監視支援システム及びプログラム
【課題】監視対象領域内に存在する人物が監視対象領域内に入ることが許可された者であるか否かを容易かつ高精度に識別することができる監視システム及びプログラムを提供する。
【解決手段】監視カメラ12により作業エリアを撮影し、送信装置14により作業エリアAに対して要求信号を送信し、許可者によって所持されたIDカード16により、送信装置14から送信された要求信号を受信したときに赤外光を予め定められた発光状態で発し、ホストコンピュータ18のディスプレイにより、監視カメラ12で撮影されて得られた動画像を表示する。
【解決手段】監視カメラ12により作業エリアを撮影し、送信装置14により作業エリアAに対して要求信号を送信し、許可者によって所持されたIDカード16により、送信装置14から送信された要求信号を受信したときに赤外光を予め定められた発光状態で発し、ホストコンピュータ18のディスプレイにより、監視カメラ12で撮影されて得られた動画像を表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視支援システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特定の領域への不審者の侵入を防止するための方法として、特定の領域内を監視員に監視させる方法が知られている。監視員による監視方法としては、監視対象領域を監視カメラで撮影し、撮影して得られた画像をモニターを通して監視員が見ることによって監視対象領域に不審者が侵入していないか、異常行動をしている者がいないか等を監視員に判断させる方法が知られている。しかし、この方法で、広範囲の監視対象領域を監視する場合、仮に知っている人物が監視対象領域に入っていたとしても、その人物を特定することは困難である。また、監視員の集中力の持続時間にも限界がある。更に、監視員が複数の監視用のモニターを通して監視対象領域内の複数箇所を監視しなければならない場合には更に負担が増大する。監視員の負担を考慮して、監視員を増員して交代制で監視させる方法も考えられるが、その場合は経費が嵩んでしまう。
【0003】
このような背景からRFID(Radio Frequency Identification)タグを用いて監視対象領域内に入っている人物を特定する技術が開発された(例えば、特許文献1を参照。)。しかし、この技術は、監視対象領域毎に電波の反射吸収の特性が異なるため、非常に細かく位置特定機能を調整しなければ正確な位置(最高でも±1m程度)が把握できない、という問題点を有している。また、屋外においては、自動車などの障害物が移動することで電波が妨害され位置特定精度が悪化する場合がある、という問題点も有している。更に、RFIDタグを所有していない人物は監視できない、という問題点も有している。
【0004】
そこで、監視対象領域の出入り口で人物をカメラで撮影し、撮影して得られた画像から人物の画像を抽出し、抽出した人物の画像にその人物を特定する特定情報を関連付けておき、監視対象領域に入った人物を監視カメラで追跡する人物追跡方法が検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−179491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の人物追跡方法では、監視対象領域内で人物を一度特定できたとしても、その後人物を見失う場合や、別の人物と重なることにより特定できなくなる、という問題点があった。
【0007】
本発明は上記問題点を解決するために成されたものであり、監視対象領域内に存在する人物が監視対象領域内に入ることが許可された者であるか否かを容易かつ高精度に識別することができる監視支援システム及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の監視支援システムは、監視対象領域を撮影する撮影手段と、前記監視対象領域に対して発光要求信号を送信する送信装置と、人物によって所持可能な発光装置であって、前記送信装置から送信された発光要求信号を受信したときに所持者毎に予め定められた発光状態で前記撮影手段によって撮影可能な光を発する発光装置と、前記発光装置から光が発せられる期間を含む予め定められた期間に前記撮影手段によって撮影されて得られた画像を表示する表示装置と、を備えている。
【0009】
請求項1に記載の監視支援システムによれば、撮影手段により、監視対象領域が撮影され、送信装置により、前記監視対象領域に対して発光要求信号が送信され、人物によって所持可能な発光装置により、前記送信装置から送信された発光要求信号を受信したときに所持者毎に予め定められた発光状態で前記撮影手段によって撮影可能な光が発せられる。
【0010】
そして、本発明では、表示装置により、前記発光装置から光が発せられる期間を含む予め定められた期間に前記撮影手段によって撮影されて得られた画像が表示される。
【0011】
すなわち、本発明では、発光装置から所持者毎に予め定められた発光状態で発せられた光及び監視対象領域内の人物を撮影し、撮影して得た画像を表示することにより、その表示されている画像から、何れの人物が監視対象領域に入ることが許可された人物であり、何れの人物が監視対象領域に入ることが許可されていない人物であるかを容易に見分けることができる。
【0012】
このように、請求項1に記載の監視支援システムによれば、発光装置から光が発せられる期間を含む予め定められた期間に撮影手段によって撮影されて得られた画像が表示されるので、監視対象領域内に存在する人物が監視対象領域内に入ることが許可された者であるか否かを容易かつ高精度に識別することができる。
【0013】
また、本発明は、請求項2に記載の発明のように、前記監視対象領域に入ることが許可された許可者によって所持可能な前記発光装置の前記発光状態に対応付けられた該許可者を示す許可者情報を記憶した記憶手段、前記撮影手段によって撮影されて得られた画像から前記発光状態を検出する検出手段、前記記憶手段に該検出手段によって検出された発光状態に対応する前記許可者情報が記憶されているか否かを判定する判定手段、及び該判定手段によって前記許可者情報が記憶されていないと判定された場合に警報を発する警報手段を備えた警報装置を更に含んで構成してもよい。これにより、監視対象領域内に存在する人物が監視対象領域内に入ることが許可された者であるか否かをより一層容易かつ高精度に識別することができる。
【0014】
また、本発明は、請求項3に記載の発明のように、前記判定手段が、更に、前記撮影手段によって撮影されて得られた画像に人物画像が含まれているか否かを判定し、前記警報手段が、前記判定手段によって前記許可者情報が記憶されていないと判定され、かつ前記人物画像が含まれていると判定された場合に警報を発するものとしてもよい。これにより、撮影して得た画像から許可者を容易に特定することができる。
【0015】
また、本発明は、請求項4に記載の発明のように、前記判定手段が、更に、前記撮影手段によって撮影されて得られた画像により示される発光状態の発光位置が所定期間内に変化しているか否かを判定し、前記警報手段が、更に、前記判定手段によって前記発光位置が前記所定期間内に変化していないと判定された場合に警報を発するものとしてもよい。これにより、監視対象領域内の人物が所定期間停止しているか否かを容易に識別することができる。
【0016】
また、本発明は、請求項5に記載の発明のように、前記撮影手段が、予め定められた撮影時間間隔で前記監視対象領域を撮影するものとしてもよい。これにより、利便性を向上させることができると共に、監視員にかかる負担を軽減することができる。
【0017】
一方、上記目的を達成するために、請求項6に記載のプログラムは、コンピュータを、監視対象領域を撮影する撮影手段、前記監視対象領域に対して発光要求信号を送信する送信装置、人物によって所持可能な発光装置であって、前記送信装置から送信された発光要求信号を受信したときに所持者毎に予め定められた発光状態で前記撮影手段によって撮影可能な光を発する発光装置、及び前記発光装置から光が発せられる期間を含む予め定められた期間に前記撮影手段によって撮影されて得られた画像を表示する表示装置を含んで構成された監視システムの前記撮影手段によって撮影されて得られた画像から前記発光パターンを検出する検出手段、前記監視対象領域に入ることが許可された許可者によって所持可能な前記発光装置の前記発光状態に対応付けられた該許可者を示す許可者情報を記憶した記憶手段に前記検出手段によって検出された発光状態に対応する前記許可者情報が記憶されているか否かを判定する判定手段、及び前記判定手段によって前記許可者情報が記憶されていないと判定された場合に警報を発させる警報手段として機能させるためのものである。
【0018】
従って、請求項6に記載のプログラムによれば、コンピュータに対して請求項2に記載の発明と同様に作用させることができるので、請求項2に記載の発明と同様に、監視対象領域内に存在する人物が監視対象領域内に入ることが許可された者であるか否かをより一層容易かつ高精度に識別することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、監視対象領域内に存在する人物が監視対象領域内に入ることが許可された者であるか否かを容易かつ高精度に識別することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施形態に係る監視システムの全体構成の一例を示す構成図である。
【図2】実施形態に係るIDカードの外部構成の一例を示す斜視図である。
【図3】実施形態に係るIDカードの電気系の要部構成の一例を示すブロック図である。
【図4】実施形態に係るホストコンピュータの電気系の要部構成の一例を示すブロック図である。
【図5】実施形態に係るホストコンピュータに備えられた二次記憶部の主な記憶内容を示す模式図である。
【図6】実施形態に係るID情報データベースの構成を示す模式図である。
【図7】実施形態に係る許可状態管理データベースの構成を示す模式図である。
【図8】実施形態に係る監視処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】実施形態に係るホストコンピュータに備えられたディスプレイの表示画面の一例を示す概略図である。
【図10】実施形態に係るホストコンピュータに備えられたディスプレイの表示画面の一例を示す概略図である。
【図11】実施形態に係るホストコンピュータに備えられたディスプレイの表示画面の一例を示す概略図である。
【図12】実施形態に係る人物監視処理ルーチンプログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】実施形態に係るホストコンピュータに備えられたディスプレイの表示画面の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の一例について詳細に説明する。なお、ここでは、本発明に係る監視支援システムを、屋外に設けられた監視対象領域としての作業エリアA〜Cの各々の様子を監視する監視システムに適用した場合について説明する。
【0022】
先ず、図1〜図7を参照して、本発明が適用された監視システム10の構成を説明する。なお、ここでは、錯綜を回避するために、監視システム10の構成を、作業エリアAを例に挙げて説明する。また、以下では、作業エリアA〜Cを区別して説明する必要がない場合には末尾のアルファベットを付さずに単に「作業エリア」と称する。
【0023】
図1には、本実施形態に係る監視システム10の全体構成の一例が示されている。同図に示されるように、監視システム10は、監視カメラ12、送信装置14、ID(Identification)カード16、及びホストコンピュータ18を含んで構成されている。監視カメラ12は、作業エリアAを動画撮影するビデオカメラである。本実施形態に係る監視システム10では、作業エリアAに対して複数(ここでは、2台)の監視カメラ12が設置されており、監視カメラ12の各々は、作業エリアAに存在する人物を異なる方向から撮影するように配置されている。また、本実施形態に係る監視システム10では、監視カメラ12として、毎秒30フレーム分の撮影を行うデジタルカメラを適用している。
【0024】
IDカード16は、作業エリアA〜Cの何れかに入ることが許可された人物(以下、「許可者」という。)によって所持されるものである。IDカード16には、許可者毎に固有のID情報が格納されている。また、IDカード16は、格納されているID情報に応じた赤外光を外部に発する機能を有しており、発せられた赤外光が監視カメラ12によって撮影可能となるように許可者に装着されている。なお、本実施形態に係る監視システム10では、許可者に対して、ヘルメットの着用とヘルメットの外面にIDカード16を装着することとを義務付けているが、これに限らず、許可者の衣服又は許可者に所持を義務付けている他の物に装着することを義務付けてもよい。
