説明

直動案内ユニット

【課題】 この直動案内ユニットは,小形なローラ形式に適し,方向転換路を形成する内周スペーサとリターン路を形成するパイプとを潤滑剤保持性をアップし,給油のメンテナンスフリーを達成する。
【解決手段】 パイプ6は,パイプ本体7とその凹欠部24に嵌合した多孔質部材8とから成り,エンドキャップ4は,内周スペーサ45,46とそれらを嵌入したエンドキャップ本体50とから成り,内周スペーサ45,46には,油溜り,成形変形防止及びエジェクタピン穴として機能する多数の穴47,48が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,例えば,長尺な軌道レール及び該軌道レール上を転動体を介して相対移動するスライダから構成されている直動案内ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年,直動案内ユニットは,使用状態において潤滑剤等の供給を行わないメンテナンスフリーの構成を有する各種のタイプのものが求められており,特に,転動体がローラの場合の直動案内ユニットが要望されている。従来の直動案内ユニットは,長尺の軌道レールに対してスライダを複数のローラを介して相対摺動自在に構成したユニットであり,ローラは,軌道レールとスライダとの間に形成される負荷軌道路,及びスライダに設けたリターン路と方向転換路からなる循環路を無限循環する。直動案内ユニットでは,潤滑剤を適正にローラに付着させて負荷軌道路とローラとの金属接触を防止し,耐久性を向上させるため,負荷軌道路とローラとの間に潤滑剤を常に供給して両者間を潤滑させることが不可欠である。従来の直動案内ユニットでは,転動体と無限循環路との間で潤滑をスムーズにするため,定期的な給油を行っているのが通常である。しかしながら,近年,各種機械装置については,省エネ,ランニングコスト,設備維持コストを削減するという観点で,メンテナンスフリーが要求されるようになり,機械装置に組み込まれる直動案内ユニットについても,メンテナンスフリーの実現が要望されている。
【0003】
本出願人は,ケーシングに設けられたリターン通路孔を多孔質構造からなる焼結樹脂部材で形成し,焼結樹脂部材に含浸させた潤滑剤を転動体に供給する直動転がり案内ユニットを開発した。該直動転がり案内ユニットは,長尺な軌道部材,軌道部材の長手方向に相対移動可能なスライダ,及び軌道部材とスライダとの間の軌道路を転走し且つスライダに形成されたリターン通路孔を通って無限循環する転動体を有している。リターン通路孔は,ケーシングに形成された嵌挿孔に嵌挿したスリーブで構成され,スリーブが多孔質構造を有する焼結樹脂部材で形成され,焼結樹脂部材は吸収体としての機能を有し,組立当初に焼結樹脂部材に潤滑油又はグリースを給油しておけば,焼結樹脂部材は潤滑剤の油分が多孔質構造のポア内に吸収保持され,転動体がスリーブ内を転走する時に,潤滑剤が転動体に常時供給され,転動体が負荷軌道路を転走する時に,転動体に付着した潤滑剤が軌道溝や軌道面をスムーズに潤滑し,給油のメンテナンスフリーを可能にしていた(例えば,特許文献1参照)。
【0004】
また,本出願人は,直動転がり案内ユニットにおいて,ケーシングに形成されたリターン孔にスリーブを嵌挿してリターン路を形成し,スリーブを弾性変形可能に構成して転動体の摺動抵抗をスリーブで吸収し,転動体のスムーズな転走を確保したものを開発した。該直動転がり案内ユニットは,転動体が円筒ころでなり,リターン路がケーシングのリターン孔に挿嵌されたスリーブに形成され,スリーブが弾性変形可能に構成され,スライダの滑らかな摺動を実現したものになっている。特に,公報の図11〜図13に示すように,リターン孔の壁面とスリーブの中間領域の小径部の外面との間に,スリーブが弾性変形できる隙間を設けたものであり,その隙間に潤滑剤が保留されるようになっていた(例えば,特許文献2参照)。
【0005】
更に,本出願人は,直動転がり案内ユニットにおいて,方向転換路を形成するエンドキャップに形成された方向転換路を構成する方向転換路スペーサに,ころ転走面を形成し,該ころ転走面に凹溝でなる油逃げである二条の油溜り溝が形成されたものを開発した。該直動転がり案内ユニットは,エンドキャップに方向転換路用凹部を形成し,該方向転換路用凹部に方向転換路を形成する方向転換路スペーサを配置したものであり,方向転換路スペーサのころ転動面にころの転動方向に沿って油溜まり溝を形成し,油溜まり溝にグリースの逃げとグリースの保持機能を持たせたものである。(例えば,特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2001−82469号公報(第1頁,図3,図4参照)
【特許文献2】特開平9−72335号公報(第1頁,図9,図11参照)
