによりユーザからは、複数の装置ではなく、監視制御統合部10の1つの部位に対して操作を実施すればよいこととなる。
【0044】
次に、光波長多重伝送システムの同期処理に関して説明する。要因障害の特定には、光波長多重装置の経路情報が必要となるので、監視制御統合部10は、各光波長多重伝送装置の設定情報を知っておく必要がある。この場合、光波長多重伝送装置と監視制御統合部10での設定情報の同期処理を行うことが好ましい。すなわち、監視制御装置から監視制御統合部10を介して設定変更を行う場合は、監視制御統合部10が各光波長多重伝送装置の設定状態を把握しているので同期処理の必要はない。しかし、光波長多重伝送装置の監視制御部14に直接操作端末を接続し、または光波長多重伝送装置が伝送路を介した通信によって遠隔から設定変更される場合には、同期処理を行うことが好ましい。
【0045】
図4は、本発明の実施例に係る光波長多重伝送システムの同期処理に係る動作を表すフローチャートである。光波長多重伝送装置12a、12bは、経路情報に係る設定変更がなされたことを識別子を付与して監視制御統合部10へ通知する同期処理を行う(ステップS15)。通知を受け取った監視制御統合部10は、対象の光波長多重伝送装置に対して設定状態の読み出しを行って同期を取り、その内容を記憶する(ステップS16)。
【0046】
以上のような同期処理に関し、例えば以下の2通りの方法のいずれかによって実現するようにしてもよい。
【0047】
(1)監視制御統合部10のポーリング機能部16が、経路情報に係る設定変更があるか否かを定期的なポーリングによって複数の光波長多重伝送装置に対し問い合わせる。監視制御統合部10は、問い合わせの結果によって設定変更の有無を認識し、設定変更がある場合に変更された経路情報を取得する。
【0048】
(2)光波長多重伝送装置12a、12bは、経路情報に係る設定変更があった場合にのみ、監視制御部14に対し設定変更を通知する。監視制御統合部10は、監視制御部14にアクセスし、設定変更に伴って変更された経路情報を取得する。
【0049】
次に、光波長多重伝送装置の詳細について説明する。図5は、光波長多重伝送装置12aの構成を示す図である。図5において、図1と同一の符号は、同一物を表し、その説明を省略する。主信号処理部13は、主信号切替選択部31、波長多重分離部32、主信号送受信部33、他装置出力部34、他装置入力部35を備える。また、光波長多重伝送装置12aは、装置前面のLED点灯、地気出力等のアラーム通知部37を備え、監視制御部14には、アラームマスク機能部36を備える。さらに、光波長多重伝送装置12aは、外部に操作端末38、クライアント装置40を接続する。なお、光波長多重伝送装置12bも同様の構成を有する。
【0050】
アラームマスク機能部36は、監視制御統合部10からのマスク制御信号によって、アラーム通知部37におけるアラーム通知をマスクする。
【0051】
操作端末38は、光波長多重伝送装置12aにおける各種設定を、監視制御統合部10を介さずに直接行う。特に、経路情報に係る設定変更を光波長多重伝送装置側において可能とする。
【0052】
主信号切替選択部31は、監視制御部14の制御の元に光波長多重信号の経路切替を行う。設定される経路としては、光波長多重信号の波長ごとに設定され、(1)光波長多重伝送装置の外部(WEST、EAST)、(2)他装置出力部34、他装置入力部35を介する他の光波長多重伝送装置(ここでは12b)、(3)波長多重分離部32および主信号送受信部33を介するクライアント装置40、の3通りの経路が存在する。
【0053】
光波長多重信号の波長ごとの経路は、主信号切替選択部31の設定によって決定される。光波長多重信号のうちの或る波長(例:波長番号1)が伝送路27から光波長多重伝送装置12aへ入力される信号の経路について、伝送路27から伝送路28へ透過している場合の主信号切替選択部31の設定をTHR(THROUGH)、伝送路27から波長多重分離部32へ分離されて主信号送受信部33を介してクライアント装置40に受信される設定をDROP−W(WEST)、伝送路27から他装置出力部34へ分離され、光波長多重伝送装置12bのNORTHへ多重されている設定をCONNECT−N(NORTH)とする。また、伝送路27へ出力される信号の経路について、伝送路28から伝送路27へ透過する場合の設定をTHR(THROUGH)、クライアント装置40から主信号送受信部33、波長多重分離部32を介して加えられ、伝送路27へ出力される設定をADD−W(WEST)、光波長多重伝送装置12bのNOTRHから他装置入力部35を経由し、伝送路27へ出力される設定をCONNECT−N(NORTH)とする。これらの設定情報は、監視制御部14を介して、監視制御統合部10へ伝えられる。