【0025】
図2には、IDカード16の外観斜視図が示されている。同図に示されるように、IDカード16は、平面視略矩形状の平板状に形成されており、許可者の顔写真及び氏名が表面に記載されている。また、IDカード16の正面視右上隅部は、透光性の有する材料(本実施形態では、透明なプラスチック部材)で形成されており、角が取られた形状とされている。また、IDカード16の正面視右上隅部には発光素子16Aが埋設されている。なお、本実施形態に係るIDカード16では、発光素子16Aとして、赤外光を発する発光ダイオード(所謂赤外線LED)を適用しているが、これに限らず、可視光を発する発光ダイオードや発光ダイオード以外の発光素子などの監視カメラ12で撮影可能な光を発するものを適用してもよい。また、図2に示されるIDカード16は作業エリアAで作業を行う許可者が所持するものであるが、来訪者用のものは顔写真及び氏名が表面に記載されていない点を除いてIDカード16のものと同様である。
【0026】
送信装置14は、作業エリアAに対して指向性を有する電波を発信するものであり、この電波によって作業エリアAに存在する人物に対してその人物を特定するID情報の提供を要求する要求信号を送信する。
【0027】
図3には、IDカード16の電気系の要部構成の一例が示されている。同図に示すように、IDカード16は、発行素子16Aと、IDカード16全体の動作を司るCPU(中央処理装置)16Bと、CPU16Bによる各種処理プログラムの実行時のワークエリア等として用いられるRAM(Random Access Memory)16Cと、ID情報、各種処理プログラム及び各種パラメータが予め記憶されたROM(Read Only Memory)16Dと、外部装置との間の各種信号の無線での授受を司る通信I/F(インタフェース)16Eと、通信I/F16Eに接続されたアンテナ16Fと、IDカード16の各部に駆動用の電力を供給する電源16Gと、が備えられている。なお、同図では、錯綜を回避するために、電源16Gから電源供給先の各部への接続配線の図示を省略している。
【0028】
CPU16Bには発光素子16Aが接続されており、CPU16Bは、発光素子16Aの発光及び非発光を選択的に切り替えることができる。また、CPU16BにはRAM16C及びROM16Dが接続されており、CPU16Bは、RAM16C及びROM16Dに対するアクセスを行うことができる。更に、CPU16Bには通信I/F16Eが接続されており、CPU16Bは、通信I/F16Eを介した外部装置等との間の各種信号の授受を行うことができる。なお、本実施形態に係るIDカード16では、CPU16B、RAM16C、ROM16D、通信I/F16E、アンテナ16F、及び電源16GはICタグとして構成されており、これによって、IDカード16の小型化及び低コスト化を実現している。
【0029】
また、本実施形態に係るIDカード16において、CPU16Bは、発光素子16AをROM16Dに記憶されているID情報を特定することができるように予め定められた発光状態で発光させる。ここでは、発光状態として、発光周期(点滅パターン)を適用しており、発光周期は、監視カメラ12のフレームレートに応じて予め決定されている。なお、他の発光状態の形態としては、ID情報に応じた固有の模様(例えば、「×」や「○」などを組み合わせた模様)を表す発光状態や発光輝度などを例示することができる。
【0030】
一方、ホストコンピュータ18は、監視システム10の中心的な役割を担うものである。なお、本実施形態に係る監視システム10では、ホストコンピュータ18が監視員の駐在先である監視員室に設置されているが、これに限らず、他の部屋や警備会社に設置されていてもよい。
【0031】
図4には、ホストコンピュータ18の電気系の要部構成の一例が示されている。同図に示されるように、ホストコンピュータ18は、ホストコンピュータ18全体の動作を司るCPU18Aと、CPU18Aによる各種処理プログラムの実行時のワークエリア等として用いられるRAM18Bと、各種処理プログラムや各種パラメータ等が予め記憶されたROM18Cと、各種情報を記憶するために用いられる二次記憶部(ここでは、ハードディスク装置)18Dと、各種情報を入力するために用いられるキーボード18Eと、各種情報を表示するために用いられるディスプレイ18Fと、監視カメラ12及び送信装置14の各々と電気的に接続され、これら外部装置との間の各種信号の授受を司る入出力I/F(インタフェース)18Gと、を含んで構成されており、これら各部はシステムバスBUSにより電気的に相互に接続されている。
【0032】
従って、CPU18Aは、RAM18B、ROM18C、及び二次記憶部18Dに対するアクセス、キーボード18Eを介した各種入力情報の取得、ディスプレイ18Fに対する各種情報の表示、入出力I/F18Gを介した監視カメラ12との間の各種信号の授受、及び入出力I/F18Gを介した送信装置14との間の各種信号の授受を各々行うことができる。
【0033】
図5には、二次記憶部18Dの主な記憶内容が模式的に示されている。同図に示されるように、二次記憶部18Dには、各種データベースを記憶するためのデータベース領域DBと、各種処理を行うためのアプリケーション・プログラム等を記憶するためのプログラム領域PGと、が設けられている。
【0034】
また、データベース領域DBには、ID情報データベースDB1及び許可状態管理データベースDB2が含まれる。以下、これらのデータベースの構成について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0035】
図6には、ID情報データベースDB1の構成の一例が示されている。同図に示されるように、ID情報データベースDB1は、ID情報と、ID情報に対応する許可者名情報とが関連付けられて記憶されている。同図には、“1001”とのID情報に対して“竹中一郎”との許可者名を示す許可者名情報が、“1002”とのID情報に対して“竹中二郎”との許可者名を示す許可者名情報が、“1003”とのID情報に対して“竹中三郎”との許可者名を示す許可者名情報が、“1004”とのID情報に対して“竹中四郎”との許可者名を示す許可者名情報が、各々関連付けられて記憶されている形態例が図示されている。このように、本実施形態に係る監視システム10では、許可者間で重複しないように許可者毎に固有のID情報が付与されている。
【0036】
図7には、許可状態管理データベースDB2の構成の一例が示されている。同図に示されるように、許可状態管理データベースDB2は、監視対象領域を示す監視対象領域情報、時間帯を示す時間帯情報、及び許可者ID情報の各情報が記憶されるように構成されている。監視対象領域情報は、作業エリアA〜Cの各々を示す情報であり、時間帯情報は、対応する監視対象領域情報により示される作業エリアにおいて行われる作業の時間帯を示す情報であり、許可者ID情報は、対応する作業エリアに対応する時間帯に入ることが許可された許可者のID情報を示す情報である。
【0037】
同図には、作業エリアAに入ることが許可された許可者を、0時から5時まではID情報として“1001”から“1020”の何れかが格納されたIDカード16の所持者とし、5時から20時まではID情報として“1001”から“4200”の何れかが格納されたIDカード16の所持者とし、20時から0時まではID情報として“1001”から“2050”の何れかが格納されたIDカード16の所持者とした形態例が示されている。また、同図には、作業エリアBに入ることが許可された許可者を、0時から5時まではID情報として“5001”から“6200”の何れかが格納されたIDカード16の所持者とし、5時から20時まではID情報として“5001”から“8200”の何れかが格納されたIDカード16の所持者とし、20時から0時まではID情報として“5001”から“7000”の何れかが格納されたIDカード16の所持者とした形態例が示されている。
【0038】
次に、本実施形態に係る監視システム10の作用を説明する。
【0039】
先ず、監視員は、監視カメラ12、送信装置14、及びホストコンピュータ18の各々の電源を投入する。これに応じて、監視カメラ12が作業エリアAを連続的に撮影し、撮影して得られた画像によって構成される動画像を示す動画像情報をホストコンピュータ18に送信する。ホストコンピュータ18は、監視カメラ12から送信された動画像情報を受信し、受信した動画像情報により示される動画像をディスプレイ18Fに表示する。
【0040】
また、ホストコンピュータ18は、送信装置14に対して、予め定められた時間間隔で(例えば、30分毎に)要求信号の送信を指示し、これに応じて送信装置14は、作業エリアAに対して要求信号を送信する。作業エリアAに存在する許可者が所持しているIDカード16のCPU16Bは、送信装置14から送信された要求信号を受信したときに発行素子16AをROM16Dに記憶されているID情報に応じた発光状態で発光させる。発光素子16Aは、赤外光を発するため、この赤外光が監視カメラ12によって撮影され、ホストコンピュータ18のディスプレイ18Fに表示される。従って、監視員は、ディスプレイ18Fに表示される動画像を観察することにより作業エリアAの様子を把握することができ、IDカード16から赤外光が発せられていない人物がディスプレイ18Fに表示されている場合には不審者の可能性があることを容易に判断することができる。
【0041】
ところで、本実施形態に係る監視システム10では、ホストコンピュータ18によって、監視員の監視の負担を軽減するための監視処理が実行される。そこで、以下では、図8を参照して、本実施形態に係る監視処理について説明する。なお、図8は、予め定められた条件(本実施形態では、監視カメラ12、送信装置14、及びホストコンピュータ18の各々の電源が投入され、これらの全てが外部からの指示待ち状態とされる、との条件)を満足してから予め定められた時間間隔で(本実施形態では、1秒毎に)ホストコンピュータ18のCPU18Aにより実行される監視処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、この監視処理プログラムは二次記憶部18Dのプログラム領域PGに予め記憶されている。また、ここでは、錯綜を回避するために、一例として図6及び図7に示すデータベースが既に構築済みである場合について説明する。また、ここでは、錯綜を回避するために、作業エリアAを監視する場合について説明する。
【0042】
同図のステップ100では、各監視カメラ12から動画像情報を取得する。なお、本実施形態に係る監視システムでは、本ステップ100の処理として、各監視カメラ12から30フレーム分の画像情報を動画像情報として取得しているが、少なくとも発光素子16Aから発せられる赤外光の発光状態を検出可能なフレーム数の画像情報を取得すればよい。
【0043】
次のステップ102では、上記ステップ100の処理で取得した各画像情報により示される画像に人物を示す画像(以下、「人物画像」という。)が含まれているか否かを判定すると共に、人物画像が含まれていると判定された場合に人物画像を抽出する。
【0044】
次のステップ104では、上記ステップ102の処理で人物画像を抽出したか否かを判定し、肯定判定となった場合にはステップ106に移行し、上記ステップ100の処理で取得した各画像情報により示される動画像に発光素子16Aから発せられた赤外光を示す画像(以下、「赤外光画像」という。)が含まれているか否かを判定すると共に、赤外光画像が含まれていると判定された場合に赤外光画像を抽出する。
【0045】
次のステップ108では、上記ステップ106の処理で赤外光画像を抽出したか否かを判定し、肯定判定となった場合にはステップ110に移行する一方、否定判定となった場合にはステップ114に移行する。
【0046】
ステップ110では、上記ステップ106の処理で抽出した赤外光画像から発光素子16Aから発せされた赤外光の発光状態を検出し、発光状態を検出した場合には、後述するステップ200の処理に備えて、作業エリアAにおける発光状態の発光位置を示す位置情報を二次記憶部18Dに記憶すると共に、所定回数前に実行された本監視処理プログラムの本ステップ110の処理で二次記憶部18Dに記憶された位置情報を二次記憶部18Dから消去する。なお、本実施形態に係る監視処理ルーチンプログラムでは、本ステップ110で適用する「所定回数」として20回を適用しているが、これに限らず、30回又は40回などの回数を適用してもよく、後述する人物監視処理ルーチンプログラムにおいて人物が同じ位置で所定期間停止していることを検出可能にする回数であれば如何なる回数であってもよい。また、本実施形態に係る監視処理プログラムでは、本ステップ110で適用する「位置情報」として、作業エリアAを事前に升目状のメッシュで区分けした領域の各々に予め付与されたアドレスを示す情報を適用している。この場合、作業エリアAを100区画分メッシュで区分けし、各々の区画に対してアドレスとして1〜100の何れかの数字を付与する形態が例示できる。その他、「位置情報」として作業エリアAに対して予め当て嵌めておいた2次元座標を適用してもよい。また、本実施形態に係る監視システム10では、IDカード16の発光素子16AをそのIDカード16に格納されているID情報に対応する発光周期で発光させているので、本ステップ110では発光素子16Aの発光周期として発光素子16の点滅パターンを検出している。例えば、“1001”のID情報に対応する点滅パターンとしては、所定のフレーム間隔で、点灯、消灯、消灯、点灯が順に行われ、“1002”のID情報に対応する点滅パターンとしては、所定のフレーム間隔で、点灯、消灯、消灯、点灯、点灯が順に行われる例が挙げられる。
