直列接続インバーター圧電発振器
【課題】 圧電振動子を用い微少質量を検出するQCM等のセンサー発振器、通信用の周波数基準に用いる発振器の発振回路に適用する。
【解決手段】 シミュレーションによって回路の発振条件を明確にし,その結果を元に発振回路の構成が容易で、電源変動特性に優れ、可変範囲が広く、さらに、信頼性の高い圧電発振回路を提供する。これにより、特に低周波発振においては発振を容易に行うことができ、しかも回路のリアクタンスを、インダクターを用いること無く誘導性の範囲まで大きくすることが可能となる。
【解決手段】 シミュレーションによって回路の発振条件を明確にし,その結果を元に発振回路の構成が容易で、電源変動特性に優れ、可変範囲が広く、さらに、信頼性の高い圧電発振回路を提供する。これにより、特に低周波発振においては発振を容易に行うことができ、しかも回路のリアクタンスを、インダクターを用いること無く誘導性の範囲まで大きくすることが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動子を用い微少質量を検出するQCM等のセンサー発振器、通信用の周波数基準に用いる発振器の発振回路に関する。
【背景技術】
【0002】
図25に従来の発振回路例を示す。同回路ではインバーターの出力より入力へ大きな帰還抵抗:Rf(ここでは、20KHz〜60KHzで20MΩ)を挿入し動作点の安定化を図る。インバーター入力から、コンデンサCgを介し接地(GND)し、更に同インバーター入力より圧電振動子、抵抗:Rdを介し同インバーター出力に接続する。また、同コンデンサと抵抗の接続点よりコンデンサ:Cdを介し接地(GND)する。インバーターの接地(GND)端子を接地、電源端子を電源に接続、また電源端子と接地間にパスコンデンサを挿入し、電源ラインを交流的に接地する。
【0003】
図26に図25に示す回路の発振出力波形を示す。出力波形の立ち上がり、立下りが緩やかで完全な矩形波になっていない。
【0004】
図27に同回路の発振周波数及び消費電流対電源電圧の関係を示す。電源電圧が3.7Vdcで発振停止する。
【0005】
図28には圧電振動子に直列にコンデンサを挿入し、同コンデンサ容量による発振周波数の変化を示す。可変範囲としてΔf/f0≒35ppmを得る。(Δf=発振周波数−f0;f0=公称周波数(=32.768kHz))
次に図29の従来回路の回路ブロック図に従いシミュレーションを行う。コンデンサ:C5はインバーター1の出力容量とする。同図にキルヒホッフの法則を適用する。電流の関係より(1)式、(2)式、(3)式を得る。電圧の関係より(4)式、(5)式、(6)式を得る。
【数1】
【数2】
【数3】
【数4】
【数5】
【数6】
(1)式〜(6)式より発振の臨界条件を示す(7)式を得る。
【数7】
(7)式より振動子インピーダンス:zxtからの回路インピーダンスを求め(8)式を得る。
【数8】
z1〜z6のインピーダンスを(9)式に示す設定を行い、(8)式へ代入し(7)式より振動子インピーダンス:zxtからの回路インピーダンスを求める。回路の抵抗:Rci、回路容量:Cciとし(10)式を得る。
【数9】
【数10】
(10)式のra.ca.rb.cbを(11)式に示す。
【数11】
(10)式に示すRci、Cciのシミュレーション結果を図30〜図32に示す。図30は抵抗:R4をパラメーターとし発振周波数と回路抵抗:Rci,回路容量:Cciの関係であり、定数をC1=14pF、C3=10pF,C5=4pF、R6=20MΩ、gm=0.1mA/Vと設定したときのものである。C1及びC5に内に含まれる4pFはインバーター内の寄生容量とする。抵抗値を大きくすることで負性抵抗が小さくなる。
【0006】
図31は入出力間抵抗:R6をパラメーターとし発振周波数と回路抵抗:Rci,回路容量:Cciの関係であり、定数をC1=14pF、C3=10pF,C5=4pF、R4=0.5MΩ、gm=0.1mA/Vと設定した時のものである。発振周波数=32KHz近傍では抵抗値:R6=10MΩ以下で負性抵抗を失う。
【0007】
図32は相互コンダクタンス:gmをパラメーターとし発振周波数と回路抵抗:Rci,回路容量:Cciの関係でありC1=14pF、C3=10pF,C5=4pF、C5=4pF、R4=0.5MΩ、R6=20MΩと設定した時のものである。発振周波数=32KHz近傍では、gm:0.1mA/Vで負性抵抗値は最大値を示し、それより大きくても、小さくても負性抵抗は小さくなる。このことは電源変動による相互コンダクタンスの変動により発振範囲が狭くなることを示す。
【0008】
図33に従来回路例−2を示す。同図はインバーターゲートを2段で発振させる回路であり、「CRYSTAL OSCILLATOR DESIGN AND TEMPERATURE COMPENSATION Marvin E. Frenking Copyright 1978」に掲載されている。インバーターとインバーターの入出力間にインダクターとコンデンサの直列回路を挿入している。しかしながら、発振条件が不明であり、実用化には至っていない。
【0009】
図34に従来回路例−3を示す。同図は、「水晶周波数制御デバイス、岡野庄太郎著」より引用した。TTLのNANDゲートを使用するもので、NANDゲートによる遅延に相当するインダクターによる発振とし、不安定であり実用化できないとしている。
【非特許文献1】CRYSTAL OSCILLATOR DESIGN AND TEMPERATURE COMPENSATION Marvin E.Frenking Copyright 1978
【非特許文献2】水晶周波数制御デバイス、岡野庄太郎著