【特許文献3】特開平5−209617号公報(第1頁,図1〜図3参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで,直動案内ユニットにおいて,転動体として円筒ころ等のローラを使用する場合は,ローラは,ボールを使用する場合に比較して,ローラの転走姿勢に傾きが無く,整然と案内されなければならず,また,ローラの場合には,その転動面を案内するだけでなく,両端面を摺接案内することが要求されるものであり,従来の直動案内ユニットでは,長期間にわたってローラに対して潤滑剤を適正に供給しつつローラを循環案内し,潤滑剤の給油のメンテナンスフリーを安定した信頼性の有るものにさせるという点では満足できる構成には形成されていなかった。また,直動案内ユニットについて,メンテナンスフリーを実現する上で,転動体がボールに比較してローラの場合には,循環路の潤滑剤を排除してしまうものになっているので,ボールの場合よりも潤滑剤を循環路に保留することが求められていると共に,潤滑剤を保留するだけでなく,ローラの姿勢を傾き無く整然と案内すること,即ち,ローラでは転動面を案内するだけでなく,ローラの端面を摺接案内することが求められている。上記特許文献3の直動案内ユニットでは,特に,大形のローラを使用したタイプであり,小さなローラについては傾きやすく循環性能を阻害するものになっており,また,長期間にわたりローラを循環案内し且つ給油のメンテナンスフリーを安定させるには,ローラが傾きやすく循環性能を阻害するという問題を有していた。
【0007】
また,上記特許文献1に開示されたような直動転がり案内ユニットは,ケーシングに設けたリターン通路孔を多孔質構造の焼結樹脂部材のみで形成するものであり,円筒ころをしっかり案内する上で,焼結樹脂部材そのものが剛性不足気味で不充分なものであった。また,転動体がボールの場合に比較してローラの場合には,ローラの姿勢を傾き無く整然と案内すること,言い換えれば,ローラの場合には,その転動面を案内するだけでなく,ローラの端面を摺接案内することが要求されるものであり,ローラを安定してスムーズに案内することによって,安定した長寿命が確保されるものになる。従って,上記直動転がり案内ユニットのように,リターン通路孔を多孔質構造の焼結樹脂部材のみで形成したものでは,ローラを循環路で安定してスムーズに案内する上で,焼結樹脂部材そのものの剛性が不足気味で不充分であった。そこで,直動案内ユニットでは,ケーシングに設けたリターン路を形成するスリーブに対して更に剛性をアップさせた構造のもの,構造そのものが簡単な構成であってスライダへの組み込みが容易な構造のもの,しかもローラに対してより積極的に給油できるメンテナンスフリーを達成して安定化させる構造のものが望まれるようになった。
【0008】
この発明の目的は,上記の課題を解決することであり,小形なローラ形式に適したものであり,小形のローラでも傾き難く,方向転換路を構成するスペーサによる循環性能を悪化させることがなく,長期間にわたりローラをスムーズに循環案内し,給油のメンテナンスフリーを安定させることができ,ローラへの潤滑をスムーズにするため方向転換路を形成するスペーサに潤滑剤の溜まりを形成し,また,リターン路を形成するスリーブの剛性をアップさせたものであり,スリーブの機能を果たすパイプを凹欠部を形成したパイプ本体と成形体の多孔質部材とから構成し,多孔質部材の多孔部即ちポアに予め潤滑剤を含浸させて該多孔質部材をパイプ本体の凹欠部に嵌め合わせて複合構造のパイプを構成し,それによってローラの循環路への潤滑剤の供給をメンテナンスフリーに構成した直動案内ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は,長手方向に沿って第1軌道面が形成された軌道レール及び前記軌道レールに対して相対摺動自在なスライダから成り,前記スライダは,前記第1軌道面に対向して第2軌道面が形成され且つ前記第1軌道面と前記第2軌道面とで形成される軌道路に平行なリターン路が形成されたケーシング,前記ケーシングの両端面に取り付けられ且つ前記軌道路と前記リターン路とを連通する方向転換路が形成されたエンドキャップ,並びに前記軌道路,前記リターン路,及び一対の前記方向転換路で構成される循環路を転動する複数の転動体であるローラを有する直動案内ユニットにおいて,
前記エンドキャップは,前記方向転換路の内周面が外面に形成された内周スペーサと,前記内周スペーサを嵌入し且つ前記方向転換路の外周面と前記外周面の両側に前記ローラの端面を案内するガイド面とが形成されたエンドキャップ本体とを有し,前記内周スペーサの前記外面には,油溜り,成形変形防止及びエジェクタピン穴として機能する多数の穴が形成されていることを特徴とする直動案内ユニットに関する。
【0010】
前記内周スペーサに形成された前記穴は,円形で且つ全てが同一方向の正面に向いて形成されている。
【0011】
前記内周スペーサに形成された前記穴は,所定間隔の3個が複列に並び合計6個形成されている。
【0012】
この直動案内ユニットは,前記内周スペーサの側面でなる嵌合面には,前記エンドキャップ本体に組み込むための基準凸部が形成されている。
【0013】
前記リターン路は,前記ケーシングに形成された嵌挿孔に嵌挿された長手状でなるパイプの矩形状でなる通し孔に形成され,前記パイプは,長手方向に沿って外周から前記リターン路に通じる凹欠部が形成されたパイプ本体と,前記凹欠部に嵌め合わされて前記リターン路に面するリターン路面が形成された長手状でなる成形体であって潤滑剤を含浸可能な多孔質部材とから構成されている。
【0014】
前記パイプ本体は合成樹脂から形成され,前記多孔質部材は焼結樹脂から形成されている。
【0015】
この直動案内ユニットは,前記エンドキャップには,一対になる前記循環路が互いにたすき掛け状に直交状態に構成するために前記方向転換路が互い違いに交差して形成され,深く形成された一方の前記方向転換路を構成する前記内周スペーサである第1内周スペーサと浅く形成された他方の前記方向転換路を構成する前記内周スペーサである第2内周スペーサとが交差して前記エンドキャップ本体に嵌入されている。