【0047】
次のステップ112では、上記ステップ110の処理で検出した発光状態が無許可の発光状態であるか否かを判定する。すなわち、上記ステップ110の処理で検出した発光状態が許可状態管理データベースDB2の作業エリアAにおける現時点の時間帯に割り当てられた許可者ID情報に含まれていない許可者ID情報を示す発光状態であるか否かを判定する。そして、本ステップ112で肯定判定となった場合(上記ステップ110の処理で検出した発光状態が許可状態管理データベースDB2の作業エリアAに割り当てられた許可者ID情報に応当するID情報に応じた発光状態でない場合)にはステップ114に移行する。
【0048】
一方、上記ステップ104において否定判定となった場合にはステップ116に移行し、上記ステップ106と同様の処理を実行した後、ステップ118に移行し、上記ステップ108と同様の処理を実行する。ステップ118において肯定判定となった場合にはステップ114に移行する一方、否定判定となった場合には本監視処理プログラムを終了する。
【0049】
ステップ114では、前回の監視処理プログラムが実行された際の後述するステップ120の処理による警報が実施中であるか否かを判定し、肯定判定となった場合には本監視処理プログラムを終了する一方、否定判定となった場合にはステップ120に移行する。
【0050】
ステップ120では、監視員に対して作業エリアAの状況の確認を促す警報をディスプレイ18Fにより発し、その後、ステップ122に移行する。具体的には、ステップ120では、上記ステップ112において肯定判定した場合の処理として、作業エリアAに入ることが許可された許可者でなく、他の作業エリア(作業エリアBまたはC)に入ることが許可された許可者が現在作業エリアAに入っていることを示す情報を表示する。例えば、図9に示すように、ディスプレイ18Fに上記ステップ100の処理で取得した画像情報により示される作業エリアの画像を表示すると共に、「現在表示されている作業エリアに他の作業エリアの許可者が紛れ込んでいる可能性が高いです。」とのメッセージを表示する。
【0051】
また、ステップ120では、上記ステップ108において否定判定した場合の処理として、作業エリアA〜Cの何れにも入ることが許可されていない無許可者が現在作業エリアAに侵入している可能性が高いことを示す情報を表示する。例えば、図10に示すように、ディスプレイ18Fに上記ステップ100の処理で取得した画像情報により示される作業エリアの画像を表示すると共に、「現在表示されている作業エリアに不審者が侵入している可能性が高いです。」とのメッセージが表示されたメッセージ画面を表示する。
【0052】
更に、ステップ120では、上記ステップ118において肯定判定となった場合の処理として、作業エリアAにIDカードが置き忘れられている可能性が高いことを示す情報を表示する。例えば、図11に示すように、ディスプレイ18Fに上記ステップ100の処理で取得した画像情報により示される作業エリアの画像を表示すると共に、「現在表示されている作業エリアにIDカードが置き忘れられている可能性が高いです。」とのメッセージを表示する。
【0053】
ステップ122では、警報を終了するタイミングとして予め定められたタイミングが到来するまで待機し、肯定判定となった時点でステップ124に移行し、警報を終了した後、本監視処理プログラムを終了する。
【0054】
なお、本実施形態に係る監視処理プログラムでは、上記ステップ122で適用する「予め定められたタイミング」として、ユーザによって警報を終了することを指示する指示情報がキーボード18Eを介して入力されたタイミングを適用しているが、これに限らず、例えば、予め定められた時刻となったタイミング又は警報が開始されてから所定時間が経過したタイミング等の他のタイミングを適用してもよいことを言うまでもない。
【0055】
一方、ステップ112において否定判定となった場合(上記ステップ110の処理で検出した発光状態が許可状態管理データベースDB2の作業エリアAに割り当てられた許可者ID情報に応当するID情報に応じた発光状態である場合)にはステップ126に移行し、人物監視処理ルーチンプログラムを実行した後、本監視処理プログラムを終了する。ここで、図12を参照して、人物監視処理ルーチンプログラムについて説明する。なお、この人物監視処理ルーチンプログラムも二次記憶部18Dのプログラム領域PGに予め記憶されている。
【0056】
同図のステップ200では、前回の人物監視処理ルーチンプログラムが実行された際の後述するステップ208の処理による警報が実施中であるか否かを判定し、肯定判定となった場合には本人物監視処理プログラムを終了する一方、否定判定となった場合にはステップ202に移行する。
【0057】
ステップ202では、上記ステップ110の処理で検出した発光状態が所定回数(本実施形態では、20回)前に監視処理プログラムが実行された際の上記ステップ110の処理で検出した発光状態であるか否かを判定し、否定判定となった場合には本人物監視処理ルーチンプログラムを終了する一方、肯定判定となった場合にはステップ204に移行する。
【0058】
ステップ204では、現在実行中の監視処理プログラムの上記ステップ110の処理で検出した発光状態の発光位置を示す位置情報と所定回数(本実施形態では、20回)前に監視処理プログラムが実行された際の上記ステップ110の処理で検出した発光状態の発光位置を示す位置情報との間に差分が生じているか否かを判定し、否定判定となった場合には本人物監視処理プログラムを終了する一方、肯定判定となった場合にはステップ206に移行する。なお、本ステップ204で適用する「差分」には誤差が含まれていてもよい。例えば、差分に含まれる誤差としては、隣接する1アドレス分の誤差が例示できる。
【0059】
ステップ206では、現在実行中の監視処理プログラムの上記ステップ110の処理で検出した発光状態の発光位置を示す位置情報と所定回数前に監視処理プログラムが実行された際の上記ステップ110の処理で検出した発光状態の発光位置を示す位置情報との間に差分が閾値(本実施形態では、隣接する2アドレス)を超えているか否かを判定し、否定判定となった場合には本人物監視処理プログラムを終了する一方、肯定判定となった場合にはステップ208に移行し、監視員に対して作業エリアAの状況の確認を促す警報をディスプレイ18Fにより発し、その後、ステップ210に移行する。具体的には、ステップ208では、作業エリアAに入ることが許可された許可者が所定期間動いていない可能性が高いことを示す情報を表示する。例えば、図13に示すように、ディスプレイ18Fに上記ステップ100の処理で取得した画像情報により示される作業エリアの画像を表示すると共に、「現在表示されている作業エリアに所定期間動いていない許可者がいる可能性が高いです。」とのメッセージを表示する。
【0060】
ステップ210では、警報を終了するタイミングとして予め定められたタイミングが到来するまで待機し、肯定判定となった時点でステップ212に移行し、警報を終了した後、本人物監視処理プログラムを終了する。
【0061】
なお、本実施形態に係る監視処理プログラムでは、上記ステップ210で適用する「予め定められたタイミング」として、ユーザによって警報を終了することを指示する指示情報がキーボード18Eを介して入力されたタイミングを適用しているが、これに限らず、例えば、予め定められた時刻となったタイミング又は警報が開始されてから所定時間が経過したタイミング等の他のタイミングを適用してもよいことを言うまでもない。
【0062】
以上詳細に説明したように、本実施形態に係る監視システム10では、監視カメラ12により作業エリアAを撮影し、送信装置14により作業エリアAに対して要求信号を送信し、許可者によって所持されたIDカード16により、送信装置14から送信された要求信号を受信したときに赤外光を予め定められた発光状態で発し、ホストコンピュータ18のディスプレイ18Fにより、監視カメラ12で撮影されて得られた動画像を表示しているので、監視員は、作業エリアA内に存在する人物が作業エリアA内に入ることが許可された者であるか否かを容易かつ高精度に識別することができる。
【0063】
また、本実施形態に係る監視システム10では、作業エリアAに入ることが許可された許可者によって所持されたIDカード16からの発光状態に対応付けられた許可者ID情報を記憶した許可状態管理データベースDB2を備え、CPU18Aにより、監視カメラ12によって撮影されて得られた動画像からIDカード16の発光状態を検出し、検出した発光状態に対応する許可者ID情報が許可状態管理データベースDB2に含まれているか否かを判定し、許可者ID情報が許可状態管理データベースDB2に含まれていない場合にディスプレイ18Fを介して警報を発するので、監視員は、作業エリアA内に存在する人物が作業エリアA内に入ることが許可された者であるか否かをより一層容易かつ高精度に識別することができる。
【0064】
また、本実施形態に係る監視システム10では、CPU18Aにより、監視カメラ12によって撮影されて得られた画像に人物画像が含まれているか否かを判定し、許可者ID情報が許可状態管理データベースDB2に含まれず、かつ監視カメラ12によって撮影されて得られた画像に人物画像が含まれていると判定された場合にディスプレイ18Fを介して警報を発するので、撮影して得た画像から許可者を容易に特定することができる。
【0065】
また、本実施形態に係る監視システム10では、監視カメラ12によって撮影されて得られた画像により示される発光状態の発光位置が所定期間変化していない場合に警報を発するので、作業エリアA内の人物が所定期間停止しているか否かを容易に識別することができる。
【0066】
また、本実施形態に係る監視システム10では、監視カメラ12は、作業エリアAの動画像を常時撮影しているので、監視員は、作業エリアA内に存在する人物が作業エリアA内に入ることが許可された者であるか否かをより一層容易かつ高精度に識別することができる。
【0067】
なお、上記実施形態では、ディスプレイ18Fによる可視表示による警告を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ホストコンピュータ18にブザーやスピーカ等の鳴動手段を設けておき、この鳴動手段による鳴動により警告する形態や、ホストコンピュータ18に画像形成装置(例えばプリンタ)を設けておき、この画像形成装置によって記録媒体(例えば用紙)に警告内容を示す画像を形成することにより警告する形態が挙げられる。これらの場合も、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。また、ディスプレイ18Fによる可視表示、鳴動手段による鳴動(可聴表示)及び画像形成装置による永久可視表示の少なくとも何れか2つを組み合わせて警告を行うようにしてもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、毎秒30フレームで撮影する場合の形態例を挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、3秒毎に1フレームの画像を撮影するようにしてもよい。このように、予め定められた撮影時間間隔で作業エリアを撮影すればよい。これにより、監視員による撮影の手間が省かれるので、監視員にかかる負担を軽減することができる。
【0069】
また、上記実施形態では、2台の監視カメラ12を用いて撮影する場合の形態例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、1台の監視カメラ12であってもよいし、3台以上の監視カメラ12を設置してもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、作業エリアAを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、作業エリアB及び作業エリアCの各々についても上記実施形態と同様の構成で同様の作用及び効果を得ることができる。そして、作業エリアB又は作業エリアCを撮影して得た動画像を表示すると共に上記監視処理を実行する場合、例えば、ホストコンピュータ18のキーボード18Eを介して作業エリアを指定することにより、ディスプレイ18Fに、指定した作業エリアの動画像を表示すると共にその動画像に対して上記監視処理を実行する形態が例示できる。この場合、作業エリアを指定するだけで複数の作業エリア間を跨いで監視することが可能となり、監視員の監視にかかる負担を更に軽減することができ、人件費の低廉化にも寄与することができる。