【0054】
上記では伝送路27から伝送路28の方向を説明したが、伝送路28から伝送路27の方向の信号についても同様である。
【0055】
図6は、以上のようにして設定される主信号切替選択部31における経路情報の例を示す図である。例えば、光波長多重信号のch3に関し、光波長多重伝送装置12aにおいて、WESTin、WESTout共にCONNECT−Nが設定され、光波長多重伝送装置12bにおいて、NORTHin、NORTHout共にCONNECT−Wが設定される。この場合、光波長多重伝送装置12aのWESTinから光波長多重伝送装置12bのNORTHoutに装置間の経路が存在し、光波長多重伝送装置12bのNORTHinから光波長多重伝送装置12aのWESToutに装置間の経路が存在することが示される。監視制御統合部10は、これらの設定情報に基づいて各光波長多重伝送装置の経路情報を取得し、光ファイバ26を使用している波長番号を特定する。
【0056】
図7は、監視制御統合部10における装置間経路の判断方法を表すフローチャートである。図7において、監視制御統合部10は、主信号切替選択部31の経路情報を光波長多重伝送装置毎および波長(ch)毎に読み取り(ステップS19)、他装置出力部34と接続の設定(CONNECT)になっているものを検索する(ステップS20)。
【0057】
CONNECT設定が存在した場合は、CONNECTで指定された他装置の設定情報と比較し、お互いの光波長多重伝送装置の設定が一致しているか否かをチェックする(ステップS21)。CONNECT設定が一致していた場合は、その波長番号について装置間経路が「有り」と判断する(ステップS22)。設定が不一致の場合は、正しい経路情報が判断できないので装置間経路は「無し」と判断する(ステップS23)。
【0058】
また、ステップS20において、CONNECT設定がなされていないものについては、装置間経路は「無し」と判断する(ステップS24)。
【0059】
これら判断により監視制御統合部10は、経路情報、すなわち波長番号毎に装置間光信号の有無および方向(上流、下流の区別)を決定する。複数の光波長多重伝送装置で障害が発生した場合には、このような経路情報を元に上流に属する光波長多重伝送装置の障害のみ通知し、下流で発生する波及障害をマスクする処理を行う。
【0060】
なお、上述では光波長多重伝送装置を2つであるとして説明したが、光波長多重伝送装置を3つ以上備えていてもよい。この場合、監視制御統合部10のインタフェース部が光波長多重伝送装置の数分必要となる。また、光波長多重伝送装置の主信号処理部13に接続される伝送路の数は、1つでも2つ以上であってもよい。
【0061】
なお、前述の特許文献等の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素の多様な組み合わせないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施例に係る光波長多重伝送システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例に係る光波長多重伝送システムの動作を表すフローチャートである。
【図3】本発明の実施例に係る光波長多重伝送システムの設定変更に係る動作を表すフローチャートである。
【図4】本発明の実施例に係る光波長多重伝送システムの同期処理に係る動作を表すフローチャートである。
【図5】光波長多重伝送装置の構成を示す図である。
【図6】主信号切替選択部における経路情報の例を示す図である。
【図7】監視制御統合部における装置間経路の判断方法を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0063】
10 監視制御統合部
11 監視制御装置インタフェース部
12a、12b 光波長多重伝送装置
13 主信号処理部
14 監視制御部
15 経路情報保持部
16 ポーリング機能部
21、22、23a、23b ケーブル
24a、24b インタフェース部
25 通信インタフェース
26 光ファイバ
27、27a、27b、28、28a、28b 伝送路
31 主信号切替選択部
32 波長多重分離部
33 主信号送受信部
34 他装置出力部
35 他装置入力部