【0016】
前記第1内周スペーサには,前記第2内周スペーサを嵌合するための嵌合凹部が設けられ且つ段部が形成されている。
【0017】
この直動案内ユニットは,前記第1内周スペーサと前記第2内周スペーサとの背面には,前記エンドキャップ本体の給油溝に連通する給油溝がそれぞれの前記循環路に開口して形成されている。
【発明の効果】
【0018】
この発明による直動案内ユニットは,上記のように,方向転換路を形成する内周スペーサの外面に形成した多数の穴を形成したので,穴に溜められた潤滑剤でローラへ給油することができると共に,スペーサの転動面に穴を形成した状態であるので,ローラを的確にスムーズに転動させることができ,また,リターン路を形成するパイプをパイプ本体とそれに形成した凹欠部に嵌合した多孔質部材とで形成したので,パイプ自体の剛性をアップさせることができ,多孔質部材を焼結樹脂材の多孔部に潤滑油やグリースの潤滑剤を含浸吸収させて保持させたので,転動体がリターン路でその多孔質部材に接触して転走する時に,潤滑剤が転動体に付着され,転動体に付着された潤滑剤が転動体が循環路を通過する時に循環路に供給され,潤滑剤のメンテナンスフリーが達成される。従って,この直動案内ユニットは,高温等の特殊作業環境,少量の潤滑剤使用制約を受けるクリーン室等において,潤滑機能を有効に発揮でき,更に,定期的な潤滑剤の供給等のメンテナンスを不要にし,高速化・高サイクル化した装置にも軌道路における摺動抵抗を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下,図面を参照して,この発明による直動案内ユニットの実施例を説明する。この発明による直動案内ユニットは,近年,ローラ形式の製品が多く使用されるようになり,特に,メンテナンスフリー可能な小形なローラ形式のものが益々求められているが,それに応えることができる長期間にわたりメンテナンスフリーを実現するものである。まず,この直動案内ユニットは,例えば,上記の特許文献に開示された直動転がり案内ユニットに対して,転動体がローラ5でなるローラ形式のものであって,ローラ5への潤滑剤の供給系と方向転換路30における転動面を形成する内周スペーサ45,46を更に改善したことに特徴を有し,小形なローラ形式に最適な構造に構成されており,内周スペーサ45,46には円形の穴47,48を多数に形成されており,従来以上にメンテナンスフリーを実現させたものである。また,この直動案内ユニットは,リターン路10を構成する従来のスリーブに換えてパイプ6を使用し,パイプ6をパイプ本体7と多孔質部材8との複合構造に構成し,パイプ6の通し孔36でリターン路10を構成したものであって,ローラ5のタイプに好適であり,潤滑剤の循環路への供給についてメンテナンスフリーを達成したものである。
【0020】
具体的には,この直動案内ユニットは,スライダ2が軌道レール1に沿って相対摺動自在に構成されており,特に,転動体として小形なローラ5を組み込んだとしても,小さなローラ5が傾くことなく,循環路の方向転換路に潤滑剤を保留するため,エンドキャップ本体50に嵌入して方向転換路30の内周面56,58を構成する内周スペーサ45,46の外面に多数の穴47,48を形成したものであり,第2に,リターン路10を構成するパイプ6を,外周からリターン路10までに通じる凹欠部24を設けたパイプ本体7と,パイプ本体7の凹欠部24に嵌め込んだ成形体で形づくられ且つ潤滑剤を含浸可能な多孔質部材8とで構成し,多孔質部材8の多孔部に潤滑剤を吸収してリターン路10に潤滑剤が保留すると共に,リターン路10を通過するローラ5に潤滑剤を安定して供給できる構造に構成されていることを特徴としている。ローラ5は,円形外面の転動面39と転動面39の両端の端面40とで形成されている。
【0021】
この直動案内ユニットは,図1〜図4に示すように,転動体としてローラ5が使用されてるタイプであって,特に,小形なローラ5のローラタイプに適用されて最適なものになっており,長手方向に沿って両側面42の上下に一対の軌道面11が形成された長尺な軌道レール1,軌道レール1の長手方向に相対摺動自在なスライダ2,及び軌道レール1とスライダ2との間に形成された負荷軌道路である軌道路34及びスライダ2に設けられたリターン路10と方向転換路30から成る循環路を転走するローラ5から構成されている。スライダ2は,軌道レール1の軌道面11に対向して軌道面12がそれぞれ形成され且つ軌道面11と軌道面12とで形成される軌道路34に平行に袖部16に形成されたリターン路10を備えたケーシング3,ケーシング3の両端面35に取り付けられ且つ上下の軌道路34と上下のリターン路10とに連通する方向転換路30(図4)が形成されたエンドキャップ4,エンドキャップ4の端面に配設されたエンドシール15,並びに軌道路34,リターン路10,及び一対の方向転換路30で構成される無限循環路を転動する複数のローラ5を有している。エンドキャップ4及びエンドシール15は,ケーシング3に固定ボルト44によって固定されている。ローラ5は,軌道路34においてケーシング3とエンドキャップ4とに取り付けられた保持板13によってローラ5の端面40が保持されてそれぞれ転動する。保持板13は,嵌着溝53に嵌合する固定バンド49によって支持され,また,固定バンド49は,エンドキャップ4の嵌着溝54に係合してエンドキャップ4に固定される。この直動案内ユニットは,スライダ2では,上側の軌道路34を転動するローラ5が下側のリターン路10へ循環し,下側の軌道路34を転動するローラ5が上側のリターン路10へ循環してなる一対の循環路がエンドキャップ4の領域で互いにたすき掛け状に直交状態で4条列のタイプに構成され,スライダ2が軌道レール1に沿って相対摺動自在になっている。