【0071】
また、上記実施形態では、ディスプレイ18Fに1台の監視カメラ12によって撮影されて得られた動画像を表示する形態例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数の監視カメラ12の各々によって撮影されて得られた動画像を複数の画面を用いて表示するようにしてもよいし、複数のディスプレイ18Fを予め用意しておいて、これらのディスプレイ18Fの各々に対して1台の監視カメラ12で撮影されて得られた動画像を表示するようにしてもよい。この場合、ホストコンピュータ18のキーボード18Eを介して指定したディスプレイ18Fの画面に表示されている動画像に対して上記監視処理を実行する形態が例示できる。
【0072】
また、上記実施形態では、2台の監視カメラ12の各々が作業エリアの全体を異なる画角で撮影する場合の形態例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、複数の監視カメラ12の各々に対して作業エリア内の異なる部分領域を撮影させるようにしてもよい。なお、この場合も、1つの領域に対して複数の監視カメラ12で様々な角度から撮影してもよい。これにより、IDカード16から発せられる赤外光を撮影できないという事態の発生を抑制することができる。
【0073】
また、上記実施形態では、作業エリアA〜Cに対して1台の送信装置14を用いた場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、作業エリアA〜Cの各々に対して1台ずつ送信装置14を設置してもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、IDカード16から赤外光を発する形態を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、IDカード16から可視光を発するようにしてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、監視カメラ12として、動画像の撮影を行うデジタルカメラを適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、静止画像の撮影を行うカメラ、所謂デジタル電子スチルカメラを適用する形態としてもよい。この場合も、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0076】
また、上記実施形態では、予め定められた送信時間(上記実施形態では、30分)間隔で要求信号を送信する場合の形態例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、監視員がホストコンピュータ18のキーボード18Eを介して要求信号の送信を指示した場合に送信装置14から要求信号を送信するようにしてもよい。これにより、監視員の要望に応じてIDカード16から赤外光を発させることができるので、利便性を向上させることができると共に監視員の監視にかかる負担を軽減することができる。
【0077】
また、上記実施形態では、ディスプレイ18Fに動画像を常時表示する場合の形態例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、送信装置14によって要求信号が送信されたときに、これに同期してCPU18Aにより監視カメラ12に対して動画像の撮影を開始させるように制御し、この時点からIDカード16の発光が開始されてから終了するまでの期間(例えば、1.5秒)として予め定められた期間が経過したときに撮影を終了させるようにしてもよい。また、この予め定められた期間に数秒加えた期間に監視カメラ12に対して撮影を行わせるようにしてもよい。このように、送信装置14によって要求信号が送信された場合、IDカード16が要求信号を受信したときに発光を開始してから終了するまでの期間を含む予め定められた期間に監視対象領域を撮影するようにしてもよい。これにより、画像情報を記憶するために必要とされる記憶領域(例えば、二次記憶部18Dの記憶領域)の容量を小さくすることができ、更に、撮影にかかる電力の消費量を抑制することができる。
【0078】
また、上記実施形態では、監視カメラ12として可視光用のカメラを適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、赤外線カメラを適用する形態としてもよい。この場合も、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0079】
また、上記実施形態では、監視員に対して作業エリアの状況の確認を促す警報としてディスプレイに18Fに所定のメッセージを表示する場合の形態例を挙げて説明したが、その他の形態例としては、上記実施形態で説明した所定のメッセージに代えて、警報の種類を示すコード番号を表示するようにしてもよい。例えば、図9に示すメッセージに対応するコード番号を“E1”とし、図10に示すメッセージに対応するコード番号を“E2”とし、図11に示すメッセージに対応するコード番号を“E3”とし、図13に示すメッセージに対応するコード番号を“E4”とする。更に、図9〜図11及び図13に各々に示すメッセージ又は上記コード番号と共に、ディスプレイ18Fに表示された発光状態に対応する許可者ID情報及びその許可者ID情報に対応する許可者名を一覧表形式で表示してもよい。なお、許可者名を表示する場合には、CPU18Aにより、ID情報データベースDB1から許可者ID情報に応当する許可者名情報を読み出し、読み出した許可者名情報により示される許可者名をディスプレイ18Fに表示すればよい。また、許可者名だけでなく、許可者が所属する部署名や出身地などの許可者に関する情報も併せて表示するようにしてもよい。この場合、例えば、ID情報データベースDB1のID情報に許可者毎に部署名や出身地などを示す個人情報を予め関連付けておけばよい。
【0080】
また、上記実施形態では、許可者毎に固有の発光状態を割り当てたが、これに限らず、作業エリア単位で同一の発光状態を許可者に割り当ててもよい。つまり、作業エリアAの許可者が所持するIDカード16の発光素子16Aは作業エリアAについて固有の発光状態で発光し、作業エリアBの許可者が所持するIDカード16の発光素子16Aは作業エリアBについて固有の発光状態で発光し、作業エリアCの許可者が所持するIDカード16の発光素子16Aは作業エリアCについて固有の発光状態で発光する。
【0081】
また、上記実施形態では、屋外の作業エリアを監視対象領域とした場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、病院、学校、美術館、博物館等の不特定多数の人が入場可能な屋内の特定エリアを監視対象領域にすることもできる。この場合も、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0082】
また、上記実施形態では、IDカード16における発光素子16Aが埋設されている箇所を透光性を有する材料で形成し、発光素子16Aから発せられる赤外光が監視カメラ12で撮影可能となるようにしたが、これに限らず、例えば、IDカード16の外装全てを透光性を有する材料(例えば、透明プラスチック)で構成してもよいし、発光素子16Aを外部に露呈させるように構成してもよい。このようにIDカード16は、赤外光が監視カメラ12で撮影可能となるように構成されていればよい。
【0083】
また、上記実施形態では、監視カメラ12により赤外光を捉え易くするために、IDカード16の角部の角を取るように構成することで赤外光の散乱を助長するようにしたが、これに限らず、例えば、透光性を有する箇所(発光素子16Aの埋設箇所)に多数の凹凸を形成することにより赤外光の散乱を助長するようにしてもよい。このように、IDカード16における発光素子16Aを覆っている透光性を有する箇所は、仮に監視カメラ12の設置台数が少なくても監視カメラ12のレンズに赤外光が十分に入射されるように広範囲にわたって赤外光を散乱させることができるような構成にすることが好ましい。
【0084】
また、上記実施形態では、有線ケーブルによって監視カメラ12とホストコンピュータ18とを接続することにより監視カメラ12とホストコンピュータ18との間での通信を可能にする形態例を挙げて説明したが、これに限らず、例えば、無線LANやWi−Fi(登録商標)によって監視カメラ12とホストコンピュータ18との間で通信可能となるように構成してもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、監視処理プログラム及び人物監視処理ルーチンプログラムが二次記憶部18Dに予め記憶されている場合の形態例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらのプログラムをCD−ROMやDVD−ROM、USBメモリなどのコンピュータによって読み取られる記録媒体に格納した状態で提供する形態を適用してもよいし、有線又は無線による通信手段を介して配信する形態を適用しても良い。
【符号の説明】
【0086】
10 監視システム
12 監視カメラ
14 送信装置
16 IDカード
16A 発光素子
18 ホストコンピュータ
18A CPU
18F ディスプレイ
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視支援システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特定の領域への不審者の侵入を防止するための方法として、特定の領域内を監視員に監視させる方法が知られている。監視員による監視方法としては、監視対象領域を監視カメラで撮影し、撮影して得られた画像をモニターを通して監視員が見ることによって監視対象領域に不審者が侵入していないか、異常行動をしている者がいないか等を監視員に判断させる方法が知られている。しかし、この方法で、広範囲の監視対象領域を監視する場合、仮に知っている人物が監視対象領域に入っていたとしても、その人物を特定することは困難である。また、監視員の集中力の持続時間にも限界がある。更に、監視員が複数の監視用のモニターを通して監視対象領域内の複数箇所を監視しなければならない場合には更に負担が増大する。監視員の負担を考慮して、監視員を増員して交代制で監視させる方法も考えられるが、その場合は経費が嵩んでしまう。
【0003】
このような背景からRFID(Radio Frequency Identification)タグを用いて監視対象領域内に入っている人物を特定する技術が開発された(例えば、特許文献1を参照。)。しかし、この技術は、監視対象領域毎に電波の反射吸収の特性が異なるため、非常に細かく位置特定機能を調整しなければ正確な位置(最高でも±1m程度)が把握できない、という問題点を有している。また、屋外においては、自動車などの障害物が移動することで電波が妨害され位置特定精度が悪化する場合がある、という問題点も有している。更に、RFIDタグを所有していない人物は監視できない、という問題点も有している。
【0004】
そこで、監視対象領域の出入り口で人物をカメラで撮影し、撮影して得られた画像から人物の画像を抽出し、抽出した人物の画像にその人物を特定する特定情報を関連付けておき、監視対象領域に入った人物を監視カメラで追跡する人物追跡方法が検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−179491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の人物追跡方法では、監視対象領域内で人物を一度特定できたとしても、その後人物を見失う場合や、別の人物と重なることにより特定できなくなる、という問題点があった。
【0007】
本発明は上記問題点を解決するために成されたものであり、監視対象領域内に存在する人物が監視対象領域内に入ることが許可された者であるか否かを容易かつ高精度に識別することができる監視支援システム及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の監視支援システムは、監視対象領域を撮影する撮影手段と、前記監視対象領域に対して発光要求信号を送信する送信装置と、人物によって所持可能な発光装置であって、前記送信装置から送信された発光要求信号を受信したときに所持者毎に予め定められた発光状態で前記撮影手段によって撮影可能な光を発する発光装置と、前記発光装置から光が発せられる期間を含む予め定められた期間に前記撮影手段によって撮影されて得られた画像を表示する表示装置と、を備えている。
