説明

目的地予測方法、システム及びプログラム

【課題】少なくとも対象の移動方向に基づいて目的地を予測する。
【解決手段】目的地予測方法は、滞在地の時系列的な遷移を示す情報を含む滞在パタンの中から対象の現在の滞在地を含む適合滞在パタンを探索することと、適合滞在パタンの各々から現在の滞在地の次の滞在地を抽出することと、現在の滞在地と次の滞在地の各々とを結ぶ候補目的地ベクトルを算出することと、対象の現在の移動方向を示す移動方向ベクトルを算出することと、候補目的地ベクトル及び移動方向ベクトルに基づいて対象の目的地を予測することとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象の目的地予測に関する。
【背景技術】
【0002】
GPSなどに代表される位置情報センサは、小型化、低価格化が進んでおり、様々な機器に搭載されつつある。例えば、携帯電話機の位置情報をGPSで検出し、現在地に応じた情報(例えば、近隣の施設情報など)をユーザに提供する通信サービスが運用されている。また、カーナビゲーションシステムにおいても、現在地に応じた情報が提供される。
【0003】
係る現在地に応じた情報提供サービスに加えて、対象(ユーザなど)の目的地(次の滞在地)を予測して当該目的地に応じた情報を提供するサービスも想定することができる。ユーザの目的地を予測する技術として、例えば特許文献1が知られている。
特許文献1記載の行動予測装置は、事前に作成された行動パタン(滞在地の系列と、各滞在地における滞在開始時刻及び滞在終了時刻の平均値及び分散などの時刻情報とを含む)を利用してユーザの目的地を予測する。具体的には、この行動予測装置は、夫々の行動パタンにおける各滞在地及び対応する時刻情報と、現在地及び現在時刻とを比較することにより、1つの行動パタンを選択する。この行動予測装置は、選択した行動パタンに基づいてユーザの目的地を予測する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−191589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載の行動予測装置は、夫々の行動パタンにおける各滞在地及び対応する時刻情報と、現在地及び現在時刻とを比較する(具体的には、各行動パタンに関する尤度を評価する)ことにより、1つの行動パタンを選択する。従って、滞在地に対応する時刻情報と現在時刻とが乖離している場合に、適切な行動パタンが選択されないおそれがある。特に、分岐の多い滞在地において、係る現象が生じやすいと予想される。
【0006】
従って、本発明は、少なくとも対象の移動方向に基づいて目的地を予測することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る目的地予測方法は、滞在地の時系列的な遷移を示す情報を含む滞在パタンの中から対象の現在の滞在地を含む適合滞在パタンを探索することと、適合滞在パタンの各々から現在の滞在地の次の滞在地を抽出することと、現在の滞在地と次の滞在地の各々とを結ぶ候補目的地ベクトルを算出することと、対象の現在の移動方向を示す移動方向ベクトルを算出することと、候補目的地ベクトル及び移動方向ベクトルに基づいて対象の目的地を予測することとを含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、少なくとも対象の移動方向に基づいて目的地を予測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】各実施形態に係る目的地予測システムを例示するブロック図。
【図2】図1の目的地予測部の動作を例示するフローチャート。
【図3】第1の実施形態に係る目的地予測処理を例示するフローチャート。
【図4】移動方向ベクトルの算出手法の一例を示す図。
【図5】移動方向ベクトル及び単位目的地ベクトルの説明図。
【図6】滞在地情報を例示する図。
【図7】特徴滞在パタンを例示する図。
【図8A】適合する特徴滞在パタンの説明図。
【図8B】適合する特徴滞在パタンの説明図。
【図9】第2の実施形態に係る目的地予測処理を例示するフローチャート。
【図10】有効領域の一例を示す図。
【図11】有効領域の別の例を示す図。
【図12】図1の目的地予測部の内部を例示するブロック図。
【図13】図12の予測処理部の内部の一例を示すブロック図。