【0022】
また,この直動案内ユニットは,ケーシング3とエンドキャップ4との下面に下面シール14を備え,エンドキャップ4の端面にエンドシール15が接して配置され,シール構造に形成されている。また,一方のエンドキャップ4には,潤滑剤を給油口29及び給油溝32を通じて循環路に潤滑剤を供給できるようにグリースニップル43(図3)が取り付けられている。他方のエンドキャップ4には,給油口29に止めねじ51で閉鎖されている。また,軌道レール1には,各種の機器,ワーク,取付体,機台等のベースに軌道レール1を固定するため,取付け用孔17が形成され,また,ケーシング3には,各種の機器,ワーク,取付体等の物体を取り付けため取付け用ねじ孔18が形成されている。また,エンドキャップ4の下面には,下面シール14を固定するための取付け用凸部33,及びケーシング3にエンドキャップ4を固定するためボルトを通す取付孔28が形成されている。また,エンドキャップ4には,グリースニップル等から供給された潤滑剤を通す給油口29及び給油口29と循環路の方向転換路30とを連通する給油溝32が形成されている。
【0023】
この直動案内ユニットは,特に,エンドキャップ4がエンドキャップ本体50に内周スペーサ45,46を嵌入して方向転換路30が形成され,内周スペーサ45,46の外面62,68に油溜り,成形変形防止及びエジェクタピン穴として機能する多数の穴47,48が形成されていることを特徴としている。図4〜図6に示すように,エンドキャップ4は,方向転換路30の内周面56,58が外面62,68に形成された内周スペーサ45,46と,方向転換路30の外周面55,57及び外周面55,57の両側にローラ5の端面40を案内するガイド面59,60が形成されたエンドキャップ本体50とを有している。即ち,方向転換路30は,エンドキャップ本体50に内周スペーサ45,46が嵌入して配置されることによって形成される。
【0024】
この直動案内ユニットは,エンドキャップ4には,循環路を互いにたすき掛け状に直交状態に構成するため,方向転換路30A,30B(総称は30)が互い違いに交差して形成され,エンドキャップ4の両側の袖部74にそれぞれ形成されている。エンドキャップ4の袖部74に形成された交差する一対の方向転換路30A,30Bについては,一方の方向転換路30Aは,図7〜図9に示すように,エンドキャップ本体50の背面76から深く形成され,また,他方の方向転換路30Bは,図10〜図12に示すように,背面76から浅く形成され,それらは互い違いに交差状態に配置してエンドキャップ4に形成されている。また,ケーシング3の両側即ち左右のエンドキャップ4の袖部74での一対の方向転換路30は,180°向きを違えて形成されており,ケーシング3の両端面35にエンドキャップ4が配設され,一端側が内周スペーサ45(第1内周スペーサ)で形成される方向転換路30Aで構成され,他端側が内周スペーサ46(第2内周スペーサ)で形成される方向転換路30Bで構成されることによって,全体として同一の長さでなる一対の無限循環路がスライダ2に互い違いに形成されることになる。
【0025】
図5及び図6に示すように,一方の深い方向転換路30A(第1方向転換路)は,エンドキャップ本体50に背面76から深い深さで形成された方向転換路30Aの外周面55,外周面55の両側にローラ5の端面40を案内するガイド面59,及び内周スペーサ45の外面68に形成された方向転換路30Aの内周面56で構成されている。また,他方の浅い方向転換路30B(第2方向転換路)は,エンドキャップ本体50に背面76から浅い深さで形成された方向転換路30Bの外周面57,外周面57の両側にローラ5の端面40を案内するガイド面60,及び内周スペーサ45の内側に形成された方向転換路凹部70に嵌入された内周スペーサ46の外面62に形成された方向転換路30Bの内周面58とで構成されている。
【0026】
図5に示すように,内周スペーサ46が内周スペーサ45に嵌合するための内周スペーサ45の嵌合幅Sは,方向転換路幅Tよりも大きく形成され,内周スペーサ46が方向転換路30に突出することもなく高精度な滑らかな方向転換路30が形成されている。即ち,内周スペーサ45の嵌合面間幅と内周スペーサ46の側面幅は,方向転換路幅Tより大きいサイズに形成されている。また,図6に示すように,内周スペーサ45の側面幅もどうように方向転換路幅Tより大きいサイズに形成されている。エンドキャップ本体50の背面76には,グリースニップル43等が配設される給油口29から循環路へ延びる給油溝32が形成され,内周スペーサ45及び内周スペーサ46の背面63には,エンドキャップ本体50の給油溝32に連通する給油溝75がそれぞれの循環路に覗く即ち開口するように形成されている。エンドキャップ本体50の背面76には,図5又は図6に示すように,方向転換路30から延びる凹凸部31が形成されている。エンドキャップ本体50の凹凸部31は,ケーシング3の嵌挿孔9に嵌合して嵌合孔に配設されたパイプ6の凸凹部23と合致してパイプ6を位置決めし,エンドキャップ4の方向転換路30とパイプ6のリターン路10とが合致して連通し,接続部をスムーズな循環路に形成する。
【0027】