【0009】
請求項1に記載の監視支援システムによれば、撮影手段により、監視対象領域が撮影され、送信装置により、前記監視対象領域に対して発光要求信号が送信され、人物によって所持可能な発光装置により、前記送信装置から送信された発光要求信号を受信したときに所持者毎に予め定められた発光状態で前記撮影手段によって撮影可能な光が発せられる。
【0010】
そして、本発明では、表示装置により、前記発光装置から光が発せられる期間を含む予め定められた期間に前記撮影手段によって撮影されて得られた画像が表示される。
【0011】
すなわち、本発明では、発光装置から所持者毎に予め定められた発光状態で発せられた光及び監視対象領域内の人物を撮影し、撮影して得た画像を表示することにより、その表示されている画像から、何れの人物が監視対象領域に入ることが許可された人物であり、何れの人物が監視対象領域に入ることが許可されていない人物であるかを容易に見分けることができる。
【0012】
このように、請求項1に記載の監視支援システムによれば、発光装置から光が発せられる期間を含む予め定められた期間に撮影手段によって撮影されて得られた画像が表示されるので、監視対象領域内に存在する人物が監視対象領域内に入ることが許可された者であるか否かを容易かつ高精度に識別することができる。
【0013】
また、本発明は、請求項2に記載の発明のように、前記監視対象領域に入ることが許可された許可者によって所持可能な前記発光装置の前記発光状態に対応付けられた該許可者を示す許可者情報を記憶した記憶手段、前記撮影手段によって撮影されて得られた画像から前記発光状態を検出する検出手段、前記記憶手段に該検出手段によって検出された発光状態に対応する前記許可者情報が記憶されているか否かを判定する判定手段、及び該判定手段によって前記許可者情報が記憶されていないと判定された場合に警報を発する警報手段を備えた警報装置を更に含んで構成してもよい。これにより、監視対象領域内に存在する人物が監視対象領域内に入ることが許可された者であるか否かをより一層容易かつ高精度に識別することができる。
【0014】
また、本発明は、請求項3に記載の発明のように、前記判定手段が、更に、前記撮影手段によって撮影されて得られた画像に人物画像が含まれているか否かを判定し、前記警報手段が、前記判定手段によって前記許可者情報が記憶されていないと判定され、かつ前記人物画像が含まれていると判定された場合に警報を発するものとしてもよい。これにより、撮影して得た画像から許可者を容易に特定することができる。
【0015】
また、本発明は、請求項4に記載の発明のように、前記判定手段が、更に、前記撮影手段によって撮影されて得られた画像により示される発光状態の発光位置が所定期間内に変化しているか否かを判定し、前記警報手段が、更に、前記判定手段によって前記発光位置が前記所定期間内に変化していないと判定された場合に警報を発するものとしてもよい。これにより、監視対象領域内の人物が所定期間停止しているか否かを容易に識別することができる。
【0016】
また、本発明は、請求項5に記載の発明のように、前記撮影手段が、予め定められた撮影時間間隔で前記監視対象領域を撮影するものとしてもよい。これにより、利便性を向上させることができると共に、監視員にかかる負担を軽減することができる。
【0017】
一方、上記目的を達成するために、請求項6に記載のプログラムは、コンピュータを、監視対象領域を撮影する撮影手段、前記監視対象領域に対して発光要求信号を送信する送信装置、人物によって所持可能な発光装置であって、前記送信装置から送信された発光要求信号を受信したときに所持者毎に予め定められた発光状態で前記撮影手段によって撮影可能な光を発する発光装置、及び前記発光装置から光が発せられる期間を含む予め定められた期間に前記撮影手段によって撮影されて得られた画像を表示する表示装置を含んで構成された監視システムの前記撮影手段によって撮影されて得られた画像から前記発光パターンを検出する検出手段、前記監視対象領域に入ることが許可された許可者によって所持可能な前記発光装置の前記発光状態に対応付けられた該許可者を示す許可者情報を記憶した記憶手段に前記検出手段によって検出された発光状態に対応する前記許可者情報が記憶されているか否かを判定する判定手段、及び前記判定手段によって前記許可者情報が記憶されていないと判定された場合に警報を発させる警報手段として機能させるためのものである。
【0018】
従って、請求項6に記載のプログラムによれば、コンピュータに対して請求項2に記載の発明と同様に作用させることができるので、請求項2に記載の発明と同様に、監視対象領域内に存在する人物が監視対象領域内に入ることが許可された者であるか否かをより一層容易かつ高精度に識別することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、監視対象領域内に存在する人物が監視対象領域内に入ることが許可された者であるか否かを容易かつ高精度に識別することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施形態に係る監視システムの全体構成の一例を示す構成図である。
【図2】実施形態に係るIDカードの外部構成の一例を示す斜視図である。
【図3】実施形態に係るIDカードの電気系の要部構成の一例を示すブロック図である。
【図4】実施形態に係るホストコンピュータの電気系の要部構成の一例を示すブロック図である。
【図5】実施形態に係るホストコンピュータに備えられた二次記憶部の主な記憶内容を示す模式図である。
【図6】実施形態に係るID情報データベースの構成を示す模式図である。
【図7】実施形態に係る許可状態管理データベースの構成を示す模式図である。
【図8】実施形態に係る監視処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】実施形態に係るホストコンピュータに備えられたディスプレイの表示画面の一例を示す概略図である。
【図10】実施形態に係るホストコンピュータに備えられたディスプレイの表示画面の一例を示す概略図である。
【図11】実施形態に係るホストコンピュータに備えられたディスプレイの表示画面の一例を示す概略図である。
【図12】実施形態に係る人物監視処理ルーチンプログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】実施形態に係るホストコンピュータに備えられたディスプレイの表示画面の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の一例について詳細に説明する。なお、ここでは、本発明に係る監視支援システムを、屋外に設けられた監視対象領域としての作業エリアA〜Cの各々の様子を監視する監視システムに適用した場合について説明する。
【0022】
先ず、図1〜図7を参照して、本発明が適用された監視システム10の構成を説明する。なお、ここでは、錯綜を回避するために、監視システム10の構成を、作業エリアAを例に挙げて説明する。また、以下では、作業エリアA〜Cを区別して説明する必要がない場合には末尾のアルファベットを付さずに単に「作業エリア」と称する。
【0023】
図1には、本実施形態に係る監視システム10の全体構成の一例が示されている。同図に示されるように、監視システム10は、監視カメラ12、送信装置14、ID(Identification)カード16、及びホストコンピュータ18を含んで構成されている。監視カメラ12は、作業エリアAを動画撮影するビデオカメラである。本実施形態に係る監視システム10では、作業エリアAに対して複数(ここでは、2台)の監視カメラ12が設置されており、監視カメラ12の各々は、作業エリアAに存在する人物を異なる方向から撮影するように配置されている。また、本実施形態に係る監視システム10では、監視カメラ12として、毎秒30フレーム分の撮影を行うデジタルカメラを適用している。
【0024】
IDカード16は、作業エリアA〜Cの何れかに入ることが許可された人物(以下、「許可者」という。)によって所持されるものである。IDカード16には、許可者毎に固有のID情報が格納されている。また、IDカード16は、格納されているID情報に応じた赤外光を外部に発する機能を有しており、発せられた赤外光が監視カメラ12によって撮影可能となるように許可者に装着されている。なお、本実施形態に係る監視システム10では、許可者に対して、ヘルメットの着用とヘルメットの外面にIDカード16を装着することとを義務付けているが、これに限らず、許可者の衣服又は許可者に所持を義務付けている他の物に装着することを義務付けてもよい。
【0025】
図2には、IDカード16の外観斜視図が示されている。同図に示されるように、IDカード16は、平面視略矩形状の平板状に形成されており、許可者の顔写真及び氏名が表面に記載されている。また、IDカード16の正面視右上隅部は、透光性の有する材料(本実施形態では、透明なプラスチック部材)で形成されており、角が取られた形状とされている。また、IDカード16の正面視右上隅部には発光素子16Aが埋設されている。なお、本実施形態に係るIDカード16では、発光素子16Aとして、赤外光を発する発光ダイオード(所謂赤外線LED)を適用しているが、これに限らず、可視光を発する発光ダイオードや発光ダイオード以外の発光素子などの監視カメラ12で撮影可能な光を発するものを適用してもよい。また、図2に示されるIDカード16は作業エリアAで作業を行う許可者が所持するものであるが、来訪者用のものは顔写真及び氏名が表面に記載されていない点を除いてIDカード16のものと同様である。
【0026】
送信装置14は、作業エリアAに対して指向性を有する電波を発信するものであり、この電波によって作業エリアAに存在する人物に対してその人物を特定するID情報の提供を要求する要求信号を送信する。
【0027】
図3には、IDカード16の電気系の要部構成の一例が示されている。同図に示すように、IDカード16は、発行素子16Aと、IDカード16全体の動作を司るCPU(中央処理装置)16Bと、CPU16Bによる各種処理プログラムの実行時のワークエリア等として用いられるRAM(Random Access Memory)16Cと、ID情報、各種処理プログラム及び各種パラメータが予め記憶されたROM(Read Only Memory)16Dと、外部装置との間の各種信号の無線での授受を司る通信I/F(インタフェース)16Eと、通信I/F16Eに接続されたアンテナ16Fと、IDカード16の各部に駆動用の電力を供給する電源16Gと、が備えられている。なお、同図では、錯綜を回避するために、電源16Gから電源供給先の各部への接続配線の図示を省略している。
【0028】
CPU16Bには発光素子16Aが接続されており、CPU16Bは、発光素子16Aの発光及び非発光を選択的に切り替えることができる。また、CPU16BにはRAM16C及びROM16Dが接続されており、CPU16Bは、RAM16C及びROM16Dに対するアクセスを行うことができる。更に、CPU16Bには通信I/F16Eが接続されており、CPU16Bは、通信I/F16Eを介した外部装置等との間の各種信号の授受を行うことができる。なお、本実施形態に係るIDカード16では、CPU16B、RAM16C、ROM16D、通信I/F16E、アンテナ16F、及び電源16GはICタグとして構成されており、これによって、IDカード16の小型化及び低コスト化を実現している。
【0029】
また、本実施形態に係るIDカード16において、CPU16Bは、発光素子16AをROM16Dに記憶されているID情報を特定することができるように予め定められた発光状態で発光させる。ここでは、発光状態として、発光周期(点滅パターン)を適用しており、発光周期は、監視カメラ12のフレームレートに応じて予め決定されている。なお、他の発光状態の形態としては、ID情報に応じた固有の模様(例えば、「×」や「○」などを組み合わせた模様)を表す発光状態や発光輝度などを例示することができる。
【0030】
一方、ホストコンピュータ18は、監視システム10の中心的な役割を担うものである。なお、本実施形態に係る監視システム10では、ホストコンピュータ18が監視員の駐在先である監視員室に設置されているが、これに限らず、他の部屋や警備会社に設置されていてもよい。
【0031】