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述のように、従来から提案されている技術では、実用化を図ることは容易ではない。本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、特に低周波圧電発振回路において、発振回路の構成が容易で、電源変動特性に優れ、可変範囲が広く、さらに回路の発振条件を明確にし、信頼性の高い圧電発振回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明に係る発振回路は、複数のロジックインバーターを備える発振回路であって、第1のロジックインバーターの入力と接地間に設けられた第1の2端子インピーダンス回路と、前記第1のロジックインバーターの出力と接地間に設けられた第2の2端子インピーダンス回路と、前記第1のロジックインバーターの出力と第2のロジックインバーターの入力とを接続する第3の2端子インピーダンス回路と、前記第2のロジックインバーターの入力と接地間に設けられた第4の2端子インピーダンス回路と、前記第2のロジックインバーターの出力と接地間に設けられた第5の2端子インピーダンス回路と、前記第2のロジックインバーターの出力と前記第1のロジックインバーターの入力間に設けられた第6の2端子インピーダンス回路と、前記第1のロジックインバーターの入出力間に設けられた第7の2端子インピーダンス回路と、を備えることを特徴としている。
【0012】
(2)また、本発明に係る発振回路は、前記第1の2端子インピーダンス回路、第2の2端子インピーダンス回路、第4の2端子インピーダンス回路、および第5の2端子インピーダンス回路は、容量性リアクタンスであり、前記第3の2端子インピーダンス回路、および第7の2端子インピーダンス回路は抵抗であり、前記第6の2端子インピーダンス回路は圧電振動子と発振周波数調整用回路であることを特徴としている。
【0013】
(3)また、本発明に係る発振回路は、前記第1及び第2のロジックインバーターの電源端子と接地端子間に、所定の電圧を供給する電圧部と、交流を接地するバイパス容量とをさらに備えることを特徴としている。
【0014】
(4)また、本発明に係る発振回路は、前記第3の2端子インピーダンス回路の抵抗を0Ωとすることを特徴としている。
【0015】
(5)また、本発明に係る発振回路は、前記第1、第2、第4、第5の2端子インピーダンス回路の容量性リアクタンス回路をインバーター内部の寄生容量で置き換えると共に、前記第3の2端子インピーダンス回路の抵抗を0Ωとすることを特徴としている。
【0016】
(6)また、本発明に係る発振器は、請求項1から請求項5のいずれかに記載の発振回路を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、以上に示す様な発振回路の構成を行うことにより、特に低周波発振においては発振を容易に行うことができ、しかも回路のリアクタンスを、インダクターを用いること無く誘導性の範囲まで大きくすることができる。そのことは図24にしめす可変容量比較で明らかなように、容量可変において大きな周波数可変範囲を得ることができる。これらの特徴はQCM(水晶振動子を用いる微少質量測定)、などのセンサー発振、通信向け発振に対し大きな効果を与え、これらの分野の技術発展に期待を与えるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、第1のロジックインバーターと第2のロジックインバーターを用意し、第1のロジックインバーターの入力と接地間に第1の2端子インピーダンス回路を、出力と接地間に第2の2端子インピーダンス回路を挿入する。第1のロジックインバーター出力から第3の2端子インピーダンス回路を介し第2のロジックインバーターの入力に接続する。第2のロジックインバーターの入力と接地間に第4の2端子インピーダンス回路を、出力と接地間に第5の2端子インピーダンス回路を挿入する。第2のロジックインバーターの出力から第1のロジックインバーターの入力間に第6の2端子インピーダンス回路を挿入、第1のロジックインバーターの入出力間に第7の2端子インピーダンス回路を挿入する発振回路、及び同発振回路を使用する発振器を構成している。
【0019】
但し、第1の2端子インピーダンス回路、第2の2端子インピーダンス回路、第4の2端子インピーダンス回路、第5の2端子インピーダンス回路を容量性リアクタンスとし、第3の2端子インピーダンス回路、第7の2端子インピーダンス回路を抵抗、第6の2端子インピーダンス回路を圧電振動子と発振周波数調整用回路とする。
【0020】
尚、第1及び第2のロジックインバーターの電源端子と接地端子間には適切な電圧と、交流を接地するバイパス容量を挿入する。
【0021】
また、本発明は、上記第3の2端子インピーダンス回路の抵抗を0Ω(ショート)とする発振回路、同発振回路を使用する発振器を構成する。
【0022】
また、上記第1、第2、第4、第5の2端子インピーダンス回路の容量性リアクタンス回路をインバーター内部の寄生容量で置き換え、さらに第3の2端子インピーダンス回路の抵抗を0Ω(ショート)とする発振回路、同発振回路を使用する発振器を構成する。
【0023】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1に本発明に係る発振回路ブロックモデルを示す。z1〜z7は2端子のインピーダンス回路を示す。INVはインバーターロジック、gmは相互コンダクタンスを示す。
【0024】
同図1にキルヒホッフの法則を適応する。電流の関係より(12)式〜(14)式、電圧の関係より(15)式〜(17)式を得る。
【数12】
【数13】
【数14】
【数15】
【数16】
【数17】
(12)式〜(17)式より発振回路の発振に至る臨界条件を与える(18)式を得る。
【数18】
(18)式を展開し、さらにz6を圧電振動子と見なし(z6=zxt)、振動子と回路インピーダンスを分離し(19)式を得る。
【数19】
(20)式に各インピーダンスの設定を行い、(19)式へ代入する。
【数20】
発振回路の抵抗をRci、容量性リアクタンスをCci、誘導性リアクタンスをLciとし(21)式に示す。Ra.xa,rb,xbはそれぞれ(22)式で与えられる。
【数21】
【数22】
(21)式に基づき下記条件設定で、シミュレーションを行う。その時の定数はC1=C2=C4=C5=14pF(インバーターの入出力と接地間寄生容量を4pFとする。)とし、R3、R7、gmをパラメーターとして可変する。