この直動案内ユニットにおいて,エンドキャップ本体50に嵌合される内周スペーサ45,46は,図7〜図12に示されるように形成されている。内周スペーサ45,46は,方向転換路30の内周面56,58が外周部である外面68,62に形成され,それらの外面68,62には,多数(図7と図10では6個)の穴47,48が形成されている。穴47,48は,給油された潤滑剤を保留するための油溜りになり,この直動案内ユニットにおいて潤滑切れを防止できるものになっている。内周スペーサ45,46は,成形して製作される際に,穴47,48の存在で成形による変形が防止され,高精度に製作されるものになっている。この実施例では,内周スペーサ45,46は,合成樹脂を射出成形して作られている。また,穴47,48は,成形品を金型から取り出す際に,エジェクタピン(ノックアウトピン)を受ける穴になっており,内周スペーサ45,46を金型から安定して取り出すことを可能にし,また,内周スペーサ45,46の外面68,62に金型からの押出し傷が付くことがなく,内周スペーサ45,46の仕上がりを高精度な製品にすることができる。更に,穴47,48は,内周スペーサ45,46の外面68,62にポイントで形成されているので,小さなローラ5が転走する際に,ローラ5の転動に対して影響が小さなものになっている。また,穴47,48は,円形で形成されているので,ローラ5の転動に対してさらに影響も小さく,ローラ5が滑らかに転走可能になっている。また,内周スペーサ45,46は,成形品製作でも製作しやすく,バリ等が生じにくいものになっている。更に,穴47,48は,内周スペーサ45,46を製作する上で,内周スペーサ45,46の成形品を金型から取り出す際に,エジェクタピンの押出し傷を付けないようにピン受け穴になっており,全ての穴47,48が同一方向の正面に向いて形成されている。また,これらの穴47,48は,図7と図10に示すように,所定間隔の3個が複列に並び,合計で6個に形成されており,成形品を変形なく安定して取り出せる位置になっている。また,穴47,48は,内周スペーサ45,46の成形品の成形による変形を小さなものにしており,高精度な内周スペーサ45,46を作製できることを可能にしている。
【0028】
図7〜図9に示すように,内周スペーサ45(第1内周スペーサ)は,循環路が互いにたすき掛け状に直交状態に構成するために方向転換路30A,30Bが互い違いに交差して形成されるが,その場合にエンドキャップ4に深く形成された一方の方向転換路30A(第1方向転換路)を構成する構成部材になっている。内周スペーサ45は,正面から見て矩形状に形成され,正面に見える外面68が方向転換路30Aの内周面56を形成する部分であり,両側面がエンドキャップ本体50に嵌合する嵌合面66,67となる2面幅に形成され,背面69がエンドキャップ本体50の背面76と面一になるように形成されている。内周スペーサ45の外面68は,方向転換路30Aの内周面56(第1内周面)を構成するものであり,方向転換路30Aが,長い直線路,1/4円状曲線路,短い直線路,1/4円状曲線路,及び長い直線路に構成されているのに合わせて,長い平面,1/4円状曲面,短い平面,1/4円状曲面,及び長い平面に形成されている。また,内周スペーサ45は,エンドキャップ本体50の嵌合凹部77である嵌合段部72に嵌入されるので,内周スペーサ45の外面68の幅は,方向転換路30Aの幅,即ち方向転換路30Aの内周面56の幅よりも両側に嵌合段部72の分だけ幅広に形成されている。また,内周スペーサ45には,背面69に内周スペーサ46を嵌合する嵌合凹部71が形成され,更に嵌合凹部71に続き,方向転換路46の交差する部分になる方向転換路凹部70が形成されている。従って,方向転換路凹部70が形成された底面は,方向転換路30Bの交差する部分の外周面57を構成しており,曲面状に形成され,ローラ5の転動面39をガイドする。また,方向転換路凹部70が形成された側面のガイド面73は,ローラ5の端面40をガイドする。また,嵌合凹部71の幅は方向転換路凹部70の幅よりも幅広に形成されているので,その境界部分に嵌合段部72が形成されている。
【0029】
図10〜図12に示すように,内周スペーサ46(第2内周スペーサ)は,循環路が互いにたすき掛け状に直交状態に構成するために方向転換路30A,30Bが互い違いに交差して形成されるが,その場合に,エンドキャップ4に浅く形成された他方の方向転換路30B(第2方向転換路)を構成する構成部材になっている。内周スペーサ46は,正面から見て矩形状に形成され,正面に見える外面62が方向転換路30Bの内周面58を形成するものになり,両側面がエンドキャップ本体50及び内周スペーサ45(第1内周スペーサ)に嵌合する嵌合面64,65となる2面幅に形成され,背面63がエンドキャップ本体50の背面76と面一になるように形成されている。内周スペーサ46の外面62は,方向転換路30B(第2方向転換路)の内周面58(第2内周面)を構成するものであり,方向転換路30Bが,1/4円状曲線路,短い直線路,及び1/4円状曲線路に構成されているのに合わせて,1/4円状曲面,短い平面,及び1/4円状曲面に形成されている。従って,スライダ2における交差する一方の循環路は,一方の軌道路34,方向転換路30A,一方のリターン路10,及び方向転換路30Bを連通した無限循環路に形成され,また,他方の循環路は,他方の軌道路34,方向転換路30B,他方のリターン路10,及び方向転換路30Aを連通した無限循環路に形成され,結局,スライダ2には同一の長さになる一対の循環路が構成されている。また,内周スペーサ45,46の嵌合面64〜67には,エンドキャップ本体50に組み込む際に,組立の向きを決める基準凸部52が形成されている。スライダ2については,これらの基準凸部52によりエンドキャップ本体50及び内周スペーサ45,46の各構成部材が正確に合致してエンドキャップ4の方向転換路30が構成されることになる。