図4には、ホストコンピュータ18の電気系の要部構成の一例が示されている。同図に示されるように、ホストコンピュータ18は、ホストコンピュータ18全体の動作を司るCPU18Aと、CPU18Aによる各種処理プログラムの実行時のワークエリア等として用いられるRAM18Bと、各種処理プログラムや各種パラメータ等が予め記憶されたROM18Cと、各種情報を記憶するために用いられる二次記憶部(ここでは、ハードディスク装置)18Dと、各種情報を入力するために用いられるキーボード18Eと、各種情報を表示するために用いられるディスプレイ18Fと、監視カメラ12及び送信装置14の各々と電気的に接続され、これら外部装置との間の各種信号の授受を司る入出力I/F(インタフェース)18Gと、を含んで構成されており、これら各部はシステムバスBUSにより電気的に相互に接続されている。
【0032】
従って、CPU18Aは、RAM18B、ROM18C、及び二次記憶部18Dに対するアクセス、キーボード18Eを介した各種入力情報の取得、ディスプレイ18Fに対する各種情報の表示、入出力I/F18Gを介した監視カメラ12との間の各種信号の授受、及び入出力I/F18Gを介した送信装置14との間の各種信号の授受を各々行うことができる。
【0033】
図5には、二次記憶部18Dの主な記憶内容が模式的に示されている。同図に示されるように、二次記憶部18Dには、各種データベースを記憶するためのデータベース領域DBと、各種処理を行うためのアプリケーション・プログラム等を記憶するためのプログラム領域PGと、が設けられている。
【0034】
また、データベース領域DBには、ID情報データベースDB1及び許可状態管理データベースDB2が含まれる。以下、これらのデータベースの構成について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0035】
図6には、ID情報データベースDB1の構成の一例が示されている。同図に示されるように、ID情報データベースDB1は、ID情報と、ID情報に対応する許可者名情報とが関連付けられて記憶されている。同図には、“1001”とのID情報に対して“竹中一郎”との許可者名を示す許可者名情報が、“1002”とのID情報に対して“竹中二郎”との許可者名を示す許可者名情報が、“1003”とのID情報に対して“竹中三郎”との許可者名を示す許可者名情報が、“1004”とのID情報に対して“竹中四郎”との許可者名を示す許可者名情報が、各々関連付けられて記憶されている形態例が図示されている。このように、本実施形態に係る監視システム10では、許可者間で重複しないように許可者毎に固有のID情報が付与されている。
【0036】
図7には、許可状態管理データベースDB2の構成の一例が示されている。同図に示されるように、許可状態管理データベースDB2は、監視対象領域を示す監視対象領域情報、時間帯を示す時間帯情報、及び許可者ID情報の各情報が記憶されるように構成されている。監視対象領域情報は、作業エリアA〜Cの各々を示す情報であり、時間帯情報は、対応する監視対象領域情報により示される作業エリアにおいて行われる作業の時間帯を示す情報であり、許可者ID情報は、対応する作業エリアに対応する時間帯に入ることが許可された許可者のID情報を示す情報である。
【0037】
同図には、作業エリアAに入ることが許可された許可者を、0時から5時まではID情報として“1001”から“1020”の何れかが格納されたIDカード16の所持者とし、5時から20時まではID情報として“1001”から“4200”の何れかが格納されたIDカード16の所持者とし、20時から0時まではID情報として“1001”から“2050”の何れかが格納されたIDカード16の所持者とした形態例が示されている。また、同図には、作業エリアBに入ることが許可された許可者を、0時から5時まではID情報として“5001”から“6200”の何れかが格納されたIDカード16の所持者とし、5時から20時まではID情報として“5001”から“8200”の何れかが格納されたIDカード16の所持者とし、20時から0時まではID情報として“5001”から“7000”の何れかが格納されたIDカード16の所持者とした形態例が示されている。
【0038】
次に、本実施形態に係る監視システム10の作用を説明する。
【0039】
先ず、監視員は、監視カメラ12、送信装置14、及びホストコンピュータ18の各々の電源を投入する。これに応じて、監視カメラ12が作業エリアAを連続的に撮影し、撮影して得られた画像によって構成される動画像を示す動画像情報をホストコンピュータ18に送信する。ホストコンピュータ18は、監視カメラ12から送信された動画像情報を受信し、受信した動画像情報により示される動画像をディスプレイ18Fに表示する。
【0040】
また、ホストコンピュータ18は、送信装置14に対して、予め定められた時間間隔で(例えば、30分毎に)要求信号の送信を指示し、これに応じて送信装置14は、作業エリアAに対して要求信号を送信する。作業エリアAに存在する許可者が所持しているIDカード16のCPU16Bは、送信装置14から送信された要求信号を受信したときに発行素子16AをROM16Dに記憶されているID情報に応じた発光状態で発光させる。発光素子16Aは、赤外光を発するため、この赤外光が監視カメラ12によって撮影され、ホストコンピュータ18のディスプレイ18Fに表示される。従って、監視員は、ディスプレイ18Fに表示される動画像を観察することにより作業エリアAの様子を把握することができ、IDカード16から赤外光が発せられていない人物がディスプレイ18Fに表示されている場合には不審者の可能性があることを容易に判断することができる。
【0041】
ところで、本実施形態に係る監視システム10では、ホストコンピュータ18によって、監視員の監視の負担を軽減するための監視処理が実行される。そこで、以下では、図8を参照して、本実施形態に係る監視処理について説明する。なお、図8は、予め定められた条件(本実施形態では、監視カメラ12、送信装置14、及びホストコンピュータ18の各々の電源が投入され、これらの全てが外部からの指示待ち状態とされる、との条件)を満足してから予め定められた時間間隔で(本実施形態では、1秒毎に)ホストコンピュータ18のCPU18Aにより実行される監視処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、この監視処理プログラムは二次記憶部18Dのプログラム領域PGに予め記憶されている。また、ここでは、錯綜を回避するために、一例として図6及び図7に示すデータベースが既に構築済みである場合について説明する。また、ここでは、錯綜を回避するために、作業エリアAを監視する場合について説明する。
【0042】
同図のステップ100では、各監視カメラ12から動画像情報を取得する。なお、本実施形態に係る監視システムでは、本ステップ100の処理として、各監視カメラ12から30フレーム分の画像情報を動画像情報として取得しているが、少なくとも発光素子16Aから発せられる赤外光の発光状態を検出可能なフレーム数の画像情報を取得すればよい。
【0043】
次のステップ102では、上記ステップ100の処理で取得した各画像情報により示される画像に人物を示す画像(以下、「人物画像」という。)が含まれているか否かを判定すると共に、人物画像が含まれていると判定された場合に人物画像を抽出する。
【0044】
次のステップ104では、上記ステップ102の処理で人物画像を抽出したか否かを判定し、肯定判定となった場合にはステップ106に移行し、上記ステップ100の処理で取得した各画像情報により示される動画像に発光素子16Aから発せられた赤外光を示す画像(以下、「赤外光画像」という。)が含まれているか否かを判定すると共に、赤外光画像が含まれていると判定された場合に赤外光画像を抽出する。
【0045】
次のステップ108では、上記ステップ106の処理で赤外光画像を抽出したか否かを判定し、肯定判定となった場合にはステップ110に移行する一方、否定判定となった場合にはステップ114に移行する。
【0046】
ステップ110では、上記ステップ106の処理で抽出した赤外光画像から発光素子16Aから発せされた赤外光の発光状態を検出し、発光状態を検出した場合には、後述するステップ200の処理に備えて、作業エリアAにおける発光状態の発光位置を示す位置情報を二次記憶部18Dに記憶すると共に、所定回数前に実行された本監視処理プログラムの本ステップ110の処理で二次記憶部18Dに記憶された位置情報を二次記憶部18Dから消去する。なお、本実施形態に係る監視処理ルーチンプログラムでは、本ステップ110で適用する「所定回数」として20回を適用しているが、これに限らず、30回又は40回などの回数を適用してもよく、後述する人物監視処理ルーチンプログラムにおいて人物が同じ位置で所定期間停止していることを検出可能にする回数であれば如何なる回数であってもよい。また、本実施形態に係る監視処理プログラムでは、本ステップ110で適用する「位置情報」として、作業エリアAを事前に升目状のメッシュで区分けした領域の各々に予め付与されたアドレスを示す情報を適用している。この場合、作業エリアAを100区画分メッシュで区分けし、各々の区画に対してアドレスとして1〜100の何れかの数字を付与する形態が例示できる。その他、「位置情報」として作業エリアAに対して予め当て嵌めておいた2次元座標を適用してもよい。また、本実施形態に係る監視システム10では、IDカード16の発光素子16AをそのIDカード16に格納されているID情報に対応する発光周期で発光させているので、本ステップ110では発光素子16Aの発光周期として発光素子16の点滅パターンを検出している。例えば、“1001”のID情報に対応する点滅パターンとしては、所定のフレーム間隔で、点灯、消灯、消灯、点灯が順に行われ、“1002”のID情報に対応する点滅パターンとしては、所定のフレーム間隔で、点灯、消灯、消灯、点灯、点灯が順に行われる例が挙げられる。
【0047】
次のステップ112では、上記ステップ110の処理で検出した発光状態が無許可の発光状態であるか否かを判定する。すなわち、上記ステップ110の処理で検出した発光状態が許可状態管理データベースDB2の作業エリアAにおける現時点の時間帯に割り当てられた許可者ID情報に含まれていない許可者ID情報を示す発光状態であるか否かを判定する。そして、本ステップ112で肯定判定となった場合(上記ステップ110の処理で検出した発光状態が許可状態管理データベースDB2の作業エリアAに割り当てられた許可者ID情報に応当するID情報に応じた発光状態でない場合)にはステップ114に移行する。
【0048】
一方、上記ステップ104において否定判定となった場合にはステップ116に移行し、上記ステップ106と同様の処理を実行した後、ステップ118に移行し、上記ステップ108と同様の処理を実行する。ステップ118において肯定判定となった場合にはステップ114に移行する一方、否定判定となった場合には本監視処理プログラムを終了する。
【0049】
ステップ114では、前回の監視処理プログラムが実行された際の後述するステップ120の処理による警報が実施中であるか否かを判定し、肯定判定となった場合には本監視処理プログラムを終了する一方、否定判定となった場合にはステップ120に移行する。
【0050】
ステップ120では、監視員に対して作業エリアAの状況の確認を促す警報をディスプレイ18Fにより発し、その後、ステップ122に移行する。具体的には、ステップ120では、上記ステップ112において肯定判定した場合の処理として、作業エリアAに入ることが許可された許可者でなく、他の作業エリア(作業エリアBまたはC)に入ることが許可された許可者が現在作業エリアAに入っていることを示す情報を表示する。例えば、図9に示すように、ディスプレイ18Fに上記ステップ100の処理で取得した画像情報により示される作業エリアの画像を表示すると共に、「現在表示されている作業エリアに他の作業エリアの許可者が紛れ込んでいる可能性が高いです。」とのメッセージを表示する。
【0051】
また、ステップ120では、上記ステップ108において否定判定した場合の処理として、作業エリアA〜Cの何れにも入ることが許可されていない無許可者が現在作業エリアAに侵入している可能性が高いことを示す情報を表示する。例えば、図10に示すように、ディスプレイ18Fに上記ステップ100の処理で取得した画像情報により示される作業エリアの画像を表示すると共に、「現在表示されている作業エリアに不審者が侵入している可能性が高いです。」とのメッセージが表示されたメッセージ画面を表示する。
【0052】
更に、ステップ120では、上記ステップ118において肯定判定となった場合の処理として、作業エリアAにIDカードが置き忘れられている可能性が高いことを示す情報を表示する。例えば、図11に示すように、ディスプレイ18Fに上記ステップ100の処理で取得した画像情報により示される作業エリアの画像を表示すると共に、「現在表示されている作業エリアにIDカードが置き忘れられている可能性が高いです。」とのメッセージを表示する。
【0053】