【0025】
図2に第1インバーター(INV−1)出力と第2インバーター(INV−2)入力間抵抗:R3をパラメーターとする、発振周波数と起動時回路抵抗:Rci及び起動時の回路誘導性リアクタンスの関係を示す。その時の定数はR7=820KΩ、gm=1μA/Vである。
【0026】
Rciの最大値近傍ではR3の値による「差」は多きいが、30KHz近傍ではほとんどその差はない。またリアクタンスについては、30KHz近傍では誘導性(L性)であるが、10KHz近傍では容量性を示し、誘導性は失われる。
【0027】
図3に第1インバーター入出力力間抵抗:R7をパラメーターとする、発振周波数対起動時回路抵抗:Rci及び起動時の回路誘導性リアクタンスの関係を示す。その時の定数はR3=20KΩ、gm=1μA/Vである。
【0028】
抵抗:R7を大きくすることにより負性抵抗の周波数特性は急峻となり、その最大値は急激に増し、周波数の低い方に移行する。抵抗:R7を小さくすることにより負性抵抗は低下、周波数特性は鈍化する。但し、30kHzでは抵抗値の最も小さいR7=560kHzで最大値を示す。
【0029】
図4にインバーターの相互コンダクタンス:gmをパラメーターとする、発振周波数と起動時回路抵抗:Rci及び起動時の回路誘導性リアクタンスの関係を示す。その時の定数はR3=20KΩ、R7=820KΩである。
【0030】
gmが1μA/V以下では周波数特性に大きな変化はないが、5μA/Vで特性に大きな変化が現われ、負性抵抗値及びリアクタンスの最大値が極端に高周波側に移行する。但し、周波数が30kHz近傍においてはその変化ほとんど見られない。
【0031】
(実施例1)
図5に本発明に係る発振回路の実施例1を示す。設定定数はC1=C2=C4=C5=10pF、C6=0.1μF、C7=33μF、R3=20kΩ、R4=820kΩ、INV1&2:TC7SU04F(東芝)、Zxt(Xtal):音叉型32.76KHz、VCC=3Vとする。
【0032】
図6に出力波形を示す。図26に示す従来回路の出力波形に比べ、明確な矩形波を示している。
【0033】
図7に電源電圧対発振周波数及び消費電流特性を示す。図27に示す従来回路の特性に比べ、電流の低下、特に発振出力が電圧:5Vまで確実に発振していることが分る。
【0034】
図8に振動子の直列容量:Cx対発振周波数特性を示す。図28の従来回路の周波数可変特性に比べ、周波数可変範囲としてΔf/f0≒200ppm、およそ5倍の可変範囲を得る。
【0035】
(実施例2)
図9に本発明に係る発振回路の実施例2を示す。本回路は基本的に図5の発振回路の実施例1と同じである。即ち、図5の第1のインバーター(INV1)と第2のインバーター(INV2)を入れ替えた形である。設定定数はC1=C2=C4=C5=10pF、C6=0.1μF、C7=33μF、R4=560kΩ、R6=20kΩ、INV1&2:TC7SU04F(東芝)、Zxt(Xtal):音叉型32.76KHz、VCC=3Vdcとする。
【0036】
図10に出力波形を示す。図26に示す従来回路の出力波形に比べ、図6と同じく明確な矩形波を示している。
【0037】
図11に電源電圧対発振周波数及び消費電流特性を示す。図27に示す従来回路の特性に比べ、図7と同じく、電流の低下、特に発振出力が電圧:5Vまで確実に発振していることが分る。
【0038】
図12に振動子の直列容量:Cx対発振周波数特性を示す。図28の従来回路の周波数可変特性に比べ、図7と同じく、周波数可変範囲としてΔf/f0≒200ppm、およそ5倍の可変範囲を得る。
【0039】
(実施例3)
図13に本発明に係る発振回路の実施例3を示す。本回路は、図5に示す発振回路の実施例1の抵抗:R3を0Ω(ショート)としたものである。設定定数はC1=C2=C3=10pF、C4=0.1μF、C7=33μF、R1=820kΩ、INV1&2:TC7SU04F(東芝)、Zxt(Xtal):音叉型32.76KHz、VCC=3Vとする。
【0040】
図14に出力波形−1を示す。図26に示す従来回路の出力波形に比べ、図6と同じく明確な矩形波を示している。
【0041】
図15に電源電圧対発振周波数及び消費電流特性を示す。図27に示す従来回路の特性に比べ、図7と同じく、電流の低下、特に発振出力が電圧:5Vまで確実に発振していることが分る。
【0042】
図16に振動子の直列容量:Cx対発振周波数特性を示す。図28の従来回路の周波数可変特性に比べ、図7と同じく、周波数可変範囲としてΔf/f0≒170ppm、およそ5倍の可変範囲を得る。
【0043】
(実施例4)
図17に本発明に係る発振回路の実施例4を示す。本回路は、図5に示す発振回路の実施例1の、コンデンサC1、C2、C4、C5をインバーター内寄生容量:Caで代替させ、さらに抵抗:R3を0Ω(ショート)としたものである。設定定数はC4=0.1μF、C7=33μF、R1=820kΩ、INV1&2:TC7SU04F(東芝)、Zxt(Xtal):音叉型32.76KHz、VCC=3Vdcとする。
【0044】
図18にシミュレーション結果を示す。但し、Caはインバーターの入出力と接地間の寄生容量とし、Ca=4pFとする。C1、C2、C4、C5をインバーター内寄生容量:Caで代替させ、さらに抵抗:R3を0Ω(ショート)としても、シミュレーション上十分発振可能であることを示す。
【0045】
図19に出力波形−1を示す。図26に示す従来回路の出力波形に比べ、図6と同じく明確な矩形波を示している。
【0046】
図20に電源電圧対発振周波数及び消費電流特性を示す。図27に示す従来回路の特性に比べ、図7と同じく、電流の低下、特に発振出力が電圧:5Vまで確実に発振していることが分る。
【0047】
図21に振動子の直列容量:Cx対発振周波数特性を示す。図28の従来回路の周波数可変特性に比べ、周波数可変範囲としてΔf/f0≒120ppm、およそ4倍の可変範囲を得る。他の実施例に係る回路に比べやや周波数可変範囲は狭くなる。
【0048】