【0030】
次に,図13及び図14を参照して,この直動案内ユニットが特徴とするリターン路10について説明する。リターン路10は,スライダ2を構成するケーシング3に形成された嵌挿孔9に嵌挿された長手状でなるパイプ6の中心を貫通する通し孔36で形成されている。パイプ6は,断面で見て外周面が全体的に円形でなり,通し孔36が矩形孔に形成されており,通し孔36がリターン路10に形成されている。パイプ6に形成された通し孔36の矩形孔は,ローラ5が通過可能になるように,ローラ5のサイズであるローラ5の軸心で縦断面した大きさより僅かに大きなサイズに形成されている。パイプ6は,パイプ自体の剛性を確保するためのパイプ本体7と,潤滑剤を含浸保持して適正にローラ5を潤滑するための多孔質部材8とから成る複合構造で構成されている。パイプ本体7は,分割面41(図2)で二分割されており,外周からリターン路10である通し孔36に通じる凹欠部24を備え,また,多孔質部材8は,凹欠部24に簡単に嵌め合わせができる形状に形づくられた成形体で形成されている。多孔質部材8は,ローラ5に対して潤滑剤を給油又は吸収可能に構成されており,リターン路10に面しており,ローラ4の転動面39に対してリターン路面27を形成し,ローラ4の端面40に対してリターン路面25を形成している。パイプ本体7は,ローラ5を長期間にわたり安定して信頼性に富んだ整然と循環案内できるだけの高剛性を有し,凹欠部24がパイプ本体7の長手方向に沿って複数形成されている。多孔質部材8は,パイプ本体7の外周側から凹欠部24にそれぞれ嵌め合わせることができ,潤滑剤を吸収,保持及び供給可能な多孔質構造に構成されている。ローラ5は,端面40がパイプ6に形成されたガイド面61でガイドされ,転動面39がリターン路面25,27でガイドされている。
【0031】
この直動案内ユニットでは,矩形状の通し孔36であるリターン路10は,ローラ5が通過可能に僅かに大きな大きさに形成されている。即ち,パイプ6は,ケーシング3の嵌挿孔9に容易に嵌挿される状態,言い換えれば,パイプ6の外径とケーシング3の嵌挿孔9の径との隙間が,例えば,0.1mm程度であり,パイプ6がケーシング3の嵌挿孔9に若干すきま嵌めになるように形成されている。この直動案内ユニットは,パイプ本体6の凹欠部24に多孔質部材8を嵌め合わせるのに先立って,多孔質部材8のポア即ち多孔部に潤滑剤を含浸させ,凹欠部24に多孔質部材8を嵌め合わせて複合構造のパイプ6を構成し,パイプ6をスライダ2の嵌挿孔9に嵌挿し,それによって,リターン路10を通過するローラ5に潤滑剤を安定して供給でき,ローラ5によって循環路,特に,軌道路34を転動するローラ5に対して潤滑を良好に行うことができる。パイプ6は,ローラ5を滑らかに循環案内すると共に,潤滑剤のメンテナンスフリーを実現させる。スライダ2は,パイプ6の両端部が凸凹部23に形成され,エンドキャップ4の背面76から突出した凹凸部31に嵌合して,断面矩形状の循環路が段差無く連通される。この実施例では,パイプ6は,ケーシング3の嵌挿孔9に対しては固定されておらずに遊嵌状態であり,ケーシング3の両端に配置されたエンドキャップ4に固定状態に取り付けられている。また,エンドキャップ4は,ケーシング3に対して位置決めされ,エンドキャップ4の取付孔28に通したボルト44(図1)でケーシング3に固定されるが,その時,パイプ本体7の凸凹部23がエンドキャップ4の凹凸部31に嵌合することによって,パイプ本体7とエンドキャップ4とが位置合わせされ,ケーシング3のリターン路10とエンドキャップ4の方向転換路30とは合致する状態になり,リターン路10と方向転換路30との断面矩形状の循環路が段差無く接続されている。方向転換路30とリターン路10とが段差無く連通することにより,ローラ5は,方向転換路30からリターン路10へ,及びリターン路10から方向転換路30へスムーズに無限循環することができる。
【0032】
パイプ本体7は,例えば,パイプ6の通し孔36及び凸凹部23を形成した両端部22,端部22間の通し孔36を形成した中間部20,端部22と中間部20との間で長手方向に対向してそれぞれ延びて凹欠部23を形成する柱部21,及び凹欠部23の長手方向にそれぞれ延びる可撓柱部19から形成されている。中間部20は,パイプ本体7のサイズが長いタイプでは,剛性を高める上から有効である。また,図示していないが,パイプ本体7のサイズが短いタイプでは,パイプ本体7には,端部22間に中間部を設ける必要がなく,十分な剛性を確保することができる。また,可撓柱部19は,パイプ本体7の柱部21間の周方向の中央に,多孔質部材8の嵌合部を確保するための段差を持って位置し,端部22と中間部20との間で長手方向に延びている。中間部を持たないタイプのパイプ本体7では,可撓柱部19は柱部21間の周方向の中央に上記段差を形成して位置し,端部22間で長手方向に延びている。また,多孔質部材8は,外面が長手方向に延びる円弧状の外周面37に形成され,また,内面が両側に長手方向に延びるパイプ本体7の柱部21に対向する合せ面38,合せ面38に沿ってそれぞれ延びるリターン路部分になるリターン路面25,27,及び合せ面38間に形成されたパイプ本体7の可撓柱部19が嵌合する嵌合凹部26から形成されている。多孔質部材8の合せ面38は,パイプ本体7の柱部21に接する必要はなく,隙間が存在してもよいものである。また,柱部21は,この実施例では,端部22間に延びて多孔質部材8の合せ面38が接しているが,柱部そのものが多孔質部材8の両側を覆うように延びたタイプに形成することもでき,その場合には,パイプ本体7の凹欠部23に多孔質部材8の両側部の一部を押し込んでパイプ本体7に固定すればよく,パイプ本体7の柱部に対する多孔質部材8の合せ面はなく,外周面が接することになる(図示せず)。