ステップ122では、警報を終了するタイミングとして予め定められたタイミングが到来するまで待機し、肯定判定となった時点でステップ124に移行し、警報を終了した後、本監視処理プログラムを終了する。
【0054】
なお、本実施形態に係る監視処理プログラムでは、上記ステップ122で適用する「予め定められたタイミング」として、ユーザによって警報を終了することを指示する指示情報がキーボード18Eを介して入力されたタイミングを適用しているが、これに限らず、例えば、予め定められた時刻となったタイミング又は警報が開始されてから所定時間が経過したタイミング等の他のタイミングを適用してもよいことを言うまでもない。
【0055】
一方、ステップ112において否定判定となった場合(上記ステップ110の処理で検出した発光状態が許可状態管理データベースDB2の作業エリアAに割り当てられた許可者ID情報に応当するID情報に応じた発光状態である場合)にはステップ126に移行し、人物監視処理ルーチンプログラムを実行した後、本監視処理プログラムを終了する。ここで、図12を参照して、人物監視処理ルーチンプログラムについて説明する。なお、この人物監視処理ルーチンプログラムも二次記憶部18Dのプログラム領域PGに予め記憶されている。
【0056】
同図のステップ200では、前回の人物監視処理ルーチンプログラムが実行された際の後述するステップ208の処理による警報が実施中であるか否かを判定し、肯定判定となった場合には本人物監視処理プログラムを終了する一方、否定判定となった場合にはステップ202に移行する。
【0057】
ステップ202では、上記ステップ110の処理で検出した発光状態が所定回数(本実施形態では、20回)前に監視処理プログラムが実行された際の上記ステップ110の処理で検出した発光状態であるか否かを判定し、否定判定となった場合には本人物監視処理ルーチンプログラムを終了する一方、肯定判定となった場合にはステップ204に移行する。
【0058】
ステップ204では、現在実行中の監視処理プログラムの上記ステップ110の処理で検出した発光状態の発光位置を示す位置情報と所定回数(本実施形態では、20回)前に監視処理プログラムが実行された際の上記ステップ110の処理で検出した発光状態の発光位置を示す位置情報との間に差分が生じているか否かを判定し、否定判定となった場合には本人物監視処理プログラムを終了する一方、肯定判定となった場合にはステップ206に移行する。なお、本ステップ204で適用する「差分」には誤差が含まれていてもよい。例えば、差分に含まれる誤差としては、隣接する1アドレス分の誤差が例示できる。
【0059】
ステップ206では、現在実行中の監視処理プログラムの上記ステップ110の処理で検出した発光状態の発光位置を示す位置情報と所定回数前に監視処理プログラムが実行された際の上記ステップ110の処理で検出した発光状態の発光位置を示す位置情報との間に差分が閾値(本実施形態では、隣接する2アドレス)を超えているか否かを判定し、否定判定となった場合には本人物監視処理プログラムを終了する一方、肯定判定となった場合にはステップ208に移行し、監視員に対して作業エリアAの状況の確認を促す警報をディスプレイ18Fにより発し、その後、ステップ210に移行する。具体的には、ステップ208では、作業エリアAに入ることが許可された許可者が所定期間動いていない可能性が高いことを示す情報を表示する。例えば、図13に示すように、ディスプレイ18Fに上記ステップ100の処理で取得した画像情報により示される作業エリアの画像を表示すると共に、「現在表示されている作業エリアに所定期間動いていない許可者がいる可能性が高いです。」とのメッセージを表示する。
【0060】
ステップ210では、警報を終了するタイミングとして予め定められたタイミングが到来するまで待機し、肯定判定となった時点でステップ212に移行し、警報を終了した後、本人物監視処理プログラムを終了する。
【0061】
なお、本実施形態に係る監視処理プログラムでは、上記ステップ210で適用する「予め定められたタイミング」として、ユーザによって警報を終了することを指示する指示情報がキーボード18Eを介して入力されたタイミングを適用しているが、これに限らず、例えば、予め定められた時刻となったタイミング又は警報が開始されてから所定時間が経過したタイミング等の他のタイミングを適用してもよいことを言うまでもない。
【0062】
以上詳細に説明したように、本実施形態に係る監視システム10では、監視カメラ12により作業エリアAを撮影し、送信装置14により作業エリアAに対して要求信号を送信し、許可者によって所持されたIDカード16により、送信装置14から送信された要求信号を受信したときに赤外光を予め定められた発光状態で発し、ホストコンピュータ18のディスプレイ18Fにより、監視カメラ12で撮影されて得られた動画像を表示しているので、監視員は、作業エリアA内に存在する人物が作業エリアA内に入ることが許可された者であるか否かを容易かつ高精度に識別することができる。
【0063】
また、本実施形態に係る監視システム10では、作業エリアAに入ることが許可された許可者によって所持されたIDカード16からの発光状態に対応付けられた許可者ID情報を記憶した許可状態管理データベースDB2を備え、CPU18Aにより、監視カメラ12によって撮影されて得られた動画像からIDカード16の発光状態を検出し、検出した発光状態に対応する許可者ID情報が許可状態管理データベースDB2に含まれているか否かを判定し、許可者ID情報が許可状態管理データベースDB2に含まれていない場合にディスプレイ18Fを介して警報を発するので、監視員は、作業エリアA内に存在する人物が作業エリアA内に入ることが許可された者であるか否かをより一層容易かつ高精度に識別することができる。
【0064】
また、本実施形態に係る監視システム10では、CPU18Aにより、監視カメラ12によって撮影されて得られた画像に人物画像が含まれているか否かを判定し、許可者ID情報が許可状態管理データベースDB2に含まれず、かつ監視カメラ12によって撮影されて得られた画像に人物画像が含まれていると判定された場合にディスプレイ18Fを介して警報を発するので、撮影して得た画像から許可者を容易に特定することができる。
【0065】
また、本実施形態に係る監視システム10では、監視カメラ12によって撮影されて得られた画像により示される発光状態の発光位置が所定期間変化していない場合に警報を発するので、作業エリアA内の人物が所定期間停止しているか否かを容易に識別することができる。
【0066】
また、本実施形態に係る監視システム10では、監視カメラ12は、作業エリアAの動画像を常時撮影しているので、監視員は、作業エリアA内に存在する人物が作業エリアA内に入ることが許可された者であるか否かをより一層容易かつ高精度に識別することができる。
【0067】
なお、上記実施形態では、ディスプレイ18Fによる可視表示による警告を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ホストコンピュータ18にブザーやスピーカ等の鳴動手段を設けておき、この鳴動手段による鳴動により警告する形態や、ホストコンピュータ18に画像形成装置(例えばプリンタ)を設けておき、この画像形成装置によって記録媒体(例えば用紙)に警告内容を示す画像を形成することにより警告する形態が挙げられる。これらの場合も、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。また、ディスプレイ18Fによる可視表示、鳴動手段による鳴動(可聴表示)及び画像形成装置による永久可視表示の少なくとも何れか2つを組み合わせて警告を行うようにしてもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、毎秒30フレームで撮影する場合の形態例を挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、3秒毎に1フレームの画像を撮影するようにしてもよい。このように、予め定められた撮影時間間隔で作業エリアを撮影すればよい。これにより、監視員による撮影の手間が省かれるので、監視員にかかる負担を軽減することができる。
【0069】
また、上記実施形態では、2台の監視カメラ12を用いて撮影する場合の形態例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、1台の監視カメラ12であってもよいし、3台以上の監視カメラ12を設置してもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、作業エリアAを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、作業エリアB及び作業エリアCの各々についても上記実施形態と同様の構成で同様の作用及び効果を得ることができる。そして、作業エリアB又は作業エリアCを撮影して得た動画像を表示すると共に上記監視処理を実行する場合、例えば、ホストコンピュータ18のキーボード18Eを介して作業エリアを指定することにより、ディスプレイ18Fに、指定した作業エリアの動画像を表示すると共にその動画像に対して上記監視処理を実行する形態が例示できる。この場合、作業エリアを指定するだけで複数の作業エリア間を跨いで監視することが可能となり、監視員の監視にかかる負担を更に軽減することができ、人件費の低廉化にも寄与することができる。
【0071】
また、上記実施形態では、ディスプレイ18Fに1台の監視カメラ12によって撮影されて得られた動画像を表示する形態例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数の監視カメラ12の各々によって撮影されて得られた動画像を複数の画面を用いて表示するようにしてもよいし、複数のディスプレイ18Fを予め用意しておいて、これらのディスプレイ18Fの各々に対して1台の監視カメラ12で撮影されて得られた動画像を表示するようにしてもよい。この場合、ホストコンピュータ18のキーボード18Eを介して指定したディスプレイ18Fの画面に表示されている動画像に対して上記監視処理を実行する形態が例示できる。
【0072】
また、上記実施形態では、2台の監視カメラ12の各々が作業エリアの全体を異なる画角で撮影する場合の形態例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、複数の監視カメラ12の各々に対して作業エリア内の異なる部分領域を撮影させるようにしてもよい。なお、この場合も、1つの領域に対して複数の監視カメラ12で様々な角度から撮影してもよい。これにより、IDカード16から発せられる赤外光を撮影できないという事態の発生を抑制することができる。
【0073】
また、上記実施形態では、作業エリアA〜Cに対して1台の送信装置14を用いた場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、作業エリアA〜Cの各々に対して1台ずつ送信装置14を設置してもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、IDカード16から赤外光を発する形態を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、IDカード16から可視光を発するようにしてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、監視カメラ12として、動画像の撮影を行うデジタルカメラを適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、静止画像の撮影を行うカメラ、所謂デジタル電子スチルカメラを適用する形態としてもよい。この場合も、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0076】
また、上記実施形態では、予め定められた送信時間(上記実施形態では、30分)間隔で要求信号を送信する場合の形態例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、監視員がホストコンピュータ18のキーボード18Eを介して要求信号の送信を指示した場合に送信装置14から要求信号を送信するようにしてもよい。これにより、監視員の要望に応じてIDカード16から赤外光を発させることができるので、利便性を向上させることができると共に監視員の監視にかかる負担を軽減することができる。
【0077】