【図14】図12の予測処理部の内部の別の例を示すブロック図。
【図15】有効領域の別の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
図1に示されるように、第1の実施形態に係る目的地予測システムは、入力装置110、記録装置120、処理装置130及び出力装置140を含む。尚、入力装置110、記録装置120、処理装置130及び出力装置140は、全て同一の機器(例えば、携帯電話機、モバイルPC、ポータブルメディアプレーヤなどの携帯端末)に組み込まれてもよいし、異なる機器に夫々組み込まれてもよい。例えば、これらの一部が携帯端末に組み込まれ、残りがサーバに組み込まれてもよい。
【0011】
入力装置110は、位置情報取得部111を含む。入力装置110は、例えばGPS受信機である。位置情報取得部111は、GPSまたは他の方式によって対象の位置情報(通常は、ユーザの位置情報)を取得し、後述する滞在地管理部121に入力する。
【0012】
記録装置120は、滞在地管理部121及び特徴滞在パタン管理部122を含む。尚、これらは別個の記録装置の一部として夫々実装されてもよい。記録装置120は、任意の情報記憶媒体(例えば、HDD、SSD、フラッシュメモリなど)によって形成されてよい。
【0013】
滞在地管理部121は、位置情報取得部111からの位置情報11を対応する滞在地情報(或いは、住所情報)に変換する。滞在地管理部121は、滞在地情報を記録装置120に蓄積させる。また、滞在地管理部121は、必要に応じて、現在の滞在地情報14を目的地予測部132に出力したり、滞在地情報の履歴12を特徴滞在パタン生成部131に出力したりする。
【0014】
滞在地情報は、特定の施設、ユーザの自宅、ユーザの会社などの滞在地を識別するラベル情報(例えば、図6における「滞在地」の列)を少なくとも含む。更に、図6に示されるように、滞在地情報は、各滞在地における滞在開始時刻を含むことができるし、滞在終了時刻を含むこともできる。位置情報11と滞在地情報との対応関係は、事前に定義されており、例えばテーブル形式で保存されてもよい。
【0015】
特徴滞在パタン管理部122は、後述する特徴滞在パタン生成部131からの特徴滞在パタン13を記録装置120に蓄積させる。また、特徴滞在パタン管理部122は、必要に応じて、蓄積された特徴滞在パタン15を目的地予測部132へ出力したりする。
【0016】
特徴滞在パタンは、滞在地の時系列的な遷移を示す情報(例えば、図7における「滞在パタン」の列)を少なくとも含む。また、図7に示されるように、特徴滞在パタンは、各滞在地に対応する時刻情報(平均滞在開始時刻、平均滞在終了時刻、滞在開始時刻の分散及び滞在終了時刻の分散など)を含むことができる。特徴滞在パタンは、対象の特徴的な(典型的な)行動を表す。
【0017】
処理装置130は、特徴滞在パタン生成部131及び目的地予測部132を含む。尚、これらは別個の処理装置の一部として夫々実装されてもよい。処理装置130は、所定のプログラムを実行する汎用プロセッサなどであってもよいし、所定の処理を実行するように設計された専用回路などであってもよい。
【0018】
特徴滞在パタン生成部131は、滞在地管理部121からの滞在地情報の履歴12に対してマイニング処理などを行い、特徴滞在パタン13を生成する。特徴滞在パタン生成部131は、生成した特徴滞在パタン13を特徴滞在パタン管理部122に出力する。
【0019】
目的地予測部132は、滞在地管理部121からの現在の滞在地情報14と、特徴滞在パタン管理部122からの特徴滞在パタン15とに基づいて、目的地(即ち、次の滞在地)を予測する。尚、目的地予測処理の詳細は後述する。目的地予測部132は、予測目的地の目的地情報16を後述する提示部141に出力する。目的地情報16は、予測目的地を示す情報であってもよいし、予測目的地に応じた付加情報であってもよいし、これらの組み合わせであってもよい。
【0020】
出力装置140は、提示部141を含む。出力装置140は、例えば、画像を出力可能なディスプレイ、プリンタなどであってもよいし、音声を出力可能なスピーカなどであってもよいし、これらの組み合わせであってもよい。提示部141は、目的地予測部132からの目的地情報16を外部に提示する。
【0021】