【0033】
多孔質部材8は,パイプ本体7の円周方向に隔置した柱部21間の上下2箇所に形成された2箇所の凹欠部24にそれぞれ配設されると共に,パイプ本体7の長手方向に沿ってパイプ本体7の中間部20を挟んだ凹欠部24にそれぞれ配設されている。この直動案内ユニットでは,合計で4個の多孔質部材8がパイプ本体7に配設されている。また,多孔質部材8のリターン路面25,27は,パイプ本体7の可撓柱部19が嵌合する嵌合凹部26の両側に形成されている。多孔質部材8は,パイプ本体7に形成された凹欠部24に嵌め合う略同一の成形体になっており,しかも,多孔質部材8の外形は円形の円弧状になっており,多孔質部材8の内面は,リターン路10の壁面の部分を形成するリターン路面25,27に形成されている。多孔質部材8の内面には,パイプ本体7の可撓柱部19に嵌合する嵌合凹部26に形成されている。この実施例では,パイプ本体7に嵌め合わされた4個の多孔質部材8は,別々に分離しているが,別の実施例としては,多孔質部材8を4個に分離することなく,多孔質部材8が部分的に結合する連結部を形成して構成してもよいものである。例えば,長手方向に位置する多孔質部材8を連結部で連結するタイプの場合には,パイプ本体7の中間部20に上記連結部が嵌入する凹部を形成することによって達成できる。或いは,周方向に位置する多孔質部材8を連結部で連結するタイプの場合には,パイプ本体7の柱部21に上記連結部を嵌入する凹部を形成することによって達成できる。
【0034】
また,多孔質部材8に形成されるリターン路面25,27は,ローラ5の転動面39側に面している部分のリターン路面27と,僅かながらローラ5の端面40側にそれぞれ面している部分のリターン路面25とで形成されている。従って,多孔質部材8は,リターン路面25,27がローラ5の転動面39側及び端面40側に接触するものになっている。多孔質部材8は,上述のように,パイプ本体7に配設されているので,直動案内ユニットの設置姿勢がどのような向きにあっても,リターン路10において,多孔質部材8のリターン路面25,27がローラ5の転動面39と端面40とに接触することになる。また,多孔質部材8は,多孔部分のポアに,潤滑剤を吸収し,潤滑油を保持し且つ潤滑油をローラ5に供給する等の働きをする。従って,多孔質部材8をパイプ本体7に組み込むのに先立って,多孔質部材8に潤滑剤を予め含浸させ,次いで,多孔質部材8をパイプ本体7に組み込むことが好ましい。また,直動案内ユニットの使用中に潤滑剤が消費されても,スライダ2のグリースニップル43又は給油口29から潤滑剤を供給すればよく,その場合に,ローラ5から余分な油分が多孔質部材8に吸収されて適正化される。潤滑剤は,種々の潤滑油から選択でき,使用条件に合わせた潤滑剤が使用されている。
【0035】
この直動案内ユニットでは,パイプ本体7は合成樹脂から形成され,また,多孔質部材8は焼結樹脂から形成されている。パイプ本体7は,ローラ5のリターン路10の転走に際し,長期間に渡り安定して循環案内可能なものであり,ローラ5の転動面39の押圧,ローラ5の端面40の摺接,ローラ5の角部の当接等に対して摩耗が無く,或いは小さく,剛性があるものであり,例えば,アルミ等の金属材料,合成樹脂等で作製することができる。ここでは,パイプ本体7は,ポリアセタール等の合成樹脂材料から作製され,剛性,耐磨耗性,潤滑性,及びなじみ性を有するものに形成されている。また,多孔質部材8は,潤滑剤を吸収,保持及び供給可能な多孔質構造であり,耐磨耗性を有する材料であればよく,ここでは,焼結樹脂部材から作製されている。焼結樹脂部材は,例えば,超高分子量のポリエチレン微粒子を焼結した成形品であり,取扱いやすく,剛性があり,寸法安定性に優れ,目詰まりがなく長期間に耐え,潤滑剤の吸収性,保留性,及び排出性もよいものになっている。
【産業上の利用可能性】
【0036】
この発明による直動案内ユニットは,精密機械,測定・検査装置,医療機器,マイクロマシーン,工作機械等の各種の装置の摺動部に組み込まれて使用される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】この発明による直動案内ユニットの一実施例を示す断面部分を含んだ斜視図である。
【図2】図1の直動案内ユニットのA−A平面を示す横断面図である。
【図3】図1の直動案内ユニットにおけるスライダの下側を示す断面部分を含む分解斜視図である。
【図4】図1の直動案内ユニットにおけるエンドキャップを示す背面図である。
【図5】図4のエンドキャップにおけるB−B断面を示す断面図である。
【図6】図4のエンドキャップにおけるC−C断面を示す断面図である。
【図7】図3のスライダにおけるエンドキャップを構成する第1内周スペーサを示す正面図である。