36 アラームマスク機能部
37 アラーム通知部
38 操作端末
40 クライアント装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象とされる複数の伝送装置と監視制御装置との間に介在し、前記複数の伝送装置から発せられるそれぞれの障害に係るアラーム情報を集約して前記監視制御装置に通知する監視制御統合装置であって、
前記アラーム情報を通知するに際し、前記アラーム情報のうち、波及障害となるアラーム情報をマスクするように制御し、主要因となる障害に係るアラーム情報のみを前記監視制御装置に通知することを特徴とする監視制御統合装置。
【請求項2】
前記アラーム情報がどの経路に波及して行くかについての経路情報を予め保持しておく経路情報保持部を備え、
前記保持してある経路情報に基づいて前記波及障害となるアラーム情報をマスクするように制御することを特徴とする請求項1記載の監視制御統合装置。
【請求項3】
前記主要因となる障害に係るアラーム情報を発した伝送装置に対して下流に位置する伝送装置を前記経路情報から求め、下流に位置する伝送装置から発せられるアラーム情報を前記波及障害としてマスクするように制御することを特徴とする請求項2記載の監視制御統合装置。
【請求項4】
前記波及障害となるアラーム情報をマスクするに際し、前記波及障害となるアラーム情報を発する伝送装置に対してマスク制御信号を送出し、前記波及障害となるアラーム情報を発する伝送装置は、マスク制御信号によってアラーム情報をマスクすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載の監視制御統合装置。
【請求項5】
前記経路情報に係る設定変更があるか否かを定期的なポーリングによって前記複数の伝送装置に対し問い合わせるポーリング機能部を備え、
前記問い合わせの結果によって設定変更の有無を認識し、設定変更がある場合に変更された経路情報を取得することを特徴とする請求項2または3記載の監視制御統合装置。
【請求項6】
監視制御装置によって障害が監視され、障害に係るアラーム情報を監視制御統合部を介して前記監視制御装置に通知する伝送装置であって、
前記アラーム情報が波及障害となるアラーム情報である場合、該アラーム情報をマスクするように制御することを特徴とする伝送装置。
【請求項7】
前記監視制御統合部からのマスク制御信号が到来するまでの間、自装置におけるアラーム通知を遅延させるアラームマスク機能部を備えることを特徴とする請求項6記載の伝送装置。
【請求項8】
伝送に係る経路の設定変更がある場合に、前記監視制御部に対し設定変更を通知し、前記設定変更に伴って変更された経路情報を前記監視制御部から前記監視制御統合部を介して取得することを特徴とする請求項6記載の伝送装置。
【請求項9】
光波長多重伝送を行う装置であって、前記経路情報は、送受する光波長多重信号毎に対応する情報であることを特徴とする請求項8記載の伝送装置。
【請求項10】
請求項1乃至5のいずれか一に記載の監視制御統合装置と、請求項6乃至9のいずれか一に記載の伝送装置とを備える伝送監視制御システム。
【請求項11】
監視対象とされる複数の伝送装置と監視制御装置との間に介在し、前記複数の伝送装置から発せられるそれぞれの障害に係るアラーム情報を集約して前記監視制御装置に通知する監視制御統合部を備える伝送監視制御システムにおける監視制御方法であって、
前記監視制御統合部がアラーム情報を通知するに際し、
アラーム情報のうち、波及障害となるアラーム情報をマスクするように制御するステップと、
アラーム情報のうち、主要因となる障害に係るアラーム情報のみを監視制御装置に通知するステップと、
を含むことを特徴とする監視制御方法。
【請求項12】
前記マスクするように制御するステップにおいて、前記監視制御統合部は、アラーム情報がどの経路に波及して行くかについての経路情報を予め保持しておき、保持してある経路情報に基づいて波及障害となるアラーム情報をマスクするように制御することを特徴とする請求項11記載の監視制御方法。
【請求項13】
前記マスクするように制御するステップにおいて、前記監視制御統合部は、主要因となる障害に係るアラーム情報を発した伝送装置に対して下流に位置する伝送装置を経路情報から求めるステップをさらに含み、前記下流に位置する伝送装置から発せられるアラーム情報を前記波及障害としてマスクするように制御することを特徴とする請求項12記載の監視制御方法。
【請求項14】
前記マスクするように制御するステップにおいて、