以下、図2を用いて図1の目的地予測部132の例示的な動作を説明する。図2の処理が開始すると、目的地予測部132は、現在の滞在地情報14を滞在地管理部121から入力し(ステップS201)、特徴滞在パタン15を特徴滞在パタン管理部122から入力する(ステップS202)。尚、ステップS201及びステップS202の実行順は任意であり、いずれか一方が他方に比べて先行して実行されてもよいし、両者が並行して実行されてもよい。
【0022】
ステップS201及びステップS202に引き続き、目的地予測部132は、ステップS201において入力した現在の滞在地情報14に基づいて、ステップS202において入力した特徴滞在パタン15の中から適合する特徴滞在パタンを探索する(ステップS203)。ステップS203において、少なくとも1つの適合する特徴滞在パタンが探索できたならば処理はステップS205に進み、そうでなければ処理は終了する(ステップS204)。
【0023】
ここで、適合する特徴滞在パタンを探索する手法の一例を説明する。適合する特徴滞在パタンは、現在の滞在地情報14によって識別される現在の滞在地を含む特徴滞在パタンである。現在の滞在地情報14が滞在地「A駅」を識別する場合には、目的地予測部132は例えば図8Aに示される特徴滞在パタンの中から「A駅」を含むものを探索する。従って、図8Bに示されるように、目的地予測部132は<A駅>、<A駅,F駅>、<A駅,G駅>及び<A駅,D駅,F駅>を適合する特徴滞在パタンとして探索する。
【0024】
ステップS205において、目的地予測部132は、後述する目的地予測処理を実行する。次に、目的地予測部132はステップS205において予測した目的地情報16を提示部141へと出力し(ステップS206)、処理は終了する。
以下、図3を用いて図2のステップS205の目的地予測処理の詳細を説明する。この説明に先立ち、図12を用いて、目的地予測部132の内部を簡単に説明する。目的地予測部132は、パタン探索部401、滞在地抽出部402、第1のベクトル算出部403、第2のベクトル算出部404及び予測処理部410を含む。尚、前述のステップS201乃至ステップS204は、パタン探索部401によって行われる。
【0025】
図3の処理が開始すると、滞在地抽出部402は、ステップS203において探索された適合する特徴滞在パタンの各々から、現在の滞在地の次の滞在地を抽出する(ステップS301)。図8Bの例であれば、滞在地抽出部402は<A駅,F駅>、<A駅,G駅>及び<A駅,D駅,F駅>の中から、「F駅」、「G駅」及び「D駅」を次の滞在地(換言すれば、候補目的地)として夫々抽出する。但し、<A駅>のように次の滞在地が存在しない場合には、滞在地抽出部402は次の滞在地を抽出しない。
【0026】
第1のベクトル算出部403は、現在の滞在地と、ステップS301において抽出された次の滞在地の各々とを結ぶ候補目的地ベクトル17を算出する(ステップS302)。予測処理部410の内部のベクトル正規化部411(図13に示される)は、ステップS302において算出された候補目的地ベクトル17の各々を正規化し、単位目的地ベクトルを得る(ステップS303)。尚、本実施形態において、予測処理部410は、図13に示されるように、ベクトル正規化部411、内積算出部412及びベクトル抽出部413を含む。
【0027】
第2のベクトル算出部404は、対象の現在の移動方向を示す移動方向ベクトル18を算出する(ステップS304)。尚、ステップS301乃至ステップS303と、ステップS304との実行順は任意であり、いずれか一方が他方に比べて先行して実行されてもよいし、両者が並行して実行されてもよい。
【0028】
ここで、移動方向ベクトル18の算出手法の一例を説明する。第2のベクトル算出部404は、図4及び下記の数式(1)に示されるように、現在までに検出された最新(n+1)点の位置情報(nは1以上の整数)によって規定されるn個の移動ベクトルの平均を移動方向ベクトルVxとして算出することができる。尚、図4及び数式(1)において、P(x)は現在の位置情報を表しており、P(x−k)はk回前に検出された位置情報を表している。
【0029】
【数1】

或いは、第2のベクトル算出部404は、例えば電子コンパスなどを利用して移動方向ベクトル18を算出してもよい。