【図8】図7の第1内周スペーサを示す側面図である。
【図9】図7の第1内周スペーサを示す平面図である。
【図10】図3のスライダにおけるエンドキャップを構成する第2内周スペーサを示す正面図である。
【図11】図10の第2内周スペーサを示す側面図である。
【図12】図10の第2内周スペーサを示す平面図である。
【図13】図1の直動案内ユニットにおけるパイプを示す正面図である。
【図14】図13のパイプにおけるD−D断面を示す断面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 軌道レール
2 スライダ
3 ケーシング
4 エンドキャップ
5 ローラ
6 パイプ
7 パイプ本体
8 多孔質部材
9 嵌挿孔
10 リターン路
11,12 軌道面
24 凹欠部
25,27 リターン路面
26 嵌合凹部
30,30A,30B 方向転換路
34 軌道路
35 端面
36 通し孔
39 転動面
40 端面
45 内周スペーサ(第1内周スペーサ)
46 内周スペーサ(第2内周スペーサ)
47,48 穴
50 エンドキャップ本体
52 基準凸部
55,57 外周面
56,58 内周面
59,60 ガイド面
62 外面
63,69,76 背面
64,65,66,67 嵌合面
68 外面
71 嵌合凹部
72 段部
75 給油溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に沿って第1軌道面が形成された軌道レール及び前記軌道レールに対して相対摺動自在なスライダから成り,
前記スライダは,前記第1軌道面に対向して第2軌道面が形成され且つ前記第1軌道面と前記第2軌道面とで形成される軌道路に平行なリターン路が形成されたケーシング,前記ケーシングの両端面に取り付けられ且つ前記軌道路と前記リターン路とを連通する方向転換路が形成されたエンドキャップ,並びに前記軌道路,前記リターン路及び一対の前記方向転換路で構成される循環路を転動する複数の転動体であるローラを有する直動案内ユニットにおいて,
前記エンドキャップは,前記方向転換路の内周面が外面に形成された内周スペーサと,前記内周スペーサを嵌入し且つ前記方向転換路の外周面と前記外周面の両側に前記ローラの端面を案内するガイド面とが形成されたエンドキャップ本体とを有し,前記内周スペーサの前記外面には,油溜り,成形変形防止及びエジェクタピン穴として機能する多数の穴が形成されていることを特徴とする直動案内ユニット。
【請求項2】
前記内周スペーサに形成された前記穴は,円形で且つ全てが同一方向の正面に向いて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の直動案内ユニット。
【請求項3】
前記内周スペーサに形成された前記穴は,所定間隔の3個が複列に並び合計6個形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の直動案内ユニット。
【請求項4】
前記内周スペーサの側面でなる嵌合面には,前記エンドキャップ本体に組み込むための基準凸部が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の直動案内ユニット。
【請求項5】
前記リターン路は,前記ケーシングに形成された嵌挿孔に嵌挿された長手状でなるパイプの矩形状でなる通し孔に形成され,前記パイプは,長手方向に沿って外周から前記リターン路に通じる凹欠部が形成されたパイプ本体と,前記凹欠部に嵌め合わされて前記リターン路に面するリターン路面が形成された長手状でなる成形体であって潤滑剤を含浸可能な多孔質部材とから構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の直動案内ユニット。
【請求項6】
前記パイプ本体は合成樹脂から形成され,前記多孔質部材は焼結樹脂から形成されていることを特徴とする請求項5に記載の直動案内ユニット。
【請求項7】
前記エンドキャップには,一対になる前記循環路が互いにたすき掛け状に直交状態に構成するために前記方向転換路が互い違いに交差して形成され,深く形成された一方の前記方向転換路を構成する前記内周スペーサである第1内周スペーサと浅く形成された他方の前記方向転換路を構成する前記内周スペーサである第2内周スペーサとが交差して前記エンドキャップ本体に嵌入されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の直動案内ユニット。
【請求項8】
前記第1内周スペーサには,前記第2内周スペーサを嵌合するための嵌合凹部が設けられ且つ段部が形成されていることを特徴とする請求項7に記載の直動案内ユニット。
【請求項9】
前記第1内周スペーサと前記第2内周スペーサとの背面には,前記エンドキャップ本体の給油溝に連通する給油溝がそれぞれの前記循環路に開口して形成されていることを特徴とする請求項7又は8に記載の直動案内ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−144840(P2006−144840A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−332643(P2004−332643)
【出願日】平成16年11月17日(2004.11.17)
【出願人】(000229335)日本トムソン株式会社 (96)
【Fターム(参考)】