図22に本発明に係る発振回路と従来回路の消費電流の比較を示す。従来回路に比べインバーターを2個使用しているにもかかわらず、実施例1〜4のいずれも、消費電流は少ない。
【0049】
図23に本発明に係る発振回路と従来回路の周波数電源変動の特性比較を示す。従来回路は変動も大きく、しかも発振が3.7Vdcで停止に比べ、本発明に係る発振回路は周波数の変動が少ない。
【0050】
図24に本発明に係る発振回路と従来回路の周波数可変の比較を示す。実施例1〜4は従来回路に比べて著しく可変範囲が広いことが分る。但し実施例4(コンデンサをインバーター内部寄生容量で代替)に付いては多少狭くなっている。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】発振回路ブロックモデルを示す図である。
【図2】本発明に係る発振回路ブロックモデル−1のシミュレーション結果−1を示す図である。
【図3】本発明に係る発振回路ブロックモデル−1のシミュレーション結果−2を示す図である。
【図4】本発明に係る発振回路ブロックモデル−1のシミュレーション結果−3を示す図である。
【図5】本発明に係る発振回路の実施例1を示す図である。
【図6】本発明に係る発振回路の実施例1の出力波形を示す図である。
【図7】本発明に係る発振回路の実施例1の電源電圧対発振周波数及び消費電流特性を示す図である。
【図8】本発明に係る発振回路の実施例1の周波数可変容量:Cx対発振周波数特性を示す図である。
【図9】本発明に係る発振回路の実施例2を示す図である。
【図10】本発明に係る発振回路の実施例2の出力波形を示す図である。
【図11】本発明に係る発振回路の実施例2の電源電圧対発振周波数及び消費電流特性を示す図である。
【図12】本発明に係る発振回路の実施例2の周波数可変容量:Cx対発振周波数特性を示す図である。
【図13】本発明に係る発振回路の実施例3を示す図である。
【図14】本発明に係る発振回路の実施例3の出力波形を示す図である。
【図15】本発明に係る発振回路の実施例3の電源電圧対発振周波数及び消費電流特性を示す図である。
【図16】本発明に係る発振回路の実施例3の周波数可変容量:Cx対発振周波数特性を示す図である。
【図17】本発明に係る発振回路の実施例4を示す図である。
【図18】本発明に係る発振回路の実施例4のシミュレーション結果を示す図である。
【図19】本発明に係る発振回路の実施例4の出力波形を示す図である。
【図20】本発明に係る発振回路の実施例4の電源電圧対発振周波数及び消費電流特性を示す図である。
【図21】本発明に係る発振回路の実施例4の周波数可変容量:Cx対発振周波数特性を示す図である。
【図22】本発明に係る発振回路と従来回路の消費電流の比較を示す図である。
【図23】本発明に係る発振回路と従来回路の電源変動特性比較を示す図である。
【図24】本発明に係る発振回路と従来回路の周波数可変特性比較を示す図である。
【図25】従来の発振回路例−1を示す図である。
【図26】従来の発振回路例−1の出力波形を示す図である。
【図27】従来の発振回路例−1の電源電圧対発振周波数及び消費電流を示す図である。
【図28】従来の発振回路例の周波数可変容量:Cx対発振周波数特性を示す図である。
【図29】従来のインバーター発振回路ブロックを示す図である。
【図30】従来回路−1の発振周波数対回路抵抗及び容量シミュレーション結果−1を示す図である。
【図31】従来回路−1の発振周波数対回路抵抗及び容量シミュレーション結果−2を示す図である。
【図32】従来回路−1の発振周波数対回路抵抗及び容量シミュレーション結果−3を示す図である。
【図33】従来のインバーター発振回路例−2を示す図である。
【図34】従来のインバーター発振回路例−3を示す図である。
【符号の説明】
【0052】
z1〜z7 2端子のインピーダンス回路
INV インバーターロジック
gm 相互コンダクタンス
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動子を用い微少質量を検出するQCM等のセンサー発振器、通信用の周波数基準に用いる発振器の発振回路に関する。
【背景技術】
【0002】
図25に従来の発振回路例を示す。同回路ではインバーターの出力より入力へ大きな帰還抵抗:Rf(ここでは、20KHz〜60KHzで20MΩ)を挿入し動作点の安定化を図る。インバーター入力から、コンデンサCgを介し接地(GND)し、更に同インバーター入力より圧電振動子、抵抗:Rdを介し同インバーター出力に接続する。また、同コンデンサと抵抗の接続点よりコンデンサ:Cdを介し接地(GND)する。インバーターの接地(GND)端子を接地、電源端子を電源に接続、また電源端子と接地間にパスコンデンサを挿入し、電源ラインを交流的に接地する。
【0003】
図26に図25に示す回路の発振出力波形を示す。出力波形の立ち上がり、立下りが緩やかで完全な矩形波になっていない。
【0004】
図27に同回路の発振周波数及び消費電流対電源電圧の関係を示す。電源電圧が3.7Vdcで発振停止する。
【0005】
図28には圧電振動子に直列にコンデンサを挿入し、同コンデンサ容量による発振周波数の変化を示す。可変範囲としてΔf/f0≒35ppmを得る。(Δf=発振周波数−f0;f0=公称周波数(=32.768kHz))
次に図29の従来回路の回路ブロック図に従いシミュレーションを行う。コンデンサ:C5はインバーター1の出力容量とする。同図にキルヒホッフの法則を適用する。電流の関係より(1)式、(2)式、(3)式を得る。電圧の関係より(4)式、(5)式、(6)式を得る。
【数1】
【数2】
【数3】
【数4】
【数5】
【数6】
(1)式〜(6)式より発振の臨界条件を示す(7)式を得る。
【数7】
(7)式より振動子インピーダンス:zxtからの回路インピーダンスを求め(8)式を得る。
【数8】
z1〜z6のインピーダンスを(9)式に示す設定を行い、(8)式へ代入し(7)式より振動子インピーダンス:zxtからの回路インピーダンスを求める。回路の抵抗:Rci、回路容量:Cciとし(10)式を得る。
【数9】
【数10】
(10)式のra.ca.rb.cbを(11)式に示す。