ステップS301−ステップS303及びステップS304の結果、例えば図5に示されるように少なくとも1つ(本例では6つ)の単位目的地ベクトルV,・・・,Vと、移動方向ベクトルVxとが得られる。内積算出部412は、ステップS304において算出した移動方向ベクトル18と、ステップS303において算出した単位目的地ベクトルの各々との内積を計算する(ステップS305)。この内積は、単位目的地ベクトルの移動方向ベクトル18に対する角度差が小さいほど大きな値となる。従って、内積の大きさによって、各候補目的地が移動方向にどの程度合致しているかを見積もることができる。
【0030】
ベクトル抽出部413は、ステップS305において算出される内積が最大となる単位目的地ベクトルを抽出する(ステップS306)。ステップS306において抽出された単位目的地ベクトルに対応する(次の)滞在地が予測目的地として扱われ(ステップS307)、処理が終了する。図5の例であれば、単位目的地ベクトルVについて計算される内積が最大となるので、B駅が予測目的地として扱われることになる。
【0031】
尚、上記説明では、内積が最大となる1つの単位目的地ベクトルが利用されている。しかしながら、その他の単位目的地ベクトルを利用することもできる。例えば、内積を候補目的地の絞り込みのための評価値として利用することができる。具体的には、内積の降順に所望の個数の候補目的地を絞り込むことができる。或いは、内積が閾値以上となる複数の候補目的地を絞り込んでもよい。複数の候補目的地を利用する場合に、対応する内積の大きさによってこれらをランク付けしてもよい。また、係る絞り込みの後に、従来の目的地予測処理(例えば、特許文献1に記載されている手法)を更に実施してもよい。その際には、上記内積に応じた重み付けを行ってもよい。
【0032】
以上説明したように、第1の実施形態に係る目的地予測システムは、適合する特徴滞在パタンの各々から現在の滞在地の次の滞在地を抽出し、現在の滞在地からこれら次の滞在地を結ぶ候補目的地ベクトルを算出する。更に、この目的地予測システムは、対象の移動方向を示す移動方向ベクトルを算出する。そして、この目的地予測システムは、これら候補目的地ベクトルを正規化した単位目的地ベクトルと移動方向ベクトルとの内積を算出し、係る内積が最大となる単位目的地ベクトルに対応する次の滞在地を予測目的地として扱う。従って、本実施形態に係る目的地予測システムによれば、対象の移動方向に基づく目的地予測が可能となり、予測精度が現在時刻によらず安定する。この目的地予測システムは、特に、分岐の多い滞在地における目的地予測に好適である。
【0033】
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る目的地予測システムは、前述の第1の実施形態に係る目的地予測システムと比べて、目的地予測処理の詳細において異なる。以下の説明では、第1の実施形態と同様の部分には同様の符号を付して示し、重複する説明を基本的に省略する。
【0034】
具体的には、前述の図2のステップS205における目的地予測処理の一部が、本実施形態において変更される。また、前述の図12の予測処理部410の内部が、本実施形態において変更される。即ち、図14に示されるように、予測処理部410は、有効領域導出部421及びベクトル抽出部422を含む。以下、図9を用いて、本実施形態に係る目的地予測処理の詳細を説明する。
【0035】
図9におけるステップS301、ステップS302及びステップS304の処理は、図3のものと同様である。尚、ステップS301及びステップS302と、ステップS304との実行順は任意であり、いずれか一方が他方に比べて先行して実行されてもよいし、両者が並行して実行されてもよい。
【0036】
有効領域導出部421は、ステップS304において算出された移動方向ベクトル18に基づいて有効領域を導出する(ステップS311)。有効領域は、典型的には、図10、図11及び図15に示されるように、移動方向ベクトル18からの角度及び距離の少なくとも一方に基づいて導出される。図10の例に関して、有効領域導出部421は、移動方向ベクトル18との角度差がX度以下であるベクトルの終点(始点は、移動方向ベクトル18と同じである)の座標の集合を有効領域として導出する。