前記監視制御統合部が、前記波及障害となるアラーム情報をマスクするに際し、前記波及障害となるアラーム情報を発する伝送装置に対してマスク制御信号を送出するステップと、
前記波及障害となるアラーム情報を発する伝送装置が、マスク制御信号によってアラーム情報をマスクするステップと、
を含むことを特徴とする請求項11乃至13のいずれか一に記載の監視制御方法。
【請求項15】
前記伝送装置が、前記監視制御統合部からのマスク制御信号が到来するまでの間、自装置におけるアラーム通知を遅延させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項14記載の監視制御方法。
【請求項16】
前記経路情報に係る設定変更があるか否かを定期的なポーリングによって複数の伝送装置に対し問い合わせるステップと、
前記問い合わせの結果によって設定変更の有無を認識し、設定変更がある場合に変更された前記経路情報を取得するステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項12または13記載の監視制御方法。
【請求項17】
前記伝送装置が、前記経路情報に係る設定変更があった場合にのみ、前記監視制御部に対し設定変更を通知するステップと、
前記監視制御統合部が、前記設定変更に伴って変更された経路情報を前記監視制御部から取得するステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項12または13記載の監視制御方法。
【請求項18】
監視対象とされる複数の伝送装置と監視制御装置との間に介在し、前記複数の伝送装置から発せられるそれぞれの障害に係るアラーム情報を集約して前記監視制御装置に通知する監視制御統合装置を構成するコンピュータに、
前記アラーム情報を通知するに際し、前記アラーム情報のうち、波及障害となるアラーム情報をマスクするように制御し、主要因となる障害に係るアラーム情報のみを前記監視制御装置に通知する処理を実行させるプログラム。
【請求項19】
前記監視制御統合装置は、前記アラーム情報がどの経路に波及して行くかについての経路情報を予め保持しておく経路情報保持部を備え、
前記保持してある経路情報に基づいて前記波及障害となるアラーム情報をマスクするように制御する処理を実行させる請求項18記載のプログラム。
【請求項20】
前記主要因となる障害に係るアラーム情報を発した伝送装置に対して下流に位置する伝送装置を前記経路情報から求め、下流に位置する伝送装置から発せられるアラーム情報を前記波及障害としてマスクするように制御する処理を実行させる請求項19記載のプログラム。
【請求項21】
前記波及障害となるアラーム情報をマスクするに際し、前記波及障害となるアラーム情報を発する伝送装置に対してマスク制御信号を送出し、前記波及障害となるアラーム情報を発する伝送装置は、前記マスク制御信号によってアラーム情報をマスクする処理を実行させる請求項18乃至20のいずれか一に記載のプログラム。
【請求項22】
前記経路情報に係る設定変更があるか否かを定期的なポーリングによって前記複数の伝送装置に対し問い合わせる処理と、
前記問い合わせの結果によって設定変更の有無を認識し、設定変更がある場合に変更された経路情報を取得する処理と、
を実行させる請求項19または20記載のプログラム。
【請求項23】
監視制御装置によって障害が監視され、障害に係るアラーム情報を監視制御統合部を介して前記監視制御装置に通知する伝送装置を構成するコンピュータに、
前記アラーム情報が波及障害となるアラーム情報である場合、該アラーム情報をマスクするように制御する処理を実行させるプログラム。
【請求項24】
前記監視制御統合部からのマスク制御信号が到来するまでの間、自装置におけるアラーム通知を遅延させるアラームマスク処理を実行させる請求項23記載のプログラム。
【請求項25】
伝送に係る経路の設定変更がある場合に、前記監視制御部に対し設定変更を通知し、前記設定変更に伴って変更された経路情報を前記監視制御部から前記監視制御統合部を介して取得する処理を実行させる請求項23記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−296320(P2009−296320A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−148013(P2008−148013)
【出願日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】