【数11】
(10)式に示すRci、Cciのシミュレーション結果を図30〜図32に示す。図30は抵抗:R4をパラメーターとし発振周波数と回路抵抗:Rci,回路容量:Cciの関係であり、定数をC1=14pF、C3=10pF,C5=4pF、R6=20MΩ、gm=0.1mA/Vと設定したときのものである。C1及びC5に内に含まれる4pFはインバーター内の寄生容量とする。抵抗値を大きくすることで負性抵抗が小さくなる。
【0006】
図31は入出力間抵抗:R6をパラメーターとし発振周波数と回路抵抗:Rci,回路容量:Cciの関係であり、定数をC1=14pF、C3=10pF,C5=4pF、R4=0.5MΩ、gm=0.1mA/Vと設定した時のものである。発振周波数=32KHz近傍では抵抗値:R6=10MΩ以下で負性抵抗を失う。
【0007】
図32は相互コンダクタンス:gmをパラメーターとし発振周波数と回路抵抗:Rci,回路容量:Cciの関係でありC1=14pF、C3=10pF,C5=4pF、C5=4pF、R4=0.5MΩ、R6=20MΩと設定した時のものである。発振周波数=32KHz近傍では、gm:0.1mA/Vで負性抵抗値は最大値を示し、それより大きくても、小さくても負性抵抗は小さくなる。このことは電源変動による相互コンダクタンスの変動により発振範囲が狭くなることを示す。
【0008】
図33に従来回路例−2を示す。同図はインバーターゲートを2段で発振させる回路であり、「CRYSTAL OSCILLATOR DESIGN AND TEMPERATURE COMPENSATION Marvin E. Frenking Copyright 1978」に掲載されている。インバーターとインバーターの入出力間にインダクターとコンデンサの直列回路を挿入している。しかしながら、発振条件が不明であり、実用化には至っていない。
【0009】
図34に従来回路例−3を示す。同図は、「水晶周波数制御デバイス、岡野庄太郎著」より引用した。TTLのNANDゲートを使用するもので、NANDゲートによる遅延に相当するインダクターによる発振とし、不安定であり実用化できないとしている。
【非特許文献1】CRYSTAL OSCILLATOR DESIGN AND TEMPERATURE COMPENSATION Marvin E.Frenking Copyright 1978
【非特許文献2】水晶周波数制御デバイス、岡野庄太郎著
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述のように、従来から提案されている技術では、実用化を図ることは容易ではない。本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、特に低周波圧電発振回路において、発振回路の構成が容易で、電源変動特性に優れ、可変範囲が広く、さらに回路の発振条件を明確にし、信頼性の高い圧電発振回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明に係る発振回路は、複数のロジックインバーターを備える発振回路であって、第1のロジックインバーターの入力と接地間に設けられた第1の2端子インピーダンス回路と、前記第1のロジックインバーターの出力と接地間に設けられた第2の2端子インピーダンス回路と、前記第1のロジックインバーターの出力と第2のロジックインバーターの入力とを接続する第3の2端子インピーダンス回路と、前記第2のロジックインバーターの入力と接地間に設けられた第4の2端子インピーダンス回路と、前記第2のロジックインバーターの出力と接地間に設けられた第5の2端子インピーダンス回路と、前記第2のロジックインバーターの出力と前記第1のロジックインバーターの入力間に設けられた第6の2端子インピーダンス回路と、前記第1のロジックインバーターの入出力間に設けられた第7の2端子インピーダンス回路と、を備えることを特徴としている。
【0012】
(2)また、本発明に係る発振回路は、前記第1の2端子インピーダンス回路、第2の2端子インピーダンス回路、第4の2端子インピーダンス回路、および第5の2端子インピーダンス回路は、容量性リアクタンスであり、前記第3の2端子インピーダンス回路、および第7の2端子インピーダンス回路は抵抗であり、前記第6の2端子インピーダンス回路は圧電振動子と発振周波数調整用回路であることを特徴としている。
【0013】
(3)また、本発明に係る発振回路は、前記第1及び第2のロジックインバーターの電源端子と接地端子間に、所定の電圧を供給する電圧部と、交流を接地するバイパス容量とをさらに備えることを特徴としている。
【0014】
(4)また、本発明に係る発振回路は、前記第3の2端子インピーダンス回路の抵抗を0Ωとすることを特徴としている。
【0015】
(5)また、本発明に係る発振回路は、前記第1、第2、第4、第5の2端子インピーダンス回路の容量性リアクタンス回路をインバーター内部の寄生容量で置き換えると共に、前記第3の2端子インピーダンス回路の抵抗を0Ωとすることを特徴としている。
【0016】
(6)また、本発明に係る発振器は、請求項1から請求項5のいずれかに記載の発振回路を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、以上に示す様な発振回路の構成を行うことにより、特に低周波発振においては発振を容易に行うことができ、しかも回路のリアクタンスを、インダクターを用いること無く誘導性の範囲まで大きくすることができる。そのことは図24にしめす可変容量比較で明らかなように、容量可変において大きな周波数可変範囲を得ることができる。これらの特徴はQCM(水晶振動子を用いる微少質量測定)、などのセンサー発振、通信向け発振に対し大きな効果を与え、これらの分野の技術発展に期待を与えるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、第1のロジックインバーターと第2のロジックインバーターを用意し、第1のロジックインバーターの入力と接地間に第1の2端子インピーダンス回路を、出力と接地間に第2の2端子インピーダンス回路を挿入する。第1のロジックインバーター出力から第3の2端子インピーダンス回路を介し第2のロジックインバーターの入力に接続する。第2のロジックインバーターの入力と接地間に第4の2端子インピーダンス回路を、出力と接地間に第5の2端子インピーダンス回路を挿入する。第2のロジックインバーターの出力から第1のロジックインバーターの入力間に第6の2端子インピーダンス回路を挿入、第1のロジックインバーターの入出力間に第7の2端子インピーダンス回路を挿入する発振回路、及び同発振回路を使用する発振器を構成している。