図15の例に関して、有効領域導出部421は、移動方向ベクトル18の始点からの距離のうち移動方向ベクトル18と同一の方向軸の分解成分が0[m]以上X[m]以下である座標の集合を有効領域として導出する。ここで、移動方向ベクトル18の始点を基準に移動方向ベクトル18と反対の方向に位置する座標は、上記同一の方向軸の分解成分は負の値となる。図11の例に関して、有効領域導出部421は、移動方向ベクトル18の始点からの距離のうち移動方向ベクトル18と直交する方向軸の分解成分の絶対値がY[m]以下であって、かつ、上記同一の方向軸の分解成分が0[m]以上である座標の集合を有効領域として導出する。
尚、有効領域はこれらに限られず、例えば移動方向ベクトル18との角度差及び距離を自由に組み合わせて導出することができる。一例として、有効領域導出部421は、移動方向ベクトル18との角度差が所定値以下であるベクトルの終点であって、かつ、移動方向ベクトル18の始点からの距離のうち移動方向ベクトル18と直交する方向軸の分解成分及び同一の方向軸の分解成分の少なくとも一方が所定の範囲内にある座標の集合を有効領域として導出してもよい。有効領域に属する候補目的地ベクトルは、移動方向ベクトル18と(例えば角度、距離などの観点から)類似するベクトルであるとみなすことができる。従って、有効領域を利用することにより、候補目的地が移動方向に合致しているか否かを判定することができる。
【0037】
ベクトル抽出部422は、ステップS311において導出される有効領域に属する候補目的地ベクトルを抽出する(ステップS312)。ステップS313において抽出された候補目的地ベクトルに対応する(次の)滞在地が予測目的地として扱われ(ステップS313)、処理が終了する。
【0038】
尚、複数の候補目的地ベクトルが有効領域に属する場合も想定される。係る場合には、絞り込まれた複数の候補目的地に対して、従来の目的地予測処理(例えば、特許文献1に記載されている手法)を更に実施してもよい。
以上説明したように、第2の実施形態に係る目的地予測システムは、第1の実施形態と同様に候補目的地ベクトル及び移動方向ベクトルを算出する。更に、この目的地予測システムは、移動方向ベクトルに基づいて有効領域を導出する。そして、この目的地予測システムは、各候補目的地ベクトルが有効領域に属するか否かを判定することにより、目的地を予測する。従って、本実施形態に係る目的地予測システムによれば、対象の移動方向に基づく目的地予測が可能となり、予測精度が現在時刻によらず安定する。この目的地予測システムは、特に、分岐の多い滞在地における目的地予測に好適である。
【0039】
尚、上記各実施形態は、その記載の通りに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって種々の態様を形成できる。また、例えば、各実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除した構成も考えられる。更に、異なる実施形態に記載した構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0040】
上記各実施形態の処理は、汎用のコンピュータを基本ハードウェアとして用いることで実現可能である。上記各実施形態の処理を実現するプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体に格納して提供されてもよい。プログラムは、インストール可能な形式のファイルまたは実行可能な形式のファイルとして記憶媒体に記憶される。記憶媒体としては、磁気ディスク、光ディスク(CD−ROM、CD−R、DVD等)、光磁気ディスク(MO等)、半導体メモリなど、プログラムを記憶でき、かつ、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体であれば、何れの形態であってもよい。また、上記各実施形態の処理を実現するプログラムを、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ(サーバ)上に格納し、ネットワーク経由でコンピュータ(クライアント)にダウンロードさせてもよい。
【符号の説明】
【0041】
11・・・位置情報
12・・・滞在地情報の履歴
14・・・現在の滞在地情報
13,15・・・特徴滞在パタン
16・・・目的地情報
17・・・候補目的地ベクトル
18・・・移動方向ベクトル
110・・・入力装置
111・・・位置情報取得部
120・・・記録装置
121・・・滞在地管理部
122・・・特徴滞在パタン管理部
130・・・処理装置
131・・・特徴滞在パタン生成部
132・・・目的地予測部