また、上記実施形態では、ディスプレイ18Fに動画像を常時表示する場合の形態例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、送信装置14によって要求信号が送信されたときに、これに同期してCPU18Aにより監視カメラ12に対して動画像の撮影を開始させるように制御し、この時点からIDカード16の発光が開始されてから終了するまでの期間(例えば、1.5秒)として予め定められた期間が経過したときに撮影を終了させるようにしてもよい。また、この予め定められた期間に数秒加えた期間に監視カメラ12に対して撮影を行わせるようにしてもよい。このように、送信装置14によって要求信号が送信された場合、IDカード16が要求信号を受信したときに発光を開始してから終了するまでの期間を含む予め定められた期間に監視対象領域を撮影するようにしてもよい。これにより、画像情報を記憶するために必要とされる記憶領域(例えば、二次記憶部18Dの記憶領域)の容量を小さくすることができ、更に、撮影にかかる電力の消費量を抑制することができる。
【0078】
また、上記実施形態では、監視カメラ12として可視光用のカメラを適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、赤外線カメラを適用する形態としてもよい。この場合も、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0079】
また、上記実施形態では、監視員に対して作業エリアの状況の確認を促す警報としてディスプレイに18Fに所定のメッセージを表示する場合の形態例を挙げて説明したが、その他の形態例としては、上記実施形態で説明した所定のメッセージに代えて、警報の種類を示すコード番号を表示するようにしてもよい。例えば、図9に示すメッセージに対応するコード番号を“E1”とし、図10に示すメッセージに対応するコード番号を“E2”とし、図11に示すメッセージに対応するコード番号を“E3”とし、図13に示すメッセージに対応するコード番号を“E4”とする。更に、図9〜図11及び図13に各々に示すメッセージ又は上記コード番号と共に、ディスプレイ18Fに表示された発光状態に対応する許可者ID情報及びその許可者ID情報に対応する許可者名を一覧表形式で表示してもよい。なお、許可者名を表示する場合には、CPU18Aにより、ID情報データベースDB1から許可者ID情報に応当する許可者名情報を読み出し、読み出した許可者名情報により示される許可者名をディスプレイ18Fに表示すればよい。また、許可者名だけでなく、許可者が所属する部署名や出身地などの許可者に関する情報も併せて表示するようにしてもよい。この場合、例えば、ID情報データベースDB1のID情報に許可者毎に部署名や出身地などを示す個人情報を予め関連付けておけばよい。
【0080】
また、上記実施形態では、許可者毎に固有の発光状態を割り当てたが、これに限らず、作業エリア単位で同一の発光状態を許可者に割り当ててもよい。つまり、作業エリアAの許可者が所持するIDカード16の発光素子16Aは作業エリアAについて固有の発光状態で発光し、作業エリアBの許可者が所持するIDカード16の発光素子16Aは作業エリアBについて固有の発光状態で発光し、作業エリアCの許可者が所持するIDカード16の発光素子16Aは作業エリアCについて固有の発光状態で発光する。
【0081】
また、上記実施形態では、屋外の作業エリアを監視対象領域とした場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、病院、学校、美術館、博物館等の不特定多数の人が入場可能な屋内の特定エリアを監視対象領域にすることもできる。この場合も、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0082】
また、上記実施形態では、IDカード16における発光素子16Aが埋設されている箇所を透光性を有する材料で形成し、発光素子16Aから発せられる赤外光が監視カメラ12で撮影可能となるようにしたが、これに限らず、例えば、IDカード16の外装全てを透光性を有する材料(例えば、透明プラスチック)で構成してもよいし、発光素子16Aを外部に露呈させるように構成してもよい。このようにIDカード16は、赤外光が監視カメラ12で撮影可能となるように構成されていればよい。
【0083】
また、上記実施形態では、監視カメラ12により赤外光を捉え易くするために、IDカード16の角部の角を取るように構成することで赤外光の散乱を助長するようにしたが、これに限らず、例えば、透光性を有する箇所(発光素子16Aの埋設箇所)に多数の凹凸を形成することにより赤外光の散乱を助長するようにしてもよい。このように、IDカード16における発光素子16Aを覆っている透光性を有する箇所は、仮に監視カメラ12の設置台数が少なくても監視カメラ12のレンズに赤外光が十分に入射されるように広範囲にわたって赤外光を散乱させることができるような構成にすることが好ましい。
【0084】
また、上記実施形態では、有線ケーブルによって監視カメラ12とホストコンピュータ18とを接続することにより監視カメラ12とホストコンピュータ18との間での通信を可能にする形態例を挙げて説明したが、これに限らず、例えば、無線LANやWi−Fi(登録商標)によって監視カメラ12とホストコンピュータ18との間で通信可能となるように構成してもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、監視処理プログラム及び人物監視処理ルーチンプログラムが二次記憶部18Dに予め記憶されている場合の形態例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらのプログラムをCD−ROMやDVD−ROM、USBメモリなどのコンピュータによって読み取られる記録媒体に格納した状態で提供する形態を適用してもよいし、有線又は無線による通信手段を介して配信する形態を適用しても良い。
【符号の説明】
【0086】
10 監視システム
12 監視カメラ
14 送信装置
16 IDカード
16A 発光素子
18 ホストコンピュータ
18A CPU
18F ディスプレイ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象領域を撮影する撮影手段と、
前記監視対象領域に対して発光要求信号を送信する送信装置と、
人物によって所持可能な発光装置であって、前記送信装置から送信された発光要求信号を受信したときに所持者毎に予め定められた発光状態で前記撮影手段によって撮影可能な光を発する発光装置と、
前記発光装置から光が発せられる期間を含む予め定められた期間に前記撮影手段によって撮影されて得られた画像を表示する表示装置と、
を含む監視支援システム。
【請求項2】
前記監視対象領域に入ることが許可された許可者によって所持可能な前記発光装置の前記発光状態に対応付けられた該許可者を示す許可者情報を記憶した記憶手段、前記撮影手段によって撮影されて得られた画像から前記発光状態を検出する検出手段、前記記憶手段に該検出手段によって検出された発光状態に対応する前記許可者情報が記憶されているか否かを判定する判定手段、及び該判定手段によって前記許可者情報が記憶されていないと判定された場合に警報を発する警報手段を備えた警報装置を更に含む請求項1記載の監視支援システム。
【請求項3】
前記判定手段は、更に、前記撮影手段によって撮影されて得られた画像に人物画像が含まれているか否かを判定し、
前記警報手段は、前記判定手段によって前記許可者情報が記憶されていないと判定され、かつ前記人物画像が含まれていると判定された場合に警報を発する請求項2記載の監視支援システム。
【請求項4】
前記判定手段は、更に、前記撮影手段によって撮影されて得られた画像により示される発光状態の発光位置が所定期間内に変化しているか否かを判定し、
前記警報手段は、更に、前記判定手段によって前記発光位置が前記所定期間内に変化していないと判定された場合に警報を発する請求項2または請求項3記載の監視支援システム。
【請求項5】
前記撮影手段は、予め定められた撮影時間間隔で前記監視対象領域を撮影する請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の監視支援システム。
【請求項6】
コンピュータを、
監視対象領域を撮影する撮影手段、前記監視対象領域に対して発光要求信号を送信する送信装置、人物によって所持可能な発光装置であって、前記送信装置から送信された発光要求信号を受信したときに所持者毎に予め定められた発光状態で前記撮影手段によって撮影可能な光を発する発光装置、及び前記発光装置から光が発せられる期間を含む予め定められた期間に前記撮影手段によって撮影されて得られた画像を表示する表示装置を含んで構成された監視システムの前記撮影手段によって撮影されて得られた画像から前記発光パターンを検出する検出手段、
前記監視対象領域に入ることが許可された許可者によって所持可能な前記発光装置の前記発光状態に対応付けられた該許可者を示す許可者情報を記憶した記憶手段に前記検出手段によって検出された発光状態に対応する前記許可者情報が記憶されているか否かを判定する判定手段、及び
前記判定手段によって前記許可者情報が記憶されていないと判定された場合に警報を発させる警報手段として機能させるためのプログラム。
【請求項1】
監視対象領域を撮影する撮影手段と、
前記監視対象領域に対して発光要求信号を送信する送信装置と、
人物によって所持可能な発光装置であって、前記送信装置から送信された発光要求信号を受信したときに所持者毎に予め定められた発光状態で前記撮影手段によって撮影可能な光を発する発光装置と、
前記発光装置から光が発せられる期間を含む予め定められた期間に前記撮影手段によって撮影されて得られた画像を表示する表示装置と、
を含む監視支援システム。
【請求項2】
前記監視対象領域に入ることが許可された許可者によって所持可能な前記発光装置の前記発光状態に対応付けられた該許可者を示す許可者情報を記憶した記憶手段、前記撮影手段によって撮影されて得られた画像から前記発光状態を検出する検出手段、前記記憶手段に該検出手段によって検出された発光状態に対応する前記許可者情報が記憶されているか否かを判定する判定手段、及び該判定手段によって前記許可者情報が記憶されていないと判定された場合に警報を発する警報手段を備えた警報装置を更に含む請求項1記載の監視支援システム。
【請求項3】
前記判定手段は、更に、前記撮影手段によって撮影されて得られた画像に人物画像が含まれているか否かを判定し、
前記警報手段は、前記判定手段によって前記許可者情報が記憶されていないと判定され、かつ前記人物画像が含まれていると判定された場合に警報を発する請求項2記載の監視支援システム。
【請求項4】
前記判定手段は、更に、前記撮影手段によって撮影されて得られた画像により示される発光状態の発光位置が所定期間内に変化しているか否かを判定し、
前記警報手段は、更に、前記判定手段によって前記発光位置が前記所定期間内に変化していないと判定された場合に警報を発する請求項2または請求項3記載の監視支援システム。
【請求項5】
前記撮影手段は、予め定められた撮影時間間隔で前記監視対象領域を撮影する請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の監視支援システム。
【請求項6】
コンピュータを、
監視対象領域を撮影する撮影手段、前記監視対象領域に対して発光要求信号を送信する送信装置、人物によって所持可能な発光装置であって、前記送信装置から送信された発光要求信号を受信したときに所持者毎に予め定められた発光状態で前記撮影手段によって撮影可能な光を発する発光装置、及び前記発光装置から光が発せられる期間を含む予め定められた期間に前記撮影手段によって撮影されて得られた画像を表示する表示装置を含んで構成された監視システムの前記撮影手段によって撮影されて得られた画像から前記発光パターンを検出する検出手段、
前記監視対象領域に入ることが許可された許可者によって所持可能な前記発光装置の前記発光状態に対応付けられた該許可者を示す許可者情報を記憶した記憶手段に前記検出手段によって検出された発光状態に対応する前記許可者情報が記憶されているか否かを判定する判定手段、及び
前記判定手段によって前記許可者情報が記憶されていないと判定された場合に警報を発させる警報手段として機能させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−93837(P2012−93837A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−238682(P2010−238682)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(000003621)株式会社竹中工務店 (1,669)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(000003621)株式会社竹中工務店 (1,669)
【Fターム(参考)】
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