【0019】
但し、第1の2端子インピーダンス回路、第2の2端子インピーダンス回路、第4の2端子インピーダンス回路、第5の2端子インピーダンス回路を容量性リアクタンスとし、第3の2端子インピーダンス回路、第7の2端子インピーダンス回路を抵抗、第6の2端子インピーダンス回路を圧電振動子と発振周波数調整用回路とする。
【0020】
尚、第1及び第2のロジックインバーターの電源端子と接地端子間には適切な電圧と、交流を接地するバイパス容量を挿入する。
【0021】
また、本発明は、上記第3の2端子インピーダンス回路の抵抗を0Ω(ショート)とする発振回路、同発振回路を使用する発振器を構成する。
【0022】
また、上記第1、第2、第4、第5の2端子インピーダンス回路の容量性リアクタンス回路をインバーター内部の寄生容量で置き換え、さらに第3の2端子インピーダンス回路の抵抗を0Ω(ショート)とする発振回路、同発振回路を使用する発振器を構成する。
【0023】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1に本発明に係る発振回路ブロックモデルを示す。z1〜z7は2端子のインピーダンス回路を示す。INVはインバーターロジック、gmは相互コンダクタンスを示す。
【0024】
同図1にキルヒホッフの法則を適応する。電流の関係より(12)式〜(14)式、電圧の関係より(15)式〜(17)式を得る。
【数12】
【数13】
【数14】
【数15】
【数16】
【数17】
(12)式〜(17)式より発振回路の発振に至る臨界条件を与える(18)式を得る。
【数18】
(18)式を展開し、さらにz6を圧電振動子と見なし(z6=zxt)、振動子と回路インピーダンスを分離し(19)式を得る。
【数19】
(20)式に各インピーダンスの設定を行い、(19)式へ代入する。
【数20】
発振回路の抵抗をRci、容量性リアクタンスをCci、誘導性リアクタンスをLciとし(21)式に示す。Ra.xa,rb,xbはそれぞれ(22)式で与えられる。
【数21】
【数22】
(21)式に基づき下記条件設定で、シミュレーションを行う。その時の定数はC1=C2=C4=C5=14pF(インバーターの入出力と接地間寄生容量を4pFとする。)とし、R3、R7、gmをパラメーターとして可変する。
【0025】
図2に第1インバーター(INV−1)出力と第2インバーター(INV−2)入力間抵抗:R3をパラメーターとする、発振周波数と起動時回路抵抗:Rci及び起動時の回路誘導性リアクタンスの関係を示す。その時の定数はR7=820KΩ、gm=1μA/Vである。
【0026】
Rciの最大値近傍ではR3の値による「差」は多きいが、30KHz近傍ではほとんどその差はない。またリアクタンスについては、30KHz近傍では誘導性(L性)であるが、10KHz近傍では容量性を示し、誘導性は失われる。
【0027】
図3に第1インバーター入出力力間抵抗:R7をパラメーターとする、発振周波数対起動時回路抵抗:Rci及び起動時の回路誘導性リアクタンスの関係を示す。その時の定数はR3=20KΩ、gm=1μA/Vである。
【0028】
抵抗:R7を大きくすることにより負性抵抗の周波数特性は急峻となり、その最大値は急激に増し、周波数の低い方に移行する。抵抗:R7を小さくすることにより負性抵抗は低下、周波数特性は鈍化する。但し、30kHzでは抵抗値の最も小さいR7=560kHzで最大値を示す。
【0029】
図4にインバーターの相互コンダクタンス:gmをパラメーターとする、発振周波数と起動時回路抵抗:Rci及び起動時の回路誘導性リアクタンスの関係を示す。その時の定数はR3=20KΩ、R7=820KΩである。
【0030】
gmが1μA/V以下では周波数特性に大きな変化はないが、5μA/Vで特性に大きな変化が現われ、負性抵抗値及びリアクタンスの最大値が極端に高周波側に移行する。但し、周波数が30kHz近傍においてはその変化ほとんど見られない。
【0031】
(実施例1)
図5に本発明に係る発振回路の実施例1を示す。設定定数はC1=C2=C4=C5=10pF、C6=0.1μF、C7=33μF、R3=20kΩ、R4=820kΩ、INV1&2:TC7SU04F(東芝)、Zxt(Xtal):音叉型32.76KHz、VCC=3Vとする。
【0032】
図6に出力波形を示す。図26に示す従来回路の出力波形に比べ、明確な矩形波を示している。
【0033】
図7に電源電圧対発振周波数及び消費電流特性を示す。図27に示す従来回路の特性に比べ、電流の低下、特に発振出力が電圧:5Vまで確実に発振していることが分る。
【0034】
図8に振動子の直列容量:Cx対発振周波数特性を示す。図28の従来回路の周波数可変特性に比べ、周波数可変範囲としてΔf/f0≒200ppm、およそ5倍の可変範囲を得る。
【0035】
(実施例2)
図9に本発明に係る発振回路の実施例2を示す。本回路は基本的に図5の発振回路の実施例1と同じである。即ち、図5の第1のインバーター(INV1)と第2のインバーター(INV2)を入れ替えた形である。設定定数はC1=C2=C4=C5=10pF、C6=0.1μF、C7=33μF、R4=560kΩ、R6=20kΩ、INV1&2:TC7SU04F(東芝)、Zxt(Xtal):音叉型32.76KHz、VCC=3Vdcとする。
【0036】
図10に出力波形を示す。図26に示す従来回路の出力波形に比べ、図6と同じく明確な矩形波を示している。
【0037】