140・・・出力装置
141・・・提示部
401・・・パタン探索部
402・・・滞在地抽出部
403・・・第1のベクトル算出部
404・・・第2のベクトル算出部
410・・・予測処理部
411・・・ベクトル正規化部
412・・・内積算出部
413・・・ベクトル抽出部
421・・・有効領域導出部
422・・・ベクトル抽出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
滞在地の時系列的な遷移を示す情報を含む滞在パタンの中から対象の現在の滞在地を含む適合滞在パタンを探索することと、
前記適合滞在パタンの各々から前記現在の滞在地の次の滞在地を抽出することと、
前記現在の滞在地と前記次の滞在地の各々とを結ぶ候補目的地ベクトルを算出することと、
前記対象の現在の移動方向を示す移動方向ベクトルを算出することと、
前記候補目的地ベクトル及び前記移動方向ベクトルに基づいて前記対象の目的地を予測することと
を具備する、目的地予測方法。
【請求項2】
前記候補目的地ベクトルの各々を正規化し、単位目的地ベクトルを得ることと、
前記移動方向ベクトルと前記単位目的地ベクトルの各々との内積を算出することと、
前記内積が最大となる単位目的地ベクトルを抽出し、抽出した単位目的地ベクトルに対応する次の滞在地を前記目的地として扱うことと
を更に具備する、請求項1の目的地予測方法。
【請求項3】
前記移動方向ベクトルに基づいて有効領域を導出することと、
前記有効領域に属する候補目的地ベクトルを抽出し、抽出した候補目的地ベクトルに対応する次の滞在地を前記目的地として扱うことと
を更に具備する、請求項1の目的地予測方法。
【請求項4】
前記有効領域は、前記移動方向ベクトルとの角度差が所定値以下であるベクトルの終点の座標の集合である、請求項3の目的地予測方法
【請求項5】
前記有効領域は、前記移動方向ベクトルの始点からの距離のうち前記移動方向ベクトルと直交する方向軸の分解成分及び同一の方向軸の分解成分の少なくとも一方が所定の範囲内にある座標の集合である、請求項3の目的地予測方法。
【請求項6】
前記有効領域は、前記移動方向ベクトルとの角度差が所定値以下であるベクトルの終点であって、かつ、前記移動方向ベクトルの始点からの距離のうち前記移動方向ベクトルと直交する方向軸の分解成分及び同一の方向軸の分解成分の少なくとも一方が所定の範囲内にある座標の集合である、請求項3の目的地予測方法。
【請求項7】
前記移動方向ベクトルは、前記対象の位置情報の履歴に基づいて算出される、請求項1の目的地予測方法。
【請求項8】
前記移動方向ベクトルは、現在までに検出された最新(n+1)点の前記対象の位置情報(nは1以上の整数)によって規定されるn個の移動ベクトルの平均である、請求項7の目的地予測方法。
【請求項9】
滞在地の時系列的な遷移を示す情報を含む滞在パタンの中から対象の現在の滞在地を含む適合滞在パタンを探索するパタン探索部と、
前記適合滞在パタンの各々から前記現在の滞在地の次の滞在地を抽出する滞在地抽出部と、
前記現在の滞在地と前記次の滞在地の各々とを結ぶ候補目的地ベクトルを算出する第1のベクトル算出部と、
前記対象の現在の移動方向を示す移動方向ベクトルを算出する第2のベクトル算出部と、
前記候補目的地ベクトル及び前記移動方向ベクトルに基づいて前記対象の目的地を予測する予測処理部と
を具備する、目的地予測システム。
【請求項10】
コンピュータを
滞在地の時系列的な遷移を示す情報を含む滞在パタンの中から対象の現在の滞在地を含む適合滞在パタンを探索する手段、
前記適合滞在パタンの各々から前記現在の滞在地の次の滞在地を抽出する手段、
前記現在の滞在地と前記次の滞在地の各々とを結ぶ候補目的地ベクトルを算出する手段、
前記対象の現在の移動方向を示す移動方向ベクトルを算出する手段、
前記候補目的地ベクトル及び前記移動方向ベクトルに基づいて前記対象の目的地を予測する手段
として機能させるための目的地予測プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−98925(P2012−98925A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−246370(P2010−246370)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】