図11に電源電圧対発振周波数及び消費電流特性を示す。図27に示す従来回路の特性に比べ、図7と同じく、電流の低下、特に発振出力が電圧:5Vまで確実に発振していることが分る。
【0038】
図12に振動子の直列容量:Cx対発振周波数特性を示す。図28の従来回路の周波数可変特性に比べ、図7と同じく、周波数可変範囲としてΔf/f0≒200ppm、およそ5倍の可変範囲を得る。
【0039】
(実施例3)
図13に本発明に係る発振回路の実施例3を示す。本回路は、図5に示す発振回路の実施例1の抵抗:R3を0Ω(ショート)としたものである。設定定数はC1=C2=C3=10pF、C4=0.1μF、C7=33μF、R1=820kΩ、INV1&2:TC7SU04F(東芝)、Zxt(Xtal):音叉型32.76KHz、VCC=3Vとする。
【0040】
図14に出力波形−1を示す。図26に示す従来回路の出力波形に比べ、図6と同じく明確な矩形波を示している。
【0041】
図15に電源電圧対発振周波数及び消費電流特性を示す。図27に示す従来回路の特性に比べ、図7と同じく、電流の低下、特に発振出力が電圧:5Vまで確実に発振していることが分る。
【0042】
図16に振動子の直列容量:Cx対発振周波数特性を示す。図28の従来回路の周波数可変特性に比べ、図7と同じく、周波数可変範囲としてΔf/f0≒170ppm、およそ5倍の可変範囲を得る。
【0043】
(実施例4)
図17に本発明に係る発振回路の実施例4を示す。本回路は、図5に示す発振回路の実施例1の、コンデンサC1、C2、C4、C5をインバーター内寄生容量:Caで代替させ、さらに抵抗:R3を0Ω(ショート)としたものである。設定定数はC4=0.1μF、C7=33μF、R1=820kΩ、INV1&2:TC7SU04F(東芝)、Zxt(Xtal):音叉型32.76KHz、VCC=3Vdcとする。
【0044】
図18にシミュレーション結果を示す。但し、Caはインバーターの入出力と接地間の寄生容量とし、Ca=4pFとする。C1、C2、C4、C5をインバーター内寄生容量:Caで代替させ、さらに抵抗:R3を0Ω(ショート)としても、シミュレーション上十分発振可能であることを示す。
【0045】
図19に出力波形−1を示す。図26に示す従来回路の出力波形に比べ、図6と同じく明確な矩形波を示している。
【0046】
図20に電源電圧対発振周波数及び消費電流特性を示す。図27に示す従来回路の特性に比べ、図7と同じく、電流の低下、特に発振出力が電圧:5Vまで確実に発振していることが分る。
【0047】
図21に振動子の直列容量:Cx対発振周波数特性を示す。図28の従来回路の周波数可変特性に比べ、周波数可変範囲としてΔf/f0≒120ppm、およそ4倍の可変範囲を得る。他の実施例に係る回路に比べやや周波数可変範囲は狭くなる。
【0048】
図22に本発明に係る発振回路と従来回路の消費電流の比較を示す。従来回路に比べインバーターを2個使用しているにもかかわらず、実施例1〜4のいずれも、消費電流は少ない。
【0049】
図23に本発明に係る発振回路と従来回路の周波数電源変動の特性比較を示す。従来回路は変動も大きく、しかも発振が3.7Vdcで停止に比べ、本発明に係る発振回路は周波数の変動が少ない。
【0050】
図24に本発明に係る発振回路と従来回路の周波数可変の比較を示す。実施例1〜4は従来回路に比べて著しく可変範囲が広いことが分る。但し実施例4(コンデンサをインバーター内部寄生容量で代替)に付いては多少狭くなっている。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】発振回路ブロックモデルを示す図である。
【図2】本発明に係る発振回路ブロックモデル−1のシミュレーション結果−1を示す図である。
【図3】本発明に係る発振回路ブロックモデル−1のシミュレーション結果−2を示す図である。
【図4】本発明に係る発振回路ブロックモデル−1のシミュレーション結果−3を示す図である。
【図5】本発明に係る発振回路の実施例1を示す図である。
【図6】本発明に係る発振回路の実施例1の出力波形を示す図である。
【図7】本発明に係る発振回路の実施例1の電源電圧対発振周波数及び消費電流特性を示す図である。
【図8】本発明に係る発振回路の実施例1の周波数可変容量:Cx対発振周波数特性を示す図である。
【図9】本発明に係る発振回路の実施例2を示す図である。
【図10】本発明に係る発振回路の実施例2の出力波形を示す図である。
【図11】本発明に係る発振回路の実施例2の電源電圧対発振周波数及び消費電流特性を示す図である。
【図12】本発明に係る発振回路の実施例2の周波数可変容量:Cx対発振周波数特性を示す図である。
【図13】本発明に係る発振回路の実施例3を示す図である。
【図14】本発明に係る発振回路の実施例3の出力波形を示す図である。
【図15】本発明に係る発振回路の実施例3の電源電圧対発振周波数及び消費電流特性を示す図である。
【図16】本発明に係る発振回路の実施例3の周波数可変容量:Cx対発振周波数特性を示す図である。
【図17】本発明に係る発振回路の実施例4を示す図である。
【図18】本発明に係る発振回路の実施例4のシミュレーション結果を示す図である。
【図19】本発明に係る発振回路の実施例4の出力波形を示す図である。
【図20】本発明に係る発振回路の実施例4の電源電圧対発振周波数及び消費電流特性を示す図である。
【図21】本発明に係る発振回路の実施例4の周波数可変容量:Cx対発振周波数特性を示す図である。
【図22】本発明に係る発振回路と従来回路の消費電流の比較を示す図である。
【図23】本発明に係る発振回路と従来回路の電源変動特性比較を示す図である。
【図24】本発明に係る発振回路と従来回路の周波数可変特性比較を示す図である。
【図25】従来の発振回路例−1を示す図である。
【図26】従来の発振回路例−1の出力波形を示す図である。
【図27】従来の発振回路例−1の電源電圧対発振周波数及び消費電流を示す図である。
【図28】従来の発振回路例の周波数可変容量:Cx対発振周波数特性を示す図である。
【図29】従来のインバーター発振回路ブロックを示す図である。
【図30】従来回路−1の発振周波数対回路抵抗及び容量シミュレーション結果−1を示す図である。
【図31】従来回路−1の発振周波数対回路抵抗及び容量シミュレーション結果−2を示す図である。
【図32】従来回路−1の発振周波数対回路抵抗及び容量シミュレーション結果−3を示す図である。
【図33】従来のインバーター発振回路例−2を示す図である。
【図34】従来のインバーター発振回路例−3を示す図である。
【符号の説明】
【0052】
z1〜z7 2端子のインピーダンス回路
INV インバーターロジック
gm 相互コンダクタンス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のロジックインバーターを備える発振回路であって、
第1のロジックインバーターの入力と接地間に設けられた第1の2端子インピーダンス回路と、
前記第1のロジックインバーターの出力と接地間に設けられた第2の2端子インピーダンス回路と、
前記第1のロジックインバーターの出力と第2のロジックインバーターの入力とを接続する第3の2端子インピーダンス回路と、
前記第2のロジックインバーターの入力と接地間に設けられた第4の2端子インピーダンス回路と、
前記第2のロジックインバーターの出力と接地間に設けられた第5の2端子インピーダンス回路と、
前記第2のロジックインバーターの出力と前記第1のロジックインバーターの入力間に設けられた第6の2端子インピーダンス回路と、
前記第1のロジックインバーターの入出力間に設けられた第7の2端子インピーダンス回路と、を備えることを特徴とする発振回路。
【請求項2】
前記第1の2端子インピーダンス回路、第2の2端子インピーダンス回路、第4の2端子インピーダンス回路、および第5の2端子インピーダンス回路は、容量性リアクタンスであり、前記第3の2端子インピーダンス回路、および第7の2端子インピーダンス回路は抵抗であり、前記第6の2端子インピーダンス回路は圧電振動子と発振周波数調整用回路であることを特徴とする請求項1記載の発振回路。
【請求項3】
前記第1及び第2のロジックインバーターの電源端子と接地端子間に、所定の電圧を供給する電圧部と、交流を接地するバイパス容量とをさらに備えることを特徴とする請求項2記載の発振回路。
【請求項4】
前記第3の2端子インピーダンス回路の抵抗を0Ωとすることを特徴とする請求項2または請求項3記載の発振回路。
【請求項5】
前記第1、第2、第4、第5の2端子インピーダンス回路の容量性リアクタンス回路をインバーター内部の寄生容量で置き換えると共に、前記第3の2端子インピーダンス回路の抵抗を0Ωとすることを特徴とする請求項2または請求項3記載の発振回路。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の発振回路を備えることを特徴とする発振器。
【請求項1】
複数のロジックインバーターを備える発振回路であって、
第1のロジックインバーターの入力と接地間に設けられた第1の2端子インピーダンス回路と、
前記第1のロジックインバーターの出力と接地間に設けられた第2の2端子インピーダンス回路と、
前記第1のロジックインバーターの出力と第2のロジックインバーターの入力とを接続する第3の2端子インピーダンス回路と、
前記第2のロジックインバーターの入力と接地間に設けられた第4の2端子インピーダンス回路と、
前記第2のロジックインバーターの出力と接地間に設けられた第5の2端子インピーダンス回路と、
前記第2のロジックインバーターの出力と前記第1のロジックインバーターの入力間に設けられた第6の2端子インピーダンス回路と、
前記第1のロジックインバーターの入出力間に設けられた第7の2端子インピーダンス回路と、を備えることを特徴とする発振回路。
【請求項2】
前記第1の2端子インピーダンス回路、第2の2端子インピーダンス回路、第4の2端子インピーダンス回路、および第5の2端子インピーダンス回路は、容量性リアクタンスであり、前記第3の2端子インピーダンス回路、および第7の2端子インピーダンス回路は抵抗であり、前記第6の2端子インピーダンス回路は圧電振動子と発振周波数調整用回路であることを特徴とする請求項1記載の発振回路。
【請求項3】
前記第1及び第2のロジックインバーターの電源端子と接地端子間に、所定の電圧を供給する電圧部と、交流を接地するバイパス容量とをさらに備えることを特徴とする請求項2記載の発振回路。
【請求項4】
前記第3の2端子インピーダンス回路の抵抗を0Ωとすることを特徴とする請求項2または請求項3記載の発振回路。
【請求項5】
前記第1、第2、第4、第5の2端子インピーダンス回路の容量性リアクタンス回路をインバーター内部の寄生容量で置き換えると共に、前記第3の2端子インピーダンス回路の抵抗を0Ωとすることを特徴とする請求項2または請求項3記載の発振回路。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の発振回路を備えることを特徴とする発振器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図16】
【図17】
【図18】
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【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【公開番号】特開2007−181089(P2007−181089A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−379502(P2005−379502)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(505066604)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(505066604)
【Fターム(参考)】
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